JPH11147690A - 低空頭鉄筋建込装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 低空頭空間でも、鉄筋籠を確実に保持して挿
入できる低空頭鉄筋建込装置を提供すること。 【解決手段】 鉄筋籠Ｔの吊り下げ荷重に耐える櫓２の
下部に走行装置３を設けると共に、櫓２の上部に油圧シ
リンダ６１、６２により操作される横行台車６を設け、
横行台車６に滑車装置５を設ける。滑車装置５は、ワイ
ヤーロープ５３の各端部を一対のウィンチ６１、６２に
より同時に巻き込み、巻き出しすることにより、下部シ
ーブブロック５４が水平状態を保って上下動するよう構
成されており、下部シーブブロック５４に固定された取
付金具Ｋに鉄筋籠Ｔを直接ピン接続して、鉄筋籠Ｔの建
込みを行う。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、道路下等での地下
工事で連続壁を構築する場合、低空頭空間でも、鉄筋籠
を確実に保持して挿入できる低空頭鉄筋建込装置に関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術】道路下等における狭隘な路下での地下工
事において連続壁を施工する工事においては、特に、作
業スペースの高さが低いことに因り、工事は困難を極め
るものとなる。すなわち、従来の鉄筋籠の挿入施工にお
いては、通常の長さのものの挿入施工が不可能であるた
め、鉄筋籠を短くすることによって狭隘な路下に挿入
し、この短くした鉄筋籠を路下においていくつか接合す
ることにより所望の形態の鉄筋籠を形成していた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】このため、１つの鉄筋
籠を作成するのに接合箇所が多くなるため施工費が割高
となり、また、このようにして組み立てた鉄筋籠を作業
の安全性の確保を図りつつ連続壁に挿入し、所定の箇所
に設置するのに多くの労力を要していた。

【０００４】本発明の目的は、従来技術における上述の
問題点を解決することができるようにした、低空頭鉄筋
建込装置を提供することにある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明の特徴は、地下の低空頭の作業スペース内で鉄
筋籠をブロックに組んだまま、掘削した連続壁内に挿入
するための鉄筋建込装置であって、前記鉄筋籠の吊り下
げ荷重に耐える櫓と、該櫓の下部に設けられた走行装置
と、前記櫓の上部に少なくとも一方向に移動できるよう
に設けられた横行台車と、該横行台車の位置決めを行う
ことができる油圧シリンダ装置と、前記横行台車に取り
付けられた上部シーブブロック及びエコライザーシーブ
と前記上部シーブブロック及びエコライザーシーブと１
本のワイヤーロープによって掛け渡された下部シーブブ
ロックとを具えて成り前記ワイヤーロープの操作によっ
て該下部シーブブロックを水平状態を保って上下動させ
ることができる滑車装置と、前記櫓に取り付けられ前記
ワイヤーロープの各端部を同時に巻き込み、巻き出しし
て前記下部シーブブロックを水平状態を保って上下動さ
せる一対のウィンチと、前記鉄筋籠を前記滑車装置に連
結するため前記下部シーブブロックに固定され前記鉄筋
籠の吊りピースと直接ピン接続するための取付金具とを
備えて成る点にある。

【０００５】この構成によると、走行装置により櫓を移
動させることができる構成であり、作業スペース内の所
望の鉄筋建込位置に櫓をウィンチ等を用いて移動させる
ことができる。また、横行台車を櫓上で所要の位置にま
で移動させ、下部シーブブロックを降下させ、取付金具
に鉄筋籠に予め設けられている吊りピースを直接ピン接
続させることにより、鉄筋籠を滑車装置に連結すること
ができる。この場合、両者をピン接続で直接連結するこ
とができるので、揚程の余裕の無い低空頭の作業スペー
ス内であっても、作業スペース内の高さを有効に利用す
ることができ、従来に比べて鉄筋籠の高さを大きくとる
ことができる。

【０００６】鉄筋籠の吊り下げ後、一対のウィンチによ
って１本のワイヤーロープの両端を同時に巻き込む。こ
の結果、これらのウィンチに巻き取り量の差が出た場合
でも上部シーブブロックに設けられているシーブを介し
エコライザーシーブでその差を吸収するので、下部シー
ブブロックは水平状態を保つことができ、鉄筋籠を水平
に昇降させることができる。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態の一例につき詳細に説明する。図１は、本発明
による低空頭鉄筋建込装置の実施の形態の一例を示す正
面図、図２は同左側面図、図３は同平面図である。

【０００８】低空頭鉄筋建込装置１は、形鋼、角パイ
プ、鋼板等を溶接またはボルト接合することにより堅牢
に接続されて組み立てられ、重量物である鉄筋籠Ｔを吊
り下げる荷重に充分耐える構造の櫓２を備え、櫓２の下
部枠体２１には櫓２を移動させるための走行装置３が取
り付けられている。本実施の形態では、走行装置３はそ
の四隅に１つづつ計４つ設けられており、櫓２の走行方
向を任意に選べるようターンテーブルを介して下部枠体
２１の下面に取り付けられている。この結果、走行装置
３の向きを後述のようにして調節することにより櫓２を
ウィンチやチェーンブロックで引っ張るなどして櫓２全
体を所要の方向に走行させることができる構成となって
いる。

【０００９】建込み作業を行う場合に櫓２全体を安定に
設置しておくことができるよう、下部枠体２１の四隅に
は、さらに、櫓２の自重と鉄筋籠総重量を支えることが
できる油圧ジャッキ４が４つ設けられている。油圧ジャ
ッキ４は図示しない油圧装置によって作動し、油圧ジャ
ッキ４を縮めた状態では走行装置３が接地するので櫓２
を走行装置３によって所望の方向に移動させることがで
き、櫓２を所望の場所に移動させた後は油圧ジャッキ４
を伸長させることにより走行装置３を浮かし、櫓２をそ
こに安定性よく設置することができる。この場合、その
レベル調整は図示しない操作装置を目視手動操作するこ
とにより行う。なお、ＥＭ掘削機との場所の入れ替えの
ため、櫓２を横に移動させる場合は、油圧ジャッキ４に
より櫓２全体を浮かせた状態で、走行装置３の各ターン
テーブルを回転させ、走行装置３の向きを所望の移動方
向に一致させ、油圧ジャッキ４を縮めて再び櫓２を降ろ
せば櫓２の横方向の移動が可能となる。

【００１０】櫓２を用いて鉄筋籠Ｔの建込みを行うこと
ができるようにするため、櫓２の上部枠体２２上には、
吊り上げ用の滑車装置５が横行台車６によって移動可能
に設けられている。

【００１１】横行台車６は、上部枠体２２の桁２３、２
４上に設けられた一対のレール２５、２６上を矢印Ｘ方
向に沿って移動可能なように設けられた公知の構成のも
のであり、横行台車６に滑車装置５が搭載されている。
横行台車６と上部枠体２２との間には、一対の油圧シリ
ンダ６１、６２が設けられており、油圧シリンダ６１、
６２に接続されている油圧装置（図示せず）により油圧
シリンダ６１、６２を伸縮させることにより横行台車６
の位置決めを行うことができる構成となっている。した
がって、これにより横行台車６に搭載されている滑車装
置５を櫓２上でＸ方向に沿う所望の位置に位置決めする
ことができる。

【００１２】滑車装置５は、横行台車６に固定された上
部シーブブロック５１と、同じく横行台車６に固定され
たエコライザーシーブ５２と、上部シーブブロック５１
及びエコライザーシーブ５２と１本のワイヤーロープ５
３により掛け渡されている下部シーブブロック５４とを
備えて成っている。

【００１３】上部シーブブロック５１は、図３に詳細に
示されているように、固定枠５１ａに固定された支持軸
５１ｂに多数のシーブ５１ｃが回転自在に取り付けられ
て成る上部第１シーブブロック５１ｘと、４１ａに同じ
く固定された支持軸５１ｄに別の多数のシーブ５１ｅが
回転自在に取り付けられて成る上部第２シーブブロック
５１ｙとから構成されている。

【００１４】一方、下部シーブブロック５４は、図２に
詳細に示されているように、上部第１シーブブロック５
１ｘに対応するよう、可動枠５４ａに固定された支持軸
５４ｂに多数のシーブ５４ｃが回転自在に取り付けられ
て成る下部第１シーブブロック５４ｘと、上部第２シー
ブブロック５１ｙに対応するよう、固定枠５４ａに固定
された支持軸５４ｄに多数のシーブ５４ｅが回転自在に
取り付けられて成る下部第２シーブブロック５４ｙとか
ら構成されている。

【００１５】図４は、上述した滑車装置５におけるワイ
ヤーリング図である。ワイヤーロープ５３は、上部第１
シーブブロック５１ｘと下部第１シーブブロック５４ｘ
との間でシーブの数だけ掛け渡された後、一旦エコライ
ザーシーブ５２に掛け渡され、さらに、上部第２シーブ
ブロック５１ｙと下部第２シーブブロック５４ｙとの間
でシーブの数だけ掛け渡される構成となっている。ワイ
ヤーロープ５３の一端部５３Ａ及び他端部５３Ｂは、上
部枠体２２に設けられたリターンシーブ５５、５６（図
１参照）を通って下方に延び、櫓２の下部枠体２１に固
定されている一対のウィンチ７１、７２にそれぞれ連結
されている。ウィンチ７１、７２は滑車装置５に対する
巻き上げ装置７を構成するものであり、本実施の形態で
はウィンチ７１、７２として電動ポータブル式のウィン
チが採用されている。なお、シーブの数を増してワイヤ
ーロープ５３の掛け数を増せば大荷重の鉄筋籠を吊り上
げることが可能である。

【００１６】ウィンチ７１、７２は、本体とは別体に設
けられた図示しないコントローラの操作によりワイヤー
ロープ５３の両端を同時に巻き込み、巻き出しする構成
となっており、これにより一対のウィンチ７１、７２に
巻き取り量の差が出た場合でも、上部シーブブロック５
１を介し、エコライザーシーブ５２でその差を吸収し、
下部シーブブロック５４を水平に昇降させることができ
る。

【００１７】作業スペースにおける空頭を有効に使用す
ることができるようにして下部シーブブロック５４に鉄
筋籠Ｔを接続するため、下部シーブブロック５４の枠体
５４ａには、鉄筋籠Ｔの吊りピースＫ８１、８２と直接
ピン接続することができる取付金具Ｋが固定されている
（図１参照）。図示の例では、取付金具Ｋは下部シーブ
ブロック５４の両端にそれぞれ設けられているが、取付
金具Ｋの数は２つに限定されるものではなく、適宜の数
設けてもよい。

【００１８】図５及び図６を参照すると、一方の取付金
具Ｋと鉄筋籠Ｔの吊りピース８１、８２とを直接ピン接
続した部分の要部拡大図が示されている。取付金具Ｋ
は、平行に配置された２枚の板部材ＫＡ、ＫＢの間にス
ペーサＫＣを入れて一体に固定した形質の部材である。
取付金具Ｋには、吊りピース８１、８２の取付孔８１
ａ、８２ａに対応した貫通長孔Ｋ１、Ｋ２があけられて
おり、吊りピース８１、８２の取付け孔８１ａ、８２ａ
が貫通長孔Ｋ１、Ｋ２と整列する構成となっている。

【００１９】したがって、鉄筋籠Ｔを下部シーブブロッ
ク５４に吊り下げるには、取付金具Ｋの貫通長孔Ｋ１、
Ｋ２を鉄筋籠Ｔの吊りピース８１、８２の各取付孔８１
ａ、８２ａと整列させた状態でピン８３、８４を通すだ
けで両者を直接ピン接合することができる。このよう
に、鉄筋籠Ｔの取付金具Ｋを下部シーブブロック５４に
ピンで直接連結できる構成であるから連結のためのスペ
ースが僅かで済み、路下の狭隘な作業スペースの高さを
有効に利用して鉄筋籠Ｔを吊り上げることができる。こ
のように、作業スペースの高さを有効に利用することに
より、作業スペース内において取り扱える鉄筋籠の高さ
を従来よりも高くすることができ、同一の長さの鉄筋籠
を連続壁内に建込む場合、その接続箇所が少なくてす
み、作業能率の大幅な改善及びコストの低減を図ること
ができる。

【００２０】次に、ウィンチ７１、７２によりワイヤー
ロープ５３を巻き出して鉄筋籠Ｔを降下させることによ
り、鉄筋籠Ｔを連続壁内の所要の位置に精度よく建込む
ことができる。鉄筋籠Ｔの吊り上げ、及び建込みは全て
低空頭鉄筋建込装置１を用いて行うことができるので、
小人数の作業者にて比較的容易にその作業を行うことが
でき、従来のように全て人手に頼るのに比べて安全に施
工が図れるという利点を有している。

【００２１】低空頭鉄筋建込装置１では、油圧シリンダ
６１、６２及びウィンチ７１、７２の操作は櫓２とは別
体になるよう設けられた図示しない油圧装置及び制御盤
を用いて行う構成であり、これにより櫓２の大きさを最
小限にすることができる。また、既に構築された連続壁
のハツリ量を最小限に抑えるため、壁芯における櫓２の
幅は狭くなっている。

【００２２】低空頭鉄筋建込装置１は以上のように構成
されているため、下記の如き特徴を有している。 （１） 鉄筋籠Ｔの吊りピース８１、８２と取付金具Ｋ
とをピンにて直接結合させる為に揚程が大きく取れ、長
さの長い鉄筋籠を使用することができるようになる。 （２） ２台のウィンチ７１、７２を使用し、ワイヤー
ロープ５３の掛け数を増やすことにより大荷重の鉄筋籠
を吊り上げることが可能で、しかも１本のワイヤーロー
プ５３とすることで鉄筋籠Ｔの水平が常に保たれる。ま
た、ウィンチで巻き上げができる構成であるから、コス
ト的にメリットを有する。 （３） 滑車装置５を横行台車６上に載せ、油圧シリン
ダ６１、６２により横行台車６を水平に移動させる構造
になっており、鉄筋籠Ｔの位置決めが正確に行える。且
つ、固定のエコライザーシーブ５２により、鉄筋籠Ｔを
横移動させても鉄筋籠Ｔは上下すること無く、水平に移
動できる。したがって、鉄筋籠の取り込みや鉄筋籠の位
置決めが効率的に行える。

【００２３】

【発明の効果】本発明によれば、路下等の限られた作業
高さを有効に利用することができるので、比較的長い鉄
筋籠が使用可能となり、接合箇所を少なくすることがで
きるので作業コストの低減を図ることができる。

【００２４】また、固定された櫓から鉄筋籠を吊り下げ
て位置決めできる構造のため、安定度が飛躍的に向上す
るほか、建込み位置の精度を改善することができ、作業
の安全性も著しく改善することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による低空頭鉄筋建込装置の実施の形態
の一例を示す正面図。

【図２】図１による低空頭鉄筋建込装置の左側面図。

【図３】図１による低空頭鉄筋建込装置の平面図。

【図４】図１に示した低空頭鉄筋建込装置の滑車装置の
ワイヤリングを説明するための説明図。

【図５】図１に示した低空頭鉄筋建込装置における吊り
ビームと鉄筋籠の吊りピースとの間の接続部の要部を示
す正面図。

【図６】図１に示した低空頭鉄筋建込装置における吊り
ビームと鉄筋籠の吊りピースとの間の接続部の要部を示
す平面図。

【符号の説明】

１ 低空頭鉄筋建込装置 ２ 櫓 ３ 走行装置 ５ 滑車装置 ６ 横行台車 ５１ 上部シーブブロック ５２ エコライザーシーブ ５３ ワイヤーロープ ５４ 下部シーブブロック ６１、６２ 油圧シリンダ ７１、７２ ウィンチ ８１、８２ 吊りピース ８３、８４ ピン Ｋ 取付金具 Ｔ 鉄筋籠

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 地下の低空頭の作業スペース内で鉄筋籠
   をブロックに組んだまま、掘削した連続壁内に挿入する
   ための鉄筋建込装置であって、 前記鉄筋籠の吊り下げ荷重に耐える櫓と、 該櫓の下部に設けられた走行装置と、 前記櫓の上部に少なくとも一方向に移動できるように設
   けられた横行台車と、 該横行台車の位置決めを行うことができる油圧シリンダ
   装置と、 前記横行台車に取り付けられた上部シーブブロック及び
   エコライザーシーブと前記上部シーブブロック及びエコ
   ライザーシーブと１本のワイヤーロープによって掛け渡
   された下部シーブブロックとを具えて成り前記ワイヤー
   ロープの操作によって該下部シーブブロックを水平状態
   を保って上下動させることができる滑車装置と、 前記櫓に取り付けられ前記ワイヤーロープの各端部を同
   時に巻き込み、巻き出しして前記下部シーブブロックを
   水平状態を保って上下動させる一対のウィンチと、 前記鉄筋籠を前記滑車装置に連結するため前記下部シー
   ブブロックに固定され前記鉄筋籠の吊りピースと直接ピ
   ン接続するための取付金具とを備えて成ることを特徴と
   する低空頭鉄筋建込装置。