JPH11173982A - 血清中蛋白質濃度の測定方法および装置 - Google Patents

血清中蛋白質濃度の測定方法および装置

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JPH11173982A
JPH11173982A JP34531797A JP34531797A JPH11173982A JP H11173982 A JPH11173982 A JP H11173982A JP 34531797 A JP34531797 A JP 34531797A JP 34531797 A JP34531797 A JP 34531797A JP H11173982 A JPH11173982 A JP H11173982A
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light
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Koichi Murayama
幸市 村山
Keiichi Yamada
圭一 山田
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Daiken Iki Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 血清中の蛋白質濃度を光学的に測定し、短時
間で高精度の測定値が得られる血清中蛋白質濃度の測定
方法および装置を提供する。 【解決手段】 測定装置は、測定光を発生する光源1
と、光源1からの光を分光して所望の波長だけを取り出
すための分光器9と、レンズ11と反射ミラー12との
間に介在する光チョッパ14と、光拡散部材で形成され
た積分球13と、血清等の試料を保持する試料ホルダ4
0などで構成され、血清に近赤外線を入射し、所定波長
における透過光、反射光または透過反射光を検出した
後、PLS法(部分最小二乗法)を用いた多変量解析を
行うことによって、血清のアルブミン濃度およびγ−グ
ロブリン濃度を測定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、血清中の蛋白質濃
度、特にアルブミンおよびγ−グロブリンの濃度を測定
するための血清中蛋白質濃度の測定方法および装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】臨床化学で血液等を分析する方法とし
て、血沈検査、滴定法、比色法、電気泳動法、超遠心
法、クロマト法、発光原子吸光分析法、電極法、磁気共
鳴法などが知られており、特に光を使用する分析方法で
は、生体から採血した血液試料に前処理を施した後、試
薬や色素を添加して比色する方法が広く使用されてい
る。
【0003】こうした検査の対象となる蛋白質として、
赤血球を構成するヘモグロビンや血漿中のγ−グロブリ
ン、アルブミンが重要であり、ヘモグロビン濃度は貧血
症や多血症の判定データとなり、アルブミン濃度は肝硬
変、慢性肝疾患、蛋白質の摂取障害、妊娠や授乳などの
判定材料となり、γ−グロブリン濃度は抗体や補体など
の免疫機構、糖質、脂質、ミネラルなどの代謝等の判定
材料となる。
【0004】特に、血清中でのアルブミンとγ−グロブ
リンとの重量比(A/G値)も重要な判定項目であり、
1)A/G値が増加した場合、アルブミンも増加してい
れば栄養過剰、γ−グロブリンが減少していれば抗体の
欠乏、2)A/G値が不変である場合、両者とも増加し
ていれば脱水症状、減少していれば水血症、3)A/G
値が減少した場合、アルブミンも減少していれば無アル
ブミン血症、糖尿病、ネフローゼ、肝硬変、火傷や悪性
腫瘍、一方、γ−グロブリンが増加していれば感染症、
骨髄腫、のような判定が可能である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
臨床検査においてヘモグロビン、γ−グロブリン、アル
ブミンなどの蛋白質濃度を測定する場合、1)採血時に
注射針やメスで生体を傷つける侵襲検査であること、
2)採取した血液に薬品添加などの前処理が必要である
こと、3)採血から測定結果が得られるまでの時間がか
かること、4)血液や血清の検体量が微量であるため、
充分な測定精度が得にくいこと、5)検査に使用した試
薬容器や試料の廃棄処理に費用がかかること、など解決
すべき多くの課題がある。
【0006】本発明の目的は、血清中の蛋白質濃度を光
学的に測定し、短時間で高精度の測定値が得られる血清
中蛋白質濃度の測定方法および装置を提供することであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、波長1300
nm〜1850nmの範囲にある近赤外線を血清に入射
し、血清からの透過光、反射光または透過反射光の強度
を検出した後、PLS法(部分最小二乗法)を用いた多
変量解析を行うことによって、血清のアルブミン濃度お
よびγ−グロブリン濃度を測定することを特徴とする血
清中蛋白質濃度の測定方法である。
【0008】本発明に従えば、血清の透過光、反射光ま
たは透過反射光の強度を検出することによって、蛋白質
の濃度に応じて変化する吸光度を検出でき、得られた吸
光度データに対してPLS法(部分最小二乗法)を用い
た多変量解析を行うことによって、アルブミン濃度およ
びγ−グロブリン濃度を算出することができる。
【0009】血清には様々な成分が含まれ、特に主成分
である水の光吸収が種々の波長領域で現れるため、各種
蛋白質の濃度測定の妨げとなるが、1300nm〜18
50nmの波長領域は水や色素等による影響が他の波長
領域に比べて比較的少なく、アルブミンおよびγ−グロ
ブリンの吸光度変化が分子振動の第1倍音として現われ
る領域であり、これらの波長領域で測定することによっ
て、アルブミンおよびγ−グロブリンの各濃度を短時間
で測定できる。
【0010】また、この波長領域は血清全体の光吸収が
比較的少なく、透過光測定または透過反射光測定の場合
に測定時の試料厚を数mm程度確保できるため、試料容
器の取扱いやセッティングが容易になる。
【0011】こうした血清の光学的測定とデータ処理に
よって、簡便で高精度の蛋白質濃度測定を実現できる。
【0012】また本発明は、入射光または、透過光、反
射光もしくは透過反射光を分光器を用いて波長走査し、
得られた分光スペクトルにPLS法を適用すること特徴
とする。
【0013】本発明に従えば、分光器を用いて波長走査
することによって、波長分解能が高くほぼ連続的な分光
スペクトルが得られるため、データ解析に必要なデータ
数を大量に得ることができる。たとえば1300nm〜
1850nmの波長領域を波長分解能2nmで走査した
場合は、1走査で276個のデータを取り込むことがで
き、データ解析の精度向上に役立つ。
【0014】また本発明は、波長1300nm〜185
0nmの範囲にある近赤外線を発生するための近赤外線
発生手段と、近赤外線発生手段からの近赤外線を血清に
導入するための光学系と、血清からの透過光、反射光ま
たは透過反射光の強度を検出するための検出手段と、検
出手段からの検出信号を取り込んで、PLS法(部分最
小二乗法)を用いた多変量解析を行い、血清のアルブミ
ン濃度およびγ−グロブリン濃度を算出するためのデー
タ処理手段とを備えることを特徴とする血清中蛋白質濃
度の測定装置。
【0015】本発明に従えば、血清の透過光、反射光ま
たは透過反射光の強度を検出することによって、蛋白質
の濃度に応じて変化する吸光度を検出でき、得られた吸
光度データに対してPLS法(部分最小二乗法)を用い
た多変量解析を行うことによって、アルブミン濃度およ
びγ−グロブリン濃度を算出することができる。
【0016】血清には様々な成分が含まれ、特に主成分
である水の光吸収が種々の波長領域で現れるため、各種
蛋白質の濃度測定の妨げとなるが、1300nm〜18
50nmの波長領域は水や色素等による影響が他の波長
領域に比べて比較的少なく、アルブミンおよびγ−グロ
ブリンの吸光度変化が分子振動の第1倍音として現われ
る領域であり、これらの波長領域で測定することによっ
て、アルブミンおよびγ−グロブリンの各濃度を短時間
で測定できる。
【0017】また、この波長領域は血清全体の光吸収が
比較的少なく、透過光測定または透過反射光測定の場合
に測定時の試料厚を数mm程度確保できるため、試料容
器の取扱いやセッティングが容易になる。
【0018】こうした血清の光学的測定とデータ処理に
よって、簡便で高精度の蛋白質濃度測定を実現できる。
【0019】また本発明は、血清を保持するための試料
容器と、試料容器内の血清を所定温度に安定化するため
の温度制御手段とを備えることを特徴とする。
【0020】本発明に従えば、試料容器内の血清を温度
安定化することによって、蛋白質吸光度の温度変動を解
消できるため、濃度測定の精度を向上できる。
【0021】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施の一形態で
ある蛋白質濃度測定装置を示す構成図である。この装置
は、光進行方向に沿って、測定光を発生する光源1と、
光源1からの光を平行化するレンズ2と、光源1からの
光を分光して所望の波長だけを取り出すための分光器9
と、分光器9から出射した光のうち高次回折光をカット
するフィルタ10と、分光された光を集光するレンズ1
1と、レンズ11からの光を反射する反射ミラー12
と、レンズ11と反射ミラー12との間に介在する光チ
ョッパ14と、光拡散部材で形成された積分球13と、
試料を保持する試料ホルダ40などで構成される。
【0022】光源1は、タングステンハロゲンランプ等
で構成され、近赤外線を含む広い波長範囲の光を発生す
る。分光器9は、入射した光を集光する入射レンズ3
と、光束サイズと光量を調節するスリット4と、スリッ
ト4を通過した光を反射する反射ミラー5と、曲面状の
回折格子6と、回折格子6の回折角度を制御するモータ
6aと、回折格子6で回折した光のうち所望の波長だけ
を通過させるスリット7と、回折光を平行化して出射す
る出射レンズ8などで構成され、モータ6aの角度制御
によって所望の波長だけを選択的に取り出す機能を有す
る。
【0023】光チョッパ14は、光反射部と光透過部と
が周方向に交互に配置された回転ディスクとして構成さ
れ、モータ14aの回転駆動によってレンズ11からの
光を周期的に反射したり通過させる。チョッパセンサ1
4bは光チョッパ14の回転位相を検出し、同期回路1
4cはチョッパセンサ14bからの信号に基づいて、レ
ンズ11からの光が反射状態であることを示す同期信号
Saと、通過状態であることを示す同期信号Sbとを出
力する。
【0024】積分球13は、上方に開口した入射窓13
aと、下方に開口した出射窓13bと、受光量を電気信
号に変換する複数の光検出器20とを有し、内部に入射
した光を拡散させて測定誤差を減少させる機能を有す
る。光検出器20は、近赤外線領域に感度があるPbS
等で構成される。試料ホルダ40は出射窓13bに近接
して配置される。
【0025】分光器9で分光された光が光チョッパ14
で反射した場合は、入射窓13aを経由して積分球13
を通過し、そのまま試料ホルダ40に入射して、試料か
らの戻り光が積分球13内で散乱し、その一部が光検出
器20によって受光される。一方、分光器9で分光され
た光が光チョッパ14を通過した場合は、反射ミラー1
2で反射して、入射窓13aを介して積分球13に斜め
入射し、試料に到達せずに散乱され、その一部が光検出
器20によって受光される。こうしたチョッパ動作によ
って、試料の影響を受けた信号と試料の影響を受けない
信号を取り出している。
【0026】図2は、蛋白質濃度測定装置の電気的構成
を示すブロック図である。光検出器20からの検出信号
は増幅器21で増幅され、次に同期信号Saによってサ
ンプリングを行うサンプルホールド回路22と、同期信
号Sbによってサンプリングを行うサンプルホールド回
路23とに入力される。サンプルホールド回路22は、
分光器9からの光が試料に入射した場合に信号電圧をサ
ンプリング期間だけ保持し、サンプルホールド回路23
は、分光器9からの光が試料に入射しない場合に信号電
圧をサンプリング期間だけ保持する。次に、サンプルホ
ールド回路22、23の出力信号は対数変換回路24、
25によって対数変換され、次の引算回路26によって
相互に引き算される。こうして光チョッパ14に同期し
て検出することによって、外乱成分を排除することがで
きる。
【0027】引算回路の出力信号は、AD(アナログデ
ジタル)変換器27によって量子化され、次に各種プロ
グラムを搭載し、PLS法等のデータ処理を実行するた
めのパソコン(パーソナルコンピュータ)30に取り込
まれる。パソコン30には、データ入力用のキーボード
28やデータ表示用の表示装置29等が接続される。
【0028】図3は、試料ホルダ40の構成を示す断面
図である。試料ホルダ40は、積分球13の出射窓13
bの形状に適合し、アルミニウム等の熱伝導性材料から
成り、血清等の液体試料SPを保持するための試料容器
41と、試料容器41の開口部を覆う透明なカバーガラ
ス板42と、試料容器41の加熱または冷却を行うため
のペルチェ素子43と、試料容器41の温度を検出する
ための温度センサ45と、温度センサ45からの温度信
号に基づいてペルチェ素子43を駆動して試料SPの温
度安定化を行う温度制御回路44などで構成される。
【0029】光チョッパ14で反射した光がカバーガラ
ス板42を通過して試料SPに入射すると、試料SPの
吸収スペクトルに応じて減衰や散乱を受けて、再び積分
球13の中に戻り、戻り光の一部が光検出器20によっ
て受光され電気信号に変換される。
【0030】蛋白質の吸光度は温度変動に敏感であるた
め、測定環境温度が測定時ごとに変化すると測定の有意
性を損なう可能性がある。そこで、本実施形態では温度
センサ45、温度制御回路44およびペルチェ素子43
から成る温度フィードバック系によって試料SPの温度
安定化を図り、測定精度を向上している。
【0031】図4は、血清の近赤外吸収スペクトルの一
例を示すグラフである。縦軸は吸光度を光反射率の逆数
を対数変換した数値で表現しており、横軸は波長(n
m)である。1本のカーブは、図1の分光器9を用いて
1300nm〜1850nmの波長領域を走査して得ら
れた吸収スペクトルに相当し、ここでは幾つかの血清試
料を測定した結果を重ねて表示している。
【0032】全体のカーブ形状は水の吸収スペクトルに
起因するものであり、1400nm〜1500nm付近
および1750nm〜1850nm付近の微小な吸光度
変化は血清中蛋白質、特にアルブミンやγ−グロブリン
に起因するものである。本発明では、こうした微小なス
ペクトル変化に着目して、PLS法を用いてデータ解析
し、アルブミン濃度およびγ−グロブリン濃度を算出し
ている。
【0033】以上の説明では、測定光が試料SPを通過
し、試料容器41の内面で反射し、再度試料SPを通過
する透過反射光型の構成を示したが、その他に試料容器
41を透明材料で形成して試料SPを通過した透過光を
検出する透過光型や、試料SPの表面からの反射光を検
出する反射光型でも測定が可能である。
【0034】また以上の説明では、分光器9を光源1と
試料SPとの間に配置して、試料SPへの入射光を分光
する構成例を示したが、分光器9を試料SPと光検出器
20との間に配置して、試料SPからの透過光、反射光
または透過反射光を分光するような構成も可能である。
【0035】次にPLS法(部分最小二乗法: Partial
Least Squares Regression)について説明する(参考文
献:相島鉄郎:ケモメトリックス、丸善(1991)、
H.Martens,T.Naes:“Multivariate Calibration",John
Wiley,New York(1991)、Edited by J.R.Piggo
t:“Statistical Procedures in Food Research",Else
vier(1986))。図4のように1300nm〜18
50nmの波長領域をたとえば波長分解能2nmで走査
した場合は、1走査で276個のデータが得られる。
【0036】まずスペクトルの前処理として、見かけ反
射率を吸光係数K(λ)と散乱係数S(λ)との比に変
換するKubelka-Munk変換、移動平均等の平滑化処理、微
分処理、ベースライン補正処理などを必要に応じて実行
する。
【0037】図5は、本発明に係るPLS法の実行手順
を示す説明図である。1つの波長ポイントにおける吸光
度データは複数の成分(ここでは各種蛋白質濃度)から
なる多次元データであり、1つのスペクトルデータは1
回の波長走査による波長ポイント数Mの多次元データを
含む。従って、アルブミン濃度とγ−グロブリン濃度の
多変量解析の場合は、1つのスペクトルデータは2次元
データ×M個の直交座標空間を構成することになる。
【0038】次に直交型PLSを用いて、互いに直交す
る因子スコアt1,t2,…,ta,…,th によってスペクト
ルデータXの変動および蛋白質濃度Yの変動を表現す
る。図5は第a因子の因子パラメータを算出する手順を
示しており、Eはスペクトルの残差行列(波長ポイント
数×試料サンプル数の行列式)、fは蛋白質濃度の誤差
行列(蛋白質種類数×試料サンプル数の行列式)、tは
因子スコア、wはローディングウエイト(Loading weig
ht)、pはXローディング、qはYローディングであ
る。
【0039】第a−1因子のスペクトル残差行列Ea-1
は、第a因子の因子スコアta とローディングウエイト
wa との積、因子スコアta とXローディングpa との
積、および第a因子のスペクトル残差行列Ea の和とし
て表現できる。第a−1因子の濃度誤差行列fa-1 は、
因子スコアta とYローディングqa との積および第a
因子目の濃度誤差行列fa の和として表現できる。
【0040】したがって、解析手順としては、第a−1
因子のスペクトル残差行列Ea-1 および濃度誤差行列f
a-1 に基づいて、第a因子の因子スコアta 、ローディ
ングウエイトwa 、Xローディングpa およびYローデ
ィングqa を計算した後、スペクトル残差行列Ea およ
び濃度誤差行列fa を算出することになる。
【0041】具体的には、まずスペクトルデータの最初
の残差行列E0 =X−Xm(添字mは平均値の意味)お
よび蛋白質濃度の最初の誤差行列f0 =Y−Ymを計算
し、第1因子のパラメータt1,w1,p1,q1 を算出す
る。次に第1因子の影響を差し引いた新しいスペクトル
残差行列E1 および濃度誤差行列f1 を生成する。次
に、スペクトル残差行列E1 および濃度誤差行列f1 を
用いて第2因子のパラメータt2,w2,p2,q2 を算出し
て、第2因子の影響を差し引いた新しいスペクトル残差
行列E2 および濃度誤差行列f2 を生成する。次に、ス
ペクトル残差行列E2 および濃度誤差行列f2 を用いて
第3因子のパラメータt3,w3,p3,q3 を算出して、第
3因子の影響を差し引いた新しいスペクトル残差行列E
3 および濃度誤差行列f3 を生成する。以後同様に、各
因子パラメータの算出と残差行列および誤差行列の生成
とを交互に繰り返して、有効な因子が抽出されなくなる
まで処理を続行する。
【0042】図6はPLS因子の算出回数と解析誤差を
示すグラフであり、図6(a)は血清中のアルブミン、
図6(b)は血清中のγ−グロブリンのものである。横
軸はPLS因子の数であり、縦軸は蛋白質濃度〔g/d
L(デシリットル)〕である。白丸は既知の蛋白質濃度
を持つ標準試料を用いて濃度測定を行ったデータ(SE
C:Standard Error of Calibration)であり、黒丸は未
知の蛋白質濃度を持つ試料を用いて濃度測定を行ったデ
ータ(SEP: Standard Error of Prediction)であ
る。
【0043】これらのグラフから、PLS因子の数が4
つ、すなわち第4因子まで誤差演算を繰り返せば、ほぼ
両者の数値が共に0.1〔g/dL〕程度の誤差内に収
束することが判る。
【0044】図7はPLS法による推定濃度と実際の濃
度との相関関係を示すグラフであり、図7(a)は血清
中のアルブミン、図7(b)は血清中のγ−グロブリン
のものである。横軸は推定した蛋白質濃度〔g/d
L〕、縦軸は実際の蛋白質濃度〔g/dL〕である。こ
れらのグラフを見ると、両者の数値がほぼ直線上に分布
して強い相関係数を示していることから、PLS法によ
る多変量解析が極めて有効であることが判る。
【0045】
【発明の効果】以上詳説したように本発明によれば、血
清の透過光、反射光または透過反射光の強度を検出し
て、得られた吸光度データに対してPLS法(部分最小
二乗法)を用いた多変量解析を行うことによって、アル
ブミン濃度およびγ−グロブリン濃度を算出することが
できる。
【0046】こうした血清の光学的測定とデータ処理に
よって、簡便で高精度の蛋白質濃度測定を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態である蛋白質濃度測定装
置を示す構成図である。
【図2】蛋白質濃度測定装置の電気的構成を示すブロッ
ク図である。
【図3】試料ホルダ40の構成を示す断面図である。
【図4】血清の近赤外吸収スペクトルの一例を示すグラ
フである。
【図5】本発明に係るPLS法の実行手順を示す説明図
である。
【図6】PLS因子の算出回数と解析誤差を示すグラフ
であり、図6(a)は血清中のアルブミン、図6(b)
は血清中のγ−グロブリンのものである。
【図7】PLS法による推定濃度と実際の濃度との相関
関係を示すグラフであり、図7(a)は血清中のアルブ
ミン、図7(b)は血清中のγ−グロブリンのものであ
る。
【符号の説明】
1 光源 9 分光器 10 フィルタ 11 レンズ 12 反射ミラー 13 積分球 14 光チョッパ14 20 光検出器 40 試料ホルダ 41 試料容器41 42 カバーガラス板 43 ペルチェ素子 44 温度制御回路 45 温度センサ

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 波長1300nm〜1850nmの範囲
    にある近赤外線を血清に入射し、血清からの透過光、反
    射光または透過反射光の強度を検出した後、PLS法
    (部分最小二乗法)を用いた多変量解析を行うことによ
    って、血清のアルブミン濃度およびγ−グロブリン濃度
    を測定することを特徴とする血清中蛋白質濃度の測定方
    法。
  2. 【請求項2】 入射光または、透過光、反射光もしくは
    透過反射光を分光器を用いて波長走査し、得られた分光
    スペクトルにPLS法を適用すること特徴とする請求項
    1記載の血清中蛋白質濃度の測定方法。
  3. 【請求項3】 波長1300nm〜1850nmの範囲
    にある近赤外線を発生するための近赤外線発生手段と、 近赤外線発生手段からの近赤外線を血清に導入するため
    の光学系と、 血清からの透過光、反射光または透過反射光の強度を検
    出するための検出手段と、 検出手段からの検出信号を取り込んで、PLS法(部分
    最小二乗法)を用いた多変量解析を行い、血清のアルブ
    ミン濃度およびγ−グロブリン濃度を算出するためのデ
    ータ処理手段とを備えることを特徴とする血清中蛋白質
    濃度の測定装置。
  4. 【請求項4】 血清を保持するための試料容器と、 試料容器内の血清を所定温度に安定化するための温度制
    御手段とを備えることを特徴とする請求項3記載の血清
    中蛋白質濃度の測定装置。
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Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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