JPH11279126A - アリールエステルの製造方法とこの方法に用いる触媒 - Google Patents

アリールエステルの製造方法とこの方法に用いる触媒

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JPH11279126A
JPH11279126A JP10082037A JP8203798A JPH11279126A JP H11279126 A JPH11279126 A JP H11279126A JP 10082037 A JP10082037 A JP 10082037A JP 8203798 A JP8203798 A JP 8203798A JP H11279126 A JPH11279126 A JP H11279126A
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JP
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aryl
group
catalyst
ester
reaction
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Application number
JP10082037A
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English (en)
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Kenichi Watanabe
憲一 渡辺
Yoshiyuki Onda
義幸 恩田
Hideaki Tsuneki
英昭 常木
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Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
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Publication date
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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 反応後の触媒の分離を容易に行うことがで
き、しかも、エステル交換で高い活性を示し、触媒寿命
が長く、高選択率、高収率でアリールエステルを製造す
ることが出来る方法とこの方法に用いる触媒を提供する
ことである。 【解決手段】 アリールエステルの製造方法は、エステ
ル結合源とアリール源とを用い、IV族金属元素を含有
するマイクロポーラスマテリアルである不均一系触媒の
存在下、液相でのエステル交換によりアリールエステル
を得る方法において、前記不均一系触媒として、6〜3
0オングストロームの細孔径と60%以上の結晶化度を
有し、その酸量が0.1mmol/g以下である触媒を
用いることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アリール炭酸エス
テルやアリールカルボン酸エステル等のアリールエステ
ルの製造方法とこの方法の実施に使用する触媒に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、アリールエステルの製造方法につ
いては種々の方法が知られている。アリール炭酸エステ
ルの製造方法としては、炭酸エステルと芳香族ヒドロキ
シ化合物とのエステル交換、炭酸エステルとアリールカ
ルボン酸エステルとのエステル交換、アルキルアリール
炭酸エステルのエステル交換不均化等がある。
【0003】これらのエステル交換反応では、通常、一
般に原料や溶剤に溶解する均一系触媒が用いられるが、
反応後に触媒を分離する必要があり、工業的には不利で
あった。そこで、原料や溶剤に溶解しない不均一系触媒
が種々提案されているが、これまで提案されている不均
一系触媒は、一般に、触媒活性が低く、副反応を伴うも
のであった。また、不均一系触媒として提案されている
ものでも、反応開始時には溶解していないが、反応が進
行するにしたがって溶解し、実質的に均一系と変わらな
いものもあった。
【0004】国際特許公開公報WO95/17371に
は、不均一系触媒としてIV族金属元素含有マイクロポ
ーラスマテリアルを用い、この触媒の存在下、液相で下
記のエステル交換反応を行い、アリールエステルを製造
する方法が開示されている。上記公報によると、この不
均一系触媒は、反応後の系からの分離が容易であり、か
つ、高収率・高選択的で工業的に有利にアリールエステ
ルを製造することができるとされている。そして、IV
族金属元素含有マイクロポーラスマテリアル触媒の例と
して、MFI型チタノシリケート(TS−1)、AFI
型チタノアルミノフォスフェート(TAPO−5)、メ
ソポアチタノシリケート(Ti−MCM41)等が挙げ
られている。
【0005】a 炭酸エステルと芳香族ヒドロキシ化合
物のエステル交換。 b アルキルアリール炭酸エステルのエステル交換不均
化。 c 脂肪族カルボン酸エステルと芳香族ヒドロキシ化合
物のエステル交換。 d アリールカルボン酸エステルと炭酸エステルのエス
テル交換。 しかし、これらの触媒には以下の点で性能が十分でない
ことが分かった。すなわち、TS−1は細孔径が小さ
く、上記エステル交換a、cでは活性が高いが、分子の
大きいアリールエステルを用いる上記エステル交換b、
dでは活性が十分ではない。TAPO−5は、a〜dの
いずれのエステル交換でも一応の活性を示すが、触媒中
のAl/Pの原子比率を1/1に調整することが困難で
あるので、原子比率のずれによる酸点が発生し、そのた
め、副反応(脱炭酸反応)によってアニソール等の副生
成物が生成し、選択性が十分ではない。Ti−MCM4
1は、エステル交換bでは高活性を示すが、エステル交
換a、cおよびdでは、反応原料の種類によっては、触
媒中のIV族金属元素であるTiが反応液中に多量に溶
出することがあり、触媒寿命の点で十分ではないことが
わかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明が解決
しようとする課題は、反応後の触媒の分離を容易に行う
ことができ、しかも、a〜dいずれのエステル交換でも
高い活性を示し、触媒寿命が長く、高選択率、高収率で
アリールエステルを製造することが出来る方法とこの方
法に用いる触媒を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明にかかるアリール
エステルの製造方法は、エステル結合源とアリール源と
を用い、IV族金属元素を含有するマイクロポーラスマ
テリアルである不均一系触媒の存在下、液相でのエステ
ル交換によりアリールエステルを得る方法において、前
記不均一系触媒として、6〜30オングストロームの細
孔径と60%以上の結晶化度を有し、その酸量が0.1
mmol/g以下である触媒を用いることを特徴とす
る。
【0008】本発明にかかるアリールエステル製造用触
媒は、エステル結合源とアリール源とを用い、IV族金
属元素を含有するマイクロポーラスマテリアルである不
均一系触媒の存在下、液相でのエステル交換によりアリ
ールエステルを得る方法に用いる不均一系触媒であっ
て、6〜30オングストロームの細孔径と60%以上の
結晶化度を有し、その酸量が0.1mmol/g以下で
あることを特徴とする。
【0009】上記において、前記不均一系触媒がIV族
金属元素およびケイ素を含有するメタロシリケートであ
り、IV族金属元素に対するケイ素の原子比が、下限値
5、上限値500であることが好ましい。
【0010】
【発明の実施形態】〔製造方法〕本発明の方法で使用す
る、エステル結合源とアリール源は、エステル交換の形
態によって様々であり得る。一つの化合物がエステル結
合源とアリール源を兼ねることもある。
【0011】前述した4つのエステル交換を例に挙げ
て、エステル結合源、アリール源とこれにより得られる
アリールエステルを示すと、以下のようである。a 第1の製造方法 エステル結合源が下記一般式(I): (R1 O)CO(OR2 ) …(I) (式中、R1 はアルキル基、シクロアルキル基、アリー
ルアルキル基、または、置換基を有していてもよいアリ
ール基を表し、R2 はアルキル基、シクロアルキル基ま
たはアリールアルキル基を表す)で表される炭酸エステ
ルであり、アリール源が下記一般式(II): R3 OH …(II) (式中、R3 は置換基を有していてもよいアリール基を
表す)で表される芳香族ヒドロキシ化合物であり、アリ
ールエステルが下記一般式(III): (R1 O)CO(OR3 ) …(III) (式中、R1 はアルキル基、シクロアルキル基、アリー
ルアルキル基、または、置換基を有していてもよいアリ
ール基を表し、R3 は置換基を有していてもよいアリー
ル基を表す)で表されるアリール炭酸エステルである。
【0012】b 第2の製造方法 エステル結合源とアリール源が下記一般式(IV): (R2 O)CO(OR3 ) …(IV) (式中、R2 はアルキル基、シクロアルキル基またはア
リールアルキル基を表し、R3 は置換基を有していても
よいアリール基を表す)で表されるアルキルアリール炭
酸エステルで兼ねられており、アリールエステルが下記
一般式(V): (R3 O)CO(OR3 ) …(V) (式中、R3 は置換基を有していてもよいアリール基を
表す)で表されるジアリール炭酸エステルである。
【0013】c 第3の製造方法 エステル結合源が下記一般式(VI): R2 COOR2 …(VI) (式中、R2 はアルキル基、シクロアルキル基またはア
リールアルキル基を表し、2つのR2 は同時に同じであ
ってもよく、異なっていてもよい)で表される脂肪族カ
ルボン酸エステルであり、アリール源が下記一般式(I
I): R3 OH …(II) (式中、R3 は置換基を有していてもよいアリール基を
表す)で表される芳香族ヒドロキシ化合物であり、アリ
ールエステルが下記一般式(VII): R2 COOR3 …(VII) (式中、R2 はアルキル基、シクロアルキル基またはア
リールアルキル基を表し、R3 は置換基を有していても
よいアリール基を表す)で表されるアリールカルボン酸
エステルである。
【0014】d 第4の製造方法 エステル結合源が下記一般式(I): (R1 O)CO(OR2 ) …(I) (式中、R1 はアルキル基、シクロアルキル基、アリー
ルアルキル基、または、置換基を有していてもよいアリ
ール基を表し、R2 はアルキル基、シクロアルキル基ま
たはアリールアルキル基を表す)で表される炭酸エステ
ルであり、アリール源が下記一般式(VII): R2 COOR3 …(VII) (式中、R2 はアルキル基、シクロアルキル基またはア
リールアルキル基を表し、R3 は置換基を有していても
よいアリール基を表す)で表されるアリールカルボン酸
エステルであり、アリールエステルが下記一般式(II
I): (R1 O)CO(OR3 ) …(III) (式中、R1 はアルキル基、シクロアルキル基、アリー
ルアルキル基、または、置換基を有していてもよいアリ
ール基を表し、R3 は置換基を有していてもよいアリー
ル基を表す)で表されるアリール炭酸エステルである。
以下で、エステル結合源とアリールエステルを上記4つ
の方法に即して具体的に説明する。
【0015】第1、第4の製造方法で使用するエステル
結合源である、炭酸エステルとしては、炭酸ジメチル、
炭酸ジエチル、炭酸ノルマルプロピル、炭酸イソプロピ
ル、炭酸ジブチル(各異性体含む)、炭酸ジペンチル
(各異性体含む)、炭酸ジヘキシル(各異性体含む)、
炭酸ジヘプチル(各異性体含む)、炭酸ジオクチル(各
異性体含む)、炭酸ジノニル(各異性体含む)、炭酸ジ
デシル(各異性体含む)、炭酸ジシクロヘキシル(各異
性体含む)、炭酸ジベンジル(各異性体含む)、炭酸ジ
フェネチル(各異性体含む)、炭酸ジ−メチルベンジル
(各異性体含む)等の脂肪族炭酸エステル類;炭酸メチ
ルフェニル、炭酸エチルフェニル等のアルキルアリール
炭酸エステル等が挙げられ、これらの混合物でもよい。
特に、工業的には炭酸ジメチルが好適に用いられる。
【0016】第1、第3の製造方法で使用するアリール
源である、芳香族ヒドロキシ化合物としては、フェノー
ル;o−、m−またはp−クレゾール;o−、m−また
はp−クロロフェノール;o−、m−またはp−エチル
フェノール;o−、m−またはp−イソプロピルフェノ
ール;o−、m−またはp−メトキシフェノール;キシ
レノール類;αまたはβ−ナフトール等が挙げられ、こ
れらの混合物でもよい。中でも工業的にはフェノールが
好適に用いられる。
【0017】第3の製造方法で使用するエステル結合源
である、脂肪族カルボン酸エステルとしては、酢酸メチ
ル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸シク
ロヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸2−エチルヘキシル、
プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン
酸プロピル、プロピオン酸ブチル、酪酸メチル、酪酸エ
チル、酪酸プロピル、イソ酪酸メチル、イソ酪酸エチ
ル、イソ酪酸プロピル、吉草酸メチル、吉草酸エチル、
吉草酸プロピル、イソ吉草酸メチル、イソ吉草酸エチ
ル、イソ吉草酸プロピル、ヘキサン酸メチル、ヘキサン
酸エチル、ヘキサン酸プロピル、ヘプタン酸メチル、ヘ
プタン酸エチル等が挙げられる。
【0018】第2の製造方法で使用するエステル結合源
−アリール源兼用の原料である、アルキルアリール炭酸
エステルとしては、炭酸メチルフェニルや炭酸エチルフ
ェニル等が挙げられ、これらの混合物でもよい。第4の
製造方法で使用するアリール源である、アリールカルボ
ン酸エステルとしては、酢酸フェニル、酢酸メチルフェ
ニル(各異性体含む)、酢酸エチルフェニル(各異性体
含む)、酢酸クロロフェニル(各異性体含む)、酢酸イ
ソプロピルフェニル(各異性体含む)、酢酸パラメトキ
シフェニル(各異性体含む)、酢酸ジメチルフェニル
(各異性体含む)、酢酸ナフチル(各異性体含む)、プ
ロピオン酸フェニル、プロピオン酸メチルフェニル(各
異性体含む)、酪酸フェニル、イソ酪酸メチルフェニ
ル、吉草酸メチルフェニル(各異性体含む)、イソ吉草
酸フェニル、ヘキサン酸フェニル、ヘプタン酸フェニル
等が挙げられる。
【0019】第1、第3、第4の製造方法において、エ
ステル結合源に対するアリール源のモル比は、1/50
〜50が好ましく、1/10〜10がより好ましく、1
/5〜5が最も好ましい。これらの反応は、いずれも平
衡反応であり、しかも、第1、第3の製造方法では平衡
が生成系より原料系側に著しく偏っており、また、第4
の製造方法ではその平衡定数は0.2〜5程度であるた
め、どちらか一方の原料を過剰に用いることによって、
少ないほうの原料の転化率を上げることができる。しか
しながら、原料を大過剰に用いると未反応の原料をリサ
イクルしなければならないため、モル比が大きすぎた
り、小さすぎたりするのは工業的には不利である。たと
えば、第4の製造方法において、炭酸エステルとしてジ
アルキル炭酸エステルを用いる場合、炭酸エステルを過
剰に用いると、アリールカルボン酸エステルの転化率は
高くなるが、アルキルアリール炭酸エステルが主生成物
となり、ジアリール炭酸エステルが生成しにくくなる。
逆に、アリールカルボン酸エステルが過剰の場合は、炭
酸エステルの転化率が高くなり、ジアリール炭酸エステ
ルが主生成物となるのである。
【0020】原料(エステル結合源とアリール源が別の
化合物である場合はその合計量、一つの化合物が兼ねる
場合はその単独量)に対する触媒の使用量は、0.1〜
40重量%が好ましく、0.5〜30重量%がより好ま
しく、1〜15重量%が最も好ましい。本発明の製造方
法は、回分式反応器、流通式反応器等の反応装置を用い
て実施することができ、反応蒸留形式で実施してもよ
く、特に限定されるものではない。
【0021】回分式反応器、流通式反応器等のいずれを
用いる場合でも、反応温度は、100〜350℃が好ま
しく、140〜300℃がより好ましく、160〜28
0℃が最も好ましい。反応温度が低すぎると、触媒活性
が低く、反応時間や接触時間が長くなりすぎて生産性が
低くなるおそれがある。他方、反応温度が高すぎると、
脱炭酸反応等の副反応が起こりやすくなって選択率が低
下したり、反応器内部の圧力が上がりすぎたりするおそ
れがある。反応圧力は原料の蒸気圧によって生ずる圧力
になる。
【0022】回分式反応器を用いる場合、反応時間は、
反応温度と触媒量によって異なるが、一般的には0.1
〜100時間、好ましくは1〜30時間の範囲である。
流通反応式反応器を用いる場合には、流動層式、固定床
式、攪拌槽式のいずれの方式の反応器でも実施できる。
この際の反応条件は、原料組成、反応温度によって変わ
るが、流通する原料の体積流量を反応器の体積で除した
液時空間速度(LHSV)で、下限値は通常0.05h
-1、好ましくは0.1hr-1、さらに好ましくは0.
2hr-1であり、上限値は通常50hr-1、好ましくは
20hr -1である。
【0023】本発明の製造方法では、触媒として不均一
系触媒を用いているため、反応液中に含まれる触媒は反
応液に溶解することがなく、遠心分離や濾過等の通常の
方法で容易に取り除くことができる。触媒を分離した後
の反応液から、目的とするアリールエステルや未反応の
原料、副生成物を、蒸留、抽出、再結晶等の方法によっ
て、分離、回収することができる。
【0024】本発明においては、例えば、第1〜4の製
造方法のいずれか1つの方法でアリールエステルを製造
することができるが、いずれか2つの方法を組み合わせ
て製造することもできる。たとえば、第1の製造方法で
得られたアリール炭酸エステルがアルキルアリール炭酸
エステルである場合、これを原料にして、第2の製造方
法でエステル交換不均化を行い、ジアリール炭酸エステ
ルに転化することができる。また、第3の製造方法で得
られたアリールカルボン酸エステルを原料にして、第4
の製造方法で炭酸エステルとのエステル交換を行い、ア
リール炭酸エステルへ転化することもできる。なお、上
記連続エステル交換において一つのエステル交換は、公
知のチタン、スズ、鉛等の均一系触媒の存在下で行って
もよい。
【0025】本発明で得られるアリールエステルは、樹
脂原料、各種中間原料として工業的に有用な物質であ
る。たとえば、炭酸ジフェニルは、ホスゲンを使わない
ポリカーボネート樹脂製造用の原料として工業的に非常
に有用であり、炭酸メチルフェニルはエステル交換不均
化により炭酸ジフェニルに転化することができるので中
間体として極めて有用であり、アリールカルボン酸エス
テルも炭酸エステルとのエステル交換によって炭酸ジフ
ェニルに転化することができ中間体として極めて有用で
ある。 〔触媒の説明〕本発明にかかる触媒は、IV族金属元素
を含有するマイクロポーラスマテリアルであり、前記原
料中に溶解しない、不均一系触媒である。
【0026】上記マイクロポーラスマテリアルは、極め
て規則性が良くミクロポアからメソポア領域の細孔を有
し、非常に結晶性が高くて比表面積の大きな固体物質で
ある。マイクロポーラスマテリアルは、国際ゼオライト
学会構造委員会の命名法により、その結晶構造に応じて
IUPACコードが付与されており、たとえば、ZSM
−5、TS−1等についてはMFI;ZSM−11、T
S−2等についてはMEL;AlPO4−5、TAPO
−5等についてはAFI;β型ゼオライト等については
BEA;VPI−5等についてはVFIである。ここ
で、代表的なマイクロポーラスマテリアルであるBEA
型メタロシリケートは、IUPACコードによるとBE
Aと分類されたメタロシリケートのことである。BEA
型メタロシリケートは、規則性のある結晶構造を有し、
酸素12員環からなる約6.4(短径)×約7.6(長
径)オングストロームの細孔を有し、300〜700m
2/g程度の大きさの比表面積を有する固体物質であ
る。
【0027】ミクロポア領域の細孔を有するマイクロポ
ーラスマテリアルとしては、メタロシリケートや、メタ
ロアルミノフォスフェート等を挙げることができる。メ
タロシリケートとはアルミノシリケートであるゼオライ
トのアルミニウム原子の代わりに、他の金属元素が結晶
格子中に導入された化合物である。また、メタロアルミ
ノフォスフェートとは、アルミノフォスフェートである
ゼオライトのアルミニウム原子およびリン原子の一部
が、他の金属元素に置き代わって結晶格子中に導入され
ている化合物である。
【0028】メソポア領域の細孔を有するマイクロポー
ラスマテリアルとしては、メソポアチタノシリケート等
を挙げることができる。メソポアチタノシリケートと
は、メソポアを有するアルミノシリケートのアルミニウ
ム原子の代わりにIV族金属元素であるチタンが結晶格
子中に導入された化合物であり、たとえば、MCM−4
1、FMS−16等を挙げることができる。メソポアチ
タノシリケートとしては、20オングストローム前後の
メソポアを有するものが一般的であるが、たとえば、
J.A.C.S.114,10834〜10843(1
992)には、添加剤を加えることによって孔径を大き
くしたものが報告されている。
【0029】本発明の触媒に含まれるIV族金属元素
は、チタン、ジルコニウム、スズおよび鉛から選ばれた
少なくとも1種の金属元素である。なお、本発明では、
ケイ素はIV族金属元素に含まれない。本発明の触媒と
しては、IV族金属元素およびケイ素を含有するメタロ
シリケートが好ましい。このようなメタロシリケートと
しては、チタンおよびケイ素を含有するチタノシリケー
トがさらに好ましく、BEA型チタノシリケートが最も
好ましい。
【0030】上記メタロシリケートの組成としては、I
V族金属元素に対するケイ素の原子比の下限値が、好ま
しくは5、さらに好ましくは15、最も好ましくは30
であり、原子比の上限値が、好ましくは500、さらに
好ましくは400、最も好ましくは300である。原子
比が5未満であると、メタロシリケート中に占めるIV
族金属元素の割合が多すぎて、すべてのIV族金属元素
が結晶格子中に取り込まれず、その一部が酸化物として
結晶格子外に存在するようになり、細孔を閉塞したり、
結晶性が低下したりするおそれがある。他方、原子比が
500を超えると、メタロシリケート中に占めるIV族
金属元素の割合が少なすぎて、目的とするアリールエス
テルの収率が低下するおそれがある。
【0031】本発明にかかる触媒の細孔径は、目的とす
るアリールエステルの収率および選択率を高めるために
重要なパラメーターであって、6〜30オングストロー
ムの範囲にあり、好ましくは7〜20オングストローム
である。触媒の細孔径が6オングストローム未満である
と、アリールエステル類の収率が低下することがある。
他方、触媒の細孔径が30オングストロームを超える
と、結晶性が低下し、活性が低下する。
【0032】本発明の触媒の細孔径は、ガス吸着法、X
線結晶解析等の公知の方法により測定することができ
る。ゼオライト、メタロシリケート、メタロアルミノフ
ォスフェート等の触媒の多くは、X線結晶解析により構
造が決定されている。触媒の形状や細孔径は「ZEOL
ITES、Vol.12、No.5、1992」や「H
ANDBOOK OF MOLECULAR SIEV
ES、R.Szostak著、VAN NOSTRAN
D REINHOLD出版」(文献1)等に記載されて
いる。このような場合には、上記文献記載の細孔径をそ
のまま本発明の触媒の細孔径としてもよい。
【0033】MFI構造の触媒は、上記文献1によれ
ば、0.53×0.56オングストロームおよび0.5
1×0.55オングストロームの酸素10員環からなる
細孔を有する。AFI構造の触媒は、7.3×7.3オ
ングストロームの酸素12員環からなる細孔を有する。
BEA構造の触媒は、6.4×7.6オングストローム
および5.5×5.5オングストロームの酸素12員環
からなる細孔を有する。これらの細孔径は、マイクロポ
ーラスマテリアルを構成する元素の種類や、イオン交換
可能なマイクロポーラスマテリアルの場合にはカウンタ
ーカチオンの種類等によって、微妙に変化する。したが
って、実際の細孔径は、Arガスや窒素ガス等の吸着等
温線を測定する公知の方法により求めることが好まし
い。
【0034】本発明で定義する細孔径は、マイクロポー
ラスマテリアルの細孔径が2種類以上ある場合は、径の
大きいほうが本発明で定義するものである。また、細孔
が真円でない場合は、最も大きな径が本発明で定義する
ものである。マイクロポーラスマテリアルの細孔構造
は、1次元構造、2次元構造および3次元構造に大きく
分類される。本発明の触媒は、いずれの細孔構造を有す
るものでもよいが、2次元構造および3次元構造を有す
るものが好ましく、3次元構造のみを有するものがさら
に好ましい。
【0035】本発明にかかる触媒の酸量は、目的とする
アリールエステルの選択率を高めるために重要なパラメ
ーターであって、0.1mmol/g以下である。触媒
の酸量が0.1mmol/gを超えると、触媒の酸点が
多くなり、脱炭酸によるアニソール生成等の副反応が生
起して、アリールエステルの選択率が低下する。触媒の
酸量は、塩化ナトリウム水溶液によるイオン交換滴定法
によって測定することができ、たとえば、以下に示す
「日本化学会誌、1989、No.3、p.521」に
記載された以下の測定方法によって求められる。
【0036】触媒0.1gに1mol/Lの塩化ナトリ
ウム水溶液を10ml加え、25℃の条件で1時間攪拌
する。得られたスラリーを0.45μのメンブランフィ
ルターで濾過し、さらにフィルターに残留した触媒を1
0mlの脱イオン水で水洗した。得られた濾液と水洗液
とを合計したものを0.1N水酸化ナトリウム水溶液
で、フェノールフタレインを指示薬として滴定する。触
媒の酸量は次式により求まる。
【0037】酸量(mmol/g)=A×0.1×F/
W A:滴定に要した水酸化ナトリウム水溶液の容量(m
l) F:滴定に用いた水酸化ナトリウムのファクター W:触媒重量(g) 本発明にかかる触媒の結晶化度は、触媒の結晶性の度合
いを示すものであり、反応における触媒の不均一性の程
度も示し、反応後の触媒の分離を容易にするために重要
なパラメーターであって、60%以上であり、好ましく
は70%以上、より好ましくは80%以上である。触媒
の結晶化度が前記範囲未満であると、触媒の非晶性の部
分から活性金属が溶出するおそれがある。
【0038】触媒の結晶化度は、粉末X線回折(XR
D)分析から測定することができる。たとえば、シリカ
−チタニア等の触媒では、XRDを測定してもブロード
なピークのみが見られ、明瞭な回折ピークを示さず、そ
の結晶化度(結晶性)は低い。一方、BEA型メタロシ
リケートでは、その結晶構造に対応した明瞭な回折ピー
クが見られ、その結晶化度(結晶性)は一般に高い。
【0039】触媒の結晶化度の測定方法を、図1を参照
しながら説明する。図1は、結晶性化合物のXRD分析
の回折パターンを示す模式図である。図1のC部分は、
結晶性化合物のXRD分析のピークにおいて、走査軸の
走査範囲が2θ=5.0〜40.0度までのピーク強度
のうち、各強度ピークの底点を結んでベースラインとし
て、それよりも上にあるピーク部分を示す。このC部分
の面積(c)は、結晶性化合物の結晶質を示す。一方、
図1のT部分は、走査軸の走査範囲が2θ=5.0〜4
0.0度までのピーク強度のうち、各強度ピークの底点
を結んでベースラインと、2θ=5.0度付近のピーク
の底点と、2θ=40.0度付近のピークの底点とを直
線で結んだ線によって囲まれた部分を示す。このT部分
の面積(t)は、結晶性化合物の非晶質を示す。触媒の
結晶化度は、cおよびtから下式のによって求められ
る。
【0040】結晶化度(%)=100×c/(c+t) 触媒の結晶化度が、MFI型構造の触媒では90%以
上、AFI型やUTD−1型の触媒では75%以上、構
造異性体を有するBEA型の触媒では60%以上のもの
を容易に製造することができる。本発明の触媒の調製方
法としては、一般にIV族金属元素含有マイクロポーラ
スマテリアルの調製に用いられる方法が適用でき、特に
限定はされないが、アトムプランティング法や水熱合成
法等が挙げられる。これらのうちでも好適に用いられる
のは、構造指示剤(テンプレート剤)を用いた水熱合成
法である。アトムプランティング法は、たとえば、IV
族金属元素を含まないマイクロポーラスマテリアル(前
駆体)を一旦合成し、この前駆体と、IV族金属元素を
含む気体(たとえば、TiCl4 )とを高温下で接触さ
せることにより、前記前駆体の結晶格子にIV族金属元
素を導入する方法である。水熱合成法は、たとえば、I
V族金属元素含有マイクロポーラスマテリアルの原料と
構造指示剤と水とを混合し、所定の温度に加熱して結晶
化させる方法である。水熱合成法における構造指示剤と
しては、特に限定はされないが、たとえば、BEA構造
を有するメタロシリケートを合成する場合には、テトラ
エチルアンモニウムヒドロキシド、ジベンジルジメチル
アンモニウムヒドロキシド、4,4’−トリメチレン−
ビス(N−ベンジル N−メチルピペリジニウム)ジハ
イドロオキサイド等が用いられる。
【0041】
【実施例】以下に、本発明について、その実施例および
比較例を挙げてさらに詳細に説明するが、本発明は下記
実施例に限定されない。 −触媒の調製−実施例1−1 (触媒A−1の調製) 欧州特許公開公報EP659685A1に記載の方法に
準じ、BEA型チタノシリケートを以下のように調製し
た。
【0042】まず、触媒合成の構造指示剤となる4,
4’−トリメチレン−ビス(N−メチルピペリジニウ
ム)ジハイドロオキサイド水溶液を以下の方法で調製し
た。攪拌機、冷却管および滴下ロートを備えた3Lフラ
スコに酢酸エチル1680g、臭化ベンジル94.4g
を仕込み、窒素雰囲気下、この混合液を70℃まで昇温
した。そこへ4,4’−トリメチレン−ビス(N−メチ
ルピペリジン)55.1gを攪拌下でゆっくりと滴下
し、引き続き70℃で5時間攪拌を行って、4,4’−
トリメチレン−ビス(N−メチルピペリジニウム)ブロ
ミドを含むスラリーを得た。このスラリーを濾過して得
られた固形分を酢酸エチルおよびn−ヘキサンで洗浄し
た後、30℃、減圧下で48時間乾燥して、4,4’−
トリメチレン−ビス(N−メチルピペリジニウム)ブロ
ミドの白色粉末を得た。収率は95%であった。次に、
この粉末を水に溶解して34.5wt%水溶液とした
後、電気透析式イオン交換装置を用いてアニオン種のブ
ロマイドアニオンをハイドロオキサイドアニオンにイオ
ン交換して、4,4’−トリメチレン−ビス(N−メチ
ルピペリジニウム)ジハイドロオキサイド水溶液を得
た。この水溶液に水を加えて1.27NとしたものをA
液とする。
【0043】次に、このA液を構造指示剤として触媒の
合成を以下の方法で行った。攪拌機、冷却管および滴下
ロートを備えた500mlフラスコにケイ酸エチル8
8.3gを仕込み、ここへ攪拌下0.05Nの塩酸2.
15gを滴下し、さらにエタノール88.5gを滴下
し、その後、室温で1時間攪拌して反応液を得た。次
に、モレキュラーシーブスで脱水処理した2−プロパノ
ール45mlとチタンテトラブトキシド1.6gを窒素
雰囲気下で混合した溶液を調製し、この溶液を前記反応
液中に攪拌しながらゆっくりと滴下した。滴下終了後、
さらに前記A液13.1g、次いで水33.5gを順次
滴下して、しばらく攪拌した後昇温し、還流下で、90
〜100℃に昇温し、2時間攪拌することにより、アル
コキシドの加水分解を行わせた。その後、110〜12
0℃に昇温し、溶媒を留去して白色の粉末(前駆体)を
得た。この前駆体に前記A液54.5gおよび水11.
4gを添加し、均一になるまで攪拌した後、得られたス
ラリーをステンレス製オートクレーブに移し、135℃
で8日間加熱して水熱合成を行った。生成したゲルを濾
別し、濾液中のpHが8以下になるまで純水で洗浄し、
その後110℃で8時間乾燥した後、540℃で3時間
空気中で焼成して、結晶性チタノシリケートを得た。こ
れを触媒A−1とする。
【0044】IPC発光分析装置による触媒A−1の分
析では、触媒A−1中のチタン1に対するケイ素の原子
比は69であった。BET法による比表面積は335m
2/gであった。塩化ナトリウム水溶液によるイオン交
換滴下法により求まる酸量は0.1mmol/g以下で
あった。触媒A−1に関するCuKα線を用いた粉末X
線回折のデータは表1の通りであり、この結果から、触
媒A−1はBEA構造であり、結晶化度は71%であっ
た。なお、BEA構造は6.4×7.6オングストロー
ムの細孔を有する化合物である。
【0045】
【表1】
【0046】実施例1−2(触媒A−2の調製) 実施例1において、チタンテトラブトキシドの使用量を
4.52gに変更した他は実施例1と同様の手順によ
り、触媒A−2を調製した。IPC発光分析装置による
触媒A−2の分析では、触媒A−2中のチタン1に対す
るケイ素の原子比は24であった。BET法による比表
面積は323m2/gであった。塩化ナトリウム水溶液
によるイオン交換滴下法により求まる酸量は0.1mm
ol/g以下であった。触媒A−1に関するCuKα線
を用いた粉末X線回折のデータは、実施例1の結果とほ
ぼ同じであり、この結果から、触媒A−1はBEA構造
であり、結晶化度は66%であった。なお、BEA構造
は6.4×7.6オングストロームの細孔を有する化合
物である。実施例1−3 (触媒A−3の調製) 第11回インターナショナルコングレスオンキャタリシ
ス−40thアニバーサリースタディーインサーフェス
サンエンスアンドキャタリシス(11th Inter
national Congress on Cata
lysis−40th Anniversary St
udies In Surface Science
and Catalysis),101卷,1341−
1348(1996)に記載の方法に準じ、UTD−1
構造のチタノシリケートを以下のように調製した。
【0047】まず、触媒合成の構造指示剤となるビス
(ペンタメチル−シクロペンタジエニル)コバルト(II
I)ハイドロオキサイド水溶液を以下の方法で調製し
た。ビス(ペンタメチル−シクロペンタジエニル)コバ
ルト(III)ヘキサフルオロホスフェート粉末5gを6
Lの水/メタノール混合液(混合比はモル比で水/メタ
ノール=2/1)に溶解させ、この溶液を陽イオン交換
樹脂を含んだカラムに通した。溶離液中にコバルトが含
まれなくなるまで繰り返しカラムに通した後、水で陽イ
オン交換樹脂を溶離液のpHが7になるまで洗浄した。
次に1N塩酸とメタノールを重量比1/1で混合した溶
液をイオン交換樹脂を含んだカラムに通し、イオン交換
樹脂にトラップ(結合)させたコバルト錯体を、ビス
(ペンタメチル−シクロペンタジエニル)コバルト(II
I)クロライドの形ですべて溶離させた。得られたビス
(ペンタメチル−シクロペンタジエニル)コバルト(II
I)クロライド水溶液をロータリーエバポレーターを用
いて5cc以下まで濃縮し、そこに水を加えて30cc
とした。この溶液を40〜50℃に加熱して酸化銀10
gを加えて1時間攪拌した。酸化銀を加えたスラリーの
一部を取り出して濾過し、濾液中にクロライドがないこ
とを確認した後、攪拌をやめ、スラリーを減圧濾過し
て、ビス(ペンタメチル−シクロペンタジエニル)コバ
ルト(III)ハイドロオキサイド水溶液を得た。この水
溶液の定量はIPC測定およびフェノールフタレイン指
示薬を用いたpH滴定で行った。定量の結果、構造指示
剤の濃度は0.12mmol/ccでカウンターアニオ
ンのハイドロオキサイドへの交換率は、ほぼ100%で
あった。この液をA液とする。
【0048】次に、このA液を構造指示剤として触媒の
合成を以下の方法で行った。モレキュラーシーブスで脱
水処理した2−プロパノール10mlを50mlのビー
カーに取り、ここへチタンテトラブトキシド0.25g
を窒素雰囲気下で滴下し、攪拌しながら均一な溶液を調
製した。次に、攪拌機、冷却管および滴下ロートを備え
た100mlフラスコにケイ酸エチル3.83gを仕込
み、ここへ、A液を20cc攪拌しながら滴下し、室温
で30分間攪拌し、0℃まで冷却した後、上記均一なチ
タンテトラブトキシドを攪拌しながら、ゆっくりと滴下
した。その後、還流下で60〜70℃に昇温して2時間
攪拌して、スラリーを得た。このスラリーをステンレス
製オートクレーブに移し、175℃で6日間加熱して水
熱合成を行った。生成したゲルを濾別し、濾液中のpH
が8以下になるまで純粋で洗浄し、その後110℃で8
時間乾燥した後、600℃で5時間空気中で焼成して、
結晶性チタノシリケートを得た。これを触媒A−3とす
る。
【0049】IPC発光分析装置による触媒A−3の分
析では、触媒A−3中のチタン1に対するケイ素の原子
比は42であった。BET法による比表面積は303m
2/gであった。塩化ナトリウム水溶液によるイオン交
換滴下法により求まる酸量は0.1mmol/g以下で
あった。触媒A−1に関するCuKα線を用いた粉末X
線回折のデータは、表2の通りであり、J.A.C.
S.119巻 8474−8484(1997)等に記
載されているUTD−1構造の粉末X線回折パターンと
同一であった。UTD−1構造は7.5×10オングス
トロームの細孔を有する化合物である。
【0050】
【表2】
【0051】比較例1−1(比較用触媒B−1の調製) ケイ酸エチル64.5gを内容積500mlのビーカー
にとり、ここへチタンテトラブトキシド3.2gをゆっ
くりと滴下した後、35℃で30分攪拌した。これを0
℃まで冷却し、そこへ、予め0℃に冷却しておいたテト
ラプロピルアンモニウムヒドロキシド10重量%水溶液
266.5gを0℃に保ったままゆっくり滴下した。滴
下終了後、80〜90℃に昇温して5時間攪拌した。こ
の混合溶液をオートクレーブに移し、175℃で2日間
加熱して水熱合成を行った。生成した固体を濾過し、さ
らに、濾液のpHが8以下になるまで純粋で洗浄した。
その後120℃で8時間乾燥した後、540℃で3時間
空気中で焼成することにより、結晶性チタノシリケート
を得た。これを比較用触媒B−1とする。
【0052】比較用触媒B−1に関する蛍光X線による
分析ではB−1中のチタン1に対するケイ素の原子比は
27であり、また、BET法によるB−1の比表面積は
366m2 /gであった。塩化ナトリウム水溶液による
イオン交換滴下法により求まる酸量は0.1mmol/
g以下であった。また、B−1に関するCuKα線を用
いた粉末X線回折のデータは表3に示す通りであり、こ
の結果から、B−1はMFI構造(TS−1タイプ)で
あることがわかった。MFI構造は5.3×5.6オン
グストロームの細孔を有する化合物である。
【0053】
【表3】
【0054】比較例1−2(比較用触媒B−2の調製) リン酸(85重量%水溶液)34.6gを内容積500
mlのビーカーにとり、ここへテトラエチルアンモニウ
ムヒドロキシド(20重量%水溶液)73.6gを加え
てしばらく攪拌し、その後室温まで冷却した。この混合
液にイオン交換水18.0gおよび擬ベーマイト(Ca
taloid−AP;触媒化成(株)、70重量%Al
2 3 含有)21.9gを加え、さらにチタンテトライ
ソプロポキシド15.8gを加えて2時間攪拌した。こ
の混合溶液をオートクレーブに移して水熱合成を行っ
た。水熱合成は、室温から160℃まで90分で昇温
し、続いて160℃から200℃まで3時間かけて昇温
してから200℃で4時間保持することにより行った。
生成した固体を濾別し、さらに純粋で3回洗浄してから
次の方法で乾燥、焼成を行った。まず、10℃毎分の速
度で室温から120℃まで昇温し、そのまま120℃で
180分保持した後、再び10℃毎分の速度で230℃
まで昇温してから230℃で480分保持し、さらに3
℃毎分の速度で600℃まで昇温し、600℃で180
分保持することにより、結晶性チタノアルミノフォスフ
ェートを得た。これを比較用触媒B−2とする。
【0055】比較用触媒B−2に関するIPCによる分
析ではB−2中のチタン1に対するアルミニウムおよび
リンの原子比はそれぞれ6.25、6.27であり、ま
た、BET法によるB−2の比表面積は269m2 /g
であった。塩化ナトリウム水溶液によるイオン交換滴下
法により求まる酸量は0.63mmol/gであった。
また、B−2に関するCuKα線を用いた粉末X線回折
のデータは表4に示す通りであり、この結果から、B−
2はAFI型構造であり、結晶化度は75%であった。
AFI型構造は7.3×7.3オングストロームの細孔
を有する化合物である。
【0056】
【表4】
【0057】比較例1−3(比較用触媒B−3の調製) 窒素気流下、オルトケイ酸テトラエチル81.1g
(0.39mol)にチタニウムテトラブトキシド1.
3gを攪拌しながらゆっくりと滴下し、その後温度を約
80℃に上げ、約5時間攪拌した。これを室温まで冷却
した後、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド0.
29molを2−プロパノール231.3gに溶解した
溶液を加え、30分攪拌を行った。次に、テトラメチル
アンモニウムハイドロオキサイド(15%水溶液)4
2.9gおよびイオン交換水590gを追加し、温度を
約90℃に上げて約5時間アルコールの留去を行った。
その後、テフロン容器に移し、100℃で240時間水
熱合成を行った。得られた固形物を濾過洗浄し、乾燥
後、540℃の条件で6時間空気中で熱処理を行って、
メソポアチタノシリケートを得た。これを比較用触媒B
−3とする。
【0058】使用した原料のモル比は、Si:Ti:ド
デシルトリメチルアンモニウムクロリド:水=1:0.
01:0.75:85.5であった。比較用触媒B−3
に関するIPCによる分析ではB−3中のチタン1に対
するケイ素の原子比は89.9であり、また、BET法
によるB−3の比表面積は1319m2 /gであった。
塩化ナトリウム水溶液によるイオン交換滴下法により求
まる酸量は0.1mmol/g以下であった。また、B
−3に関するCuKα線を用いた粉末X線回折のデータ
は表5に示す通りであり、この結果から、B−3はMC
M−41型構造であり、結晶化度は0%であった。窒素
吸着法によって細孔径分布を測定し、これから求めた細
孔径は約25オングストロームであった。
【0059】
【表5】
【0060】−アリールエステルの製造−(a)原料が炭酸エステルと芳香族ヒドロキシ化合物で
ある場合 以下の実施例および比較例中の転化率、収率は、以下に
示す式により計算されたものである。 炭酸エステル転化率(モル%)=100−(回収された
未反応炭酸エステルのモル数/供給した原料炭酸エステ
ルのモル数)×100 アリール炭酸エステル収率(モル%)=(生成したアリ
ール炭酸エステルのモル数/供給した原料炭酸エステル
のモル数)×100 副生成物収率(モル%)=(生成した副生成物のモル数
/供給した原料炭酸エステルのモル数)×100 実施例2−1 攪拌器、圧力計、サンプリング用ノズル、温度計および
加熱用外部ヒーターを備えた内容積200mlのオート
クレーブにドライボックス中で、フェノール83.9
g、炭酸ジメチル16.1g、触媒A−1を2.0g仕
込み、窒素で1MPaに加圧した。これを200℃まで
加熱し、5時間反応させた。原料のフェノール/炭酸ジ
メチルのモル比は5/1、触媒は2重量%である。反応
終了後の反応液をガスクロマトグラフで分析して、転化
率・収率を求めた。結果を表6に示した。
【0061】反応終了後の反応液中の溶出Ti濃度をI
CP発光分析装置で分析した。その結果、溶出Ti濃度
は0.5ppmしかなく、ほとんど溶出は見られなかっ
た。本反応は平衡反応であり、生成物であるメタノール
を除去しない場合の平衡収率は11%程度と考えられる
ので、この実施例では平衡まで反応が進行したと言え
る。実施例2−2 実施例2−1において、触媒A−1の代わりに触媒A−
2を用いたこと以外は実施例2−14と同様の操作によ
り反応を行った。結果を表6に示した。
【0062】反応終了後の反応液中の溶出Ti濃度は、
実施例2−1と同様にして分析した結果0.6ppmし
かなく、ほとんど溶出は見られなかった。実施例2−1
と同様、この実施例も平衡まで反応が進行したといえ
る。実施例2−3 実施例2−1において、触媒A−1の代わりに触媒A−
3を用いたこと以外は実施例2−1と同様の操作により
反応を行った。結果を表6に示した。
【0063】反応終了後の反応液中の溶出Ti濃度は、
実施例2−1と同様にして分析した結果0.3ppmし
かなく、ほとんど溶出は見られなかった。実施例2−1
と同様、この実施例も平衡まで反応が進行したといえ
る。比較例2−1 実施例2−1において、触媒A−1の代わりに比較用触
媒B−1を用いたこと以外は実施例2−1と同様の操作
により反応を行った。結果を表6に示した。
【0064】反応終了後の反応液中の溶出Ti濃度は、
実施例2−1と同様にして分析した結果0.4ppmし
かなく、ほとんど溶出は見られなかったが、実施例2−
1〜2−3と比較して、反応速度が遅く、5時間の反応
では平衡組成には到達していない。比較例2−2 実施例2−1において、触媒A−1の代わりに比較用触
媒B−2を用いたこと以外は実施例2−1と同様の操作
により反応を行った。結果を表6に示した。
【0065】反応終了後の反応液中の溶出Ti濃度は、
実施例2−1と同様にして分析した結果1.7ppmし
かなく、また、反応を繰り返すことでTiの溶出はほと
んど見られなくなった。しかし、実施例2−1〜2−3
と比較して、反応速度が遅く、しかも副生成物のアニソ
ールの生成も多く、実用上問題がある。比較例2−3 実施例2−1において、触媒A−1の代わりに比較用触
媒B−3を用いたこと以外は実施例2−1と同様の操作
により反応を行った。
【0066】反応の結果、反応液にはチタンのフェノキ
シドによると思われる橙色の着色が見られ、実施例2−
1と同様にして求めた溶出Ti濃度は134ppmもあ
った。これは触媒全体の約75%に相当し、大量のTi
が溶出していることから、比較用触媒B−3は不均一系
触媒とは言えず、比較例6では均一系反応が起こってい
た。
【0067】
【表6】
【0068】(b)原料がアルキルアリール炭酸エステ
ルである場合 以下の実施例および比較例中の転化率、収率は、以下に
示す式により計算されたものである。 アルキルアリール炭酸エステル転化率(モル%)=10
0−(回収された未反応アルキルアリール炭酸エステル
のモル数/供給した原料アルキルアリール炭酸エステル
のモル数)×100 ジアリール炭酸エステル収率(モル%)=(生成したジ
アリール炭酸エステルのモル数/供給した原料アルキル
アリール炭酸エステルのモル数)×100 副生成物収率(モル%)=(生成した副生成物のモル数
/供給した原料アルキルアリール炭酸エステルのモル
数)×100実施例3−1 攪拌器、圧力計、サンプリング用ノズル、温度計および
加熱用外部ヒーターを備えた内容積200mlのオート
クレーブにドライボックス中で、炭酸メチルフェニル4
9.0g、触媒A−1を2.0g仕込み、オートクレー
ブ中を窒素置換した。これを200℃まで加熱し、5時
間反応させた。触媒は2重量%である。反応終了後の反
応液をガスクロマトグラフで分析して、転化率・収率を
求めた。結果を表7に示した。
【0069】反応終了後の反応液中の溶出Ti濃度をI
CP発光分析装置で分析した。その結果、溶出Ti濃度
は0.6ppmしかなく、ほとんど溶出は見られなかっ
た。 実施例3−2 実施例3−1において、触媒A−1の代わりに触媒A−
2を用いたこと以外は実施例3−1と同様の操作により
反応を行った。結果を表7に示した。
【0070】反応終了後の反応液中の溶出Ti濃度は、
実施例3−1と同様にして分析した結果0.8ppmし
かなく、ほとんど溶出は見られなかった。実施例3−3 実施例3−1において、触媒A−1の代わりに触媒A−
3を用いたこと以外は実施例3−1と同様の操作により
反応を行った。結果を表7に示した。
【0071】反応終了後の反応液中の溶出Ti濃度は、
実施例3−1と同様にして分析した結果0.4ppmし
かなく、ほとんど溶出は見られなかった。比較例3−1 実施例3−1において、触媒A−1の代わりに比較用触
媒B−1を用いたこと以外は実施例3−1と同様の操作
により反応を行った。結果を表7に示した。
【0072】反応終了後の反応液中の溶出Ti濃度は、
実施例3−1と同様にして分析した結果0.1ppmし
かなく、ほとんど溶出は見られなかった。しかし、実施
例3−1〜3−3と比較して、反応速度が遅く、実用上
問題がある。比較例3−2 実施例3−1において、触媒A−1の代わりに比較用触
媒B−2を用いたこと以外は実施例3−1と同様の操作
により反応を行った。結果を表7に示した。
【0073】比較用触媒B−2はAlに対するPの原子
比が1.08であり、その電荷バランスに起因する触媒
中のわずかな酸点による脱炭酸が起こり、フェノールの
メチル化によるアニソールが生成した。
【0074】
【表7】
【0075】(c)原料が脂肪族カルボン酸エステルと
芳香族ヒドロキシ化合物である場合 以下の実施例および比較例中の転化率、収率は、以下に
示す式により計算されたものである。 脂肪族カルボン酸エステル転化率(モル%)=100−
(反応液中の未反応脂肪族カルボン酸エステルのモル濃
度/供給した原料中の脂肪族カルボン酸エステルのモル
濃度)×100 アリールカルボン酸エステル収率(モル%)=(反応液
中のアリールカルボン酸エステルのモル濃度/供給した
原料中の脂肪族カルボン酸エステルのモル濃度)×10
実施例4−1 内径8mm、長さ100mmの反応管に16〜60メッ
シュの大きさに圧縮成型した触媒A−1を5cc詰め、
それを流通系反応装置に組み込んだ。200℃に加熱し
たオイルバスに反応管を浸し、そこへLHSV=15〜
40hr-1の速度で原料を送液し、出口より反応液を得
た。原料のフェノール/吉草酸メチルのモル比は1/1
で、また、反応圧を5kg/cm2に設定して行った。
【0076】反応液をガスクロマトグラフで分析して求
めた、各LHSV値での吉草酸フェニルの収率を表8に
示す。また、表8から反応速度定数を求めたところ、
6.4×10-5l/mol・secであった。なお、反
応速度は、フェノールと吉草酸メチルの濃度に関してそ
れぞれ1次として算出した。反応液中の溶出Ti濃度を
ICP発光分析装置で分析した。その結果、溶出Ti濃
度は0.1ppm以下しかなく、ほとんど溶出は見られ
なかった。
【0077】
【表8】
【0078】実施例4−2 実施例4−1において、触媒A−1の代わりに触媒A−
2を用い、原料の送液をLHSV=6〜15hr-1の範
囲で行ったこと以外は実施例4−1と同様の操作により
反応を行った。反応液をガスクロマトグラフで分析して
求めた、各LHSV値での吉草酸フェニルの収率を表9
に示す。また、表9から反応速度定数を求めたところ、
1.7×10-5l/mol・secであった。なお、反
応速度は、フェノールと吉草酸メチルの濃度に関してそ
れぞれ1次として算出した。
【0079】反応液中の溶出Ti濃度をICP発光分析
装置で分析した。その結果、溶出Ti濃度は0.1pp
m以下しかなく、ほとんど溶出は見られなかった。
【0080】
【表9】
【0081】実施例4−3 実施例4−1において、触媒A−1の代わりに触媒A−
3を用い、原料の送液をLHSV=5〜20hr-1の範
囲で行ったこと以外は実施例4−1と同様の操作により
反応を行った。反応液をガスクロマトグラフで分析して
求めた、各LHSV値での吉草酸フェニルの収率を表1
0に示す。また、表10から反応速度定数を求めたとこ
ろ、2.7×10-5l/mol・secであった。な
お、反応速度は、フェノールと吉草酸メチルの濃度に関
してそれぞれ1次として算出した。
【0082】反応液中の溶出Ti濃度をICP発光分析
装置で分析した。その結果、溶出Ti濃度は1ppm以
下しかなく、ほとんど溶出は見られなかった。
【0083】
【表10】
【0084】比較例4−1 実施例4−1において、触媒A−1の代わりに比較用触
媒B−1を用い、原料の送液をLHSV=0.6〜6h
-1の範囲で行ったこと以外は実施例4−1と同様の操
作により反応を行った。反応液をガスクロマトグラフで
分析して求めた、各LHSV値での吉草酸フェニルの収
率を表11に示す。また、表11から反応速度定数を求
めたところ、1.8×10-6l/mol・secであ
り、触媒A−1、A−2を使用した場合と比べて反応速
度がかなり遅いことがわかった。
【0085】反応液中の溶出Ti濃度をICP発光分析
装置で分析した。その結果、溶出Ti濃度は1ppm以
下しかなく、ほとんど溶出は見られなかった。
【0086】
【表11】
【0087】比較例4−2 実施例4−1において、触媒A−1の代わりに比較用触
媒B−2を用い、原料の送液をLHSV=3〜44hr
-1の範囲で行ったこと以外は実施例4−1と同様の操作
により反応を行った。反応液をガスクロマトグラフで分
析して求めた、各LHSV値での吉草酸フェニルの収率
を表12に示す。また、表12から反応速度定数を求め
たところ、2.2×10-6l/mol・secであり、
触媒A−1、A−2を使用した場合と比べて反応速度が
かなり遅く、さらにアニソール等の副生成物も生成して
いることもわかった。触媒使用にあたって大きな問題で
ある。
【0088】反応液中の溶出Ti濃度をICP発光分析
装置で分析した。その結果、溶出Ti濃度は1ppm以
下しかなく、ほとんど溶出は見られなかった。
【0089】
【表12】
【0090】比較例4−3 実施例4−1において、触媒A−1の代わりに比較用触
媒B−3を用い、実施例4−1と同様の操作により反応
を行った。反応の結果、反応液にはチタンのフェノキシ
ドによると思われる橙色の着色が見られ、ICP発光分
析装置で分析した結果、反応初期段階で触媒全体の約8
0%に相当し、大量のTiが溶出していることから、実
際には均一系反応が起こっていた。(d)原料がアリールカルボン酸エステルと炭酸エステ
ルである場合 以下の実施例および比較例中の転化率、収率は、以下に
示す式により計算されたものである。
【0091】アリールカルボン酸エステル転化率(モル
%)=100−(反応液中の未反応アリールカルボン酸
エステルのモル濃度/供給した原料中のアリールカルボ
ン酸エステルのモル濃度)×100 アルキルアリール炭酸エステル収率(モル%)=100
−(反応液中のアルキルアリール炭酸のモル濃度/供給
した原料中のアリールカルボン酸エステルのモル濃度)
×100 ジアリール炭酸エステル収率(モル%)=100−(反
応液中のジアリール炭酸のモル濃度/供給した原料中の
アリールカルボン酸エステルのモル濃度)×100実施例5−1 内径8mm、長さ100mmの反応管に16〜60メッ
シュの大きさに圧縮成型した触媒A−1を5cc詰め、
それを流通系反応装置に組み込んだ。200℃に加熱し
たオイルバスに反応管を浸し、そこへLHSV=0.7
5〜3hr-1の速度で原料を送液し、出口より反応液を
得た。原料の炭酸ジメチル/吉草酸フェニルのモル比は
5/1で、また、反応圧を18kg/cm2に設定して
行った。
【0092】反応液をガスクロマトグラフで分析して求
めた、各LHSV値での炭酸メチルフェニルの収率を表
13に示す。また、炭酸メチルフェニルの収率から炭酸
メチルフェニル生成の反応速度定数を求めたところ、
1.1×10-4l/mol・secであった。反応液中
の溶出Ti濃度をICP発光分析装置で分析した。その
結果、溶出Ti濃度は最も低いLHSV条件においても
0.1ppmしかなく、ほとんど溶出は見られなかっ
た。
【0093】
【表13】
【0094】実施例5−2 実施例5−1において、触媒A−1の代わりに触媒A−
2を用い、原料の送液をLHSV=1〜9hr-1の範囲
で行ったこと以外は実施例5−1と同様の操作により反
応を行った。反応液をガスクロマトグラフで分析して求
めた、各LHSV値での炭酸メチルフェニルの収率を表
14に示す。また、炭酸メチルフェニルの収率から炭酸
メチルフェニル生成の反応速度定数を求めたところ、
6.7×10-5l/mol・secであった。
【0095】反応液中の溶出Ti濃度をICP発光分析
装置で分析した。その結果、溶出Ti濃度は最も低いL
HSV条件においても0.1ppmしかなく、ほとんど
溶出は見られなかった。
【0096】
【表14】
【0097】実施例5−3 実施例5−1において、触媒A−1の代わりに触媒A−
3を用い、原料の送液をLHSV=0.75〜6hr-1
の範囲で行ったこと以外は実施例5−1と同様の操作に
より反応を行った。反応液をガスクロマトグラフで分析
して求めた、各LHSV値での炭酸メチルフェニルの収
率を表15に示す。また、炭酸メチルフェニルの収率か
ら炭酸メチルフェニル生成の反応速度定数を求めたとこ
ろ、5.7×10-5l/mol・secであった。
【0098】反応液中の溶出Ti濃度をICP発光分析
装置で分析した。その結果、溶出Ti濃度は最も低いL
HSV条件においても0.1ppmしかなく、ほとんど
溶出は見られなかった。
【0099】
【表15】
【0100】比較例5−1 実施例5−1において、触媒A−1の代わりに比較用触
媒B−1を用い、原料の送液をLHSV=0.5〜4h
-1の範囲で行ったこと以外は実施例5−1と同様の操
作により反応を行った。反応液をガスクロマトグラフで
分析して求めた、各LHSV値での炭酸メチルフェニル
の収率を表16に示す。また、炭酸メチルフェニルの収
率から炭酸メチルフェニル生成の反応速度定数を求めた
ところ、5.3×10-6l/mol・secであり、実
施例5−1〜5−3と比較して反応速度がかなり遅いこ
とがわかった。
【0101】反応液中の溶出Ti濃度をICP発光分析
装置で分析した。その結果、溶出Ti濃度は1ppm以
下しかなく、ほとんど溶出は見られなかった。
【0102】
【表16】
【0103】比較例5−2 実施例5−1において、触媒A−1の代わりに比較用触
媒B−2を用い、原料の送液をLHSV=1〜9hr-1
の範囲で行ったこと以外は実施例5−1と同様の操作に
より反応を行った。反応液をガスクロマトグラフで分析
して求めた、各LHSV値での炭酸メチルフェニルの収
率を表17に示す。また、炭酸メチルフェニルの収率か
ら炭酸メチルフェニル生成の反応速度定数を求めたとこ
ろ、1.3×10-5l/mol・secであり、実施例
5−1〜5−3と比較して反応速度が遅く、アニソール
等の副生成物も生成していることがわかった。
【0104】反応液中の溶出Ti濃度をICP発光分析
装置で分析した。その結果、溶出Ti濃度は1ppm以
下しかなく、ほとんど溶出は見られなかった。
【0105】
【表17】
【0106】比較例5−3 実施例5−1において、触媒A−1の代わりに比較用触
媒B−3を用い、実施例5−1と同様の操作により反応
を行った。反応の結果、反応液にはチタンのフェノキシ
ドによると思われる橙色の着色が見られ、ICP発光分
析装置で分析した結果、反応初期段階で触媒全体の約8
0%に相当し、大量のTiが溶出していることから、実
際には均一系反応が起こっていた。
【0107】
【発明の効果】本発明にかかる触媒は、活性が高く、副
反応が少なく、選択性が高い。そのため、この触媒を用
いれば、エステル交換反応が速やかに進行し、アリール
エステルを高収率かつ高選択的に得させる。本発明にか
かる触媒は、触媒を構成するIV族金属元素の溶出が少
ないので、不均一系触媒として好適に用いることができ
る。
【0108】本発明にかかるアリールエステルの製造方
法では、上述の不均一系触媒を用いるので、反応が速や
かに進行し、アリールエステルを高収率かつ高選択的に
得ることができる。触媒寿命も長い。反応液と触媒の分
離が容易であり、均一系触媒反応で見られる蒸留工程で
の残存蒸留による逆反応、分解、重合反応等による収率
低下を防止できる。したがって、工業的に重要なアリー
ルエステルを効率的に生産することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】マイクロポーラスマテアリルの粉末X線回折
(XRD)分析を行い、結晶化度の測定方法を説明する
模式図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エステル結合源とアリール源とを用い、I
    V族金属元素を含有するマイクロポーラスマテリアルで
    ある不均一系触媒の存在下、液相でのエステル交換によ
    りアリールエステルを得る方法において、前記不均一系
    触媒として、6〜30オングストロームの細孔径と60
    %以上の結晶化度を有し、その酸量が0.1mmol/
    g以下である触媒を用いることを特徴とする、アリール
    エステルの製造方法。
  2. 【請求項2】エステル結合源が下記一般式(I): (R1 O)CO(OR2 ) …(I) (式中、R1 はアルキル基、シクロアルキル基、アリー
    ルアルキル基、または、置換基を有していてもよいアリ
    ール基を表し、R2 はアルキル基、シクロアルキル基ま
    たはアリールアルキル基を表す)で表される炭酸エステ
    ルであり、 アリール源が下記一般式(II): R3 OH …(II) (式中、R3 は置換基を有していてもよいアリール基を
    表す)で表される芳香族ヒドロキシ化合物であり、 アリールエステルが下記一般式(III): (R1 O)CO(OR3 ) …(III) (式中、R1 はアルキル基、シクロアルキル基、アリー
    ルアルキル基、または、置換基を有していてもよいアリ
    ール基を表し、R3 は置換基を有していてもよいアリー
    ル基を表す)で表されるアリール炭酸エステルである、
    請求項1に記載のアリールエステルの製造方法。
  3. 【請求項3】エステル結合源とアリール源が下記一般式
    (IV): (R2 O)CO(OR3 ) …(IV) (式中、R2 はアルキル基、シクロアルキル基またはア
    リールアルキル基を表し、R3 は置換基を有していても
    よいアリール基を表す)で表されるアルキルアリール炭
    酸エステルで兼ねられており、 アリールエステルが下記一般式(V): (R3 O)CO(OR3 ) …(V) (式中、R3 は置換基を有していてもよいアリール基を
    表す)で表されるジアリール炭酸エステルである、請求
    項1に記載のアリールエステルの製造方法。
  4. 【請求項4】エステル結合源が下記一般式(VI): R2 COOR2 …(VI) (式中、R2 はアルキル基、シクロアルキル基またはア
    リールアルキル基を表し、2つのR2 は同時に同じであ
    ってもよく、異なっていてもよい)で表される脂肪族カ
    ルボン酸エステルであり、 アリール源が下記一般式(II): R3 OH …(II) (式中、R3 は置換基を有していてもよいアリール基を
    表す)で表される芳香族ヒドロキシ化合物であり、 アリールエステルが下記一般式(VII): R2 COOR3 …(VII) (式中、R2 はアルキル基、シクロアルキル基またはア
    リールアルキル基を表し、R3 は置換基を有していても
    よいアリール基を表す)で表されるアリールカルボン酸
    エステルである、請求項1に記載のアリールエステルの
    製造方法。
  5. 【請求項5】エステル結合源が下記一般式(I): (R1 O)CO(OR2 ) …(I) (式中、R1 はアルキル基、シクロアルキル基、アリー
    ルアルキル基、または、置換基を有していてもよいアリ
    ール基を表し、R2 はアルキル基、シクロアルキル基ま
    たはアリールアルキル基を表す)で表される炭酸エステ
    ルであり、 アリール源が下記一般式(VII): R2 COOR3 …(VII) (式中、R2 はアルキル基、シクロアルキル基またはア
    リールアルキル基を表し、R3 は置換基を有していても
    よいアリール基を表す)で表されるアリールカルボン酸
    エステルであり、 アリールエステルが下記一般式(III): (R1 O)CO(OR3 ) …(III) (式中、R1 はアルキル基、シクロアルキル基、アリー
    ルアルキル基、または、置換基を有していてもよいアリ
    ール基を表し、R3 は置換基を有していてもよいアリー
    ル基を表す)で表されるアリール炭酸エステルである、
    請求項1に記載のアリールエステルの製造方法。
  6. 【請求項6】前記不均一系触媒がIV族金属元素および
    ケイ素を含有するメタロシリケートであり、IV族金属
    元素に対するケイ素の原子比が、下限値5、上限値50
    0である、請求項1から5までのいずれかに記載のアリ
    ールエステルの製造方法。
  7. 【請求項7】エステル結合源とアリール源とを用い、I
    V族金属元素を含有するマイクロポーラスマテリアルで
    ある不均一系触媒の存在下、液相でのエステル交換によ
    りアリールエステルを得る方法に用いる不均一系触媒で
    あって、6〜30オングストロームの細孔径と60%以
    上の結晶化度を有し、その酸量が0.1mmol/g以
    下であることを特徴とする、アリールエステル製造用触
    媒。
  8. 【請求項8】前記不均一系触媒がIV族金属元素および
    ケイ素を含有するメタロシリケートであり、IV族金属
    元素に対するケイ素の原子比が、下限値5、上限値50
    0である、請求項7に記載のアリールエステル製造用触
    媒。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007246503A (ja) * 2006-02-14 2007-09-27 Mitsubishi Rayon Co Ltd 不飽和カルボン酸フェニルの製造方法
CN103204777A (zh) * 2012-01-13 2013-07-17 中国石油化工股份有限公司 一种催化酯交换的方法
JP2022504239A (ja) * 2018-10-05 2022-01-13 エクソンモービル リサーチ アンド エンジニアリング カンパニー ゼオライトの合成及び指向剤

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