JPH11155278A - リニアモータ - Google Patents

リニアモータ

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JPH11155278A
JPH11155278A JP22347198A JP22347198A JPH11155278A JP H11155278 A JPH11155278 A JP H11155278A JP 22347198 A JP22347198 A JP 22347198A JP 22347198 A JP22347198 A JP 22347198A JP H11155278 A JPH11155278 A JP H11155278A
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JP
Japan
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circuit board
linear motor
mover
stator
field magnet
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JP22347198A
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English (en)
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Mitsutoshi Iko
光俊 位高
Masazo Ishiyama
雅三 石山
Katsuhiro Nanba
克宏 難波
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Minolta Co Ltd
Original Assignee
Minolta Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ムービングコイル型のリニアモータであっ
て、可動子から引き出されるハーネスのケーブル数を少
なくでき、それだけハーネスを引き回しやすいととも
に、可動子上に配置される界磁マグネット用センサやエ
ンコーダ用センサからの出力電気信号が、可動子から引
き出されるハーネスによって伝送される途中においてノ
イズにより影響されるのを抑制できるリニアモータを提
供する。 【解決手段】 界磁マグネット11を有する固定子1
と、固定子1に外嵌する電機子コイル21を有する可動
子2とからなるリニアモータ。可動子2上に配置する電
気回路基板23によって、電機子コイル21を構成する
6つのコイルを所定の結線状態に結線する。基板23上
には、界磁マグネット11の磁極を検出するためのホー
ル素子の出力信号を二値化処理する回路、及びエンコー
ダ用の光センサ41の出力信号を二値化処理する回路を
設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、N極の磁極とS極
の磁極とが所定方向に直線状に交互に並ぶ界磁マグネッ
トを有する固定子と、界磁マグネットに臨む電機子コイ
ルを有し、固定子に沿って移動することができる可動子
とを備えるリニアモータに関する。
【0002】
【従来の技術】リニアモータは、複写機、プリンタ、イ
メージスキャナ等のOA機器、X−Yテーブル、物品搬
送装置等のFA機器、カメラ等の光学機器などの広い分
野において、物品を直線的に移動させることに利用され
ている。リニアモータとしては、N極の磁極とS極の磁
極とが所定方向に直線状に交互に並ぶ界磁マグネットを
固定子とし、界磁マグネットに臨む電機子コイルを固定
子に沿って移動させる可動子とするリニアモータが知ら
れている。このタイプのリニアモータは、ムービングコ
イル型のリニアモータと呼ばれるものである。
【0003】ムービングコイル型のリニアモータにおい
ては、可動子中の電機子コイルに通電して可動子を固定
子に沿って駆動するために、或いは、さらに、次に述べ
るような可動子上に設けられる各種センサからの情報に
基づき、可動子中の電機子コイルへの通電を制御するた
めに、電機子コイルへの通電回路と可動子上の電機子コ
イルや各種センサとを接続するハーネス(電線ケーブル
の束)が可動子からは引き出される。
【0004】電機子コイルへの通電を制御するために設
けられるセンサとしては、例えば、移動する電機子コイ
ルが臨む位置にある界磁マグネットの磁極の極性を検出
したり、界磁マグネットにより形成される磁界の大きさ
を検出するための界磁マグネット用のセンサである。か
かる界磁マグネット用のセンサとしては、磁極の極性や
磁界の強さに応じた電気信号を出力することができるホ
ール素子や磁気抵抗素子(MR素子)等の磁電変換素子
が通常採用される。
【0005】電機子コイルへの通電を制御するために可
動子上に配置されるセンサとしては、この他、エンコー
ダ用のセンサを挙げることができる。エンコーダは、か
かる可動子上に配置されるエンコーダ用センサと、定位
置に配置され、固定子長手方向に延びるエンコーダスケ
ールとからなる。エンコーダとしては、光学式のものと
磁気式のものが知られている。
【0006】光学式エンコーダの場合、エンコーダスケ
ールは、光学的に異なる二つの面が固定子長手方向に交
互に並んだものである。例えば、光の反射率の異なる二
つの面(例えば、白色の面と黒色の面)を固定子長手方
向に交互に並べると、いわゆる反射式のエンコーダとな
る。また、光の透過率の異なる二つの面を固定子長手方
向に交互に並べると、いわゆる透過式のエンコーダとな
る。いずれにしても、光学式のエンコーダ用センサとし
ては、光の光量に応じた電気信号を出力することができ
るフォトダイオードやフォトトランジスタ等の光電変換
素子が採用される。また、エンコーダスケールに向けて
光を照射する発光ダイオード(LED)等の発光素子
と、光電変換素子が一つになった、換言すればワンパッ
ケージ化されたいわゆる光センサが採用されることもあ
る。
【0007】また、磁気式エンコーダの場合、エンコー
ダスケールは、N極の磁極とS極の磁極とが固定子長手
方向に交互に並んだものである。磁気式のエンコーダ用
センサとしては、磁気式のエンコーダスケールの磁極の
極性や、磁界の強さに応じた電気信号を出力する磁気抵
抗素子(MR素子)やホール素子などの磁電変換素子が
通常採用される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところが、このように
可動子上の電機子コイルに通電したり、界磁マグネット
用のセンサからの出力信号を伝達したり、エンコーダ用
センサからの出力信号を伝達したりするなどのために、
可動子から引き出されるハーネスの線数(ケーブル数)
が多くなると、ハーネスが取り扱いにくく、ハーネスの
配線引き回しがしにくくなる。電機子コイルは、通常、
2以上のコイルから構成されることが多く、例えば3相
通電するような場合には、電機子コイルは3つのコイル
を一組とするコイル群の1組又は複数組からなり、いず
れにしても、電機子コイルを構成するコイルの数が多く
なると、それだけ可動子から引き出されるケーブル数は
多くなり、可動子の円滑な動きが妨げられたり、ハーネ
スの引き回しがしにくくなる。かかるハーネスが無理に
折り曲げられたりして、ハーネスが切れたりすると、可
動子を駆動することができなくなることもある。
【0009】また、前述のように電機子コイルへの通電
制御等のために、可動子上に界磁マグネット用の磁電変
換素子、エンコーダ用の光電変換素子、エンコーダ用の
磁電変換素子を配置する場合には、これらの素子から出
力される電気信号が、通常、微弱なアナログ信号である
ため、可動子から引き出されるハーネスによる信号伝送
途中において、ノイズの影響を受けやすい。これら素子
から出力される信号がノイズの影響を受けると、精度の
よい通電制御ができなくなり、可動子を精度よく駆動で
きなくなってしまう。かかるノイズを発生するノイズ源
としては、例えば次のものを挙げることができる。可動
子から引き出されるハーネスには、電機子コイルに通電
するためのケーブルが含まれており、かかる電機子コイ
ルへの通電のためのケーブルには、これら素子から出力
される信号等に比べ大電流が流れるため、また、かかる
電機子コイルへの通電のためのケーブルは、これら素子
から出力される信号を伝送するためのケーブルと並行し
て引き回されることが多いため、かかる電機子コイルへ
の通電のためのケーブルはノイズ源となる。また、リニ
アモータを例えば、原稿画像を光学的に走査して読み取
るための画像読み取り装置において、光学部品を搭載す
るスライダを直線的に移動させるのに利用する場合、か
かる光学部品として搭載される蛍光灯を点灯するための
インバータ回路はノイズ源となる。また、かかる画像読
み取り装置が各種情報を表示するための液晶表示装置を
備えている場合には、液晶表示装置の表示回路もノイズ
源となる。
【0010】このように可動子から引き出されるハーネ
スの数が多かったり、一つのハーネスにおけるケーブル
数が多かったり、信号が伝送途中でノイズの影響を受け
るなどすると、リニアモータの動作信頼性が低下する。
そこで本発明は、N極の磁極とS極の磁極とが所定方向
に直線状に交互に並ぶ界磁マグネットを有する固定子
と、前記界磁マグネットに臨む電機子コイルを有し、前
記固定子に沿って移動することができる可動子とを備え
るタイプのリニアモータ、換言すれば、いわゆるムービ
ングコイル型のリニアモータであって、動作信頼性の高
いリニアモータを提供することを第1の課題とする。
【0011】また本発明は、上記ムービングコイル型の
リニアモータであって、電機子コイルの通電制御のため
に可動子上に配置される界磁マグネット用のセンサやエ
ンコーダ用のセンサからの出力電気信号が、可動子から
引き出されるハーネスによって伝送される途中において
ノイズにより影響されるのを抑制でき、それだけ精度よ
く可動子を駆動することができ、動作信頼性の高いリニ
アモータを提供することを第2の課題とする。
【0012】また本発明は、上記ムービングコイル型の
リニアモータであって、可動子から引き出されるハーネ
スのケーブル数を少なくでき、それだけ動作信頼性が高
く、ハーネスの引き回しが容易であるリニアモータを提
供することを第3の課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に本発明は、N極の磁極とS極の磁極とが所定方向に直
線状に交互に並ぶ界磁マグネットを有する固定子と、前
記界磁マグネットに臨む電機子コイルを有し、前記固定
子に沿って移動することができる可動子とを備えるタイ
プのリニアモータ、換言すれば、いわゆるムービングコ
イル型のリニアモータであって、次のような特徴を有す
るリニアモータを提供する。
【0014】なお、上記タイプのリニアモータの一例と
して、N極の磁極とS極の磁極とが所定方向に直線状に
交互に並ぶ界磁マグネットを有し、該所定方向に延びる
シャフト状の固定子と、前記界磁マグネットに外嵌する
電機子コイルを有し、前記固定子に沿って移動すること
ができる可動子とを備えるシャフト型リニアモータを挙
げることができる。また、上記タイプのリニアモータの
他の例として、平板形のN極の磁極と平板形のS極の磁
極とが所定方向に直線状に交互に並ぶ界磁マグネットを
有する固定子と、前記界磁マグネットに開口面が臨む環
状の電機子コイルを有し、前記固定子に沿って移動する
ことができる可動子とを備える平板型リニアモータを挙
げることができる。
【0015】いずれにしても、電機子コイルに通電する
と、かかる電機子コイルに流れる電流と界磁マグネット
の形成する磁界との相互作用により電機子コイルには電
磁力がかかり、可動子を固定子長手方向に駆動すること
ができる。本発明は、前記課題、特に前記第2の課題を
解決するために、次の第1〜第3の3つのタイプのリニ
アモータを提供する。 (1) 第1のタイプのリニアモータは、上記のムービ
ングコイル型のリニアモータがさらに、前記固定子の長
手方向に延び、定位置に配置される光学式エンコーダス
ケールと、前記可動子上の前記光学式エンコーダスケー
ルに臨む位置に配置される発光素子と、前記可動子上の
前記光学式エンコーダスケールに臨む位置に配置される
エンコーダ用光電変換素子と、前記エンコーダ用光電変
換素子の出力する電気信号を二値化処理することができ
る光学式エンコーダ信号処理回路とを備えており、前記
光学式エンコーダ信号処理回路は前記可動子上に配置さ
れていることを特徴とするリニアモータである。
【0016】光学式エンコーダスケール、発光素子、エ
ンコーダ用光電変換素子及び光学式エンコーダ信号処理
回路によって、いわゆる光学式のエンコーダが構成され
る。発光素子及び光電変換素子によって、いわゆる光セ
ンサが構成される。かかる光学式エンコーダは、直線的
に移動する可動子の位置検出や、速度検出に利用できる
ほか、電機子コイルに通電して可動子を駆動するときに
おける駆動制御(例えば、位置制御、速度制御、PLL
制御等)に利用できる。発光素子としては、例えば発光
ダイオード(LED)を挙げることができる。光電変換
素子としては、例えば、フォトダイオード、フォトトラ
ンジスタを挙げることができる。
【0017】光学式エンコーダを反射式のものとする場
合には、エンコーダスケールは、光の反射率の異なる光
高反射率面と、光低反射率面とが固定子長手方向に交互
に並んだものである。この場合、発光素子と光電変換素
子とは、いずれもエンコーダスケールのこれらの面が設
けられている面に臨むように、可動子上に配置する。可
動子の移動とともに、発光素子及び光電変換素子は、光
高反射率面と光低反射率面とに交互に臨むこととなり、
光電変換素子は発光素子から照射され、光高反射率面又
は光低反射率面によって反射された光の強度に応じた電
気信号を出力する。
【0018】光学式エンコーダを透過式のものとする場
合には、エンコーダスケールは、光の透過率の異なる光
高透過率面と、光低透過率面とが固定子長手方向に交互
に並んだものである。この場合、発光素子と光電変換素
子とは、エンコーダスケールを間に挟んで、それぞれこ
れらの面に臨むように可動子上に配置する。可動子の移
動とともに、発光素子及び光電変換素子は、光高透過率
面と光低透過率面とに交互に臨むこととなり、光電変換
素子は発光素子から照射され、光高透過率面又は光低透
過率面を透過する光の強度に応じた電気信号を出力す
る。
【0019】いずれにしても、光電変換素子から出力さ
れる電気信号は、通常、微弱なアナログ信号である。か
かる光電変換素子からの出力信号は、光学式エンコーダ
信号処理回路によって二値化処理(いわゆるデジタル化
処理)される。二値化処理は、入力される電気信号の代
表的には電圧値に基づき、大小いずれか一つの値をとる
電気信号を出力するものである。二値化処理は、例え
ば、入力電気信号と、所定のしきい値とを比較判断する
ことによって行うことができる。このような比較判断
は、例えばコンパレータを含む回路によって行うことが
できる。或いは、光電変換素子が、所定の基準値に対し
て互いに反転した二つの電気信号を出力する場合には、
二値化処理は、これら二つの出力信号を比較判断するこ
とによっても行うことができる。このような比較判断
は、例えば差動増幅器など用いて行うことができる。こ
のようにすると、光電変換素子の二つの出力信号にノイ
ズが重畳しても、かかるノイズの影響を抑制することが
できる。いずれにしても、ヒステリシス特性を持たせて
比較判断してもよい。また、光電変換素子の出力信号
を、二値化処理する前に、必要に応じて増幅処理などを
行ってもよい。なお、以上述べた二値化処理に関する記
載は、後述するリニアモータにおける二値化処理につい
ても同様である。
【0020】光学式エンコーダ信号処理回路による二値
化(デジタル化)処理は、固定子に沿って移動すること
ができる可動子上において行われる。光学式エンコーダ
信号処理回路は、可動子上に配置される電気回路基板に
形成することができる。前記発光素子及び前記エンコー
ダ用光電変換素子は、該電気回路基板上に配置してもよ
い。
【0021】光学式エンコーダ信号処理回路によって二
値化(デジタル化)された信号に基づき、前述のように
可動子の位置検出、速度検出、駆動制御を行うことがで
きる。このような位置検出等のための回路が、固定子に
沿って移動する可動子以外の定位置に配置される場合、
位置検出、速度検出、駆動制御のための回路にエンコー
ダ信号処理回路を、ハーネスによって接続して、該ハー
ネスによって光電変換素子から出力され、二値化された
信号を伝送すればよい。該ハーネスにより伝送される信
号は二値化(デジタル化)されているため、光電変換素
子から出力されるアナログ信号をそのまま伝送したり、
かかるアナログ信号を増幅してアナログ信号のまま伝送
したりする場合に比べて、ノイズの影響を抑制でき、そ
れだけ正確な情報伝達を行うことができる。したがっ
て、それだけ精度良く可動子の位置検出、速度検出、駆
動制御等を行うことができる。
【0022】光学式エンコーダ信号処理回路が形成され
る電気回路基板への入出力用ハーネスは、該電気回路基
板の前記固定子長手方向における端部から、該固定子長
手方向に引き出すようにすると、該ハーネスを引回しや
すくなる。なお、かかる入出力用ハーネスは、該電気回
路基板上に形成されるエンコーダ信号処理回路を含む回
路に電源電圧を供給したり、これらの回路から出力され
るエンコーダ信号などを可動子外の回路へ伝送するため
のものである。 (2) 第2のタイプのリニアモータは、前記のムービ
ングコイル型のリニアモータがさらに、前記固定子の長
手方向に延び、定位置に配置される磁気式エンコーダス
ケールと、前記可動子上の前記磁気式エンコーダスケー
ルに臨む位置に配置されるエンコーダ用磁電変換素子
と、前記エンコーダ用磁電変換素子の出力する電気信号
を二値化処理することができる磁気式エンコーダ信号処
理回路とを備えており、前記磁気式エンコーダ信号処理
回路は前記可動子上に配置されていることを特徴とする
リニアモータである。
【0023】磁気式エンコーダスケール、エンコーダ用
磁電変換素子及び磁気式エンコーダ信号処理回路によっ
て、いわゆる磁気式のエンコーダが構成される。かかる
磁気式エンコーダは、直線的に移動する可動子の位置検
出や、速度検出に利用できるほか、電機子コイルに通電
して可動子を駆動するときにおける駆動制御(例えば、
位置制御、速度制御、PLL制御等)に利用できる。磁
電変換素子としては、例えば、磁気抵抗素子(いわゆる
MR素子)、ホール素子を挙げることができる。
【0024】磁気式エンコーダスケールは、N極の磁極
とS極の磁極とが固定子長手方向に交互に並んだもので
ある。可動子の移動とともに、磁電変換素子は、N極の
磁極とS極の磁極とに交互に臨むこととなり、これらの
磁極が形成する磁界(磁界の強さ及び(又は)磁界の向
き(磁極の極性))に応じた電気信号を出力する。磁電
変換素子から出力される電気信号は、通常、アナログ信
号である。かかるアナログ信号は微弱な場合が多い。か
かる磁電変換素子からの出力信号は、磁気式エンコーダ
信号処理回路によって二値化処理(いわゆるデジタル化
処理)される。
【0025】二値化処理は、光学式エンコーダ信号処理
回路と同様にして行うことができる。この場合も、磁電
変換素子の出力信号を、二値化処理する前に、必要に応
じて増幅処理などを行ってもよい。磁気式エンコーダ信
号処理回路による二値化(デジタル化)処理は、固定子
に沿って移動することができる可動子上において行われ
る。磁気式エンコーダ信号処理回路は、可動子上に配置
される電気回路基板に形成することができる。前記エン
コーダ用磁電変換素子は、該電気回路基板上に配置して
もよい。
【0026】磁気式エンコーダ信号処理回路によって二
値化(デジタル化)された信号に基づき、前述のように
可動子の位置検出、速度検出、駆動制御を行うことがで
きる。このような位置検出等のための回路が、固定子に
沿って移動する可動子以外の定位置に配置される場合、
位置検出等のための回路にエンコーダ信号処理回路をハ
ーネス(ケーブル)によって接続して、該ハーネス等に
よって磁電変換素子から出力され、二値化された信号を
伝送すればよい。該ハーネスにより伝送される信号は二
値化(デジタル化)されているため、磁電変換素子から
出力されるアナログ信号をそのまま伝送したり、かかる
アナログ信号を増幅してアナログ信号のまま伝送したり
する場合に比べて、ノイズの影響を抑制でき、それだけ
正確な情報伝達を行うことができる。したがって、それ
だけ精度良く可動子の位置検出、速度検出、駆動制御等
を行うことができる。
【0027】磁気式エンコーダ信号処理回路が形成され
る電気回路基板への入出力用ハーネスは、該電気回路基
板の前記固定子長手方向における端部から、該固定子長
手方向に引き出すようにすると、該ハーネスを引回しや
すくなる。なお、かかる入出力用ハーネスは、該電気回
路基板上に形成されるエンコーダ信号処理回路を含む回
路に電源電圧を供給したり、これらの回路から出力され
るエンコーダ信号などを可動子外の回路へ伝送するため
のものである。 (3) 第3のタイプのリニアモータは、前記のムービ
ングコイル型のリニアモータがさらに、前記可動子上の
前記界磁マグネットに臨む位置に配置される界磁マグネ
ット用磁電変換素子と、前記界磁マグネット用磁電変換
素子の出力する電気信号を二値化処理することができる
界磁マグネット信号処理回路とを備えており、前記界磁
マグネット信号処理回路は前記可動子上に配置されてい
ることを特徴とするリニアモータである。
【0028】界磁マグネット用磁電変換素子は、可動子
の移動とともに、界磁マグネットのN極の磁極とS極の
磁極とに交互に臨むこととなり、これらの磁極が形成す
る磁界(磁界の強さ及び(又は)磁界の向き(磁極の極
性))に応じた電気信号を出力する。磁電変換素子から
出力される電気信号は、通常、アナログ信号となる。か
かるアナログ信号は微弱な場合が多い。かかる磁電変換
素子からの出力信号は、界磁マグネット信号処理回路に
よって二値化処理される。界磁マグネット用磁電変換素
子としては、例えばホール素子や、磁気抵抗素子を挙げ
ることができる。ホール素子を採用すると、磁極の極性
を検出することができる。ホール素子としては、例えば
InSb(インジウムアンチモン)系ホール素子、In
As(インジウムひ素)系ホール素子、GaAs(ガリ
ウムひ素)系ホール素子を挙げることができる。InS
b系ホール素子は、出力信号(ホール電圧)が大きくな
る。GaAs系ホール素子は、温度特性が良好になる。
界磁マグネット用磁電変換素子と界磁マグネット信号処
理回路とがワンパッケージ化(ワンチップ化)されたホ
ールICを利用してもよい。ホールICは、通常、二値
化処理回路を備えており、この他増幅処理回路などを含
んでいるものもある。
【0029】界磁マグネット用磁電変換素子から出力さ
れ、界磁マグネット信号処理回路によって二値化処理さ
れた電気信号は、代表的には、界磁マグネットの形成す
る磁界であって、電機子コイルに作用する磁界の向き及
び(又は)磁界の強さに応じた電流を電機子コイルに流
す場合において、かかる電機子コイルの通電制御に利用
できる。電機子コイルが2以上のコイルからなる場合に
は、これら各コイルそれぞれに作用する磁界の向き及び
(又は)磁界の強さを検出するために、界磁マグネット
用磁電変換素子は2以上配置されていてもよい。
【0030】界磁マグネット信号処理回路は、可動子上
に配置される電気回路基板に形成することができる。界
磁マグネット用磁電変換素子或いは前記のホールIC
も、該電気回路基板上に配置して、該電気回路基板に支
持させてもよい。かかる電気回路基板は、電機子コイル
に対する固定子長手方向における位置を調整できるよう
に可動子上に設けてもよい。このようにすると、固定子
長手方向における電機子コイルと界磁マグネット用磁電
変換素子との位置関係を所定の位置関係になるように容
易に調整できる。界磁マグネット用磁電変換素子として
前述のホール素子を採用する場合において、特に、Ga
As系ホール素子に比べて、出力信号が大きい反面温度
特性が悪いInSb系ホール素子を採用する場合には、
かかるホール素子は温度の影響の少ない位置に配置する
ことが好ましい。固定子が水平方向に延びている場合に
は、ホール素子、或いはホール素子を支持する電気回路
基板を前記可動子上の鉛直方向下側であって、電機子コ
イルより鉛直方向下側に配置すると、通電により発熱す
る電機子コイルからの熱の影響を抑制することができ
る。
【0031】界磁マグネット信号処理回路によって二値
化(デジタル化)された信号に基づき、前述のように電
機子コイルの通電制御を行うことができる。このような
通電制御のための回路が、固定子に沿って移動する可動
子以外の定位置に配置される場合、通電制御のための回
路に界磁マグネット信号処理回路をハーネス(ケーブ
ル)によって接続して、該ハーネスによって界磁マグネ
ット用磁電変換素子から出力され、二値化された信号を
伝送すればよい。該ハーネスにより伝送される信号は、
二値化(デジタル化)されているため、磁電変換素子か
ら出力されるアナログ信号をそのまま伝送したり、かか
るアナログ信号を増幅してアナログ信号として伝送した
りする場合に比べて、ノイズの影響を抑制でき、それだ
け正確な情報伝達を行うことができる。したがって、そ
れだけ精度良く通電制御を行うことができ、可動子を精
度良く駆動することができる。
【0032】界磁マグネット信号処理回路が形成される
電気回路基板への入出力用ハーネスは、該電気回路基板
の前記固定子長手方向における端部から、該固定子長手
方向に引き出すようにすると、該ハーネスを引回しやす
くなる。なお、かかる入出力用ハーネスは、該電気回路
基板上に形成される界磁マグネット信号処理回路を含む
回路に電源電圧を供給したり、これらの回路から出力さ
れるエンコーダ信号などを可動子外の回路へ伝送するな
どのためのものである。
【0033】本発明は、前記課題、特に前記第3の課題
を解決するために、前記ムービングコイル型のリニアモ
ータであって、次の第4のタイプのリニアモータを提供
する。 (4) 第4のタイプのリニアモータは、前記ムービン
グコイル型のリニアモータにおいて、前記電機子コイル
が2以上の単コイルからなり、該各コイルは前記可動子
上に配置される電気回路基板に電気的に接続されてお
り、該各コイルは該電気回路基板によって所定の結線状
態に結線されていることを特徴とするリニアモータであ
る。
【0034】所定の結線状態としては、例えば、電機子
コイルが三つのコイルを一組とするコイル群を一組又は
複数組備えている場合において、これら各コイルがスタ
ー結線された状態である。三つのコイルを一組とするコ
イル群について複数組をスター結線するときには、並列
接続と組み合わせてスター結線すればよい。各コイル
は、かかる所定の結線状態を達成すべく形成された配線
パターンが形成されている電気回路基板に、電気的に接
続されて、所定の結線状態に結線されている。
【0035】これにより、電気回路基板を用いずに、各
コイルを半田付け等によって所定の結線状態にする場合
に比べて、容易に所定の結線状態にすることができる。
また、各コイルの結線状態を間違えることも少なくな
る。さらに、電機子コイルに通電して可動子を駆動する
ための回路(通電駆動回路)が、固定子に沿って移動す
る可動子外の定位置に配置される場合、電機子コイルの
各コイルを該通電駆動回路に接続するための、可動子上
の電機子コイルと可動子外の通電駆動回路とを結ぶハー
ネスのケーブル数を減らすことができる。
【0036】電機子コイルの各コイルを所定の結線状態
にするための電気回路基板への入出力用ハーネスは、該
電気回路基板の固定子長手方向における端部から、該固
定子長手方向に引き出すようにすると、かかるハーネス
を引き回しやすくなる。かかる入出力用ハーネスは、電
機子コイルの各コイルと通電駆動回路とを結ぶためなど
のハーネスである。
【0037】上記(1)から(4)において述べたリニ
アモータは、組み合わせてもよい。そのようなリニアモ
ータを次に説明する。 (5) 前記ムービングコイル型のリニアモータが、前
記可動子上の前記界磁マグネットに臨む位置に配置され
る1又は2以上の界磁マグネット用磁電変換素子を備え
ており、前記界磁マグネット用磁電変換素子は、前記可
動子上に配置される電気回路基板に支持されていること
を特徴とするリニアモータである。
【0038】このリニアモータにおいては、前述のよう
に、界磁マグネット用磁電変換素子を支持する電気回路
基板を、電機子コイルに対する固定子長手方向における
位置が調整できるように前記可動子上に設けると、固定
子長手方向における界磁マグネット用磁電変換素子と界
磁マグネットとの位置関係を所定の位置関係に容易に調
整することができる。
【0039】界磁マグネット用磁電変換素子の出力する
電気信号を二値化処理することができる界磁マグネット
信号処理回路を設けるときには、該界磁マグネット信号
処理回路を前記可動子上に配置すると、前述のようにノ
イズの影響を受けにくくなる。かかる界磁マグネット信
号処理回路は、界磁マグネット用磁電変換素子が支持さ
れる前記電気回路基板に形成してもよい。或いは、かか
る電気回路基板とは別の回路基板に形成してもよい。
【0040】前述のように、界磁マグネット用磁電変換
素子としては、ホール素子や磁気抵抗素子を挙げること
ができる。界磁マグネット用磁電変換素子の出力する電
気信号は、電機子コイルの通電制御に利用できる。界磁
マグネット用磁電変換素子及び二値化処理をすることが
できる界磁マグネット信号処理回路として、ホールIC
を採用してもよい。
【0041】固定子が水平方向に延びている場合には、
前記界磁マグネット用磁電変換素子を支持する電気回路
基板を前記可動子上の鉛直方向下側であって、電機子コ
イルより鉛直方向下側に配置すると、通電により発熱す
る電機子コイルからの熱の影響を抑制することができ
る。電機子コイルが2以上の単コイルからなる場合に
は、該各コイルを前記界磁マグネット用磁電変換素子を
支持する電気回路基板に電気的に接続して、該各コイル
は、該電気回路基板によって所定の結線状態に結線して
もよい。
【0042】前記固定子の長手方向に延び、定位置に配
置される光学式エンコーダスケールと、前記可動子上の
前記光学式エンコーダスケールに臨む位置に配置される
発光素子と、前記可動子上の前記光学式エンコーダスケ
ールに臨む位置に配置されるエンコーダ用光電変換素子
と、前記エンコーダ用光電変換素子の出力する電気信号
を二値化処理することができる光学式エンコーダ信号処
理回路とを設ける場合には、前記光学式エンコーダ信号
処理回路を、前記可動子上に配置すると、光学式エンコ
ーダによる可動子の位置検出等へのノイズの影響を抑制
できる。かかる光学式エンコーダ信号処理回路は、前記
界磁マグネット用磁電変換素子を支持する電気回路基板
に形成してもよい。発光素子及びエンコーダ用光電変換
素子も、前記界磁マグネット用磁電変換素子を支持する
電気回路基板上に配置して、該電気回路基板により支持
されるようにしてもよい。
【0043】前記固定子の長手方向に延び、定位置に配
置される磁気式エンコーダスケールと、前記可動子上の
前記磁気式エンコーダスケールに臨む位置に配置される
エンコーダ用磁電変換素子と、前記エンコーダ用磁電変
換素子の出力する電気信号を二値化処理することができ
る磁気式エンコーダ信号処理回路とを設ける場合には、
前記磁気式エンコーダ信号処理回路は、前記可動子上に
配置すると、磁気式エンコーダによる可動子の位置検出
等へのノイズの影響を抑制できる。かかる磁気式エンコ
ーダ信号処理回路は、前記界磁マグネット用磁電変換素
子を支持する電気回路基板に形成してもよい。エンコー
ダ用磁電変換素子も、前記界磁マグネット用磁電変換素
子を支持する電気回路基板上に配置して、該電気回路基
板により支持されるようにしてもよい。
【0044】このように、界磁マグネット用磁電変換素
子が配置される電気回路基板、或いは界磁マグネット用
磁電変換素子と、電機子コイルの各コイルを所定の結線
状態にするための配線パターン、界磁マグネット信号処
理回路、光学式エンコーダ信号処理回路、発光素子、エ
ンコーダ用光電変換素子、磁気式エンコーダ信号処理回
路及びエンコーダ用磁電変換素子のうち1又は2以上が
配置又は形成される電気回路基板への入出力用ハーネス
を、該電気回路基板の前記固定子長手方向における端部
から、該固定子長手方向に引き出すようにすると、該入
出力用ハーネスを引き回しやすくなる。
【0045】電機子コイルが、3つのコイルを1組とす
るコイル群を複数組有しており、これら各コイルは前記
界磁マグネットの磁極の幅に基づき前記固定子長手方向
において所定の位置関係になるように配置されており、
前記界磁マグネット用磁電変換素子は前記電気回路基板
上に3つ配置されている場合には、該3つの各界磁マグ
ネット用磁電変換素子は、複数組あるコイル群のうち前
記入出力用ハーネスが引き出される端部に最も近い組の
コイル群の各コイルが臨む位置にある前記磁極に臨むよ
うに配置してもよい。このようにすると、各界磁マグネ
ット用磁電変換素子と、これら界磁マグネット用磁電変
換素子の出力信号が二値化するための界磁マグネット信
号処理回路が、可動子外に配置されるときにおいても、
各界磁マグネット用磁電変換素子と界磁マグネット信号
処理回路との距離を短くすることができ、それだけノイ
ズの影響を抑制できる。
【0046】前記電気回路基板を片面基板とすると、両
面基板にするよりも低コストにできる。前記電気回路基
板を両面基板とすると、同じ面積の片面基板に比べて実
装可能な面積はほぼ2倍となるため、それだけ基板面積
を小さく、コンパクトにできる。
【0047】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。図1、図2及び図3に本発明に係
るリニアモータの一例を示す。図1は該リニアモータの
概略斜視図である。図2は該リニアモータの概略側面図
であり、一部を断面で示すものである。図3は該リニア
モータの図2に示すA−A線に沿う概略断面図である。
【0048】図1から図3に示すリニアモータLM1
は、いわゆるシャフト型のリニアモータである。リニア
モータLM1は、次に述べるように界磁用のマグネット
が形成されている直線棒状のシャフト部材10と、これ
に外嵌する電機子コイル21とを有している。リニアモ
ータLM1は、界磁マグネットが形成されたシャフト部
材10を定位置に配置する固定子とし、電機子コイル2
1を固定子に沿って移動させる可動子の主要部とする、
いわゆるムービングコイル型のリニアモータである。リ
ニアモータLM1は、さらにシャフト部材10と平行に
配置されるエンコーダスケール31を有している。
【0049】シャフト部材10は、機械加工可能且つ着
磁可能の材料(例えば、Fe−Cr−Co系金属、マン
ガンアルミニウム(MnAl))からなる。シャフト部
材10は断面が円形に形成されており、その表面は平滑
に加工形成されている。シャフト部材10は、その長手
方向に沿って図4に示すような等ピッチの好ましくはほ
ぼ矩形の磁束分布となるように着磁されている。これに
より、シャフト部材10には、その長手方向に沿ってN
極とS極の磁極が同じ磁極幅(固定子長手方向の長さ)
で交互に並んだ界磁マグネット11が形成されている。
界磁マグネット11の各磁極の固定子長手方向の幅Pm
は、本例では30mmである。
【0050】シャフト部材10は、水平方向に延びるよ
うにその両端部を図示を省略した支持手段によって支持
され、定位置に配置されている。このように定位置に配
置され、界磁マグネット11が形成されたシャフト部材
10は、リニアモータLM1の固定子1を構成してい
る。電機子コイル21は、本例では、U、V及びW相の
3つのコイルを1組とするコイル群を2組有しており、
第1組のコイル群、第2組のコイル群の順に、固定子長
手方向に配置されている。第1組のコイル群は、コイル
U1、LV1及びLW1からなり、この順に固定子長手方向
に配置されている。第2組のコイル群は、コイルLU2
V2及びLW2からなり、この順に固定子長手方向に配置
されている。いずれの組の各コイルもリング状であり、
固定子1に外嵌するように配置されている。これらコイ
ルは、本例では、それぞれ磁極ピッチPm の1/3の幅
に形成されている。これらコイルのうちいずれの隣合う
二つのコイルも、それらの中心位置が固定子長手方向に
m /3ずつずらして配置されている。電機子コイル2
1を構成するこれら各コイルは、それには限定されない
が、本例ではその外周面を接着剤によってコーティング
するようにして固着されており、一体化されている。
【0051】電機子コイル21は、固定子1に外嵌し、
一つの面(下側の面)が開口する中空直方体状のフレー
ム22の中空部分に内蔵されており、フレーム22の内
周面に支持されている。電機子コイル21とフレーム2
2とは一体化している。フレーム22には、その固定子
長手方向における両端部に、固定子1に外嵌し、摺動可
能な軸受け221が設けられており、かかる軸受け22
1によって、一体化された電機子コイル21とフレーム
22とは固定子1に沿って滑らかに移動できる。一体化
された電機子コイル21とフレーム22とは、リニアモ
ータLM1の可動子2を構成している。
【0052】電機子コイル21の各コイルの両端子21
1は、これら各コイルを所定の結線状態にするための配
線パターンに電気的に接続されている。かかる配線パタ
ーンは電気回路基板23に形成されている。なお、電気
回路基板23に形成されている配線パターン及び各コイ
ルにより形成される電気回路については後述する。電気
回路基板23は、フレーム22の開口する下側の面を覆
うように、可動子2のフレーム22に取り付けられてい
る。
【0053】電機子コイル21の各コイルと界磁マグネ
ット11の磁極との固定子長手方向における位置関係を
検出し、その位置と各コイルが対向する界磁マグネット
11の磁極の極性とに応じてコイル通電を行うために、
磁極の極性に応じた電気信号を出力することができる磁
電変換素子の一種であるホール素子が次の位置に配置さ
れている。すなわち、固定子1の長手方向において、コ
イルLU1の中心位置から図2中右側にPm /6ずらした
位置にホール素子h1 が配置されている。同様に、コイ
ルLV1の中心位置から図2中右側にPm /6ずらした位
置にホール素子h2 が配置されており、コイルLW1の中
心位置から図2中右側にPm /6ずらした位置にホール
素子h3 が配置されている。
【0054】これらホール素子は、前述の電気回路基板
23に支持されている。さらに言うと、これらホール素
子は、電気回路基板23の界磁マグネット11に臨む側
の面において支持されている。電気回路基板23には、
図5に示すようにその四隅に孔231が設けられてい
る。これら孔231を通して、ネジSをフレーム22に
螺合させることによって、前述のように電気回路基板2
3はフレーム22に取り付けられている。孔231は、
固定子長手方向に延びる長孔であり、これにより電気回
路基板23の固定子長手方向におけるフレーム22に対
する取付け位置を調整することができる。これらによ
り、ホール素子h1 、h2 、h3 の固定子長手方向にお
けるコイルLU1、LV1、LW1に対する位置関係を、上記
の位置関係になるように容易に調整することができる。
なお、電気回路基板23には、これら各ホール素子の出
力信号を二値化処理などする界磁マグネット信号処理回
路が形成されており、これら各ホール素子の出力信号ラ
インはかかる界磁マグネット信号処理回路に接続されて
いる。かかる界磁マグネット信号処理回路については後
述する。
【0055】エンコーダスケール31は、本例では光学
式のものであり、図1に示すように、光の反射率の異な
る二つの面、すなわち光高反射率面311と光低反射率
面312とが交互に固定子長手方向に並んだものであ
る。本例においては、これら反射率の異なる二つの面は
100μmピッチにて固定子長手方向に並んでいる。エ
ンコーダスケール31は、両端部を図示を省略した支持
手段により支持され、可動子2の鉛直方向下側の定位置
に配置されている。
【0056】可動子2上には、エンコーダスケール31
に臨む位置に光センサ41が配置されている。さらに詳
しく言うと、光センサ41は、可動子2のフレーム22
に取り付けられている電気回路基板23のホール素子h
1 、h2 、h3 が配置されている面とは反対側の下側の
面上に配置されている。光センサ41は、本例では、エ
ンコーダスケール31に向けて光を照射する発光素子
(本例では発光ダイオード)411と、発光素子411
から照射され、スケール31により反射された光を受光
して、その光量に応じた電気信号を出力することができ
る光電変換素子の一つであるフォトダイオード412と
を含んでいる。なお、電気回路基板23には、フォトダ
イオード412の出力信号を二値化処理などするエンコ
ーダ信号処理回路が形成されており、フォトダイオード
412の出力信号ラインはかかるエンコーダ信号処理回
路に接続されている。かかるエンコーダ信号処理回路に
ついては後述する。
【0057】図6に、電気回路基板23に形成されてい
る電気的な回路の概略ブロック図を示す。図6は、リニ
アモータLM1の電機子コイル21に通電して、可動子
2を駆動制御するための、電気回路基板23上の電気回
路を含む回路の概略ブロック図である。図6に示すリニ
アモータLM1の通電駆動制御回路は、可動子2上の電
気回路基板23に形成されている回路と、可動子2外の
モータ駆動制御回路6とを有している。モータ駆動制御
回路6は、固定子1に沿って移動する可動子2外の定位
置に配置されている。
【0058】電気回路基板23上の回路とモータ駆動制
御回路6とは、ハーネス71により接続されている。ハ
ーネス71は、雌雄一対のコネクタ72によって電気回
路基板23に接続されている。なお、次に述べる電気回
路基板23に形成されているエンコーダ信号処理回路や
界磁マグネット信号処理回路等への電源電圧供給も、ハ
ーネス71を通じて行われる。
【0059】前述のように電気回路基板23において
は、電機子コイル21の各コイルが、電気回路基板23
に形成されている配線パターンによって所定の結線状態
に結線されている。また、電気回路基板23には、光セ
ンサ41のフォトダイオード412からの出力信号を二
値化することができるエンコーダ信号処理回路51、及
びホール素子h1 、h2 、h3 の各出力信号を二値化す
ることができる界磁マグネット信号処理回路52が形成
されている。
【0060】電機子コイル21の第1組のU相コイルL
U1、V相コイルLV1及びW相コイルLW1と、第2組のU
相コイルLU2、V相コイルLV2、W相コイルLW2とは、
次のように結線されている。すなわち、各組のU相コイ
ル同士、V相コイル同士、W相コイル同士はそれぞれ並
列に接続されており、そしてこれら並列に接続されたコ
イルがスター結線されている。なお、図中各コイル横の
黒丸は、固定子1に対する巻き線方向の違いを示してい
る。電流の流れる向きのコイル入口側に黒丸が描かれて
いるときと、電流の流れる向きのコイル出口側に黒丸が
描かれているときとでは、固定子1に対する電流の流れ
る方向は反対になる。
【0061】各コイルを半田付け等によって上記の結線
状態にする場合に比べて、本例のように電気回路基板2
3に設けた配線パターンによって結線すると、容易に上
記の結線状態にすることができる。各コイルを半田付け
等によって上記の結線状態にするときには、結線箇所に
よっては何本もの線が集まって、結線しにくく、作業が
難しい。また、電気回路基板23を用いて結線したこと
によって、各コイルの結線を間違えることも少なくな
る。
【0062】さらに、可動子2上において、上記の結線
をしてしまうため、可動子2外において上記の結線をす
る場合に比べて、移動する可動子2と、定位置のモータ
駆動制御回路6とを結ぶハーネス71の線数(ケーブル
数)を減らすことができる。これにより、ハーネス71
を引き回しやすくなる。エンコーダ信号処理回路51
は、光センサ41のフォトダイオード412から出力さ
れる電気信号を二値化処理してデジタル信号(二値信
号)に変換するための回路である。エンコーダ信号処理
回路51を図7に示す。
【0063】前記光センサ41は、発光素子411とフ
ォトダイオード412とがワンパッケージ化されたもの
であり、光電変換素子であるフォトダイオード412を
二つ有している。これら二つのフォトダイオード412
は、互いに90°位相のずれた信号を出力するように、
固定子長手方向においてエンコーダスケール31のピッ
チの1/2ずらして配置されている。なお、図2におい
ては、フォトダイオード412の一つは図示が省略され
ている。そして、光センサ41からは、互いに90°位
相のずれた信号として、A相信号とB相信号とが出力さ
れる。また、光センサ41からは、これらA相信号、B
相信号と互いに反転した信号が、それぞれA/相信号、
B/相信号として出力される。A相信号とA/相信号と
は、コンパレータ511によって二値化され、デジタル
信号に変換される。B相信号とB/相信号とは、コンパ
レータ512によって二値化され、デジタル信号に変換
される。なお、コンパレータ511、512は、本例で
は日本電気(株)製、μPC393を採用している。
【0064】エンコーダ信号処理回路51によって二値
化(デジタル化)された信号に基づき、可動子2の位置
検出、速度検出、駆動制御を行うことができる。本例に
おいては、モータ駆動制御回路6において後述するよう
にPLL制御(位相同期制御)に利用される。可動子2
上のエンコーダ信号処理回路51と、モータ駆動制御回
路6とを接続するハーネス71によって伝送される信号
は、二値化(デジタル化)されているため、光センサ4
1から出力されるアナログ信号をそのまま伝送したり、
かかるアナログ信号を増幅してアナログ信号のまま伝送
したりする場合に比べて、ノイズの影響を抑制でき、そ
れだけ正確な情報伝達を行うことができる。したがっ
て、それだけ精度良く位置検出等を行うことができる。
【0065】なお、かかるノイズ源としては、例えば次
のものを挙げることができる。エンコーダ信号を伝送す
るケーブルを含むハーネス71には、電機子コイル21
の各コイルに通電するためのケーブルが含まれており、
かかる電機子コイル21への通電のためのケーブルに
は、エンコーダ信号等に比べ大電流が流れるため、ま
た、かかる電機子コイル21への通電のためのケーブル
は、エンコーダ信号を伝送するためのケーブルと並行し
て引き回されるため、ノイズ源となる。また、リニアモ
ータを例えば、原稿画像を光学的に走査して読み取るた
めの画像読み取り装置において、光学部品を搭載するス
ライダを直線的に移動させるのに利用する場合、かかる
光学部品として搭載される蛍光灯を点灯するためのイン
バータ回路はノイズ源となる。また、かかる画像読み取
り装置が各種情報を表示するための液晶表示装置を備え
ている場合には、液晶表示装置の表示回路もノイズ源と
なる。
【0066】界磁マグネット信号処理回路52は、ホー
ル素子h1 、h2 、h3 から出力される各電気信号を二
値化処理してデジタル信号に変換するための回路であ
る。界磁マグネット信号処理回路52を図8に示す。本
例においては、ホール素子h1 の出力信号は、増幅器5
21により増幅され、シュミットトリガ回路522によ
りヒステリシス特性を持たせて二値化して、トランジス
タ523を介して界磁マグネット信号として出力され
る。なお、ホール素子h1 には安定化電源524を介し
て電源電圧が供給されている。界磁マグネット信号処理
回路52は、このような回路を各ホール素子に対して有
している。
【0067】界磁マグネット信号処理回路52によって
二値化(デジタル化)された界磁マグネット信号に基づ
き、本例では、後述するようにモータ駆動制御回路6に
おいて電機子コイル21への通電制御が行われる。可動
子2上の界磁マグネット信号処理回路52と、モータ駆
動制御回路6とを接続するハーネス71によって伝送さ
れる信号は、二値化(デジタル化)されているため、各
ホール素子から出力されるアナログ信号をそのまま伝送
したり、かかるアナログ信号を増幅してアナログ信号の
まま伝送したりする場合に比べて、ノイズの影響を抑制
でき、それだけ正確な情報伝達を行うことができる。し
たがって、それだけ精度良く駆動制御を行うことができ
る。
【0068】ホール素子と界磁マグネット信号処理回路
に代えて、これらがワンチップ化(ワンパッケージ化)
されたホールICを採用してもよい。例えば、図8に示
すホール素子と界磁マグネット信号処理回路とを含むホ
ールICとして、松下電器産業(株)製、DN6846
Sを採用することができる。ホールICを採用しても、
ハーネス71中を伝送される信号は、二値化されている
ため、ノイズの影響を抑制できる。
【0069】図9に、モータ駆動制御回路6の内部構成
の一例の概略ブロック図を示す。図9のモータ駆動制御
回路6は、リニアモータ可動子2の目的とする速度に応
じた周波数の基準クロック信号を出力するコンピュータ
61を有し、該基準クロック信号はPLL制御回路部
(位相同期制御回路部)62に入力される。PLL制御
回路部62には、さらに、光センサ41から出力され、
エンコーダ信号処理回路51により二値化されたエンコ
ーダ信号が、可動子2の実際の移動速度を示す信号とし
てフィードバック入力される。
【0070】PLL制御回路部62においては、コンピ
ュータ61からの基準クロック信号と移動速度を示すエ
ンコーダ信号との位相差に応じた信号が補償回路部63
に出力される。補償回路部63においては、伝達系の進
み遅れ補償が行われ、基準クロック信号と移動速度信号
との位相差に応じた補償された信号は、通電制御回路部
64に入力される。
【0071】通電制御回路部64は、かかる補償された
信号に応じた一定電流を、各ホール素子から出力され、
界磁マグネット信号処理回路によって二値化された界磁
マグネット信号に基づき、換言すれば、各ホール素子の
検出する界磁マグネット11の磁極の極性に基づき、図
10及び図11に示すタイミングにて各コイルに通電す
る。これにより、各相のコイルには、目的とする速度に
応じた基準クロック信号と可動子2の実際の移動速度に
応じた信号との、位相を合わせるような電流が流される
ため、可動子2を目的とする速度にて駆動することがで
きる。
【0072】なお、図10は、可動子2を図2中左方向
に駆動するときの各コイルへの通電タイミングを示して
おり、図11は、可動子2を図2中右方向に駆動すると
きの各コイルへの通電タイミングを示している。このよ
うなタイミングにて通電すると、各コイルには、それぞ
れそのコイルの固定子1長手方向における中心位置が、
界磁マグネット11の磁極の該方向における駆動方向上
流端よりPm /6駆動方向に進んだ位置から、さらに2
m /3駆動方向に進んだ位置までの間、そのコイルが
対向する磁極の極性に応じて、そのコイルが駆動方向に
電磁力を発生する向きの一定電流が流されることにな
る。したがって、各コイルに通電されるときには、その
コイルの全ての部分が一方の極性の磁極(N極又はS
極)に対向する位置にあり、N極及びS極の両極に跨が
っていない。これにより、各コイルに通電される電流
は、可動子2を駆動したい方向とは逆の方向に駆動する
推力には変換されず、全てが可動子2を駆動したい方向
に駆動する推力に変換されるので、効率がよい。また、
同様の理由により、可動子2が固定子1に沿って移動す
るとき、その推力の変動もほとんどない。
【0073】前述のようにPLL制御部62に入力され
るエンコーダ信号及び通電制御部64に入力される界磁
マグネット信号は、ハーネス71による信号伝送途中に
おいてノイズの影響を受けにくいため、それだけこれら
の入力信号に基づき精度のよい駆動制御を行うことがで
きる。また、これらの信号はハーネス71による信号伝
送途中においてノイズの影響を受けにくいため、ハーネ
ス長を長くすることができ、それだけ可動子2の可動長
を大きくすることができる。
【0074】また、ホール素子h1 、h2 、h3 が配置
される電気回路基板23は、前述のように基板23に設
けた長孔231によって固定子長手方向における電機子
コイル23に対する位置を調整して、上記の位置に正確
に合わせることができるので、これらホール素子によっ
て、通電を開始すべき位置である各コイルの固定子1長
手方向における中心位置が、界磁マグネット11の磁極
の該方向における駆動方向上流端よりPm /6駆動方向
に進んだ位置、及び通電を停止すべき位置であるさらに
2Pm /3駆動方向に進んだ位置を正確に検出すること
ができる。電機子コイル21の各コイルと各ホール素子
との固定子長手方向における位置関係が前記した位置関
係からずれていると、各コイルにはN極とS極の両極に
跨がっているときに通電されてしまうときがあり、推力
変動が大きくなって、リニアモータを精度良く駆動でき
ない。
【0075】電気回路基板23とモータ駆動制御回路6
とを接続するハーネス71は、図2に示すように、固定
子長手方向、換言すれば可動子移動方向に引き出されて
いるため、ハーネス71は引き回しやすく、ハーネス7
1に無理な力がかかったりして、ハーネス71が切れた
りすることが抑制でき、それだけ長期にわたり安定して
信号伝送等を行うことができる。このようにハーネス7
1を可動子移動方向に引出しやすくするために、コネク
タ72は電気回路基板23上において、可動子移動方向
における端部に設けられている。
【0076】電気回路基板23は、可動子2の鉛直方向
下側、さらに言うと、電機子コイル21の下側に配置さ
れているため、通電によって発熱する電機子コイル21
からの熱による電気回路基板23上の電子部品、電気回
路への影響を抑制できる。本例のように、ホール素子が
電機子コイル21の外周側に配置され、ホール素子が電
機子コイル21の内周側に配置されるときに比べて、界
磁マグネット11から遠い位置に配置されている場合に
は、ホール素子として、GaAs系ホール素子に比べて
出力信号が大きいInSb系ホール素子が採用されるこ
とがある。この場合、GaAs系ホール素子に比べてI
nSb系ホール素子は、出力信号が大きい反面温度特性
が悪いが、上記のようにホール素子は、電機子コイル2
1からの熱の影響を受けがたい位置に配置されるため、
ホール素子によりそれだけ精度のよい磁極の極性検出を
行うことができる。
【0077】電気回路基板23としては、いわゆる両面
基板を採用したため、前述のようにホール素子h1 、h
2 、h3 と、光センサ41とをそれぞれ基板23の表裏
の各面に配置することができる。これにより、基板23
はコンパクトにすることができ、それだけ可動子2全体
をコンパクト化することができる。電気回路基板23と
しては、片面基板を採用してもよい。片面基板にする
と、基板23を低コストにできる。基板23を片面基板
にするときには、例えば図12に示すようにホール素
子、光センサ、エンコーダスケールを基板片面に配置す
ればよい。ホール素子は、電気回路基板23の図2等に
示す位置と同様の位置に配置されており、光センサ41
は、基板23のホール素子が配置されている面と同じ側
の面に配置されている。この場合もエンコーダスケール
31は、固定子1と平行に、光センサ41に臨む位置に
配置されている。
【0078】エンコーダとしては、光学式で反射式のエ
ンコーダを採用したが、透過式のものを採用してもよ
い。また、磁気式のエンコーダを採用してもよい。エン
コーダを磁気式とする場合には、エンコーダスケール
は、N極の磁極とS極の磁極とが固定子長手方向に交互
に並ぶものとし、光センサに代えて、磁気抵抗素子(M
R素子)等の磁電変換素子を採用すればよい。磁気抵抗
素子の出力信号を二値化するための回路の一例を図13
に示す。
【0079】図13に示すMR素子530からは180
°位相の異なる二つの信号が出力される。かかる二つの
信号は、差動増幅器531により差動増幅され、コンパ
レータ532により二値化されてデジタル信号に変換さ
れる。以上の説明においては、可動子2上に配置する電
気回路基板23によって、電機子コイルの各コイルの
結線、界磁マグネットの磁極を検出するためのホール
素子の支持、かかるホール素子の出力信号の二値化処
理、エンコーダ用のセンサの支持、エンコーダ用の
センサからの出力信号の二値化処理などを行うものとし
た。これらは、一つの基板ではなく、可動子2上の別々
の電気回路基板によって行ってもよい。また、可動子2
上に配置する1又は2以上の電気回路基板に、上記〜
の全ての機能ではなく、1又は2以上の機能だけ持た
せるようにしても、それぞれ上記述べた効果を達成する
ことができる。
【0080】例えば、図14に示すリニアモータLM2
においては、可動子2上に配置される電気回路基板24
によって、電機子コイル21の各コイルの結線及びホー
ル素子h1 、h2 、h3 の支持が行われている。基板2
4は、固定子長手方向における位置が調整できるように
フレーム22に取り付けられている。なお、図1から図
3に示すリニアモータLM1と実質的に同じ作用、機能
の部品には同じ参照符号を付してある。
【0081】可動子2上の電気回路基板24により電機
子コイル21の各コイルを結線したことによって、前述
のように、ハーネス71の線数を少なくできるととも
に、各コイルの結線作業が容易になる。また、ハーネス
による結線が少ないので、可動子の動作信頼性も向上す
る。また、ホール素子を、固定子長手方向における位置
の調整が可能な電気回路基板24により支持したことに
よって、各ホール素子と電機子コイルの各コイルとの位
置関係を所定の位置関係に容易に調整できる。
【0082】リニアモータLM2のように、可動子2上
の電気回路基板24において、ホール素子の出力信号を
二値化処理しないときには、各ホール素子を、固定子長
手方向において基板24のハーネス71が引き出される
端部に近い組のコイル群、すなわち本例においては第1
組コイル群LU1、LV1、LW1に対して設けると、ハーネ
ス71が接続されたコネクタ72までの、各ホール素子
の出力信号伝送配線パターン長を短くできるため、それ
だけノイズの影響を抑制できる。
【0083】
【発明の効果】本発明によると、N極の磁極とS極の磁
極とが所定方向に直線状に交互に並ぶ界磁マグネットを
有する固定子と、前記界磁マグネットに臨む電機子コイ
ルを有し、前記固定子に沿って移動することができる可
動子とを備えるタイプのリニアモータ、換言すれば、い
わゆるムービングコイル型のリニアモータであって、動
作信頼性の高いリニアモータを提供することができる。
【0084】また、本発明によると、上記ムービングコ
イル型のリニアモータであって、電機子コイルの通電制
御のために可動子上に配置される界磁マグネット用のセ
ンサやエンコーダ用のセンサからの出力電気信号が、可
動子から引き出されるハーネスによって伝送される途中
においてノイズにより影響されるのを抑制して、精度よ
く可動子を駆動することができ、それだけ動作信頼性の
高いリニアモータを提供することができる。
【0085】また、本発明によると、上記ムービングコ
イル型のリニアモータであって、可動子から引き出され
るハーネスのケーブル数を少なくでき、ハーネスの引き
回しが容易であり、それだけ動作信頼性が高いリニアモ
ータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るリニアモータの一例の概略斜視図
である。
【図2】図1のリニアモータの一部断面概略側面図であ
る。
【図3】図2に示すA−A線に沿うリニアモータの概略
断面図である。
【図4】界磁マグネットが形成する固定子長手方向にお
ける磁束分布の一例である。
【図5】電気回路基板を可動子のフレームに取り付ける
様子を示す図である。
【図6】リニアモータの駆動制御回路の一例の概略ブロ
ック図である。
【図7】エンコーダ信号処理回路の一例である。
【図8】界磁マグネット信号処理回路の一例である。
【図9】モータ駆動回路の一例の概略ブロック図であ
る。
【図10】図2のリニアモータの可動子を図2中左方向
に駆動するときの、各ホール素子の検出磁極と、各コイ
ルへの通電タイミングとの関係を示す図である。
【図11】図2のリニアモータの可動子を図2中右方向
に駆動するときの、各ホール素子の検出磁極と、各コイ
ルへの通電タイミングとの関係を示す図である。
【図12】本発明に係るリニアモータの他の例の概略断
面図である。
【図13】エンコーダ信号処理回路の他の例である。
【図14】本発明に係るリニアモータのさらに他の例の
概略側面図である。
【符号の説明】
1 固定子 10 シャフト部材 11 界磁マグネット 2 可動子 21 電機子コイル 22 フレーム 221 軸受け 23、24 電気回路基板 31 光学式エンコーダスケール 41 光センサ 411 発光素子 412 フォトダイオード(光電変換素子) 51 エンコーダ信号処理回路 52 界磁マグネット信号処理回路 6 モータ駆動制御回路 h1 、h2 、h3 ホール素子(磁電変換素子) 71 ハーネス 72 コネクタ

Claims (29)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】N極の磁極とS極の磁極とが所定方向に直
    線状に交互に並ぶ界磁マグネットを有する固定子と、前
    記界磁マグネットに臨む電機子コイルを有し、前記固定
    子に沿って移動することができる可動子とを備えるリニ
    アモータであって、 前記固定子の長手方向に延び、定位置に配置される光学
    式エンコーダスケールと、 前記可動子上の前記光学式エンコーダスケールに臨む位
    置に配置される発光素子と、 前記可動子上の前記光学式エンコーダスケールに臨む位
    置に配置されるエンコーダ用光電変換素子と、 前記エンコーダ用光電変換素子の出力する電気信号を二
    値化処理することができる光学式エンコーダ信号処理回
    路とを備え、 前記光学式エンコーダ信号処理回路は前記可動子上に配
    置されていることを特徴とするリニアモータ。
  2. 【請求項2】前記光学式エンコーダ信号処理回路は前記
    可動子上に配置される電気回路基板に形成されており、
    前記発光素子及び前記エンコーダ用光電変換素子は該電
    気回路基板上に配置されている請求項1記載のリニアモ
    ータ。
  3. 【請求項3】前記電気回路基板への入出力用ハーネス
    は、該電気回路基板の前記固定子長手方向における端部
    から、該固定子長手方向に引き出されている請求項2記
    載のリニアモータ。
  4. 【請求項4】N極の磁極とS極の磁極とが所定方向に直
    線状に交互に並ぶ界磁マグネットを有する固定子と、前
    記界磁マグネットに臨む電機子コイルを有し、前記固定
    子に沿って移動することができる可動子とを備えるリニ
    アモータであって、 前記固定子の長手方向に延び、定位置に配置される磁気
    式エンコーダスケールと、 前記可動子上の前記磁気式エンコーダスケールに臨む位
    置に配置されるエンコーダ用磁電変換素子と、 前記エンコーダ用磁電変換素子の出力する電気信号を二
    値化処理することができる磁気式エンコーダ信号処理回
    路とを備え、 前記磁気式エンコーダ信号処理回路は前記可動子上に配
    置されていることを特徴とするリニアモータ。
  5. 【請求項5】前記磁気式エンコーダ信号処理回路は前記
    可動子上に配置される電気回路基板に形成されており、
    前記エンコーダ用磁電変換素子は該電気回路基板上に配
    置されている請求項4記載のリニアモータ。
  6. 【請求項6】前記電気回路基板への入出力用ハーネス
    は、該電気回路基板の前記固定子長手方向における端部
    から、該固定子長手方向に引き出されている請求項5記
    載のリニアモータ。
  7. 【請求項7】N極の磁極とS極の磁極とが所定方向に直
    線状に交互に並ぶ界磁マグネットを有する固定子と、前
    記界磁マグネットに臨む電機子コイルを有し、前記固定
    子に沿って移動することができる可動子とを備えるリニ
    アモータであって、 前記可動子上の前記界磁マグネットに臨む位置に配置さ
    れる界磁マグネット用磁電変換素子と、 前記界磁マグネット用磁電変換素子の出力する電気信号
    を二値化処理することができる界磁マグネット信号処理
    回路とを備え、 前記界磁マグネット信号処理回路は前記可動子上に配置
    されていることを特徴とするリニアモータ。
  8. 【請求項8】前記界磁マグネット信号処理回路は前記可
    動子上に配置される電気回路基板に形成されており、前
    記界磁マグネット用磁電変換素子は該電気回路基板上に
    配置されている請求項7記載のリニアモータ。
  9. 【請求項9】前記固定子は水平方向に延びており、前記
    電気回路基板は前記可動子上の鉛直方向下側に配置され
    ている請求項8記載のリニアモータ。
  10. 【請求項10】前記電気回路基板は、前記電機子コイル
    に対する前記固定子長手方向における位置が調整できる
    ように前記可動子上に設けられている請求項8又は9記
    載のリニアモータ。
  11. 【請求項11】前記電気回路基板への入出力用ハーネス
    は、該電気回路基板の前記固定子長手方向における端部
    から、該固定子長手方向に引き出されている請求項8、
    9又は10記載のリニアモータ。
  12. 【請求項12】前記界磁マグネット用磁電変換素子及び
    前記界磁マグネット信号処理回路として、ホールICが
    採用されている請求項7から11のいずれかに記載のリ
    ニアモータ。
  13. 【請求項13】N極の磁極とS極の磁極とが所定方向に
    直線状に交互に並ぶ界磁マグネットを有する固定子と、
    前記界磁マグネットに臨む電機子コイルを有し、前記固
    定子に沿って移動することができる可動子とを備えるリ
    ニアモータであって、 前記電機子コイルは2以上の単コイルからなり、該各コ
    イルは前記可動子上に配置される電気回路基板に電気的
    に接続されており、該各コイルは該電気回路基板によっ
    て所定の結線状態に結線されていることを特徴とするリ
    ニアモータ。
  14. 【請求項14】前記電気回路基板への入出力用ハーネス
    は、該電気回路基板の前記固定子長手方向における端部
    から、該固定子長手方向に引き出されている請求項13
    記載のリニアモータ。
  15. 【請求項15】N極の磁極とS極の磁極とが所定方向に
    直線状に交互に並ぶ界磁マグネットを有する固定子と、
    前記界磁マグネットに臨む電機子コイルを有し、前記固
    定子に沿って移動することができる可動子とを備えるリ
    ニアモータであって、 前記可動子上の前記界磁マグネットに臨む位置に配置さ
    れる1又は2以上の界磁マグネット用磁電変換素子を備
    えており、 前記界磁マグネット用磁電変換素子は前記可動子上に配
    置される電気回路基板に支持されていることを特徴とす
    るリニアモータ。
  16. 【請求項16】前記電気回路基板は、前記電機子コイル
    に対する前記固定子長手方向における位置が調整できる
    ように前記可動子上に設けられている請求項15記載の
    リニアモータ。
  17. 【請求項17】前記界磁マグネット用磁電変換素子の出
    力する電気信号を二値化処理することができる界磁マグ
    ネット信号処理回路を備えており、該界磁マグネット信
    号処理回路は前記可動子上に配置されている請求項15
    又は16記載のリニアモータ。
  18. 【請求項18】前記界磁マグネット信号処理回路は前記
    電気回路基板に形成されている請求項17記載のリニア
    モータ。
  19. 【請求項19】前記界磁マグネット用磁電変換素子及び
    前記界磁マグネット信号処理回路として、ホールICが
    採用されている請求項17又は18記載のリニアモー
    タ。
  20. 【請求項20】前記固定子は水平方向に延びており、前
    記電気回路基板は前記可動子上の鉛直方向下側に配置さ
    れている請求項15から19のいずれかに記載のリニア
    モータ。
  21. 【請求項21】前記電機子コイルは2以上の単コイルか
    らなり、該各コイルは前記電気回路基板に電気的に接続
    されており、該各コイルは、該電気回路基板によって所
    定の結線状態に結線されている請求項15から20のい
    ずれかに記載のリニアモータ。
  22. 【請求項22】前記固定子の長手方向に延び、定位置に
    配置される光学式エンコーダスケールと、前記可動子上
    の前記光学式エンコーダスケールに臨む位置に配置され
    る発光素子と、前記可動子上の前記光学式エンコーダス
    ケールに臨む位置に配置されるエンコーダ用光電変換素
    子と、前記エンコーダ用光電変換素子の出力する電気信
    号を二値化処理することができる光学式エンコーダ信号
    処理回路とを備えており、前記光学式エンコーダ信号処
    理回路は前記可動子上に配置されている請求項15から
    21のいずれかに記載のリニアモータ。
  23. 【請求項23】前記光学式エンコーダ信号処理回路は前
    記電気回路基板に形成されており、前記発光素子及び前
    記エンコーダ用光電変換素子は該電気回路基板上に配置
    されている請求項22記載のリニアモータ。
  24. 【請求項24】前記固定子の長手方向に延び、定位置に
    配置される磁気式エンコーダスケールと、前記可動子上
    の前記磁気式エンコーダスケールに臨む位置に配置され
    るエンコーダ用磁電変換素子と、前記エンコーダ用磁電
    変換素子の出力する電気信号を二値化処理することがで
    きる磁気式エンコーダ信号処理回路とを備えており、前
    記磁気式エンコーダ信号処理回路は前記可動子上に配置
    されている請求項15から21のいずれかに記載のリニ
    アモータ。
  25. 【請求項25】前記磁気式エンコーダ信号処理回路は前
    記電気回路基板に形成されており、前記エンコーダ用磁
    電変換素子は該電気回路基板上に配置されている請求項
    24記載のリニアモータ。
  26. 【請求項26】前記電気回路基板への入出力用ハーネス
    は、該電気回路基板の前記固定子長手方向における端部
    から、該固定子長手方向に引き出されている請求項15
    から25のいずれかに記載のリニアモータ。
  27. 【請求項27】前記電機子コイルは3つのコイルを1組
    とするコイル群を複数組有しており、これら各コイルは
    前記界磁マグネットの磁極の幅に基づき前記固定子長手
    方向において所定の位置関係になるように配置されてお
    り、前記界磁マグネット用磁電変換素子は前記電気回路
    基板上に3つ配置されており、該3つの各界磁マグネッ
    ト用磁電変換素子は、複数組あるコイル群のうち前記入
    出力用ハーネスが引き出される端部に最も近い組のコイ
    ル群の各コイルが臨む位置にある前記磁極に臨むように
    配置されている請求項26記載のリニアモータ。
  28. 【請求項28】前記電気回路基板は片面基板である請求
    項15から27のいずれかに記載のリニアモータ。
  29. 【請求項29】前記電気回路基板は両面基板である請求
    項15から27のいずれかに記載のリニアモータ。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006006059A (ja) * 2004-06-18 2006-01-05 Yamaha Motor Co Ltd コイル可動形リニアモータ、単軸ロボット、コイル可動形リニアモータ用コイル保持部材の製造方法および単軸ロボットの製造方法
JP2008286751A (ja) * 2007-05-21 2008-11-27 Thk Co Ltd 位置検出機能付きアクチュエータ
KR20200069149A (ko) * 2018-12-06 2020-06-16 주식회사 져스텍 드 브루인 시퀀스를 이용한 비순환 위치 검출 방법 및 장치
KR20200069151A (ko) * 2018-12-06 2020-06-16 주식회사 져스텍 드 브루인 시퀀스 및 장치 id를 이용한 비순환 위치 검출 방법 및 장치

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