JPH1118809A - 装飾部材 - Google Patents

装飾部材

Info

Publication number
JPH1118809A
JPH1118809A JP17384797A JP17384797A JPH1118809A JP H1118809 A JPH1118809 A JP H1118809A JP 17384797 A JP17384797 A JP 17384797A JP 17384797 A JP17384797 A JP 17384797A JP H1118809 A JPH1118809 A JP H1118809A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
diamond
substrate
hard carbon
decorative member
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP17384797A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3512597B2 (ja
Inventor
Shinichi Hayashi
真一 林
Michihiko Koshida
充彦 越田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kyocera Corp
Original Assignee
Kyocera Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kyocera Corp filed Critical Kyocera Corp
Priority to JP17384797A priority Critical patent/JP3512597B2/ja
Publication of JPH1118809A publication Critical patent/JPH1118809A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3512597B2 publication Critical patent/JP3512597B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Eyeglasses (AREA)
  • Adornments (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】基体特有の色調を示し、さらに七色に輝く装飾
部材を提供する。 【解決手段】基体2上にラマン分光スペクトルにおいて
波長1500±60cm-1と1160±40cm-1と波
長1340±40cm-1の各ピークを有し、密度3.1
g/cm3 以上の硬質炭素膜3を0.15〜2.0μm
の厚みで被覆した装飾部材1

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は硬質炭素膜を被覆し
た装飾部材、とくに時計ケース、バンドの外装部品、ネ
ックレス、ピアス、眼鏡フレーム、釣り具等の装飾部材
の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の装飾部材は天然の鉱物を加工する
ことで使用されている。しかしながら、この装飾部材に
直に人体が触れて、汗などが付着したり、あるいは海水
や雨などに晒されると、耐食したり、また、外部からの
衝撃でもって亀裂が生じたり、欠けたりするという問題
点がある。
【0003】かかる問題点を解決するために、最近、耐
食性および耐スクラッチ性に優れたジルコニアやアルミ
ナなどからなる着色セラミックスや、WC、TiC、T
iNなどの金色や銀色等を呈した焼結合金で構成する技
術が開発されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記着
色セラミックスや焼結合金においては、その材料特有の
色を呈するにしても単色であり、装飾性に欠けるという
問題点がある。そこで、さらに装飾性を高めるために、
部分的にコーティングしたり、あるいはナシ地と鏡面と
を組み合わせることがおこなわれてきたが、いまだ満足
し得る程度に装飾効果があげられず、また、製造コスト
も上がっていた。
【0005】一方、これらセラミックスや焼結合金など
の基体上に、ダイヤモンド膜を熱CVD法、マイクロ波
CVD法、アークプラズマジェット法などの薄膜形成法
によって被覆する技術が提案されている。この膜は炭素
原子間をSP3 混成で結合した高純度のダイヤモンド構
造からなり、そして、ダイヤモンド結晶粒が大きいこと
で(数μm以上のサイズ)、優れた耐磨耗性を達成でき
たが、その反面、表面が凹凸性状であり(Rmax >1μ
m)、しかも、ボイドが多量に存在することから、表面
で光散乱され、これによって七色に輝くような干渉色が
生じなくなり、いまだ装飾性に劣っていた。
【0006】また、上記ダイヤモンド膜は大きな結晶粒
によって凹凸の表面性状をなすことで、装飾用に鏡面加
工する必要があるが、膜自体非常に高硬度、高強度であ
るために、表面加工がむずかしいという問題点もある。
【0007】さらに膜に多くのボイドが存在するため
に、汗や海水などに長時間晒されると、上記基体内の金
属成分が溶出し、肌への接触によって皮膚が炎症するな
どアレルギーが生じていた。
【0008】そこで、本発明者は上記事情に鑑みて鋭意
研究に努めたところ、膜中のダイヤモンド結晶粒を小さ
くして緻密化した硬質炭素膜を形成し、その膜の厚みを
規定することで、基体の色調を有しながらも、七色に輝
くような装飾性が得られることを見出した。
【0009】したがって本発明は上記知見により完成さ
れたものであり、その目的は基体特有の色調を示し、さ
らに七色に輝く装飾部材を提供することにある。
【0010】また、本発明の他の目的は耐磨耗性に優
れ、キズがつきにくい高硬度性を有し、しかも、人体に
対するアレルギー反応をなくした装飾部材を提供するこ
とにある。
【0011】さらにまた、本発明の他の目的は表面加工
を不要もしくは少なくして、製造コストを下げた装飾部
材を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の装飾部材は、焼
結基体上にラマン分光スペクトルにおいて波長1500
±60cm-1と1160±40cm-1と波長1340±
40cm-1の各ピークを有し、密度3.1g/cm3
上の硬質炭素膜を0.15〜2.0μmの厚みで被覆し
たことを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】装飾部材の構成 本発明の装飾部材を図1〜図4により詳述する。図1お
よび図2は本発明装飾部材の断面図、図3および図4は
本発明装飾部材の応用例であり、図3はバンド駒、図4
は時計ケースである。
【0014】図1の装飾部材1において、2は前記焼結
基体としての膜被着用の基体、3は硬質炭素膜である。
また、図2の装飾部材4においては、硬質炭素膜3の一
部の領域、すなわち基体2との接触面を含む層領域を基
体2との密着領域5として構成したものである。
【0015】基体2は焼結合金やセラミックスからな
り、この焼結合金はWC、TiCN、TiN、TiCを
主体とする硬質相に対して、Ni、Co等の鉄族金属か
らなる結合相を1〜20重量%程度含有する超硬合金、
TiC基サーメット、TiCN基サーメット、TiN基
サーメットである。他方のセラミックスにはアルミナ、
ジルコニアなどがある。ほかに金、銀、銅等を含む合金
でもよい。さらに下地層としてNiメッキ等が施され、
貴金属メッキが施された基体でもよい。
【0016】硬質炭素膜3は基体2を反応装置内に入れ
て、熱CVD法、マイクロ波CVD法、電子サイクロト
ロン共鳴プラズマCVD法などの手段で成膜形成する
が、就中、電子サイクロトロン共鳴プラズマCVD法
(ECRプラズマCVD法)がよい。
【0017】この硬質炭素膜3はダイヤモンドからなる
が、ラマン分光スペクトル分析をおこなうと、1160
±40cm-1、1340±40cm-1および1500±
60cm-1の3種類のピークがある。1160±40c
-1のピークはダイヤモンド前駆体もしくはポリエン構
造を示し、きわめて微細な結晶である。また、1340
±40cm-1のピークはダイヤモンド結晶を、1500
±60cm-1のピークはアモルファスカーボン相を示
す。
【0018】そして、硬質炭素膜3は上記のとおり極微
細のダイヤモンド前駆体(もしくはポリエン構造)、ダ
イヤモンド結晶およびアモルファスカーボン相で構成さ
れ、それら複合組成によって密度が3.1g/cm3
上の緻密な膜が得られる。
【0019】かかるダイヤモンド結晶はきわめて微細で
あり、そして、これら微細結晶がアモルファスカーボン
相に入り込んで、ボイドがほとんど存在しない高緻密質
な膜となる。この微細結晶の平均結晶粒径を透過電子顕
微鏡(TEM)を用いて測定したところ、1μm以下、
たとえば約40nm程度である。
【0020】このようにダイヤモンド前駆体の相がアモ
ルファスカーボン相とともに微量存在することによって
完全な緻密膜にもかかわらず膜内に残存する圧縮応力が
減少し、膜の歪みがなく、基体2との密着性が確保され
る。内部応力が減少する理由はいまだ推論の域を脱し得
ないが、何らかの応力緩和機構が作用するものと考え
る。
【0021】硬質炭素膜3の組成は密度と関係し、浮沈
法と蛍光X線による密度測定をおこなうことで、主成分
が結晶質であることを確認した。すなわち、ダイヤモン
ド結晶の密度は3.52g/cm3 、ダイヤモンド前駆
体(もしくはポリエン構造)の相とアモルファスカーボ
ン相の密度は1.8g/cm3 以下であることから、本
発明のように硬質炭素膜3の密度を3.1g/cm3
上にすることで、76%以上のダイヤモンド結晶が膜中
に存在している。さらに膜密度が3.3〜3.4g/c
3 の場合には、89〜93%以上のダイヤモンド結晶
が膜中に存在する。
【0022】また、上記硬質炭素膜3は、従来のように
比較的大きなダイヤモンド結晶に起因する表面凹凸が現
れなくなり、平坦性に優れ、これによって表面を平坦に
加工する必要がなく、鏡面加工をおこなうにしても、短
時間で容易に加工することができる。ちなみに、硬質炭
素膜3の表面粗さRaは0.05μm以下になった。し
かも、硬質炭素膜3の硬度Hvは8000kgf/mm
2 以上になった。なお、アモルファスカーボン相のみの
膜については、滑らかな面が得られるが、3000kg
f/mm2 以下の硬度であって、膜内の圧縮応力が大き
く、膜の剥離、しわ、浮きの発生が認められる。
【0023】図2の装飾部材4に係る密着領域5につい
ては、少なくともダイヤモンドと金属炭化物との複合体
からなり、この組成の場合には下記の理由により密着性
が向上する。すなわち、原子同士は電子を介在すること
により結合されているが、一般に電子を双方の原子で共
有している共有結合はイオン結合に比べ、強い結合力が
あり、とくにダイヤモンドでは強い結合力を有している
ので、ダイヤモンド膜と異種化合物との密着強度を向上
させるためには、双方間に類似の結合様式である共有結
合性の化合物でもって介在させるのがよい。したがっ
て、ダイヤモンド成分である炭素を含む化合物の方がよ
り整合性の点で良好であり、金属炭化物を用いるとよ
い。この金属炭化物には共有結合性の炭化物として炭化
ケイ素や炭化ホウ素があり、とくに炭化ケイ素が望まし
い。また、このダイヤモンドと金属炭化物は層分離して
いるのではなく、ダイヤモンドの周りを金属炭化物が取
り囲むような構造(ダイヤモンドが島状に分布した構
造)となるために、いわゆるアンカー効果によって密着
性が向上する。
【0024】そして、上記構成の装飾部材1、4におい
ては、硬質炭素膜3の膜厚を0.15〜2.0μm、好
適には0.3〜1.0μmにすることで、入射した自然
光が基体2に到達し、その反射光と入射光とが干渉し、
これによって七色に輝くようになる。また、この程度に
まで薄くすると、基体2の特有な色調が外から見えるよ
うになり、その色調と干渉光によって装飾性が一段と向
上する。硬質炭素膜3の膜厚が2.0μmを越えると、
このような干渉光が十分に現れなくなり、0.15μm
未満であれば、緻密な膜質とならない。かかる基体2を
使用するに当たって、自然光に対する反射率が少なくと
も50%以上にするとよい。
【0025】成膜手段 前記硬質炭素膜3はプラズマCVD法あるいは熱フィラ
メントCVD法により形成するが、とくにECRプラズ
マCVD法が好適である。すなわち、プラズマCVD法
におけるプラズマ発生領域に対して、さらに磁界を印加
するECRプラズマCVD法によれば、低圧下(1to
rr以下)のガス圧で高密度のプラズマが得られ、プラ
ズマを広い領域内で均一に発生させることができ、その
結果、通常のプラズマCVD法とくらべ、約10倍程度
の面積に均一な膜を形成することができる。
【0026】これに対するマイクロ波CVD法について
は、プラズマ発生領域が小さいために被膜面積が小さ
く、通常直径20mm程度であり、加工用部材としての
応用が限定される。しかも、圧力が高すぎるか、もしく
はプラズマ密度が低すぎるために、複雑な構造を有する
基体、曲面構造を有する基体である場合には、そのよう
な構造に適した均一なプラズマが得られず、膜厚分布が
不均一になりやすい。
【0027】一方、熱フィラメントCVD法では、フイ
ラメントが切れやすく、また、膜厚のバラツキを制御す
るために基体形状に合わせてフィラメントを設置する必
要があり、そのために装置にとって汎用性に欠ける。
【0028】以下、ECRプラズマCVD法を詳述す
る。内部に所定形状の基体が設置された反応炉内に反応
ガスを導入すると同時に、2.45GHzのマイクロ波
を導入し、さらに875ガウス以上の磁界を印加する
と、電子サイクロン周波数f=eB/2πm(ただし、
m:電子の質量、e=電子の電荷、B:磁束密度)にも
とづきサイクロン運動が起きる。そして、この周波数と
マイクロ波の周波数(2.45GHz)とが一致すると
共鳴し、電子はマイクロ波のエネルギーを著しく吸収し
て加速され、中性分子に衝突することで、電離が生じ、
その結果、高密度のプラズマを生成する。なお、基体温
度は150〜1000℃、炉内圧力は1×10-2〜1t
orrである。
【0029】この方法によれば、成膜時の基体温度、炉
内圧力および反応ガス濃度を変化させることで、硬質炭
素膜の成分等が変化する。具体的には、炉内圧力が高く
なるとプラズマ領域が小さくなり、膜の成長速度が低下
するが、その反面、結晶性が向上する。他方、反応ガス
濃度が高くなると、膜を構成する粒子径が小さくなり、
結晶性が悪くなる。
【0030】原料ガスには水素ガスと炭素含有ガスを用
いる。この炭素含有ガスには、たとえばメタン、エタ
ン、プロパン等のアルカン顆、エチレン、プロピレン、
等のアルケン類、アセチレン類、ベンゼン等の芳香族炭
化水素類、シクロプロバン等のシクロパラフィン類、シ
クロペンテン等のシクロオレフィン類等が挙げられる。
また、一酸化炭素、二酸化炭素、メチルアルコール、ア
セトン等の含酸素炭素化合物、モノ(ジ、トリ)メチル
アミン、モノ(ジ、トリ)エチルアミン等の含窒素炭素
化合物等も炭素源ガスとして使用してもよい。そして、
これら各種ガスを単独でもしくは組み合わせて用いる。
【0031】また、密着性をさらに高めるための密着領
域5を形成するには、所望によりダイヤモンド核発生処
理(基体上にいったんダイヤモンドの微結晶のみを点状
に成長させる)をおこなった後、反応ガスとして、水素
ガスと、炭素含有ガスおよびケイ素含有ガスを導入す
る。このケイ素含有ガスには四フツ化ケイ素、四塩化ケ
イ素、四臭化ケイ素等のハロゲン化物、二酸化ケイ素等
の酸化物、そのほか、モノ(ジ、トリ、テトラ、ペン
タ)シラン、モノ、(ジ、トリ、テトラ)メチルシラン
等のシラン化合物、トリメチルシラノール等のシラノー
ル等のシラノール化合物がある。これらも単独でもしく
は組み合わせて用いる。
【0032】かくして得られた装飾部材1によれば、硬
質炭素膜3が微粒組織のダイヤモンド主体からなり、か
つ緻密質であり、膜表面および内部にボイド欠陥がな
く、しかも、平滑性に優れている。したがって、人の肌
に触れる部材表面に硬質炭素膜3を被覆すると、高い耐
食性が得られる。とくに汗や酸性雨によるボイド等への
局所的な腐食発生が防止される。また、基体2上に密着
領域5を配した場合には、硬質炭素膜3の密着性をさら
に高めることができ、剥離されなくなる。しかも、図3
のバンド駒、図4の時計ケースに如き、複雑な構造を有
する基体、曲面構造を有する基体など、あらゆる形状の
基体の表面に対して、平滑でかつ緻密な膜が形成でき
た。
【0033】
【実施例】次に本発明の実施例を説明する。ECRプラ
ズマCVD装置の炉内に、基体2として超硬合金(80
重量%WC−10重量%Co−10重量%Ni)、Ti
C基サーメット(80重量%TiC−15重量%Cr2
2 −5重量%Ni)、TiN基サーメット(85重量
%TiN−15重量%Ni)のいずれかからなる100
ml容器を設置した。
【0034】そして、H2 ガスを97sccmの流量
で、CH4 ガスを3sccmの流量で導入し、ガス濃度
1%ヽ基体温度650℃、炉内圧力0.1torrに設
定し、1.5時間プラズマ処理して、ダイヤモンド核を
発生させ、しかる後に、原料ガスとしてH2 ガス、CH
4 ガスおよびSi(CH3 4 ガスを、それぞれ297
sccm、3sccm、0.3sccmの流量で導入
し、そして、ガス濃度1%、基体温度650℃、炉内圧
力0.5torrの条件でECRプラズマCVD法によ
り最大2kガウスの強度の磁場を印加させ、マイクロ波
出力3.0KWの条件で12時間成膜し、これにより、
容器内面にダイヤモンドと炭化ケイ素が混在した平均膜
厚0.5μmの密着領域5を形成した。
【0035】次に密着領域5上に純度99.9%以上の
2 ガス、CH4 ガス、CO2 ガスを用いて、それぞれ
210sccm、30sccm、60sccmの流量で
導入し、ガス濃度30%、基体温度650℃、炉内圧力
0.1torrもしくは0.01torrに設定して同
様に厚み0.5μmで成膜形成した。
【0036】上記硬質炭素膜3(厚み1μm)に対し
て、ラマン分光スペクトルを測定したところ、図3に示
すような結果が得られた。同図から明らかなとおり、波
長1500±60cm-1と1160±40cm-1と波長
1340±40cm-1の各ピークが確認できた。また、
ぎ酸タリウム水溶液を用いた浮沈法でもって膜の密度を
測ると、炉内圧力が0.1torrである場合には3.
3g/cm3 、0.01torrである場合には3.2
g/cm3 であった。
【0037】また、上記構成の硬質炭素膜3において、
表1に示すように膜厚を変えて、それぞれの色調および
膜圧強度を測定したところ、同表に示すような結果が得
られた。
【0038】
【表1】
【0039】色調については、基体特有の色調を示し、
さらに七色に輝くようになった状態を区分し、○○
は最良な色状態の場合、○はやや七色に輝くようにな
った色状態であり、これに対して、△はほとんど干渉
光が生じなかった場合、×はほぼ黒色に呈した場合で
ある。
【0040】膜圧強度は圧子による密着強度でもって評
価し、膜剥がれ開始荷重でもって4とおりに区分した。
○○は荷重50kgf/cm2 以上でも何ら剥がれ
なかった場合、、○は10kgf/cm2 以上、50
kgf/cm2 未満の荷重で剥がれた場合、△は1k
gf/cm2 以上、10kgf/cm2 未満の荷重で剥
がれた場合、×は1kgf/cm2 以下の荷重で剥が
れた場合である。
【0041】表1から明らかなとおり、本発明の試料N
o.2〜6については、色調および膜圧強度ともに良好
であった。試料No.1については、色調および膜圧強
度ともに良好であったが、炭素膜の厚みがきわめて薄い
ので、緻密な膜質にならなった。
【0042】また、本発明に係る硬質炭素膜3に対する
ラマン分光スペクトルチャートを示す図5において、波
長1500±60cm-1と1160±40cm-1と波長
1340±40cm-1の各ピークが存在することがわか
る。そこで、1160±40cm-1のピーク強度は11
00cm-1と1700cm-1の位置間で斜線を引き、こ
れをベースラインとして、1160±40cm-1に存在
するピークのうちもっとも強度の高いピーク強度を
1 、1340±40cm-1に存在するピークのうちも
っとも強度の高いピーク強度をH2 としたとき、H1
2 で表されるピーク強度比が0.05以上、望ましく
は0.2〜1.0にするとよい。
【0043】すなわち、このピーク強度比が0.05未
満の場合には、ダイヤモンド結晶粒子が大きく成長し過
ぎ、膜中にボイドが発生したり、膜の表面粗さが大きく
なり、これによって局所的な腐食が進行しやすくなる。
他方、ピーク強度比が大きすぎるとダイヤモンド結晶の
比率が少なくなる結果、膜強度が低下する。。このH1
/H2 で表されるピーク強度比が1.0以下であること
がよい。
【0044】また、このラマン分光スペクトルにおい
て、1500±60cm-1にピークを有し、該領域内の
ピークのうち最も強度の強いピーク強度をH3 としたと
き、H1 <H2 <H3 の関係を満足するものであること
が望ましい。このピークはダイヤモンド結晶間に存在す
るアモルファスカーボン相を示すものであるが、H3
強度が低く、H1 >H3 またはH2 >H3 となると、膜
の緻密性が低下し、アレルギー源金属が溶出するからで
ある。
【0045】なお、ラマン分光でもって1340±40
cm-1が確認されにくいのは、サイズ効果(結晶サイズ
が小さくなるにつれ、ピークが出現しにくくなる)、お
よびダイヤモンドに比べて、アモルファスカーボン相に
対する感度が非常に大きいことによる。
【0046】
【発明の効果】以上のとおり、本発明の装飾部材によれ
ば、基体上にラマン分光スペクトルにおいて波長150
0±60cm-1と1160±40cm-1と波長1340
±40cm-1の各ピークを有し、密度3.1g/cm3
以上の硬質炭素膜を0.15〜2.0μmの厚みで被覆
したことで、基体特有の色調を示し、さらに七色に輝
く、時計用外装部品、ネックレス、ピアス、眼鏡フレー
ム、釣り具、ボタン、ブローチ等の装飾部材が提供でき
た。
【0047】また、本発明によれば、耐磨耗性に優れ、
キズがつきにくい高硬度性を有し、しかも、人体に対す
るアレルギー反応をなくし、その上、表面加工を不要も
しくは少なくした低コストの装飾部材が提供できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の装飾部材の断面図である。
【図2】本発明の他の装飾部材の断面図である。
【図3】本発明の装飾部材としてのバンド駒の斜視図で
ある。
【図4】本発明の装飾部材としての時計ケースの斜視図
である。
【図5】本発明に係る硬質炭素膜のラマン分光スペクト
ルチャート図である。
【符号の説明】 1、4 装飾部材 2 基体 3 硬質炭素膜 5 密着領域
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G02C 5/00 G02C 5/00 // G04B 37/18 G04B 37/18 A

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】焼結基体上にラマン分光スペクトルにおい
    て波長1500±60cm-1と1160±40cm-1
    波長1340±40cm-1の各ピークを有し、密度3.
    1g/cm3 以上の硬質炭素膜を0.15〜2.0μm
    の厚みで被覆してなる装飾部材。
JP17384797A 1997-06-30 1997-06-30 装飾部材 Expired - Fee Related JP3512597B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17384797A JP3512597B2 (ja) 1997-06-30 1997-06-30 装飾部材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17384797A JP3512597B2 (ja) 1997-06-30 1997-06-30 装飾部材

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH1118809A true JPH1118809A (ja) 1999-01-26
JP3512597B2 JP3512597B2 (ja) 2004-03-29

Family

ID=15968270

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP17384797A Expired - Fee Related JP3512597B2 (ja) 1997-06-30 1997-06-30 装飾部材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3512597B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1197582A1 (en) * 2000-10-12 2002-04-17 Nissin Electric Co., Ltd. Carbon coated object for contact with human skin
US6881475B2 (en) 2001-06-13 2005-04-19 Sumitomo Electric Industries, Ltd Amorphous carbon coated tool and fabrication method thereof
JP2005270479A (ja) * 2004-03-26 2005-10-06 Citizen Watch Co Ltd 金色被膜を有する装飾品およびその製造方法
US6962751B2 (en) * 2001-06-13 2005-11-08 Sumitomo Electric Industries, Ltd. Amorphous carbon coated tools and method of producing the same

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1197582A1 (en) * 2000-10-12 2002-04-17 Nissin Electric Co., Ltd. Carbon coated object for contact with human skin
US6838174B2 (en) 2000-10-12 2005-01-04 Nissan Electric Co., Ltd. Object being in contact with human skin when used
US6881475B2 (en) 2001-06-13 2005-04-19 Sumitomo Electric Industries, Ltd Amorphous carbon coated tool and fabrication method thereof
US6962751B2 (en) * 2001-06-13 2005-11-08 Sumitomo Electric Industries, Ltd. Amorphous carbon coated tools and method of producing the same
JP2005270479A (ja) * 2004-03-26 2005-10-06 Citizen Watch Co Ltd 金色被膜を有する装飾品およびその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP3512597B2 (ja) 2004-03-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6284376B1 (en) Ornamental article and process for producing the same
US4943486A (en) Coated article and method of production
JPS644841Y2 (ja)
CA1336704C (en) Method of producing sintered hard metal with diamond film
EP2135972A1 (en) Gold alloy coating, gold alloy coating clad laminate and gold alloy coating clad member
KR100193546B1 (ko) 초경질막 피복부재 및 그 제조방법
JP6909322B2 (ja) 装飾部材およびその製造方法
JP3512597B2 (ja) 装飾部材
JP3214891B2 (ja) ダイヤモンド類被覆部材
Alam et al. Diamond deposition onto WC-6% Co cutting tool material: Coating structure and interfacial bond strength
JP3452615B2 (ja) 超硬合金、硬質炭素膜被覆超硬合金および超硬合金の製造方法並びにこれらの合金を応用した工具
JPH0621360B2 (ja) 耐剥離性にすぐれたダイヤモンド被覆燒結合金及びその製造方法
JPH04157157A (ja) 人工ダイヤモンド被覆材の製造方法
JP3554119B2 (ja) 硬質炭素膜被覆部材
JPH10324971A (ja) 装飾部材
JP3515866B2 (ja) 装飾用被覆部材
JPH09124394A (ja) 耐摩耗性部材
Zhu et al. Low‐Temperature Synthesis of Diamond‐like Carbon Films on Steel Substrates by Electron‐Cyclotron‐Resonance Plasma‐Enhanced Chemical Vapor Deposition
JP3722602B2 (ja) 装飾部材
JPS61261480A (ja) ダイヤモンド被覆部材
JP3273106B2 (ja) 硬質炭素膜被覆部材およびその製造方法
JP3339994B2 (ja) 耐摩耗性部材
JP3592837B2 (ja) ガラス成形用型材
JPH09314253A (ja) 金属塑性加工用部材
JPH0623431B2 (ja) 硬質被膜被覆切削工具部材

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Effective date: 20031222

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Effective date: 20040107

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090116

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 6

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100116

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 7

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110116

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110116

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120116

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120116

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130116

Year of fee payment: 9

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees