JPH11166168A - アクリル系粘着剤組成物及び粘着テープの製造方法 - Google Patents

アクリル系粘着剤組成物及び粘着テープの製造方法

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JPH11166168A
JPH11166168A JP33211997A JP33211997A JPH11166168A JP H11166168 A JPH11166168 A JP H11166168A JP 33211997 A JP33211997 A JP 33211997A JP 33211997 A JP33211997 A JP 33211997A JP H11166168 A JPH11166168 A JP H11166168A
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JP
Japan
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component
weight
sensitive adhesive
pressure
acrylic
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Application number
JP33211997A
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English (en)
Inventor
Akira Nakasuga
章 中壽賀
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 エネルギー消費量が少ない製造方式で高性能
の粘着テープを製造することの出来る環境に優しいアク
リル系光カチオン重合性粘着剤組成物、及び、その粘着
剤組成物を光カチオン重合させて得られる高性能の粘着
テープの製造方法を提供する。 【解決手段】 下記(a)成分〜(e)成分を含有する
モノマー成分を重合して得られるアクリル系オリゴマー
に対し、光カチオン触媒が含有されてなるアクリル系粘
着剤組成物。 (a)成分:炭素数2〜18のアルキル基を有する非3
級アルコールの(メタ)アクリル酸エステル (b)成分:1分子中に上記(a)成分と共重合可能な
不飽和二重結合を有し、且つ、光カチオン重合性の官能
基及び水酸基を有さないビニル化合物 (c)成分:1分子中に光カチオン重合性の官能基及び
上記(a)成分と共重合可能な不飽和二重結合を有する
ビニル化合物 (d)成分:1分子中に水酸基及び上記(a)成分と共
重合可能な不飽和二重結合を有するビニル化合物 (e)成分:ラジカル連鎖移動剤

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アクリル系光カチ
オン重合性粘着剤組成物、及び、その粘着剤組成物を用
いた粘着テープの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、粘着テープ、粘着シート、粘着ラ
ベル等の粘着加工製品は、その作業の簡便性を生かし
て、包装、工業製品の組立、工業製品加工用の副資材等
として各種用途に広く用いられている。一般的に、この
種の粘着加工製品は、有機溶剤にポリマー組成物を溶解
して得られる溶剤型粘着剤を基材に塗布乾燥する所謂溶
剤方式で製造されてきたが、地球環境保全や作業環境の
改善等に対する近年の社会的ニーズの高まりに対応すべ
く、無溶剤化された製造方式(以下、単に「無溶剤化方
式」と記す)への代替が強く要求されている。
【0003】上記無溶剤化方式としては、例えば、アク
リル樹脂系エマルジョン粘着剤、天然もしくは合成ゴム
系ラテックス粘着剤等の水系粘着剤を用いる水系方式
や、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合
体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体
等の熱溶融性のブロックポリマーを用いたホットメルト
方式、或いは、アクリル系モノマーを基材に塗布後、例
えば紫外線のような光を照射して重合し粘着剤化させる
光重合方式等が検討され、実用化されつつある。
【0004】しかし、このような各種無溶剤化方式も現
状では完全無欠なものではなく、それぞれ固有の問題点
を有している。
【0005】即ち、水系方式の場合、水系粘着剤は有機
溶剤を含有しないので炭酸ガス源を発生しないという利
点を有するものの、粘着加工製品製造時における水系粘
着剤の加熱乾燥に多くのエネルギー(石油資源)を消費
するため、環境に対する間接的な影響が大きいという問
題点や、一般的に水系粘着剤は界面活性剤や乳化剤等に
よる分散形態を採っているため耐水性が不十分であり、
得られる粘着加工製品の用途や使用分野等が限定される
という問題点等がある。
【0006】又、ホットメルト方式の場合、熱溶融性の
ポリマーを粘着剤の主成分として用いるため耐熱性が不
十分であり、得られる粘着加工製品の用途や使用分野等
が限定されるという問題点がある。上記問題点に対応す
るため種々の試みがなされており、例えば、PSTC
Proceedings,p175〜187(199
5)では、「熱溶融性のアクリル系ポリマーに光架橋性
の官能基をグラフトし、基材上に加熱溶融塗布した後、
UVで架橋する方法」が提案されている。しかし、上記
提案による方法で得られるホットメルト粘着剤は、架橋
密度が小さくなるため高い粘着力を発現することが出来
ないという問題点がある。
【0007】さらに、光重合方式の場合、モノマーを基
材に塗布した後、直接光重合させるので、溶剤の如く最
終的には廃棄され炭酸ガス源となるような廃棄物を使用
しないし、光重合に消費される電気エネルギーは僅かな
ものであるので環境的には好ましい。しかし、得られる
粘着剤を高性能化すべく高分子量体にするためには重合
速度を遅くする必要があり、高い生産性を得られ難いと
いう問題点や、雰囲気中の酸素等による重合阻害の影響
を受けて残存モノマー量が多くなり、得られる粘着剤の
性能が低下したり臭気が強くなるという問題点等があ
る。
【0008】上記問題点に対応するため、例えば、Ad
hesive Age,November(1995)
では、「1分子中にエポキシ基と水酸基を有するエチレ
ン−ブチレンオリゴマーを主成分とする光カチオン重合
性粘着剤」が提案されている。しかし、上記提案による
粘着剤は、無溶剤で被着体選択性の少ない粘着剤を得る
ことは可能であるものの、エチレン−ブチレンオリゴマ
ーの重合体そのものはエラスチックな性質を有するもの
であるため、優れた粘着性を付与するためには多量の粘
着付与樹脂を添加する必要が生じ、その結果、得られる
粘着剤の耐熱性が不十分になるという問題点や、エチレ
ン−ブチレンオリゴマーを主成分としているので、アク
リル系モノマーを主成分とする場合に比較し、重合体の
組成を変化させる自由度に制約があり、従って、耐溶剤
性、耐光性、耐オゾン性等の各種性能が必要な種々の用
途に対応するための粘着剤設計を行うことが困難である
という問題点等がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来の
問題点を解決するため、有機溶剤を使用する必要がな
く、且つ、工程におけるエネルギー消費量が少ない製造
方式で高性能の粘着テープを製造することの出来る環境
に優しいアクリル系光カチオン重合性粘着剤組成物、及
び、その粘着剤組成物を光カチオン重合させて得られる
高性能の粘着テープの製造方法を提供することを課題と
する。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
(以下、「第1発明」と記す)によるアクリル系粘着剤
組成物は、下記(a)成分60〜100重量%、下記
(b)成分0.1〜40重量%及び下記(c1 )成分
0.1〜10重量%、下記(d)成分0.1〜10重量
%及び下記(e)成分0.001〜2重量%を含有する
モノマー成分を重合して得られる、ポリスチレン換算重
量平均分子量が3000〜100000のアクリル系オ
リゴマー100重量部に対し、光カチオン触媒0.05
〜5重量部が含有されてなることを特徴とする。 (a)成分:炭素数2〜18のアルキル基を有する非3
級アルコールの(メタ)アクリル酸エステル (b)成分:1分子中に上記(a)成分と共重合可能な
不飽和二重結合を有し、且つ、光カチオン重合性の官能
基及び水酸基を有さないビニル化合物 (c1 )成分:1分子中に光カチオン重合性の官能基及
び上記(a)成分と共重合可能な不飽和二重結合を有す
るビニル化合物 (d)成分:1分子中に水酸基及び上記(a)成分と共
重合可能な不飽和二重結合を有するビニル化合物 (e)成分:ラジカル連鎖移動剤
【0011】又、請求項2に記載の発明(以下、「第2
発明」と記す)によるアクリル系粘着剤組成物は、下記
(a)成分60〜100重量%、下記(b)成分0.1
〜40重量%、下記(c2 )成分0.1〜10重量%、
下記(d)成分0.1〜10重量%及び下記(e)成分
0.001〜2重量%を含有するモノマー成分を重合し
て得られる、ポリスチレン換算重量平均分子量が300
0〜100000のアクリル系オリゴマー(A)100
重量部に対し、下記(a)成分60〜100重量%、下
記(b)成分0.1〜40重量%、下記(d)成分0.
1〜10重量%及び下記(e)成分0.001〜2重量
%を含有するモノマー成分を重合して得られる、ポリス
チレン換算重量平均分子量が3000〜100000の
アクリル系オリゴマー(B)1〜200重量部及び光カ
チオン触媒0.05〜5重量部が含有されてなることを
特徴とする。 (a)成分:炭素数2〜18のアルキル基を有する非3
級アルコールの(メタ)アクリル酸エステル (b)成分:1分子中に上記(a)成分と共重合可能な
不飽和二重結合を有し、且つ、光カチオン重合性の官能
基及び水酸基を有さないビニル化合物 (c2 )成分:1分子中に光カチオン重合性の官能基及
び上記(a)成分と共重合可能な不飽和二重結合を有す
るビニル化合物、又は、1分子中に光カチオン重合性の
官能基、水酸基及び上記(a)成分と共重合可能な不飽
和二重結合を有するビニル化合物 (d)成分:1分子中に水酸基及び上記(a)成分と共
重合可能な不飽和二重結合を有するビニル化合物 (e)成分:ラジカル連鎖移動剤
【0012】さらに、請求項3に記載の発明(以下、
「第3発明」と記す)による粘着テープの製造方法は、
上記第1発明又は第2発明によるアクリル系粘着剤組成
物を基材の少なくとも片面に塗布し、光照射を行って、
上記粘着剤組成物を光カチオン重合させることを特徴と
する。
【0013】第1発明又は第2発明によるアクリル系粘
着剤組成物を構成するアクリル系オリゴマーを得るため
に用いられるモノマー成分中には、(a)成分として、
炭素数2〜18、好ましくは4〜12、のアルキル基を
有する非3級アルコールの(メタ)アクリル酸エステル
60〜100重量%が含有される。尚、ここで言う
「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」又は「メタク
リル」を意味する。
【0014】上記(a)成分としては、特に限定される
ものではないが、例えば、(メタ)アクリル酸n−ブチ
ルエステル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルエ
ステル、(メタ)アクリル酸イソオクチルエステル、
(メタ)アクリル酸イソノニルエステル、(メタ)アク
リル酸イソミリスチルエステル等が挙げられ、これらの
1種もしくは2種以上が好適に用いられる。
【0015】上記(a)成分を構成する非3級アルコー
ルの有するアルキル基の炭素数が2〜18の範囲外であ
ると、得られる粘着剤組成物の粘着性や凝集力等が不十
分となることがあるので好ましくない。
【0016】又、モノマー成分中における上記(a)成
分の含有量が60重量%未満であると、得られる粘着剤
組成物の粘着性や凝集力等が不十分となることがあるの
で好ましくない。
【0017】第1発明又は第2発明によるアクリル系粘
着剤組成物を構成するアクリル系オリゴマーを得るため
に用いられるモノマー成分中には、(b)成分として、
1分子中に上記(a)成分と共重合可能な不飽和二重結
合を有し、且つ、光カチオン重合性の官能基及び水酸基
を有さないビニル化合物0.1〜40重量%が含有され
る。
【0018】上記(b)成分は、後述する(c1 )成分
中又は(c2 )成分中に含有される光カチオン重合性の
官能基もしくは水酸基との反応性を有さないものが得ら
れる粘着剤組成物の粘着性や貯蔵安定性等の点で好まし
く、例えば、(メタ)アクリル酸のようなビニルモノマ
ーは、粘着剤組成物中のアクリル系オリゴマーにグラフ
トされている光カチオン重合性の官能基もしくは水酸基
と経時的に反応して、粘着性や貯蔵安定性等の低下を来
すことがあるので好ましくない。
【0019】上記(b)成分としては、特に限定される
ものではないが、例えば、(メタ)アクリロニトリル、
N−ビニルピロリドン、アクリルアミド、イソボニル
(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン、ア
ルコキシアルキルアクリレート等が挙げられ、これらの
1種もしくは2種以上が好適に用いられる。
【0020】又、(b)成分として末端にラジカル重合
性の不飽和二重結合を有するポリスチレン、ポリメチル
メタクリレート、ポリアクリロニトリル等からなる所謂
マクロモノマー(マクロマー)の1種もしくは2種以上
が用いられても良い。
【0021】モノマー成分中における上記(b)成分の
含有量が0.1重量%未満であると、得られるアクリル
系粘着剤組成物の凝集力が不十分となることがあるので
好ましくなく、逆に(b)成分の含有量が40重量%を
超えると、得られる粘着剤組成物の粘着性が不十分とな
ることがあるので好ましくない。
【0022】第1発明によるアクリル系粘着剤組成物を
構成するアクリル系オリゴマーを得るために用いられる
モノマー成分中には、(c1 )成分として、1分子中に
光カチオン重合性の官能基及び前記(a)成分と共重合
可能な不飽和二重結合を有するビニル化合物0.1〜1
0重量%が含有される。
【0023】上記(c1 )成分としての1分子中に光カ
チオン重合性の官能基及び前記(a)成分と共重合可能
な不飽和二重結合を有するビニル化合物としては、特に
限定されるものではないが、例えば、グリシジル(メ
タ)アクリレート、例えば商品名「サイクロマー」(ダ
イセル化学工業社製)のような脂環式エポキシ基を有す
る(メタ)アクリレート、オキセタニル基を有する(メ
タ)アクリレート等が挙げられ、これらの1種もしくは
2種以上が好適に用いられる。
【0024】モノマー成分中における上記(c1 )成分
の含有量が0.1重量%未満であると、アクリル系ポリ
マーと光カチオン重合性の官能基との架橋反応が部分的
となって、得られる粘着剤組成物の耐熱性が不十分とな
ることがあるので好ましくなく、逆に(c1 )成分の含
有量が10重量%を超えると、アクリル系ポリマーの架
橋密度が高くなり過ぎて、得られる粘着剤組成物の粘着
性が不十分となることがあるので好ましくない。
【0025】第2発明によるアクリル系粘着剤組成物を
構成するアクリル系オリゴマー(A)を得るために用い
られるモノマー成分中には、(c2 )成分として、1分
子中に光カチオン重合性の官能基及び前記(a)成分と
共重合可能な不飽和二重結合を有するビニル化合物、又
は、1分子中に光カチオン重合性の官能基、水酸基及び
前記(a)成分と共重合可能な不飽和二重結合を有する
ビニル化合物0.1〜10重量%が含有される。
【0026】上記(c2 )成分としての1分子中に光カ
チオン重合性の官能基及び前記(a)成分と共重合可能
な不飽和二重結合を有するビニル化合物としては、特に
限定されるものではないが、例えば、グリシジル(メ
タ)アクリレート、例えば商品名「サイクロマー」(ダ
イセル化学工業社製)のような脂環式エポキシ基を有す
る(メタ)アクリレート、オキセタニル基を有する(メ
タ)アクリレート等が挙げられ、これらの1種もしくは
2種以上が好適に用いられる。
【0027】又、上記(c2 )成分としての1分子中に
光カチオン重合性の官能基、水酸基及び前記(a)成分
と共重合可能な不飽和二重結合を有するビニル化合物と
しては、特に限定されるものではないが、例えば、ヒド
ロキシグリシジル(メタ)アクリレート、脂環式エポキ
シ基を有するヒドロキシ(メタ)アクリレート、オキセ
タニル基を有するヒドロキシ(メタ)アクリレート等が
挙げられ、これらの1種もしくは2種以上が好適に用い
られる。
【0028】(c2 )成分としての、1分子中に光カチ
オン重合性の官能基及び(a)成分と共重合可能な不飽
和二重結合を有するビニル化合物、又は、1分子中に光
カチオン重合性の官能基、水酸基及び(a)成分と共重
合可能な不飽和二重結合を有するビニル化合物は、それ
ぞれ単独で用いられても良いし、両者が併用されても良
い。
【0029】モノマー成分中における上記(c2 )成分
の含有量が0.1重量%未満であると、アクリル系ポリ
マーと光カチオン重合性の官能基もしくは水酸基との架
橋反応が部分的となって、得られる粘着剤組成物の耐熱
性が不十分となることがあるので好ましくなく、逆に
(c2 )成分の含有量が10重量%を超えるとアクリル
系ポリマーの架橋密度が高くなり過ぎて、得られる粘着
剤組成物の粘着性が不十分となることがあるので好まし
くない。
【0030】第1発明又は第2発明によるアクリル系粘
着剤組成物を構成するアクリル系オリゴマーを得るため
のモノマー成分中には、(d)成分として、1分子中に
水酸基及び前記(a)成分と共重合可能な不飽和二重結
合を有するビニル化合物0.1〜10重量%が含有され
る。
【0031】上記(d)成分としては、特に限定される
ものではないが、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)ア
クリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、
例えば商品名「プラクセル」シリーズ(ダイセル化学工
業社製)のようなカプロラクトン変性アクリレート等が
挙げられ、これらの1種もしくは2種以上が好適に用い
られる。
【0032】モノマー成分中に上記(d)成分を含有さ
せることにより、得られるアクリル系粘着剤組成物の光
重合時における連鎖移動反応や停止反応がより的確に行
われ、その結果、最終的に得られる粘着剤層はより高性
能なものとなる。
【0033】モノマー成分中における上記(d)成分の
含有量が0.1重量%未満であると、(d)成分を含有
させることによる上記効果を十分に得られないことがあ
るので好ましくなく、逆に(d)成分の含有量が10重
量%を超えると、得られるアクリル系粘着剤組成物の光
重合反応が十分に進行しないことがあるので好ましくな
い。
【0034】第1発明又は第2発明によるアクリル系粘
着剤組成物を構成するアクリル系オリゴマーを得るため
に用いられるモノマー成分中には、(e)成分として、
ラジカル連鎖移動剤0.001〜2重量%が含有され
る。
【0035】上記(e)成分としてのラジカル連鎖移動
剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、
ドデシルメルカプタンのようなメルカプタン類;α−メ
チルスチレンダイマー類;四塩化炭素やクロロホルム等
のハロゲン化物類;メルカプトエチルアルコール、メル
カプトイソプロピルアルコール、ハイドロキノン、1分
子中に水酸基と共役二重結合を有するロジンエステル類
等の1分子中に水酸基を有するラジカル連鎖移動剤等が
挙げられ、これらの1種もしくは2種以上が好適に用い
られる。
【0036】モノマー成分中に上記(e)成分としての
ラジカル連鎖移動剤を含有させることにより、得られる
アクリル系ポリマーの分子量を適正な範囲となるように
制御したり、得られるアクリル系ポリマーの粘着力と凝
集力とのバランスをより向上させることが出来る。
【0037】モノマー成分中における上記(e)成分の
含有量が0.001重量%未満であると、得られるアク
リル系ポリマーが高分子量となり過ぎて、高粘度化し、
塗工性が低下することがあるので好ましくなく、逆に
(e)成分の含有量が2重量%を超えると、得られるア
クリル系ポリマーが低分子量となり過ぎて、粘着力と凝
集力との高度なバランスを得られないことがあるので好
ましくない。
【0038】第1発明又は第2発明によるアクリル系粘
着剤組成物を構成するアクリル系オリゴマー(以下、単
に「オリゴマー」と記す)の製造方法は特別なものでは
なく、上述したモノマー成分を用い、常法の溶液重合
法、乳化重合法、分散重合法、塊状重合法、光重合法等
により所望のオリゴマーを得れば良い。
【0039】第1発明に用いられるオリゴマー、又は、
第2発明に用いられるオリゴマー(A)もしくは(B)
は、ポリスチレン換算重量平均分子量が3000〜10
0000であることが必要である。尚、本発明で言うポ
リスチレン換算重量平均分子量とは、GPC法で測定し
たポリスチレン換算の重量平均分子量を意味する。
【0040】オリゴマーのポリスチレン換算重量平均分
子量(以下、単に「重量平均分子量」と記す)が300
0未満であると、得られる粘着剤組成物の架橋密度が高
くなり過ぎて、粘着性が不十分となることがあるので好
ましくない。
【0041】逆にオリゴマーの重量平均分子量が100
000を超えると、得られる粘着剤組成物は、1分子中
におけるエポキシ基のような光カチオン重合性の官能基
の比率が高い場合は架橋密度が高くなり過ぎて粘着性が
不十分となることがあるので好ましくなく、1分子中に
おける光カチオン重合性の官能基の比率が低い場合は官
能基同士の接触確率が低下するため未反応のオリゴマー
が残存し易くなって凝集力が低下することがあるので好
ましくない。
【0042】又、重量平均分子量が100000を超え
るオリゴマーを用いて得られる粘着剤組成物は、塗布可
能な粘度にするために高温溶融しなくてはならなくな
り、エポキシ基のような光カチオン重合性の官能基の熱
反応による著しい粘度上昇やゲル化等が塗布装置内で生
じることがあるので好ましくない。
【0043】上記オリゴマーの種類としては、特に限定
されるものではないが、例えば、分子中にエポキシ基、
オキセタニル基等のような光カチオン重合性の官能基を
有するカチオン重合性オリゴマー、分子中に上記光カチ
オン重合性の官能基を有し且つ水酸基のようなカチオン
重合における連鎖移動反応や停止反応に関与し得る官能
基を有するカチオン重合移動性オリゴマー、分子中に、
光カチオン重合性の官能基は有さないが、水酸基のよう
なカチオン重合における連鎖移動反応や停止反応に関与
し得る官能基を有するカチオン移動性オリゴマー等が挙
げられ、これらの1種もしくは2種以上が好適に用いら
れる。
【0044】第1発明において用いられるオリゴマー
は、上記カチオン重合性オリゴマーに相当する。
【0045】又、第2発明において用いられるオリゴマ
ー(A)は、上記カチオン重合性オリゴマー及び/又は
上記カチオン重合移動性オリゴマーに相当し、第2発明
において用いられるオリゴマー(B)は、上記カチオン
移動性オリゴマーに相当する。
【0046】上記カチオン重合性オリゴマーもしくはカ
チオン重合移動性オリゴマーは、それぞれ単独で用いら
れても良いし、両者が併用されても良い。
【0047】又、上記カチオン移動性オリゴマーは、カ
チオン重合性オリゴマー及び/又はカチオン重合移動性
オリゴマーと併用されても良いが、カチオン移動性オリ
ゴマーが単独で用いられることはない。
【0048】上記カチオン重合性オリゴマー、カチオン
重合移動性オリゴマー又はカチオン移動性オリゴマー
は、同一の組成のものであっても良いし、異なる組成の
ものであっても良い。
【0049】従って、僅か数種類のオリゴマーを準備す
ることにより、異なる架橋密度や異なるガラス転移温度
等を有するアクリル系粘着剤組成物の設計を行うことが
可能となり、各種用途に適合させるためのアクリル系粘
着剤組成物の性能制御を容易に行うことが出来る。
【0050】第1発明によるアクリル系粘着剤組成物
は、前記カチオン重合性オリゴマーであるアクリル系オ
リゴマー100重量部に対し、光カチオン触媒0.05
〜5重量部が含有されてなる。
【0051】又、第2発明によるアクリル系粘着剤組成
物は、前記カチオン重合性オリゴマ及び/又は前記カチ
オン重合移動性オリゴマーであるアクリル系オリゴマー
(A)100重量部に対し、前記カチオン移動性オリゴ
マーであるアクリル系オリゴマー(B)1〜200重量
部及び光カチオン触媒0.05〜5重量部が含有されて
なる。
【0052】第1発明又は第2発明によるアクリル系粘
着剤組成物に含有される光カチオン触媒としては、少な
くとも300〜370nmの波長の光の照射によりエポ
キシ基のような光カチオン重合性の官能基の重合を開始
させ得る化合物であれば良く、特に限定されるものでは
ないが、例えば、光重合開始性化合物等が挙げられ、好
適に用いられる。
【0053】上記光重合開始性化合物としては、特に限
定されるものではないが、例えば、鉄−アレン錯体化合
物、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳
香族スルフォニウム塩、ピリジニウム塩等が挙げられ、
これらの1種もしくは2種以上が好適に用いられる。
【0054】上記光重合開始性化合物の具体例として
は、特に限定されるものではないが、例えば、商品名
「IRGACURE261」(チバガイギー社製)、商
品名「オプトマーSP−150」、「オプトマーSP−
151」、「オプトマーSP−170」、「オプトマー
SP−171」(以上、旭電化工業社製)、商品名「U
VE−1014」(ゼネラルエレクトロニクス社製)、
商品名「CD−1012」(サートマー社製)、商品名
「サンエイドSI−60L」、「サンエイドSI−80
L」、「サンエイドSI−100L」(以上、三新化学
工業社製)、商品名「CI−2064」、「CI−24
81」、「CI−2624」、「CI−2639」(以
上、日本曹達社製)、商品名「RHODORSIL P
hotoinitiator2074」(ローヌ・プー
ラン社製)等の市販品が挙げられ、これらの1種もしく
は2種以上が好適に用いられる。
【0055】第1発明によるアクリル系粘着剤組成物に
おいて、アクリル系オリゴマー100重量部に対する上
記光カチオン触媒の含有量が0.05重量部未満である
と、光照射時のラジカル重合速度が遅くなり過ぎること
があるので好ましくなく、逆にオリゴマー100重量部
に対する光カチオン触媒の含有量が5重量部を超える
と、光吸収により粘着剤層内部の硬化が不十分となるこ
とがあるので好ましくない。
【0056】又、第2発明によるアクリル系粘着剤組成
物において、アクリル系オリゴマー(A)100重量部
に対するアクリル系オリゴマー(B)の含有量が1重量
部未満であると、光ラジカル重合時における連鎖移動反
応や停止反応をより的確に行う効果を十分に得られない
ことがあるので好ましくなく、逆にアクリル系オリゴマ
ー(B)の含有量が200重量部を超えると、光ラジカ
ル重合が十分に進行しないことがあるので好ましくな
い。
【0057】さらに、第2発明によるアクリル系粘着剤
組成物において、アクリル系オリゴマー(A)100重
量部に対する光カチオン触媒の含有量が0.05重量部
未満であると、光照射時のラジカル重合速度が遅くなり
過ぎることがあるので好ましくなく、逆にオリゴマー
(A)100重量部に対する光カチオン触媒の含有量が
5重量部を超えると、光吸収により粘着剤層内部の硬化
が不十分となることがあるので好ましくない。
【0058】第1発明又は第2発明によるアクリル系粘
着剤組成物には、本発明の課題達成を阻害しない範囲で
必要に応じて、粘着付与樹脂、増粘剤、チキソトロープ
剤、増量剤、充填剤、軟化剤、可塑剤、界面活性剤、安
定剤、酸化防止剤、着色剤等の各種添加剤の1種もしく
は2種以上が含有されていても良い。
【0059】粘着付与樹脂としては、エポキシ基のよう
な光カチオン重合性の官能基との反応性が無いものが好
ましく、特に限定されるものではないが、例えば、ロジ
ンや不均化ロジンのようなロジン系樹脂、ロジンエステ
ルや水添ロジンエステルのような変成ロジン系樹脂、テ
ルペン樹脂、変成テルペン樹脂、テルペンフェノール樹
脂、水添テルペンフェノール樹脂、芳香族変成テルペン
樹脂、C5 系石油樹脂、C9 系石油樹脂、脂肪族炭化水
素系樹脂、脂環族炭化水素系樹脂、芳香族炭化水素系樹
脂、クマロンインデン樹脂等が挙げられ、これらの1種
もしくは2種以上が好適に用いられるが、なかでも初期
粘着性向上効果の大きい不均化ロジン、水添テルペンフ
ェノール樹脂、脂環族炭化水素系樹脂等の1種もしくは
2種以上がより好適に用いられる。
【0060】増粘剤としては、特に限定されるものでは
ないが、例えば、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴ
ム、イソプレンゴム、ブチルゴム等のエラストマー類が
挙げられ、これらの1種もしくは2種以上が好適に用い
られる。
【0061】チキソトロープ剤としては、特に限定され
るものではないが、例えば、コロイダルシリカ、ポリビ
ニルピロリドン等が挙げられ、これらの1種もしくは2
種以上が好適に用いられる。
【0062】増量剤としては、特に限定されるものでは
ないが、例えば、炭酸カルシウム、酸化チタン、クレ
ー、タルク等が挙げられ、これらの1種もしくは2種以
上が好適に用いられる。
【0063】充填剤としては、ガラスバルーン、アルミ
ナバルーン、セラミックバルーン等の無機中空体;塩化
ビニリデンバルーン、アクリルバルーン等の有機中空
体;ナイロンビーズ、アクリルビーズ、シリコーンビー
ズ等の有機球状体;ポリエステル、レーヨン、ナイロン
等の単繊維等が挙げられ、これらの1種もしくは2種以
上が好適に用いられる。
【0064】次に、第3発明による粘着テープの製造方
法は、第1発明又は第2発明によるアクリル系粘着剤組
成物を基材の少なくとも片面に塗布し、光照射を行っ
て、上記粘着剤組成物を光カチオン重合させることを特
徴とする。
【0065】上記基材としては、粘着テープや粘着シー
ト類の製造に一般的に用いられるもので良く、特に限定
されるものではないが、例えば、ポリエチレンテレフタ
レート(PET)フィルムや軟質塩化ビニル樹脂シート
等の合成樹脂フィルムもしくはシート、セロハン、布、
不織布、金属箔等が挙げられ、好適に用いられる。
【0066】第3発明によれば、基材上に塗布されたア
クリル系粘着剤組成物は、加熱によることなく、光照射
によりカチオン重合し粘着剤層を形成するので、比較的
耐熱性の低い基材にも好適に適用出来る。
【0067】又、剥離性フィルムのような離型性を有す
る基材を用いて粘着テープを製造し、最終的には基材を
除去して、所謂ノンサポートタイプの粘着テープとして
も良い。
【0068】さらに、上記粘着テープは片面粘着テープ
であっても良いし、両面粘着テープであっても良い。
【0069】第3発明によれば、両面テープを製造する
場合、アクリル系粘着剤組成物を基材の両面に同時に塗
布し、同時に光照射を行って粘着剤層を形成させること
が出来るので、従来の例えば溶剤型粘着剤組成物を用い
る場合のように、先ず剥離性フィルム上に粘着剤層を設
け、次いで、基材上に転着するという煩雑な工程を採る
必要が無く、製造工程が大幅に簡略化されると共に、剥
離性フィルムが不要となるので、コストダウンも可能と
なる。
【0070】基材面に対するアクリル系粘着剤組成物の
塗布厚みは、粘着テープの用途や使用目的等に応じて適
宜設定されれば良く、特に限定されるものではないが、
基材の片面につき10〜1000μmであることが好ま
しい。
【0071】基材面に塗布されたアクリル系粘着剤組成
物は光照射されることによりカチオン重合して粘着剤層
を形成し、粘着テープとされる。
【0072】上記光照射に用いられるランプの種類とし
ては、光波長400nm以下に発光分布を有するものが
好適に用いられ、特に限定されるものではないが、例え
ば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀
灯、マイクロウェーブ励起水銀灯、ケミカルランプ、ブ
ラックライトランプ、メタルハライドランプ等が挙げら
れ、好適に用いられる。
【0073】上記各種ランプ類のなかでも、光カチオン
触媒の活性波長領域の光を効率良く発光し、且つ、得ら
れる重合体の粘弾性的性質を架橋により低下させるよう
な短波長の光やアクリル系粘着剤組成物中の成分を加熱
蒸発させるような長波長の光を多く発光しないケミカル
ランプがより好適に用いられる。
【0074】アクリル系粘着剤組成物に対する光照射強
度は、得られる重合体の重合度を左右する主要因であ
り、目的製品に要求される性能に応じて適宜設定されれ
ば良いが、光カチオン触媒の活性化に有効な光波長領域
(光カチオン触媒の種類によって異なるが、通常340
〜420nmの光波長領域であることが好ましい)にお
ける光照射強度は0.1〜100mW/cm2 であるこ
とが好ましい。
【0075】上記光照射強度が0.1mW/cm2 未満
であると、カチオン重合が十分に進行せず重合時間が長
くなり、逆に光照射強度が100mW/cm2 を超える
と、得られる粘着剤層の凝集力が不十分となる。
【0076】
【作用】第1発明又は第2発明によるアクリル系粘着剤
組成物は、(メタ)アクリル酸エステルを主骨格とし、
光カチオン重合性を有するオリゴマー型の粘着剤組成物
であるので、無溶剤状態で基材面に塗布した後、エネル
ギー消費量の少ない光照射により粘着剤層を形成させ、
高性能の粘着テープを簡便に得るに適する。
【0077】又、無溶剤のオリゴマー型粘着剤組成物で
あるので、溶剤やモノマー等の揮散が殆ど無く、環境へ
の悪影響も殆どない。さらに、オリゴマー型粘着剤組成
物を光カチオン重合により粘着剤化させるので、空気中
の酸素や粘着剤組成物中の溶存酸素による重合阻害を殆
ど受けることがなく、従って、残存モノマー量の少ない
低臭気で高性能の粘着テープを高い生産性で得るに適す
る。
【0078】さらに、第3発明による粘着テープの製造
方法は、上記第1発明又は第2発明によるオリゴマー型
粘着剤組成物を基材の少なくとも片面に塗布し、光照射
を行って、上記粘着剤組成物を光カチオン重合させるこ
とにより行われるので、環境に悪影響を及ぼすことな
く、高性能の粘着テープを高い生産性で得ることが出来
る。
【0079】
【発明の実施の形態】本発明をさらに詳しく説明するた
め以下に実施例をあげるが、本発明はこれら実施例に限
定されるものではない。尚、実施例中の「部」は「重量
部」を意味する。
【0080】(実施例1)
【0081】(1)アクリル系オリゴマーの重合 (a)成分としてアクリル酸2−エチルヘキシルエステ
ル100部、(b)成分としてN−ビニルピロリドン3
0部、(c1 )成分としてグリシジルメタクリレート1
部、(d)成分としてヒドロキシエチルメタクリレート
0.2部、(e)成分としてメルカプトエチルアルコー
ル0.3部及び光ラジカル重合開始剤としてベンゾイル
ジメチルケタール0.1部を均一に攪拌混合した後、窒
素ガスをパージして混合物中の溶存酸素を除去し、モノ
マー成分を得た。次に、剥離性の表面を有するPETフ
ィルムの上に上記で得られたモノマー成分を厚みが1m
mとなるように塗布した後、同じく剥離性の表面を有す
るPETフィルムでカバーした。次いで、カバーしたP
ETフィルムを介し、ケミカルランプを用いて、光照射
強度2mW/cm2 の条件で紫外線照射を行って、モノ
マー成分を光ラジカル重合させアクリル系オリゴマーを
得た。得られたアクリル系オリゴマーのGPC法で測定
したポリスチレン換算の重量平均分子量は100000
であった。
【0082】(2)アクリル系粘着剤組成物の調製 上記で得られたアクリル系オリゴマー100部に対し、
光カチオン触媒として商品名「オプトマーSP−17
0」(旭電化工業社製)0.5部を添加し均一に攪拌混
合して、オリゴマー型のアクリル系粘着剤組成物を得
た。
【0083】(3)粘着テープの作製 PETフィルム(基材)上に上記で得られたオリゴマー
型のアクリル系粘着剤組成物を厚みが50μmとなるよ
うに塗布した後、高圧水銀灯を用いて、光照射強度10
0mW/cm2 、光照射時間20秒の条件で紫外線照射
を行い、アクリル系粘着剤組成物を光カチオン重合させ
て粘着剤層を形成させ、PETフィルムを基材とする片
面粘着テープを得た。
【0084】(4)評価 上記で得られた粘着テープを幅25mm、長さ50mm
のストライプ状に裁断した後、ステンレス板に貼り付
け、2kgのゴムローラーを用いて圧着し、測定用試験
片を作成した。次いで、上記で得られた測定用試験片を
23℃−55%RHの雰囲気下に24時間放置した後、
同雰囲気下で、300mm/分の剥離速度で180度角
剥離試験を行い、その時の最大剥離力を求め、剥離強度
(kgf/25mm)とした。その結果、剥離強度は
1.8kgf/25mmであった。
【0085】(実施例2)2リットルのセパラブルフラ
スコ内に、(a)成分としてアクリル酸n−ブチルエス
テル400部、(b)成分としてN−ビニルピロリドン
100部、(c1)成分としてグリシジルメタクリレー
ト20部、(d)成分としてヒドロキシエチルメタクリ
レート1部、(e)成分としてメルカプトエチルアルコ
ール0.2部、ラジカル重合開始剤としてアゾビスイソ
ブチロニトリル(AIBN)0.3部及び有機溶剤とし
て酢酸エチル500部を仕込み、60℃で7時間、通常
の溶液ラジカル重合を行って、アクリル系オリゴマー溶
液を得た。次に、エバポレーターを用いて、上記で得ら
れたオリゴマー溶液中の酢酸エチルを除去し、アクリル
系オリゴマーを得た。得られたアクリル系オリゴマーの
GPC法で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量
は80000であった。
【0086】次いで、上記で得られたアクリル系オリゴ
マー100部に対し、粘着付与樹脂として商品名「スー
パーエステルA−100」(荒川化学工業社製)20部
及び光カチオン触媒として商品名「オプトマーSP−1
70」(旭電化工業社製)1部を添加し均一に攪拌混合
して、オリゴマー型のアクリル系粘着剤組成物を得た。
【0087】上記で得られたオリゴマー型のアクリル系
粘着剤組成物を用い、実施例1と同様にして、PETフ
ィルムを基材とする片面粘着テープを得た。次いで、上
記で得られた粘着テープを用い、実施例1と同様にし
て、180度角剥離試験を行い剥離強度を求めたとこ
ろ、剥離強度は1.5kgf/25mmであった。
【0088】(実施例3)(e)成分として、メルカプ
トエチルアルコール0.3部の代わりに、ドデシルメル
カプタン0.2部を用いたこと以外は実施例1と同様に
して、アクリル系オリゴマーを得た。得られたアクリル
系オリゴマーのGPC法で測定したポリスチレン換算の
重量平均分子量は90000であった。
【0089】上記で得られたアクリル系オリゴマーを用
い、実施例1と同様にして、アクリル系粘着剤組成物及
びPETフィルムを基材とする片面粘着テープを得た。
次いで、上記で得られた粘着テープを用い、実施例1と
同様にして、180度角剥離試験を行い剥離強度を求め
たところ、剥離強度は0.8kgf/25mmであっ
た。
【0090】(比較例1)モノマー成分中に(e)成分
であるメルカプトエチルアルコールを含有させなかった
こと以外は実施例1と同様にして、アクリル系オリゴマ
ーを得た。得られたアクリル系オリゴマーのGPC法で
測定したポリスチレン換算の重量平均分子量は8000
00以上であった。
【0091】上記で得られたアクリル系オリゴマーを用
い、実施例1と同様にして、アクリル系粘着剤組成物の
調製を試みたが、オリゴマーの粘度が高過ぎたため、光
カチオン触媒「オプトマーSP−170」を添加するこ
とが出来なかった。又、実施例1と同様にして粘着テー
プの作製を試みたが、180℃まで加熱しても溶融せ
ず、PETフィルム(基材)上に塗布することが出来な
かった。
【0092】
【発明の効果】以上述べたように、第1発明又は第2発
明によるアクリル系粘着剤組成物は光カチオン重合性を
有するオリゴマー型の粘着剤組成物であるので、溶剤や
モノマー等を殆ど揮散せず、従って環境への悪影響が殆
どない。
【0093】又、エネルギー消費量の少ない光照射を行
うのみで酸素による重合阻害を受け難いカチオン重合に
より容易に粘着剤層を形成し得るので、粘着テープや粘
着シート等の粘着加工製品を高い生産性で得るに適す
る。
【0094】さらに、僅か数種類のオリゴマーを準備す
ることにより、粘着剤組成物の性能設計を容易に行うこ
とが出来るので、各種用途に適合する高性能の粘着剤組
成物並びに粘着加工製品を自在に得るに適する。
【0095】さらに又、第3発明の製造方法によれば、
上記第1発明又は第2発明によるアクリル系粘着剤組成
物を用いるので、環境に悪影響を及ぼすことなく、各種
用途に好適に用いられる高性能の粘着テープを高い生産
性で得ることが出来る。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記(a)成分60〜100重量%、下
    記(b)成分0.1〜40重量%、下記(c1 )成分
    0.1〜10重量%、下記(d)成分0.1〜10重量
    %及び下記(e)成分0.001〜2重量%を含有する
    モノマー成分を重合して得られる、ポリスチレン換算重
    量平均分子量が3000〜100000のアクリル系オ
    リゴマー100重量部に対し、光カチオン触媒0.05
    〜5重量部が含有されてなることを特徴とするアクリル
    系粘着剤組成物。 (a)成分:炭素数2〜18のアルキル基を有する非3
    級アルコールの(メタ)アクリル酸エステル (b)成分:1分子中に上記(a)成分と共重合可能な
    不飽和二重結合を有し、且つ、光カチオン重合性の官能
    基及び水酸基を有さないビニル化合物 (c1 )成分:1分子中に光カチオン重合性の官能基及
    び上記(a)成分と共重合可能な不飽和二重結合を有す
    るビニル化合物 (d)成分:1分子中に水酸基及び上記(a)成分と共
    重合可能な不飽和二重結合を有するビニル化合物 (e)成分:ラジカル連鎖移動剤
  2. 【請求項2】 下記(a)成分60〜100重量%、下
    記(b)成分0.1〜40重量%、下記(c2 )成分
    0.1〜10重量%、下記(d)成分0.1〜10重量
    %及び下記(e)成分0.001〜2重量%を含有する
    モノマー成分を重合して得られる、ポリスチレン換算重
    量平均分子量が3000〜100000のアクリル系オ
    リゴマー(A)100重量部に対し、下記(a)成分6
    0〜100重量%、下記(b)成分0.1〜40重量
    %、下記(d)成分0.1〜10重量%及び下記(e)
    成分0.001〜2重量%を含有するモノマー成分を重
    合して得られる、ポリスチレン換算重量平均分子量が3
    000〜100000のアクリル系オリゴマー(B)1
    〜200重量部及び光カチオン触媒0.05〜5重量部
    が含有されてなることを特徴とするアクリル系粘着剤組
    成物。 (a)成分:炭素数2〜18のアルキル基を有する非3
    級アルコールの(メタ)アクリル酸エステル (b)成分:1分子中に上記(a)成分と共重合可能な
    不飽和二重結合を有し、且つ、光カチオン重合性の官能
    基及び水酸基を有さないビニル化合物 (c2 )成分:1分子中に光カチオン重合性の官能基及
    び上記(a)成分と共重合可能な不飽和二重結合を有す
    るビニル化合物、又は、1分子中に光カチオン重合性の
    官能基、水酸基及び上記(a)成分と共重合可能な不飽
    和二重結合を有するビニル化合物 (d)成分:1分子中に水酸基及び上記(a)成分と共
    重合可能な不飽和二重結合を有するビニル化合物 (e)成分:ラジカル連鎖移動剤
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2に記載のアクリル
    系粘着剤組成物を基材の少なくとも片面に塗布し、光照
    射を行って、上記粘着剤組成物を光カチオン重合させる
    ことを特徴とする粘着テープの製造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004078467A1 (ja) * 2003-03-03 2004-09-16 Iwata Label Co., Ltd. タックラベル、タックラベルの製造方法及び製造装置
US6794451B2 (en) 2001-02-13 2004-09-21 Toagosei Co., Ltd. Cationically polymerizable liquid composition and tacky polymer
JP2016505668A (ja) * 2012-12-10 2016-02-25 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー 液体光学接着剤組成物
US10637168B2 (en) 2016-12-28 2020-04-28 Fuji Electric Co., Ltd. Semiconductor device and semiconductor device manufacturing method

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