JPH11187690A - インバータ装置及びブラシレスファンモータ - Google Patents

インバータ装置及びブラシレスファンモータ

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JPH11187690A
JPH11187690A JP9349148A JP34914897A JPH11187690A JP H11187690 A JPH11187690 A JP H11187690A JP 9349148 A JP9349148 A JP 9349148A JP 34914897 A JP34914897 A JP 34914897A JP H11187690 A JPH11187690 A JP H11187690A
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JP
Japan
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brushless motor
polarity
rotation speed
signal
current
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JP9349148A
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English (en)
Inventor
Soichi Sekihara
聡一 関原
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 センサレス駆動方式においても、始動前にお
けるブラシレスモータの回転状態を検出して、適切な始
動方式を選択することができるインバータ装置及びブラ
シレスファンモータを提供する。 【解決手段】 回転数検出部9bは、ブラシレスモータ
8が始動開始前にファンに受ける風などの外力によって
回転している場合に、巻線8u,8v,8wに発生する
誘起電圧に応じて通電信号形成部10の作用により各巻
線8u,8v,8wに流れる電流の極性変化に基づきブ
ラシレスモータ8の回転数Ss を検出し、始動方式決定
部9aは、回転数Ss が基準回転数以上である場合はそ
の時点でのブラシレスモータ8の始動を見送り、回転数
Ss が基準回転数未満である場合はブラシレスモータ8
の始動を開始させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ブラシレスモータ
の三相巻線に流れる電流の極性に基づいて通電信号を形
成し、インバータ主回路によりブラシレスモータの三相
巻線に通電を行うインバータ装置及びファンをブラシレ
スモータにより回転駆動するブラシレスファンモータに
関する。
【0002】
【従来の技術】近年、エアコンなどのファンモータや電
気自動車の駆動用モータとしては、広範囲の可変速制御
や電力消費量の節約のため、また、洗濯機の洗濯用モー
タとしては、洗浄能力の向上のためにブラシレスモータ
が採用されており、これをインバータ装置によって駆動
することが行われている。
【0003】これらの家庭電化製品や電気自動車等の分
野においては、消費電力或いは振動や騒音の低減が要求
されており、モータの効率向上やトルク変動の低減に効
果的である、例えば正弦波などの電圧波形をモータに供
給することが可能なインバータ装置を低コストで実現で
きる技術が要望されている。
【0004】そのような要望に対応する従来技術として
は、例えば、特開平7−224299号公報に開示され
ているように、位置センサとして構成が簡単で且つ最も
安価であるホールICを使用して、ブラシレスモータに
正弦波の電圧波形を供給して駆動するものがある。
【0005】例えば、エアコンなどのファンモータの場
合は、ファンモータを始動する前に、室外機のファンが
自然の風によって比較的高速で逆方向に回転している状
態で、いきなりファンモータを正方向に始動しようとす
ると、ファンモータに悪影響を及ぼすことがある。その
ため、この様な応用に対しては、モータの始動前におい
てファンモータがどの方向にどれ位の回転数で回転して
いるか、という情報を予め得た上で、モータの始動方式
を選択するのが望ましい。
【0006】そこで、前記従来技術をエアコンのファン
モータについて適用した場合を想定すると、始動前にお
いて前述のようにファンモータが回転している場合に
は、ホールICからの位置検出信号が得られることによ
りモータの回転数及び回転方向が検出でき、その検出結
果に基づいてモータの始動方法を選択することが可能で
ある。
【0007】一方、更なる低コスト化,小形化及び使用
環境の拡大等を目的として、例えば、特願平9−863
25号において提案されているように、位置センサを使
用することなくモータを正弦波駆動することが可能なセ
ンサレス駆動方式のインバータ装置が考えられている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、センサ
レス駆動方式では、始動前においてファンモータが回転
している場合に、その回転数や回転方向を判別する手段
がなかったため、センサレス駆動方式のインバータ装置
をこれらの用途に適用することは困難であった。本発明
は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、
センサレス駆動方式においても、始動前におけるブラシ
レスモータの回転状態を検出して、適切な始動方式を選
択することができるインバータ装置及びブラシレスファ
ンモータを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1記載のインバータ装置は、ブラシレスモー
タの三相巻線に通電を行うインバータ主回路と、前記三
相巻線に流れる電流の極性を検出して極性信号を出力す
る電流極性検出手段と、この電流極性検出手段が出力す
る前記極性信号に基づいて通電信号を形成し、前記イン
バータ主回路に出力する通電信号形成手段と、前記ブラ
シレスモータの始動時において、前記電流極性検出手段
が出力する前記極性信号を参照し、電流極性が変化する
周期に基づいて前記ブラシレスモータの回転数を検出す
る回転数検出手段と、この回転数検出手段が検出する前
記ブラシレスモータの回転数に基づいて前記ブラシレス
モータの始動方式を決定する始動方式決定手段とを備え
たことを特徴とする。
【0010】斯様に構成すれば、回転数検出手段は、電
流極性検出手段がブラシレスモータの三相巻線に流れる
電流の極性を検出して出力する極性信号を参照し、電流
極性が変化する周期に基づいてブラシレスモータの回転
数を検出するので、始動方式決定手段は、回転数検出手
段が検出するブラシレスモータの回転数に基づいて当該
ブラシレスモータの適切な始動方式を決定することがで
きる。
【0011】この場合、請求項2に記載したように、始
動方式決定手段を、回転数検出手段により検出されたブ
ラシレスモータの回転数が所定値以上である場合には、
ブラシレスモータの始動を行わず、回転数検出手段によ
り検出されたブラシレスモータの回転数が所定値未満で
ある場合には、通電信号形成手段にブラシレスモータに
対する直流励磁を行わせた後に、電流極性検出手段が出
力する極性信号に基づいた通電信号を出力させるように
構成すると良い。
【0012】斯様に構成すれば、ブラシレスモータの回
転数が所定値以上である場合には、その状態からブラシ
レスモータの始動を行うと、ブラシレスモータに大きな
負担がかかるので始動を見合わせるようにする。そし
て、ブラシレスモータの回転数が所定値未満である場合
は、ブラシレスモータに対して直流励磁を行うことによ
り、ブラシレスモータの回転を比較的容易に停止させる
ことができる。その後に、電流極性検出手段が出力する
極性信号に基づいて例えば正弦波の通電信号をインバー
タ主回路に出力することによって、ブラシレスモータを
スムーズに始動させることができる。
【0013】また、請求項3に記載したように、ブラシ
レスモータの始動時において、電流極性検出手段が出力
する極性信号を参照し、電流極性の変化に基づいてブラ
シレスモータの回転方向を検出する回転方向検出手段を
備え、始動方式決定手段を、回転数検出手段が検出する
ブラシレスモータの回転数と、回転方向検出手段が検出
するブラシレスモータの回転方向とに基づいてブラシレ
スモータの始動方式を決定する構成にすると良い。
【0014】斯様に構成すれば、例えば、始動前におい
てブラシレスモータが通常の駆動状態とは逆方向に回転
している場合には、その状態からブラシレスモータを正
回転方向に駆動しようとすると、ブラシレスモータにか
かる負担が大きくなってしまう。従って、始動前におけ
るブラシレスモータの回転方向をも判別することによっ
て、より適切な始動方式を選択することができる。
【0015】請求項4に記載したように、始動方式決定
手段を、回転数検出手段により検出されたブラシレスモ
ータの回転数が所定値以上である場合には、ブラシレス
モータの始動を行わず、回転数検出手段により検出され
たブラシレスモータの回転数が所定値未満であり、且
つ、回転方向検出手段により検出されたブラシレスモー
タの回転方向が正方向である場合には、通電信号形成手
段に電流極性検出手段が出力する極性信号に基づいた通
電信号を出力させ、回転数検出手段により検出されたブ
ラシレスモータの回転数が所定値未満であり、且つ、回
転方向検出手段により検出されたブラシレスモータの回
転方向が逆方向である場合には、通電信号形成手段にブ
ラシレスモータに対する直流励磁を行わせた後に、電流
極性検出手段が出力する極性信号に基づいた通電信号を
出力させる構成とするのが好ましい。
【0016】斯様に構成すれば、始動前におけるブラシ
レスモータの回転数が所定値未満であり且つ回転方向が
正方向である場合には、そのままブラシレスモータの駆
動を開始しても、ブラシレスモータに負担をかけること
はない。一方、ブラシレスモータの回転数が所定値未満
であり且つ回転方向検出手段により検出されたブラシレ
スモータの回転方向が逆方向である場合には、ブラシレ
スモータに対して直流励磁を行うことにより、その回転
を比較的容易に停止させ、その後に、電流極性検出手段
が出力する極性信号に基づいて例えば正弦波の通電信号
をインバータ主回路に出力することによって、ブラシレ
スモータをスムーズに始動させることができる。
【0017】請求項5に記載したように、通電信号形成
手段を、ブラシレスモータの始動時に始動方式決定手段
がブラシレスモータの始動方式を決定する場合に、ブラ
シレスモータの三相巻線に対して全て同一の通電信号を
形成して出力し、回転数検出手段は、前記三相巻線に流
れる電流の極性が変化する周期に基づいてブラシレスモ
ータの回転数を検出する構成とする良い。
【0018】斯様に構成すれば、通電信号形成手段がブ
ラシレスモータの三相巻線に対して全て同一の通電信号
を与えると、始動前にブラシレスモータが回転している
場合には、前記三相巻線には誘起電圧が生じることによ
り各相間の位相差が120度である交流電流が流れる。
従って、回転数検出手段は、これらの交流電流の極性が
変化する周期に基づいてブラシレスモータの回転数を容
易に検出することができる。
【0019】請求項6に記載したように、通電信号形成
手段を、ブラシレスモータの始動時に始動方式決定手段
がブラシレスモータの始動方式を決定する場合に、ブラ
シレスモータの三相巻線の内何れか二相の巻線に対して
同一の通電信号を形成して出力し、回転数検出手段を、
前記二相の巻線に流れる電流の極性が変化する周期に基
づいてブラシレスモータの回転数を検出する構成として
も良い。
【0020】斯様に構成すれば、始動前にブラシレスモ
ータが回転していれば、前記二相の巻線には、相間の位
相差が180度である交流電流が流れる。従って、この
交流電流の極性が変化する周期に基づいてブラシレスモ
ータの回転数を容易に検出することができる。
【0021】請求項7に記載したように、通電信号形成
手段を、ブラシレスモータの始動時に始動方式決定手段
がブラシレスモータの始動方式を決定する場合に、ブラ
シレスモータの三相巻線に対して全て同一の通電信号を
形成して出力する構成とし、回転方向検出手段を、前記
三相巻線の内何れか一相の巻線の電流極性が変化した時
点における他の二相の巻線の電流極性に基づいてブラシ
レスモータの回転方向を検出する構成としても良い。
【0022】斯様に構成すれば、始動前にブラシレスモ
ータが回転している場合、通電信号形成手段が出力する
通電信号によって、前記ブラシレスモータの三相巻線に
は各相間の位相差が120度である交流電流が流れる。
この時、三相巻線の内何れか一相の巻線に流れる交流電
流を基準とした場合に、他の二相の巻線に流れる交流電
流位相の進み,遅れは、ブラシレスモータの回転方向
(正転,逆転)に応じて変化する。
【0023】そして、回転方向検出手段は、三相巻線の
内何れか一相の巻線の電流極性が変化した時点における
他の二相の巻線の電流極性に基づいて当該二相の巻線に
流れる交流電流位相の進み,遅れを判定するので、ブラ
シレスモータの回転方向を確実に検出することができ
る。
【0024】請求項8に記載したように、通電信号形成
手段を、ブラシレスモータの始動時に始動方式決定手段
がブラシレスモータの始動方式を決定する場合に、ブラ
シレスモータの三相巻線の内何れか二相の巻線に対して
同一の通電信号を形成して出力した後、前記二相の巻線
に流れる電流の極性が変化するタイミングにおいて残り
の一相の巻線と前記二相の内何れか一相の巻線に通電相
を切り換えて同一の通電信号を形成して出力する構成と
し、回転方向検出手段を、通電信号形成手段による通電
相の切り換え直後における二相の巻線の電流極性に基づ
いてブラシレスモータの回転方向を検出する構成として
も良い。
【0025】斯様に構成すれば、始動前にブラシレスモ
ータが回転している場合、通電信号形成手段が出力する
通電信号によって、前記ブラシレスモータの三相巻線の
内何れか二相の巻線には相間の位相差が180度である
交流電流が流れる。その後、通電信号形成手段が前記タ
イミングにおいて通電相を切り換えると、切り換え直後
における二相の巻線の電流極性は、ブラシレスモータの
回転方向(正転,逆転)に応じて変化する。そして、回
転方向検出手段は、通電相の切り換え直後における二相
の巻線の電流極性に基づいてブラシレスモータの回転方
向を確実に検出することができる。
【0026】請求項9記載のブラシレスファンモータ
は、ファンを回転駆動するブラシレスモータと、このブ
ラシレスモータの三相巻線に通電を行うインバータ主回
路と、前記三相巻線に流れる電流の極性を検出して極性
信号を出力する電流極性検出手段と、この電流極性検出
手段が出力する前記極性信号に基づいて通電信号を形成
し、前記インバータ主回路に出力する通電信号形成手段
と、前記ブラシレスモータの始動時において、前記ファ
ンが外力により回転している場合に前記電流極性検出手
段が出力する前記極性信号を参照し、電流極性が変化す
る周期に基づいて前記ブラシレスモータの回転数を検出
する回転数検出手段と、この回転数検出手段が検出する
前記ブラシレスモータの回転数に基づいて前記ブラシレ
スモータの始動方式を決定する始動方式決定手段とを備
えたことを特徴とする。
【0027】斯様に構成すれば、回転数検出手段は、フ
ァンが外力により回転している場合に、電流極性検出手
段がブラシレスモータの三相巻線に流れる電流の極性を
検出して出力する極性信号を参照し、電流極性が変化す
る周期に基づいてブラシレスモータの回転数を検出する
ので、始動方式決定手段は、回転数検出手段が検出する
ブラシレスモータの回転数に基づいて当該ブラシレスモ
ータの適切な始動方式を決定することができる。
【0028】この場合、請求項10に記載したように、
始動方式決定手段を、回転数検出手段により検出された
ブラシレスモータの回転数が所定値以上である場合に
は、ブラシレスモータの始動を行わず、回転数検出手段
により検出されたブラシレスモータの回転数が所定値未
満である場合には、通電信号形成手段にブラシレスモー
タに対する直流励磁を行わせた後に、電流極性検出手段
が出力する極性信号に基づいた通電信号を出力させる構
成とするのが好ましい。
【0029】斯様に構成すれば、ファンが例えば風など
の外力によって回転している状態であり、ブラシレスモ
ータの回転数が所定値以上である場合には、その状態か
らブラシレスモータの始動を行うと、ブラシレスモータ
に大きな負担がかかるので始動を見合わせるようにす
る。そして、ブラシレスモータの回転数が所定値未満で
ある場合は、ブラシレスモータに対して直流励磁を行う
ことにより、ブラシレスモータの回転を比較的容易に停
止させることができる。その後に、電流極性検出手段が
出力する極性信号に基づいて例えば正弦波の通電信号を
インバータ主回路に出力することによって、ブラシレス
モータをスムーズに始動させファンを回転駆動すること
ができる。
【0030】また、請求項11に記載したように、ブラ
シレスモータの始動時において、ファンが外力により回
転している場合に電流極性検出手段が出力する極性信号
を参照し、電流極性の変化に基づいてブラシレスモータ
の回転方向を検出する回転方向検出手段を備え、始動方
式決定手段を、回転数検出手段が検出するブラシレスモ
ータの回転数と、回転方向検出手段が検出するブラシレ
スモータの回転方向とに基づいてブラシレスモータの始
動方式を決定する構成とするのが好適である。
【0031】斯様に構成すれば、例えば、風などの外力
によりファンが回転することにより、始動前においてブ
ラシレスモータが通常の駆動状態とは逆方向に回転して
いる場合には、その状態からブラシレスモータを正回転
方向に駆動しようとすると、ブラシレスモータにかかる
負担が大きくなってしまう。従って、始動前におけるブ
ラシレスモータの回転方向をも判別することによって、
より適切な始動方式を選択することができる。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、本発明をエアコンの室外機
に設置されているファンモータに適用した場合の第1実
施例について、図1乃至図9を参照して説明する。図1
において、交流電源1の両端子は、一方にリアクトル2
を介して全波整流回路3の交流入力端子に接続されてい
る。全波整流回路3の直流出力端子間には、平滑用コン
デンサ4が接続されており、以上、リアクトル2,全波
整流回路3,平滑用コンデンサ4により直流電源回路5
を構成している。そして、直流電源回路5の直流出力端
子は、正,負側直流母線6a,6bに接続されている。
【0033】インバータ主回路7は、正,負側直流母線
6a,6b間に3相ブリッジ接続されたトランジスタ
(IGBT)T1乃至T6と、各トランジスタT1乃至
T6に夫々並列に接続されたフライホイールダイオード
D1乃至D6とから構成されている。そのインバータ主
回路7の出力端子7u,7v,7wは、3相のブラシレ
スモータ(以下、単にモータと称す)8のスター結線さ
れた各相巻線8u,8v,8wに接続されている。
【0034】始動制御部9は、外部よりモータ8の始動
指令信号が与えられると、電圧指令Vを通電信号形成部
(通電信号形成手段)10及び誘起電圧位相差演算部1
1に出力すると共に周波数指令fsを指令選択部12に
出力するようになっている。
【0035】また、始動制御部9は、内部に始動方式決
定部(始動方式決定手段)9a及び回転数検出部(回転
数検出手段)9bを備えている。回転数検出部9bは、
後述する電流極性検出回路17より与えられる電流極性
信号Su,Sv,Swに基づいてモータ8の回転数Ss
を検出し、その回転数Ss を始動方式決定部9aに与え
るようになっている。始動方式決定部9aは、回転数S
s の値に応じて、モータ8の始動方式を決定するように
なっており、決定された始動方式に応じて直流励磁指令
信号Br を通電信号形成部10に出力するようになって
いる。
【0036】更に、始動制御部9は、始動方式の決定し
た後一定時間の経過後に出力される選択信号Skを指令
選択部12に出力するようになっており、指令選択部1
2は、選択信号Skの出力に応じて、前記周波数指令f
sと周波数指令決定部13が出力する周波数指令feと
を切換えて、周波数指令fとして出力するようになって
いる。その周波数指令fは、通電信号形成部10,誘起
電圧位相差演算部11及び周波数指令決定部13に与え
られる。
【0037】通電信号形成部10の内部構成について、
以下に述べる。クロック発生器10aは、周波数指令f
に応じた周波数のクロック信号を出力するものであり、
そのクロック信号は、カウンタ10bに与えられるよう
になっている。カウンタ10bは、そのクロック信号パ
ルスの入力数をアップカウントし、そのカウント値をア
ドレス信号としてROM10cに出力するようになって
いる。
【0038】ROM10cには、正弦波に応じた電圧率
の振幅を有する通電信号のレベルデータが記憶されてお
り、カウンタ10bから与えられるアドレス信号に応じ
た位相のレベルデータが読出され、レベル信号発生器1
0dに出力されるようになっている。レベル信号発生器
10dは、ROM10cから与えられたレベルデータに
電圧指令Vを乗じたものをU相の通電信号Duとし、そ
の通電信号Duを120,240度移相したものをV
相,W相の通電信号Dv,Dwとして分配し、外部のP
WM回路14に夫々出力するようになっている(図6
(a)参照)。
【0039】また、通電信号形成部10は、これらの通
電信号Du,Dv,Dwを交流信号とした場合のゼロク
ロス点を検出し、各通電信号Du,Dv,Dwの何れか
がゼロクロス点を通過する毎にハイ,ロウレベルの反転
を繰返す通電位相信号Spを形成して(図6(b)参
照)、電流位相差検出部15に出力するようになってい
る。
【0040】加えて、通電信号形成部10は、指令選択
部12より与えられる周波数指令fがf=0である場合
には、後述するようにモータ8の始動方式を決定するた
め、全て同一波形の通電信号Du,Dv,DwをPWM
回路14に出力するようになっている。また、通電信号
形成部10は、始動制御部9より直流励磁指令信号Br
が与えられると、モータ8を直流励磁する信号を、PW
M回路14を介してインバータ主回路7に出力するよう
になっている。
【0041】PWM回路14は、具体的には図示しない
が、内部の搬送波発生器から出力される搬送波(三角
波)のレベルと、与えられた通電信号Du,Dv,Dw
のレベルとを夫々比較して、各通電信号のレベルの方が
大なる期間においてハイレベルとなるPWM制御による
正側の駆動信号Dup,Dvp,Dwpを形成する。また、こ
れらの正側の駆動信号を反転したものを負側の駆動信号
Dun,Dvn,Dwnとして形成し、駆動回路16に出力す
るようになっている。
【0042】駆動回路16は、フォトカプラなどで構成
されており、与えられた正,負側の駆動信号Dup乃至D
wp,Dun乃至Dwnに応じたゲート信号を、トランジスタ
T1乃至T3,T4乃至T6に出力するようになってい
る。作用の詳細は後述する。
【0043】電流極性検出回路(電流極性検出手段)1
7は、インバータ主回路7において流れるU,V,W各
相電流の極性を検出し、電流極性信号Su,Sv,Sw
を電流位相差検出部15に出力するようになっている。
電流位相差検出部15は、これらの電流極性信号Su,
Sv,Swと通電信号形成部10から出力される通電位
相信号Spとに基づいて、モータ8の巻線8u,8v,
8wの両端に夫々印加される電圧に対する前記巻線電流
の位相差θiを検出して、その電流位相差θiを誘起電
圧位相差演算部11及び周波数指令決定部13に対して
出力するようになっている。
【0044】誘起電圧位相差演算部11は、電圧指令
V,周波数指令f及び電流位相差θiから、インバータ
主回路7の出力電圧に対するモータの8の巻線8u,8
v,8wに誘起される電圧の位相差θeを演算して、そ
の誘起電圧位相差θeを周波数指令決定部13に出力す
るようになっている。周波数指令決定部13は、周波数
指令f,電流位相差θi及び誘起電圧位相差θeから周
波数指令feを決定して、前述のように指令選択部12
に出力する。
【0045】図2は、U相に関する電流極性検出回路1
7uの詳細な電気的構成を示すものである。図2におい
て、駆動回路16unは、駆動信号Dunがハイレベルの場
合はトランジスタT1のベース−エミッタ間に図示しな
い駆動用電源からゲート駆動用の正電圧を印加し、駆動
信号Dunがロウレベルの場合は、トランジスタT1のベ
ース−エミッタ間にゲート駆動用の負電圧を印加するよ
うにゲート信号Gunを与えるものである。
【0046】トランジスタT4のエミッタと直流母線6
bとの間には、抵抗18uが介挿されている。そして、
トランジスタT4のエミッタと抵抗18uとの共通接続
点はコンパレータ19uの非反転入力端子に接続され、
抵抗18uと直流母線6bとの共通接続点はコンパレー
タ19uの反転入力端子に接続されている。コンパレー
タ19uの出力端子は、ラッチ回路20uの入力端子D
に接続されている。また、駆動回路16unの出力端子
は、ラッチ回路20uの入力端子ckに接続されており、
ゲート信号Gunを与えるようになっている。
【0047】このラッチ回路20uは、入力端子ckに与
えられる信号の立下がりエッジにおいて、入力端子Dに
与えられているデータをラッチ(セット)するものであ
る。ラッチ回路20uの負論理の出力端子/Qは、図示
しないフォトカプラなどを介して、電流極性信号Suを
出力するようになっている。以上、抵抗18u,コンパ
レータ19u,ラッチ回路20uにより電流極性検出回
路17uを構成している。尚、V及びW相についても、
電流極性検出回路17v,17wが全く同様に構成され
ており、夫々電流極性信号Sv及びSwを出力するよう
になっている。以上が、インバータ装置及びブラシレス
ファンモータを構成している。
【0048】次に、第1実施例の作用について図3乃至
図11をも参照して説明する。始動制御部9は、外部よ
りモータ8の始動指令信号が与えられると、電圧指令V
(例えば、電圧率50%)を通電信号形成部10に出力
すると共に、周波数指令fs(=0)を指令選択部12
に出力する。指令選択部12は、周波数指令fsをその
まま周波数指令fとして通電信号形成部10に出力す
る。
【0049】そして、通電信号形成部10は、周波数指
令fがf=0であることから、全て同一波形でデューテ
ィ略50%の通電信号Du,Dv,DwをPWM回路1
4に出力する(図3(a),図4(a)参照)。する
と、インバータ主回路7においては、通電信号Du,D
v,Dwに基づいてPWM回路14及び駆動回路16を
介して与えられるゲート信号Gup乃至Gwp,Gun乃至G
wnによって、トランジスタT1乃至T3,T4乃至T6
がオンオフされる(図3(b),(c)及び図4
(b),(c)参照)。
【0050】この場合、トランジスタT1乃至T3がオ
ン,T4乃至T6がオフの場合は、トランジスタT1,
T2,T3とモータ8の巻線8u,8v,8wとの間で
閉ループが形成され、トランジスタT1乃至T3がオ
フ,T4乃至T6がオンの場合は、トランジスタT4,
T5,T6とモータ8の巻線8u,8v,8wとの間で
閉ループが形成される。
【0051】この時、屋外で自然に吹いている風がエア
コンの室外機に設置されているファンに当たってそのフ
ァンが回転することにより、ファンの駆動用に取り付け
られているモータ8が回転していると、モータ8におい
ては発電作用が生じており、巻線8u,8v,8wには
誘起電圧が発生している。
【0052】その状態において、上述のようにトランジ
スタT1乃至T3,T4乃至T6がオンオフされると、
巻線8u,8v,8wには、位相差が互いに120度で
ある正弦波状の巻線電流Iu,Iv,Iw,が流れる。
例えば、図3(d)〜(f)は、モータ8が正転(U→
V→W→U→V→…)している場合の巻線電流Iu,I
v,Iwの波形であり、図4(d)〜(f)は、モータ
8が逆転(U→W→V→U→W→…)している場合の巻
線電流Iu,Iv,Iwの波形である。
【0053】電流極性検出回路17u,17v,17w
は、巻線電流Iu,Iv,Iwの極性を検出して、電流
極性信号Su,Sv,Swを出力する(図3(g)〜
(i),図4(g)〜(i)参照)。そして、回転数検
出部9bは、電流極性信号Su,Sv,Swの内、何れ
か1つの信号がハイレベルに立ち上がった時点からその
次に何れか1つの信号がロウレベルに立ち下がった時点
までの時間Tmを、内蔵されているタイマ(図示せず)
によって計測する。例えば、図3(g)〜(i)におい
ては、信号Suが立ち上がった時点から信号Swが立ち
下がった時点までの時間をTmとして計測している。
【0054】この場合、何れの2つの信号間について時
間Tmを計測しても、何れも電機角60度に相当する時
間となっている。回転数検出部9bは、時間Tmを計測
すると、(1)式に従ってモータ8の回転数Ss を演算
して検出する。 Ss =1/(6×Tm) …(1)
【0055】すると、始動方式決定部9aは、回転数検
出部9bが検出した回転数Ss に基づいて、以下のよう
にモータ8の始動方式を決定する。 回転数Ss が基準回転数(所定値,例えば、300〜
400rpm)以上の場合 その時点ではモータ8の始動を開始せずに、一定時間が
経過した後、再度上記と同様の過程を繰り返し、回転数
Ss に基づいて同様の判断を行う。 回転数Ss が基準回転数未満の場合 この場合、始動制御部9は、直流励磁信号Br を通電制
御部10に出力する。すると、通電制御部10は、例え
ばトランジスタT1及びT5のみを連続的にオン状態に
して、巻線8u,8vに直流電流を通電することによ
り、モータ8を直流励磁して回転を停止させる。その状
態でロータの位置決めを行った後、後述のように電圧指
令値V及び周波数指令値fs を出力して、モータ8の始
動を開始させる。
【0056】ここで、モータ8の回転数Ss に応じて始
動方式を,に分ける意義について説明する。即ち、
の場合は、室外機のファン及びモータ8は自然の風に
吹かれて比較的高速で回転しており、モータ8を停止さ
せることは容易ではない。この様な状態でモータ8をい
きなり始動させようとすると、モータ8に大きな負担を
かけることになる。従って、の場合はモータ8の始動
を見送り、一定時間が経過した後再度同様の過程を繰り
返し、モータ8を始動させることができるか否かを判断
する。
【0057】また、の場合は、室外機のファン及びモ
ータ8は比較的低速で回転しているので、直流励磁を行
うことによってモータ8の回転を容易に停止させること
ができる。そして、モータ8の回転を停止させた状態で
ロータの位置決めを行えば、モータ8の始動を容易に開
始させることができる。
【0058】さて、の場合においてモータ8の(正弦
波駆動による)始動を開始させる時は、始動制御部9
は、電圧指令値V及び周波数指令値fs を、図5に示す
時間関数に従って夫々出力する。即ち、初期値としては
比較的小なる指令値を出力し、その指令値を時間の経過
に伴って線形に増加させた後、所定時間が経過すると指
令値が一定となるようにする。
【0059】通電信号形成部10は、その周波数指令f
に応じた周波数でアドレスを循環的に増加させながら通
電信号のレベルデータを順次読出し、電圧指令Vを乗じ
て夫々電気角120度の位相差を有する通電信号Du,
Dv,Dwを出力する。
【0060】PWM回路14は、通電信号Du,Dv,
Dwが与えられると、正,負側の駆動信号Dup乃至Dw
p,Dun乃至Dwnを作成し、駆動回路16は、これらの
駆動信号に基づき正,負側のゲート信号Gup乃至Gwp,
Gun乃至GwnをトランジスタT1乃至T3,T4乃至T
6に出力する。すると、モータ8の各相巻線8u,8
v,8wには、略正弦波の相電流iu,iv,iwが通
電されて、モータ8が駆動される(図6(c)参照,電
流iuのみ図示)。
【0061】この時の電流極性検出回路17uの作用を
以下に説明する。図7(a)及び(b)は、駆動回路1
6up,16unを介してインバータ主回路7のU相のトラ
ンジスタT1及びT4に出力される駆動信号Dup及びD
unであり、U相電流iuの極性が負から正に変化して行
く場合を示している(図7(c)参照)。
【0062】U相電流iuの極性が負の場合、トランジ
スタT4にコレクタ電流が流れ、抵抗18uには、コン
パレータ19uの非反転入力端子の電位が反転入力端子
の電位よりも高くなる方向に電流iunが流れる(図7
(d)参照)。よって、コンパレータ19uの出力信号
は、駆動信号Dunがハイレベルとなるのに伴ってハイレ
ベルとなる。
【0063】また、U相電流iuの極性が正の場合は、
図2において点線で示すダイオードD4の順方向電流
が、駆動信号Dupのオフタイミング(ローレベル)で流
れるので、抵抗18uには、コンパレータ19uの反転
入力端子の電位が高くなる方向に流れて(図7(d)参
照)、コンパレータ19uの出力信号は常にローレベル
となる(図7(e)参照)。
【0064】そして、ラッチ回路20uの反転出力端子
/Qは、コンパレータ19uから与えられる信号をゲー
ト信号Gunの立下がりでラッチし、レベルを反転して出
力するので、電流極性信号Suは、U相電流iuの極性
が負の場合はローレベル,正の場合はハイレベルの信号
となる(図7(f)参照)。尚、V及びW相について
も、電流極性検出回路は全く同様に作用して、電流極性
信号Sv,Swが電流極性信号Suと共に、図6(d)
に示すように出力される。
【0065】図6に示すように、電流位相差検出部15
は、タイマによって通電信号形成部10から与えられる
通電位相信号Spの立上がり−立下がりエッジ間の時間
Tp(電気角60度に相当する)を計測する。また、タ
イマによって通電位相信号Spの立上がりエッジから電
流極性信号Suの立上がりエッジまでの時間Tiをも計
測し、(1)式によって通電信号Duに対する巻線電流
iuの位相差θiを演算して検出する。 θi=60×Ti/Tp …(2)
【0066】次に、誘起電圧位相差演算部11の作用に
ついて、図8乃至図11を参照して説明する。図8は、
モータ8の1相分の等価回路を示すものである。即ち、
インバータ主回路7の出力電圧(相電圧)V(=V′s
in(θ))の電圧源,モータ8の巻線のリアクタンス
L及び抵抗R,モータ8の誘起電圧E(=E′sin
(θ−θe))の電圧源が直列に接続されている。但
し、V′,E′は最大値を示す。誘起電圧Eに対して、
インバータ主回路7の出力電圧Vは位相θeだけ進んで
いる(図9参照)。
【0067】この時、リアクタンスL及び抵抗Rの直列
回路の両端には、インバータ主回路7の出力電圧Vと誘
起電圧Eとの差電圧(V−E)が印加され、リアクタン
スL及び抵抗Rの時定数と周波数指令fとから(3)式
のように定まる位相θvだけ遅れた電流I(=I′si
n(θ−θi))が流れる(図9参照)。但し、I′は
最大値を示す。 θv=tan−1(2πfL/R) …(3)
【0068】図9は、上述したインバータ主回路7の出
力電圧V,誘起電圧E及び電流Iの位相関係を示す波形
図である。この図9から明らかなように、インバータ主
回路7の出力電圧Vと差電圧(V−E)との位相差は、
(θv−θi)となる。図9中のA点で示すように、差
電圧のゼロクロス点において、インバータ主回路7の出
力電圧V及び誘起電圧Eのレベルが等しくなることから
(4)式が成立する。 V′sin(θi−θv)=E′sin(θi−θv−θe) …(4) また、モータ8の誘起電圧定数をKとすると誘起電圧E
は(5)式で表される。 E=K・f …(5)
【0069】これらの式から、誘起電圧位相差θeを以
下のように演算する。(3)式は、リアクタンスL及び
抵抗Rを定数とした周波数指令fの関数であり、モータ
8の巻線の時定数(L/R)を例えば“1/20”とし
た場合を、図10中破線で示している。モータ8の実際
に使用される回転数(周波数)の範囲を考慮すると、図
10中破線で示された関数を(6)式のように直線近似
することができ、それを実線で表している。 θv=Ka×f+Kb …(6) この一次関数のデータKa,Kbをメモリなどに保有す
ることにより、簡単な演算によって差電圧(V−E)に
対する電流Iの位相差θvを得ることができる。尚、
(3)式を直接演算してθvを求めても良いことは言う
までもない。
【0070】次に、(4)式は、(7)式のように変形
することができる。 V′sin(θv−θi)=E′sin(θv−θi+θe) sin(θv−θi+θe)=(V′/E′)sin(θv−θi) …(7)
【0071】図11は、電気角90度分の正弦波のレベ
ルデータである。この正弦波のデータを同様にメモリに
保有することによって、以下の手順で誘起電圧位相差θ
eを求める。 先ず、(2)式,(6)式から求めた位相差θi,θ
vから(θv−θi)が得られるので、(7)式右辺の
sin(θv−θi)=Xを求める。 次に、定数(V′/E′)に“X”を乗じたものを
(V′/E′)・X=Yとすると、“Y”は(7)式の
右辺であるから、 sin−1(Y)=θv−θi+θe …(8) であり、(θv−θi+θe)を得ることができる。 (9)式より、誘起電圧位相差θeを得る。 (θv−θi+θe)−(θv−θi)=θe …(9)
【0072】以上の誘起電圧位相差演算部11における
演算は、電流位相差検出部15においてU,V,W各相
毎の電流位相差θiが検出される度に実行され、インバ
ータ主回路7の出力電圧Vに対する誘起電圧Eの位相を
得ることができる。誘起電圧Eの位相は、モータ8のロ
ータの回転位置と一定の関係を有するものであるから、
誘起電圧Eの位相を得ることはロータの回転位置を検出
することに等しい。
【0073】そして、周波数指令決定部13は、誘起電
圧位相差θeが得られる度に、(10)式により周波数
指令feを決定して出力する。 fe=Kz(θi−θe)+f …(10) ここで、Kzは定数である。即ち、θi>θeの場合は
周波数指令feを増加させ、モータ8を加速させるよう
に通電を行い、ロータの位相(誘起電圧位相差θe)を
相対的に遅れ方向に移行させるように作用する。逆に、
θi<θeの場合は周波数指令feを減少させ、ロータ
の位相を相対的に進み方向に移行させるように作用す
る。尚、以上は主にU相について説明したが、V及びW
相についても同様に作用するものである。
【0074】以上の処理が繰返されることによって、最
終的に、電流位相差θiと誘起電圧位相差θeとが等し
くなるように周波数指令fe、即ち周波数指令fが決定
される。また、始動制御部9は、モータ8の始動開始か
ら所定時間が経過して、図3に示す電圧指令V及び周波
数指令fsが一定値となる時点で選択信号Skを出力
し、指令選択部12に、周波数指令をfsからfeに切
替えさせる。その時点で(10)式は、 fe=Kz(θi−θe)+fs …(11) となっており、(11)式を初期値として、以降は、周
波数指令f=feで制御が行われる。この様に、本実施
例のインバータ装置は、電流極性検出回路17によって
出力される電流極性信号Su,Sv,Swに基づいて、
モータ8を正弦波駆動するようになっており、ホールI
Cなどの位置センサを使用しない所謂センサレス駆動方
式を採用している。
【0075】以上のように本実施例によれば、回転数検
出部9bは、モータ8が始動開始前にファンに受ける風
などの外力によって回転している場合に、巻線8u,8
v,8wに発生する誘起電圧に応じて通電信号形成部1
0の作用により各巻線8u,8v,8wに流れる電流の
極性変化に基づきモータ8の回転数Ss を検出し、始動
方式決定部9aは、回転数Ss が基準回転数以上である
場合はその時点でのモータ8の始動を見送り、回転数S
s が基準回転数未満である場合には、モータ8の始動を
開始させるようにした。
【0076】従って、センサレス駆動方式を採用した場
合であっても、モータ8の始動前の回転状態を判別する
ことができる。そして、モータ8が比較的高速で回転し
ている状態でモータ8の始動を行ってモータ8の各部に
機械的負担をかけることがなく、モータ8の回転を容易
に停止させることができロータの位置検出を確実に行い
得る場合にのみモータ8の始動を開始させることによっ
て、モータ8の寿命を長期化することができる。また、
始動時における振動の発生などを防止することができ
る。
【0077】即ち、センサレス駆動方式のインバータ装
置をエアコンの室外機などに配置されるファンの駆動に
適用することができるようになり、エアコンシステムの
低コスト化及び小形化を図ることができる。また、当該
インバータ装置の使用環境を拡大することができる。
【0078】図12は本発明の第2実施例を示すもので
あり、第1実施例と同一部分には同一符号を付して説明
を省略し、以下異なる部分についてのみ説明する。電気
的構成を示す図12において、第2実施例の構成は、始
動制御部9に回転方向検出部(回転方向検出手段)9c
を加えた部分が異なっている。回転方向検出部9cは、
モータ8の回転方向Ds を検出して、始動方式決定部9
aに代わる始動方式決定部(始動方式決定手段)9a′
に出力するようになっている。その他の構成は第1実施
例と同様である。
【0079】次に、第2実施例の作用について、再び図
3及び図4をも参照して説明する。外部よりモータ8の
始動指令信号が与えられた場合、通電信号形成部10
は、第1実施例と同様に、全て同一波形でデューティ略
50%の通電信号Du,Dv,DwをPWM回路14に
出力して、トランジスタT1乃至T3,T4乃至T6を
オンオフさせる(図3(a)〜(c)及び図4(a)〜
(c)参照)。そして、モータ8が始動開始前に回転し
ている場合に、回転数検出部9bは、時間Tmを計測
し、(1)式に従ってモータ8の回転数Ss を演算して
検出する。
【0080】この時、回転方向検出部9cは、モータ8
の回転方向に応じて、異なるパターンで出力される電流
極性信号Su,Sv,Swを参照することにより、モー
タ8の回転方向Ds を検出する。検出方式としては様々
な手法が考えられるが、例えば、電流極性信号Suの立
ち下がり時点における、電流極性信号Sv,Swのレベ
ルを参照することにより、回転方向Ds の検出が可能で
ある。
【0081】例えば、図3(g)〜(i)に示すよう
に、モータ8が正転している場合は、電流極性信号Su
の立ち下がり時点(時点A)における電流極性信号S
v,Swのレベルは夫々ハイ(H),ロウ(L)であ
る。また、図4(g)〜(i)に示すように、モータ8
が逆転している場合は、電流極性信号Suの立ち下がり
時点(時点B)における電流極性信号Sv,Swのレベ
ルは夫々ロウ,ハイである。
【0082】以上のようにして、回転方向検出部9c
は、モータ8の回転方向Ds を検出すすると、始動方式
決定部9a′に出力する。始動方式決定部9a′は、モ
ータ8の回転方向Ds と回転数検出部9bが検出した回
転数Ss とに基づいて、モータ8の始動方式を以下のよ
うに決定する。 回転数Ss が基準回転数以上の場合 その時点ではモータ8の始動を開始せずに、一定時間が
経過した後、再度上記と同様の過程を繰り返し、回転数
Ss に基づいて同様の判断を行う。この場合は、第1実
施例のと同様にモータ8に負担をかけるおそれがある
ので、この時点でのモータ8の始動を見送る。
【0083】回転数Ss が基準回転数未満で、且つ、
回転方向Ds が正転方向の場合 その状態のままモータ8の始動を開始させる。この場合
は、モータ8が比較的低速で正転していることから、モ
ータ8に負担をかけるおそれはなく、ロータの回転位置
情報も得られているのでモータ8を問題なく始動するこ
とができる。
【0084】回転数Ss が基準回転数未満で、且つ、
回転方向Ds が逆転方向の場合 直流励磁指令信号Br を通電信号形成部10に出力し、
モータ8を直流励磁して回転を停止させる。その状態で
ロータの位置決めを行った後、モータ8の始動を開始さ
せる。この場合は、モータ8が逆転しているので、直流
励磁して回転を停止させてから(正転方向へ)始動す
る。
【0085】回転数Ss が基準回転数未満で、且つ、
回転方向Ds が検出できない場合 この場合は、モータ8が停止している状態と判断される
ので、直流励磁してロータの位置決めを行った後、モー
タ8の始動を開始させる。尚、以降のモータ8の駆動制
御については、第1実施例と同様である。
【0086】以上のように第2実施例によれば、回転方
向検出部9cは、始動前に風などの外力によって回転し
ているモータ8の回転方向Ds を、電流極性信号Suの
立ち下がり時点における電流極性信号Sv,Swのレベ
ルを参照することにより検出し、始動方式決定部9a′
は、その回転方向Ds と回転数検出部9bが検出した回
転数Ss とに応じて、モータ8の始動方式を決定するよ
うにした。
【0087】従って、始動前におけるモータ8の回転状
態をより詳細に把握した上で、例えば、上記のよう
に、回転数Ss が基準回転数未満で且つ回転方向Ds が
正転方向の場合にはその状態のままモータ8の始動を開
始させ、モータ8の始動をより速く開始させることが可
能となるなど、より適当な始動方式を選択することがで
きる。
【0088】図13及び図14は本発明の第3実施例を
示すものであり、第1実施例と同一部分には同一符号を
付して説明を省略し、以下異なる部分についてのみ説明
する。電気的構成を示す図13においては、第1実施例
の回転数検出部9bが回転数検出部(回転数検出手段)
9b′に置き換わっていると共に、通電信号形成部10
が通電信号形成部(通電信号形成手段)10′に置き換
わっている。その他の構成は、第1実施例と同様であ
る。
【0089】次に、第3実施例の作用について図14を
も参照して説明する。始動制御部9は、外部よりモータ
8の始動指令信号が与えられると、第1実施例と同様
に、電圧指令V(例えば、電圧率50%)を通電信号形
成部10に出力すると共に、周波数指令fs(=0)
を、指令選択部12を介して通電信号形成部10′に出
力する。
【0090】そして、通電信号形成部10′は、周波数
指令fがf=0であることから、全て同一波形でデュー
ティ略50%の通電信号Du,DvをPWM回路14に
出力する図14(a)参照)。尚、通電信号Dwは出力
しない。すると、インバータ主回路7においては、通電
信号Du,Dvに基づいてPWM回路14及び駆動回路
16を介して与えられるゲート信号Gup及びGvp,Gun
及びGvnによって、トランジスタT1及びT2,T4及
びT6がオンオフされる(図14(b),(c)参
照)。
【0091】この場合、トランジスタT1及びT2がオ
ン,T4及びT5がオフの場合は、トランジスタT1,
T2とモータ8の巻線8u,8vとの間で閉ループが形
成され、トランジスタT1及びT2がオフ,T4及びT
5がオンの場合は、トランジスタT4,T5とモータ8
の巻線8u,8vとの間で閉ループが形成される。
【0092】その状態において、前述のようにモータ8
が回転していると、巻線8u,8vに発生する誘起電圧
により、巻線8u,8vには位相差が互いに180度で
ある正弦波状の巻線電流Iu,Ivが流れる。尚、この
様に三相のうち二相の巻線に通電を行う場合には、モー
タ8の回転方向の正,逆に拘らず、巻線電流Iu,Iv
の波形のパターンは同一となる。
【0093】電流極性検出回路17u,17v,17w
は、巻線電流Iu,Iv,Iwの極性を検出して、電流
極性信号Su,Sv,Swを出力する(図14(g)〜
(i)参照)。この場合、電流極性信号Swは出力され
ない。そして、回転数検出部9b′は、電流極性信号S
u,Svの内、何れか一方の信号がハイレベルに立ち上
がった時点からその次に他方の信号がロウレベルに立ち
下がった時点までの時間Tmを、内蔵されているタイマ
(図示せず)によって計測する。例えば、図15(i)
においては、信号Suが立ち上がった時点から信号Sv
が立ち下がった時点までの時間をTmとして計測してい
る。
【0094】この場合、何れの2つの信号間について時
間Tmを計測しても、何れも電機角180度に相当する
時間となっている。回転数検出部9b′は、時間Tmを
計測すると、(12)式に従ってモータ8の回転数Ss
を演算して検出する。 Ss =1/(2×Tm) …(12) すると、始動方式決定部9aは、回転数検出部9b′が
検出した回転数Ss に基づいて、第1実施例と同様にモ
ータ8の始動方式を決定する。
【0095】以上のように第3実施例によれば、回転数
検出部9b′は、モータ8が始動開始前にファンに受け
る風などの外力によって回転している場合に、巻線8
u,8vに発生する誘起電圧に応じて通電信号形成部1
0の作用により各巻線8u,8vに流れる電流の極性変
化に基づきモータ8の回転数Ss を検出し、始動方式決
定部9aは、その回転数Ss に応じてモータ8の始動方
式を決定するので、第1実施例と同様の効果を得ること
ができる。
【0096】図15乃至図17は本発明の第4実施例を
示すものであり、第2及び第3実施例と同一部分には同
一符号を付して説明を省略し、以下異なる部分について
のみ説明する。電気的構成を示す図15において、第4
実施例の構成は、第3実施例の構成に、第2実施例の回
転方向検出部9cに代わる回転方向検出部(回転方向検
出手段)9c′を加えたものである。
【0097】この回転方向検出部9c′は、通電信号形
成部10′に対して通電切換信号Ch を与えるようにな
っており、通電信号形成部10′は、通電切換信号Ch
が与えられると、モータ8の巻線8u,8v,8wへの
通電相を後述のように切り換えるようになっている。
【0098】次に、第4実施例の作用について図16及
び図17をも参照して説明する。外部よりモータ8の始
動指令信号が与えられた場合、通電信号形成部10′
は、第3実施例と同様に、全て同一波形でデューティ略
50%の通電信号Du,DvをPWM回路14に出力し
て、トランジスタT1及びT2,T4乃至T6をオンオ
フさせる(図16(a)〜(c)及び図17(a)〜
(c)参照)。そして、モータ8が始動開始前に回転し
ている場合に、回転数検出部9b′は、時間Tmを計測
し(12)式に従ってモータ8の回転数Ss を演算して
検出する。
【0099】この時、回転方向検出部9c′において
は、電流極性信号Su,Svのみが検出されており、第
3実施例において述べたように、モータ8の回転方向に
拘らず両者の波形パターンは同一である。
【0100】そして、回転方向検出部9c′は、例え
ば、電流極性信号Suの立ち下がり(=電流極性信号S
vの立ち下がり)のタイミング(図16時点A,図17
時点B参照)において、通電切換信号Ch を通電信号形
成部10′に出力する。すると、通電信号形成部10′
は、通電信号の通電相をU,V相からU,W相に切り換
える。
【0101】この通電相の切換直後における電流極性信
号Su,Swは、モータ8の回転方向に応じて異なるレ
ベルを示す。即ち、図16に示すように、モータ8が正
転している場合、電流極性信号Su,Swのレベルは夫
々ハイ,ロウとなり、また、図17に示すように、モー
タ8が逆転している場合、電流極性信号Su,Swのレ
ベルは夫々ロウ,ハイとなる。
【0102】ここで、再び図3及び図4を参照して説明
する。先ず、巻線電流Iuの波形に注目し(図3(d)
及び図4(d))、電流極性信号Suの立ち下がり後、
即ち、巻線電流Iuの正から負へのゼロクロス後である
図3(正転の場合)の時点C,図4(逆転の場合)の時
点Dにおける巻線電流Iu,Iv,Iwの波形を比較し
てみる。
【0103】すると、図3の時点Cにおける各巻線電流
の極性は、Iu(−),Iv(+),Iw(−)であ
る。即ち、第1実施例のように三相の巻線8u,8v,
8wに全て通電させるようにした場合、この時点では、
V相からU及びW相に電流が流れており、電流の位相
は、V→W、即ち、極性がIu(−),Iv(−),I
w(+)へと変化する方向に進んでいる。つまり、W相
電流Iwは、負から正へのゼロクロス点に向かう途中に
ある。
【0104】従って、図16の時点A(図3の時点C)
において通電相をU,V相からU,W相に切り換える
と、その時点でV相から供給されていた電流分はU相か
ら供給されることになり、Iu(+):Su(ハイ),
Iw(−):Sw(ロウ)となって、U相からW相に電
流が流れる。
【0105】一方、図4の時点Dにおける各巻線電流の
極性は、Iu(−),Iv(−),Iw(+)である。
即ち、三相の巻線8u,8v,8wに全て通電させるよ
うにした場合、この時点では、W相からU及びV相に電
流が流れており、電流の位相は、W→V、即ち、極性が
Iu(−),Iv(+),Iw(−)へと変化する方向
に進んでいる。つまり、W相電流Iwは、正から負への
ゼロクロス点に向かう途中にある。
【0106】従って、図17の時点B(図4の時点D)
において通電相をU,V相からU,W相に切り換える
と、その時点でW相からU及びV相に供給されていた電
流分は全てU相に流れることになり、Iu(−):Su
(ロウ),Iw(+):Sw(ハイ)となる。
【0107】以上説明したように、回転方向検出部9
c′は、巻線電流Iuの極性が正から負に変化するゼロ
クロスのタイミングで通電切換信号Ch を通電信号形成
部10′に出力した直後の電流極性信号Su,Swのレ
ベルを参照して、モータ8の回転方向Ds を検出する。
検出後の始動方式の決定は、始動方式決定部9aにより
第2実施例と同様に行われる。
【0108】以上のように第4実施例によれば、通電信
号形成部10′は、モータ8が始動開始前にファンに受
ける風などの外力によって回転している場合に、巻線8
u,8v,8wに発生する誘起電圧によってその内の二
相の巻線8u,8vに電流Iu,Ivを流しておき、回
転方向検出部9c′から通電切換信号Ch が与えられる
と通電相をU,V相からU,W相に切り換え、回転方向
検出部9c′は、通電切換信号Ch を通電信号形成部1
0′に出力した直後の電流極性信号Su,Swのレベル
を参照して、モータ8の回転方向Ds を検出するように
したので、第2実施例と同様の効果が得られる。
【0109】本発明は上記し且つ図面に記載した実施例
にのみ限定されるものではなく、次のような変形または
拡張が可能である。モータ8が始動開始前に回転してい
る時に、第1及び第2実施例のようにトランジスタT1
乃至T3,T4乃至T6を同じタイミングでオンオフさ
せたり、また、第3及び第4実施例のようにトランジス
タT1及びT2,T4及びT5を同じタイミングでオン
オフさせると、モータ8に対しては制動制御(短絡制
動)として作用するため、回転数検出部9bまたは9
b′が検出する回転数Ss は、実際には、上記制動がか
かる前のモータ8の回転数よりも僅かに低くなる。そこ
で、予め、モータ8の実際の回転数と回転数検出部9b
または9b′が検出する回転数Ss との相関を求め、補
正用のデータテーブルとして記憶させておき、回転数S
s を得た後に、前記データテーブルに基づいてモータ8
の実際の回転数を得るようにしても良い。また、数式、
或いは近似式による演算で補正するようにしても良い。
斯様に構成すれば、より実際の値に近いモータ8の回転
数を得ることができる。
【0110】第2実施例における回転方向Ds の検出
は、例えば、電流極性信号Suの立ち上がり時点におけ
る電流極性信号Sv,Swのレベル(ロウ,ハイなら正
転、ハイ,ロウなら逆転)で判定しても良い。また、他
の相の立ち上がりまたは立ち下がり時点における、残り
の二相のレベルで判定しても良い。第4実施例において
も、通電相の切換は、三相の内何れか任意の二相を選択
し、通電切換信号Ch が与えられると、前記二相の何れ
か一方を残りの一相に切り換えるようにすれば良い。誘
起電圧位相差演算手段は、数式に基づいた演算や近似式
による演算で求めるものに限らず、例えば電流位相差θ
i,電圧指令V,周波数指令fをパラメータとして予め
演算した結果をデータテーブルとして記憶させておき、
それを読出して得るようにしても良い。モータ8の定数
であるリアクタンスL,抵抗R,誘起電圧定数Kを固定
値とせず、周囲温度などに応じて補正するようにするの
が好ましい。斯様にすれば、精度をより高めることがで
きる。
【0111】周波数指令決定手段における周波数指令f
eの決定は、(10)式によるものに限らず、例えば、
周波数指令feの変化量を、直前の周波数指令fや電圧
指令Vに応じて変えるようにしても良い。電流極性検出
回路17を三相分設けて、電流位相差検出部15,誘起
電圧位相差演算部11,周波数指令決定部13における
処理を1電気周期に6回、即ち電気角60度毎に実行さ
せるようにしたが、モータや負荷の慣性に応じて処理回
数を減らしても良い。また、周波数の高低に応じて処理
回数を変化させても良い。駆動回路16と電流極性検出
回路17とをワンチップICとして構成しても良い。ま
た、更に、インバータ主回路7を加えてワンチップIC
を構成しても良い。斯様に構成すれば、部品点数を削減
できると共にインバータ装置を小形化することができ
る。抵抗18uに代えて、互いに逆並列接続したダイオ
ードを用いても良い。正側のトランジスタT1乃至T3
の側に、電流極性検出手段を設けても良い。ラッチ回路
20uのクロック入力端子ckに与える信号は、ゲート信
号Gun,Gvn及びGwnに限らず、駆動信号Dun,Dvn及
びDwnなどトランジスタT4のオン,オフタイミングを
得られる信号であれば何でも良い。通電信号形成部10
のレベルデータは、正弦波に応じた電圧率に限ること無
く、モータ8のトルク変動を減少させる波形に応じた電
圧率であれば適宜変更して良い。
【0112】
【発明の効果】本発明は以上説明した通りであり、始動
方式決定手段は、回転数検出手段が検出するブラシレス
モータの回転数に基づいて当該ブラシレスモータの適切
な始動方式を決定することができ、具体的には、ブラシ
レスモータの回転数が所定値以上である場合にはブラシ
レスモータの始動を見合わせ、ブラシレスモータの回転
数が所定値未満である場合は、ブラシレスモータに対し
て直流励磁を行って回転を停止させた後に、電流極性検
出手段が出力する極性信号に基づいて例えば正弦波の通
電信号をインバータ主回路に出力することにより、振動
を発生させることなくブラシレスモータをスムーズに始
動させることができる。そして、始動時においてブラシ
レスモータに負担をかけることないので、寿命を長期化
することができる。
【0113】また、回転方向検出手段により、始動前に
おけるブラシレスモータの回転方向をも判別することに
よって、より適切な始動方式を選択することができ、例
えば、始動前におけるブラシレスモータの回転数が所定
値未満であり且つ回転方向が正回転である場合にはその
ままブラシレスモータの駆動を開始することによって、
ブラシレスモータの始動をより速く開始することが可能
となる。
【0114】更に、ブラシレスモータにより例えばエア
コンの室外機などに配置されるファンを駆動する場合に
おいて、ブラシレスモータの始動時に当該ファンが風な
どの外力を受けて回転している場合に、その回転状態に
応じて適切な始動方式を選択することにより、ブラシレ
スモータ及びファンをスムーズに始動させることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す電気的構成の機能ブ
ロック図
【図2】電流極性検出回路の詳細な電気的構成を示す図
【図3】モータが正転している場合の各部のタイミング
チャート
【図4】モータが逆転している場合の各部のタイミング
チャート
【図5】始動制御部が出力する電圧指令及び周波数指令
を時間関数として示す図
【図6】通電信号形成部が出力する信号波形と電流極性
信号との位相関係を示す図
【図7】電流極性検出回路のタイミングチャート
【図8】ブラシレスモータ1相分の等価回路を示す図
【図9】インバータ装置−ブラシレスモータ間の電圧及
び電流の位相関係を示す図
【図10】誘起電圧位相差演算部が行う演算において用
いられる、電圧位相差θvを周波数fの1次関数として
近似したものを示す図
【図11】誘起電圧位相差演算部が行う演算において用
いられる、電気角90度分の正弦波のレベルデータを示
す図
【図12】本発明の第2実施例を示す図1相当図
【図13】本発明の第3実施例を示す図1相当図
【図14】図3相当図
【図15】本発明の第4実施例を示す図1相当図
【図16】図3相当図
【図17】図4相当図
【符号の説明】 7はインバータ主回路、8はブラシレスモータ、8u,
8v,8wは巻線、9a及び9a′は始動方式決定部
(始動方式決定手段)、9b及び9b′は回転数検出部
(回転数検出手段)、9c及び9c′は回転方向検出部
(回転方向検出手段)、10及び10′は通電信号形成
部(通電信号形成手段)、17(17u,17v,17
w)は電流極性検出回路(電流極性検出手段)を示す。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ブラシレスモータの三相巻線に通電を行
    うインバータ主回路と、 前記三相巻線に流れる電流の極性を検出して極性信号を
    出力する電流極性検出手段と、 この電流極性検出手段が出力する前記極性信号に基づい
    て通電信号を形成し、前記インバータ主回路に出力する
    通電信号形成手段と、 前記ブラシレスモータの始動時において、前記電流極性
    検出手段が出力する前記極性信号を参照し、電流極性が
    変化する周期に基づいて前記ブラシレスモータの回転数
    を検出する回転数検出手段と、 この回転数検出手段が検出する前記ブラシレスモータの
    回転数に基づいて前記ブラシレスモータの始動方式を決
    定する始動方式決定手段とを備えたことを特徴とするイ
    ンバータ装置。
  2. 【請求項2】 始動方式決定手段は、回転数検出手段に
    より検出されたブラシレスモータの回転数が所定値以上
    である場合には、ブラシレスモータの始動を行わず、 回転数検出手段により検出されたブラシレスモータの回
    転数が所定値未満である場合には、通電信号形成手段に
    ブラシレスモータに対する直流励磁を行わせた後に、電
    流極性検出手段が出力する極性信号に基づいた通電信号
    を出力させることを特徴とする請求項1記載のインバー
    タ装置。
  3. 【請求項3】 ブラシレスモータの始動時において、電
    流極性検出手段が出力する極性信号を参照し、電流極性
    の変化に基づいてブラシレスモータの回転方向を検出す
    る回転方向検出手段を備え、 始動方式決定手段は、回転数検出手段が検出するブラシ
    レスモータの回転数と、回転方向検出手段が検出するブ
    ラシレスモータの回転方向とに基づいてブラシレスモー
    タの始動方式を決定することを特徴とする請求項1記載
    のインバータ装置。
  4. 【請求項4】 始動方式決定手段は、回転数検出手段に
    より検出されたブラシレスモータの回転数が所定値以上
    である場合には、ブラシレスモータの始動を行わず、 回転数検出手段により検出されたブラシレスモータの回
    転数が所定値未満であり、且つ、回転方向検出手段によ
    り検出されたブラシレスモータの回転方向が正方向であ
    る場合には、通電信号形成手段に電流極性検出手段が出
    力する極性信号に基づいた通電信号を出力させ、 回転数検出手段により検出されたブラシレスモータの回
    転数が所定値未満であり、且つ、回転方向検出手段によ
    り検出されたブラシレスモータの回転方向が逆方向であ
    る場合には、通電信号形成手段にブラシレスモータに対
    する直流励磁を行わせた後に、電流極性検出手段が出力
    する極性信号に基づいた通電信号を出力させることを特
    徴とする請求項3記載のインバータ装置。
  5. 【請求項5】 通電信号形成手段は、ブラシレスモータ
    の始動時に始動方式決定手段がブラシレスモータの始動
    方式を決定する場合に、ブラシレスモータの三相巻線に
    対して全て同一の通電信号を形成して出力し、 回転数検出手段は、前記三相巻線に流れる電流の極性が
    変化する周期に基づいてブラシレスモータの回転数を検
    出することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載
    のインバータ装置。
  6. 【請求項6】 通電信号形成手段は、ブラシレスモータ
    の始動時に始動方式決定手段がブラシレスモータの始動
    方式を決定する場合に、ブラシレスモータの三相巻線の
    内何れか二相の巻線に対して同一の通電信号を形成して
    出力し、 回転数検出手段は、前記二相の巻線に流れる電流の極性
    が変化する周期に基づいてブラシレスモータの回転数を
    検出することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記
    載のインバータ装置。
  7. 【請求項7】 通電信号形成手段は、ブラシレスモータ
    の始動時に始動方式決定手段がブラシレスモータの始動
    方式を決定する場合に、ブラシレスモータの三相巻線に
    対して全て同一の通電信号を形成して出力し、 回転方向検出手段は、前記三相巻線の内何れか一相の巻
    線の電流極性が変化した時点における他の二相の巻線の
    電流極性に基づいてブラシレスモータの回転方向を検出
    することを特徴とする請求項3または4記載のインバー
    タ装置。
  8. 【請求項8】 通電信号形成手段は、ブラシレスモータ
    の始動時に始動方式決定手段がブラシレスモータの始動
    方式を決定する場合に、ブラシレスモータの三相巻線の
    内何れか二相の巻線に対して同一の通電信号を形成して
    出力した後、前記二相の巻線に流れる電流の極性が変化
    するタイミングにおいて残りの一相の巻線と前記二相の
    内何れか一相の巻線に通電相を切り換えて同一の通電信
    号を形成して出力し、 回転方向検出手段は、通電信号形成手段による通電相の
    切り換え直後における二相の巻線の電流極性に基づいて
    ブラシレスモータの回転方向を検出することを特徴とす
    る請求項3または4記載のインバータ装置。
  9. 【請求項9】 ファンを回転駆動するブラシレスモータ
    と、 このブラシレスモータの三相巻線に通電を行うインバー
    タ主回路と、 前記三相巻線に流れる電流の極性を検出して極性信号を
    出力する電流極性検出手段と、 この電流極性検出手段が出力する前記極性信号に基づい
    て通電信号を形成し、前記インバータ主回路に出力する
    通電信号形成手段と、 前記ブラシレスモータの始動時において、前記ファンが
    外力により回転している場合に前記電流極性検出手段が
    出力する前記極性信号を参照し、電流極性が変化する周
    期に基づいて前記ブラシレスモータの回転数を検出する
    回転数検出手段と、 この回転数検出手段が検出する前記ブラシレスモータの
    回転数に基づいて前記ブラシレスモータの始動方式を決
    定する始動方式決定手段とを備えたことを特徴とするブ
    ラシレスファンモータ。
  10. 【請求項10】 始動方式決定手段は、回転数検出手段
    により検出されたブラシレスモータの回転数が所定値以
    上である場合には、ブラシレスモータの始動を行わず、 回転数検出手段により検出されたブラシレスモータの回
    転数が所定値未満である場合には、通電信号形成手段に
    ブラシレスモータに対する直流励磁を行わせた後に、電
    流極性検出手段が出力する極性信号に基づいた通電信号
    を出力させることを特徴とする請求項9記載のブラシレ
    スファンモータ。
  11. 【請求項11】 ブラシレスモータの始動時において、
    ファンが外力により回転している場合に電流極性検出手
    段が出力する極性信号を参照し、電流極性の変化に基づ
    いてブラシレスモータの回転方向を検出する回転方向検
    出手段を備え、 始動方式決定手段は、回転数検出手段が検出するブラシ
    レスモータの回転数と、回転方向検出手段が検出するブ
    ラシレスモータの回転方向とに基づいてブラシレスモー
    タの始動方式を決定することを特徴とする請求項9記載
    のブラシレスファンモータ。
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