JPH11279432A - 合成フッ素金雲母粉末を用いた着色剤、およびそれを配合した化粧料 - Google Patents
合成フッ素金雲母粉末を用いた着色剤、およびそれを配合した化粧料Info
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- JPH11279432A JPH11279432A JP10335298A JP10335298A JPH11279432A JP H11279432 A JPH11279432 A JP H11279432A JP 10335298 A JP10335298 A JP 10335298A JP 10335298 A JP10335298 A JP 10335298A JP H11279432 A JPH11279432 A JP H11279432A
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Abstract
明感を付与する着色剤および鮮やかな色調と透明感を有
する化粧料を提供することにある。 【解決手段】 前記目的を達成するために本発明にかか
る請求項1記載の着色剤は、結晶構造中に鉄原子を含有
する合成フッ素金雲母粉末を、850℃〜950℃で焼
成して得た彩度が4.0以上である合成フッ素金雲母粉
末を主成分とする。また請求項2記載の化粧料は、請求
項1記載の合成フッ素金雲母粉末を主成分とする着色剤
を配合することが好適である。
Description
粉末、特に焼成温度の制御による雲母の物性の改良に関
する。
る。その性質は、劈開性があり、薄片状をなしており、
しかも弾力性、ツヤに富み、電気絶縁性、耐熱性を備え
ているため、一般電気器具の絶縁材料やツヤ出し、錆止
めなどの塗料添加剤、プラスチック添加剤などに利用さ
れている。化粧品用としては、付着性、展延性、真珠光
沢の良さからファンデーション類を中心に広く使用され
ている。
む白雲母、白雲母同様に半透明で、弾力性に富み、白雲
母より柔軟であるが、鉄分等の不純物の混入が多いため
に茶褐色の強い金雲母、金雲母よりも更に柔らかいが、
不純物を非常に多く混入してしまっているため緑黒色や
茶黒色を呈する黒雲母などが天然に産出している。また
人造の合成雲母なども開発され、不純物を含まない高純
度の原料として高い評価を受けている。
主に体質顔料として使用されている。化粧料における体
質顔料に求められる条件は、感触の滑らかさ、適度なツ
ヤ、成型性、カバー力などである。雲母が、ファンデー
ションなどに配合される際は、このような体質顔料とし
ての効果を期待してのものであり、着色剤として使用さ
れることはなかった。
や、頬紅の色を出すためには主に酸化鉄顔料や酸化チタ
ン顔料が用いられていた。酸化チタン顔料は、粒子表面
で可視光全域を散乱するため白色を呈する、また高い屈
折率を有するために粒子表面での光の散乱が起こりやす
いため、塗料などの形態で基材に塗布した場合などには
基材を隠蔽する能力が大きいといった性質を有する。し
かしこのような性質は同時にファンデーションなどに配
合した場合、その隠蔽力と光の散乱力の高さによって現
在の化粧料に求められる要素の一つである透明感を奪っ
てしまうものであった。このため、酸化チタンを用い
ず、酸化鉄のみによって化粧料を着色しても、酸化鉄の
隠蔽力も高いものであり、化粧料に十分な透明感を出す
ことができなかった。
り、その目的は、配合物に鮮やかな色調と透明感を付与
する着色剤および鮮やかな色調と透明感を有する化粧料
を提供することにある。
に本発明にかかる請求項1記載の着色剤は、結晶構造中
に鉄原子を含有する合成フッ素金雲母粉末を、850℃
〜950℃で焼成して得た彩度が4.0以上である合成
フッ素金雲母粉末を主成分とする。また請求項2記載の
化粧料は、請求項1記載の合成フッ素金雲母粉末を主成
分とする着色剤を配合することが好適である。
母を配合した紫外線吸収効果の高い化粧料は、本特許出
願人によって先に出願された特開平6−9210号公報
によってすでに公知である。該公報によって開示されて
いる合成雲母においては、鉄原子を含有しているが、紫
外線吸収率の良い合成雲母を得ることを目的とするた
め、焼成温度として600℃〜1200℃をその範囲と
している。また外観色も赤色を呈することが開示されて
いるものの、特開平6−9210号公報に開示された合
成雲母は、紫外線吸収を主な目的としており、着色剤と
して用いることも考慮されてはいたものの、目的の相違
から着色剤としての効果は十分なものではなかった。
を得られる、色鮮やかで透明感を与えることができる合
成雲母を開発するべく鋭意研究を重ねた結果、合成フッ
素金雲母の焼成温度を制御することによって所望の合成
雲母を得ることができることを見出し、本発明を為すに
至ったものである。合成雲母には、カリ四ケイ素雲母や
テニオライトなどもあるが、これらの結晶構造中に鉄原
子を含有させ焼成を行っても、光沢や透明感に欠け、鮮
やかな色彩が不十分であり好ましくない。本発明におけ
る結晶構造中に鉄原子を含有する合成フッ素金雲母粉末
とは、その構成成分が一般式KMg3(AlSi3O10)
F2におけるシリカSi或いはアルミニウムAl又はそ
の両者に代わって鉄を導入したものである。
及び粉砕は、特開平6−9210号公報に開示された方
法によって行うことができる。すなわち、シリカ、アル
ミナ、マグネシア、ケイフッ化カリウム、炭酸カリウ
ム、酸化鉄などを配合し、公知の水熱法、固相反応法、
溶融合成法等によって約1500℃で溶融し、冷却して
結晶を晶出させ、合成された雲母結晶を湿式、もしくは
乾式粉砕によって粉砕することで鉄原子含有合成フッ素
金雲母粉末を得ることができ、鉄原子含有合成フッ素金
雲母粉末を得た後、該合成フッ素金雲母粉末を焼成する
ことによって本発明の合成フッ素金雲母粉末を得ること
ができる。
よって得られた合成フッ素金雲母粉末を焼成する際の焼
成温度である。本発明が効果を十分に発揮するためには
その焼成温度が850℃〜950℃の範囲内で行われな
ければならない。この範囲を逸脱してしまうと、焼成を
行っても色彩の鮮やかさが劣り、きれいな外観色を得る
ことはできない。また850℃を下回る温度で焼成した
場合には、フッ素溶出量が多くなり、安全性上好ましく
ない。
規定はなく、目的や用途に応じて適宜決定して良い。例
として化粧料に用いる際の粒径を挙げると、セディグラ
フ5000−01型による球状換算形で1〜20μm、
マイクロトラックによるレーザー散乱形で5〜35μm
が好適である。さらに本発明における合成フッ素金雲母
が含有する鉄原子含有量は、重量%で5%〜15%が好
適である。
色剤の一般的な用いられ方と同様、本発明を単独で、或
いはその他の着色剤と混合し、配合することができる。
化粧料においても一般的原料と共に適宜配合することが
できる。本発明を用いた化粧料の形態としては、粉末
状、粉末プレス状、スティック状、スラリー状等ほぼど
のような形態も可能である。さらに実際の化粧料として
はファンデーション、白粉、頬紅、アイシャドー、ネー
ルエナメル等、本発明による着色剤の効果を必要とする
ものに適宜使用可能である。
く説明する。製造実施例 ケイフッ化カリウム17.2g、酸化マグネシウム2
6.7g、酸化アルミニウム3.4g、二酸化珪素3
5.0g、炭酸カリウム4.5g、及び酸化鉄13.2
gをV型混合機で30分間混合した。次いで、この混合
物をアルミナるつぼに入れ、電気炉中で1500℃で3
0分間溶融後、炉内冷却した。このようにして鉄含有合
成フッ素金雲母100gを得た。これをボールミル中で
48時間粉砕した後、この鉄含有合成フッ素金雲母粉末
50gを、0.05規定塩酸水溶液1l中で、撹拌しな
がら常温で5時間処理した後、脱水、洗浄、乾燥した。
この乾燥粉体30gを、アルミナるつぼに入れ、電気炉
中900℃で2時間熱処理して本発明の合成フッ素金雲
母粉末28gを得た。この粉末の鉄含有量は、重量%で
約9%であった。またセディグラフ5000−01型に
よる球状換算形は、4μm、マイクロトラフィックによ
るレーザー散乱径は10μmであった。
有合成フッ素金雲母粉末を焼成においてのみ焼成温度
を、700℃、800℃、850℃、900℃、950
℃、1050℃、1100℃として焼成を行い彩度、フ
ッ素溶出量、酸可溶物にどのような違いが出るのかを実
験し、その違いについて実験した。その結果をまとめた
ものが表1及び表2である。
よらずどれも赤色を呈していたが、表1及び2から明ら
かなように色の鮮やかさを示す彩度においては、850
℃〜950℃での焼成温度においては、4.0以上の彩
度が得られたのに対し、850℃未満の温度及び950
℃より高温で焼成したものにおいては、彩度において
4.0を割り込んでしまった。
が上がるほど減って行くことがわかる。また、フッ素溶
出量は低温となるほど指数関数的に大きくなっているこ
ともわかる。その減少の割合を見てみると、焼成温度8
00℃でのフッ素溶出量と850℃フッ素溶出量を比較
すると、850℃におけるフッ素溶出量は、800℃に
おける溶出量の1/2以下になっているが、さらに50
℃温度を上げた900℃におけるフッ素溶出量は、85
0℃の溶出量の3/4程度になっており、850℃を境
にして減少の割合が減りほぼ一定の溶出量となっている
ことがわかる。
50℃での焼成温度においては、1%未満となっている
のに対し、850℃未満の温度及び950℃より高温で
焼成したものにおいては、1%を越えてしまった。以上
のように彩度、フッ素溶出量、酸可溶物の測定結果か
ら、人体への安全性や、使用に際する機能性などを考慮
すると、彩度が高く、フッ素溶出量、酸可溶物量の少な
い焼成温度850℃〜950℃で焼成された鉄含有合成
フッ素金雲母粉末が最も適した物性を有していることが
わかる。
素金雲母粉末を用いて粉白粉を作成し、それぞれの化粧
料の示す品質の評価を行った。さらに鉄含有合成フッ素
金雲母粉末を焼成温度850℃〜950℃で焼成したも
のでなければ本発明の効果が得られないかを検討するた
め、鉄を含有しない合成フッ素金雲母粉末を900℃で
焼成したもの、及び天然雲母粉末を用いて同様に化粧料
を作成し、その品質の評価を行った。化粧料に配合した
それぞれの雲母の粒径は、マイクロトラックによるレー
ザー散乱径で10μm、セディグラフ5000−01型
による球状換算径で4μmに一律にそろえられている。
粉白粉を作成する際の、成分と配合量を以下に示す。
母粉末以外はどの配合もすべて同じものを使用してい
る。比較例1〜3は本発明と同様の工程で製造した合成
フッ素金雲母の焼成温度のみを変えたものであり、比較
例1が700℃で、比較例2が800℃で、比較例3が
1100℃で焼成を行った鉄含有合成フッ素金雲母粉末
を配合したものである。合成フッ素金雲母粉末そのもの
の外観色は、赤色を呈していた。さらに比較例4が合成
フッ素金雲母粉末に代わり、外観色が茶黒色を呈してい
た天然雲母粉末を配合したものであり、比較例5が鉄を
含有しない、900℃で焼成を行った、外観色が白色を
呈していた合成フッ素金雲母粉末を配合したものであ
る。
と同様の工程で製造された本発明品の焼成温度のみを変
えたものであり、実施例1が850℃で、実施例2が9
00℃で、実施例3が950℃で焼成を行った鉄含有合
成フッ素金雲母粉末を配合したものである。外観色は赤
色を呈していた。作成した粉白粉は、隠蔽性、彩度、透
明感、鮮やかさの各項目について評価した。各項目の評
価方法は、次のように行った。
1:1で練り合わせ、クリプトメーターによって測定し
た。得られた値は、隠蔽するための厚さを示しており、
値が小さいほど隠蔽性が大きいことを示している。つま
り透明感が考慮すると、この値が大きい方がよい。彩度
は、成型品を分光硬度計ミノルタCM−1000で測定
した。透明感、鮮やかさについては、成型品を専門パネ
ル20人によって官能評価によって評価してもらい、透
明感があるを5、ややあるを4、ふつうを3、ややない
を2、ないを1で評価してもらい、20人の評点の平均
を取り、5.0〜4.1を◎、4.0〜3.1○を、
3.0〜2.1△を、1.0〜2.0を×で評価した。
す。
粉末は、化粧料に着色剤として配合した際も、最も高い
効果を上げているのは900℃で焼成した実施例2であ
り、彩度も高く、透明感に富み、鮮やかであるとの評価
を受けている。それに次ぐものが焼成温度850℃の実
施例1及び焼成温度950℃の実施例3であり、彩度、
透明感、鮮やかさに優れているとの高い評価であった。
例1、800℃の比較例2、及び1100℃の比較例3
は、透明感はあったものの、彩度が劣っており、鮮やか
さに今一つ欠けるものであるという評価が多数を占めて
いた。よって焼成温度が850℃〜950℃で焼成した
ときに最も高い効果を得ることができることがわかる。
配合した比較例4を比較した場合、天然雲母粉末を使用
した比較例4は、隠蔽力が高いためか、化粧料に配合し
た際も透明感に欠けるものとなってしまった。さらに彩
度に劣るためと、もともと天然雲母粉末の呈していた色
彩のためであると考えられるが、配合された化粧料に鮮
やかさが無いものとなってしまい、肌に塗布した際も白
く浮き立つように見えた。
い、900℃で焼成した合成フッ素金雲母粉末を配合し
た比較例5を比較した場合、鉄を含有しない、900℃
で焼成した合成フッ素金雲母粉末を使用した比較例5
は、透明感は有していたものの、やはり彩度に劣り、も
ともと呈していた色彩が白色であったためであると考え
られるが、比較例4同様、配合された化粧料に鮮やかさ
が無いものとなってしまい、肌に塗布した際も異常に白
く浮き立ち、不自然なものとなってしまった。
は、鉄を含有する合成フッ素金雲母を、焼成温度850
℃〜950℃の範囲で焼成することによって得られるも
のであることがわかる。
粧料に適用した際の配合例を示す。配合例1 ファンデーション 本発明の合成フッ素金雲母 6.0% タルク 6.0% カオリン 3.0% ステアリン酸 2.0% セチルアルコール 0.3% 流動パラフィン 20.0% ポリオキシエチレン(10モル)オレイン酸エステル 1.0% ソルビタントリオレイン酸エステル 1.0% プロピレングリコール 5.0% ポリエチレングリコール4000 5.0% トリエタノールアミン 1.0% ビーガム 0.5% 精製水 49.2% 顔料 適量 香料 適量 防腐剤 適量
有合成フッ素金雲母を主成分とする着色剤およびそれを
配合した化粧料によれば、鉄原子を結晶中に含有し、8
50℃〜950℃の範囲で焼成したことによって紫外線
吸収効果を有すうえに、透明感のある、鮮やかな色彩を
与えることができ、かつ鉄原子を結晶構造中に有すので
光による色彩の劣化がない。
Claims (2)
- 【請求項1】 結晶構造中に鉄原子を含有する合成フッ
素金雲母粉末を、850℃〜950℃で焼成して得た彩
度が4.0以上である合成フッ素金雲母粉末を主成分と
する着色剤。 - 【請求項2】 請求項1記載の合成フッ素金雲母粉末を
主成分とする着色剤を配合したことを特徴とする化粧
料。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10335298A JP4141527B2 (ja) | 1998-03-30 | 1998-03-30 | 合成フッ素金雲母粉末を用いた着色剤、およびそれを配合した化粧料 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10335298A JP4141527B2 (ja) | 1998-03-30 | 1998-03-30 | 合成フッ素金雲母粉末を用いた着色剤、およびそれを配合した化粧料 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11279432A true JPH11279432A (ja) | 1999-10-12 |
JP4141527B2 JP4141527B2 (ja) | 2008-08-27 |
Family
ID=14351751
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10335298A Expired - Lifetime JP4141527B2 (ja) | 1998-03-30 | 1998-03-30 | 合成フッ素金雲母粉末を用いた着色剤、およびそれを配合した化粧料 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4141527B2 (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006348007A (ja) * | 2005-06-13 | 2006-12-28 | Milott:Kk | 化粧料 |
WO2010107010A1 (ja) | 2009-03-18 | 2010-09-23 | 株式会社 資生堂 | 粉末組成物の製造方法及び粉末化粧料 |
US10583070B2 (en) * | 2014-08-08 | 2020-03-10 | Shiseido Company, Ltd. | Solid powder cosmetic |
WO2022097476A1 (ja) * | 2020-11-04 | 2022-05-12 | 株式会社コーセー | 化粧料 |
-
1998
- 1998-03-30 JP JP10335298A patent/JP4141527B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006348007A (ja) * | 2005-06-13 | 2006-12-28 | Milott:Kk | 化粧料 |
WO2010107010A1 (ja) | 2009-03-18 | 2010-09-23 | 株式会社 資生堂 | 粉末組成物の製造方法及び粉末化粧料 |
US10583070B2 (en) * | 2014-08-08 | 2020-03-10 | Shiseido Company, Ltd. | Solid powder cosmetic |
WO2022097476A1 (ja) * | 2020-11-04 | 2022-05-12 | 株式会社コーセー | 化粧料 |
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---|---|
JP4141527B2 (ja) | 2008-08-27 |
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