JPH11188125A

JPH11188125A - ゴルフクラブ用シャフト

Info

Publication number: JPH11188125A
Application number: JP9367627A
Authority: JP
Inventors: Norio Sumitomo; 教郎住友
Original assignee: Sumitomo Rubber Industries Ltd
Current assignee: Sumitomo Rubber Industries Ltd
Priority date: 1997-12-25
Filing date: 1997-12-25
Publication date: 1999-07-13

Abstract

(57)【要約】【課題】軽量でかつねじり剛性が大であり、しかも、
生産性が向上するゴルフクラブ用シャフトの提供にあ
る。【解決手段】シャフト軸心に対して強化繊維の配列方
向が傾斜したバイアス層１，２と、シャフト軸心に対し
て強化繊維の配列方向が略平行であるストレート層３
と、を備えた炭素繊維強化プラスチック製のシャフトで
ある。バイアス層１，２に長方形状に裁断されたプリプ
レグシートを用いた。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はゴルフクラブ用シャ
フトに関する。

【０００２】

【従来の技術】近年では、ゴルフクラブ用シャフトとし
て、炭素繊維強化プラスチック製（一般にカーボンシャ
フトと呼ばれる）のものが多く利用されている。カーボ
ンシャフトは、スチール製シャフトに比べて、大幅な軽
量化が可能な上、ねじり剛性や曲げ剛性が比較的自由に
設定できる等、設計自由度が大きい。その為、幅広いゴ
ルファーのニーズに対応でき、広く普及している。

【０００３】カーボンシャフトの中でも特に普及してい
るものがシートワインディング製法（以下、ＳＷ法）の
シャフトである。このＳＷ法は、もう一つの代表的なカ
ーボンシャフト製法であるフィラメントワインディング
法に比べて比較的製法がシンプルで製造設備も簡便であ
り、低コストで製造ができ、かつ、低いレジンプリプレ
グ材料の登場で軽量化の点でも有利である。

【０００４】即ち、ＳＷ法では、図６に示すように、バ
イアス層ｂ，ｃとなるプリプレグシートやストレート層
ｄとなるプリプレグシート等を使用し、これらを中芯
（マンドレル）ａに巻き付け、それを硬化、脱芯、研磨
等を行うものであった。そして、中芯ａは、基端側から
先端側に向かって順次縮径したいわゆるテーパ付き中芯
とされ、また、バイアス層ｂ，ｃは、強化繊維がシャフ
ト軸心に対して傾斜したものであり、ストレート層ｄ
は、強化繊維がシャフト軸心と略平行となるものであ
り、各層は、該中芯ａに対応して、大径側が細径側より
も長い台形形状としている。具体的には、一方のバイア
ス層ｂは、強化繊維が＋45°とされると共に、他方のバ
イアス層ｃは、強化繊維が−45°とされ、かつ、各バイ
アス層ｂ，ｃは一の長辺ｅが先端辺ｆと基端辺ｇに直交
し、他の長辺ｈが傾斜辺とされる。また、ストレート層
ｄは、一の長辺ｉが先端辺ｊと基端辺ｋに直交し、他の
長辺ｍが傾斜辺とされる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
ＳＷ法では、その設計自由度に限界があり、特に軽量シ
ャフトの場合、使用する材料量が限られてくるため、従
来の形状のままでは意図する設計ができない場合もでて
きた。特に軽量シャフトの場合、限られた材料を、折れ
強度を確保するためストレート層に比較的多く使用する
ため、ねじり剛性を支配するバイアス層に使用する材料
がより少なくなり、ねじり剛性の小さいシャフトができ
てしまった。

【０００６】ねじり剛性の小さいシャフトは、打球時
（打撃時）の衝撃で捩じれを生じて方向性が悪くなる。
そのため従来からねじり剛性が大であるシャフトを作る
ため、その材料に様々な工夫が施されてきたが、材料の
検討だけでは限界があった。

【０００７】そこで、本発明では、軽量でかつねじり剛
性が大きく、しかも、生産し易いゴルフクラブ用シャフ
トを提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明に係るゴルフクラブ用シャフトは、シャフト
軸心に対して強化繊維の配列方向が傾斜したバイアス層
と、シャフト軸心に対して強化繊維の配列方向が略平行
であるストレート層と、を備えた炭素繊維強化プラスチ
ック製のシャフトにおいて、上記バイアス層に長方形状
に裁断されたプリプレグシートを用いたものである。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づき詳説する。

【００１０】図１は本発明に係るゴルフクラブ用シャフ
トの各層の分解展開図を示し、このシャフトは、これら
複数の繊維強化複合樹脂層からなり、繊維強化複合樹脂
層としては、シャフト軸心に対して強化繊維の配列方向
が±（10°〜80°）傾斜したバイアス層１，２と、シャ
フト軸心に対して強化繊維の配列方向が略平行であるス
トレート層３と、を有する。なお、図例では、バイアス
層１の強化繊維の傾斜角度θは、＋45°とされ、バイア
ス層２の強化繊維の傾斜角度θは、−45°とされている
が、勿論これに限るものではない。

【００１１】各層１，２，３は、例えば、炭素繊維やガ
ラス繊維等の強化繊維を夫々の方向に配列して、エポキ
シ樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸させてプリプレグを形成
したものである。

【００１２】しかして、バイアス層１，２は、夫々、全
体が偏平の長方形状とされ、ストレート層３は、全体が
台形状とされ、図１に示すテーパ付きマンドレル４（即
ち、このマンドレルは、基端側から先端側に向かって順
次縮径している。）に、まず、バイアス層１を構成する
プリプレグシートを巻設し、この上に、バイアス層２を
構成するプリプレグシートを巻設し、さらに、ストレー
ト層３を構成するプリプレグシートを巻設し、その後
は、テーピング、焼成処理をして、マンドレル４の脱
去、テープ剥離等を行うことによって、ゴルフクラブ用
シャフトを形成する。なお、ストレート層３としては、
一の長辺10が先端辺（細径辺）11と基端辺（大径辺）12
に直交し、他の長辺13が傾斜辺とされる。

【００１３】ところで、図６に示した従来のシャフトで
は、バイアス層ｂ，ｃとしてストレート層３と同様な全
体が台形状とされたプリプレグシートが使用されている
ので、先端部において強化繊維が基端部に比べて少な
く、ねじり剛性が小となる。しかしながら、本発明で
は、バイアス層１，２として長方形状のプリプレグシー
トを使用するので、先端部において強化繊維が基端部に
比べて少なくならず、（図６の従来のシャフトと比べ
て）ねじり剛性が大となる。なお、本発明のバイアス層
１，２と従来のバイアス層ｂ，ｃとは、形状が異なる
が、体積を同一として重量を同一としている。

【００１４】なお、この態様では、繊維強化複合樹脂層
として、バイアス層１，２とストレート層３のみを備え
ているが、繊維強化複合樹脂層として、シャフト軸心に
対して強化繊維が直交する層を備えたものであってもよ
く、さらに、各層の数としても、増減自由である。

【００１５】

【実施例】次に、実施例を示す。一対のバイアス層と、
ストレート層のプリプレグシートとして東レ株式会社の
プリプレグ8055Ｓ−10を使用し、これのプリプレグシー
トを、テーパ付き中芯に巻きつけて、その後、テーピン
グ、焼成処理をして、マンドレルの脱去、テープ剥離等
を行うことによって、ゴルフクラブ用シャフト（実施
品）を形成した。そして、各層の重量及びシャフトの重
量を次の表１の重量とした。なお、上記プリプレグ8055
Ｓ−10は、次の表２の特性等を有する。

【００１６】

【表１】

【００１７】

【表２】

【００１８】なお、一方のバイアス層の強化繊維の傾斜
角度を、＋45°とし、他方の強化繊維の傾斜角度を−45
°とした。また、ストレート層を成すプリプレグシート
として、図１に示すような一方の長辺が先端辺と基端辺
に直角をなし、他方の長辺が傾斜辺とされたものを使用
した。さらに、各層のバット側と先端側の捲回回数とし
ては、次の表３に示す回数とした。

【００１９】

【表３】

【００２０】また、従来品として、一対のバイアス層
と、ストレート層の各プリプレグシートを図６に示すよ
う台形状とし、かつ、その材質を実施品と同じ東レ株式
会社のプリプレグ8055Ｓ−10とし、これらのプリプレグ
シートを、テーパ付き中芯に巻きつけて、その後、テー
ピング、焼成処理をして、マンドレルの脱去、テープ剥
離等を行うことによって、ゴルフクラブ用シャフト（従
来品）を形成した。そして、各層の重量及びシャフトの
重量を上記表１の重量とした。

【００２１】この場合、テーパ付き中芯としては実施品
に使用した中芯を使用した。また、一方のバイアス層を
成すプリプレグシートは、その強化繊維の傾斜角度を＋
45°とし、他方のバイアス層を成すプリプレグシート
は、その強化繊維の傾斜角度を−45°とすると共に、各
バイアス層のプリプレグシートは、一方の長辺が先端辺
と基端辺に直角をなし、他方の長辺が傾斜辺となってい
る。また、ストレート層を成すプリプレグシートは、実
施品に使用したプリプレグシートと同一のものを使用
し、さらに、従来品の各層のバット側と先端側の捲回回
数を上記表３に示した。また、実施品と従来品の各層の
トータル面積を相等しくした。

【００２２】そして、実施品と従来品のシャフトについ
て、ねじれ角度試験と、３点曲げ強度試験を行って、そ
の結果を次の表４に記載した。

【００２３】

【表４】

【００２４】ところで、３点曲げ強度試験は、図２に示
す荷重点Ｔ、Ａ、Ｂ、及びＣにおいて、図３に示す測定
方法にて行い、その時の最大曲げ荷重を求める。即ち、
荷重点Ｔは、先端９から90mmの点であり、荷重点Ａは、
先端９から175mm の点であり、荷重点Ｂは、先端９から
525mm の点であり、荷重点Ｃは、バットエンド８から17
5mm の点である。この際、試験片（シャフトＳ）に荷重
を掛けるための圧子５は、図４に示すように、その下面
の形状を、曲率半径が相違する２種類の曲面６ａ，６ｂ
からなる弯曲面６として、図３に示すように、該圧子５
は支持部材（支点）７，７間の中央に配置され、その曲
面６ａの中央部が試験片（各荷重点Ａ，Ｂ，Ｃ，Ｔ）を
押圧する。具体的には、圧子５は図４に示すように、そ
の曲面６ａの曲率半径ｒ₁ を75mmとし、その曲面６ｂの
曲率半径ｒ₂ を50mmとし、かつ、圧子５の幅寸法を50mm
とし、曲面６ａの幅寸法を30mmとし、各曲面６ｂの幅寸
法を10mmとしている。また、支持部材７の上面の曲率半
径を12.5mmとする。また、この３点曲げ試験において、
荷重点Ｔに圧子５を作用させる場合、支点７，７間寸法
（スパン）を 150mmとし、荷重点Ａ，Ｂ，Ｃに圧子５を
作用させる場合、スパンを夫々300mm とした。

【００２５】また、ねじれ角度試験は、図５に示すよう
に、試験片（シャフトＳ）のバットエンド８側を固定部
材15にて固定し、先端９から40mmの点に13.9kg・cmのト
ルクを与えた時のこの点のねじれ角度を検査するもので
あって、実施品と従来品について行って、その結果を表
４に記載した。

【００２６】この表１と表４から分かるように、実施品
と従来品とでは、重量が同じでありながらねじれ角度が
異なり、実施品が小さいことがわかる。また、実施品と
従来品では、ストレート層が同じ構成であるので、曲げ
強度は両者で略等しい値となっている。

【００２７】即ち、長方形状のバイアス層を使用した実
施品の場合、台形状のバイアス層を使用した従来品に比
べてシャフト先端部に多くの材料が集中しているので、
先端部のねじれ角度を効果的に抑え、その結果シャフト
全体のねじれ角度が小さくなっている。一般にシャフト
は、細径の先端部が大径の後端部よりもねじれ易く、先
端部のねじれ角度が後端部のそれより大きいが、実施品
では先端部のねじれ角度を小さく抑えることにより全体
のねじれ角度を効果的に少なくすることができた。

【００２８】なお、本発明に於て、「略平行」とは、
（−５°）〜（＋５°）の傾斜範囲を指すものと定義す
る。

【００２９】

【発明の効果】本発明は上述の構成により次のような著
大な効果を奏する。

【００３０】軽量でかつねじり剛性が大きいゴルフクラ
ブ用シャフトとなる。しかも、バイアス層１，２に長方
形状のプリプレグシートを使用するので、該プリプレグ
シートを製造する際の裁断作業が容易で生産性が従来に
比べて大幅に向上した。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るシャフトの各層の展開図である。

【図２】３点曲げ試験方法の説明図である。

【図３】３点曲げ試験方法の説明図である。

【図４】３点曲げ試験方法に使用する圧子の説明図であ
る。

【図５】ねじれ角度試験方法の説明図である。

【図６】従来のシャフトの各層の展開図である。

【符号の説明】

１バイアス層２バイアス層３ストレート層

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】シャフト軸心に対して強化繊維の配列方
向が傾斜したバイアス層と、シャフト軸心に対して強化
繊維の配列方向が略平行であるストレート層と、を備え
た炭素繊維強化プラスチック製のシャフトにおいて、上
記バイアス層に長方形状に裁断されたプリプレグシート
を用いたことを特徴とするゴルフクラブ用シャフト。