JPH11182694A - 高温用グローブ弁 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 流体の圧力が高い場合において、流体の圧力
および温度、熱伝達率が変化しても安定したシール性を
保てる高温用グローブ弁を提供する。 【解決手段】 弁体ポート４を形成するシート座５に、
ベローズ９とシートリング１０とから成るシート部８を
設けるとともに、ベローズ９とポート部１３との間の環
状空間２１内に皿ばね２２を設け、皿ばね２２の上端部
２２ａとシートリング１０との間には、シール面１０ａ
とシール面１２ａとが非圧接状態において、初期隙間Ｓ
を設け、ポート部１３は、弁体６の開閉に伴い、シート
リング１０、ベローズ９、皿ばね２２にそれぞれ嵌脱自
在に設けたことにより、ベローズ９の反力と皿ばね２２
の反力を、流体の圧力の高低に応じて段階的に利用する
ことで、流体の圧力が変化しても安定したシール性を保
つことができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、流体の温度や熱伝
達率などが変化する場合に有効な高温用グローブ弁に関
するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、図３に示すように、この種の高温
用グローブ弁は、弁箱１の内部に、弁箱流路２と、弁室
３と、弁体ポート４を形成するシート座５とを設けてお
り、弁室３内には弁体６を収納している。弁体６は、弁
棒７を介して操作装置（図示せず）に連結しており、操
作装置により開閉方向へ移動する。

【０００３】シート座５には弁体６の開閉方向に伸縮自
在なシート部８を設けており、シート部８は、シート座
５に設けた円筒形状のベローズ９と、ベローズ９の開口
周縁部に設けかつ閉動した弁体６が圧接するシートリン
グ１０とから成る。ベローズ９は、弁体６の開閉方向に
伸縮自在で、かつ周方向にたわみ自在に薄型に形成して
おり、内部に、弁体ポート４に連通する流路１１を形成
している。

【０００４】弁体６は、シート部８の開口部を閉止する
円板部１２と、円板部１２の下面に連設した円筒状のポ
ート部１３とから成り、ポート部１３には逆Ｖ状の開口
部１３ａを形成してある。ポート部１３は、弁体６の開
閉に伴い、シートリング１０およびベローズ９に嵌脱自
在に設けてある。また、円板部１２の周縁部に、ポート
部１３の外周方向に突出するシール面１２ａを全周にわ
たり形成しており、このシール面１２ａは、弁体６の閉
動時に、シートリング１０のシール面１０ａに圧接す
る。

【０００５】上記した従来の構成によると、操作装置の
駆動により弁体６を閉動させるのに伴って、ポート部１
３がシートリング１０およびベローズ９の内側に嵌入
し、円板部１２のシール面１２ａがシートリング１０の
シール面１０ａに圧接し、ベローズ９は圧縮する。これ
により、ベローズ９にシートリング１０側への反力が発
生し、シートリング１０のシール面１０ａと円板部１２
のシール面１２ａとの間に面圧を生起して全閉状態とな
る。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】上記した従来の構成に
おいて、高温用グローブ弁は、弁体６の全閉状態で流体
温度や熱伝達率が変化して弁箱１や弁棒７が膨張または
収縮した場合においても、ベローズ９が圧縮または復元
することにより熱膨張差を吸収することができ、さらに
ベローズ９が周方向へたわむことによっても熱膨張差を
吸収することができることにより、流体の温度や熱伝達
率が変化しても安定したシール性を保つことができる。

【０００７】しかし、流体の圧力が高い場合において
は、ベローズは薄型で強度的に弱く圧縮に伴う反力も弱
いという性質を有するため、シートリングのシール面と
円板部のシール面との間にかかる面圧を、流体の圧力に
抗して所定の圧力まで高くすることができないことか
ら、流体の漏れ量が多くなる可能性がある。したがっ
て、流体の圧力および温度、熱伝達率が変化すると安定
したシール性を保つことができないという問題がある。

【０００８】本発明は、流体の圧力が高い場合におい
て、流体の圧力および温度、熱伝達率が変化しても安定
したシール性を保てる高温用グローブ弁を提供すること
を目的とするものである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記した課題を解決する
ために、本発明の高温用グローブ弁は、弁体ポートを形
成するシート座に、円筒形状のベローズとベローズの開
口周縁部に設けたシート体とから成るシート部と、ベロ
ーズの周面近傍に沿って、シート体を弁体側に付勢し得
る付勢手段とを設け、上記ベローズと付勢手段とを弁体
の開閉方向に伸縮自在に設けたものである。

【００１０】上記した構成によると、弁体は閉動時にシ
ート体に圧接し、ベローズは圧縮することにより、ベロ
ーズにシート体側への反力が発生し、シート体と弁体と
の間に面圧を生起する。さらにベローズを初期隙間のス
トローク分圧縮した後、付勢手段を圧縮することによ
り、付勢手段にシート体側への反力が発生し、シート体
と弁体との間に高い面圧を生起する。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態にお
ける高温用グローブ弁を図面に基づいて説明する。先に
図３において説明したものと同様の作用を行う部材につ
いては同一番号を付して説明を省略する。

【００１２】図１〜図２に示すように、高温用グローブ
弁２０は、弁箱１の内部に、弁箱流路２と、弁室３と、
弁体ポート４を形成するシート座５とを設けており、弁
室３内には弁体６を収納している。弁体６は、弁棒７を
介して操作装置（図示せず）に連結しており、操作装置
により開閉方向へ移動する。

【００１３】シート座５には、シートリング１０を円板
部１２側へ向けて付勢可能な第１付勢手段であるベロー
ズ９とシート体であるシートリング１０とから成るシー
ト部８を設けるとともに、ベローズ９とポート部１３と
の間の環状空間２１内に、シートリング１０を円板部１
２側へ向けて付勢可能な第２付勢手段である皿ばね２２
を設けている。

【００１４】皿ばね２２の上端部２２ａとシートリング
１０との間には、シール面１０ａとシール面１２ａとが
非圧接状態において、初期隙間Ｓを設けている。ポート
部１３は、弁体６の開閉に伴い、シートリング１０、ベ
ローズ９、皿ばね２２にそれぞれ嵌脱自在に設けてあ
る。

【００１５】以下、上記した構成における作用を説明す
る。流体の圧力が高い場合において、弁体６の閉動に伴
って、ポート部１３がシートリング１０、ベローズ９、
皿ばね２２の内側に嵌入し、円板部１２のシール面１２
ａがシートリング１０のシール面１０ａに圧接し、ベロ
ーズ９は圧縮する。ベローズ９を初期隙間Ｓのストロー
ク分圧縮した後、皿ばね２２を圧縮することで、皿ばね
２２にシートリング１０側への反力が発生し、シートリ
ング１０のシール面１０ａと円板部１２のシール面１２
ａとの間に面圧を生起する。

【００１６】皿ばね２２は、剛体で強度的に強く、圧縮
に伴う上記反力は大きいことから、シートリング１０の
シール面１０ａと円板部１２のシール面１２ａとの間に
かかる面圧を、流体の圧力に抗して所定の圧力まで高く
することができる。

【００１７】したがって、流体の圧力が高い場合におい
ては、ベローズ９と皿ばね２２との反力を利用して上記
面圧を高くして漏れ量を少なくでき、以って安定したシ
ール性を保つことができる。

【００１８】流体の圧力が低い場合においては、従来と
同様に、ベローズ９のみの反力を利用することで安定し
たシール性を保つことができる。このように、ベローズ
９の反力と皿ばね２２の反力を、流体の圧力の高低に応
じて段階的に利用することで、流体の圧力が変化しても
安定したシール性を保つことができる。

【００１９】本実施の形態においては、付勢手段として
皿ばね２２を採用したが、コイルバネやベローなどを採
用してもよい。本実施の形態においては、皿ばね２２の
上端部２２ａとシートリング１０との間に初期隙間Ｓを
設けたが、シール面１０ａとシール面１２ａとが非圧接
状態においてＳ＝０の場合すなわち初期隙間を設けない
場合もあり得る。

【００２０】

【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、流
体の圧力が高い場合において、ベローズの反力と付勢手
段の反力とを段階的に利用することで、流体の圧力が変
化しても安定したシール性を保つことができるととも
に、ベローズの伸縮により弁箱や弁棒の熱膨張差を吸収
することができることから、温度や熱伝達率が変化して
も安定したシール性を保つことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の形態における高温用グローブ弁
の開状態の断面図である。

【図２】同高温用グローブ弁の閉状態の断面図である。

【図３】従来の高温用グローブ弁の断面図である。

【符号の説明】

４ 弁体ポート ５ シート座 ６ 弁体 ８ シート部 ９ ベローズ １０ シートリング ２０ 高温用グローブ弁 ２１ 環状空間 ２２ 皿ばね ２２ａ 上端部

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 弁体ポートを形成するシート座に、円筒
   形状のベローズとベローズの開口周縁部に設けたシート
   体とから成るシート部と、ベローズの周面近傍に沿っ
   て、シート体を弁体側に付勢し得る付勢手段とを設け、
   上記ベローズと付勢手段とを弁体の開閉方向に伸縮自在
   に設けたことを特徴とする高温用グローブ弁。