JPH11243359A - 移動通信基地局用アレーアンテナ装置及びその制御方法 - Google Patents

移動通信基地局用アレーアンテナ装置及びその制御方法

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JPH11243359A
JPH11243359A JP10044826A JP4482698A JPH11243359A JP H11243359 A JPH11243359 A JP H11243359A JP 10044826 A JP10044826 A JP 10044826A JP 4482698 A JP4482698 A JP 4482698A JP H11243359 A JPH11243359 A JP H11243359A
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signal
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transmitting
antenna
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Kentaro Nishimori
健太郎 西森
Keizo Cho
敬三 長
Toshikazu Hori
俊和 堀
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、移動通信基地局用アレーアンテナ
装置及びその制御方法において、隣接基地局からの干渉
波を低減すると共に、通信端末に対するアンテナの指向
特性を広い円形のエリアにすることを目的とする。 【解決手段】 第1の送受信装置及び第2の送受信装置
とアンテナアレーと第1の振幅位相可変器と第2の振幅
位相可変器とを用いて、第1の基準方向から到来する第
1の既知信号と第1の振幅位相可変器を通った受信信号
とを合成した第1の合成信号を生成し、第1の既知信号
と第1の合成信号との誤差を最小化する第1のパラメー
タを第1の振幅位相可変器に与え、第1の基準方向と反
対の第2の基準方向から到来する第2の既知信号と第2
の振幅位相可変器を通った受信信号とを合成した第2の
合成信号を生成し、第2の既知信号と第2の合成信号と
の誤差を最小化する第2のパラメータを第2の振幅位相
可変器に与える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マイクロセル移動
通信に適用できる移動通信基地局用アレーアンテナ装置
及びその制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、マイクロセル移動通信では、無
線基地局が周辺の建物よりも低い場所(公衆電話ボック
スや電柱など)に配置されるため、電波が道路沿いに直
進あるいは反射しながら伝搬する。このような場合、図
13に示すように無線ゾーンは道路沿いに形成されるの
で、見通し外はエリア外となる。従って、面的なエリア
を確保するためには多数の基地局を配置する必要があ
り、設置コストがかかるという間題がある。この対策と
して、基地局アンテナを周辺の建物よりも高い場所に設
置する方法がある。
【0003】図14は基地局をビルの屋上に設置した場
合と電柱に設置した場合の通話エリアを示している。図
14に示すように、基地局を高所に設置するとアンテナ
から見通せる領域が広くなり、伝搬損失も小さくなるた
め、低基地局によって生じる不感地を少ない基地局で解
消できる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、基地局アンテ
ナを屋上などの高い場所に配置した場合、隣接する基地
局からの干渉波の伝搬損失も小さくなるため、図15に
示すように端末から到来する電波の他に、隣接基地局か
らの不要な電波も多数到来する可能性がある。従って、
基地局間の干渉が問題になる。
【0005】例えば、個々の基地局が使用可能なチャネ
ルを探索して動作する自立分散制御方式を用いたシステ
ムでは、到来する干渉波が増えると干渉波がチャネルを
つぶしてしまうため、空きチャネルが少なくなり、最悪
の場合空きチャネルがなく基地局を動作させることがで
きないという問題が生じる。隣接の基地局からの干渉波
を低減する方法としては、指向性アンテナを用いる方法
が有効である。例えば、図16に示すように指向性アン
テナのヌル方向を干渉波の方向に向けることによりアン
テナで受信される干渉波の数を低減することができる。
【0006】干渉波の到来方向は一般に未知である。こ
のような未知の干渉波に対して指向性のヌルを向ける方
法は、例えば文献(R.A.Mongingo,et.al., "Introducti
on to Adaptive Array",NewYork & Sons, 1980)に示さ
れている。すなわち、アレー構成のアンテナを用い、ア
レーアンテナの各エレメントの信号に振幅及び位相の重
みづけができるような構成とする。そして、重みづけ後
の信号の合成信号と所望の信号との誤差を最小にするよ
うに、適応制御を用いて重み(振幅及び位相値)を決定
する。これにより、所望信号と相関のない干渉波に対し
てアンテナの指向性のヌルをむけることができる。
【0007】しかし、従来技術の指向性アンテナを用い
て干渉波を低減する場合には、干渉波と同じ方向に存在
する通信端末に対しては、干渉波と同様にアンテナの利
得が低くなるため、通信品質が大きく劣下し、場合によ
っては通信ができなくなる可能性があった。本発明は、
移動通信基地局用アレーアンテナ装置及びその制御方法
において、隣接基地局からの干渉波を低減すると共に、
通信端末に対するアンテナの指向特性を広い円形のエリ
アにすることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1の移動通信基地
局用アレーアンテナの制御方法は、第1の送受信装置及
び第2の送受信装置と、それらに共通にもしくは個々に
接続されるアンテナアレーと、該アンテナアレーを構成
する複数の素子の各々の信号と前記第1の送受信装置と
の間で各入出力信号の振幅及び位相を変える第1の振幅
位相可変器と、前記アンテナアレーを構成する複数の素
子の各々の信号と前記第2の送受信装置との間で各入出
力信号の振幅及び位相を変える第2の振幅位相可変器と
を用いて、所定の第1の基準方向を中心として±90度
の範囲内に限定された方向から到来する少なくとも1つ
の第1の既知信号を生成し、前記第1の既知信号と、前
記第1の送受信装置で受信され前記第1の振幅位相可変
器を通った受信信号とを合成した第1の合成信号を生成
し、前記第1の既知信号と、前記第1の合成信号との誤
差を最小化する第1の振幅及び位相値を算出して該第1
の振幅及び位相値を前記第1の振幅位相可変器に与え、
前記第1の基準方向に対して反対の第2の基準方向を中
心として±90度の範囲内に限定された方向から到来す
る少なくとも1つの第2の既知信号を生成し、前記第2
の既知信号と、前記第2の送受信装置で受信され前記第
2の振幅位相可変器を通った受信信号とを合成した第2
の合成信号を生成し、前記第2の既知信号と、前記第2
の合成信号との誤差を最小化する第2の振幅及び位相値
を算出して該第2の振幅及び位相値を前記第2の振幅位
相可変器に与えることを特徴とする。
【0009】本発明によれば、第1の送受信装置に対す
るアンテナの指向特性と第2の送受信装置に対するアン
テナの指向特性とは互いに独立に調整される。また、第
1の送受信装置に対するアンテナの指向特性のヌル方向
と第2の送受信装置に対するアンテナの指向特性のヌル
方向とが互いに反対方向に形成されるため、第1の送受
信装置と第2の送受信装置とを含む基地局全体としての
アンテナの指向特性を、円形に近づけることが可能であ
る。
【0010】第1の送受信装置に対するアンテナの指向
特性を決定する第1の振幅及び位相値は、第1の合成信
号と第1の既知信号との誤差を最小化するように決定さ
れる。第1の既知信号は、第1の基準方向を中心として
±90度の範囲内に限定された方向から到来する少なく
とも1つの所望波に相当する。従って、第1の振幅及び
位相値を第1の振幅位相可変器に与えると、第1の送受
信装置に対するアンテナの指向特性においては、第1の
基準方向を中心として±90度の範囲内ではアンテナ利
得の分布が平坦になり、第1の基準方向とは反対の第2
の基準方向を中心として±90度の範囲内にヌル点が形
成される。
【0011】このため、第1の送受信装置については第
2の基準方向に近い方向から到来する干渉波の影響を低
減できる。第1の基準方向を中心として±90度の範囲
内の方向から到来する所望波は、減衰することなく第1
の送受信装置で受信される。一方、第2の送受信装置に
対するアンテナの指向特性を決定する第2の振幅及び位
相値は、第2の合成信号と第2の既知信号との誤差を最
小化するように決定される。第2の既知信号は、第2の
基準方向を中心として±90度の範囲内に限定された方
向から到来する少なくとも1つの所望波に相当する。
【0012】従って、第2の振幅及び位相値を第2の振
幅位相可変器に与えると、第2の送受信装置に対するア
ンテナの指向特性においては、第2の基準方向を中心と
して±90度の範囲内ではアンテナ利得の分布が平坦に
なり、第2の基準方向とは反対の第1の基準方向を中心
として±90度の範囲内にヌル点が形成される。このた
め、第2の送受信装置については第1の基準方向に近い
方向から到来する干渉波の影響を低減できる。第2の基
準方向を中心として±90度の範囲内の方向から到来す
る所望波は、減衰することなく第2の送受信装置で受信
される。
【0013】従って、所望波と干渉波の到来方向が近い
場合であっても、所望波と干渉波の到来時刻(スロッ
ト)が異なる場合には所望波を受信できる。例えば、第
1の送受信装置の指向特性のヌル点を干渉波に向ける
と、第2の送受信装置の指向特性においては所望波に対
してアンテナ利得が低下しないので、第2の送受信装置
で所望波を受信できる。送信についても同様である。
【0014】請求項2は、請求項1記載の移動通信基地
局用アレーアンテナの制御方法において、受信信号のレ
ベルを所定の閾値と比較して、受信信号のレベルが前記
閾値よりも大きい時に現れる信号成分を抽出し、抽出さ
れた信号成分に基づいて前記第1の振幅及び位相値及び
第2の振幅及び位相値を算出することを特徴とする。制
御対象基地局の信号と干渉波とのスロットタイミングが
同期していない場合には、1つのスロットの途中で干渉
波が発生又は消滅することになる。各スロット内の全時
間にわたって検出される信号に基づいてアンテナの指向
特性を制御すると、スロットの途中で発生又は消滅する
干渉波の影響によって、誤動作が生じる可能性がある。
【0015】例えば、スロットの前半のみに干渉波が含
まれる場合、スロット後半の干渉波の監視制御によっ
て、干渉波を除去しないように最終的な指向特性が決定
される可能性がある。本発明では、受信信号のレベルが
閾値よりも大きい時に現れる信号成分を抽出し、抽出さ
れた信号成分に基づいて第1の振幅及び位相値及び第2
の振幅及び位相値を算出するので、上記のような誤動作
を防止できる。
【0016】請求項3の移動通信基地局用アレーアンテ
ナ装置は、第1の送受信装置及び第2の送受信装置と、
前記第1の送受信装置及び第2の送受信装置に共通にも
しくは個々に接続されるアンテナアレーと、前記アンテ
ナアレーを構成する複数の素子の各々の信号と前記第1
の送受信装置との間で各入出力信号の振幅及び位相を変
える第1の振幅位相可変器と、前記アンテナアレーを構
成する複数の素子の各々の信号と前記第2の送受信装置
との間で各入出力信号の振幅及び位相を変える第2の振
幅位相可変器と、所定の第1の基準方向を中心として±
90度の範囲内に限定された方向から到来する少なくと
も1つの第1の既知信号を生成し、前記第1の既知信号
と、前記第1の送受信装置で受信され前記第1の振幅位
相可変器を通った受信信号とを合成した第1の合成信号
を生成し、前記第1の既知信号と、前記第1の合成信号
との誤差を最小化する第1の振幅及び位相値を算出して
該第1の振幅及び位相値を前記第1の振幅位相可変器に
与え、前記第1の基準方向に対して反対の第2の基準方
向を中心として±90度の範囲内に限定された方向から
到来する少なくとも1つの第2の既知信号を生成し、前
記第2の既知信号と、前記第2の送受信装置で受信され
前記第2の振幅位相可変器を通った受信信号とを合成し
た第2の合成信号を生成し、前記第2の既知信号と、前
記第2の合成信号との誤差を最小化する第2の振幅及び
位相値を算出して該第2の振幅及び位相値を前記第2の
振幅位相可変器に与える指向特性制御手段とを設けたこ
とを特徴とする。
【0017】請求項4は、請求項3記載の移動通信基地
局用アレーアンテナ装置において、前記アンテナアレー
を構成する素子の数を3とし、前記3つの素子を水平面
に正三角形に配列し、前記3つの素子の間隔を0.40
波長以上、0.50波長以下の範囲内に定めたことを特
徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】(第1の実施の形態)この形態の
移動通信基地局用アレーアンテナ装置の構成と動作を図
1〜図5並びに図10〜図16に示す。この形態は、請
求項1,請求項3及び請求項4に対応する。
【0019】図1は第1の実施の形態の移動通信基地局
用アレーアンテナ装置の構成の概略を示すブロック図で
ある。図2は図1の装置における空きスロット探索処理
の内容を示すフローチャートである。図3は利用可能な
スロットを確保できる最大のアンテナ高を示すグラフで
ある。図4は図1の装置における2つの送受信装置の水
平面内指向特性を示すグラフである。図5は図1の装置
におけるアンテナの指向性制御系の構成を示すブロック
図である。
【0020】図10はアレーアンテナの具体例を示す斜
視図である。図11はアレーアンテナの素子間隔と指向
特性との関係を示すグラフである。図12はアンテナの
水平面内指向特性を示すグラフである。図13は図1の
装置が利用される環境における各基地局の配置例を示す
平面図である。図14は図1の装置が利用される環境に
おける各基地局の通話エリアの例を示す斜視図である。
図15は図1の装置が受信する干渉波の経路の例を示す
斜視図である。図16はアンテナの指向特性と干渉波の
到来方向の例を示す平面図である。
【0021】この形態では、請求項1の第1の送受信装
置,第2の送受信装置,第1の振幅位相可変器,第2の
振幅位相可変器は、第1送受信装置13,第2送受信装
置14,振幅位相可変部15及び16として具体化され
ている。また、請求項1のアンテナアレーはアレーアン
テナ11及び12として具体化されている。
【0022】更に、請求項1の第1の既知信号及び第2
の既知信号の到来方向は、それぞれ図2のステップS1
2及びS24で決定される。請求項3の指向特性制御手
段は、振幅位相制御部17として具体化されている。図
1を参照すると、この移動通信基地局用アレーアンテナ
装置は、アレーアンテナ11,12,第1送受信装置1
3,第2送受信装置14及び振幅位相制御部17で構成
されている。
【0023】第1送受信装置13及び第2送受信装置1
4は、各々、受信部112,A/D変換器18,振幅位
相可変部15,送信部113,D/A変換器19,振幅
位相可変部16,ロジック部114を備えている。振幅
位相制御部17は、重み保存メモリ110及び既知信号
発生部111を備えている。第1送受信装置13に接続
されたアレーアンテナ11及び第2送受信装置14に接
続されたアレーアンテナ12は、各々、3つの素子で構
成されている。
【0024】第1送受信装置13の振幅位相可変部15
は、アレーアンテナ11で受信された3系統のそれぞれ
の受信信号に対して、振幅及び位相を調整する機能を有
する。第1送受信装置13の振幅位相可変部16は、ア
レーアンテナ11のそれぞれの素子から送信される3系
統の送信信号に対して、振幅及び位相を調整する機能を
有する。
【0025】同様に、第2送受信装置14の振幅位相可
変部15は、アレーアンテナ12で受信された3系統の
それぞれの受信信号に対して、振幅及び位相を調整する
機能を有する。第2送受信装置14の振幅位相可変部1
6は、アレーアンテナ12のそれぞれの素子から送信さ
れる3系統の送信信号に対して、振幅及び位相を調整す
る機能を有する。
【0026】アンテナ11又は12で受信された3系統
の信号は、第1送受信装置13又は第2送受信装置14
の振幅位相可変部15において位相及び振幅が調整され
た後、ロジック部114の内部で合成される。振幅位相
可変部15における操作量である位相及び振幅の調整量
を変えることにより、受信する信号に対するアレーアン
テナ11,12の指向特性が調整される。
【0027】同様に、振幅位相可変部16における位相
及び振幅の調整量を変えることにより、送信する信号に
対するアレーアンテナ11,12の指向特性が調整され
る。一般にアレーアンテナは指向性を有している。この
指向特性においては、特定の方向に対してアンテナ利得
が非常に小さくなるヌル点が形成される。振幅位相可変
部15,16の操作量を調整すると、アンテナ11,1
2の指向特性のヌル点の方向を変えることができる。
【0028】従って、図16に示すように指向特性のヌ
ル点の方向が干渉波の到来方向と一致するように指向特
性を制御すれば、干渉波の影響を低減できる。なお、図
1においてはディジタル信号処理によって信号の振幅及
び位相を調整する構成を示してあるが、アナログ信号処
理回路を用いて信号の振幅及び位相を調整するように構
成を変更しても良い。
【0029】図1に示すように、第1送受信装置13及
び第2送受信装置14は、振幅位相制御部17と接続さ
れている。干渉波の検出のために、第1送受信装置13
又は第2送受信装置14で受信された3系統の信号が振
幅位相制御部17に入力される。振幅位相制御部17
は、アレーアンテナ11及び12の指向特性を決定する
振幅及び位相値(図5のP1,P2)を算出する。アレ
ーアンテナ11の指向特性を決定する振幅及び位相値P
1は第1送受信装置13に与えられ、アレーアンテナ1
2の指向特性を決定する振幅及び位相値P2は第2送受
信装置14に与えられる。
【0030】図1の装置におけるアンテナの指向特性制
御系の基本構成を図5に示す。図5に示す制御系につい
て説明する。図1の装置においては、信号を送信する前
に、アレーアンテナ11又は12の指向特性を調整しな
がら空きスロットの有無を調べる。従って、そのときに
図1の装置(基地局)に到来する信号は全て干渉信号で
あり、所望波は存在しない。
【0031】一般に、この種の指向性制御においては干
渉波の成分をできる限り低減し、所望波の成分を抽出で
きるようにアンテナの指向特性を制御する。そこで、望
ましい指向特性の検出を可能にするために、所望波の代
わりの既知信号を用意してある。図1及び図5に示す既
知信号発生部111が、所望波の代わりの既知信号を少
なくとも1つ発生する。実際には、PN符号などの疑似
乱数を変調した信号を既知信号として用いている。
【0032】位相可変部51,52,53は、既知信号
発生部111が出力する既知信号から、所定の方向θo
から到来する既知信号を生成するために、位相をそれぞ
れ調整した信号を生成する。位相可変部51,52及び
53の位相調整量は、既知信号の方向θoと、アンテナ
アレーの素子配列及び素子間隔により決定される。
【0033】アンテナ11(又は12)の3つの素子の
それぞれの位置ベクトルがr1,r2及びr3で表され
る場合には、位相可変部51の位相調整量φ1,位相可
変部52の位相調整量φ2及び位相可変部53の位相調
整量φ3は、それぞれ次式で表される。 φ1=k・r1 ・・・(1) φ2=k・r2 ・・・(2) φ3=k・r3 ・・・(3) k=2π/λ・(i・cosθo+j・sinθo) ・・・(4) i:水平面内のX軸方向の単位ベクトル j:水平面内のY軸方向の単位ベクトル λ:波長 A/D変換器18から出力される3系統の受信信号は、
信号選択部30を介して信号合成部54,55及び56
にそれぞれ印加される。信号合成部54,55及び56
は、それぞれ位相可変部51,52及び53が出力する
信号と前記受信信号とを合成した信号を出力する。
【0034】信号合成部54,55及び56が出力する
信号は、それぞれ振幅位相可変部57,58及び59で
振幅及び位相を調整された後、信号合成部60に印加さ
れる。振幅位相可変部57,58及び59のそれぞれの
振幅及び位相の調整量は、LMS制御部50により制御
される。信号合成部60は、振幅位相可変部57が出力
する信号,振幅位相可変部58が出力する信号及び振幅
位相可変部59が出力する信号を合成して出力する。
【0035】LMS制御部50は、信号合成部60が出
力する合成信号と、既知信号発生部111が出力する既
知信号との差を最小にするのに必要な振幅及び位相値P
1(又はP2)を、LMS(Least Mean S
quare)法などの適応アルゴリズムを用いて、振幅
位相可変部57,58,59の重み(振幅と位相値)を
調整しながら探索する。
【0036】LMS制御部50によって求められた振幅
及び位相値P1(P2)を振幅位相可変部15(16)
に与えることにより、干渉波の影響が最小になるように
アレーアンテナ11(12)の指向特性を調整して送受
信できる。求められた振幅及び位相値P1及びP2は、
図1に示す重み保存メモリ110に保持される。図2に
示す処理は、多数のスロットの中から利用可能な空きス
ロットを探すための制御である。干渉波の影響を低減す
るとともに、様々な方向に存在する通信端末との間で通
信を可能にするために、アレーアンテナ11及び12の
指向特性の調整を自動的に実行する。
【0037】アレーアンテナ11及び12はそれぞれが
指向性を有するが、この例では、アレーアンテナ11及
び12の指向特性を合成した基地局の総合的な指向特性
が円形に近づくように制御される。以下、図2に示す処
理について説明する。
【0038】図2において、ステップS11〜S21は
第1送受信装置13に対するアレーアンテナ11の指向
特性を調整するための処理であり、ステップS23〜S
30は第2送受信装置14に対するアレーアンテナ12
の指向特性を調整するための処理である。第1送受信装
置13に対するアレーアンテナ11の指向特性を調整す
るために、ステップS11では、信号選択部30を制御
して第1送受信装置13のA/D変換器18が出力する
3系統の受信信号を、各々信号合成部54,55,56
に印加する。
【0039】ステップS12では、所望波の代わりに利
用する既知信号の到来方向(水平面内の方向)を、予め
定めた方向θoにセットする。すなわち、既知信号発生
部111が出力する信号の位相を位相可変部51,5
2,53でそれぞれ調整することにより、アレーアンテ
ナ11で受信される方向θoからの所望波の信号と等価
な信号を生成する。
【0040】実際には、位相可変部51,52,53の
それぞれの位相調整量は、前記第1式,第2式及び第3
式により決定される。ステップS13では、図5に示す
信号合成部54,55,56において、上記既知信号と
第1送受信装置13の受信信号とを合成した合成信号を
生成する。ステップS14では、振幅位相可変部57,
58,59で重み付けされた前記合成信号を図5に示す
信号合成部60で合成し、3系統の信号の総和を求め
る。
【0041】ステップS15では、図5に示すLMS制
御部50において、既知信号発生部111が出力する既
知信号と、信号合成部60が出力する合成信号との誤差
が最小になるような振幅位相可変部57,58,59の
重み(振幅,位相)を、所定のLMSアルゴリズムを用
いて算出する。1つのバーストの期間中、ステップS1
3,S14,S15の処理が繰り返し実行される。1つ
のバーストの期間が終了すると、ステップS16からS
17に進む。ステップS17では、上記ステップS15
の処理で求められた重み(振幅,位相)を第1送受信装
置13の振幅位相可変部15及び16に振幅及び位相値
P1として出力する。
【0042】ステップS18では、上記処理の対象バー
ストが含まれるスロットに干渉波が現れているか否かを
識別する。すなわち、合成信号のレベルを所定の閾値と
比較する。合成信号のレベルが閾値以下であれば干渉波
が除去されているので空きスロットとみなしステップS
23に進む。干渉波が検出された場合には、ステップS
18からS19に進む。ステップS19では、全バース
トの処理が終了したか否かを識別する。全バーストが終
了してなければ、ステップS19からS20に進み、次
バーストの探索を開始する。
【0043】全バーストの処理が終了した場合には、ス
テップS19からS21に進む。ステップS21では、
360度の全方向にわたる探索処理が終了したか否かを
識別する。全方向の探索処理が終了してなければ、ステ
ップS21からS22に進み、既知信号の方向θoを変
更する。空きスロットを検出できないまま全方向の探索
処理が終了すると、探索失敗とみなす。
【0044】アレーアンテナ11と第1送受信装置13
を利用した上記空きスロットの探索で空きスロットを検
出した場合には、ステップS23に進む。ステップS2
3では、第2送受信装置14に対するアレーアンテナ1
2の指向特性を調整するために、信号選択部30を制御
して第2送受信装置14のA/D変換器18が出力する
3系統の受信信号を、各々信号合成部54,55,56
に印加する。
【0045】ステップS24では、所望波の代わりに利
用する既知信号の到来方向を、上記既知信号の方向θo
とは反対の方向(θo+180度)にセットする。この
方向(θo+180度)から到来する既知信号が得られ
るように、位相可変部51,52,53の位相調整量を
それぞれ調整する。位相可変部51,52,53のそれ
ぞれの位相調整量は、前記第1式,第2式及び第3式に
より決定される。
【0046】ステップS25では、前記ステップS1
3,S14,S15と同様の処理により、アレーアンテ
ナ12及び第2送受信装置14で受信された受信信号と
既知信号とを合成した合成信号を生成し、合成信号と前
記既知信号との誤差を最小にするための振幅位相可変部
57,58,59の重み(振幅,位相)を、LMSアル
ゴリズムを用いて算出する。
【0047】1つのバーストの期間中、ステップS25
の処理が繰り返し実行される。1つのバーストの期間が
終了すると、ステップS26からS27に進む。ステッ
プS27では、上記ステップS25の処理で求められた
重み(振幅,位相)を第2送受信装置14の振幅位相可
変部15及び16に振幅及び位相値P2として出力す
る。
【0048】ステップS28では、上記処理の対象バー
ストが含まれるスロットに干渉波が現れているか否かを
識別する。干渉波が検出されなければ、空きスロットと
みなし処理を終了する(探索成功)。干渉波が検出され
た場合には、ステップS28からS29に進む。ステッ
プS29では、全バーストの処理が終了したか否かを識
別する。全バーストが終了してなければ、ステップS2
9からS30に進み、次バーストの探索を開始する。
【0049】全バーストの処理が終了した場合には、ス
テップS29からS22に進み、既知信号の方向θoを
変更する。図2に示す処理においては、アレーアンテナ
11及び第1送受信装置13の指向特性を決定する際に
用いる既知信号の到来方向(ステップS12のθo)
と、アレーアンテナ12及び第2送受信装置14の指向
特性を決定する際に用いる既知信号の到来方向(ステッ
プS24のθo+180度)とを互いに反対の方向に決
定している。
【0050】方向θoから到来する所望波と等価な既知
信号を用いてアレーアンテナ11及び第1送受信装置1
3の指向特性を決定すると、その指向特性は、方向θo
に向かう軸を中心とする半面のアンテナ利得が平坦化さ
れ、反対方向(θo+180度)の半面の中にヌル点が
形成される。また、方向θo反対の方向(θo+180
度)から到来する所望波と等価な既知信号を用いてアレ
ーアンテナ12及び第2送受信装置14の指向特性を決
定すると、その指向特性は、反対方向(θo+180
度)に向かう軸を中心とする半面のアンテナ利得が平坦
化され、正面方向(θo)の半面の中にヌル点が形成さ
れる。
【0051】第1送受信装置13と第2送受信装置14
とに対して、互いに反対方向から到来する既知信号を用
いて指向特性を決定することにより、例えば図4に示す
ような指向特性が得られる。図4の例では、90度方向
を中心として±90度の範囲内では、第1送受信装置1
3の指向性が平坦であり、第2送受信装置14の指向性
にはヌル点が形成されている。また、270度方向を中
心として±90度の範囲内では、第1送受信装置13の
指向性にヌル点が形成され、第2送受信装置14の指向
性は平坦になっている。
【0052】従って、このような指向特性に調整された
第1送受信装置13と第2送受信装置14とを用いるこ
とにより、360度の全ての方向に対してアンテナ利得
を低下させることなく信号の送受信が可能になる。つま
り、無指向性の基地局が実現される。また、アンテナの
ヌル点の方向を干渉波の到来方向と一致させることによ
り、干渉波の影響は低減される。
【0053】所望波の到来方向と干渉波の到来方向とが
近い場合であっても、所望波と干渉波とが異なるスロッ
トで現れる場合には、第1送受信装置13と第2送受信
装置14のと切替により、干渉波を低減し、所望波は低
減させずに受信できる。図2の処理においては、第1送
受信装置13及び第2送受信装置14に対する既知信号
が各々1つだけの場合を示してあるが、互いに到来方向
が異なる複数の既知信号を合成したものを用いて指向特
性の振幅及び位相値を算出してもよい。
【0054】第1送受信装置13の指向特性を決定する
際に複数の既知信号を用いる場合には、それらの既知信
号の到来方向θを次の第5式を満足する範囲内に限定す
ることにより、方向θoに向かう軸を中心とする半面の
指向特性が均一化される。その反対側の半面にヌル点が
形成される。 θo−90≦θ≦θo+90(度) ・・・(5) また、第2送受信装置14の指向特性を決定する際に複
数の既知信号を用いる場合には、それらの既知信号の到
来方向θを次の第6式を満足する範囲内に限定すること
により、方向θoに向かう軸を中心とする半面にヌル点
を形成し、その反対側の半面の指向特性を均一化でき
る。
【0055】 (θo+180)−90≦θ≦(θo+180)+90(度)・・・(6) なお、この形態では受信装置および送信装置等におい
て、各ブランチ毎の振幅や位相の不一致はないものと仮
定している。これらの不一致がある場合には、あらかじ
め調べてテーブル化しておくことで補正が可能である。
図1に示す装置における発明の効果を確認するために、
以下に示す計算機シミュレーションを実施した。シミュ
レーション対象の具体的な通信システムとしては、単一
周波数で時間的に分割された68個のスロットを用い、
複数の基地局が異なる時間で通信することにより同時に
多数の基地局が動作するTDMA方式を仮定した。
【0056】また、基地局の置局環境としては、高さ7
mの低アンテナ高基地局が多数配置されているエリア
に、高さHの高アンテナ高基地局が1つ設置された環境
を仮定した。このときの、高アンテナ高基地局が通信ス
ロットを確保できる最大のアンテナ高を、比較例として
無指向性アンテナを用いた場合と、本発明のアンテナの
場合とで比較した。
【0057】各通信スロットの利用可否については、各
スロットに到来する信号強度がある閾値を越えるか否か
によって判定した。また、すべての基地局のスロットタ
イミングの同期は確立されているものと仮定した。シミ
ュレーションの結果求められた空きスロットを確保でき
る最大のアンテナ高を図3に示す。計算に用いた振幅及
び位相値は、図3に示す通りである。
【0058】図3を参照すると、無指向性アンテナの場
合には、基地局高を12m以上にすると干渉により全て
のスロットが埋るのに対し、本発明では30mまで基地
局高を上げても空きスロットを確保できることがわか
る。このアンテナ高の差をゾーン長に換算すると、本発
明を用いた場合のゾーン長は、無指向性アンテナを用い
る場合に比べて1.4倍になる。
【0059】この形態における第1送受信装置13及び
第2送受信装置14の指向性の一例を図4に示す。図4
を参照すると、第1送受信装置13及び第2送受信装置
14が、それぞれタイミング(スロット)及び到来方向
が異なる1つもしくは複数の干渉波にヌル点を形成し、
しかも総合的な指向性はほぼ無指向性になっていること
が確認できる。
【0060】図1に示したアレーアンテナ11,12の
具体例を図10に示す。図10においては、3つのコリ
ニアアンテナ251を水平面内に正三角形アレーを構成
するように配置してある。3つのコリニアアンテナ25
1の素子間隔は0.42波長に定めてある。第1送受信
装置13の指向性のヌル方向を第2送受信装置14で拘
束する場合、ヌルの数は少ない方が望ましい。また、円
形のセルを実現する上で、ヌルと反対側はできるだけ一
様なパターンが望ましい。さらに、ヌル方向は任意の方
向に形成することが望ましい。一方、装置構成を簡単に
するためには、素子数はできるだけ少なくすることが望
ましい。
【0061】例えば、公知の文献(ANTENNA ENGINEERIN
G HANDBOOK,Chapter 5.5-4, HENRYJASIK, Editor, McGR
AW-HILL BOOK COMPANY, 1961)に示される2素子アレー
の素子間隔,素子間位相差及び指向性の関係を参照する
と、2素子アレーの場合、素子間隔を1/4波長とし、
素子間位相差を90度にすると単一指向性が実現できる
が、ヌルが相対する指向性は位置方向にしか形成できな
い。
【0062】一方、図10に示すような三角形配列の3
素子のアレーアンテナにおいては、単一指向性を少なく
とも図12に示す6方向に実現できる。すなわち、全周
をカバーできるため、3素子が素子数として最適である
ことがわかる。図10に示すような3素子正三角形配列
アレーに対して、単一指向性(ヌル方向:180度)の
励振とした場合のビーム方向反対面(−90度〜+90
度方向)の最大利得からの利得の低下の最大値を図11
(a)に示す。
【0063】図11(a)を参照すると、2つの指向性
でビーム方向が相対するパターンを重ねあわせた時の真
円度として一般的な3dBを得るためには、素子間隔を
0.40波長以上、かつ0.50波長以下とする必要が
あることがわかる。従って、3素子正三角形配列アレー
で、素子間隔を0.40波長以上、かつ0.50波長以
下にすると、2つの相対する指向性を重ね合せたとき
に、最小の素子数で真円度3dB以内の無指向性パター
ンが得られることがわかる。
【0064】また、図11(b)に示すように、素子間
隔を0.4〜0.5波長にすると、ヌル方向の反対方向
に、ブロードな指向性パターンを形成できる。0.40
〜0.50波長は、一般に移動通信に用いられている2
GHzの周波数では約6−8cm程度に相当するので、
図10に示すように1つのレドーム252にアンテナ全
体を収納できる。
【0065】(第2の実施の形態)この形態の移動通信
基地局用アレーアンテナ装置の構成と動作を図6〜図9
に示す。この形態は全ての請求項に対応する。図6はこ
の形態の移動通信基地局用アレーアンテナ装置の構成の
概略を示すブロック図である。図7は図6の装置におけ
る空きスロット探索処理の内容を示すフローチャートで
ある。図8は受信される信号の例を示すタイムチャート
である。図9は図6の装置における2つの送受信装置の
水平面内指向特性を示すグラフである。
【0066】この形態は、前記第1の実施の形態の変形
例である。第1の実施の形態と同一の構成要素及び処理
ステップには、同一の符号及びステップ番号を付けて示
してある。図示しない部分及び説明しない部分について
は、第1の実施の形態と同一である。図6を参照する
と、この移動通信基地局用アレーアンテナ装置は、アレ
ーアンテナ11,12,第1送受信装置13,第2送受
信装置14及び振幅位相制御部17Bで構成されてい
る。
【0067】振幅位相制御部17Bは、既知信号発生部
111,受信レベル検出器211,レベル判定部212
を備えている。第1送受信装置13及び第2送受信装置
14は、振幅位相制御部17Bと接続されている。干渉
波の検出のために、第1送受信装置13又は第2送受信
装置14で受信された3系統の信号が振幅位相制御部1
7Bに入力される。
【0068】TDMA通信システムにおいては、各基地
局はある決められたスロットタイミングで信号を送出す
る。隣接する基地局の送出タイミングが全て同期してい
る場合には、図8(a)に示すように、干渉基地局から
の送出パルスはスロット毎にきれいに収まる。しかし基
地局間で同期していない場合には、図8(b)に示すよ
うに1つの干渉パルスが2つのスロットにまたがって観
測される。
【0069】第1の実施の形態のように、各スロット内
の全期間の受信信号を監視してアンテナの指向特性を決
定する場合には、干渉波がスロット内の全体を通して現
れていない限り、干渉波を抑制するための指向性制御が
うまく作動しない可能性がある。
【0070】例えば、図8(b)において、スロット番
号2,5,8で示されるスロットのように、スロットの
途中で干渉信号がなくなると、その時点からはその干渉
波の方向にヌルを向ける必要がなくなるので、スロット
内を全体を探索して最終的に求まる重みは、スロット前
半に到来していた干渉波を抑制しない場合がある。この
ような誤動作を防止するために、この形態では、図7に
示す処理において、ステップS41及びS42が追加さ
れている。ステップS41及びS42では、受信された
信号のレベルを予め定めた閾値と比較する。この閾値
は、干渉波の有無を識別するために利用される。
【0071】従って、図7のステップS13,S14,
S15及びS25が実行されるのは、受信レベルが閾値
よりも大きい場合だけである。つまり、受信した信号の
うち、閾値を越える成分のみが抽出され、抽出された信
号成分だけに基づいて指向性制御が実施される。この制
御方法のように、受信信号があるレベル以上の場合にの
み重み探索のアルゴリズムを動作させることによって、
干渉信号が到来している場合にだけアルゴリズムをきち
んと動作させることができる。従って、各スロットで最
後に求まる重みは、干渉方向にヌルを向けるように決定
される。
【0072】この形態における発明の効果を確認するた
めに、既に説明した図3と同じ環境でシミュレーション
を行った。ただし、基地局間の信号送出タイミングは非
同期で、一様の確率で送出しているものとした。また、
1スロットの時間を200分割したものをシンボルと呼
ぶ単位で表す。すなわち、1スロットのシンボル数は2
00に定めた。
【0073】第1の実施の形態のように、スロット内の
全体の受信信号に基づいて重み探索を実施した場合の最
終の指向性パターンを図8(a)に示す。また、図7の
ステップS41,S42の閾値を10dBμVに定め
て、受信信号が10dBμV以上の場合にのみ重み探索
を行った場合の最終の指向性パターンを図8(b)に示
す。
【0074】図8において、第1送受信装置13に形成
される指向性については、干渉波がスロットの途中(5
5シンボル目)から到来し、スロットの最後まで干渉波
が到来した状態が継続するため、(a),(b)の指向
性は同じである。一方、第2送受信装置14に形成され
る指向性については、(a),(b)に違いがある。す
なわち、干渉波がスロットの途中(163シンボル目)
で到来しなくなるため、スロット全ての間で重み探索を
行う図8(a)の例で得られる指向性パターンは、干渉
が到来している方向とヌルとが一致していない。
【0075】一方、図8(b)に示す本発明の例では、
干渉波が実際に検出された期間の信号成分のみを探索す
るので、干渉波の方向と指向性のヌル方向とが一致す
る。なお、上記第1の実施の形態及び第2の実施の形態
では、使用するアレーアンテナの素子数が3の場合につ
いて説明したが、必要に応じてアンテナの素子数を変更
してもよい。
【0076】また、上記第1の実施の形態及び第2の実
施の形態では、既知信号と出力信号との誤差が最小にな
るように指向性を制御するアルゴリズムとして、LMS
法を用いているが、LMS法以外のMMSE(Mininum
mean square error)法を用いてもよい。
【0077】
【発明の効果】以上述べたように、本発明を用いると、
隣接基地局からの干渉を低減できるため、高所に基地局
が設置できるとともに円形のセルを構成することがで
き、従来に比べてマイクロセルの通話エリアを拡大する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態の移動通信基地局用アレーア
ンテナ装置の構成の概略を示すブロック図である。
【図2】図1の装置における空きスロット探索処理の内
容を示すフローチャートである。
【図3】利用可能なスロットを確保できる最大のアンテ
ナ高を示すグラフである。
【図4】図1の装置における2つの送受信装置の水平面
内指向特性を示すグラフである。
【図5】図1の装置におけるアンテナの指向性制御系の
構成を示すブロック図である。
【図6】第2の実施の形態の移動通信基地局用アレーア
ンテナ装置の構成の概略を示すブロック図である。
【図7】図6の装置における空きスロット探索処理の内
容を示すフローチャートである。
【図8】受信される信号の例を示すタイムチャートであ
る。
【図9】図6の装置における2つの送受信装置の水平面
内指向特性を示すグラフである。
【図10】アレーアンテナの具体例を示す斜視図であ
る。
【図11】アレーアンテナの素子間隔と指向特性との関
係を示すグラフである。
【図12】アンテナの水平面内指向特性を示すグラフで
ある。
【図13】図1の装置が利用される環境における各基地
局の配置例を示す平面図である。
【図14】図1の装置が利用される環境における各基地
局の通話エリアの例を示す斜視図である。
【図15】図1の装置が受信する干渉波の経路の例を示
す斜視図である。
【図16】アンテナの指向特性と干渉波の到来方向の例
を示す平面図である。
【符号の説明】
11,12 アレーアンテナ 13 第1送受信装置 14 第2送受信装置 15,16 振幅位相可変部 17,17B 振幅位相制御部 18 A/D変換器 19 D/A変換器 30 信号選択部 50 LMS制御部 51,52,53 位相可変部 54,55,56,60,115 信号合成部 57,58,59 振幅位相可変部 110 重み保存メモリ 111 既知信号発生部 112 受信部 113 送信部 114 ロジック部 211 受信レベル検出器 212 レベル判定部 251 コリニアアンテナ 252 レドーム 253 アンテナ端子

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の送受信装置及び第2の送受信装置
    と、それらに共通にもしくは個々に接続されるアンテナ
    アレーと、該アンテナアレーを構成する複数の素子の各
    々の信号と前記第1の送受信装置との間で各入出力信号
    の振幅及び位相を変える第1の振幅位相可変器と、前記
    アンテナアレーを構成する複数の素子の各々の信号と前
    記第2の送受信装置との間で各入出力信号の振幅及び位
    相を変える第2の振幅位相可変器とを用いて、 所定の第1の基準方向を中心として±90度の範囲内に
    限定された方向から到来する少なくとも1つの第1の既
    知信号を生成し、 前記第1の既知信号と、前記第1の送受信装置で受信さ
    れ前記第1の振幅位相可変器を通った受信信号とを合成
    した第1の合成信号を生成し、 前記第1の既知信号と、前記第1の合成信号との誤差を
    最小化する第1の振幅及び位相値を算出して該第1の振
    幅及び位相値を前記第1の振幅位相可変器に与え、 前記第1の基準方向に対して反対の第2の基準方向を中
    心として±90度の範囲内に限定された方向から到来す
    る少なくとも1つの第2の既知信号を生成し、 前記第2の既知信号と、前記第2の送受信装置で受信さ
    れ前記第2の振幅位相可変器を通った受信信号とを合成
    した第2の合成信号を生成し、 前記第2の既知信号と、前記第2の合成信号との誤差を
    最小化する第2の振幅及び位相値を算出して該第2の振
    幅及び位相値を前記第2の振幅位相可変器に与えること
    を特徴とする移動通信基地局用アレーアンテナの制御方
    法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の移動通信基地局用アレー
    アンテナの制御方法において、受信信号のレベルを所定
    の閾値と比較して、受信信号のレベルが前記閾値よりも
    大きい時に現れる信号成分を抽出し、抽出された信号成
    分に基づいて前記第1の振幅及び位相値及び第2の振幅
    及び位相値を算出することを特徴とする移動通信基地局
    用アレーアンテナの制御方法。
  3. 【請求項3】 第1の送受信装置及び第2の送受信装置
    と、 前記第1の送受信装置及び第2の送受信装置に共通にも
    しくは個々に接続されるアンテナアレーと、 前記アンテナアレーを構成する複数の素子の各々の信号
    と前記第1の送受信装置との間で各入出力信号の振幅及
    び位相を変える第1の振幅位相可変器と、 前記アンテナアレーを構成する複数の素子の各々の信号
    と前記第2の送受信装置との間で各入出力信号の振幅及
    び位相を変える第2の振幅位相可変器と、 所定の第1の基準方向を中心として±90度の範囲内に
    限定された方向から到来する少なくとも1つの第1の既
    知信号を生成し、前記第1の既知信号と、前記第1の送
    受信装置で受信され前記第1の振幅位相可変器を通った
    受信信号とを合成した第1の合成信号を生成し、前記第
    1の既知信号と、前記第1の合成信号との誤差を最小化
    する第1の振幅及び位相値を算出して該第1の振幅及び
    位相値を前記第1の振幅位相可変器に与え、前記第1の
    基準方向に対して反対の第2の基準方向を中心として±
    90度の範囲内に限定された方向から到来する少なくと
    も1つの第2の既知信号を生成し、前記第2の既知信号
    と、前記第2の送受信装置で受信され前記第2の振幅位
    相可変器を通った受信信号とを合成した第2の合成信号
    を生成し、前記第2の既知信号と、前記第2の合成信号
    との誤差を最小化する第2の振幅及び位相値を算出して
    該第2の振幅及び位相値を前記第2の振幅位相可変器に
    与える指向特性制御手段とを設けたことを特徴とする移
    動通信基地局用アレーアンテナ装置。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の移動通信基地局用アレー
    アンテナ装置において、前記アンテナアレーを構成する
    素子の数を3とし、前記3つの素子を水平面に正三角形
    に配列し、前記3つの素子の間隔を0.40波長以上、
    0.50波長以下の範囲内に定めたことを特徴とする移
    動通信基地局用アレーアンテナ装置。
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