JPH11177341A - 発振回路 - Google Patents

発振回路

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JPH11177341A
JPH11177341A JP9345630A JP34563097A JPH11177341A JP H11177341 A JPH11177341 A JP H11177341A JP 9345630 A JP9345630 A JP 9345630A JP 34563097 A JP34563097 A JP 34563097A JP H11177341 A JPH11177341 A JP H11177341A
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JP
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circuit
transconductance
loop
output
oscillation
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JP9345630A
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Takeshi Yamamoto
剛 山本
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Toshiba Corp
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Toshiba Corp
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  • Inductance-Capacitance Distribution Constants And Capacitance-Resistance Oscillators (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ノイズの発生を抑えるとともに、電源ノイズ
等の影響を受けにくい高精度のアナログ回路を含むCM
OS−LSIに適した発振回路を提供する。 【解決手段】 入力電圧に対しては高い反転ゲインを持
つとともに、ある変換係数で電流出力するトランスコン
ダクタンス回路3Aの出力を入力電圧に対してトランス
コンダクタンス回路3Aの反転ゲインより小さい反転ゲ
インを持つアンプ回路1Aの入力に供給し、アンプ回路
1Aの出力を、アンプ回路1Aと同構成のアンプ回路2
Aに入力し、アンプ回路2Aの出力をトランスコンダク
タンス回路3Aの入力に供給してループ状に従属接続し
て、トランスコンダクタンス回路3Aから発振出力を得
て自身のノイズの発生を抑え、電源ノイズ等の影響を受
けにくいアナログ回路を含む全体の回路をCMOS−L
SIで構成可能とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、MOS型半導体
集積回路においてアナログ信号処理を行う場合の基本と
なる発振回路に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、デジタル機器の増大とデジタル信
号処理技術の進歩によって、デジタル信号処理に適した
CMOS集積回路が半導体市場の大部分を占めるように
なってきている。ところが、映像や音声信号は入出力が
アナログであるためアナログで処理するほうが簡単であ
ったり、デジタルで処理するにしてもA/D、D/A変
換やその前後のフィルタ処理およびクロック発生のため
の発振器などにアナログ回路が必要である。アナログ回
路にはバイポーラが向いており、CMOSはアナログス
イッチやサンプルホールドなどの一部の回路を除いては
不向きとされてきた。しかし、バイポーラやBiCMO
Sプロセスはややコスト高になる上、CMOSでのデジ
タルアナログ混載による1チップ化という要求が強く、
CMOSでアナログ信号処理を行うための回路開発が盛
んになってきている。
【0003】CMOSによる「発振回路」はデジタル信
号処理においてクロック発生器やPLLの要素回路とし
て多用されてきた。このような発振回路の代表的なもの
としては、CMOSインバータをリング状に多段構成と
した「リング発振回路」がある。そのうち発振周波数の
制御が可能な発振回路の一例が、特許公報第26162
26号に記載されており、この発振回路の基本発振部分
は図17に示す構成になっている。
【0004】このリング発振回路は図17(a)に示す
ように、I1,I2,〜Inのインバータ回路を順番に
多段につなぎ、最終段のインバータ回路Inの出力を、
最初のインバータ回路I1の入力に戻すことによって、
リング状のループを形成したものである。各インバータ
回路I1,I2,〜Inは、図17(b)に示すよう
に、4個の電界効果トランジスタM61〜M64から構
成されている。トランジスタM62とM63のゲートを
同士接続して入力端子INとし、トランジスタM62と
M63のドレイン同士を接続して出力端子OUTとして
いる。また、トランジスタM64のドレインとトランジ
スタM63のソース、トランジスタM62のソースとト
ランジスタM61のドレインをそれぞれ接続するととも
に、トランジスタM64のドレインを電源端子に接続
し、トランジスタM61のソースを接地点に接続してい
る。
【0005】ここで、トランジスタM61とM62はN
チャンネルMOSで形成し、トランジスタM63とM6
4はPチャンネルMOSで形成している。各インバータ
回路I1,I2,〜InのトランジスタM61およびM
64の各ゲートは、それぞれ周波数制御端子T1および
T2に接続している。出力は各インバータ回路のどの出
力から取出しても良く、別に設けたループ外の出力用イ
ンバータを介して出力する。
【0006】このリング発振回路において、各インバー
タ回路のトランジスタM61,M62の組とトランジス
タM63,M64の組とは入力端子INに供給される信
号のレベルにより、相補的にオン/オフする。従って、
各インバータ回路I1,I2,〜Inにおける入力端子
INと出力端子OUTにおける信号のレベルは反転した
ものとなる。インバータ回路は多段に縦続接続されてい
るため、このような反転動作が次々と伝播していき、リ
ング状の構成により元に戻ってさらに反転を促進するた
め、最終的にループ全体の発振に至る。
【0007】このような発振動作の周波数は、各インバ
ータ回路I1,I2,〜Inの入出力間の反転の遅延時
間で決まる。インバータ回路1個当たりの遅延時間をt
dとすると発振周波数foscは、 fosc=1/(Ntd) … (1) となる。トランジスタM61のゲート電圧Vt2とトラ
ンジスタM64のゲート電圧Vt1は、これらの電界効
果トランジスタを流れる電流を制限する。インバータ回
路の反転時にトランジスタM64からM61に流れる電
流も制限される。これによって遅延時間tdも変化す
る。従って、制御端子T1、T2に供給される電圧を変
化させれば、各インバータ回路I1,I2,…Inにお
ける反転の遅延時間が一斉に変化する。
【0008】このように反転の遅延時間が変化すると反
転の伝播がループを一巡して戻ってくるまでの時間も変
化するので、(1)式により発振周波数も変化すること
になる。すなわち1段当たりの遅延時間tdを速くすれ
ば周波数が高くなり、遅延時間tdを遅くすれば発振周
波数が低くなり、周波数制御が実現する。
【0009】しかしながら、インバータ回路によるリン
グ発振回路は、アナログデジタル混載のCMOSLSI
に用いた場合、 1.自身でパルス性のノイズを発生して他のアナログ回
路に悪影響を及ぼしやすい。 2.電源ノイズ等の影響を受けやすいためジッター(位
相ノイズ)が多い。 という欠点がある。インバータ回路は反転の瞬間だけ電
源とGND間にかなり大きな電流が流れる。
【0010】従って、インバータの反転毎に電源ライン
と接地ラインの抵抗分によって電源と接地にパルス電圧
が発生する。LSIがアナログ回路を含む場合、電源ラ
インを分離する等の対策を施したとしても、このパルス
電圧が電源ラインの共通インピーダンス分や基板による
容量性の結合等のため、アナログ回路側に回り込む。こ
れがアナログ回路に何らかの影響を与え、アナログ信号
にパルスノイズが乗ってその品位が幾分劣化することは
避けられない。
【0011】特に、発振出力をアナログ信号処理で何ら
かの基準信号として使っていた場合などは、この基準信
号の周波数と上記パルス電圧の周波数とが整数比を持つ
ため、ビート成分として信号に乗ってきて、フィルタ等
では分離できないノイズとなることがある。また、リン
グ発振回路を構成するインバータ回路の波形は、電源−
接地間をフルスウィングする矩形波となる。これは強い
エネルギーのスプリアス(高調波成分)を持っているた
め、アナログ回路にインピーダンスの高い部分があった
りすると、輻射波として飛び込んできてやはり信号品位
を劣化させやすい。
【0012】一方、デジタル回路も状態が遷移する瞬間
に電源と接地間にかなり大きな貫通電流が流れる。従っ
て、LSIがデジタル回路を含む場合、デジタル回路全
体としてはクロック信号のエッジのタイミングで様々な
反転が起こり、これによるパルス性のノイズが電源ライ
ンや接地ラインに乗る。これは上記したように、電源ラ
インを分離する等の対策を施したとしても、このパルス
電圧が電源ラインの共通インピーダンス分や基板による
容量性の結合等のため、発振回路の電源/接地ラインに
回り込むことは避けられない。
【0013】リング発振回路は、電源−接地間電圧の振
幅で発振するため、電源電圧に乗るノイズが振幅の一時
的な変化を引き起こし、周波数を決めるインバータの遅
延時間にゆらぎを与える。これが結局は発振周波数の位
相ノイズとなり、発振のスペクトル純度を劣化させるこ
とになる。さらには、リング発振回路を構成するインバ
ータ回路自身が発生する反転時のパルス状の貫通電流が
自身で使っている電源/GNDラインにパルス電圧を発
生させ、これによって発振周波数の位相ノイズを増長さ
せる結果となる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】上記した従来のCMO
Sによる発振回路では、自分自身が発生するパルスノイ
ズによるアナログ信号への悪影響とデジタル回路が発生
するパルスノイズに起因する位相ノイズの増大、という
問題があり、特に高精度のアナログ信号処理を含むCM
OS−LSIに使える発振回路が切望されていた。
【0015】この発明の目的は、自らのノイズの発生を
抑え、電源ノイズ等の影響を受けにくい特長を持つ、高
精度のアナログ回路を含むCMOS−LSIに適した発
振回路を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
この発明では、入力電圧に対しては高い反転ゲインを有
すとともに、ある変換係数で電流出力するトランスコン
ダクタンス回路と、入力電圧に対しては前記トランスコ
ンダクタンス回路の反転ゲインよりはずっと小さい反転
ゲインを有するアンプ回路とを構成要素とし、前記トラ
ンスコンダクタンス回路と前記アンプ回路をループ状に
縦続接続して形成したものであり、前記ループ上の前記
トランスコンダクタンス回路と前記アンプ回路との和は
3以上の奇数個であり、前記ループ上の任意の位置での
信号を出力信号とすることを特徴とする。
【0017】このような構成要素の具体的な回路とし
て、前記トランスコンダクタンス回路は1個の電界効果
トランジスタで構成し、そのソースは共通の定電圧端子
に接続し、そのゲートを入力端子とし、そのドレインを
出力端子とし、この出力端子には定電流源を接続し、前
記アンプ回路は前記電界効果トランジスタと同じ導電型
の2個の電界効果トランジスタで構成し、入力側の電界
効果トランジスタのソースは前記定電圧端子に接続し、
そのゲートを入力端子とし、そのドレインを出力側の電
界効果トランジスタのソースに接続してこれを出力端子
とし、そのゲートとドレインはそれぞれ別々の定電圧端
子に接続する。
【0018】上記した発振回路では、トランスコンダク
タンス回路を構成する電界効果トランジスタに流すバイ
アス電流と、前記アンプ回路を構成する電界効果トラン
ジスタに流すバイアス電流との比を一定に保ちつつ、そ
の電流値を変える手段を設けることにより発振周波数を
制御することができる。
【0019】また、1対の差動入力端子と1対の差動出
力端子を持ち、同相入力電圧に対しては高い反転ゲイン
を有し、差動入力電圧に対してはある変換係数で電流出
力するトランスコンダクタンス回路と、1対の差動入力
端子と1対の差動出力端子を持ち差動入力電圧に対して
はあるゲインを持ってそれを出力し同相入力電圧に対し
ては前記ゲインと同程度の反転ゲインを有するアンプ回
路とを構成要素とし、前記トランスコンダクタンス回路
と前記アンプ回路をループ状に縦続接続して形成したも
のであり、ループ上の前記トランスコンダクタンス回路
と前記アンプ回路との和は3以上の奇数個であり、ルー
プ上の差動信号は一巡して負帰還で戻ってくるように前
記各構成要素が結線されていて、前記ループ上の任意の
位置での信号を出力信号とすることを特徴とする。
【0020】このような構成要素の具体的な回路として
は、前記トランスコンダクタンス回路は1対の電界効果
トランジスタで構成し、そのソースは共通の定電圧端子
に接続し、そのゲートを入力端子対とし、そのドレイン
を出力端子対とし、この出力端子対にはそれぞれ定電流
源を接続し、前記アンプ回路は前記電界効果トランジス
タと同じ導電型の2対の電界効果トランジスタで構成
し、入力側の電界効果トランジスタ対のソースは前記定
電圧端子に接続し、そのゲートを入力端子対とし、その
ドレインを出力側の電界効果トランジスタ対のソースに
それぞれ接続してこれを出力端子対とし、そのゲートと
ドレインはそれぞれ別々の定電圧端子に接続する。
【0021】この発振回路では、トランスコンダクタン
ス回路を構成する電界効果トランジスタ対に流すバイア
ス電流と、前記アンプ回路を構成する電界効果トランジ
スタ対に流すバイアス電流との比を一定に保ちつつその
電流値を変える手段を設けることにより発振周波数を制
御することができる。
【0022】上記した各手段により、まずほとんどの素
子がリニア領域で動作し、完全なスイッチング領域で動
作する訳ではないので、パルス性のノイズ発生がほとん
どない。また、発振振幅を電源電圧とは無関係な振幅で
制限するのでスプリアスの発生も少なく、電源ノイズに
より発振振幅がノイズで振られ結果的にジッター(位相
ノイズ)となるようなこともない。このようなことか
ら、高精度のアナログ回路を含むCMOS−LSIに最
適な発振回路となる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態につ
いて、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、こ
の発明の第1の実施の形態について説明するための回路
構成図である。この実施の形態は構成要素1,2,〜N
を3以上の奇数個とし、これらを順番に多段接続し、最
終段の構成要素Nの出力を、最段の構成要素1の入力に
戻すことによって、リング状のループを形成したもので
ある。ここでの各段の構成要素は、トランスコンダクタ
ンス回路かアンプ回路のいずれかとし、それらの入力電
圧対出力電圧はいずれも反転の関係にあるものを用い
る。
【0024】ここで、構成要素がトランスコンダクタン
ス回路の場合は、電圧入力、電流出力であり、出力端が
ハイインピーダンスのため入出力間の電圧ゲインが非常
に高い。すなわち直流的には高ゲインの反転アンプであ
る。また、構成要素がアンプ回路の場合は、電圧入力、
電圧出力であるが電圧ゲインとしては1前後(せいぜい
0.1〜10までの範囲)の設定のものを用いる。すな
わち直流的には低ゲインの反転アンプとなる。
【0025】このような構成要素にて図1の回路を構成
した場合、直流的には各構成要素は入出力間で反転の関
係にあり、かつループを構成する要素数が奇数個だか
ら、ループ一巡では直流的に負帰還(180°の位相回
り)となる。ループを構成する各ノードは、電源−接地
間の中間電位で安定な動作点を持つ。
【0026】次に、このループを交流的に考えると、各
構成要素はその出力インピーダンスと出力端に付いた容
量(コンデンサによる実容量または回路の寄生容量)の
積による時定数によって周波数が高くなるにつれて位相
が遅れ始める。従って、多くの場合、各段の位相遅れの
総和が180°となる周波数が存在する。この周波数で
はループ一巡で直流時の180°に対し、さらに位相が
180°回るので、ループは正帰還となる。周波数が高
くなって位相が遅れれば、入出力間のゲインも低下する
が、ループ一巡の位相回りが360°となる周波数にお
いて、ループゲインが1以上であればその周波数で発振
が始まることになる。
【0027】図1を構成する要素のうち、アンプ回路で
はゲインはとれないがトランスコンダクタンス回路は極
めて高いゲインを持つので、最低1個はトランスコンダ
クタンス回路を入れるように構成する。または全てをア
ンプ回路で構成するならば各段で1以上のゲイン設定し
て、これを多数縦続接続して全体のループゲインを確保
しながら、各段で少しづつ位相を回すことにより発振さ
せる方法もある。
【0028】なお、図1では全て入出力が反転の関係に
あるものを奇数個用いて構成する例を示しているが、こ
のループ上に入出力が非反転の関係にあるものを幾つ挿
入しても発振回路としての機能が変わらないのは明らか
である。従って、この実施の形態では、ループを構成す
る要素回路のうちの入出力間が反転の関係にあるものだ
けの総和が奇数個という点だけでこと済む。
【0029】図2は、第1の実施の形態をより具体的な
一実施例について説明するための回路構成図である。こ
の場合、1,2,〜Nの構成要素を3段とし、構成要素
1,2をアンプ回路1Aとアンプ回路2Aとし、構成要
素3をトランスコンダクタンス回路3Aとし、これらを
縦続接続し、トランスコンダクタンス回路3Aの出力
を、アンプ回路1Aの入力に帰還したものである。
【0030】アンプ回路1A,2Aの出力端であるBと
Cにはそれぞれ対接地に移相コンデンサC1とC2を接
続する。トランスコンダクタンス回路3の出力は互いに
向きを変えて並列接続したダイオードペア21で振幅制
限する。発振出力はどこから取出しても良いが、この例
ではトランスコンダクタンス回路3Aの出力端のA点か
ら取り出している。また、A点にはコンデンサは付けな
いが、実際にはアンプ回路1Aの入力容量等の寄生容量
CP1が付く。
【0031】この実施例に使用しているトランスコンダ
クタンス回路の回路例を図3に、アンプ回路の回路例を
図4にそれぞれ示す。
【0032】トランスコンダクタンス回路は、図3のよ
うにMOSトランジスタM1で構成し、そのソースを接
地し、ゲートを入力とし、ドレインには電源Vddより
定電流Ioを供給し、ここを出力端子としている。この
ような回路は直流の入出力特性としては高い反転ゲイン
を持つ回路という条件を満たすものである。
【0033】アンプ回路は、図4のようにMOSトラン
ジスタM2,M3で構成し、トランジスタM2のソース
を接地し、ゲートを入力とし、ドレインはトランジスタ
M3のソースと接続してここを出力端子とし、トランジ
スタM3のゲートはバイアス電圧VBに、ドレインは電
源Vddにそれぞれ接続する。この回路のゲインはトラ
ンジスタM3のゲートサイズW/Lに対するトランジス
タM2のゲートサイズW/Lの平方根で決まる。素子間
のゲートサイズの比はあまり大きく取れないので、この
ゲインは1前後のせいぜい1桁の範囲(0.3〜3=−
10dB〜10dB)でしか変えられない。
【0034】従って、ゲインはトランスコンダクタンス
回路のゲインよりは遥かに小さな値になり、直流の入出
力特性としてはトランスコンダクタンス回路よりもずっ
と小さな反転ゲインを持つ回路という条件を満たす。図
2の例ではトランジスタM2とM3のサイズを同じにし
て、直流ゲインを「−1」としている。
【0035】このような回路を構成要素とした図2の回
路動作を、図5に示したベクトル図を使って説明する。
出力端子であるA点を起点に考える。アンプ回路1Aを
通ったあとのB点では直流領域ではゲインが「−1」な
のでa´のベクトルとなる。周波数が高くなると位相が
遅れ始め、45°遅れるような周波数においてはbのベ
クトルとなる。次にアンプ回路2Aを通過したC点で
は、アンプ回路1Aと2A、コンデンサC1とC2とが
それぞれ等しいとすると、A→BとB→Cの位相遅れは
等しくなるため、B点で45°遅れる周波数において
は、C点でもb´(=−b)に対して45°遅れ、図中
のcのベクトルとなる。トランスコンダクタンス回路3
Aの出力インピーダンスはアンプ回路1Aや2Aに比
べ、遥かに大きい。例えば1000倍という大きさであ
る。それに対しA点の寄生容量CP1はC1とC2を数
pFとするとせいぜいその1/10程度である。すなわ
ちA点の時定数はB点やC点に比べ100倍程度大き
い。これにより、B点やC点の位相が45°遅れる周波
数ではA点は90°近く遅れることになる。
【0036】従って、A点はベクトルcの反転c´に対
し、90°遅れて元のaベクトルに戻る。すなわち、ア
ンプ回路の出力インピーダンスとコンデンサの積で決ま
る時定数により位相が45°回るような周波数で、ルー
プ全体の位相回りが360°となって正帰還になり、こ
の周波数で発振することになる。この場合の発振周波数
foscは、アンプ回路のトランジスタM2とM3のト
ランスコンダクタンスをgm(M2とM3のトランスコ
ンダクタンスは等しい)とし、コンデンサC1とC2の
容量値をC(C1=C2)とすると、 fosc=gm/(2πC) … (2) となる。
【0037】図6は、図3のトランスコンダクタンス回
路と図4のアンプ回路を図2に適用して実際の素子レベ
ルの回路に書き換えたものである。この回路においてN
MOS素子は全て同一形状・同一サイズであり、PMO
S素子は全て同一形状・同一サイズであるとする。図2
のアンプ回路1AはトランジスタM11とM12で、ア
ンプ回路2AはトランジスタM13とM14で、トラン
スコンダクタンス回路3AはトランジスタM15とそれ
をバイアスする電流源のトランジスタM16とM17と
で構成する。また、アンプ回路のバイアス電圧として、
図のようにトランジスタM18とM19を縦続接続した
回路に基準電流Ic1を折り返して、トランジスタM2
0とM21とで与える電流を流して得られる電圧をVB
1としてトランジスタM12とM14のゲートに与え
る。
【0038】このようにすれば、トランジスタM16と
M17で供給しているトランスコンダクタンス回路3A
のトランジスタM15のバイアス電流とアンプ回路1
A,2AのトランジスタM11〜M14のバイアス電流
を全て等しくできる。
【0039】従って、図中の発振ループを構成するA、
B、Cの各ノードの動作電圧は全て等しくなる。また、
M11〜M14のトランジスタのドレイン電流が、 Id=k(Vgs−Vth)2 … (3) と表わされるとすると、M11〜M14の各トランジス
タのgmは、
【数1】 と表わすことができるので、これを(2)に代入して、
【数2】 となる。これはバイアス電流Icを変えることにより、
発振周波数を変えることができることを意味する。この
ように、バイアス電流Ic1を変化させることにより、
発振周波数を簡単に制御することができる。
【0040】この実施例では発振波形が最大の振幅を持
つのはA点であるが、ここはダイオードで振幅制限して
いるためその振幅は0.5V以下であり、従来のインバ
ータ路を用いたリング発振回路のように電源電圧いっぱ
いに振れる訳ではない。また、完全なスイッチング動作
ではなく連続に近い領域で動作するので電源ラインにパ
ルスノイズが乗るようなこともない。B点とC点は振幅
がさらに小さく、しかも三角波から正弦波に近い波形に
なっているので高調波成分が少ない。
【0041】従って、高調波ノイズに敏感なアナログ回
路が近くにあったとしても、電源ラインの共通インピー
ダンスによって漏れ込んでいったり、空間的に飛び込ん
でいったりするノイズは小さい。また、発振周波数は電
源電圧に全く依存しないようにすることができるため、
デジタル回路が混在する場合でもデジタル回路で発生
し、電源ラインに乗ったパルスノイズが干渉してジッタ
ー(位相ノイズ)が増大することも少ない。このため、
高精度のアナログ信号処理を含むアナデジ混載のCMO
S−LSIに使えば非常に有効である。
【0042】図7は、この発明の第1の実施の形態によ
る他の実施例について説明するための回路構成図であ
る。この実施例では、1,2,〜Nの構成要素を先の実
施例と同様に3段とし、1〜3の全ての構成要素をトラ
ンスコンダクタンス回路としたものである。
【0043】すなわち、1B〜3Bのトランスコンダク
タンス回路を縦続接続し、トランスコンダクタンス回路
3Bの出力を、トランスコンダクタンス回路1Bの入力
に帰還したものであり、出力はトランスコンダクタンス
回路3Bから取り出している。各トランスコンダクタン
ス回路1B〜3Bは、先の実施例の場合と同様に図3に
示したものを用いる。トランスコンダクタンス回路2
B,3Bの出力端には、それぞれ71と72のダイオー
ドによる振幅制限回路を付けている。これらの端子には
コンデンサは付けないが、それぞれ寄生容量CP2とC
P3が付く。トランスコンダクタンス回路1Bの出力端
には、寄生容量CP2とCP3よりもずっと大きな容量
値を持つコンデンサC3を付けている。
【0044】図8のベクトルを用いて、図中のA点を起
点に発振動作を考える。トランスコンダクタンス回路2
Bを通ったあとのB点ではA点の信号ベクトルaの反転
のa´に対してB点の時定数であるトランスコンダクタ
ンス回路2Bの出力インピーダンスと寄生容量CP2と
の積に応じたある遅延を生じる。周波数の増加とともに
遅延量も大きくなるという関係がある。今、遅延位相が
45°となり、B点の信号ベクトルがbとなるような周
波数を考える。C点はB点と同じ条件なので、その信号
ベクトルはbの反転b´に対し45°遅れて、cのよう
になる。コンデンサC3の容量値は寄生容量CP2やC
P3の容量よりずっと大きいという設定なので、A点の
時定数はB点やC点に比べずっと大きい。B点やC点で
位相が45°遅れる周波数においてはA点の時定数によ
って位相が90°遅れる。従って、C点の信号ベクトル
cの反転c´に対し90°遅れてaに戻る。
【0045】すなわち、トランスコンダクタンス回路の
出力インピーダンスとその位置での寄生容量の積で決ま
る時定数により位相が45°回るような周波数でループ
全体の位相回りが360°となって正帰還になり、この
周波数で発振することになる。この場合の発振周波数f
oscは、トランスコンダクタンス回路の出力インピー
ダンスをroとし、寄生容量CP2とCP3の容量値を
Cp(CP1とCP2の容量値は等しい)とすると、 fosc=ro/(2πCp) … (6) と表わされる。
【0046】図9は、この発明の第2の実施の形態につ
いて説明するための回路構成図である。これは図1に示
した第1の実施の形態と同様に、構成要素11,12,
〜1Nを3以上の奇数個とし、これらを順番に多段接続
し、最終段の構成要素1Nの出力を最初の構成要素11
の入力に戻すことによって、リング状のループを形成す
る。また、構成要素の段数は3以上の奇数個で、各段の
構成要素はトランスコンダクタンス回路かアンプ回路の
いずれかである点も同じである。ただ、これらの構成要
素11,12,〜1Nは、差動入力差動出力の4端子回
路である点が第1の実施の形態と異なる。
【0047】ループ上の差動信号は、一巡すると信号極
性が反転して戻るという回路結線にする。トランスコン
ダクタンス回路は差動電圧入力、差動電流出力であり、
出力端がハイインピーダンスのため入出力間の同相電圧
ゲインは非常に高い。すなわち直流同相電圧に対しては
高ゲインの反転アンプとなる。アンプ回路は差動電圧入
力、差動電圧出力であるが電圧ゲインとしては差動ゲイ
ン、同相ゲインとも1前後(せいぜい0.1〜10まで
の範囲)の設定のものを用いる。すなわち直流同相電圧
に対しては低ゲインの反転アンプとなる。
【0048】このような構成要素にて図9の回路を構成
した場合、同相直流特性としては各構成要素は入出力間
で反転の関係にあり、かつループを構成する要素数が奇
数個だから、ループ一巡では直流的に負帰還(180°
の位相回り)となる。同相ループを構成する各ノード
は、電源−GND間の中間電位で安定な動作点を持つ。
差動的には、基本的に各構成要素は同極性端子同士で結
線し、1ヶ所だけ極性を入れ替えてループ状に結線す
る。図9においては構成要素1Nの出力から要素1の入
力に戻すところで極性を入れ替えている。このように結
線することで、差動直流特性としては各差動入力と各差
動出力の「+側端子」と「−側端子」が全て同電位にな
るように動作する。
【0049】次に、この差動ループを交流的に考えると
構成要素11,12,〜1Nは、その出力端子のインピ
ーダンスと差動出力端子間に付いた容量(コンデンサに
よる実容量または回路の寄生容量)の積による時定数に
よって周波数が高くなるにつれて位相が遅れ始める。従
って、多くの場合、各段の位相遅れの総和が180°と
なる周波数が存在する。この周波数ではループ一巡で直
流時の180°に対し、さらに位相が180°回るの
で、差動ループは正帰還となる。周波数が高くなって位
相が遅れれば入出力間のゲインも低下するが、ループ一
巡の位相回りが360°となる周波数において、ループ
ゲインが1以上であればその周波数で発振が始まること
になる。
【0050】構成要素のうち、アンプ回路ではゲインは
とれないが、トランスコンダクタンス回路は極めて高い
ゲインを持つので、最低1個はトランスコンダクタンス
回路を入れるように構成する。または全てをアンプ回路
で構成するならば各段で1以上のゲイン設定して、これ
を多数縦続接続して全体のループゲインを確保しなが
ら、各段で少しづつ位相を回すことにより発振させる方
法もある。
【0051】図9の構成では、全て入出力が反転の関係
にあるものを奇数個用いて構成する例を示しているが、
このループ上に入出力が非反転の関係にあるものを幾つ
挿入しても発振回路としての機能が変わらないのは明ら
かである。従って、この発明はループを構成する要素回
路のうちの入出力間が反転の関係にあるものだけの総和
が奇数個という点だけを規定するものである。
【0052】図10は、この発明の第2の実施の形態に
よる一実施例について説明するための回路構成図であ
る。この実施例は、11,12,〜1Nの構成要素を3
段とし、構成要素11,12をアンプ回路11Aとアン
プ回路12Aとし、構成要素13をトランスコンダクタ
ンス回路13Aとし、これらを縦続接続し、トランスコ
ンダクタンス回路13Aの出力を、アンプ回路11Aの
入力に帰還したものである。
【0053】アンプ回路11A,12Aのそれぞれの出
力端であるBB´とCC´には、端子間にコンデンサC
11とC12を接続する。トランスコンダクタンス回路
13Aの出力は、双方向に並列接続したダイオードペア
101で振幅制限する。発振出力はどこから取り出して
も良いが、この例ではトランスコンダクタンス回路13
Aの出力端のAA´点から取り出している。またAA´
点にはコンデンサは付けないがアンプ回路11Aの入力
容量等の寄生容量CP4とCP5が付く。
【0054】図11、図12は、図10の実施例で使用
するトランスコンダクタンス回路13Aとアンプ回路1
2A,13Aの具体的な回路例について説明するための
回路図である。
【0055】トランスコンダクタンス回路は、図11の
ようにMOSトランジスタM31とM32とで構成し、
そのソース対を接地し、ゲート対を差動入力端子とし、
ドレイン対にはそれぞれ電源より定電流Ioをそれぞれ
供給するとともに、ここを差動出力端子としている。こ
のような回路は直流の同相入力電圧に対しては、高い反
転ゲインを持つ回路という条件を満たすものである。
【0056】アンプ回路は図12のようにMOSトラン
ジスタM33〜M36で構成し、トランジスタM33と
M34のソースを接地し、ゲート対を差動入力端子と
し、ドレインはトランジスタM35とM36のソースに
それぞれ接続してこれを差動出力端子とし、トランジス
タM35とM36のゲートはバイアス電圧VBに、ドレ
インは電源にそれぞれ接続する。この回路の差動ゲイン
および同相ゲインはトランジスタM35,M36のゲー
トサイズW/Lに対するトランジスタM33,M34の
ゲートサイズW/Lの平方根で決まる。素子間のゲート
サイズの比はあまり大きく取れないので、このゲインは
1前後のせいぜい1桁の範囲(0.3〜3=−10dB
〜10dB)でしか変えられない。この例ではトランジ
スタM33〜M36のサイズを全て同じにして、直流で
の同相ゲインを「−1」、差動ゲインを「1」としてい
る。従って、同相ゲインはトランスコンダクタンス回路
の同相ゲインよりは遥かに小さな値になり、直流の同相
入力電圧に対してはトランスコンダクタンス回路よりも
ずっと小さな反転ゲインを持つ回路という条件を満たし
ている。
【0057】このような回路を構成要素とした図10の
回路動作を図13に示したベクトル図を使って説明す
る。まず、出力端子であるAA´点を起点に考える。ア
ンプ回路11Aを通ったあとのBB´点では直流領域で
はゲインが「−1」なのでa´のベクトルとなる。周波
数が高くなると位相が遅れ始め、45°遅れるような周
波数においてはbのベクトルとなる。次にアンプ回路1
2Aを通過したCC´点では、アンプ回路11Aと12
A、コンデンサC11とC12とがそれぞれ等しいとす
ると、AA´→BB´とBB´→CC’の位相遅れは等
しくなるため、BB´点で45°遅れる周波数において
は、CC´点でもb´(=−b)に対して45°遅れ、
図中のcのベクトルとなる。
【0058】トランスコンダクタンス回路13Aの出力
インピーダンスは、アンプ回路11Aや12Aに比べ遥
かに大きい。例えば1000倍という大きさである。そ
れに対し、AA´間に付く寄生容量は、寄生容量CP4
とCP5の半分であり、コンデンサC11とC12を数
pFとするとせいぜいその1/10程度である。これ
で、AA´点の時定数はBB´点やCC´点に比べ10
0倍程度大きいということになる。BB´点やCC´点
の位相が45°遅れる周波数ではAA´点は90°近く
遅れることになる。従って、AA´点はベクトルcの反
転c´に対し、90°遅れて元のaベクトルに戻ること
になる。
【0059】すなわち、アンプ回路の出力インピーダン
スとコンデンサの積で決まる時定数により位相が45°
回るような周波数でループ全体の位相回りが360°と
なって正帰還になり、この周波数で発振することにな
る。この場合の発振周波数foscは、アンプ回路のト
ランジスタM33〜M36のトランスコンダクタンスを
gm(M33〜M36のトランスコンダクタンスは等し
い)とし、コンデンサC11とC12の容量値をC(C
11とC12の容量値は等しい)とすると、前述の
(2)式と同じ式で表わすことができる。
【0060】図10の全差動型の発振回路の場合、もう
一つ同相での動作を考えなければならない。この回路は
発振回路ではあるが、発振は差動モードでのみ起こり、
同相モードでは発振してはならない。同相モードを考え
る場合はGNDを基準にしたAA´の平均電圧、BB´
の平均電圧、CC´の平均電圧を考えれば良い。11〜
13の各構成要素の出力端に付く対接地との容量値は、
コンデンサの寄生容量を無視すると、BB´点でゼロ、
CC´点でもゼロ、AA´点でCP4//CP5、とな
る。しかも、構成要素の出力インピーダンスもトランス
コンダクタンス回路の方がアンプ回路より桁違いに大き
い。従って、同相信号に対する時定数はBB´点でほぼ
ゼロ、CC´点でもほぼゼロ、AA´点で最大となる。
【0061】図10のリング状のループでは、AA´点
で周波数の低いところに支配極ができ、BB´点とCC
´点に対応した極は遥か離れた高域にしかできない。従
って、BB´点とCC´点の極の影響で位相が回りはじ
める周波数ではAA´点の支配極によって振幅が十分減
衰し、ループゲインが1以下になって発振を回避できる
ことになる。このように同相動作に対しては寄生容量C
P4とCP5が位相補償容量として働き、同相ループと
して位相補償がなされるため同相発振は起こらない。こ
れはコンデンサC11とC12を差動出力の端子間に入
れて、対接地には容量を付けていないことによる。
【0062】図11のトランスコンダクタンス回路と図
12のアンプ回路を図10に適用して実際の素子レベル
の回路に書き換えたものを図14に示す。この回路にお
いてNMOS素子は全て同一形状・同一サイズであり、
PMOS素子は全て同一形状・同一サイズであるとす
る。
【0063】図10のアンプ回路11Aはトランジスタ
M41〜M44で、アンプ回路12AはトランジスタM
45〜M48で、トランスコンダクタンス回路13Aは
トランジスタM49,M50とそれをバイアスする電流
源のトランジスタM51とM53、トランジスタM52
とM54とで構成する。また、アンプ回路のバイアス電
圧として、図のようにトランジスタM55とM56を縦
続接続した回路に基準電流Ic2を折り返し、トランジ
スタM57とM58とで与える電流を流して得られる電
圧を、バイアス電圧VB2としてトランジスタM43〜
M48の各ゲートに与える。
【0064】このようにすれば、トランジスタM51と
M53、トランジスタM52とM54とで供給している
トランスコンダクタンス回路13AのトランジスタM4
9,M50のバイアス電流と2つのアンプ回路のM41
〜M48のバイアス電流を全て等しくすることができ
る。図中の発振ループを構成するA,A´、B,B´、
C,C´の各ノードの動作電圧は全て等しくなる。
【0065】また、M41〜M48のトランジスタのド
レイン電流が(3)式のように表わされるとすると、前
述の実施例で計算したのと同様に、そのgmは(4)式
のように表わされ、これを(2)式に代入して発振周波
数は(5)式で表わされる。これは、この発明の第1の
実施の形態による図5に示す実施例と全く同様に、第1
のバイアス電流Ic1を変えることにより、発振周波数
を変えることができることを意味する。このようにバイ
アス電流Ic2を変化させることにより発振周波数を簡
単に制御することができる。
【0066】図14の回路の実際の動作時における発振
波形を図15に示す。この波形図は、図14のA、B、
C、の各点の波形を示した。A点の波形を基準に、B点
の波形は約135°の位相差、約90°の位相差になっ
ており、図13に示したような位相関係になっているこ
とが読み取れる。
【0067】バイアス電流Ic2を変化させたときの発
振波形を図16に示す。これはバイアス電流Ic2を、
10μA、50μA、200μAにそれぞれ変えた場合
のA−A´間の差電圧の波形を示したもので、aがIc
2=10μAの場合、bがIc2=50μAの場合、c
がIc2=200μAの場合である。(5)式に示した
通り、ほぼI1/2 c2に比例してその発振周波数が変化
していることが読み取れる。
【0068】このように、この第2の実施の形態では、
自分自身で高調波ノイズを発生しにくいことと、電源等
に乗ったノイズの影響を受けにくい、という第1の実施
の形態の特徴を備えていることの他に、全差動回路であ
るため、差動で出力すれば偶数次の高調波ノイズを抑
え、さらに電源ノイズによるジッターをさらに軽減でき
て高品位の発振信号を得ることができる。
【0069】
【発明の効果】以上記載したように、この発明に係るC
MOSで構成する発振回路によれば、トランスコンダク
タンス回路とアンプ回路をリング状に配置して全差動型
にて構成することにより、自分自身でノイズを発生しに
くく、また電源ノイズ等の影響を受けにくいという効果
を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施の形態について説明する
ための回路構成図。
【図2】図1の一実施例について説明するための回路構
成図。
【図3】図2で用いるトランスコンダクタンス回路の回
路図。
【図4】図2で用いるアンプ回路の回路図。
【図5】図2の動作について説明するためのベクトル
図。
【図6】図2を素子レベルで示した回路図。
【図7】この発明の第1の実施の形態による他の実施例
について説明するための回路構成図。
【図8】図7の動作について説明するためのベクトル
図。
【図9】この発明の第2の実施の形態について説明する
ための回路構成図。
【図10】図9の一実施例について説明するための回路
構成図。
【図11】図10の実施例で使用するトランスコンダク
タンス回路の具体的な回路例について説明するための回
路図。
【図12】図10の実施例で使用するアンプ回路の具体
的な回路例について説明するための回路図。
【図13】図10の回路動作について説明するためのベ
クトル図。
【図14】図10を実際の素子レベルに書き換えて説明
するための回路図。
【図15】図14の回路の実際の動作時における発振信
号波形図。
【図16】図14におけるバイアス電流を変化させたと
きの発振信号波形図。
【図17】従来の発振回路について説明するための回路
構成図。
【符号の説明】
1,2,〜N,11,12,〜1N…構成要素、1A,
2A,11A,12A…アンプ回路、3A,1B〜3
B,13A…トランスコンダクタンス回路、21,7
1,72…ダイオードペア、CP1,CP2,CP3,
CP4,CP5…寄生容量、C1,C2,C3,C1
1,C12…コンデンサ、A〜C,A´〜C´…ノー
ド。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入力電圧に対しては高い反転ゲインを有
    すとともに、ある変換係数で電流出力するトランスコン
    ダクタンス回路と、 入力電圧に対しては前記トランスコンダクタンス回路の
    反転ゲインよりはずっと小さい反転ゲインを有するアン
    プ回路とを構成要素とし、 前記トランスコンダクタンス回路と前記アンプ回路をル
    ープ状に縦続接続して形成したものであり、 前記ループ上の前記トランスコンダクタンス回路と前記
    アンプ回路との和は3以上の奇数個であり、前記ループ
    上の任意の位置での信号を出力信号とすることを特徴と
    する発振回路。
  2. 【請求項2】 前記ループ上のトランスコンダクタンス
    回路の出力端には振幅を制限する素子または回路を接続
    したことを特徴とする請求項1に記載の発振回路。
  3. 【請求項3】 前記トランスコンダクタンス回路は1個
    の電界効果トランジスタで構成し、そのソースは共通の
    定電圧端子に接続し、そのゲートを入力端子とし、その
    ドレインを出力端子とし、この出力端子には定電流源を
    接続し、前記アンプ回路は前記電界効果トランジスタと
    同じ導電型の2個の電界効果トランジスタで構成し、入
    力側の電界効果トランジスタのソースは前記定電圧端子
    に接続し、そのゲートを入力端子とし、そのドレインを
    出力側の電界効果トランジスタのソースに接続してこれ
    を出力端子とし、そのゲートとドレインはそれぞれ別々
    の定電圧端子に接続したことを特徴とする請求項1に記
    載の発振回路。
  4. 【請求項4】 前記トランスコンダクタンス回路を構成
    する電界効果トランジスタに流すバイアス電流と、 前記アンプ回路を構成する電界効果トランジスタに流す
    バイアス電流との比を一定に保ちつつその電流値を変え
    ることにより発振周波数を制御できる制御手段とを有す
    ることを特徴とする請求項3に記載の発振回路。
  5. 【請求項5】 前記ループ上の前記トランスコンダクタ
    ンス回路は1個であり、前記ループ上の前記アンプ回路
    は偶数個であり、そのうち少なくとも1つのアンプ回路
    の出力端子にはコンデンサが接続されていることを特徴
    とする請求項3に記載の発振回路。
  6. 【請求項6】 前記ループ上の前記トランスコンダクタ
    ンス回路は複数個であり、そのうち1個のトランスコン
    ダクタンス回路の出力端子にだけコンデンサが接続され
    ていることを特徴とする請求項3に記載の発振回路。
  7. 【請求項7】 1対の差動入力端子と1対の差動出力端
    子を持ち、同相入力電圧に対しては高い反転ゲインを有
    し、差動入力電圧に対してはある変換係数で電流出力す
    るトランスコンダクタンス回路と、 1対の差動入力端子と1対の差動出力端子を持ち差動入
    力電圧に対してはあるゲインを持ってそれを出力し同相
    入力電圧に対しては前記ゲインと同程度の反転ゲインを
    有するアンプ回路とを構成要素とし、 前記トランスコンダクタンス回路と前記アンプ回路をル
    ープ状に縦続接続して形成したものであり、 ループ上の前記トランスコンダクタンス回路と前記アン
    プ回路との和は奇数個であり、ループ上の差動信号は一
    巡して負帰還で戻ってくるように前記各構成要素が結線
    されていて、前記ループ上の任意の位置での信号を出力
    信号とすることを特徴とする発振回路。
  8. 【請求項8】 前記ループ上のトランスコンダクタンス
    回路の出力端子間には、振幅を制限する素子または回路
    を接続したことを特徴とする請求項7に記載の発振回
    路。
  9. 【請求項9】 前記トランスコンダクタンス回路は、 1対の電界効果トランジスタで構成し、そのソースは共
    通の定電圧端子に接続し、そのゲートを入力端子対と
    し、そのドレインを出力端子対とし、この出力端子対に
    はそれぞれ定電流源を接続し、 前記アンプ回路は、 前記電界効果トランジスタと同じ導電型の2対の電界効
    果トランジスタで構成し、入力側の電界効果トランジス
    タ対のソースは前記定電圧端子に接続し、そのゲートを
    入力端子対とし、そのドレインを出力側の電界効果トラ
    ンジスタ対のソースにそれぞれ接続してこれを出力端子
    対とし、そのゲートとドレインはそれぞれ別々の定電圧
    端子に接続したことを特徴とする請求項7記載の発振回
    路。
  10. 【請求項10】 前記トランスコンダクタンス回路を構
    成する電界効果トランジスタ対に流すバイアス電流と、 前記アンプ回路を構成する電界効果トランジスタ対に流
    すバイアス電流との比を一定に保ちつつその電流値を変
    えることにより発振周波数を制御できる制御手段とを有
    することを特徴とする請求項9に記載の発振回路。
  11. 【請求項11】 前記ループ上の前記トランスコンダク
    タンス回路は1個であり、前記ループ上の前記アンプ回
    路は偶数個であり、そのうち少なくとも1つのアンプ回
    路の出力端子間にはコンデンサを接続してなることを特
    徴とする請求項9に記載の発振回路。
  12. 【請求項12】 前記ループ上の前記トランスコンダク
    タンス回路は複数個であり、そのうち1個のトランスコ
    ンダクタンス回路の出力端子にだけ前記定電圧端子との
    間にそれぞれコンデンサを接続してなることを特徴とす
    る請求項9に記載の発振回路。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7116180B2 (en) 2002-11-01 2006-10-03 Sharp Kabushiki Kaisha Voltage-controlled oscillator and integrated circuit device provided with it

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7116180B2 (en) 2002-11-01 2006-10-03 Sharp Kabushiki Kaisha Voltage-controlled oscillator and integrated circuit device provided with it

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