JPH11285216A - 車両用交流発電機 - Google Patents

車両用交流発電機

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JPH11285216A
JPH11285216A JP4489899A JP4489899A JPH11285216A JP H11285216 A JPH11285216 A JP H11285216A JP 4489899 A JP4489899 A JP 4489899A JP 4489899 A JP4489899 A JP 4489899A JP H11285216 A JPH11285216 A JP H11285216A
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梅田  敦司
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志賀  孜
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 改良された車両用交流発電機を提供する。 【解決手段】 車両用交流発電機の固定子は、固定子鉄
心に装備された複数の導体セグメントを有する。これら
導体セグメントは、スロット内において二対以上の層を
なして1列のみに配列されている。しかも導体セグメン
トの接合部は、多重の環状に配列されている。このた
め、接合部の間に隙間を確保でき、絶縁性の向上と、製
造工程における利点とを得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は乗り物の内燃機関に
より駆動される車両用交流発電機に関し、例えば乗用
車、トラック等に搭載される車両用交流発電機に関す
る。
【0002】
【従来の技術】車両走行抵抗の低減のためのスラントノ
ーズ化や、車室内居住空間の確保のニーズからエンジン
ルームが近年ますます狭小化する中で、車両用交流発電
機の搭載スペースに余裕がなくなってきている。 一方、
燃費向上のためエンジン回転は下げられ車両用交流発電
機の回転も下がっている。しかしその一方で、安全制御
機器等の電気負荷の増加が求められ、ますます発電能力
の向上が求められている。即ち小型で高出力の車両用交
流発電機を安価に提供することが求められている。
【0003】また車外騒音低減の社会的要請や、車室内
静粛性向上による商品性向上の狙いから近年ますますエ
ンジン騒音が低下してきており、比較的高速で回転する
補機、とりわけ車両用交流発電機のファン騒音や、磁気
的騒音が耳につきやすい状況となってきた。
【0004】従来、車両用交流発電機に一般的に用いら
れている固定子巻線は、連続線を固定子鉄心に装着する
構成が採用されており、かかる固定子巻線の構成の下
で、上記のような小型、高出力、低騒音といった要求に
応えるべく種々の改良が提案されている。
【0005】例えば、特開平7−303351号に開示
されるように、小型高出力化のため、巻線抵抗値低減の
観点から巻線を短くすることができ、かつ、巻線の各相
が径方向に干渉しないように巻く、2/3π短節巻技術
がある。しかし、巻線係数の悪化が大きく発電電圧が著
しく低下する問題、さらには巻線作業が困難になるとい
う問題がある。
【0006】また、巻線時に相互干渉するコイルエンド
を予整形したり、コイルエンドのみ細線とする等の技術
が提案されているが、巻線作業が困難で、巻線抵抗値が
増加する。さらに、かかる巻線技術では、コイルエンド
の干渉は根本解決されずスロット内においてコイルはス
ロット内で偏り、幾何学的に収納しうる断面の略1/2
以下しか収納できず低抵抗化が阻まれていた。また上記
スロット内の偏りに起因し、各相のコイル形状が異なる
ため巻線の抵抗値、インダクタンスが不均一になり各相
の電流の流れ方に偏りが生じ、局部的な温度上昇に伴う
性能劣化や磁気騒音が増大する問題もあった。
【0007】例えば、コイルエンドを成形して扁平形状
とし、通風を改善しようとするものとして、特開昭59
−159638号のものが知られている。しかし、かか
る構成では、コイルエンドにおける通風抵抗の高さから
十分な冷却性が得られず、騒音の低減も満足できなかっ
た。
【0008】さらに、小型高出力化のために、回転子と
固定子との間のエアギャップを小さくして磁束向上を図
る手法がある。しかし、磁束向上分だけ固定子鉄心断面
積を大きく取らなければならず、スロット面積の圧迫に
より巻線抵抗が増加し、結局出力向上効果がほとんどな
くなってしまう。すなわち、固定子を構成する鉄心と巻
線とのバランスが重要である。
【0009】かかる鉄心断面積と巻線との設計値の選択
を最適として一定の出力向上効果を得ることはできたと
しても、発熱源たるコイルエンドの冷却の問題が残る。
例えば、電気導体の表面の絶縁塗膜と固着材を通して冷
却するためにはファンを大型化すると共に近接させて風
をあてる必要がある。しかし、従来の巻線は相間の干渉
のためコイルエンドが凹凸になってしまい高次数のファ
ン騒音が増加する。前述のように騒音が耳につきやすい
現状では、これを解決するために例えばファン対向面の
コイルエンドの内面を複雑な巻線行程により理想的な平
滑面にしたり、ファン効率を犠牲にして風量を落として
低騒音化を図る必要があった。
【0010】また小型高出力を追求していくと、回転子
と固定子間に働く磁気力も増大し磁気騒音が増す問題が
ある。一般に車両用交流発電機では整流器をもってお
り、出力電圧を切って一定電圧のバッテリを充電するの
で、発生電圧が矩形状波となる。このため固定子と回転
子の間の空隙の空間高調波には多くの第三高調波成分を
含むことが知られており、その二乗周波数成分をもった
磁気力が固定子と回転子の間に働き、磁気脈動力をもた
らす事が知られている。この磁気騒音の対策として、例
えば特開平4−26345に見られるように、電気的位
相差30°の位置だけずれた2組の3相巻線を採用し、
これらの出力を組み合わせて出力することで磁気脈動力
を相互に相殺する技術も知られているが、これらは従来
の巻線形状に起因する前述コイルエンドの干渉に加え
て、2倍の数のスロットが必要となるために、それぞれ
に細い巻線を注意を払って巻き込まなければならず、よ
り困難な問題をもたらすものである。すなわち、小型高
出力化を図ることで新たに顕在化する問題点もあった。
【0011】このように、従来から車両用交流発電機に
おいて広く用いられている連続線を巻いた固定子巻線で
は、小型高出力低騒音といった互いに相反する要求に応
えることが困難であった。
【0012】一方、一般の大型の誘導機型などの発電機
では、例えば固定子スロット内導体を2本とし、径方向
に2層化し、その内外層の導体を交互に接続することで
異なる相のコイルエンドの干渉を無くしているものがあ
る。
【0013】しかし、このようなものは車両用発電機に
はそのまま使えないという問題点があった。すなわち、
車両用交流発電機は、エンジンが最も低速のアイドル回
転、すなわち発電機回転数で約1500rpm近辺で車
両電気負荷に電力を供給しなければならない。このため
には前記回転数、即ち約1500rpm以下でバッテリ
電圧とダイオードドロップ分を加えた電圧である約15
Vを発生しなければならない。しかし、一般の乗用車、
トラック用などの1〜2kwクラスの車両用交流発電機
においては、主としてその体格から決まるところの磁束
量の制約に起因して、上述の一般大型発電機に見られる
ような構造では、上記低回転時の出力を得ることができ
ない。特に、上述の一般大型発電機に見られる2本程度
の少ない導体数では低回転時の出力を得ることが困難で
あった。更に、近年の燃費向上の為にアイドル回転数は
低減される傾向であり、上述の一般大型発電機の構造で
はますます対応できない状況となっている。
【0014】また、低回転での出力向上のためのひとつ
の手段として、多極化により高周波で作動させることが
考えられるが、上述の一般大型発電機の構造では、固定
子鉄心と略同一軸長のセーレント型回転子が用いられて
おり、かかるセーレント型回転子では磁極数を増すと回
転子内の巻線スペ−スが減少するため各磁極の起磁力が
低下するので、出力向上が難しい。すなわち、上述の車
両用交流発電機に要求される性能を満たすことが困難で
あった。
【0015】さらに、セーレント型回転子では、回転子
内部に隙間を設けることが困難なため、固定子の内周面
に向けての冷却風の導入や回転子内に設けられた界磁コ
イルへの冷却風の導入ができないという冷却上の問題が
あった。
【0016】さらに、導体バーなどと呼ばれるU字型の
電気導体を用いて車両用交流発電機の固定子巻線を構成
するものとして、特開昭62−272836号、特開昭
63−274335号、特開昭64−5340号が提案
されている。しかし、かかる構成では、固定子鉄心が周
方向に沿って積層されて円筒形に形成されるため、磁束
通過方向に関して磁気的な抵抗が増加し、所要の性能を
実現できない。また、実用的な強度の確保など解決すべ
き多くの課題を抱えている。
【0017】また、WO92/06527にも車両用交
流発電機の固定子に導体バーを用いた構成が提案されて
いる。ここに示された構成によれば、1つのスロット内
に4本の電気導体がスクエアに配置されている。
【0018】かかる構成では、高出力化のために電気抵
抗値を下げるべく電気導体断面積を増やすと、コイルエ
ンドの間に隙間を設けることができない。さらに、周方
向に並ぶ1つのスロット内の2本の電気導体のコイルエ
ンドの先端において、他のスロットからの電気導体との
各々の接合部の間に隙間を形成することも難しく、接合
部どうしが短絡しやすいという問題も生ずる。
【0019】また、車両用交流発電機の冷却のために
は、古くは冷却ファンをフレ−ム外部に持ち軸方向に冷
却風を流す通風構造が採用されており、近年はフレ−ム
内部に冷却ファンを持ち、冷却風を直接コイルエンドに
当てる構成が主流となっている。このような冷却構造の
下では、上記のような従来技術の電気導体の構造では、
高出力化のために電気導体の断面積を大きくすると高い
冷却性を得ることができないという問題点があった。
【0020】すなわち、WO92/06527に示され
た構成では、電気導体の断面積が制約されるため、高出
力のための固定子の高占積率化が困難である。
【0021】一方、隙間を形成するために1つのスロッ
ト内の電気導体を2本にする構成も考えられるが、かく
のごとき少ない導体数では、アイドル回転すなわち低回
転での出力を得ることが不可能であり、車両用交流発電
機としては使うことができない。
【0022】さらに、USP2928963には、固定
子に導体バーを用い、ランデル型の界磁回転子を持った
交流発電機が提案されている。しかし、この従来技術に
おいても高出力と高い冷却性とを実現するための固定子
巻線の構成は開示されていない。しかも、この従来技術
に開示される構成は、軸方向の通風構造、あるいは冷却
ファンを持たない構成であり、小型・高出力化のための
冷却性向上に関する改良は、講じられていない。さら
に、ここに開示された構成では、スロットあたりの導体
数は2本であり、前述と同様に低回転での出力を得るこ
とが困難である。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のごと
き従来技術の問題点に鑑み、今日の車両用交流発電機に
要求される性能を満足しうる高い実用性を備えた改良さ
れた車両用交流発電機を提供することを目的とする。
【0024】本発明の他の目的は、小型、高出力、低騒
音を兼ね備えた車両用交流発電機を提供することであ
る。
【0025】本発明のさらに他の目的は、車両用交流発
電機に要求される低速回転からの出力を確保できる回転
子と固定子巻線の構造、および固定子巻線のコイルエン
ドにおける新規な冷却のための構成を提供することによ
り、車両用交流発電機に要求される高出力を確保でき、
しかも発熱による効率低下、出力低下を抑えた車両用交
流発電機を提供することである。
【0026】本発明のさらに他の目的は、固定子巻線の
スロット内における占積率を向上させ、その一方でスロ
ットの外においては、回転子との共働により高い冷却性
と低騒音とを発揮しうる車両用交流発電機を提供するこ
とである。
【0027】本発明のさらに他の目的は、局部的な固定
子巻線の温度上昇を抑え、さらには磁気騒音の発生をも
抑制した車両用交流発電機を提供することである。
【0028】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、回転周方向に沿って交互にNS極を形成する界磁回
転子と、該回転子と対向配置された固定子鉄心、及びこ
の固定子鉄心に装備された多相固定子巻線を備える固定
子と、前記回転子と前記固定子とを支持するフレームと
を有する車両用交流発電機において、前記固定子鉄心に
は、前記多相固定子巻線を収容する複数のスロットが形
成されており、前記多相固定子巻線は、複数の導体セグ
メントを接合して構成されており、これら複数の導体セ
グメントは、前記スロット内においては、前記スロット
の深さ方向に関して二対以上の対をなして前記スロット
の深さ方向にのみ配列され、前記スロット内に互いに絶
縁して収納されており、前記スロット外においては、前
記固定子鉄心の端面側に延び出して配置されてコイルエ
ンドをなしており、複数の前記導体セグメントは、互い
に接合されて複数の接合部を形成しており、複数の前記
接合部は、多重の環状に配列されており、周方向並びに
径方向に関して互いに離間して配置されていることを特
徴とする車両用交流発電機という技術的手段を採用す
る。
【0029】かかる構成によると、コイルエンドの干渉
を抑制しつつ、スロットあたりの導体数を4本以上に設
定できる。接合部は、複数の電気導体の配置、すなわち
スロットの配置に対応して、周方向に沿って環状に配列
される。しかも、スロット内には、複数の導体セグメン
トを径方向にのみ配列して収容しているため、接合部の
環状の配列を、同心状の多重に配置することができる。
このため、複数の接合部を、周方向ならびに径方向へも
離間させて配置することができ、複数の接合部の間に確
実に隙間を形成できる。また、接合部間の短絡を容易に
回避できる結果、接合工程における利点が提供される。
【0030】請求項1記載の車両用交流発電機におい
て、複数の前記接合部は、2重の環状に配列されている
ことを特徴とする車両用交流発電機という技術的手段を
採用することができる。
【0031】図13では、複数の接合部は、2重の環状
に配列されている。
【0032】請求項1記載の車両用交流発電機におい
て、前記固定子は、含浸樹脂を備えることを特徴とする
車両用交流発電機という技術的手段を採用することがで
きる。
【0033】
【実施の形態】上記目的を達成するために、回転周方向
に沿って交互にNS極を形成する界磁回転子と、該回転
子と対向配置された固定子鉄心、及びこの固定子鉄心に
装備された多相固定子巻線を備える固定子と、前記回転
子と固定子とを支持するフレームとを有する車両用交流
発電機において、前記界磁回転子は、前記N極および前
記S極を提供する複数の爪状磁極を有するランデル型鉄
心を備え、前記固定子鉄心は、積層板を貫いて延びる複
数のスロットが形成された積層鉄心を備え、前記多相固
定子巻線は、複数の電気導体を備え、これら複数の電気
導体は、前記スロット内においては、前記スロットの深
さ方向に関して内層および外層として一対以上の対をな
して配列され、前記スロット内に互いに絶縁して収納さ
れており、前記スロット外においては、前記固定子鉄心
の端面側に延び出して配置されており、異なるスロット
内に異なる層として配置された2つの前記電気導体を直
列接続する接続パターンによってコイルエンドを形成し
ており、その結果前記固定子鉄心の端面側には前記接続
パターンを主として繰り返すコイルエンド群が形成され
ており、さらに、前記コイルエンドにおける複数の前記
電気導体は、前記フレーム内における冷却風の通風方向
と交差して延びるよう配置され、前記コイルエンドにお
ける複数の前記電気導体を横切って冷却風が流れる構成
が提供され、一のスロット内に収容された異なる層をな
す複数の電気導体が、同一の相の巻線を構成し、前記一
のスロット内に収容された前記電気導体を含んで形成さ
れる第1巻線の出力と、前記一のスロットに近い他のス
ロット内に収容された他の電気導体を含んで形成される
第2巻線の出力とを合成して出力することを特徴とする
という技術的手段が採用される。
【0034】このように、異なるスロット内に異なる層
として配置された2つの前記電気導体を直列接続する接
続パターンを採用することで、一のスロット内の所定の
層をなす電気導体と、他のスロット内の上記所定層とは
異なる層をなす電気導体とが直列接続される。これによ
り、各相のコイルエンドの干渉を抑止でき、固定子巻線
の高占積化を図ることができるので、出力を向上する効
果がある。また、コイルエンド内を冷却風が横切るの
で、従来の固定子巻線のコイルエンドに対して格段に有
効表面積が増し、この部分の電気導体の冷却を飛躍的に
向上させることができ、高出力化が可能となる。また、
電気導体のスロット内の位置に起因する各相の固定子巻
線の導体長さ、漏れインダクタンスは均一化されるの
で、固定子巻線に流れる電流が均一化され、各相の発熱
量も同じとなる。よって、局部的な固定子巻線の発熱や
起磁力アンバランスを防止でき、温度低減、低騒音化を
図ることができる。更に、コイルエンドに凹凸が無く、
一様な繰り返し紋様が形成されること、及びコイルエン
ド内を冷却風が横切るので、冷却風との間で生ずる騒音
も低減できる。また、ランデル型回転子との組合せであ
るので、鉄心(以下ポールコアと称す)の成形形状を変
えるのみで極数の変更、多極化が容易である。また、爪
状磁極の耐遠心剛性もあり、加えて界磁コイルをポール
コア内央部のボス部に確実に装着できるから回転子の耐
遠心性が確保でき、エンジン回転数の2〜3倍の回転比
で運転できることになる。
【0035】即ち、一般誘導機等と異なり、高周波で作
動できるため、スロットあたりの電気導体数が少なくて
も、車両アイドル回転数に対応する1500rpmより
も低い回転数、例えば1000rpmなどの低速から発
電を開始できる。
【0036】また、ランデル型回転子との組合せである
ので、磁極間に空間を設けることでき、界磁コイルの冷
却上の利点を得ることができる。さらに、磁極自身が回
転により冷却風を送風する構成とすることもできる。か
かる構成は、軸方向への送風、あるいは径方向への送風
に利用できる。よって、一般誘導機等に使われている、
磁極間に空間の無い、中実円柱形状であるセ−レント型
回転子に比べて、効率的に固定子内周面、固定子巻線、
界磁コイルなどを冷却できる。なお、ランデル型回転子
の磁極間は非磁性材料で埋められてもよい。
【0037】また、一のスロット内に収容された異なる
層をなす複数の電気導体が、同一の出力相の固定子巻線
を構成し、前記一のスロット内に収容された前記電気導
体を含んで形成される第1巻線の出力と、前記一のスロ
ットに近い他のスロット内に収容された他の電気導体を
含んで形成される第2巻線の出力とが合成して出力され
る。なお、同一の出力相の巻線とは電気的な位相が等し
い起電力が表れる巻線をいう。このように、同一スロッ
ト内に配置されて同相起電力が誘起される電気導体を直
列接続することで、高い出力を確保できる。さらに、一
のスロット内に収容された前記電気導体を含んで形成さ
れる第1巻線の出力と、前記一のスロットに近い他のス
ロット内に収容された他の電気導体を含んで形成される
第2巻線の出力との合成値としての出力であるから、第
1巻線と第2巻線の各々の出力が比較的小さい場合で
も、高い出力を確保できる。例えば、第1巻線と第2巻
線とを直接に直列あるいは並列に接続してそれらの出力
を合成する構成や、第1巻線と第2巻線との出力を別々
に整流した後に、直列あるいは並列に接続してそれらの
出力を合成する構成をとることができる。
【0038】なお、固定子および前記回転子は、前記回
転子を駆動するエンジンの回転数がアイドリング回転数
の領域内にあるときに、前記巻線端に15(V)以上の
電圧を出力するように設定されていることが望ましい。
【0039】これによれば、市街地での走行で最も発生
頻度の高いアイドリング回転の時にも必要最低限の車両
の電気負荷に電力を供給できる。よって、アイドリング
回転の時に供給可能電力以上の要求のある場合バッテリ
からも電力が供給されるが、これをできるだけ少なく抑
え、車両が走行している時には発電機の出力が増えてバ
ッテリを充電して元通りの状態に早期に復帰させること
ができる。また、アイドリング回転数を下げた場合でも
上記の発電性能を持つので、燃費向上が可能となる。
【0040】なお、一のスロット内に収容された電気導
体と、前記一のスロットに近い他のスロット内に収容さ
れた他の電気導体とが、同一の出力相の固定子巻線の一
部として直列に配置されているという構成を採用しても
よい。
【0041】かかる構成では、ひとつの交流出力が、位
相が異なる2つの交流出力の合成値として出力される。
このため、一のスロット内に収容される電気導体で得ら
れる出力が比較的小さい場合でも、合成値としての出力
により高い出力を確保できる。特に、スロット内に層状
に電気導体を配列して収容した構成にあっては、スロッ
ト内への電気導体の収容数が制限され、同一相の出力値
が制限されるが、上記の直列構成によりかかる不具合を
補って所要の出力を得ることができる。従って、スロッ
ト内における占積率の向上効果と、コイルエンドにおけ
る冷却性の向上効果とを、出力の低下を補いながら実現
することができる。
【0042】なお、かかる巻線構造は、前記回転子のN
S磁極ピッチに対応して離間した複数のスロットからな
る第1のスロット群と、前記第1のスロット群に隣接し
て配置された第2のスロット群とを有し、前記第1のス
ロット群に収容された前記電気導体を直列接続して前記
第1の巻線を構成し、前記第2のスロット群に収容され
た前記電気導体を直列接続して前記第2の巻線を構成し
て実現することができる。
【0043】また、前記スロットは電気角で略30°の
間隔で配列され、それら複数のスロットに収納された電
気導体のうち、互に磁極ピッチだけ離間した関係にある
第1のスロット群の各スロットに収納された電気導体同
士が互いに直列に電気接続されて第1の直列導体群をな
すとともに、前記第1スロット群に対し隣接関係にある
第2スロット群の各スロットに収納された電気導体同士
が互いに直列に電気接続されて第2の直列導体群をな
し、さらにこれら第1の直列導体群と第2の直列導体群
とが直列となって巻線をなし、その巻線端が整流器に接
続されるという構成を採用してもよい。
【0044】これによれば、電気角略30°の間隔で設
けられた複数のスロットに収納された導体のうち、互に
磁極ピッチだけ離間した関係にあるスロットに収納され
た導体同士が互いに直列に電気接続されて第1の直列導
体群をなすから、全ての電気導体が揃って同一位相の起
電圧を発生しそれらが算術加算されるので電気導体の長
さ当たりの発電力は最高となる。さらに、第1の直列導
体群の起電圧位相に対し位相が最も近い隣接スロットに
収納された導体も第2の直列導体群をなして同様に高い
発電力が得られる。そして、第1の直列導体群と第2の
直列導体群とが直列とされて、一相をなすから、これら
がベクトル加算され、トータルとして長さ当たりの起電
圧は最高となる。しかも、前述の様にスロット間隔が電
気角略30°であるから第1の導体群と隣接関係にある
第2の導体群とは電気角略30°であり、磁気騒音の原
因である磁気脈動力が低減する。よって磁気騒音が低減
する効果がある。なお、電気角略30°とは、29°か
ら31°の範囲であり、この範囲内であれば前記磁気脈
動力の低減に充分な効果がある。
【0045】また、一のスロット内に収容された電気導
体を含んで形成される第1巻線と、前記一のスロットに
近い他のスロット内に収容された他の電気導体を含んで
形成される第2巻線と、前記第1巻線の交流出力を整流
して出力する第1整流器と、前記第2巻線の交流出力を
整流して出力する第2整流器とを備え、前記第1整流器
の整流出力と前記第2整流器の整流出力とが合成して出
力されるという構成を採用してもよい。
【0046】かかる構成によっても、第1巻線のみある
いは第2巻線のみでの出力の低さを補うことができる。
【0047】なお、かかる巻線構造は、前記回転子のN
S磁極ピッチに対応して離間した複数のスロットからな
る第1のスロット群と、前記第1のスロット群に隣接し
て配置された第2のスロット群とを有し、前記第1のス
ロット群に収容された前記電気導体を直列接続して前記
第1の巻線を構成し、前記第2のスロット群に収容され
た前記電気導体を直列接続して前記第2の巻線を構成す
ることにより実現することができる。
【0048】また、2組の整流器を備え、前記スロット
は電気角で略30°の間隔で配列され、それら複数のス
ロットに収納された電気導体のうち、互に磁極ピッチだ
け離間した関係にある第1のスロット群の各スロットに
収納された電気導体同士が互いに直列に電気接続されて
第1の直列導体群をなすとともに、前記第1スロット群
に対し隣接関係にある第2スロット群の各スロットに収
納された電気導体同士が互いに直列に電気接続されて第
2の直列導体群をなし、さらにこれら第1の直列導体群
と第2の直列導体群とが独立して巻線をなし、それぞれ
の巻線の出力がそれぞれの前記整流器に接続されるとい
う構成を採用してもよい。
【0049】かかる構成によっても、第1直列導体群
と、第2直列導体群とが構成される。そして、この構成
においては、各導体群の出力がそれぞれに独立して整流
され、必要に応じて合成される。従って、高出力、低磁
気騒音といった効果を得ることができる。
【0050】また、前記ランデル型鉄心の爪状磁極の外
径をL1とし、回転軸方向の長さをL2として、これら
の比率を、L1/L2≧1.5とすることが望ましい。
【0051】かかる構成は、セ−レント型回転子が界磁
コイルなどの耐遠心性の問題からL1が制限され、高出
力化のための磁気抵抗低減手段としてL2を大きくし、
比率L1/L2が比較的小さく設定されるのに対し、ラ
ンデル型回転子では前記セ−レント型回転子に対し耐遠
心性が勝り、比率L1/L2は1.5以上に設定される
ことによる。また、この場合、回転に伴う軸方向外部か
らの冷却風取り込みの面積が拡大し、冷却風量を増加さ
せることができ、冷却性能を向上できるという効果もあ
る。
【0052】また、ひとつの前記スロット内に収容され
る複数の前記電気導体は、前記スロットの深さ方向にの
み配列されている構成を採用することが望ましい。
【0053】かかる構成によると、スロットの外におい
て、電気導体のすべてを固定子の径方向に関して離間さ
せることができるので、コイルエンド群内において複数
のコイルエンドが互いに密着することを防止でき、コイ
ルエンド群内への通風を容易にして冷却性を高め、冷却
風とコイルエンドとの干渉による騒音の低減を図ること
ができる。
【0054】また、前記スロット内において電気的に絶
縁されたすべての電気導体は、前記固定子鉄心の端部に
形成されたコイルエンドにおいて空間的に離間して配置
されていることが望ましい。
【0055】かかる構成によると、すべての電気導体
は、コイルエンドにおいて良好に冷却され、電気導体の
間での冷却性のばらつきがなく、均等な冷却を得ること
ができる。
【0056】また、前記電気導体は、前記スロット内に
おける断面形状が前記スロット形状に沿った略矩形状で
あるという構成を採用することが望ましい。
【0057】かかる構成によると、スロット内における
電気導体の占積率を高めることが容易になる。また、ス
ロット形状に沿った略矩形状であるため、電気導体から
固定子鉄心への伝熱を向上できる効果もある。なお、略
矩形状としては、スロット内の形状に沿った断面形状で
あることが重要であり、正方形、長方形といった形状の
他、4辺の平面と丸い角とで構成された形状、長方形の
短辺を円形とした長円形などを用いることができる。な
お、正方形、長方形を用いることで、スロット内におけ
る占積率を向上することができる。また、断面積の小さ
い電気導体にあっては、長円形を用いてもよい。かかる
断面形状の電気導体は、円形断面の電気導体を、プレス
して形成することができる。
【0058】また、複数の前記電気導体は、裸の金属部
材よりなり、前記スロット内において複数の前記電気導
体の相互間と、前記複数の電気導体と前記スロットの内
壁面との間とに介装されて電気的な絶縁を提供する電気
絶縁部材を備え、複数の前記電気導体は、前記スロット
外においては、互いに空間的に離間して配置されている
という構成を採用してもよい。
【0059】これによれば、電気導体の絶縁皮膜を廃止
でき、素材費を大幅に低減できる。更に絶縁皮膜の破損
に配慮することなく、電気導体をプレス加工できるなど
生産工程が大幅に簡略化でき、低コスト化を図ることが
できる。また、従来耐熱温度が最も低かった絶縁皮膜の
廃止により、固定子巻線の耐熱温度を上げることができ
るので、発熱に対する信頼性が向上する効果もある。ま
た、前記固定子鉄心と該スロットに収納された導体とか
らなる固定子の軸方向全長が、前記ランデル型回転子の
軸方向全長と同等以下である構成を採用してもよい。
【0060】かかる構成によると、回転子に対して軸方
向に短い固定子が配置されるため、これらの配置を卵形
にすることができる。このため、フレームを含めて卵形
の発電機外殻を提供でき、搭載スペ−スの狭小化に対応
できると共に、機械的強度の向上による磁気騒音の低減
を図ることができる。
【0061】また、前記スロットの両側に位置する鉄心
歯先部の少なくとも一部を塑性変形させて、前記スロッ
トの内周側の開口の巾を前記スロット内の内壁間距離よ
り狭く形成してなるという構成を採用してもよい。
【0062】かかる構成によると、鉄心歯先部の塑性変
形の時にスロット内の電気導体を更に径方向内周側から
スロット奥に押し込むので、より高占積率化を達成でき
る。更に、固定子鉄心の歯部が十分固定できるため、鉄
心の剛性が上がりステータ鉄心の振動を抑制することが
できるので、磁気騒音を低減できる。また入口部を内壁
間距離より狭くすることによりウエッジ等係止部材を廃
止できるので、コスト低減が可能である。更に歯先部を
塑性加工させることにより加工硬化するため、剛性の高
い電気導体を使っても径方向内側に飛び出すことがな
い。なお、かかる構成は、スロット内の断面形状にかか
わりなく採用することができる。ただし、スロットの断
面形状を、深さ方向に関して巾が一定な平行スロットと
することが望ましい。これにより、内層導体と外層導体
との形状を同じにしてもスロット内の隙間が不均一にあ
くことなく、高占積率化が可能である。
【0063】また、前記電気導体のスロット外に位置す
る部分の少なくとも一部が略扁平形状である構成を採用
してもよい。
【0064】かかる構成によると、コイルエンド部にお
ける電気導体からの放熱面積を大きくすることができ
る。さらに、複数のコイルエンドのそれぞれに扁平形状
を採用し、それらを径方向と平行に配置することで、コ
イルエンド間の隙間を確保でき、さらには径方向への通
風抵抗を低減できる。なお、電気導体は部分的に扁平形
状に成形する他、スロット外においてはその全体を扁平
形状としてもよい。さらには、スロット内も含めて全体
を扁平な断面形状をもって形成してもよい。なお、扁平
形状としては、長方形断面、長楕円断面などを採用する
ことができる。
【0065】また、前記界磁回転子の磁極間には磁石を
介在し、界磁磁束に磁石磁束を加え前記固定子に向かわ
せる構成を採用してもよい。
【0066】かかる構成によると、ランデル型界磁回転
子の性能向上による高出力、高効率といった効果を得る
ことができる。しかもかかる効果を、固定子側における
損失によって失うことなく、固定子巻線の改良による放
熱性向上の効果によって十分に引き出すことができる。
【0067】また、前記コイルエンドにおける複数の前
記電気導体は、それらの表面の殆ど全体が前記冷却風に
さらされている構成を採用することが望ましい。
【0068】かかる構成によると、高い冷却性を、すべ
ての電気導体に対して均等に発揮させることができる。
【0069】なお、かかる構成は、電気導体をスロット
内において径方向にのみ配列した構成、あるいは電気導
体を裸線としてそれらを空間的に離間させて絶縁した構
成、あるいはスロット外においても矩形の電気導体を採
用した構成との組合せの下で、比較的簡単に実現できる
という製造上の利点と、より高い冷却性を実現できると
いう利点とを発揮する。
【0070】また、前記コイルエンド群が、前記固定子
鉄心の両端にそれぞれ形成されており、前記フレーム内
にはそれぞれの前記コイルエンド群に対応して2つの冷
却風の通風経路が形成されているという構成を採用する
ことが望ましい。
【0071】かかる構成によると、2つのコイルエンド
群がそれぞれの通風経路によって確実に冷却される。し
かも、その冷却は、コイルエンド群内の電気導体が、そ
こを横切る冷却風によって冷却されるため、熱に起因す
る損失上、効率上の問題点を低減し、さらには騒音上の
問題点を低減する。また、前記フレーム内における冷却
風を生じさせる送風手段を備えることが望ましい。
【0072】かかる構成によると、フレーム内に確実に
冷却風の流れを作り出すことができ、コイルエンドを確
実に冷却することができる。なお、送風手段としては、
専用の冷却ファンを設ける他、ランデル型界磁回転子の
形状を利用するなどの構成を採用することができる。
【0073】さらに、送風手段を採用する構成において
は、前記コイルエンドに対応して、前記フレームには前
記電気導体を横切って流れる冷却風の通風孔が形成され
ているという構成を採用することが望ましい。
【0074】かかる構成によると、電気導体を横切って
流れる冷却風を効率よく流すことができる。なお、かか
る構成は、固定子鉄心の両側にそれぞれコイルエンド群
を構成する場合には、それぞれのコイルエンド群に対応
して通風孔が設けられることが望ましい。
【0075】さらに、前記送風手段は、前記界磁回転子
の軸方向端部に設けられており、前記界磁回転子の回転
により遠心方向外側に向けて送風し、前記コイルエンド
における前記複数の電気導体を横切って流れる冷却風を
生じさせる送風手段を備える構成を採用することが望ま
しい。
【0076】かかる構成によると、固定子のコイルエン
ド群の内側に近接して送風手段が配置され、しかも、遠
心方向外側へ向かう冷却風はコイルエンド群内を横切っ
て流れた後フレームに形成された通気口から排出される
ため、コイルエンド群へ強力かつ大量の冷却風を提供す
ることができる。しかも、コイルエンド群内においては
電気導体の形状が改良されているため、低騒音で高い冷
却性、放熱性が得られる。なお、ここにいう「遠心方向
外側に向けて送風」は、遠心方向成分のみによる送風の
他、いくらかの軸方向成分を含んだ送風であってもよ
い。かかる送風方向の設定は、界磁回転子の冷却などの
要求に応じて適宜選択することができる。
【0077】また、前記送風手段は、前記界磁回転子の
軸方向の両端部に設けられているという構成を採用する
ことが望ましい。
【0078】かかる構成によると、界磁回転子の軸方向
の両側において冷却風を得ることができる。なお、固定
子の両側にコイルエンド群を形成した構成と併用するこ
とで、2つのコイルエンド群のそれぞれを、対応する送
風手段で冷却することができる。
【0079】また、前記送風手段は、複数のブレードを
有する送風ファンを備えるという構成を採用することが
できる。
【0080】かかる構成によると、冷却風を確実に得る
ことができる。
【0081】また、前記送風手段は、前記複数の爪状磁
極に対応して形成された前記ランデル型鉄心の形状によ
り提供されるという構成を採用してもよい。
【0082】かかる構成によると、ランデル型鉄心が本
来的に有する複数の爪状磁極に対応した形状によって冷
却風を得ることができる。なお、かかる構成では、ラン
デル型鉄心のみで送風する構成を採用した場合には、専
用の送風ファンを不要とでき、部品点数、加工工数を低
減できる。また、送風ファンと併用して共同して送風す
る構成を採用した場合には、送風風量を増加することが
できる。
【0083】なお、前記ランデル型鉄心の軸方向端部
と、前記フレームの内壁面とを近接して対向させて配置
してなる構成を採用することができる。
【0084】かかる構成によると、フレームの内壁面を
シュラウドとして機能させて、ランデル型鉄心の軸方向
端部の形状を利用して送風することができる。なお、シ
ュラウドとしてのフレームの内壁面とは、フレームとし
ての金属製部材の内壁面の他、フレームに装備された部
品であってもよい。
【0085】また、前記フレームには、前記界磁回転子
を駆動するプーリの装着端に面して前記送風手段のため
の吸気口が形成され、前記吸気口の最外径は、そこに装
着されるべきプーリの最外径より小さいという構成を採
用することができる。
【0086】かかる大直径のプーリを採用する場合でも
実用的な車両用交流発電機を提供できる。すなわち、小
型高出力化を図る場合、トルク増加によりベルト寿命が
低下する問題があるため、プーリ径を大型化してベルト
に加わるストレスを低減する必要がある。ところが、か
かる構成では、プーリがフレ−ムの吸入孔をふさいでし
まい、通風抵抗が増すため冷却風量が減少する。しか
し、本案では固定子の改良により冷却性を向上している
ため、冷却風量が減少してもコイルエンドを冷却でき、
ベルト寿命を確保しつつ、小型高出力化を達成できる。
【0087】また、前記コイルエンドは、第1スロット
内に所定の層として配置された第1電気導体と、前記第
1スロットから、前記界磁回転子のNS極の磁極ピッチ
に対応して離間する第2スロット内に前記第1電気導体
とは異なる層として配置された第2電気導体とを直列接
続する接続パターンによって形成されているという構成
を採用することが望ましい。
【0088】これによれば、固定子鉄心の各軸方向側面
のコイルエンドの並びが同一方向となり、異なる相のコ
イルエンドの干渉を回避することができる。よって、導
体はスロット奥まで挿入することができ、占積率を向上
することにより出力向上が可能となる。また、コイルエ
ンドに凹凸が無く、一様な繰り返し紋様を形成している
ので、冷却風との間で生ずる騒音も低減できる。
【0089】また、前記コイルエンドは、前記第1スロ
ットから延び出す前記第1電気導体の端部と、前記第2
スロットから延び出す前記第2電気導体の端部とを接合
して構成されており、前記第1電気導体と前記第2電気
導体とは、別体の導体製のセグメントにより提供されて
おり、一方の電気導体の端部が、前記磁極ピッチの半分
の距離を少なくとも周回する角度と長さとを持っている
という構成を採用することができる。
【0090】これによれば、セグメントをスロット内か
ら延び出して配置し、他のセグメントと接合することで
コイルエンドが形成される。かかる接合により形成され
たコイルエンドが、そこを横切って流れる冷却風によっ
て冷却される。このような接合を伴う構成を採用するこ
とにより、セグメントを採用できる。なお、接合とは、
超音波溶接、ア−ク溶接、ろう付けなどによる電気的接
続をいう。
【0091】また、前記セグメントは、2本の前記電気
導体を前記固定子鉄心の一方の端部でターン部により連
続的に接続してなるU字状のセグメントであり、前記第
1の電気導体の端部としての第1のU字状セグメントの
端部と、前記第2の電気導体の端部としての第2のU字
状セグメントの端部との接合を、前記接続パターンとし
て前記コイルエンドが形成されているという構成を採用
することが望ましい。
【0092】かかる構成によると、導体の部品点数及び
接合箇所が半減でき製造工程が容易となる。また、接合
部を固定子の軸方向片側にそろえることからも、生産工
程が容易となる効果がある。
【0093】また、前記セグメントは、スロットの両側
から突出する2つの端部をもったセグメントであり、前
記固定子鉄心の一方の端部において、前記第1電気導体
の端部としての第1セグメントの一方の端部と、前記第
2電気導体の端部としての第2セグメントの一方の端部
との接合を、前記接続パターンとして一方のコイルエン
ドが形成され、前記固定子鉄心の他方の端部において、
前記第1電気導体の端部としての第1セグメントの他方
の端部と、他の前記第2電気導体の端部としての第3セ
グメントの他方の端部との接合を、前記接続パターンと
して他方のコイルエンドが形成されているという構成を
採用してもよい。
【0094】これによれば、電気導体は一方向に延びる
単純形状にできるので、電気導体自体の製造工程が容易
となる。また、あらかじめ成形した電気導体を径方向内
周側からスロットへ押し込むことができるので、軸方向
から挿入する場合に比べコイルエンド部の加工が不要と
なり製造工程が容易になるとともに、さらに高占積率化
が可能となる。
【0095】また、前記電気導体の両方の端部の周回長
さの合計が、前記磁極ピッチに対応しているという構成
を採用することが望ましい。
【0096】これによれば、一定形状のセグメントを利
用して固定子上を周回する固定子巻線を形成することが
できる。従って、電気導体の形状を統合し、種類を低減
でき、電気導体を製造するためのプレス型などの製造設
備を安価にできる。また、接合部を固定子鉄心の両側面
に配置し、しかも同じ形状とすることで接続部の生産工
程が容易となる。
【0097】また、前記スロットの両側に位置する鉄心
歯先部の少なくとも一部を塑性変形させて、前記スロッ
トの内周側の開口の巾を前記スロット内の内壁間距離よ
り狭く形成してなる構成を採用することが望ましい。
【0098】これによれば、鉄心歯先部の塑性変形の時
にスロット内の電気導体を更に径方向内周側からスロッ
ト奥に押し込むので、より高占積率化を達成できる。更
に、固定子鉄心の歯部が十分固定できるため、鉄心の剛
性が上がりステータ鉄心の振動を抑制することができる
ので、磁気騒音を低減できる。また入口部を内壁間距離
より狭くすることによりウエッジ等係止部材を廃止でき
るので、コスト低減が可能である。更に歯先部を塑性加
工させることにより加工硬化するため、剛性の高い電気
導体を使っても径方向内側に飛び出すことがない。な
お、かかる構成は、スロット内の断面形状にかかわりな
く採用することができる。ただし、スロットの断面形状
を、深さ方向に関して巾が一定な平行スロットとするこ
とが望ましい。これにより、内層導体と外層導体との形
状を同じにしてもスロット内の隙間が不均一にあくこと
なく、高占積率化が可能である。
【0099】また、さらに整流器を備え、前記電気導体
の一部が前記整流器の整流素子の電極に直接接続されて
いる構成を採用してもよい。
【0100】これによれば、整流回路を構成するための
端子台等の接合部材が不要であり、簡単な構成の低コス
トで小型の整流器を提供できる。なお、電気導体をセグ
メントで構成する場合には、かかる整流素子との直接接
続のためのセグメントは、他のセグメントより長いな
ど、所定の接続パターンを繰り返して接合される他のセ
グメントとは異なる形状とすることが望ましい。
【0101】また、前記整流素子の電極に接続される前
記電気導体は、前記固定子と前記整流素子電極との間に
おいて変形しやすい部分を有するという構成を採用して
もよい。
【0102】これによれば、電気導体の変形で振動など
を吸収でき、整流素子の破損を防止する事ができ高信頼
性を実現できる。なお、変形しやすい部分としては、電
気導体の一部を細くした形状などを採用することができ
る。
【0103】また、さらに整流器を備え、整流器は、前
記U字状セグメントのターン部側に前記整流器を配置し
て前記固定子巻線の巻線端と接続したという構成を採用
してもよい。
【0104】かかる構成によると、巻線を形成するため
にU字状セグメントの端部を接合する時に、整流素子の
電極に接続される導体が邪魔にならず、同一パタ−ンの
繰り返し接合が可能となるので、製造工程が容易とな
り、コスト低減が可能となる。
【0105】また、さらに整流器を備え、整流器は、前
記U字状セグメントのターン部とは反対側に前記整流器
を配置して前記固定子巻線の巻線端と接続したという構
成を採用してもよい。かかる構成によると、U字状セグ
メントのタ−ン部形状を同一にできるため、セグメント
の製作工数を短縮でき、コスト低減が可能となる。
【0106】また、前記固定子は、相互に短絡して中性
点となす引き出し配線を有するという構成を採用するこ
とができる。
【0107】かかる構成によると、固定子上において中
性点接続を実現できる。なお、電気導体を延長して敷設
し、複数の電気導体を直接に接続して中性点接続を得る
ことが望ましい。特に、断面形状が矩形の電気導体を採
用した場合には、十分な強度が得られ、他のコイルエン
ドとの間にも空間を確保しながら敷設することができ
る。また、放熱面積を増加し、固定子コイルの冷却性を
向上することもできる。
【0108】また、以上に述べた構成において、前記内
層と外層の導体は一対とすることができる。かかる構成
によると、固定子への導体の組み付け工数が少なくでき
るとともに、コイルエンドの本数が少ないので隙間を容
易に確保できる。また、導体の部品点数及び電気接続箇
所が少ないので、製造工程を容易にできる。
【0109】また、前記内層と外層の導体は二対以上で
あってもよい。
【0110】かかる構成によると、コイルエンドの干渉
を抑制しつつ、スロットあたりの導体数を4本以上に設
定できるので、燃費向上や車両アイドル停止時の騒音低
減などのために車両のアイドル回転数が更に低下した場
合でも、発電機から出力することができる。
【0111】なお、内層電気導体と、外層電気導体とを
二対以上配置した場合にあっては、ひとつの前記スロッ
ト内に収容される複数の前記電気導体は、前記スロット
の深さ方向にのみ配列されており、複数の前記電気導体
は、前記コイルエンド群において互いに他の電気導体と
接合されて複数の接合部を形成しており、複数の前記接
合部は、多重の環状に配列されており、前記コイルエン
ド群内において周方向並びに径方向に関して互いに離間
して配置されているという構成が採用されることが望ま
しい。
【0112】かかる構成によると、接合部は、複数の電
気導体の配置、すなわちスロットの配置に対応して、周
方向に沿って環状に配列される。しかも、スロット内に
は、複数の電気導体を径方向にのみ配列して収容してい
るため、接合部の環状の配列を、同心状の多重に配置す
ることができる。このため、複数の接合部を、周方向な
らびに径方向へも離間させて配置することができ、複数
の接合部の間に確実に隙間を形成できる。また、接合部
間の短絡を容易に回避できる結果、接合工程における利
点が提供される。
【0113】上記目的は、回転周方向に交互にNS極を
形成する界磁回転子と、該回転子の外周に対向配置した
固定子と、前記回転子と固定子とを支持するフレーム
と、前記固定子より導いた交流電力を直流電力に整流す
る整流器とを有する車両用交流発電機において、前記固
定子は、複数のスロットを形成した積層固定子鉄心と、
該スロットに収納された複数の電気導体とを有し、前記
電気導体は複数のセグメントを含み、前記セグメント
は、それぞれが異なるスロット内に収容される2本の直
線部を有する略U字状セグメントであって、複数の前記
U字状セグメントのターン部は、コイルエンドとして前
記固定子鉄心の一方の端面側から軸方向に突出して配置
され、しかも互いに離間して配列されて第1コイルエン
ド群を形成し、一の前記スロット内に収容された異なる
層をなす複数の前記電気導体が同一の出力相の固定子巻
線を構成し、前記一のスロット内に収容された前記電気
導体を含んで形成される第1巻線の出力と、前記一のス
ロットに近い他のスロット内に収容された他の電気導体
を含んで形成される第2巻線の出力とが合成して出力さ
れ、複数の前記U字状セグメントの端部は、他方の端面
側から軸方向に突出して配置され、巻線のコイルエンド
を形成するように所定の接続パターンで接合され、しか
もこれらコイルエンドが互いに離間するように配列され
て第2コイルエンド群を形成し、前記界磁回転子は、前
記N極および前記S極を提供する複数の爪状磁極を有す
るランデル型鉄心を備え、さらに前記界磁回転子は、前
記界磁回転子の軸方向の両側において、前記第1コイル
エンド群を横切って径方向に空気が流れる通風路と、前
記第2コイルエンド群を横切って径方向に空気が流れる
通風路とを提供しているという構成によって達成され
る。
【0114】かかる構成によると、固定子の両端部に冷
却性に優れたコイルエンドが形成され、しかも界磁回転
子によって、それぞれのコイルエンド群に、それらを横
切って空気を流す通風路が提供されるため、小型、高出
力の車両用交流発電機を提供することができる。
【0115】なお、前記界磁回転子は、その軸方向の端
部に、前記コイルエンド群に向けて送風する送風手段を
備えることが望ましい。
【0116】これにより、コイルエンド群に向けて、強
力に大量の空気を送風することができる。
【0117】さらに、前記フレームには、前記第1コイ
ルエンド群の外周側と、前記第2コイルエンド群の外周
側との両方に前記通風路の出口としての通風口が開設さ
れていることが望ましい。
【0118】これにより、送風手段からコイルエンド群
を抜けてさらに通風口から排出される通風路が提供され
る。
【0119】なお、前記U字状セグメントは、断面形状
が長方形状の電気導体により構成されており、前記コイ
ルエンドにおいては、その断面の長手方向を径方向に配
列して配置されていることが望ましい。かかる構成を採
用することで、コイルエンド群の通風抵抗を低減でき、
低騒音化を図ることができる。なお、長方形状の断面形
状としては、長方形のほか、長方形の短辺を曲面とした
形状や、長楕円形などを用いることができる。
【0120】また、ひとつの前記スロット内には、内層
と外層とを一対とする複数対の前記直線部が、前記スロ
ットの深さ方向にのみ配列されて収容されており、前記
U字状セグメントの端部を接合してなる複数の接合部
は、前記第2コイルエンド群内において多重の環状に配
列されており、複数の接合部は周方向並びに径方向に関
して互いに離間して配置されているという構成を採用す
ることができる。
【0121】かかる構成によると、ひとつのスロット内
に複数対の電気導体を収容する場合で、接合部を第2の
コイルエンド群内において確実に離間して配置すること
ができ、製造工程における利点を提供することができ
る。
【0122】また、前記電気導体は、所定の相数をもっ
た多相の固定子巻線を形成しており、前記固定子鉄心に
は、前記界磁回転子の磁極ピッチに対応して離間した複
数のスロットを1相分とする、前記相数に対応した多相
分の第1スロット群が形成されるとともに、さらに前記
第1スロット群から所定の電気角度ずれた第2スロット
群が形成されており、前記第1スロット群に収容された
前記電気導体により構成される多相の固定子巻線の出力
と、前記第2スロット群に収容された前記電気導体によ
り構成される多相の固定子巻線の出力とを合成して出力
するという構成を採用してもよい。かかる構成による
と、スロット内に収容される電気導体の総数が制限さ
れ、同一相の出力値が制限される構成にあっても、所要
の出力を得ることができる。特に、セグメントを採用す
ることによりスロット内の占積率の向上効果と、コイル
エンド群における低騒音、高冷却性といった効果とを生
かしつつ、高出力を達成することができる。
【0123】なお、第1スロット群と第2スロット群と
は、互いに隣接するスロットを利用して構成することが
望ましい。また、第1スロット群と第2スロット群と
は、磁気音の低減のためには、3相発電機においては電
気角約30度ずれていることが望ましい。また、出力の
合成は、各群の近接する相の巻線を直列あるいは並列に
接続して、交流として合成する構成を採用できる。ま
た、出力の合成は、各群毎に直流に整流した後に、直流
として合成する構成を採用できる。
【0124】さらに、上記の目的は、回転周方向に沿っ
て交互にNS極を形成する界磁回転子と、該回転子と対
向配置された固定子鉄心、及びこの固定子鉄心に装備さ
れた多相固定子巻線を備える固定子と、前記回転子と固
定子とを支持するフレームとを有する車両用交流発電機
において、前記界磁回転子は、前記N極および前記S極
を提供する複数の爪状磁極を有するランデル型鉄心を備
え、前記固定子鉄心は、積層板を貫いて延びる複数のス
ロットが形成された積層鉄心を備え、前記多相固定子巻
線は、複数の電気導体を備え、これら複数の電気導体
は、前記スロット内においては、前記スロットの深さ方
向に関して内層および外層として一対以上の対をなして
配列され、前記スロット内に互いに絶縁して収納されて
おり、前記スロット外においては、前記固定子鉄心の端
面側に延び出して配置されており、異なるスロット内に
異なる層として配置された2つの前記電気導体を直列接
続する接続パターンによってコイルエンドを形成してお
り、その結果前記固定子鉄心の端面側には前記接続パタ
ーンを主として繰り返すコイルエンド群が形成されてお
り、さらに、前記コイルエンドにおける複数の前記電気
導体は、前記フレーム内における冷却風の通風方向と交
差して延びるよう配置され、前記コイルエンドにおける
複数の前記電気導体を横切って冷却風が流れる構成が提
供されるという構成を採用することで達成される。
【0125】すなわち、かかる構成を採用することで、
スロット内における電気導体の占積率を高めることがで
きる。しかも、コイルエンドにおける複数の電気導体を
横切って冷却風が流れるので、コイルエンドにおいて高
い放熱性が得られ、高出力化に伴う熱的な問題を回避す
ることができる。特に、フレーム内に形成される空気流
を利用して高出力化に伴う熱的な問題を回避することが
できる。このように、従来の車両用交流発電機にない構
成が採用されることで、ランデル型界磁回転子を用いた
実用的な構成の下で、高出力化に伴う熱的な問題を回避
することができるという利点が得られる。
【0126】なお、ひとつの前記スロット内には複数対
の前記電気導体が、前記スロットの深さ方向にのみ配列
されて収容されており、複数の前記電気導体は、前記コ
イルエンド群において互いに他の電気導体と接合されて
複数の接合部を形成しており、複数の前記接合部は、多
重の環状に配列されており、前記コイルエンド群内にお
いて周方向並びに径方向に関して互いに離間して配置さ
れているという構成を採用することで、ひとつのスロッ
ト内に4本以上の電気導体を収容しながら、コイルエン
ドにおける電気導体間の干渉を防止することができる。
特に、電気導体の接合部間の干渉を防止することができ
る。従って、コイルエンドにおける放熱性の向上効果を
損なうことなく、巻線としてのターン数を確保し、出力
の向上を図ることができる。
【0127】上記目的を達成するために、回転周方向に
沿って交互にNS極を形成する界磁回転子と、該回転子
と対向配置された固定子鉄心、及びこの固定子鉄心に装
備された多相固定子巻線を備える固定子と、前記回転子
と前記固定子とを支持するフレームとを有する車両用交
流発電機において、前記固定子鉄心には、前記多相固定
子巻線を収容する複数のスロットが形成されており、こ
れら複数のスロットは、前記界磁回転子の磁極ピッチに
対応して離間した複数のスロットを1相分のスロット群
として、多相分のスロット群よりなる第1スロット組
と、さらに前記第1スロット組から所定の電気角度ずれ
た第2スロット組とを含んでおり、前記多相固定子巻線
は、複数の電気導体を接合して構成されており、これら
複数の電気導体は、前記スロット内においては、前記ス
ロットの深さ方向に関して内層および外層として一対以
上の対をなして配列され、前記スロット内に互いに絶縁
して収納されており、前記スロット外においては、前記
固定子鉄心の端面側に延び出して配置されて、異なるス
ロット内の異なる層をなす2つの電気導体を直列接続す
る複数のコイルエンドをなしており、前記多相固定子巻
線は、前記第1スロット組に含まれる複数のスロット群
に収容された多相の巻線の出力と、前記第2スロット組
に含まれる複数のスロット群に収容された多相の巻線の
出力とを合成するように結線されており、さらに、前記
コイルエンドによって、すべての前記スロット群の巻線
毎に、実質的に等しい放熱に寄与する表面積が与えられ
ていることを特徴とする車両用交流発電機という技術的
手段を採用することができる。
【0128】かかる構成によると、2組の多相巻線が得
られ、それらの出力が合成されるので、発電機に求めら
れる仕様に応じた出力特性あるいは発電電力の品質を得
ることができる。しかも、2組もの多相巻線が一の固定
子鉄心に装着されるにもかかわらず、スロット内に内
層、外層として収容された電気導体がコイルエンドにお
いて接続されて巻線が形成されているため、ひとつのス
ロット群に形成された巻線が有する放熱のための表面積
と、他のスロット群に形成された巻線が有する放熱のた
めの表面積とが実質的に等しくされるので、巻線毎の放
熱性のばらつきを生じることがない。これにより、実質
的に2倍の相を有することによる優れた出力特性、発電
電力の優れた品質、さらには電気磁気的な騒音の低減と
いった効果を得ながら、それらの効果を減らすことのな
い優れた放熱性を実現することができる。
【0129】なお、2組の多相巻線を結線するにあたっ
ては、それぞれを多相巻線として星型結線あるいは環状
結線して、それぞれの出力を別々の整流器で整流した後
に直流出力として直列あるいは並列に接続してもよい。
また、2組の多相巻線の電気的な位相が近接する巻線を
直列あるいは並列に接続して、ひとつの多相巻線として
星型結線あるいは環状結線してもよい。
【0130】なお、2組の多相巻線は、電気角が30度
ずれた2組の3相巻線とすることができる。
【0131】なお、さらに、前記コイルエンドにおける
複数の前記電気導体は、前記フレーム内における冷却風
の通風方向と交差して延びるよう配置され、前記コイル
エンドにおける複数の前記電気導体を横切って冷却風が
流れる構成が提供されるという技術的手段を採用しても
よい。かかる構成によると、コイルエンドにおいてさら
に優れた放熱性、低騒音性を実現することができる。
【0132】また、ひとつの前記スロット内には複数対
の前記電気導体が、前記スロットの深さ方向にのみ配列
されて収容されており、複数の前記電気導体は、前記コ
イルエンド群において互いに他の電気導体と接合されて
複数の接合部を形成しており、複数の前記接合部は、多
重の環状に配列されており、前記コイルエンド群内にお
いて周方向並びに径方向に関して互いに離間して配置さ
れているという構成を採用してもよい。
【0133】次に、この発明を適用した車両用交流発電
機を図に示す実施例に基づいて説明する。
【0134】(第一実施例の構成)図1から図8はこの
発明の第一実施例を示したものである。図1は特に自動
車用に適合された車両用交流発電機の主要部を示した図
である。図2から図8は本実施例の固定子の説明図であ
る。
【0135】この車両用交流発電機1は、電機子として
働く固定子2、界磁として働く回転子3、回転子3と固
定子2とを支持するフレ−ム4、および固定子2に生じ
る交流電力を直流電力に変換する整流器5を有してい
る。この整流器5の出力は12Vのバッテリに接続され
ている。回転子3は、シャフト6と一体になって回転す
るもので、一対のランデル型ポールコア7、冷却ファン
11、界磁コイル8、スリップリング9、10、および
16個の永久磁石51によって構成されている。永久磁
石51は、図示せぬ磁石保持器によって連結されてい
る。
【0136】ポールコア爪間に介在された永久磁石51
は、直方体のフェライト磁石を使用している。その寸法
は、磁極間幅を8mm、軸方向長さを24mm、径方向
長さを9mmに設定してある。また、界磁コイルは、平
角導体を使用し、抵抗値を1.8Ω、ターン(T)数を
330Tに設定してある。また、永久磁石51には、湿
式異方性磁石を用い、−30°C下でフル励磁した際に
5%以下の減磁特性に抑制できる磁石材を用いている。
【0137】また、ポールコアのボス部の径はφ50m
mであり、シャフト6の径はφ17mmに設定してい
る。このポールコアのボス部の断面積よりシャフト6の
断面積を引いた断面積を極対数で割ったものを基準とし
て、略同一となるように各部磁極断面積を設定してい
る。
【0138】シャフト6の端部には、プーリが固定され
ている。プーリは、自動車に搭載された走行用のエンジ
ン(図示せず)により回転駆動される。
【0139】ランデル型コア7は、一対のポールコアに
より構成されている。コア7は、シャフト6に組付られ
たボス部71、ボス部の両端より径方向に延びる2つの
ディスク部72、及びディスク部72の先端に配列され
た16個の爪状磁極73を有する。
【0140】フレーム4には、その軸方向の両端に、冷
却空気の吸入孔41、42が開設されている。さらに、
フレーム4には、その外周部に、冷却空気の吐出孔4
3、44が開設されている。吐出孔43、44は、コイ
ルエンド31に対向して2列の環状に配列されている。
また、プーリの外径はフレ−ム4の軸方向端面の吸入孔
41の外径よりも大きく設定されている。
【0141】固定子2は、固定子鉄心32、固定子巻線
を構成する複数の導体セグメント33、及び固定子鉄心
32と導体セグメント33との間を電気絶縁するインシ
ュレータ34で構成され、フレ−ム4により支えられて
いる。固定子鉄心32は、薄い鋼板を重ね合わせた積層
型のもので、その内周面には複数のスロット35が形成
されている。
【0142】ひとつのスロット35内には、2本の矩形
状の電気導体が、内層導体、外層導体として挿入されて
いる。これら電気導体は、導体セグメント33によって
提供されている。導体セグメント33は、U字状、ある
いはV字状と呼び得る形状である。
【0143】固定子巻線は電気接続された多数の導体セ
グメント33により構成されている。固定子鉄心32の
軸方向端面の一方に導体セグメント33のターン部33
cが配置され、その他方に接合部33dが配置されてい
る。接合部33dは、異なる導体セグメント33の端部
を接続して形成されている。導体セグメント33は、固
定子鉄心32の両端に突出して、それぞれコイルエンド
31を形成している。そして、複数の導体セグメント3
3が、固定子鉄心32上に環状に配列される結果、環状
のコイルエンド群が形成されている。
【0144】導体セグメント33のうち、固定子鉄心3
2から延び出す稜線部33eは外層、内層で逆方向に傾
斜している。コイルエンド群の中で隣接する導体セグメ
ント33の間には電気絶縁が確保できる所定の隙間が設
けられている。
【0145】コイルエンド31には、回転子3のポール
コア7のディスク部72が対向している。
【0146】なお、この導体セグメント33の絶縁皮膜
はあっても無くとも良い。
【0147】またインシュレータ34は図4に示される
ように、固定子鉄心32と導体セグメント33との間、
スロット内の各電気導体の間を絶縁すべくS字形状に配
置されている。
【0148】また、固定子鉄心32の先端歯部は固定子
鉄心32の製作時又は導体セグメント33挿入後の押し
曲げ等により加工硬化を加えている。
【0149】上記固定子巻線は、X、Y,Zの3相巻線
を有している。各相の一方の巻線端33fは、軸方向に
延び出しており、整流器5に設けられた整流素子52の
電極部53に直接、ヒュージング溶接等により電気接続
されている。巻線端33fには、振動を吸収し、応力の
伝達を緩和するために、断面積を狭めた部分33gが形
成されている。
【0150】各相の他方の巻線端は図22に示すように
中性点33kとして直接又は導体を介して電気接続され
ている。
【0151】固定子巻線の製造工程を説明する。
【0152】U字状の導体セグメント33は、図3に示
すように、内層側導体部33aと外層側導体部33bと
ターン部33cとで構成されている。このセグメント3
3は銅平板から折り曲げ、プレス等で製作される。
【0153】複数の導体セグメント33は、固定子鉄心
32の軸方向端面の同一側に複数のターン部33cが揃
うように重ねられる。そして、図4に示すように外層側
導体部33bがスロット35の深さ方向の奥側に、内層
側導体部33aがスロット35の深さ方向の手前側に位
置するように挿入される。その結果、略平行なスロット
35の側壁に、電気導体の両側面がインシュレータ34
を介して対向するように圧入される。
【0154】一方、固定子鉄心32の他端側には、複数
の導体セグメント33の端部が、内層、外層として突出
して配列される。そして、図5に示すように、内層と外
層とが周方向に反対方向に曲げられる。内層と外層とは
所定のスロット数だけ曲げられる。その後、異なる層の
異なる導体セグメント33の端部どうしが接合され、接
合部33dが形成される。この接合部33dとしては、
電気導通するように超音波溶着、アーク溶接、ろう付け
等を採用できる。
【0155】本実施例では回転子3の磁極数を16に設
定してあり、固定子鉄心32のスロット数を96に設定
し、固定子巻線は3相巻線を構成している。ステータ外
径はφ130mmであり、内径はφ102mmに設定し
てある。この固定子鉄心23の積厚は34mmであり、
板厚0.5mmのSPCC材を積層し、レーザ溶接等で
固着している。スロットは電気角で30°ピッチに相当
する3.75°ピッチで等間隔で設定している。その形
状は、側面を平行とした略矩形状であり、その側面幅は
1.8mm、奥行きは10mm、背厚は3.5mm、開
口幅は0.8mmに設定されている。また、先端歯先部
の径方向厚さは0.5mmに設定されている。
【0156】このスロット内に挿入される電気導体は、
厚さ1.6mm、幅4.5mmであり、角部には0.6
mm以下のRが取ってある。スロットと電気導体との間
には、約100μmの厚さのインシュレータ34が介在
している。
【0157】具体的結線例を図6、図7、図8を使用し
て説明する。図6、図7の下側の渡り線部はセグメント
のターン部33cであり、上側が接合部33dである。
図中実線は内層の電気導体、一点鎖線は外層の電気導体
を示す。
【0158】まず、3相巻線のうちのX相について説明
する。スロット番号の4番から6スロットおきに94番
まで(4番、10番、16番……94番)が第1のスロ
ット群を成している。これらに隣接する5番から6スロ
ットおきに95番まで(5番、11番、17番……95
番)が第2のスロット群を成している。
【0159】第1スロット群に収容された複数の導体セ
グメント33によって形成される第1巻線は、2本の波
巻巻線を含んでいる。また、第2スロット群に収容され
た複数の導体セグメント33によって形成される第2巻
線は、2本の波巻巻線を含んでいる。
【0160】これら第1巻線と第2巻線とは、2つの結
線部102と、1つの結線部103とを経由して直列接
続されている。第2巻線の2本の波巻巻線は、結線部1
03によって反転して直列接続されている。そして、そ
の両端それぞれに、結線部102によって第1巻線の波
巻巻線が直列接続されている。そして、第1巻線の2つ
の端部が、巻線端Xと、巻線端X’として引き出され
る。
【0161】なお、結線部102は、5スロット離れた
スロット内に収容された内層電気導体と外層電気導体と
を接続している。結線部103は、6スロット離れたス
ロット内に収容された同じ層の電気導体を接続してい
る。
【0162】この結果、X相は、電気角で30°位相が
ずれた第1巻線と第2巻線とが直列接続されて構成され
る。そして、第1巻線が2T、第2巻線が2Tであるこ
とから、4Tの固定子巻線が構成される。同様にして、
電気角120°ピッチでY相、Z相が形成され、図8に
示すようにこれらの3相が星形結線されている。
【0163】なお上記実施例では、X相の第1スロット
群と、Y相の第1スロット群と、Z相の第1スロット群
とが第1スロット組に属し、X相の第2スロット群と、
Y相の第2スロット群と、Z相の第2スロット群とが第
2スロット組に属する。そして、これらスロット組に装
備された巻線は、コイルエンドにおいてすべてが均等に
外部に露出しており、均等に冷却風にさらされる。そし
て、電気的に隣接する2つの巻線が直列接続されて交流
として合成されており、2組のスロット組により提供さ
れる6つの巻線が、3相結線されている。また、これら
巻線はコイルエンド間に隙間をもっているため、風下側
に配置されるコイルエンドであっても十分に風にさらさ
れる。このため、巻線毎の放熱に寄与する表面積の差が
ほとんどない。つまり、3相の多相交流発電機として、
2倍の相数である6相に相当する巻線を含むにもかかわ
らず、すべての巻線が均等な冷却条件に置かれる。
【0164】なお、図5、図6、図7に示した固定子巻
線では、導体セグメント33のターン部33cが固定子
鉄心32の一方の端面側に配列され、整流器5に接続さ
れる巻線端33fが固定子鉄心32の他方の端面側から
引き出されている。
【0165】(実施例の作用効果)上記構成とすること
により、内層に位置する複数の導体セグメント33の稜
線部33eの傾斜方向を同一方向とすることができ、し
かも外層に位置する複数の導体セグメント33の稜線部
33eの傾斜方向を同一方向とすることができる。この
ため、多相の固定子巻線をコイルエンドで干渉無く配置
できる。よって、スロット内における電気導体の占積率
を向上して高出力化できる。しかも、コイルエンドにお
いて隣接する電気導体の間には、電気絶縁が確保できる
隙間が設けられるので温度上昇が大幅に抑制される。特
に本実施例では、ランデル型回転子の軸方向端部に内扇
ファンとしての冷却ファン11を設け、コイルエンド3
1の外周側に対応してフレーム4に通気孔としての吐出
孔43、44を設けているため、コイルエンド群内を通
ってフレーム外周部に向けて抜ける冷却風の通風抵抗を
極端に低減でき、冷却性を大きく向上させることができ
る。
【0166】また、隣接するスロット群の巻線を直列接
続して固定子巻線とすることで、スロットあたりの電気
導体数を少なくしてコイルエンドでの導体間の隙間を確
保しつつ、車両用発電機に必要なT数を得ることができ
る。
【0167】回転子の磁極数の3倍のスロット数で固定
子を設計する従来方式の場合、スロット内の電気導体数
以上のT数を得ることはできない。一般に、車両用交流
発電機では、定格0.5〜2.5kwのものが使用され
る。このような出力を、車載可能な所定の体格の制限、
エンジン回転数の制限の下で実現しようとした場合、少
なくとも固定子巻線は3T以上必要である。これより小
さいT数を設定した場合、図9の破線に示されるように
低速回転では出力が出ず、高速のみ出力が大きく出てし
まい車両用交流発電機として不適切な特性となってしま
う。
【0168】例えば、スロット数を回転子の磁極数の3
倍とし、スロットあたり電気導体数を2本として、固定
子巻線のT数を2Tとした比較例と、本実施例の出力特
性を図9の破線と実線に示す。従来方式では回転頻度の
高い車両アイドル回転数付近での低下が著しく車両用発
電機として成立しない。必然的に、スロットあたりの電
気導体数を増加させなければならない。しかし、1本の
電気導体の断面積が同じである限り、コイルエンドの隙
間減少による通風性の悪化、冷却性の悪化という問題が
生じる。また、電気導体の組み付け工数の増加にともな
う製造コストの増加の問題がある。逆に、1本の電気導
体の断面積を下げてT数を増すと、巻線のインピ−ダン
スが高くなるので高出力化が不可能となる。
【0169】これに対し、本実施例では、スロット数を
極数の3倍以上とし、隣接するスロットの導体を直列に
接続する部分を設けているので、スロットあたりの導体
数は最少である2本とすることができる。具体的には、
16極の磁極数に対して3相発電機として必要な3倍の
48個のスロット数だけでなく、さらに倍の96個のス
ロット数を確保している。例えば、12極に対しては3
相で、72個のスロットを採用してもよい。これによ
り、コイルエンドに隙間を形成して通風による冷却性を
確保でき、製造コストを増加することなくスロット内の
占積率を向上させ、低回転から車両に必要な出力特性を
得ることができる。
【0170】また電気角が30°ずれた第1巻線と第2
巻線とを直列接続しているので、起磁脈動力を低減でき
るため磁気騒音の大幅な低減ができる効果もある。
【0171】しかも、第1巻線と第2巻線とは、コイル
エンドにおいては均等に外部に露出しており、均等に冷
却風にさらされている。しかも、コイルエンド間には、
そこを横切る通風を可能とするための隙間が確保されて
いるため、高い冷却性が得られる。この関係は、6つの
スロット群に収容された6つの巻線のすべてについて実
現されており、すべての巻線が均等に冷却される。
【0172】また、図6、図7の結線方法では、2層化
した内層側電気導体と外層側電気導体を交互に接続する
ため、各相の渡り線部分の長さは結果的に同一とするこ
とができるので各相の巻線の電気抵抗値は均一となる。
加えて、固定子巻線のインダクタンスはスロット内の位
置によって異なるが本実施例では内層側電気導体の数と
外層側電気導体の数とが各相で同一であるため、インダ
クタンスは略同一とすることができる。即ち、インピー
ダンスが均一化できることにより局部的な発熱を防止で
きる。
【0173】またコイルエンドの軸方向高さも飛躍的に
低減でき、結果的に従来の固定子巻線に対し抵抗値を略
半減できる。これにより、低インピーダンス化によって
小型高出力化を図ることができると共に、発熱量低減に
よる温度低減、高効率化をも達成できる。
【0174】更にコイルエンド高さの低減にともない、
固定子2の軸方向長さを抑制できる。この結果、フレー
ム4の角部の丸みを大きくできる。この結果、体格が丸
い車両用交流発電機を構成でき、機械的剛性の向上を図
ることができる。さらに、車載時に、他の部品との干渉
を回避することができるという効果がある。
【0175】また、コイルエンドの冷却性が大幅に向上
することから、ファンの小型化が実現できる。さらに、
コイルエンド群としては、表面の凹凸が平滑化されるこ
と、一様な繰り返し紋様が形成されること、及びコイル
エンド内を冷却風が横切ることで、冷却風との間で生ず
るファン騒音を大幅に低減することができる。
【0176】また、導体セグメント33のターン部33
cと反対側から巻線端33fを取り出しているので、タ
ーン部33cは同一形状とすることができる。このた
め、ターン部33c以外の直線部の長さを変えて巻線端
33fや結線部102、103の形成に対応できる。よ
って直線部の長さのみ異なる導体セグメント33を製作
すればよいので、生産工数を大巾に下げることができ、
安価な設備で対応できる。
【0177】また電気導体の断面形状の矩形化により、
高占積率化が可能であると共に、プレス等での導体セグ
メントの作成も可能であり、素材、加工コストの低減を
図ることができる。
【0178】また、電気導体と固定子鉄心との間の対向
面積が大きくなるので、伝熱が良好となり電気導体の温
度が更に低減できる効果がある。また、固定子全体の剛
性が高まることから磁気音を抑える効果もある。また、
電気導体自体の剛性があがることから、コイル間の隙間
の管理が容易である。その結果、電気導体の絶縁皮膜の
廃止、電気導体の固着材の廃止が可能となり、高信頼性
で低コストの発電機が提供できる。また、巻線端部の剛
性も高まることから、従来必要であった整流器5の端子
台を廃止でき、直接、整流素子52に接続することも可
能になるので、更にコスト低減効果がある。
【0179】また、スロット内を、単線の電気導体を、
内外に2層化して収容しているため、組付が容易とな
る。しかも、接合箇所は径方向に1ヶ所であるから他の
接合箇所との重なりがなくなり、溶接等の工程が容易に
なり、生産性が向上する。よって低コストの発電機を提
供できる。更に、1組の整流器で構成できるため、電気
部品が簡素化でき、低コスト化できる効果もある。
【0180】また、ランデル型回転子であることから、
冷却ファンに鉄材が使用できるので、高速回転に対する
耐久性がセ−レント型回転子よりも優れる。セ−レント
型回転子では、軸方向端面に磁極が並ぶので、この軸方
向端面に設ける部材は、磁束短絡防止のためにアルミや
樹脂などの非磁性材を使用しなければならないからであ
る。このような高速耐久性の高さにより、プ−リ比を高
く設定することができるので、エンジンのアイドリング
回転時の回転子の回転数を高くして出力を向上できる。
また、ファンの材料費や加工費が安く、さらにポ−ルコ
アとの接合手段にも安価なヒュ−ジング溶接などが採用
できることにより、製造コストの低減効果もある。
【0181】(第二実施例)図10から図12に第二実
施例を示す。第一実施例では、固定子鉄心32の端面の
片側に導体セグメント33のターン部33cを設けてい
たが、第二実施例ではターン部33cで分離された導体
セグメントを用いる。そして、固定子鉄心32の両側に
接合部を配置した点が異なる。
【0182】図11に図示されるように、導体セグメン
ト33は、スロット35内に挿入される略直線状部分で
ある内部導体33hと、この内部導体の両側おいて固定
子鉄心32の軸方向両側に延びる略直線状部分である外
部導体33iを有してなる。この外部導体33iは磁極
ピッチの約半分の距離を周回する角度と長さを持ってい
る。外部導体33iは図10に示すようにコイルエンド
31としての稜線部を形成している。そして、内層、外
層の稜線部33iの傾きが逆になるように複数の導体セ
グメント33がスロット内に挿入されている。また、固
定子鉄心32は、図12に示されるように歯先先端部3
2aをU字状またはJ字状とした半製品から製造され
る。固定子鉄心32は、複数の導体セグメント33をス
ロット内に挿入した後、径方向から歯先先端部32aに
加工治具を押し当てるなどして歯先先端部32aに塑性
加工を加えて、スロットの内周側開口を狭めて製造され
る。このようにすることで、径方向内側からの導体セグ
メント33の挿入が可能となり、予め導体セグメントを
最終形状に加工することができ、組付けが容易となる。
【0183】また、導体セグメントを挿入した後、導体
セグメントを径方向内側から圧縮してスロット形状に合
わせて変形させることで、更に高い占積率を得ることが
できる。また、塑性加工により歯先先端部が加工硬化す
るため、導体セグメント33のスプリングバックによる
歯先変形を防止できる効果もある。
【0184】なお、導体セグメント33は予め加工する
こととしたが、スロット内に収納した後折り曲げ加工し
ても良い。
【0185】(第三実施例)第一、第二実施例では内外
層の電気導体を一対のみ、即ちスロットあたりの電気導
体数を2Tとしたが、導体セグメントの挿入工程を繰り
返すなどの手段により、電気導体を二対以上としてもよ
い。この場合も、図13に示すように、異なる相のコイ
ルエンド間の干渉は、第一実施例と同様に回避できる。
このため、上記実施例と同様に高い占積率、高い冷却効
率、低い騒音などの効果が得られる。更にスロットあた
りの電気導体数が増えるので、低いエンジン回転数から
発電を開始でき、低速回転時の発電量を増加させること
ができる。
【0186】図14には、内外層の電気導体を二対、つ
まりスロットあたりの導体数が4Tの場合のインシュレ
ータの配置を示す。
【0187】更に、内外層の電気導体を二対以上設ける
ことで、スロット数の設定、結線箇所等を変えることに
より、任意のT数を構成することができる。
【0188】(第四実施例)第一から第三実施例では、
電気角で30°の位相差をもつ2つのスロット群に収容
された巻線を直列接続することにより、スロットあたり
のT数を増やすとともに、磁気音の主成分である極対数
の6倍次数成分をキャンセルして騒音低減を図ってい
る。つまり、交流の状態で、2つの巻線の出力を合成し
ている。
【0189】これに対し、図15、16の固定子巻線展
開図、および図17の回路図に示すように、電気角で3
0°の位相差をもつ2組の三相巻線をそれぞれの整流器
で整流した後、合成して出力する点が異なる。つまり、
直流の状態で、2つの巻線の出力を合成している。
【0190】具体的結線例を図15、図16、図17を
使用して説明する。図15、図16の下側の渡り線部は
セグメントターン部33cとなり、上側が結線部33d
となる。図中実線は内層電気導体、一点鎖線は外層電気
導体を示す。
【0191】まず、X相の第1巻線と第2巻線について
説明する。スロット番号の4番から6スロットおきに9
4番まで(4番、10番、16番……94番)が第1の
スロット群を成している。これらに隣接する5番から6
スロットおきに95番まで(5番、11番、17番……
95番)が第2のスロット群を成している。
【0192】第1スロット群に形成される第1巻線は、
図15に示す巻線端X1と、X1’とを有する。第1巻
線は、巻線端X1と、X1’との間に敷設された反転結
線部で直列接続された2本の波巻巻線を含んでいる。
【0193】第2スロット群に形成される第2巻線は、
図16に示す巻線端X2と、X2’とを有し、第1巻線
と同様に形成されている。
【0194】さらに、同様にして、電気角で120°離
れてY相、Z相が形成されている。これら各相について
も、第1巻線と第2巻線が形成されている。
【0195】そして、これら6本の巻線は、図17に示
すように結線される。X、Y、Z相の3つの第1巻線が
星型結線されて第1整流器に接続される。X、Y、Z相
の3つの第2巻線が星型結線されて第2整流器に接続さ
れる。第1整流器の直流出力と、第2整流器の直流出力
とは並列に接続され、直流出力が合成される。
【0196】これにより、2Tの3相巻線の直流出力を
合計して取り出すので、低回転域での出力不足を改善す
ることができる。更に、内外層電気導体を二対以上配置
する第三実施例と組み合わせることで、4T以上を実現
でき、低回転域での発電不足の問題を解消できる。ま
た、電気角が異なる2つの巻線を直列接続することが不
要であるから、導体セグメントの形状を同一にすること
ができ、導体セグメントの生産効率が更に向上できる。
磁気音の主成分である極対数の6倍次数成分をキャンセ
ルして騒音低減が達成される効果も得られる。
【0197】なお上記実施例では、X相の第1スロット
群と、Y相の第1スロット群と、Z相の第1スロット群
とが第1スロット組に属し、X相の第2スロット群と、
Y相の第2スロット群と、Z相の第2スロット群とが第
2スロット組に属する。そして、これらスロット組に装
備された巻線がそれぞれ異なる多相固定子巻線として多
相結線され、それぞれ別々に整流されて、その後直流と
して並列接続されて合成されている。
【0198】(その他の実施例)上記第一実施例では、
固定子2の端面の片側でのみ導体セグメントを接合した
が、両側で接合してもよい。例えば、複数の導体セグメ
ントのターン部を、固定子鉄心32の両側に分散して配
置することができる。この場合、接合部の間隔を広くで
き、溶接等の接合工程が容易になる効果がある。
【0199】上記第二実施例で採用した図12に図示さ
れる固定子鉄心32と、第一実施例で採用した図3に図
示される導体セグメント33とを組み合わせることがで
きる。
【0200】また、図12の固定子鉄心32を採用する
場合には、導体セグメントをスロットに挿入しつつ、挿
入が完了したスロットから順番に塑性加工を実施するこ
とができる。これにより、生産効率を飛躍的に向上でき
る。
【0201】電気導体としては、複数の素線からなる矩
形断面の電気導体を採用できる。
【0202】上記の実施例では、電気導体は銅製であ
る。これに代えて、アルミ、鉄等を用いることができ
る。かかる材質の選定により、素材コストの低減、鋳
物、ダイカストで導体セグメントを製造でき、生産工程
が容易となる効果がある。
【0203】また、電気導体の断面は、矩形としたが、
丸断面であってもよい。また、矩形と丸との複合でもよ
い。たとえば、スロット内を矩形とし、スロット外を丸
とすることができる。この場合、高い占積率、高い冷却
性能の効果が得られる。また逆に、スロット内を丸と
し、スロット外を矩形とすれば、コイルエンドにおける
電気導体間の隙間を十分確保でき、冷却風の通風抵抗を
低減して冷却性能を大幅に向上できる。なお、矩形断面
の電気導体は、扁平形状と言い得る形状である。
【0204】導体セグメント33に絶縁皮膜を設け、イ
ンシュレータをスロットの内壁に沿ってU字型に配置し
ても良い。この場合、インシュレータ形状が単純化でき
る効果がある。また、固定子鉄心32を絶縁処理してイ
ンシュレータを廃止しても良い。この場合、導体セグメ
ント33をスロットに挿入する時に、インシュレータが
ずれて絶縁不良を起こすことを防止できる。
【0205】固定子巻線は、3相以上の多相巻線であっ
ても良い。多相巻線であっても、固定子鉄心32に規則
的に巻線を形成でき、巻線形状を複雑にすることがな
い。3相以上とすることで、出力電圧のさらなる低ノイ
ズ化、低リップル化を図ることができる。
【0206】固定子巻線は、三角結線されてもよい。こ
れは車両が必要とする発電量の特性に応じて、適宜、選
択できる。
【0207】回転子として、永久磁石を持たない回転子
を採用してもよい。また、永久磁石の励磁のみによる回
転子であってもよい。
【0208】回転子の両端面に冷却ファンを設けてもよ
い。例えば図18に示す構成を採用できる。この実施例
では、回転子のフロント側端面にも冷却ファン12が装
備される。かかる構成によると、良好な冷却特性が得ら
れる。なお、ランデル型回転子では、ポールコアのディ
スク部で風を発生するため、図1に示す片方の冷却ファ
ン11だけでも必要な冷却性が得られるが、両側に冷却
ファンを設けた場合、更に車両用交流発電機としての体
格を小型化できる効果がある。
【0209】また、図19に示す構成を採用してもよ
い。回転子3の冷却ファンが設置されていない端面に、
フレーム4の吸入孔41の外周部の内壁面45を近接さ
せて対向させている。これにより、ポールコア7のディ
スク部72をファンと見立てて、内壁面45がシュラウ
ドの役割を担う。このため、ディスク部72の送風能力
が増す。従って、冷却ファンを両側に設ける場合に比べ
て、部品点数、加工工数を増やすことなく、同等の冷却
性能を達成でき、更に小型化できる。
【0210】図23に示すように、巻線端33fを、タ
ーン部33cと同じ側に設けてもよい。これにより、接
合部での溶接などによる接合工程において、巻線端33
fが邪魔にならず、しかも同一パターンの繰り返し接合
となるから、生産工程が容易となる。
【0211】以上に述べた実施例では、回転子の磁極数
の6倍の数のスロットを設けている。そして、隣接する
2つのスロットに収容された電気導体を直列接続する箇
所を設けることで、一連の巻線のターン数を4Tとし
た。これは、3相の2倍スロット直列巻線と呼ぶことが
できる。これに代えて、例えばスロット数を磁極数の9
倍としてもよい。そして、隣接する3つのスロットに収
容された電気導体を直列接続する箇所を設けることで、
6Tとすることができる。これは、3相の3倍スロット
直列巻線と呼ぶことができる。また、同一スロット内の
導体を直列接続しないで、並列接続させる箇所を設ける
ことにより、5Tとするなど奇数のターン数に設定する
こともできる。スロット数の増加によりさらに多いター
ン数に設定してもよい。
【0212】また、固定子鉄心32に設けるスロット数
は、上記倍スロット構成よりさらに1スロットだけ多く
してもよい。例えば、97本のスロットを固定子鉄心3
2に形成してもよい。この場合の結線を説明する展開図
を図20、図21に示す。図中、実線は内層電気導体、
一点鎖線は外層電気導体を示す。この構成によると、結
線部104、105の形状、特に高さを他のコイルエン
ドを同じにすることができる。図6、図7に図示される
結線では、結線部102、103は、他のコイルエンド
とは異なる高さを持っており、異なる形状の電気導体を
必要とするとともに、接合工程の複雑化を招く。
【0213】隣接するスロットの異なる層をなす電気導
体を接続する結線部104は、他のコイルエンドと同じ
傾斜と高さを持っている。このため、U字状の導体セグ
メントの製作にあたって、直線部の長さを統一でき、導
体セグメントの生産工程が容易になる。更に、同じ層の
電気導体を接続するための結線部105は、通常の繰り
返しと同じ形状とすることができるので、結線工程が容
易になる。
【0214】この構成では、図20、図21の巻線端X
などの引出し側に、U字状の導体セグメントのターン部
を配置してもよい。ターン部の広がりがすべてスロット
6本分に統一化されるため、セグメントの生産工程が容
易になる効果もある。
【0215】また、固定子には、電気絶縁を確保するた
めの絶縁性樹脂をコーティングをしてもよい。かかる樹
脂は、含浸樹脂とも呼ばれる。かかる樹脂は、巻線の電
気絶縁性を高めるため、あるいは固定子状のセグメント
等を相互に固着して固定するために有効である。なお、
樹脂のコーティングにあたっては、コイルエンド群内へ
の通風性を損なわないように付与することが望ましい。
ただし、樹脂によってコイルエンド間の隙間がいくぶん
塞がれることがあってもよい。かかる構成にあっても、
コイルエンド群において各セグメントの間に隙間が維持
されることで、放熱に寄与する表面積を広く確保するこ
とができ高い冷却性を得ることができる。
【0216】以上に説明した実施例によると、コイルエ
ンドの干渉を抑制でき、固定子巻線の高占積率化が図
れ、出力を向上する効果がある。更に、異なるスロット
の内外層に位置する導体を直列に接続しているのでスロ
ット内位置に起因する各相巻線の導体長さ、漏れインダ
クタンスは各相で均一化される。このためコイルを流れ
る電流が均一化され、各相の発熱量も同じとなるため、
局部的な固定子巻線の発熱や起磁力アンバランスを防止
でき、温度低減、低騒音化が図れる。また、隣接するス
ロットを直列接続する固定子巻線とすることで、スロッ
トあたりの導体数を少なくしてコイルエンドでの導体間
の隙間を確保しつつ車両用発電機に必要な低回転時の出
力を得るためのターン数を得ることができる。特に、上
述の実施例では、電気角が30度異なる2組の三相固定
子巻線を構成しているから、電気磁気的な騒音を抑制す
る効果があるとともに、実質的には電気的な位相が異な
る6つの巻線の出力を合成しているので、整流後の直流
電力に含まれるリップル成分が少なく、高品質の電力を
供給できる。しかも、セグメントを用いて固定子巻線を
構成し、スロット内においては深さ方向にのみ電気導体
を積層して収容している。このため、一様な形状をもっ
た複数のコイルエンドを一様に配列することができ、電
気的に位相が異なる複数の巻線を、コイルエンドにおい
てはそれぞれ均等に外部に露出させ、冷却風に対して均
等にさらすことができる。しかも、コイルエンドにおい
ては複数の導体セグメントが互いに離間しているので、
放熱のための十分な表面積が確保される。さらには冷却
風が横切って流れることで優れた放熱性が実現される。
これらの作用により、複数の巻線毎の冷却性のばらつき
をなくしながら、高い放熱性、冷却性を実現することが
でき、電気導体の断面積向上に伴う電気抵抗の低下と相
まって、小型化、高出力化に適合可能な車両用交流発電
機が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の第一実施例の縦断面図である。
【図2】図2は第一実施例の固定子の外観図である。
【図3】図3は第一実施例の導体セグメント33の斜視
図である。
【図4】図4は第一実施例の固定子の部分的な断面図で
ある。
【図5】図5は第一実施例の固定子の両端面のコイルエ
ンドを示す斜視図である。
【図6】図6は固定子巻線の結線状態を示す展開図であ
って、1番目から48番目のスロットを示している。
【図7】図7は固定子巻線の結線状態を示す展開図であ
って、49番目から96番目のスロットを示している。
図6と図7は、V−V線、VI−VI線で環状に接続さ
れて一連の固定子巻線を示している。
【図8】図8は車両用交流発電機の回路図である。
【図9】図9は車両用交流発電機の出力特性を示すグラ
フである。
【図10】図10は第二実施例の固定子の部分的な外観
図である。
【図11】図11は第二実施例の導体セグメント33の
斜視図である。
【図12】図12は第二実施例の固定子の部分的な断面
図である。
【図13】図13は第三実施例の固定子のコイルエンド
を示す斜視図である。
【図14】図14は第三実施例の固定子の部分的な断面
図である。
【図15】図15は第四実施例の固定子巻線の結線状態
を示す展開図である。
【図16】図16は第四実施例の固定子巻線の結線状態
を示す展開図である。図15と図16とは、VII−V
II線、VIII−VIII線で環状に接続されて一連
の固定子巻線を示している。
【図17】図17は第四実施例の車両用交流発電機の回
路図である。
【図18】図18は、その他の実施例の縦断面図であ
る。
【図19】図19は、その他の実施例の縦断面図であ
る。
【図20】図20は他の実施例の固定子巻線の結線状態
を示す展開図である。
【図21】図21は他の実施例の固定子巻線の結線状態
を示す展開図である。図20と図21とは、IX−IX
線、X−X線で環状に接続されて一連の固定子巻線を示
している。
【図22】図22は第一実施例の固定子巻線端を示す斜
視図である。
【図23】図23はその他の実施例の固定子巻線端を示
す斜視図である。
【符号の説明】 1 車両用交流発電機 2 固定子 3 回転子 31 コイルエンド 32 固定子鉄心 33 導体セグメント 34 インシュレータ 35 スロット 4 フレーム 5 整流器 6 シャフト 7 ポールコア 8 界磁コイル

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転周方向に沿って交互にNS極を形成
    する界磁回転子と、該回転子と対向配置された固定子鉄
    心、及びこの固定子鉄心に装備された多相固定子巻線を
    備える固定子と、前記回転子と前記固定子とを支持する
    フレームとを有する車両用交流発電機において、 前記固定子鉄心には、前記多相固定子巻線を収容する複
    数のスロットが形成されており、 前記多相固定子巻線は、複数の導体セグメントを接合し
    て構成されており、 これら複数の導体セグメントは、前記スロット内におい
    ては、前記スロットの深さ方向に関して二対以上の対を
    なして前記スロットの深さ方向にのみ配列され、前記ス
    ロット内に互いに絶縁して収納されており、前記スロッ
    ト外においては、前記固定子鉄心の端面側に延び出して
    配置されてコイルエンドをなしており、 複数の前記導体セグメントは、互いに接合されて複数の
    接合部を形成しており、 複数の前記接合部は、多重の環状に配列されており、周
    方向並びに径方向に関して互いに離間して配置されてい
    ることを特徴とする車両用交流発電機。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の車両用交流発電機におい
    て、 複数の前記接合部は、2重の環状に配列されていること
    を特徴とする車両用交流発電機。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の車両用交流発電機におい
    て、 前記固定子は、含浸樹脂を備えることを特徴とする車両
    用交流発電機。
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