JPH11287416A - キルン式ガス化焼却炉 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ダイオキシン等の発生を抑えるとともに小型
化が可能で極力少ないエネルギーで焼却ができるキルン
式ガス化焼却炉を提供する。 【解決手段】 焼却物のガス化炭化室である略密閉型の
ロータリーキルン１と、該ロータリーキルンの外側にロ
ータリーキルンの加熱用空間２を構成する外筒部３と、
該外筒部の下部に配設され加熱・燃焼装置４を有する下
部焼却室５と、前記ロータリーキルン内で発生したガス
をロータリーキルンから前記下部焼却室内に導いて送風
する排ガス供給機構９とを備えた焼却炉であって、前記
外筒部と前記下部焼却室との間には、該下部焼却室の排
気が前記加熱用空間に流通可能な通気性容器６が設けら
れ、該通気性容器内には、塊粒状加熱媒体Ｃが充填され
ている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、焼却物、特に汚泥
を加熱、乾燥、ガス化および炭化する外熱方式のキルン
式ガス化焼却炉に関する。

【０００２】

【従来の技術】都市ゴミや下水汚泥の廃棄物処理は、海
洋投棄が禁止されていることから焼却が主に行われてい
る。しかし、これらは含水率が高く、特に汚泥は水分を
８０％以上含んでいるため（脱水汚泥）、燃焼が困難で
あるとともに焼却にかかるエネルギー消費が大きいとい
う問題がある。

【０００３】従来から、汚泥の焼却炉として、汚泥等を
加熱してガス化するとともに炭化するもの、例えば、外
燃方式のロータリキルンを備えたキルン式ガス化焼却炉
等が提案されている。該キルン式ガス化焼却炉は、外部
から加熱され回転する管体であるロータリーキルンに汚
泥が連続的に投入され、ロータリーキルンにつけた傾斜
によって投入口から排出口へと移動する間に、加熱され
ガス化および炭化されるとともに、発生したガスはロー
タリーキルンから噴出して可燃成分が燃焼し、運転時の
熱源ともなるものである。

【０００４】このキルン式ガス化焼却炉は、汚泥をガス
化する際に発生するガスを熱源の一部に利用することか
らエネルギー消費を比較的抑えることができるととも
に、汚泥を炭化物にして縮小し、例えば、燃料、土壌改
良材または園芸用土壌等に有効利用することができる利
点がある。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
焼却炉には、以下のような課題が残っている。すなわ
ち、近年、毒性があり人体や環境に悪影響を及ぼすダイ
オキシン等の発生を抑制すべく、廃棄物を焼却して生じ
る飛灰（いわゆるフライアッシュ）中へのダイオキシン
等の微量有害物質の含有を抑制する必要が生じている。
このため、焼却炉において、ダイオキシンやその発生に
寄与する塩素を良好に熱分解させて発生を抑制するた
め、一定以上の高温状態、例えば８５０℃２秒以上を維
持して加熱する必要が生じている。従来の焼却炉では、
上記高温状態を維持して加熱するには風量に応じた自由
燃焼室を確保する必要があるとともに、排ガス中から飛
灰を集塵・除去する装置を付設する必要もあり、設備が
大型化してしまうとともに、より強い加熱を得るために
エネルギー消費が増大してしまう問題があった。

【０００６】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
で、ダイオキシン等の発生を抑えるとともに小型化が可
能で極力少ないエネルギーで焼却ができるキルン式ガス
化焼却炉を提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、前記課題を解
決するために以下の構成を採用した。すなわち、請求項
１記載のキルン式ガス化焼却炉では、焼却物のガス化炭
化室である略密閉型のロータリーキルンと、該ロータリ
ーキルンの外側にロータリーキルンの加熱用空間を構成
する外筒部と、該外筒部の下部に配設され加熱・燃焼装
置を有する下部焼却室と、前記ロータリーキルン内で発
生したガスをロータリーキルンから前記下部焼却室内に
導いて送風する排ガス供給機構とを備えた焼却炉であっ
て、前記外筒部と前記下部焼却室との間には、該下部焼
却室の排気が前記加熱用空間に流通可能な通気性容器が
設けられ、該通気性容器内には、塊粒状加熱媒体が充填
されている技術が採用される。

【０００８】このキルン式ガス化焼却炉では、外筒部と
下部焼却室との間に、該下部焼却室の排気が加熱用空間
に流通可能な通気性容器が設けられ、該通気性容器内に
は、塊粒状加熱媒体が充填されているので、下部焼却室
における燃焼の熱および高温状態の排気によって通気性
容器内の塊粒状加熱媒体も高温状態となり、該塊粒状加
熱媒体からの輻射熱によってロータリーキルンおよびそ
の内外がさらに加熱され、より高い温度状態を維持する
ことができる。さらに、ロータリーキルン内で発生した
ガスをロータリーキルンから下部焼却室内に導いて送風
する排ガス供給機構を備えているので、飛灰を含んだ前
記ガスが下部焼却室内に送り込まれて再び燃焼させられ
るとともに、下部焼却室から通気性容器を通過する際に
塊粒状加熱媒体がフィルターの役割をして残った飛灰を
吸着・捕捉することができる。そして、捕捉された飛灰
および含まれるダイオキシン等は、高温状態の塊粒状加
熱媒体中で再び燃焼・熱分解させられる。なお、塊粒状
加熱媒体に前記ガスが流通する際に脱臭効果も生じる。

【０００９】請求項２記載のキルン式ガス化焼却炉で
は、請求項１記載のキルン式ガス化焼却炉において、前
記排ガス供給機構は、前記ガスをロータリーキルンから
排出させるとともにロータリーキルン内を減圧状態にす
る減圧手段を備えている技術が採用される。

【００１０】このキルン式ガス化焼却炉では、排ガス供
給機構が、ガスをロータリーキルンから排出させるとと
もにロータリーキルン内を減圧状態にする減圧手段を備
えているので、減圧状態で焼却することにより、焼却物
の水分を蒸発させるための顕熱分のエネルギーを削減す
ることができる。

【００１１】請求項３記載のキルン式ガス化焼却炉で
は、請求項１または２記載のキルン式ガス化焼却炉にお
いて、前記ロータリーキルン内の乾燥炭化物をロータリ
ーキルンから排出させる炭化物排出機構を備え、該炭化
物排出機構は、排出した乾燥炭化物を前記下部焼却室内
に導入する炭化物導入手段を備えている技術が採用され
る。

【００１２】このキルン式ガス化焼却炉では、炭化物排
出機構が、排出した乾燥炭化物を下部焼却室内に導入す
る炭化物導入手段を備えているので、燃料として乾燥炭
化物を有効利用でき、消費エネルギーが削減される。

【００１３】請求項４記載のキルン式ガス化焼却炉で
は、請求項３記載のキルン式ガス化焼却炉において、前
記下部焼却室は、縦型の略円筒状に形成され、前記排ガ
ス供給機構は、前記下部焼却室の内周面に設けられ前記
ガスを下部焼却室の内周壁の接線方向に向けて噴き出さ
せる送風口を備えている技術が採用される。

【００１４】このキルン式ガス化焼却炉では、排ガス供
給機構が、下部焼却室の内周面に設けられガスを下部焼
却室の内周壁の接線方向に向けて噴き出させる送風口を
備えているので、該送風口から噴き出す排ガスによっ
て、下部焼却室の内周方向に沿って一方向に回転する渦
流が発生するサイクロン効果が得られ、排ガスに含まれ
る飛灰や下部焼却室内に導入される乾燥炭化物が、渦流
によって内部を旋回しながら空中に長く滞留して燃焼に
供される。

【００１５】請求項５記載のキルン式ガス化焼却炉で
は、請求項４記載のキルン式ガス化焼却炉において、前
記炭化物導入手段は、前記下部焼却室の上部外周近傍か
つ前記送風口近傍の噴き出し方向前方に前記乾燥炭化物
の投入口を備えている技術が採用される。

【００１６】このキルン式ガス化焼却炉では、炭化物導
入手段が、下部焼却室の上部外周近傍かつ送風口近傍の
噴き出し方向前方に乾燥炭化物の投入口を備えているの
で、該投入口から下部焼却室に投入される乾燥炭化物が
送風口から噴き出す排ガスと合流してその風速で混合燃
焼させられる。

【００１７】請求項６記載のキルン式ガス化焼却炉で
は、請求項１記載のキルン式ガス化焼却炉において、前
記外筒部は、その外周部分の一部に通気性周壁部が設け
られ、前記通気性周壁部の外側には、該通気性周壁部を
一部とし塊粒状加熱媒体が充填された排ガス浄化用容器
が設けられ、該排ガス浄化用容器には、前記加熱用空間
からの排気を前記塊粒状加熱媒体を通過させて排気する
排気口が設けられている技術が採用される。

【００１８】このキルン式ガス化焼却炉では、排ガス浄
化用容器に加熱用空間からの排気を塊粒状加熱媒体を通
過させて排気する排気口が設けられているので、排ガス
中の飛灰が排ガス浄化用容器内の塊粒状加熱媒体のフィ
ルター効果によって捕捉されるとともに、通過する排ガ
スは脱臭・吸熱される。

【００１９】請求項７記載のキルン式ガス化焼却炉で
は、請求項６記載のキルン式ガス化焼却炉において、前
記排ガス浄化用容器と前記通気性容器とは、排ガス浄化
用容器内の塊粒状加熱媒体を通気性容器内へ移送する管
路で接続されている技術が採用される。

【００２０】このキルン式ガス化焼却炉では、排ガス浄
化用容器と通気性容器とが、排ガス浄化用容器内の塊粒
状加熱媒体を通気性容器内へ移送する管路で接続されて
いるので、排ガス浄化用容器内で飛灰を捕捉した塊粒状
加熱媒体を前記管路を通じて通気性容器内へ移送するこ
とにより、当該塊粒状加熱媒体を補給可能であるととも
に、当該塊粒状加熱媒体を加熱して捕捉飛灰を燃焼させ
てしまうことができる。

【００２１】請求項８記載のキルン式ガス化焼却炉で
は、請求項１から７のいずれかに記載のキルン式ガス化
焼却炉において、前記塊粒状加熱媒体は、炭化物または
コークスである技術が採用される。

【００２２】このキルン式ガス化焼却炉では、塊粒状加
熱媒体が、炭化物またはコークスであるので、飛灰捕捉
および輻射熱、特に脱臭効果において高い効果が得ら
れ、燃料として燃焼を補助することもできる。なお、炭
化して得られた乾燥炭化物を、塊粒状加熱媒体に加工し
て再利用してもよい。

【００２３】請求項９記載のキルン式ガス化焼却炉で
は、請求項１から７のいずれかに記載のキルン式ガス化
焼却炉において、前記塊粒状加熱媒体は、多孔質形状、
中空円筒形状またはコイルスプリング形状であって、セ
ラミックまたはセラミック系金属触媒である技術が採用
される。

【００２４】このキルン式ガス化焼却炉では、塊粒状加
熱媒体が、多孔質形状、中空円筒形状またはコイルスプ
リング形状であって、セラミックまたはセラミック系金
属触媒であるので、多くの細かな隙間が存在し飛灰捕捉
用のフィルターとして好適であるとともに高温状態にお
いて輻射熱の発生源としても優れる。

【００２５】

【発明の実施の形態】以下、本発明に係るキルン式ガス
化焼却炉の一実施形態を図１から図３を参照しながら説
明する。これらの図において、符号１はロータリーキル
ン、２は加熱用空間、３は外筒部、４は加熱・燃焼装
置、５は下部焼却室、６は通気性容器を示す。

【００２６】本実施形態のキルン式ガス化焼却炉は、下
水汚泥を焼却物として加熱、乾燥、ガス化および炭化す
る外熱式ロータリーキルンを採用したガス化焼却炉であ
って、図１および図２に示すように、汚泥のガス化炭化
室である円筒状略密閉型のロータリーキルン１と、該ロ
ータリーキルン１の外側にロータリーキルン１の加熱用
空間２を構成する略円筒状の外筒部３と、該外筒部３の
下部に配設され加熱・燃焼装置４を有する下部焼却室５
とを備え、外筒部３と下部焼却室５との間には、該下部
焼却室５の排気が加熱用空間２に流通可能な通気性容器
６が設けられている。

【００２７】また、このキルン式ガス焼却炉は、回転状
態のロータリーキルン１内に汚泥を投入する汚泥投入機
構７と、ロータリーキルン１を所定速度で回転させるキ
ルン回転機構８と、ロータリーキルン１内で発生したガ
スをロータリーキルン１から下部焼却室５内に導いて送
風する排ガス供給機構９と、ロータリーキルン１内の乾
燥炭化物をロータリーキルン１から排出させる炭化物排
出機構１０とを備えている。

【００２８】前記汚泥投入機構７は、下水汚泥（脱水汚
泥）を貯留した汚泥ホッパー１１と、該汚泥ホッパー１
１の下部に設けられ汚泥ホッパー１１内の汚泥をロータ
リーキルン１内に気密圧送する気密性の汚泥投入機１２
とを備えている。該汚泥投入機１２は、投入用モータ１
３の回転軸に投入用スクリュー１４が設けられ、該投入
用スクリュー１４を汚泥ホッパー１１下部の排出口に設
けたものであり、ロータリーキルン１の一端側に形成さ
れた軸部１ａの汚泥投入口１ｂにロータリージョイント
１５を介して接続されている。

【００２９】前記ロータリーキルン１は、耐熱鋼、ハス
テロイ等で形成され、外筒部３の一端側及び他端側に回
転リング１６およびローラ１７によって回転可能とされ
ているとともに、両端においてエアシール１８で気密性
をもって支持されている。そして、ロータリーキルン１
は、汚泥投入口１ｂを上方にして傾斜角θが、０゜＜θ
＜７゜の範囲でその軸を傾斜可能な可傾式（図１中の右
下がり）とされている。

【００３０】なお、前記ローラ１７は、熱によるロータ
リーキルン１の伸びを吸収するため、一端側はラジアル
方向のみ、他端側はラジアルおよびスラスト方向におい
て支持している。また、ロータリーキルン１は、他端側
の蓋部１ｃがロータリーキルン１と分離されており、固
定金具１ｄで外筒部３と連結されて固定壁となってい
る。

【００３１】前記キルン回転機構８は、ロータリーキル
ン１の軸部１ａ外周に同軸に固定されたスプロケット１
９と、該スプロケット１９に巻回されたチェーン２０を
回転軸に巻回させたキルン回転用モータ２１とを備えて
いる。前記下部焼却室５は、耐火断熱材で縦型の略円筒
状に形成され、下部には、灰を取り出し可能な密閉構造
の灰排出口５ａが設けられているとともに、その上方に
は、スクリーン２２が形成されている。

【００３２】また、加熱・燃焼装置４は、パイロット用
として利用するＬＰＧ源２３と、初期加熱および高温燃
焼用として利用するＬＮＧ源２４と、これらに接続され
下部焼却室５のスクリーン２２上部近傍にＬＰＧおよび
ＬＮＧの供給口２５ａが配された可燃性ガス供給管２５
とを備えている。前記通気性容器６は、外筒部３の他端
側下部に配され、その底壁部６ａが通気性のスクリーン
となっており、内部に塊粒状加熱媒体としてコークスＣ
が充填されている。

【００３３】前記外筒部３は、耐火断熱材で形成される
とともに、その外周部分の一部に通気性周壁部３ａが形
成されている。前記通気性周壁部３ａの外側には、図２
に示すように、該通気性周壁部３ａを一部としコークス
Ｃが充填された排ガス浄化用容器２６が設けられ、該排
ガス浄化用容器２６には、加熱用空間２からの排気をコ
ークスＣを通過させて排気する排気口２６ａが設けられ
ている。なお、該排気口２６ａは、吸引ブロア（図示せ
ず）に接続されている。

【００３４】また、排ガス浄化用容器２６には、その内
部にコークスＣを搬送して供給する投入バケットエレベ
ータ２７が接続されている。そして、排ガス浄化用容器
２６と通気性容器６とは、排ガス浄化用容器２６内のコ
ークスＣを通気性容器６内へ移送する上下連結管（管
路）２８で接続されている。

【００３５】該上下連結管２８は、外筒部３の外周に沿
って設けられ、その下部に通気性容器６上方に突出した
パイプ部２９を備え、該パイプ部２９の先端がコークス
供給口２９ａとなっている。パイプ部２９には、移送量
調整機構３０が設けられ、該移送量調整機構３０は、パ
イプ部２９内に配した取り出し用スクリュー３０ａと、
該取り出し用スクリュー３０ａを回転軸とした調整用モ
ータ３０ｂとを備えている。

【００３６】すなわち、移送量調整機構３０は、取り出
し用スクリュー３０ａの回転によって適量のコークスＣ
が通気性容器６内に送り込まれるようになっている。な
お、取り出し用スクリュー３０ａは、コークスＣのかみ
込みが防止できる程度にパイプ部２９の内径に比べて小
径に設定されている。また、外筒部３の下部側面には、
加熱用空間２に空気を供給するために空気ブロア３１か
らの送風管３２が貫通状態に設けられている。

【００３７】前記排ガス供給機構９は、蓋部１ｃを貫通
した吸引管３３を有しロータリーキルン１内の排ガスを
吸引するとともにロータリーキルン１内を所定の減圧状
態とする排気ブロア（減圧手段）３４と、該排気ブロア
３４に接続され送風機（図示せず）を経由して下部焼却
室５に形成された送風口５ｂに接続された排気連結管３
５とを備えている。前記送風口５ｂは、下部焼却室５の
内周面に設けられガスを下部焼却室５の内周壁の接線方
向に向けて噴き出させるように形成されている。

【００３８】前記炭化物排出機構１０は、図１および図
３に示すように、蓋部１ｃを気密的に貫通するとともに
断面が横置き楔形状の排出用容器３６と、該排出用容器
３６内に配され乾燥炭化物を外部に切り出す切り出し用
スクリュー３７と、該切り出し用スクリュー３７を回転
軸に設けこれを回転駆動する排出用モータ３８と、該排
出用モータ３８ごと排出用容器３６を貫通方向に移動さ
せるシリンダー３９とを備えている。

【００３９】該シリンダー３９は、下部焼却室５の蓋部
１ｃ側上部に設けられた支持台４０上に固定され、該支
持台４０には、乾燥炭化物を取り出す炭化物取り出し口
４０ａと、排出した乾燥炭化物を下部焼却室５内に導入
するための炭化物投入口４０ｂとが形成されている。該
炭化物投入口４０ｂは、下部焼却室５の上部外周近傍か
つ送風口５ｂ近傍の噴き出し方向前方に配されている。

【００４０】前記排出用容器３６は、基端側の下部に排
出孔３６ａが形成され、該排出孔３６ａは、シリンダー
３９による移動によって炭化物投入口４０ｂ、炭化物取
り出し口４０ａの順にこれらの直上に位置するように配
されている。すなわち、これらの位置に排出用容器３６
を配することにより、切り出し用スクリュー３７で切り
出された乾燥炭化物を炭化物投入口４０ｂまたは炭化物
取り出し口４０ａに落下させることができる。

【００４１】次に、本発明に係るキルン式ガス焼却炉に
よる汚泥（脱水汚泥）の焼却方法について、以下に説明
する。

【００４２】まず、下部焼却室５において、加熱・燃焼
装置４によってＬＰＧまたはＬＮＧの可燃性ガスを内部
に供給するとともに燃焼させ、通気性容器６を介して加
熱用空間２およびロータリーキルン１が加熱される。す
なわち、下部焼却室５が一次燃焼室となって、加熱用空
間２は発生するガス等の可燃成分による燃焼が行われる
二次燃焼室となる。

【００４３】また、排ガス供給機構９の排気ブロア３４
によって、ロータリーキルン１内を減圧状態とする。さ
らに、キルン回転機構８のキルン回転用モータ２１を駆
動することによって、チェーン２０およびスプロケット
１９を介してロータリーキルン１を所定速度で回転状態
としておく。なお、初期加熱時においては、シリンダー
３９によって排出用容器３６、切り出し用スクリュー３
７を最も蓋部１ｃから外方に突出する位置、すなわち外
筒部３内への突出量が最小な状態に設定しておく。

【００４４】この状態で、汚泥投入機構７の汚泥投入機
１２を駆動して、汚泥ホッパー１１内の汚泥を汚泥投入
口１ｂからロータリーキルン１内に投入する。すなわ
ち、投入用モータ１３で回転駆動される投入用スクリュ
ー１４により、汚泥がかき出されて汚泥投入口１ｂから
気密圧送される。投入された汚泥は、回転する高温状態
のロータリーキルン１内を徐々に下方、すなわち蓋部１
ｃ側に移動するとともに、加熱により乾燥、ガス化、炭
化されていく。

【００４５】この際、発生したガスは、排ガス供給機構
９の排気ブロア３４によって吸引されるとともに、排気
連結管３５を介して空気と混合されて下部焼却室５の送
風口５ｂから内周の接線方向に噴出され、含まれる飛灰
とともに下部焼却室５内で燃焼させられる。なお、下部
焼却室５で熔融した飛灰は、スラグとして灰排出口５ａ
から取り出される。

【００４６】一方、炭化物排出機構１０のシリンダー３
９を駆動して排出用容器３６の排出孔３６ａを炭化物投
入口４０ｂの直上に配するとともに、排出用モータ３８
を駆動して切り出し用スクリュー３７を乾燥炭化物が外
部にかき出される方向に回転させる。

【００４７】この際に、ロータリーキルン１を図３に示
す矢印方向に回転させることにより、乾燥炭化物が回転
によって排出用容器３６内に入ることになり、乾燥炭化
物の排出が容易となる。切り出された乾燥炭化物は、炭
化物投入口４０ｂから下部焼却室５内に投入されるとと
もに、送風口５ｂから噴き出す排ガスおよび空気と混合
されて渦流状態で燃焼に供される。

【００４８】すなわち、切り出し用スクリュー３７、排
出用モータ３８、シリンダー３９および炭化物投入口４
０ｂは、乾燥炭化物を下部焼却室５内に導入するための
炭化物導入手段としても機能する。

【００４９】下部焼却室５で燃焼に供された排ガスは、
通気性容器６のコークスＣ内を通過して加熱用空間２に
流通し、残った可燃成分が燃焼に供されるとともに、ロ
ータリーキルン１を加熱する。なお、下部焼却室５で燃
焼しなかった飛灰は、排ガスがコークスＣ内を通過する
際に捕捉され、コークスＣ内で加熱され熔融されるとと
もに、コークスＣの熱で飛灰中のダイオキシン等の熱分
解が行われる。

【００５０】このように、加熱用空間２では、ガス化し
た可燃成分が燃焼に寄与するとともに、加熱された通気
性容器６内のコークスＣの輻射熱で高温状態が維持され
る。上記循環された排ガスは、通気性周壁部３ａから排
ガス浄化用容器２６内のコークスＣを通過して、排気口
２６ａから排出される。この際、飛灰がコークスＣ内で
捕捉されるとともに、排ガスが脱臭、冷却された状態で
排出される。

【００５１】なお、各空間における雰囲気温度は、下部
焼却室５では、９００℃から１２００℃程度にまで加熱
され、通気性容器６内のコークスＣでは、８５０℃程度
となる。また、加熱用空間２では、６００℃から７００
℃程度に設定され、ロータリーキルン１内では、３５０
℃から４５０℃程度に設定される。そして、排ガス浄化
用容器２６のコークスＣでは、３００℃程度となり、最
終的に排気口２６ａでは、１５０℃から２００℃程度に
まで冷却される。

【００５２】このキルン式ガス化焼却炉では、外筒部３
と下部焼却室５との間に、該下部焼却室５の排気が加熱
用空間２に流通可能な通気性容器６が設けられ、該通気
性容器６内には、コークスＣが充填されているので、下
部焼却室５における燃焼の熱および高温状態の排気によ
って通気性容器６内のコークスＣも高温状態となり、該
コークスＣからの輻射熱によってロータリーキルン１お
よびその内外がさらに加熱され、より高い温度状態を維
持することができる。

【００５３】さらに、ロータリーキルン１内で発生した
ガスをロータリーキルン１から下部焼却室５内に導いて
送風する排ガス供給機構９を備えているので、飛灰を含
んだガスが下部焼却室５内に送り込まれて再び高温で燃
焼させられるとともに、下部焼却室５から通気性容器６
を通過する際にコークスＣがフィルターの役割をして残
った飛灰を捕捉することができる。

【００５４】そして、捕捉された飛灰は、高温状態のコ
ークスＣ中で再び燃焼・熔融させられる。なお、コーク
スＣにガスが流通する際に脱臭効果も生じる。すなわ
ち、コークスＣによる輻射熱で効率的に高温化を図ると
ともに、捕捉した飛灰中のダイオキシンや塩素等の良好
な熱分解を行い、また発生したガスを燃焼用のエネルギ
ーとして再利用するとともに含まれる飛灰を燃焼・捕捉
させることができる。

【００５５】また、排ガス供給機構９が、ガスをロータ
リーキルン１から排出させるとともにロータリーキルン
１内を減圧状態にする排気ブロア３４を備えているの
で、減圧状態で焼却することにより、焼却物の水分を蒸
発させるための顕熱分のエネルギーを削減することがで
きる。

【００５６】さらに、炭化物排出機構１０が、排出した
乾燥炭化物を下部焼却室５内に導入するシリンダー３９
および排出用容器３６等を備えているので、燃料として
乾燥炭化物を有効利用でき、消費エネルギーを削減する
ことができるとともに、焼却炉からの排出物を大幅に削
減することができる。

【００５７】そして、排ガス供給機構９が、下部焼却室
５の内周面に設けられガスを下部焼却室５の内周壁の接
線方向に向けて噴き出させる送風口５ｂを備えているの
で、該送風口５ｂから噴き出す排ガスによって、下部焼
却室５の内周方向に沿って一方向に回転する渦流が発生
するサイクロン効果が得られ、排ガスに含まれる飛灰や
下部焼却室５内に導入される乾燥炭化物が、渦流によっ
て内部を旋回しながら燃焼に供される。このとき、これ
らが空中に滞留する時間が長く、十分かつ効率的な燃焼
を行うことができる。

【００５８】また、下部焼却室５の上部外周近傍かつ送
風口５ｂ近傍の噴き出し方向前方に炭化物投入口４０ｂ
を備えているので、該炭化物投入口４０ｂから下部焼却
室５に投入される乾燥炭化物が送風口５ｂから噴き出す
排ガスと合流してその風速で混合燃焼させられる。

【００５９】さらに、排ガス浄化用容器２６に加熱用空
間２からの排気をコークスＣを通過させて排気する排気
口２６ａが設けられているので、排ガス中の飛灰が排ガ
ス浄化用容器２６内のコークスＣのフィルター効果によ
って捕捉されるとともに、排ガスが脱臭・吸熱され、浄
化、無臭化および低温化されて排気口から排出される。

【００６０】そして、排ガス浄化用容器２６と通気性容
器６とが、排ガス浄化用容器２６内のコークスＣを通気
性容器６内へ移送する上下連結管２８で接続されている
ので、排ガス浄化用容器２６内で飛灰を捕捉したコーク
スＣを、上下連結管２８を通じて通気性容器６内へ移送
することにより、通気性容器６にコークスＣを補給する
とともに、コークスＣを加熱して捕捉飛灰を熔融させて
しまうことができる。

【００６１】なお、塊粒状加熱媒体としてコークスＣを
用いているので、飛灰捕捉および輻射熱、特に脱臭効果
において高い効果が得られ、燃料として燃焼を補助する
こともできる。

【００６２】なお、本発明は、次のような実施形態をも
含むものである。

【００６３】（１）塊粒状加熱媒体としてコークスＣを
用いたが、他の塊粒状加熱媒体でも構わない。例えば、
塊粒状加熱媒体として、多孔質形状、中空円筒形状また
はコイルスプリング形状とされたセラミックまたはセラ
ミック系金属触媒を用いることにより、これらに存在す
る多くの細かな隙間が飛灰捕捉用のフィルターとして好
適であるとともに、高温状態において輻射熱の発生源と
しても優れる効果を得ることができる。

【００６４】（２）焼却物として下水汚泥を適用した
が、他の焼却物に用いても構わない。例えば、都市ゴミ
等を焼却物としてもよい。

【００６５】（３）排気口２６ａから排出される排ガス
は、脱臭および飛灰の捕捉等により十分に浄化される
が、排気口２６ａに集塵機等の浄化設備を接続して付設
しても構わない。

【００６６】

【発明の効果】本発明によれば、以下の効果を奏する。 （１）請求項１記載のキルン式ガス化焼却炉によれば、
外筒部と下部焼却室との間に、該下部焼却室の排気が加
熱用空間に流通可能な通気性容器が設けられ、該通気性
容器内には、塊粒状加熱媒体が充填されているので、塊
粒状加熱媒体による輻射熱で効率的に高温化を図るとと
もに、捕捉した飛灰中のダイオキシンや塩素等の良好な
熱分解を行い、また発生したガスを燃焼用のエネルギー
として再利用するとともに含まれる飛灰を燃焼・捕捉さ
せることができる。すなわち、飛灰を燃焼するための別
個の設備が不要となり、小型化ができるとともに、エネ
ルギー消費が少なくランニングコストを大幅に低減する
ことができる。

【００６７】（２）請求項２記載のキルン式ガス化焼却
炉によれば、排ガス供給機構が、ガスをロータリーキル
ンから排出させるとともにロータリーキルン内を減圧状
態にする減圧手段を備えているので、水分蒸発にかかる
エネルギーを低減し、高効率にガス化、炭化を行うこと
ができる。

【００６８】（３）請求項３記載のキルン式ガス化焼却
炉によれば、炭化物排出機構が、排出した乾燥炭化物を
下部焼却室内に導入する炭化物導入手段を備えているの
で、燃料として乾燥炭化物を有効利用でき、消費エネル
ギーを削減することができるとともに、焼却炉からの排
出物を大幅に削減することができる。

【００６９】（４）請求項４記載のキルン式ガス化焼却
炉によれば、排ガス供給機構が、下部焼却室の内周面に
設けられガスを下部焼却室の内周壁の接線方向に向けて
噴き出させる送風口を備えているので、排ガスに含まれ
る飛灰や下部焼却室内に導入される乾燥炭化物を、サイ
クロン効果により内部を旋回させて十分かつ効率的に燃
焼させることができる。

【００７０】（５）請求項５記載のキルン式ガス化焼却
炉によれば、炭化物導入手段が、下部焼却室の上部外周
近傍かつ送風口近傍の噴き出し方向前方に乾燥炭化物の
投入口を備えているので、該投入口から下部焼却室に投
入される乾燥炭化物を送風口から噴き出す排ガスと合流
させてその風速で効果的に混合燃焼させることができ
る。

【００７１】（６）請求項６記載のキルン式ガス化焼却
炉によれば、排ガス浄化用容器に加熱用空間からの排気
を塊粒状加熱媒体を通過させて排気する排気口が設けら
れているので、排ガス中の飛灰を塊粒状加熱媒体に捕捉
させるとともに、通過する排ガスは脱臭・吸熱され、浄
化、無臭化および低温化して排気口から排出させること
ができる。

【００７２】（７）請求項７記載のキルン式ガス化焼却
炉によれば、排ガス浄化用容器と通気性容器とが、排ガ
ス浄化用容器内の塊粒状加熱媒体を通気性容器内へ移送
する管路で接続されているので、排ガス浄化用容器内で
飛灰を捕捉した塊粒状加熱媒体を前記管路を通じて通気
性容器内へ移送することにより、当該塊粒状加熱媒体を
補給可能であるとともに、当該塊粒状加熱媒体を加熱し
て捕捉飛灰を燃焼させてしまうことができる。すなわ
ち、飛灰中のダイオキシン等を高温下で熱分解させるこ
とができ、飛灰を捕捉した塊粒状加熱媒体を取り出して
別個に処理する必要がない。

【００７３】（８）請求項８記載のキルン式ガス化焼却
炉によれば、塊粒状加熱媒体が、炭化物またはコークス
であるので、飛灰捕捉および輻射熱、特に脱臭効果にお
いて高い効果が得られ、燃料として燃焼を補助すること
もできる。

【００７４】（９）請求項９記載のキルン式ガス化焼却
炉によれば、塊粒状加熱媒体が、多孔質形状、中空円筒
形状またはコイルスプリング形状であって、セラミック
またはセラミック系金属触媒であるので、飛灰捕捉用の
フィルターとして好適であるとともに高温状態において
輻射熱の発生源としても優れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明に係るキルン式ガス化焼却炉の一実施
形態を示す断面図である。

【図２】 図１のＡ−Ａ線矢視断面図である。

【図３】 本発明に係るキルン式ガス化焼却炉の一実施
形態を示すロータリーキルン軸方向から見た要部拡大図
である。

【符号の説明】

１ ロータリーキルン ２ 加熱用空間 ３ 外筒部 ３ａ 通気性周壁部 ４ 加熱・燃焼装置 ５ 下部焼却室 ５ｂ 送風口 ６ 通気性容器 ９ 排ガス供給機構 １０ 炭化物排出機構 ２６ 排ガス浄化用容器 ２６ａ 排気口 ２８ 上下連結管（管路） ３４ 排気ブロア（減圧手段） ３７ 切り出し用スクリュー（炭化物導入手段） ３８ 排出用モータ（炭化物導入手段） ３９ シリンダー（炭化物導入手段） ４０ｂ 炭化物投入口（炭化物導入手段） Ｃ コークス（塊粒状加熱媒体）

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 ＦＩ Ｆ２３Ｇ 7/04 ６０２ Ｆ２３Ｇ 7/04 ６０２Ｂ

Claims (9)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 焼却物のガス化炭化室である略密閉型の
   ロータリーキルンと、 該ロータリーキルンの外側にロータリーキルンの加熱用
   空間を構成する外筒部と、 該外筒部の下部に配設され加熱・燃焼装置を有する下部
   焼却室と、 前記ロータリーキルン内で発生したガスをロータリーキ
   ルンから前記下部焼却室内に導いて送風する排ガス供給
   機構とを備えた焼却炉であって、 前記外筒部と前記下部焼却室との間には、該下部焼却室
   の排気が前記加熱用空間に流通可能な通気性容器が設け
   られ、 該通気性容器内には、塊粒状加熱媒体が充填されている
   ことを特徴とするキルン式ガス化焼却炉。
2. 【請求項２】 請求項１記載のキルン式ガス化焼却炉に
   おいて、 前記排ガス供給機構は、前記ガスをロータリーキルンか
   ら排出させるとともにロータリーキルン内を減圧状態に
   する減圧手段を備えていることを特徴とするキルン式ガ
   ス化焼却炉。
3. 【請求項３】 請求項１または２記載のキルン式ガス化
   焼却炉において、前記ロータリーキルン内の乾燥炭化物
   をロータリーキルンから排出させる炭化物排出機構を備
   え、 該炭化物排出機構は、排出した乾燥炭化物を前記下部焼
   却室内に導入する炭化物導入手段を備えていることを特
   徴とするキルン式ガス化焼却炉。
4. 【請求項４】 請求項３記載のキルン式ガス化焼却炉に
   おいて、 前記下部焼却室は、縦型の略円筒状に形成され、 前記排ガス供給機構は、前記下部焼却室の内周面に設け
   られ前記ガスを下部焼却室の内周壁の接線方向に向けて
   噴き出させる送風口を備えていることを特徴とするキル
   ン式ガス化焼却炉。
5. 【請求項５】 請求項４記載のキルン式ガス化焼却炉に
   おいて、 前記炭化物導入手段は、前記下部焼却室の上部外周近傍
   かつ前記送風口近傍の噴き出し方向前方に前記乾燥炭化
   物の投入口を備えていることを特徴とするキルン式ガス
   化焼却炉。
6. 【請求項６】 請求項１記載のキルン式ガス化焼却炉に
   おいて、 前記外筒部は、その外周部分の一部に通気性周壁部が設
   けられ、 前記通気性周壁部の外側には、該通気性周壁部を一部と
   し塊粒状加熱媒体が充填された排ガス浄化用容器が設け
   られ、 該排ガス浄化用容器には、前記加熱用空間からの排気を
   前記塊粒状加熱媒体を通過させて排気する排気口が設け
   られていることを特徴とするキルン式ガス化焼却炉。
7. 【請求項７】 請求項６記載のキルン式ガス化焼却炉に
   おいて、 前記排ガス浄化用容器と前記通気性容器とは、排ガス浄
   化用容器内の塊粒状加熱媒体を通気性容器内へ移送する
   管路で接続されていることを特徴とするキルン式ガス化
   焼却炉。
8. 【請求項８】 請求項１から７のいずれかに記載のキル
   ン式ガス化焼却炉において、 前記塊粒状加熱媒体は、炭化物またはコークスであるこ
   とを特徴とするキルン式ガス化焼却炉。
9. 【請求項９】 請求項１から７のいずれかに記載のキル
   ン式ガス化焼却炉において、 前記塊粒状加熱媒体は、多孔質形状、中空円筒形状また
   はコイルスプリング形状であって、セラミックまたはセ
   ラミック系金属触媒であることを特徴とするキルン式ガ
   ス化焼却炉。