JPH11157067A - 記録ヘッド - Google Patents

記録ヘッド

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JPH11157067A
JPH11157067A JP33006797A JP33006797A JPH11157067A JP H11157067 A JPH11157067 A JP H11157067A JP 33006797 A JP33006797 A JP 33006797A JP 33006797 A JP33006797 A JP 33006797A JP H11157067 A JPH11157067 A JP H11157067A
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JP
Japan
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electrode
diaphragm
substrate
recording head
recording
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JP33006797A
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English (en)
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Hidekazu Ota
英一 太田
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Ricoh Co Ltd
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Ricoh Co Ltd
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Publication date
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Publication of JPH11157067A publication Critical patent/JPH11157067A/ja
Pending legal-status Critical Current

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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/135Nozzles
    • B41J2/14Structure thereof only for on-demand ink jet heads
    • B41J2/14314Structure of ink jet print heads with electrostatically actuated membrane

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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 記録ヘッドの振動板基板と電極基板とを陽極
接合する際における振動板の変形を防止する。 【解決手段】 電極と振動板の間に働く静電力によって
振動板を変形せしめ、その発生した圧力によって記録体
を被記録体に吐出する記録ヘッドにおいて、前記振動板
と電極との間隔を一定に保つため前記電極基板に設けら
れた段差部の側面と電極の設けられた面とのなす角度が
著しく鋭角である場合、陽極接合時に前記段差部に発生
する大きな静電力による振動板の変形を防止するため、
前記角度を14°以上にするか、電極と振動板基板を同
電位とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、記録ヘッドに関す
るものであり、カラープリント等の高画質印刷、また、
マイクロポンプ,圧力センサ等の構造としても利用可能
な記録ヘッドに関するものである。
【0002】
【従来の技術】オンデマンド型インクジェットヘッドと
しては、液室の壁の一部を薄い振動板にしておき、ここ
に電気機械変換素子として圧電素子を設け、電圧印加に
伴って発生する圧電素子の変形で前記振動板を変形せし
め、液室の圧力を変化させインクを吐出する方式(ピエ
ゾオンデマンド型)、液室内部に発熱体素子を設け、通
電による発熱体の加熱によって気泡を発生せしめ、気泡
の圧力によってインクを吐出する方式(バブルジェット
方式)が広く一般に知られている。これらの方式には、
小型化,高密度化,高速化,高画質化等の課題が有り、
これらの課題を解決するものとして、静電型インクジェ
ットが提案されている。静電型インクジェットは、液室
に設けた薄い振動板を静電気で変形させ、その変形によ
って液室の圧力を上昇させてインクを吐出させるもので
ある。例えば、特開平5−50601号公報ではシリコ
ンから成る中基板に、ノズル,吐出室,インクキャビテ
ィー及び振動板をエッチングにて形成し、インク供給口
を有する上基板と前記振動板に対向して電極を設けた下
基板とを一体化してヘッドを構成し、振動板と電極間に
電界を印加して前記の原理でインクを吐出させるものが
開示されている。また、例えば、特開平6−71882
号公報には、低電圧駆動を目的として、振動板と電極の
間隔を0.05μ〜2.0μに限定したものが開示されて
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このような構成の静電
型ヘッド(アクチュエータ)は、振動板基板と電極基板
とを陽極接合法を用いて対向接合させるのが一般的であ
る。陽極接合時には振動板基板(Si)側に+、また、
電極基板(パイレックスガラス)側には−の電位を印加
し、ガラス基板内のアルカリイオンの移動に伴う電荷の
偏りによって両基板間に働く静電力が発生し、これを接
合の駆動力の一つとしている。この際、両基板の間隔を
一定にするために設けられた段差部の形状があまりにも
鋭角である場合には、その部分に働く静電力が著しく大
きくなり、振動板基板が変形をしたまま、接合される事
態が起こる。そこで、本発明の第1の課題は、接合時に
発生するこの変形を防止することであり、また、第2の
課題は、段差形状によってはその部分に働く静電力が著
しく大きくなる性質を積極的に利用し、比較的低電圧で
振動板の変位を大きくできる構成を提供することであ
る。また、更に第3の課題は、振動板と電極上の絶縁膜
とが接触した際の両者の固着を防止する構成を提供する
ことである。以下、各請求項毎にその課題を具体的に説
明する。
【0004】請求項1の発明の課題は、振動板基板と電
極基板との陽極接合時における振動板基板の変形を防止
し、電極と振動板との間隔を所定に保ち、インク吐出の
均一性とギャップの再現性を向上させることである。
【0005】請求項2の発明の課題は、前記段差の角度
が著しく鋭角であっても、振動板基板と電極基板との陽
極接合時における振動板基板の変形を防止し、電極と振
動板との間隔を所定に保ち、インク吐出の均一性とギャ
ップの再現性を向上させることである。
【0006】請求項3及び4の発明の課題は、請求項2
の発明の課題に加え、陽極接合時における振動板基板と
電極とを同電位にするための電気配線の煩わしさを低減
することである。
【0007】請求項5の発明の課題は、段差の側面と電
極も設けられた面とのなす角が著しく鋭角である場合
に、その部分に働く静電力が著しく大きくなる性質を積
極的に利用し、比較的低電圧で振動板の変位を大きくで
きる構成を提供し、かつ、陽極接合時の振動板基板の変
形を防ぐことで電極との間隔を所定に保つことができ、
インク吐出の均一性とギャップの再現性を向上させるこ
とである。
【0008】請求項6の発明の課題は、振動板と電極上
の絶縁膜とが接触した際の両者の固着を防止するととも
に、陽極接合時の振動板基板の変形を防ぐことで電極と
の間隔を所定に保ち、かつ、インク吐出の均一性とギャ
ップの再現性を向上させることである。
【0009】請求項7の発明の課題は、請求項5の課題
に加え、振動板と電極上の絶縁膜とが接触したさいの両
者の固着を防止することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、記録
体を吐出する吐出口と、記録体に吐出の圧力を加える加
圧液室を有し、加圧液室の一部を構成する振動板が形成
された振動板基板と、振動板と対向する位置に形成され
た第1電極を持つ電極基板とを有し、前記電極と振動板
の間に働く静電力によって振動板を変形せしめ、発生し
た圧力によって記録体を被記録体に吐出する記録ヘッド
において、前記振動板と電極との間隔を一定に保つため
前記電極基板に設けられた段差の側面と電極の設けられ
た面とのなす角度が14°以上である記録ヘッドであ
る。
【0011】請求項2の発明は、請求項1に記載された
記録ヘッドにおいて、前記段差の側面に第2の電極を設
けた記録ヘッドである。
【0012】請求項3の発明は、請求項2に記載された
記録ヘッドにおいて、前記第2の電極が前記振動板基板
と電気的に接している記録ヘッドである。
【0013】請求項3の発明は、請求項2に記載された
記録ヘッドにおいて、前記振動板基板と電極基板とが陽
極接合される以前は、前記第1電極と第2電極が引き出
し電極部で接続されており、陽極接合後には電気的に断
絶した状態となる記録ヘッドである。
【0014】請求項5の発明は、記録体を吐出する吐出
口と、記録体に吐出の圧力を加える加圧液室を有し、加
圧液室の一部を構成する振動板が形成された振動板基板
と、振動板と対向する位置に形成された第1電極を持つ
電極基板とを有し、前記電極と振動板の間に働く静電力
によって振動板を変形せしめ、発生した圧力によって記
録体を被記録体に吐出する記録ヘッドにおいて、前記段
差の側面と電極の設けられた面とのなす角度が15°以
下であって、前記第1電極が前記電極基板上面から前記
段差の側面に跨って設けられ、かつ、電極上あるいは振
動板の対向表面には絶縁膜が設けられている記録ヘッド
である。
【0015】請求項6の発明は、請求項5に記載された
記録ヘッドにおいて、前記絶縁膜の全表面エネルギーが
50mJ/m2以下である記録ヘッドである。
【0016】請求項7の発明は、請求項5又は6に記載
された記録ヘッドにおいて、前記絶縁膜が硬質炭素膜で
ある記録ヘッドである。
【0017】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の記録ヘッドの実
施例を断面で示したものである。図1において、前記記
録ヘッドの下基板(電極基板)1には振動板基板4の振
動板5に対向するように、第1電極2が配置されてお
り、下基板上には振動板5と加圧液室6となる凹部が設
けられた振動板基板4が接合され、さらに、その上に吐
出口8及び流路9とが形成された上基板7が接合されて
いる。前記記録ヘッドは、この構成において振動板5と
電極2間に電界を印加して、振動板を静電力で変形さ
せ、その変形或いは変形が復元するときの復元力によっ
て液室の圧力を上昇させてインクを吐出させるものであ
る。
【0018】下基板1と振動板基板4とは陽極接合法に
よって接合される。陽極接合時には振動板基板(Si)
側に+を、また、電極基板(パイレックスガラス)側に
は−の電位を印加し、ガラス基板内のアルカリイオンの
移動に伴う電荷の偏りによって両基板間に働く静電力が
発生し、これを両基板を接合するための駆動力の一つと
している。この陽極接合の際に、両基板を一定にするた
めに設けられた段差部の形状があまりにも鋭角である場
合には、その部分に働く静電力が著しく大きくなり、振
動板基板が変形(電極側に引き寄せられた状態で)した
まま、接合される事態が起こる。本発明は、以上の問題
点を解決するためになされたものであって、陽極接合時
に上記のような過程で発生する振動板5の変形と段差部
の形状、特に、側面の角度の関係を詳細に調査した結
果、その知見に基づいてなされたものである。表1に角
度aと振動板の変形量の関係を示す。
【0019】
【表1】
【0020】次に、図1におけるX−X′方向の断面図
を示した図2を参考にして請求項1の発明を説明する。
前記表は所定ギャップが0.5μmである場合を示すも
のであり、この場合に許容できる縦方向の変形量はギャ
ップの6%以下である。表から明らかなように、角度a
が大きくなるに従って、縦方向の変形量は著しく低下で
き、14°以上では許容範囲に入る。さらに、製造上の
マージンを考慮すれば、好ましくは18°以上であっ
た。そこで、請求項1の発明は、前記振動板5と第1の
電極2との間隔を一定に保つために設けられた段差10
の側面11と第1の電極の設けられた面とのなす角度a
を14°以上、さらに好ましくは、18°以上とし、そ
れによって、前記振動板の変形は実用上支障をきたさな
いレベルまで減少させるものである。
【0021】ここで、基板1,4,7の材料としては、
ガラス(特には、パイレックス#7740,#707
0,#7059等)、或いは、結晶シリコンが微細加工
の面からは望ましいが、特にこれらに限定されるもので
はない。但し、振動板基板4に関しては、電圧を印加す
るために抵抗の低い材料が望ましく、この意味では低抵
抗の結晶シリコンが好適である。
【0022】振動板5と第1電極2との間のギャップを
一定に保つために設ける段差10及び電極を形成する方
法について説明すると、先ず、下基板1表面に段差10
に相当する部分のみを開口したレジストパターン或いは
エッチングマスクパターンを形成しエッチングする。こ
の際、レジスト或いはマスク材料と基板との密着力が弱
い場合、或いは、レジスト、或いは、マスク材料が基板
エッチャントに侵食される場合には、段差10の側面が
垂直ではなくなる。
【0023】次に、電極及び保護層の形成方法について
説明する。下基板1上に電極材料として、主として金属
材料の薄膜をスパッタ法,蒸着法,EB蒸着法,等の気
相合成法にて堆積せしめ、フォトリソ,エッチングにて
電極とした。より具体的には、金属材料として、Ti/
Pt,Ni,Cu,W,Ta,NiCr,Crt等を用
いて膜厚0.05から0.5ミクロン形成した。金属の他
に透明導電(ITO,ZnO,SnO)等が使用できる
が、これらの材料に特に限定されるものではない。ま
た、保護層としては、SiO2,SiNx,SiON
x,等の無機絶縁膜が使用され、スパッタ法,蒸着法,
EB蒸着法,等の気相合成法にて堆積せしめ、フォトリ
ソ,エッチングにて保護層とした。
【0024】さらに、振動板基板の作製方法を説明す
る。Si(100)或いは(110)表面にSiO2
約2ミクロンつけたものを基体として、この上の振動板
に対応した位置のSiO2をエッチングして開口部をあ
けて、その部分のSiのみをKOH水溶液(数%〜約4
5%)をエッチャントとして、80℃において振動板の
厚さまで異方性エッチングを施した。この他にウエット
の異方性エッチャントとしてはヒドラジン,TMHAな
どが使用できる。また、Siの高ドープ層を利用した選
択エッチングやPN接合基板の電気化学的手法によるエ
ッチストップ等の利用により振動板厚の制御性向上が図
れる。
【0025】請求項2の発明は、図3(図には下基板1
と振動板基板4のみを示した。実際には、この上に上基
板7が順次接合されて記録ヘッドは構成される)に示す
ごとく、振動板基板4と第1電極2との間隔を一定に保
つために下基板1に設けられた段差10の側面11に第
2電極12を設けたものである。陽極接合時には、第2
電極12及び第1電極2と振動板基板4は外部配線で同
電位にする(それぞれに単独に引き出しパッド部にプロ
ーブ端子を接続し、その端子の配線を接続して同電位と
する)。こうすることによって接合時に段差10の側面
11と振動板基板4とに働く静電力を皆無にすることが
でき、従って、ギャップの再現性,均一性を著しく向上
できた。この構成のもう一つの利点は、効果が段差部の
形状(段差10の側面11と第1電極2の設けられた面
とのなす角度a)にほとんど依存しないことである。図
3では、第2電極12上には絶縁膜3はないが、絶縁膜
の有無は本発明の効果には一向に関係がない。
【0026】図4は、請求項3の発明を説明するための
図であって、図4には下基板1と振動板基板4のみを示
したが、実際には、この上に上基板7が順次接合されて
記録ヘッドは構成される。振動板基板4と第1電極2と
の間隔を一定に保つために、下基板1に設けられた段差
10の側面11に第2電極12を設けた、かつ、図示し
たごとく第2電極12は振動板基板4と電気的に接触す
るようにパターニングされている。下基板1の材料とし
ては、ガラス(特には、パイレックス#7740,#7
070,#7059等)を使用したが、特にこれらに限
定されるものではない。記録ヘッドをこのような構成に
することにより、陽極接合時に第2電極12と振動板基
板4を外部接続を使用することなしに同電位にすること
ができる。つまり、通常は、図3を参考に説明した請求
項2の発明の実施例のように、引き出しパッド部にプロ
ーブ端子を接続し、その端子の配線を接続して同電位と
しているが、プローブ端子では接続不良が起こる可能性
が高く、また、接続治具も複雑になる欠点があるが、本
発明によれば、第2電極12と振動板基板は自動的に電
気的に接続され同電位となる。しかも、請求項2の発明
と同様の効果及び利点も得ることができる。
【0027】次に、第2電極のパターン化について説明
する。先ず、下基板1上に電極材料として主として金属
材料の薄膜をスパッタ法,蒸着法,EB蒸着法,等の気
相合成法にて堆積した。より具体的には、金属材料とし
て、Ti/Pt,Ni,Cu,W,Ta,NiCr,C
rt等を用いて膜厚0.05から0.5ミクロン形成し
た。金属の他に透明導電(ITO,ZnO,SnO)等
が使用できるが、これらの材料に特に限定されるもので
はない。次に、レジストを塗布し、第1電極2及び第2
電極12パターンを同時に露光し、エッチングにて電極
とした。第2電極12パターンは、振動板基板4と接す
るように設計しておくことで、フォトリソ回数を増やす
ことなく第2電極を作製することができる。また、保護
層としては、SiO2,SiNx,SiONx,等の無
機絶縁膜が使用され、スパッタ法,蒸着法,EB蒸着
法,等の気相合成法にて堆積せしめ、フォトリソ,エッ
チングにて保護層とした。
【0028】図5は、請求項4の発明の構成を示す図で
ある(図5には下基板1と振動板基板4のみを示した。
実際には、この上に上基板7が順次接合されて記録ヘッ
ドは構成される)。本発明は、請求項3の記録ヘッドに
おいて、振動板基板4と下基板1とが陽極接合される以
前には、第1電極2と第2電極12が引き出し電極部1
3で接続されており、陽極接合後には、図5中にカット
分として示すように、例えば、レーザトリマー,エッチ
ング等によりカットして電気的に断絶した状態としたも
のである。図5に示したごとく、第2電極12は、振動
板基板4と電極的に接触するようにパターニングされて
おり、しかも、第1電極2と第2電極12が引き出し電
極部13で接続されているため、振動板基板4と第1電
極2と第2電極12とは自動的に同電位となる。この構
成によれば、請求項2,3の発明のように外部接続を使
用することなく接合することができる。従って、プロー
ブ端子に付帯する接続不良は皆無となり、かつ、接続治
具も簡単になる。また、ギャップの再現性,均一性を著
しく向上することができ、この効果は、段差部の形状
(図2に示したものと同一であり、段差10の側面11
と第1電極2の設けられた面とのなす角度a)にほとん
ど依存しない。
【0029】図6は、請求項5の発明を説明するための
図であって、記録ヘッドの断面を示したものである。本
発明の最大の特徴は、段差の側面と電極の設けられた面
とのなす角度aが著しい鋭角であることを積極的に利用
して、同一の駆動電圧であっても、比較的大きな振動板
の変位を得られるようにしたことにある。構成について
説明すると、段差10の側面11と電極の設けられた面
とのなす角度aは15°以下であり、第1電極2が段差
の側面11に跨って設けられている。静電力は対向する
電極の距離の2乗に反比例して増加するため、振動板と
電極の距離が最も短い側面11端部より、中心部へと比
較的低電圧で大きな静電力が順次作用していく。すなわ
ち、振動板5が電極表面に密着すると次の位置でのギャ
ップが実質減少するために、逐次中心部まで変形が進行
するものである。また、振動板5が電極表面に密着する
ので、ショート防止のために電極上あるいは振動板の対
向表面に絶縁膜3が設けられている。他の構成ではギャ
ップ0.5μmで通常70Vで0.1μmの変位が発生す
るのに対して、本発明では、ギャップ0.5μmで通常
40Vで0.1μmの変位が発生した。さらに、本発明
のもう一つの効果は、請求項2乃至4の発明に関連して
説明したと同様の方法によって、振動板基板4と電極基
板(下基板)1との接合時に段差10の側面11と振動
板基板4との間で働く静電力を皆無にすることができ、
従って、ギャップの再現性,均一性を著しく向上するこ
とができる。
【0030】請求項5の発明に関連して説明した静電型
インクジェット特有の問題点として、絶縁膜の表面に吸
着した水分あるいはOH基による電極と振動板との接着
等の問題点がある。そこで、振動板と絶縁膜の固着の問
題に関して鋭意研究を行った結果、膜の表面エネルギー
が固着を支配する主要因であることが判明した。振動板
固着と絶縁膜の全表面エネルギーの関係を示したのが下
表2である。
【0031】
【表2】
【0032】表から明らかなように、絶縁膜の全表面エ
ネルギーが約50mJ/m2以下であれば、振動板固着
の確率は著しく減少し、実用上支障柄を来たさない程度
となる。さらに、好ましくは、45mJ/m2以下であ
った。絶縁膜の材料としては実際上はフッ素樹脂,ポリ
スチレン,エポキシ系樹脂,パリレン等の有機材料が適
しているが、特にこれらに限定されるものではない。
【0033】記録ヘッドの絶縁膜としては、前記振動板
との固着の問題の他に、絶縁破壊耐圧が高いこと、耐プ
ロセス性に鑑み化学的安定性が高く、かつ、硬度が高い
こと等が要求される。そのため、上記要件を全て満足す
る絶縁膜に関し、鋭意研究を重ねた結果、気相法で作製
した硬質炭素膜が好適であることが見出された。
【0034】ここで、本発明の記録ヘッドの硬質炭素膜
についてその製法及び特性について説明する。硬質炭素
膜を形成するためには、有機化合物ガス、特に、炭化水
素ガスが用いられる。これら原料ガスにおける相状態
は、常温常圧において必ずしも気体である必要はなく、
加熱あるいは減圧によって溶融,蒸発,昇華等を経て気
化し得るものであれば液体でも固体でも使用可能であ
る。炭素源としては、C26,C38,C410,等の
パラフィン系炭化水素,C24,等のアセチレン系炭化
水素、あるいは、ジオレフィン系炭化水素、更には、芳
香族系炭化水素などすべての炭化水素を含むガスが使用
できる。さらに、炭化水素以外でも、例えば、アルコー
ル類,ケトン類,エーテル類,エステル類,CO,CO
2等少なくとも炭素原子を含む化合物であれば使用可能
である。また、膜中にSP3結合の炭素と同時に生成さ
れてくるSP2結合の炭素を選択的に除去するためには
水素を含むガスが用いられる。具体的にはH2,H2O等
である。
【0035】原料ガスからの硬質炭素膜の形成方法とし
ては、成膜活性種が直流,低周波,高周波、あるいは、
マイクロ波等を用いたプラズマ法により生成されるプラ
ズマ状態を経て形成される方法が好ましいが、大面積
化,均一性向上,成膜温度の低温化等の目的で磁場効果
をも併用した方法(ECRプラズマCVD法)が更に好
ましい。その他にもイオンプレーティング,クラスター
イオンビーム等により生成されるイオン状態を経て形成
してもよく、また、ECRスパッタあるいはスパッタ等
により生成される中性粒子から形成しても、更には、こ
れらを組み合わせた方法で形成してもよい。このように
して作製される硬質炭素膜の成膜条件の一例は、プラズ
マCVDの場合の概ね次の通りである。また、得られた
膜の機械特性は前述した通りである。
【0036】 RFパワー:0.1〜50W/cm2 圧力 :10-3〜10Pa 堆積温度 :室温〜900℃
【0037】得られた硬質炭素膜は炭素原子を主要な構
成元素とし、非晶質及び微結晶質の少なくとも一方を含
む膜状物質であった(ダイヤモンド状炭素膜,i−C
膜,アモルファスダイヤモンド膜とも呼ばれている)。
硬質炭素膜の一つの特徴は、以下の通りである。気相成
長で比較的低温で合成できる点、膜の表面エネルギーが
低く撥水性がある点、絶縁耐圧の点で優れており(5×
106v/cm以上)かつ化学的安定性に優れている。
硬度が高くかつ摩擦係数が小さい(0.3〜0.1)の
で、耐摩耗性が優れている。ヤング率が3〜7(104
Kg/mm2)と大きい。従って、前記絶縁膜の目的を
達成するためには好適な材料である。
【0038】上記の目的に適している硬質炭素膜の膜厚
は、50〜500nmであった。50nm以下では基板
の表面性にもよるが、膜の耐圧が減少し、かつ、長期使
用時における安定性の低下が著しい。さらに、500n
m以上では膜の剥離が頻発した。これらの理由から膜厚
の範囲としてより好ましくは100〜350nmであっ
た。
【0039】更に、膜の表面エネルギーを低減すべく鋭
意研究した結果、膜中の水素原子をF原子で置換えする
か、あるいは、N原子を骨格の構成元素として膜中に導
入することが特に効果的であることが見出された。F原
子を導入するためには、原料ガスとして、CH3F,C
22,CHF3等のF元素を内包する炭化水素系のガ
スを使用すればよい。また、N原子を導入するためには
原料ガスとしてN2,NH3,N22,等のN元素を内包
するガスを使用すればよい。それぞれの原子を膜に導入
した際の純水に対する全表面エネルギーの変化を下表に
示した。
【0040】
【表3】
【0041】図7は、請求項7の発明を説明するための
図であって、図7(A)は、第1電極2の表面全面にわ
たって硬質炭素膜14を設けたものを示している。従来
素子では、電極の保護膜としてはSiO2,Si34
の無機酸化物が使用されていた。電極及び保護膜の表面
には、空気中の水分,−OHが吸着しており、電極と保
護膜が接触した場合に、水素結合的な化学結合が生じ、
電圧を零にしても両者が接合した状態のままになってし
まう。この現象は、電極を透明電極にしたときに特に著
しい。これに対して、硬質炭素膜は、水分,−OH基の
吸着量が非常に少なく、上記のような問題は生じなかっ
た。更に、硬質炭素膜は比抵抗及び絶縁耐圧が高く、電
気的な絶縁層の機能を果たすことは言うまでもない。図
7(B)は、電極2の上の一部だけに硬質炭素膜14を
設けたもので、この構成でも上記目的は達成できる。
【0042】
【発明の効果】請求項1に対応する効果:記録体を吐出
する吐出口と、記録体に吐出の圧力を加える加圧液室を
有し、加圧液室の一部を構成する振動板が形成された振
動板基板と、振動板と対向する位置に形成された第1電
極を持つ電極基板とを有し、前記電極と振動板の間に働
く静電力によって振動板を変形せしめ、その発生した圧
力によって記録体を被記録体に吐出する記録ヘッドにお
いて、前記振動板と電極との間隔を一定に保つために設
けられた段差の側面と電極の設けられた面とのなす角度
が14°以上である構成をとったことで、ギャップの再
現性、均一性を著しく向上できる。
【0043】請求項2に対応する効果:前記振動板と電
極との間隔を一定に保つために設けられた段差の側面に
第2の電極を設けたことで、ギャップの再現性、均一性
を著しく向上できる。また、この効果は段差部の形状
(段差10の側面11と第1電極2に設けられた面との
なす角度a)にほとんど依存しない。
【0044】請求項3に対応する効果:前記第2の電極
が前記振動板と電気的に接している構成をとったこと
で、プローブ端子に付帯する接続不良は皆無となりか
つ、接続治具も簡単になる。また、ギャップの再現性、
均一性が著しく向上でき、この効果は段差部の形状(段
差10の側面11と第1電極2の設けられた面とのなす
角度a)にほとんど依存しない。
【0045】請求項4に対応する効果:請求項3におい
て、前記振動板基板と電極基板とが陽極接合される以前
で、前記第1電極と第2電極が引き出し電極部で接続さ
れており、陽極接合後には電気的に断絶した状態とする
ことにより、プローブ端子に付帯する接続不良は皆無と
なりかつ、接続治具も簡単になる。また、ギャップの再
現性、均一性を著しく向上でき、この効果は段差部の形
状(段差10の側面11と第1電極2の設けられた面と
のなす角度a)にほとんど依存しない。
【0046】請求項5に対応する効果:前記段差の側面
と電極の設けられた面とのなす角度が15°以下の鋭角
であって、前記第1電極が該段差の側面に跨って設けら
れ、かつ、電極上あるいは振動板の対向表面には絶縁膜
が設けられているために、同一の駆動電圧であっても、
比較的大きな振動板の変位が得られる。接合時に段差1
0の側面11と振動板基板4とに働く静電力を皆無にす
ることができ、従って、ギャップの再現性、均一性を著
しく向上できる。
【0047】請求項6に対応する効果:請求項4におけ
る絶縁膜の全表面エネルギーが50mJ/m2以下であ
るために、振動板との固着の問題が解決される。
【0048】請求項7に対応する効果:前記絶縁膜が硬
質炭素膜であることにより、振動板との固着の問題が解
決される。絶縁破壊耐圧が高く素子の破壊が起こらな
い。化学的安定性が高くかつ、硬度がたかいため耐プロ
セス性が向上し歩留まりがあがる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による記録ヘッドの断面図である。
【図2】 図1におけるX−X′方向でみた、請求項1
の発明を説明するための記録ヘッドの断面図である。
【図3】 請求項2の発明を説明するための、図2と同
様の要部断面図である。
【図4】 請求項3の発明を説明するための、図2と同
様の図である。
【図5】 請求項4の発明を説明するための、電極基板
(第1の基板)の平面図である。
【図6】 請求項5の発明を説明するための、図2と同
様の図である。
【図7】 請求項7の発明を説明するための、図2と同
様の図であって、図7(A)は硬質炭素膜を電極全面に
被覆した例を、又、図7(B)は電極の一部に被覆した
例をそれぞれ示している。
【符号の説明】
1…電極基板(下基板)、2…第1電極、3…絶縁膜、
4…振動板基板、5…振動板、6…加圧液室、7…上基
板、8…吐出口、9…流路、10…段差、11…(段差
の)側面、12…第2電極、13…引き出し電極部、1
4…硬質炭素膜。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 記録体を吐出する吐出口と、記録体に吐
    出の圧力を加える加圧液室を有し、加圧液室の一部を構
    成する振動板が形成された振動板基板と、振動板と対向
    する位置に形成された第1電極を持つ電極基板とを有
    し、前記電極と振動板の間に働く静電力によって振動板
    を変形せしめ、発生した圧力によって記録体を被記録体
    に吐出する記録ヘッドにおいて、前記振動板と電極との
    間隔を一定に保つため前記電極基板に設けられた段差の
    側面と電極の設けられた面とのなす角度が14°以上で
    あることを特徴とする記録ヘッド。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載された記録ヘッドにおい
    て、前記段差の側面に第2の電極を設けたことを特徴と
    する記録ヘッド。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載された記録ヘッドにおい
    て、前記第2の電極が前記振動板基板と電気的に接して
    いることを特徴とする記録ヘッド。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載された記録ヘッドにおい
    て、前記振動板基板と電極基板とが陽極接合される以前
    は、前記第1電極と第2電極が引き出し電極部で接続さ
    れており、陽極接合後には電気的に断絶した状態となる
    ことを特徴とする記録ヘッド。
  5. 【請求項5】 記録体を吐出する吐出口と、記録体に吐
    出の圧力を加える加圧液室を有し、加圧液室の一部を構
    成する振動板が形成された振動板基板と、振動板と対向
    する位置に形成された第1電極を持つ電極基板とを有
    し、前記電極と振動板の間に働く静電力によって振動板
    を変形せしめ、発生した圧力によって記録体を被記録体
    に吐出する記録ヘッドにおいて、前記段差の側面と電極
    の設けられた面とのなす角度が15°以下であって、前
    記第1電極が前記電極基板上面から前記段差の側面に跨
    って設けられ、かつ、電極上あるいは振動板の対向表面
    には絶縁膜が設けられていることを特徴とする記録ヘッ
    ド。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載された記録ヘッドにおい
    て、前記絶縁膜の全表面エネルギーが50mJ/m2
    下であることを特徴とする記録ヘッド。
  7. 【請求項7】 請求項5又は6に記載された記録ヘッド
    において、前記絶縁膜が硬質炭素膜であることを特徴と
    する記録ヘッド。
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JPWO2005028207A1 (ja) * 2003-09-24 2007-11-15 セイコーエプソン株式会社 液体噴射ヘッド及びその製造方法並びに液体噴射装置

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