JPH11229096A - 無方向性電磁鋼板およびその製造方法 - Google Patents

無方向性電磁鋼板およびその製造方法

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JPH11229096A
JPH11229096A JP10032645A JP3264598A JPH11229096A JP H11229096 A JPH11229096 A JP H11229096A JP 10032645 A JP10032645 A JP 10032645A JP 3264598 A JP3264598 A JP 3264598A JP H11229096 A JPH11229096 A JP H11229096A
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智機 深川
Mitsuyo Maeda
光代 前田
Hiroyoshi Yashiki
裕義 屋鋪
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Abstract

(57)【要約】 【課題】{100}集積度が高く、磁束密度と鉄損を改
善した無方向性電磁鋼板およびその製造方法を提供す
る。 【解決手段】C≦0.01%、Si:0.05〜1%、
Mn:0.01〜1%、P≦0.15%、Al≦0.0
03%、Mn/S≧10、さらに、鋼中の酸化物系介在
物中のMnOとSiO2 の組成重量比が、MnO/Si
2 ≦0.43であり、板厚中心部の{100}集積度
がランダム比で3以上の無方向性電磁鋼板。鋼とロール
間の摩擦係数を0.2以下にして700℃以上のα相領
域で仕上熱延し800℃以上のα域で連続焼鈍する製造
方法。さらに50%以下で冷間圧延し連続焼鈍する製造
方法。真空処理槽内の溶鋼にMnを添加した後真空処理
して成分調整する製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気機器の鉄心と
して広く用いられる磁気特性に優れた無方向性電磁鋼板
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】無方向性電磁鋼板は、方向性電磁鋼板に
比較して板面内での磁気異方性が少なく、モーターの鉄
心や小型変圧器の鉄心などに広く使用されている。これ
らの、機器の効率を高めるために、電磁鋼板に対しては
低鉄損・高磁束密度化という磁気特性の改善が求められ
ている。
【0003】従来、無方向性電磁鋼板の磁気特性の改善
は、Si等の合金元素の含有量を増して鋼の固有抵抗を
高めて鉄損を低減する方法と、鋼中の不純物を少なくし
て結晶粒成長性を改善する方法を中心に検討されてき
た。しかし、Si含有量を増すと磁束密度が低下する傾
向があるために高合金化には制約があり、結晶粒の成長
性を改善する方法もほぼ限界にきている。磁気特性を向
上させるための残された方法としては、集合組織を改善
して磁束密度を向上させる方法が考えられている。
【0004】無方向性電磁鋼板の集合組織としては、結
晶の磁化容易軸である<100>が最も多い結晶面であ
る{100}が鋼板面に平行に集積している集合組織
(以下、単に「{100}集合組織」と記す)が理想的
であり、これまでにその実現方法がいくつか開示されて
いる。
【0005】鋼が凝固する際に発達する柱状晶組織を利
用する方法がある。この方法では、特殊な鋳造方法によ
って製造した柱状晶を持つ鋼塊から{100}が板面に
平行となるように鋼を切り出し、1000℃以上の温度
で焼鈍する。この考え方は最近実用化されたストリップ
キャステイング等の方法にも適用が可能であるが量産性
が悪く、コストが高いうえ、<100>の集積度をさほ
ど高くできない。
【0006】厚さを0.15mm以下に薄くした珪素鋼
板を、弱酸化性雰囲気中で1000℃以上で焼鈍し、結
晶方位による表面エネルギーの差を利用して{100}
集合組織を増す方法がある。この方法では、結晶粒は、
一旦、板厚程度の大きさに成長した後、表面エネルギー
の差を駆動力として板面に平行な{100}を有する結
晶粒を優先成長させる。しかし、表面エネルギーの差を
利用するためには鋼板の厚さを0.2mm以下にする必
要があるうえ、1000℃以上の高温に加熱する箱焼鈍
が不可欠であるので生産性が良くない。
【0007】米国特許No.3163564(196
4)には、微量のAl等を添加した珪素鋼を直交方向に
圧延(クロス圧延)し、高温長時間の最終焼鈍をおこな
うことにより、{100}<001>方位の結晶粒を二
次再結晶させる方法が開示されている。しかしながらこ
の方法も、上述の表面エネルギーを利用する方法と同様
に、生産性が悪く経済性に劣る。
【0008】特開昭53−31515号公報には、本質
的にCを含まない鋼板をγ単相域に加熱した後、A1
態点まで徐冷し、その時に生じるγ→α変態を利用して
板面に平行に{100}を集積させる方法が開示されて
いる。しかしながら、この方法では{100}集合組織
のX線積分強度の強さ(以下、単に「{100}集積
度」と記す)が低い。特開平1−319632号公報に
は、Si、CおよびNを含む冷間圧延鋼帯を特定の温度
域で脱炭・脱窒焼鈍して{100}集積度を高めること
を特徴とする珪素鋼板の製造方法が開示されている。こ
の方法では、{100}集積度が、配向性がない材料の
{100}集積度に比較して(以下、単に「ランダム
比」と記す)15倍以上のものが得られるが、高温長時
間の焼鈍が必要であり、生産性が悪く価格が高くなる。
【0009】特開平9−194939号公報には、無方
向性電磁鋼板の素材を熱間粗圧延した後コイル状に巻取
り、粗圧延材の温度を均一化させた後巻戻して熱間仕上
圧延する板厚1mm以下の熱延電磁鋼板の製造方法が開
示されている。この方法は冷間圧延行程がないので安価
に製造できる方法であるが、磁気特性の改善効果は不十
分である。
【0010】無方向性電磁鋼板中の微細なAlNなどの
析出物や、冷間圧延で微細に破砕された非金属介在物
は、冷間圧延した鋼板を焼鈍する時の結晶粒の成長を阻
害し、磁気特性の改善を妨げる原因になることが知られ
ている。
【0011】特開昭63−195217号公報では、こ
のような非金属介在物の悪影響を除くために、鋼中の酸
化物系介在物を構成する各種の組成の酸化物の内、Mn
Oの重量の割合を15%以下とした磁気特性に優れた無
方向性電磁鋼板を開示している。この発明では、MnO
の重量の割合が上記の範囲を超えると介在物の軟化点が
低下して圧延中に延ばされ、これが焼鈍時の結晶粒成長
を妨げる、としている。しかしながら、これらの方法で
も磁気特性が不十分なうえ、経済性にも改善すべき点が
ある。
【0012】上記の発明では、MnOの重量の割合を低
下させる方法として、転炉出鋼時に従来よりも多量のF
e−Mn合金を添加し、Mnによる溶鋼の脱酸を強化し
ている。しかし、転炉出鋼時は溶鉄中の酸素含有量が高
いうえ、スラグと鋼とが強く撹拌されている状態である
ためにMnが酸化されやすく、かつ、スラグに移行しや
すい。このため、Mnの歩留まりが悪く、成分調整も十
分にはおこなえない。この方法ではAlで脱酸した後に
再度Mn成分の調整が必要になるので経済性に欠けるう
え、精錬末期のMn添加によってMnOが新たに生じる
問題もある。
【0013】以上述べたように、これまでに開示されて
いる{100}集合組織を有する無方向性電磁鋼板は、
{100}集積度が十分でなく、その製造方法も効率性
や経済性に欠けるのが問題であった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、{100}集積度が高く、磁束密度ばかり
でなくその鉄損も大幅に改善した無方向性電磁鋼板およ
びその安価な製造方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は下記
(1)に記載の磁気特性に優れた無方向性電磁鋼板なら
びに(2)、(3)および(4)に記載のその製造方法
にある。
【0016】(1)化学組成が、重量%で、C:0.0
1%以下、Si:0.05〜1%、Mn:0.01〜1
%、P:0.15%以下、S:0.035%以下、A
l:0.003%以下、B:0〜0.01%、Sbおよ
びSnの内の1種または2種を合計で0〜0.3%、全
酸素:0.02%以下、残部がFeおよび不可避的不純
物からなる鋼であって、鋼中のMnとSの含有量の比率
Mn/Sが10以上、鋼中に存在する酸化物系介在物中
のMnOとSiO2 の重量比MnO/SiO2 が0.4
3以下、板厚中心部の{100}の集積度がランダム比
で3以上である無方向性電磁鋼板。
【0017】(2)上記(1)に記載の化学組成と酸化
物系介在物を有する鋼の熱間圧延の仕上圧延を、鋼とロ
ール間の摩擦係数が0.2以下、圧延終了温度が700
℃以上のα相領域となる条件でおこなって厚さが1.0
mm以下の熱延鋼板とし、これを酸洗して800℃以上
のα相領域で連続焼鈍することによる上記(1)の無方
向性電磁鋼板の製造方法。
【0018】(3)上記(1)に記載の化学組成と酸化
物系介在物を有する鋼の熱間圧延の仕上圧延を、鋼とロ
ール間の摩擦係数が0.2以下、圧延終了温度が700
℃以上のα相領域となる条件でおこなって得た厚さが
1.0mm以下の熱延鋼板に、圧下率50%以下で冷間
圧延をおこない、800℃以上のα相領域で焼鈍するこ
とを特徴とする請求項1に記載の磁気特性に優れた無方
向性電磁鋼板の製造方法。
【0019】(4)真空処理槽内の溶鋼にMnを添加
し、その後真空処理を施して溶鋼中のCを0.0005
〜0.01重量%、フリー酸素を0.01〜0.04重
量%に調整し、AlおよびSiを添加して鋼の化学組成
および酸化物系介在物組成を制御して得た溶鋼から製造
された鋼を熱間圧延する上記(2)または(3)の無方
向性電磁鋼板の製造方法。
【0020】本発明者等は熱間圧延時に発生する{10
0}集合組織の有用性に着目し、これを安定化し、さら
に強化する方法について詳細な研究をおこない以下に述
べる新たな知見を得た。
【0021】一般に熱延鋼板の板厚中心部には、圧延集
合組織として{100}集合組織が形成される。しかし
鋼板表層部には圧延ロールによるせん断変形を受けて
{110}集合組織が強く形成されるので、{100}
方位が形成される範囲は全板厚の約1/2程度しかない
うえ、その{100}集合組織自体も不安定である。こ
のため、これまでの熱延鋼板においては、鋼板中心部に
{100}集合組織が形成されても、これを鋼板全体の
磁気特性の改善に利用するのは困難であった。熱間圧延
時に鋼板とロール間に十分な潤滑を施して熱間圧延する
と、鋼板表層部の{110}集合組織の発達が抑制され
て板厚中心部の{100}集積度が高められるととも
に、{100}集積度の高い領域が板厚中心部から表面
方向にも拡大される。さらに、酸化物系介在物の構成組
成の内、MnOの比率を低めた鋼では、上述の潤滑熱間
圧延により生じる{100}集合組織がさらに強化さ
れ、安定化して維持できる。
【0022】さらに、通常は、圧延加工後に再結晶焼鈍
すると{111}集合組織が発達して{100}集積度
が低下するのに対し、上述の本発明の方法で得られる熱
延鋼板に適度の焼鈍を施すと{100}集合組織が極め
て安定になり、その後焼鈍を施しても{100}集合組
織が十分に維持され、逆に{111}集合組織が弱くな
るという極めて特異な現象がある。
【0023】また、製鋼作業、特に、脱炭を主目的とし
て行なう溶鋼の真空処理や脱酸剤添加方法を特定の条件
でおこなうことより、介在物の組成を経済的、かつ、容
易に制御できる。本発明は、これらの知見を基にして完
成されたものである。
【0024】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を詳細
に述べる。なお、以下に記す化学組成の%表示は重量%
を意味する。
【0025】(a)鋼の化学組成 C:磁気特性を劣化させるので製品の鋼板においては少
ないほど良い。C含有量は、磁気特性に顕著な悪影響が
現れない限界として、0.01%以下に限定する。
【0026】Si:鋼を脱酸する作用を有するうえ、鋼
の電気抵抗を増して渦電流損失を低下させる作用があ
る。本発明では、鋼を脱酸するため、および鉄損を低減
するためにSiを0.05%以上含有させる。しかし、
Si含有量が増すにつれて磁束密度が低下するので、鉄
損を低減する目的であっても、十分な磁束密度を確保す
るためにSiの含有量は1%を上限とする。
【0027】Mn:FeSに起因する熱間圧延時の割れ
(熱間脆性)の抑止と、MnSを粗大に析出させて結晶
粒成長に対して無害化することを主目的にMnを0.0
5%以上、かつ、Mn/Sが10以上となるように含有
させる。Mnは、鋼の電気抵抗を増し鉄損を低減する作
用を有するので、鉄損低減を目的として含有させてもよ
い。しかし、Mnは高価であり、鉄損低減に対する効果
がSiに比べて小さいので、その含有量の上限は1%と
する。
【0028】P:Pは安価な元素であるうえ、鋼の電気
抵抗を増し鉄損を低減する作用と、鋼を硬くして打抜き
性を向上させる効果があるので含有させてもよい。しか
し過度に含有させると鋼が脆くなり圧延が困難になるの
で、含有させる場合でも0.15%以下とする。
【0029】S:鋼の熱間脆性の原因となるうえ、硫化
物系介在物を形成し磁気特性を損なう。他方、Sには鋼
板の打抜き性や切削性を改善する作用がある。このた
め、磁気特性を重視する場合には0.006%以下とす
るのがよい。打抜き性や切削性を重視する場合には、
0.015%以上、0.035%以下とするのがよい。
【0030】Al:溶鋼の脱酸作用を有するので脱酸剤
として用いてもよい。Alを用いて脱酸した結果生じる
脱酸生成物は、その大部分は浮上し溶鋼中から除かれる
が、残余は酸化物系介在物として鋼中に残存し、さらに
過剰に含有されたAlはAlNなどの微細析出物を形成
しやすい。これらの酸化物や窒化物が増すと結晶粒成長
や磁壁移動の障害になるのでAlは少ないほど好まし
い。このため、Alの含有量は0.003%以下とす
る。
【0031】B:必須元素ではないが、熱間圧延時、ま
たは、冷間圧延後の焼鈍時の再結晶の際に{111}集
合組織の形成を抑制し、{100}集合組織の形成が促
進される効果があるので含有させてもよい。その場合に
は0.0002%以上含有させるのが効果的である。し
かし、過剰に含有させると再結晶完了後の粒成長を抑制
し、鉄損を悪化させるのでその上限は0.01%とする
のがよい。
【0032】Sb、Sn:必須元素ではないが、両元素
とも、鋼の再結晶に際して、結晶粒界からの{111}
方位の再結晶核の生成を抑制する作用がある。また、冷
間圧延時に、変形帯の生成を促進して{411}方位の
再結晶核を増す作用がある。{411}は{100}方
位に近い方位であるので、面内平均の磁気特性の向上に
寄与する。このため、さらに磁気特性を向上させる場合
には、SbおよびSnの内の1種または2種を合計で
0.005%以上含有させるのが効果的である。しか
し、過剰に含有させると鋼が脆化して圧延が困難になる
ので、含有させる場合の上限は0.3%とするのがよ
い。
【0033】全酸素:全酸素はフリー酸素(鋼中に固溶
している酸素)と介在物として存在する酸素からなって
おり、化学分析で求められる。鋼板中ではフリー酸素は
少なく、大部分は介在物中の酸素として存在する。この
ため、鋼の全酸素量が増すことは介在物が増すことを意
味している。酸化物系の介在物の総量を抑制するため
に、鋼板中の全酸素の含有量の上限を0.02%とす
る。
【0034】本発明の鋼は、上記以外はFeおよび不可
避的不純物で構成される。なお、不可避的不純物として
のN含有量は、SiとMnの存在によりSi−Mn−N
系の微細析出物の発生のおそれがあるので、0.005
%以下とするのが望ましい。さらに望ましくは、0.0
03%以下である。
【0035】(b)酸化物系介在物 Al含有量が低い電磁鋼板において観察される介在物
は、SiO2 とMnOを主成分とする酸化物系介在物が
主体である。この介在物中のMnOの比率が高くなる
と、介在物の軟化温度が低下して熱間圧延時に延伸され
易くなる。圧延方向に延伸された介在物が増すと、熱間
圧延後の板厚中心部での{100}集合組織の集積度が
損なわれるうえ、熱間圧延中および熱間圧延後に生じる
結晶粒成長を阻害して、鉄損などの磁気特性の向上を妨
げる。このような酸化物系介在物による悪影響を除くた
めに、酸化物系介在物を構成するSiO2 に対するMn
Oの重量組成比(MnO/SiO2 、以下、単に「Mn
O比」と記す)を0.43以下とする。MnO比は低い
方がよいが、SiO2 に対する比率が重量比で0.43
以下であれば、上述の有害さが大幅に減少される。な
お、MnO比は、介在物をヨウ素―メタノール法による
抽出分離定量法により分析して求めるものである。
【0036】(c){100}集積度 鋼板の{100}集積度が高いほど鋼板は磁化されやす
く磁気特性が良好になる。本発明の無方向性電磁鋼板
は、磁束密度を高め磁気特性を向上させるために、板厚
中心部における{100}集積度がランダム比で3以上
であるものとする。好ましくは5以上、さらに好ましく
は7以上である。
【0037】鋼板の板厚中心部の集合組織は、例えば、
化学研磨などの方法で鋼板の片面側を板厚中心部まで除
去して板厚中心部を測定面とする試料を得、これをX線
回折する等の方法で測定される。ランダム比は、この測
定値と配向性がない材料の{100}X線積分強度を用
いて容易に求められる。
【0038】本発明の鋼板は、鋼板表層部の{100}
集積度も従来のものに較べて良好である。板厚中心部の
ランダム比が3以上の鋼板であれば、その表層部では1
以上、板厚中心部のランダム比が7以上であれば表層部
では3以上の良好な集積度が期待できる。この鋼板表層
部の集積度は、圧延時に生じる鋼板最表面の不均一変形
部分を除くために、最表面を厚さで10μm程度化学研
磨法などの方法で除去した後に測定されるものである。
【0039】本発明の磁気特性に優れた無方向性電磁鋼
板の素材となる鋼は、転炉や電気炉で溶製された溶鋼を
処理し、連続鋳造法などで鋳造され、熱間圧延されて製
造される。
【0040】(d)溶鋼の処理 溶鋼の処理方法については、特に限定するものではな
く、通常おこなわれている公知の方法で溶鋼を真空処理
してAl、Si、Mn等で脱酸し、最終的な目標とする
化学組成に調整すればよい。真空処理は、例えばRH法
やVOD法等が好適である。所定の化学組成に調整され
た溶鋼は鋳片に鋳造される。鋳造方法や条件は任意であ
るが、公知の連続鋳造方法を用いて鋳片にするのがよ
い。なお、溶鋼処理は以下の方法でおこなうのが好まし
い。
【0041】Mn添加:Mn源は、通常は転炉からの出
鋼時や、真空処理槽で真空処理した後に添加される。し
かし、転炉や電気炉で溶製された溶鋼を真空処理槽に移
した後に、最終的に鋼板の目標成分にするのに必要な量
を予測して、真空処理する前に所要のMn源を添加する
のが好ましい。RH処理槽内に溶鋼を移した後に添加す
れば、スラグとの撹拌がほとんどないため、転炉出鋼時
にMn源を添加する従来の方法に比べて、Mnが酸化し
てスラグに移行することが少なく、Mnの歩留まりがよ
い。
【0042】Mn源の投入が真空処理前であるので溶鋼
の酸素含有量が高く、一部のMnはMn酸化物となって
スラグ中に移行する。しかし、後述するように、真空処
理後にAlとSiを添加するとスラグ中のMnOが解離
し、金属Mnとして溶鋼中に戻る。これにより、Mn含
有量は目標成分に調整される。スラグとの攪拌が少ない
状態でMn源が添加されるので、スラグ中でMnOが高
くなるのは、スラグが溶鋼と接触している部分に限られ
る。このために、その後の脱酸でMnが還元しやすい。
このことも上述の方法でMnの調整が容易に行える理由
の一つである。
【0043】このような方法でMn含有量を調整すれ
ば、Mn含有量は低い状態から徐々に高められるので介
在物中にMnOが生成し難い。また、介在物中のMnO
比率上昇の一因である、真空処理とAl脱酸後のMn成
分調整のためのMn源投入が不要となり、目標とする介
在物組成が実現できる。
【0044】真空処理:溶鋼にMnを添加した後、減圧
下で到達真空度と処理時間を制御して溶鋼中のC含有量
およびフリー酸素(溶鋼中に溶存する酸素)含有量を調
整する。脱炭反応は、”溶鋼中のCとOの溶解度積は、
真空度に応じて一定”の関係を基に進行する。溶鋼中の
C含有量は0.0005〜0.01%、望ましくは0.
002〜0.005%の範囲に制御する。溶鋼中のC含
有量が0.01%を超えると最終的な鋼板のC含有量
0.01%以下を実現できない。また、0.0005%
に満たない場合には溶鋼中のフリー酸素が0.04%を
超えてしまう。
【0045】溶鋼中のフリー酸素は0.01〜0.04
%の範囲に調整する。この量が0.04%を超えると、
その後のAlおよびSi添加に際して介在物が大量に生
成し、鋼板の清浄度が悪化すると共に介在物組成の制御
も困難になる。その上、ノズルが閉塞するなどの製造上
の問題も生じる。フリー酸素が0.01%に満たない場
合には脱炭が不十分になり、鋼板のC含有量を低減でき
ない。
【0046】Al、Si添加:Cとフリー酸素を上記の
ように調整した後、AlおよびSiを添加する。全酸素
含有量を低減し、さらに介在物の組成を制御するため
に、Alを添加した後にSiを添加するのが望ましい。
Al添加の目的は、脱炭のために必要であったフリー酸
素のみならず全酸素含有量をも低減することである。R
H等で溶鋼を適切に攪拌すれば、溶鋼の最終のAl含有
量が0.003%以下であっても、全酸素含有量を0.
006以下にすることができる。
【0047】このような状態で、鋼板の目標成分を実現
するのに必要な量だけSiを添加する。この方法によれ
ば、SiのみならずMnについても容易に目標組成を得
ることができる。さらに介在物の組成も目標組成に制御
できる。
【0048】(e)熱間圧延条件 上述の化学組成を有する鋳片は、仕上圧延温度を確保す
るために、公知の方法により、圧延前に加熱炉に装入し
たり局部加熱することができる。加熱温度を低くすると
硫化物系介在物が粗大化し磁気特性が向上するので、加
熱温度は仕上圧延温度が確保できる範囲内で低くするの
がよい。加熱温度は1200℃以下が好ましく、115
0℃以下であればなお好ましい。仕上圧延温度が確保で
きる場合には、製造コスト低減のために圧延前の加熱は
省略してもよい。
【0049】上述の鋳片は常法に従い粗圧延された後仕
上圧延される。厚さが薄い鋳片(薄鋳片)では、粗圧延
を省略して仕上圧延しても構わない。粗圧延が終了した
鋼片または薄鋳片は、仕上圧延機前でコイル状に一旦巻
取って保温したり、仕上圧延機の前方やスタンド間に設
けた保熱装置や加熱装置を用いて温度効果を防止するな
どの処理を施してもよい。
【0050】仕上圧延に際しては、鋼と圧延ロール間の
摩擦係数が0.2以下になるように潤滑を施して圧延す
るのがよい。鋼とロール間の摩擦係数が大きくなると、
鋼板表層部のせん断加工領域が拡大され、表層部には
{100}よりも{110}集合組織の方がはるかにが
強く形成される。このため、板厚中心部に形成される
{100}集合組織が弱くなり、鋼板全体の磁気特性を
改善する効果は大きくない。
【0051】摩擦係数が0.2以下になるように潤滑し
て圧延すれば、鋼板表層部でのせん断変形が抑制され、
表層部での{110}集積度が弱まり、鋼板中心部の
{100}集積度が高まるとともに{100}集合組織
を示す領域が表面方向に拡大される。摩擦係数は、通常
用いられている方法、例えば、先進率から逆算するなど
の方法で求めることができる。
【0052】摩擦係数を0.2以下にするのは、合成エ
ステルなど公知の圧延用潤滑剤をスプレーなどの公知の
方式で熱間圧延中の鋼板表面やロール表面に塗布して圧
延すればよい。熱間潤滑は仕上圧延時の全ての圧延スタ
ンドで施すのが望ましいが、仕上圧延機の最初のスタン
ドおよび圧下率が10%に満たないスタンドでは摩擦係
数は0.2を超えても構わない。最初のスタンドにおい
ては板厚が厚いのでせん断変形の悪影響度が小さいう
え、潤滑し過ぎると圧延ロールへの噛み込みが不安定に
なることがあるからである。圧下率が10%に満たない
場合には、潤滑が十分でなくても悪影響は軽微である。
【0053】上述の化学組成の鋳片は、上述の方法によ
り1mm以下の厚さに熱間圧延される。電磁鋼板の鉄損
は板厚に影響され、厚さが1mmを超えると鉄損が悪く
なるので好ましくない。
【0054】熱間圧延の仕上圧延終了温度(仕上温度)
は、700℃以上のα相領域となる温度域とするのがよ
い。仕上圧延後に鋼が変態すると集合組織が破壊され
る。また、鋼板圧延時の形状不良を防止するために仕上
圧延の最終圧下はα相領域でおこなうのがよい。
【0055】本発明の製造方法においては、圧延と同時
に再結晶させることにより、圧延で得られた板厚中心部
の{100}集合組織を安定化し強化する。仕上温度が
700℃に満たない場合には、圧延中の再結晶が不十分
になるので、熱間圧延で得られた{100}集積度の強
化が不十分になる。このため、仕上温度は700℃以上
とするのがよい。
【0056】圧延終了後の巻取温度は特に限定するもの
ではないが、良好な集合組織を得るために500〜75
0℃の範囲とするのが好ましい。
【0057】(f)熱延板焼鈍 板厚中心部に形成されている{100}方位の結晶粒を
成長させ、その集積度を高めて磁束密度を改善し、合わ
せてヒステリシス損を減少させて鉄損を改善するため
に、熱延鋼板に焼鈍を施すのが望ましい。この焼鈍はγ
変態を生じさせない温度範囲でおこなう必要がある。ま
た、焼鈍温度が高いほど結晶粒の成長が促進される。こ
れらの理由で熱延板焼鈍は、800℃以上のα相領域で
おこなうのがよい。焼鈍温度の上限は特に限定するもの
ではないが、以下に述べる連続焼鈍方式で良好に焼鈍で
きる1100℃を上限とするのがよい。
【0058】焼鈍方法は、高温焼鈍が容易で鋼板の平坦
形状を良好に保つことができるので連続焼鈍法がよい。
焼鈍時間は10秒以上あればよい。焼鈍前には常法に従
って酸洗しておくのが望ましい。また、焼鈍前には、鋼
板の平坦度や表面粗さを整えるため、常法に従ってスキ
ンパス圧延等を施しても構わない。さらに、焼鈍後には
常法に従って絶縁コーティングを施すのが望ましい。
【0059】(g)冷間圧延および焼鈍 上述の熱延鋼板は、その状態で無方向性電磁鋼板として
使用できる。しかし、熱間圧延製品であるために板厚精
度や平坦形状が好ましくない場合がある。この様な場合
には、熱間圧延板に冷間圧延と焼鈍を施し、冷延無方向
性電磁鋼板として用いるのが好ましい。
【0060】冷間圧延に先だって熱延鋼板に焼鈍を施し
ておけば、以後に冷間圧延と焼鈍をおこなった際に{1
00}集合組織が安定し、一層良好な磁気特性を維持す
ることができるのでさらに好ましい。この場合の熱延板
の焼鈍では結晶粒成長が生じればよいので、焼鈍温度は
600℃以上のα相領域とするのがよい。焼鈍温度の上
限は、1100℃以下であればよい。焼鈍方法は連続焼
鈍、箱焼鈍いずれの方法でも構わない。
【0061】冷間圧延時の圧下率は50%以下とするの
がよい。50%を超えると、焼鈍後に{111}集合組
織の集積度が強くなるので好ましくない。好ましくは2
0%以下である。冷間圧下率の下限は特に限定するもの
ではないが、板厚精度や平坦形状を改善するには0.5
%以上とするのが好ましい。さらに好ましくは、1%以
上である。
【0062】冷間圧延後には焼鈍し、{100}方位の
結晶粒を成長させて{100}集積度を高め、磁束密度
と鉄損を向上させる。焼鈍温度が高いほど結晶粒の成長
が促進されるので焼鈍温度は高い方がよいが、γ変態を
生じさせない範囲でおこなう必要がある。このため、焼
鈍は800℃以上のα相領域でおこなうのがよい。焼鈍
温度の上限は特に限定するものではないが、連続焼鈍方
式で良好に焼鈍できる1100℃を上限とするのがよ
い。焼鈍方法は、高温焼鈍が容易で鋼の平坦形状を良好
に保つことができる連続焼鈍法がよい。焼鈍の後、常法
に従って絶縁コーティングを施すのが望ましい。
【0063】無方向性電磁鋼板には、鋼板の製造業者側
で仕上焼鈍を行い、使用者側では特に焼鈍をせずに使用
するフルプロセス材と、使用者にて打抜き加工後焼鈍す
ることを前提に製造されるセミプロセス材とがあるが、
本発明の無方向性電磁鋼板は、これらいずれの場合にも
好適である。
【0064】
【実施例】(実施例1)表1に示す13種類の鋼を転炉
−RH−連続鋳造の工程で製造した。
【0065】
【表1】
【0066】これらの鋼は、転炉で溶解し、溶鋼をRH
真空処理装置を用いて真空処理をおこない、溶鋼中のC
量、フリー酸素量を調整した後AlとSiを添加した。
【0067】鋼A〜GおよびL、Mは、真空処理を施す
前のRH槽内の溶鋼にFe−Mn合金を添加した。鋼H
は転炉からの出鋼時に、鋼IはRHでの真空処理終了後
に、鋼JとKは転炉からの出鋼時とRHでの真空処理終
了後の2回に分けて、それぞれ所要量のFe−Mn合金
を添加し、Mn含有量を調整した。
【0068】溶鋼は連続鋳造してスラブとし、加熱炉に
装入して1180℃に加熱し、粗圧延して厚さ30mm
の鋼片とした後、連続式熱間仕上圧延機により厚さ0.
52mmの熱延鋼板とした。仕上圧延時には、合成エス
テル油をそれぞれのスタンドのワークロールにスプレー
で吹き付けて、潤滑した。鋼板とロール間の摩擦係数
は、先進率から逆算して求める公知の方法で測定し、そ
の値は0.14であった。仕上温度は何れも800〜8
10℃、巻取温度は660〜680℃の範囲内であっ
た。これらの鋼板は、冷却した後酸洗し、スキンパス圧
延して、0.50mmに圧延し、900℃で1分間保持
する連続焼鈍を施した。その後、通常の無方向性電磁鋼
板と同様の有機成分と無機成分を含有する複合組成から
なる表面絶縁コーティングを施した。
【0069】これらの鋼板から、長さ25mm、幅25
mmのX線回折用試験片と、外径45mm、内径33m
mの磁気特性測定用のリング試料を打ち抜き、いずれも
900℃で1分間保持する連続焼鈍相当の熱処理を施し
た。X線回折用試験片は、その片面を板厚中心まで化学
研磨して除去し、板厚中心部をX線回折して{100}
面反射積分強度を測定した。磁束密度測定用のリング試
料を用いて、磁化力5000A/mの時の磁束密度(B
50)と飽和磁束密度(BS )を測定した。飽和磁束密度
は鋼の化学組成によって変動するため、B50/BS を求
めて化学組成が異なる鋼の磁化され易さを比較評価し
た。また、鋼板の酸化物系介在物組成を、臭素−メタノ
ール法による抽出分離定量法により分析して求めた。鋼
板のMnO比を表1に、{100}集積度および磁気特
性測定結果を表2に示した。
【0070】
【表2】
【0071】表2に示すように、本発明が規定する範囲
内の化学組成とMnO比を有し、ランダム比が3以上で
ある鋼A〜Gは、鉄損が低く、磁束密度も良好であっ
た。これに対し、鋼Hは化学組成は本発明の範囲内であ
るがMnO比が高く、鋼Iは酸素含有量が高いうえにM
nO比が高く、鋼Jは化学組成は本発明の範囲内である
がMnO比が高く、鋼KはS含有量も高いために、いず
れも、ランダム比が劣り、鉄損と磁束密度がよくなかっ
た。鋼Mは、全酸素含有量が高いために磁気特性が好ま
しくなかった。鋼LはP含有量が高過ぎてスキンパス圧
延の際に割れが発生し、その後の処理を断念した。
【0072】(実施例2)化学組成が実施例1に記載し
た鋼Cと同一のスラブを粗圧延して得た厚さ30mmの
鋼片を、実施例1と同様の方法で潤滑して熱間仕上圧延
し、仕上温度を種々変更しつつ厚さ0.7mmの熱間圧
延鋼板とし、600℃で巻取った。一部のスラブは潤滑
しないで0.7mmに圧延した。熱延後酸洗し、常法に
従って厚さ0.6mmに冷間圧延した。これらの冷間圧
延鋼板から、長さ25mm、幅25mmのX線回折用試
験片と、外径45mm×内径33mmのリング試料を打
ち抜き、950℃に1分間保持する連続焼鈍相当の熱処
理を施した。その後、X線回折用試験片は、その片面を
板厚中心まで化学研磨して除去し、実施例1と同様に、
板厚中心部をX線回折して{100}面反射積分強度を
測定した。また、リング試験片を用いて磁束密度
(B50)を測定した。これらの結果を熱間圧延条件と共
に表3に示す。
【0073】
【表3】
【0074】表3に示されているように、好ましい条件
範囲で熱間圧延した試番1〜4は、{100}積分強度
がランダム比にして6倍以上と高く、磁束密度もB50
著しく良好である。これに対し、仕上圧延温度がα相域
を超えた試番5は、圧延後γ→α変態が生じたために
{100}集積度が低くなり、B50が好ましくなかっ
た。試番6は、仕上圧延時に潤滑しなかったために{1
00}積分強度が低くなり、B50が好ましくなかった。
試番7は、仕上圧延温度が低すぎたために熱間圧延後の
再結晶が不十分になり、{100}積分強度が低くB50
が好ましくなかった。
【0075】(実施例3)化学組成が実施例1に記載し
た鋼Cと同一のスラブを粗圧延し、実施例2の試番4に
記載したのと同様の潤滑条件で圧延し、仕上厚さを0.
53〜0.92mmの間に変更して熱間圧延した。得ら
れた鋼板を圧下率5〜83%の範囲で冷間圧延して厚さ
0.5mmの鋼板とし、1000℃で1分間保持する連
続焼鈍を施し、実施例2に記載したのと同様の方法で、
板厚中心部をX線回折して{100}面反射積分強度を
測定し、B50を測定した。冷間圧下率とこれらの測定結
果を表4に示す。
【0076】
【表4】
【0077】冷間圧下率が50%以下であれば、十分良
好な{100}集合組織とB50を有していた。特に冷圧
率20%以下の場合に良好であった。冷圧率が50%を
超えた試番およびでは、{100}積分強度が著し
く低下し、得られたB50も低く、好ましくなかった。
【0078】
【発明の効果】本発明の無方向性電磁鋼板は、板厚中心
部の{100}集合組織が発達した磁束密度の高い極め
て良好な磁気特性を有する電磁鋼板である。本発明の無
方向性電磁鋼板は冷間圧延を施さなくても磁気特性がよ
いので経済性に優れる。冷間圧延すれば、さらによい。
このため、汎用性に優れた高性能の電気器機の鉄心とし
て極めて好適である。本発明の製造方法によれば安定し
て組成の制御が出来る。さらに潤滑圧延して連続熱間圧
延する方法であるので、従来にない高い磁束密度を有す
る無方向性電磁鋼板を効率よく経済的に安定して製造で
きる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】化学組成が、重量%で、C:0.01%以
    下、Si:0.05〜1%、Mn:0.01〜1%、
    P:0.15%以下、S:0.035%以下、Al:
    0.003%以下、B:0〜0.01%、SbおよびS
    nの内の1種または2種を合計で0〜0.3%、全酸
    素:0.02%以下、残部がFeおよび不可避的不純物
    からなる鋼であって、鋼中のMnとSの含有量の比率M
    n/Sが10以上、鋼中に存在する酸化物系介在物中の
    MnOとSiO2 の重量比MnO/SiO2 が0.43
    以下、板厚中心部の{100}の集積度がランダム比で
    3以上である磁気特性に優れた無方向性電磁鋼板。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の化学組成と酸化物系介在
    物を有する鋼の熱間圧延の仕上圧延を、鋼とロール間の
    摩擦係数が0.2以下、圧延終了温度が700℃以上の
    α相領域となる条件でおこなって厚さが1.0mm以下
    の熱延鋼板とし、これを酸洗して800℃以上のα相領
    域で連続焼鈍することを特徴とする請求項1に記載の磁
    気特性に優れた無方向性電磁鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】請求項1に記載の化学組成と酸化物系介在
    物を有する鋼の熱間圧延の仕上圧延を、鋼とロール間の
    摩擦係数が0.2以下、圧延終了温度が700℃以上の
    α相領域となる条件でおこなって得た厚さが1.0mm
    以下の熱延鋼板に、圧下率50%以下で冷間圧延をおこ
    ない、800℃以上のα相領域で焼鈍することを特徴と
    する請求項1に記載の磁気特性に優れた無方向性電磁鋼
    板の製造方法。
  4. 【請求項4】真空処理槽内の溶鋼にMnを添加し、その
    後真空処理を施して溶鋼中のCを0.0005〜0.0
    1重量%、フリー酸素を0.01〜0.04重量%に調
    整し、AlおよびSiを添加して鋼の化学組成および酸
    化物系介在物組成を制御して得た溶鋼から製造された鋼
    を熱間圧延する請求項2または3に記載の磁気特性に優
    れた無方向性電磁鋼板の製造方法。
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