JPH11248301A - 吸収式冷凍機用インヒビター濃度の管理方法、および同管理装置 - Google Patents

吸収式冷凍機用インヒビター濃度の管理方法、および同管理装置

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JPH11248301A
JPH11248301A JP5223498A JP5223498A JPH11248301A JP H11248301 A JPH11248301 A JP H11248301A JP 5223498 A JP5223498 A JP 5223498A JP 5223498 A JP5223498 A JP 5223498A JP H11248301 A JPH11248301 A JP H11248301A
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concentration
inhibitor
electrode
potential
measurement
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JP5223498A
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Yukio Fukushima
幸男 福島
Hidenori Iwao
秀則 岩尾
Masahiko Ito
雅彦 伊藤
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Hitachi Building Systems Co Ltd
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Hitachi Building Equipment Engineering Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アンモニア吸収式冷凍機に、冷媒組成物とし
て封入されているアンモニア水溶液12には、腐食抑制
剤(インヒビター)として酸化剤(例えば硝酸塩または
亜硝酸塩)が添加されている。上記のインヒビターは次
第に消耗して濃度が減少するので、その濃度を検知して
メンティナンスの参考データとする。 【解決手段】 アンモニア水溶液12の中に白金製の測
定電極18を配置して、その自然電位を検出し、該自然
電位からインヒビター濃度を算出する。具体的には、上
記測定電極18と別体に、該測定電極と異質の(例えば
金製の)参照電極19を配置して、上記双方の電極(1
8,19)の間の電位差を計測する。上記電位差からイ
ンヒビター濃度を算出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アンモニア吸収式
冷凍機の密閉循環系の中に封入されて冷凍サイクルを構
成しているアンモニア水溶液が、鉄鋼材料を腐食しない
ように該アンモニア水溶液に添加されている酸化性のイ
ンヒビターの濃度を検出して、所定濃度を保たせるよう
に管理するための方法、および、上記の方法を実施する
に好適な装置に関するものであって、特に、高温,高
圧,強アルカリ性の雰囲気に耐え、しかも、冷凍機の密
閉循環系の気密,水密を損うことなく、インヒビター濃
度をリアルタイムで検出し得るように創作されたもので
ある。
【0002】
【従来の技術】吸収液中の冷媒の濃縮・希釈によって低
温を得る吸収式冷凍機には、水と臭化リチウムとを用い
る方式や、アンモニアと水とを用いる方式が有る。これ
らの中で、アンモニアと水とを用いるアンモニア吸収式
冷凍機は、冷媒としてアンモニアを用いるため氷点下の
低温が容易に得られ、しかも作動液の濃度に関する制約
が比較的緩やかである、等の利点が有り、広く実用され
ている。図4は、アンモニア吸収式冷凍機の構造、機能
を説明するために示した模式的な断面図である。発生器
1の中には作動液としてのアンモニア水溶液が封入され
ていて、バーナ2によって加熱される。この加熱によっ
て上記アンモニア水溶液の中からアンモニア蒸気が発生
して、矢印aのように凝縮器3に導かれ、冷却ファンF
によって空冷され、アンモニア液となって矢印bのごと
く、膨張弁10を経て蒸発器4に導かれる。上記の蒸発
器4の中で、コイル状の管路4aを通過しつつアンモニ
ア液が蒸発し、アンモニア蒸気となって矢印cのように
吸収器5に導かれる。上述のようにしてコイル状管路4
a内で蒸発したアンモニア(冷媒)は、気化潜熱を吸収
して低温となる。これが、このアンモニア吸収式冷凍機
の冷熱源である。
【0003】一方、ブライン(不凍液)は、ブラインポ
ンプ7によって前記蒸発器4とファンコイルユニット8
との間を循環せしめられる。上記ファンコイルユニット
8から矢印dのように還流したブラインは、蒸発器4内
の頂部から雨下せしめられ、前記コイル状管路4aに触
れつつ流下して、低温のアンモニア(冷媒)と熱交換し
て冷却される。冷却されたブラインは矢印eのようにフ
ァンコイルユニット8に循環せしめられて所期の冷房作
用を果たす。前述した発生器1の中でアンモニア蒸気
(矢印a)を発生させたアンモニア水溶液は希アンモニ
ア水溶液となり、矢印f,f′のように減圧弁9を経て
吸収器5に導かれる。吸収器5に導かれた希アンモニア
水溶液は該吸収器5内を雨下しつつ、先に述べたアンモ
ニア蒸気(矢印c)と接触して濃厚なアンモニア水溶液
となり、溶液ポンプ6によって矢印g,g′のように発
生器1に送り返されて冷媒サイクルが成立する。
【0004】前記の発生器1は一般に、機械的強度,加
工性,経済性を勘案して鉄鋼材料で構成されるが、その
内部のアンモニア水溶液は高圧,高温(例えば170
℃)になるため、鉄鋼材料に対して腐食性を示す。この
ため、該アンモニア水溶液中にインヒビター(腐食抑制
剤)が添加される。上記のインヒビターとして、酸化性
の薬剤が有効である。その理由は、鉄鋼材料の表面に四
三酸化鉄の防食性酸化被膜が形成されるからである。酸
化性のインヒビターとして、クロム酸塩、または、硝酸
塩や亜硝酸塩が実用されているが、これらの中でクロム
酸塩は毒性を有しているので取扱が難しく、従って硝酸
塩や亜硝酸塩を用いる方式が好適である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】アンモニア吸収式冷凍
機の作動液であるアンモニア水溶液に、インヒビターと
して硝酸塩および/または亜硝酸塩を添加すると、該イ
ンヒビターは無毒であって優れた腐食防止効果を発揮す
るので好適である。しかし乍ら、インヒビターとして添
加された硝酸塩,亜硝酸塩は酸化剤として作用して酸化
被膜を形成するものであるから、この酸化作用を果たす
ことにより硝酸塩,亜硝酸塩自体は還元されて減少す
る。このため、安定した防腐効果を維持するためには、
硝酸塩,亜硝酸塩の濃度を定期的に、もしくは髄時に検
出して、所定濃度を保つように補充することが必要であ
る。アンモニア吸収式冷凍機の中からアンモニア水溶液
の一部を抜き取って定量分析することは、従来技術を適
用して可能であるが、次のような不具合が有って実容的
でない。すなわち、(a)アンモニア吸収式冷凍機の設
置個所で採取した資料(アンモニア水溶液)を分析室に
運搬して分析するので、多大の時間と労力とを要し、経
済性の面で負担が大きく、(b)アンモニア吸収式冷凍
機のアンモニア水溶液は、密閉した循環系に封入されて
いて、厳重に気密,水密を保たねばならない。このた
め、濃度測定を高い頻度で行なうことは事実上ほとんど
不可能であり、結局、年に数回程度の大規模定期検査の
際でなければインヒビターの定量分析が出来なかった。
インヒビター濃度測定のインターバルが長くなると、そ
の間にインヒビター濃度が減少して腐食が加速されても
気付かずに放置される危険性が大きくなる。
【0006】半導体の特性を利用してアンモニア水溶液
中のインヒビター濃度を電流値として検出することも考
えられたが、アンモニア吸収式冷凍機内の高温,高圧,
強アルカリ性という条件下においては安定した濃度検出
は困難である。本発明は上述の事情に鑑みて為されたも
のであって、アンモニア吸収式冷凍機に封入されている
アンモニア水溶液中の酸化性インヒビターの濃度を、該
アンモニア吸収式冷凍機の中からアンモニア水溶液を抜
き取ることなく 閉循環系内に封入されているままで、
リアルタイムで、容易に計測してインヒビター濃度を管
理する方法、および、上記の発明方法を実施するに好適
で、耐久性に優れた装置を提供することを目的とする。
なお、アンモニア吸収式冷凍機の作動液があるアンモニ
ア水溶液中に、水素イオン濃度調整用のアルカリ金属水
酸化物(例えば水酸化ナトリウム)を添加する場合が有
るので、前記の耐久性に優れた装置は、耐熱性,耐圧性
のみでなく耐強アルカリ性を有していることも必要であ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
めに創作した本発明の基本的原理について、その実施形
態に対応する図1を参照して略述すると、密閉容器1内
に封入されているアンモニア水溶液12は、気・液相変
化を繰り返して冷凍サイクルを形成するが、該アンモニ
ア水溶液が液相をなす箇所(例えば発生器の底部付近)
に貴金属製の測定電極18を配設し、該測定電極の自然
電位を計測する。上記の自然電位は酸化剤濃度に依存す
る(対応して変化する)ので、自然電位から酸化性イン
ヒビターの濃度を算定することができる。前記測定電極
18の自然電位は、参照電極(測定電極と異種の貴金属
で構成される)との電位差を測定することによって、容
易に高精度で計測することができる。
【0008】以上に説明した原理に基づいて請求項1に
係る発明方法の構成は、アンモニア吸収式冷凍機内のア
ンモニア水溶液に添加されている酸化性インヒビターの
濃度を管理する方法において、上記アンモニア吸収式冷
凍機内にアンモニア水溶液が封入されている密閉循環系
の中で該アンモニア水溶液が液相をなしている部分に、
「高温高圧アンモニア水溶液に対して化学的に不活性な
測定電極」を配置し、上記測定電極の自然電位を計測
し、または、上記自然電位と一義的に対応する物理量を
計測し、上記の計測によって得られた値に基づいて、ア
ンモニア水溶液中に含まれている酸化性インヒビターの
濃度を算出することを特徴とする。以上に説明した請求
項1の発明方法によると、アンモニア吸収式冷凍機の作
動液(冷媒組成物)であるアンモニア水溶液が液相をな
している部分の中に電極が配置されるので、該電極は、
インヒビターである酸化性薬剤の酸化作用により自然電
位が変化(貴方向にシフト)する。そして、上記自然電
位の変化量は酸化剤濃度によって定まるので、該自然電
位を計測することによって酸化剤濃度すなわち酸化性イ
ンヒビターの濃度を算出することができる。この場合の
算出は必ずしも演算を要せず、予め求めておいた「自然
電位−インヒビター濃度較正図表」によって換算しても
良い。上記の較正図表はアナログ図表であっても良く、
またはデジタルなデータでも良い。アナログ図表は、作
業員によって人為的に換算するに適し、実用上充分な程
度の精度で、迅速かつ容易に自然電位→インヒビター濃
度換算を行ない得る。また、アナログデータは自動演算
器(マイクロコンピュータ)を用いる場合に好適であっ
て、人為的なミスを生じる虞れ無く迅速に濃度の算出を
行なうことができる。自然電位を計測してインヒビター
濃度を算出するという原理から自明なように、自然電位
によって一義的に決定される物理量を測定することによ
ってインヒビター濃度を算出することも可能であり、例
えば測定電極の自然電位によって生じる微小電流を計測
してインヒビター濃度を算出したり、上記微小電流を零
ならしめるように偏倚電圧(インクリネーション電圧)
を与えて該偏倚電圧の値からインヒビター濃度を算出し
たりすることも、本請求項1の発明の技術的範囲に属す
る。このようにして、「直接的に測定する対象の物理
量」の範囲を広げることにより、本請求項1に係る発明
方法の汎用性が大きくなり、実用価値を高めることがで
きる。
【0009】請求項2に係る発明方法の構成は、前記請
求項1の発明方法の構成要件に加えて、前記の酸化性イ
ンヒビターとして硝酸塩もしくは亜硝酸塩、または、こ
れらの混合物を用い、かつ、アルカリ金属水酸化物を添
加して水素イオン濃度を強アルカリ状態ならしめること
を特徴とする。以上に説明した請求項2の発明方法によ
ると、酸化性インヒビターとして用いられる硝酸塩およ
び/または亜硝酸塩は無毒であるから、例えはクロム酸
塩のように中毒を招いたり発癌させたりする虞れが無
い。従って取扱いが容易であり、作業員の健康管理に格
別の困難を生じない。これにより間接的に、インヒビタ
ー濃度の管理コストを低廉ならしめる。さらに、アルカ
リ金属水酸化物(例えば水酸化ナトリウム)を添加して
水素イオン濃度を例えばpH13以上の強アルカリ状態
にするので、鉄鋼材料の腐食に伴う水素ガスの発生が抑
制され、水素ガスによるガスロック障害を誘発する虞れ
が未然にかつ完全に防止される。本請求項2の発明によ
る水素イオン濃度の制御は、本発明者らの試験研究によ
って「アルカリ金属水酸化物の存在」が「測定電極の自
然電位計測によるインヒビター濃度算定」に支障を及ぼ
さないことが確認されたため初めて実用可能となったも
のであり、単に公知技術である水素イオン濃度調整の手
法を寄せ集めたものではない。本請求項2を適用するこ
とにより、作業者の作業環境を良好に保ち、かつ、水素
ガスによるロック障害を未然に防止して請求項1の発明
方法を実施することができる。
【0010】請求項3に係る発明方法の構成は、前記請
求項1の発明方法の構成要件に加えて、前記測定電極と
別体で、かつ異質の「高温高圧アンモニア水溶液に対し
て化学的に不活性な参照電極」を、液相のアンモニア水
溶液中に配置し、上記測定電極と参照電極との電位差を
検出して、酸化性インヒビターの濃度を算出することを
特徴とする。以上に説明した請求項3の発明方法による
と、測定電極の自然電位と参照電極の自然電位とのそれ
ぞれが、相互に独立に、酸化剤濃度に依存して定まるの
で、両者間の電位差を検出することによって測定電極の
自然電位を算出することができる。例えば水素標準電極
を使用して測定電極の自然電位をオーソドックスに測定
しようとすると、水素標準電極の取扱いが難しい上にメ
ンティナンスに多大の時間と労力とを必要とするが、こ
れに比して参照電極を用いれば取扱いが容易で、ほとん
どメンティナンスフリーであり、迅速に、かつ、実用上
充分な精度で測定することができる。その上、参照電極
を用いて検出した電位差は、これを電子回路によって自
動的に増幅したり、アナログ/デジタル変換したりする
ことが出来るので、インヒビター濃度計測を自動化する
に好適である。そして、上記参照電極が高温高圧のアン
モニア水溶液中においても化学的に安定であるから作動
信頼性が高く、耐久性にも優れている。
【0011】請求項4に係る発明方法の構成は、前記請
求項3の発明方法の構成要件に加えて、前記の測定電極
および参照電極それぞれの材料として、金,白金,パラ
ジウム,イリジウム,もしくはこれらの合金、または、
銀塩化銀の内の何れか少なくとも二つを用いることを特
徴とする。以上に説明した請求項4の発明方法による
と、化学的に安定で加工が容易な6種類の材料の中から
2種類を選んで測定電極と参照電極とを構成するので、
いずれの組合せを選んでも測定電極の自然電位を算定す
る基礎データとしての電位差を得ることができる。電位
を電位差として検出するには少なくとも2種類の(互い
に異質の)導電材料を必要とするが、前記6種類の材料
の中から選ぶと多数の組合せが有って、実施に際しての
設計的自由度が大きい。電位差を検出するために必要最
小限の電極個数は2個であるが、本請求項4において電
極材料の選択可能個数を2以上としているので、参照電
極と別体に補助参照電極を設ける場合にも対応すること
が出来る。本請求項4に係る6種類の金属はいずれも貴
金属であるが、電極として用いる材料の量は僅少であ
り、かつ、これらの金属は工業用としても製造・供給さ
れている上に、耐久性が大きいので、これらの金属材料
をインヒビター濃度管理に用いる場合の経済的負担は、
長期的視野に立って考察すると実用性を損ねるほどの設
備コストとはならない。
【0012】請求項5に係る発明方法の構成は、前記請
求項1ないし請求項4の発明方法の構成要件に加えて、
複数基のアンモニア吸収式冷凍機について計測した自然
電位もしくは該自然電位と一義的に対応する物理量、お
よび/または上記の計測に基づいて算定された酸化性イ
ンヒビターの濃度を、通信手段によって集中管理室に通
報し、上記集中管理室において複数基のアンモニア吸収
式冷凍機のインヒビター濃度の変化を監視し、予め定め
られたインヒビター濃度管理基準と照合して、所定濃度
を維持せしめるようにメンティナンス計画を立案し、遂
行することを特徴とする。以上に説明した請求項5の発
明方法によると、複数基のアンモニア吸収式冷凍機を集
中管理することにより、少数の専門技術者によって多数
のアンモニア吸収式冷凍機を適正に管理することができ
る。最近の設備保守管理の趨勢として、無人化,省力化
が図られている。こうした観点から、多数のアンモニア
吸収式冷凍機が設置されている場合、個々の冷凍機はな
るべく自動化したいという要請が有る。しかし乍ら、最
近の設備技術の進歩に伴って、設備の保守管理には高度
の専門知識と熟練を必要としている。本請求項5の発明
方法によると、集中管理室を本拠とする少数の専門技術
者によって、多数のアンモニア吸収式冷凍機のメンティ
ナンス、とりわけインヒビターの濃度管理を高度の技術
レベルで遂行することができる。以上の集中管理室は、
大規模コンビナートの中の一部署であっても良く、また
多数の企業をクライアントとするサービス専門会社であ
っても良く、また、冷凍機メーカーのサービス部門であ
っても良い。要するに少数の高度技術者によって多数の
冷凍機設備を完璧にメンティナンスして故障の発生を未
然に防止し、個々の冷凍機の機能を完全に発揮させるこ
とができ、産業の発達に寄与するところ多大である。
【0013】請求項6に係る発明装置の構成は、アンモ
ニア吸収式冷凍機内のアンモニア水溶液に添加されてい
る酸化性のインヒビターの濃度を検出して管理する装置
において、当該アンモニア吸収式冷凍機に設けられてい
る密閉循環系内で「相変化を伴う冷凍サイクルを形成し
ているアンモニア水溶液」が液相をなしている部分と接
触するように位置せしめて、「高温高圧アンモニア水溶
液に対して化学的に不活性な測定電極」が設置されると
ともに、上記測定電極の自然電位を計測する手段を具備
し、もしくは、該自然電位と一義的に対応する物理量を
計測する手段を具備していることを特徴とする。以上に
説明した請求項6の発明装置によると、密閉循環系の中
で相変化を繰り返している「アンモニアを冷媒とし水を
吸収液とする作動物質」が液相をなしている部分と接触
するように測定電極が配置されているので、該測定電極
に自然電位が発生する。該自然電位は、溶質の種類,溶
媒の種類,電極材料の種類によって変化するが、これら
の要因が一定であれば酸化剤濃度(すなわちインヒビタ
ー濃度)に依存する。すなわち、酸化性インヒビターの
濃度以外の要因が一定に保たれていれば、自然電位はイ
ンヒビター濃度によって定まる。従って、アンモニア水
溶液(液相状態)中の測定電極の自然電位を検知すれ
ば、インヒビター濃度を算定することができる。そして
本請求項6の発明装置は原則として、上記測定電極の自
然電位を計測する手段を具備しているので、自然電位を
計測してインヒビター濃度を算定することができる。上
記の自然電位の計測は、これを間接的に行なっても所期
の目的を達成することができる。ここに間接的に計測す
るとは、自然電位の変化に伴って一義的に対応して変化
する物理量(例えば微小電流値、偏倚電圧値、電位差な
ど)を測定して自然電位を得る操作をいう。このよう
に、間接的な計測手段を用い得ることにより、本発明に
係る装置を製作する場合の設計的自由度が大きくなる。
アンモニア吸収式冷凍機内のアンモニア水溶液は170
℃程度の高温、20kg/cm2程度の高圧になるが、本請
求項6の構成に係る電極は高温高圧アンモニア水溶液に
対して化学的に不活性であるから、電極に酸化被膜を生
じたり、電極材料が溶出したりする虞れが無く、経時的
な損耗を生じないので耐久性に優れている。
【0014】請求項7に係る発明装置の構成は、前記請
求項6の発明装置の構成要件に加えて、前記のインヒビ
ターが、硝酸塩、および/または亜硝酸塩を主剤とする
薬剤であり、かつ、前記アンモニア水溶液にアルカリ金
属水酸化物が添加されていて、水素イオン濃度がpH1
3もしくはそれ以上となるように調整されていることを
特徴とする。以上に説明した請求項7の発明装置による
と、アンモニア水溶液にアルカリ金属水酸化物(例えば
苛性ソーダ)が添加されているので、(a)鉄鋼材料の
腐食の副反応としての水素ガス発生が抑制されて、ガス
体による冷凍サイクル循環系のガスロック現象や機内圧
力の異常上昇を未然に防止することができ、(b)酸化
性インヒビターの消耗速度を減少せしめて冷媒組成物の
耐久性を上昇せしめ、メンティナンスフリーを可能なら
しめる。その理由は「冷媒組成物中に酸化性インヒビタ
ーとアルカリとを共存させるとにより、該酸化性インヒ
ビターの作用で形成された防食酸化被膜の溶解度を減少
させ該防食酸化被膜を安定に維持することができるか
ら」である。すなわち、防食酸化被膜の形成に寄与する
冷媒組成物中の酸化性インヒビターである硝酸塩もしく
は亜硝酸塩は、それら自身は還元されて経時的に消耗し
てゆくので、アンモニア水溶液に予めアルカリ金属水酸
化物(強アルカリ性物質)を添加しておくことにより、
酸化性インヒビターとしての硝酸塩もしくは亜硝酸塩の
消耗速度を減少させることができる。これにより冷媒組
成物の耐久性が改善されてメンティナンスフリーを可能
ならしめる。
【0015】請求項8に係る発明装置の構成は、前記請
求項6,7の発明装置の構成要件に加えて、液相をなし
ているアンモニア水溶液と接触するように位置せしめ
て、前記測定電極と別体,かつ異質の「高温高圧アンモ
ニア水溶液に対して化学的に不活性な参照電極」が設置
されるとともに、上記測定電極と参照電極との電位差を
計測する手段が設けられていることを特徴とする。以上
に説明した請求項8の発明装置によると、測定電極の自
然電位を間接的に、容易に、リアルタイムで、かつ実用
上充分な精度で測定することができて、工業用の設備と
しての実用的価値が高い。すなわち、測定対象である電
極の自然電位を、原理的に直接測定しようとして、例え
ば水素標準電極を設置したりすると、その取扱いが難し
い上に、メンティナンスに多大の時間と労力とを要する
が、これに比して本請求項8を適用して参照電極を設け
るとともに、該参照電極と測定電極との電位差を測定で
きる手段(電位差計)を設ければ、「測定電極の自然電
位と一義的に対応する物理量としての電位差」を検出す
ることにより、測定電極の自然電位を容易に、かつ高精
度で算出することができる。なお、上記の算出のための
演算は、電子的機器(例えばマイクロコンピュータ)を
用いて即時的に行なうことができる。本請求項8の構成
要件としての参照電極は、高温高圧のアンモニア水溶液
に対して化学的に安定であるから、該参照電極表面に酸
化被膜が形成されて計測誤差を生じたり、電極材料が冷
媒組成液中に溶出して消耗したりする虞れが無く、装置
全体としての耐久性に悪影響を及ぼすことは無い。
【0016】請求項9に係る発明装置の構成は、前記の
測定電極および参照電極のそれぞれが、金,白金,パラ
ジウム,イリジウム,もしくはこれらの合金、または、
銀塩化銀の内の少なくとも二種類の材料の組合せによっ
て形成されていることを特徴とする。以上に説明した請
求項9の発明装置によると、測定電極と参照電極とが、
それぞれ金もしくは白金属金属、または銀塩化銀によっ
て構成されているので、高温高圧かつ強アルカリ性の冷
凍機用冷媒組成物(主としてアンモニア水溶液)の中で
も酸化されたり溶出したりすることなく、優れた作動信
頼性,耐久性が得られる。これらの材料は貴金属である
が、工業用材料として製造供給されている上に、電極用
としての使用量は僅少であるから経済的に過大な負担と
はならない。その上、これらの材料は耐久性が大きいの
で耐用命数が長く、いっそう経済的負担を軽からしめ
る。電位差を求めるためには測定電極と参照電極との2
種類の電極を必要とし、かつ、これら二つの電極材料は
異質のものでなければならない。本請求項9によると、
異質の2種類の、化学的に安定な材料によって2種類の
電極を構成することができ、更に、必要であれば3種類
の材料を選定して測定電極と参照電極と補助参照電極と
を構成することも可能である。電極の数を増して測定デ
ータを増すと測定精度が向上する。
【0017】請求項10に係る発明装置の構成は、(図
1参照)前記請求項8,9の発明装置の標成要件に加え
て、前記の測定電極と参照電極とを相互に電気的に絶縁
せしめてアンモニア水溶液の中に支持する手段(16)
と、上記測定電極および参照電極のそれぞれに接続され
て、上記双方の電極の電位を前記密閉循環系の外に導出
する導電性の部材(17a,17b)と、導出された測
定電極の電位と、同じく参照電極の電位との間の電位差
を計測して、測定電極の自然電位を検出する電位計(2
1)と、インヒビター濃度の管理基準値に対応する「測
定電極の自然電位」を記憶する機能を有する記憶手段
(22)と、検出された測定電極の自然電位を、前記の
記憶手段に記憶させてあった管理基準値に対応する自然
電位と比較して、インヒビター濃度が管理基準に適合す
るか否か、および/または、管理基準と比較してプラ
ス,マイナスいくらであるか、を判定する比較判定手段
(23)と、上記比較判定手段の判定結果に基づいて、
警告ランプ(25)および/または警告ブザー(26)
を作動させる出力回路(24)とを具備していることを
特徴とする。以上に説明した請求項10の発明装置によ
ると、測定電極および参照電極の双方がそれぞれ密閉循
環系内に配置されるとともに、該双方の電極それぞれの
自然電位が密閉系外に導出されて、それらの間の電位差
が計測される。上記の電位差は、他の条件が同じであれ
ばアンモニア水溶液中の酸化性インヒビターの濃度によ
って変化する。従って、測定した電位差からインヒビタ
ー濃度が逆算して算出することも可能である。そして本
請求項10を適用すると、インヒビター濃度の管理基準
に対応する自然電位を記憶する手段と、その記憶されて
いるデータを実測値と比較して、インヒビター濃度が管
理基準内にあるか否かを判定する手段とが設けられてい
るので、これらの手段を用いると、インヒビター濃度が
適正であるか否かを判定することができる。適正であれ
ば、そのまま監視を続ければ良く、不適性であることが
判明すれば酸化性インヒビターを補給するなどの対応処
置を施して、該インヒビター濃度を適正値に戻すための
手段をとることができる。さらに、インヒビター濃度が
許容限度近くまで減少したと判明したときは警告ランプ
を点灯させたり、許容限度以下に減少したと判定された
ときは警告ブザーを鳴動させるなどして作業員の注意を
喚起して、腐食発生を未然に防止するための対応処置を
行なわしめることができる。
【0018】請求項11に係る発明装置の構成は、(図
1参照)前記の出力回路(24)は、公共もしくは私設
の通信手段(28)によって、検出データや算出データ
を集中管理室(29)に伝送する機能を有しており、お
よび/または、検出データや算出データをレコーダー
(27)に記録せしめる機能を有するものであることを
特徴とする。以上に説明した請求項11の発明装置によ
ると、測定電極の自然電位の実測値、もしくは該実測値
に基づいて比較判定演算を行なったデータを、中央管理
室に伝送して専門技術者による対処を可能ならしめ、ま
たは、上記の実測値もしくは演算したデータを記録して
おいて、専門技術者の巡回時に供覧することができる。
これにより、アンモニア吸収式冷凍機の設置現場技術員
には高度の専門知識や格別の熟練を必要とせず、集中管
理室の専門技術者によって高度のメンティナンスを企画
し、遂行することができる。その結果、多数のアンモニ
ア吸収式冷凍機の個々については極力省力化を推進する
とともに、少数の専門技術者によって高度のメンティナ
ンスを適時に実施することができるようになり、不時の
故障休止を招くような腐食破損を未然に防止することが
できる。
【0019】
【発明の実施の形態】図1は、本発明に係るアンモニア
吸収式冷凍機用インヒビター濃度管理装置の1実施形態
を示し、図の左半部には測定電極と参照電極とより成る
センサ機構の模式的な部分断面図を描くとともに、図の
右半部には濃度算出用演算機構のブロック図を描いてあ
る。図示の1は、先に図4を参照して説明した発生器で
あって、本図においてはその底部近傍の1部分の断面が
現れていて、アンモニア水溶液12を密閉して収納して
いる。上記のアンモニア水溶液は、例えば170℃,2
0kg/cm2というような高温高圧となり、炭素鋼製の発
生器1の壁面に対して強い腐食性を有している。その
上、鉄鋼材料が腐食される際に水素が発生してガスロッ
クを生じたり異常昇圧したりするのを防止するため、前
記アンモニア水溶液にアルカリ金属水酸化物が添加さ
れ、水素イオン濃度pH13以上の強アルカリ性になっ
ているので、発生器1(炭素鋼製)の内側面の化学的条
件は非常に苛酷である。このため、前記アンモニア水溶
液12の中に酸化性インヒビターが添加されている。上
記酸化性インヒビターは鉄と反応して、その表面に緻密
な四三酸化鉄の被膜を形成して鉄材の本体部分をアンモ
ニア水溶液に対して隔離し、腐食の進行を阻止する作用
を顕わす。酸化性のインヒビターとしてクロム酸塩が有
効であることは公知であるが、6価クロムは毒性を有す
る上に発癌性が有るので取扱いが難しい。さらに、クロ
ム酸塩は腐食に伴う水素ガス発生を抑制する作用を有し
ていない。この水素ガスは非凝縮性であるから、冷凍サ
イクルの冷媒組成物中に混入することは甚だ望ましくな
い。
【0020】こうした事情により、本実施形態のアンモ
ニア水溶液12は、所定濃度のアンモニア水溶液と、こ
れに添加された硝酸塩または亜硝酸塩のうち少なくとも
1種類とから成り、これら塩類の合計濃度が0.01重
量%となるように調整され、かつ、アルカリ金属水酸化
物(本例においては苛性ソーダ)を添加して水素イオン
濃度pH13以上に制御されている。上述のアンモニア
水溶液添加剤は、本発明者らが創作し、本出願人によっ
て別途出願中の発明(特願平9−1600505号)で
ある。上記先願の発明に係る冷媒組成物(アンモニア水
溶液12)は、全く毒性が無く、自然環境を損わず(無
公害性)、発癌性も無く、しかも非凝縮性ガス(水素ガ
ス)の発生を抑制し、かつ鉄鋼材料の腐食を有効に防止
して、アンモニア吸収式冷凍機の耐久性を向上し得る。
前述のごとく、酸化性インヒビターである硝酸塩と亜硝
酸塩との合計濃度を0.01重量%を保たねばならない
ので、これら酸化性インヒビターの消耗度を監視するた
め、アンモニア水溶液12の中に位置せしめて測定電極
18を配置する。上記アンモニア水溶液はアンモニア吸
収式冷凍機の密閉循環系の中で冷凍サイクルを連続的に
繰り返しつつ蒸発したり吸収したりして気相と液相との
間で相変化するが、発生器1の底部近傍においては液状
になっている。本発明に係る測定電極18は、アンモニ
ア水溶液が常に液相をなす個所を選んで、発生器1本体
の鉄鋼材料製部分に対して電気的に絶縁して支持する。
本発明は、原理的には上述のごとく「酸化性インヒビタ
ーを添加されたアンモニア水溶液に接触せしめて配置さ
れた測定電極18」の自然電位を計測する。上記自然電
位は酸化性インヒビターの濃度変化に伴って変化するか
ら、予め「自然電位−インヒビター濃度」の関係を調べ
て較正表(アナログでもデジタルでも良い)を作ってお
けば、自然電位を検出すれば一義的にインヒビター濃度
を算出することができる。
【0021】しかし乍ら、実験室における理論的な研究
と同様にして前記測定電極18の自然電位を直接的に測
定しようとすると非常に難しく、水素標準電極を用いな
ければならない。上記の水素標準電極はゼロポテンシャ
ルの標準電極として用いられ、水素イオンの活動度を測
定する公知の器具であって、水素を飽和した水素イオン
溶液中で、水素ガスで覆われて大きい表面積を有する貴
金属(白金など)によって構成される。上記の貴金属は
箔状で、水銀を一部満たした中空ガラス管状部材の底に
シールした線に結びつけて用いられる。上述のごとく水
素イオン溶液を水素で飽和させておくためには、該水素
イオン溶液の液面に水素ガスを通気しなければならない
など、取扱いが容易でなく、工業用設備や生活環境設備
のメンティナンスに用いる器具としては実用性に欠け
る。本発明を実施する際、上述のように取扱いの難しい
水素標準電極の使用を避けて、近似的にゼロポテンシャ
ルを標示する略式の標準電極を用いて直接的に測定電極
の自然電位を計測しても良いが、本実施形態において
は、以下に述べるようにして参照電極19を設けて、測
定電極18と参照電極19との間の電位差(電圧)を計
測した。ただし、電位差計測は手段であって、本質的に
は測定電極18の自然電位を求めるものである。本発明
の応用例として、測定電極18の自然電位そのものを直
接的に検出する代りに、測定電極の自然電位の変化に伴
って一義的に対応して変化する物理量を検出することも
でき、本発明の技術的範囲に属する。例えば測定電極に
流れる微弱電流を検出・増幅インヒビター濃度を求める
とか、測定電極の自然電位を打ち消すように偏位電圧を
与えて該偏位電圧の値からインヒビター濃度を求めるな
どの方法も、本発明の技術的範囲に属する。
【0022】本実施形態(図1)においては、発生器1
の壁にメネジ孔1aを形成し、上記メネジ孔に螺合する
オネジを形成した中空ボトル状センサープラグ14を、
ワッシャ15により水密,気密を保って装着してある。
アンモニア吸収式冷凍機においては密閉循環系の気密保
持が非常に重要であって、インヒビター濃度検出の度に
アンモニア水溶液を汲み出すことは甚だ望ましくない。
しかし、本実施形態におけるセンサープラグ14は、一
旦装着すれば抜き取る必要が無いので、気密保持を害す
る虞れは無い。前記のワッシャ15として、塑性変形可
能な金属材料を用いれば、実用上充分な気密性保持が可
能となるが、念の為にシール剤を併用しても良い。前記
中空ボルト状のセンサープラグ14の中空孔に絶縁支持
体16が充填されるとともに、発生器1内のアンモニア
水溶液中へ突出する形に、測定電極18と参照電極19
とが植設されるとともに、上記測定電極18には導電バ
ー17aが、参照電極19には導電バー17bが、それ
ぞれ接続導通されている。上記1対の導電バー17a,
17bは、それぞれ発生器1の気密を損なうことなく、
測定電極18の自然電位と参照電極19の自然電位とを
該発生器1の外へ導出する。
【0023】前記の測定電極18と参照電極19とは、
互いに異なる金属材料で構成されている(詳細後述)。
このため、該測定電極18と参照電極19とは、それぞ
れ独立に、その構成材料に固有の自然電位を形成し、か
つ、該固有の自然電位はそれぞれインヒビター濃度の変
化に対応して変化する。その結果、上記双方の電極の間
の電位差はインヒビター濃度の変化に伴って変化し、こ
の変化状態を予め求めておけば、電位差を検出すること
によってインヒビター濃度を算出することができる。上
述の説明から推察できるように、測定電極18の構成材
料と参照電極19の構成材料とは互いに異質であること
を要し、かつ、高温,高圧,強アルカリ(例えば170
℃,20kg/cm2,pH13〜pH14)に耐え得るこ
とが必要である。こうした条件に適合するものとして、
金と、白金属金属とが有る。なお、耐久性について若干
劣るが安価であり、かつ実用に耐えるものとして銀塩化
銀電極が有る。
【0024】白金属元素は高価であるが、測定電極や参
照電極の構成に必要な材料の量は僅少であるから、過大
な経済的負担とはならない。白金属金属の中で、白金,
パラジウム,イリジウムは、工業用材料として生産・供
給されているので、実用性の有る良質の材料が経済的な
価格で入手できる。本発明を実施する場合、(a)金、
(b)白金、(c)パラジウム、(d)イリジウム、
(e)上記各金属の合金、および(f)銀塩化銀の6種
類の材料の中から適宜の2種類を選んで測定電極18と
参照電極19とを構成することが望ましい。これらの金
属材料は、高温,高圧,強アルカリという雰囲気条件の
中においても酸化したり溶出したりすることがない。ま
た、図示を省略するが、前記6種類の材料の中から3種
類もしくはそれ以上の金属材料を選んで、測定電極18
と、これと別体の参照電極19と、さらに別体の予備電
極もしくは補助参照電極を設けても良い。計測データが
増えると計測精度を向上せしめることができる。
【0025】図2は、白金によって測定電極を構成する
とともに、金製の参照電極を構成した場合、酸化性イン
ヒビターとしての硝酸ソーダの濃度(重量%)を横軸に
等分目盛で表すとともに、金に対する白金の腐食電位
(単位ミリボルト)を縦軸に対数目盛で表した、濃度−
電位差図表である。この図2に表されたカーブによっ
て、測定電極(白金)と参照電極(金)との電位差から
硝酸ソーダ濃度を算出できることが分かる。なお、本図
2ではカーブの勾配が小さい(水平に近い)ような印象
を受けるが、縦軸(電位差)が対数目盛であることを考
慮に入れると、実用上充分な精度で硝酸ソーダの濃度を
算出できることが理解される。図3は、上掲の図2と同
様に白金によって測定電極を構成し、銀塩化銀で参照電
極を構成した場合の硝酸ソーダ濃度の等分目盛を横軸に
とり、銀塩化銀電極と白金電極との電位差の対数目盛を
縦軸にとって表した、インヒビター濃度(重量%)−電
位差(ミリボルト)図表である。銀塩化銀製の参照電極
の耐久性は金製参照電極の耐久性に比して若干劣るが、
本図3を前掲の図2と比較すると、銀塩化銀製の参照電
極を用いると金製参照電極に比して大きい電位差が検出
されることが分かる。参照電極を金で構成することも銀
塩化銀で構成することも、いずれも実用価値が有る。図
示を省略するが先に述べた6種類の材料(金,白金,パ
ラジウム,イリジウム,これらの合金,銀塩化銀)の内
の何れか任意の2種類もしくはそれ以上を選定して測定
電極と参照電極とを構成することにより、インヒビター
濃度を電位差として検出することができる。
【0026】(図1参照)先に説明した導電バー17
a,17bで取り出された「測定電極18の自然電位と
参照電極19の自然電位との間の電位差」は、自動監視
機構の電位計21に入力される。この機器の電磁気学的
な機能は電位差計(電圧計)であるが、自動監視機構の
構成要素として受け持っている役目は、測定電極18の
自然電位を間接的に(すなわち、参照電極19の自然電
位との差として)検出する電位計である。一方、記憶回
路22は、前掲の図2に示した「インヒビター濃度−電
位差図表」と同じ内容を記憶する機能を有している記憶
手段である。電位計21が計測した値は記憶回路22に
送られ、インヒビター濃度に換算されて比較判定回路2
3に送られる。この比較判定回路23はインヒビター濃
度の管理基準を与えられている。すなわち、インヒビタ
ー濃度の正常値範囲と、許容限度の下限である警報値
と、該警報値に若干の余裕をプラスした警告値とを与え
られて、これらの値を記憶している。上記の比較判定回
路23に対して記憶回路22で換算されたインヒビター
濃度が入力されると、該比較判定回路23は上記の入力
されたインヒビター濃度が警告値よりも上であるか下で
あるかを判別し、警告値よりも下であれば即座に引き続
いて警告値よりも上であるか下であるかを判別する。こ
れらの判別結果を総合することによって、検出されたイ
ンヒビター濃度を比喩的に評価して、緑色信号(警告値
よりも高い濃度)であるか、黄色信号(警告値と警報値
との中間の濃度)であるか、赤色信号(警報値よりも低
い濃度)であるか、を判別する。
【0027】黄色信号であると判別されると、出力回路
24を介して警告ランプ25を黄色に発光させる。警告
ランプは、環境の静粛を妨げることなく、かつ、電位計
21の指針が読みとれない遠距離に居る作業員に対して
も注意を喚起することができるので、黄色信号状態を標
示するのに適している。作業員が黄色に発光している警
告ランプに気付けば、自分で冷凍機内にインヒビターを
追加補給しても良く、またはアンモニア吸収冷凍機の専
門技術者に通報して対処を求めても良い。作業員が警告
灯25の黄色発光に気付かないうちにインヒビターの消
耗が進行して警告レベルになると、該警告灯25が赤色
に発光するとともに警告ブザー26が鳴動する。警告ブ
ザーの警告音は、作業員が横を向いていても背中を見せ
ていても嫌応なしに注意を喚起する。環境の静粛は破ら
れるが、腐食進行の危険に直面している状態において強
制的に気付かせるために、警報ブザーの鳴動は実情に適
合した対処である。以上に説明した検出作動および演算
操作は、アナログ方式の機器を用いても良く、また、デ
ジタルに変換して遂行しても良い。
【0028】前記の電位計21の検出値、および/また
は比較判定回路23の入力値・出力値は、定期的(例え
ば1日1回というように)レコーダー27に記憶され
る。メンティナンス専門技術者がこの記録を見れば、イ
ンヒビターの消耗速度が経時的な正常値であるか、何ら
かの故障を示唆する異常値であるかを判断して適切に対
処することができる。前記のレコーダ27に記録させる
情報を、公共の通信手段もしくは私設の通信手段28を
介して集中管理室29に送信するように構成しておくと
いっそう望ましい。このように構成すると、集中管理室
の専門技術者が多数のアンモニア吸収式冷凍機を集中的
に監視するとともに損耗の状態を判断して、故障休止に
至らないように整備計画を立案し、遂行することができ
る。その結果、多数のアンモニア吸収式冷凍機につい
て、その個々の機械には専門技術者を配置することな
く、小数の専門技術者によって多数のアンモニア吸収式
冷凍機を監視して適正に管理することができる。前述の
ごとく、多数のアンモニア吸収冷凍機の監視・管理を行
なう集中管理室29は、大規模な事業体(例えばコンビ
ナート)内部の組織であっても良く、また、多数の事業
体をクライアントとする専門企業体(例えば冷凍機サー
ビス会社、もしくは、冷凍機メーカーのサービス部門)
であっても良い。また、集中管理室29にデータを伝送
する通信手段28は、有線であっても無線であっても良
く、さらに、光電変換器を介在させることによって光ケ
ーブルを利用することも可能である。
【0029】
【発明の効果】以上に本発明の実施形態を挙げてその構
成・機能を明らかならしめたように、請求項1の発明方
法によると、アンモニア吸収式冷凍機の作動液(冷媒組
成物)であるアンモニア水溶液が液相をなしている部分
の中に電極が配置されるので、該電極は、インヒビター
である酸化性薬剤の酸化作用により自然電位が変化(貴
方向にシフト)する。そして、上記自然電位の変化量は
酸化剤濃度によって定まるので、該自然電位を計測する
ことによって酸化剤濃度すなわち酸化性インヒビターの
濃度を算出することができる。この場合の算出は必ずし
も演算を要せず、予め求めておいた「自然電位−インヒ
ビター濃度較正図表」によって換算しても良い。上記の
較正図表はアナログ図表であっても良く、またはデジタ
ルなデータでも良い。アナログ図表は、作業員によって
人為的に換算するに適し、実用上充分な程度の精度で、
迅速かつ容易に自然電位→インヒビター濃度換算を行な
い得る。また、アナログデータは自動演算器(マイクロ
コンピュータ)を用いる場合に好適であって、人為的な
ミスを生じる虞れ無く迅速に濃度の算出を行なうことが
できる。自然電位を計測してインヒビター濃度を算出す
るという原理から自明なように、自然電位によって一義
的に決定される物理量を測定することによってインヒビ
ター濃度を算出することも可能であり、例えば測定電極
の自然電位によって生じる微小電流を計測してインヒビ
ター濃度を算出したり、上記微小電流を零ならしめるよ
うに偏倚電圧(インクリネーション電圧)を与えて該偏
倚電圧の値からインヒビター濃度を算出したりすること
も、本請求項1の発明の技術的範囲に属する。このよう
にして、「直接的に測定する対象の物理量」の範囲を広
げることにより、本請求項1に係る発明方法の汎用性が
大きくなり、実用価値を高めることができる。
【0030】請求項2の発明方法によると、酸化性イン
ヒビターとして用いられる硝酸塩および/または亜硝酸
塩は無毒であるから、例えはクロム酸塩のように中毒を
招いたり発癌させたりする虞れが無い。従って取扱いが
容易であり、作業員の健康管理に格別の困難を生じな
い。これにより間接的に、インヒビター濃度の管理コス
トを低廉ならしめる。さらに、アルカリ金属水酸化物
(例えば水酸化ナトリウム)を添加して水素イオン濃度
を例えばpH13以上の強アルカリ状態にするので、鉄
鋼材料の腐食に伴う水素ガスの発生が抑制され、水素ガ
スによるガスロック障害を誘発する虞れが未然にかつ完
全に防止される。本請求項2の発明による水素イオン濃
度の制御は、本発明者らの試験研究によって「アルカリ
金属水酸化物の存在」が「測定電極の自然電位計測によ
るインヒビター濃度算定」に支障を及ぼさないことが確
認されたため初めて実用可能となったものであり、単に
公知技術である水素イオン濃度調整の手法を寄せ集めた
ものではない。本請求項2を適用することにより、作業
者の作業環境を良好に保ち、かつ、水素ガスによるロッ
ク障害を未然に防止して請求項1の発明方法を実施する
ことができる。
【0031】請求項3の発明方法によると、測定電極の
自然電位と参照電極の自然電位とのそれぞれが、相互に
独立に、酸化剤濃度に依存して定まるので、両者間の電
位差を検出することによって測定電極の自然電位を算出
することができる。例えば水素標準電極を使用して測定
電極の自然電位をオーソドックスに測定しようとする
と、水素標準電極の取扱いが難しい上にメンティナンス
に多大の時間と労力とを必要とするが、これに比して参
照電極を用いれば取扱いが容易で、ほとんどメンティナ
ンスフリーであり、迅速に、かつ、実用上充分な精度で
測定することができる。その上、参照電極を用いて検出
した電位差は、これを電子回路によって自動的に増幅し
たり、アナログ/デジタル変換したりすることが出来る
ので、インヒビター濃度計測を自動化するに好適であ
る。そして、上記参照電極が高温高圧のアンモニア水溶
液中においても化学的に安定であるから作動信頼性が高
く、耐久性にも優れている。
【0032】請求項4の発明方法によると、化学的に安
定で加工が容易な6種類の材料の中から2種類を選んで
測定電極と参照電極とを構成するので、いずれの組合せ
を選んでも測定電極の自然電位を算定する基礎データと
しての電位差を得ることができる。電位を電位差として
検出するには少なくとも2種類の(互いに異質の)導電
材料を必要とするが、前記6種類の材料の中から選ぶと
多数の組合せが有って、実施に際しての設計的自由度が
大きい。電位差を検出するために必要最小限の電極個数
は2個であるが、本請求項4において電極材料の選択可
能個数を2以上としているので、参照電極と別体に補助
参照電極を設ける場合にも対応することが出来る。本請
求項4に係る6種類の金属はいずれも貴金属であるが、
電極として用いる材料の量は僅少であり、かつ、これら
の金属は工業用としても製造・供給されている上に、耐
久性が大きいので、これらの金属材料をインヒビター濃
度管理に用いる場合の経済的負担は、長期的視野に立っ
て考察すると実用性を損ねるほどの設備コストとはなら
ない。
【0033】請求項5の発明方法によると、複数基のア
ンモニア吸収式冷凍機を集中管理することにより、少数
の専門技術者によって多数のアンモニア吸収式冷凍機を
適正に管理することができる。最近の設備保守管理の趨
勢として、無人化,省力化が図られている。こうした観
点から、多数のアンモニア吸収式冷凍機が設置されてい
る場合、個々の冷凍機はなるべく自動化したいという要
請が有る。しかし乍ら、最近の設備技術の進歩に伴っ
て、設備の保守管理には高度の専門知識と熟練を必要と
している。本請求項5の発明方法によると、集中管理室
を本拠とする少数の専門技術者によって、多数のアンモ
ニア吸収式冷凍機のメンティナンス、とりわけインヒビ
ターの濃度管理を高度の技術レベルで遂行することがで
きる。以上の集中管理室は、大規模コンビナートの中の
一部署であっても良く、また多数の企業をクライアント
とするサービス専門会社であっても良く、また、冷凍機
メーカーのサービス部門であっても良い。要するに少数
の高度技術者によって多数の冷凍機設備を完璧にメンテ
ィナンスして故障の発生を未然に防止し、個々の冷凍機
の機能を完全に発揮させることができ、産業の発達に寄
与するところ多大である。
【0034】請求項6の発明装置によると、密閉循環系
の中で相変化を繰り返している「アンモニアを冷媒とし
水を吸収液とする作動物質」が液相をなしている部分と
接触するように測定電極が配置されているので、該測定
電極に自然電位が発生する。該自然電位は、溶質の種
類,溶媒の種類,電極材料の種類によって変化するが、
これらの要因が一定であれば酸化剤濃度(すなわちイン
ヒビター濃度)に依存する。すなわち、酸化性インヒビ
ターの濃度以外の要因が一定に保たれていれば、自然電
位はインヒビター濃度によって定まる。従って、アンモ
ニア水溶液(液相状態)中の測定電極の自然電位を検知
すれば、インヒビター濃度を算定することができる。そ
して本請求項6の発明装置は原則として、上記測定電極
の自然電位を計測する手段を具備しているので、自然電
位を計測してインヒビター濃度を算定することができ
る。上記の自然電位の計測は、これを間接的に行なって
も所期の目的を達成することができる。ここに間接的に
計測するとは、自然電位の変化に伴って一義的に対応し
て変化する物理量(例えば微小電流値、偏倚電圧値、電
位差など)を測定して自然電位を得る操作をいう。この
ように、間接的な計測手段を用い得ることにより、本発
明に係る装置を製作する場合の設計的自由度が大きくな
る。アンモニア吸収式冷凍機内のアンモニア水溶液は1
70℃程度の高温、20kg/cm2程度の高圧になるが、
本請求項6の構成に係る電極は高温高圧アンモニア水溶
液に対して化学的に不活性であるから、電極に酸化被膜
を生じたり、電極材料が溶出したりする虞れが無く、経
時的な損耗を生じないので耐久性に優れている。
【0035】請求項7の発明装置によると、アンモニア
水溶液にアルカリ金属水酸化物(例えば苛性ソーダ)が
添加されているので、(a)鉄鋼材料の腐食の副反応と
しての水素ガス発生が抑制されて、ガス体による冷凍サ
イクル循環系のガスロック現象や機内圧力の異常上昇を
未然に防止することができ、(b)酸化性インヒビター
の消耗速度を減少せしめて冷媒組成物の耐久性を上昇せ
しめ、メンティナンスフリーを可能ならしめる。その理
由は「冷媒組成物中に酸化性インヒビターとアルカリと
を共存させるとにより、該酸化性インヒビターの作用で
形成された防食酸化被膜の溶解度を減少させ該防食酸化
被膜を安定に維持することができるから」である。すな
わち、防食酸化被膜の形成に寄与する冷媒組成物中の酸
化性インヒビターである硝酸塩もしくは亜硝酸塩は、そ
れら自身は還元されて経時的に消耗してゆくので、アン
モニア水溶液に予めアルカリ金属水酸化物(強アルカリ
性物質)を添加しておくことにより、酸化性インヒビタ
ーとしての硝酸塩もしくは亜硝酸塩の消耗速度を減少さ
せることができる。これにより冷媒組成物の耐久性が改
善されてメンティナンスフリーを可能ならしめる。
【0036】請求項8の発明装置によると、測定電極の
自然電位を間接的に、容易に、リアルタイムで、かつ実
用上充分な精度で測定することができて、工業用の設備
としての実用的価値が高い。すなわち、測定対象である
電極の自然電位を、原理的に直接測定しようとして、例
えば水素標準電極を設置したりすると、その取扱いが難
しい上に、メンティナンスに多大の時間と労力とを要す
るが、これに比して本請求項8を適用して参照電極を設
けるとともに、該参照電極と測定電極との電位差を測定
できる手段(電位差計)を設ければ、「測定電極の自然
電位と一義的に対応する物理量としての電位差」を検出
することにより、測定電極の自然電位を容易に、かつ高
精度で算出することができる。なお、上記の算出のため
の演算は、電子的機器(例えばマイクロコンピュータ)
を用いて即時的に行なうことができる。本請求項8の構
成要件としての参照電極は、高温高圧のアンモニア水溶
液に対して化学的に安定であるから、該参照電極表面に
酸化被膜が形成されて計測誤差を生じたり、電極材料が
冷媒組成液中に溶出して消耗したりする虞れが無く、装
置全体としての耐久性に悪影響を及ぼすことは無い。
【0037】請求項9の発明装置によると、測定電極と
参照電極とが、それぞれ金もしくは白金属金属、または
銀塩化銀によって構成されているので、高温高圧かつ強
アルカリ性の冷凍機用冷媒組成物(主としてアンモニア
水溶液)の中でも酸化されたり溶出したりすることな
く、優れた作動信頼性,耐久性が得られる。これらの材
料は貴金属であるが、工業用材料として製造供給されて
いる上に、電極用としての使用量は僅少であるから経済
的に過大な負担とはならない。その上、これらの材料は
耐久性が大きいので耐用命数が長く、いっそう経済的負
担を軽からしめる。電位差を求めるためには測定電極と
参照電極との2種類の電極を必要とし、かつ、これら二
つの電極材料は異質のものでなければならない。本請求
項9によると、異質の2種類の、化学的に安定な材料に
よって2種類の電極を構成することができ、更に、必要
であれば3種類の材料を選定して測定電極と参照電極と
補助参照電極とを構成することも可能である。電極の数
を増して測定データを増すと測定精度が向上する。
【0038】請求項10の発明装置によると、測定電極
および参照電極の双方がそれぞれ密閉循環系内に配置さ
れるとともに、該双方の電極それぞれの自然電位が密閉
系外に導出されて、それらの間の電位差が計測される。
上記の電位差は、他の条件が同じであればアンモニア水
溶液中の酸化性インヒビターの濃度によって変化する。
従って、測定した電位差からインヒビター濃度が逆算し
て算出することも可能である。そして本請求項10を適
用すると、インヒビター濃度の管理基準に対応する自然
電位を記憶する手段と、その記憶されているデータを実
測値と比較して、インヒビター濃度が管理基準内にある
か否かを判定する手段とが設けられているので、これら
の手段を用いると、インヒビター濃度が適正であるか否
かを判定することができる。適正であれば、そのまま監
視を続ければ良く、不適性であることが判明すれば酸化
性インヒビターを補給するなどの対応処置を施して、該
インヒビター濃度を適正値に戻すための手段をとること
ができる。さらに、インヒビター濃度が許容限度近くま
で減少したと判明したときは警告ランプを点灯させた
り、許容限度以下に減少したと判定されたときは警告ブ
ザーを鳴動させるなどして作業員の注意を喚起して、腐
食発生を未然に防止するための対応処置を行なわしめる
ことができる。
【0039】請求項11の発明装置によると、測定電極
の自然電位の実測値、もしくは該実測値に基づいて比較
判定演算を行なったデータを、中央管理室に伝送して専
門技術者による対処を可能ならしめ、または、上記の実
測値もしくは演算したデータを記録しておいて、専門技
術者の巡回時に供覧することができる。これにより、ア
ンモニア吸収式冷凍機の設置現場技術員には高度の専門
知識や格別の熟練を必要とせず、集中管理室の専門技術
者によって高度のメンティナンスを企画し、遂行するこ
とができる。その結果、多数のアンモニア吸収式冷凍機
の個々については極力省力化を推進するとともに、少数
の専門技術者によって高度のメンティナンスを適時に実
施することができるようになり、不時の故障休止を招く
ような腐食破損を未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るアンモニア吸収式冷凍機用インヒ
ビター濃度管理装置の1実施形態を示し、図の左半部に
は測定電極と参照電極とより成るセンサ機構の模式的な
部分断面図を描くとともに、図の右半部には濃度算出用
演算機構のブロック図を描いてある。
【図2】白金によって測定電極を構成するとともに、金
製の参照電極を構成した場合、酸化性インヒビターとし
ての硝酸ソーダの濃度(重量%)を横軸に等分目盛で表
すとともに、金に対する白金の腐食電位(単位ミリボル
ト)を縦軸に対数目盛で表した、濃度−電位差図表であ
る。
【図3】上掲の図2と同様に白金によって測定電極を構
成し、銀塩化銀で参照電極を構成した場合の硝酸濃度の
等分目盛を横軸にとり、銀塩化銀電極と白金電極との電
位差の対数目盛を縦軸にとって表した、インヒビター濃
度(重量%)−電位差(ミリボルト)図表である。
【図4】アンモニア吸収式冷凍機の構造,機能を説明す
るために示した模式的な断面図である。
【符号の説明】
1…発生器、1a…メネジ孔、2…バーナ、3…凝縮
器、4…蒸発器、5…吸収器、6…溶液ポンプ、7…ブ
ラインポンプ、8…ファンコイルユニット、9…減圧
弁、10…膨張弁、12…アンモニア水溶液、14…セ
ンサープラグ、15…ワッシャ、16…絶縁支持体、1
7a,17b…導電バー、18…測定電極、19…参照
電極、21…電位計、22…記憶回路、23…比較判定
回路、24…警告ランプ、26…警報ブザー、27…レ
コーダ、28…通信手段、29…集中管理室。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 雅彦 茨城県日立市弁天町3丁目10番2号 日立 協和エンジニアリング株式会社内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アンモニア吸収式冷凍機内のアンモニア
    水溶液に添加されている酸化性インヒビターの濃度を管
    理する方法において、 上記アンモニア吸収式冷凍機内にアンモニア水溶液が封
    入されている密閉循環系の中で該アンモニア水溶液が液
    相をなしている部分に、「高温高圧アンモニア水溶液に
    対して化学的に不活性な測定電極」を配置し、 上記測定電極の自然電位を計測し、または、上記自然電
    位と一義的に対応する物理量を計測し、 上記の計測によって得られた値に基づいて、アンモニア
    水溶液中に含まれている酸化性インヒビターの濃度を算
    出することを特徴とする、吸収式冷凍機用インヒビター
    濃度の管理方法。
  2. 【請求項2】 前記の酸化性インヒビターとして硝酸塩
    もしくは亜硝酸塩、または、これらの混合物を用い、か
    つ、アルカリ金属水酸化物を添加して水素イオン濃度を
    強アルカリ状態ならしめることを特徴とする、請求項1
    に記載した吸収式冷凍機用インヒビター濃度の管理方
    法。
  3. 【請求項3】 前記測定電極と別体で、かつ異質の「高
    温高圧アンモニア水溶液に対して化学的に不活性な参照
    電極」を、液相のアンモニア水溶液中に配置し、 上記測定電極と参照電極との電位差を検出して、酸化性
    インヒビターの濃度を算出することを特徴とする、請求
    項1に記載した吸収式冷凍機用インヒビターの濃度管理
    方法。
  4. 【請求項4】 前記の測定電極および参照電極それぞれ
    の材料として、 金,白金,パラジウム,イリジウム,もしくはこれらの
    合金、または、銀塩化銀の内の何れか少なくとも二つを
    用いることを特徴とする、請求項3に記載した吸収式冷
    凍機用インヒビター濃度の管理方法。
  5. 【請求項5】 複数基のアンモニア吸収式冷凍機につい
    て計測した自然電位もしくは該自然電位と一義的に対応
    する物理量、および/または上記の計測に基づいて算定
    された酸化性インヒビターの濃度を、通信手段によって
    集中管理室に通報し、 上記集中管理室において複数基のアンモニア吸収式冷凍
    機のインヒビター濃度の変化を監視し、予め定められた
    インヒビター濃度管理基準と照合して、所定濃度を維持
    せしめるようにメンティナンス計画を立案し、遂行する
    ことを特徴とする、請求項1ないし請求項4の何れかに
    記載した吸収式冷凍機用インヒビター濃度の管理装置。
  6. 【請求項6】 アンモニア吸収式冷凍機内のアンモニア
    水溶液に添加されている酸化性のインヒビターの濃度を
    検出して管理する装置において、 当該アンモニア吸収式冷凍機に設けられている密閉循環
    系内で「相変化を伴う冷凍サイクルを形成しているアン
    モニア水溶液」が液相をなしている部分と接触するよう
    に位置せしめて、「高温高圧アンモニア水溶液に対して
    化学的に不活性な測定電極」が設置されるとともに、 上記測定電極の自然電位を計測する手段を具備し、もし
    くは、該自然電位と一義的に対応する物理量を計測する
    手段を具備していることを特徴とする、吸収式冷凍機用
    インヒビター濃度の管理装置。
  7. 【請求項7】 前記のインヒビターが、硝酸塩、および
    /または亜硝酸塩を主剤とする薬剤であり、 かつ、前記アンモニア水溶液にアルカリ金属水酸化物が
    添加されていて、水素イオン濃度がpH13もしくはそ
    れ以上となるように調整されていることを特徴とする、
    請求項6に記載した吸収式冷凍機用インヒビター濃度の
    管理装置。
  8. 【請求項8】 液相をなしているアンモニア水溶液と接
    触するように位置せしめて、前記測定電極と別体,かつ
    異質の「高温高圧アンモニア水溶液に対して化学的に不
    活性な参照電極」が設置されるとともに、 上記測定電極と参照電極との電位差を計測する手段が設
    けられていることを特徴とする、請求項6もしくは請求
    項7に記載した吸収式冷凍機用インヒビター濃度の管理
    装置。
  9. 【請求項9】 前記の測定電極および参照電極のそれぞ
    れが、 金,白金,パラジウム,イリジウム,もしくはこれらの
    合金、または、銀塩化銀の内の少なくとも二種類の材料
    の組合せによって形成されていることを特徴とする、請
    求項6ないし請求項8の何れかに記載した吸収式冷凍機
    用インヒビター濃度の管理装置。
  10. 【請求項10】 前記の測定電極と参照電極とを相互に
    電気的に絶縁せしめてアンモニア水溶液の中に支持する
    手段(16)と、 上記測定電極および参照電極のそれぞれに接続されて、
    上記双方の電極の電位を前記密閉循環系の外に導出する
    導電性の部材(17a,17b)と、 導出された測定電極の電位と、同じく参照電極の電位と
    の間の電位差を計測して、測定電極の自然電位を検出す
    る電位計(21)と、 インヒビター濃度の管理基準値に対応する「測定電極の
    自然電位」を記憶する機能を有する記憶手段(22)
    と、 検出された測定電極の自然電位を、前記の記憶手段に記
    憶させてあった管理基準値に対応する自然電位と比較し
    て、インヒビター濃度が管理基準に適合するか否か、お
    よび/または、管理基準と比較してプラス,マイナスい
    くらであるか、を判定する比較判定手段(23)と、 上記比較判定手段の判定結果に基づいて、警告ランプ
    (25)および/または警告ブザー(26)を作動させ
    る出力回路(24)とを具備していることを特徴とす
    る、請求項8もしくは請求項9に記載した吸収式冷凍機
    用インヒビター濃度の管理装置。
  11. 【請求項11】 前記の出力回路(24)は、公共もし
    くは私設の通信手段(28)によって、検出データや算
    出データを集中管理室(29)に伝送する機能を有して
    おり、 および/または、検出データや算出データをレコーダー
    (27)に記録せしめる機能を有するものであることを
    特徴とする、請求項10に記載した吸収式冷凍機用イン
    ヒビター濃度の管理装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007136046A (ja) * 2005-11-22 2007-06-07 Heiwa Corp 遊技機
JP2008286441A (ja) * 2007-05-16 2008-11-27 Hitachi Building Systems Co Ltd 吸収式冷凍機
JP2013068359A (ja) * 2011-09-22 2013-04-18 Hitachi Building Systems Co Ltd 吸収液中のインヒビター濃度把握方法及び装置、並びにその装置を備えた吸収式冷温水機
JP2019512073A (ja) * 2017-03-02 2019-05-09 佛山市順徳区環威電器有限公司Foshan Wellway Electric Appliance Co.,Ltd 冷蔵庫、ワインキャビネット又はクーラー専用の小型アンモニア冷凍型拡散吸収式冷凍装置のアンモニアリークのリアルタイムな検出対処方法

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