JPH11174263A - 光ファイバクランプ及び融着接続装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 光ファイバ融着接続の精度、作業性を向上す
る。 【解決手段】 Ｖ溝部材５０上に載置された光ファイ
バ１を加圧固定する加圧ブロック２ａと、この加圧ブロ
ック２ａの他端に保持する支持アーム２と、この支持ア
ーム２の他端に固定されている回転軸金具３と、この回
転軸金具３を摺動可能に収納する支持外筒４と付力ばね
からなる光ファイバクランプ１０であって、回転軸金具
３には位置決めピン３０が固定され、支持外筒４の側面
には位置決めスリット４０が穿孔され、位置決めピン３
０を位置決めスリット４０に沿って移動させることによ
り、回転軸金具３及び支持アーム２を介して加圧ブロッ
ク２ａを位置決めし、かつ付力ばねにより加圧ブロック
２ａがＶ溝部材５０上に載置された光ファイバ１を加圧
固定することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、光ファイバを融着接続
等する際にＶ溝部材上に対向して整列された光ファイバ
を加圧固定して光軸を一致させる光ファイバクランプ、
及び光ファイバ融着接続装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】光ファイバを融着接続するには、表面に
Ｖ字状の溝（以下、Ｖ溝という。）を有するＶ溝部材の
Ｖ溝に、接続すべき光ファイバの端面を対向して載置
し、放電電極による放電により加熱、溶融して接続す
る。

【０００３】この場合、接続すべき光ファイバの端面の
光軸が一致しない、いわゆる軸ずれが生じていると接続
損失が生ずるので、図６に例示するように、Ｖ溝５０ａ
上に載置した光ファイバ１の上部から加圧ブロック２ａ
により加圧固定して、対向する光ファイバ１の端面の光
軸が一致した状態で、加熱溶融をする必要がある。この
ため、 Ｖ溝部材５０上に載置された光ファイバ１を上
部から加圧ブロック２ａにより加圧固定して軸ずれを抑
制する光ファイバクランプが使用される。この光ファイ
バクランプには、Ｖ溝上の正確な位置を決定する位置決
め機構と一定の圧力で光ファイバを加圧する加圧機構と
が必要不可欠である。

【０００４】（従来の光ファイバクランプの構造）従来
の光ファイバクランプは、図４に示すように、 Ｖ溝上
に載置された光ファイバを加圧固定する加圧ブロック２
ａと、この加圧ブロックを先端に保持する支持アーム２
と、この支持アームの他端に、直角方向に固定されてい
る回転軸金具３と、この回転軸金具を摺動可能に収納し
てこれを支持する支持外筒４と、同図（ｂ）に示すよう
に支持外筒４の内部にあって回転軸金具３に対し、支持
アーム２を介して加圧ブロック２ａがＶ溝部材上の光フ
ァイバを加圧する方向（以下、加圧方向という。）に付
力する付力ばね３ｂと、回転軸金具３の下部の軸金具脚
部３ｃに接続する位置決め爪３ｄと、この爪を両側から
挟むことにより加圧ブロック２ａの位置を決定するため
のガイドベアリング３ｅからなる。尚、このガイドベア
リング３ｅの中心軸は、融着接続装置の一部に固定され
ている。

【０００５】融着接続時の光ファイバクランプの操作方
法を、図１に示す本発明の融着接続装置に、従来の図４
に示す１対の光ファイバクランプ１０を装着した場合を
例にとり説明する。光ファイバクランプの支持アーム２
は、融着接続時以外は接続作業の都合上から、加圧ブロ
ック２ａがＶ溝部材５０に対し回転軸金具を中心にして
反対方向に位置するように保持されている。

【０００６】従って、融着接続の際は、まず１対の光フ
ァイバクランプ１０の各調整つまみ３ａをそれぞれ指先
でつまんで持ち上げ、位置決め爪３ｄをそれぞれのガイ
ドベアリング３ｅ間に挿入することにより加圧ブロック
２ａの位置が特定される。この状態で調整つまみ３ａを
放すことにより、付力ばね３ｂの力が加圧方向に付力さ
れ、支持アーム２を介して、加圧ブロック２ａによりＶ
溝部材５０上の光ファイバ１を加圧し、その軸ずれを矯
正する。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかし、端末の被覆を
剥離した状態でＶ溝上に対向して載置された外径１００
μｍ程度の接続すべき光ファイバ１の光軸を一致させる
には、極めて高精度のクランプ操作が要求される。即
ち、加圧ブロック２ａにより、Ｖ溝部材５０のＶ溝５０
ａ上に対向して載置された接続すべき光ファイバ１の所
定の位置に正確に、かつその垂直な方向に光ファイバ１
を加圧する必要がある。

【０００８】このため、従来の光ファイバクランプで
は、位置決め機構として、加圧ブロック２ａが、支持ア
ーム２及び回転軸金具３を介して、軸金具脚部６に固定
された位置決め爪３ｄと結合され、この爪を両側から挟
むことにより加圧ブロック２ａの位置決めをするガイド
ベアリング３ｅを有している。

【０００９】しかし、融着接続の際には、環境温度の変
化などによる寸法変化に起因して、位置決め爪３ｄとガ
イドベアリング３ｅとの間のクリアランスの調整が必要
となり、この調整にかなりの時間を要するという問題が
ある。またこの位置決め機構には高精度が要求される結
果、軸金具脚部３ｃを含むこれら部分が、比較的大きな
容積を占めることとなり、装置の小型化を妨げていた。
また、融着接続装置の構成が複雑となり部品コストが高
いという問題がある。一方、光ファイバの融着接続は様
々な劣悪な状態を含む作業環境で行われること、及びき
わめて大きな光ファイバの溶融接続需要が存在する現状
から、装置の小型軽量化が求められている。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明は、 Ｖ溝部材上
に載置された光ファイバを加圧固定する加圧ブロック
と、この加圧ブロックを先端に保持する支持アームと、
この支持アームの他端に固定されている回転軸金具と、
この回転軸金具を摺動可能に収納する支持外筒と、その
支持外筒に収納されかつ両端を前記支持外筒の内壁と前
記回転軸金具に固定された付力ばねからなる光ファイバ
クランプであって、前記回転軸金具には位置決めピンが
固定され、前記支持外筒の側面には位置決めスリットが
穿孔され、前記付力ばねにより付力された回転方向の力
により前記位置決めピンを前記位置決めスリットの側面
に当接させることにより前記加圧ブロックを位置決め
し、かつ前記付力ばねにより付力された加圧方向の力に
より前記加圧ブロックが前記Ｖ溝部材上に載置された光
ファイバを加圧固定することを特徴とする光ファイバク
ランプである。

【００１１】また、本発明は、前記光ファイバクランプ
を用いることを特徴とする光ファイバ融着接続装置であ
る。

【００１２】本発明の光ファイバクランプにより、回転
軸金具と支持外筒に両端を固定した付力ばねにより、支
持外筒の位置決めピンを前記支持外筒の位置決めスリッ
トによりガイドする簡素な位置決め機構により前記加圧
ブロックを正確に位置決めするので、位置決め調整時間
を顕著に短縮できる。

【００１３】また本発明の光ファイバクランプは、簡素
な位置決め機構を有しかつ本機構と加圧機構とが一部部
材を共用することにより、装置の小型化が実現する。

【００１４】

【発明の実施の形態】図１に本発明の光ファイバ溶融接
続装置を、図２に本発明の光ファイバクランプを、図３
に図２に示す光ファイバクランプの一部断面図を示す。
以下、図１乃至図３、図５乃至図７に基づいて本発明の
実施の形態を説明する。なお、同じ要素には同じ番号を
付し重複する説明を省略する。

【００１５】（光ファイバクランプ）まず、加圧ブロッ
ク２ａは、図１、図２に示すように支持アーム２で支持
された状態でＶ溝部材５０に対向する側にＶ溝部材５０
のＶ溝５０ａを含む表面と平行な平面を有する。この平
面により、Ｖ溝部材５０上のＶ溝５０ａ上に対向して載
置された接続すべき光ファイバ１を、所定の位置で、Ｖ
溝部材５０の表面に対し垂直方向に加圧し固定する。

【００１６】支持アーム２は、先端に加圧ブロック２ａ
を保持し、他端が回転軸金具３と直角方向に固定され、
調整つまみ３ａを介して伝達される指先の力及び付力ば
ね３ｂにより回転軸金具３に付力された力を、加圧ブロ
ック２ａに伝達する機能を有する。

【００１７】従って、加圧ブロック２ａは、回転軸金具
３を中心軸とする支持アーム２の回転方向及び垂直方向
の移動に伴って、その回転方向及び垂直方向の位置が決
定され、支持アーム２を介して付力された力により、Ｖ
溝部材５０上のＶ溝５０ａに載置された光ファイバ１を
加圧する機能を有する。

【００１８】回転軸金具３は、支持外筒４に摺動可能に
収納されて、垂直方向に支持される。即ち、回転軸金具
は、支持外筒４と、支持外筒４の上部では支持ベアリン
グ４ａを介して接触し、下部では回転軸金具３の回転軸
が支持外筒４の下部にある軸受孔に挿入されることによ
り支持される。

【００１９】回転軸金具３には、これに直交する方向に
柱状の位置決めピン３０が接合され、前記支持外筒４に
は位置決めスリット４０が穿孔され、位置決めピン３０
をこの位置決めスリット４０に挿入し、位置決めピン３
０の側面をこの位置決めスリット４０の位置決め当接面
４０ａに当接させることにより、加圧ブロック２ａのＶ
溝部材上の位置が特定される。尚、位置決めスリット４
０は、支持外筒４の側面に穿孔されるが、開口を有する
スリットに限定されるものではなく、底を有する溝状の
スリットであってもよい。

【００２０】また、回転軸金具３と支持外筒４には付力
ばね３ｂの両端が接続され、回転軸金具３には回転方向
及び加圧方向にこの付力ばねの力が付与され、支持アー
ム２を介して加圧ブロック２ａに対しこの力が伝達され
る。この結果、加圧方向には、部材の重力と付力ばね３
ｂの力により所定の圧力を生じて、加圧ブロック２ａが
Ｖ溝部材５０上の光ファイバ１を所定の圧力で加圧固定
することが可能となる。

【００２１】この加圧ブロック２ａの圧力の大きさは、
まず、最小限光ファイバ１の軸ずれを抑制できる値であ
ることが必要であり、また高くとも、後述のように、Ｖ
溝５０ａ上の光ファイバ１を加圧ブロック２ａで加圧し
た状態で、別の力により対向する光ファイバ１を摺動さ
せてその端面を接近させることが可能な値であり、かつ
光ファイバ１の座屈が生ずる値未満の圧力範囲であるこ
とが必要である。

【００２２】また、この圧力の大きさは、Ｖ溝部材５０
上の接続すべき光ファイバの本数により異なるが、光フ
ァイバの本数が変わる都度付力ばね３ｂを取替えなくて
も、付力ばね３ｂの両端の距離を、回転軸金具３と支持
外筒４への固定位置を光ファイバの本数に応じて変更す
ることにより所望の圧力に調整することができる。

【００２３】位置決めピン３０の太さが、前記支持外筒
４の位置決めスリット４０の幅よりも広く、位置決めス
リット４０の側面との間に隙間がある場合においても、
付力ばね３ｃにより付力された回転軸金具３の回転方向
の力により、位置決めピン３０が位置決め当接面４０ａ
に押し付けられ、加圧ブロック２ａの位置が正確に特定
され、Ｖ溝部材５０上の光ファイバ１を所定の位置で正
確に加圧固定することが可能となる。

【００２４】付力ばね３ｃとしては、ツイストばねが好
適であるが、トーションばねと圧縮ばねを組合せたもの
でもよい。また、ばねに限定されるものでなく、磁力な
どを利用することもできる。

【００２５】位置決めスリット４０は、逆Ｌ字状に、垂
直方向だけでなくこれに直交する方向にもスリットが形
成されている。垂直方向の位置決めスリットは加圧ブロ
ック２ａの位置を特定するためのスリットであり、これ
に直交する方向のスリットは、支持アーム２と加圧ブロ
ック２ａを回転方向に移動させるためのスリットであ
る。後者については具体的に、融着接続時は加圧ブロッ
ク２ａをＶ溝部材５０上に位置させ、その他の時はＶ溝
部材５０と反対の方向に位置させておくために使用され
る。

【００２６】フランジ５及び脚部６は、光ファイバクラ
ンプ１０を、光ファイバ融着接続装置の基台１００に固
定するための部材である。

【００２７】（光ファイバクランプを用いた融着接続装
置）本発明の光ファイバ融着接続装置は、従来の光ファ
イバ融着接続装置に本発明の光ファイバクランプ１０を
装着したもので、図１に示すように、基台１００の上
に、表面にＶ溝５０ａを有するＶ溝部材５０と、このＶ
溝部材５０上に対向して載置されたの光ファイバ１の所
定の位置を、加圧ブロック２ａが加圧できるように装着
された一対の本発明の光ファイバクランプ１０と、Ｖ溝
５０ａに直交する方向に取付けられた一対の放電電極６
０から構成される。

【００２８】尚、光ファイバクランプ１０を光ファイバ
融着接続装置に装着する際には、位置決めピン３０の側
面が位置決め当接面４０ａに当接した状態で、加圧ブロ
ック２ａが、Ｖ溝部材５０上の所定の位置に位置するよ
うに基台１００の図示しないクランプ受け入れ口に対し
支持外筒４の位置を調整の上、脚部６をフランジ６が基
台１００の表面に当接するまで挿入し、固定される。

【００２９】（光ファイバ融着接続装による光ファイバ
の融着接続方法）光ファイバ融着接続装置により光ファ
イバ１を融着接続する場合は、まず図５に例示するよう
に接続すべき光ファイバ１の先端の被覆を剥離した状態
とし、先端を切り揃えて、図７（ａ）に例示するよう
に、２ｍｍ乃至３ｍｍ程度の間隔Ｌで図示しないＶ溝部
材５０のＶ溝５０ａ上に対向させて載置する。融着接続
の対象となる光ファイバ１としては、図５（ａ）、
（ｂ）に例示するように、光ファイバ心線であっても、
光ファイバテープ心線であってもよい。

【００３０】光ファイバクランプ１０の、調整つまみ３
ａを指先でつまんで回転させ、Ｖ溝部材５０の反対側に
保持されている加圧ブロック２ａを、Ｖ溝部材５０の上
に移動させ、位置決め調整ピンが３０を位置決めスリッ
ト４０の垂直方向のスリットに押し込み調整つまみ３ａ
を手放す。この操作を一対のクランプ１０について同時
に行う。

【００３１】加圧ブロック２ａにより加圧し光ファイバ
１の光軸が一致した状態で、図７（ｂ）に例示すよう
に、対向する光ファイバ１が加圧ブロック２ａと図示し
ないＶ溝５０ａにより挟まれた状態で、光ファイバ１に
別な力を加えて摺動させ端面間の離間距離ＬＬが１０μ
ｍ乃至２０μｍ程度になるように接近させる。この状態
で放電電極６０の間で放電をさせて加熱溶融し、接続を
完了する。

【００３２】

【発明の効果】本発明の光ファイバクランプにより、回
転軸金具と支持外筒に両端を固定した付力ばねにより、
支持外筒の位置決めピンを前記支持外筒の位置決めスリ
ットにより正確にガイドする簡素な位置決め機構を採用
するので、位置決め調整時間を顕著に短縮できる。

【００３３】また、本発明の光ファイバクランプは、位
置決め機構と加圧機構を一体化しているので、従来の位
置決め爪と、この爪を両側から挟むガイドベアリングか
らなる比較的複雑な位置決め機構が不要となり、装置を
小型軽量化、低コスト化し、かつ劣悪な作業環境下でも
光ファイバ融着接続作業を正確、容易に行うことができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の光ファイバクランプを用いた光ファイ
バ融着接続装置を示す斜視図である。

【図２】本発明の光ファイバクランプを示す斜視図であ
る。

【図３】本発明の光ファイバクランプの支持外筒の内部
を示す断面図である。

【図４】従来の光ファイバクランプを示す斜視図及び断
面図である。

【図５】接続すべき光ファイバの端末の被覆を除去した
状態を示す斜視図である。

【図６】Ｖ溝部材上に整列させた光ファイバを加圧ブロ
ックにより加圧して保持している状態を示す断面図であ
る。

【図７】融着接続時における加圧ブロック下での光ファ
イバの摺動、接近を示す平面図である。

【符号の説明】

１：光ファイバ ２：支持アーム ２ａ：加圧ブロック ３：回転軸金具 ３ａ：調整つまみ ３ｂ：付力ばね ４：支持外筒 ４ａ：支持ベアリング ５：支持フランジ ６：脚部 ３０：位置決めピン ４０：位置決めスリット ４０ａ：位置決め当接面 ５０：Ｖ溝部材 ５０ａ：Ｖ溝 ６０：放電電極 １００：基台

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 Ｖ溝部材上に載置された光ファイバを加
   圧固定する加圧ブロックと、この加圧ブロックを先端に
   保持する支持アームと、この支持アームの他端に固定さ
   れている回転軸金具と、この回転軸金具を摺動可能に収
   納する支持外筒と、この支持外筒に収納されかつ両端を
   前記支持外筒と前記回転軸金具に固定された付力ばねか
   らなる光ファイバクランプであって、前記回転軸金具に
   は位置決めピンが固定され、前記支持外筒の側面には位
   置決めスリットが穿孔され、前記付力ばねにより付力さ
   れた回転方向の力により前記位置決めピンを前記位置決
   めスリットの側面に当接させることにより前記加圧ブロ
   ックを位置決めし、かつ前記付力ばねにより付力された
   加圧方向の力により前記加圧ブロックが前記Ｖ溝部材上
   に載置された光ファイバを加圧固定することを特徴とす
   る光ファイバクランプ。
2. 【請求項２】 請求項１に記載の光ファイバクランプを
   用いた光ファイバ融着接続装置。