JPH11239464A - 運動時の危険因子除去能を有する組成物 - Google Patents

運動時の危険因子除去能を有する組成物

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JPH11239464A
JPH11239464A JP10168131A JP16813198A JPH11239464A JP H11239464 A JPH11239464 A JP H11239464A JP 10168131 A JP10168131 A JP 10168131A JP 16813198 A JP16813198 A JP 16813198A JP H11239464 A JPH11239464 A JP H11239464A
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fatty acid
during exercise
polyunsaturated fatty
epa
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JP10168131A
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English (en)
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Hideji Nakajima
秀司 中島
Tetsuya Murakami
哲也 村上
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Nissui Corp
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Nippon Suisan Kaisha Ltd
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  • Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)
  • Coloring Foods And Improving Nutritive Qualities (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スポーツ性貧血を防止する健康食品、運動時
の突然死などの危険を予防する健康食品、予防医薬品の
分野に利用できる運動時危険因子除去能を有する組成物
の提供。 【解決手段】 n−3系高度不飽和脂肪酸を有効成分と
して含有することを特徴とする運動時の危険因子除去能
を有する組成物。上記の運動時の危険因子除去能は、例
えばスポーツ性貧血の防止能である。上記n−3系高度
不飽和脂肪酸は、n−3系高度不飽和脂肪酸または/お
よびその誘導体である。上記n−3系高度不飽和脂肪酸
は、エイコサペンタエン酸および/またはドコサヘキサ
エン酸である。n−3系高度不飽和脂肪酸は、好ましく
は魚油などの天然のトリグリセライドの形態である。本
発明の運動時の危険因子除去能を有する組成物は、食品
組成物、特にスポーツ用食品として適している。あるい
は薬剤組成物として用いることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業の属する技術分野】本発明は、食品、予防および
医療の分野に利用できる運動時危険因子除去能を有する
組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】運動することによって体内の代謝が円滑
となり、成人病に対する危険因子が除かれるということ
から、運動の奨励が行われている。医学的にも心筋梗塞
患者などのリハビリテーションとしての運動効果につい
てかなりの報告がみられる。しかし一方で、スポーツ時
の種々な疾病や合併症がスポーツ医学上問題となってお
り、その一つに「スポーツ性貧血」、「突然死」があ
る。スポーツ性貧血の原因は、運動時のタンパク代謝の
高進や鉄の摂取の不足に起因する赤血球産生不足、運動
時に産出される乳酸などの化学的物質による溶血、運動
時の衝撃などの物理的作用による溶血などが考えられて
いる。また、突然死例では多くの場合慢性の基礎疾患が
認められるが、しかし中には形態学的な基礎疾患が判然
としないものもあり、確定診断に苦慮することも多い。
スポーツ中の急死例はいままで多くの報告があるが、競
技種別ではランニング、ジョギング、マラソンなど走る
目的のものが圧倒的に多く、ついでバスケットボール、
野球、水泳などに突然死するものが多くみられた。
【0003】このようにスポーツ中に急死した内因死例
のほとんどが急性心臓死で、このうち自覚的にも他覚的
にも異常のなかったものが大部分を占めている。残りで
は自覚的に異常がなく、他覚的には心疾患を疑われても
精密検査で異常なしと判断されたものが多く、数例のも
のが治療を受けていたに過ぎない。もちろん急性心機能
不全と診断されていた急死例では、生前は全く健康者と
して生活し、医療を受けていないのは当然である。
【0004】一般に突然死の場合には、潜在性の基礎的
器質的疾患が認められる場合と基礎的器質的変化が軽度
か、あるいは明らかな器質的変化が認められない場合が
あり、前者の場合には自覚症状があり医療を受けている
人もあるので問題になることは少ない。しかし後者の場
合には本人は自覚症状を欠き、健康診断を受けたとして
も異常なしと判定され、その後にスポーツなどの行為が
誘因となって突然死するために社会的にも問題になるこ
とが極めて多く、若年者の原因不明の急性心不全(いわ
ゆるポックリ病)は後者に属しており、しばしば過激な
運動やしごきなどと関連して問題となることが多いので
ある。
【0005】さてこの若年者の急性心不全の本態につい
ては未だ不明で諸説があるが、一般的には一見健康で体
格にも壮健な若年男性(男性に圧倒的に多い)が急なう
なり声などをあげて倒れ突然死する。そして、剖検上で
も心臓の拡張を伴った軽度の心肥大、冠状動脈や大動脈
などの血管系の菲薄狭小などの所見がみられるが動脈硬
化はほとんどない。運動時や運動後に不整脈を惹起して
突然死する可能性を十分に考慮する必要があると考え
る。
【0006】順天堂大の沢木らは、リレハンメル冬季オ
リンピックで好成績をおさめたノルウェーの選手が栄養
補助食品としてDHAやEPAを利用していることに注
目し、陸上長距離選手を対象にDHA、EPAの摂取が
トレーニング効果に及ぼす影響について研究した。その
結果、彼らの競技成績に大きな差を認め、DHA、EP
Aの摂取が毛細血管への酸素運搬能力の向上を引き起こ
すことを推察している。今後、これら脂肪酸の運動機能
に及ぼす影響に関する研究がますます活発化するものと
思われるが、一方、赤血球変形能の低下と赤血球膜硬化
の関係は数種の疾患で報告されており、赤血球膜の流動
性の増加は、赤血球の脆弱化の危険性が考えられ、それ
らの知見に基づく予防および医療の分野に利用できる運
動時危険因子除去剤の開発が待たれるところである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、スポ
ーツ性貧血などを防止する健康食品、運動時の突然死な
どの危険を予防する健康食品、予防医薬品の分野に利用
できる運動時危険因子除去能を有する組成物を提供する
ことにある。本発明の目的は、スポーツのプロ、スポー
ツ選手、スポーツ愛好家、スポーツをしたい人、持久力
の向上を目指す人などの健常人のための運動時危険因子
除去能を有する組成物を、スポーツ用食品あるいは薬剤
組成物として、提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】運動時の血液レオロジー
の変化が突然死の原因ではないかと考えられている。本
発明者らは、“海産食糧は血液粘度を改善させるのでは
ないか”との作業仮説を立て、魚肉摂取量の多い漁民と
漁民に比べ比較的魚肉摂取量の少ない農民を対象とした
疫学調査、魚油濃縮物、高度精製したエイコサペンタエ
ン酸エチルエステル(EPA・EE)基礎、臨床実験を
行い、魚油成分中に含まれるEPAが血液粘度を改善さ
せることをすでに見いだした。その後、ヘモレオロジー
の面からEPAの作用機序を主として赤血球膜を対象に
検討してきた。そして、本発明者らは、n−3系高度不
飽和脂肪酸が平常時の血液レオロジーに作用するだけで
なく、運動による血液レオロジーの好ましくない変化を
抑制することを初めて見いだし、スポーツ性貧血などを
防止する健康食品、運動時の突然死などの危険を予防す
る健康食品、予防医薬品を提供することを可能にした。
【0009】本発明は、n−3系高度不飽和脂肪酸を有
効成分として含有することを特徴とする運動時の危険因
子除去能を有する組成物を要旨としている。上記n−3
系高度不飽和脂肪酸は、n−3系高度不飽和脂肪酸また
はおよびその誘導体である。上記n−3系高度不飽和脂
肪酸は、エイコサペンタエン酸およびまたはドコサヘキ
サエン酸である。n−3系高度不飽和脂肪酸は、好まし
くは魚油などの天然のトリグリセライドの形態である。
本発明の運動時の危険因子除去能を有する組成物は、食
品組成物、特にスポーツ用食品として適している。ある
いは薬剤組成物として用いることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明において、n−3系高度不
飽和脂肪酸は、n−3系高度不飽和脂肪酸または/およ
びその誘導体を使用する。食品用組成物の場合は遊離脂
肪酸およびまたはグリセリドエステルを、薬剤用組成物
の場合は遊離脂肪酸、それの薬剤として許容される塩、
エステルまたはアミドを使用する。
【0011】より具体的に例示すれば、精製魚油、構成
脂肪酸のうちn−3系高度不飽和脂肪酸が60%以上残
りは中鎖脂肪酸であるような吸収性を高めた油脂組成物
などのn−3系高度不飽和脂肪酸を主成分とする油脂組
成物、あるいはエイコサペンタエン酸またはそのグリセ
リド等の誘導体を多く含有する天然油脂から得られる任
意の脂肪酸またはそのエステルの混合物を用いることが
でき、たとえば、イワシ、サバ、ニシン、サンマ等の
魚、ナンキョクオキアミ、ツノナシオキアミ、コペポー
ダ等の動物性海洋プランクトン等の適宜なものから得ら
れる脂肪酸またはエステルの混合物を使用することがで
きる。
【0012】魚油の精製は、原料から採取した遊離脂肪
酸、臭気成分、着色成分などが含まれている粗原油から
これらを除去するために行うが、精製法としてはアルカ
リ精製法、蒸気吹込法、吸着法などがあり、任意に組み
合わせて行われる。アルカリ精製法は脱酸法ともいい、
粗製油に水酸化ナトリウムを加えて魚油中の遊離脂肪酸
をフーツ(石鹸、foots)にすると共に、フーツに
不純物を吸着または溶解させ、これを除去して粗製油を
精製する方法である。蒸気吹込法は、精製油を減圧下で
150℃前後に加熱し、これに水蒸気を吹き込んで臭気
成分を除去する方法である。また吸着法は、活性炭、酸
性白土などの吸着剤を用いて粗製油中の着色成分や臭気
成分を吸着・除去する方法である。
【0013】これらの公知精製方法を駆使することによ
り魚油を無味無臭まで精製して使用する。さらに魚油か
らコレステロールを実質的に除去して、コレステロール
0.1%以下、EPA、DHA高含有量の無味無臭の魚
油に調製して使用することができる。無味無臭の魚油に
含まれるEPA,DHA等の脂肪酸はトリグリセリドの
形態で存在している。EPA,DHAの含有量は、例え
ば、EPA18%、DHA8〜12%のもの、EPA2
8%、DHA12%のもの、EPA5〜8%、DHA2
2%のもののように、使用用途等によって任意に変化さ
せることができる。
【0014】上記高純度EPA、そのエステルは、エイ
コサペンタエン酸及び/またはその誘導体を含む天然油
脂から得られる脂肪酸またはそのエステルの混合物を高
真空下で複数の蒸留塔によって精密蒸留して炭素数20
の脂肪酸またはそのエステルを主成分とする留分を取得
し、次いでこの留分を逆相分配系のカラムクロマトグラ
フィーによって分画精製して製造する。上記高純度DH
A、そのエステルについてもほぼ同様の操作により得ら
れる。
【0015】本発明の運動時の危険因子除去能を有する
組成物は、運動時の突然死などの危険を予防する健康食
品、スポーツ性貧血などを防止する健康食品、予防医薬
品の分野の利用に適している。スポーツのプロ、スポー
ツ選手、スポーツ愛好家、スポーツをしたい人、持久力
の向上を目指す人などの健常人のための運動時危険因子
除去能を有する組成物を、スポーツ用食品として使用す
ることができる。また薬剤組成物として使用することも
できる。
【0016】本発明の運動時の突然死などの危険を予防
する健康食品においては、必須成分であるn−3系高度
不飽和脂肪酸の他に、任意的成分として、通常食品に添
加されるビタミン類、炭水化物、色素、香料など適宜配
合することができる。また、必要に応じて乳化剤を添加
することもできる。乳化剤としてはグリセリン脂肪酸エ
ステル、しょ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エス
テル、大豆リン脂質、プロピレングリコール脂肪酸エス
テルが用いられ、これらは単独又は組合せて用いられ
る。食品は液状または固形の任意の形態で食することが
できる。ゼラチンなどで外包してカプセル化した軟カプ
セル剤として食することができる。カプセルは、例え
ば、原料ゼラチンに水を加えて溶解し、これに可塑剤
(グリセリン、D−ソルビトールなどを加えることによ
り調製したゼラチン皮膜でつくられる。
【0017】上記組成物は、n−3系高度不飽和脂肪酸
またはそれの薬剤として許容される塩、エステルまたは
アミドを有効成分とする運動時の危険因子除去薬剤とし
て利用可能であり、その場合、上記n−3系高度不飽和
脂肪酸は、エイコサペンタエン酸およびまたはドコサヘ
キサエン酸であり、酸自体のみならずそれの薬剤として
許容される塩、エステルまたはアミドとして使用され
る。該薬剤は、n−3系高度不飽和脂肪酸を単独で製剤
として用いることができるほか、製薬上使用できる担体
もしくは希釈剤を加えた製剤組成物に加工したものを用
いることもできる。このような製剤または薬剤組成物
は、経口または非経口の経路で投与することができる。
例えば、経口投与用の固体または流体(ゲルおよび液
体)の製剤または薬剤組成物は、タブレット、カプセ
ル、錠剤、丸剤、粉末、顆粒もしくはゲル調製品の形態
をとる。製剤または薬剤組成物の正確な投与量は、その
目的とする使用形態および処置時間により変化するた
め、担当の医師または獣医が適当であると考える量にな
る。n−3系高度不飽和脂肪酸を有効成分とする運動時
の危険因子除去薬剤たる製剤または薬剤組成物は、他の
薬理学上活性のある物質による投与と組み合わせてもよ
いことは明らかである。
【0018】
【作用】血液粘度に影響を及ぼす因子として、赤血球変
形能、ヘマトクリット値、血漿粘度等多岐にわたり、こ
れらの因子は相互に影響しあって粘性を変化させている
ものと思われる。EPAの場合は、これらのうち、赤血
球の変形能を改善させることによると考えられる。赤血
球変形能は、血球の表面積/体積比、赤血球内部粘度、
膜の粘弾性等によって決定される。健常人に精製魚油を
10週間投与したところ、魚油摂取群、非摂取群共にヘ
マトトクリット値には変化が認められなかったが、魚油
摂取群で赤血球変形能の有意な上昇が認められ、魚油非
摂取群に認められた降伏値の上昇は魚油摂取群では認め
られなかった。
【0019】
【実施例】以下に本発明について具体的な実施例をもっ
て説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら制
限を受けるものではない。
【0020】参考例1 《平常時の血液レオロジーに対する作用》 エイコサペンタエン酸〔Eicosapentaenoic acid(EP
A C20:5,n−3)〕の赤血球Fragility(変形能)
におよぼす影響 《要旨》EPA・EE3.6g/dayを4週間投与す
ることにより、赤血球溶血開始値、最大溶血値、溶血終
了値とも投与前に比べ低浸透圧側に有意に移行しており
赤血球膜強化が示唆された。本実験のように赤血球変形
能の増加と膜の強化が同時に測定されたのは意義深く、
投与の安全性のみならず、血管壁や体細胞が柔軟で安全
性に富んだ細胞になることが考えられた。
【0021】《目的》血液粘度に影響を及ぼす因子とし
て、赤血球変形能、ヘマトクリット値、血漿粘度等多岐
にわたり、これらの因子は相互に影響しあって粘性を変
化させているものと思われる。EPAの場合は、これら
のうち、赤血球の変形能を改善させることによると考え
られる。赤血球変形能は、血球の表面積/体積比、赤血
球内部粘度、膜の粘弾性等によって決定される。EPA
の場合は、膜の流動性によるものと考えられる。血液、
特に赤血球の大きさを毛細血管内をスムーズに通過でき
る形に変形できるように、赤血球に柔軟性を付与するこ
とができる。一方、赤血球変形能の低下と赤血球膜硬化
の関係は数種の疾患で報告されており、赤血球膜の流動
性の増加は、赤血球の脆弱化の危険性が考えられる。そ
こで本実験では、健常人にEPA・EEを4週間投与
し、EPAの赤血球Fragilityに及ぼす影響に
ついて、Coil Planet Centrifug
e法で検討した。この方法は、木村らによって開発され
た赤血球膜浸透圧抵抗を測定する方法である。
【0022】《方法》いわし可食部から精製したEPA
・EEを1日3.6g、健常人10人(平均年齢36
才)に4週間投与した。採血は、Reid’sらの方法
を準用して行った。すなわち血液0.5mlが水柱30
cmの水圧下で、5μmのnucleopore me
mbranefilterを通過する時間を測定し、ヘ
マトクリット値から30秒間に通過した血球量(VRBCm
l/30sec)に変算し、赤血球変形能の指標とした。統
計処理は、student t−test(paire
d)を用い、有意水準は、両側危険率5%とした。
【0023】《結果》EPA・EEを健常人10人に1
日3.6g、4週間投与することにより、赤血球膜中E
PA含量は、2.01±0.35mol%から4.00
±0.34mol%に増加した。血液レオロジー的因子
の測定結果を表1に示した。血液粘度の降伏値(shear
rate)(回転低)=37.5sec-1は有意(P<0.
01)に低下し、降伏値(shear rate)(回転高)=3
75sec-1も有意(P<0.001)に低下を示し
た。赤血球変形能は有意(P<0.05)な上昇が認め
られ、血漿粘度は有意(P<0.05)な低下が認めれ
らた。赤血球膜浸透圧抵抗の測定結果(A)(B)
(C)を図1〜図3に示した。 (A)溶血開始時の赤血球の浸透圧は、投与前(10
0.7±3.13mOsm)から投与後(96.5±2.4
2mOsm)、(B)最大溶血時の赤血球の浸透圧は、投与
前(86.1±2.18mOsm)から投与後(82.6±
2.32mOsm)、(C)溶血終了時の赤血球の浸透圧
は、投与前(69.4±2.76mOsm)から投与後(6
9.4±2.76mOsm)にそれぞれ有意(P<0.0
1)に低下した。
【0024】
【表1】
【0025】《考察》本実験では、赤血球膜中EPA含
量は、2.01±0.35mol%から4.00±0.
34mol%と約2倍に増加し、また、血液粘度の有意
な低下と赤血球変形能の有意な増加が認められた。赤血
球膜中の脂質は、free cholesterol(FC),phosphat
idyl ethanolamine(PE),phospharidyl serine(P
S),phosphataidylcholine(PC)およびsphingmyel
in(SM)があり、PEとPSは脂質の二重層の内層に
多く、PCとSMは主として外層に分布し、FCは内外
層にわたって均一に存在する。これらのうちPCは膜に
流動性を与え、FCとSMは粘性を高めて膜をこわばら
せる。膜を固くする点では、SMはFCより強力だとい
われる。EPA・EE3・6g/day投与した田村ら
の報告では、血小板各リン脂質分画中のアラキドン酸
(AA)及びEPA含量の測定で、PC、PE中のAA
含量は有意に低下し、EPAは、PC、PE、PI及び
PS中で増加していたと報告しており、赤血球において
も同様に考えられる。特に、膜の流動性を増加させるP
C中でAAの低下とEPAの増加は興味深い。脂肪酸中
で最も粘性の低いEPAが膜中のPC中で特に増加して
いることは、EPA含量と膜の流動性の関係が示唆され
るが、膜の脆弱化の危険性が考えられる。本実験のEP
A・EE3.6g/dayを4週間投与することによ
り、赤血球の溶血開始値、最大溶血値、溶血終了値とも
投与前に比べ浸透圧側に有意に移行しており、赤血球膜
強化が示唆された。本実験で赤血球変形能の増加と膜の
強化が同時に測定されたのは意義深く、投与の安全性の
みならず、血管壁や体細胞が柔軟性で安全性に富んだ細
胞になることが考えられた。
【0026】実施例1 《運動時の血液レオロジーの変化に対する作用》 1.服用量・使用製剤 1)EPAとして1.6g/日を目途に摂取する。 2)EPA28%,DHA12%含有精製魚油カプセル
300mg×18粒/日を朝晩食直後9粒ずつ服用す
る。 2.被験者数 1)1群6名×2群〔EPA投与群(Fish)、EPA非
投与群(non-fish)〕 3.試験方法 1)表2に示すスケジュールで高地トレーニングに入る
10週間前より高地トレーニング終了時までEPA投与
群は精製魚油カプセルを18粒/日摂取する。 2)各群とも、投与開始時、高地トレーニング開始時、
高地トレーニング終了時に次項に述べる項目につき測定
する。
【0027】
【表2】
【0028】4.測定項目 1)生化学的項目 測定項目 (a)脂肪酸組成(血漿、赤血球膜リン脂質) (b)赤血球変形能 (c)降伏値 (d)アミノ酸組成 2)生理学的項目(運動能力) (1)測定項目 (a)最大酸素摂取量 (b)MSS(Maximal Steady Sta
te)測定:EPA投与・非投与群における持久性の変
化及び改善を検討。各トレーニングの前後に安静時の血
液を採取し、上述した項目について分析を行う。各トレ
ーニングの前後に2種類のスピードでの走行後、血中乳
酸濃度を測定し、4mmol/lに相当する走行スピー
ドを求める(MSS)。このMSSを指標に持久性の改
善を検討する。
【0029】《結果》図4〜図9および表3〜表4に示
すように、魚油摂取群、非摂取群共にヘマトクリット値
には変化が認められなかったが、魚油摂取群で赤血球変
形能の有意な上昇が認められ、魚油非摂取群に認められ
た全血粘度の上昇は魚油摂取群では認められなかった。
【0030】
【表3】
【0031】
【表4】
【0032】
【発明の効果】スポーツ性貧血などを防止する健康食
品、運動時の突然死などの危険を予防する健康食品、予
防医薬品の分野に利用できる運動時危険因子除去能を有
する組成物を提供することができる。スポーツのプロ、
スポーツ選手、スポーツ愛好家、スポーツをしたい人、
持久力の向上を目指す人などの健常人のための運動時危
険因子除去能を有する組成物を、特にスポーツ用食品と
して提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】健常人におけるEPA−EE4週間投与の赤血
球浸透圧(溶血開始時)への影響を示した図面である。
なお、グラフの縦軸は赤血球の浸透圧。
【図2】健常人におけるEPA−EE4週間投与の赤血
球膜浸透圧(最大溶血時)への影響を示した図面であ
る。
【図3】健常人におけるEPA−EE4週間投与の赤血
球浸透圧(溶血終了時)への影響を示した図面である。
【図4】健常人におけるEPA含有精製魚油10週間投
与の赤血球変形能の変化を示した図面である。
【図5】健常人におけるEPA含有精製魚油10週間投
与の降伏値の変化を示した図面である。
【図6】健常人におけるEPA含有精製魚油10週間投
与の降伏値の変化を示した図面である。
【図7】健常人におけるEPA含有精製魚油10週間投
与のヘマトクリット値の変化を示した図面である。
【図8】魚油摂取群の赤血球脂肪酸組成の変化を示した
図面である。
【図9】対照群の赤血球脂肪酸組成の変化を示した図面
である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成10年9月4日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正内容】
【0023】《結果》EPA・EEを健常人10人に1
日3.6g、4週間投与することにより、赤血球膜中E
PA含量は、2.01±0.35mol%から4.00
±0.34mol%に増加した。血液レオロジー的因子
の測定結果を表1に示した。血液粘度の降伏値(shear
rate)(回転低)=37.5sec-1は有意(P<0.
01)に低下し、降伏値(shear rate)(回転高)=3
75sec-1も有意(P<0.001)に低下を示し
た。赤血球変形能は有意(P<0.05)な上昇が認め
られ、血漿粘度は有意(P<0.05)な低下が認めれ
らた。赤血球膜浸透圧抵抗の測定結果(A)(B)
(C)を図1〜図3に示した。 (A)溶血開始時の赤血球の浸透圧は、投与前(10
0.7±3.13mOsm)から投与後(96.5±2.4
2mOsm)、(B)最大溶血時の赤血球の浸透圧は、投与
前(86.1±2.18mOsm)から投与後(82.6±
2.32mOsm)、(C)溶血終了時の赤血球の浸透圧
は、投与前(69.4±2.76mOsm)から投与後(
6.0±3.33mOsm)にそれぞれ有意(P<0.0
1)に低下した。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 n−3系高度不飽和脂肪酸を有効成分と
    して含有することを特徴とする運動時の危険因子除去能
    を有する組成物。
  2. 【請求項2】 上記の運動時の危険因子除去能がスポー
    ツ性貧血防止能である請求項1の運動時の危険因子除去
    能を有する組成物。
  3. 【請求項3】 n−3系高度不飽和脂肪酸が、n−3不
    飽和脂肪酸または/およびその誘導体である請求項1ま
    たは2の運動時の危険因子除去能を有する組成物。
  4. 【請求項4】 n−3系高度不飽和脂肪酸が、エイコサ
    ペンタエン酸およびまたはドコサヘキサエン酸である請
    求項1、2または3の運動時の危険因子除去能を有する
    組成物。
  5. 【請求項5】 n−3系高度不飽和脂肪酸が、天然のト
    リグリセライドの形態である請求項1ないし4のいずれ
    かの運動時の危険因子除去能を有する組成物。
  6. 【請求項6】 n−3系高度不飽和脂肪酸が、魚油であ
    る請求項5の運動時の危険因子除去能を有する組成物。
  7. 【請求項7】 上記の組成物が食品組成物である請求項
    1ないし6のいずれかの運動時の危険因子除去能を有す
    る組成物。
  8. 【請求項8】 スポーツ用食品である請求項7の運動時
    の危険因子除去能を有する組成物。
  9. 【請求項9】 上記の組成物が薬剤組成物である請求項
    1ないし6のいずれかの運動時の危険因子除去能を有す
    る組成物。
  10. 【請求項10】 n−3系高度不飽和脂肪酸の誘導体
    が、薬剤として許容される塩、エステルまたはアミドで
    ある請求項9の運動時の危険因子除去能を有する組成
    物。
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