JPH11181462A - 磨耗抑制効果を有するフルオロカーボンエラストマーとの相容性を改良する薬剤 - Google Patents

磨耗抑制効果を有するフルオロカーボンエラストマーとの相容性を改良する薬剤

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JPH11181462A
JPH11181462A JP33324397A JP33324397A JPH11181462A JP H11181462 A JPH11181462 A JP H11181462A JP 33324397 A JP33324397 A JP 33324397A JP 33324397 A JP33324397 A JP 33324397A JP H11181462 A JPH11181462 A JP H11181462A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 塩基性窒素原子を含む分散剤を有する潤滑油
配合物のフルオロカーボンエラストマー封止剤との相容
性を改良する。 【解決手段】 添加剤として有効量のある化合物の使用
する。その化合物は次の式を有する。 【化1】 式中、RとR1 は独立にアルコキシカルボニル、アルケ
ニルオキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、ア
ルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アリールカ
ルボニル、またはアリールアルキルであるか、または共
に炭素環を形成し、そしてR2 とR3 は独立に硫化アル
キル、アルコキシカルボニルアルキル、アリールアルキ
ル、またはホウ酸化ヒドロキシアルキルであり、但し、
R、R1 、R2 およびR3 は共に潤滑性粘度の油の中に
油溶性の化合物を与えるため十分な炭素原子を含むこと
を条件とする。

Description

【発明の詳細な説明】
本発明はフルオロカーボン(fluorocarbo
n)エラストマーとの相容性を改良するための潤滑油へ
の添加剤としての抑制剤に関する。用途は自動車のエン
ジン油、自動車のトランスミッション油、特選工業用油
パッケージなどにあり得る。
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は塩基性窒素原子を含
む分散剤から成る潤滑油配合物のフルオロカーボンエラ
ストマー封止剤との相容性の改良に関する。
【0002】潤滑油配合物、特に自動車工業用のそれ
は、多数の添加剤を使用するが、それらはそれぞれの役
割を有する。最も重要な添加剤の例は清浄剤(dete
rgent)と分散剤であり、その名が示すようにそれ
らはエンジンの清潔を保証するために、および特にエン
ジンの金属部またはその他の部分の攻撃により生じる不
純物を潤滑油配合物により懸濁状態に保つために使用さ
れる。
【0003】現在最も広く使われている分散剤は、おそ
らくホウ素の誘導体、エチレンカーボネートまたは専門
の文献において知られているその他の後処理試薬と共に
おそらく後処理されたポリアミンと、ポリイソブチレン
型(PIBSA)のアルキル鎖によりα位置に置換され
た無水コハク酸の反応生成物である。使用されるポリア
ミンのなかで、ポリアルキレン−アミン、例えばジエチ
レントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラミン
(TETA)、テトラエチレンペンタミン(TEP
A)、ペンタエチレンヘキサミン(PEHA)および高
重度ポリアルキレンアミン(HPA)、が好まれる。こ
れらのポリアミンは、ポリイソブチレン型(PIBS
A)のアルキル基により置換された無水コハク酸と反応
して、これら2種の試薬のモル比に従って、モノスクシ
ンイミド、ビスクシンイミド、またはそれらの混合物を
与える。
【0004】これらの反応生成物は、おそらく後処理さ
れて、塩基数またはBNにより測定され、mgKOH/
g試料として表される、一般に5〜50の塩基性窒素含
有量を有する。このことはそれらに、稼働中に潤滑油ま
たは燃料の酸化の結果として形成される酸性成分による
腐食からエンジンの金属部分を保護することを可能なら
しめ、また同時にこれらの酸化生成物を潤滑油中に分散
させておいて、潤滑油配合物を収容する容器内でのそれ
らの凝集および析出を防ぐことを可能にする。
【0005】これらの分散剤は、もしそれらの相対的塩
基性窒素含有量が高いならば、ポリアミンの窒素原子数
がポリイソブテニルにより置換された無水コハク酸基の
数よりも多い限りにおいて、なお一層有効である。
【0006】しかし、これらの分散剤の塩基性窒素含有
量が高いほど、ますますそれらは現代のエンジンに使用
されるフルオロカーボンエラストマー封止剤の攻撃を利
することになるが、それは塩基性窒素がこの種の封止剤
の酸性水素原子と反応する傾向を有するからであり、そ
してこの攻撃が結果としてその密封に割れ目の形成をも
たらし、かつ、その封止剤がそれから作られるフルオロ
カーボン材料の他の望ましい物理的性質の損失をもたら
す。
【0007】
【従来の技術】このジレンマを解決するために、Che
vronへの米国特許第5,326,552号明細書に
よれば、モノ−またはビスクシンイミド型の分散剤に環
式炭酸エステルとの反応による後処理を受けさせること
が提案された。そのような方法はこれらの添加剤を含む
潤滑油中のスラッジ分散を改良するのみならず、その油
のフルオロカーボンエラストマー封止剤との相容性も改
良する。
【0008】他の一つの解決方法が、これもChevr
onにより出願された、特許出願国際公開第WO 93
/07242号の目的であり、そこでは塩基性窒素原子
を含む添加剤から成る潤滑油のフルオロカーボンエラス
トマー封止剤との相容性がホウ酸エステル化(bora
ted)芳香族ポリオール、例えばホウ酸化アルキルカ
テコール、の添加により保証されている。
【0009】現在内燃機関に求められている長い寿命の
要求に沿うために、潤滑油配合物は、それぞれが非常に
特殊な役割を持つ多くのその他の成分を含まなくてはな
らないことは周知である。
【0010】従って、前記の種類の分散剤のほかに他の
清浄剤、例えば、スルホン酸塩、アルキルフェネートま
たは金属サリチル酸塩、硫黄化されたまたはされない酸
化防止剤、特にジアルキルジチオホスホン酸亜鉛、磨耗
防止剤および極圧剤、発泡抑制剤、摩擦減少剤、錆抑制
剤、腐食抑制剤、流動点降下剤、粘度指数改良剤および
多くのその他の添加剤が加えられる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、米国特許出
願第08/676,048号明細書に示されているよう
に、潤滑油組成物において磨耗防止剤および/または極
圧添加剤として有用な、あるジチオエチレン誘導体が、
前記に論じられたように、フォルクスワーゲンPV33
44試験においてフルオロカーボンエラストマー封止剤
との相容性も改良するという発明者らの意外な発見に基
づくものである。それらは約0.1重量%処理率から、
好ましくは約0.1〜1.5重量%で、有効であり、フ
ルオロカーボンエラストマー封止剤との優れた相容性を
与え、更にエンジンの磨耗を保護する。
【0012】
【課題を解決するための手段】それらのジチオエチレン
誘導体は次の式を有するものである。
【化2】 式中、RとR1 は独立に、4〜30の炭素原子を有する
アルコキシカルボニル、8〜30の炭素原子を有するア
ルケニルオキシカルボニル、7〜30の炭素原子を有す
るアリールオキシカルボニル、4〜30の炭素原子を有
するアルキルカルボニル、8〜30の炭素原子を有する
アルケニルカルボニル、7〜30の炭素原子を有するア
リールカルボニル、または8〜30の炭素原子を有する
アリールアルキルであるか、またはRとR1 はそれらが
結合されている炭素原子と共に、1〜30までの炭素原
子を独立に有する1つまたは2つのアルキル基により場
合により置換されている5または6の炭素原子を有する
飽和または不飽和の炭素環を形成し、更に
【0013】R2 とR3 は独立に、3〜30の炭素原子
および少なくとも一つの硫黄原子を有する硫化アルキ
ル、そのアルコキシ部分が2〜5の炭素原子を有し、か
つそのアルキル部分が1〜10の炭素原子を有するアル
コキシカルボニルアルキル、7〜30の炭素原子を有す
るアリールアルキル、または2〜30の炭素原子を有す
るホウ酸化ヒドロキシアルキル(borated hy
droxy alkyl)であり、但しR、R1 、R2
およびR3 は共に潤滑性粘度の油中に油溶性の化合物を
与えるため十分な炭素原子を含むことを条件とする。
【0014】好ましくはRとR1 は独立に8〜30の炭
素原子を有するアルコキシカルボニルである。
【0015】最も好ましくは、RとR1 はそれぞれカル
ボ−2−エチルヘキソキシであり、かつR2 とR3 は2
〜30の炭素原子を独立に有するホウ酸化ヒドロキシア
ルキルである。好ましくは、R2 とR3 は共通のホウ素
原子を共有して環式構造を形成する。
【0016】上記のように、油溶性は一般にR、R1
2 およびR3 置換基における炭素原子の全数により与
えられる。従って、これらの置換基の一つまたは多数が
小さい置換基である場合には、油溶性はその他の置換基
の鎖の長さまたは炭素原子の数を増すことにより与えら
れる。
【0017】他の一態様において、本発明は潤滑性粘度
を有する油の主成分量と本発明のフルオロカーボンエラ
ストマーとの相容性を改良する薬剤から成る潤滑油組成
物を提供する。
【0018】さらに他の一態様において、本発明のフル
オロカーボンエラストマーとの相容性を改良する薬剤約
0.5〜30重量%と不活性炭化水素希釈液から成る濃
縮組成物を本発明は提供する。本発明の追加の諸態様は
次の説明から明らかになるであろう。
【0019】その最も広い態様において、本発明は潤滑
油組成物において磨耗防止剤および/または極圧添加剤
として有用である新規な種類の化合物がまたフォルクス
ワーゲンPV3344試験においてフルオロカーボンエ
ラストマー封止剤との相容性も改良するという意外な発
見を包含する。
【0020】性能に関して特に好ましい本発明の化合物
は、前記式IにおいてRとR1 が独立に8〜30の炭素
原子を有するアルコキシカルボニルである化合物であ
る。好ましくは、R置換基はR1 置換基と同一であり、
さらに好ましくはRとR1 の両者共アルコキシカルボニ
ルであり、最も好ましくはRとR1 の両者共カルボ−2
−エチルヘキソキシである。通例、最善の結果は性能に
関して、また製造の容易さとも結ばれて、それらの化合
物が同じくR2 とR3 により置換されている場合に得ら
れる。好ましくはR2 とR3 の両者共2〜30の炭素原
子を有するホウ酸化ヒドロキシアルキルである。最も好
ましくは、R2 とR3 が共通のホウ素原子を共有して環
式構造を形成することである。
【0021】ここで使用されるとき次の用語は特に反対
の意味に述べられなければ、次のような意味を有する。
用語「アルキル」は直鎖のおよび分岐鎖のアルキル基の
両者のことを指し、そして第一級、第二級および第三級
アルキル基を含む。用語「アルケニル」は不飽和のアル
キル基を指す。用語「アリール」は不飽和のフェニル基
を指す。
【0022】用語「アルキルカルボニル」は式、
【化3】 の基を指し、式中R’はアルキルである。
【0023】用語「アルケニルカルボニル」は式、
【化4】 の基を指し、式中R’はアルケニルである。
【0024】用語「アリールカルボニル」は式、
【化5】 の基を指し、式中R’はアリールである。
【0025】用語「アルコキシカルボニル」は式、
【化6】 の基を指し、式中R’はアルキルである。
【0026】用語「アルケニルオキシカルボニル」は
式、
【化7】 の基を指し、式中R’はアルケニルである。
【0027】用語「アリールオキシカルボニル」は式、
【化8】 の基を指し、式中R’はアリールである。
【0028】用語「アルコキシカルボニルアルキル」は
式、
【化9】 の基を指し、式中R’とR”はアルキルである。
【0029】用語「アリールアルキル」はアリール基に
より置換されたアルキル基を指す。用語「ヒドロキシア
ルキル」はヒドロキシル基により置換されたアルキル基
を指す。用語「ホウ酸化ヒドロキシアルキル」はヒドロ
キシアルキルとホウ酸の反応生成物を指す。用語「カル
ボサイクル」は炭素骨格を有する飽和環状基を指す。用
語「硫化アルキル」は硫黄により置換されているアルキ
ル基を指す。
【0030】用語「塩基価」(”Base Numbe
r”)または「BN」は試料1g中のKOHのミリグラ
ム数に相当する塩基の量を指す。従って、BN数が高い
ほどより多くのアルカリ性生成物を表し、それ故より多
くのアルカリ度蓄積を表す。ある試料のBNはASTM
テスト第D2896号またはいずれか他の同等の方法に
より測定されることができる。
【0031】用語「油溶性」は、その添加剤がベース潤
滑油中に20℃で少なくともキログラム当たり50g、
そして好ましくは少なくともキログラム当たり100g
の溶解度を有することを意味する。
【0032】用語「潤滑性粘度の油」とは一般に潤滑油
組成物の場合に100℃で3〜20cStの粘度を有す
る油を指し、そして単独の油または油の混合物であって
もよい。
【0033】合成 一般に本発明の化合物は米国特許第4,389,400
号および同第4,447,450号明細書に記載の方法
(ここに引用によりそれらの全体において組み込まれ
る)を適用することにより、かつ本発明の化合物におい
て望まれる置換基に対応する適当な出発原料を使用する
ことにより製造されることができる。
【0034】式IにおいてR2 がR3 と同一である化合
物は対応するビス(2,2チオアート)金属塩と次式の
対応するハロゲン化物との反応により便宜製造されるこ
とができる。
【化10】 式中R、R1 およびR2 は前記に定義されたとおりであ
り、Xはハロゲン基、好ましくは塩素または臭素であ
り、または適当な脱離基を有するいずれかのアルキル化
剤であり、そしてMは金属陽イオン、好ましくはアルカ
リ金属、例えば、カリウムまたはアンモニウム陽イオン
である。(また、簡単のためMは1価の陽イオンとして
示されたが、Mはまた2価のまたは多価の陽イオンある
こともでき、その場合MはM/r(rはMの原子価であ
る)として表されるであろう)。
【0035】この製法は化合物(A)を化合物(B)
と、反応温度で、好ましくは不活性有機溶媒の中で、接
触されることにより好都合に行われることができる。典
型的に、この製法は約−10〜+50℃の範囲内の、好
ましくは20℃〜40℃の温度で約1〜48時間、好ま
しくは約4〜8時間、約2〜4モル、好ましくは約2〜
2.2モル、の(B)を化合物(A)のモル当たりに使
用して行われる。使用される適当な不活性有機溶媒は、
例えば、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジメチルホ
ルムアミド、トルエン、メタノール、およびそれらの相
容性ある混合物を含む。
【0036】一般にR2 とR3 が同じである化合物は、
上記の手順によりそのような化合物を製造する容易さの
故に、好まれる。しかし、もし望ましければ、R2 とR
3 が異なるかまたは同じである式Iの化合物は、次の一
連の全体にわたる反応方程式により図式で表された次の
製法により製造されることができる。
【0037】
【化11】 式中R、R1 、R2 、R3 およびxは前記に定義された
とおりである。
【0038】この製法の第1段階は化合物A’を無機塩
基(例えば、水酸化カリウム)および二硫化炭素と反応
条件下で、好ましくは不活性有機溶媒の中で、接触させ
るこりにより都合よく達成されることができる。
【0039】通例、この製法の段階(2)は約0℃〜5
0℃の、好ましくは0℃〜20℃の範囲内の温度で約1
/2〜4時間、好ましくは約1〜2時間、約2〜3当量
の、好ましくは約2〜2.1当量の、無機塩基および約
1〜2.5当量の二硫化炭素を化合物(A’)のモル当
たりに使用して行われる。使用されることができる適当
な無機塩基と有機溶媒は既に前記したものを含む。適当
な無機塩基は、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリ
ウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどを含む。好ま
しくは、この反応は塩基として粉末化された水酸化カリ
ウムをジメチルホルムアミド媒体の中で使用する。
【0040】式(A’)の化合物は一般に知られた化合
物であつて、既知の製法によりまたはその明らかな一部
変更のものにより(例えば、適当に置換された出発原料
を用いることにより)製造されることができる。
【0041】次の反応段階(3)は化合物(C)と望み
のR2 置換基を有する適当な有機ハロゲン化物(B)を
反応条件下に、好ましくは不活性有機溶媒の中で、接触
させることにより都合よく達成されることができる。
【0042】この製法のこの段階は典型的に約0〜10
0℃の、好ましくは約20〜80℃の範囲内の温度で、
約1〜26時間、好ましくは約4〜8時間、約1〜2モ
ル、好ましくは約1〜1.1モルの化合物(B)を化合
物(C)1モル当たりに使用して行われる。使用される
ことができる適当な不活性有機溶媒は、例えば、化合物
(I’)を製造するために使用された反応方程式(1)
に関して記載されたもの、などを含む。
【0043】最終反応段階(4)は化合物(D)を無機
塩基および化合物(B’)と反応条件下で、好ましくは
不活性有機溶媒の中で、接触させることにより達成され
ることができ、そしてその前の反応段階(3)の反応生
成物の混合物と、有機溶媒を除かないでその場で都合よ
く行われる。製法の反応段階(4)は典型的に約0〜1
00℃の、好ましくは約20〜80℃の範囲内の温度
で、約1〜26時間、好ましくは約4〜8時間、約1〜
2当量の、好ましくは約1〜1.1当量の無機塩基およ
び約1〜2当量の、好ましくは約1〜1.2当量の化合
物(B’)を化合物(D)当たりに使用して行われる。
使用されることができる適当な無機塩基および不活性有
機溶媒は既に前記したものを含む。
【0044】式Aの出発原料は反応段階(2)と同じ一
般手順で、モノ塩の代わりにビス塩を生成するために無
機塩基の量を増すことにより製造されることができる。
【化12】 式中R、R1 およびMは前記に定義されたとおりであ
る。
【0045】反応段階(5)は約2〜2.5当量の無機
塩基を適当な試薬A’に加えることにより行われる。こ
の反応は不活性有機溶媒を使用して液相内で行われる。
使用されることができる適当な無機塩基と不活性有機溶
媒は既に前記したものを含む。好ましくは、その反応は
塩基として粉末化された水酸化カリウムをジオキサン媒
体中で使用する。次に約1〜2.5当量の二硫化炭素が
その系に加えられる。反応は一般に約0〜100℃で、
しかし好ましくは5〜40℃で、行われ、そして一般に
約1〜24時間以内に終結される。若干の例では、溶媒
を除くことなしに反応(5)により生産された反応生成
物の混合物とその場で反応工程を行うことが便利なこと
もある。
【0046】反応段階(2)、(4)および(5)は有
機溶媒へ固体塩基の添加を含む。反応終結を促進するた
めに、相転移触媒がこれらの反応において固体塩基の有
機溶媒中への転移を助けるために用いられることが好ま
しい。好まれる触媒は、例えば、テトラアルキルアンモ
ニウムハロゲン化物を含む。特に好まれる触媒はテトラ
−n−ブチルアンモニウム臭化物である。一般に、約
0.025当量の触媒が望みの触媒効果を達成するため
に十分であることが判った。その代わりに、もし使用さ
れる塩基が水溶液であるならば、相転移触媒は水相から
有機相への転移を促進するために有用である。
【0047】反応(3)および(4)は金属塩(好まし
くはカリウムチオラート)を有機媒体に添加することを
含む。好ましくは、反応に要する時間を加速するため
に、触媒量(例えば、約0.025当量)の相転移触媒
が添加される。ハロゲン化テトラアルキルアンモニウム
塩のような触媒が一般に好まれる。
【0048】使用されることができる塩基は既に前記し
たものを含む。適当な相転移剤は親水性イオンを親油性
有機媒体の中に転移させる薬剤であって、例えば、ベン
ジルトリエチルアンモニウムクロリド、テトラ−n−ブ
チルアンモニウムクロリド、メチルトリオクチルアンモ
ニウムクロリド、テトラアルキルホスホニウムハライド
などを含む。
【0049】式IにおいてR2 とR3 が硫化アルキルで
ある化合物も、最初に式Iの望みのR2 、R3 オレフィ
ンを製造してから、この化合物を望みの量の硫黄と反応
させることにより好都合に製造されることができる。そ
のような硫化方法は当業者に知られており、そして一般
にオレフィンを粉末または液体の硫黄、または硫黄同等
物、例えば、SCl2 、と反応条件下に約80〜110
℃の範囲内の温度で、典型的にトルエンのような不活性
有機溶媒の中で接触させることを含む。
【0050】一般的な製法条件 前述の製法において、その場での工程として記載されて
いる場合を除いてまたは別にはっきりと述べられない限
り、一般に反応順序の次の段階に進む前にそれぞれの生
成物を分離することが好ましい。これらの生成物はそれ
らのそれぞれの反応生成物の混合物から何らかの分離お
よび精製方法、例えば、再結晶およびクロマトグラフィ
ー、により回収されることができる。適当な分離および
精製方法は、例えば、以下に述べる実施例において例示
されている。
【0051】一般に、上記の反応は液相反応としておこ
なわれるので、従って反応が還流で行われている場合に
それが温度(沸点)に影響するときを除き、圧力は一般
に重要でない。それ故、これらの反応は一般に300〜
3,000mmHgの圧力において行われ、そして便利
なことに大気圧または周囲圧で行われる。
【0052】典型的なまたは好ましい製法の条件(例え
ば、反応温度、時間、反応物のモル比または当量比、溶
媒など)が与えられている場合に、その他の製法条件も
また用いられることができたことも理解されるべきであ
る。最適の反応条件(例えば、温度、反応時間、モル
比、溶媒など)は使用される特定の試薬または有機溶媒
と共に変わることもあるが、慣例の最適化手順により決
定されることができる。
【0053】潤滑油組成物 本発明の潤滑油組成物は式Iの化合物および/またはそ
の油溶性塩を潤滑性粘度の油(基油)と簡単にブレンド
または混合することにより便利よく製造されることがで
きる。本発明の化合物はまた望みの濃度の添加剤を含む
潤滑油組成物の混合を助けるために適当な比率でいろい
ろな他の添加剤との濃縮物またはパッケージとして予備
ブレンドされることもある。本発明の化合物は、それら
がフルオロカーボンエラストマー封止剤との改良された
相容性与える濃度であって、かつ、その油に可溶であり
かつ望みの仕上がった潤滑油の中で他の添加剤と相容性
ある濃度で基油とブレンドされる。この場合における相
容性とは一般に、本発明の化合物が適用できる処理率で
油溶性でありまた標準条件下で他の添加剤に沈殿を起こ
させないことを意味する。ある与えられた潤滑油配合物
の化合物について適当な油溶性/相容性の範囲は慣例の
溶解度試験法を用いて当業者により測定されることがで
きる。例えば、周囲温度(約20〜25℃)における配
合された潤滑油組成物からの沈殿がその油組成物からの
実際の沈殿かまたは不溶のワックス粒子の形成を明示す
る「曇った」溶液の生成かのいずれかにより測られるこ
とができる。
【0054】典型的に本発明の潤滑油組成物は組成物の
全重量にもとづいて約0.05〜5重量%の、好ましく
は約0.1〜2重量%の、式Iの潤滑油可溶性化合物お
よびそれらの混合物から選択されたフルオロカーボンエ
ラストマー相容性改良剤を含む。さらに好ましくは、そ
の潤滑油組成物は約0.2〜1.5重量%の前記フルオ
ロカーボンエラストマー相容性改良剤を含む。
【0055】本発明の潤滑油組成物に使用される潤滑
油、または基油、は一般に特定の用途、例えば、自動車
エンジンオイル、自動車トランスミッションオイル、特
製工業用オイルパッケージなどに仕立てられる。例え
ば、自動車エンジンオイルとして望まれる場合は、基油
は典型的にガソリンエンジンおよびディーゼルエンジン
のような内燃機関のクランクケース内の使用に適する粘
度の鉱油または合成油であろう。それらの潤滑油は合成
または天然の資源から得られるであろう。本発明におい
て基油として使用するための鉱油は、普通に潤滑油組成
物の中に使用されるパラフィン系、ナフテン系およびそ
の他の油を含む。合成油は炭化水素合成油および合成エ
ステルの両者を含む。有用な合成炭化水素油は適当な粘
度を有するアルファオレフィンの液体ポリマーを含む。
特に有用なものは1−デセントリマーのようなC6 〜C
12アルファオレフィンの水素化液体オリゴマーである。
同様に、ジドデシルベンゼンのような適当な粘度のアル
キルベンゼンは使用されることができる。有用な合成エ
ステルはモノカルボン酸およびポリカルボン酸の両者並
びにモノヒドロキシアルカノールおよびポリオールのエ
ステルを含む。代表的な例はジドデシルアジペート、ペ
ンタエリトリトールテトラカプロエート、ジ−2−エチ
ルヘキシルアジペート、ジラウリルセバケートなどであ
る。モノおよびジカルボン酸とモノおよびジヒドロキシ
アルカノールの混合物から製造される複合エステルもま
た使用されることができる。いろいろな鉱油、合成油お
よび鉱物と合成油のブレンドもまた、例えば、一定の粘
度または粘度範囲を与えるために、有益なことがある。
一般にエンジンオイル用の基油または基油混合物は、本
発明のフルオロカーボンエラストマー相容性改良剤を含
めて、いろいろな添加剤を含む最終製品の潤滑油が10
0℃において約4〜22センチストークス、好ましくは
約10〜17センチストークス、そしてさらに好ましく
は13〜17センチストークス、の粘度を有するように
予備選択される。
【0056】典型的に潤滑油組成物は、特定の最終用途
および使用される基油に依存して最終製品の潤滑油組成
物にいろいろな特性を与えるため望ましい多種多様の相
容性添加剤を含むことになる。そのような添加剤の例は
中性および塩基性清浄剤(例えば、中性および過塩基性
有機スルホネートおよびノルマルおよび過塩基性フェネ
ートおよびサリチレート)、分散剤、無灰分散剤(例え
ば、いろいろなポリアルキルスクシンイミドまたはポリ
アルキルコハク酸エステル)、磨耗抑止剤(例えば、ジ
アルキルジチオホスホン酸亜鉛)、錆抑止剤、発泡抑止
剤、流動点降下剤、酸化防止剤、粘度指数(VI)改良
剤、および分散剤VI改良剤を含む。
【0057】上記のいろいろな添加材料および材料の種
類は既知の材料であつて、既知の方法またはその判りき
った改良により製造されることができるものであり、ま
たしばしば容易に市場で入手できる。いろいろな添加剤
およびそれらの機能の一覧表は、例えば、米国特許第
5,397,486号および米国特許第4,119,5
49号明細書の第9および10欄に記載されている。こ
れらは引用によりここに組み込まれる。
【0058】本発明はまた添加剤パッケージまたは濃縮
物を提供するが、それらは潤滑性粘度の油に単一の添加
剤としてかあるいは他の添加剤との組み合わせのいずれ
かとして添加されることができる。(一般に、添加剤パ
ッケージは粘度指数改良剤を含まないであろう。何故な
らば望ましい場合でも粘度指数改良剤は一般に潤滑剤配
合者により基油に添加されるからである。)従って、好
ましい添加剤濃縮物は約0.5〜30重量%、さらに好
ましくは約1〜20重量%の本発明のフルオロカーボン
エラストマー相容性改良剤、十分な分散性を与えるため
に十分な無灰(アッシュレス:ashless)分散
剤、および約90〜10重量%の希釈油またはその他の
相容性ある不活性有機液体希釈剤を含む。VI改良剤を
一般に除いて、前記濃縮物はまたしばしば約10〜60
重量%の、意図される用途から望ましいと考えられるい
ろいろなその他の添加剤を含むことになろう。
【0059】一つの実施態様において、潤滑油組成物は
下記の成分を含むであろう。 (a)主成分量の潤滑性粘度の基油、(b)約1〜20
重量%の少なくとも一種の無灰分散剤、(c)0〜約2
0重量%の少なくとも一種の清浄剤、(d)約0.05
〜5重量%の少なくとも一種のジチオホスホン酸亜鉛、
(e)0〜約10重量%の少なくとも一種の酸化抑制
剤、(f)0〜約1重量%の少なくとも一種の発泡抑制
剤、(g)0〜約20重量%の少なくとも一種の粘度指
数改良剤、および(h)約0.05〜5重量%の少なく
とも一種の本発明のフルオロカーボンエラストマー相容
性改良剤。
【0060】ある潤滑油組成物は、主成分量の潤滑性粘
度の基油、約1〜20重量%の少なくとも一種の無灰分
散剤、0〜約20重量%の少なくとも一種の清浄剤、約
0.05〜5重量%の少なくとも一種のジチオホスホン
酸亜鉛、0〜約10重量%の少なくとも一種の酸化抑制
剤、0〜約1重量%の少なくとも一種の発泡抑制剤、0
〜約20重量%の少なくとも一種の粘度指数改良剤、お
よび約0.05〜5重量%の少なくとも一種の本発明の
フルオロカーボンエラストマー相容性改良剤を一緒にブ
レンドすることにより製造されることができる。この方
法により製造された潤滑油組成物は、諸成分が相互に作
用するので、僅かに異なる組成を持つこともある。
【0061】
【発明の実施の形態】本発明のさらに深い理解は次の非
限定の実施例において得ることができる。特にそれと反
対に述べられない限り、すべての温度および温度範囲は
摂氏システムを指し、そして用語「周囲温度」または
「室温」は20℃〜25℃を言う。用語「パーセント」
または「%」は重量%を指し、また用語「モル」はグラ
ムモルのことである。用語「当量」はモル数が同じ試薬
の量を指し、有限のモル数または有限の重量または体積
によりその例において引用されたその前のまたは後の試
薬のモル数のことを言う。与えられるとき、プロトン磁
気共鳴スペクトル(p.m.rまたはn.m.r)は、
トリメチルシランを用いて300mHzで測定された。
重水素化クロロホルムシグナルはシングレット(s)、
ブロードシングレット(bs)、ダブレット(d)、ダ
ブルダブレット(dd)、トリプレット(t)、ダブル
トリプレット(dt)、カルテット(q)、およびマル
チプレット(m)として割り当てられ、そしてppmは
百万分率のことを言う。
【0062】
【実施例】例 1 ホウ酸化1,1−ビス(2−ヒドロキシエチルチオ)−
2,2−ビス(カルボ−2−エチルヘキソキシ)エチレ
1010g(2.05モル)の1,1−ビス(2−ヒド
ロキシエチルチオ)−2,2−ビス(カルボ−2−エチ
ルヘキソキシ)エチレンと253g(4.1モル)のホ
ウ酸の混合物をディーン・スターク・トラップ(Dea
n StarkTrap)と冷却器を取り付けられた5
Lのフラスコの中で2500mlのトルエン中で窒素ブ
ランケットの下に攪拌した。その混合物を95℃に加熱
してから、3時間激しく攪拌した。その混合物を次に還
流加熱(108〜115℃)してから、水を共沸留分よ
り収集した(5時間に72ml)。次いでその混合物を
冷却させてから濾過して過剰のホウ酸を除いた。濾液を
蒸発させて1026gの透明な金色の油を表記の化合物
として得た。NMR:0.83ppm(t,12H)、
1.20−1.65ppm(m,18H)、および3.
10−4.15ppm(m,9H)。
【0063】例 2 1,1−ジ(エトキシカルボニルメチレンチオ)−2,
2−ビス(カルボ−2−エチルヘキソキシ)エチレン この例において246.2g(2.0モル)のエチルク
ロロアセテートを1000mlのジメチルホルムアミド
中の1.03モルのジカリウム2,2−ビス(カルボ−
2−エチルヘキソキシ)−1,1−ジチオレートに10
0℃で窒素雰囲気下に加えた。その混合物を72時間激
しく攪拌し、それから濾過して塩化カリウム副生成物を
除いた。次に濾液を蒸発させてジメチルホルムアミド溶
媒を除いてから、残留物をメチレンクロリドに溶解させ
た。そのメチレンクロリド溶液を水で数回洗い、次に無
水硫酸マグネシウムと共に乾燥させてから蒸発乾固させ
てメチレンクロリド溶媒を除いた。その結果生じた残留
物をヘキサン中に溶解させ、次に15%容量%のエチル
アセテート−ヘキサン溶液と共にシリカゲルフィルター
を通過させた。その濾液を真空下に蒸発させると42
0.1gの油状残留物を得た。表記の化合物の構造を赤
外スペクトルおよび核磁気共鳴スペクトルにより確認し
た。NMR:0.88ppm(t,12H)、1.10
−1.80ppm(m,22H)、および3.35−
4.40ppm(m,12H)。
【0064】適当な出発原料を用いて上記の手順を適用
することにより次の化合物を製造することができる。
1,1−ジ(t−ブトキシカルボニルメチルチオ)−
2,2−ビス(カルボ−2−エチルヘキソキシ)エチレ
ン、1,1−ジ(プロポキシカルボニルメチルチオ)−
2,2−ビス(カルボ−2−エチルヘキソキシ)エチレ
ン、1,1−ジ(ヘキソキシカルボニルメチルチオ)−
2,2−ビス(カルボ−2−エチルヘキソキシ)エチレ
ン、1,1−ジ(ベンジルオキシカルボニルメチルチ
オ)−2,2−ビス(カルボ−2−エチルヘキソキシ)
エチレン、および1,1−ジ(p−トリルオキシカルボ
ニルメチルチオ)−2,2−ビス(カルボ−2−エチル
ヘキソキシ)エチレン。
【0065】例 3 1,1−ビス(硫化プロピルチオ)−2,2−ビス(カ
ルボ−2−エチルヘキソキシ)エチレン この例において250mlのエチレン中に溶解させた7
2.4g(4.15モル)の1,1−ジ(アリルチオ)
−2,2−ビス(2−カルボ−2−エチルヘキソキシ)
エチレンおよび10.1gの粉末化硫黄を含む混合物を
還流(約136℃−144℃)で攪拌しながら24時間
加熱した。次いでその混合物を冷却させ、容量で95:
5のヘキサン:酢酸エチル混合物に溶解させ、それから
シリカゲルを通して濾過した。その濾液を真空下で蒸発
乾固させると81.9gの表記の化合物を褐色の油状残
留物として得た。NMR:0.85ppm(t,12
H)、1.30−1.65ppm(m,22H)、2.
10−3.30ppm(m,2H)、および3.85−
4.20ppm(m,4H)。
【0066】同様に対応する適当な硫化されていないオ
レフィン出発原料を用いて上記の手順を適用することに
より次の化合物をそれぞれ製造することができる。1,
1−ビス(硫化ブチルチオ)−2,2−ビス(カルボ−
2−エチルヘキソキシ)エチレン、1,1−ビス(硫化
ペンチルチオ)−2,2−ビス(カルボ−2−エチルヘ
キソキシ)エチレン、1,1−ビス(硫化イソブチルチ
オ)−2,2−ビス(カルボ−2−エチルヘキソキシ)
エチレン、1,1−ビス(3−フェニル−硫化プロピル
チオ)−2,2−ビス(カルボ−2−エチルヘキソキ
シ)エチレン、および1,1−ビス(3−トリル−硫化
プロピルチオ)−2,2−ビス(カルボ−2−エチルヘ
キソキシ)エチレン。
【0067】例 4 1,1−ジベンジルチオ−2,2−ビス(カルボ−2−
エチルヘキソキシ)エチレン 126.6g(1.0モル)のベンジルクロリドを50
0mlのジメチルホルムアミド中の240.4g(0.
5モル)のジカリウム2,2−ビス(カルボ−2−エチ
ルヘキソキシ)−1,1−ジチオレートに100℃で窒
素雰囲気下に滴下して加えた。次いでその混合物を加熱
して72時間激しく攪拌した。冷却してから、その混合
物を濾過して副生成物の塩化カリウムを除いた。その濾
液をつぎに蒸発させて溶媒を除いた。残りの暗褐色の油
をヘキサンに溶解させてから、次に水で数回洗った。そ
れからその有機相を無水硫酸マグネシウムと共に乾燥さ
せ、濾過し、そしてロトバプ(Rotovap)の上で
ストリッピングすると249.6gの暗赤色の油を得
た。その油をヘキサンに溶解してから、ヘキサンと共に
濾過用漏斗上の短路シリカゲルパックを通過させて未反
応のベンジルクロリドを除き、それから25%エチルア
セテート/ヘキサン溶媒で溶出した。そのエチルアセテ
ート/ヘキサン溶液を次に蒸発させて212gの暗赤色
の油を表記の化合物として得た。NMR:0.81pp
m(t,12H)、1.2−1.65ppm(m,18
H)、4.10ppm(m,4H)、4.60ppm
(s,4H)、および7.20−7.40ppm(m,
10H)。
【0068】例 5 乗用車エンジン油 この例において、例1−4の表記化合物は2種の別々の
完成した潤滑油の中にそれぞれ0.2重量%、0.5重
量%、および1.0重量%の濃度で配合された。それら
の完成品潤滑油は多量の乗用車エンジン油の典型的な無
灰分散剤、および少量の標準的清浄剤、ジチオホスホン
酸亜鉛、酸化および発泡抑制剤、標準的粘度指数改良剤
および潤滑性粘度の基油を含んで市販の完成品潤滑油と
擬制した。
【0069】代表的な配合物がVW PV 3344試
験によりフルオロカーボンエラストマー相容性について
試験され、そして本発明のフルオロカーボンエラストマ
ー相容性改良剤を含まない同じ潤滑油と比較された。
【0070】試験された化合物は破断点引張強さ(TS
B)を改良し、破断点伸び(ELB)を改良し、そして
エラストマーダンベル上に生ずる亀裂を少なくした。
【0071】これらの配合物はまた吸取紙汚点試験(b
lotter spot test)と呼ばれる実験室
卓上試験で評価された。試験された化合物は、前記の吸
取紙汚点試験により測定されて、分散剤/抑制剤パッケ
ージの分散剤の信用になにも不利益な効果を有しなかっ
た。このペーパークロマトグラフィー手法は懸濁状態の
人工的汚点を維持する候補潤滑油の能力を測定する。そ
の計測は6個の異なる点について分散度の評価であり、
上は600までの評点に導く。その数値が高いほど、そ
れだけ分散剤の信用は良くなる。PV3344試験と吸
取紙汚点試験の結果は表1(第1の完全配合油)および
表2(第2の完全配合油)に報告されている。
【0072】
【表1】
【0073】
【表2】
【0074】例 6 高性能ディーゼル油および超高性能ディーゼル油 この例において、例5と同様に、例1−4の表記化合物
はそれぞれ2種の別々の完成した潤滑油の中に配合され
たが、但しそれらの完成潤滑油は、乗用車エンジン油用
の代わりに、高性能ディーゼル油(HPDO)および超
高性能ディーゼル油(SHPDO)用の典型的な無灰分
散剤の多量を含んでいた。配合物はまた1.5重量%濃
度でも作られた。その結果は下記の表3(HPDO)お
よび4(HPDO)に示されている。
【0075】
【表3】
【0076】
【表4】
【0077】本発明は特定の実施態様に関して説明され
たが、この適用は添付の特許請求の範囲の精神と範囲か
ら逸脱することなく当業者になされることのあるいろい
ろな変更と置換を包含することを意図されている。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 アンドリュー ダブリュ.ホー アメリカ合衆国カリフォルニア州ピノー ル,グラーテ ドライブ 2751

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩基性窒素原子を含む分散剤から成る潤
    滑油配合物のフルオロカーボン(fluorocarb
    on)エラストマー封止剤(seals)との相容性を
    改良する方法において、一般式、 【化1】 〔式中、RとR1 は独立に、(a)4〜30の炭素原子
    を有するアルコキシカルボニル、(b)8〜30の炭素
    原子を有するアルケニルオキシカルボニル、(c)7〜
    30の炭素原子を有するアリールオキシカルボニル、
    (d)4〜30の炭素原子を有するアルキルカルボニ
    ル、(e)8〜30の炭素原子を有するアルケニルカル
    ボニル、(f)7〜30の炭素原子を有するアリールカ
    ルボニル、または(g)8〜30の炭素原子を有するア
    リールアルキル、であるか、またはRとR1 はそれらが
    結合されている炭素原子と共に、(h)1〜30の炭素
    原子を独立に有する1つまたは2つのアルキル基により
    場合により置換されている5または6の炭素原子を有す
    る飽和または不飽和の炭素環、を形成し、更にR2 とR
    3 は独立に、(i)3〜30の炭素原子および少なくと
    も一つの硫黄原子を有する硫化アルキル、(j)そのア
    ルコキシ部分が2〜5の炭素原子を有し、かつそのアル
    キル部分が1〜10の炭素原子を有するアルコキシカル
    ボニルアルキル、(k)7〜30の炭素原子を有するア
    リールアルキル、または(l)2〜30の炭素原子を有
    するホウ酸化ヒドロキシアルキル、であり、但しR、R
    1 、R2 およびR3 は共に潤滑性粘度の油中に油溶性の
    化合物を与えるため十分な炭素原子を含むことを条件と
    する、〕を有する化合物の有効量を使用することから成
    る前記の方法。
  2. 【請求項2】 RとR1 は独立に8〜30の炭素原子を
    有するアルコキシカルボニルである請求項1に記載の方
    法。
  3. 【請求項3】 R置換基はR1 置換基と同一である請求
    項2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 RとR1 はそれぞれカルボ−2−エチル
    ヘキソキシである請求項3に記載の方法。
  5. 【請求項5】 R2 置換基はR3 置換基と同一である請
    求項2、3、または4に記載の方法。
  6. 【請求項6】 R2 とR3 は2〜30の炭素原子を有す
    るホウ酸化ヒドロキシアルキルである請求項5に記載の
    方法。
  7. 【請求項7】 R2 とR3 は共通のホウ素原子を共有し
    て環式構造を形成する請求項6に記載の方法。
  8. 【請求項8】(a)主成分量の潤滑性粘度を有する基
    油、および (b)塩基性窒素原子を含む1〜20重量%の少なくと
    も一種の無灰の分散剤、から成る潤滑油配合物であっ
    て、前記の潤滑油配合物が、請求項1,2,3,4,
    5,6,または7に記載の方法により改良されたフルオ
    ロカーボンエラストマー封止剤との相容性を有している
    前記の潤滑油配合物。
  9. 【請求項9】 さらに、 (c)0〜20重量%の少なくとも一種の清浄剤、 (d)0.05〜5重量%の少なくとも一種のジチオリ
    ン酸亜鉛、 (e)0〜10重量%の少なくとも一種の酸化抑制剤、 (f)0〜1重量%の少なくとも一種の発泡抑制剤、お
    よび (g)0〜20重量%の少なくとも一種の粘度指数改良
    剤、を含む請求項8に記載の潤滑油配合物。
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