JPH11172362A - 粒子分散型焼結チタン基複合材及びその製造方法 - Google Patents

粒子分散型焼結チタン基複合材及びその製造方法

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JPH11172362A
JPH11172362A JP9362883A JP36288397A JPH11172362A JP H11172362 A JPH11172362 A JP H11172362A JP 9362883 A JP9362883 A JP 9362883A JP 36288397 A JP36288397 A JP 36288397A JP H11172362 A JPH11172362 A JP H11172362A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 チタン合金からなるマトリックス中にチタン
化合物からなる微細粒子が分散し、且つ粉末冶金法によ
り製造された粒子分散型焼結チタン基複合材の延性・靱
性を改善する。 【解決手段】 マトリックスを形成するためのチタン粒
子と、そのマトリックスを合金化するための母合金粉末
と、マトリックス中に分散するチタン化合物粒子を形成
するためのセラミック粉末との混合粉末を用いて粉末冶
金法により粒子分散型焼結チタン基複合材を製造する際
に、チタン粒子として、球形粒子を20〜90重量%含
む混合粒子を使用する。マトリックスの酸素含有量が
0.25重量%以下となり、延性・靱性が向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、チタン合金からな
るマトリックス中にチタン化合物からなる微細粒子が分
散した粒子分散型チタン基複合材に関し、そのなかでも
特に、粉末冶金法により製造された焼結チタン基複合
材、及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近時、高強度・高硬度材として粒子分散
型チタン基複合材が注目されている。この複合材は、チ
タン合金からなるマトリックス中に、チタン化合物から
なる微細粒子が均一に分散した組織構造を有している。
代表的なものとしては、Ti−6Al−4V合金中にT
iB粒子やTiC粒子が微細均一に分散したものがあ
る。また、特開平5−239507号公報にはTi−5
Al−13Cr−10TiCやTi−5Al−2.5F
e−6TiBが開示されている。
【0003】この粒子分散型チタン基複合材を工業的に
製造する方法としては、粉末冶金法が考えられている。
これは、溶解法では溶解後の成形に費用がかかるが、粉
末冶金法ではCIP(冷間静水圧加圧)などで最初に成
形を行うためにコストの低減を期待できるからである。
【0004】粉末冶金法による粒子分散型チタン基複合
材の製造では、まず、マトリックスを形成するためのチ
タン粒子と、そのマトリックスを合金化するための母合
金粉末と、マトリックス中に分散するチタン化合物粒子
を形成するためのセラミック粉末と混合攪拌する。次い
で、その混合粉末をCIP法等により加圧成形し、しか
る後に真空焼結を行う。真空焼結の過程で、チタン粒子
と母合金粉末が固溶してチタン合金のマトリックスを形
成する。またセラミック粉末は、その金属成分がマトリ
ックス中に固溶して、チタン化合物からなる微細粒子を
生成する。
【0005】ここにおけるチタン粒子としては、後述す
るHDH法により製造された破砕粉が使用されている。
またTi−6Al−4V合金中にTiB粒子やTiC粒
子が分散した複合材の場合、母合金粉末としてはAl−
V粉末が用いられ、セラミック粉末としてはVB2 粉末
やCr3 2 粉末が用いられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
粒子分散型焼結チタン基複合材に要求される性能として
は、焼結密度の高いこと、及びチタン化合物粒子が均一
微細に分散していることなどがある。
【0007】焼結密度を向上させるには、粒径の小さい
原料を使うのがよく、この観点からいずれの原料にも粒
径が75μ以下の微細な破砕粉が使用されている。ここ
で、母合金粉末とセラミック粉末については硬脆質のた
め容易に微細な粉砕粉が得られるが、チタン粒子につい
ては延性が大きく、これをそのまま破砕すると衝撃によ
り変形・分断して発火のおそれがあるため、一旦水素化
して硬脆な水素化チタンとし、破砕したのち脱水素して
金属チタンに戻す、いわゆるHDH法によって製造され
た破砕粉が使用されている。
【0008】しかしながら、従来の粒子分散型焼結チタ
ン基複合材においては、原料が破砕粉であることに起因
して、真空焼結を行った場合にもマトリックス中の酸素
量が0.25%以下にならず、その結果として延性・靱
性が不足するという問題があった。
【0009】一方、チタン化合物粒子を均一微細に分散
させるには、粉末の段階でセラミック粉末を均一に分散
させることが必要である。なぜなら、一旦成形される
と、セラミック粉末の移動が不可能になるからである。
しかし、セラミック粉末及び母合金粉末は、前述したよ
うに硬脆質で容易に粉砕されるため微粉が多く、凝集し
やすい。このため、粉末段階での均一分散が難しく、そ
の結果としてチタン化合物粒子の均一微細分散が阻害さ
れるという問題があった。
【0010】本発明の目的は、延性・靱性の優れた粒子
分散型焼結チタン基複合材を提供することにある。
【0011】本発明の別の目的は、延性・靱性を効果的
に向上させることができる粒子分散型焼結チタン基複合
材の製造方法を提供することにある。
【0012】本発明の更に別の目的は、チタン化合物粒
子を均一微細に分散させることができる粒子分散型焼結
チタン基複合材の製造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】粉末冶金法により製造さ
れた従来の粒子分散型焼結チタン基複合材においては、
前述したように、マトリックス中の酸素量が0.25%
以下にならず、その結果として延性・靱性が十分でない
という問題があった。その原因を突き止め、更には、そ
の問題の解決策を見いだすために、本発明者らは、不純
物である酸素の進入経路を詳細に調査した。その結果、
以下の事実が判明した。
【0014】原料の多くを占めるチタン破砕粉の酸素濃
度は約0.2%である。一方、セラミック粉末の酸素濃
度は比較的高く、約1%になる場合もある上に、真空焼
結においても数100ppm上がる。セラミック粉末の
酸素濃度が高いのは、原料が酸化物(例えばTiO2
2 3 ,V2 5 など)であるからである。このセラ
ミック粉末の配合率は通常10%程度と少ないが、それ
でも上記のような高い酸素濃度であると、焼結材マトリ
ックス中の酸素量は0.25%を超える。これが、マト
リックス中の酸素量が0.25%以下にならない主因で
ある。
【0015】マトリックス中の酸素量を低減させる方法
としては、セラミック粉末の酸素濃度を下げるのが有効
と考えられるが、これは非常に困難である。なぜなら酸
素との結合が強いため、粒子の中心に酸化物が残留しや
すいからである。
【0016】このような事情を背景として、本発明者ら
は原料の多くを占めるチタン粒子の酸素濃度を下げるの
が合理的であると考え、その具体的な手法について検討
した。その結果、破砕粉からなる従来のチタン粒子の一
部を、ガスアトマイズ法により製造された球形粒子に置
き換えるのが有効なことが判明した。即ち、ガスアトマ
イズ法により製造された球形粒子は、HDH法によって
製造された破砕粒子と比較して、表面積が小さく、表面
に存在する酸素量が少ない。そのため、チタン粒子の一
部を球形粒子に置き換えることにより、焼結材マトリッ
クス中の酸素量を0.25%以下とすることが可能にな
った。
【0017】加えて、球形粒子は相対的に大径であり、
焼結密度を低下させる原因になるが、HDH法によって
製造された微細な破砕粉と混合使用することにより、こ
の充填密度が向上することも判明した。
【0018】球形粒子は又、成形性に問題があるが、H
DH法によって製造された破砕粉と混合することによ
り、この成形性も向上する。
【0019】チタン化合物粒子を均一微細に分散させる
には、粉末の段階でセラミック粉末を均一に分散させる
ことが必要であるが、これについては母合金粉末とセラ
ミック粉末を混合攪拌した後、チタン粒子を加えて再度
攪拌するのが有効なことが判明した。即ち、母合金粉末
とセラミック粉末のみで攪拌を行うことにより、粒径が
更に小さくなると共に、凝集がほぐれ、その後にチタン
粒子を加えて再度攪拌を行うことにより、セラミック粉
末が微細均一に分散する。
【0020】本発明の粒子分散型焼結チタン基複合材
は、チタン合金からなるマトリックス中にチタン化合物
からなる微細粒子が分散し、且つ粉末冶金法により製造
された粒子分散型焼結チタン基複合材において、前記マ
トリックスの酸素含有量を0.25%以下としたもので
ある。なお、本明細書において%は、特にことわりのな
い限り重量%を表す。
【0021】焼結材マトリックスの酸素含有量を0.2
5%以下としたのは、0.25%超では延性が低下し、
靱性が十分に確保されないからである。酸素含有量の下
限については0.1%以上が好ましい。焼結材マトリッ
クス中の酸素はマトリックスの強度確保に寄与するの
で、その含有量が極端に減少すると、強度低下を生じ
る。特に好ましい酸素含有量は下限については0.12
%以上であり、上限については0.2%以下である。
【0022】酸素以外の不純物については、塩素含有量
を減少させるのが好ましい。なぜなら、マトリックス中
の塩化物結晶はマトリックスとの結合が弱く、割れる原
因になるからである(空孔と同様)。そして、この塩素
含有量としては50ppm以下が好ましく、20ppm
以下が特に好ましい。
【0023】本発明の粒子分散型焼結チタン基複合材の
製造方法は、マトリックスを形成するためのチタン粒子
と、そのマトリックスを合金化するための母合金粉末
と、マトリックス中に分散するチタン化合物粒子を形成
するためのセラミック粉末との混合粉末を用いて粉末冶
金法により粒子分散型焼結チタン基複合材を製造する際
に、チタン粒子として、球形粒子を20〜90重量%含
む混合粒子を使用するものである。
【0024】チタン粒子の一部を球形粒子に置き換える
ことにより、マトリックスの酸素含有量が容易に低下す
る。この置換率、即ち球形粒子の含有率が20%未満の
場合は、マトリックスの酸素含有量が0.25%を超
え、延性・靱性が十分に確保されない。一方、90%を
超えると、成形性が悪化し、焼結密度も低下する。好ま
しい含有率は、下限については40%以上であり、60
%以上が特に好ましい。上限については80%以下が好
ましく、70%以下が特に好ましい。
【0025】球形粒子の製造方法としては通常はガスア
トマイズ法が用いられ、また、この方法がコスト等の点
から好ましい。
【0026】球形粒子の粒径は、焼結密度を高めるため
に、75μm以下が好ましく、45μm以下が特に好ま
しい。
【0027】球形粒子と混合されるチタン粒子として
は、HDH法によって製造された破砕粉が、成形性及び
焼結密度の点から好ましい。その粒径は45μm以下が
好ましく、32μm以下が特に好ましい。
【0028】チタン粒子と混合される母合金粉末及びセ
ラミック粉末の粒径も、成形性及び焼結密度の点から、
45μm以下が好ましく、32μm以下が特に好まし
い。これらの粉末は硬脆質で容易に粉砕されるため、細
粒を得やすいが、その一方で粒径が10μm以下の微粉
も多く生じ、凝集の原因となる。この凝集によるチタン
化合物粒子の不均一分散に対しては、母合金粉末とセラ
ミック粉末を混合攪拌した後、チタン粒子を加えて再度
攪拌するのが有効である。
【0029】母合金粉末の成分組成は、マトリックスの
成分組成に応じて適宜選択され、マトリックスがTi−
6Al−4Vの場合はAl−V合金や、V系のセラミッ
ク粉末と組み合わせてTi−Al合金が使用される。一
方、セラミック粉末の成分組成は、マトリックス中に分
散形成するチタン化合物粒子の組成に応じて適宜選択さ
れ、チタン化合物がTiBの場合はVBやVB2 、Ti
2 、AlB2 、CrB、CrB2 、Cr5 3 、Cr
2 B、Co2 B、Co3 Bなどが用いられ、TiCの場
合はCr3 2 やCr7 3 、Cr236 、VC、W
C、W2 Cなどが用いられる。
【0030】焼結の後は、マトリックスを強化するため
に時効処理を行うのが好ましい。
【0031】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施形態を説明す
る。
【0032】Al−40Vからなる粒径が−45μmの
母合金粉末(1kg)と、Cr3 2 からなる粒径が−
20μmのセラミック粉末(1kg)を、2kgのステ
ンレス鋼製丸棒5本と共に振動ミル機に装填し、毎分5
0回転で3時間運転した。その後、ガスアトマイズ法に
より製造された粒径が−75μmの球形チタン粒子(6
kg)と、HDH法によって製造された粒径が−45μ
mのチタン破砕粉(2kg)を加え、ボールミル機で再
度攪拌した。
【0033】ボールミル機による再攪拌では、上記原料
を、直径が600mmで長さが600mmのステンレス
鋼製ポット内に、直径が16mmのステンレス鋼製ボー
ル多数(10kg)と共に装填し、毎分50回で2時間
再攪拌を行った。
【0034】再攪拌後の原料粉末を振動式金型プレス機
により1.5mmの板体に成形し、これを絶対圧0.1
パスカル以下の真空炉内で1300℃×5時間焼結し
た。炉冷の後、550℃×2時間の時効処理を行い、ア
ルゴンガスを導入して30分間で約200℃まで冷却し
た。
【0035】これにより、Ti−6Al−4V合金から
なるマトリックス中に、TiCからなる微細化合物粒子
が均一に分散した板状の焼結複合材が製造された。
【0036】なお、粒径は目開きが記載数値の網でふる
ったときの篩下を意味し、−75μmとは75μmの網
でふるったときの篩下であり、75μm以下を表す。
【0037】
【実施例】次に本発明の実施例を示し、比較例と対比す
ることにより、本発明の効果を明らかにする。
【0038】実施例及び比較例を整理して表1に示す。
各例の詳細な内容は以下の通りである。
【0039】(実施例1)上記実施形態により複合材の
製造を行った結果である。ここでは、前述したように、
チタン粒子の75%を粒径が−75μmの球形粒子と
し、残りを粒径が−45μmの破砕粉とした。また、ボ
ールミルでの本攪拌に先立って、Al−40Vからなる
粒径が−45μmの母合金粉末と、Cr3 2 からなる
粒径が−20μmのセラミック粉末の予備攪拌を、振動
ミルにより実施した。製造された複合材の焼結密度は9
9%、マトリックス中の酸素濃度は0.2%、同じくマ
トリックス中の塩素濃度は10ppm、ビッカース硬さ
は505、曲げ強さは180kgf/mm2 であった。
【0040】(実施例2)球形チタン粒子の粒径を実施
例1より小さい−45μmとした。それ以外は実施例1
と同じである。製造された複合材の焼結密度は99.2
%、マトリックス中の酸素濃度は0.25%、同じくマ
トリックス中の塩素濃度は10ppm、ビッカース硬さ
は503、曲げ強さは180kgf/mm2 であった。
【0041】(実施例3)Cr3 2 からなるセラミッ
ク粉末の粒径を実施例1より大きい−45μmとした。
それ以外は実施例1と同じである。複合材の焼結密度は
99・5%、マトリックス中の酸素濃度は0.2%、同
じくマトリックス中の塩素濃度は10ppm、ビッカー
ス硬さは554、曲げ強さは180kgf/mm2 であった。
【0042】(実施例4)チタン粒子中の球形粒子の混
合率を50%とした。即ち、本攪拌において4kgの球
形粒子と4kgの破砕粉を加えた。それ以外は実施例1
と同じである。複合材の焼結密度は99.5%、マトリ
ックス中の酸素濃度は0.22%、同じくマトリックス
中の塩素濃度は20ppm、ビッカース硬さは570、
曲げ強さは150kgf/mm2 であった。
【0043】(実施例5)チタン粒子中の球形粒子の混
合率を25%とした。即ち、本攪拌において2kgの球
形粒子と6kgの破砕粉を加えた。それ以外は実施例1
と同じである。複合材の焼結密度は99.7%、マトリ
ックス中の酸素濃度は0.24%、同じくマトリックス
中の塩素濃度は30ppm、ビッカース硬さは590、
曲げ強さは120kgf/mm2 であった。
【0044】(実施例6)母合金粉末とセラミック粉末
の予備攪拌を省略し、本攪拌のみで原料の混合攪拌を行
った。それ以外は実施例1と同じである。複合材の焼結
密度は97・8%、マトリックス中の酸素濃度は0.2
%、同じくマトリックス中の塩素濃度は10ppm、ビ
ッカース硬さは502、曲げ強さは160kgf/mm2 であ
った。
【0045】(実施例7)時効処理を省略した。それ以
外は実施例1と同じである。複合材の焼結密度は99
%、マトリックス中の酸素濃度は0.2%、同じくマト
リックス中の塩素濃度は10ppm、ビッカース硬さは
402、曲げ強さは180kgf/mm2 であった。
【0046】(実施例8)チタン粒子として粒径が−4
5μmの破砕粉(2.5kg)及び粒径が−75μmの
球状粒子(5.8kg)を用い、母合金粉末として粒径
が−45μmのTi−Al粉末(1kg)を用い、セラ
ミック粉末として粒径が−45μmのVB2 粉末(0.
7kg)を用いた。また、時効処理を省略した。それ以
外は実施例1と同じである。Ti−6Al−4V合金か
らなるマトリックス中に、TiBからなる針状の微細化
合物粒子が均一に分散した板状の焼結複合材が製造され
た。製造された複合材の焼結密度は97%、マトリック
ス中の酸素濃度は0.2%、同じくマトリックス中の塩
素濃度は12ppm、ビッカース硬さは403、曲げ強
さは150kgf/mm2 であった。
【0047】(実施例9)チタン粒子として粒径が−4
5μmの破砕粉(2.5kg)及び粒径が−45μmの
球状粒子(5.8kg)を用い、母合金粉末として粒径
が−45μmのTi−Al粉末(1kg)を用い、セラ
ミック粉末として粒径が−45μmのVB2 粉末(0.
7kg)を用いた。また、時効処理を省略した。それ以
外は実施例1と同じである。Ti−6Al−4V合金か
らなるマトリックス中に、TiBからなる針状の微細化
合物粒子が均一に分散した針状の焼結複合材が製造され
た。製造された複合材の焼結密度は98%、マトリック
ス中の酸素濃度は0.25%、同じくマトリックス中の
塩素濃度は12ppm、ビッカース硬さは400、曲げ
強さは150kgf/mm2 であった。
【0048】
【表1】
【0049】(比較例1)本攪拌において球形チタン粒
子を追加せず、チタン破砕粉のみを8kg追加した。そ
れ以外は実施例1と同じである。複合材の焼結密度は9
9・5%と高かったが、マトリックス中の酸素濃度は
0.35%となった。このため、ビッカース硬さは60
5を示したものの、曲げ強さは130kgf/mm2 と低く、
その結果、製品は硬すぎて折れやすい特性となった。マ
トリックス中の塩素濃度は40ppmであった。
【0050】(比較例2)本攪拌においてチタン破砕粉
を追加せず、粒径が−75μmの球形チタン粒子のみを
8kg追加した。それ以外は実施例1と同じである。マ
トリックス中の酸素濃度は0.22%と低かったが、焼
結密度は96%と低かった。このため、ビッカース硬さ
は503であったが、曲げ強さは90kgf/mm2 に過ぎな
かった。製品は焼結性が悪く折れやすいものであった。
マトリックス中の塩素濃度は<10ppmであった。
【0051】(比較例3)本攪拌においてチタン破砕粉
を追加せず、粒径が−45μmの球形チタン粒子のみを
8kg追加した。それ以外は実施例1と同じである。マ
トリックス中の酸素濃度は0.22%と低かったが、焼
結密度は97%と依然低く、このため、ビッカース硬さ
は504であったが、曲げ強さは100kgf/mm2 に過ぎ
なかった。製品は焼結性が悪く折れやすいものであっ
た。マトリックス中の塩素濃度は<10ppmであっ
た。
【0052】
【発明の効果】以上に説明したとおり、本発明の粒子分
散型焼結チタン基複合材は、マトリックスの酸素含有量
を0.25%以下に制限することにより、この種の複合
材で不足する曲げ強度についても十分な特性を確保す
る。
【0053】本発明の粒子分散型焼結チタン基複合材の
製造方法は、原料の一つであるチタン粒子の一部を球形
粒子に置換することにより、マトリックスの酸素含有量
を簡易に0.25%以下に制限することができるので、
製造コストの上昇を伴うことなく延性・靱性の改善を図
ることができる。
【0054】また、母合金粉末とセラミック粉末を混合
攪拌した後、チタン粒子を加えて再度攪拌することによ
り、セラミック粉末の凝集によるチタン化合物粒子の不
均一分散を効果的に解消することができる。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成10年1月20日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0047
【補正方法】変更
【補正内容】
【0047】(実施例9)チタン粒子として粒径が−4
5μmの破砕粉(2.5kg)及び粒径か−45μmの
球状粒子(5.8kg)を用い、母合金粉末として粒径
が−45μmのTi−A1粉末(1kg)を用い、セラ
ミック粉末として粒径が−45μmのVB粉末(0.
7kg)を用いた。また、時効処理を省略した。それ以
外は実施例1と同じである。Ti−6A1−4V合金か
らなるマトリックス中に、TiBからなる針状の微細化
合物粒子が均一に分散した板状の焼結複合材が製造され
た。製造された複合材の焼結密度は98%、マトリック
ス中の酸素濃度は0.25%、同じくマトリックス中の
塩素濃度は12ppm、ビッカース硬さは400、曲げ
強さは150kgf/mmであった。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チタン合金からなるマトリックス中にチ
    タン化合物からなる微細粒子が分散し、且つ粉末冶金法
    により製造された粒子分散型焼結チタン基複合材におい
    て、前記マトリックスの酸素含有量が0.25重量%以
    下であることを特徴とする粒子分散型焼結チタン基複合
    材。
  2. 【請求項2】 マトリックスを形成するためのチタン粒
    子と、そのマトリックスを合金化するための母合金粉末
    と、マトリックス中に分散するチタン化合物粒子を形成
    するためのセラミック粉末との混合粉末を用いて粉末冶
    金法により粒子分散型焼結チタン基複合材を製造する際
    に、チタン粒子として、球形粒子を20〜90重量%含
    む混合粒子を使用することを特徴とする粒子分散型焼結
    チタン基複合材の製造方法。
  3. 【請求項3】 チタン粒子と母合金粉末とセラミック粉
    末を混合する際に、まず母合金粉末とセラミック粉末を
    混合攪拌し、その後にチタン粒子を加えて再度攪拌する
    ことを特徴とする請求項2に記載の粒子分散型焼結チタ
    ン基複合材の製造方法。
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