JPH11161274A - 楽音生成装置及び楽音生成方法 - Google Patents

楽音生成装置及び楽音生成方法

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JPH11161274A
JPH11161274A JP9321552A JP32155297A JPH11161274A JP H11161274 A JPH11161274 A JP H11161274A JP 9321552 A JP9321552 A JP 9321552A JP 32155297 A JP32155297 A JP 32155297A JP H11161274 A JPH11161274 A JP H11161274A
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JP
Japan
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impulse response
response signal
pitch
tone
data
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Application number
JP9321552A
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English (en)
Inventor
Takashi Suzuki
隆志 鈴木
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Kawai Musical Instrument Manufacturing Co Ltd
Original Assignee
Kawai Musical Instrument Manufacturing Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】インパルス応答信号そのものの発生速度を音高
に比例しないで変化させ、音高変化より緩やかな移動フ
ォルマント型の楽音を生成する。 【解決手段】音高に応じて図19の周期係数f(繰り返
し周期T)が選択され、この周期係数fと異なる特性の
包絡係数r(発生速度S)(図19)が選択されインパ
ルス応答信号が発生される。この選択された包絡係数r
に対して、音高に応じた第1包絡修正データ△ra(図
30)または音楽的ファクタに応じた第2包絡修正デー
タ△rbが演算合成される。指定音高に応じてインパル
ス応答信号ISj(t)の周期係数f(繰り返し周期
T)のほか包絡係数r(発生速度S)も変化するとフォ
ルマントが変化し(図22)、包絡係数rが変化しない
とフォルマントは変化しない(図21)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、楽音生成装置に関
し、特にインパルス応答信号を使って楽音信号を生成さ
せる装置などに関する。
【0002】
【従来技術】従来、楽音生成装置の分野では、インパル
ス応答波形信号に関する制御を行うような装置はほとん
どなかった。ただ、インパルス応答波形信号そのものを
サンプリング記憶し、これを繰り返して読み出し、この
繰り返し周期を指定音高に応じたものとするものはあっ
た。この場合、指定された音高が高ければ読み出しの繰
り返し周期は短くなり、指定された音高が低ければ読み
出しの繰り返し周期は長くなる。また、このインパルス
応答波形信号そのものの読み出し速度は一定であり、音
高が高くても低くてもインパルス応答波形信号そのもの
の読み出し速度は変化しなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな装置では、単にインパルス応答波形信号を読み出し
て楽音に応用するだけであり、楽音の音色などの内容を
いろいろ変化させることはできなかった。通常楽音の音
色などを変化させるにはフィルタなどを使って楽音の周
波数成分(特性)を変化させる。
【0004】ところが、楽音の周波数特性(スペクトル
エンベロープ、周波数スペクトル成分、フォルマント形
状)は上記インパルス応答波形信号そのものの読み出し
速度(発生速度)を変化させるだけで達成できる。イン
パルス応答波形信号の発生速度を変化させれば、周波数
特性が周波数軸上で伸びたり縮んだりして周波数特性が
変化し、この結果音色も変化する。この場合、インパル
ス応答波形信号そのものの読み出し速度が上記読み出し
の繰り返し周期と連動していては、独自に音色の決定を
行うことはできず、音高に応じた音色の決定となり、音
高に従属した音色となってしまう。
【0005】本発明は上述した課題を解決するためにな
され、本発明の第1の目的は音高に従属しない独立の音
色の決定を行うことにあり、第2の目的はインパルス応
答波形信号を使って斬新な楽音信号を生成することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明では、発生すべき楽音信号の周波数特性に対
応した所定長のインパルス応答信号を繰り返し発生し、
この繰り返し発生されるインパルス応答信号の繰り返し
の周期を、音高決定因子に応じて変化させ、上記音高決
定因子とは異なる音色決定因子に応じて、上記発生され
るインパルス応答信号そのものの発生速度を、上記繰り
返し周期とは独立に変化させた。
【0007】これにより、インパルス応答信号から生成
される楽音信号の音色が音高とは独立に変化され、音色
は音高に従属せず、自由に音色を変化させることができ
る。また、インパルス応答信号の繰り返し発生によって
所望の楽音信号が発生され斬新な楽音を生成できる。
【0008】また本発明では、インパルス応答信号その
ものの発生速度を音高変化に対して異なる変化特性とし
て、フォルマントが音高変化に応じない変化を実現し
た。すなわち、音高決定因子に基づいて、上記インパル
ス応答信号の繰り返し周期を変化させるとともに、上記
インパルス応答信号そのものの発生速度を、当該繰り返
し周期の変化とは異なる特性で変化させた。これによ
り、フォルマントの移動変化を音高の変化に応じて変化
させることができ、しかもこのフォルマント移動変化を
生成楽音の音高の変化とは異なるように変化させること
ができ、音高変化と異なった音色変化を実現できる。
【0009】さらに本発明では、音高の変化に基づい
て、インパルス応答信号の繰り返し周期を変化し、この
音高の変化に基づいて変化する修正データを発生し、上
記インパルス応答信号そのものの発生速度に対して、こ
の修正データによる修正を加えた。これにより、生成さ
れる楽音のフォルマントの移動変化は、音高の変化とは
全く独立ではなく、音高の変化に若干追随することがで
き、しかもこのフォルマント移動変化は生成楽音の音高
の変化とは異なることができ、音高変化と異なった音色
変化が実現される。
【0010】また本発明では、発生された音楽的因子に
応じて、繰り返し発生されるインパルス応答信号の波形
形状を切り換えた。これにより、インパルス応答信号の
波形形状そのものの変化を音高変化に連動させたり、音
色変化に連動させたりすることができる。
【0011】さらに本発明では、インパルス応答信号の
繰り返し周期または読み出し速度が変化すれば、このイ
ンパルス応答信号に基づいて出力される楽音信号のパワ
ー、エネルギーまたは音量も変化する。本発明では、イ
ンパルス応答信号の繰り返し周期または読み出し速度に
基づいて、発生されるインパルス応答信号の大きさが変
化する。これにより、出力される楽音信号のパワー、エ
ネルギーまたは音量が一定にされ、インパルス応答信号
の繰り返し周期または読み出し速度に応じて変化してし
まうことがない。
【0012】また本発明では、発生すべき楽音信号の周
波数特性に対応した所定長のインパルス応答信号を繰り
返し発生し、この繰り返し発生されるインパルス応答信
号のうちいくつかを正負反転させた。これにより上記楽
音信号の周波数特性が変化し、例えば、楽音の周波数特
性のうち特定次倍音だけ消去/減衰させて、残りの倍音
成分だけの楽音または残りの倍音成分が相対的に強い楽
音を生成することができる。
【0013】さらに本発明では、インパルス応答信号そ
のものの発生速度を音高変化に対して一定として、固定
フォルマント型と移動フォルマント型との楽音を選択生
成した。すなわち音高決定因子に基づいて、上記インパ
ルス応答信号の繰り返し周期を変化させるとともに、上
記インパルス応答信号そのものの発生速度を変化させる
か否かを選択した。これにより、周波数特性のフォルマ
ントが周波数軸上で移動しない固定フォルマント型の楽
音とフォルマントが周波数軸上でシフトする移動フォル
マント型の楽音とを1つのインパルス応答信号から生成
することができる。
【0014】また本発明では、音楽的因子に基づいて、
インパルス応答信号の端を発生させない量を変化した。
さらに、繰り返し発生されるインパルス応答信号それぞ
れの端が重なる量を検出し、この検出量に応じて、この
インパルス応答信号の端を発生させない量を決定した。
これにより、各インパルス応答信号の端で信号同志が重
ならないまたは重なる信号数が少なくなり、その分イン
パルス応答信号についての情報の演算量及び処理量が少
なくて済む。
【0015】さらに本発明では、繰り返し周期と発生速
度との決定された複数のインパルス応答信号を合成する
ことにより、合成される前のインパルス応答信号とは異
なる別のインパルス応答信号を生成する。これにより、
少ないインパルス応答信号でより多くのインパルス応答
信号を生成することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】1.本願発明の原理 図12及び図13は本願発明の原理を示す。図12では
インパルス応答信号ISj(t)の繰り返し周期がT1
またはT2のとき、このインパルス応答信号ISj
(t)の出力によって合成かつ生成される楽音の周波数
特性(スペクトルエンベロープ(包絡)、周波数スペク
トル成分、フォルマント形状)(以下同じ)を示す。こ
の繰り返し周期Tは生成される楽音の音高を決定する。
したがって、この繰り返し周期Tは音高情報によって決
定され、周期係数fとして取り込まれる。インパルス応
答信号ISj(t)においてこの周期係数fは音高情報
である。
【0017】このインパルス応答信号ISj(t)の繰
り返し周期Tが短くなり、音高が高くなると、図12
(B1)(B2)に示すように周波数特性はあまり又は
全く変化せず、各周波数成分の密度が低くなり、フォル
マントの幅は変わらない。したがって、繰り返し周期T
が変化すると、音高は変化するが、音色(周波数成分、
フォルマント特性)そのものは変化しない。
【0018】このインパルス応答信号ISj(t)は図
1のインパルス信号発生部50の中のインパルス信号記
憶部51(図2)の中に各音楽的ファクタ毎に記憶され
ている。この記憶されているインパルス応答信号ISj
(t)は、図13(A1)または(A1)の2つのイン
パルス応答信号ISj(t)のうちの片方であり、同図
は繰り返し読み出しの状態を示す。
【0019】図13ではインパルス応答信号ISj
(t)の繰り返し周期が同じで、インパルス応答信号I
Sj(t)の読み出し速度が異なるとき、このインパル
ス応答信号ISj(t)の出力によって合成かつ生成さ
れる楽音の周波数特性(スペクトルエンベロープ(包
絡)、周波数スペクトル成分、フォルマント形状)を示
す。このインパルス応答信号ISj(t)自身の読み出
し速度は生成される楽音の音色(周波数成分、フォルマ
ント特性)を決定する。したがって、この読み出し速度
は音高に関係のない音楽的ファクタ情報、例えば音色情
報によって決定され、包絡係数rとして取り込まれる。
インパルス応答信号ISj(t)においてこの包絡係数
rは音色情報である。
【0020】このインパルス応答信号ISj(t)の読
み出し速度が速くなり、インパルス応答信号ISj
(t)の時間長が短くなると、図13(B1)(B2)
に示すように各周波数成分の密度はあまり又は全く変化
せず、周波数特性(スペクトルエンベロープ、周波数ス
ペクトル成分、フォルマント形状)が変化し、フォルマ
ントの幅が広がる。したがって、信号の読み出し速度が
変化すると、音色(周波数成分、フォルマント特性)は
変化するが、音高そのものは変化しない。
【0021】このインパルス応答信号ISj(t)は、
生成したい楽音信号の所定長さに対して、線形予測法、
ケプストラム法などの演算手法を施して生成され記憶さ
れる。例えば、ケプストラム法では、この所定長さの楽
音信号がフーリエ変換器で高速フーリエ変換され、周波
数パワースペクトルに変化される。
【0022】この変換されたパワースペクトルは、対数
変換器で対数変換され、さらに逆フーリエ変換器で高速
フーリエ逆変換され、時間域(ケフレンジ)のケプスト
ラムに変換される。このケプストラムは乗算器及び窓関
数発生器からの因果性の窓がかけられ複素ケプストラム
に変換される。この複素ケプストラムは再び上記フーリ
エ変換器で高速フーリエ変換され周波数域に戻され、ス
ペクトルエンベロープが求められる。
【0023】このスペクトルエンベロープの例は図12
(B1)(B2)及び図13(B1)(B2)に示され
る。このスペクトルエンベロープは指数変換器で指数変
換され、上記逆フーリエ変換器で高速フーリエ逆変換さ
れ時間域に戻される。これにより、最小位相のインパル
ス応答信号のサンプリングデータが生成され、これが上
記インパルス応答信号ISj(t)としてインパルス信
号記憶部51に記憶される。
【0024】インパルス応答信号ISj(t)の繰り返
し周期が変化すれば、このインパルス応答信号ISj
(t)に基づいて出力される楽音信号のパワー、エネル
ギーまたは音量も変化する。このインパルス応答信号I
Sj(t)の繰り返し周期に基づいて、発生されるイン
パルス応答信号ISj(t)の大きさが変化する。これ
により、出力される楽音信号のパワー、エネルギーまた
は音量が、一定にされ、インパルス応答信号ISj
(t)の繰り返し周期に応じて変化してしまうことがな
い。
【0025】2.全体回路 図1は楽音生成装置の全体回路を示す。演奏情報発生部
10からは演奏情報(楽音発生情報)が発生される。こ
の演奏情報(楽音発生情報)は、楽音を発生させるため
の情報である。この演奏情報発生部10は、マニュアル
操作によって演奏される発音指示装置、自動演奏装置、
種々のスイッチまたはインターフェイスである。
【0026】上記演奏情報(楽音発生情報)は、音楽的
ファクタ(因子)情報であり、音高(音域)情報(音高
決定因子)、発音時間情報、演奏分野情報、発音数情
報、共鳴度情報などである。発音時間情報は楽音の発音
開始からの経過時間を示す。演奏分野情報は、演奏パー
ト情報、楽音パート情報、楽器パート情報等を示し、例
えばメロディ、伴奏、コード、ベース、リズム等、また
は上鍵盤、下鍵盤、足鍵盤等に対応している。
【0027】上記音高情報はキーナンバデータKNとし
て取り込まれる。このキーナンバデータKNはオクター
ブデータ(音域データ)と音名データとからなる。演奏
分野情報は、パートナンバデータPNとして取り込ま
れ、このパートナンバデータPNは各演奏エリアを識別
するデータであって、発音操作された楽音がどの演奏エ
リアからのものかによって設定される。
【0028】発音時間情報は、トーンタイムデータTM
として取り込まれ、キーオンイベントからのタイムカウ
ントデータに基づいたり、またはエンベロープフェーズ
で代用される。この発音時間情報は特願平6−2193
24号明細書及び図面に発音開始からの経過時間情報と
して詳しく示される。
【0029】発音数情報は同時に発音している楽音の数
を示し、例えばアサインメントメモリ42のオン/オフ
データが「1」の楽音の数に基づき、この数は特願平6
−242878号の図9及び図15、特願平6−247
6855号の図8及び図18、特願平6−276857
号の図9及び図20、特願平6−276858号の図9
及び図21のフローチャートに基づいて求められる。
【0030】共鳴度情報は、発音している1つの楽音と
他の楽音との共鳴度を示す。この1つの楽音の音高周波
数と他の楽音の音高周波数とが1:2、2:3、3:
4、4:5、5:6など小さい整数数倍比であれば共鳴
度情報の値は大きく、9:8、15:8、15:16、
45:32、64:45など大きい整数数倍比であれば
共鳴度情報の値は小さくなる。この共鳴度情報は特願平
1−314818号の第7図の共鳴相関テーブル53ま
たは共鳴比率テーブル54から読み出される。
【0031】発音指示装置は、キーボード楽器、弦楽
器、吹奏楽器、打楽器、コンピュータのキーボード等で
ある。自動演奏装置は、記憶された演奏情報を自動的に
再生するものである。インターフェイスは、MIDI
(ミュージカルインスツルメントデジタルインターフェ
イス)等、接続された装置からの演奏情報を受け取った
り、送り出したりする装置である。
【0032】さらに、この演奏情報発生部10には各種
スイッチが設けられ、この各種スイッチは音色タブレッ
ト、エフェクトスイッチ、リズムスイッチ、ペダル、ホ
イール、レバー、ダイヤル、ハンドル、タッチスイッチ
等であって楽器用のものである。この各種スイッチよ
り、楽音制御情報が発生され、この楽音制御情報は発生
された楽音を制御する情報であって音楽的ファクタ(因
子)情報であり、音色情報(音色決定因子)、タッチ情
報(発音指示操作の速さ/強さ)、発音数情報、共鳴度
情報、エフェクト情報、リズム情報、音像(ステレオ)
情報、クオンタイズ情報、変調情報、テンポ情報、音量
情報、エンベロープ情報等である。
【0033】これら音楽的ファクタ情報も上記演奏情報
(楽音情報)に合体され、上記各種スイッチより入力さ
れるほか、上記自動演奏情報に合体されたり、上記イン
ターフェイスで送受される演奏情報に合体される。な
お、上記タッチスイッチは上記発音指示装置の1つ1つ
に対応して設けられており、タッチの速さと強さを示す
イニシャルタッチデータとアフタタッチデータとが発生
される。
【0034】上記音色情報は、鍵盤楽器(ピアノ等)、
管楽器(フルート等)、弦楽器(バイオリン等)、打楽
器(ドラム等)の楽器(発音媒体/発音手段)の種類等
に対応しており、トーンナンバデータとして取り込まれ
る。上記エンベロープ情報は、エンベロープレベル、エ
ンベロープスピード、エンベロープフェーズなどであ
る。
【0035】このような音楽的ファクタ情報は、コント
ローラ20へ送られ、後述の各種信号、データ、パラメ
ータの切り換えが行われ、楽音の内容が決定される。上
記演奏情報(楽音発生情報)及び楽音制御情報はコント
ローラ20で処理され、各種データがインパルス信号発
生部50へ送られ、インパルス応答信号ISj(t)が
発生される。コントローラ20はCPU、ROM及びR
AMなどからなっている。
【0036】プログラム/データ記憶部30(内部記憶
媒体/手段)はROMまたは書き込み可能なRAM、フ
ラッシュメモリまたはEEPROM等の記憶装置からな
り、光ディスクまたは磁気ディスク等の情報記憶部41
(外部記憶媒体/手段)に記憶されるコンピュータのプ
ログラムが書き写され記憶される(インストール/転送
される)。またプログラム/データ記憶部30には外部
の電子楽器またはコンピュータから上記MIDI装置ま
たは送受信装置を介して送信されるプログラムも記憶さ
れる(インストール/転送される)。このプログラムの
記憶媒体は通信媒体も含む。
【0037】このインストール(転送/複写)は、情報
記憶部41が本楽音生成装置にセットされたとき、また
は本楽音生成装置の電源が投入されたとき自動的に実行
され、または操作者による操作によってインストールさ
れる。上記プログラムは、コントローラ20が各種処理
を行うための後述するフローチャートに応じたプログラ
ムである。
【0038】なお、本装置に予め別のオペレーティング
システム、システムプログラム(OS)、その他のプロ
グラムが記憶され、上記プログラムはこれらのOS、そ
の他のプログラムとともに実行されてもよい。このプロ
グラムは本装置(コンピュータ本体)にインストールさ
れ実行されたときに、別のプログラムとともにまたは単
独で請求項(クレーム)に記載された処理・機能を実行
させることができればよい。
【0039】また、このプログラムの一部又は全部が本
装置以外の1つ以上の別装置に記憶されて実行され、本
装置と別装置との間には通信手段を介して、これから処
理するデータ/既に処理されたデータ/プログラムが送
受され、本装置及び別装置全体として、本発明が実行さ
れてもよい。
【0040】このプログラム/データ記憶部30には、
上述した音楽的ファクタ情報、上述した各種データ及び
その他の各種データも記憶される。この各種データには
時分割処理に必要なデータや時分割チャンネルへの割当
のためデータ等も含まれる。
【0041】インパルス信号発生部50では、所定長の
インパルス応答信号ISj(t)が繰り返し発生され音
響出力部60から発音出力される。この繰り返し発生さ
れるインパルス応答信号ISj(t)の繰り返しの周期
は、上記音高情報に応じて変化され、またこの音高情報
とは異なる上記音色情報または音高に関係ない音楽的フ
ァクタ情報に応じて、この発生されるインパルス応答信
号ISj(t)そのものの読み出し速度(発生速度)が
変化され、これら繰り返し周期と読み出し速度とは互い
に独立に変化される。
【0042】このインパルス応答信号ISj(t)は発
生すべき楽音信号のスペクトルエンベロープに対応して
いて所定の有限の長さLを持つ。このインパルス信号発
生部50は時分割処理によって複数の楽音信号が同時に
生成されポリフォニックに発音される。
【0043】タイミング発生部30からは、楽音生成装
置の全回路の同期を取るためのタイミングコントロール
信号が各回路に出力される。このタイミングコントロー
ル信号は、各周期のクロック信号のほか、これらのクロ
ック信号を論理積または論理和した信号、時分割処理の
チャンネル分割時間の周期を持つ信号、チャンネルナン
バデータCHNo、jなどを含む。
【0044】3.アサインメントメモリ42 図2は、プログラム/データ記憶部40のアサインメン
トメモリ42を示す。アサインメントメモリ42には、
複数(16、32または64等)のチャンネルメモリエ
リアが形成されており、上記インパルス信号発生部50
に形成された複数の楽音生成チャンネルに割り当てられ
た楽音に関するデータが記憶される。
【0045】これら各チャンネルメモリエリアには、チ
ャンネルが割当られた楽音の周期係数f(またはキーナ
ンバデータKN)、包絡係数r(トーンナンバデータT
N)、波形先頭アドレスSa、波形末尾アドレスEa及
び周期末尾値Fmaxのほか、オン/オフデータ、タッ
チデータTC、トーンタイムデータTM、パートナンバ
データPN、パワーデータPW、端部切取データΔLa
d、窓幅データWad、窓選択データWS、エンベロー
プフェーズデータEF、エンベロープスピードデータE
S、エンベロープレベルデータEL等が記憶される。
【0046】オン/オフデータは割り当られ発音する楽
音がキーオン中または発音中(“1”)かキーオフ中ま
たは消音中(“0”)かを示す。周期係数f(キーナン
バデータKN)は割り当られ発音する楽音の音高を示
し、上記音高情報に応じて決定される。周期係数fの上
位データは音域またはオクターブを示す。この周波数ナ
ンバデータFNは上記コントローラ20によって対応す
るチャンネルタイミングに上記インパルス信号発生部5
0へ送られる。
【0047】包絡係数r(トーンナンバデータTN)
は、割り当てられ発音する楽音の音色を示し、上記音色
情報に応じて決定される。この包絡係数rは、上記コン
トローラ20によって対応するチャンネルタイミングに
上記インパルス信号発生部50へ送られる。タッチデー
タTCは、発音操作の速さまたは強さを示し、上記タッ
チ情報に応じて決定される。
【0048】パワーデータPWは、インパルス応答信号
ISj(t)の波形のエネルギーのパワーを示し、イン
パルス信号記憶部51に記憶された各インパルス応答信
号ISj(t)の繰り返し周期T、各インパルス応答信
号ISj(t)そのものの読み出し(発生)速度または
波形形状に基づいて決定される。
【0049】例えば、ある音高のあるインパルス応答信
号ISj(t)のパワーデータPWが「1」に基準とし
て設定されれば、1オクターブ上の音高の同じインパル
ス応答信号ISj(t)では「1/2」、2オクターブ
上の音高の同じインパルス応答信号ISj(t)では
「1/4」、・・・、1オクターブ下の音高の同じイン
パルス応答信号ISj(t)では「2」、2オクターブ
下の音高の同じインパルス応答信号ISj(t)では
「4」、・・・となる。
【0050】また、ある読み出し速度のインパルス応答
信号ISj(t)のパワーデータPWが「1」に基準と
して設定されれば、2倍の読み出し速度の同じインパル
ス応答信号ISj(t)では「2」、3倍の読み出し速
度の同じインパルス応答信号ISj(t)では「3」、
・・・、1/2倍の読み出し速度の同じインパルス応答
信号ISj(t)では「1/2」、1/3倍の読み出し
速度の同じインパルス応答信号ISj(t)では「1/
3」、・・・となる。
【0051】さらに、異なるインパルス応答信号ISj
(t)の間でも、パワーデータPWが設定される。イン
パルス応答信号ISj(t)が激しく変化する波形であ
り、波形のエネルギーパワーが大きければ、パワーデー
タPWは小さくされ、インパルス応答信号ISj(t)
がゆっくりと変化する波形であり、エネルギーパワーが
小さければ、パワーデータPWは大きくされる。
【0052】むろん、インパルス信号記憶部51に記憶
されている各インパルス応答信号ISj(t)の大きさ
(振幅)が同じエネルギーパワーとなるように調整され
ていれば、このような異なるインパルス応答信号ISj
(t)の間のパワーデータPWの設定は不要である。
【0053】このパワーデータPWは、異なるインパル
ス応答信号ISj(t)の間では、インパルス応答信号
ISj(t)の波形の積分値、または波形の各極大値及
び各極小値の絶対値の合計をもとに決定される。
【0054】また、このパワーデータPWは、上述した
ように、同じインパルス応答信号ISj(t)の間で
は、繰り返し周期Tつまり音高周波数に反比例して決定
され、さらに設定音色つまり読み出し速度に反比例して
決定される。しかし、楽音の発生(発音)回路のインパ
ルス特性、スピーカの電気エネルギーから音量エネルギ
ーへの変換特性によっては以下の通りとなる。A、B、
C、Dは定数である。Tは上記繰り返し周期である。音
高周波数であれば逆数にされてこの「T」のなかに代入
される。Sは読み出し速度である。
【0055】PW=A×(T/S)(n−INV)
(n=1、2、3、・・・) PW=B×(log−c)(T/S) PW=D×(n−RAD)(T/S) (n=1、2、
3、・・・) (n−INV)は前にある数値を「n乗」することを示
し、この場合(T/S)が「n乗」される。(log−
c)は底が「c」の対数式を示す。(n−RAD)は後
に続く数値の「n乗根」を求めることを示し、この場合
(T/S)の「n乗根」が算出される。
【0056】このようなパワーデータPWは、プログラ
ム/データ記憶部40内のテーブルによって、上記音高
情報(キーナンバデータKN)及び音色情報(トーンナ
ンバデータTN)から変換される。同じく上記周期係数
fも、プログラム/データ記憶部40内のテーブルによ
って、上記音高情報(キーナンバデータKN)から変換
され、上記包絡係数rも、プログラム/データ記憶部4
0内のテーブルによって、上記音色情報(トーンナンバ
データTN)から変換される。
【0057】端部切取データΔLadは、図26(A
2)に示されるように、インパルス応答信号ISj
(t)の両端の切り取られ削除され読み出されない(発
生されない)アドレス量を示す。これにより、各インパ
ルス応答信号ISj(t)が重なる場合、各インパルス
応答信号ISj(t)の端で信号同志が重ならないよう
にされ、または重なる信号数が少なくなり、その分イン
パルス応答信号ISj(t)についての情報の演算量及
び処理量が少なくて済む。
【0058】上記端部切取データΔLadは、以下のよ
うにして検出されかつ求められる。ここで、Tはインパ
ルス応答信号ISj(t)の繰り返し周期を示し、fは
音高を決める周期係数を示し、Fmaxは周期末尾値を
示し、Saは波形先頭アドレスであって読み出しインパ
ルス応答信号ISj(t)の先頭アドレスを示し、Ea
は波形末尾アドレスであって読み出しインパルス応答信
号ISj(t)の末尾アドレスを示し、rは音色を決め
る包絡係数を示し、Ladは読み出されるインパルス応
答信号ISj(t)そのものの長さLのアドレス長を示
し、Ltは読み出されるインパルス応答信号ISj
(t)そのものの長さLの時間長を示し、ΔLtはイン
パルス応答信号ISj(t)の両端の切り取られた時間
長を示し、mはインパルス応答信号ISj(t)を交代
で発生する手段の数を示し、下位読み出しアドレスデー
タR1及びR2の数に対応していて本実施例では図10
に示されるように「2つ」である。
【0059】T=Fmax/f Lad=(Ea−Sa) Lt=Lad/r=(Ea−Sa)/r ΔLt=(m×Lt−T)/2m ΔLad=Lad×ΔLt/Lt=(Ea−Sa)×Δ
Lt/Lt ここではインパルス応答信号ISj(t)それぞれの端
が重なる量と、上記インパルス応答信号ISj(t)の
端の切り取り量とは一致しており、これにより各インパ
ルス応答信号ISj(t)は各端でつながる。
【0060】ΔLadまたはΔLtを求められた値より
大きくすれば、各インパルス応答信号ISj(t)の間
に隙間ができ、インパルス応答信号ISj(t)それぞ
れの端が重なる量よりインパルス応答信号ISj(t)
の端の切り取り量の方が大きくなる。また、ΔLadま
たはΔLtを求められた値より小さくすれば、各インパ
ルス応答信号ISj(t)の間は重なり、インパルス応
答信号ISj(t)それぞれの端が重なる量よりインパ
ルス応答信号ISj(t)の端の切り取り量の方が小さ
く。このような変更も可能である。
【0061】mはインパルス応答信号ISj(t)の発
生手段の数を示し、m=1であれば次のインパルス応答
信号ISj(t)の端との重なりが端部切取データΔL
adとなり、m=2であれば1つおきのインパルス応答
信号ISj(t)の端との重なりが端部切取データΔL
adとなり、m=3であれば2つおきのインパルス応答
信号ISj(t)の端との重なりが端部切取データΔL
adとなり、m=4であれば3つおきのインパルス応答
信号ISj(t)の端との重なりが端部切取データΔL
adとなり、・・・となる。
【0062】この端部切取データΔLadは、このよう
に周期係数fと包絡係数rとインパルス応答信号ISj
(t)のアドレス長Lad=(Ea−Sa)などから検
出されかつ求められる。周期係数fは上記音高情報また
はその他の音楽的ファクタ情報から決定されるので、端
部切取データΔLadは音高などに応じて変化すること
になる。また包絡係数rは上記音色情報またはその他の
音楽的ファクタ情報から決定されるので、端部切取デー
タΔLadは音色などに応じて変化することになる。
【0063】窓幅データWadは、上記両端が切り取ら
れたインパルス応答信号ISj(t)に合成される窓関
数値WFのアドレス量を示す。この窓関数値WFは、窓
関数メモリ71に記憶され、両端が切り取られたインパ
ルス応答信号ISj(t)の残った両端または全体に演
算合成される。
【0064】窓選択データWSによって、窓関数メモリ
71に記憶された複数種類の窓関数値WFが選択され
る。この窓関数の種類は、図26(B1)(B2)(B
3)(B4)に示される。この窓関数値WFは、0倍か
ら1倍まで変化し、または1/2倍から1倍まで変化
し、減少倍から等倍まで変化する重みデータである。
【0065】エンベロープフェーズデータEFはエンベ
ロープのアタック、ディケィ、サスティンまたはリリー
スを示し、エンベロープスピードデータESはエンベロ
ープのデジタル演算1周期当たりの演算のステップ値を
示し、エンベロープレベルデータELは、各フェーズの
末尾でエンベロープ演算値が到達する目標値を示す。
【0066】このアサインメントメモリ42の各チャン
ネルの楽音データによって生成される各インパルス応答
信号ISj(t)はs個ずつ1つの楽音として合成され
て出力されたり、各チャンネル毎に1つの楽音として出
力されたりする。このような1つの楽音として合成され
るs個のインパルス応答信号ISj(t)については、
連続するチャンネルs個ごとに上記楽音データが同じタ
イミングで割り当てられ、発生タイミングが同じとな
り、位相も同じである。
【0067】この合成されるs個のインパルス応答信号
ISj(t)の組み合わせは、上記音楽的ファクタ情
報、例えば音色情報、タッチ情報、音高情報、発音時間
情報、発音数情報、共鳴度情報によって選択決定され
る。そのためのデコーダ又はテーブルがプログラム/デ
ータ記憶部40に設けられる。
【0068】重み付けデータWTは、この1つの楽音と
してs個ずつ合成される各インパルス応答信号ISj
(t)の混合割合を決定し、各チャンネル毎に記憶され
る。この重み付けデータWTは、「0」から「1」の間
の値をとり、個のs個の重み付けデータWTの合計値は
「1」となるが、これ以外の値でもよい。この重み付け
データWTは、上述した音楽的ファクタ情報例えば音高
情報、音色情報、タッチ情報、発音時間情報、発音数情
報、共鳴度情報によって選択決定される。そのためのデ
コーダ又はテーブルがプログラム/データ記憶部40に
設けられる。
【0069】このs個ごとのチャンネルナンバは、合成
数s=2のとき、0〜1、2〜3、4〜5、6〜7、・
・・、合成数s=3のとき、0〜2、3〜5、6〜8、
9〜11、・・・、合成数s=4のとき、0〜3、4〜
7、8〜11、12〜15、・・・、合成数s=5のと
き、0〜4、5〜9、10〜14、15〜19、・・・
となる。この合成数sは、操作者によって入力され、ま
たは本装置の初期設定で自動的に設定され、または上記
音楽的ファクタ(音色情報)によって決定され、プログ
ラム/データ記憶部40のレジスタに記憶される。
【0070】このs個ごとのインパルス応答信号ISj
(t)の波形先頭アドレスSa、上位読み出しアドレス
データまたは包絡係数rはそれぞれ異なっており、互い
に波形形状又は音色が異なっていて、周波数特性(スペ
クトルエンベロープ、周波数スペクトル成分、フォルマ
ント形状)も異なっている。むろん同じでもよい。
【0071】このs個ごとのインパルス応答信号ISj
(t)の周期係数fはそれぞれ同じまたは整数倍比であ
り、このs個のインパルス応答信号ISj(t)の位相
は揃っており、音高が同じまたは整数倍となる。むろん
非整数倍比でもよい。
【0072】このs個ごとのインパルス応答信号ISj
(t)のトーンタイムデータTM、タッチデータTC、
パワーデータPW、パートナンバデータPN、波形末尾
アドレスEa、周期末尾値Fmax、間引きフラグ、間
引き次数n、端部切取データΔLad、窓選択データW
S、エンベロープスピードES、エンベロープレベルE
L、エンベロープフェーズEFは同じであり、このs個
のチャンネルごとに代表されてまとめてストアされても
よい。むろんこれらのs個のデータは互いに異なってい
てもよい。
【0073】このs個の合成されるインパルス応答信号
ISj(t)について、エンベロープスピードES、エ
ンベロープレベルEL、エンベロープフェーズEFが共
用されれば、エンベロープジェネレータ56で形成され
る時分割チャンネルの数はこれに応じて少なくなり、合
成された累算インパルス応答信号AISj(t)に1つ
のエンベロープデータENが乗算合成される。
【0074】このs個の合成されるインパルス応答信号
ISj(t)それぞれについて、エンベロープスピード
ES、エンベロープレベルEL、エンベロープフェーズ
EFが異なり、各インパルス応答信号ISj(t)ごと
にこれらのデータES、EL、EFが個別に記憶されれ
ば、合成される各インパルス応答信号ISj(t)の合
成割合または混合比つまり重み付け割合が、発音時間の
経過に応じて変化することになる。この場合、各エンベ
ロープレベルデータELが合成の重み付けデータWTの
役割を果たしている。
【0075】これら各チャンネルメモリエリアの各デー
タは、発音開始タイミングに書き込まれ、各チャンネル
タイミングごとに書き換えられたり、読み出されたりし
て、上記インパルス信号発生部50へ送られる。このア
サインメントメモリ42は、プログラム/データ記憶部
40の中ではなくインパルス信号発生部50またはコン
トローラ20の中に設けてもよい。
【0076】上記時分割処理によって形成されるチャン
ネル、すなわち複数の楽音を並行して発生するための複
数の楽音発生システムへの各楽音の割り当て方法または
トランケート方法は、例えば特願平1−42298号、
特願平1−305818号、特願平1−312175
号、特願平2−2089178号、特願平2−4095
77号、特願平2−409578号に示された方法が使
われる。
【0077】4.インパルス信号発生部50 図3は上記インパルス信号発生部50を示す。インパル
ス信号記憶部51には、図4に示すように、種々のイン
パルス応答信号ISj(t)が記憶されている。これら
のインパルス応答信号ISj(t)の波形形状は異なっ
ており、楽音信号に合成出力されたときの音色も異なっ
ている。これらのインパルス応答信号ISj(t)は、
上記各音楽的ファクタ情報に対応しており、上記音色、
タッチ、音高(音域)または発音時間、演奏分野、エン
ベロープフェーズ、発音数情報、共鳴度情報などごとに
多重に記憶されている。
【0078】例えば、インパルス応答信号ISj(t)
は各音色ごとに異なって記憶され、このうち1種類の音
色のインパルス応答信号ISj(t)は各タッチごとに
異なって記憶され、このうち1種類のタッチのインパル
ス応答信号ISj(t)は各発音時間ごとに異なって記
憶され、・・・音高ごとに異なって記憶され、・・・演
奏分野ごとに異なって記憶され、・・・エンベロープフ
ェーズ毎に異なって記憶される。
【0079】上記音楽的ファクタ情報はコントローラ2
0でこのような種々のインパルス応答信号ISj(t)
を指定する上位読み出しアドレスデータに変換され、こ
の上記読み出しアドレスデータはインパルス信号選択部
52にストアされてインパルス信号記憶部51に供給さ
れインパルス応答信号ISj(t)が選択される。ま
た、上記音楽的ファクタ情報が各楽音ごとまたは発音中
に変化すれば、この上位読み出しアドレスデータは切り
換えられ、読み出されるインパルス応答信号ISj
(t)も切り換えられる。
【0080】この音楽的ファクタ情報が音高に関連する
ものであれば、インパルス応答信号の波形形状そのもの
の変化を音高変化に連動させたり、合成出力される楽音
信号の音色も音高変化に連動させることができる。ま
た、この音楽的ファクタ情報が音高以外の情報に関連す
るものであれば、インパルス応答信号の波形形状そのも
のの変化を音色、タッチ、発音時間、演奏分野の変化に
連動させたり、合成出力される楽音信号の音色も音色、
タッチ、発音時間、演奏分野の変化に連動させることが
できる。
【0081】このインパルス信号選択部52は上記時分
割チャンネル数に対応したメモリエリアを有し、各チャ
ンネルに割り当てられた楽音の音楽的ファクタに応じた
上位読み出しアドレスデータがそれぞれのメモリエリア
にストアされ、上記タイミング発生部からのチャンネル
ナンバデータjによって読み出されインパルス信号記憶
部51に供給される。
【0082】上記インパルス信号記憶部51の各インパ
ルス応答信号ISj(t)はインパルス信号読み出し部
53からの下位読み出しアドレスデータR1、R2によ
って読み出される。この下位読み出しアドレスデータR
1、R2は上記音高情報以外の上記音楽的ファクタ情報
に応じた速度でインクリメントされる。したがって、イ
ンパルス応答信号ISj(t)の読み出し速度は音高情
報によっては決定されない。また、このインパルス応答
信号ISj(t)は繰り返した読み出され、この繰り返
しの周期は、上記音高情報に応じて変化され、これら繰
り返し周期と読み出し速度とは互いに独立に決定され
る。
【0083】上記インパルス信号記憶部51から読み出
された各インパルス応答信号ISj(t)はインパルス
累算部54で各チャンネルごとに個別に累算かつ合成さ
れ、乗算器55でエンベロープジェネレータ56からの
エンベロープ信号が各チャンネルごとに乗算かつ合成さ
れ、楽音累算部57で全チャンネルの楽音信号について
累算かつ合成され、上記音響出力部60から発音出力さ
れる。
【0084】エンベロープジェネレータ56には上記音
楽的ファクタ情報(エンベロープ情報)つまりエンベロ
ープスピードデータES、エンベロープレベルデータE
L、エンベロープフェーズデータEFがコントローラ2
0によって送られて各チャンネルごとに記憶され、この
音楽的ファクタ情報(エンベロープ情報)に基づいて、
各チャンネルのエンベロープの各フェーズのスピード及
びレベルが設定され、各エンベロープの形状が決定され
る。このエンベロープ信号は各チャンネルごとに時分割
に発生され上記乗算器55へ送られる。
【0085】上記各チャンネルのパワーデータPWは、
コントローラ20によって、波形パワー制御RAM58
の対応するチャンネルエリアにストアされる。この各パ
ワーデータPWは乗算器55に送られ、インパルス累算
部54からの楽音信号(インパルス応答信号ISj
(t))、またはエンベロープジェネレータ56からの
エンベロープデータに乗算される。この波形パワー制御
RAM58は上記時分割チャンネルに応じたメモリエリ
アを有し、各パワーデータPWが時分割に切り換えられ
て読み出される。この切り換えはタイミング発生部30
からのチャンネルカウントデータに基づく。
【0086】これにより、インパルス応答信号ISj
(t)の繰り返し周期Tが音高に応じて変化し、波形の
パワーつまり音量が音高に応じて変化しても、これを調
整して解消することができる。また、インパルス応答信
号ISj(t)の波形形状が異なっているため、波形の
パワーつまり音量が音高に応じて変化しても、これを調
整して解消することができる。
【0087】図5は、このインパルス応答信号ISj
(t)の音高つまり繰り返し周期Tと波形パワーとの関
係を示す。図5(1)のような短い周期でインパルス応
答信号ISj(t)を読み出すと、単位時間当たりの波
形エネルギーは大きくなり、音量も大きくなる。これに
対して、図5(1)のような長い周期でインパルス応答
信号ISj(t)を読み出すと、単位時間当たりの波形
エネルギーは小さくなり、音量も小さくなる。
【0088】同様に、図示しないが、インパルス応答信
号ISj(t)をゆっくりと読み出すと、単位時間当た
りの波形エネルギーは大きくなり、音量も大きくなる。
これに対して、インパルス応答信号ISj(t)を速く
読み出すと、単位時間当たりの波形エネルギーは小さく
なり、音量も小さくなる。
【0089】これに対して、上記パワーデータPWを乗
算することによって、出力されるインパルス応答信号I
Sj(t)(楽音信号)のレベルを制御し、繰り返し周
期Tつまり音高の変化または読み出し速度つまり音色の
変化による余分な音量(パワー)変化を押さえることが
できる。
【0090】なお、このパワーデータPWは、上述のア
サインメントメモリ42に記憶されているエンベロープ
レベルデータELに乗算されて、上記エンベロープジェ
ネレータ56へ送られてもよい。また、上記アサインメ
ント41に記憶されているタッチデータTCがこのパワ
ーデータPWに乗算されて、上記波形パワー制御RAM
58にストアされてもよい。さらに、このパワーデータ
PWは、上記周期係数fの逆数と上記包絡係数rとを演
算したものであってもよい。
【0091】5.インパルス信号読み出し部53 図6は上記インパルス信号発生部50の中のインパルス
信号読み出し部53を示す。上記コントローラ(CP
U)20からの周期係数f、包絡係数r、波形先頭アド
レスSa及び波形末尾アドレスEaは各時分割チャンネ
ルごとにパラメータRAM501にストアされる。場合
によって周期末尾値Fmaxも各時分割チャンネルごと
にパラメータRAM501にストアされる。このパラメ
ータRAM501には時分割チャンネル数に応じたメモ
リエリアが形成され、各チャンネルに割り当てられた楽
音に応じた上記係数f、r、アドレスSa、Eaが対応
するメモリエリアにストアされる。なお、上記アサイン
メント42から各データf、r、Sa、Eaが常時時分
割に送られてくる場合には、パラメータRAM501の
メモリエリアは1つでもよい。
【0092】上記周期係数f及び周期末尾値Fmax
は、上記インパルス応答信号ISj(t)の繰り返し周
期Tの長さを決定し、生成される楽音の音高を決定し、
周期係数fが順次繰り返し累算され、周期末尾値Fma
xに達するごとに、インパルス応答信号ISj(t)が
繰り返し読み出される。この周期係数fの累算値は周期
カウント値Fとなる。この周期係数f及び周期末尾値F
maxは、上記音高情報(キーナンバデータ)によって
決定され、キーナンバデータから変換される。この繰り
返し周期Tの長さが発生される楽音信号の音高を決定す
る。
【0093】この周期係数f及び周期末尾値Fmaxの
いずれかは固定されてもよい。この図3の実施例では周
期末尾値Fmaxは周期カウント値Fが取り得る最大値
(「1111…11」又は「111…1100…0」)
に設定され、この周期末尾値Fmaxはストアされな
い。
【0094】上記包絡係数rは、上記インパルス応答信
号ISj(t)の読み出し(発生)速度を決定し、この
インパルス応答信号ISj(t)の周波数特性(スペク
トルエンベロープ、周波数スペクトル成分、フォルマン
ト形状)を決定し、生成される楽音の音色を決定し、上
記波形先頭アドレスSaから波形末尾アドレスEaまで
包絡係数rが繰り返し累算され、上記インパルス信号記
憶部51に下位読み出しアドレスデータR1、R2とし
て供給される。この下位読み出しアドレスデータR1、
R2が波形末尾アドレスEaまで達すると、上記周期カ
ウント値Fが次に上記周期末尾値Fmax達するまで、
インパルス応答信号ISj(t)の読み出しが待機され
る。
【0095】この包絡係数rは、上記音高に関係ない音
楽的ファクタ情報によって決定され、例えば上記音色情
報(トーンナンバデータ)、タッチ情報(タッチデー
タ)、発音時間情報(トーンタイムデータ)、演奏分野
情報(パートナンバデータ)、発音数情報、共鳴度情報
などから変換される。
【0096】上記パラメータRAM501からの上記包
絡係数rまたは周期計数fはBレジスタを経て、FLX
503を経てまたは経ないで、セレクタ504を介し
て、加算器505でそれまでの下位読み出しアドレスデ
ータR1、R2または周期カウント値Fに累算され、累
算レジスタ506を経て、セレクタ507を介して演算
RAM508にストアされる。この演算RAM508に
は時分割チャンネル数に応じたメモリエリアが形成さ
れ、各チャンネルに割り当てられた楽音に応じた上記デ
ータR1、R2、Fが対応するメモリエリアにストアさ
れる。上記FLX503は浮動小数点によるデータを固
定小数点によるデータに変換する。
【0097】このデータR1、R2、Fは演算RAM5
08からAレジスタ509を経て、セレクタ510を介
して上記加算器505に送られる。また、このデータR
1、R2はR1レジスタ511、R2レジスタ512を
経てセレクタ518で交互に選択されて上記インパルス
信号記憶部51に送られる。上記累算レジスタ506か
らの周期カウント値Fのうち下位の小数データFr又は
データ「0」は、上記セレクタ510を介して上記加算
器505に供給される。上記セレクタ518はクロック
信号φR1によって切り換えられる。このクロック信号
φR1の1周期は図9に示すように1チャンネル分の分
割時間に等しい。
【0098】この下位読み出しアドレスデータR1の初
期値は「0」、下位読み出しアドレスデータR2の初期
値は波形末尾アドレスEa、周期カウント値Fの初期値
は「0」であり、これらの初期値はコントローラ20に
よって上記セレクタ507を介して上記演算RAM50
8にストアされる。
【0099】上記パラメータRAM501からの上記波
形末尾アドレス値Ea(周期末尾値Fmax)はEaレ
ジスタ及びアンドゲート群514を介してコンパレータ
516に供給される。このコンパレータ516には上記
加算器505からの下位読み出しアドレスデータR1、
R2または周期カウント値Fも供給され、下位読み出し
アドレスデータR1、R2が波形末尾アドレス値Eaに
達したとき、または周期カウント値Fが最大値「111
…11」又は最大近似値「111…1100…0」(周
期末尾値Fmax)に達したとき、検出信号がフリップ
フロップ517にセットされ、コントローラ(CPU)
20へ送られる。
【0100】上記加算器505からのキャリーアウト信
号Coutは上記コンパレータ516の上位ビット群と
して供給され、また上記アンドゲート群514のゲート
信号はインバータ515で反転され、上記コンパレータ
516の上位ビット群として供給され、ビット数が整合
される。
【0101】上記波形先頭アドレスSa及び波形末尾ア
ドレスEaも、上記音楽的ファクタ情報によって決定さ
れ、例えば上記音高情報(キーナンバデータ)、音色情
報(トーンナンバデータ)、タッチ情報(タッチデー
タ)、発音時間情報(トーンタイムデータ)、演奏分野
情報(パートナンバデータ)、発音数情報、共鳴度情報
などから変換され、パラメータRAM501の対応チャ
ンネルメモリエリアにストアされる。この波形先頭アド
レスSa及び波形末尾アドレスEaは、上記種々のイン
パルス応答信号ISj(t)の1つを選択する。この場
合、上記インパルス信号選択部52は省略可能である。
【0102】6.処理全体 図7はコントローラ(CPU)20によって実行される
処理全体のフローチャートを示す。この処理全体は本楽
音生成装置の電源オンによって開始され、電源オフまで
繰り返し実行される。
【0103】まず、プログラム/データ記憶部40の初
期化など種々のイニシャライズ処理が行われ(ステップ
01)、上記演奏情報発生部10の発音指示装置または
自動演奏装置での手動演奏または自動演奏に基づく発音
処理が行われる(ステップ02)。
【0104】この発音処理では、サーチされた空きチャ
ンネルにキーオンイベントに係る楽音が割り当てられ
る。この楽音の内容は、上記演奏情報発生部10からの
上記演奏情報(楽音発生情報)、楽音制御情報の音楽的
ファクタ情報及びこのときプログラム/データ記憶部4
0に既に記憶されている音楽的ファクタ情報によって決
定される。
【0105】次いで、上記演奏情報発生部10の発音指
示装置または自動演奏装置での手動演奏または自動演奏
に基づく消音(減衰)処理が行われる(ステップ0
3)。この消音(減衰)処理では、キーオフイベントに
係る楽音が割り当てられているチャンネルがサーチされ
当該楽音が減衰され消音される。この場合、キーオフイ
ベントに係る楽音のエンベロープフェーズがリリースと
なり、エンベロープレベルが次第に「0」になる。
【0106】さらに、上記演奏情報発生部10の各種ス
イッチの操作があれば、このスイッチに対応する音楽的
ファクタ情報が取り込まれ、プログラム/データ記憶部
40に記憶され、音楽的ファクタ情報が変更される(ス
テップ04)。この後、その他の処理が実行され(ステ
ップ05)、上記ステップ02からこのステップ05ま
での処理が繰り返される。
【0107】7.インパルス応答信号ISj(t)発生
処理 図8はコントローラ(CPU)20によって実行される
上記ステップ02の発音処理のフローチャートを示し、
この処理ではインパルス応答信号ISj(t)が発生さ
れる。この図5のフローチャートは全時分割チャンネル
について行われる。
【0108】まず、上記演奏情報発生部10の発音指示
装置または自動演奏装置からコントローラ20に手動演
奏または自動演奏に基づくキーオンイベント(発音イベ
ント)が送られれば(ステップ11)、空きチャンネル
がサーチされ、サーチされた空きチャンネルのアサイン
メントメモリ42のエリアに「1」のオン/オフデー
タ、音高に応じた周期係数f、音色に応じた包絡係数
r、タッチデータTC、パートナンバデータPN、
「0」のトーンタイムデータTM、音高に応じたパワー
データPW、エンベロープスピードES、エンベロープ
レベルEL、「1」のエンベロープフェーズEF、その
他の後述するフラグ及びデータSa、Ea、Fmax、
n、ΔLad、WSが書き込まれる。この周期係数fと
包絡係数rとは次述する。
【0109】さらに、「0」の上記下位読み出しアドレ
スデータR1、波形末尾アドレスEaに設定された下位
読み出しアドレスデータR2、「0」の周期カウント値
Fが上記演算RAM508の対応チャンネルメモリエリ
アにストアされ、重ね合わせチャンネルカウンタ(プロ
グラム/データ記憶部40)の対応チャンネルエリアが
「0」にリセットされる(ステップ12)。
【0110】次に、周期係数f及び周期末尾値Fmax
はキーナンバデータ(音高情報)KNから変換され、パ
ラメータRAM501の対応チャンネルメモリエリアに
ストアされ、包絡係数rは、トーンナンバデータ(音色
情報)TN、タッチデータ(タッチ情報)TC、トーン
タイムデータ(発音時間情報)TMまたはパートナンバ
データ(演奏分野情報)PNから変換され、パラメータ
RAM501の対応チャンネルメモリエリアにストアさ
れ(ステップ13)、その他の処理が実行される(ステ
ップ14)。
【0111】また、波形先頭アドレスSa及び波形末尾
アドレスEaは、キーナンバデータ(音高情報)、トー
ンナンバ(音色情報)、タッチデータ(タッチ情報)、
トーンタイムデータ(発音時間情報)またはパートナン
バデータ(演奏分野情報)から変換され、パラメータR
AM501の対応チャンネルメモリエリアにストアされ
る(ステップ13)。この波形先頭アドレスSa及び波
形末尾アドレスEaは、上記種々のインパルス応答信号
ISj(t)の1つを選択する。この場合、上記インパ
ルス信号選択部52は省略可能である。
【0112】さらに、キーオン開始(発音開始)または
キーオン中(発音中)の楽音があれば(ステップ1
5)、上記周期カウント値Fに周期係数fが加算(累
算)され(ステップ16)、この加算値(累算値)が周
期末尾値Fmax(「1111…11」又は「111…
1100…0」)以上であれば(ステップ17)、周期
カウント値Fから周期末尾値Fmaxが減算され、周期
カウント値Fの端数が補正される(ステップ18)。
【0113】重ね合わせチャンネルを切り換えて(ステ
ップ18、21、22)、切り換えられた当該チャンネ
ルの波形先頭アドレスSaに周期カウント値Fのうち下
位の小数データFrが加算され(ステップ23)、下位
読み出しアドレスデータR1またはR2の初期値が補正
される。
【0114】この重ね合わせチャンネルでは、2つのイ
ンパルス応答信号ISj(t)が時分割に交互に読み出
され、1つの楽音として出力され、上述したように複数
の楽音がさらなる時分割チャンネルを通じてポリフォニ
ックに出力される。この重ね合わせチャンネルの値(c
h=0、1)によって、2つのインパルス応答信号IS
j(t)の読み出しが区別される。
【0115】1つのインパルス応答信号ISj(t)の
読み出しの時間的長さLが、このインパルス応答信号I
Sj(t)の繰り返し周期の時間的長さTより長いと、
先のインパルス応答信号ISj(t)と次のインパルス
応答信号ISj(t)とが重なってしまう。したがっ
て、上記の2つのインパルス応答信号ISj(t)がチ
ャンネル分割によって個別に読み出されれば、この2つ
のインパルス応答信号ISj(t)が並行して読み出さ
れ重ね合わされる。むろん、このチャンネル数は2を越
えてもよい。
【0116】次いで、下位読み出しアドレスデータR1
に包絡係数rが波形末尾アドレスEaになるまで加算さ
れ(ステップ24、25、26)、下位読み出しアドレ
スデータR2に包絡係数rが波形末尾アドレスEaにな
るまで加算される(ステップ27、28、29)。この
2つの下位読み出しアドレスデータR1及びR2によ
り、上述したように2つのインパルス応答信号ISj
(t)がインパルス応答信号ISj(t)信号記憶部5
1から並行して読み出されインパルス累算部54で重ね
合わされる。以上のステップ15からステップ29まで
の処理が全時分割チャンネルにわたって繰り返され(ス
テップ30)、その他の処理が実行される(ステップ3
1)。
【0117】8.インパルス信号読み出し部53のタイ
ムチャート 図9は、上記インパルス信号読み出し部53の各部の動
作のタイムチャートを示す。上述したように、パラメー
タRAM501及び演算RAM508への書き込み/読
み出し、各セレクタ504、507、510の切り換
え、各レジスタ502、5096、509、511、5
12、513へのストア、フリップフロップ517への
スト、アンドゲート群514の開成/閉成が切り換え制
御される。これらの切り換え制御信号は、上述したタイ
ミング発生部からの種々のタイミング制御信号が使われ
る。
【0118】上記周期末尾値FmaxがパラメータRA
M501にストアされるときは、当該周期末尾値Fma
xの書き込み/読み出しも行われる。このタイムチャー
トの波形のうちハイレベル/ローレベルが点線で示され
るものは、書き込みデータがあるとき/ないとき、コン
パレータ516が検出/非検出によって、ハイレベルに
なったりローレベルになったりする。
【0119】9.読み出し状態 図10はインパルス応答信号ISj(t)のインパルス
信号記憶部51からの読み出し状態を示す。発音開始
(キーオン)によって、1番目のインパルス応答信号I
Sj(t)は下位読み出しアドレスデータR1によって
読み出し開始される(ステップ24)。この下位読み出
しアドレスデータR1は包絡係数rの速度でインクリメ
ント開始される。
【0120】同時に、周期カウント値Fが周期係数fの
速度でインクリメント開始される(ステップ15、1
6)。周期カウント値Fが周期末尾値Fmaxに達する
と(ステップ17)、上記1番目のインパルス応答信号
ISj(t)がまだ読み出しの途中であっても、2番目
のインパルス応答信号ISj(t)が下位読み出しアド
レスデータR2によって読み出し開始される(ステップ
27)。この下位読み出しアドレスデータR2も包絡係
数rの速度でインクリメント開始される。
【0121】そして、発音開始から2番目の周期Tが経
過すると(ステップ17)、上記2番目のインパルス応
答信号ISj(t)がまだ読み出しの途中であっても、
3番目のインパルス応答信号ISj(t)が下位読み出
しアドレスデータR1によって読み出し開始される(ス
テップ24)。
【0122】さらに、発音開始から3番目の周期Tが経
過すると(ステップ17)、上記3番目のインパルス応
答信号ISj(t)がまだ読み出しの途中であっても、
4番目のインパルス応答信号ISj(t)が下位読み出
しアドレスデータR2によって読み出し開始される(ス
テップ27)。
【0123】このように、2つの下位読み出しアドレス
データR1及びR2によって、2つの同じインパルス応
答信号ISj(t)が交互に読み出される。したがっ
て、インパルス応答信号ISj(t)そのものの長さL
が繰り返し発生の周期Tより長くても、各周期Tの終わ
りで先のインパルス応答信号ISj(t)の発生を継続
させるとともに、次のインパルス応答信号ISj(t)
を重ねて発生させることができる。これらのインパルス
応答信号ISj(t)は1つの楽音信号として合成かつ
出力される。
【0124】なお、1つの楽音信号として時分割に読み
出されるインパルス応答信号ISj(t)の数は「2」
を越えていてもよい。これに応じて、下位読み出しアド
レスデータの数もR1、R2、R3、R4、・・・と増
加し、ステップ24〜26、27〜29の数も増える。
【0125】また、1つの楽音信号として時分割に読み
出されるインパルス応答信号ISj(t)の数は「1」
でもよい。この場合、インパルス応答信号ISj(t)
そのものの長さLが繰り返し周期Tより短くなる。した
がって、インパルス応答信号ISj(t)そのものの長
さLが繰り返し周期Tより短いか否かが判断される。短
ければ、ステップ27〜29の処理は省略され、インパ
ルス応答信号ISj(t)の時分割読み出しシステムは
1つになる。インパルス応答信号ISj(t)そのもの
の長さLは、波形末尾アドレスEaと波形先頭アドレス
Saとの差を包絡係数rで除算して求められる。同じく
繰り返し周期Tは、周期末尾値Fmaxを周期計数fで
除算して求められる。
【0126】10.トーンタイムデータTMの処理 図11はコントローラ20によって一定周期ごとに実行
されるインタラプト処理のフローチャートを示す。この
処理で上記トーンタイムデータTMのインクリメントが
行われる。
【0127】この処理では、上記アサインメントメモリ
42の各チャンネルエリアにつき(ステップ41、4
4、45)、オン/オフデータが「1」で楽音が発音中
のものについて(ステップ42)、そのトーンタイムデ
ータTMが「+1」され(ステップ43)、その他の周
期的な処理が行われる(ステップ46)。こうして、各
チャンネルの楽音の発音経過時間がカウントされ記憶さ
れ、上述したように利用される。
【0128】11.交互反転回路66 図14はインパルス信号発生部50の第2実施例を示
す。この実施例では、上記インパルス信号記憶部51と
上記インパルス累算部54との間に図14に示すような
交互反転回路66が挿入される。本実施例では上記ステ
ップ12または13で1つの楽音につき2つのチャンネ
ルが割り当てられる。一方の第1チャンネルの周期係数
fは、指定された音高に応じており、他方の第2チャン
ネルの周期係数は指定された音高に応じたものではな
く、指定された音高の周期係数fのn倍(2倍)の周期
係数nf(2f)に設定される。
【0129】この2つのチャンネルの割り当てタイミン
グは同じであり、この2つのチャンネルのインパルス応
答信号ISj(t)の発生タイミングも同じであり、位
相も揃っていて同じである。パワーデータPWは設定値
からさらに(n−1)/n、(1/2)の値とされるか
またはエンベロープレベルデータELが設定値からさら
に(n−1)/n、(1/2)の値とされる。他は上記
実施例と同じである。
【0130】第1チャンネルで読み出される第1インパ
ルス応答信号ISj(t)が図16(A1)のようであ
り、この第1周波数特性(スペクトルエンベロープ、周
波数スペクトル成分、フォルマント形状)が図16(B
1)であれば、第2チャンネルで読み出されるn倍(2
倍)の周波数の第2インパルス応答信号ISj(t)は
図16(A2)のようになり、この第2周波数特性(ス
ペクトルエンベロープ、周波数スペクトル成分、フォル
マント形状)は、図16(B2)のようになる。ここで
は「n=2」である。この図16(B2)のn=2倍の
周波数の第2周波数特性の各周波数成分の間隔は、図1
6(B1)の第1周波数特性の各周波数成分の間隔のn
=2倍となり、ちょうど第2周波数特性(図16(B
2))は第1周波数特性(図16(B1))の偶数次倍
音のみに該当する。
【0131】ここで、第1インパルス応答信号ISj
(t)(A1)の波形から第2インパルス応答信号IS
j(t)(図16A2)の1/n(1/2)を差し引し
て差分合成を行えば、偶数次倍音のみが差し引かれ、合
成インパルス応答信号ISj(t)(図16A3)が生
成され、その合成周波数特性(図16B3)は奇数次倍
音のみとなる。この図16(A3)の波形はインパルス
応答信号ISj(t)がn(2)個のうち(n−1)
(1)個が(1つおきに、交互に)正負反転されて出力
され、指定された音高に応じた楽音となっている。
【0132】また、間引次数n=3、4、5、6、7、
・・・とすることも可能であり、これにより図16(A
4)に示すように、n個のうち(n−1)個が正負反転
されて出力され、反転されていないインパルス応答信号
ISj(t)のレベルが(n−1)/nとされ、反転さ
れたインパルス応答信号ISj(t)のレベルが1/n
とされる。
【0133】この楽音信号の周波数特性はn番目、2n
番目、3n番目、4n番目、5n番目、6n番目、7n
番目、・・・の周波数成分だけが消去/減衰され、特定
の倍音成分だけがない楽音を生成することができる。例
えばn=2であれば、2倍音、4倍音、6倍音、8倍
音、・・・だけを消去/減衰させることができ、この楽
音は閉管楽器の音に適する。さらに例えばn=3であれ
ば、3倍音、6倍音、9倍音、12倍音、・・・だけを
消去/減衰させることができる。また例えばn=7であ
れば、7倍音、14倍音、21倍音、28倍音、・・・
だけを消去/減衰させることができ、この楽音はピアノ
の音に適する。
【0134】上記インパルス信号記憶部51から続けて
読み出された2つのインパルス応答信号ISj(t)
は、一方はセレクタ63、セレクタ59及びオアゲート
群61を介してそのままインパルス累算部54、乗算器
55及び楽音累算部57へ送られ、他方はセレクタ6
3、セレクタ59を介してインバータ群65で正負反転
され乗算器62で1/(n−1)倍、(1/2倍)とさ
れてインパルス累算部54、乗算器55及び楽音累算部
57へ送られ累算(加算)合成(差分合成)される。
【0135】上記セレクタ59は上記チャンネルカウン
トデータCHNoの下位ビットによって切り換えられ、
上記第1チャンネルの第1インパルス応答信号ISj
(t)はそのまま出力され、上記第2チャンネルの第2
インパルス応答信号ISj(t)は正負反転され1/
(n−1)倍、(1/2倍)とされて出力され、図16
(B3)のような楽音信号が発生出力される。この楽音
信号の周波数特性(スペクトルエンベロープ、周波数ス
ペクトル成分、フォルマント形状)はnの整数倍音のみ
が消去/減衰された倍音からなり、間引次数n=2であ
れば奇数次倍音からのみなる。チャンネルカウントデー
タCHNoは上記タイミング発生部30から送られる。
【0136】上記1/(n−1)、(1/2)のデータ
はコントローラ20によって演算され、レジスタ82に
ストアされ上記乗算器62に供給される。この1/(n
−1)の値を決定する間引次数データnはアサインメン
トメモリ42に各チャンネルごとに記憶され、周波数特
性の中の間引く倍音次数が選択切り換えされる。この間
引次数データn上記音色情報(トーンナンバデータT
N)の一部を構成し、演奏情報発生部10からの音色情
報によって決定される。
【0137】上記セレクタ63には、間引フラグがセレ
クト信号として送られ、上記奇数次倍音制御を行わない
通常のインパルス応答信号ISj(t)がこのセレクタ
63を介してオアゲート群61へ送られ、図10に示す
ように累算(加算)合成される。この間引フラグはアサ
インメントメモリ42に各チャンネルごとに記憶され、
特定倍音の消去/減衰されたまたは奇数次倍音の楽音を
生成するか、この消去/減衰のないまたは偶数次倍音も
含む楽音が生成されるかが選択切り換えされる。この間
引フラグは上記音色情報(トーンナンバデータTN)の
一部を構成し、演奏情報発生部10からの音色情報によ
って決定される。
【0138】上記各チャンネルの間引きフラグは、コン
トローラ20によって間引RAM64に書き込まれ上記
セレクタ63に交代で時分割に供給される。この間引R
AM64には上記チャンネルナンバデータCHNoがア
クセスアドレスデータとして供給される。
【0139】このように、このような奇数次倍音の楽音
を生成するのに使われた上記インパルス応答信号ISj
(t)は、図10のように通常に読み出されれば、特定
倍音の消去/減衰のないまたは偶数次倍音も含む楽音が
生成される。したがって1つのインパルス応答信号IS
j(t)から特定倍音の消去/減衰のないまたは偶数次
倍音を含む楽音と特定倍音の消去/減衰されたまたは含
まない楽音とを選択生成できる。
【0140】12.交互反転回路66 図15はインパルス信号発生部50の第3実施例を示
す。この実施例では、上記インパルス信号記憶部51と
上記インパルス累算部54との間に図15に示すような
交互反転回路66が挿入される。本実施例では上記アサ
インメント42の割り当てチャンネルのメモリエリアに
ストアされる周期係数fは、指定された音高に応じたも
のではなく、指定された音高の周期係数fのn倍(2
倍)の周期係数nf(2f)に設定される。パワーデー
タPWは設定値からさらに(n−1)/n、(1/2)
の値とされるかまたはエンベロープレベルデータELが
設定値からさらに(n−1)/n、(1/2)の値とさ
れる。他は上記実施例と同じである。
【0141】周期係数がn倍(2倍)の「nf(2
f)」に設定されるから、単位時間あたりに読み出され
るインパルス応答信号ISj(t)はn倍(2倍)とな
る。図15(A3)に示されるようにこれがn(2)個
のうち(n−1)(1)個が(1つおきに、交互に)正
負反転されて出力され、指定された音高に応じた楽音と
なる。この場合、インパルス応答信号ISj(t)のレ
ベルは(n−1)/n、(1/2)にされなくてはなら
ないので、上述したようにパワーデータPWは設定値か
らさらに(n−1)/n、(1/2)の値とされるかま
たはエンベロープレベルデータELが設定値からさらに
(n−1)/n、(1/2)の値とされる。
【0142】上記インパルス信号記憶部51から上記2
つの下位読み出しアドレスデータR1及びR2により交
互に読み出されたインパルス応答信号ISj(t)は、
一方はセレクタ63、セレクタ59及びオアゲート群6
1を介してそのままインパルス累算部54へ送られ、他
方はセレクタ63、セレクタ59を介してインバータ群
65で正負反転されインパルス累算部54へ送られ累算
(加算)合成される。
【0143】セレクタ59はプログラマブル1/n分周
カウンタ81からの1/n分周データによって切り換え
られ、上記下位読み出しアドレスデータR1、R2によ
って読み出されたインパルス応答信号ISj(t)のう
ちn個のうち1個はそのまま出力され、他の(n−1)
個のインパルス応答信号ISj(t)は正負反転されて
出力され、図16(A3)のような楽音信号が発生出力
される。この楽音信号の周波数特性(スペクトルエンベ
ロープ、周波数スペクトル成分、フォルマント形状)
は、図16(B3)に示すようにnの整数倍音のみが消
去/減衰された倍音からなり、n=2であれば奇数次倍
音からのみなる。上記セレクタ63、間引RAM64及
び間引フラグは上述した第2実施例と同じである。
【0144】上記プログラマブル1/n分周カウンタ8
1にはコントローラ20によって上記間引き次数データ
「n」がセットされ、クロック信号2φR1によってイ
ンクリメントされ、このクロック信号2φR1が1/n
分周される。このクロック信号2φR1がn個入力され
ると上記1/n分周データがハイレベルになり、続いて
クロック信号2φR1が入力されるとローレベルにな
り、この後クロック信号2φR1がn個入力されると上
記1/n分周データが再びハイレベルになる。
【0145】このクロック信号2φR1は上記クロック
信号φR1の2倍の周波数のクロック信号である。この
プログラマブル1/n分周カウンタ81は上記反転され
ないn個のうち1個のインパルス応答信号ISj(t)
と、反転される(n−1)個のインパルス応答信号IS
j(t)の各発生を検出している。上記プログラマブル
1/n分周カウンタ81は、全チャンネルタイム経過ご
とのリセットトリガ信号または1チャンネルタイム経過
ごとのリセットトリガ信号によってリセットされる。
【0146】このように生成されるnの整数倍音のみが
消去/減衰された奇数次倍音の楽音は、図17に示す吹
奏(管)楽器の楽音信号として最適である。この管は一
方が閉じられ他方が開いており、奇数次倍音が偶数次倍
音に比べてかなり共振し易くなっており、周波数特性の
各周波数成分はほとんどが基本波に対して奇数倍(1
倍、3倍、5倍、7倍・・・)である。
【0147】13.奇数次倍音構成のバリエーション 図16はnの整数倍音のみが消去/減衰された奇数次倍
音構成のバリエーションを示す。上記第1インパルス応
答信号ISj(t)(図16A1)のレベルが(n−
1)/n、(1/2)レベルの第2インパルス応答信号
ISj(t)(図16A2)のレベルに対して相対的に
大きくなると、図18(A1)に示すような差分合成波
形となり、周波数特性は図18(B1)に示すようにn
の整数倍音である偶数次倍音が若干含まれる特性とな
る。
【0148】また、上記第1インパルス応答信号ISj
(t)(図16A1)のレベルが1/n(1/2)レベ
ルの第2インパルス応答信号ISj(t)(図16A
2)のレベルに対して相対的に小さくなると、図18
(A2)に示すような差分合成波形となり、周波数特性
は図18(B1)に示すようにnの整数倍音である偶数
次倍音がマイナス値となる特性となる。このような自然
界にはあり得ない周波数成分の一部がマイナスとなる楽
音波形を得ることができる。
【0149】この場合、上記セレクタ59の2つの出力
端に乗算器またはシフタが設けられ、一方に対して他方
のレベルが相対的に大きくされたり小さくされたりす
る。これらの乗算器またはシフタによって、上述したイ
ンパルス応答信号ISj(t)のレベルを(n−1)/
n、(1/2)にしたり、また上記エンベロープレベル
データを(n−1)/n、(1/2)にすることを代わ
りにおこなうことができる。
【0150】14.包絡周期テーブル群43 図19はプログラム/データ記憶部40内の包絡周期テ
ーブル群43を示す。この包絡周期テーブル群43は音
高情報(キーナンバデータKN、周波数ナンバデータF
N)に基づいて対応する上記包絡係数r及び上記周期係
数fが読み出される。この包絡係数rは上述したように
インバータ信号記憶部51のインパルス応答信号ISj
(t)そのものの読み出し速度Sを決定し、周期係数f
は同じくインパルス応答信号ISj(t)の繰り返し周
期Tを決定する。
【0151】周期係数fは音高情報に対して正比例して
いる。この音高情報は各音高の周波数値に応じた値を示
す。この正比例は厳密な正比例でもよいし、「S字調
律」などによって正比例関係から微妙にずれていてもよ
い。
【0152】包絡係数rは音高情報に対して正比例した
りまたは正比例しておらず、周期係数fと同じまたは異
なる変化特性を持つ。特性r1は音高情報に対して変化
せず一定である。特性r2は音高情報に対して正比例し
ている。特性r3も音高情報に対して正比例している
が、周期係数fの変化より緩やかである。特性r4は音
高情報に対して反比例など逆変化特性を持つ。特性r5
は音高情報に対して階段状に変化し急激に変化する部分
と緩やかに変化する部分とを有する。特性r6は音高情
報に対して累乗的に変化する。特性r7は音高情報に対
して指数的に変化する。
【0153】これらの音高情報に対する周期係数fの特
性及び包絡係数rの各特性r1〜7はそれぞれ1つずつ
のテーブルを構成し、各テーブルは上記包絡周期テーブ
ル群43を構成する。なお一定値の特性r1のテーブル
は省略され、この場合音高情報が演算されて包絡係数r
が求められてもよい。
【0154】このようにしてこのテーブルから読み出さ
れた周期係数fは上記ステップ13で上記アサインメン
トメモリ42の対応チャンネルメモリエリアに書き込ま
れる。また、同じく読み出された包絡係数rは、上述の
ようにして音色情報(トーンナンバデータTN)などか
ら求められた別の包絡係数rと平均値が求められまたは
演算合成され、同じく上記ステップ13で上記アサイン
メントメモリ42の対応チャンネルメモリエリアに書き
込まれる。
【0155】15.rf選択テーブル44 図20はプログラム/データ記憶部40内のrf選択テ
ーブル44を示す。このrf選択テーブル44によっ
て、上記音楽的ファクタ情報に応じた上記特性r1〜7
のテーブルの1つが選択される。この音楽的ファクタ情
報は、音高情報、音域(オクターブ)情報、音名情報、
音色情報(音色決定因子)、タッチ情報(発音指示操作
の速さ/強さ)、発音時間情報、発音数情報、共鳴度情
報、エフェクト情報、リズム情報、音像(ステレオ)情
報、クオンタイズ情報、変調情報、テンポ情報、音量情
報、エンベロープ情報等であり、上記演奏情報発生部1
0などから発生され、対応するテーブルが選択される。
【0156】特に、音色情報(トーンナンバデータT
N)は2つのグループに分けられる。音高に関係しない
音の音色情報では、上記一定値の特性r1のテーブルが
選択され、音高変化によってフォルマントが移動しない
固定フォルマントの楽音信号が生成される。この音高に
関係しない音の音色情報は、例えば音声、音声に近い楽
器音、楽器の容器部分の音、音高変化の性質を持たない
打楽器音または音声に近い打楽器音である。この楽器の
容器部分は、例えばピアノ(鍵盤楽器)の響板若しくは
駒など、弦楽器の胴若しくは駒など、管楽器の管自体若
しくはリードなど、打楽器の胴、膜、鉦若しくは棒など
である。
【0157】また、音高に関係する音の音色情報では、
上記特性r1以外の変化する特性のテーブルが選択さ
れ、音高変化によってフォルマントが移動する移動フォ
ルマントの楽音信号が生成される。この音高に関係する
音の音色情報は、例えば、鍵盤楽器の打弦の音、弦楽器
の擦弦の音、吹奏(管)楽器の共鳴長(管長)、管径若
しくは口の形状の音または音高変化の性質を持つ打楽器
音などである。
【0158】17.固定フォルマントと移動フォルマン
ト 図21は固定フォルマントの例を示し、図22は移動フ
ォルマントの例を示す。図21の固定フォルマントで
は、包絡係数rは一定でインパルス応答信号ISj
(t)そのものの読み出し速度Sは変化せず、周期係数
fは音高に応じて変化し、インパルス応答信号ISj
(t)の繰り返し周期Tが変化する。
【0159】そうすると、生成される楽音信号の周波数
特性(スペクトルエンベロープ、周波数スペクトル成
分)のフォルマント形状は変化せず固定フォルマントと
なり、各周波数成分の間隔が変化し音高に応じたものと
なる。このような制御は上述の人の音声、動物の鳴き
声、音声・鳴き声に近い楽器音、楽器の容器部分の音ま
たは音声・鳴き声に近い音高変化のない打楽器音などで
実行される。
【0160】図22の移動フォルマントでは、包絡係数
rも変化してインパルス応答信号ISj(t)そのもの
の読み出し速度Sも変化し、周期係数fは音高に応じて
変化し、インパルス応答信号ISj(t)の繰り返し周
期Tが変化する。
【0161】そうすると、生成される楽音信号の周波数
特性(スペクトルエンベロープ、周波数スペクトル成
分)は周波数軸上をシフトしてそのフォルマント形状も
変化し移動フォルマントとなり、各周波数成分の間隔も
変化し音高にも応じたものとなる。このような制御は上
述の鍵盤楽器、弦楽器、吹奏(管)楽器または音高変化
のある打楽器音などで実行される。
【0162】18.端部切取テーブル群45 図23はプログラム/データ記憶部40内の端部切取テ
ーブル群45を示す。この端部切取テーブル群45は上
記音楽的ファクタ情報、例えば音高情報(キーナンバデ
ータKN、周波数ナンバデータFN、音域情報、音名情
報)、音色情報、タッチ情報、発音数情報、共鳴度情
報、発音時間情報、パワーデータPWなどに基づいて対
応する上記端部切取データΔLadが読み出される。こ
の端部切取データΔLadは上述したようにインパルス
応答信号ISj(t)の両端の切り取り量を示す。
【0163】端部切取データΔLadは音楽的ファクタ
情報に対して正比例したりまたは正比例していない。特
性L1は音楽的ファクタ情報に対して変化せず一定であ
る。特性L2は音楽的ファクタ情報に対して正比例して
いる。特性L3も音楽的ファクタ情報に対して正比例し
ているが、特性L2の変化より緩やかである。特性L4
は音楽的ファクタ情報に対して反比例など逆変化特性を
持つ。特性L5は音楽的ファクタ情報に対して階段状に
変化し急激に変化する部分と緩やかに変化する部分とを
有する。特性L6は音楽的ファクタ情報に対して累乗的
に変化する。特性r7は音楽的ファクタ情報に対して指
数的に変化する。
【0164】階段状の特性L5は、音楽的ファクタ情報
がエンベロープフェーズEFのときに使用される。例え
ば、端部切取データΔLadが低い方から順に第1アタ
ック、第2アタック、ディケイ、サスティーン、リリー
スとなる。
【0165】図24はプログラム/データ記憶部40内
の別の端部切取テーブル46を示す。この端部切取テー
ブル46は上記音色情報に基づいて対応する上記端部切
取データΔLadが読み出される。この端部切取テーブ
ル46では、ピアノ、バイオリン、ドラム、フルート、
その他の楽器、音声1、音声2、・・・の順番で端部切
取データΔLadの値が大きくなっている。
【0166】このように端部切取データΔLadは、変
化の激しい楽器音ほど小さくなり、1つの楽音の中でも
変化の激しいアタック部分ほどまたは発音時間が少ない
ほど小さくなる。なお、複数の音色の楽音が同時に発音
される場合には、耳によく聞こえる重要な音色ほど端部
切取データΔLadは小さくされる。したがって、この
端部切取テーブル46の端部切取データΔLadはこの
ような重要度に基づいて決定されてもよい。
【0167】これらの音楽的ファクタ情報に対する端部
切取データΔLadの特性L1〜7はそれぞれ1つずつ
のテーブルを構成し、各テーブルは上記端部切取テーブ
ル群45を構成する。なお一定値の特性L1のテーブル
は省略され、この場合音楽的ファクタ情報の値が演算さ
れて端部切取データΔLadが求められてもよい。
【0168】これら端部切取テーブル群45及び端部切
取テーブル46の端部切取データΔLadは、上述のア
サインメントメモリ42のところで述べた演算式群によ
って求められ記憶されている。従って、この端部切取デ
ータΔLadを読み出すための上記音楽的ファクタ情報
は上記周期係数f及び包絡係数rまたはアドレス長La
d=(Ea−Sa)で代用できる。
【0169】なお、上記演算式で求めた端部切取データ
ΔLadとこの端部切取テーブル群45または端部切取
テーブル46から読み出された端部切取データΔLad
とが平均値合成されたり演算合成したり一方のみが選択
されてもよい。このようにしてこのテーブルから読み出
された端部切取データΔLadは上記アサインメントメ
モリ42の対応チャンネルメモリエリアに書き込まれ
る。
【0170】19.端部切り取り回路67 図25はインパルス信号発生部50の第4実施例を示
す。この実施例では、上記インパルス信号記憶部51と
上記セレクタ63との間に図25に示すような端部切り
取り回路67が挿入される。
【0171】上記インパルス信号読み出し部53のパラ
メータRAM501には、各チャンネルの上記波形先頭
アドレスデータSa及び波形末尾アドレスデータEaが
書き込まれるが、このとき下記のような修正が実行さ
れ、上記図8の発音処理のフローチャートが実行され
る。
【0172】Sa←Sa+ΔLad Ea←Ea−ΔLad これにより、インパルス信号記憶部51から読み出され
るインパルス応答信号ISj(t)の両端から端部切取
データΔLadの長さが切り取られる。この修正された
波形先頭アドレスデータSaから波形末尾アドレスデー
タEaまで上記下位読み出しアドレスデータR1及びR
2がインクリメントされる。
【0173】この下位読み出しアドレスデータR1また
はR2は時分割にインパルス信号読み出し部53から出
力される。この読み出しアドレスデータR1(R2)
は、加算器68で上記修正値(Sa+ΔLad)が減算
され、セレクタ69を介して窓関数メモリ71に供給さ
れて窓関数値WFが読み出される。この窓関数値WFは
セレクタ76を介して乗算器72に送られてインパルス
応答信号ISj(t)に乗算合成され、各インパルス応
答信号ISj(t)の切り取られた前端が滑らかにな
る。
【0174】上記加算器68で上記読み出しアドレスデ
ータR1(R2)から上記修正値(Sa+ΔLad)が
減算されるので、窓関数メモリ71の先頭アドレスから
読み出しが開始される。上記加算器68からのアドレス
データR1(R2)−(Sa+ΔLad)が上記窓幅デ
ータWadを越えるとコンパレータ77から検出信号が
上記セレクタ76へ送られ、データ”1”が上記乗算器
72へ送られる。
【0175】また上記読み出しアドレスデータR1(R
2)はコンパレータ73にも送られる。このコンパレー
タ73には加算器74から、上記修正値(Ea−ΔLa
d)からさらに窓幅データWadが減算された値が送ら
れる。読み出しアドレスデータR1(R2)が値(Ea
−ΔLad−Wad)を越えると検出信号がコンパレー
タ73から上記セレクタ69へ送られる。
【0176】そうすると上記加算器68からのアドレス
データR1(R2)−(Sa+ΔLad)がインバータ
群70で反転されて上記窓関数メモリ71へ送られる。
これによりインパルス応答信号ISj(t)の読み出し
の末尾から窓幅データWad手前で、上記窓関数値WF
が逆方向に読み出され、各インパルス応答信号ISj
(t)の切り取られた後端が滑らかなる。こうして各イ
ンパルス応答信号ISj(t)の切り取られた前と後の
各端が滑らかにつながる。
【0177】この窓関数メモリ71には複数種類の窓関
数値WFが記憶されており、窓選択データWSによって
いずれかが選択される。この窓関数の種類は、図26
(B1)(B2)(B3)(B4)に示される。この窓
関数値WFは、0倍から1倍まで変化し、または1/2
倍から1倍まで変化し、減少倍から等倍まで変化する重
みデータである。
【0178】端部RAM75の各チャンネルエリアに
は、上記コントローラによって上記アサインメントメモ
リ42の各チャンネルエリアの窓選択データWS、波形
先頭アドレスデータSa、波形末尾アドレスデータE
a、端部切取データΔLad及び窓幅データWadが書
き込まれコピーされる。
【0179】波形先頭アドレスデータSa及び端部切取
データΔLadはインバータ群78、79で正負反転さ
れて上記加算器68へ送られる。端部切取データΔLa
d及び窓幅データWadはインバータ群79、80で正
負反転されて上記加算器74へおくられ、波形末尾アド
レスデータEaはそのまま加算器74へ送られる。窓幅
データWadはそのまま上記コンパレータ77へ送られ
る。窓選択データWSはそのまま窓関数メモリ71へ送
られる。上記端部RAM75には上記タイミング発生器
30からのチャンネルナンバデータCHNoが読み出し
/書き込みアドレスデータとして供給されている。
【0180】20.端部切り取り状態 図26はインパルス応答信号ISj(t)の端部切り取
り状態を示す。インパルス信号記憶部51に記憶された
インパルス応答信号ISj(t)(A1)は両端の読み
出しが端部切取データΔLadだけ実行されない。そう
すると、図26(A2)のようなインパルス応答信号I
Sj(t)が実際に読み出される。
【0181】この読み出されるインパルス応答信号IS
j(t)の両端は不連続となる。図26(B1)(B
2)(B3)(B4)に示す窓関数値WFが選択され、
この両端に演算合成される。これにより、各インパルス
応答信号ISj(t)が各端で滑らかにつながる。
【0182】図26(B1)の窓関数値WFは「0」か
ら「1」まで変化し、図26(B2)の窓関数値WFは
「1/2」から「1」まで変化し、図26(B3)の窓
関数値WFは「0」から「1」まで直線的に変化し、図
26(B4)の窓関数値WFは「0」からいきなり
「1」まで変化する。
【0183】切り取られたインパルス応答信号ISj
(t)の前端が「0」から極大値または極小値に向かっ
て上昇する状態であれば、図26(B1)の窓関数値W
Fが選択される。また、切り取られたインパルス応答信
号ISj(t)の前端が極大値または極小値から「0」
に向かって下降する状態であれば、図26(B2)の窓
関数値WFが選択される。この「上昇」「下降」は後端
では逆になる。
【0184】この「上昇」「下降」の検出は以下のよう
にして実行される。インパルス応答信号ISj(t)の
端のアドレス(Sa+ΔLad)または(Ea−ΔLa
d)のレベル値が隣のアドレス(Sa+ΔLad+1)
または(Ea−ΔLad−1)のレベル値より小さけれ
ば「上昇」であり、大きければ「下降」である。この検
出は上記コントローラ20によって実行され窓選択デー
タWSが決定される。
【0185】これにより、インパルス応答信号ISj
(t)の端が図26(C1)のように「上昇」のとき
は、図26(D1)に示すようにこの端が「0」に補正
され不連続がなくなる。インパルス応答信号ISj
(t)の端が図26(C2)のように「下降」のとき
は、図26(D2)に示すようにこの端の傾きがほぼ
「0」に補正され隣の信号の端と滑らかにつながる。
【0186】この窓関数値WFの中央部の「1」の値の
部分が長い。この「1」の値の部分が短くなると、生成
される楽音信号の周波数特性(スペクトルエンベロー
プ、周波数スペクトル成分、フォルマント形状)が変化
してしまう。したがって、「1」の値の部分は長いほう
がよい。
【0187】図26(B4)の窓関数値WFは重み付け
のない方形窓関数であり、切り取られたインパルス応答
信号ISj(t)の端は重み付け補正されない。したが
って、ノイズが発生する可能性がある。ただし、この端
がレベル「0」または傾斜が「0」の極大値または極小
値であれば、ノイズは発生しない。この場合、図25の
端部切り取り回路67は省略される。これら図26(B
1)(B2)(B3)(B4)に限られない。例えば、
「2」から「1」または「1.5」から「1」へ変化し
たりする「1」の値を越える窓関数、このほか三角窓関
数、台形窓関数、ハミング窓関数、ハニング窓関数など
でもよい。
【0188】図27はインパルス応答信号ISj(t)
のつながり状態を示す。インパルス応答信号ISj
(t)の両端を切り取らないで繰り返して読み出すと、
音高が低く繰り返し周期Tが長いときは、図27(A
2)に示すように各インパルス応答信号ISj(t)の
端は重ならない。しかし、音高が高く繰り返し周期Tが
短いときは、各インパルス応答信号ISj(t)の端が
重なり、この重なり部分の演算量及び処理量が多くな
る。
【0189】同じくインパルス応答信号ISj(t)の
両端を切り取らないで繰り返して読み出すと、音高が低
く繰り返し周期Tが長いときは、図27(B2)に示す
ように各インパルス応答信号ISj(t)の端は重なら
ない。また、インパルス応答信号ISj(t)の両端を
切り取って繰り返して読み出すと、音高が高く繰り返し
周期Tが短いときは、各インパルス応答信号ISj
(t)の端が重なりを防止することができ、この重なり
部分の演算量及び処理量が少なくて済む。
【0190】このようにインパルス応答信号ISj
(t)の長さを短くすると生成される楽音信号の周波数
特性(スペクトルエンベロープ、周波数スペクトル成
分、フォルマント形状)は滑らかになる。これにより、
楽音の音色の変化を滑らかにすることができる。
【0191】21.インパルス合成回路83 図28はインパルス合成回路83を示す。このインパル
ス合成回路83は上記インパルス累算部54と上記乗算
器55との間に設けられる。上記インパルス累算部54
から送られてくる各チャンネルのインパルス応答信号I
Sj(t)は乗算器89で各チャンネルごとに重み付け
データWTが乗算され、加算器84で累算メモリ85か
らの累算インパルス応答信号AISj(t)に累算され
て累算メモリ85に書き込まれ、インパルス応答信号I
Sj(t)が順次累算される。上記累算メモリ85には
上記クロック信号φR1が書き込み信号として供給さ
れ、各チャンネルタイミングごとにインパルス応答信号
ISj(t)が累算される。
【0192】累算されたインパルス応答信号AISj
(t)は出力メモリ86に書き込まれ上記乗算器55へ
送られて上記エンベロープデータEN及び上記パワーデ
ータPWと乗算される。このインパルス応答信号ISj
(t)の累算は、全チャンネルごとに行われるのではな
く、合成されるインパルス応答信号ISj(t)毎に行
われる。
【0193】各チャンネルの重み付けデータWTが重み
付けRAM90にコントローラ20によって書き込まれ
る。この重み付けRAM90には上記チャンネルナンバ
データCHNoがアクセスアドレスデータとして供給さ
れる。この各チャンネルの重み付けデータWTは上記乗
算器89に送られる。
【0194】合成チャンネル数データsがラッチ87に
コントローラ20によって書き込まれる。この合成チャ
ンネル数データsは1つの楽音として合成されるインパ
ルス応答信号ISj(t)の数つまり1つの楽音への割
り当てチャンネル数を示す。この合成チャンネル数デー
タsの値は上記音楽的ファクタ情報によって決定され
る。
【0195】この合成チャンネル数データsはプログラ
マブル1/s分周カウンタ88に送られ、上記クロック
信号φR1が1/s分周され、この1/s分周データは
上記出力メモリ86へ書き込み信号として送られ、また
上記累算メモリ85へ少しディレイされてクリア信号と
して送られ、sチャンネル分ずつインパルス応答信号I
Sj(t)が累算されて出力される。このプログラマブ
ル1/s分周カウンタ88は、全チャンネルタイム経過
ごとのリセットトリガ信号によってリセットされる。
【0196】このような1つの楽音として合成されるs
個のインパルス応答信号ISj(t)については、上記
ステップ12または13でs個のチャンネルに上記楽音
データが同じタイミングで割り当てられる。したがっ
て、このs個のインパルス応答信号ISj(t)は、発
生タイミングが同じであり、位相も同じである。上述の
ように周期係数fも揃っているので各インパルス応答信
号ISj(t)の位相も揃っている。
【0197】上記乗算器89で各インパルス応答信号I
Sj(t)には重み付けデータWTが乗算されるので、
1つの楽音として合成される各インパルス応答信号IS
j(t)は重み付けデータWTによって合成割合(混合
比)が変更される。この重み付けデータWTを変更する
ことで、インパルス応答信号ISj(t)の合成の組み
合わせが同じでも、合成されて生成される楽音信号の周
波数特性は変化する。
【0198】22.複数のインパルス応答信号の合成状
態 図29は複数のインパルス応答信号ISj(t)の合成
状態を示す。図29の(A1)のようなインパルス応答
信号ISj(t)の周波数特性(スペクトルエンベロー
プ、周波数スペクトル成分、フォルマント形状)は(B
1)のように高調波成分が多く、(A2)のようなイン
パルス応答信号ISj(t)の周波数特性(スペクトル
エンベロープ、周波数スペクトル成分、フォルマント形
状)は(B2)のように高調波成分が少ない。
【0199】これら両インパルス応答信号ISj(t)
(A1)と(A2)とが累算(加算)合成されると、合
成された累算インパルス応答信号AISj(t)は(A
3)のようになり、合成形状は両信号の中間の波形とな
り、全く異なる形状のインパルス応答信号ISj(t)
が生成され、その周波数特性(スペクトルエンベロー
プ、周波数スペクトル成分、フォルマント形状)は(B
3)のように高調波成分が平均化された中間状態とな
る。
【0200】このような合成によって、合成する前のイ
ンパルス応答信号ISj(t)の各周波数特性を平均し
た周波数特性を持つ合成インパルス応答信号ISj
(t)が生成される。従来の通常の楽音波形の加算合成
では累積的な合成となる。このインパルス応答信号の加
算合成では中間の平均化の合成となる。
【0201】上記重み付けデータWTによって、この平
均の重み付けつまり平均の状態が変更される。このよう
な合成インパルス応答信号ISj(t)の形状は、合成
する前のインパルス応答信号ISj(t)の形状とは異
なっているし、合成インパルス応答信号ISj(t)の
周波数特性(スペクトルエンベロープ、周波数スペクト
ル成分、フォルマント形状)は、合成する前のインパル
ス応答信号ISj(t)の周波数特性(スペクトルエン
ベロープ、周波数スペクトル成分、フォルマント形状)
とも異なっている。
【0202】このような合成によって、代表的なインパ
ルス応答信号ISj(t)を記憶するだけで、中間の周
波数特性を持つインパルス応答信号ISj(t)を合成
することができる。例えば複数の音名ごと、音域ごと、
音色群ごと(鍵盤系、打弦系、擦弦系、木管系、金管
系、打楽器系、音声系など)、タッチ群ごと、発音時間
群ごと、発音数ごと、共鳴度群ごと、演奏分野ごと(メ
モリ、コード、ベース、伴奏、リズム)、エンベロープ
ごと(持続型、減衰型)に、代表的なインパルス応答信
号ISj(t)が記憶される。この代表的な複数のイン
パルス応答信号ISj(t)を重み付け合成するだけ
で、他の音楽的ファクタにおけるインパルス応答信号I
Sj(t)が得られる。
【0203】例えば、低音域のインパルス応答信号IS
j(t)と高音域のインパルス応答信号ISj(t)と
が重み付け合成されれば、中音域のインパルス応答信号
ISj(t)が得られる。ここで、合成の重み付けが変
えられれば、さらに細かい音域のインパルス応答信号I
Sj(t)が得られる。
【0204】また例えば、金管系のインパルス応答信号
ISj(t)と木管系のインパルス応答信号ISj
(t)とが重み付け合成されれば、中間のインパルス応
答信号ISj(t)が得られる。ここで、合成の重み付
けが変えられれば、さらに細かい管域のインパルス応答
信号ISj(t)が得られる。
【0205】このような合成によって、少ないインパル
ス応答信号ISj(t)を記憶するだけで、任意の周波
数特性を持つインパルス応答信号ISj(t)を合成す
ることができる。例えば特定の周波数領域だけに凸部ま
たは凹部分を持つ周波数特性、複数の凸部又は凹部を有
する周波数特性、複数段差を有する周波数特性などが可
能である。
【0206】また、同じインパルス応答信号ISj
(t)でも周期係数fを変えて合成しても、複数のこぶ
または段差を有する周波数特性を得ることができる。例
えば、図29の(B2)の周波数特性を周期係数fを順
次変えて合成すると、連山のような凹凸を有する周波数
特性が得られる。
【0207】なお、上記重み付けデータWTは、上記発
音時間情報(トーンタイムデータTM)から求められて
もよいし、この情報(TM)から変換されてもよい。こ
の場合、上記ステップ41〜45で得られたトーンタイ
ムデータTMが演算処理され変換され、逐次上記重み付
けRAM90に各チャンネルごとに書き込まれる。
【0208】また、この重み付けデータWTは上記パワ
ーデータPW、エンベロープレベルデータEL、タッチ
データTCなどに演算(乗算など)合成されて上記アサ
インメントメモリ42にストアされてもよい。
【0209】さらに、このインパルス合成回路83は省
略されて、このインパルス合成回路83の機能が上記楽
音累算部57で実行されてもよい。また、上記インパル
ス信号発生部50が上記s個設けられ、各インパルス信
号発生部50からのs個のインパルス応答信号ISj
(t)がs個の乗算器で上記重み付けデータWTがそれ
ぞれ乗算合成され、さらに加算器で加算合成されて出力
されてもよい。
【0210】この場合、s個の重み付けデータWTがR
AMから上記s個の加算器にパラレルに出力され、この
RAMには上記コントローラ20によってアサインメン
トメモリ42の重み付けデータWTがs個ずつコピーさ
れ、このRAMには上記チャンネルナンバデータCHN
oの上位データがアクセスアドレスとして供給される。
【0211】23.第1及び第2包絡修正テーブル群9
1及び92 図30はプログラム/データ記憶部40内の第1包絡修
正テーブル群91を示す。この第1包絡修正テーブル群
91からは、音高情報(キーナンバデータKN、周波数
ナンバデータFN)に基づいて、対応する第1包絡修正
データ△raが読み出される。
【0212】図31はプログラム/データ記憶部40内
の第2包絡修正テーブル群92を示す。この第2包絡修
正テーブル群92からは、上記音高情報以外の上記音楽
的ファクタ情報、音名情報または音域情報に基づいて、
対応する第2包絡修正データ△rbが読み出される。
【0213】周期係数の特性は包絡修正データ△ra、
△rbとの対比のために図30及び図31に示めされ
る。この周期係数fは音楽的ファクタ情報(音高情報)
に対して正比例している。この音高情報は各音高の周波
数値に応じた値を示す。この正比例は厳密な正比例でも
よいし、「S字調律」などによって正比例関係から微妙
にずれていてもよい。
【0214】第1及び第2包絡修正データ△ra及び△
rbは音楽的ファクタ情報(音高情報)に対して正比例
したりまたは正比例しておらず、周期係数fと同じまた
は異なる変化特性を持つ。特性△r1は音楽的ファクタ
情報(音高情報)に対して変化せず一定である。特性△
r2は音楽的ファクタ情報(音高情報)に対して正比例
している。特性△r3も音楽的ファクタ情報(音高情
報)に対して正比例しているが、周期係数fの変化より
緩やかである。特性△r4は音楽的ファクタ情報(音高
情報)に対して反比例など逆変化特性を持つ。特性△r
5は音楽的ファクタ情報(音高情報)に対して階段状に
変化し急激に変化する部分と緩やかに変化する部分とを
有する。特性△r6は音楽的ファクタ情報(音高情報)
に対して累乗的に変化する。特性△r7は音楽的ファク
タ情報(音高情報)に対して指数的に変化する。
【0215】これら第1及び第2包絡修正データ△ra
及び△rbは、音楽的ファクタ(音高)に対する正比例
変化より緩やかな変化特性を有する。これらの音楽的フ
ァクタ情報(音高情報)に対する第1及び第2包絡修正
データ△ra及び△rbの各特性△r1〜7はそれぞれ
1つずつのテーブルを構成し、各テーブルは上記包絡修
正テーブル群91及び92を構成する。これら各特性△
r1〜7のテーブルの選択は図20と同様に上記音楽的
ファクタ情報(音色、演奏分野、エンベロープフェー
ズ、エフェクト、音高、タッチ、発音時間など)によっ
て選択される。なお一定値の特性△r1のテーブルは省
略され、この場合音楽的ファクタ情報(音高情報)が演
算されて第1包絡修正データ△ra及び第2包絡修正デ
ータ△rbが求められてもよい。
【0216】24.第1及び第2包絡修正データ△ra
及び△rbの演算 これら第1及び第2包絡修正データ△ra及び△rb
は、下記のように上記包絡係数rに対して加算または減
算される。この包絡係数rは上述したようにインバータ
信号記憶部51のインパルス応答信号ISj(t)その
ものの読み出し速度Sを決定し、周期係数fは同じくイ
ンパルス応答信号ISj(t)の繰り返し周期Tを決定
する。
【0217】r←r+△ra+△rb この第1及び第2包絡修正データ△ra及び△rbは、
音楽的ファクタ(音高)に対する正比例変化より緩やか
な変化特性を有する。したがって、演算される包絡係数
rが一定または音楽的ファクタ(音高)の変化に対して
緩やかな変化をすれば、演算された包絡係数rも、音楽
的ファクタ(音高)に対する正比例変化より緩やかな変
化特性を有する。
【0218】これら第1及び第2包絡修正データ△ra
及び△rbは、上記包絡係数rに対して乗算または除
算、その他の演算がされて、包絡係数rに演算合成され
てもよい。この乗算の場合、両包絡修正データ△ra及
び△rbは音高変化に応じて「0」から「1」の間の値
をとって、包絡係数r自体が小さくされるとともに音高
変化に応じて増大したり、音高変化に応じて「1」から
「2」の間の値をとって、包絡係数r自体が大きくされ
るとともに音高変化に応じて増大したりする。
【0219】この演算される元の包絡係数rは上述した
ように図20のrf選択テーブル44及び図19の包絡
周期テーブル群43から求められる。この演算は上記ス
テップ13で実行され、当該演算によって求められた包
絡係数rは上記ステップ13でアサインメント42の対
応チャンネルエリアに書き込まれる。
【0220】図32は上記のような演算を行う概念的な
ブロック回路を示す。音高情報に応じて繰り返し周期算
出部93から周期係数fが発生され、アドレス発生手段
95を通じてインパルス応答波形発生部51(54)へ
送られる。また音高情報に応じて増分アドレス算出部9
4から第1包絡修正データ△raが発生され、音高情報
以外の音楽的フォルマント情報に応じて増分アドレス算
出部94から第2包絡修正データ△rbが発生される。
これら第1及び第2包絡修正データ△ra及び△rbは
加算器96で包絡係数rに加算合成され、上記アドレス
発生手段95を通じてインパルス応答波形発生部51
(54)へ送られる。
【0221】上記包絡係数rが一定であれば、生成され
る楽音のフォルマントは音高の変化に対して変化せず一
定である。これに対して上記第1包絡修正データ△ra
が上述のように音高(キーナンバデータKN、周波数ナ
ンバデータFN)に応じて変化すれば、生成される楽音
のフォルマントの移動変化は、音高の変化から全く独立
ではなく、音高の変化に若干追随する。しかもこのフォ
ルマントの移動変化は生成楽音の音高の変化とは異な
り、音高変化と異なった音色変化が実現される。これに
加えて、包絡係数rが図19のように音高に応じて変化
すれば、音高に応じたフォルマントの移動変化がより複
雑になる。
【0222】また、包絡係数rが一定で、上記第2包絡
修正データ△rbが上述のように音楽的ファクタ情報に
応じて変化すれば、生成される楽音のフォルマントの移
動変化は、音高の変化から全く独立となり、音楽的ファ
クタの変化に応じる。しかもこのフォルマントの移動変
化は生成楽音の音高の変化とは異なり、音高変化と異な
った音色変化が実現される。これに加えて、包絡係数r
が図19のように音高に応じて変化すれば、フォルマン
トは音高に応じても変化し、フォルマントの移動変化が
より複雑になる。
【0223】例えば、第2包絡修正データ△rbがタッ
チ情報(タッチデータTC)、発音時間情報(トーンタ
イムデータTM)、エンベロープ情報(エンベロープス
ピードES、エンベロープレベルEL)、発音数情報、
パワーデータPW、音色情報(トーンナンバデータT
N)、演奏分野情報(パートナンバデータPN)に応じ
て変化すれば、生成される楽音のフォルマントの移動変
化は、タッチ、発音時間、エンベロープ、発音数、音量
パワー、音色、演奏分野の変化に応じる。
【0224】これにより、音高変化による包絡係数rの
変化及びフォルマントの移動変化と、音高以外のタッ
チ、発音時間、エンベロープ、発音数、音量パワー、音
色、演奏分野による包絡係数rの変化及びフォルマント
の移動変化とを独立かつ個別に制御することができる。
【0225】さらに、第2包絡修正データ△rbが音名
情報(C、C#、D、D#、E、F、F#、G、G#、
A、A#、B)、音域情報(第1オクターブ、第2オク
ターブ、第3オクターブ、・・・)に応じて変化すれ
ば、生成される楽音のフォルマントの移動変化は、音
名、音域の変化に応じる。
【0226】この場合、第1包絡修正データ△raが音
域情報(第1オクターブ、第2オクターブ、第3オクタ
ーブ、・・・)に応じて変化し、第2包絡修正データ△
rbが音名情報(C、C#、D、D#、E、F、F#、
G、G#、A、A#、B)に応じて変化することも可能
である。また、第1包絡修正データ△raが音名情報
(C、C#、D、D#、E、F、F#、G、G#、A、
A#、B)に応じて変化し、第2包絡修正データ△rb
が音域情報(第1オクターブ、第2オクターブ、第3オ
クターブ、・・・)に応じて変化することも可能であ
る。
【0227】これにより、音域変化による包絡係数rの
変化及びフォルマントの移動変化と、音名変化による包
絡係数rの変化及びフォルマントの移動変化とを独立か
つ個別に制御することができる。
【0228】このように、生成される楽音のフォルマン
トの移動変化は、音高の変化から全く独立ではなく、音
高の変化に若干追随する。このフォルマントの移動は、
音高に対する正比例変化より緩やかな変化特性を有す
る。例えば、音高が2倍、3倍、4倍・・・に変化して
も、あるフォルマントの周波数値は2倍、3倍、4倍・
・・まで変化することはなく、例えば1.2倍、1.3
倍、1.4倍・・・、1.5倍、1.75倍、2倍・・
・に変化する。
【0229】上述の様なフォルマント移動変化の例は、
上記図22の移動フォルマントに示される。詳しくは上
述の図22及び図21が参照される。ここでは詳述され
ない。なお、この演算された包絡係数r、第1及び第2
包絡修正データ△ra及び△rbは、音高に対する正比
例変化より激しい変化特性を有してもよい。これによ
り、フォルマントは音高変化より激しく移動変化をす
る。
【0230】25.音高情報のエフェクト変化(周波数
変調) さらに上記音高情報(キーナンバデータKN、周波数ナ
ンバデータFN)は、周波数変調のエフェクト情報によ
って1つの楽音の時間中で変化する。このエフェクト情
報(周波数変調情報)は、ビブラート、グライド、グリ
ッサンド、ポルタメント、グロウル、トレモロ、トリ
ル、レガート、スラーなどである。これに応じて、上記
周期係数fも1つの楽音の時間中で変化する。
【0231】特願平1−22883号及び特願平2−1
36650号の明細書及び図面に示されるように、この
ようなエフェクト情報(変調データMDATA)は変調
演算回路33から発生され、上記音高情報(キーナンバ
データKN、周波数ナンバデータFN)に演算(加算)
合成される。この演算された音高情報は上記アサインメ
ントメモリ42の各チャンネルエリアに上記周期係数f
として随時書き込まれる。
【0232】またアサインメントメモリ42から順次読
み出される上記周期係数fにこのエフェクト情報(変調
データMDATA)が演算(加算)合成されてもよい。
この場合上記特願平1−22883号及び特願平2−1
36650号の明細書及び図面に示される変調演算回路
33が図1の全体回路の中に設けられ、変調演算された
各周期係数fが図6のパラメータRAM501に随時書
き込まれる。さらに、この変調演算回路33は図6のイ
ンパルス信号読み出し部53の中に設けられ、パラメー
タRAM501の出力側または演算RAM508の出力
側に演算器(加算器)が設けられ、周期係数fまたは周
期カウント値Fにエフェクト情報(変調データMDAT
A)が演算(加算)合成される。
【0233】このようにして周期係数f(音高情報)
は、エフェクト情報(周波数変調情報)によって変化さ
れ、インパルス応答信号ISj(t)の繰り返し周期T
も変化される。ところが、第1包絡修正データ△ra
は、音高に対する正比例変化より緩やかな変化特性また
は一定特性を有する。したがって、包絡係数r(音色情
報)も、上述したように音高に対する正比例変化より緩
やかに変化したり変化しなかったりし、フォルマント移
動も音高変化より緩やかであったり移動しなかったりす
る。
【0234】この結果、ビブラート、グライド、グリッ
サンド、ポルタメント、グロウル、トレモロ、トリル、
レガート、スラーなどの周波数変調のエフェクトによっ
て、インパルス応答信号ISj(t)の楽音の音高は変
化するが、フォルマント移動量は音高の変化量より少な
く、フォルマントは音高変化より緩やかに変化したり、
音高変化があってもフォルマントは移動しなかったりす
る。これはいままでの周波数変調のエフェクトでは実現
できなかったことである。
【0235】なお、図30または図31に示す第1及び
第2包絡修正テーブル群91及び92の特性をそのまま
図19に示す包絡周期テーブル43で実現して、音高に
対する正比例変化より緩やかな変化特性を有する包絡係
数rを直接読み出すことも可能である。
【0236】本発明は上記実施例に限定されず、本発明
の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例え
ば、周期末尾値Fmaxの設定は省略されて、周期カウ
ント値Fが取りうる最大値に固定され得る。この場合周
期係数fだけによって、楽音信号の音高が決定される。
【0237】上記1つのインパルス応答信号ISj
(t)の前半と後半は同じ形状であったが、互いに異な
る形状でもよい。また、インパルス応答信号ISj
(t)の前半のみが記憶され、この前半が折り返し逆に
読み出されて、後半の信号が生成されてもよい。上記イ
ンパルス応答信号ISj(t)は、外部からの音をサン
プリング記憶して、上記ケプストラム法、線形予測法等
によって変換したものでもよいし、使用者が人工的に作
成したものでもよい。
【0238】また、本発明は電子楽器またはコンピュー
タなどにおいて実施され得る。上記各図の回路の機能は
ソフトウエア(フローチャート)によって実施されても
良いし、上記各図のフローチャートの機能はハードウエ
ア(回路)によって実施されてもよい。
【0239】上記インパルス応答信号ISj(t)は前
半の波形と後半の波形が対称であることが多い。この場
合、インパルス信号記憶部51には、この前半の半波形
または後半の半波形のみ記憶され、この半波形が読み出
された後、同半波形が逆に読み出されて、インパルス応
答信号ISj(t)全体が生成されてもよい。これによ
りインパルス信号記憶部51の記憶量が減少する。
【0240】さらに、インパルス応答信号ISj(t)
は、外部から送られてきたり、演算によって求めて発生
させてもよい。この場合、インパルス応答信号ISj
(t)を表す演算式に基づいて、包絡係数rの累算値か
ら波形の各瞬時値が計算され出力される。また、この計
算は上記繰り返し周期T経過ごとに繰り返し実行され
る。
【0241】上記パワーデータPWによる音量パワーの
制御は、インパルス応答信号ISj(t)の読み出し
(発生)速度Sと繰り返し周期Tとが独立に制御される
場合だけでなく、一方が他方に連動または従属する場合
も実行される。この場合、周期係数fと包絡係数rとは
同じ音楽的ファクタ、例えば音高、音色、タッチ、発音
時間に応じて決定されたり、一方のデータが求められ、
この一方のデータにある演算が行われて他方が求められ
たりする。
【0242】上記インパルス応答信号ISj(t)の両
端の読み出しをカットせず、インパルス応答信号ISj
(t)全体を読み出してもよい。この場合、窓関数値W
Fの端に「0」の値の部分が所定アドレス分記憶され読
み出される。これによっても各インパルス応答信号IS
j(t)の各端の重なりを防止することができる。
【0243】(1) 発生すべき楽音信号の周波数特性
に対応した所定長のインパルス応答信号を繰り返し発生
させ、 この繰り返し発生されるインパルス応答信号の
繰り返しの周期を、音高決定因子に応じて変化させ、
上記音高決定因子とは異なる音色決定因子に応じて、上
記発生されるインパルス応答信号そのものの発生速度
を、上記繰り返し周期とは独立に変化させることを少な
くともコンピュータに実行させる楽音生成のためのコン
ピュータプログラムを記憶した媒体/コンピュータプロ
グラムの通信方法/楽音生成装置(方法)。
【0244】(2) 発生すべき楽音信号の周波数特性
に対応した所定長のインパルス応答信号を発生し、 こ
の発生されるインパルス応答信号を所定の周期で繰り返
し発生させるように制御し、 上記インパルス応答信号
そのものの長さが上記繰り返し発生の周期より長くて
も、当該周期の終わりで当該インパルス応答信号の発生
を継続させるとともに、次のインパルス応答信号を重ね
て発生させることをコンピュータに実行させる楽音生成
のためのコンピュータプログラムを記憶した媒体/コン
ピュータプログラムの通信方法/楽音生成装置(方
法)。
【0245】(3) 音高決定因子は上記楽音信号の音
高を決定する因子であり、 音色決定因子は上記楽音信
号の音色を決定する因子であり、 上記インパルス応答
信号は記憶手段に記憶され、上記音色決定因子に応じて
このインパルス応答信号の読み出し速度が決定され、上
記音高決定因子に応じてこのインパルス応答信号の繰り
返し読み出しの繰り返し周期が決定される請求項1また
は2記載の楽音生成のためのコンピュータプログラムを
記憶した媒体/コンピュータプログラムの通信方法/楽
音生成装置(方法)。
【0246】(4) 発生すべき楽音信号の周波数特性
に対応した所定長のインパルス応答信号を繰り返し発生
し、 この繰り返し発生されるインパルス応答信号の繰
り返しの周期を、音高決定因子に応じて変化させ、 上
記音高決定因子とは異なる音色決定因子に応じて、上記
発生されるインパルス応答信号そのものの発生速度を、
上記繰り返し周期とは独立に変化させ、 発生された音
楽的因子に応じて、上記繰り返し発生されるインパルス
応答信号の波形形状を切り換えることをコンピュータに
実行させる楽音生成のためのコンピュータプログラムを
記憶した媒体/コンピュータプログラムの通信方法/楽
音生成装置(方法)。
【0247】(5) 発生すべき楽音信号の周波数特性
に対応した所定長のインパルス応答信号を発生し、 こ
の発生されるインパルス応答信号を所定の周期で繰り返
し発生させるように制御し、 上記インパルス応答信号
そのものの長さが上記繰り返し発生の周期より長くて
も、当該周期の終わりで当該インパルス応答信号の発生
を継続させるとともに、複数の発生手段(読み出し手
段)によって、次のインパルス応答信号を重ねて発生さ
せ、 発生された音楽的因子に応じて、上記繰り返し発
生されるインパルス応答信号の波形形状を切り換えるこ
とをコンピュータに実行させる楽音生成のためのコンピ
ュータプログラムを記憶した媒体/コンピュータプログ
ラムの通信方法/楽音生成装置(方法)。
【0248】(6) 音高決定因子は上記楽音信号の音
高を決定する因子であり、 音色決定因子は上記楽音信
号の音色を決定する因子であり、 上記インパルス応答
信号は記憶手段に記憶され、上記音色決定因子に応じて
このインパルス応答信号の読み出し速度が決定され、上
記音高決定因子に応じてこのインパルス応答信号の繰り
返し読み出しの繰り返し周期が決定され、 上記音楽的
因子は上記楽音信号の音高を決定する因子、または上記
音高決定因子とは異なる音色決定因子である請求項4ま
たは5記載の楽音生成のためのコンピュータプログラム
を記憶した媒体/コンピュータプログラムの通信方法/
楽音生成装置(方法)。
【0249】(7) 発生すべき楽音信号の周波数特性
に対応した所定長のインパルス応答信号を繰り返し発生
し、 この繰り返し発生されるインパルス応答信号の繰
り返しの周期を変化させ、この発生されるインパルス応
答信号そのものの発生速度を変化させ、 上記変化され
るインパルス応答信号の繰り返し周期に基づいて、また
は上記変化されるインパルス応答信号そのものの発生速
度に基づいて、発生されるインパルス応答信号の大きさ
を変化させることをコンピュータに実行させる楽音生成
のためのコンピュータプログラムを記憶した媒体/コン
ピュータプログラムの通信方法/楽音生成装置(方
法)。
【0250】(8) 上記インパルス応答信号の大きさ
は、当該インパルス応答信号の波形のパワーまたは発音
操作の速さまたは強さに応じても変化され、 上記イン
パルス応答信号の繰り返しの周期は、音高決定因子に応
じて変化され、 上記インパルス応答信号そのものの発
生速度は、音色決定因子に応じて変化され、しかも上記
繰り返し周期とは独立に変化され、 この音高決定因子
は上記楽音信号の音高を決定する因子であり、 この音
色決定因子は上記楽音信号の音色を決定する因子であ
り、 上記インパルス応答信号は記憶手段に記憶され、
上記音色決定因子に応じてこのインパルス応答信号の読
み出し速度が決定され、上記音高決定因子に応じてこの
インパルス応答信号の繰り返し読み出しの繰り返し周期
が決定される請求項7記載の楽音生成のためのコンピュ
ータプログラムを記憶した媒体/コンピュータプログラ
ムの通信方法/楽音生成装置(方法)。
【0251】(9) 発生すべき楽音信号の周波数特性
に対応した所定長のインパルス応答信号を繰り返し発生
し、 この繰り返し発生されるインパルス応答信号のう
ちいくつかを正負反転させ、これにより上記楽音信号の
周波数特性を変化させることをコンピュータに実行させ
る楽音生成のためのコンピュータプログラムを記憶した
媒体/コンピュータプログラムの通信方法/楽音生成装
置(方法)。
【0252】(10) 上記インパルス応答信号は同じ
波形でn個繰り返し発生され、一方の繰り返し周期は他
方の繰り返し周期の1/n倍であり、一方のレベルは他
方のレベルより低くまたは一方のレベルは他方のレベル
の1/nであり、これら両インパルス応答信号が差分合
成されて出力され、これによりn個のインパルス応答信
号のうち(n−1)個のインパルス応答信号が正負反転
されて発生され、 または上記インパルス応答信号その
ものの長さが上記繰り返し発生の周期より長くても、当
該周期の終わりで当該インパルス応答信号の発生を継続
させるとともに、複数の発生手段によって、次のインパ
ルス応答信号を重ねて発生させ、この各インパルス応答
信号の発生を検出し、この検出結果に基づいて繰り返し
発生されるインパルス応答信号をn個のうち(n−1)
個を正負反転させ、反転されていないインパルス応答信
号のレベルを(n−1)/nとし、反転されたインパル
ス応答信号のレベルを1/nとし、 上記インパルス応
答信号は記憶手段に記憶され、音色決定因子に応じてこ
のインパルス応答信号の読み出し速度が決定され、音高
決定因子に応じてこのインパルス応答信号の繰り返し読
み出しの繰り返し周期が決定される請求項6記載の楽音
生成のためのコンピュータプログラムを記憶した媒体/
コンピュータプログラムの通信方法/楽音生成装置(方
法)。
【0253】(11) 発生すべき楽音信号の周波数特
性に対応した所定長のインパルス応答信号を繰り返し発
生し、 この繰り返し発生されるインパルス応答信号の
繰り返しの周期を決定し、 この発生されるインパルス
応答信号そのものの発生速度を決定し、 音高決定因子
に基づいて、上記インパルス応答信号の繰り返し周期を
変化させるとともに、上記インパルス応答信号そのもの
の発生速度を変化させるか否かを選択するコンピュータ
に実行させる楽音生成のためのコンピュータプログラム
を記憶した媒体/コンピュータプログラムの通信方法/
楽音生成装置(方法)。
【0254】(12) 上記インパルス応答信号そのも
のの発生速度を変化させるか否かの選択は、固定フォル
マントの楽音信号を選択するときは選択されず、移動フ
ォルマントの楽音信号を選択するときは選択され、 上
記発生されるインパルス応答信号そのものの発生速度
は、音色決定因子に応じて変化され、 上記発生される
インパルス応答信号の繰り返し周期は、音高決定因子に
応じて変化され、 上記インパルス応答信号は記憶手段
に記憶され、音色決定因子に応じてこのインパルス応答
信号の読み出し速度が決定され、音高決定因子に応じて
このインパルス応答信号の繰り返し読み出しの繰り返し
周期が決定され、 上記音高決定因子は上記楽音信号の
音高を決定する因子であり、 上記音色決定因子は上記
楽音信号の音色を決定する因子である請求項11記載の
楽音生成のためのコンピュータプログラムを記憶した媒
体/コンピュータプログラムの通信方法/楽音生成装置
(方法)。
【0255】(13) 発生すべき楽音信号の周波数特
性に対応した所定長のインパルス応答信号を繰り返し発
生し、 この繰り返し発生されるインパルス応答信号の
繰り返しの周期を決定し、 この発生されるインパルス
応答信号そのものの発生速度を決定し、 上記インパル
ス応答信号の端を発生させないようにし、 音楽的因子
に基づいて、上記インパルス応答信号の端を発生させな
い量を変化することをコンピュータに実行させる楽音生
成のためのコンピュータプログラムを記憶した媒体/コ
ンピュータプログラムの通信方法/楽音生成装置(方
法)。
【0256】(14) 発生すべき楽音信号の周波数特
性に対応した所定長のインパルス応答信号を繰り返し発
生し、 この繰り返し発生されるインパルス応答信号の
繰り返しの周期を決定し、 この発生されるインパルス
応答信号そのものの発生速度を決定し、 上記インパル
ス応答信号の端を発生させないようにし、 上記繰り返
し発生されるインパルス応答信号それぞれの端が重なる
量を検出し、 この検出量に応じて、上記インパルス応
答信号の端を発生させない量を決定する楽音生成のため
のコンピュータプログラムを記憶した媒体/コンピュー
タプログラムの通信方法/楽音生成装置(方法)。
【0257】(15) 上記インパルス応答信号それぞ
れの端が重なる量と、上記インパルス応答信号の端を発
生させない量とは一致しており、これにより各インパル
ス応答信号が端でつながり、 または上記インパルス応
答信号それぞれの端が重なる量より、上記インパルス応
答信号の端を発生させない量の方が大きく、 上記イン
パルス応答信号には、窓関数が演算合成され、または端
に減少倍から等倍まで変化する重みデータが合成され、
これによりインパルス応答信号の端が発生されず、しか
も各インパルス応答信号が端で滑らかにつながり、 上
記インパルス応答信号の端を発生させない量は、音高決
定因子によって変化され、 上記インパルス応答信号は
複数の発生手段によって交代で発生され、この複数の発
生手段で発生される各インパルス応答信号は重なってお
り、1つの発生手段から発生されるインパルス応答信号
の端は重なっておらず、 上記発生されるインパルス応
答信号そのものの発生速度は、音色決定因子に応じて変
化され、 上記発生されるインパルス応答信号の繰り返
し周期は、音高決定因子に応じて変化され、 上記イン
パルス応答信号は記憶手段に記憶され、音色決定因子に
応じてこのインパルス応答信号の読み出し速度が決定さ
れ、音高決定因子に応じてこのインパルス応答信号の繰
り返し読み出しの繰り返し周期が決定され、 上記音高
決定因子は上記楽音信号の音高を決定する因子であり、
上記音色決定因子は上記楽音信号の音色を決定する因
子であること特徴とする請求項13または14記載の楽
音生成のためのコンピュータプログラムを記憶した媒体
/コンピュータプログラムの通信方法/楽音生成装置
(方法)。
【0258】(16)発生すべき楽音信号の周波数特性
に対応した所定長のインパルス応答信号を複数繰り返し
発生し、 この繰り返し発生される各インパルス応答信
号の繰り返しの周期を決定し、 この発生される各イン
パルス応答信号そのものの発生速度を決定し、 これら
繰り返し周期と発生速度との決定された複数のインパル
ス応答信号を合成することにより、これら合成される前
のインパルス応答信号とは異なる別のインパルス応答信
号を生成することをコンピュータに実行させる楽音生成
のためのコンピュータプログラムを記憶した媒体/コン
ピュータプログラムの通信方法/楽音生成装置(方
法)。
【0259】(17)上記合成される各インパルス応答
信号は発生開始のタイミングが同じで位相も揃って同じ
であり、 上記合成される各インパルス応答信号は、互
いに周波数特性が異なっているまたは同じであり、 上
記合成される各インパルス応答信号は、互いに繰り返し
周期が異なっているまたは同じであり、 上記合成され
る各インパルス応答信号は、互いに信号そのものの発生
速度が異なっているまたは同じであり、 上記合成され
る各インパルス応答信号の組み合わせは、音楽的因子に
よって決定され、 上記合成される各インパルス応答信
号は、重み付けされて合成され、この各重み付けは音楽
的因子によって決定され、 上記発生されるインパルス
応答信号そのものの発生速度は、音色決定因子に応じて
変化され、上記発生されるインパルス応答信号の繰り返
し周期は、音高決定因子に応じて変化され、 上記イン
パルス応答信号は記憶手段に記憶され、音色決定因子に
応じてこのインパルス応答信号の読み出し速度が決定さ
れ、音高決定因子に応じてこのインパルス応答信号の繰
り返し読み出しの繰り返し周期が決定され、 上記音高
決定因子は上記楽音信号の音高を決定する因子であり、
上記音色決定因子は上記楽音信号の音色を決定する因
子であること特徴とする請求項16記載の楽音生成のた
めのコンピュータプログラムを記憶した媒体/コンピュ
ータプログラムの通信方法/楽音生成装置(方法)。
【0260】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明では、イン
パルス応答信号そのものの発生速度を音高変化に対して
異なる変化特性として、フォルマントが音高変化に応じ
ない変化を実現した。すなわち本発明では、音高決定因
子に基づいて、上記インパルス応答信号の繰り返し周期
を変化させるとともに、上記インパルス応答信号そのも
のの発生速度を、当該繰り返し周期の変化とは異なる特
性で変化させた。したがって、フォルマントの移動変化
を音高の変化に応じて変化させることができ、しかもこ
のフォルマント移動変化を生成楽音の音高の変化とは異
なるように変化させることができ、音高変化と異なった
音色変化を実現できる等の効果を奏する。
【0261】また本発明では、音高の変化に基づいて、
インパルス応答信号の繰り返し周期を変化し、この音高
の変化に基づいて変化する修正データを発生し、上記イ
ンパルス応答信号そのものの発生速度に対して、この修
正データによる修正を加えた。したがって、生成される
楽音のフォルマントの移動変化は、音高の変化とは全く
独立ではなく、音高の変化に若干追随することができ、
しかもこのフォルマント移動変化は生成楽音の音高の変
化とは異なることができ、音高変化と異なった音色変化
が実現される等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】楽音生成装置の全体回路を示す。
【図2】アサインメントメモリ42を示す。
【図3】インパルス信号発生部50を示す。
【図4】インパルス信号記憶部51に記憶されている種
々のインパルス応答信号ISj(t)を示す。
【図5】インパルス応答信号ISj(t)の繰り返し周
期Tの変化による波形パワー(音量)の違いを示す。
【図6】インパルス信号発生部50の中のインパルス信
号読み出し部53を示す。
【図7】処理全体のフローチャートを示す。
【図8】上記ステップ02の発音処理のフローチャート
を示す。
【図9】インパルス信号読み出し部53の各部の動作の
タイムチャートを示す。
【図10】インパルス応答信号ISj(t)のインパル
ス信号記憶部51からの読み出し状態を示す。
【図11】インタラプト処理のフローチャートを示す。
【図12】本願発明の原理を示す。
【図13】本願発明の原理を示す。
【図14】交互反転回路66(50)を示す。
【図15】交互反転回路66(50)の別の実施例を示
す。
【図16】インパルス応答信号を1つおきに正負反転さ
せた波形と周波数特性を示す。
【図17】吹奏(管)楽器の共鳴原理を示す。
【図18】インパルス応答信号を1つおきに正負反転さ
せレベルを変えた波形と周波数特性を示す。
【図19】プログラム/データ記憶部40内の包絡周期
テーブル群43を示す。
【図20】プログラム/データ記憶部40内のrf選択
テーブル44を示す。
【図21】固定フォルマントのインパルス応答信号IS
j(t)の変化と周波数特性の変化を示す。
【図22】移動フォルマントのインパルス応答信号IS
j(t)の変化と周波数特性の変化を示す。
【図23】プログラム/データ記憶部40内の端部切取
テーブル群45を示す。
【図24】プログラム/データ記憶部40内の端部切取
テーブル46を示す。
【図25】端部切り取り回路67(50)を示す。
【図26】インパルス応答信号ISj(t)の端部切り
取り状態を示す。
【図27】インパルス応答信号ISj(t)のつながり
状態を示す。
【図28】インパルス合成回路83を示す。
【図29】複数のインパルス応答信号ISj(t)の合
成状態を示す。
【図30】プログラム/データ記憶部40内の第1包絡
修正テーブル群91を示す。
【図31】プログラム/データ記憶部40内の第2包絡
修正テーブル群92を示す。
【図32】包絡係数rと第1包絡修正データ△raと第
2包絡修正データ△rbとの演算を行う概念的なブロッ
ク回路を示す。
【符号の説明】
10…演奏情報発生部、20…コントローラ(CP
U)、30…タイム発生部、40…プログラム/データ
記憶部、41…情報記憶部、42…アサインメントメモ
リ、43…包絡周期テーブル、44…rf選択テーブ
ル、45…端部切取テーブル群、46…端部切取テーブ
ル、50…インパルス信号発生部、60…音響出力部、
51…インパルス信号記憶部、52…インパルス信号選
択部、53…インパルス信号読み出し部、54…インパ
ルス累算部、58…波形パワー制御RAM、59、63
…セレクタ、61…オアゲート群、62…乗算器、64
…ラッチ、65…インバータ群、66…交互反転回路、
67…端部切り取り回路、71…窓関数メモリ、75…
端部RAM、81…プログラマブル1/n分周カウン
タ、83…インパルス合成回路、85…累算メモリ、8
6…出力メモリ、88…プログラマブル1/s分周カウ
ンタ、90…重み付けRAM、91…第1包絡修正テー
ブル群、92…第2包絡修正テーブル群、501…パラ
メータRAM、508…演算RAM、505…加算器。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 発生すべき楽音信号の周波数特性に対応
    した所定長のインパルス応答信号を繰り返し発生し、 この繰り返し発生されるインパルス応答信号の繰り返し
    の周期を決定し、 この発生されるインパルス応答信号そのものの発生速度
    を決定し、 音高決定因子に基づいて、上記インパルス応答信号の繰
    り返し周期を変化させるとともに、上記インパルス応答
    信号そのものの発生速度を、当該繰り返し周期の変化と
    は異なる特性で変化させることを特徴とする楽音生成装
    置。
  2. 【請求項2】 発生すべき楽音信号の周波数特性に対応
    した所定長のインパルス応答信号を繰り返し発生させ、 この繰り返し発生されるインパルス応答信号の繰り返し
    の周期を決定させ、 この発生されるインパルス応答信号そのものの発生速度
    を決定させ、 音高決定因子に基づいて、上記インパルス応答信号の繰
    り返し周期を変化させるとともに、上記インパルス応答
    信号そのものの発生速度を、当該繰り返し周期の変化と
    は異なる特性で変化させることを特徴とする楽音生成方
    法。
  3. 【請求項3】 発生すべき楽音信号の周波数特性に対応
    した所定長のインパルス応答信号を繰り返し発生し、 この繰り返し発生されるインパルス応答信号の繰り返し
    の周期を決定し、 この発生されるインパルス応答信号そのものの発生速度
    を決定し、 音高の変化に基づいて、上記インパルス応答信号の繰り
    返し周期を変化し、 この音高の変化に基づいて変化する修正データを発生
    し、上記インパルス応答信号そのものの発生速度に対し
    て、この修正データによる修正を加えることを特徴とす
    る楽音生成装置。
  4. 【請求項4】 発生すべき楽音信号の周波数特性に対応
    した所定長のインパルス応答信号を繰り返し発生させ、 この繰り返し発生されるインパルス応答信号の繰り返し
    の周期を決定させ、 この発生されるインパルス応答信号そのものの発生速度
    を決定させ、 音高の変化に基づいて、上記インパルス応答信号の繰り
    返し周期を変化させ、 この音高の変化に基づいて変化する修正データを発生さ
    せ、上記インパルス応答信号そのものの発生速度に対し
    て、この修正データによる修正を加えさせることを特徴
    とする楽音生成方法。
  5. 【請求項5】 上記インパルス応答信号の繰り返し周期
    は音高決定因子にほぼ比例して変化し、上記インパルス
    応答信号そのものの発生速度は音高決定因子に対して比
    例しないで変化し、 上記音高以外の音楽的因子の変化に基づいて変化する第
    2の修正データをさらに発生し、上記インパルス応答信
    号そのものの発生速度に対して、この第2の修正データ
    による修正をさらに加え、 上記発生されるインパルス応答信号そのものの発生速度
    は、音高決定因子に応じては変化せず、音色決定因子に
    応じて変化され、 上記発生されるインパルス応答信号の繰り返し周期は、
    音高決定因子に応じて変化され、 上記インパルス応答信号は記憶手段に記憶され、音色決
    定因子に応じてこのインパルス応答信号の読み出し速度
    が決定され、音高決定因子に応じてこのインパルス応答
    信号の繰り返し読み出しの繰り返し周期が決定され、 上記音高決定因子は上記楽音信号の音高を決定する因子
    であり、この音高決定因子は、ビブラート、グライド、
    グリッサンド、ポルタメント、グロウル、トレモロ、ト
    リル、レガート、スラーの周波数変調のエフェクト情報
    によって変化し、 上記音色決定因子は上記楽音信号の音色を決定する因子
    であること特徴とする請求項1または3記載の楽音生成
    装置。
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