JPH11179636A - 工具の交換時期判定システム - Google Patents

工具の交換時期判定システム

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JPH11179636A
JPH11179636A JP34928897A JP34928897A JPH11179636A JP H11179636 A JPH11179636 A JP H11179636A JP 34928897 A JP34928897 A JP 34928897A JP 34928897 A JP34928897 A JP 34928897A JP H11179636 A JPH11179636 A JP H11179636A
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JP
Japan
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tool
vibration sensor
sensor signal
replacement time
rotary tool
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JP34928897A
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English (en)
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Harumichi Tokuyama
晴道 徳山
Fujio Abe
富士夫 阿部
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Shibaura Machine Co Ltd
Original Assignee
Toshiba Machine Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安価に構成することができ、かつ信頼性の
高い工具の交換時期判定システムを提供することを目的
とする。 【解決手段】切刃を有する回転工具31の振動を振動セ
ンサ51により測定し、回転工具31の交換時期を判定
する工具の交換時期判定システムは、振動センサ51か
ら出力される振動センサ信号S3から所定の周波数帯域
を分離するフィルタ53と、回転工具31の1回転に対
して1パルスのトリガ信号S2と同期させ、フィルタ5
3を通した振動センサ信号S3を取り込む取込手段と、
この取込手段により取り込まれた振動センサ信号S3か
ら回転工具31の交換時期を判定する判定手段とを備え
ている。振動センサ信号S3を回転工具31の回転と同
期させて取り込んでいるので、切刃位置に応じた振動特
性を明瞭に検出できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、1または複数の切
刃が設けられた回転工具の振動を振動センサにより測定
し、前記回転工具の交換時期を判定する工具の交換時期
判定システムに関する。
【0002】
【背景技術】従来より、数値制御装置(以下、NC装
置)を備えた工作機械では、NC装置によりエンドミル
等の回転工具の交換時期を判定し、回転工具が磨耗等で
使用限界に達した場合、自動工具交換装置(ATC)に
より当該回転工具を自動的に交換するような工具の交換
時期判定システムが採用されている。このような工具の
交換時期判定システムを備えていることにより、工作機
械の完全自動化を図ることができるので、NC工作機械
による製品の生産性を著しく向上することができる。
【0003】上述した工具の交換時期判定システムとし
ては、例えば、回転工具の主軸に作用するトルクを検出
し、この検出トルクが一定のしきい値以上となったら、
工具の交換時期であると判定するシステムや、回転工具
の加工振動を検出し、これを変換して得られる振動レベ
ル値(rms値)が一定のしきい値を超えた時を工具の
交換時期と判定するシステムが知られている。また、他
の工具の交換時期判定システムとしては、回転工具の累
積使用時間をNC装置に記憶させておき、当該回転工具
の累積使用時間により工具の交換時期を判定するシステ
ムが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の工具の交換時期判定システムでは、次のよう
な問題がある。すなわち、主軸のトルクを検出して判定
するシステムは、モータ、動力伝達系等の比較的慣性の
大きい要素を介して回転工具の状態を検出するので、高
い測定精度を必要とし、これに伴い、高価な測定装置を
使用しなければならないという問題がある。また、加工
振動を検出し、振動レベル値に変換して判定するシステ
ムは、ワークの材質等の加工条件によって振動レベル値
が大きく変化するので、種々の加工条件が設定され得る
NC工作機械のシステムとしては、一般にはあまり信頼
性がないという問題がある。
【0005】さらに、工具の累積使用時間から判定する
システムは、使用時間と共に進行する磨耗に対しては、
有効なシステムであるが、偶発的に発生する回転工具の
切刃のチッピング、折損等には対処することができない
という問題がある。また、このようなシステムでは、安
全のために、工具の交換時期と判定する設定時間を、実
際の使用可能時間よりも短く設定する必要があり、工具
コストの高騰に伴って工作機械の加工コストが高騰して
しまうという問題がある。
【0006】本発明の目的は、安価に構成することがで
き、かつ信頼性の高い工具の交換時期判定システムを提
供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係る工具の交換
時期判定システムは、1または複数の切刃が設けられた
回転工具の振動を振動センサにより測定し、前記回転工
具の交換時期を判定する工具の交換時期判定システムで
あって、前記振動センサから出力される振動センサ信号
から所定の周波数帯域を分離するフィルタと、前記回転
工具の1回転に対して1パルスのトリガ信号と同期さ
せ、前記フィルタを通した振動センサ信号を取り込む取
込手段と、この取込手段により取り込まれた振動センサ
信号から前記回転工具の交換時期を判定する判定手段
と、を備えていることを特徴とする。
【0008】このような本発明によれば、回転工具の振
動以外の外乱振動をフィルタにより除去し、振動センサ
信号を回転工具の回転と同期させて取り込んでいるの
で、回転工具の切刃位置に応じた振動特性を明瞭に検出
することができる。そして、この振動特性の時間的変化
を測定することにより、回転工具の各切刃の磨耗状態を
高精度に検出することが可能となる。従って、回転工具
の磨耗状態を正確に把握することにより、回転工具の交
換時期について信頼性の高い判定を行うことが可能とな
る。
【0009】また、本発明に係る工具の交換時期判定シ
ステムが回転工具の磨耗状態を正確に把握できることか
ら、回転工具を限界まで使用することができ、工具コス
トが高騰することなく、加工コストの低減が図られる。
さらに、フィルタ、振動センサ等を接続するだけでシス
テムを構築することができるので、システム構築に要す
るコストが低減されるうえ、システムの構成が単純なの
で、工作機械に容易にシステムを構築することが可能と
なる。
【0010】以上において、上述したフィルタとして
は、振動センサ信号の高周波数成分を取り除くローパス
フィルタを採用し、上述した判定手段としては、ローパ
スフィルタを通した振動センサ信号の1回転分の振動波
形から回転工具の切刃数に応じたピーク値を検出する検
出部と、この検出部により検出されたピーク値の時間的
変化から回転工具の交換時期を判断する判断部とを備え
た判定手段が考えられる。
【0011】すなわち、回転工具の振動以外の外乱振動
は高周波数帯域に多く現れるので、ローパスフィルタに
より、簡易にかつ効率的に除去することが可能となる。
また、判定手段が回転工具の切刃数に応じた振動センサ
信号のピーク値を検出する検出部を備えているので、こ
のピーク値の時間的変化を測定することにより、判断部
で切刃の磨耗状態を高精度に判断することが可能とな
り、信頼性の高い工具の交換時期判定システムとするこ
とが可能となる。
【0012】さらに、上述した判定手段としては、フィ
ルタを通した振動センサ信号をウエーブレット解析し
て、当該振動センサ信号に対応するウエーブレット係数
を求める解析部と、このウエーブレット係数の時間的変
化から前記回転工具の交換時期を判断する判断部とを備
えた判定手段を採用することが考えられる。すなわち、
判定手段が振動センサ信号の解析にウエーブレット解析
を利用しているので、時間分解能の高い高周波数域の周
波数範囲について振動波形の解析を行うことが可能とな
り、回転工具の磨耗状態を極めて高精度に検出すること
が可能となる。従って、判定手段による工具の交換時期
の判定も高精度化され、極めて信頼性の高い判定を行う
ことが可能となる。
【0013】そして、上述した判断部としては、所定時
間内に含まれるウエーブレット係数の平均値を算出する
第1ステップと、この係数平均値の時間的変化を表すス
ムージング曲線を形成する第2ステップと、このスムー
ジング曲線のピークを、前記回転工具の切刃相当位置の
ウエーブレット係数であると判断する第3ステップとを
備えた判断部が考えられる。ここで、ウエーブレット係
数の平均値は、移動平均法等を用いることにより求める
ことができる。すなわち、このように切刃相当位置のウ
エーブレット係数を求めれば、不作為の外乱の混入によ
るピーク変化に影響されることなく、安定した状態で高
精度にウエーブレット係数の時間的変化を測定すること
が可能となる。
【0014】また、振動センサ信号がAD変換されて取
込手段に取り込まれる場合、フィルタのカットオフ周波
数は、このAD変換におけるサンプル周波数の1/2以
下に設定されているのが好ましい。すなわち、カットオ
フ周波数をAD変換におけるサンプル周波数の1/2以
下に設定することにより、FFT解析における最高周波
数以上の周波数成分が当該最高周波数以下に折り重なっ
て現れる、いわゆるエリアジング現象を防止することが
可能となる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の一形態を図
面に基づいて説明する。図1には、本発明の第1実施形
態に係る工具の交換時期判定システムが採用されたNC
工作機械が示されている。このNC工作機械1は、テー
ブル2上に設置されたワーク21を切削加工する機械本
体3と、この機械本体3を数値制御するNC装置4とか
ら構成されている。
【0016】前記機械本体3は、前記ワーク21の表面
を切削するエンドミル31と、このエンドミル31を主
軸32回りに回転させる電気−油圧パルスモータ33と
を含んで構成されている。電気−油圧パルスモータ33
には、加速度計から構成される振動センサ51が設けら
れ、これにより、エンドミル31の回転に伴う振動を検
出することができる。また、エンドミル31は、図2の
切削面側正面図に示すように、2枚の切刃31A、31
Bにより切削加工を行う回転工具であり、2枚の切刃3
1A、31Bのうち、いずれかの切刃が磨耗、チッピン
グ等により正常に切削加工を行えなくなった場合、新た
なエンドミル31に交換する必要がある。
【0017】前記NC装置4は、図1に示されるよう
に、上述した電気−油圧パルスモータ33を制御する制
御装置41と、この制御装置41に制御信号S1を送る
コントローラ42とを含んで構成され、コントローラ4
2には、信号入出力用のIO拡張ボックス43が設けら
れている。尚、IO拡張ボックス43は、内部にAD変
換器を有し、これにより信号の高速サンプリングが可能
となっている。
【0018】IO拡張ボックス43は複数の入出力用ポ
ートを有し、制御信号ライン61、トリガ信号ライン6
2により制御装置41と接続され、振動センサ信号ライ
ン63により振動センサ51と接続されている。そし
て、振動センサ信号ライン63には、振動センサ51に
より取得した振動センサ信号S3を増幅する振動アンプ
52と、取得された振動センサ信号から高周波数成分を
分離除去するローパスフィルタ53とが設けられてい
る。
【0019】コントローラ42は、図3に示すように、
演算装置44および記録装置45を含んで構成される中
央処理装置46と、CRTディスプレイ等の表示装置4
7と、キーボード等の入力装置48とを含み構成されて
いる。演算装置44は、マイクロプロセッサ等からなる
高速演算素子を有するものであり、各種入出力機器を制
御する制御部441と、IO拡張ボックス43から入力
される種々の信号を取り込む取込手段442と、この取
込手段442により取り込まれた信号に基づいて前記エ
ンドミル31の磨耗状況を判断する判定手段443とを
備えている。尚、図3では図示を略したが、判定手段4
43は、信号のピーク値を検出する検出部と、この検出
部により検出された信号のピーク値に基づいてエンドミ
ル31の交換時期を判断する判断部とから構成されてい
る。
【0020】このような構成の工作機械1において、工
具の交換時期判定システムは、次のように動作する。 コントローラ42から制御信号S1が制御信号ライ
ン61を介して制御装置41に出力される。 制御装置41は、この制御信号S1に基づいて回転
数、送り速度等を制御しながら電気−油圧パルスモータ
33を駆動させ、この電気−油圧パルスモータ33の駆
動制御とともに、エンドミル31の1回転に対して1パ
ルスのトリガ信号S2を、トリガ信号ライン62を介し
てコントローラ42に出力する。
【0021】 コントローラ42は、トリガ信号S2
をトリガとして、図1では図示を略したセンサ制御ライ
ンを介して振動センサ51に振動センサ信号S3を出力
するよう指示する。 振動センサ51から出力された振動センサ信号S3
は、振動アンプ52により増幅され、ローパスフィルタ
53により高周波数成分が除去された後、前記トリガ信
号S2と同期させて取込手段442に取り込まれる。
【0022】尚、ローパスフィルタ53のカットオフ周
波数は、エンドミル31の切削振動数の数倍程度に設定
され、切削振動数f(Hz)は、主軸32の回転数をR(rp
m)、エンドミル31の歯数をN(枚)とすると、 f=R×N/60 によって算出される。 〜の繰り返しにより、振動センサ信号S3の時
間的変化を測定することができ、この測定結果は、制御
部441を介して表示装置47に表示されるとともに、
判定手段443にも送られる。
【0023】次に、判定手段443による工具の交換時
期を判定する手順を、具体例に基づいて説明する。図4
には、図2に示される二枚刃エンドミル31を用い、回
転数500rpm、送り速度250mm/min、切り込み量4
mmに設定し、SS400からなるワーク21を加工した
ときの、時間波形(サンプルタイム0.5msec、ローパ
スフィルタ53のカットオフ周波数100Hz(切削振動
数の略6倍))を表した図が示されている。図4におい
て、図4(A)は振動センサ51から出力される振動セ
ンサ信号S3の時間波形であり、図4(B)はローパス
フィルタ53を通した後の振動センサ信号S3の時間波
形であり、図4(C)は制御装置41から出力されるト
リガ信号S2の時間波形である。
【0024】取込手段442から判定手段443には、
図4(B)のように所定の間隔でピーク値PA、PBが
認められる振動センサ信号S3が送られる。このピーク
値PA、PBは、エンドミル31の切刃31A、31B
がワーク21に衝突した際の振動であり、エンドミル3
1が2枚の切刃31A、31Bを有しているので、切刃
31A、31Bのピークは交互に現れる。判定手段は、
図4(B)の振動センサ信号S3に基づいて、各ピーク
値PA、PBの時間的変化を測定し、工具交換時期を判
定する。
【0025】例えば、判定手段443は、ピーク値P
A、PBが図5(A)に示すように、ばらつきが少ない
状態で変化している時は、エンドミル31の切刃31
A、31Bに磨耗、チッピング等が生じておらず、正常
な加工が行われ、工具の交換は必要なし、と判定する。
一方、図5(B)に示すように、ピーク値PAの時間的
変化およびピーク値PBの時間的変化の間にばらつきが
大きくなった場合、2枚の切刃31A、31Bのうちの
いずれかに磨耗、チッピング等による損傷が生じたと判
断し、工具を交換すべき、と判定する。
【0026】また、ピーク値PA、PBの時間的変化を
より長期的に判断する場合、図6に示すように、エンド
ミル31の加工回数と前記ピーク値PA、PB間の分散
をプロットし、当該分散が一定の値となった時点で判定
手段443が工具を交換すべき、と判定するようにして
もよい。このような判定手段443の判定に基づいて、
コントローラ42から制御装置41に工具を交換すべき
旨の制御信号が出力される。尚、工具の交換を行うか否
かの判断基準となるばらつき、分散のしきい値は、ワー
ク21の材質、エンドミル31の形状、切削送り速度等
を勘案して適宜決定する。
【0027】前述のような第1実施形態によれば、次の
ような効果がある。すなわち、エンドミル31の振動以
外の外乱振動をローパスフィルタ53により除去し、エ
ンドミル31の1回転に対して1パルスのトリガ信号S
2と同期させて振動センサ信号S3を取り込んでいるの
で、エンドミル31の切刃31A、31Bの位置に応じ
た振動特性PA、PBを明瞭に検出することができ、こ
れらの時間的変化を測定することにより、各切刃31
A、31Bの磨耗状態を高精度に検出することができ
る。従って、エンドミル31の切刃31A、31Bの磨
耗状態を正確に把握することにより、エンドミル31の
交換時期の判定について信頼性の高い判定を行うことが
できる。
【0028】また、エンドミル31の磨耗状態を正確に
把握できることから、エンドミル31を限界まで使用す
ることができ、工具コストが高騰することなく、加工コ
ストの低減を図ることができる。さらに、ローパスフィ
ルタ53、振動センサ51等を接続するだけでシステム
を構築することができるので、システム構築に要するコ
ストが低減されるうえ、システムの構成が単純なので、
NC工作機械1に容易にシステムを構築することができ
る。そして、ノイズ等の外乱振動は高周波数帯域に多く
現れるので、図4から判るように、ローパスフィルタ5
3の採用は、本システムの高精度化を図るうえで有効で
ある。
【0029】次に、本発明の第2実施形態について説明
する。尚、以下の説明では、既に説明した部分または部
材と同様又は類似の部分等については、その説明を簡略
または省略する。前述の第1実施形態では、振動センサ
信号ライン63には、振動センサ51から出力された振
動センサ信号S3から100Hz以上の高周波数成分を
分離除去するローパスフィルタ53が設けられていた。
これに対して、第2実施形態では、ローパスフィルタ5
3のカットオフ周波数がIO拡張ボックス43の内部の
AD変換器のAD変換におけるサンプル周波数の1/2
以下に設定されている点が相違する。
【0030】また、前述の第1実施形態では、コントロ
ーラ42の内部の演算装置44に設定された判定手段4
43は、振動センサ信号S3のピーク値PA、PBに基
づいて工具の交換時期の判定を行っていた。これに対し
て、第2実施形態では、判定手段543は、図7に示す
ように、取込手段442から送られた振動センサ信号S
3をウエーブレット解析して、当該振動センサ信号S3
に対応するウエーブレット係数を求める解析部544
と、このウエーブレット係数の時間的変化から工具の交
換時期を判断する判断部545とを備えている点が相違
する。尚、上述したウエーブレット解析やFFT解析に
より振動特性の解析を行う場合、ローパスフィルタ53
の減衰特性は、70db/oct程度であるのが好まし
い。
【0031】この判断部545は、図7から判るよう
に、第1ステップ545A、第2ステップ545B、第
3ステップ545Cから構成されている。第1ステップ
545Aでは、一定時間内に含まれるウエーブレット係
数の平均値を算出する。第2ステップ545Bでは、第
1ステップ545Aで算出された係数平均値の時間的変
化を表すスムージング曲線を形成する。第3ステップ5
45Cでは、第2ステップ545Bで形成されたスムー
ジング曲線のピークを、エンドミル31の切刃31A、
31Bに対応するウエーブレット係数であると判断す
る。
【0032】そして、判定手段543は、スムージング
曲線のピークを特性値として、工具の交換を行うか否か
を判断する。尚、これ以外の部分については、上述した
第1実施形態に係る工具の交換時期判定システムと略同
様の構造であり、制御信号S1の出力から振動センサ信
号S3までの動作も略同様であるので、その説明を省略
する。
【0033】次に、上述した判定手段543による工具
の交換時期の判定手順を、具体例に基づいて説明する。
図8には、回転数500rpm、送り速度250mm/min、
切り込み量4mmに設定し、SS400からなるワーク2
1を加工したときの、時間波形(サンプルタイム0.4
69msec、ローパスフィルタ53のカットオフ周波数1
kHz)を表した図が示されている。図8において、図8
(A)には、振動センサ51から出力された振動センサ
信号S3をローパスフィルタ53を通した後の振動セン
サ信号S3の時間波形、トリガ信号S2の時間波形が表
されている。図8(B)には、この振動センサ信号S3
を、時間分解能の高い高周波数域の周波数範囲について
ウエーブレット解析を行い、当該振動センサ信号S3に
対応するウエーブレット係数の時間的変化W1が表され
ている。
【0034】取込手段442から判定手段543には、
図8(A)のような形で振動センサ信号S3が入力され
る。解析部544は、この振動センサ信号S3をウエー
ブレット解析して、振動センサ信号S3に対応するウエ
ーブレット係数の時間的変化W1を算出する。判断部5
45では、まず第1ステップ545Aが一定時間T内に
含まれるウエーブレット係数の平均値を移動平均法によ
り算出し、第2ステップ545Bがこの係数平均値の時
間的変化を表すスムージング曲線SM1を形成し、第3
ステップ545Cがこのスムージング曲線SM1のピー
ク値QA、QBの位置を、エンドミル31の切刃31
A、31Bに相当する位置であると判断する。
【0035】判定手段543は、前記ピーク値QA、Q
Bの時間的変化を測定し、工具交換時期を判定する。例
えば、図9(A)に示されるように、ピーク値QA、Q
Bを測定している場合、ピーク値QBに大きな変化が生
ずれば、判定手段543は、切刃31Bに損傷が生じた
ものと判断して、工具の交換を制御装置41に指示す
る。同様に、図9(B)に示すように、ピーク値QA、
QB間の分散に大きな変動が生じた場合、図9(C)に
示すように、ピーク値QA、QBの比に大きな変化が生
じた場合も、判定手段543は工具の交換を制御装置4
1に指示する。
【0036】前述のような第2実施形態によれば、第1
実施形態で述べた効果に加えて次のような効果がある。
すなわち、判定手段543が振動センサ信号S3の解析
にウエーブレット解析を利用しているので、時間分解能
の高い高周波数域の周波数範囲について振動波形の解析
を行うことができ、エンドミル31の磨耗状態を極めて
高精度に検出することができる。従って、判定手段54
3による工具の交換時期の判定も高精度化され、極めて
信頼性の高い判定を行うことができる。
【0037】また、平均化処理されたスムージング曲線
SM1のピーク値QA、QBを切刃31A、31Bに対
応するウエーブレット係数としているので、不作為の外
乱の混入等によるピーク値の変化に影響されることな
く、安定した状態で高精度にウエーブレット係数の時間
的変化を測定することができる。さらに、ローパスフィ
ルタ53のカットオフ周波数がAD変換におけるサンプ
ル周波数の1/2以下に設定されているので、FFT解
析における最高周波数以上の周波数成分が当該最高周波
数以下に折り重なって現れるエリアジングを防止するこ
とができる。
【0038】尚、本発明は、前述の各実施形態に限定さ
れるものではなく、次に示すような変形をも含むもので
ある。すなわち、前述の各実施形態では、エンドミル3
1は、2枚の切刃31A、31Bから構成されていた
が、これに限らず、図10に示すように、3枚の切刃1
31A、131B、131Cを有するエンドミル131
を備えたNC工作機械に本発明を利用してもよい。
【0039】この場合、エンドミル131が1回転する
と、ワークに対して切刃131A、131B、131C
が3回衝突するので、当該3枚の切刃131A、131
B、131Cの衝突に応じてウエーブレット係数のピー
クが生じ、図11(A)、図11(B)のようなグラフ
として表される。尚、図11において、図11(A)は
エンドミル131が新品の状態におけるウエーブレット
係数の時間的変化、図11(B)は累積使用により切刃
131Bに磨耗が生じた場合のウエーブレット係数の時
間的変化を表すグラフである。
【0040】また、前述の各実施形態では、エンドミル
31の交換時期を判定するために本発明を利用していた
が、他の回転工具に本発明を利用してもよい。さらに、
前述の第2実施形態では、フィルタとしてローパスフィ
ルタ53を用いていたが、これに限らず、バンドパスフ
ィルタを用いてもよい。要するに、どのようなフィルタ
を採用するかは、解析する周波数帯域に応じて適宜決定
すればよい。その他、本発明の実施の際の具体的な構造
および形状等は、本発明の目的を達成できる範囲で他の
構造等としてもよい。
【0041】
【発明の効果】前述の本発明の工具の交換時期判定シス
テムによれば、回転工具の振動以外の外乱振動をフィル
タにより除去し、振動センサ信号を回転工具の回転と同
期させて取り込んでいるので、回転工具の切刃位置に応
じた振動特性を検出することができ、信頼性の高い工具
の交換時期判定システムとすることができ、フィルタ、
振動センサ等を接続するだけでシステムを構築すること
ができるので、工具の交換時期判定システムを安価に構
成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る工具の交換時期判
定システムの構成を表す模式図である。
【図2】前述の実施形態における回転工具の切刃を示す
正面図である。
【図3】前述の実施形態における取込手段、判定手段の
構成を表す模式図である。
【図4】前述の実施形態における振動センサ信号、トリ
ガ信号の振動波形を表すグラフである。
【図5】前述の実施形態における判定手段による判定方
法を説明するためのグラフである。
【図6】前述の実施形態における判定手段による他の判
定方法を説明するためのグラフである。
【図7】本発明の第2実施形態に係る工具の交換時期判
定システムの取込手段、判定手段の構成を表す模式図で
ある。
【図8】前述の実施形態における振動センサ信号の振動
波形およびこの振動波形に対応するウエーブレット係数
を表すグラフである。
【図9】前述の実施形態における判定手段による判定方
法を説明するためのグラフである。
【図10】前述の実施形態の変形となる工具の交換時期
判定システムに用いられる回転工具を表す正面図であ
る。
【図11】前述の実施形態の変形における振動センサ信
号の振動波形を表すグラフである。
【符号の説明】
31 回転工具 51 振動センサ 52 トリガ信号 53 フィルタ(ローパスフィルタ) 442 取込手段 443、543 判定手段 544 解析部 545 判断部 545A 第1ステップ 545B 第2ステップ 545C 第3ステップ QA、QB ピーク S3 振動センサ信号 SM1 スムージング曲線 T 一定時間

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1または複数の切刃が設けられた回転工
    具の振動を振動センサにより測定し、前記回転工具の交
    換時期を判定する工具の交換時期判定システムであっ
    て、 前記振動センサから出力される振動センサ信号から所定
    の周波数帯域を分離するフィルタと、 前記回転工具の1回転に対して1パルスのトリガ信号と
    同期させ、前記フィルタを通した振動センサ信号を取り
    込む取込手段と、 この取込手段により取り込まれた振動センサ信号から前
    記回転工具の交換時期を判定する判定手段と、を備えて
    いることを特徴とする工具の交換時期判定システム。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の工具の交換時期判定シ
    ステムにおいて、 前記フィルタは、前記振動センサ信号の高周波数成分を
    分離除去するローパスフィルタであり、 前記判定手段は、このローパスフィルタを通した振動セ
    ンサ信号の1回転分の振動波形から前記回転工具の切刃
    数に応じたピーク値を検出する検出部と、この検出部に
    より検出されたピーク値の時間的変化から前記回転工具
    の交換時期を判断する判断部とを備えていることを特徴
    とする工具の交換時期判定システム。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の工具の交換時期判定シ
    ステムにおいて、 前記判定手段は、前記フィルタを通した振動センサ信号
    をウエーブレット解析して、当該振動センサ信号に対応
    するウエーブレット係数を求める解析部と、このウエー
    ブレット係数の時間的変化から前記回転工具の交換時期
    を判断する判断部とを備えていることを特徴とする工具
    の交換時期判定システム。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の工具の交換時期判定シ
    ステムにおいて、 前記判断部は、一定時間内に含まれるウエーブレット係
    数の平均値を算出する第1ステップと、この係数平均値
    の時間的変化を表すスムージング曲線を形成する第2ス
    テップと、このスムージング曲線のピークを、前記回転
    工具の切刃相当位置のウエーブレット係数であると判断
    する第3ステップとを備えていることを特徴とする工具
    の交換時期判定システム。
  5. 【請求項5】 請求項3または請求項4に記載の工具の
    交換時期判定システムにおいて、 前記振動センサ信号は、AD変換されて前記取込手段に
    取り込まれ、 前記フィルタのカットオフ周波数は、このAD変換にお
    けるサンプル周波数の1/2以下に設定されていること
    を特徴とする工具の交換時期判定システム。
JP34928897A 1997-12-18 1997-12-18 工具の交換時期判定システム Withdrawn JPH11179636A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011047252A (ja) * 2009-08-28 2011-03-10 Oyo Corp 落石・土砂崩落検知システム
CN111975449A (zh) * 2019-05-23 2020-11-24 发那科株式会社 主轴异常检测装置
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