JPH11171179A - プルトップ式缶 - Google Patents

プルトップ式缶

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JPH11171179A
JPH11171179A JP9343168A JP34316897A JPH11171179A JP H11171179 A JPH11171179 A JP H11171179A JP 9343168 A JP9343168 A JP 9343168A JP 34316897 A JP34316897 A JP 34316897A JP H11171179 A JPH11171179 A JP H11171179A
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JP
Japan
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lid
pull
organic resin
resin film
holes
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JP9343168A
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English (en)
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Seiji Kagawa
清二 加川
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Individual
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  • Rigid Containers With Two Or More Constituent Elements (AREA)
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  • Containers Opened By Tearing Frangible Portions (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 蓋体に取り付けたプルトップ機構による開封
性を損なうことなく、かつ蓋体の開封部周辺にヘアーリ
ングが生じることなく、缶本体内に収容した内容物を保
護することが可能なプルトップ式缶を提供しようとする
ものである。 【解決手段】 上部が開口され、内面が有機樹脂フィル
ムでラミネートされた缶本体1と、前記缶本体1の開口
部にかしめ接合され、プルトップ機構12を有するアル
ミニウム製の蓋体3とを具備し、前記蓋体3は、外面お
よび内面に多数の微細な貫通孔もしくは未貫通孔を有す
る多孔質有機樹脂フィルム4,5がそれぞれ接着剤層
6,7を介してラミネートされていることを特徴とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プルトップ式缶に
関し、特に蓋体を改良したプルトップ式缶に係わる。
【0002】
【従来の技術】最近、清涼飲料水、ビール、その他魚介
類等を収容した缶としては、簡単に開封できるプルトッ
プ機構を有する蓋体を備えた構造のものが知られてい
る。従来のプルトップ式缶は、上部が開口されたスチー
ルもしくはアルミニウムからなる缶本体と、前記缶本体
の開口部にかしめ接合され、プルトップ機構を有する蓋
体とから構成されている。例えば清涼飲料水用缶の場合
には、前記プルトップ機構は、蓋体に押圧加工により形
成された馬蹄型の溝からなる開封部と、前記蓋体の外側
にその表面に当接するようにピン接合されたタブとから
構成されている。このようなプルトップ機構は、前記タ
ブを指で垂直方向に起こすことによって前記馬蹄型の開
封部の内側に位置する蓋体部分を缶本体側に向けて折り
曲げることにより開封される。前記蓋体は、前記プルト
ップ機構の前記馬蹄型の開封部に沿って容易に切込みが
形成されるようにするために、軟質であるアルミニウム
から形成されている。
【0003】例えばポリエチレンテレフタレートフィル
ムのような有機樹脂フィルムは、前記缶本体の内面にラ
ミネートされ、このフィルムによって内容物が缶本体の
素材であるスチールもしくはアルミニウムに直接接触し
て品質が低下されるのを防止している。
【0004】一方、前記プルトップ機構が取り付けられ
る前記蓋体の内面に前記ポリエチレンテレフタレートフ
ィルムのような有機樹脂フィルムをラミネートすると、
前記有機樹脂フィルムは引裂(破断)し難い性質を有す
るため、前記プルトップ機構により前記蓋体に切り込み
を形成することが阻害される。その結果、前記プルトッ
プ機構により前記蓋体を開封することが実質的にできな
くなる。
【0005】このようなことから、前記蓋体の内面に例
えばサブミクロンオーダのエポキシフェノール系樹脂薄
膜を焼付塗装して前記プルトップ機構の開封性を損なう
ことなく、内容物が蓋体の素材であるアルミニウムに直
接接触されずに保護することが行われている。
【0006】しかしながら、前記蓋体内面へのエポキシ
フェノール系樹脂薄膜の焼付塗装は作業環境を悪化させ
るばかりか、塗装後の洗浄に莫大な水を必要とするため
ランニングコストが上昇する。また、前記蓋体内面に焼
付塗装された前記樹脂薄膜は缶本体内面にラミネートさ
れた有機樹脂フィルムに比べて内容物の保護効果が低い
とう問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、蓋体に取り
付けたプルトップ機構による開封性を損なうことなく、
かつ蓋体の開封部周辺にヘアーリングが生じることな
く、缶本体内に収容した内容物を保護することが可能な
プルトップ式缶を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係わるプルトッ
プ式缶は、上部が開口され、内面が有機樹脂フィルムで
ラミネートされた缶本体と、前記缶本体の開口部にかし
め接合され、プルトップ機構を有するアルミニウム製の
蓋体とを具備し、前記蓋体は、外面および内面に多数の
微細な貫通孔もしくは未貫通孔を有する多孔質有機樹脂
フィルムがそれぞれ接着剤層を介してラミネートされて
いることを特徴とするものである。
【0009】本発明に係わる別のプルトップ式缶は、上
部が開口され、内面が有機樹脂フィルムでラミネートさ
れた缶本体と、前記缶本体の開口部にかしめ接合され、
プルトップ機構を有するアルミニウム製の蓋体とを具備
し、前記蓋体は、外面に多数の微細な貫通孔もしくは未
貫通孔を有する多孔質有機樹脂フィルムが接着剤層を介
してラミネートされ、内面に有機樹脂フィルムが脆弱な
接着剤層を介してラミネートされていることを特徴とす
るものである。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係わるプルトップ
式缶を詳細に説明する。このプルトップ式缶は、上部が
開口され、内面が有機樹脂フィルムでラミネートされた
缶本体と、前記缶本体の開口部にかしめ接合され、プル
トップ機構を有するアルミニウム製の蓋体とを具備す
る。
【0011】例えば、清涼飲料水用缶の場合には前記プ
ルトップ機構は、前記蓋体に押圧加工により形成された
馬蹄型の溝からなる開封部と、前記蓋体の外側にその表
面に当接するようにピン接合されたタブとから構成され
ている。
【0012】また、前記蓋体は外面および内面に多数の
微細な貫通孔を有する第1、第2の多孔質有機樹脂フィ
ルムがそれぞれ接着剤層を介してラミネートされてい
る。前記缶本体は、例えばスチールまたはアルミニウム
から形成されている。
【0013】前記缶本体の内面にラミネートされる有機
樹脂フィルムとしては、例えばポリエステルフィルム、
配向性ポリプロピレンフィルム等を挙げることができ
る。前記蓋体の外面および内面にラミネートされる第
1、第2の多孔質有機樹脂フィルムは、特公平6−61
859号公報に開示された多孔質フィルムの製造装置に
より製造される。この製造装置は、長尺フィルムを供給
するための供給手段;鋭い角部を有する多数のモース硬
度5以上の粒子(例えばダイヤモンド粒子)が表面に付
着された回転可能な第1ロールと、前記ロールに対して
逆方向に回転可能な第2ロールとを備え、前記第1、第
2のロールを互いに対向して配置してそれらの間に前記
長尺フィルムを通過させるようにすると共に、前記各ロ
ールの一方を固定し、他方を前記一方のロールに対して
その対向方向に移動自在に配置した穿孔用ユニット;前
記ユニットの前記移動自在なロールの両端部付近に設け
られ、前記各ロールによる前記フィルムへの押圧力を調
節するための圧力調節手段;を具備した構造を有する。
【0014】前記蓋体外面にラミネートされる第1多孔
質有機樹脂フィルムは、平均開口径が10〜100μm
の貫通孔もしくは未貫通孔が500個/cm2 以上の密
度で例えばポリエチレンテレフタレートフィルムなどの
ポリエステルフィルム、またはナイロン、配向性ポリプ
ロピレンフィルムのような有機樹脂フィルムに開孔され
た形態を有することが好ましい。このような平均開口径
および密度の貫通孔もしくは未貫通孔を有する多孔質有
機樹脂フィルムは、引裂強さが無孔状態の第1有機樹脂
フィルムに比べて十分に低く、無孔状態の有機樹脂フィ
ルムに比べて高い引裂性(破断性)を示す。このため、
前記プルトップ機構により蓋体を開封した際、有機樹脂
フィルムの残渣であるヘアーリングが開封部周辺に形成
されるのを防止することが可能になる。特に、前記ヘア
ーリングの発生を防止する観点から多数の貫通孔を有す
る第1多孔質有機樹脂フィルムを用いることが好まし
い。
【0015】前記第1多孔質有機樹脂フィルムの貫通孔
もしくは未貫通孔の平均開口径を規定したのは、次のよ
うな理由によるものである。前記平均開口径を10μm
未満にすると、前記第1多孔質有機樹脂フィルムが外面
にラミネートされた蓋体をプルトップ機構により容易に
開封することが困難になるばかりか、開封部の周辺に有
機樹脂フィルムの残渣によるヘアーリングが生じる恐れ
がある。一方、前記平均開口径が100μmを越える
と、水分等が浸透し易くなって前記本体とのリブ部にお
いて腐食を生じて蓋体を有効に保護することが困難にな
る恐れがある。より好ましい前記貫通孔もしくは未貫通
孔の平均開口径は、5〜50μmである。
【0016】前記第1多孔質有機樹脂フィルムの貫通孔
もしくは未貫通孔の密度を規定したのは、次のような理
由によるものである。前記密度を500個/cm2 未満
にすると、高い引裂性を有する第1多孔質有機樹脂フィ
ルムを蓋体の外面にラミネートすることが困難になる。
前記密度の上限については、特に制限されない。ただ
し、前述した多孔質フィルムの製造装置による1回の処
理で25000個/cm2 の密度の貫通孔もしくは未貫
通孔を開孔することができる。より好ましい前記貫通孔
もしくは未貫通孔の密度は、1000個/cm2 〜50
00個/cm2 である。
【0017】前記第1多孔質有機樹脂フィルムは、10
〜30μmの厚さを有することが好ましい。前記第1多
孔質有機樹脂フィルムの厚さを10μm未満にすると、
蓋体外面を有効に保護することが困難になる。一方、前
記第1多孔質有機樹脂フィルムの厚さが30μmを越え
るとこの厚さの有機樹脂フィルムに多数の微細な貫通孔
もしくは未貫通孔を開孔しても前述したプルトップ機構
による開封性が損なわれる恐れがある。より好ましい前
記第1多孔質有機樹脂フィルムの厚さは、12〜20μ
mである。
【0018】前記第1多孔質有機樹脂フィルムにおい
て、多数の未貫通孔を有するものを蓋体外面に接着剤層
を介してラミネートする場合、多数の未貫通孔の開口部
が前記蓋体外面側に位置するように接着しても、前記未
貫通孔の開口部が前記蓋体外面と反対側に位置するよう
に接着してもよい。ただし、前者の場合には前記蓋体と
前記第1多孔質有機樹脂フィルムの間に介在される接着
剤層の一部が多数の前記未貫通孔内のそれらの開口部を
通して埋め込まれる。
【0019】前記第1多孔質有機樹脂フィルムにおい
て、多数の貫通孔を有するものを前記蓋体外面に接着剤
層を介してラミネートした場合、前記接着剤が前記貫通
孔の一部に埋め込まれる。
【0020】前記接着剤層の一部が貫通孔もしくは未貫
通の一部に埋め込まれた第1多孔質有機樹脂フィルム
は、無孔状態の有機樹脂フィルムに比べて十分に優れた
引裂性を示す。
【0021】前記蓋体内面にラミネートされた第2多孔
質有機樹脂フィルムは、平均開口径が0.5〜100μ
mの貫通孔もしくは未貫通孔が500個/cm2 以上の
密度で例えばポリエチレンテレフタレートフィルムなど
のポリエステルフィルム、またはナイロン、配向性ポリ
プロピレンフィルムのような有機樹脂フィルムに開孔さ
れた形態を有することが好ましい。このような平均開口
径および密度の貫通孔もしくは未貫通孔を有する第2多
孔質有機樹脂フィルムは、引裂強さが無孔状態の有機樹
脂フィルムに比べて十分に低く、無孔状態の有機樹脂フ
ィルムに比べて高い引裂性(破断性)を示す。
【0022】前記第2多孔質有機樹脂フィルムの貫通孔
もしくは未貫通孔の平均開口径を規定したのは、次のよ
うな理由によるものである。前記平均開口径を0.5μ
m未満にすると、前記第2多孔質有機樹脂フィルムが内
面にラミネートされた蓋体をプルトップ機構により容易
に開封することが困難になる恐れがある。一方、前記平
均開口径が100μmを越えると、缶内に収容される内
容物の保護を十分に達成できなくなる恐れがある。より
好ましい前記貫通孔もしくは未貫通孔の平均開口径は、
2〜50μmである。
【0023】前記第2多孔質有機樹脂フィルムの貫通孔
もしくは未貫通孔の密度を規定したのは、次のような理
由によるものである。前記密度を500個/cm2 未満
にすると、高い引裂性を有する第2多孔質有機樹脂フィ
ルムを蓋体の内面にラミネートすることが困難になる。
前記密度の上限については、特に制限されない。ただ
し、前述した多孔質フィルムの製造装置による1回の処
理で25000個/cm2 の密度の貫通孔もしくは未貫
通孔を開孔することができる。より好ましい前記貫通孔
の密度は、1000個/cm2 〜5000個/cm2
ある。
【0024】前記第2多孔質有機樹脂フィルムは、10
〜40μmの厚さを有することが好ましい。前記第2多
孔質有機樹脂フィルムの厚さを10μm未満にすると、
缶内に収容される内容物の保護を十分に達成できなくな
る恐れがある。一方、前記第2多孔質有機樹脂フィルム
の厚さが40μmを越えるとこの厚さの有機樹脂フィル
ムに多数の微細な貫通孔もしくは未貫通孔を開孔しても
引裂性が低下して前述したプルトップ機構による開封性
が損なわれる恐れがある。より好ましい前記第2多孔質
有機樹脂フィルムの厚さは、12〜25μmである。
【0025】前記接着剤は、食品に適用される一般的な
ものを用いることができる。この接着剤層の厚さは、引
裂性および内容物の保護の観点から5〜20μmにする
ことが好ましい。
【0026】前記蓋体は、例えば次のような方法により
製作される。アルミニウム薄板の両面に前述した多数の
微細な貫通孔もしくは未貫通孔を有する多孔質有機樹脂
フィルムをそれぞれ接着剤層を介してラミネートし、こ
のアルミニウム薄板を円形状に打ち抜き、一方の面に押
圧加工して馬蹄型の溝からなる開封部等を形成した後、
他方の面にタブをピン接合することにより製作される。
【0027】以上説明した本発明に係わるプルトップ式
缶は、上部が開口され、内面が有機樹脂フィルムでラミ
ネートされた缶本体と、前記缶本体の開口部にかしめ接
合され、前述した構成のプルトップ機構を有するアルミ
ニウム製の蓋体とを具備する。前記蓋体は、外面および
内面に多数の微細な貫通孔もしくは未貫通孔を有する第
1、第2の多孔質有機樹脂フィルムがそれぞれ接着剤層
を介してラミネートされている。
【0028】このような構造のプルトップ式缶におい
て、前記プルトップ機構のタブを指で垂直方向に起こす
と、ピン接合付近のダブ端部が前記馬蹄型の開封部の内
側に位置する蓋体部分の面を缶本体側に向けて押圧す
る。このタブ端部の押圧時において、前記蓋体の外面お
よび内面にラミネートされた第1、第2の多孔質有機樹
脂フィルムには引裂起点(破断起点)として作用する多
数の微細な貫通孔もしくは未貫通孔が開孔されている。
このため、前記アルミニウム製の蓋体のみならず前記各
多孔質有機樹脂フィルムをも前記馬蹄型の溝に沿って切
り込みが形成され、前記馬蹄型の開封部の内側に位置す
る蓋体部分が前記缶本体の内側に向けて折り曲げられて
開封される。
【0029】特に、前記蓋体外面に第1多孔質有機樹脂
フィルムをラミネートすることによって、蓋体の開封部
の外観性を高めることができる。すなわち、外面に超薄
膜の有機樹脂フィルムをラミネートした蓋体に前述した
プルトップ機構を取り付け、前記プルトップ機構のタブ
を指で垂直方向に起こすことにより前記蓋体を開封する
ことが可能である。しかしながら、このような開封後に
おいては前記有機樹脂フィルムは無孔状態であるため、
前記有機樹脂フィルムの残渣であるヘアーリングが前記
蓋体周辺に生じて外観性が著しく損なわれる。このよう
なことから、蓋体外面に多数の貫通孔もしくは未貫通孔
が開孔された第1多孔質有機樹脂フィルムをラミネート
することによって、前述したプルトップ機構により前記
蓋体を開封する際、前記貫通孔もしくは未貫通孔が引裂
起点として作用する。このため、前記蓋体の開封部周辺
に有機樹脂フィルムの残渣であるヘアーリングが生じる
のを防止でき、蓋体の開封部の外観性を高めることがで
きる。
【0030】したがって、本発明に係わるプルトップ式
缶は前記蓋体の外面および内面にラミネートした多孔質
有機樹脂フィルムにより前記プルトップ機構の開封性を
阻害することなく、かつ外観性を損なうヘアーリングを
生じることなく容易に開封することができる。その上、
缶本体の内面に有機樹脂フィルムがラミネートされ、か
つ蓋体の内面にも第2多孔質有機樹脂フィルムが接着剤
層を介してラミネートされているため、内容物が前記缶
本体および前記蓋体のアルミニウムのような素材に直接
接触することによる酸化等を防止して品質を長期間に亘
って維持できる。この時、前記第1多孔質有機樹脂フィ
ルムに貫通孔が形成されている場合、その貫通孔の一部
に前記接着剤で埋められているため、前記接着剤により
内容物が前記缶本体および前記蓋体のアルミニウムのよ
うな素材に直接接触するのを防止できる。しかも、前記
蓋体外面には第1多孔質有機樹脂フィルムでラミネート
されているため、前記蓋体外面を外界から保護すること
ができる。
【0031】また、本発明に係わるプルトップ式缶にお
いて前記蓋体の内面にラミネートされた第2多孔質有機
樹脂フィルムは従来のようにエポキシフェノール系樹脂
の焼付塗装により形成される保護薄膜に比べて優れた内
容物の保護効果を発揮できるため、品質を長期間に亘っ
て維持できる。その上、前記蓋体の外面および内面の第
1、第2の多孔質有機樹脂フィルムはいずれもラミネー
ト手法により被覆できるため、従来の焼付塗装のように
塗装後に莫大な水を必要とする洗浄工程を省略でき、ラ
ンニングコストを大幅に低減することができる。
【0032】次に、本発明に係わる別のプルトップ式缶
を詳細に説明する。このプルトップ式缶は、上部が開口
され、内面が有機樹脂フィルムでラミネートされた缶本
体と、前記缶本体の開口部にかしめ接合された例えば前
述したプルトップ機構を有するアルミニウム製の蓋体と
を具備する。
【0033】前記蓋体は、外面に多数の微細な貫通孔も
しくは未貫通孔を有する多孔質有機樹脂フィルムがそれ
ぞれ接着剤層を介してラミネートされ、かつ内面に有機
樹脂フィルムが脆弱な接着剤層を介してラミネートされ
ている。
【0034】前記缶本体は、例えばスチールまたはアル
ミニウムから形成されている。前記缶本体の内面にラミ
ネートされる有機樹脂フィルムとしては、前述したプル
トップ式缶と同様なものが用いられる。
【0035】前記多孔質有機樹脂フィルムは、特公平6
−61859号公報に開示された多孔質フィルムの製造
装置により製造される。前記多孔質有機樹脂フィルム
は、前記プルトップ式缶の第1多孔質有機樹脂フィルム
と同様、平均開口径が10〜100μm、より好ましく
は5〜50μmの貫通孔もしくは未貫通孔が500個/
cm2 以上、より好ましくは1000個/cm2 〜50
00個/cm2 の密度で、かつ厚さ10〜30μm、よ
り好ましくは12〜20μmで例えばポリエチレンテレ
フタレートフィルムなどのポリエステルフィルム、また
はナイロン、配向性ポリプロピレンフィルムのような有
機樹脂フィルムに開孔された形態を有することが好まし
い。このような平均開口径および密度の貫通孔もしくは
未貫通孔を有する多孔質有機樹脂フィルムは、引裂強さ
が無孔状態の有機樹脂フィルムに比べて十分に低く、無
孔状態の有機樹脂フィルムに比べて高い引裂性(破断
性)を示す。このため、前記プルトップ機構により蓋体
を開封した際、有機樹脂フィルムの残渣であるヘアーリ
ングが開封部周辺に形成されるのを防止することが可能
になる。
【0036】第1前記多孔質有機樹脂フィルムにおい
て、多数の未貫通孔を有するものを蓋体外面に接着剤層
を介してラミネートする場合、多数の未貫通孔の開口部
が前記蓋体外面側に位置するように接着しても、前記未
貫通孔の開口部が前記蓋体外面と反対側に位置するよう
に接着してもよい。ただし、前者の場合には前記蓋体と
前記第1多孔質有機樹脂フィルムの間に介在される接着
剤層の一部が多数の前記未貫通孔内のそれらの開口部を
通して埋め込まれる。
【0037】前記第1多孔質有機樹脂フィルムにおい
て、多数の貫通孔を有するものを前記蓋体外面に接着剤
層を介してラミネートした場合、前記接着剤が前記貫通
孔の一部に埋め込まれる。
【0038】前記接着剤層の一部が貫通孔もしくは未貫
通の一部に埋め込まれた第1多孔質有機樹脂フィルム
は、無孔状態の有機樹脂フィルムに比べて十分に優れた
引裂性を示す。
【0039】前記多孔質有機樹脂フィルムをラミネート
するための接着剤は、食品に適用される一般的なものを
用いることができる。この接着剤層の厚さは、引裂性お
よび内容物の保護の観点から5〜20μmにすることが
好ましい。
【0040】前記蓋体内面にラミネートされる有機樹脂
フィルムは、例えばポリエチレンテレフタレートフィル
ムなどのポリエステルフィルム、またはナイロン、配向
性ポリプロピレンフィルムを用いることができる。この
有機樹脂フィルムは、3〜6μmを厚さを有することが
好ましい。前記有機樹脂フィルムの厚さを3μm未満に
すると、缶内に収容される内容物の保護を十分に達成で
きなくなる恐れがある。一方、前記有機樹脂フィルムの
厚さが6μmを越えると前述したプルトップ機構による
開封性が損なわれる恐れがある。より好ましい前記有機
樹脂フィルムの厚さは、4〜5μmである。
【0041】前記有機樹脂フィルムを前記蓋体内面にラ
ミネートする際に用いられる脆弱な接着剤としては、例
えば低分子量のポリエステルをベースとするヒートシー
ル性のものが好ましい。この接着剤の層は、10〜13
μmの厚さを有することが好ましい。このような接着剤
からなる接着剤層は、脆い性質を有するために前述した
プルトップ機構により蓋体を開封する際、前記蓋体が缶
本体側に押し込まれるのに追従して前記接着剤層で接着
された有機樹脂フィルムを容易に引裂くことができる。
【0042】前記蓋体は、例えば次のような方法により
製作される。まず、アルミニウム薄板の片面に前記有機
樹脂フィルムを接着剤層を介してラミネートする。つづ
いて、前記アルミニウム薄板の反対側の面に有機樹脂フ
ィルムをヒートシール性の接着剤を介して重ね、加熱処
理することにより前記有機樹脂フィルムを脆弱な接着剤
層を介してラミネートする。この後、前記アルミニウム
薄板を円形状に打ち抜き、押圧加工して前記有機樹脂フ
ィルム側の前記薄板に馬蹄型の溝からなる開封部等を形
成した後、前記多孔質有機樹脂フィルムの被覆面(外側
面)にタブをピン接合することにより蓋体を製作する。
【0043】以上説明した本発明に係わる別のプルトッ
プ式缶は、上部が開口され、内面が有機樹脂フィルムで
ラミネートされた缶本体と、前記缶本体の開口部にかし
め接合され、前述した構成のプルトップ機構を有するア
ルミニウム製の蓋体とを具備する。前記蓋体は、外面に
多数の微細な貫通孔もしくは未貫通孔を有する多孔質有
機樹脂フィルムが接着剤層を介してラミネートされ、か
つ内面に有機樹脂フィルムが脆弱な接着剤層を介してラ
ミネートされている。
【0044】このような構造のプルトップ式缶におい
て、前記プルトップ機構のタブを指で垂直方向に起こす
と、ピン接合付近のダブ端部が前記馬蹄型の開封部の内
側に位置する蓋体部分の面を缶本体側に向けて押圧す
る。このタブ端部の押圧時において、前記蓋体の外面に
ラミネートされた多孔質有機樹脂フィルムには引裂起点
(破断起点)として作用する多数の微細な貫通孔もしく
は未貫通孔が開孔され、かつ内面の有機樹脂フィルムは
脆弱な接着剤層を介してラミネートされているため、前
記アルミニウム製の蓋体のみならず前記外内面の多孔質
有機樹脂フィルムおよび有機樹脂フィルムをも前記馬蹄
型の溝に沿って切り込みが形成され、前記馬蹄型の開封
部の内側に位置する蓋体部分が前記缶本体の内側に向け
て折り曲げられて開封される。
【0045】特に、前記蓋体外面に多孔質有機樹脂フィ
ルムをラミネートすることによって、前述したプルトッ
プ式缶と同様に蓋体の開封部周辺に有機樹脂フィルムの
残渣であるヘアーリングが生じるのを防止でき、蓋体の
開封部の外観性を高めることができる。
【0046】したがって、本発明に係わる別のプルトッ
プ式缶は前記蓋体の外面にラミネートした多孔質有機樹
脂フィルムおよび内面に脆弱な接着剤層を介してラミネ
ートした有機樹脂フィルムにより前記プルトップ機構の
開封性を阻害することなく、かつ外観性を損なうヘアー
リングを生じることなく容易に開封することができる。
その上、缶本体の内面に有機樹脂フィルムがラミネート
され、かつ蓋体の内面にも有機樹脂フィルムが接着剤層
を介してラミネートされているため、内容物が前記缶本
体および前記蓋体のアルミニウムのような素材に直接接
触することによる酸化等を防止して品質を長期間に亘っ
て維持できる。しかも、前記蓋体外面には多孔質有機樹
脂フィルムでラミネートされているため、前記蓋体外面
を外界から保護することができる。
【0047】また、本発明に係わるプルトップ式缶にお
いて前記蓋体の内面にラミネートされた有機樹脂フィル
ムは従来のようにエポキシフェノール系樹脂の焼付塗装
により形成される保護薄膜に比べて優れた内容物の保護
効果を発揮できるため、品質を長期間に亘って維持でき
る。その上、前記蓋体の外面および内面の多孔質有機樹
脂フィルムおよび有機樹脂フィルムはいずれもラミネー
ト手法により被覆できるため、従来の焼付塗装のように
塗装後に莫大な水を必要とする洗浄工程を省略でき、ラ
ンニングコストを大幅に低減することができる。
【0048】
【実施例】以下、本発明の好ましい実施例を図面を参照
して詳細に説明する。 (実施例1)図1は、実施例1の清涼飲料水用プルトッ
プ式缶の上面図、図2は図1のプルトップ式缶の正面
図、図3は図1のプルトップ式缶に用いられる蓋体内面
を示す平面図、図4は図2のプルトップ式缶の肩部の断
面図、図5は図4の蓋体の拡大断面図である。
【0049】上部が開口された例えばステンレス鋼から
なる缶本体1は、内面に有機樹脂フィルムであるポリエ
チレンテレフタレートフィルム2がラミネートされてい
る。例えば厚さ300μmのアルミニウム製の蓋体3
は、前記缶本体1の開口部にかしめ接合されている。第
1、第2の多孔質ポリエチレンテレフタレートフィルム
(多孔質PETフィルム)4、5は、図4、図5に示す
ように前記蓋体3の外面および内面にそれぞれ例えば2
液型ポリエステルポリウレタン系からなる厚さ10μm
の接着剤層6、7を介してラミネートされている。前記
第1多孔質PETフィルム4は、図5に示すように例え
ば厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム
8に70〜80μmの開口径を有する貫通孔9が500
0個/cm2 の密度で多数かつ一様に開孔された構造を
有する。また、前記第1多孔質PETフィルム4の多数
の貫通孔9内には前記接着剤層6の接着剤がそれらの貫
通孔9の開口部から侵入して埋め込まれている。前記第
2多孔質PETフィルム5は、図5に示すように例えば
厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム1
0に70〜80μmの開口径を有する貫通孔11が50
00個/cm2 の密度で多数かつ一様に開孔された構造
を有する。また、前記第2多孔質PETフィルム5の多
数の貫通孔11内には前記接着剤層7の接着剤がそれら
の貫通孔11の開口部から侵入して埋め込まれている。
【0050】プルトップ機構12は、前記蓋体3に形成
されている。前記プルトップ機構12は、図1、図3に
示すように押圧加工により前記蓋体3の外側面に形成さ
れた靴形の窪み部13と、この窪み部13の曲面領域に
押圧加工により形成され、開封時に切込みが形成される
馬蹄型の溝からなる開封部14と、この開封部14と反
対側の窪み部13に中心付近に位置するピン15で接合
され、かつ前記窪み部13の表面に当接する2つの穴を
有する細長状のタブ16とから構成されている。
【0051】このような構成のプルトップ式缶の開封を
図6〜図9を参照して説明する。一方の手で前記缶本体
1を保持し、他方の手の指で前記プルトップ機構12の
タブ16を垂直方向に起こすと、図6に示すように前記
ピン15の接合付近のダブ16端部が前記馬蹄型の開封
部14の内側に位置する蓋体3部分の面を前記缶本体1
側に向けて押圧する。このタブ16端部の押圧時におい
て、前記蓋体3外面および内面には多数の貫通孔9、1
1を有する引裂し易い第1、第2の多孔質PETフィル
ム4、5がラミネートされている。このため、前記蓋体
3のみならず前記第1、第2の多孔質PETフィルム
4、5も前記馬蹄型の開封部14の溝に沿って切り込み
が形成され、図6、図7に示すように前記馬蹄型の開封
部14内側の蓋体3部分が前記開封部14周辺にPET
フィルムの残渣であるヘアーリングを生じることなく、
前記缶本体1の内側に向けて折り曲げられて開封され
る。
【0052】すなわち、前記タブ15端部で前記馬蹄型
の開封部14の内側の蓋体3部分を押圧すると、前記蓋
体3外面および内面にラミネートされた第1、第2の多
孔質PETフィルム4、5には多数の微細な貫通孔9,
11が開孔され、これらの貫通孔9,11が引裂起点
(破断起点)として作用する。このため、前記押圧初期
において図8、図9に示すようにその押圧部周辺に位置
する前記開封部14の溝に沿って切込みが形成され、同
時にラミネートされた前記第1、第2の多孔質PETフ
ィルム4、5にも前記多数の貫通孔9,11に沿って切
込みが形成される。さらに、前記タブ15を垂直に向け
て起こすと、前記馬蹄型の開封部14の内側に位置する
蓋体3部分への押圧ストロークが長くなる。このため、
前記開封部14の溝が前記第1、第2の多孔質PETフ
ィルム4、5と共に長く切り込まれて、前記馬蹄型の開
封部14内側の蓋体3部分が前記缶本体1の内側に向け
て折り曲げられて開封される。
【0053】なお、外内面に無孔状態のPETフィルム
をラミネートした蓋体を用いた場合には、タブを垂直に
起してタブの端部を馬蹄型の開封部の内側の蓋体部分に
向けて押圧しても、前記無孔状態のPETフィルムの引
裂力(破断力)は前記押圧力に比べて十分に大きいた
め、前記押圧力では破断されない。このため、蓋体に馬
蹄型の開封部を形成しても前記無孔状態のPETフィル
ムをラミネートすると、前記押圧部周辺に位置する前記
開封部の溝に切込みが形成されるのを阻止される。その
結果、プルトップ機構による開封が困難になる。
【0054】したがって、実施例1のプルトップ式缶は
前記蓋体3の外面および内面の保護膜として機能するP
ETフィルムが多数の貫通孔9,11を有する多孔質で
あるため、無孔状態のPETフィルムを用いた場合のよ
うに前記プルトップ機構12の開封性が阻害されること
なく、容易に開封することができる。しかも、前記蓋体
3の外面に多数の貫通孔9を有する第1多孔質PETフ
ィルム4をラミネートすることによって、前記開封初期
において前記蓋体3の開封部14周辺にヘアーリングが
発生するのを防止することができ、その外観性を高める
ことができる。
【0055】また、前記缶本体1はその内面にPETフ
ィルム2がラミネートされている。前記蓋体3の内面に
も多数の微細な貫通孔11を有する第2多孔質PETフ
ィルム5が接着剤層7を介してラミネートされていると
共に、前記貫通孔11内が接着剤で埋められて良好なバ
リア性を有する。このため、前記缶本体1内の内容物は
前記缶本体1の素材であるステンレス鋼および前記蓋体
3の素材であるアルミニウムに直接接触することによる
酸化等が防止される。その結果、清涼飲料水用プルトッ
プ式缶を長期間保管しても、内容物を缶本体1への注入
時の品質を維持することが可能になる。
【0056】さらに、前記蓋体3内面の保護膜は接着剤
層5を介してラミネートされた多孔質PETフィルム4
からなるため、従来のエポキシフェノール系樹脂の焼付
塗装により形成された保護薄膜に比べて内容物の品質を
長期間に亘って維持できる。その上、前記蓋体3の外面
および内面の第1、第2の多孔質有機樹脂フィルム4,
5はいずれもラミネート手法により被覆できるため、従
来の焼付塗装のように塗装後に莫大な水を必要とする洗
浄工程を省略でき、ランニングコストを大幅に低減する
ことができる。
【0057】なお、前記実施例1において蓋体3の外面
および内面にラミネートした第1、第2の多孔質PET
フィルムとしていずれも貫通孔9,11が開孔されたも
のを用いたが、これに限定されない。例えば図10に示
すように蓋体3の外面にPETフィルム8に多数の貫通
孔9を有する第1多孔質PETフィルム4を接着剤層6
を介してラミネートし、かつ前記蓋体3の内面にPET
フィルム17に多数の未貫通孔18を有する第2多孔質
PETフィルム19を前記未貫通孔18の開口部が前記
内面側に位置するように接着剤層7を介してラミネート
してもよい。また、図11に示すように蓋体3の外面に
PETフィルム8に多数の貫通孔9を有する第1多孔質
PETフィルム4を接着剤層6を介してラミネートし、
かつ前記蓋体3の内面にPETフィルム17に多数の未
貫通孔18を有する第2多孔質PETフィルム19を前
記未貫通孔18の開口部が前記内面と反対側に位置する
ように接着剤層7を介してラミネートしてもよい。さら
に、図12に示すように蓋体3の外面にPETフィルム
20に多数の未貫通孔21を有する第1多孔質PETフ
ィルム22を前記未貫通孔21の開口部が前記外面と反
対側に位置するように接着剤層6を介してラミネート
し、かつ前記蓋体3の内面にPETフィルム17に多数
の未貫通孔18を有する第2多孔質PETフィルム19
を前記未貫通孔18の開口部が前記内面と反対側に位置
するように接着剤層7を介してラミネートしてもよい。
【0058】このような図10〜図12に示す構造の蓋
体を組込んだプルトップ式缶においても、前述した実施
例1と同様な優れた機能を有する。 (実施例2)図13は、実施例2の清涼飲料水用プルト
ップ式缶の上面図、図14は図13のプルトップ式缶の
正面図、図15は図13のプルトップ式缶の肩部の断面
図、図16は図15蓋体の拡大断面図である。なお、前
述した実施例1と同様な部材は同符号を付して説明を省
略する。
【0059】実施例2のプルトップ式缶は、上部が開口
されたステンレス鋼からなる缶本体1と、前記缶本体1
の開口部にかしめ接合された例えば厚さ300μmのア
ルミニウム製の蓋体3とを備えている。ポリエチレンテ
レフタレートフィルム2は、前記缶本体1の内面にラミ
ネートされている。
【0060】多孔質ポリエチレンテレフタレートフィル
ム(多孔質PETフィルム)23は、図15、図16に
示すように前記蓋体3の外面に例えば2液型ポリエステ
ルポリウレタン系からなる厚さ10μmの接着剤層24
を介してラミネートされている。前記多孔質PETフィ
ルム14は、図16に示すように例えば厚さ12μmの
ポリエチレンテレフタレートフィルム25に70〜80
μmの開口径を有する貫通孔13が5000個/cm2
の密度で多数かつ一様に開孔された構造を有する。ま
た、前記多孔質PETフィルム23の多数の貫通孔26
内には前記接着剤層24の接着剤がそれらの貫通孔26
の開口部から侵入して埋め込まれている。
【0061】厚さ6μmのPETフィルム27は、前記
蓋体3の内面に厚さ10μmの低分子量のポリエステル
をベースとするヒートシール性を持つ接着剤層28を介
してラミネートされている。つまり、前記PETフィル
ム27は脆弱な接着剤層28を介して前記蓋体3の内面
にラミネートされている。
【0062】プルトップ機構12は、図13に示すよう
に前記蓋体3に形成されている。このような構成のプル
トップ式缶の開封を図17〜図19を参照して説明す
る。
【0063】一方の手で前記缶本体1を保持し、他方の
手の指で前記プルトップ機構12のタブ16を垂直方向
に起こすと、図17に示すように前記ピン15の接合付
近のダブ16端部が前記馬蹄型の開封部14の内側に位
置する蓋体3部分の面を前記缶本体1側に向けて押圧す
る。このタブ16端部の押圧時において、前記蓋体3の
外面には多数の貫通孔26を有する引裂し易い多孔質P
ETフィルム23がラミネートされ、かつその内面には
PETフィルム27が脆弱な接着剤層28を介してラミ
ネートされている。このため、前記蓋体3のみならずそ
の外側の前記多孔質PETフィルム23および内側のP
ETフィルム27も前記馬蹄型の開封部14の溝に沿っ
て切り込みが形成され、図17に示すように前記馬蹄型
の開封部14内側の蓋体3部分が前記缶本体1の内側に
向けて折り曲げられて開封される。
【0064】すなわち、前記タブ15端部で前記馬蹄型
の開封部14の内側の蓋体3部分を押圧すると、前記蓋
体3外面にラミネートされた多孔質PETフィルム23
には多数の微細な貫通孔26が開孔され、これらの貫通
孔26が引裂起点(破断起点)として作用する。また、
前記蓋体3内面には脆弱な接着剤層28を介してPET
フィルム27がラミネートされ、前記脆弱な接着剤層2
8が破断起点として作用する。このため、前記押圧初期
において図18、図19に示すようにその押圧部周辺に
位置する前記開封部14の溝に沿って切込みが形成さ
れ、同時にラミネートされた前記多孔質PETフィルム
23にも前記多数の貫通孔26に沿って切込みが形成さ
れると共に、前記脆弱な接着剤層28によりラミネート
されたPETフィルム27にも前記開封部14に沿って
切込みが形成される。さらに、前記タブ11を垂直に向
けて起こすと、前記馬蹄型の開封部14の内側に位置す
る蓋体3部分への押圧ストロークが長くなる。このた
め、前記開封部14の溝が前記多孔質PETフィルム2
3およびPETフィルム27と共に長く切り込まれて、
前記馬蹄型の開封部14内側の蓋体3部分が前記缶本体
1の内側に向けて折り曲げられて開封される。
【0065】したがって、実施例2のプルトップ式缶は
前記蓋体3外面の保護膜として機能するPETフィルム
25に多数の貫通孔26を開口し、かつ前記蓋体3内面
に脆弱な接着剤層28を介してPETフィルム27をラ
ミネートしているため、前記プルトップ機構12により
容易に開封することができる。しかも、前記蓋体3の外
面に多数の貫通孔26を有する多孔質PETフィルム2
3をラミネートすることによって、前記開封初期におい
て前記蓋体3の開封部14周辺にヘアーリングが発生す
るのを防止することができ、その外観性を高めることが
できる。
【0066】また、前記缶本体1はその内面にPETフ
ィルム2がラミネートされている。前記蓋体3の内面に
もPETフィルム27が接着剤層24を介してラミネー
トされている。このため、前記缶本体1内の内容物は前
記缶本体1の素材であるステンレス鋼および前記蓋体3
の素材であるアルミニウムに直接接触することによる酸
化等が防止される。その結果、清涼飲料水用プルトップ
式缶を長期間保管しても、内容物を缶本体への注入時の
品質を維持することが可能になる。
【0067】さらに、前記蓋体3内面の保護膜は接着剤
層28を介してラミネートされたPETフィルム27か
らなるため、従来のエポキシフェノール系樹脂の焼付塗
装により形成された保護薄膜に比べて内容物の品質を長
期間に亘って維持できる。その上、前記蓋体3の外面お
よび内面の多孔質有機樹脂フィルム23およびPETフ
ィルム27はいずれもラミネート手法により被覆できる
ため、従来の焼付塗装のように塗装後に莫大な水を必要
とする洗浄工程を省略でき、ランニングコストを大幅に
低減することができる。
【0068】なお、前記実施例2において蓋体3の外面
にラミネートした多孔質PETフィルムとして貫通孔2
6が開孔されたものを用いたが、これに限定されない。
例えば図20に示すように蓋体3の外面にPETフィル
ム29に多数の未貫通孔30を有する多孔質PETフィ
ルム31を前記未貫通孔30の開口部が前記外面側に位
置するように接着剤層32を介してラミネートしてもよ
い。このような図20に示す構造の蓋体を組込んだプル
トップ式缶においても、前述した実施例2と同様な優れ
た機能を有する。
【0069】前記実施例1、2では、清涼飲料水用プル
トップ式缶について説明したが、蓋体全体が缶本体の開
口部周縁から開封される魚介類等を収容するプルトップ
式缶にも同様に適用することができる。
【0070】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば蓋
体に取り付けたプルトップ機構による開封性を損なうこ
となく、かつ蓋体の開封部周辺にヘアーリングが生じる
ことなく、缶本体内に収容した内容物を缶本体のみなら
ず蓋体の素材から保護できると共に、蓋体の外面を外か
ら保護でき、ひいては収容される清涼飲料水、ビール、
その他魚介類等の内容物の品質を長期間に亘って維持で
き、かつランニングコストの低減化が可能なプルトップ
式缶を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の清涼飲料水用プルトップ式
缶の上面図。
【図2】図1のプルトップ式缶の正面図。
【図3】図1のプルトップ式缶に用いられる蓋体内面を
示す平面図。
【図4】図2のプルトップ式缶の肩部の断面図。
【図5】図4の蓋体の拡大断面図。
【図6】図1のプルトップ式缶を開封した状態を示す斜
視図。
【図7】図6の開封されたプルトップ式缶の蓋体内面を
示す斜視図。
【図8】図1のプルトップ式缶における開封初期のプル
トップ式缶の蓋体内面を示す斜視図。
【図9】図7のIX−IX線に沿う断面図。
【図10】実施例1の変形例を示すプルトップ式缶の蓋
体の拡大断面図。
【図11】実施例1の別の変形例を示すプルトップ式缶
の蓋体の拡大断面図。
【図12】実施例1のさらに別の変形例を示すプルトッ
プ式缶の蓋体の拡大断面図。
【図13】本発明の実施例2における清涼飲料水用プル
トップ式缶の上面図。
【図14】図13のプルトップ式缶の正面図。
【図15】図13のプルトップ式缶の肩部の断面図。
【図16】図13の蓋体の拡大断面図。
【図17】図13のプルトップ式缶を開封した状態を示
す斜視図。
【図18】図13のプルトップ式缶の開封初期の蓋体の
内面側を示す斜視図。
【図19】図18のXIX −XIX 線に沿う断面図。
【図20】実施例2の変形例を示すプルトップ式缶の蓋
体の拡大断面図。
【符号の説明】
1・・・缶本体、 2・・ポリエチレンテレフタレートフィルム、 3・・・蓋体、 4、5、19,22,23,31・・・多孔質ポリエチ
レンテレフタレートフィルム、 6,7、24,28,32・・・接着剤層、 9,11,26・・・貫通孔、 12・・・プルトップ機構、 14・・・開封部、 16・・・タブ、 18,21、30・・・未貫通孔。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上部が開口され、内面が有機樹脂フィル
    ムでラミネートされた缶本体と、前記缶本体の開口部に
    かしめ接合され、プルトップ機構を有するアルミニウム
    製の蓋体とを具備し、 前記蓋体は、外面および内面に多数の微細な貫通孔もし
    くは未貫通孔を有する多孔質有機樹脂フィルムがそれぞ
    れ接着剤層を介してラミネートされていることを特徴と
    するプルトップ式缶。
  2. 【請求項2】 前記蓋体外面にラミネートされる前記多
    孔質有機樹脂フィルムは、平均開口径が10〜100μ
    mの微細な貫通孔が500個/cm2 以上の密度で開孔
    された厚さ10〜30μmのポリエチレンテレフタレー
    トフィルムであることを特徴とする請求項1記載のプル
    トップ式缶。
  3. 【請求項3】 前記蓋体内面にラミネートされる多孔質
    有機樹脂フィルムは、平均開口径が0.5〜100μm
    の微細な貫通孔が500個/cm2 以上の密度で開孔さ
    れた厚さ10〜40μmのポリエチレンテレフタレート
    フィルムであることを特徴とする請求項1記載のプルト
    ップ式缶。
  4. 【請求項4】 上部が開口され、内面が有機樹脂フィル
    ムでラミネートされた缶本体と、前記缶本体の開口部に
    かしめ接合され、プルトップ機構を有するアルミニウム
    製の蓋体とを具備し、 前記蓋体は、外面に多数の微細な貫通孔もしくは未貫通
    孔を有する多孔質有機樹脂フィルムが接着剤層を介して
    ラミネートされ、内面に有機樹脂フィルムが脆弱な接着
    剤層を介してラミネートされていることを特徴とするプ
    ルトップ式缶。
  5. 【請求項5】 前記蓋体外面にラミネートされる前記多
    孔質有機樹脂フィルムは、平均開口径が10〜100μ
    mの微細な貫通孔もしくは未貫通孔が500個/cm2
    以上の密度で開孔された厚さ10〜30μmのポリエチ
    レンテレフタレートフィルムであることを特徴とする請
    求項4記載のプルトップ式缶。
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