JPH11226391A - 排ガス浄化用ゼオライト及びその製造方法 - Google Patents

排ガス浄化用ゼオライト及びその製造方法

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JPH11226391A
JPH11226391A JP10037821A JP3782198A JPH11226391A JP H11226391 A JPH11226391 A JP H11226391A JP 10037821 A JP10037821 A JP 10037821A JP 3782198 A JP3782198 A JP 3782198A JP H11226391 A JPH11226391 A JP H11226391A
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micropores
mesopores
zeolite
exhaust gas
pore size
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Michio Ishikawa
教夫 石川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ゼオライトの細孔の孔径分布を排ガス浄化用と
して特に好ましくし、高温時のHC吸着能を向上させる。 【解決手段】孔径2〜5nmのメソ細孔と、孔径2nm未満
のミクロ細孔とを有する。毛管凝縮により蒸気圧が低下
するため、メソ細孔内に開口するミクロ細孔ではHCをよ
り高温まで吸着することが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、炭化水素(HC)吸
着剤として、あるいは貴金属を担持して排ガス浄化用触
媒として利用されるゼオライトとその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ゼオライトは、別名分子篩いとも称され
るように、分子の大きさに匹敵する孔径2nm未満のミク
ロ細孔を有し、吸着剤として利用されるほか、触媒とし
て多くの反応に利用されている。また主成分であるアル
ミナ( Al2O3)の負電荷を中和するために陽イオンを含
み、この陽イオンは水溶液中で他の陽イオンと用意に交
換されるため、陽イオン交換体としても利用されてい
る。
【0003】ゼオライトのこのような性質を利用して、
近年、自動車の排ガス浄化用触媒への利用が検討され、
たとえば特開平3-232533号公報には、ゼオライトに白金
やパラジウムなどの触媒貴金属を担持した排ガス浄化用
触媒が開示されている。ところがゼオライト自体は触媒
貴金属の担持性が低く、担持量が少なくて酸化能が不十
分となるという不具合がある。またエンジンが冷間状態
にある場合には、通常の運転時より燃料濃度の高い混合
気が供給されるため、排ガス中に含まれるHC量が多い。
さらに触媒貴金属は、約 300℃以上にならないと活性化
せず、始動時など排ガス温度が低い場合には排ガス中の
HCを十分に浄化することができない。このためエンジン
の冷間時や始動時などには、HCを特に効率よく浄化する
ことが望まれている。
【0004】そこで近年では、ゼオライトをHC吸着剤と
して用いることが行われている。例えば特開平5-317701
号公報には、SiO2 /Al2O3 比が所定範囲のゼオライトを
HC吸着剤とすることが記載され、これを酸化触媒と併用
することが記載されている。これにより冷間時や始動時
などにおけるHCの浄化性能が向上する。すなわち酸化触
媒とゼオライトとを併用することにより、低温域におい
てHCはゼオライトに一旦吸着され、排出が抑制される。
そして吸着されたHCは、ゼオライトが所定温度以上とな
るとゼオライトから放出され、近傍に存在する酸化触媒
により酸化浄化される。したがって低温域から高温域ま
で、安定してHCを浄化することができる。
【0005】また特開平6-154538号公報には、排ガス流
における三元触媒の上流側にゼオライトを配置し、排ガ
ス中のHCを低温時にゼオライトに吸着させ、吸着された
HCを昇温時に放出させて三元触媒により浄化する方法が
開示されている。この方法によっても、冷間時や始動時
などに排ガス中に含まれるHCを三元触媒で効率よく浄化
することが可能となる。
【0006】このような用途に用いられるゼオライトと
しては、天然のゼオライトも用いられるが、近年ではZS
M-5などの合成ゼオライトが広く用いられている。この
合成ゼオライトは、米国特許第 3,702,886号公報などに
開示されているように、シリコーンアルコキシドを出発
原料としたシリカゾルなどテトラプロピルアンモニウム
などのテンプレート材とを混合してゲルを形成し、それ
を水熱合成後、濾過・焼成することで製造されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところがゼオライト
は、低温ではHCをよく吸着するものの、高温条件では吸
着能が低く、低温で吸着されたHCも放出されてしまう。
したがって、高温条件でHCを吸着する分野には用いるこ
とができないという不具合がある。そこで特開平8-2533
13号公報には、1〜2nmの細孔を有するチタノシリケー
トよりなる合成ゼオライトが開示されている。このよう
に、ゼオライトが本来有する 0.5〜 0.6nmの細孔より大
きな径の細孔をもつことにより、オレフィンや芳香族化
合物などを効率よく吸着することができる。
【0008】ところが排ガス浄化用として見た場合に
は、チタノシリケートはアルミノシリケートほどの効果
が得られない。またアルミノシリケートよりなる通常の
ゼオライトでは、孔径が2nm未満のミクロ細孔しか存在
せず、オレフィンや芳香族化合物などを吸着できるほど
の大きな孔径をもつ細孔は存在しない。そして合成ゼオ
ライトにおいても、2nm以上の孔径をもつ細孔を形成す
る製造方法はまだ確立されていない。
【0009】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
ものであり、ゼオライトの細孔の孔径分布を排ガス浄化
用として特に好ましくするとともに、そのようなゼオラ
イトを確実に合成できる製造方法を提供することを目的
とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する請求
項1に記載の排ガス浄化用ゼオライトの特徴は、孔径2
〜5nmのメソ細孔と、孔径2nm未満のミクロ細孔とを有
することにある。また上記ゼオライトを確実に製造でき
る請求項2に記載の排ガス浄化用ゼオライトの製造方法
の特徴は、少なくともシリカゾルにテンプレート材を加
えてゲルを形成し水熱合成した後焼成することでゼオラ
イトを製造する方法であって、テンプレート材のシリカ
に対するモル比Rを 0.06≦R≦ 0.3の範囲とし、かつ
水熱合成温度を 120〜 170℃としたことにある。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明のゼオライトは、孔径2〜
5nmのメソ細孔と、孔径2nm未満のミクロ細孔とを有し
ている。排ガス中のHCは、メソ細孔とミクロ細孔の両方
に吸着される。ところでメソ細孔とミクロ細孔とをもつ
からには、両者が連通している場合、つまりメソ細孔の
細孔内の表面からミクロ細孔が発達している場合も多
い。この場合には、HCはメソ細孔を介してミクロ細孔に
吸着されることとなり、ミクロ細孔に吸着したHCはメソ
細孔を介して脱離することとなる。したがってミクロ細
孔から直接脱離するより脱離しにくくなり、高温での吸
着性能が向上する。
【0012】ここで、メソ細孔及びミクロ細孔内では毛
管凝縮が起き、細孔内部における蒸気圧は細孔外部にお
ける蒸気圧より低くなるという現象がある。また毛管凝
縮理論によれば、細孔内部の蒸気圧は細孔径が小さいほ
ど低くなる。つまり毛管凝縮理論は、式 p/p0= exp(-2
σVcosθ/rRT )で表される。なお、 p :半径rの細孔内の蒸気圧 p0:細孔外部の蒸気圧 σ:表面張力 V:上記の分子容 θ:液と毛管壁との間の接触角 R:ガス定数 T:気体の絶対温度 である。
【0013】ここで、図1に示すような二つの細孔モデ
ルを考える。図1(a) は半径r1の細孔のみであり細孔内
の蒸気圧をp1とする。これはミクロ細孔のみを想定して
いる。図1(b) は半径r2の第1細孔の内面に図1(a) と
同一半径r1の第2細孔が開口し(r2>r1)、これはメソ
細孔内にミクロ細孔が開口している場合を想定してい
る。
【0014】図1(a) のモデルでは、細孔内の蒸気圧p1
は上式よりp1=p0exp(-2σVcosθ/r 1RT )となる。また
図1(b) のモデルでは、第1細孔の蒸気圧p2は、p2=p0
exp(-2σVcosθ/r2RT )となり、第2細孔の蒸気圧p
3は、p3=p2exp(-2σVcosθ/r1RT)となる。そしてp2<p
0であるのでp3<p1となり、同じ孔径の細孔であっても
図1(b) の第2細孔の蒸気圧p3の方が図1(a) の細孔の
蒸気圧p1より低くなる。
【0015】したがってメソ細孔内部の蒸気圧はメソ細
孔外部より低くなり、メソ細孔内に開口するミクロ細孔
内部の蒸気圧はメソ細孔内部の蒸気圧よりさらに低くな
る。すなわちメソ細孔内に開口するミクロ細孔とそうで
ないミクロ細孔とを比較すると、両者を同じ細孔径とす
れば、メソ細孔内に開口するミクロ細孔内の蒸気圧の方
がゼオライト表面に開口するミクロ細孔内の蒸気圧に比
べて低くなる。
【0016】これによりメソ細孔内に開口するミクロ細
孔内では、HCをより高温まで吸着することが可能となり
高温での吸着特性が一層向上する。メソ細孔とは孔径2
〜50nmの細孔をいい、本発明のゼオライトは孔径2〜5
nmのメソ細孔をもつ。またミクロ細孔とは孔径2nm未満
の細孔をいい、一般的なゼオライトに形成されている細
孔をいう。メソ細孔及びミクロ細孔の細孔径及び細孔容
積はN2吸着法などによって測定でき、孔径2nm未満のミ
クロ細孔は一般にまとまって測定される。
【0017】本発明のゼオライトにおいて、孔径2〜5
nmのメソ細孔と孔径2nm未満のミクロ細孔の構成比率は
とくに制限されないが、孔径2〜5nmのメソ細孔の合計
容積が孔径2nm未満のミクロ細孔の合計容積より大きい
ことが好ましい。このように構成することによりメソ細
孔内に開口するミクロ細孔の数が増大するので、高温で
のHC吸着特性が一層向上する。
【0018】本発明のゼオライトにおいて、シリカ−ア
ルミナ比(SiO2/Al2O3)はモル比で900以上とすること
が好ましい。アルミナ分がこれより多くなると、本発明
のゼオライトの製造時に形成されるメソ細孔量が少なく
なり、HC吸着能が低下する。また耐久試験時などに脱ア
ルミニウムが生じて耐久性が低下し易くなる場合もあ
る。
【0019】本発明のゼオライトとしては、ZSM-5、モ
ルデナイト、Y型ゼオライト、X型ゼオライト、シリカ
ライトなど各種構造のゼオライトを例示することができ
るが、三次元的な細孔をもち吸着性能に優れたZSM-5構
造のゼオライトが特に好ましい。このようにメソ細孔と
ミクロ細孔をもつゼオライトは、請求項2に記載の製造
方法によって確実に製造することができる。この製造方
法では、先ず少なくともシリカゾルにテンプレート材を
加えてゲルが形成される。
【0020】ここでシリカゾルとしては、一般のシリカ
ゾルでもよいしシリコーンアルコキシドを用いることも
できる。また硝酸アルミニウム、アルミナゾルあるいは
アルミニウムアルコキシドなどのアルミニウム源をさら
に添加してもよい。この場合は、形成されるゼオライト
においてアルミナが金属Al換算で 0.1重量%以下となる
ように添加することが望ましい。アルミニウム源の添加
量がこれより多くなると、形成されるゼオライトのシリ
カ−アルミナ比(モル比:SiO2/Al2O3)が 900未満とな
り、メソ細孔量が少なくなってHC吸着能が低下する。特
に望ましいのは金属Al換算で0.05重量%以下であり、こ
のときSiO2/Al2O3はモル比で1800以上となる。
【0021】テンプレート材は形成されるゲルをゼオラ
イト構造に結晶させるためのものであり、例えばZSM-5
を製造する場合には、従来と同様にテトラプロピルアン
モニウム、テトラプロピルアンモニウムハイドロオキサ
イド、テトラプロピルアンモニウムブロミド、テトラプ
ロピルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニ
ウム、1,3-ジアミノプロパンなど、4級アンモニウム化
合物の塩、水酸化物、酸化物あるいは誘導体を用いるこ
とができる。
【0022】本発明の製造方法の一つの特色は、テンプ
レート材のシリカに対するモル比Rを 0.06≦R≦ 0.3
としたところにある。モル比Rをこの範囲とすることに
より、メソ細孔とミクロ細孔とをバランスよく形成する
ことができる。モル比Rがこの範囲から外れると、メソ
細孔量が低下してHC吸着能などが低下する。 0.075≦R
≦ 0.2の範囲が特に好ましい。
【0023】少なくともシリカゾルとテンプレート材と
をゲル化するには、ゾル・ゲル法、共沈法など公知の反
応を利用することができる。本発明のもう一つの特色
は、形成されたゲルに 120〜 170℃で水熱合成を行うと
ころにある。水熱合成温度が 120℃に満たないとゼオラ
イト結晶の成長が困難となり、水熱合成温度がこの範囲
から外れるとメソ細孔量が低下してHC吸着能などが低下
する。特に望ましいのは 120〜 150℃の範囲である。こ
の水熱合成はゼオライト結晶を生成し成長させるために
行うものであり、密閉容器内にて30分〜5日程度処理さ
れる。この際、圧力は自圧もしくは加圧下のいずれかの
方法で行うことができるが、通常は自圧で行われる。
【0024】得られたゲルは、水洗後一般に乾燥工程が
行われ、その後焼成される。焼成は一般に大気中など酸
化雰囲気下で行われ、その条件は例えば 600℃で8時間
加熱する程度の条件である。この焼成によりテンプレー
ト材が焼失し、純粋なゼオライトが製造される。
【0025】
【実施例】以下、試験例により本発明を具体的に説明す
る。エチレングリコール1.5molに所定量の硝酸アルミニ
ウムが溶解した溶液を用意した。硝酸アルミニウムの量
は0〜4×10-4 molの間で5水準設定し、5種類の溶液
を用意した。
【0026】この溶液をそれぞれ80℃で2時間攪拌混合
した後、80℃に保持して攪拌しながら、オルト珪酸テト
ラエチル0.4molをそれぞれ滴下して溶解した。さらに80
℃で2時間攪拌混合した後、80℃に保持して攪拌しなが
ら、蒸留水3.2molに所定量の塩化ナトリウムが溶解した
水溶液をそれぞれ滴下した。塩化ナトリウムの量は、0
〜0.03 molの範囲であれば得られるゼオライトの細孔分
布にはほとんど影響しない。
【0027】得られた混合溶液をそれぞれ80℃で2時間
攪拌混合した後、80℃に保持して攪拌しながら、テンプ
レート材としてのテトラプロピルアンモニウムハイドロ
オキサイド(以下TPAOという)の所定量をそれぞれ滴下
し、さらに80℃で3時間攪拌してゲル混合物を調製し
た。TPAOの添加量は、0.01〜0.1molの範囲で6水準設定
し、5×6=30種類のゲル混合物を得た。
【0028】得られたゲル混合物をそれぞれ耐圧容器中
に投入し、所定温度で5日間保持して水熱合成を行っ
た。水熱合成温度は 100〜 200℃の範囲で4水準設定し
た。次に沈殿物をそれぞれ濾過し、蒸留水で水洗した
後、 600℃で8時間焼成して5×6×4= 120種類のZS
M-5粉末を得た。上記ZSM-5粉末において、シリカ−ア
ルミナ比(SiO2/Al2O3)はモル比で8〜∞の範囲で5種
類あり、テンプレート−シリカ比(TPAO/SiO2)はモル
比で0.01〜0.25の範囲で6種類あり、水熱合成温度が 1
00〜 200℃の範囲で処理されたものが4種類存在する。
また比較のために、従来用いられている市販のZSM-5粉
末(「HSZ890」、東ソー(株)製、SiO2/Al2O3=2000)
を用意した。
【0029】上記ZSM-5粉末のなかから、複数種類選択
し、それぞれの細孔分布をN2吸着法にて測定した。結果
を図2〜図4に示す。なお、選択されたZSM-5粉末にそ
れぞれ名前を付け、その名前と構成を表1にまとめて示
す。次に、選択されたZSM-5粉末を定法でそれぞれペレ
ット化した。それぞれのペレット1gを 150℃に加熱保
持した状態で、表2に示す組成のガスを7L/分の流速
でペレット表面に流し、ペレット通過後のガス中のHC濃
度をHC計にて測定した。そしてペレットなしの場合のブ
ランク試験結果と比較し、ペレットへのHC吸着量を算出
して結果を図5に示す。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】 図2〜4より、A1、A3、A5に平均細孔径2〜5nmのメソ
細孔が多く存在し、図5より、A1、A3、A5が特にHC吸着
量が多くなっている。つまりメソ細孔がA1、A3、A5程度
に多くなることにより、HC吸着能が格段に向上している
ことがわかる。
【0032】そして表1より、メソ細孔の量を多くする
には、TPAO/SiO2比は 0.075以上が好ましいこと、水熱
合成温度は 120℃以上が好ましいことがわかる。そこで
メソ細孔の量に影響を与える第1の因子としてSiO2/Al2
O3比を選び、SiO2/Al2O3比のみが異なって他の因子が同
一のZSM-5粉末を選択して、それらの細孔分布をN2吸着
法にて測定した。TPAO/SiO2比は 0.125とし、水熱合成
温度は 150℃と 200℃の2水準をとり、それぞれの結果
を図6及び図7に示す。
【0033】その結果、図6に示すように、水熱合成温
度が 150℃の条件下では、SiO2/Al2O3比が小さくなるに
つれて、形成されたZSM-5のメソ細孔の合計容積が低下
することが明らかとなった。そして図6より、SiO2/Al2
O3比は1800以上が好ましいことがわかる。一方、水熱合
成温度が 200℃となると、図7よりメソ細孔が少なくな
り、かつ上記したような顕著な傾向は見られない。
【0034】次に、メソ細孔の量に影響を与える第2の
因子としてTPAO/SiO2比を選び、TPAO/SiO2比のみが異
なって他の因子が同一のZSM-5粉末を選択して、それら
の細孔分布をN2吸着法にて測定した。SiO2/Al2O3比は20
00とし、水熱合成温度は 150℃と 200℃の2水準をと
り、それぞれの結果を図8及び図9に示す。その結果、
図8に示すように、水熱合成温度が 150℃の条件下で
は、TPAO/SiO2比が0.06未満では形成されたZSM-5のメ
ソ細孔の合計容積が急激に低下することが明らかとなっ
た。またTPAO/SiO2比が 0.3を超えても、メソ細孔の合
計容積が低く、十分なメソ細孔の量が得られないことが
わかる。
【0035】一方、水熱合成温度が 200℃となると、図
9よりメソ細孔が少なくなり、かつ上記したような顕著
な傾向は見られない。そこでメソ細孔の量に影響を与え
る第3の因子として水熱合成温度を選び、水熱合成温度
のみが異なって他の因子が同一のZSM-5粉末を選択し
て、それらの細孔分布をN2吸着法にて測定した。TPAO/
SiO2比は 0.125とし、SiO2/Al2O3比は2000と∞の2水準
をとり、それぞれの結果を図10及び図11に示す。
【0036】その結果、図10及び図11に示すように、Si
O2/Al2O3比が2000の場合には、水熱合成温度が 120〜 1
70℃の範囲でメソ細孔の合計容積が多くなり、SiO2/Al2
O3比が∞の場合には、水熱合成温度が 150℃近傍でメソ
細孔の合計容積が多くなっていることがわかる。すなわ
ち上記結果より、試験例の製造方法においてメソ細孔の
多いZSM-5を製造するには、SiO2/Al2O3比は1800以上が
好ましく、TPAO/SiO2比は0.06〜 0.3の範囲が好まし
く、水熱合成温度は 120〜 170℃の範囲が好ましいこと
が明らかである。
【0037】
【発明の効果】すなわち本発明の排ガス浄化用ゼオライ
トによれば、HCなどの吸着能にきわめて優れ、高温時に
も高いHC吸着能が発現される。またこのゼオライトに白
金などの貴金属を担持して触媒とすれば、メソ細孔に担
持された貴金属は移動が規制されるためシンタリングが
抑制され耐久性に優れた触媒となる。
【0038】そして本発明の排ガス浄化用ゼオライトの
製造方法によれば、メソ細孔が多くHCなどの吸着能にき
わめて優れたゼオライトを安定して確実に製造すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】毛管凝縮理論を説明するのに用いた細孔のモデ
ルを示す説明図である。
【図2】本発明の試験例で得られたゼオライトの細孔分
布を示すグラフである。
【図3】本発明の試験例で得られたゼオライトの細孔分
布を示すグラフである。
【図4】本発明の試験例で得られたゼオライトの細孔分
布を示すグラフである。
【図5】本発明の試験例で得られたゼオライトのHC吸着
量を示すグラフである。
【図6】本発明の試験例で得られたゼオライトのSiO2/A
l2O3比と細孔合計容積の関係を示すグラフである。
【図7】本発明の試験例で得られたゼオライトのSiO2/A
l2O3比と細孔合計容積の関係を示すグラフである。
【図8】本発明の試験例で得られたゼオライトのTPAO/
SiO2比と細孔合計容積の関係を示すグラフである。
【図9】本発明の試験例で得られたゼオライトのTPAO/
SiO2比と細孔合計容積の関係を示すグラフである。
【図10】本発明の試験例で得られたゼオライトの水熱合
成温度と細孔合計容積の関係を示すグラフである。
【図11】本発明の試験例で得られたゼオライトの水熱合
成温度と細孔合計容積の関係を示すグラフである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 孔径2〜5nmのメソ細孔と、孔径2nm未
    満のミクロ細孔とを有することを特徴とする排ガス浄化
    用ゼオライト。
  2. 【請求項2】 少なくともシリカゾルにテンプレート材
    を加えてゲルを形成し水熱合成した後焼成することでゼ
    オライトを製造する方法であって、 前記テンプレート材のシリカに対するモル比Rを 0.06
    ≦R≦ 0.3の範囲とし、かつ水熱合成温度を 120〜 170
    ℃としたことを特徴とする排ガス浄化用ゼオライトの製
    造方法。
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