JPH11215580A - パネル型スピーカ装置 - Google Patents

パネル型スピーカ装置

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JPH11215580A
JPH11215580A JP1181398A JP1181398A JPH11215580A JP H11215580 A JPH11215580 A JP H11215580A JP 1181398 A JP1181398 A JP 1181398A JP 1181398 A JP1181398 A JP 1181398A JP H11215580 A JPH11215580 A JP H11215580A
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JP
Japan
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diaphragm
speaker device
panel
type speaker
input signal
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JP1181398A
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English (en)
Inventor
Akiyoshi Kimura
彰良 木村
Toru Sasaki
徹 佐々木
Takayuki Mizuuchi
崇行 水内
Kohei Asada
宏平 浅田
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 筐体装置の蓋体を振動板として用いることで
新規なスピーカ装置を構成する。 【解決手段】 筐体装置2の蓋体を外周部10cがほぼ
非拘束状態で支持されてなる振動板10として構成し、
この振動板10に取り付けられて再生入力信号に基づい
て部分的な曲げ動作を生じさせて再生出力を放音する少
なくとも1個以上のドライバユニット11とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子手帳装置やハ
ンディ型パーソナルコンピュータ或いは各種の携帯型情
報端末機器等に用いて好適なスピーカ装置に関し、さら
に詳しくは機器本体に対して回動自在に組み合わされた
蓋体を兼用するパネル型スピーカ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】スピーカ装置を内蔵した機器は、音響機
器ばかりでなくコンピュータ装置やその端末機器等の多
くの技術分野に採用されている。多くの機器は、筐体
と、この筐体に対してヒンジ機構を介して回動自在に組
み合わされた蓋体とによって筐体装置を構成してなり、
未使用時等には筐体が蓋体によって閉塞される。
【0003】例えば、電子手帳装置やハンディ型パーソ
ナルコンピュータ或いは各種の携帯型情報端末機器等
は、一般に機器本体に表示部や制御部、通信部等が備え
られるとともに、携帯時や未使用時に表示部等を保護す
るために機器本体に対して回動自在な蓋体が設けられて
構成されている。電子手帳装置等は、ソフトウェアの充
実によって利用面でも種々の拡大が図られており、デー
タ情報の処理ばかりでなく、画像情報とともに音声情報
の処理も極めて重要になっている。このため、電子手帳
装置等には、コンピュータ装置等から供給される音声情
報等の再生入力信号を再生出力したり、記憶データの内
容や警告等を報音し或いは装填したディスクからの音声
ガイド等を放音するスピーカ装置が内蔵されている。
【0004】スピーカ装置としては、一般にコーン型ダ
イナミックスピーカやホーン型ダイナミックスピーカ等
が用いられている。例えばコーン型ダイナミックスピー
カは、円錐形状を呈して形成された振動板と、この振動
板を駆動するドライバユニットと、振動板の外周縁部を
支持するフレームと、これら各部材を収納したキャビネ
ット等の部材によって構成される。ドライバユニット
は、ボイスコイルと、ポールと、プレートと、マグネッ
トと、ダンパー及びセンタキャップ等の部材によって構
成されている。
【0005】振動板は、軽量で内部損失が大きい素材に
よって上述した円錐形を基本形状に形成され、その中心
部にドライバユニットが配置される。振動板は、一般に
内周部から外周部に向かって次第にその厚みが薄くされ
るるとともに、その外周縁部が全周に亘って矢紙を介し
てフレームに支持されている。フレームは、振動板とド
ライバとを結合するとともに、振動板の保護作用も奏す
る部材である。フレームには、振動板に対してその振動
動作による反作用の影響を及ぼさないように、一般に切
欠き窓が形成されている。矢紙は、振動板の外周縁部の
押さえと、この振動板が振動動作した際にキャビネット
の取付部と接触しないように作用する。
【0006】一方、ホーン型ダイナミックスピーカは、
ボイスコイルによって駆動される振動板の振動音をホー
ンによって拡大して放出するようにしたものであり、ホ
ーンを有する以外の基本的な構成については上述したコ
ーン型ダイナミックスピーカと同等とされる。すなわ
ち、ホーン型ダイナミックスピーカにおいても、マグネ
ットと、その先端部に一体に組み付けられたポールと、
ポールの周囲を取り囲むヨークと、ポールと対向する開
口部を有してヨークに組み付けられたプレートとによっ
てドライバユニットを構成し、このドライバユニットに
よって振動板が振動動作される。
【0007】振動板は、アルミニウム等の軽金属や合成
樹脂等によって球面形状を呈して形成されている。振動
板は、開口部を閉塞することによってポールと対向する
ようにしてその外周縁部がプレートに結合されている。
振動板は、上述したコーン型ダイナミックスピーカの振
動板よりも小さくかつ振動系の共振が再生帯域のほぼ中
央領域でよいために機械的剛性が大きい。したがって、
振動板は、ダンパーを介すること無くプレートに結合さ
れるとともに、その周辺部をドライバユニットによって
振動動作される。換言すれば、ホーン型ダイナミックス
ピーカにおいても、その振動板が、コーン型ダイナミッ
クスピーカの振動板と同様に外周縁部を固定されて支持
されている。
【0008】ところで、スピーカ装置においては、ボッ
クス等を必要とせず薄型であり、自由な位置に設置する
ことができるいわゆるパネル型スピーカ装置の実現につ
いて多くの試みが図られてきた。しかしながら、これら
の多くの試みは、いずれも技術上の限界や音響性能の限
界等によって理想的なパネル型スピーカ装置を実現する
までには至っていない。これらの試みは、その多くが上
述したコーン型ダイナミックスピーカやホーン型ダイナ
ミックスピーカを基本としたものであったことに原因が
ある。
【0009】薄型スピーカ装置としては、例えばパネル
状の振動板を固定極に対して微小な間隔を以って対向配
置してなるコンデンサ型スピーカが知られている。コン
デンサ型スピーカは、一般に振動板に金属薄膜が成膜形
成されるとともにこの振動板と固定極との間に数100
ボルトの直流偏倚電圧が印加されてなる。振動板は、固
定極に再生信号が入力されると、この固定極との間の磁
気的吸引力の変化によって振動する。また、コンデンサ
型スピーカとしては、振動板を挟んで固定極を配置する
ことによって、全帯域用に対応するようにしたプッシュ
プル型スピーカも提供されている。
【0010】コンデンサ型スピーカは、上述したように
放音部に数100ボルトの電圧を印加する必要があるこ
とから、いかなる場所にでも自由に設置することが困難
であるとともに、温度や湿度条件の変化による安定性が
低いといった問題点を有している。また、コンデンサ型
スピーカは、入力電圧が直流偏倚電圧に規定されること
によって、入力電圧に対して得られる最大無歪み出力音
圧レベルが上述したダイナミックスピーカ装置に比較し
て小さいといった問題もある。さらに、コンデンサ型ス
ピーカは、全帯域で安定した周波数特性を確保するため
には振動板が大型化するといったように種々の問題点を
有している。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】電子手帳装置等におい
ては、内部スペースやコスト等の条件から、一般に充分
な音量かつ良好な音質で音声情報等の再生入力信号を再
生出力することが可能な大型のスピーカ装置を内蔵する
ことが困難であった。したがって、従来の電子手帳装置
等は、音声情報等の再生入力信号を単に再生出力する機
能を有する小型のスピーカ装置が内蔵され、充分な音量
を確保することができないために貴重な音声情報等を聞
き逃してしまったり明瞭に聞き取れないといった問題が
あった。
【0012】電子手帳装置等においては、例えば音響機
器の機能を有しているものも提供されているが、内蔵ス
ピーカ装置では到底良好な音響特性が期待されないため
にその機能を充分に発揮することができなかった。電子
手帳装置等においては、上述した内蔵型スピーカ装置を
補完するために、例えば大型の外付けスピーカ装置を接
続する機能も備えられる。しかしながら、かかる外付け
スピーカ装置は、接続用のオプション部材を必要とする
とともに接続操作も面倒であることからほとんど利用さ
れていないといっても過言では無い。このように、電子
手帳装置等においては、小型かつ薄型であって大きな設
置スペースを不要として音声情報等の再生入力信号を充
分な音量かつ良好な音質で再生可能とする廉価なスピー
カ装置が必要とされていた。
【0013】スピーカ装置は、一般に再生入力信号が供
給されるとドライバユニットによって振動板がピストン
のように動作して出力再生が行われると考えられてい
る。したがって、パネル型スピーカ装置においても、振
動板を電磁駆動方式や静電駆動方式により上述した従来
型のスピーカ装置の振動板と同様に動作する高精度の平
面ダイヤフラムを製作する試みがなされていた。例えば
静電駆動方式の振動板においては、所定のテンションを
以って外周部が支持されており、ドライバユニットから
の駆動力が与えられるとその駆動位置から波動が同心円
状に連続して発生する。かかる振動板は、大きな単一位
相の振動板として動作することによって、音の集中と制
御が不可能な振動とを生じる大面積ピストン動作に起因
する種々の問題を解決しなければならない。
【0014】一方、パネル型スピーカ装置として、曲げ
波動理論に基づいてドライバユニットにより振動板を駆
動するようにした新規なパネル構造を有するスピーカ装
置が提案されている。この新規なパネル型スピーカ装置
は、機械的剛性が比較的大きな堅いパネル構造によって
振動板が構成されており、ドライバユニットから駆動力
が与えられるとこの振動板の表面全体に複雑な振動モー
ドが生成される。振動モードは、平面パネル(振動板)
の動作周波数の範囲に均一に分布された最も複雑で密集
した波形の構造となる。新規なパネル型スピーカ装置
は、有限サイズの振動板に関する曲げ波動の物理的特性
と、波動の速度対周波数特性と、駆動点インピーダンス
特性との解析により特徴付けられる。
【0015】新規なパネル型スピーカ装置は、想定され
る用途に応じてパラメータが最適化された曲げ剛性の振
動板が用いられ、一致周波数の下方周波数帯域までの動
作が可能とされる。新規なパネル型スピーカ装置は、一
般に振動板から最大密度の曲げモードを確保するため
に、この振動板の中心点付近がドライバユニットによっ
て駆動される。振動板は、有限要素解析によって均一な
モード密度を与える特定の縦横比が数学的なモデリング
ツールによって実証されている。また、新規なパネル型
スピーカ装置は、フーリェ型の分析によって、最良のモ
ードの均一性を実現する振動板に対する駆動力の供給位
置が求められる。そして、新規なパネル型スピーカ装置
においては、フーリェ型分析の拡張によって高周波数帯
域において多少の損失が生じるものの、より大きな面積
の振動板を駆動することも可能とされる。振動板は、波
動関数のゼロ周波数限界をとることにより、より一般的
な静的梁の曲げ方程式に近似した曲げ剛性の式によって
表現される。
【0016】新規なパネル型スピーカ装置は、振動板の
曲げ動作を規定する要因、すなわち面密度、曲げ剛性、
幾何学的寸法(外形寸法)、表面積、駆動点の位置、及
びドライブユニットのパラメータ、コアのシェアモジュ
ール、内部損失、或いは振動板の支持方法のパラメータ
が最適に設定されることによって製作される。一般的な
スピーカ装置においては、ダイポールと称される後方の
音が前方の音と逆相を呈することから、中周波数帯域か
ら低周波数帯域の音響エネルギーの打ち消しを防ぐ大き
なバッフル板やエンクロジャを必要とする。一方、新規
なパネル型スピーカ装置においては、バイポーラと称さ
れる後方の音の輻射が前方の音と加算されることから、
効率の改善が図られるとともにバッフル板やエンクロー
ジャを不要としている。
【0017】新規なパネル型スピーカ装置は、単一素子
のトランスデューサで駆動される1枚の振動板によって
フルレンジの出力再生を可能とする。新規なパネル型ス
ピーカ装置は、振動板の適切な材質の選択とトランスデ
ューサに適合した構成とを採用することによって従来の
スピーカ装置と同等のフラットな周波数特性をえること
が可能となる。
【0018】新規なパネル型スピーカ装置は、感度と電
気的負荷とが従来のスピーカ装置と同等とされることに
より既存のアンプとの互換性が図られるばかりでなく動
電型ドライバユニットや圧電型ドライバユニットの適用
が可能とされ、非常に広い音場の放射パターン並びに双
指向性の放射パターンが得られる。新規なパネル型スピ
ーカ装置は、機械的エネルギから音響的エネルギへの変
換効率がほぼ100%であるとともに周波数に独立した
無指向性放射の特性、すなわち各周波数に関してサウン
ドパワーの大きな均一性を保有している。新規なパネル
型スピーカ装置は、距離の条件によるサウンドパワーの
減衰が小さいといった特徴を有するとともに、その新規
な構成によりその他種々の特徴を有している。
【0019】本発明は、上述したドライバユニットによ
って再生入力信号に基づいて振動板に曲げ動作を生じさ
せて駆動し出力再生を行う曲げ波動理論に基づく新規な
パネル型スピーカ装置を基本構成として、筐体装置の蓋
体を振動板として構成することにより音声情報等の再生
入力信号を従来の外付け型スピーカ装置と同等以上の充
分な音量かつ良好な音質で再生可能とした新規なパネル
型スピーカ装置を提供することを目的に提案されたもの
である。
【0020】
【課題を解決するための手段】この目的を達成する本発
明にかかるパネル型スピーカ装置は、剛性を有するパネ
ル状に形成されるとともに外周部位がほぼ非拘束状態で
支持されてなる筐体装置の蓋体と、この蓋体の主面に取
り付けられるとともに再生入力信号に基づいて蓋体に部
分的な曲げ動作を生じさせる加振動源を構成する少なく
とも1個以上のドライバユニットとを備えて構成され
る。
【0021】また、パネル型スピーカ装置は、筐体装置
が表示部や制御部、通信部等を備えた情報端末機器から
なり、蓋体が機器本体部に対して開閉自在に組み合わさ
れ、閉塞状態において表示部等を保護するとともに開放
状態において再生入力信号に基づいて音声等の再生出力
を行うように構成される。
【0022】以上のように構成された本発明にかかるパ
ネル型スピーカ装置によれば、未使用時等において機器
本体側に設けられた表示部が蓋体によって保護されると
ともに、使用時等において機器本体に対して回動操作さ
れた蓋体が供給された再生入力信号に基づいてドライバ
ユニットによって駆動されて再生出力を放音する大きな
振動面を有する振動体を構成する。したがって、パネル
型スピーカ装置は、例えば携帯型情報端末機器等に適用
することによって、その限られたスペース内に音声情報
等の再生入力信号を充分な音量かつ良好な音質で再生可
能とする音響特性に優れたコンピュータシステムの構築
を可能とする。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して詳細に説明する。本発明の実施の形態
として図1に示したパネル型スピーカ装置1は、例えば
電子手帳装置2の内蔵スピーカ装置を構成し、装置本体
3に回動自在に組み合わされた蓋構体4の内部に収納さ
れる。電子手帳装置2は、図1に示すように、薄箱状を
呈する装置本体3の主面に液晶表示器5や操作部6が配
設されるとともに、装置本体3の一方側面に設けられた
詳細を省略する一対のヒンジ機構7a、7b(なお、以
下の説明において、複数からなる部材、部位について
は、最初にこのように表記するが、以降の説明では特に
個別に説明する以外はヒンジ機構7のように総称して表
記する。)によって蓋構体4が回動自在に支持されてな
る。
【0024】蓋構体4は、図2に示すように、浅皿状に
形成されたカバー部材8と、このカバー部材8に一体に
形成した図示しない取付部を介して組み合わされた中板
9及びこの中板9に後述するようにして支持されてパネ
ル型スピーカ装置1の振動板を構成する内蓋部材10
(以下、振動板と称する。)とからなる。蓋構体4は、
電子手帳装置2が使用されない場合等において、装置本
体3を閉塞して液晶表示器5や操作部6を保護する。な
お、蓋構体4には、ヒンジ機構7と対向する部位に図示
しないがロック機構が付設されており、装置本体3を閉
塞した状態が保持される。なお、蓋構体4については、
上述した構成に限定されるものではなく、例えば振動板
10を支持する中板9を省いてカバー部材8により直接
支持することによってさらに薄型に構成される。
【0025】パネル型スピーカ装置1は、上述した振動
板10と、この振動板10に取り付けられたドライバユ
ニット11a、11b、11cとから構成される。な
お、パネル型スピーカ装置1は、装置本体3側の制御部
等と接続されて各ドライバユニット11に再生入力信号
を供給するための配線を有するが、この配線は図示しな
いがヒンジ機構7の内部を適宜導かれる。
【0026】振動板10は、例えば合成樹脂材料によっ
てパネル状に成形されてなり、後述するようにその表面
の全体が放音面10aとして構成されるとともに、背面
にドライバユニット11が取り付けられて駆動される被
駆動面10bとして構成されてなる。振動板10は、そ
の合成樹脂材料として、例えばアクリル系樹脂、ポリカ
ーボネート系樹脂や、ポリエステル系樹脂、トリアセチ
ルセルロース、ジアセチルセルロース等のセルロース系
樹脂、スチレン系樹脂等が用いられる。振動板10は、
合成樹脂材料ばかりでなく、被駆動面10bに非導電処
理を施した金属薄板材によって形成してもよい。
【0027】振動板10は、従来の一般的なスピーカ装
置の振動板と異にして例えば2mm程度の厚みを有する
充分な剛性を有している。振動板10は、その外形寸法
がカバー部材8の開口寸法よりもやや小とされており、
外周部10cがカバー部材8等によって非拘束状態とさ
れて中板9に支持されている。振動板10は、詳細を後
述するように再生入力信号に基づいてドライバユニット
11により部分的な曲げ動作を生じさせられることによ
って駆動され再生出力を放音する。振動板10は、上述
したようにその外周部10cを非拘束状態とされて支持
されていることから、この外周部10cが自由振動する
ように構成されている。
【0028】振動板10には、図1に示すように、その
被駆動面10bに長手方向にそれぞれ等間隔を以って離
間した各ドライバユニット11が固定されている。各ド
ライバユニット11には、従来のスピーカ装置に備えら
れるボイスコイル型ドライバユニットや圧電素子を用い
た圧電型ドライバユニットが用いられる。圧電型ドライ
バユニットは、詳細を省略するが薄厚の圧電素子によっ
て構成されるために全体を薄型かつ小型に構成すること
ができるために有効である。なお、パネル型スピーカ装
置1は、3個のドライはユニット11を備えているが、
1個又は多数個を備えて構成されてもよい。
【0029】図2は、ボイスコイル型ドライバユニット
11を示している。ドライバユニット11は、ボイスコ
イル12と、再生入力信号に基づいてこのボイスコイル
12を駆動する磁気回路13とから構成されている。ボ
イスコイル12は、ボビン14と、このボビン14の外
周部に捲き線を施して構成したコイル部15とからな
る。磁気回路13は、センタポール16と、このセンタ
ポール16を中心孔に貫通させて組み合わされたリング
状のマグネット17と、センタポール16を中心孔に臨
ませてマグネット17に積層状態で組み合わされたリン
グ状のプレート18と、ダンパ19等の部材によって構
成される。ドライバユニット11は、ボイスコイル12
がそのコイル部15をセンタポール16とプレート18
とによって構成される磁気空間部に位置されるようにし
てダンパ19によって支持されている。ダンパ19は、
ボイスコイル12のボビン14とプレート18との間を
連結している。
【0030】以上のように構成されたドライバユニット
11は、図2に示すように、ボビン14の先端部が振動
板10の被駆動面10bに接合固定されるとともに、セ
ンタポール16がそのフランジ部16aを止めねじ16
bを介して中板9にねじ止めされることによって蓋体構
体4の内部に収納される。なお、ドライバユニット11
は、例えばリング状の取付プレートをボビン14の先端
部に嵌合し、この取付プレートを介して振動板10にそ
れぞれ取り付けるようにしてもよい。
【0031】以上のように構成されたパネル型スピーカ
装置1は、図示しない再生入力信号の入力回路部から再
生入力信号(音声電流)がドライバユニット11に供給
されると、振動板10が振動動作されてその放音面10
aから再生出力の放音が行われる。ドライバユニット1
1は、磁気回路13の磁気空間部中に位置されたボイス
コイル12に音声電流が供給されると、このボイスコイ
ル12が振動板10に対して直交する方向に振動する。
パネル型スピーカ装置1は、ボイスコイル12のボビン
14との接合部位を駆動点として振動板10に部分的な
曲げ動作が生じて再生出力の放音が行われる。
【0032】図3は、上述したパネル型スピーカ装置1
について、ドライバユニット11により駆動される振動
板10の動作状態を示した図である。同図(A)は、入
力周波数が62Hzの再生入力信号を供給した場合の振
動板10の動作状態を示した図である。また、同図
(B)は、入力周波数が150Hzの再生入力信号を供
給した場合の振動板10の動作状態を示した図である。
さらに、同図(C)は、入力周波数が501Hzの再生
入力信号を供給した場合の振動板10の動作状態を示し
た図である。振動板10は、これらの図から明らかなよ
うに、ドライバユニット11から再生入力信号が印加さ
れることにより曲げ動作が生じて複雑な振動モードが生
成される。また、振動板10は、再生入力信号の周波数
が高くなるにしたがってより大きなピークを有する曲げ
動作が生じる。
【0033】パネル型スピーカ装置1は、上述したよう
に共鳴箱や音響管等を不要として装置本体3を開閉する
蓋体を構成する振動板10を直接駆動することによって
蓋構体2の限られたスペース内に新規なスピーカシステ
ムを構成する。また、パネル型スピーカ装置1は、蓋体
を構成する振動板10の外周部10cを支持するための
矢紙やフレーム等の支持部材を不要とすることから、部
品点数も少なく組立工程が合理化されてコストの低減が
図られて製造される。さらに、パネル型スピーカ装置1
は、大きな振動面積を有する振動板10を備えることか
ら、従来の内蔵スピーカ装置と比較して、より大きな音
量かつ良好な音質の再生出力を可能とする。さらにま
た、パネル型スピーカ装置1は、蓋構体4に収納される
ことにより電子手帳装置2の内蔵型スピーカ装置を構成
することから、従来の外付けスピーカ装置にように接続
用の部材や面倒な接続操作が不要とされるとともに大き
な設置場所を占有することは無い。
【0034】ところで、パネル型スピーカ装置1におい
ては、上述したようにドライバユニット5がボビン14
の先端部を介して振動板10の被駆動面10bに接合固
定されてなり、この接合部において振動板10に対する
駆動部を構成している。したがって、パネル型スピーカ
装置1は、高周波数帯域の入力周波数が印加された場合
において、接合部の外側に大きな振動が伝達され難いと
いった特徴を有している。パネル型スピーカ装置1にお
いては、高周波数帯域の入力周波数に関して放射される
音圧のエネルギーの多くが振動板10の全体からではな
く、その接合部から放出される。
【0035】パネル型スピーカ装置1は、高周波数帯域
における有効帯域を伸ばすために、振動板10に対して
ドライバユニット11をそのボビン14や図示しない取
付プレートを楕円形のリング状或いは矩形の接合部を介
して取り付けるように構成してもよい。パネル型スピー
カ装置1は、かかる振動板10とドライバユニット11
との接合構造によって高周波数帯域の特性が変化され
る。パネル型スピーカ装置1は、これによって高周波数
帯域で共振状態となる周波数帯域や振幅の調整が可能と
され、低周波数帯域及び中周波数帯域の特性とつなぎ合
わせることで高周波数帯域における周波数応答特性をよ
り広くとることが可能とされる。
【0036】パネル型スピーカ装置1は、高周波数帯域
における周波数応答特性の改善を図るために、例えばド
ライバユニット11が接合固定される振動板10の被駆
動面10bの全部或いは一部を材質を異にする取付板に
よって構成するようにしてもよい。取付板は、例えば振
動板10を成形する際に、インサート成形法によって一
体化されてなり、特定の入力周波数に対する応答特性を
改善する材質のものが選定される。したがって、パネル
型スピーカ装置1は、振動板10と取付板とで振動特性
を異にするために、機械的にいわゆる2ウェイスピーカ
装置と同等の機能を有する。
【0037】ところで、パネル型スピーカ装置1におい
ては、3個のドライバユニット11を備えることから、
これらドライバユニット11によって振動板10にそれ
ぞれ独立の曲げ動作が生じるようになる。したがって、
パネル型スピーカ装置1は、各ドライバユニット11に
ついて意図的に節位置を振動板10に対する加振動位置
としない限り、各ドライバユニット11が各周波数帯で
節位置を駆動することは無い。パネル型スピーカ装置1
においては、各ドライバユニット11が各周波数帯にお
いて相互に節位置での振動板10の駆動を補完すること
によって、その周波数応答特性に鋭いピークやディップ
の発生が抑制されるようになる。パネル型スピーカ装置
1は、中周波数帯域及び高周波数帯域においてピークや
ディップの減少が図られ、振動板10の大きさとその材
料特性に応じた固有の再生出力が薄められていわゆるく
せの無い音質の再生出力がなされるようになる。
【0038】パネル型スピーカ装置1は、振動板10に
支障の無い領域に位置して振動を吸収しやすい材質によ
って形成された質量成分材を設けて構成してもよい。質
量成分材としては、例えばテープ状とされた鉛材からな
り、振動板10に対してその放音面10aの外周部10
cに全周に亘って貼着されてなる。パネル型スピーカ装
置1は、上述したように振動板10がその外周部10c
を非拘束状態とされることにより低周波数帯域でも外周
部10cで振動が生じ易くなるようにして低周波数帯域
での安定した再生出力を得ることができるように構成さ
れている。パネル型スピーカ装置1は、この外周部10
cに質量成分材を設けて低周波数帯域での振動モードの
発生周波数を下げることで、再生有効周波数帯域の拡張
が図られている。なお、質量成分材については、上述し
たテープ状の鉛材に限定されるものでは無く、その他の
振動損失の大きな材料或いは防振降下の大きな材料等に
よって形成してもよいことは勿論である。
【0039】ところで、上述したパネル型スピーカ装置
1においては、より多数個のドライバユニット11を備
えて振動板10を駆動することによって、この振動板1
0の振動領域の面積をより大きく保持することが可能と
なる。したがって、パネル型スピーカ装置1は、低周波
数帯域での感度の向上が図られるとともに、振動板10
が振動領域においてドライバユニット11の接合部と逆
相で動作することからより低い動作周波数が確保され
る。
【0040】本発明の第2の実施の形態として図4に示
したパネル型スピーカ装置20は、振動板10を駆動す
る各ドライバユニット11に対して再生入力信号を供給
する入力部21の構成に特徴を有している。なお、振動
板10及びドライバユニット11は、上述したパネル型
スピーカ装置1の振動板10及びドライバユニット11
と同一のものが用いられることからその説明を省略す
る。パネル型スピーカ装置20は、各ドライバユニット
11に対して入力部21を介してそれぞれ独立に再生入
力信号の供給或いは位相の切換等を行って振動板10を
駆動するように構成されている。
【0041】入力部21は、装置本体3の制御部等から
供給される再生入力信号を増幅するアンプ22と、この
アンプ22と各ドライバユニット11との間に互いに独
立してそれぞれ接続された切換スイッチ23a乃至23
cとボリューム24a乃至24cとからなる直列回路と
から構成される。切換スイッチ23は、例えば各ドライ
バユニット11に対する再生入力信号の入力オン/オフ
の切換操作とともに、入力オン状態で再生入力信号の位
相の切換操作とを行う。各ボリューム24は、各ドライ
バユニット11に対してそれぞれ入力される再生入力信
号のレベル調整を行ってこれら各ドライバユニット11
の感度を個々に調整するようにする。
【0042】以上のように構成されたパネル型スピーカ
装置20には、装置本体3を介して入力部21から必要
とされる位相成分を有する再生入力信号が供給される。
パネル型スピーカ装置20は、各ドライバユニット11
がそれぞれ独立に動作されて振動板10を駆動して再生
出力を放音する。したがって、パネル型スピーカ装置2
0は、特別な回路素子や切換装置等を不要とするととも
に使用者による極めて簡単な操作によって、音場や音質
等を適宜変えた再生出力を得ることを可能とする。
【0043】本発明の第3の実施の形態として図5に示
したパネル型スピーカ装置30は、上述したパネル型ス
ピーカ装置20と同様に振動板10を駆動する3個のド
ライバユニット11a乃至11cを備えており、これら
各ドライバユニット11に対して再生入力信号を供給す
る入力部31の構成に特徴を有している。すなわち、パ
ネル型スピーカ装置システム30は、入力部31におい
て再生入力信号を3つの周波数帯域に分割するとともに
位相調整を行ってこれを合成した後、各ドライバユニッ
ト11に供給することによって振動板10を駆動するよ
うに構成されてなる。
【0044】入力部31は、装置本体3から再生入力信
号が供給されるバンドパスフィルタ32a乃至32c
と、これらバンドパスフィルタ32にそれぞれ接続され
た切換スイッチユニット33乃至35と、これら切換ス
イッチユニット33乃至35を介してそれぞれ再生入力
信号が供給されるミキサ36a乃至36cと、各ミキサ
36と各ドライバユニット11との間にそれぞれ介挿さ
れたアンプ37a乃至37c等によって構成されてい
る。バンドパスフィルタ32は、装置本体3から供給さ
れる再生入力信号をそれぞれ所定の周波数帯域に分割す
る。
【0045】各切換スイッチユニット33乃至35は、
それぞれミキサ36に接続された各3個の切換スイッチ
33a乃至33c、34a乃至34c、35a乃至35
cによって構成されている。これら切換スイッチ33a
乃至33c、34a乃至34c、35a乃至35cは、
例えば各ミキサ36に対するそれぞれ再生入力信号の入
力オン/オフの切換操作とともに、入力オン状態で再生
入力信号の位相の切換操作とを行う。各ミキサ36は、
各切換スイッチユニット33乃至35からそれぞれ供給
される所定の周波数帯域の再生入力信号を合成して各ア
ンプ37へと入力する。各アンプ37は、合成再生入力
信号を増幅してドライバユニット11に供給する。
【0046】パネル型スピーカ装置30は、以上のよう
に構成されることにより、装置本体3から供給される再
生入力信号が、入力部31において3つの周波数帯域に
分割されるとともに必要とされる位相成分に調整されて
入力される。パネル型スピーカ装置30は、各ドライバ
ユニット11がそれぞれ独立に動作されて振動板10を
駆動して再生音を放出する。パネル型スピーカ装置30
は、例えば低周波数帯域では各ドライバユニット11に
全て同相成分の再生入力信号が供給されるとともに中周
波数帯域及び高周波数帯域では逆相成分の再生入力信号
が供給されるように構成する。具体的には、パネル型ス
ピーカ装置30は、中周波数帯域及び高周波数帯域にお
いて、例えば上下のドライバユニット11a、11cに
正相成分の再生入力信号が入力されるとともに、中央部
のドライバユニット11bに逆相成分の再生入力信号が
入力される。
【0047】パネル型スピーカ装置30は、低周波数帯
域で同相成分の再生入力信号が各ドライバユニット11
に供給されることにより、振動板10により大きな曲げ
動作が生じさせる。したがって、パネル型スピーカ装置
30においては、上述したように振動板10の外周部1
0cに質量成分材を貼着した場合と同様に低周波数帯域
でのピークが生成されて応答特性の向上、すなわち感度
の向上が図られるようになる。また、パネル型スピーカ
装置30は、中周波数帯域及び高周波数帯域で逆相成分
の再生入力信号を各ドライバユニット11に供給するこ
とによって、互いに相殺される周波数帯域が生じて全体
の感度が低下することから全体的に感度が平坦化が図ら
れた再生出力が出力されるようになる。
【0048】なお、パネル型スピーカ装置30は、上述
したように中央部のドライバユニット11bに逆相成分
の再生入力信号を入力することで振動板10に大きな曲
げ動作が生じ、この振動板10の材質特有の再生音が出
力されるようになる。したがって、パネル型スピーカ装
置30は、特定の周波数帯域において入力部31の切換
スイッチユニット33乃至35の切換操作によってドラ
イバユニット11bに逆相入力を行い、独特な再生音を
生成することが可能となる。
【0049】本発明の第4の実施の形態として図6に示
したパネル型スピーカ装置40は、例えば上述したディ
ップ部分や過度のピークの発生を抑制して周波数応答特
性の平坦化を図るために3個のデジタルフィルタ42a
乃至42cを備えて構成されてなる。すなわち、パネル
型スピーカ装置40は、上述したパネル型スピーカ装置
30と同様に振動板10を駆動する3個のドライバユニ
ット11a乃至11cと、これら各ドライバユニット1
1に対して再生入力信号を供給する入力部41とから構
成されている。入力部41は、装置本体3から供給され
る再生入力信号に対して適当な信号処理を施す3個のフ
ィルタ42a乃至42cと、これら各フィルタ42を通
過した再生入力信号を増幅して各ドライバユニット11
をそれぞれ駆動するアンプ43a乃至43cとから構成
される。
【0050】パネル型スピーカ装置40においては、装
置本体3から供給される再生入力信号が、例えばインパ
ルス応答の逆フィルタ作用を奏する各フィルタ32によ
って上述したディップ部分や過度のピークを発生させる
特定の周波数帯域を分離する等の信号処理を施されてア
ンプ33を介して各ドライバユニット11に供給され
る。パネル型スピーカ装置40は、これによって再生周
波数特性の平坦化が図られた再生出力が放音されるよう
になる。なお、パネル型スピーカ装置40は、各フィル
タ32を適宜選択することによって、特定の周波数帯域
のみを強調させた再生出力を放音することも可能とな
る。また、各フィルタ32には、適宜のデジタルフィル
タ或いはアナログフィルタが用いられ、再生入力信号に
対して特定の周波数帯域の分離処理ばかりでなく振幅や
位相等の適宜の信号処理を行うものが用いられる。
【0051】なお、パネル型スピーカ装置40において
は、信号処理を施して各ドライバユニット11に再生入
力信号を供給してこれらを駆動する各フィルタ32につ
いて、それぞれのフィルタ係数に適当な遅れ成分を付与
して構成するようにしてもよい。パネル型スピーカ装置
40は、かかる構成によって振動板10から放音される
再生出力の音波波面が制御されてその主軸を正面から適
宜ずらすことが可能となることから、拡声化が図られ
る。
【0052】また、パネル型スピーカ装置40において
は、所定の信号処理を施して各ドライバユニット11に
再生入力信号を供給してこれらを駆動する各フィルタ3
2について、それぞれのフィルタ係数に適宜の振幅成分
を付与して構成してもよい。パネル型スピーカ装置40
は、かかる構成を採用することによって、スピーカアレ
ィと同様に指向性を付与することが可能となる。したが
って、パネル型スピーカ装置40は、放音部が1枚の振
動板10によって構成されるが、複数の入力音源に対し
ても指向性の制御が可能なスピーカ装置を構成する。
【0053】本発明の第5の実施の形態として図7に示
したパネル型スピーカ装置50は、上述したパネル型ス
ピーカ装置40を基本として、目標とする最適な特性を
得るフィルタ52を入力部51に備える展開例を示した
ものである。このパネル型スピーカ装置50も、振動板
10を駆動する3個のドライバユニット11a乃至11
cと、これら各ドライバユニット11に対して再生入力
信号を供給する入力部51とから構成されてなる。入力
部51は、装置本体3から再生入力信号がそれぞれ供給
される第1のアンプ53と、フィルタ52及びこのフィ
ルタ52に接続された第2のアンプ54とを備える。
【0054】パネル型スピーカ装置50は、入力部51
の第1のアンプ53を介して供給される再生入力信号に
よって上下に配置された第1のドライバユニット11a
と第3のドライバユニット11cとが駆動される。ま
た、パネル型スピーカ装置50は、入力部51のフィル
タ52によって所定の信号処理を施された再生入力信号
が第2のアンプ54を介して供給されることによって中
央部に配置された第2のドライバユニット11bが駆動
される。パネル型スピーカ装置50は、このように第2
のドライバユニット11bに所定の信号処理を施した再
生入力信号を供給することで、振動板10に発生する振
動モードを制御する。
【0055】パネル型スピーカ装置50は、例えばフィ
ルタ52において再生入力信号の逆相処理を行うことに
よって、第2のドライバユニット11bを第1のドライ
バユニット11aと第3のドライバユニット11cに対
して異なる位相で駆動するようにする。パネル型スピー
カ装置50は、かかる構成によって通常の材料解析では
予測し得ない振動モードで振動板10の駆動が可能とな
り、結果的に上述したディップ部分や過度のピークの発
生が抑制される。
【0056】パネル型スピーカ装置においては、振動板
に幾何学的に対称位置に配置されたドライバユニットに
互いに逆相の再生入力信号を供給して駆動することによ
り、ある特定の周波数帯域において振動板の材質にかか
わらずこれらドライバユニットの等間隔位置で振動の節
を強制的に生成することが可能となる。したがって、パ
ネル型スピーカ装置では、かかる現象を巧みに利用する
ことにより上述した各周波数帯域の感度調整、再生周波
数特性の改善或いは音場や音質の調整等が可能となる。
勿論、再生入力信号の信号処理は、各ドライバユニット
に対してフィルタを適宜に組合せることによって行うよ
うにしてもよい。
【0057】本発明の第6の実施の形態として図8に示
したパネル型スピーカ装置60は、振動板10と、5個
のドライブユニット11a乃至11eと、装置本体3に
備えられた2個の制御部62a、62bから供給される
再生入力信号を処理して各ドライブユニット11に入力
する入力部61とによって構成されてなる。勿論、パネ
ル型スピーカ装置60は、上述した各パネル型スピーカ
装置と同様に、3個のドライブユニットによって1枚の
振動板10を駆動するように構成してもよい。
【0058】入力部61は、第1の制御部62aから供
給される再生入力信号に対して順次大きな遅れ成分da
1、da2、da3、da4を付与する第1の遅れ成分
供給回路63a1乃至63a4及び第2の制御部62b
から供給される再生入力信号に対して順次大きな遅れ成
分db1、db2、db3、db4を付与する第2の遅
れ成分供給回路63b1乃至63b4が備えられてい
る。また、入力部61には、第1のミキサ64a乃至第
5のミキサ64eと、これらミキサ64においてミキシ
ングされた再生入力信号が供給されて各ドライバユニッ
ト11をそれぞれ駆動する第1のアンプ65a乃至第5
のアンプ65eとが備えられている。
【0059】第1のミキサ64aは、第1の制御部62
aから供給された再生入力信号と、第2の制御部62b
から供給されて遅れ成分db4が付与された再生入力信
号とをミキシングする。第2のミキサ64bは、第1の
制御部62aから供給されて遅れ成分da1が付与され
た再生入力信号と、第2の制御部62bから供給されて
遅れ成分db3が付与された再生入力信号とをミキシン
グする。第3のミキサ64cは、第1の制御部62aか
ら供給されて遅れ成分da2が付与された再生入力信号
と、第2の制御部62bから供給されて遅れ成分db2
が付与された再生入力信号とをミキシングする。第4の
ミキサ64dは、第1の制御部62aから供給されて遅
れ成分da3が付与された再生入力信号と、第2の制御
部62bから供給されて遅れ成分db1が付与された再
生入力信号とをミキシングする。さらに、第5のミキサ
64eは、第1の制御部62aから供給されて遅れ成分
da4が付与された再生入力信号と、第2の制御部62
bから供給された再生入力信号とをミキシングする。
【0060】パネル型スピーカ装置60は、第1の制御
部62aと第2の制御部62bとからそれぞれ供給され
る再生入力信号が、遅れ成分の重みを変えた信号処理を
施されて各ドライバユニット11に供給される。したが
って、パネル型スピーカ装置60においては、第1の制
御部62aの再生入力信号に基づいて、遅れ成分dに応
じて第1のドライバユニット11aから第5のドライバ
ユニット11eに向かって次第に駆動が行われる。ま
た、パネル型スピーカ装置60においては、第2の制御
部62bの再生入力信号に基づいて、遅れ成分dに応じ
て第5のドライバユニット11eと第1のドライバユニ
ット11aに向かって次第に駆動が行われる。
【0061】パネル型スピーカ装置60は、上述した動
作によって、第1の制御部62aの再生入力信号に基づ
く再生出力が振動板10の放音面10aから図8の矢印
AAで示す方向へと放音される。また、パネル型スピー
カ装置60は、第2の制御部62bの再生入力信号に基
づく再生出力が振動板10の放音面10aから同図BB
で示す方向へと放音される。したがって、パネル型スピ
ーカ装置60においては、2チャンネルの音源に対して
それぞれ異にする指向性が付与される。
【0062】本発明の第7の実施の形態として図9に示
したパネル型スピーカ装置70は、振動板10を5個の
ドライブユニット11a乃至11eによって駆動すると
ともに装置本体3に備えられる2個の制御部62a、6
2bからそれぞれ再生入力信号を供給する構成について
上述したパネル型スピーカ装置60と同様とするが、2
つの制御部62から供給される再生入力信号を信号処理
する入力部71の構成に特徴を有している。勿論、この
パネル型スピーカ装置70についても、上述した各パネ
ル型スピーカ装置と同様に、3個のドライブユニットに
よって振動板10を駆動するように構成してもよい。
【0063】すなわち、入力部71には、第1の制御部
62aから供給される再生入力信号を信号処理する5個
の第1のフィルタ72a1乃至72a5と、第2の制御
部62bから供給される再生入力信号を信号処理する5
個の第2のフィルタ72b1乃至72b5からなる10
個のフィルタ72が備えられている。また、入力部71
には、信号処理された第1の制御部62aから供給され
た再生入力信号と第2の制御部62bから供給された再
生入力信号とをミキシングする5個のミキサ73a乃至
73eと、これらミキサ73においてそれぞれミキシン
グされた再生入力信号が入力されることによって各ドラ
イバユニット11をそれぞれ駆動する5個のアンプ74
a乃至74eとが備えられている。
【0064】第1のミキサ73aは、第1の制御部62
aから供給されて第1のフィルタ72a1において信号
処理された再生入力信号と、第2の制御部62bから供
給されて第5のフィルタ72b5において信号処理され
た再生入力信号とが入力され、これらをチャンネル合成
して第1アンプの74aに供給する。第2のミキサ73
bは、第1の制御部62aから供給されて第2のフィル
タ72a2において信号処理された再生入力信号と、第
2の制御部62bから供給されて第4のフィルタ72b
4において信号処理された再生入力信号とが入力され、
これらをチャンネル合成して第2のアンプ74bに供給
する。第3のミキサ73cは、第1の制御部62aから
供給されて第3のフィルタ72a3において信号処理さ
れた再生入力信号と、第2の制御部62bから供給され
て第3のフィルタ72b3において信号処理された再生
入力信号とが入力され、これらをチャンネル合成して第
3のアンプ74cに供給する。
【0065】さらに、第4のミキサ73dは、第1の制
御部62aから供給されて第4のフィルタ72a4にお
いて信号処理された再生入力信号と、第2の制御部62
bから供給されて第2のフィルタ72b2において信号
処理された再生入力信号とが入力され、これらをチャン
ネル合成して第4のアンプ74dに供給する。また、第
5のミキサ73eは、第1の制御部62aから供給され
て第5のフィルタ72a5において信号処理された再生
入力信号と、第2の制御部62bから供給されて第1の
フィルタ72b1において信号処理された再生入力信号
とが入力され、これらをチャンネル合成して第5のアン
プ74eに供給する。
【0066】各フィルタ72a、72bには、上述した
パネル型スピーカ装置40に用いたフィルタ42と同様
に、例えば各フィルタ72a、72bに入力される再生
入力信号に対して所定の周波数帯域の選択、任意の位相
或いは振幅の信号処理を施すフィルタ係数を有するもの
が用いられる。パネル型スピーカ装置70は、最適なフ
ィルタ72a、72bを用いることによって、上述した
パネル型スピーカ装置60と比較してより効果的な指向
特性をえることが可能となる。
【0067】また、パネル型スピーカ装置70において
は、各フィルタ72a、72bによって振動板10を駆
動する各ドライバユニット11に供給する再生入力信号
について特定の周波数帯域の制御を行うように構成して
もよい。パネル型スピーカ装置70は、これにより振動
板10中に多数の腹、節を有する振動モードを生成する
ことが可能となり、振動モードの各腹の部位を発音源と
みなすことができる。スピーカアレイにおいては、一般
に高周波数帯域まで指向性を狭くする効果を得るために
発音源の個数を多くとる必要があり、コストがアップす
るとともに装置が大型化しかつ使用者に圧迫感を与える
といった問題がある。パネル型スピーカ装置70は、上
述したようにより少数のドライバユニット11によって
目的とする狭指向性を得ることが可能となり、かつ放音
面も1個であることから小型で廉価に構成されて上述し
た問題点を解決する。なお、このパネル型スピーカ装置
70における狭指向性の向上は、上述した各パネル型ス
ピーカ装置によっても達成されることは勿論である。
【0068】さらに、パネル型スピーカ装置70におい
ては、例えば各フィルタ72a、72bにそのフィルタ
係数を経時的に更新させるように制御する制御部を設け
ることによって指向特性を変化させるように構成しても
よい。パネル型スピーカ装置70は、かかる構成を採用
することによって特殊な機械的構成を用いることなく放
音軸の回転、移動等の特殊な音響効果の生成が可能とな
る。勿論、かかる構成は、上述した各パネル型スピーカ
装置にも採用することができる。
【0069】本発明においては、上述した各実施の形態
で説明した個々の技術を適宜に組み合わせ、これらを電
気的或いは機械的に切り換えて振動板を駆動するように
構成してもよい。また、上述した各実施の形態は、電子
手帳装置2の蓋構体4にパネル型スピーカ装置を組み込
んだものを示したが、本発明はかかる電子手帳装置2に
限定されるものではないことは勿論である。
【0070】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明にか
かるパネル型スピーカ装置によれば、筐体装置を構成す
る蓋体が、供給された再生入力信号に基づいてドライバ
ユニットによって駆動されて再生出力を放音する振動体
として作用するとともに蓋体全体を振動面として大型の
スピーカ装置を構成することから、装置本体の小型化或
いは他の機構や機能を負荷することが可能とされるとと
もに、音声情報等の再生入力信号を内蔵型スピーカ装置
では期待することができない充分な音量かつ良好な音質
の再生出力で放音することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態として示すパネル型
スピーカ装置を電子手帳装置の内蔵スピーカ装置に適用
した使用状態の斜視図である。
【図2】同パネル型スピーカ装置を構成する蓋構体の要
部縦断面図である。
【図3】同パネル型スピーカ装置における蓋体によって
構成される振動板の振動モードの状態を説明する図であ
る。
【図4】本発明の第2の実施の形態として示す振動板を
3個のドライバユニットによって駆動するパネル型スピ
ーカ装置の要部構成図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態として示す振動板を
3個のドライバユニットによって駆動する他のパネル型
スピーカ装置の要部構成図である。
【図6】本発明の第4の実施の形態として示す振動板を
3個のドライバユニットによって駆動する他のパネル型
スピーカ装置の要部構成図である。
【図7】本発明の第5の実施の形態として示す振動板を
3個のドライバユニットによって駆動する他のパネル型
スピーカ装置の要部構成図である。
【図8】本発明の第6の実施の形態として示す振動板を
5個のドライバユニットによって駆動するパネル型スピ
ーカ装置の要部構成図である。
【図9】本発明の第7の実施の形態として示す振動板を
5個のドライバユニットによって駆動する他のパネル型
スピーカ装置の要部構成図である。
【符号の説明】
1 パネル型スピーカ装置、2 電子手帳装置(筐体装
置)、3 装置本体、4 蓋構体、5 液晶表示器、6
操作部、7 ヒンジ機構、8 カバー部材、9 中
板、10 振動板(内蓋部材)、10a 放音面、10
b 被駆動面、10c 外周部、11 ドライバユニッ
ト、12 ボイスコイル、13 磁気回路、14 ボビ
ン、15 コイル部、16 センタポール、17 マグ
ネット、18 プレート、19 ダンパ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 浅田 宏平 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 剛性を有するパネル状に形成されるとと
    もに外周部位がほぼ非拘束状態で支持されてなる筐体装
    置の蓋体と、 上記蓋体の主面に取り付けられるとともに再生入力信号
    に基づいてこの蓋体に部分的な曲げ動作を生じさせる加
    振動源を構成する少なくとも1個以上のドライバユニッ
    トとを備え、 上記蓋体が、上記ドライバユニットによって駆動されて
    再生入力信号に基づく再生出力を放音する振動体として
    作用することを特徴とするパネル型スピーカ装置。
  2. 【請求項2】 上記筐体装置は、表示部や制御部、通信
    部等を備えた情報端末機器であり、 上記蓋体は、機器本体部に対して開閉自在に組み合わさ
    れ、閉塞状態において上記表示部等を保護するとともに
    開放状態において再生入力信号に基づいて音声等の再生
    出力を行うことを特徴とする請求項1に記載のパネル型
    スピーカ装置。
JP1181398A 1998-01-23 1998-01-23 パネル型スピーカ装置 Pending JPH11215580A (ja)

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JP1181398A JPH11215580A (ja) 1998-01-23 1998-01-23 パネル型スピーカ装置

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006121360A (ja) * 2004-10-21 2006-05-11 Authentic Ltd パネル型スピーカ
JP2008042461A (ja) * 2006-08-04 2008-02-21 Nec Access Technica Ltd コミュニケーション用ロボット

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