JPH11241608A - 内燃機関におけるバルブタイミング調整機構 - Google Patents

内燃機関におけるバルブタイミング調整機構

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JPH11241608A
JPH11241608A JP10170264A JP17026498A JPH11241608A JP H11241608 A JPH11241608 A JP H11241608A JP 10170264 A JP10170264 A JP 10170264A JP 17026498 A JP17026498 A JP 17026498A JP H11241608 A JPH11241608 A JP H11241608A
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JP
Japan
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rotating body
timing
advance
internal combustion
pressure chamber
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Application number
JP10170264A
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English (en)
Inventor
Toshiaki Hamaguri
稔章 蛤
Kazuhisa Sanpei
和久 三瓶
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Publication date
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Publication of JPH11241608A publication Critical patent/JPH11241608A/ja
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    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
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    • Y02T10/10Internal combustion engine [ICE] based vehicles
    • Y02T10/12Improving ICE efficiencies

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  • Valve-Gear Or Valve Arrangements (AREA)
  • Valve Device For Special Equipments (AREA)
  • Output Control And Ontrol Of Special Type Engine (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 運転状態に応じた最適な開閉タイミングに調
整するとともに高い始動性を得ることができる開閉タイ
ミングに調整する。 【解決手段】 ベーン33の内部には進角側油室47内
に突出可能なプッシュピン82を備えた始動タイミング
設定手段78を設ける。プッシュピン82は、エンジン
が運転されておらず遅角側油室46及び進角側油室47
に所定の油圧が供給されていないときには進角側油室4
7に突出して、クランクシャフトにより回転駆動される
ロータハウジング27に対し吸気側カムシャフト11に
連動するベーンロータ28をロータハウジング27が回
転駆動される方向にさらに所定角度だけ相対回動させ
る。エンジンが運転され遅角側油室46あるいは進角側
油室47に所定の油圧が供給されるとプッシュピン82
は進角側油室47内に突出した状態が保持されなくな
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関の運転状
態に応じて内燃機関の吸気バルブあるいは排気バルブの
開閉タイミングを変更する内燃機関におけるバルブタイ
ミング調整機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、エンジンの運転状態に応じて
吸気バルブや排気バルブの開閉タイミングを変更し、エ
ンジンの動力特性をその運転状態に対して最適な特性に
変更する可変バルブタイミング機構が実用化されてい
る。この種の可変バルブタイミング機構は、クランクシ
ャフトに対するカムシャフトの相対位相(相対変位角
度)を変化させるものである。
【0003】例えば、図24は、特開平9−60508
号公報にて開示された内燃機関用バルブタイミング調整
装置を示している。図24に示すように、バルブタイミ
ング調整装置200は、カムシャフト201の端部に一
体回転可能に固定されたベーンロータ202と、同カム
シャフト201に対して相対回動可能に支持され、ベー
ンロータ202を収容するベーンロータ収容体203と
を備えている。ベーンロータ収容体203は、タイミン
グチェーンを介してクランク軸に連結されたチェーンス
プロケット204、ベーン室205を形成するシューハ
ウジング206、及び、ベーン室205を閉塞するフロ
ントプレート207にて形成されている。
【0004】ベーンロータ収容体203には、2個のベ
ーン室205が形成され、各ベーン室205内に収容さ
れたベーンロータ202のベーン208によりベーン室
205が遅角側油室209と進角側油室210とに区画
されている。各油室209,210に対しては、所定油
圧の作動油が供給され、あるいは、排出されるようにな
っている。そして、チェーンスプロケットが回転駆動さ
れると、両油室209,210に充満されている作動油
を介してベーンロータ202と共にカムシャフト201
が回転駆動される。
【0005】そして、遅角側油室209に作動油が供給
されるとともに進角側油室210から作動油が排出され
ると、ベーンロータ202がベーンロータ収容体203
に対して遅角側に相対回動する。すると、カムシャフト
201とバルブとの相対位相が、バルブの開閉タイミン
グがより遅角側となるように調整される。この場合に
は、ベーンロータ202がベーンロータ収容体203に
対して最も遅角側に相対回動した最遅角位置にあるとき
が、最遅角タイミングとなる。
【0006】反対に、進角側油室210に作動油が供給
されるとともに遅角側油室209から作動油が排出され
ると、ベーンロータ202がベーンロータ収容体203
に対して進角側に相対回動する。すると、カムシャフト
201とバルブとの相対位相が、バルブの開閉タイミン
グがより進角側となるように調整される。この場合に
は、ベーンロータ202がベーンロータ収容体203に
対して最も進角側に相対回動した最進角位置にあるとき
が、最進角タイミングとなる。
【0007】ベーンロータ202の1つのベーン208
には、回転軸方向に移動可能なロックピン211が設け
られている。一方、チェーンスプロケット204には、
ロックピン211が係合可能な図示しない係合穴が設け
られている。このロックピン211は図示しないコイル
ばねにてチェーンスプロケット204側に付勢されてお
り、ベーンロータ202が最遅角位置に配置されたとき
ロックピン211が係合穴に係合するようになってい
る。一方、このロックピン211のチェーンスプロケッ
ト204側には各油室209,210に供給される油圧
が供給されており、エンジンが運転中であるときには油
圧に基づくコイルばねの付勢力を超える大きさの付勢力
によりロックピン211がベーンロータ202側の係合
穴に係合しない位置で保持されるようになっている。
【0008】このように構成されたタイミング調整装置
200によれば、エンジン停止時には油圧が低くなるこ
とからベーンロータ202がベーンロータ収容体203
に対して遅角側に相対回動して最遅角位置に配置された
状態でエンジンが停止する。このとき、ロックピン21
1をベーンロータ202側に付勢していた付勢力がコイ
ルばねの付勢力を下回ることから、ロックピン211が
係合穴に係合してベーンロータ202が最遅角位置で固
定される。この状態からエンジンが始動されると、油圧
が発生しておらずベーンロータ202を油圧で位置決め
することができないエンジン始動時において、クランキ
ングの変動トルクによりベーンロータ202がシューハ
ウジング206に繰り返し衝突することが防止される。
【0009】エンジンが始動して油圧が発生すると、コ
イルばねの付勢力を超える油圧の付勢力によりロックピ
ン211がベーンロータ202側に駆動され、係合孔に
係合しない位置に保持される。従って、両油室209,
210に対して給排される作動油が制御されると、ベー
ンロータ202が遅角側あるいは進角側に制御される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところで、吸気バルブ
あるいは排気バルブの各開閉タイミングについてはいず
れも、エンジンを始動させるうえで好適なタイミングが
存在しており、始動時における各バルブの開閉タイミン
グがこの好適なタイミングと大きく異なった場合、始動
性が損なわれてしまうことになる。
【0011】例えば、吸気バルブの開閉タイミングを変
更するバルブタイミング調整装置を備えたエンジンにあ
っては、エンジン始動時に開閉タイミングを遅角側に変
更しすぎた場合、吸気バルブの閉時期が遅くなるため、
燃焼室内の吸入混合気が吸気管内に戻るようになる。エ
ンジン回転数が極めて低いクランキング時に吸入混合気
が吸気管内に戻ると、実圧縮比が低下してしまい、始動
が困難になる。特に、混合気の体積が小さい低温時に
は、クランキングをしても混合気が十分に圧縮されず始
動性が更に悪化する。
【0012】これに対して、エンジン始動時に開閉タイ
ミングを進角側に変更しすぎた場合、バルブオーバラッ
プ期間が長くなり、燃焼室における内部EGR量(排気
ガス循環量)が増大するため、エンジン始動性の低下を
招くこととなる。
【0013】又、排気バルブの開閉タイミングを変更す
るバルブタイミング調整装置を備えたエンジンにあって
も同様に、開閉タイミングが遅角側に変更しすぎた場合
には、バルブオーバラップ期間が長くなり、内部EGR
量が増大してエンジン始動性の低下を招くこととなる。
【0014】又、エンジン始動時に排気バルブの開閉タ
イミングを進角側に変更しすぎた場合には、排気バルブ
の開弁時期が早められ、爆発行程における排気バルブの
開弁期間が長くなる。その結果、燃焼室における爆発圧
力を十分に利用することができなくなり始動性の低下を
招くようになる。
【0015】このように、エンジンの始動に好適なバル
ブの開閉タイミングが存在しているため、上記タイミン
グ調整装置にあっては、始動時の開閉タイミングとなる
最遅角タイミングあるいは最進角タイミングを、始動性
を損なわない開閉タイミングに設定しておく必要があ
る。
【0016】しかしながら、このように最遅角あるいは
最進角タイミングを設定した場合、バルブの開閉タイミ
ングの可変領域が制限されてしまうことになり、開閉タ
イミングをエンジンの運転状態に対し、より適合した開
閉タイミングに更に変更することができないという問題
があった。
【0017】例えば、エンジンの始動時において、吸気
バルブの開閉タイミングを最遅角タイミングに保持する
ようにした場合は、エンジンの高回転時に、開閉タイミ
ングを始動に適した開閉タイミングよりも更に遅角側に
変更して体積効率を増大させることができない。即ち、
吸気バルブの閉時期を更に遅くすれば、吸気慣性効果に
よる体積効率の増大によってエンジン出力の向上を図る
ことができるにも関わらず、上記構成にあってはこのよ
うな効果が得られないことになる。
【0018】本発明は、上記問題点を解決するためにな
されたものであって、その目的は、運転状態に応じた最
適な開閉タイミングに調整することができるとともに高
い始動性を得ることができる開閉タイミングに調整する
ことができる内燃機関におけるバルブタイミング調整機
構を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
め、請求項1に記載の発明は、内周面に少なくとも1つ
の凹部を有する第1回転体と、前記凹部を第1圧力室と
第2圧力室とに区画する複数のベーンを有するとともに
相対回動可能に前記第1回転体と組み合わせられる第2
回転体とを備え、内燃機関の基準回転位相にて同期回転
される前記第1回転体あるいは第2回転体の一方の回転
を前記第1圧力室と第2圧力室との圧力の均衡により両
回転体の他方に伝達して同第1回転体あるいは第2回転
体に駆動連結されたカムシャフトを回転駆動するととも
に、前記第1圧力室及び第2圧力室の容積変化により前
記第1回転体と第2回転体との相対位相を変更して前記
基準回転位相に対する前記カムシャフトの相対位相を変
更することにより、前記カムシャフトにて開閉駆動され
るバルブの開閉タイミングの前記基準回転位相に対する
位相を進角側あるいは遅角側に変更する内燃機関におけ
るバルブタイミング調整機構において、前記内燃機関の
始動時に、前記バルブの開閉タイミングを、内燃機関運
転時において開閉タイミングが前記基準回転位相に対し
て最も遅れる最遅角タイミングよりも進角側に設定され
た始動タイミングとなるように前記第1回転体と第2回
転体との相対位相を設定する始動タイミング設定手段を
備えた。
【0020】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
の発明において、前記始動タイミング設定手段は、前記
第1回転体あるいは第2回転体に設けられ前記ベーン側
壁あるいは前記凹部側壁に向かって前記第1圧力室ある
いは前記第2圧力室内に突出可能に保持され、その先端
が前記ベーン側壁あるいは凹部側壁に当接する状態で突
出したときに第1回転体と第2回転体との相対位相を前
記始動タイミングに対応する相対位相とする突出部材
と、前記突出部材を付勢して前記ベーン側壁あるいは凹
部側壁に向かって突出させるばね部材と、内燃機関が運
転されず前記第1圧力室あるいは第2圧力室に所定の圧
力が供給されていないときに、前記ばね部材にて前記突
出部材が前記ベーン側壁あるいは凹部側壁に向かって突
出することを許容するとともに突出した状態で保持する
突出状態保持手段と、内燃機関が運転され前記第1圧力
室あるいは第2圧力室に所定圧力が供給されたときに
は、該圧力に基づき前記突出状態保持手段にて前記突出
部材が突出した状態で保持された状態を解除する突出状
態解除手段とを備えた。
【0021】請求項3に記載の発明は、請求項1に記載
の発明において、前記始動タイミング設定手段は、前記
第1回転体あるいは第2回転体においてそのほぼ径方向
に離間した内周側の始動位置と外周側の運転位置との間
で移動可能に設けられ、前記第1回転体あるいは第2回
転体から前記第1圧力室内に突出する当接部を備えた第
1ストッパと、前記第2回転体あるいは第1回転体の第
1圧力室を形成する側壁に設けられ、前記第1ストッパ
が前記始動位置にあるときに前記当接部が当接すること
により、前記第1回転体と第2回転体との相対位相を前
記始動タイミングに対応する相対位相とするとともに、
前記第1ストッパが前記運転位置にあるときには前記当
接部に当接しないことにより、前記第1回転体と第2回
転体との相対位相を前記最遅角タイミングに対応する相
対位相とする第2ストッパと、前記第1ストッパが前記
始動位置に配置されるように同第1ストッパを内周側に
付勢するとともに、内燃機関が運転されて前記第1回転
体あるいは第2回転体が所定回転数以上の回転数で回転
駆動されたときには、その回転に基づいて前記第1スト
ッパに作用する遠心力により、同第1ストッパが始動位
置から運転位置に移動することを許容するばね部材とを
備えた。
【0022】請求項4に記載の発明は、請求項1に記載
の発明において、前記始動タイミング設定手段は、前記
第1及び第2圧力室の内、前記第1及び第2回転体が遅
角側に相対回動するときに容積が小さくなる側の進角側
圧力室に収容された球状体と、前記進角側圧力室の外周
端位置に前記第1回転と第2回転体の少なくとも一方に
設けられた収容溝と、前記球状体が前記収容溝に入らな
いよう規制するように設けられ、内燃機関運転時に供給
される圧力により前記第1及び第2回転体が前記進角側
圧力室の容積が小さくなるように相対回動するときに、
前記凹部側壁あるいはベーン側壁にて押圧される前記球
状体が前記収容溝に入ることを許容するように弾性変形
する弾性板とを備えている。
【0023】請求項5に記載の発明は、請求項4に記載
の発明において、前記球状体は、少なくとも表層が弾性
体にて形成されている。請求項6に記載の発明は、請求
項1に記載の発明において、前記始動タイミング設定手
段は、前記進角側圧力室を形成する前記第1回転体の凹
部側壁、あるいは、前記第2回転体のベーン側壁に設け
られ、自然状態で該進角側圧力室に突出し、内燃機関運
転時に前記進角側圧力室に供給される圧力によって該進
角側圧力室に突出しないように弾性変形するばね部材を
備えている。
【0024】請求項7に記載の発明は、請求項6に記載
の発明において、前記始動タイミング設定手段は、前記
凹部側壁あるいはベーン側壁に設けられ、前記第1圧力
室に開口する凹部を備え、前記ばね部材は、前記凹部を
閉塞するように設けられ、自然状態で前記進角側圧力室
に突出し、内燃期間運転時に前記進角側圧力室に供給さ
れる圧力によって前記凹部側に退避するように弾性変形
する凸状部を備えた弾性板である。
【0025】請求項8に記載の発明は、請求項6に記載
の発明において、前記ばね部材は、前記凹部側壁あるい
はベーン側壁に設けられ、自然状態で先端側が前記進角
側圧力室に突出するように基端が支持され、内燃機関運
転時に該進角側圧力室に供給される圧力及び前記両回転
体の回転に伴う遠心力により、前記先端側が基端を回動
中心として回動するように弾性変形し該進角側圧力室の
外周側に退避する弾性板である。
【0026】請求項9に記載の発明は、請求項1〜請求
項8のいずれか一項に記載の発明において、内燃機関が
運転されていないときには、前記第1回転体と第2回転
体との相対位相が前記始動タイミングに対応する相対位
相となったときに第1回転体と第2回転体とを相対回動
不能に連結するとともに、内燃機関が運転されたときに
は、前記第1回転体と第2回転体との相対位相が前記始
動タイミングに対応する相対位相となっても第1回転体
と第2回転体とを相対回動不能に連結しない連結手段を
備えている。
【0027】請求項10に記載の発明は、請求項1〜請
求項9のいずれか一項に記載の発明において、前記カム
シャフトは、吸気側カムシャフトであり、前記第1圧力
室は進角側油室で前記第2圧力室は遅角側油室である。
【0028】(作用)請求項1に記載の発明によれば、
第1回転体または前記第2回転体の一方が内燃機関の基
準回転位相にて同期回転されると、第1圧力室と前記第
2圧力室との圧力の均衡により第1回転体または前記第
2回転体の一方に対して相対回動しない状態で連結され
た第1回転体または前記第2回転体の他方によりカムシ
ャフトが回転駆動される。すると、カムシャフトにより
基準回転位相に同期した開閉タイミングでバルブが開閉
駆動される。第1圧力室と前記第2圧力室の各容積が変
更されると、第1回転体と第2回転体との相対位相が変
更される。その結果、基準回転位相に対するカムシャフ
トの相対位相が変更され、基準回転位相に対するバルブ
の開閉タイミングの相対位相が変更される。内燃機関の
始動時には、始動タイミング設定手段によりバルブの開
閉タイミングが内燃機関運転時における開閉タイミング
が前記基準回転位相に対して最も遅れる最遅角タイミン
グよりも進角側に設定された始動タイミングとなる。内
燃機関が始動した後には、バルブの開閉タイミングが始
動タイミングを超えて遅角側に変更され、最遅角タイミ
ングまで調整可能となる。
【0029】請求項2に記載の発明によれば、請求項1
に記載の発明の作用に加えて、内燃機関が運転される前
のクランキング時に、第1回転体あるいは第2回転体に
設けられた突出部材がばね部材にてベーン側壁あるいは
凹部側壁側に向かって第1圧力室あるいは第2圧力室内
に突出され、その突出した状態が突出状態保持手段にて
保持される。すると、第1回転体と第2回転体との相対
位相が突出部材にて始動タイミングに対応する相対位相
に保持される。内燃機関が運転され第1圧力室あるいは
第2圧力室に所定圧力の油圧が供給されると、その油圧
に基づき突出状態解除手段により突出部材が突出した状
態が解除される。その結果、第1回転体と第2回転体と
の相対位相が始動タイミングに対応する相対位相から、
より遅角側の開閉タイミングに対応する相対位相に変更
される。
【0030】請求項3に記載の発明によれば、請求項1
に記載の発明の作用に加えて、内燃機関の始動前のクラ
ンキング時には、第1回転体あるいは第2回転体におい
てそのほぼ径方向に離間した内周側の始動位置と外周側
の運転位置との間で移動可能に保持された第1ストッパ
がばね部材の付勢力により始動位置に配置された状態で
保持される。すると、第1ストッパの第1圧力室内に突
出する当接部が第2ストッパに当接して、第1回転体と
第2回転体との相対位相が始動タイミングに対応する相
対位相となる。内燃機関が運転されると第1ストッパが
遠心力によりばね部材の付勢力に抗して始動位置から運
転位置に移動配置される。すると、第1ストッパの当接
部が第2ストッパに当接しなくなり、第1回転体と第2
回転体とが始動タイミングよりも遅角側となる相対位相
となるまで相対回動する。
【0031】請求項4に記載の発明によれば、内燃機関
始動のためのクランキング時には、進角側油室において
弾性板により球状体が収容溝に入ることが規制され、球
状体が凹部とベーンとの間に介在する。内燃機関が運転
され進角側圧力室に圧力が供給されるとともに第1及び
第2回転体の回転数が大きくなると、球状体が進角側圧
力室の外周側に移動した状態で保持される。そして、第
1及び第2回転体が始動タイミングよりも遅角側の開閉
タイミングに対応する相対位相に制御されると、凹部側
壁と弾性板との間、あるいは、ベーン側壁と弾性板との
間で挟持される球状体により弾性板が弾性変形して球状
体が収容溝に入り込むことが許容され、凹部とベーンと
の間に介在しなくなる。
【0032】請求項5に記載の発明によれば、請求項4
に記載の発明の作用に加えて、クランキング時に、第1
回転体と第2回転体との間に球状体が供挟持されるとき
の衝撃が、弾性体の弾性変形によって緩衝される。
【0033】請求項6に記載の発明によれば、クランキ
ング時には、ばね部材が進角側圧力室に突出して凹部と
ベーンとの間に介在する。内燃機関が運転されると進角
側圧力室に供給される圧力によりばね部材が弾性変形
し、ばね部材が凹部側壁とベーン側壁との間に介在しな
くなる。
【0034】請求項7に記載の発明によれば、請求項6
に記載の発明の作用に加えて、クランキング時には、弾
性板の凸状部が進角側圧力室に突出して凹部とベーンと
の間に介在する。内燃機関運転に基づく圧力が供給され
ると、弾性板が弾性変形して凸状部が凹状部内に退避し
凹部側壁とベーン側壁との間に介在しなくなる。
【0035】請求項8に記載の発明によれば、請求項6
に記載の発明の作用に加えて、クランキング時には、弾
性体の先端側が進角側圧力室に突出して凹部とベーンと
の間に介在する。内燃機関運転に基づく圧力が供給され
ると、弾性板が弾性変形して先端側が基端を回動中心と
して進角側圧力室の外周側に回動し凹部側壁とベーン側
壁との間に介在しなくなる。
【0036】請求項9に記載の発明によれば、請求項1
〜請求項8のいずれか一項に記載の発明の作用に加え
て、内燃機関の始動時には、第1回転体と第2回転体と
の相対位相が始動タイミングに対応する相対位相となっ
た状態で相対回動不能に連結される。従って、カムシャ
フトを回転駆動するために必要な回転トルクの変動によ
り、第1回転体と第2回転体との相対位相が前記相対位
相から変動しない。一方、内燃機関が運転されたときに
は、第1回転体と第2回転体との相対回動が規制されな
い。
【0037】請求項10に記載の発明によれば、請求項
1〜請求項9のいずれか一項に記載の発明の作用に加え
て、内燃機関の始動時には、基準回転位相に対する吸気
側カムシャフトの相対位相が最遅角タイミングよりも進
角側に設定された始動タイミングに対応した相対位相に
保持される。又、運転時には最遅角タイミングに対応す
る相対位相まで変更される。
【0038】
【発明の実施の形態】(第1の実施の形態)以下、本発
明を具体化した第1の実施の形態を図1〜図14に従っ
て説明する。
【0039】図2は、弁駆動方式がDOHC(Double O
ver Head Camshaft )で弁数が吸気側2バルブ排気側2
バルブである4気筒エンジン(内燃機関)の吸気側カム
シャフト11及び排気側カムシャフト12を示す摸式平
面図である。排気側カムシャフト12の一端にはカムプ
ーリ13が固定され、カムプーリ13には駆動軸として
の図示しないクランクシャフトの一端に固定されている
クランクプーリに掛装されたタイミングベルト14が掛
装されている。排気側カムシャフト12には、各気筒に
対応する位置にそれぞれ排気側カム15が設けられてい
る。排気側カムシャフト12の他端には、ドライブギア
16が固定されている。
【0040】カムシャフトとしての吸気側カムシャフト
11において、前記ドライブギア16側と対応する端部
には、バルブタイミング調整機構17が設けられてい
る。バルブタイミング調整機構17は、ドライブギア1
6にて回転駆動されるようになっている。吸気側カムシ
ャフト11には、各気筒に対応する位置にそれぞれバル
ブとしての吸気側カム18が設けられている。
【0041】図4は、吸気側カムシャフト11のバルブ
タイミング調整機構17を含む中心軸での断面図であ
る。吸気側カムシャフト11のジャーナル19は、シリ
ンダヘッド20とベアリングキャップ21により回転可
能に支持されている。吸気側カムシャフト11の端部に
はジャーナル19より大径の拡径部22が設けられ、拡
径部22の端面には小径の突出部23が設けられてい
る。吸気側カムシャフト11には、その中心軸方向に貫
通する貫通孔24が設けられ、貫通孔24の端部には雌
ねじ部25が設けられている。バルブタイミング調整機
構17は、拡径部22から外側に設けられている。
【0042】バルブタイミング調整機構17は、ドリブ
ンギア26、第1回転体としてのロータハウジング2
7、第2回転体としてのベーンロータ28、カバー29
等を備えている。
【0043】ドリブンギア26は円環状に形成され、拡
径部22に対して相対回動可能に嵌合されている。ドリ
ブンギア26には、前記ドライブギア16が歯合されて
いる。ドリブンギア26の外側端面には、ロータハウジ
ング27が固定されている。従って、ロータハウジング
27は、クランクシャフトによりエンジンの基準回転位
相にて図1において時計方向に同期回転されるようにな
っている。
【0044】図1は、図4におけるB−B線断面であ
る。図1に示すように、ロータハウジング27は、その
中心部に円柱状の空間部30が形成されている。ロータ
ハウジング27には、空間部30から外周側に拡開する
凹部としての略扇形状のベーン室31が複数個等角度間
隔に設けられている。ロータハウジング27には、前記
ベーンロータ28が収容されている。
【0045】ベーンロータ28は、円柱状の軸部32を
備え、該軸部32の外周面には外周側に拡開する略扇形
状のベーン33が複数個等角度間隔で設けられている。
図4に示すように、軸部32の端面には嵌合穴34が設
けられ、該嵌合穴34は突出部23に外嵌されている。
そして、ベーンロータ28は、軸部32が吸気側カムシ
ャフト11に対して相対回動不能に固定されている。嵌
合穴34の開口端には段差部35が形成され、この段差
部35の側面と、突出部23の外周面と、拡径部22の
端面とにより、円環状の油路36が形成されている。軸
部32の中心には雌ねじ孔25よりやや大径に形成さ
れ、軸部32を貫通して雌ねじ孔25に連通する中心孔
37が設けられている。軸部32は空間部30に対して
相対回動可能に嵌挿され、各ベーン33はそれぞれベー
ン室31内に収容されている。
【0046】図1に示すように、ロータハウジング27
において空間部30を形成する各内側面27aには、バ
ルブタイミング調整機構17の中心軸方向に延びる溝3
8が形成され、この溝38には板ばね39にて内周側に
付勢されるシール部材40が収容されている。そして、
各シール部材40は、ベーンロータ28の軸部32の外
周面に摺接されている。
【0047】各ベーン33の外周面には、前記中心軸方
向に延びる溝41が形成され、該溝41には板ばね42
にて外周側に付勢されるシール部材43が収容されてい
る。そして、各シール部材43は、ベーン室31の外周
側の内周面に摺接されている。
【0048】図4に示すように、ロータハウジング27
の端面には、前記カバー29が相対回動可能に外嵌され
ている。カバー29の内側面はベーンロータ28の端面
に当接されている。カバー29の中央部には中心孔37
よりも大径に形成され、中心孔37に連通された取付用
孔44が設けられている。そして、取付用孔44から
は、吸気側カムシャフト11、ベーンロータ28及びカ
バー29を一体回動可能に連結固定するボルト45が、
軸部32の中心孔37を挿通して吸気側カムシャフト1
1の雌ねじ孔25に螺合されている。
【0049】そして、吸気側カムシャフト11の拡径部
22、ドリブンギア26、ロータハウジング27及びカ
バー29により、ロータハウジング27の各ベーン室3
1が閉塞されている。
【0050】図1に示すように、各ベーン室31は、ベ
ーン33にて第1圧力室としての遅角側油室46と第2
圧力室としての進角側油室47とに区画されている。本
実施の形態では、各ベーン室31において、ベーン33
に対してロータハウジング27の回転方向と同方向側に
遅角側油室46が形成され、同じくその反対方向側に進
角側油室47が形成されている。
【0051】そして、各ベーン33が遅角側油室46側
から進角側油室47側に移動配置されるようにロータハ
ウジング27とベーンロータ28とが相対回動すると、
吸気側カム18にて開閉される吸気バルブの開閉タイミ
ングがより遅角側に調整されるように吸気側カムシャフ
ト11とクランクシャフトとの相対位相が変更される。
図5に示すように、各ベーン33が進角側油室47に移
動して1つのベーン33が同油室47の凹部側壁27b
に当接してベーンロータ28とロータハウジング27と
の相対回動が規制される最遅角位置となったとき、吸気
バルブの開閉タイミングが最遅角タイミングに調整され
る。この最遅角タイミングは、エンジンの高回転領域に
おいて、吸気慣性効果を向上させて出力特性を向上する
ことができる吸気バルブの開閉タイミングに設定されて
おり、この開閉タイミングでエンジンが始動された場合
には、一旦燃焼室に吸入された混合気が吸気管側に戻っ
て実圧縮比の低下を招くような開閉タイミングに設定さ
れている。
【0052】反対に、各ベーン33が進角側油室47側
から遅角側油室46側に移動配置されるように、ロータ
ハウジング27とベーンロータ28とが相対回動する
と、吸気バルブの開閉タイミングがより進角側に調整さ
れるように吸気側カムシャフト11とクランクシャフト
との相対位相が変更される。図6に示すように、各ベー
ン33が遅角側油室46に移動して同油室46の内側面
に当接してベーンロータ28とロータハウジング27と
の相対回動が規制される最進角位置となったとき、吸気
バルブの開閉タイミングが最進角タイミングに調整され
る。
【0053】各ベーン33が最遅角位置に配置されたと
きに進角側油室47の凹部側壁27bに当接するベーン
33には、図1及び図4に示すように、エンジン始動時
に、吸気バルブの開閉タイミングが前記最遅角タイミン
グよりも進角側に設定された始動タイミングとなるよう
に、ベーンロータ28のロータハウジング27に対する
相対位相を設定する始動タイミング設定手段としての始
動タイミング設定部78が設けられている。以下、その
構成を詳述する。
【0054】図7〜図9は、始動タイミング設定部78
の断面を示している。図7に示すように、始動タイミン
グ設定部78が設けられたベーン33の内部には、ベー
ンロータ28の中心軸にほぼ直交する方向に延びる第1
保持室79が設けられている。この第1保持室79の内
周側には、ベーンロータ28のほぼ径方向に延びるよう
に形成されるとともに第1保持室79に連通する第2保
持室80が設けられている。第1保持室79は、その進
角側油室47側に同油室47に開口する出入孔81が設
けられている。
【0055】第1保持室79には、突出部材としてのプ
ッシュピン82が同第1保持室79が延びる方向に往復
移動可能に、即ち、進角側油室47を形成するロータハ
ウジング27の凹部側壁27bに向かって突出可能に保
持されている。プッシュピン82は、内周側に歯部83
が設けられた胴部84と、該胴部84から延びて前記出
入孔81側に延出されたピン部85とを備えている。胴
部84は第1保持室79内を同第1保持室79が延びる
方向に摺動可能に形成され、ピン部85は出入孔81を
同方向に摺動可能にかつ出入孔81から進角側油室47
内に突出可能に形成されている。第1保持室79の遅角
側油室46側には、プッシュピン82を進角側油室47
側に付勢するばね部材としての圧縮コイルばね86が設
けられている。そして、図7に示すように、胴部84が
圧縮コイルばね86の付勢力に抗して第1保持室79内
で最も遅角側油室46側に移動した位置(以下、退避位
置)に配置されたときには、ピン部85は進角側油室4
7から出入孔81内に完全に没入する。反対に、図8に
示すように、胴部84が圧縮コイルばね86に付勢され
て第1保持室79内で最も進角側油室47側に移動した
位置(以下、突出位置)に配置されたときには、ピン部
85は出入孔81から進化側油室47内に突出するよう
になっている。そして、プッシュピン28が突出位置に
配置された状態でその先端が進角側油室47の凹部側壁
27bに当接したときに、ベーンロータ28が前記始動
位置に配置されるようになっている。尚、歯部83の各
歯は、プッシュピン82の移動方向に垂直な垂直面と同
垂直面の頂部から進角側油室47側に延びる傾斜面とか
ら形成されている。
【0056】第2保持室80には、係止ブロック87が
第2保持室80を径方向に往復移動可能に保持されてい
る。係止ブロック87は、その外周側に前記歯部83に
歯合可能な歯部88が設けられている。歯部88の各歯
は、係止ブロック87の移動方向に平行な垂直面と、同
垂直面の頂部から遅角側油室46側に延びる傾斜面とか
ら形成されている。第2保持室80の内周側には、係止
ブロック87を第1保持室79側に付勢するばね部材と
しての圧縮コイルばね89が設けられている。そして、
図7及び図8に示すように、係止ブロック87が圧縮コ
イルばね89に付勢されて第2保持室80内で最も第1
保持室79側に移動した位置(以下、係止位置)に配置
されたときには、係止ブロック87の歯部88がプッシ
ュピン82の歯部83に歯合するようになっている。反
対に、図9に示すように、係止ブロック87が圧縮コイ
ルばね89の付勢力に抗して第2保持室80内で最も内
周側に移動した位置(以下、非係止位置)に配置された
ときには、係止ブロック87の歯部89がプッシュピン
82の歯部83に歯合しないようになっている。そし
て、前記プッシュピン82が圧縮コイルばね86の付勢
力に抗して一旦退避位置に配置された状態で係止ブロッ
ク87が係止位置に配置されると、図7に示すように、
プッシュピン82の歯部83が係止ブロック87の歯部
88に歯合してプッシュピン82が退避位置で保持され
る。又、プッシュピン82が圧縮コイルばね86の付勢
力により突出位置に配置された状態で係止ブロック87
が係止位置に配置されると、図8に示すように歯部8
3,88同士の歯合によりプッシュピン82が突出位置
で保持されるようになっている。
【0057】図10は、エンジンが始動されるときのク
ランキング時に、ベーンロータ28が吸気側カムシャフ
ト11から受ける反力としての回転トルクを示すグラフ
である。図10に示すように回転トルクが負となる領域
において、プッシュピン82は、圧縮コイルばね86の
付勢力により退避位置から進角側油室47側に徐々に移
動する。そして、プッシュピン82が進角側油室47の
側面に当接する状態で出入孔81から進角側油室47内
に突出することにより、ベーンロータ28がベーンハウ
ジング27に対して進角側に相対回動するようになって
いる。このとき、回転トルクが正となる領域では、ロー
タハウジング27側からプッシュピン82には圧縮コイ
ルばね86の付勢力を超える大きさの力がプッシュピン
82を退避位置に戻すように加わるが、歯部83,88
同士の噛み合いによりプッシュピン82が押し戻されな
いようになっている。
【0058】第1保持室79の遅角側油室側46には、
同遅角側油室46に連通する油路としての油孔90が設
けられている。第1保持室79、第2保持室80及び胴
部84は、油路90から第1保持室79内に導入された
油圧が係止ブロック87の内周側に加えられるように形
成されている。一方、第2保持室80の内周側には、吸
気側カムシャフト11の拡径部22において外部に連通
するように設けられた空気路91に連通する空気給排路
92が設けられている。
【0059】そして、エンジンが始動して各遅角側油室
46及び進角側油室47に所定油圧の作動油が供給され
ると、遅角側油室46から油孔90を通って第1保持室
79に流入する作動油の油圧により係止ブロック87が
係止位置から非係止位置側に付勢され、空気給排路92
から第2保持室80内の空気が排出されることより非係
止位置まで移動配置される。その結果、歯部83,88
同士の歯合が解除されてプッシュピン82が突出位置に
保持されなくなるようになっている。
【0060】本実施の形態では、プッシュピン82、歯
部83、圧縮コイルばね86、係止ブロック87、歯部
88、圧縮コイルばね89及び油路90にて始動タイミ
ング設定部78が構成されている。又、歯部83、圧縮
コイルばね86、係止ブロック87及び圧縮コイルばね
89にて突出状態保持手段が構成され、油孔90にて突
出状態解除手段が構成されている。
【0061】図1及び図4に示すように、前記始動タイ
ミング設定部78が設けられたベーン33とは別の1つ
ベーン33には、ベーンロータ28とロータハウジング
27との相対回動を規制するためのロックピン48が設
けられている。ロックピン48が設けられたベーン33
には、図11に示すように、中心軸方向に延びる断面円
形状の保持孔49が設けられている。保持孔49は、カ
バー29側の大径部50と、ドリブンギア26側の小径
部51とからなっている。保持孔49には、回転体形状
のロックピン48が中心軸方向に移動可能に保持されて
いる。ロックピン48は、小径部51に摺接する軸部5
2と、大径部50に摺接する拡径部53とを備えてい
る。ロックピン48は中心軸方向の長さが保持孔49の
同長さよりもやや短く形成され、拡径部53は同長さが
大径部50の同長さよりも小さく形成されている。そし
て、大径部50の内周面と、軸部52の外周面との間に
は、円環状の油室54が形成されている。油室54に
は、前記油路36から延びる油路55が連通されてい
る。
【0062】ロックピン48には、大径部50の端面か
ら中心軸方向に延びるばね穴56が設けられ、該ばね穴
56にはカバー29の内側面に当接してロックピン48
をドリブンギア26側に付勢する圧縮コイルばね57が
保持されている。ばね穴56の内周面、大径部50の内
周面、及び、カバー29の内側面により、ロックピン4
8の大径部50の端面側に背圧室58が形成されてい
る。
【0063】一方、ドリブンギア26のベーン室31を
形成する側面には、保持孔48に相対向する位置に小径
部よりもやや大径に形成された係合穴59が設けられて
いる。係合穴59は、図12に示すように、ロックピン
48がドリブンギア26側に移動配置されたときに、同
ロックピン48と係合してベーンロータ28とロータハ
ウジング27とを相対回動不能に連結するようになって
いる。図13及び図14に示すように、係合穴59に
は、遅角側油室46に連通された油溝60が連通されて
いる。
【0064】本実施の形態では、ロックピン48、油室
54、圧縮コイルばね57、背圧室58及び係合穴59
にて連結手段が構成されている。ロックピン48は、図
11に示すように、大径部50側の端面がカバー29の
内側面に当接し小径部51側の端部がベーンロータ28
のドリブンギア26側の端面から突出しない退避位置
と、図12に示すように、大径部50側の端面がカバー
29の内側面から離れて小径部51側の端面が係合穴5
9の底面に当接する係合位置との間で切り換え可能に設
けられている。
【0065】係合穴59は、ロックピン48が係合位置
に配置されてベーンロータ28とロータハウジング27
とが相対回動不能に連結されたときに、吸気側カムシャ
フト11とクランクシャフトとの相対位相が吸気バルブ
の開閉タイミングを最遅角タイミングよりもより進角側
の開閉タイミングに設定された始動タイミングとするベ
ーンロータ28の始動位置に設けられている。
【0066】この始動タイミングは、エンジン始動時に
おいて、吸気バルブの開閉タイミングが遅すぎることに
より、一旦燃焼室に吸入された混合気が吸気管に戻って
実圧縮比が低下して始動が困難にならないように設定さ
れている。同時に、始動タイミングは、エンジン始動時
において、吸気バルブの開閉タイミングが早すぎること
により、バルブオーバラップ期間が長くなって燃焼室に
おける内部EGR量(循環排気ガス量)が増大して始動
が困難にならないように設定されている。従って、この
始動タイミングは最遅角タイミングよりもやや進角側に
設定される。
【0067】ロックピン48の背圧室58は、外部に連
通されている。その構成を説明する。図5及び図6に示
すように、ベーンロータ28の軸部32には、カバー2
9側の端面に、中心軸を中心とする環状溝61が設けら
れている。又、ベーン33の同端面には、環状溝61と
前記保持孔49とを連通する連通溝62が設けられてい
る。この連通溝62は、図12に示すように、前記ロッ
クピン48が圧縮コイルばね57の付勢力によりカバー
29の内側面から離れたとき背圧室58を環状溝61に
連通するように形成されている。又、図4に示すよう
に、カバー29には、環状溝61に連通する空気孔63
が設けられている。従って、背圧室58は、連通溝6
2、環状溝61及び空気孔63を介して外気に連通可能
になっている。
【0068】バルブタイミング調整機構17の遅角側油
室46及び進角側油室47に対しては、エンジン側から
吸気側カムシャフト11を介して作動油が給排されるよ
うに構成されている。以下、各遅角側油室46及び進角
側油室47に対して作動油の給排を行うために設けられ
た油路の構成を説明する。
【0069】図4に示すように、シリンダヘッド20に
は、各遅角側油室46に対して作動油を給排するための
遅角側ヘッド油路64と、各進角側油室47に対して作
動油の給排を行うための進角側ヘッド油路65が設けら
れている。
【0070】シリンダヘッド20及びベアリングキャッ
プ21にて形成されるジャーナル軸受の内周面には、遅
角側ヘッド油路64が連通された環状油溝66と、進角
側ヘッド油路65が連通された環状油溝67とが設けら
れている。
【0071】環状油溝66には、前記貫通孔24内にお
いて前記ボルト45及び球70にて形成された油路71
に連通された油孔72が連通されている。又、前記拡径
部22の外周面には周方向に延びる環状油溝73が設け
られ、該環状油溝73には油路71に連通された油孔7
4が連通されている。
【0072】又、ドリブンギア26の内部には、図1,
4,5,6に示すように、環状油溝73を各遅角側油室
46に連通する遅角側給排油路75が設けられている。
従って、各遅角側油室46には、油路75、環状油溝7
3、油路74、油路71、油路72及び環状油溝67を
介して遅角側ヘッド油路64が連通されている。
【0073】一方、吸気側カムシャフト12の拡径部2
2側には、図4に示すように、環状油溝67を油路36
に連通する油路76が設けられている。又、ベーンロー
タ28のドリブンギア26側の端面には、油路36を各
進角側油室47に連通する進角側給排油溝77がそれぞ
れ設けられている。
【0074】従って、各進角側油室47には、進角側給
排油溝77、油路36、油路76及び環状油溝67を介
して進角側ヘッド油路65が連通されている。遅角側ヘ
ッド油路64及び進角側ヘッド油路65は、電磁比例制
御弁であるOCV(Oil Control Valve )93にそれぞ
れ接続されている。又、OCV93は、フィルタ94を
介してオイルポンプ95の吐出側に接続されている。オ
イルポンプ95の吸入側は、ストレーナ96を介してオ
イルパン97に接続されている。
【0075】OCV93は、スプール型の電磁方向制御
弁である。図4に示すように、OCV93は、ケーシン
グ98に第1ポートA、第2ポートB、第3ポートR
1、第4ポートR2及び第5ポートPを備えている。第
1ポートAは進角側ヘッド油路65に連通され、第2ポ
ートBは遅角側ヘッド油路64に連通されている。又、
第3ポートR1及び第4ポートR2はオイルパン97に
連通され、第5ポートRはフィルタ94を介してオイル
ポンプ95の吐出側に連通されている。
【0076】ケーシング98の内部にはスプール99が
収容されている。スプール99は、図4に示すように、
第1ポートAと第3ポートR1とを連通するとともに第
2ポートBと第5ポートPとを連通する第1作動位置
と、図3に示すように、第1ポートAと第5ポートRと
を連通するとともに第2ポートBと第4ポートR2とを
連通する第2作動位置との間で切り換え可能に設けられ
ている。又、スプール99は、第1作動位置と第2作動
位置との間において、全てのポート間を連通しない中立
位置に配置可能に設けられている。
【0077】ケーシング98内には、スプール99を第
1作動位置側に付勢する圧縮コイルばね100が設けら
れている。又、ケーシング98には、圧縮コイルばね1
00にて第1作動位置に配置されているスプール99を
第2作動位置に切り換え配置する電磁ソレノイド101
が設けられている。
【0078】OCV93の電磁ソレノイド101には、
電子エンジン制御装置(ElectronicEngine Control Uni
t、以下、ECU)102が電気的に接続されている。
ECU102は、エンジンの回転数、吸気圧及び吸気側
カムシャフト11の基準回転位相に基づいてエンジンの
運転状態を判断し、その運転状態に対する目標開閉タイ
ミングに対応した吸気側カムシャフト11とクランクシ
ャフトとの目標相対位相を求める。そして、ECU10
2は、そのときの実際の相対位相と目標相対位相との偏
差を求め、同偏差が所定値以下となるようにバルブタイ
ミング調整機構17を制御すべくOCV93をデューテ
ィ制御するようになっている。
【0079】ECU102には、エンジンの回転数を検
出する回転数センサ103、吸気圧を検出する吸気圧セ
ンサ104、クランク角を検出するクランク角センサ1
05、及び、吸気側カムシャフト11のカム角を検出す
るカム角センサ106がそれぞれ電気的に接続されてい
る。
【0080】次に、上記のように構成されたバルブタイ
ミング調整機構の作用について説明する。エンジンが運
転されており、オイルポンプ95から供給される所定油
圧の作動油がOCV93から各遅角側油室46及び進角
側油室47に供給されている状態では、油室54あるい
は係合穴59に供給される油圧によりロックピン48は
退避位置に保持されている。その結果、ベーンロータ2
8とロータハウジング27とが相対回動可能となってお
り、吸気側カムシャフト11とクランクシャフトとの相
対位相が調整可能となっている。
【0081】又、遅角側油室46あるいは進角側油室4
7から供給される油圧により、始動タイミング設定部7
8の係止ブロック87は、係止位置から非係止位置に移
動配置され同非係止位置で保持されている。その結果、
プッシュピン82は、圧縮コイルばね86の付勢力によ
り退避位置から突出位置に移動配置されている。
【0082】ECU102が、吸気バルブの開閉タイミ
ングをより遅角側に調整するために、各遅角側油室46
に作動油が供給されるとともに各進角側油室47から作
動油が排出されるようにOCV93をデューティ制御す
ると、各ベーン33がより遅角側に配置されるようにベ
ーンロータ28とロータハウジング27とが相対回動す
る。すると、吸気側カムシャフト11とクランクシャフ
トとの相対位相が、吸気バルブの開閉タイミングがより
遅角側となるように変更される。このとき、ベーンロー
タ28が始動位置を超えて遅角側に相対回動されると、
突出位置に配置されているブッシュピン82の先端が進
角側油室47の側面に当接する。しかし、係止ブロック
87が非係止位置に保持されていることから、始動位置
に達したベーンロータ28を遅角側に付勢する油圧によ
りプッシュピン28が突出位置から退避位置側に押し戻
される。その結果、エンジンの運転中には、ベーンロー
タ28が始動位置を超えて最遅角位置まで相対回動さ
れ、吸気バルブの開閉タイミングが最遅角タイミングま
で制御される。
【0083】反対に、ECU102が、吸気バルブの開
閉タイミングをより進角側に調整するために、各進角側
油室47に作動油が供給されるとともに各遅角側油室4
6から作動油が排出されるようにOCV93をデューテ
ィ制御すると、各ベーン33がより進角側に配置される
ようにベーンロータ28とロータハウジング27とが相
対回動する。その結果、吸気側カムシャフト11とクラ
ンクシャフトとの相対位相が吸気バルブの開閉タイミン
グがより進角側となるように変更される。
【0084】一方、ECU102が、吸気バルブの開閉
タイミングをそのときの開閉タイミングから変更しない
ようにするために、各遅角側油室46及び進角側油室4
7に対して作動油の給排が行われないようにOCV93
を中立位置で保持するようにデューティ制御すると、各
ベーン33の位置が保持されるようにベーンロータ28
とロータハウジング27との相対回動が規制される。そ
の結果、吸気側カムシャフト11とクランクシャフトと
の相対位相が変更されず、吸気バルブの開閉タイミング
がそのときのままで保持される。
【0085】エンジンの運転が停止されると、オイルポ
ンプ95が停止してOCV93への作動油の供給が停止
する。ECU102によるOCV93のデューティ制御
が停止されると、スプール99は圧縮コイルばね100
の付勢力により第1作動位置に配置される。すると、各
遅角側油室46に対してオイルポンプ95から供給され
ていた油圧が抜けるとともに各進角側油室47の油圧が
抜ける。その結果、ベーンロータ28とロータハウジン
グ27との相対回動が、各遅角側油室46と進角側油室
47の油圧の均衡にて規制されなくなる。
【0086】そして、エンジンの運転停止直後の惰性回
転によりロータハウジング27が回転される間に、吸気
バルブからの反力によりベーンロータ28がロータハウ
ジング27に対して相対回動して最遅角位置に配置され
る。ロータハウジング27は、ベーンロータ28が最遅
角位置に配置された状態で回転駆動される。
【0087】一方、ロックピン48は、油室54あるい
は係合穴59に所定の油圧が供給されなくなることか
ら、圧縮コイルばね57の付勢力によりドリブンギア1
6側に付勢され、同ギア16の端面に当接する位置で保
持される。
【0088】吸気バルブからの反力によりベーンロータ
28とロータハウジング27とが相対回動してベーンロ
ータ28が最遅角位置に配置されるときには、係止ブロ
ック87は圧縮コイルばね89の付勢力を超える油圧に
より非係止位置に保持される。そのため、プッシュピン
82は、ベーンロータ28が最遅角位置まで相対回動さ
れることにより、圧縮コイルばね86の付勢力を超える
回転トルクを進角側油室47の側面から受けて退避位置
に保持される。
【0089】各遅角側油室46及び進角側油室47の油
圧がさらに低下して圧縮コイルばね89の付勢力を下回
ると、係止ブロック87が非係止位置から係止位置に切
り換え配置される。その結果、プッシュピン82が退避
位置のままで保持され、ベーンロータ28は最遅角位置
に配置されたままとなる。
【0090】この状態からエンジンを始動するためにク
ランクシャフトが回転されると、ロータハウジング27
が回転駆動され、ベーンロータ28が最遅角位置にある
状態で回転駆動されて吸気バルブが開閉駆動される。そ
して、吸気側カムシャフト11には、吸気バルブの反力
の変動、及び、圧縮圧力の変動に伴って変動する回転ト
ルクが反力として作用する。このとき、図10に示すよ
うに、その回転トルクが負となる間では、圧縮コイルば
ね86の付勢力によりプッシュピン82が退避位置から
突出位置側に次第に移動配置される。回転トルクが正と
なる間では、圧縮コイルばね86の付勢力に抗してプッ
シュピン82を退避位置側に押し戻そうとする力が加わ
るが、圧縮コイルばね89にて第1保持室79側に付勢
されている係止ブロック87の歯部88がプッシュピン
82の歯部83に歯合することから退避位置側への移動
が規制される。そして、プッシュピン82が退避位置か
ら突出位置側に移動する毎にベーンロータ28がロータ
ハウジング27に対して進角側に相対回動され、吸気バ
ルブの開閉タイミングがより進角側となるように吸気側
カムシャフト11とクランクシャフトとの相対位相が変
更される。その結果、クランキングが行われている間に
ベーンロータ28が始動位置まで移動し、吸気バルブの
開閉タイミングが始動タイミングとなる。
【0091】ベーンロータ28が始動位置まで相対回動
すると、ドリブンギア26の端面に当接されているロッ
クピン48が係合穴59に相対向して圧縮コイルばね5
7の付勢力により係合位置に配置される。その結果、エ
ンジンの始動時には、ベーンロータ28が始動位置に配
置された状態でロータハウジング27との相対回動が規
制され、吸気バルブの開閉タイミングが始動タイミング
に固定される。
【0092】エンジンが始動して、オイルポンプ95か
らOCV93に所定圧力の作動油が供給された後、EC
U102が吸気バルブの開閉タイミングを遅角側あるい
は進角側に変更する制御を行うと、油室54あるいは係
合穴59に所定の油圧が供給されてロックピン48が係
合位置から退避位置に切り換え配置される。
【0093】又、遅角側油室46から第1保持室79に
所定の油圧が供給されて係止ブロック87が係止位置か
ら非係止位置に切り換え配置される。以上詳述したよう
に、本実施の形態の内燃機関におけるバルブタイミング
調整機構によれば、以下の効果を得ることができる。
【0094】(a) 内燃機関(エンジン)の始動時に
は、バルブ(吸気バルブ)の開閉タイミングを内燃機関
運転時における最遅角タイミングよりも進角側に設定す
る始動タイミング設定手段(始動タイミング設定部7
8)を設けた。従って、内燃機関の運転時にバルブを開
閉する最遅角タイミングよりも進角側の開閉タイミング
で内燃機関が始動される。その結果、運転状態に応じた
最適な開閉タイミングに調整することができるとともに
高い始動性を得ることができる開閉タイミングに調整す
ることができる。
【0095】(b) 始動タイミング設定手段は、第2
回転体(ベーンロータ28)のベーン33から第1回転
体(ロータハウジング27)の側壁に向かって第1圧力
室(進角側油室47)内に突出可能な突出部材(プッシ
ュピン82)と、内燃機関が運転される前のクランキン
グにより第2回転体が回転駆動されている状態で、突出
部材を付勢して凹部側壁27bに向かって突出させると
ともにその状態で保持する突出状態保持手段(歯部8
3、圧縮コイルばね86、係止ブロック87、圧縮コイ
ルばね89)と、内燃機関が運転され第1圧力室あるい
は第2圧力室に所定圧力の油圧が供給されたときには、
該油圧に基づき突出状態保持手段(油路90)にてプッ
シュピン82が突出した状態で保持された状態を解除す
る突出状態解除手段とから構成される。従って、本実施
の形態の始動タイミング設定手段を電磁ソレノイド等の
アクチュエータにより構成しようとする場合に比較し
て、部品点数及び組み付け工数を少なくすることができ
るとともに高い信頼性を得ることができる。
【0096】(c) 吸気バルブの開閉タイミングを調
整するバルブタイミング調整機構において、内燃機関の
始動時における開閉タイミングが運転時における最遅角
タイミングよりも進角側の開閉タイミングに設定される
ようにした。従って、始動時には、開閉タイミングが過
度に遅角側に調整されることなく、燃焼室に一旦吸入さ
れた混合気が吸気管に戻って実圧縮比が低下して始動が
困難になることがない。一方、内燃機関の運転中には、
高回転域において開閉タイミングをできるだけ遅角側に
調整することにより吸気慣性効果を高めて出力特性を向
上することができる。又、吸気損失(ポンピングロス)
を低減して燃費を向上することができる。
【0097】(d) 始動タイミング設定手段にて始動
位置に相対回動されたベーンロータ28を、エンジンが
実際に始動するまで同始動位置に固定するロックピン4
8を設けた。従って、エンジンが実際に始動されて各遅
角側油室46及び進角側油室47に所定の油圧が供給さ
れ、ベーンロータ28とロータハウジング27との相対
回動が油圧にて規制されるまでの間は、ロックピン48
によりベーンロータ28とロータハウジング27との相
対回動が規制される。その結果、吸気側カムシャフト1
1に加わる回転トルクの変動によりベーンロータ28と
ロータハウジング27とが始動タイミングに対応する相
対位相から変動することが防止されるとともに、突出部
材(プッシュピン82)が進角側油室47の側面に衝突
することを防止することができる。このため、エンジン
始動時にバルブの開閉タイミングが高精度に始動タイミ
ングに保持されることから、より高い始動性を得ること
ができる。又、エンジン始動時の打音の発生を防止し、
プッシュピン82や進角側油室47の損傷や摩耗を防止
することができる。
【0098】(第2の実施の形態)次に、本発明を具体
化した第2の実施の形態を図15〜図17に基づいて説
明する。尚、本実施の形態は、上記第1の実施の形態に
おいて、始動タイミング設定部78を始動タイミング設
定部110に代えたことのみが第1の実施の形態と異な
る。従って、その他の同一の構成についてはその符号を
同じにして説明を省略する。
【0099】図15は、始動タイミング設定手段として
の始動タイミング設定部110が設けられた1つのベー
ン33の中心軸に直交する平面での断面を示し、図16
は、図15におけるD−D線における断面を示してい
る。
【0100】図15及び図16に示すように、前記始動
タイミング設定部78が設けられたベーン33と同一の
ベーン33には、エンジン始動時に吸気バルブの開閉タ
イミングを最遅角タイミングよりも進角側に設定された
始動タイミングとなるようにベーンロータ28のロータ
ハウジング27に対する相対位相を設定する始動タイミ
ング設定部110が設けられている。以下、その構成を
詳述する。
【0101】図15に示すように、ベーン33の内部に
は、ベーンロータ28のほぼ径方向に延びる保持室11
1が進角側油室47よりに設けられている。この保持室
111の内周側の端部には、進角側油室47側に開口す
る開口部112が設けられている。
【0102】保持室111には、第1ストッパ113が
同保持室111が延びる径方向に移動可能に設けられて
いる。第1ストッパ113は、保持室111内を摺接し
て径方向に移動する胴部114と、該胴部114の内周
側の端部に設けられ前記開口部112から進角側油室4
7に向かってほぼ周方向に突出する当接部115とを備
えている。第1ストッパ113及び保持室111は、保
持室111内における胴部114の移動により、当接部
115が開口部112の内周側の端部と外周側の端部と
の間を移動するように形成されている。
【0103】保持室111の外周側には、第1ストッパ
113を内周側に付勢する圧縮コイルばね116が設け
られている。又、ベーン33には、第1ストッパ113
にて隔絶された保持室11の外周部を進角側油室47に
連通する油路117が設けられている。そして、第1ス
トッパ113は、図17に示すように、圧縮コイルばね
116の付勢力に抗して保持室111の最も外周側に移
動した位置(以下、運転位置)と、図15に示すよう
に、圧縮コイルばね116の付勢力により保持室11の
最も内周側に移動した位置(以下、始動位置)との間を
移動するようになっている。
【0104】第1ストッパ113は、エンジンが運転さ
れていないときには、圧縮コイルばね116の付勢力に
より前記始動位置に配置され、エンジンが運転されてい
るときには、自重により遠心力で始動位置から運転位置
に移動して運転位置で保持されるようになっている。
【0105】一方、ロータハウジング27の進角側油室
47を形成する凹部側壁27bには、前記第1第1スト
ッパ113が始動位置に配置された状態でベーンロータ
28が遅角側に相対回動したときにのみ、当接部115
の進角側油室47側の端面に当接する第2ストッパ11
8が設けられている。このとき、ベーンロータ28は、
吸気バルブの開閉タイミングが前記始動タイミングとな
る前記始動位置に配置されるようになっている。
【0106】又、この第2ストッパ118は、第1スト
ッパ113が運転位置に配置された状態でベーンロータ
28が遅角側に相対回動したときには、当接部115の
前記端面がロータハウジング27の進角側油室47を形
成する凹部側壁27bに直接当接するようになってい
る。このとき、ベーンロータ28は、吸気バルブの開閉
タイミングが前記最遅角タイミングとなる最遅角位置に
配置されるようになっている。
【0107】次に、以上のように構成された内燃機関に
おけるバルブタイミング調整機構の作用について説明す
る。エンジンが停止されているときには、始動タイミン
グ設定部110の第1ストッパ113は、圧縮コイルば
ね116の付勢力により始動位置に配置されている。エ
ンジンを始動するためにクランクシャフトが回転駆動さ
れると、ロータハウジング27が回転駆動される。する
と、遅角側油室46及び進角側油室47には所定の油圧
が供給されていないことから、吸気側カムシャフト11
が反力として受ける回転トルクにより、ベーンロータ2
8が遅角側に相対回動するように付勢される。そして、
ベーンロータ28は、第1ストッパ113が第2ストッ
パ118に当接して相対回動が規制される始動位置に配
置された状態で回転駆動される。その結果、エンジンの
始動時には、吸気バルブの開閉タイミングが始動タイミ
ングとされる。
【0108】ベーンロータ28が始動位置に配置される
と、ロックピン48が係合穴59に係合する。その結
果、エンジンの始動時には、ベーンロータ28が始動位
置に配置された状態でロータハウジング27との相対回
動が規制され、吸気バルブの開閉タイミングが始動タイ
ミングに固定される。
【0109】エンジンが始動して所定回転数以上で運転
されると、第1ストッパ113が遠心力により始動位置
から運転位置に移動する。すると、第1ストッパ113
が第2ストッパ118に当接しなくなり、ベーンロータ
28が始動位置よりもさらに遅角側に相対回動すること
が許容される。そして、吸気バルブの開閉タイミングを
始動タイミングより遅角側に制御するために、遅角側油
室46に作動油が供給されるとともに進角側油室47か
ら作動油が排出されると、ベーンロータ28が始動位置
よりも最遅角位置側に相対回動され、吸気バルブの開閉
タイミングが始動タイミングよりも遅角側に調整され
る。その結果、エンジンが運転されているときには、吸
気バルブの開閉タイミングが始動タイミングよりも遅角
側に調整される。
【0110】以上詳述したように、本実施の形態の内燃
機関におけるバルブタイミング調整機構によれば、前記
第1の実施の形態における(a),(c),(d)に記
載の各効果の他に下記の効果を得ることができる。
【0111】(e) エンジンが運転されると、第1ス
トッパ113がロータハウジング27(第1回転体)あ
るいはベーンロータ28(第2回転体)の回転に基づく
遠心力により始動位置から運転位置に移動することによ
り、吸気バルブの開閉タイミングが始動タイミングより
も遅角側となる相対位相まで相対回動される。エンジン
を停止させるため、イグニッションスイッチをオフとす
ると、バルブタイミング調整機構17の回転数が低下す
る。すると、運転位置に保持されていた第1ストッパ1
13が、圧縮コイルばね116の付勢力により始動位置
側に移動する。このとき、ロータハウジング27とベー
ンロータ28との相対位相が固定されなくなるため、開
口部112から突出する当接部115によりロータハウ
ジング27とベーンロータ28とが相対位相が進角側と
なるように相対回動される。従って、内燃機関始動のた
めのクランキング時には、第1ストッパ113が始動位
置に配置される。その結果、クラキング時に吸気側カム
シャフト11(カムシャフト)を回転駆動するために必
要な回転トルクが負とならないエンジンにも実施するこ
とができる。
【0112】(第3の実施の形態)次に、本発明を具体
化した第3の実施の形態を図18及び図19に基づいて
説明する。尚、本実施の形態は、上記第1の実施の形態
において、始動タイミング設定部78を始動タイミング
設定部120に代えたことと、ロックピン48を設けな
いことのみが第1の実施の形態と異なる。従って、その
他の同一の構成についてはその符号を同じにして説明を
省略する。
【0113】図18,19は、進角側油室47の1つに
設けられた始動タイミング設定手段としての始動タイミ
ング設定部120を示している。始動タイミング設定部
120は、各進角側油室47にそれぞれ設けられてい
る。
【0114】始動タイミング設定部120は、収容溝1
21、ボール122及び板ばね123とから構成されて
いる。収容溝121は、進角側油室47に面するロータ
ハウジング27の凹部側壁27bにおける外周端位置に
設けられている。収容溝121は、ロータハウジング2
7をその中心軸方向に貫通する溝状に形成されている。
【0115】収容溝121が開口する第1進角側油室4
7には、球状体としてのボール122が収容されてい
る。ボール122は、耐油性及び耐熱性が高い弾性体、
例えば、シリコンゴム、ウレタンゴム等にて形成されて
いる。
【0116】ボール122は、図18に示すように、進
角側油室47の内周側において軸部32に当接する状態
で凹部側壁27bとベーン側壁33aとの間で挟持され
たときに、ロータハウジング27とベーンロータ28と
の遅角側への相対回動を始動タイミングに対応する相対
位相で規制する大きさに形成されている。
【0117】前記収容溝121が設けられた凹部側壁2
7bには、弾性板としての板ばね123が設けられてい
る。板ばね123は、幅が進角側油室47の回転軸方向
の長さとほぼ同じ長方形状に形成されて基端側が凹部側
壁27bに固定され、先端部が収容溝121を部分的に
覆うように形成されている。そして、板ばね123は、
エンジン始動のためのクランキング時には、図18に示
すように、自然状態となって収容溝121にボール12
2が収容されないように収容溝121を塞ぐように形成
されている。これにより、クランキング時の回転によ
り、吸気側カムシャフト11の上側に移動した進角側油
室47において、ボール122が収容溝121内に保持
されたままとならないようにされている。
【0118】又、板ばね123は、エンジン運転時に供
給される油圧によりロータハウジング27及びベーンロ
ータ28が進角側油室47の容積が小さくなるように相
対回動するときに、図19に示すように、進角側油室4
7の外周端においてベーン側壁33aにて押圧されるボ
ール122により弾性変形してボール122が収容溝1
21に入ることを許容するように形成されている。そし
て、板ばね123は、ボール122が収容溝121に収
容されることを許容することで、ベーン側壁33aが板
ばね123の表面に当接する状態までロータハウジング
27とベーンロータ28との相対回動を許容するように
形成されている。
【0119】以上のように構成された内燃機関における
バルブタイミング調整機構の作用を説明する。エンジン
を運転していないときには、各遅角側油室46及び進角
側油室47に作動油が所定の油圧で供給されないため、
ロータハウジング27とベーンロータ28とには相対位
相が遅角側となるように付勢する力が作用せず、図18
に示すように、板ばね123が自然状態となってボール
122が収容溝121内から進角側油室47内に移動配
置されている。又、ロータハウジング27及びベーンロ
ータ28が回転しておらずボール122に遠心力が作用
していないことから、3つの進角側油室47の内の吸気
側カムシャフト11よりも上側に配置されている進角側
油室47内においてボール122がその内周側に移動配
置されている。
【0120】エンジンを始動するためにクランキングす
ると、タイミングベルト14を介してロータハウジング
27が回転駆動される。このとき、吸気側カムシャフト
11からベーンロータ28に反力が加わりロータハウジ
ング27との相対位相がより遅角側の開閉タイミングに
対応する相対位相となるように付勢される。すると、図
18に示すように、ボール122が内周側に位置する進
角側油室47において、ボール122が軸部32に当接
し凹部側壁27bとベーン側壁33a(板ばね123)
との間で挟持された状態で介在し、ロータハウジング2
7とベーンロータ28の相対位相が始動タイミングより
も遅角側となることが規制される。その結果、クランキ
ング時には、ロータハウジング27とベーンロータ28
とが始動タイミングに対応する相対位相となる。
【0121】尚、クランキングによるロータハウジング
27の回転時に、凹部側壁27bとベーン側壁33aと
の間でボール122が挟持されるときの衝撃は、弾性体
であるボール122の弾性変形によって緩衝される。
【0122】エンジンが始動すると、ロータハウジング
27及びベーンロータ28が所定の回転数以上で回転
し、又、ECU102の制御に基づき各遅角側油室46
及び進角側油室47には作動油が所定の油圧で供給され
る。すると、相対位相が始動タイミングよりも進角側の
開閉タイミングに制御されたときに、凹部側壁27bと
ベーン側壁33aとの間でボール122が挟持されなく
なり遠心力によって内周側から外周端に移動配置されて
外周端で保持される。
【0123】ECU102が、エンジンの運転状態に基
づき、吸気側カムシャフト11の開閉タイミングを始動
タイミングよりも遅角側に制御すると、各遅角側油室4
6に作動油が供給され各進角側油室47から作動油が排
出される。すると、図19に示すように、進角側油室4
7において外周側に保持されているボール122がベー
ンロータ28のベーン側壁33aによって押圧され、板
ばね123を弾性変形させて収容溝121内に収容され
る。そして、ロータハウジング27とベーンロータ28
とは、凹部側壁27bとベーン側壁33a(板ばね12
3の内周側表面)との当接によって規制されるまで相対
回動する。その結果、エンジンが始動した後は、吸気側
カムシャフト11の開閉タイミングが始動タイミングを
超えて最遅角タイミングまで制御される。
【0124】エンジンを停止すると、各遅角側油室46
及び進角側油室47に作動油が所定の油圧で供給されな
くなる。すると、ボール122がベーン側壁33aにて
押圧されなくなることから、板ばね123が自然状態に
復帰してボール122が収容溝121内から進角側油室
47内に押し出される。
【0125】以上詳述したように、本実施の形態の内燃
機関におけるバルブタイミング調整機構によれば、前記
第1の実施の形態における(a),(c),(d)に記
載の各効果の他に下記の効果を得ることができる。
【0126】(f) ボール122(球状体)を弾性体
としたので、エンジンのクランキング時に凹部側壁27
bとベーン側壁33aとで挟持されるときの衝撃が緩衝
される。従って、クランキング時にロータハウジング2
7とベーンロータ28との相対回動を規制するロックピ
ン48を設けなくても、クランキング時の打音の発生を
防止することができる。
【0127】(第4の実施の形態)次に、本発明を具体
化した第4の実施の形態を図20及び図21に基づいて
説明する。尚、本実施の形態は、上記第3の実施の形態
において、始動タイミング設定部120を始動タイミン
グ設定部130に代えたことのみが第3の実施の形態と
異なる。従って、その他の同一の構成については符号を
同じにしてその説明を省略する。
【0128】図20,21は、進角側油室47の1つに
設けられた始動タイミング設定手段としての始動タイミ
ング設定部130を示している。始動タイミング設定部
130は、凹部131及び板ばね132にて構成されて
いる。
【0129】凹部131は、進角側油室47の1つに面
するベーン側壁33aに該進角側油室47に開口するよ
うに設けられている。凹部131には、該凹部131を
閉塞するように弾性板としての板ばね132が設けられ
ている。
【0130】板ばね132は、中央部に、自然状態で進
角側油室47に突出する凸状部133を備えている。凸
状部133は、図20に示すように、進角側油室47に
面する凹部側壁27bに当接したときにロータハウジン
グ27とベーンロータ28の遅角側への相対回動を始動
タイミングに対応する相対位相で規制するように形成さ
れている。
【0131】又、板ばね132は、エンジンの運転に基
づく所定油圧の作動油が進角側油室47に供給されたと
きには、図21に示すように、凸状部133が凹部13
1内に退避するように弾性変形するように形成されてい
る。そして、凸状部133が凹部131内に退避したと
きには、凹部側壁27bとベーン側壁33a(板ばね1
32の表面)とが当接する状態までロータハウジング2
7とベーンロータ28とが相対回動が許容されるように
形成されている。以上のように構成された内燃機関にお
けるバルブタイミング調整機構の作用を説明する。
【0132】エンジンを運転していないときには、各遅
角側油室46及び進角側油室47に作動油が所定の油圧
で供給されないため、板ばね132の凸状部133は進
角側油室47内に突出している。
【0133】エンジンを始動するためにクランキングす
ると、タイミングベルト14を介してロータハウジング
27が回転駆動される。このとき、吸気側カムシャフト
11からベーンロータ28に加わる反力により、ロータ
ハウジング27とベーンロータ28との相対位相がより
遅角側の開閉タイミングとなるように付勢される。する
と、図20に示すように、進角側油室47に突出する凸
状部133の先端が凹部側壁27bに当たった状態でロ
ータハウジング27とベーンロータ28との間に介在
し、両者の相対位相が始動タイミングより遅角側となる
ことが規制される。その結果、クランキング時には、ロ
ータハウジング27とベーンロータ28とが始動タイミ
ングに対応する相対位相となる。
【0134】エンジンが始動すると、各遅角側油室46
及び進角側油室47には、ECU102の制御に基づき
作動油が所定の油圧で供給される。すると、該油圧によ
り板ばね132の凸状部133が突出方向が反転するよ
うにが弾性変形し、凹部131内に退避する。
【0135】ECU102が、エンジンの運転状態に基
づき、吸気側カムシャフト11の開閉タイミングを始動
タイミングよりも遅角側に制御すると、各遅角側油室4
6に作動油が供給され各進角側油室47から作動油が排
出される。すると、図21に示すように、板ばね132
の凸状部133が凹部131内に退避していることか
ら、ロータハウジング27とベーンロータ28とは凹部
側壁27b(板ばね132の表面)とベーン側壁33a
との当接によって規制されるまで相対回動する。従っ
て、エンジンが始動した後は、吸気側カムシャフト11
のタイミングが始動タイミングを超えて最遅角タイミン
グまで制御される。
【0136】エンジンを停止すると、各遅角側油室46
及び進角側油室47に作動油が所定の油圧で供給されな
くなる。すると、板ばね132の凸状部133は、再び
進角側油室47に突出するように弾性復帰する。
【0137】以上詳述したように、本実施の形態の内燃
機関におけるバルブタイミング調整機構によれば、前記
第1の実施の形態における(a),(c),(d)に記
載の各効果の他に下記の効果を得ることができる。
【0138】(g) エンジンを停止すると進角側油室
47における作動油の油圧が低下することから、板ばね
132の凸状部133が弾性復帰して進角側油室47に
突出する。又、ロータハウジング27とベーンロータ2
8との相対位相が固定されなくなることから、停止直前
に最遅角タイミングに対応する相対位相に制御されてい
た場合であっても、凸状部133によって相対位相が始
動タイミングよりも進角側となるように相対回動され
る。従って、クランキング時に吸気側カムシャフト11
を回転駆動するために必要な回転トルクの大きさが負に
ならないエンジンにも実施することができる。
【0139】(h) 弾性板である板ばね132の凸状
部133が凹部側壁27bに当接するようにしたので、
エンジンのクランキング時に凹部側壁27bが当接する
ときの衝撃が緩衝される。従って、クランキング時にロ
ータハウジング27とベーンロータ28との相対回動を
規制するロックピン48を設けなくも、クランキング時
の打音の発生を防止することができる。
【0140】(第5の実施の形態)次に、本発明を具体
化した第5の実施の形態を図22及び図23に基づいて
説明する。尚、本実施の形態は、上記第4の実施の形態
において、始動タイミング設定部130を始動タイミン
グ設定部140に代えたことのみが第1の実施の形態と
異なる。従って、その他の同一の構成についてはその符
号を同じにして説明を省略する。
【0141】図22,23は、進角側油室47の1つに
設けられた始動タイミング設定手段としての始動タイミ
ング設定部140を示している。始動タイミング設定部
140は、凹部141、支持軸142及び板ばね143
にて構成されている。
【0142】凹部141は、進角側油室47の1つに面
するベーン側壁33aの外周側において、該進角側油室
47に開口するように設けられている。凹部141の内
周側端部には、ベーンロータ28の回転軸方向に延びる
支持軸142が設けられている。支持軸142には、弾
性板としての板ばね143が、自然状態で先端側が進角
側油室47に突出するように基端が固定されている。
【0143】板ばね143は、進角側油室47に進角側
給排油溝77から作動油が供給されておらず、又、ロー
タハウジング27及びベーンロータ28が所定の回転数
以上で回転駆動されていないときには、図22に示すよ
うに、その先端を進角側油室47に突出するように形成
されている。
【0144】又、板ばね143は、エンジンの始動に伴
い進角側給排油溝77から進角側油室47に供給される
作動油の流れと、ロータハウジング27とベーンロータ
28の回転に伴う遠心力により、図23に示すように、
先端側が基端を回動中心として回動するように弾性変形
し、進角側油室47の外周側に退避するように形成され
ている。
【0145】以上のように構成された内燃機関における
バルブタイミング調整機構の作用を説明する。エンジン
を運転していないときには、各遅角側油室46及び進角
側油室47に作動油が供給されておらず、遠心力も加わ
っていないため、板ばね143の先端側は進角側油室4
7内に突出している。
【0146】エンジンを始動するためにクランキングす
ると、タイミングベルト14を介してロータハウジング
27が回転駆動される。このとき、吸気側カムシャフト
11からベーンロータ28に加わる反力により、ロータ
ハウジング27とベーンロータ28との相対位相がより
遅角側の開閉タイミングとなるように付勢される。する
と、図22に示すように、進角側油室47に突出する板
ばね143の先端が凹部側壁27bに当たった状態でロ
ータハウジング27とベーンロータ28との間に介在
し、両者の相対位相が始動タイミングより遅角側となる
ことが規制される。その結果、クランキング時には、ロ
ータハウジング27とベーンロータ28とが始動タイミ
ングに対応する相対位相となる。
【0147】エンジンが始動すると、ロータハウジング
27及びベーンロータ28が所定の回転数以上で回転
し、又、各遅角側油室46及び進角側油室47には、E
CU102の制御に基づき作動油が所定の油圧で供給さ
れる。すると、進角側給排油溝77から進角側油室47
に供給される作動油の流れと、ロータハウジング27及
びベーンロータ28の回転に伴う遠心力により、板ばね
143の先端側が基端を回動中心として外周側に回動す
るように弾性変形して進角側油室47の外周側に退避す
る。
【0148】ECU102が、エンジンの運転状態に基
づき、吸気側カムシャフト11の開閉タイミングを始動
タイミングよりも遅角側タイミングに制御すると、各遅
角側油室46に作動油が供給され各進角側油室47から
作動油が排出される。すると、図23に示すように、板
ばね143の先端側が外周側に退避していることから、
ロータハウジング27とベーンロータ28とは凹部側壁
27bとベーン側壁33a(板ばね143の内周側表
面)との当接によって規制されるまで相対回動する。従
って、エンジンが始動した後は、吸気側カムシャフト1
1のタイミングが始動タイミングを超えて最遅角タイミ
ングまで制御される。
【0149】エンジンを停止すると、遠心力がなくなる
ことから板ばね143の先端側が進角側油室47内に突
出するように弾性復帰する。以上詳述したように、本実
施の形態の内燃機関におけるバルブタイミング調整機構
によれば、前記第1の実施の形態における(a),
(c),(d)に記載の各効果の他に下記の効果を得る
ことができる。
【0150】(i) 板ばね143の先端が凹部側壁2
7bに当接するようにしたので、エンジンのクランキン
グ時に凹部側壁27bに当接するときの衝撃が緩衝され
る。従って、クランキング時にロータハウジング27と
ベーンロータ28との相対回動を規制するロックピン4
8を設けなくも、クランキング時の打音の発生を防止す
ることができる。
【0151】尚、実施の形態は上記各実施の形態に限定
されるものではなく、以下のように変更して実施しても
よい。 ・ 第3の実施の形態で、ボール122を、クランキン
グ時に両回転体で挟持されるときの衝撃を緩衝しない剛
体(鋼球等)で形成する。この場合には、第1の実施の
形態のように、クランキング時にロータハウジング27
とベーンロータ28とを始動タイミングに対応する相対
位相に固定するロックピン48を設けることにより、始
動時における両回転体の打音を防止することができる。
【0152】・ 第3の実施の形態で、ボール122
を、鋼材等の剛体からなる中心部を、シリコンゴム等の
弾性体からなる表層部で覆った構成とする。 ・ 第3の実施の形態で、収容凹溝及び板ばねを、ベー
ン33のベーン側壁33aに設けた構成とする。
【0153】・ 第3の実施の形態で、球状体は、進角
側油室47において内周側と外周端との間を移動すると
ともに、収容溝121に収容可能に形成され、又、ロー
タハウジング27とベーンロータ28との間に介在し
て、両者を確実に始動タイミングに対応する相対位相と
することができるものであればよい。従って、球体であ
るボール122に限らず、その他の球状体、例えば、ラ
グビーボール状の球状体であってもよい。
【0154】・ 第3の実施の形態で、1つの進角側油
室47に収容される球状体の数を、2つ以上とする。 ・ 第3の実施の形態で、クランキング時に、収容溝を
設けた進角側油室47が吸気側カムシャフト11の上側
に移動したときに、ボール122が収容溝から確実に進
角側油室47内に出てくるような形状に収容溝を形成す
る。この場合には、構成を簡素化することができる。
【0155】・ 第4及び第5の実施の形態で、第1の
実施の形態のように、始動時にロータハウジング27と
ベーンロータ28とを始動タイミングに対応する相対位
相に固定するロックピン48を設ける。この場合には、
始動時に両回転体が始動タイミングに対応する相対位相
から変動しないようにすることができる。
【0156】・ 第4の実施の形態で、凹部及び板ばね
をベーン側壁33aに設けた構成とする。 ・ 第5の実施の形態で、凹部、支持軸及び板ばねをベ
ーン側壁33aに設けた構成とする。
【0157】・ 第4及び第5の各実施の形態で、板ば
ね132(143)を、高い弾性を備え、耐油性、耐熱
性に優れた合成樹脂で形成する。 ・ 各実施の形態を、排気側カムシャフト12に設けて
排気バルブの開閉タイミングを調整するバルブタイミン
グ調整機構としてもよい。この場合には、エンジン始動
時に、排気バルブの開閉タイミングを過度に遅角側に設
定したことにより、バルブオーバラップ期間が長くなっ
て内部EGR量が多くなり過ぎることによる始動性の低
下、反対に、開閉タイミングを過度に進角側に設定した
ことにより、開弁時期が早くなって爆発工程における排
気バルブの開弁期間が長くなって爆発圧力が低下するこ
とによる始動性の低下を防止することができる開閉タイ
ミングに始動タイミングを設定することができる。そし
て、この始動タイミングよりより遅角側に最遅角タイミ
ングを設定することができる。
【0158】・ 始動タイミング設定部を、ロータハウ
ジング27側に設けた構成としてもよい。この場合に
も、各実施の形態の各効果を得ることができる。 ・ 第1回転体としてのロータハウジングが備えるベー
ン室の数、及び、第2回転体としてのベーンロータが備
えるベーンの数は、4つに限らず、2つ又は3つ、ある
いは、5つ以上であってもよい。
【0159】・ 第1回転体としてのロータハウジング
がカムシャフトと一体回転可能に設けられ、第2回転体
としてのベーンロータがクランクシャフトにて回転駆動
されるように構成されたバルブタイミング調整機構に実
施してもよい。
【0160】・ 始動タイミング設定部にて始動タイミ
ングに対応する相対位相に保持された第1回転体と第2
回転体との相対回動を規制する連結手段を設けない構成
としてもよい。但し、この場合には、始動時において第
1回転体と第2回転体との始動タイミングに対応する相
対位相からの変動を防止することが困難となり、又、突
出部材が凹部側壁あるいはベーン側壁に衝突することを
防止することが困難となる。
【0161】・ ロックピン48をロータハウジング
(スプロケット)に設けた構成としてもよい。この場合
には、例えば、カムシャフトに固定された円盤プレート
に内周面が摺接するように設けられたスプロケットにロ
ックピンを収容し、円盤プレートにロックピンが係合す
る係合穴を設ける。
【0162】・ バルブの駆動方式は、直動式、スイン
グアーム式、ロッカアーム式のいずれの方式であっても
よい。 ・ 吸気側カムシャフト11及び排気側カムシャフト1
2の同じ側の端部にそれぞれ固定されたタイミングプー
リ(スプロケット)と、クランクシャフトの同じ側の端
部に固定されたタイミングプーリ(スプロケット)との
間にタイミングベルト(チェーン)を掛装したベルト
(チェーン)駆動方式の弁駆動機構を備えたエンジンに
実施してもよい。
【0163】・ 平歯車列にて駆動されるギアトレイン
弁駆動方式のエンジンや、シャフトとかさ歯車にて駆動
されるシャフト駆動方式のエンジンに実施してもよい。 ・ 車両用エンジンに限らず、船舶用、航空機用等の内
燃機関に実施してもよい。
【0164】以下、特許請求の範囲に記載された技術的
思想の外に前述した各実施の形態から把握される技術的
思想をその効果とともに記載する。 (1) 請求項2に記載の内燃機関におけるバルブタイ
ミング調整機構において、前記突出状態保持手段は、前
記突出部材に移動方向に延びるように設けられた歯部
と、同歯部に歯合して同突出部材の突出する方向への移
動を規制可能な歯部を備え同歯部が歯合する係止位置と
歯合しない非係止位置と移動可能な係止ブロックと、同
係止ブロックを前記係止位置側に移動するように付勢す
るばね部材とを備え、前記突出状態解除手段は、前記第
1圧力室あるいは第2圧力室に連通され、内燃機関が運
転されて同第1圧力室あるいは第2圧力室に供給された
所定の圧力を前記係止ブロックに非係止位置側に付勢す
るように加える油路と、該油路から所定の圧力が加えら
れたときに前記係止ブロックが係止位置から非係止位置
に移動することを許容する前記ばね部材である。
【0165】このような構成によれば、簡単な構成とし
て信頼性をより向上することができる。 (2) 請求項1〜請求項10のいずれか一項に記載の
内燃機関におけるバルブタイミング調整機構を備えた内
燃機関。このような構成によれば、運転状態に応じた最
適なエンジン特性と高い始動性とを共に得ることができ
る。
【0166】(3) 上記(2)に記載の内燃機関を備
えた車両。このような構成によれば、運転状態に応じた
最適な動力特性と高い始動性とを備えた車両とすること
ができる。
【0167】(4) 請求項1に記載の内燃期間のバル
ブタイミング調整機構において、前記始動タイミング設
定手段は、容積が大きくなるほど前記第1及び第2回転
体を前記バルブの開閉タイミングの前記基準回転位相に
対する位相がより進角側となる相対位相とする、前記第
1及び第2圧力室の内の進角側圧力室に収容された球状
体と、前記進角側圧力室の外周端位置に前記第1回転と
第2回転体の少なくとも一方に設けられ、該両回転体の
回動により前記進角側圧力室が前記カムシャフトの上方
に移動したときに前記球状体を収容した状態で保持しな
いように形成された収容溝とからなる。このような構成
によれば、第3の実施の形態をより簡単な構成とするこ
とができ、信頼性を向上することができる。
【0168】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1〜請求項
9に記載の発明によれば、運転状態に応じた最適な開閉
タイミングに調整することができるとともに高い始動性
を得ることができる開閉タイミングに調整することがで
きる。
【0169】請求項2に記載の発明によれば、電磁ソレ
ノイド等のアクチュエータを用いて構成する場合に比較
して、部品点数及び組み付け工数を少なくすることがで
きるとともに高い信頼性を得ることができる。
【0170】請求項3及び請求項6に記載の発明によれ
ば、電磁ソレノイド等のアクチュエータを用いて構成す
る場合に比較して部品点数及び組み付け工数を少なくす
ることができるとともに高い信頼性を得ることができる
上に、クランキング時にカムシャフトを回転させるため
に必要な回転トルクが負とならないような内燃機関に使
用することができる。
【0171】請求項5〜請求項8に記載の発明によれ
ば、クランキング時における打音の発生を防止し、始動
タイミング設定手段や圧力室の損傷や摩耗を防止するこ
とができる。
【0172】請求項9に記載の発明によれば、より高い
始動性を得ることができ、又、クランキング時における
打音の発生を防止し、始動タイミング設定手段や圧力室
の損傷や摩耗を防止することができる。
【0173】請求項10に記載の発明によれば、始動時
には、開閉タイミングが過渡に遅角側に調整されること
により、燃焼室に一旦吸入された混合気が吸気管に戻っ
て実圧縮比が低下して始動が困難になることがない。一
方、内燃機関の運転中には、高回転域において開閉タイ
ミングをできるだけ遅角側に調整することにより吸気慣
性効果を高めて出力特性を向上することができる。又、
ポンピングロスを低減して燃費を向上することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施の形態のバルブタイミング調整機
構を示す正面側から見た断面図。
【図2】 吸気側及び排気側カムシャフトを示す摸式平
面図。
【図3】 電磁比例制御弁を示す摸式断面図。
【図4】 タイミング調整装置を示す摸式図。
【図5】 バルブタイミング調整機構を示す正面側から
見た断面図。
【図6】 同じく正面側から見た断面図。
【図7】 始動タイミング設定部を示す要部断面図。
【図8】 同じく始動タイミング設定部の作動状態を示
す要部断面図。
【図9】 同じく要部断面図。
【図10】 始動時の吸気側カムシャフトの回転トルク
を示すグラフ。
【図11】 ロックピンを含む部位の断面図。
【図12】 同じく作動状態を示す断面図。
【図13】 ロックピンを示す要部正面図。
【図14】 図13におけるC−C線断面図。
【図15】 第2の実施の形態の始動タイミング設定部
を示す要部断面図。
【図16】 図15におけるD−D線断面図。
【図17】 始動タイミング設定部の作動状態を示す断
面図。
【図18】 第3の実施の形態の始動タイミング設定部
を示す要部正面図。
【図19】 始動タイミング設定部の動作状態を示す要
部正面図。
【図20】 第4の実施の形態の始動タイミング設定部
を示す要部断面図。
【図21】 始動タイミング設定部の動作状態を示す要
部断面図。
【図22】 第5の実施の形態の始動タイミング設定部
を示す要部正面図。
【図23】 始動タイミング設定部の動作状態を示す要
部正面図。
【図24】 従来例のバルブタイミング調整機構を示す
正面側断面図。
【符号の説明】
11…カムシャフトとしての吸気側カムシャフト、27
…第1回転体としてのロータハウジング、27b…凹部
側壁、28…第2回転体としてのベーンロータ、31…
凹部としてのベーン室、33…ベーン、33a…ベーン
側壁、46…第1圧力室としての遅角側油室、47…第
2圧力室としての進角側油室、48…連結手段を構成す
るロックピン、54…同じく油室、57…同じく圧縮コ
イルばね、58…同じく背圧室、59…同じく係合穴、
78…始動タイミング設定手段としての始動タイミング
設定部、82…始動タイミング設定手段を構成する突出
部材としてのプッシュピン、83…始動タイミング設定
手段及び突出状態保持手段を構成する歯部、86…始動
タイミング設定手段及び突出状態保持手段を構成するば
ね部材としての圧縮コイルばね、87…始動タイミング
設定手段及び突出状態保持手段を構成する係止ブロッ
ク、88…始動タイミング設定手段を構成する歯部、8
9…始動タイミング設定手段及び突出状態保持手段を構
成するばね部材としての圧縮コイルばね、90…始動タ
イミング設定手段を構成する突出状態解除手段としての
油孔、110…始動タイミング設定手段としての始動タ
イミング設定部、113…第1ストッパ、115…当接
部、118…第2ストッパ、120…始動タイミング設
定手段としての始動タイミング設定部、121…収容
溝、122…球状体としてのボール、123…弾性板と
しての板ばね、130…始動タイミング設定手段として
の始動タイミング設定部、131…凹部、132…凸状
部、133…弾性板としての板ばね、140…始動タイ
ミング設定手段としての始動タイミング設定部、143
…弾性板としての板ばね。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内周面に少なくとも1つの凹部を有する
    第1回転体と、前記凹部を第1圧力室と第2圧力室とに
    区画する複数のベーンを有するとともに相対回動可能に
    前記第1回転体と組み合わせられる第2回転体とを備
    え、 内燃機関の基準回転位相にて同期回転される前記第1回
    転体あるいは第2回転体の一方の回転を前記第1圧力室
    と第2圧力室との圧力の均衡により両回転体の他方に伝
    達して同第1回転体あるいは第2回転体に駆動連結され
    たカムシャフトを回転駆動するとともに、前記第1圧力
    室及び第2圧力室の容積変化により前記第1回転体と第
    2回転体との相対位相を変更して前記基準回転位相に対
    する前記カムシャフトの相対位相を変更することによ
    り、前記カムシャフトにて開閉駆動されるバルブの開閉
    タイミングの前記基準回転位相に対する位相を進角側あ
    るいは遅角側に変更する内燃機関におけるバルブタイミ
    ング調整機構において、 前記内燃機関の始動時に、前記バルブの開閉タイミング
    を、内燃機関運転時において開閉タイミングが前記基準
    回転位相に対して最も遅れる最遅角タイミングよりも進
    角側に設定された始動タイミングとなるように前記第1
    回転体と第2回転体との相対位相を設定する始動タイミ
    ング設定手段を備えた内燃機関におけるバルブタイミン
    グ調整機構。
  2. 【請求項2】 前記始動タイミング設定手段は、 前記第1回転体あるいは第2回転体に設けられ前記ベー
    ン側壁あるいは前記凹部側壁に向かって前記第1圧力室
    あるいは前記第2圧力室内に突出可能に保持され、その
    先端が前記ベーン側壁あるいは凹部側壁に当接する状態
    で突出したときに第1回転体と第2回転体との相対位相
    を前記始動タイミングに対応する相対位相とする突出部
    材と、 前記突出部材を付勢して前記ベーン側壁あるいは凹部側
    壁に向かって突出させるばね部材と、 内燃機関が運転されず前記第1圧力室あるいは第2圧力
    室に所定の圧力が供給されていないときに、前記ばね部
    材にて前記突出部材が前記ベーン側壁あるいは凹部側壁
    に向かって突出することを許容するとともに突出した状
    態で保持する突出状態保持手段と、 内燃機関が運転され前記第1圧力室あるいは第2圧力室
    に所定圧力が供給されたときには、該圧力に基づき前記
    突出状態保持手段にて前記突出部材が突出した状態で保
    持された状態を解除する突出状態解除手段とを備えた請
    求項1に記載の内燃機関におけるバルブタイミング調整
    機構。
  3. 【請求項3】 前記始動タイミング設定手段は、 前記第1回転体あるいは第2回転体においてそのほぼ径
    方向に離間した内周側の始動位置と外周側の運転位置と
    の間で移動可能に設けられ、前記第1回転体あるいは第
    2回転体から前記第1圧力室内に突出する当接部を備え
    た第1ストッパと、 前記第2回転体あるいは第1回転体の第1圧力室を形成
    する側壁に設けられ、前記第1ストッパが前記始動位置
    にあるときに前記当接部が当接することにより、前記第
    1回転体と第2回転体との相対位相を前記始動タイミン
    グに対応する相対位相とするとともに、前記第1ストッ
    パが前記運転位置にあるときには前記当接部に当接しな
    いことにより、前記第1回転体と第2回転体との相対位
    相を前記最遅角タイミングに対応する相対位相とする第
    2ストッパと、 前記第1ストッパが前記始動位置に配置されるように同
    第1ストッパを内周側に付勢するとともに、内燃機関が
    運転されて前記第1回転体あるいは第2回転体が所定回
    転数以上の回転数で回転駆動されたときには、その回転
    に基づいて前記第1ストッパに作用する遠心力により、
    同第1ストッパが始動位置から運転位置に移動すること
    を許容するばね部材とを備えた請求項1に記載の内燃機
    関におけるバルブタイミング調整機構。
  4. 【請求項4】 前記始動タイミング設定手段は、 前記第1及び第2圧力室の内、前記第1及び第2回転体
    が遅角側に相対回動するときに容積が小さくなる側の進
    角側圧力室に収容された球状体と、 前記進角側圧力室の外周端位置に前記第1回転と第2回
    転体の少なくとも一方に設けられた収容溝と、 前記球状体が前記収容溝に入らないよう規制するように
    設けられ、内燃機関運転時に供給される圧力により前記
    第1及び第2回転体が前記進角側圧力室の容積が小さく
    なるように相対回動するときに、前記凹部側壁あるいは
    ベーン側壁にて押圧される前記球状体が前記収容溝に入
    ることを許容するように弾性変形する弾性板とを備えた
    請求項1に記載の内燃期間のバルブタイミング調整機
    構。
  5. 【請求項5】 前記球状体は、少なくとも表層が弾性体
    にて形成された請求項4に記載の内燃機関におけるバル
    ブタイミング調整機構。
  6. 【請求項6】 前記始動タイミング設定手段は、 前記進角側圧力室を形成する前記第1回転体の凹部側
    壁、あるいは、前記第2回転体のベーン側壁に設けら
    れ、自然状態で該進角側圧力室に突出し、内燃機関運転
    時に前記進角側圧力室に供給される圧力によって該進角
    側圧力室に突出しないように弾性変形するばね部材を備
    えた請求項1に記載のバルブタイミング調整機構。
  7. 【請求項7】 前記始動タイミング設定手段は、前記凹
    部側壁あるいはベーン側壁に設けられ、前記第1圧力室
    に開口する凹部を備え、 前記ばね部材は、前記凹部を閉塞するように設けられ、
    自然状態で前記進角側圧力室に突出し、内燃期間運転時
    に前記進角側圧力室に供給される圧力によって前記凹部
    側に退避するように弾性変形する凸状部を備えた弾性板
    である請求項6に記載の内燃機関におけるバルブタイミ
    ング調整機構。
  8. 【請求項8】 前記ばね部材は、 前記凹部側壁あるいはベーン側壁に設けられ、自然状態
    で先端側が前記進角側圧力室に突出するように基端が支
    持され、内燃機関運転時に該進角側圧力室に供給される
    圧力及び前記両回転体の回転に伴う遠心力により、前記
    先端側が基端を回動中心として回動するように弾性変形
    し該進角側圧力室の外周側に退避する弾性板である請求
    項6に記載の内燃機関におけるバルブタイミング調整機
    構。
  9. 【請求項9】 内燃機関が運転されていないときには、
    前記第1回転体と第2回転体との相対位相が前記始動タ
    イミングに対応する相対位相となったときに第1回転体
    と第2回転体とを相対回動不能に連結するとともに、内
    燃機関が運転されたときには、前記第1回転体と第2回
    転体との相対位相が前記始動タイミングに対応する相対
    位相となっても第1回転体と第2回転体とを相対回動不
    能に連結しない連結手段を備えた請求項1〜請求項8の
    いずれか一項に記載の内燃機関におけるバルブタイミン
    グ調整機構。
  10. 【請求項10】 前記カムシャフトは、吸気側カムシャ
    フトであり、前記第1圧力室は進角側油室で前記第2圧
    力室は遅角側油室である請求項1〜請求項9のいずれか
    一項に記載の内燃機関におけるバルブタイミング調整機
    構。
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