JPH11265005A - 積層体およびそれを使用した窓 - Google Patents

積層体およびそれを使用した窓

Info

Publication number
JPH11265005A
JPH11265005A JP3356798A JP3356798A JPH11265005A JP H11265005 A JPH11265005 A JP H11265005A JP 3356798 A JP3356798 A JP 3356798A JP 3356798 A JP3356798 A JP 3356798A JP H11265005 A JPH11265005 A JP H11265005A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
aqueous solution
weight
laminate
parts
water
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP3356798A
Other languages
English (en)
Inventor
Haruo Watanabe
晴男 渡辺
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
AFFINITY KK
Original Assignee
AFFINITY KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by AFFINITY KK filed Critical AFFINITY KK
Priority to JP3356798A priority Critical patent/JPH11265005A/ja
Publication of JPH11265005A publication Critical patent/JPH11265005A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Electrochromic Elements, Electrophoresis, Or Variable Reflection Or Absorption Elements (AREA)
  • Joining Of Glass To Other Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 温度変化により可逆変化し、加温時にむら無
く均一に白濁光散乱状態をとる水溶液を基板間に積層し
てなる積層体およびその積層体を使用した窓をうるこ
と。この窓の使用により太陽直射光線を遮光、防眩して
快適で省エネルギー効果をもつ建物、車両等を提供する
ことである。 【解決手段】 水100重量部にイオン性水溶性高分子
0.5重量部〜20重量部を溶解した溶液100重量部
に曇点現象をもつ室温で油状で室温の水に均一溶解する
両親媒性物質を0.5重量部〜45重量部を溶解してな
る水溶液の積層体とそれを使用した窓である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、積層体に太陽光線
が照射されると、その光吸収による熱作用により水溶液
が白濁変化して光線が散乱遮光することに関する。これ
は、直射光が照射された面のみが選択的に遮光、防眩す
る窓をもった建築物、車両等を可能にする。また、熱素
子と組合せることにより電子カーテンつき間仕切り、扉
等の室内用の窓等にも利用できる。
【0002】
【従来の技術】近年、環境共生の考えのもと、太陽光線
を有効に利用して快適で省エネルギーの窓が求められて
いる。窓に熱線反射ガラス、熱線吸収ガラス等が実用化
しているが冬季、曇天、雨天等において自然光をカット
オフしてしまい開放感をもつ快適性を大きく損ない、昼
光利用に問題があった。そこで、可逆変化して遮光でき
る調光ガラスがもとめられてきた。
【0003】そこで、本発明者は、太陽エネルギーが窓
に照射していることに注目した。このエネルギーの有無
により、窓ガラスが自律応答して透明ー光散乱の可逆変
化をおこして、快適な居住空間にすることを検討した。
この自律応答特性は、照射面のみ遮光する特長や省エネ
ルギー効果のみならず施工、メンテナンス、維持費等か
らも非常に魅力的であることに着目した。この点から、
フォトクロミック方式とサーモクロミック、サーモトロ
ピック方式が選択できるが、作用機構が複雑でかつ波長
依存をもつフォトクロミック方式よりも、人為的にも必
要に応じて容易に温度調整できる熱作用のみに依存する
サーモクロミック、サーモトロピック方式が優れてい
る。なお、地球にとどく太陽エネルギーは、290nm
から2140nmの範囲にあり、その内400nmから
1100nmの可視から近赤外域で約80%を占めてお
り、かつ可視域が近赤外域より大きいことに注目する必
要がある。これは、可視域を制御することが目隠し作用
だけでなく、省エネルギーや防眩の効果に大切であるこ
とを示す。なお、本発明は、太陽エネルギーにより物体
の温度が上昇することを利用している。当然、熱素子を
付加して人工的に温度制御することで可逆変化させるこ
ともできる。
【0004】サーモクロミック、サーモトロピック方式
に使用される材料は、特性が不十分でありいまだ実用化
されていない。そこで、サーモクロミックガラス、サー
モトロピックガラスとして広く利用されるためには、下
記の条件を満たす必要がある。 1.透明ー不透明の相変化が可逆的であること。 2.可逆変化が相分離なく繰り返し可能なこと。 3.相転移開始温度が低いこと。 4.耐久性があること。 5.毒性等の公害がないこと。 これらの条件を満たす可能性のある自律応答材料とし
て、水溶液の温度上昇により無色透明から白濁光散乱状
態に相転移する水溶液に本発明者は注目してきた。
【0005】従来、温度上昇により白濁光散乱状態にな
る水溶液として、非イオン性界面活性剤の曇点現象がよ
く知られており、また本目的への応用も検討されている
が、説明するまでもなく加温による温度上昇で容易に相
分離をおこし前記条件の1、2を満たせなかった。ま
た、ある非イオン性水溶性高分子(例えば、ヒドロキシ
プロピルセルロース、ポリ−N−イソプロピル−アクリ
ルアミド、ポリビニルメチルエーテル等)の高分子水溶
液は、加温により凝集し、ゲル化して白濁光散乱を示す
ため同様に本目的への応用(実公昭41−19256、
特願昭51−049856、特公昭61−7948)も
検討されているが、やはり前記条件の1、2を満たすこ
ができず実用化に至ってない。さらに、ハイドロゲルの
応用として、特開昭63−500042のように少なく
とも5成分からなる特殊な反応混合物からなるハイドロ
ゲルの白濁変化を利用する試みがもあるが、やはり前記
条件の1、2を満たすこができず実用化に至ってない。
また、例えば、N−イソプロピル−アクリルアミドを、
少量のN,N’−メチレンビスアクリルアミドを架橋剤
とし、水溶性ラジカル重合開始剤存在下で、水溶液重合
により得られるポリ−N,N’−メチレンビスアクリル
アミドゲル等の架橋型ハイドロゲルも検討されている
が、やはり前記条件の1、2を満たすこができず実用化
に至ってない。そこで、本発明者は、新しい方法を検討
して、特願平5−62502に記した組成により、ゾル
−ゲル相転移の原理を利用して、凝集して白濁光散乱す
る非イオン性水溶性高分子を相分離することなく均一に
可逆変化させることを見出して有用な積層体を発明し
た。そこで、さらに、本発明者は、高温域で容易に水層
と油層に相分離を起こすために、これまで放置されてき
た曇点現象をもつ油状の両親媒性物質の利用を鋭意検討
した。その結果、ゾル−エマルジョン相転移による均一
性をもって可逆変化する水溶液を見出して本発明に至っ
た。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】曇点現象をもつ室温で
油状で室温の水に均一溶解する両親媒性物質の水溶液
が、温度上昇により水層と油層に相分離することなく、
温度に依存してゾル−エマルジョン相転移を安定的に可
逆変化する水溶液組成を見出し、透明状態と白濁遮光状
態が可逆変化する水溶液をもつ積層体およびそれを使用
した窓をうることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、前述の問題点
を解決するためになされたものであり、温度の上昇によ
り水に溶解している分子が凝集して白濁散乱を起こし、
光透過率が小さくなる水溶液を、少なくとも一部が透明
であり、前記水溶液を直視可能な基板で積層した積層体
において、前記水溶液が、水100重量部にイオン性水
溶性高分子0.5重量部〜20重量部を溶解した溶液1
00重量部に曇点現象をもつ室温で油状で室温の水に均
一溶解する両親媒性物質を0.5重量部〜45重量部を
溶解してなる水溶液である積層体および温度の上昇によ
り水に溶解している分子が凝集して白濁散乱を起こし、
光透過率が小さくなる水溶液を、少なくとも一部が透明
であり、前記水溶液を直視可能な基板で積層した積層体
を使用した窓において、前記積層体が、水100重量部
にイオン性水溶性高分子0.5重量部〜20重量部を溶
解した溶液100重量部に曇点現象をもつ室温で油状で
室温の水に均一溶解する両親媒性物質を0.5重量部〜
45重量部を溶解してなる水溶液である積層体である窓
を提供するものである。
【発明の実施の形態】
【0008】本発明の基本は、両親媒性物質を均一に溶
解した水溶液が、加温により両親媒性物質が凝集して白
濁光散乱状態となる曇点現象を利用するものである。こ
の曇点現象をおこす両親媒性物質の水溶液は、加温で容
易に油層と水層に相分離して均一な可逆変化を取れなか
った。そこで、本発明者は、温度変化により透明状態と
白濁状態を安定的に均一に可逆変化しうる水溶液を求め
て鋭意検討した。その結果、イオン性水溶性高分子と水
と両親媒性物質の3成分の水溶液にしたところ、驚くべ
きことに均一性をもって安定的に可逆変化することを発
見した。これは、加温により凝集をおこした両親媒性物
質の微小凝集体が、イオン性水溶性高分子の鎖にトラッ
プされて均一に微小分散状態のままに保持されたものと
思える。よって、微小凝集体が、さらに凝集して大きな
凝集体に成長し、水層と油層の分離状態になるのを防い
だものと考えられる。その結果、両親媒性物質の微小凝
集体とその媒体との屈折率差により白濁光散乱を示し
た。このことは、以下のようにも言える。本発明の水溶
液は、低温域では、両親媒性物質は水に均一溶解して透
明溶液のゾル状態をとり、高温域では、両親媒性物質は
凝集して白い乳濁液のエマルジョン状態となった。この
エマルジョン状態は、イオン性水溶性高分子の乳化作用
により安定化された。その結果、ゾル−エマルジョン相
転移といえるこの可逆変化を可能にした。このように、
本発明は、イオン性水溶性高分子、曇点現象をおこす両
親媒性物質、純水の3成分組成を基本とする水溶液を持
つ積層体である。
【0009】本発明に有用なイオン性水溶性高分子につ
いて以下に述べる。イオン性水溶性高分子は、分子量に
も依存するが低濃度で高粘度の水溶液を形成できる。具
体的には、セルロース誘導体の例としてカルボキシメチ
ルセルロースナトリウム(例えば、ダイセル化学工業社
のCMCダイセル等)、ビニル系高分子の例としてポリ
アクリル酸ナトリウム(日本触媒社のアクアリック−I
H、アクアリックDL−522等)、ポリスチレンスル
ホン酸ナトリウム等があり、アニオン基とノニオン基を
もつビニルモノマー共重合体の例としてアロンフロック
社のA118、A161等があり、カチオン基とノニオ
ン基をもつビニルモノマー共重合体の例としてアロンフ
ロック社のC−303、C−302、C−508、C−
500等があり、イソブチレンと無水マレイン酸との共
重合体をイオン化したクラレ社のイソバン−110等が
あり、変成ポリビニルアルコールとして、ポリビニルア
ルコールの水酸基にメチレン基を介してカルボキシル基
を水酸基当たり約12%付加した第一工業製薬社のKE
PS−1224A等、カチオン性の四級アンモニウム塩
をもつクラレ社のCポリマー等、硫酸基含有の日本合成
化学工業社のゴーセランL3266、L0301、F7
8等なども有用である。このように、イオン性水溶性高
分子であれば特に限定することなく本発明に使用でき
る。その高分子の構造、分子量、濃度により、本発明の
積層体の白濁開始温度も変化を示した。当然、分子量が
大きくなれば、粘度が増大するのでより低い濃度でも、
エマルジョン状態を均一に保持できた。よって、高分子
量であれば、特に分子量を限定する必要はなかった。た
だ、低分子量であると、高分子効果による乳化作用も弱
く、また濃度を上げると透明状態を取り難かった。その
分子量は、高分子の構造にも依存するが、重量平均分子
量で2万以上でよく、好ましくは5万以上がよく、分子
量が大きくなると増粘して水に溶解し難くなるが、均一
に水に溶解すればよく、通常入手しえるのは数百万程度
である。その濃度は、水100重量部に対し約0.5重
量部〜約20重量部でよく、好ましくは約1.5重量部
〜約15重量部でよく、さらに好ましくは約2重量部〜
約10重量部でよい。また、濃度が増すにつれて白濁開
始温度は低い方向にシフトした。なお、イオン性官能基
の密度が高い水溶性高分子ほど、白濁開始温度から白濁
飽和温度までの変化率が急峻であり、かつその白濁遮光
特性も大きい傾向があった。
【0010】本発明者は、耐候性をもち水に均一溶解す
るイオン性水溶性高分子としてカルボキシメチルセルロ
ースナトリウムに注目した。例えば、ダイセル化学工業
社のCMCダイセル1170、1220、1260、1
290、1330、1380、2260等があり、分子
量、エーテル化度を特に限定することなく広く利用でき
る。さらに、これらの水溶液のPHが、中性付近にある
点も耐久性の面から重要である。もし、PHが、中性付
近からずれるとセルロース骨格の解重合、両親媒性物質
の分解を促進して著しく耐久性を落とすことになる。こ
のように、水に均一に溶解し、水溶液状態で耐候性をも
つ、イオン性水溶性性高分子は、特に有用である。
【0011】つぎに、本発明に有用な両親媒性物質は、
曇点現象をもつ室温で油状で室温の水に均一溶解する化
合物である。この両親媒性物質は、広く知られており、
例えば、プロピレンオキサイドの重合体(例えば、三洋
化成工業社のニューポールPPシリーズ等)、低分子量
のプロピレンオキサイドとエチレンオキサイドの共重合
体(例えば、第一工業製薬社のエパン420、720
等)、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)グリ
コール・モノエーテル(例えば、ブチルアルコール誘導
体である三洋化成工業社のニューポール50HBシリー
ズ等)、オキシプロピレン基またはオキシエチレン・オ
キシプロピレン基含有の誘導体であるトリオール(例え
ば、三洋化成工業社のニューポール/GPシリーズ、T
Pシリーズ、GLシリーズ、GEPシリーズ、TLシリ
ーズ等)等があり、また、高級アルキルフェノールにポ
リオキシエチレンを付加した化合物(例えば、ライオン
社のノニルフェノール系のリポノックスNC−86
等)、高級アルキル基(例えば、炭素数12、13のア
ルキル基等)にポリプロピレンオキサイドとポリエチレ
ンオキサイドを付加した化合物(例えば、ライオン社の
レオコールSC−70、レオコールSC−80等)があ
る。さらに、オキシエチレンとオキシプロピレンを付加
した変性ジメチルポリシロキサン(例えば、信越化学社
のKF6008、KF6012、KF615A、東芝シ
リコーン社のTSF4450、TSF4452、TSF
4440、東レ・ダウコーニング・シリコーン社のSH
3748、SH3749、SH8700、SF8410
等)等のようにシリコン化合物も本発明に非常に有用で
あった。なおすでに知られているように、このオキシエ
チレンとオキシプロピレンの割合(例えば、1:1の割
合等)により白濁開始温度を調整できた。
【0012】曇点現象をもつ室温で油状で室温の水に均
一溶解する両親媒性物質は、つぎの様に定義できる。室
温で油状とは、室温付近の温度、さらに詳しくは、25
℃で液体であることである。また、室温の水に均一溶解
とは、曇点現象を示す温度以下の水に、必要量を添加し
た時に、両親媒性物質が相分離なく透明状態またはほぼ
透明状態をもって均一に溶解することである。さらに詳
しくは、2重量%水溶液を曇点現象を示す温度以下で相
分離なく透明状態またはほぼ透明状態をもって均一に溶
解することである。例えば、プロピレンオキサイドの重
合体(例えば、三洋化成工業社のニューポールPPシリ
ーズ等)の場合、分子量が小さ過ぎると自己凝集が起き
ないので白濁光散乱を示さず、大き過ぎると低温域でも
均一溶解しないので透明状態を示さない。よって、重量
平均分子量は約400から約1,000未満が好まし
い。また、プロピレンオキサイドとエチレンオキサイド
のみからなる低分子量共重合体では、エチレンオキサイ
ドの含有率が10%程度と低いと低温域でも均一溶解し
ないので透明状態を示さず、40%程度と高いと高温域
でも自己凝集が起きないので白濁光散乱を示さない。よ
って、15%〜30%程度のエチレンオキサイドの含有
率が好ましかった。
【0013】両親媒性物質の添加量は、水に対する溶解
度に依存するが、一般的に少ないほど淡く白濁光散乱
し、添加量が増大するにしたがい強く白濁した。しか
し、多過ぎると低温域でも透明状態をとれずに白濁状態
を示し本発明に不適であった。しかし、室温の水に十分
に溶解する両親媒性物質、例えば、トリオールである三
洋化成工業社のニューポール/GP600は、多量に添
加してもよかった。このように、両親媒性物質の添加量
は、イオン性水溶性高分子の水溶液100重量部に対し
て、0.5重量部〜45重量部でよく、好ましくは1重
量部〜40重量部でよい。この両親媒性物質の分子量
は、分子構造にも依存するが重量平均分子量約240〜
約20,000が好ましい。炭化水素系の両親媒性物質
は、重量平均分子量約240〜約10,000が使用で
き、好ましくは重量平均分子量約240〜約8,000
がよく、さらに好ましくは重量平均分子量約240〜約
5,000がよい。10,000以上の分子量は、合
成、精製等が困難となり実用的でないと言える。また、
ポリシロキサン系は、けい素の原子量が大きいので必ず
しも分子量を約20,000以下に限定する必要がない
が、側鎖に官能基を付加するため同様な理由で20,0
00以上のものを製造することが困難となり実用的でな
いと言える。ポリシロキサン系は、シロキサン鎖の効果
をうるには大きめの分子量がよく重量平均分子量約1,
000〜約20,000がよく、好ましくは重量平均分
子量約2,000〜約18,000がよく、さらに好ま
しくは、重量平均分子量約3,000〜約15,000
がよい。
【0014】例えば、変性ジメチルポリシロキサンは、
カルボキシメチルセルロースナトリウムの水溶液に添加
して溶解すると低温域で完全に透明状態を示し、かつ急
峻に白濁変化して強く遮光した。白濁開始からほぼ飽和
白濁するまでの温度差は、約5℃と非常に急峻であっ
た。なお、変性ジメチルポリシロキサンの添加量により
白濁光散乱の遮光程度を調整できた。また、カルボキシ
メチルセルロースナトリウムの濃度変化でも白濁開始温
度を調整でき、濃いほど開始温度が低くなった。このよ
うに、濃度を調節することでも、遮光特性とその開始温
度を可変できた。さらに、カルボキシメチルセルロース
ナトリウムのエーテル化度に関しては、0.7以下にな
ると底温域の透明状態でも淡く霞みがかかり透視性に難
が見られたが十分に白濁遮光の変化はあった。通常は、
エーテル化度0.8〜1.5が良好であり、エーテル化
度が1.0以上より大きくなるに連れて白濁変化の急峻
性は弱くなる傾向が観察された。なお、1.5以上は、
合成が非常に困難となり実用的でなくなるといえる。ま
た、カルボキシメチルセルロースナトリウムの分子量
は、1%水溶液/25℃、回転粘度計による粘度がCM
Cダイセル1220/10cpsからCMCダイセル2
260/6000cpsまでの広範囲のものが使用で
き、分子量に特に限定されるものではなかった。
【0015】水は、蒸留水、精製水等を使用すればよ
い。さらに、イオン交換水を蒸留した水が好ましい。そ
の理由は、重金属イオンとの接触は酸化劣化を促進する
傾向があるからである。水溶液のPHは、中性の7付近
がよく、6から8がよく、さらに好ましくは6.5から
7.5の範囲がよい。その他、添加剤として酸化防止
剤、着色剤、防腐剤、紫外線吸収剤等を適量加えて使用
してもよい。また、溶存酸素を脱気または不活性ガスと
置換すると酸化劣化を防止でき好ましい。
【0016】積層体の具体例として、カルボキシメチル
セルロースナトリウム(ダイセル化学工業社のCMCダ
イセル1220:重量平均分子量/約50,000)2
重量部を純水30重量部に溶解した高分子水溶液100
重量部にポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メ
チルポリシロキサン(信越化学社のKF6012)を6
重量部添加してなる20℃で無色透明な水溶液を調製し
た。つぎに10cm角で、厚み3mmのフロートソーダ
ガラス間にこの水溶液を0.3mm厚で設けて積層体を
作成した。この積層体は、室温と60℃の可逆安定性お
よび60℃での12時間の放置安定性は、ともに、相分
離がなく、良好であった。また、積層体は、約24℃か
ら白濁光散乱を開始して約29℃で飽和に達して強く遮
光した。
【0017】つぎに、光散乱する大型サンプルの測定に
適している日立制作所社のU−4000形分光光度計を
使用し、積層体の中心部を積分球の窓に近接(約1m
m)して積層体を置き測定した。測定温度は、底温域の
約21℃の室温と高温域の約42℃とした。測定波長
は、積層体の温度が測定時に変化する点を考慮して可視
域の400nmから800nmのみを約21℃(透明状
態)と約42℃(白濁光散乱状態)でおこなった。その
結果を図5に示した。なお、300nmから400nm
の紫外域と800nmから2,500nmの近赤外域も
それぞれ確認したが可視域と同様にも十分に遮光されて
いた。
【0018】次に、本発明に係る積層体の構造とそれを
使用した窓に関して述べる。 図1、図2、図3および
図4は、それぞれ、本発明の積層体の一実施例の模式断
面図であって、1は基板、2は水溶液、3は封止、4は
変化しない透明液体、5は中空棒、6は複層ガラスであ
る。
【0019】図1の積層体は、本発明に係わる積層体の
基本形態を有し、少なくとも一部が透明で水溶液2を直
視可能な基板1の間に水溶液2を積層したものである。
水溶液2の層厚は、特に限定されるものではないが0.
01mmから2mm程度でよく、0.2mm程度の厚み
で十分に遮光できる。封止3は、水の蒸発を防止するた
めにあり、外周部において、基板間に配置されていても
よく、基板の外側に配置されてもよい。封止剤として
は、エポキシ系樹脂接着剤(例えば、東レチオコール社
のフレップ等)、アクリル系樹脂接着剤(例えば、感光
性樹脂であるサンライズメイセイ社のホトボンド等)等
があり、また複層ガラスの封止に利用されているイソブ
チレン系シーラント、ポリサルファイド系シーラント、
ウレタン系シーラント、シリコーン系シーラント等を使
用できる。特に、図示していないがイソブチレン系シー
ラント(内側)とガラス基板に接着性のある封止剤(外
側)を基板間に少なくとも2段封止すると好ましく、さ
らに多段封止してもよい。当然、イソブチレン系シーラ
ントと水溶液2が直接に接触して不都合の場合は、接触
を避けるためにバリヤー層を設けるとよい。
【0020】厚みを確実に制御するために、特に図示し
ていないが、封止部に限定することなく水溶液2にもス
ぺーサー(例えば、ガラスビーズ、セラミックビーズ、
樹脂ビーズ、金属ビーズ等)を使用するとよい。特に5
0cm角以上のサイズになると液層厚を維持するために
スペーサーは有用であった。さらに、水溶液2の屈折率
に近い透明物質を使用すると視認でき難くなり好まし
い。封止部は、金属線、ガラス繊維、細板等ひろくスぺ
ーサーに使用できる。
【0021】基板は、一部が透明で水溶液2を直視可能
であればよく、種々の材料、例えば、ガラス、プラスチ
ック、セラミックス、金属等を使用することができ、板
状の材料なら単体、複合材料、表面を加工処理した材料
等も使用でき、それを組み合わせて使用してもよい。ま
た、窓材としてのガラス板は、単純単板ガラス、強化ガ
ラス、網入板ガラス、熱線吸収ガラス、熱線反射ガラ
ス、熱線吸収反射ガラス、合わせガラス、紫外線カット
ガラス、透明導電性ガラス、複層ガラス、透明単板ガラ
スとポリカーボネイトの複合ガラス等があり、種類、厚
み等を適宜組み合われて一対の基板として目的にあわせ
て使用することができる。特に、図4に示したように、
気体層をもつ複層ガラスとの複合化は、遮光性と断熱性
を共にもつガラスとなり、省エネルギーと快適性のため
に非常に有用である。
【0022】本発明を窓に使用すると、非常に長期間に
渡り太陽の直射光線を強くうけるので、少なくとも外側
の基板に紫外線カットガラスを使用すると好ましい。例
えば、紫外線吸収ガラス(例えば、グリーンガラス)、
紫外線吸収層を塗布したガラス、紫外線吸収合わせガラ
ス等がある。なお、窓の外側の基板厚が約5mm以上で
あると330nm以下の紫外線透過が急激に小さくなり
耐候性の面で好ましかった。なお、窓の場合、水平状態
と垂直状態の使用があるが、特に垂直状態では、水溶液
2の粘度が低過ぎると温度差による対流によるむらが起
きる場合があるので注意を必要とした。
【0023】さらに、図2の積層体は、可逆変化する水
溶液2と変化しない透明液体4を組合せして、同じ基板
間に配置してなる積層体である。可逆変化しない透明液
体4とは、加温されても光線の透過量が特に変化しない
液体またはゲルである。例えば、両親媒性物質を添加し
てない本発明の水溶液である。その分子量は、大きくな
れば自己拡散も無視しうる程度になり、2,000以
上、好ましくは3,000以上、さらに好ましくは5,
000以上がよい。また、水と混合しない液体(例え
ば、流動パラフィン、シリコーンオイル、シリコーンゲ
ル等)を設ける方法でも透視性を確保できる。さらに特
に図示しないが、水溶液2の層厚を連続的に変えて白濁
不透明状態の程度を連続的に変化させた積層体、基板に
凸凹を設けて水溶液2の層厚をかえて透視性を確保した
積層体等も本発明に含まれる。これらは、部分透視性を
確保して、例えば、自動車のリヤーウインドウ、画像情
報を表示する広告装置等に利用できる。本発明の積層体
の利用範囲を広げるために熱素子を設る方法もある。こ
れは、電子カーテンとして人工的に熱制御して視線を遮
るための間仕切りにもなる。熱素子としては、透明導電
膜、カーボンペースト、金属ペースト、金属線、チタン
酸バリウム系セラミックス等があり、さらに加熱、冷却
できる熱電素子(例えば、小松エレクトロニクス社のサ
ーモパネル等)等も利用することもできる。熱素子の設
定は、基板の内部でも外部でもよく、なた基板の全面で
も部分でもよい。また、熱素子を線状、ストライプ状に
分割して配置してもよい。また、マトリックス化した熱
素子、赤外線(例えば、レーザー等)等で基板面を選択
的に加温することにより、画像情報を表示することもで
きる。
【0024】本発明に係わる窓としては、通常の建築物
の窓、自動車、鉄道車両等の車両、船舶、航空機、エレ
ベーター等の輸送機の窓等がある。この窓は広い意味で
あり、アーケイドやアトリュウム、窓の付いたドア、間
仕切り等をはじめ、全面が透明なガラスドア、衝立、壁
のようなものも含まれる。当然、広く利用される方法と
して、積層体と建材サッシまたは車両用フレームとを組
合せて、建築物、車両等の用途ごとの枠をもつ積層体に
して、現場では従来と同様に取り付けるだけにした窓ユ
ニットも本発明に含まれる。このユニット化は、積層体
の封止をより確実にでき、透過による水の蒸発防止、光
による封止層の劣化防止等に有効である。特に通常の建
築物の窓、車両の窓等のように半永久的な使用や苛酷な
使用には有効である。
【0025】さらに、この水溶液を中空体、球体、マイ
クロカプセル、樹脂シート等に内包した物を塗布し、積
層する等により面状にして利用する方法も、一部が透明
で水溶液を直視可能であれば、本発明の積層体に含まれ
るものとする。特に、図3に示した中空棒5は、有用で
ある。断面は、円形、六角形、四角形、三角形、扁平形
等広く目的にあわせて利用できる。また、封止は、ガラ
スを溶融して完全封止にすることもできる。この中空棒
5を多数本面状に配置する方法で遮光する機能をはたせ
る。例えば、すだれ、ブライン等の使用方法である。当
然、この中空棒5を一対の基板間に多数本配置する使用
法もある。このように、図3の中空棒5も広義に積層体
として本発明に属するものとする。その他、積層体を形
状化して、コップ、水槽等にした面状の物体も本発明に
含まれる。
【0026】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明をさらに説明す
るが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるも
のではない。
【0027】実施例1 カルボキシメチルセルロースナトリウム(ダイセル化学
工業社のCMCダイセル1260・エーテル化度0.9
0)2重量部を純水50重量部に溶解した高分子水溶液
100重量部にポリ(オキシエチレン・オキシプロピレ
ン)メチルポリシロキサンである信越化学社のKF60
12を6.5重量部、1.5重量部、16重量部、32
重量部添加してなる20℃で無色透明なA水溶液、B水
溶液、C水溶液、D水溶液を調製した。実施例1と同様
にしてA積層、B体積層体、C積層体、D積層体とし
た。この4種の積層体は、室温と60℃の可逆安定性お
よび60℃での12時間の放置安定性は、ともに相分離
がなく良好であった。また、A積層体は、約30℃から
白濁光散乱を開始して温度変化に対して急峻に白濁遮光
がおきて十分な遮光と防眩効果を観察した。B積層体
は、A積層体とほぼ同温度で白濁光散乱を開始したが高
温度になっても透視性を確保しつつ十分な防眩効果を確
認した。C積層体は、A積層体とほぼ同温度で白濁光散
乱を開始して温度変化に対して急峻に白濁遮光がおきて
A積層体よりも強い遮光性を確認した。D積層体は、A
積層体とほぼ同温度で白濁光散乱を開始したが約40℃
の高温度での遮光特性はC積層体とほぼ同程度であっ
た。
【0028】実施例2 実施例1のカルボキシメチルセルロースナトリウムの高
分子水溶液100重量部にポリ(オキシエチレン・オキ
シプロピレン)メチルポリシロキサンである信越化学社
のKF615A、東芝シリコーン社のTSF4450、
TSF4452、TSF4440、東レ・ダウコーニン
グ・シリコーン社のSH8700、SF8410をそれ
ぞれ6.5重量部添加してそれぞれA水溶液、B水溶
液、C水溶液、D水溶液、E水溶液、F水溶液を調製し
た。実施例1と同様にして各水溶液をA積層体、B積層
体、C積層体、D積層体、E積層体、F積層体とした。
これらの積層体は、室温と60℃の可逆安定性および6
0℃での12時間の放置安定性は、ともに相分離がなく
良好であった。また、A積層体は、約41℃から、B積
層体は、約5℃から、C積層体は、約26℃から、D積
層体は、約65℃から、E積層体は、約30℃から、F
積層体は、約33℃からから白濁光散乱を開始して温度
変化に対して白濁遮光がおきて十分な遮光と防眩効果を
観察した。このように、ポリ(オキシエチレン・オキシ
プロピレン)メチルポリシロキサンの種類を代えること
で低温から高温までの広範囲の温度域にわたって均一状
態をもって可逆変化しうることを確認した。また、その
白濁変化率もそれぞれに特徴があった。
【0029】実施例3 実施例1のカルボキシメチルセルロースナトリウムの高
分子水溶液100重量部に重量平均分子量400と95
0のプロピレングリコールである三洋化成工業社のニュ
ーポールPP−400とPP950を6.5重量部添加
してなるそれぞれA水溶液とB水溶液を調製した。実施
例1と同様にしてA積層体とB積層体とした。この積層
体は、室温と60℃の可逆安定性および60℃での12
時間の放置安定性は、ともに相分離がなく良好であっ
た。また、A積層体は約60℃から、B積層体は約18
℃から、白濁光散乱を開始して温度変化に対して十分な
遮光と防眩効果を観察した。
【0030】実施例4 実施例1のカルボキシメチルセルロースナトリウム5重
量部を純水100重量部に溶解した高分子水溶液100
重量部に実施例4のTP−400を20重量部を添加し
たA水溶液とGP−600を40重量部を添加したB水
溶液を調製した。それぞれ、20℃で無色透明な水溶液
であった。実施例1と同様にしてそれぞれA積層体とB
積層体とした。これら積層体は、共に室温と60℃の可
逆安定性および60℃での12時間の放置安定性は、と
もに相分離がなく良好であった。また、A積層体は約2
5℃から、B積層体は約45℃から、白濁光散乱を開始
して温度変化に対して急峻に白濁遮光を示した。
【0031】実施例5 重量平均分子量約100,000のポリビニルアルコー
ルにカルボキシル基を水酸基当たり約12%付加したイ
オン性水溶性高分子である第一工業製薬社のKEPS−
1224Aをメタノールで有機塩を除去し精製した。こ
の精製したKEPS−1224A:10重量部を純水1
00重量部に溶解した高分子水溶液100重量部に実施
例5のKF6012を10重量部添加して、20℃で無
色透明なA水溶液とこの精製したKEPS−1224
A:20重量部を純水100重量部に溶解した高分子水
溶液100重量部に実施例4のTP−400を10重量
部を添加して、20℃で無色透明なB水溶液を調製し
た。実施例1と同様にしてA積層、B体積層体とした。
この2種の積層体は、室温と60℃の可逆安定性および
60℃での12時間の放置安定性は、ともに相分離がな
く良好であった。また、A積層体は約26℃から、B積
層体は約27℃から白濁光散乱を開始して温度変化に対
して急峻に白濁遮光がおきて十分な遮光と防眩効果を観
察した。
【0032】実施例6 重量平均分子量約5,000,000のポリアクリル酸
ナトリウム(日本触媒社のアクアリックIH)0.5重
量部を純水100重量部に溶解した高分子水溶液100
重量部に実施例5のKF6012を10重量部を添加し
てなる20℃で無色透明な水溶液を調製した。実施例1
と同様にして積層体とした。この積層体は、室温と60
℃の可逆安定性および60℃での12時間の放置安定性
は、ともに相分離がなく良好であった。また、約32℃
から白濁光散乱を開始して温度変化に対して急峻に白濁
遮光がおきて十分な遮光と防眩効果を観察した。
【0033】実施例7 実施例6のポリアクリル酸ナトリウム5重量部を純水1
00重量部に溶解した高分子水溶液100重量部にライ
オン社のレオコールSC−70、レオコールSC−8
0、リポノックスNC−86をそれぞれ10重量部添加
してなる20℃で無色透明なA水溶液、B水溶液、C水
溶液をそれぞれ調製した。実施例1と同様にしてそれぞ
れA積層体、B積層体、C積層体とした。これら積層体
は、共に室温と60℃の可逆安定性および60℃での1
2時間の放置安定性は、ともに相分離がなく良好であっ
た。また、A積層体は約32℃から、B積層体は約38
℃から、C積層体は、約32℃から白濁光散乱を開始し
て十分に白濁遮光を示した。
【0034】
【発明の効果】本発明の効果は、曇点現象をもつ室温で
油状で室温の水に均一溶解する両親媒性物質の水溶液
が、温度上昇により水層と油層に相分離することなく、
温度に依存によるゾル−エマルジョン相転移を安定的に
可逆変化する水溶液組成を見出し、透明状態と白濁遮光
状態が可逆変化する水溶液をもつ積層体およびそれを使
用した窓をえたことである。本発明者は、イオン性水溶
性高分子の水溶液にこの両親媒性物質を添加したとこ
ろ、驚くべきことに見事に安定的に可逆変化するゾル−
エマルジョウン相転移を起こす水溶液となることを発見
した。これは、加温により発生する両親媒性物質の微小
凝集体が、水溶性高分子鎖にトラップされ均一なエマル
ジョウン状態に保持されたものと考えられる。その結
果、この微小凝集体と媒体との屈折率差による光散乱に
より白濁遮光をおこした。この積層体を窓に応用する
と、太陽の直射光線で窓が加温されるとその照射された
部分が選択的に透明状態から白濁状態に変化して、直射
光線が遮光、防眩される。これは、季節、天候等のその
時の環境温度とのバランスにより透明−半透明−不透明
を自動的に変化した。よって、太陽の直射光エネネルギ
ーによりその直射光線を遮光してしまう快適性をもった
自律応答型省エネ窓を提供できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の断面図である。
【図2】本発明の実施例の断面図である。
【図3】本発明の実施例の断面図である。
【図4】本発明の実施例の断面図である。
【図5】本発明の積層体の400nmから800nm域
の透過率変化である。
【符号の説明】
1 基板 2 水溶液 3 封止 4 変化しない透明液体 5 中空棒 6 気体層をもつ複層ガラス
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成10年2月10日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正内容】
【0027】実施例1 カルボキシメチルセルロースナトリウム(ダイセル化学
工業社のCMCダイセル1260・エーテル化度0.9
0)2重量部を純水50重量部に溶解した高分子水溶液
100重量部にポリ(オキシエチレン・オキシプロピレ
ン)メチルポリシロキサンである信越化学社のKF60
12を6.5重量部、1.5重量部、16重量部、32
重量部添加してなる20℃で無色透明なA水溶液、B水
溶液、C水溶液、D水溶液を調製した。つぎに、30c
m角で、厚み3mmのフロートソーダガラスの外周部に
直径2.4mmの線状イソブチルシーラントを置き、基
板の中央部に前記水溶液を置き、その上に対向基板を軽
く乗せた状態で真空装置内にさらし、約1Torrの減
圧下で対向基板を加圧してイソブチルシーラントを潰し
密着をとった。その後、最外周部に残した隙間にガラス
接着性をもつ感光性樹脂を流し込み光照射して封止し
た。その結果、0.3mm厚で無気泡のA積層、B体積
層体、C積層体、D積層体をえた。この4種の積層体
は、室温と60℃の可逆安定性および60℃での12時
間の放置安定性は、ともに相分離がなく良好であった。
また、A積層体は、約30℃から白濁光散乱を開始して
温度変化に対して急峻に白濁遮光がおきて十分な遮光と
防眩効果を観察した。B積層体は、A積層体とほぼ同温
度で白濁光散乱を開始したが高温度になっても透視性を
確保しつつ十分な防眩効果を確認した。C積層体は、A
積層体とほぼ同温度で白濁光散乱を開始して温度変化に
対して急峻に白濁遮光がおきてA積層体よりも強い遮光
性を確認した。D積層体は、A積層体とほぼ同温度で白
濁光散乱を開始したが約40℃の高温度での遮光特性は
C積層体とほぼ同程度であった。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 温度の上昇により水に溶解している分子
    が凝集して白濁散乱を起こし、光透過率が小さくなる水
    溶液を、少なくとも一部が透明であり、前記水溶液を直
    視可能な基板で積層した積層体において、前記水溶液
    が、水100重量部にイオン性水溶性高分子0.5重量
    部〜20重量部を溶解した溶液100重量部に曇点現象
    をもつ室温で油状で室温の水に均一溶解する両親媒性物
    質を0.5重量部〜45重量部を溶解してなる水溶液で
    ある積層体。
  2. 【請求項2】 多種水溶液の組合せまたは水溶液と透明
    液体の組合せからなる請求項1記載の積層体。
  3. 【請求項3】 少なくとも加熱することができる熱素子
    が設けられている請求項1または請求項2記載の積層
    体。
  4. 【請求項4】 温度の上昇により水に溶解している分子
    が凝集して白濁散乱を起こし、光透過率が小さくなる水
    溶液を、少なくとも一部が透明であり、前記水溶液を直
    視可能な基板で積層した積層体を使用した窓において、
    前記積層体が、水100重量部にイオン性水溶性高分子
    0.5重量部〜20重量部を溶解した溶液100重量部
    に曇点現象をもつ室温で油状で室温の水に均一溶解する
    両親媒性物質を0.5重量部〜45重量部を溶解してな
    る水溶液である積層体である窓。
  5. 【請求項5】 多種水溶液の組合せまたは水溶液と透明
    液体の組合せからなる請求項4記載の窓。
  6. 【請求項6】 少なくとも一方の基板が紫外線吸収ガラ
    スからなり、この紫外線吸収ガラスが室外側に向けられ
    ている請求項4または請求項5記載記載の窓。
  7. 【請求項7】 少なくとも一方の基板が複層ガラスから
    なる請求項4、請求項5または請求項6記載記載の窓。
  8. 【請求項8】 少なくとも加熱することができる熱素子
    が設けられている請求項4、請求項5、請求項6または
    請求項7記載記載の窓。
  9. 【請求項9】 積層体と建材サッシまたは車両用フレー
    ムとが組合わされてユニットに構成されている請求項
    4、請求項5、請求項6、請求項7または請求項8記載
    の窓。
JP3356798A 1997-05-14 1998-02-02 積層体およびそれを使用した窓 Pending JPH11265005A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3356798A JPH11265005A (ja) 1997-05-14 1998-02-02 積層体およびそれを使用した窓

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9-137947 1997-05-14
JP13794797 1997-05-14
JP1827998 1998-01-16
JP10-18279 1998-01-16
JP3356798A JPH11265005A (ja) 1997-05-14 1998-02-02 積層体およびそれを使用した窓

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11265005A true JPH11265005A (ja) 1999-09-28

Family

ID=27282147

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3356798A Pending JPH11265005A (ja) 1997-05-14 1998-02-02 積層体およびそれを使用した窓

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11265005A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017538248A (ja) * 2014-10-24 2017-12-21 エルジー・ケム・リミテッド 有機無機複合多孔層を含む二次電池用セパレータ及びこの製造方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017538248A (ja) * 2014-10-24 2017-12-21 エルジー・ケム・リミテッド 有機無機複合多孔層を含む二次電池用セパレータ及びこの製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6020989A (en) Laminated bodies and windows using them
KR100310727B1 (ko) 자율-응답적층제,그제조방법및이를사용한창
RU2735571C1 (ru) Панель остекления транспортного средства с полимерно- дисперсной жидкокристаллической пленкой, с заданным распределением капелек по размерам для ослабления эффекта короны
JPH10114007A (ja) 光学特性とエネルギー特性の一方又は両方を変更可能なグレージング
JP4463114B2 (ja) 自律的に光制御する積層体およびそれを用いた窓
CN104086928A (zh) 一种新型智能调光玻璃用的组合物
JPH11265005A (ja) 積層体およびそれを使用した窓
JPH11265006A (ja) 積層体およびそれを使用した窓
JPH0882809A (ja) 積層体、その製法およびそれを使用した窓
JP3337810B2 (ja) 自律応答積層体、その製法およびそれを使用した窓
EP3728476B1 (en) Passive thermally driven variable opacity materials
EP3452288B1 (en) Light valve films laminated between thin glass and plastic substrates
JP2000185360A (ja) 機能性材料積層体及びその製造方法
JP2006301018A (ja) 微細構造をもつ凹部(セル)に液晶が充填された調光構造体
KR19980086510A (ko) 적층체와 이를 이용한 윈도우
JPH10316453A (ja) 積層体およびそれを使用した窓
JPH08164582A (ja) 自律応答積層体と製法及びそれを使用した窓
JPH0811256A (ja) 自律応答積層体、その製法およびそれを使用した窓
JPH08174739A (ja) 自律応答積層体、その製法およびそれを使用した窓
JPH08211414A (ja) 自律応答積層体、その製法およびそれを使用した窓
JPH0872212A (ja) 積層体、その製法およびそれを使用した窓
JPH0859304A (ja) 自律応答積層体、その製法およびそれを使用した窓
JP2000008741A (ja) 調光ガラス及びそれを用いた窓
JPH06220453A (ja) 液晶及び積層体とそれを使用した窓
JPH0825545A (ja) 自律応答積層体、その製法およびそれを使用した窓