JPH11254972A - キャビン付き産業車両 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 キャビンドアが１枚構造でありながら車幅か
ら食み出さずに開放固定することが可能で、しかも十分
な広さの乗降用の開口スペースを確保することが可能な
キャビン付き産業車両を提供する。 【解決手段】 キャビン側面には乗降口３ａを開閉する
回動式のキャビンドア６が設けられ、該キャビンより後
側でキャビンの横幅よりも広い位置にはカウンターウエ
ートが設けられているキャビン付きフォークリフトにお
いて、キャビンの乗降口３ａにコ字形枠状をなすドアリ
ンク７を回動可能に取り付ける。そして、ドアリンク７
の縦枠部７ｂにキャビンドア６をドアヒンジ１０を介し
て回動可能に取り付け、乗降時にはドアリンク７が格納
された内側位置でキャビンドア６を開閉し、風取り入れ
時にはドアリンク７を外側へ変位した位置でキャビンド
ア６を開放して固定するように構成した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、フォークリフト等
のキャビン付き産業車両に関する。

【０００２】

【従来の技術】車体の後側上部に設置されるカウンター
ウェイトの横幅が、車体の前側上部に設置されるキャビ
ンの横幅よりも広く形成されているタイプのキャビン付
きフォークリフトが知られている。このタイプのフォー
クリフトでは、キャビン側面に設けられた乗降口開閉用
のキャビンドアを後方へ回動して開放したとき、該キャ
ビンドアが回動途中でカウンターウェイトの前端面に干
渉して一杯まで開放できない（１８０度の開度が得られ
ない）という問題がある。そして、フォークリフトの場
合、乗り降りが頻繁で、ドア開閉操作の手間を省くため
に、キャビンドアを開放位置に固定して運転するといっ
たことがあるが、このとき上記干渉に起因してキャビン
ドアの先端が車幅から大きく食み出てしまうことにな
る。そのため、このような干渉を回避するようにキャビ
ンドアの形状を設定（小型化）したときは、乗降口の開
口スペースが狭くなって乗降性が悪化するという問題が
ある。

【０００３】そこで、上記のような問題を解決するため
にキャビンドア構造を改良したキャビン付き産業車両が
提案されており、このようなキャビン付き産業車両とし
ては、例えば特開平６−２４７１４５号公報を挙げるこ
とができる。図７及び図８は上記公報記載のキャビン付
き産業車両の概略を示したものである。図示のように、
車体３１の前側にキャビン３２が設置され、車体３１の
後側にキャビン３２の横幅よりも広いカウンターウェイ
ト３３が設置されたタイプのフォークリフトにおいて、
キャビンドア３４はキャビンフレームの後端部に回動可
能に取り付けたリヤドア３４Ｒと、そのリヤドア３４Ｒ
の前端部に回動可能に取り付けたフロントドア３４Ｆと
の前後２枚のドアによって構成されており、リヤドア３
４Ｒを閉じ位置に固定した状態でフロントドア３４Ｆの
みを開閉する形態と、リヤドア３４Ｒとフロントドア３
４Ｆとを共に開閉する形態との２通りの形態で開閉でき
るようになっている。そして、常にはフロントドア３４
Ｆのみを開閉して乗降し、ドアを開放固定するときは、
リヤドア３４Ｒを回動すると共にフロントドア３４Ｆを
リヤドア３４Ｒに対して折り曲げるように回動して後部
のカウンターウェイト３３の側面に沿わせるように開放
し、その開放位置にロック装置によって固定できるよう
にしたものである。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上述した公報記載のキ
ャビン付き産業車両によれば、キャビンドア３４を車幅
から食み出さずに開放固定できるが、キャビンドア３４
が前後２枚ドアからなる分割構造のために、乗降用の開
口スペースは、基本的にはフロントドア３４Ｆの大きさ
に限定されるものであって、十分な広さを確保すること
ができず、乗降性に問題を残すものである。

【０００５】ところで、上記公報の場合、フロントドア
３４Ｆとリヤドア３４Ｒとをロック装置の如き固定手段
にて相互に固定できるようにし、乗降時には両ドアを固
定した状態でリヤドア３４Ｒの回動支点を中心にしてド
ア全体を開閉するといった形態で使用することも可能で
ある。しかしながら、このような形態での使用は、キャ
ビンドア３４が前後２枚の分割構造であるために、ドア
自体及びロック装置に関する強度の確保が厄介であると
ともに、構造が複雑化してコストが高く付くといった問
題がある。

【０００６】本発明は、上述した従来の問題点に鑑みて
なされたものであり、その目的とするところは、キャビ
ンドアが１枚構造でありながら車幅から食み出さずに開
放固定することが可能で、しかも十分な広さの乗降用の
開口スペースを確保することが可能なキャビン付き産業
車両を提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記課題を達成するため
に、本発明は次のように構成したものである。即ち、請
求項１の発明は、キャビン側面には乗降口を開閉する回
動式のキャビンドアが設けられ、該キャビンより後側で
キャビンの横幅よりも広い位置には固定部材が設けられ
ているキャビン付き産業車両であって、前記キャビン
に、該キャビンの内側に格納される内側位置と、乗降口
を通して外側に突出される外側位置とに回動変位可能な
ドアリンクを取り付けるとともに、そのドアリンクに前
記キャビンドアを回動可能に取り付けたものである。

【０００８】上記のように構成された請求項１の発明に
よれば、ドアリンクを回動操作することによってキャビ
ンドアの回動支点をキャビンの内側位置と外側位置とに
選択的に変更し、それぞれの位置でキャビンドアを開閉
することができる。従って、通常の乗降時には、キャビ
ンドアの回動支点を内側位置に定めた状態でキャビンド
アを開閉し、一方、ドア開閉操作の手間を省くために、
ドアを開放固定するときは、キャビンドアの回動支点を
外側位置へ変更した状態でキャビンドアを回動すること
によって固定部材に沿わせるようにして開放することが
できる。このため、キャビンドアが１枚構造であって
も、車幅から食み出さずに開放位置に固定することが可
能となり、また、キャビンドアを大きく構成することが
可能となるため、それによって開閉される乗降用の開口
スペースは十分に大きなものとなり、乗降性が向上され
る。しかも、キャビンドアを１枚構造で構成し得るの
で、強度の確保が容易で、かつ構造の簡素化が達成され
る。

【０００９】請求項２の発明は、請求項１記載のキャビ
ン付き産業車両において、ドアリンクを枠形に形成した
ものである。このため、ドアリンクに必要な強度を容易
に確保することが可能となり、円滑にして安定したキャ
ビンドアの回動支点の変更動作を得ることができる。

【００１０】請求項３の発明は、キャビン側面には乗降
口を開閉する回動式のキャビンドアが設けられ、該キャ
ビンより後側でキャビンの横幅よりも広い位置には固定
部材が設けられているキャビン付き産業車両であって、
前記キャビンに、該キャビンの内側に格納される内側位
置と、乗降口を通して外側に突出される外側位置とに直
線的に摺動変位可能な摺動部材を設け、その摺動部材に
前記キャビンドアを回動可能に取り付けたものである。

【００１１】従って、上記構成の請求項３の発明によれ
ば、摺動部材を摺動操作することによってキャビンドア
の回動支点を内側位置と外側位置とへ選択的に変更する
ことができるため、請求項１の発明と同様の作用効果が
得られ、特に回動支点の変位が直線的であることから、
外側位置の回動支点を乗降口後端部の外方延長線上に定
めてキャビンドア開放時の開放感を高めることができ
る。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。本実施の形態はフォークリフトに
適用したものであり、図１はフォークリフトの側面図、
図２は同じく平面図、図３はキャビンドアの開閉構造を
示す分解斜視図である。図１に示すように、フォークリ
フトは車体１の前面に荷役装置２を備え、車体１の前側
上部には運転室としてのキャビン３を備え、さらに車体
１の後側には車両重心を適正に保つためのカウンターウ
ェイト４を備えている。そして、カウンターウェイト４
は車両の回転半径を極力小さく抑え、かつ作業者の後方
視界を確保するために、前後方向長さ及び高さをそれぞ
れ抑えられて、左右方向には長い形状に形成されてい
る。その結果、図２に示すように、カウンターウェイト
４の横幅がキャビン３の横幅よりも大きくなっている。

【００１３】前記キャビン３は左右の両側面に設けられ
た略方形の乗降口３ａを開閉するための１枚構造のキャ
ビンドア６を備えており、このキャビンドア６は図３に
示すように、乗降口３ａを構成するキャビンフレーム５
に対して枠状のドアリンク７を介して取り付けられてい
る。ドアリンク７はコ字形に形成されており、その上下
の横枠部７ａがキャビンフレーム５の上下縁に後端から
略中央部にかけて形成された切欠部５ａに配置されると
ともに、縦枠部７ｂがキャビンフレーム５の後端縁に形
成された切欠部５ａに配置されてその側面がフレーム側
面と同一面に整合されている。

【００１４】上記のように配置されるドアリンク７は、
図４に示すように、横枠部７ａの端部に取付孔を有し、
該取付孔に回転可能に嵌合したブッシュ８にドアリンク
ピン９を貫通して先端ネジ部をキャビンフレーム５のネ
ジ孔にねじ込むことによってキャビンフレーム５に回動
可能に取り付けられている。そして、ドアリンク７の縦
枠部７ｂに対してキャビンドア６の後端部が上下のドア
ヒンジ１０を介して回動可能に取り付けられている。

【００１５】かくして、ドアリンク７に取り付けられた
キャビンドア６の回動支点であるドアヒンジ１０は、ド
アリンク７がキャビンフレーム５内に格納されたときの
内側位置と、ドアリンク７が乗降口３ａを通してキャビ
ンフレーム５の外方へ回動されたときの外側位置とに変
更可能な可変式となっており、従って、ドアリンク７が
キャビンドア６の回動支点可変手段を構成している。

【００１６】また、前記ドアリンク７はキャビンフレー
ム５内に同一縦面となるように格納された位置で図５に
示すようなリンクロック１１によって固定される。リン
クロック１１はキャビンフレーム５の上縁部に上下動可
能に取り付けられてドアリンク７における横枠部７ａの
掛止溝１２に係脱自在なロック爪１１ａと、そのロック
爪１１ａを操作するためにキャビンフレーム５に回動可
能に取り付けられた操作レバー１１ｂとから構成され、
ロック爪１１ａはロックバネ１１ｃによって掛止方向に
付勢されている。また、ロック爪１１ａはドアリンク７
の格納時に自動ロックできるように、その端部にテーパ
面を備えている。

【００１７】本実施の形態に係るフォークリフトは上記
のように構成したものであり、以下その作用効果につい
て説明する。ドアリンク７は常にはキャビンフレーム５
内に格納された位置にリンクロック１１によって固定さ
れている。従って、そのときはキャビンドア６の回動支
点は内側位置にあるので、その状態でキャビンドア６を
回動することによってキャビン３の乗降口３ａを開閉
し、キャビン３に乗降することができる（図２の開閉形
態Ａ参照）。

【００１８】一方、ドアリンク７のリンクロック１１を
解除後、該ドアリンク７を室外方向に回動すると、キャ
ビンドア６の回動支点がキャビン３の側面から側方へ突
出した外側位置へと変更されるので、その位置でキャビ
ンドア６を回動することによって該キャビンドア６をカ
ウンターウェイト４の側面に沿うように開放することが
できる（図２の開閉形態Ｂ参照）。このときのキャビン
ドア６の開放状態は、車体１側に備えられている図示省
略のドアロックにて固定する。なお、上記において、ド
アリンク７の回動量、つまりキャビンドア６の回動支点
のキャビン側面からの突出量は、予めカウンターウェイ
ト４のキャビン３側面からの側方張出量と整合するよう
にストッパ等にて規制することが望ましい。

【００１９】このように、本実施の形態によれば、乗降
のためのドア開閉時と、ドア開閉操作の手間を省くため
のドア開放固定時に応じて、キャビンドア６の回動支点
であるドアヒンジ１０の位置を内側位置と外側位置とに
選択的に変更できる。このため、通常の乗降時において
は、キャビンドア６を一般的なドアと同様に開閉するこ
とが可能となり、ドアの開放固定時においては、キャビ
ンドア６を１枚構造でありながら車幅から食み出ないよ
うに開放して固定することが可能となる。

【００２０】そして、本実施の形態においては、キャビ
ンドア６が１枚構造となることによって、乗降口３ａの
開口スペースを広く取ることが可能となって、乗降性を
向上することができ、しかも２分割構造のキャビンドア
に比べて必要強度の確保が容易でかつ構造の簡素化が図
られる。また、キャビンドア６に窓ガラスを設定する場
合において、１枚構造であれば、２分割構造のドアに比
べて側方視界を確保し易いという長所も得られる。ま
た、本実施の形態においては、ドアリンク７をコ字形の
枠形に形成してあるため、キャビンドア６を支持する上
で必要な強度、剛性が確保し易いものであり、その結果
として円滑にしてかつ安定したキャビンドア６の回動支
点の変更動作を得ることが可能となる。

【００２１】次に、本発明の他の実施の形態を図６に基
づいて説明する。この実施の形態では、キャビンドア６
の回動支点可変手段をドアリンク７による回動式から摺
動部材１５による直線的なスライド形式に変更したもの
である。即ち、キャビン３内の後壁に断面溝形のスライ
ドガイド１６を上下２段に設け、そして摺動部材１５を
コ字形の枠状に形成するとともに、その摺動部材１５に
おける上下の横枠部１５ａを上下のスライドガイド１６
に摺動可能に嵌合する一方、摺動部材１５における縦枠
部１５ｂにはキャビンドア６をドアヒンジ１０を介して
回動可能に取り付けたものである。

【００２２】上記のように構成された他の実施の形態に
よれば、乗降のためのドア開閉時と、ドア開閉操作の手
間を省くためのドア開放固定時に応じて、摺動部材１５
をスライドガイド１６に沿って摺動操作して、キャビン
ドア６の回動支点をキャビン３の内側位置と、乗降口３
ａから突出した外側位置とに変更できる。そのため、前
述した実施の形態の場合と同様に、通常の乗降時におい
ては、キャビンドア６を一般的なドアと同様に開閉する
ことが可能となり、ドアの開放固定時においては、キャ
ビンドア６を１枚構造でありながら車幅から食み出ない
ように開放して固定することが可能となる。

【００２３】特に、この実施の形態では、キャビンドア
６の回動支点の変位が直線的であることから、外側位置
へ変位された回動支点は乗降口３ａの後端縁の延長線上
となるため、キャビンドア６を開放して固定したときの
開放感が高められるとともに、側方視界を広くできる。

【００２４】なお、上述した図示の実施の形態では、フ
ォークリフトを例にとって説明したが、これに限定され
るものではなく、例えばキャビン３の後側にキャビン３
の横幅よりも広幅のカウンターウェイト４を有するショ
ベルやクレーン車のような車両であればよい。また、キ
ャビン３の後側に搭載される固定部材として、カウンタ
ーウェイト４を例にとって説明したが、キャビン３の横
幅から食み出るような位置に搭載されるものであれば、
カウンターウェイト４に限定されるものではない。ま
た、実施の形態では、キャビン３の左右のキャビンドア
６に適用するとしたが、いずれか一方のキャビンドアに
適用してもよい。

【００２５】さらにはドアリンク７はコ字形の枠状に形
成するとしたが、この形状に限らず、例えば方形枠状で
もよいしあるいは縦枠部７ｂのない形状、つまり上下一
対のリンクアームのみとし、そのリンクアームの端部に
キャビンドア６の後端上下部を回動可能に取り付けても
よい。

【００２６】

【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
キャビンドアが１枚構造でありながら車幅から食み出で
ることなく、開放状態に固定することが可能になるとと
もに、十分な広さの乗降用の開口スペースを確保して乗
降性を向上することができる。しかも、キャビンドアを
１枚構造で構成し得るので、強度の確保が容易で、かつ
構造の簡素化が達成される。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施の形態に係るフォークリフトの側面図であ
る。

【図２】同じく平面図である。

【図３】キャビンドアの開閉構造を示す分解斜視図であ
る。

【図４】ドアリンクの取付部を示す断面図である。

【図５】ドアリンクを固定するリンクロックを説明する
断面図である。

【図６】他の実施の形態に係るキャビンドアの開閉構造
を示す分解斜視図である。

【図７】従来の分割構造のキャビンドアを備えたフォー
クリフトの側面図である。

【図８】同じく平面図である。

【符号の説明】

１…車体 ３…キャビン ４…カウンターウェイト ５…キャビンフレーム ７…ドアリンク １０…ヒンジピン １１…リンクロック

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 キャビン側面には乗降口を開閉する回動
   式のキャビンドアが設けられ、該キャビンより後側でキ
   ャビンの横幅よりも広い位置には固定部材が設けられて
   いるキャビン付き産業車両であって、 前記キャビンに、該キャビンの内側に格納される内側位
   置と、乗降口を通して外側に突出される外側位置とに回
   動変位可能なドアリンクを取り付けるとともに、そのド
   アリンクに前記キャビンドアを回動可能に取り付けたキ
   ャビン付き産業車両。
2. 【請求項２】 ドアリンクが枠形に形成された請求項１
   記載のキャビン付き産業車両。
3. 【請求項３】 キャビン側面には乗降口を開閉する回動
   式のキャビンドアが設けられ、該キャビンより後側でキ
   ャビンの横幅よりも広い位置には固定部材が設けられて
   いるキャビン付き産業車両であって、 前記キャビンに、該キャビンの内側に格納される内側位
   置と、乗降口を通して外側に突出される外側位置とに直
   線的に摺動変位可能な摺動部材を設け、その摺動部材に
   前記キャビンドアを回動可能に取り付けたキャビン付き
   産業車両。