JPH11147223A - 樹脂成形品の再生方法 - Google Patents

樹脂成形品の再生方法

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JPH11147223A
JPH11147223A JP31785297A JP31785297A JPH11147223A JP H11147223 A JPH11147223 A JP H11147223A JP 31785297 A JP31785297 A JP 31785297A JP 31785297 A JP31785297 A JP 31785297A JP H11147223 A JPH11147223 A JP H11147223A
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polypropylene
bumper
coating film
coated
primer
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JP31785297A
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Hiroshi Miyazaki
浩 宮崎
Hiroaki Tamamaki
宏章 玉巻
Keiichiro Sano
慶一郎 佐野
Nobuhiro Koizumi
信裕 小泉
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Suzuki Motor Corp
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Suzuki Motor Corp
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  • Processing And Handling Of Plastics And Other Materials For Molding In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 塗膜付き樹脂成形品の粉砕品を用いて再生品
を製造するに際して、塗膜表面のボイド発生を抑制し、
表面改質剤を必要最小限添加することで再生品(リサイ
クル材)の耐衝撃性等を著しく改善する方法を提供す
る。 【解決手段】 塗膜付き廃棄バンパー又は製造工程内不
良バンパーなどの基材樹脂と塗膜とを有する樹脂成形品
の塗膜表面に、表面改質剤を塗布して基材樹脂と塗膜と
の密着性を向上させる前処理を施した後、粉砕工程,溶
融混練工程,成形工程を含む各工程を経て再生させるこ
とを特徴とする樹脂成形品の再生方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、樹脂成形品の再生
方法に関する。さらに詳しくは、自動車用バンパー,グ
リル,タイヤホイールカバー,ドアミラーハウジング,
ランプハウジングカバー、あるいはオートバイ用のカウ
リング,風防,タイヤカバー、その他船外機のエンジン
カバー,水上バイク,雪上車等のボディなどに用いられ
ている塗装,メッキ又はハードコート処理が施されたポ
リプロピレン,ポリカーボネート,ABS(アクリロニ
トリル・ブタジエン・スチレン共重合体)等の熱可塑性
プラスチックの再生組成物及びその再生方法に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車部品には、軽量化,リサイクル等
の観点から、熱可塑性プラスチックが多用されている。
また、熱可塑性プラスチックの表面にウレタン系やメラ
ミン・アルキド系の塗料を塗布したり、有機シリコン
系,フッ素系のハードコーティング膜,あるいはメッキ
等の種々の皮膜をコートして、自動車部品のデザイン性
や耐久性等の機能向上を意図した部品が多く存在する。
しかしながら、上記の皮膜をプラスチック部品から除去
せずに粉砕し、その塗膜等の材料を含んだ粉砕物を再利
用して製造した自動車やオートバイ等のリサイクル・プ
ラスチック部品では、塗膜とプラスチックとの間にボイ
ドやクラック等が生じ、著しく耐衝撃性等の機械的強度
が低下する問題があった。一般に、衝撃吸収性のポリプ
ロピレン・バンパーでは、デザイン性を高めるためにウ
レタン系の塗料を塗布したものが多く採用されている。
ポリプロピレンは非極性のプラスチックであり、塗料と
の密着性は非常に悪いため、通常、接着剤的な役割を果
たす塩素化ポリオレフィンを主成分とする有機プライマ
ー(以下、「プライマー」という。)が、ポリプロピレ
ンと塗膜との間に中間層として塗布されている。
【0003】この塗膜付きポリプロピレンバンパーの粉
砕品を用いて再生バンパーを製造した場合、特に塗装の
外観側の塗膜表面とポリプロピレンとの間にボイドやク
ラック等が多く発生し、バンパーの耐衝撃性が著しく低
下するという問題を有しており、これが再生バンパー利
用の促進に歯止めをかけている。塗膜表面は自然環境に
曝されて水分を含んだり、汚物が付着したりする上に、
塗膜の硬化反応や劣化反応も進行し、その表面は刻々と
変化しており定常的なものではあり得ない。そのため
に、塗膜表面とポリプロピレンとの密着性は非常に悪
い。再生品を成形する際には、塗膜から水分や未反応物
質が気化したり、付着した汚物からガスが発生したりす
るため、塗膜とポリプロピレンとの間にボイドが生じ易
く、再生材料の機械的強度は非常に低いレベルであっ
た。そして、プラスチック内部や表面にボイドやクラッ
クが存在すると、それら欠陥が破壊の起点となり、著し
く機械的物性が低下する問題が生じていた。
【0004】上記の問題を解消するため、以前から、再
生プラスチックの物性低下の原因となる塗膜をプラスチ
ック表面より除去する方法が数多く提案されている。例
えば、自動車用ポリプロピレン・バンパーの塗装部に、
水に溶解又は乳濁させた安価な有機アミン化合物を有効
成分として含む塗膜剥離剤組成液を所定温度に保持し
て、振とうを与えつつ浸漬させることにより、簡単に塗
膜を剥離させる方法が開示されている(特開平6−29
9107号)。また、塗膜を有するプラスチック製品に
高圧噴流水あるいは高圧の温水を接触させて、塗膜を強
制的に剥離させる方法等が開示されている(特開平5−
269743号等)。しかしながら、いずれの塗膜除去
方法もかなりの費用と時間を要することから、塗膜付き
プラスチック・リサイクルの飛躍的な促進には結びつい
ていない。
【0005】一方、近年、塗膜付きプラスチックのリサ
イクル化時間の短縮,費用低減の為、プラスチックの表
面より塗膜を除去せず、塗膜をプラスチックに混入させ
たまま再生し、その再生プラスチックの機械的物性を高
める方法が提案されている。例えば、ウレタン系塗膜付
きポリプロピレンを粉砕し、この粉砕物をエチレンビニ
ルアルコールを含む水溶液ポリマーと水との混合液中で
攪拌後、水分を除去することにより、粉砕物の表面に水
溶性ポリマーを被膜した再生ポリプロピレン材が開示さ
れている。この再生ポリプロピレンを用いてプレス成形
したシート材は、塗膜とポリプロピレンとの密着性が水
溶性ポリマーを介して良好になり、機械的強度の向上が
図られている(特開平4−245132号)。しかしな
がら、上記の方法では、水溶性ポリマーの費用が高いこ
と、及び混合液の水分除去に時間を要すること等の問題
点があった。
【0006】また、近年、メラミン架橋型塗料が塗布さ
れたポリプロピレン・バンパーを粉砕し、溶融混練する
際、塗膜の分解剤として水に溶融した樹脂を注入し、高
温,高圧の水蒸気によって、塗膜を10μm以下まで加
水分解させ、ポリプロピレン中に微細分散させる方法が
開発された。この方法による再生材は、塗膜の微粒子化
により塗膜の異物としての悪影響はなくなり、再生前の
ポリプロピレンと同等の物性が得られている((社)高
分子学会主催、1997年1月28日発行、第5回高分
子ABC研究討論会講演要旨集,第11頁〜第14頁,
佐藤紀夫著)。しかしながら、上記の方法では、加水分
解が困難なウレタン塗膜には利用しにくいという問題点
があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このように、塗膜付き
樹脂成形品の粉砕品を用いて再生品を製造するに際して
は、再生プラスチックの機械的物性の低下、特に耐衝撃
性の著しい低下等の問題があり、塗膜付きプラスチック
のリサイクルに関して飛躍的な技術進歩が望まれてい
た。また、塗膜付きプラスチックのリサイクル化時間の
短縮,費用低減の観点から、塗膜付きプラスチックの表
面より塗膜を除去せずに、機械的物性に優れた再生プラ
スチックが得られる再生方法が望まれていた。本発明者
らは、上記従来技術の問題点に鑑み、リペレット溶融混
練時の塗膜表面のボイド発生を抑制し、表面改質剤を必
要最小限添加することで再生品(リサイクル材)の耐衝
撃性等を著しく改善する方法について鋭意検討を行っ
た。その結果、本発明者らは、塗装した樹脂成形品の再
生方法において、粉砕前の工程に、基材樹脂と塗膜との
密着性を向上させる特定の処理を塗膜に施すことによっ
て、上記問題点が解決されることを見い出した。本発明
は、かかる見地より完成されたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、基
材樹脂と塗膜とを有する樹脂成形品の塗膜表面に表面改
質剤を塗布する前処理を施した後、粉砕工程,溶融混練
工程,成形工程を含む各工程を経て再生させることを特
徴とする樹脂成形品の再生方法を提供するものである。
この前処理では、基材樹脂と塗膜との密着性を向上させ
る処理が施される。本発明では、上記樹脂成形品が塗膜
付き廃棄バンパー又は製造工程内不良バンパーであり、
かつ、上記粉砕工程の前処理として、塗膜表面に上記表
面改質剤として塩素化ポリオレフィン・プライマーを塗
布すること、あるいは、塗膜表面に表面改質剤であるシ
ラン系カップリング剤を塗布することが好ましい。
【0009】また、本発明は、上記樹脂成形品がウレタ
ン塗膜付き製造工程内不良バンパーであり、かつ、上記
粉砕工程の前処理として、塗膜の未反応部のイソシアネ
ート基及び塗膜表面の水酸基を利用した処理を塗膜に施
す再生方法を提供するものである。この前処理では、塗
膜表面と基材ポリプロピレン等との密着性を向上させる
処理が施される。更に、本発明は、上記樹脂成形品が製
造工程内不良バンパーであり、かつ、上記粉砕工程の前
処理として、塗膜表面に上記表面改質剤としてウレタン
原料である炭化水素系の低級ポリオールを塗布する再生
方法をも提供するものである。このような本発明によれ
ば、基材と塗膜表面界面のボイド発生を抑制し、必要最
小限の添加量でリサイクル材の耐衝撃性を改善できる。
以下、本発明について、詳細に説明する。
【0010】
【発明の実施の形態】先ず、本発明による塗膜付き熱可
塑性プラスチックからの再生ペレットの製造方法を、従
来の方法と比較して説明する。従来の方法では、図6に
示すように廃車等から回収した塗膜付きポリプロピレン
バンパーや製造時の不良品バンパーなどを高圧噴流水で
洗浄し、粉砕機によって粒径約2mm程度まで粉砕す
る。更に、この粉砕品を約180℃程度の温度で溶融混
練し、80〜100メッシュの網に通過させることによ
り、粗大な塗膜や汚物を除去した後、押し出し成形機に
より直径約1mm程度の線状に押し出し、次いでペレタ
イザー装置にて1〜数mmに切断され、再生ポリプロピ
レンペレット(再生PPペレット)が製造される。以
下、本発明の樹脂成形品の再生方法について、添付図面
を参照しながら、各実施の形態を説明する。
【0011】実施の形態(その1) 図1は、本発明の第1の実施の形態の製造工程図を示
す。先ず、従来の方法と同様に塗膜付きバンパーを高圧
噴流水で洗浄する。ここでは、この洗浄したバンパーを
粉砕せず、60〜90℃の温度で保持された乾燥機内に
入れ、少なくとも30分以上乾燥させる。これは、後に
バンパーを粉砕し溶融混練する際に、塗膜中の水分や未
反応物質が気化したり、あるいは付着した汚物からガス
が発生したりして、塗膜とポリプロピレンとの間にボイ
ドが生じるのを防ぐためである。
【0012】更に、乾燥した塗膜付きバンパーの表面に
均一に被覆されるように有機溶剤を含む塩素化ポリオレ
フィンプライマー溶液、又はアミノ基,ビニル基,エポ
キシ基,メルカプト基,メタクリロキシ基を有するシラ
ンカップリング剤、具体的には、例えばビニルトリクロ
ロシラン,ビニルトリメトキシシラン,ビニルトリエト
キシシラン,ビニルトリスシラン,β−エチルトリメト
キシシラン,γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシ
ラン,γ−グリシキシプロピルメチルジエトキシシラ
ン,γ−グリシキシプロピルトリエトキシシラン,γ−
メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン,γ−
メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン,γ−メタ
クリロキシプロピルメチルジエトキシシラン,γ−メタ
クリロキシプロピルトリエトキシシラン,N−β−アミ
ノエチル−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラ
ン,N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルメチル
ジメトキシシラン,N−β−アミノエチル−γ−アミノ
プロピルトリメトキシシラン,N−β−アミノエチル−
γ−アミノプロピルトリエトキシシラン,γ−アミノプ
ロピルトリメトキシシラン,γ−アミノプロピルトリエ
トキシシラン,γ−メルカプトプロピルトリメトキシシ
ラン等を塗布する。
【0013】ここで、塩素化ポリオレフィンプライマー
を使用するのは、塗膜表面とプライマーの極性基(クロ
ル基)とによる相互作用、ポリプロピレンとプライマー
のオレフィンとによる相溶化を利用して密着性を向上さ
せることを目的としている。また、シランカップリング
剤を用いるのは、シランカップリング剤のシラノール基
(Si−OH)と塗膜表面の水酸基との縮合反応による
結合により、密着性を向上させることを目的としてい
る。この際、特に塗装がされていないバンパーの裏面に
は、プライマー又はカップリング剤を塗布する必要はな
い。バンパーへのプライマー又はカップリング剤溶液の
塗布方法としては、塗装ロボットあるいは手動で均一に
スプレー散布塗布するのが好ましい。
【0014】その他のプライマー又はカップリング剤の
塗布方法としては、ポリプロピレンバンパーの塗膜表面
にプライマー又はカップリング剤が斑無く被覆されるよ
う一定寸法の槽内をプライマー又はカップリング剤で満
たし、この槽内のプライマー又はカップリング剤にバン
パー塗膜表面を浸漬させて引き上げるディピング法があ
る。なお、このカップリング剤に加える有機溶剤の添加
量を調節し、プライマー又はカップリング剤溶液の粘度
を変化させることにより、塗膜付き粉砕ポリプロピレン
上へのプライマー又はカップリング剤の膜厚制御が可能
である。これらの塗布方法によって、プライマー又はカ
ップリング剤溶液で塗膜表面が被覆されたバンパーをプ
ライマー60〜90℃(カップリング剤100〜110
℃)の温度で保持された乾燥機内で、プライマー又はカ
ップリング剤溶液から有機溶剤が完全に除去されるまで
充分に乾燥させる。これによって、図2に示すように、
ポリプロピレン基材(PP)の上に塗装プライマー2、
その上にウレタン樹脂3が塗布されている塗膜表面上
に、プライマー又はカップリング剤4が強固に密着塗布
された塗膜付きポリプロピレンバンパーとなる。なお、
この際のプライマー又はカップリング剤4の膜厚は、1
〜100μmが好ましい。
【0015】このプライマー又はカップリング剤4で被
覆された塗膜付きポリプロピレンバンパーを粉砕機によ
って、粒径約2mm程度にまで粉砕する。この塗膜表面
がプライマー又はカップリング剤4で被覆された粉砕品
を、従来の方法と同様に約180℃程度の温度で溶融混
練し、80〜100メッシュの網に通過させることによ
り粗大な塗膜や汚物を除去した後、押し出し成形機によ
り直径約1mm程度の線上に成形し、更にペレタイザー
装置にて1〜数mmに切断する。これによって、本発明
の再生方法により再生ポリプロピレンペレットを製造す
ることができる。
【0016】実施の形態(その2) 図3は、本発明の第2の実施の形態の製造工程図を示
す。先ず、従来の方法と同様に、塗膜付きバンパーを高
圧噴流水で洗浄した後、塗膜付きポリプロピレンバンパ
ーを粉砕機によって粒径約2mm程度まで粉砕する。更
に、この粉砕バンパーを溶融混練する際に、塗膜中の水
分や未反応物質が気化したり、付着した汚物からガスが
発生したりして塗膜とポリプロピレンとの間にボイドが
生じるのを防ぐため、60〜90℃の温度で保持された
乾燥機内で少なくとも30分以上乾燥させる。次いで、
乾燥した塗膜付き粉砕バンパーの表面に均一に被覆され
るように有機溶剤を含むプライマー溶液又はカップリン
グ剤を塗布する。粉砕品へのプライマー溶液又はカップ
リング剤の塗布方法としては、プライマー溶液又はカッ
プリング剤で満たされた槽内に粉砕品を入れ、粉砕ポリ
プロピレンの塗膜表面がプライマー又はカップリング剤
で斑無く被覆されるように攪拌機で充分に攪拌させるこ
とによって行われる。
【0017】その後、プライマー又はカップリング剤の
入った槽内から粉砕ポリプロピレンを引き上げるディピ
ング法や粉砕品の粒径よりも小さいメッシュ寸法のメッ
シュ・シートに粉砕品を敷き、上下から均一にスプレー
散布塗布してもよい。このプライマー溶液又はカップリ
ング剤で被覆された粉砕品を60〜90℃(カップリン
グ剤100〜110℃)の温度で保持された乾燥機内
で、プライマー溶液又はカップリング剤溶液から有機溶
剤が完全に除去されるまで充分に乾燥させる。これによ
って、図4に示すように、ポリプロピレン基材(PP)
の上に塗装プライマー2、その上にウレタン樹脂3が塗
布されている塗膜付きポリプロピレンバンパーの周囲
に、プライマー又はカップリング剤4が強固に密着した
状態でプライマー又はカップリング剤4が被覆された粉
砕品となる。このプライマー又はカップリング剤4で被
覆された粉砕品を、従来の方法と同様に約180℃程度
の温度で溶融混練し、80〜100メッシュの網に通過
させることにより粗大な塗膜や汚物を除去した後、押し
出し成形機により直径約1mm程度の線上に成形し、更
にペレタイザー装置にて1〜数mmに切断する。これに
よって、本発明の再生方法により再生ポリプロピレンペ
レットを製造することができる。
【0018】上記第1の実施の形態(その1)及び第2
の実施の形態(その2)の各製造工程から製造されたこ
れらのプライマー又はカップリング剤を使用した再生ペ
レットでは、塗膜表面とポリプロピレンとの密着性が一
段と向上し、バンパー材質としての機械的強度低下を大
幅に低減させることができる。なお、必要に応じて物性
を向上させるのに、上記のプライマー又はカップリング
剤塗布した塗膜付きポリプロピレンバンパー粉砕品に、
塗装プライマー又はウレタン塗膜も含めて全く塗膜の付
いていないポリプロピレンバンパー材を混入して、押し
出し成形機によりペレットを製造することが好ましい。
特に、上記第1の実施の形態の再生ペレットの製造工程
では、バンパーを粉砕する前に塗膜表面のみにプライマ
ー又はカップリング剤が塗布されるため、上記第2の実
施の形態の再生ペレットの製造工程のように粉砕物の周
囲全てにプライマー又はカップリング剤が付着し、本
来、塗布しなくてもよいポリプロピレン表面にもプライ
マー又はカップリング剤が付着することがない。そのた
め、プライマー又はカップリング剤の使用量が最小限で
すみ、環境面,コスト面でも優れている。更に、再生プ
ラスチック内に不要なプライマー又はカップリング剤皮
膜が全く混入しないため、バンパーの機械的物性も優れ
る。
【0019】実施の形態(その3) 本発明の第3の実施の形態は、図1の製造工程と基本的
には同様であるが、図1中の「プライマー又はカップリ
ング剤塗布」の工程に代えて、「ポリオール塗布」の工
程としたものである。本実施の形態についても、図1に
基づいて製造工程を説明する。製造工程内不良ウレタン
系塗装バンパー等を、前記従来の方法と同様に高圧噴流
水で洗浄する。ここでは、この洗浄したバンパーを粉砕
せず、60〜90℃の温度で保持された乾燥機内に入
れ、少なくとも30分以上乾燥させる。これは、後にバ
ンパーを粉砕し溶融混練する際に、塗膜中の水分や未反
応物質が気化したり、付着した汚物からガスが発生した
りして塗膜とポリプロピレンとの間にボイドが生じるの
を防ぐためである。
【0020】次いで、乾燥した塗膜付きバンパーの表面
には、上記実施の形態(その1)で用いたプライマー溶
液あるいはシランカップリング剤に代えて、均一に被膜
されるようにウレタンの原料であるポリオールを塗布す
る。ここで使用するポリオールは、炭化水素系の高分子
量の低級ポリオールである。ポリオールを使用するの
は、製造工程内不良バンパーにおけるウレタン塗膜表面
の未反応イソシアネート基とのウレタン反応、及び塗膜
表面の水酸基(OH基)との相互作用により塗膜表面と
ポリオールを結合するためである。また、炭化水素系の
高分子量のポリオールを用いることで、リペレット時に
バンパー基材ポリプロピレンとの密着性を向上させてい
る。
【0021】この際、特に塗装がされていないバンパー
の裏面には、ポリオールを特に塗布する必要はない。バ
ンパーへのポリオールの塗布方法としては、塗装ロボッ
ト又は手動で均一にスプレー散布塗布するのが好まし
い。これらの塗布方法によって、ポリオールで塗膜表面
が被覆されたバンパーを60〜80℃の温度で保持され
た乾燥機内でポリオール溶液から有機溶剤が完全に除去
されるまで充分に乾燥させる。これによって、図5に示
すように塗膜表面にはポリオールが強固に密着した塗膜
付きポリプロピレン・バンパーとなる。なお、この際の
ポリオールの膜厚は、1〜50μm程度であることが好
ましい。
【0022】このポリオールで被覆された塗膜付きポリ
プロピレン・バンパーを粉砕機によって、粒径約2mm
程度まで粉砕する。この塗膜表面がポリオールで被覆さ
れた粉砕品を従来の方法と同様に約180℃程度の温度
で溶融混練し、80〜100メッシュの網に通過させる
ことにより粗大な塗膜や汚物を除去した後、押し出し成
形機により直径約1mm程度の線上に成形し、更にペレ
タイザー装置にて1〜数mmに切断され、本発明の再生
ポリプロピレンペレットを製造することができる。本発
明の再生方法により製造された再生ペレットでは、塗膜
表面とポリプロピレンとの密着性が一層向上し、バンパ
ー材質としての機械的強度低下を大幅に低減させること
ができる。なお、必要に応じて物性を向上させるのに、
このポリオールを塗布した塗膜付きポリプロピレンバン
パー粉砕品に、塗装プライマー又はウレタン塗膜も含め
て全く塗膜の付いていないポリプロピレンバンパー材を
混入して、押し出し成形機によりペレットを製造するこ
とが好ましい。特に、本発明の再生ペレットの製造工程
では、バンパーを粉砕する前に塗装表面のみにポリオー
ルが塗布される。そのため、ポリオールの使用量が最小
限で足り、環境面,コスト面でも優れている。更に、再
生プラスチック内に不必要なポリオール皮膜が全く混入
しないため、バンパーの機械的物性にも優れる利点があ
る。
【0023】他の実施の形態 本発明にかかる樹脂成形品の再生方法は、上記実施の形
態に限らず、本発明の技術的思想の範囲内において、種
々変形が可能である。例えば、上記第2の実施の形態の
ように、先ず塗膜付きポリプロピレン・バンパーを粉砕
機によって粉砕した後、上記第3の実施の形態で用いた
ポリオールを用いた被覆,塗布工程を経て、再生ポリプ
ロピレンペレットを得ることもできる。以下、実施例に
より本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの
実施例によって何ら制限されるものではない。
【0024】
【実施例】実施例1 上記第1の実施の形態の再生方法に基づいて、再生バン
パーを製造した。高圧噴流水で洗浄した塗膜付きポリプ
ロピレンバンパーから塗膜を除去することなしに、槽内
温度(80±3)℃に保持された乾燥機内に入れ、1時
間乾燥させた。更に、この乾燥させたバンパーの塗装さ
れた表面のみにプライマーが被覆されるように、有機溶
剤を一定量含有した塩素化ポリオレフィンプライマー溶
液を塗布した。このプライマー溶液が付着した粉砕ポリ
プロピレンを槽内温度(80±3)℃に保持された乾燥
機内で1時間乾燥させた。乾燥後の付着したプライマー
の膜厚は、走査電子顕微鏡を用いた断面観察より平均2
0μmであった。このプライマーを塗布した塗膜付きポ
リプロピレンバンパーを、粉砕機により直径約2mmに
なるまで粉砕を行った。
【0025】次いで、このプライマーが被覆された塗膜
付き粉砕ポリプロピレンと、全く塗膜の付いていないポ
リプロピレンバンパー材とを、1:1の重量比で混合し
た混合物をペレタイザー装置に導入し、180℃で溶融
混練して再生材と塗膜の付いていない材料との混合ポリ
プロピレンのペレットを製造した。このペレットを用い
て再生ポリプロピレンバンパーの射出成形を行った。ま
た、上記塗膜付き粉砕ポリプロピレンバンパーのプライ
マー塗布による機械的物性の改質効果の確認をするた
め、上記と同じ高圧噴流水で洗浄した塗膜付きポリプロ
ピレンバンパーを上記と同じ寸法の直径約2mmに粉砕
し、上記と同じくこの粉砕ポリプロピレンを槽内温度
(80±3)℃の乾燥機内で1時間乾燥させた。
【0026】この塗膜付き粉砕ポリプロピレンを未処理
でプライマーと接触させることなく、塗膜の付いていな
いポリプロピレンバンパー材と、上記と同じ1:1の重
量比で混合した。その混合物をペレタイザー装置に導入
し、180℃で溶融混練して再生材と塗膜の付いていな
いポリプロピレン材料との混合ポリプロピレン材のペレ
ットを製造した。この未処理の塗膜付き再生材と塗膜の
付いていないポリプロピレン材料との混合ペレットを用
いて、再生ポリプロピレンバンパーの射出成形を行っ
た。上記のプライマーを被覆した塗膜付きポリプロピレ
ン粉砕品を用いて成形した再生バンパーと、未処理の塗
膜付きポリプロピレン粉砕品を用いて成形した再生バン
パーとの耐衝撃値(相対値)を比較した結果を下記表1
に示す。
【0027】
【表1】
【0028】この結果より、プライマーを被覆したポリ
プロピレン粉砕品を用いたバンパーは、未処理のポリプ
ロピレン粉砕品を用いたものと比較して、常温での耐衝
撃値は1.4倍にも向上することがわかった。このこと
は、図7の実施例1に示したように、塗膜の外観側の塗
膜表面にプライマーを塗布したことにより、再生ポリプ
ロピレン材料中の塗膜とポリプロピレンとの間は、密着
性が高まり強固に密着するため、従来の方法における機
械的強度低下の原因となる塗膜とポリプロピレンとの間
のボイド,クラックの発生がなくなったためである。
【0029】実施例2 上記第2の実施の形態の再生方法に基づいて、再生バン
パーを製造した。高圧噴流水で洗浄した塗膜付きポリプ
ロピレンバンパーから、塗膜を除去することなしに直径
2mmに粉砕する。この塗膜付きポリプロピレン粉砕物
を、槽内温度(80±3)℃に保持された乾燥機内で1
時間乾燥させた。この乾燥させた塗膜付き粉砕ポリプロ
ピレンをステンレス製のメッシュかご(メッシュ寸法:
1.5×1.5mm)に移し、その粉砕ポリプロピレン
の入ったかごを塩素化ポリオレフィンプライマー溶液
(室温)で満たされた槽内に入れ、粉砕ポリプロピレン
の塗膜表面がプライマーで斑無く被覆されるように攪拌
機で1分間攪拌させた。その後、粉砕ポリプロピレンの
入ったかごをプライマーの入った槽内から引き上げ、プ
ライマー溶液が付着した粉砕ポリプロピレンを槽内温度
(80±3)℃に保持された乾燥機内で1時間乾燥させ
た。塗膜付き粉砕ポリプロピレンは、図4に示されるよ
うにプライマーで被覆される。なお、プライマーに加え
る有機溶剤の添加量の調節や温度制御を行ってプライマ
ー溶液の粘度を変化させることにより、塗膜付き粉砕ポ
リプロピレン上へのプライマーの膜厚は制御することが
できる。
【0030】前記のプライマーを被覆させた塗膜付き粉
砕ポリプロピレンと全く塗膜の付いていないポリプロピ
レンバンパー材とを、重量比1:1で混合した混合物を
ペレタイザー装置に導入し、180℃で溶融混練して再
生材と塗膜の付いていないポリプロピレン材料との混合
ポリプロピレン材のペレットを製造した。このプライマ
ー処理した塗膜付き再生材と塗膜の付いていないポリプ
ロピレン材料との混合ペレットを用いて、再生ポリプロ
ピレンバンパーの射出成形を行った。また、上記塗膜付
き粉砕ポリプロピレンバンパーのプライマー塗布による
機械的物性の改質効果の確認をするため、上記と同じ塗
膜付きポリプロピレンバンパーを上記と同じ寸法の直径
約2mmに粉砕し、上記と同じくこの粉砕ポリプロピレ
ンを槽内温度(80±3)℃の乾燥機内で1時間乾燥さ
せた。この塗膜付き粉砕ポリプロピレンを未処理でプラ
イマーと接触させることなく、塗膜の付いていないポリ
プロピレンバンパー材と、上記と同じ1:1の重量比で
混合した。
【0031】その混合物をペレタイザー装置に導入し、
180℃で溶融混練して再生材と塗膜の付いていないポ
リプロピレン材料との混合ポリプロピレン材のペレット
を製造した。この未処理の塗膜付き再生材と塗膜の付い
ていないポリプロピレン材料との混合ペレットを用い
て、再生ポリプロピレンバンパーの射出成形を行った。
上記のプライマーを被覆した塗膜付きポリプロピレン粉
砕品を用いて成形した再生バンパーと、未処理の塗膜付
きポリプロピレン粉砕品を用いて成形した再生バンパー
との耐衝撃値(相対値)を比較した結果を下記表2に示
す。
【0032】
【表2】
【0033】プライマーを被覆したポリプロピレン粉砕
品を用いたバンパーは、未処理のポリプロピレン粉砕品
を用いたものと比較して、常温での耐衝撃値は1.3倍
にも向上することがわかった。このことは、図7の実施
例2に示したように、塗膜の外観側の塗膜表面にプライ
マーを塗布したことにより、再生ポリプロピレン材料中
の塗膜とポリプロピレンとの間は、密着性が高まり強固
に密着するため、従来の方法における機械的強度低下の
原因となる塗膜とポリプロピレンとの間のボイド,クラ
ックの発生がなくなったためである。なお、第1の実施
の形態の再生方法に比べて再生ポリプロピレンバンパー
の耐衝撃値が劣っているのは、図7の実施例2に示され
たように、粉砕ポリプロピレン表面に付着した余分なプ
ライマー皮膜が、再生ポリプロピレンバンパー中に混入
して、分散してしまっているためである。
【0034】実施例3 上記第1の実施の形態の再生方法に基づいて、ビニルト
リメトキシシランカップリング剤を用いて再生バンパー
を製造した。高圧噴流水で洗浄した塗膜付きポリプロピ
レンバンパーから塗膜を除去することなしに、槽内温度
(80±3)℃に保持された乾燥機内に入れ、1時間乾
燥させた。更に、この乾燥させたバンパーの塗装された
表面のみにカップリング剤が被覆されるように最適な濃
度に調製したビニルトリメトキシシラン溶液を塗布し
た。ここでのバンパー塗膜へのカップリング剤の塗布方
法は、手動によるスプレー散布で均一に塗布した。この
溶液が付着したバンパーを槽内温度(100±3)℃に
保持された乾燥機内で1時間乾燥させた。乾燥後の付着
したポリオールの膜厚は、走査型電子顕微鏡を用いた断
面観察より、平均20μmであった。
【0035】このカップリング剤を塗布した塗膜付きポ
リプロピレンバンパーを粉砕機により、直径約2mmに
なるまで粉砕を行った。更に、このカップリング剤が被
覆された塗膜付き粉砕ポリプロピレンと、全く塗膜の付
いていないポリプロピレンバンパー材とを、重量比1:
1で混合した混合物をペレタイザー装置に導入した。そ
して、180℃で溶融混練して再生材と塗膜の付いてい
ない材料の混合ポリプロピレン材のペレットを作製し
た。このカップリング剤被覆処理した塗膜付き再生材と
塗膜の付いていない材料との混合ペレットを用いて、再
生ポリプロピレンバンパーの射出成形を行った。また、
上記塗膜付き粉砕ポリプロピレンバンパーのカップリン
グ剤塗布による機械的物性の改質効果を確認するため
に、上記と同じ高圧噴流水で洗浄した塗膜付きポリプロ
ピレンバンパーを上記と同じ寸法の直径約2mmに粉砕
し、上記と同じくこの粉砕ポリプロピレンを槽内温度
(80±3)℃の乾燥機内で1時間乾燥させた。
【0036】この塗膜付き粉砕ポリプロピレンをカップ
リング剤と接触させることなく未処理で、塗膜の付いて
いないポリプロピレンバンパー材と、上記と同じ1:1
の重量比で混合し、その混合物をペレタイザー装置に導
入した。そして、180℃で溶融混練して再生材と塗膜
の付いていない材料の混合ポリプロピレン材のペレット
を作製した。この未処理の塗膜付き再生材と塗膜の付い
ていない材料との混合ペレットを用いて、再生ポリプロ
ピレンバンパーの射出成形を行った。上記のカップリン
グ剤を被覆した塗膜付きポリプロピレン粉砕品を用いて
成形した再生バンパーと、未処理の塗膜付きポリプロピ
レン粉砕品を用いて成形した再生バンパーとの耐衝撃性
(相対値)を比較した結果を下記表3に示す。
【0037】
【表3】
【0038】カップリング剤を被覆したポリプロピレン
粉砕品を用いたバンパーは、未処理のポリプロピレン粉
砕品を用いたものと比較して常温での耐衝撃値は1.3
倍にも向上した。これは、塗膜の外観側の塗膜表面にカ
ップリング剤を塗布したことにより、再生ポリプロピレ
ン材料中の塗膜とポリプロピレンとの間は密着性が高ま
り、従来の方法における機械的強度低下の原因となる塗
膜とポリプロピレンとの間のボイド,クラックの発生が
無くなったためである。
【0039】実施例4 本発明の方法に基づき、再生バンパーを製造した。高圧
噴流水で洗浄した塗膜付きポリプロピレンバンパーから
塗膜を除去することなしに、槽内温度(80±3)℃に
保持された乾燥機内に入れ、1時間乾燥させた。更に、
この乾燥させたバンパーの塗装された表面のみにポリオ
ール溶液を塗布した。ここでのバンパー塗膜へのポリオ
ール溶液の塗布方法は、手動によるスプレー散布で均一
に塗布した。このポリオール溶液が付着したポリプロピ
レンバンパーを槽内温度(80±3)℃に保持された乾
燥機内で1時間乾燥させた。乾燥後の付着したポリオー
ルの膜厚は、走査型電子顕微鏡を用いた断面観察より、
平均20μmであった。
【0040】このポリオールを塗布した塗膜付きポリプ
ロピレンバンパーを粉砕機により、直径約2mmになる
まで粉砕を行った。更に、このポリオールが被覆された
塗膜付き粉砕ポリプロピレンと、全く塗膜の付いていな
いポリプロピレンバンパー材とを1:1の重量比で混合
した混合物をペレタイザー装置に導入し、180℃で溶
融混練して再生材と塗膜の付いていない材料の混合ポリ
プロピレン材のペレットを作製した。このポリオール処
理した塗膜付き再生材と塗膜の付いていない材料との混
合ペレットを用いて、再生ポリプロピレンバンパーの射
出成形を行った。また、上記塗膜付き粉砕ポリプロピレ
ンバンパーのポリオール塗布による機械的物性の改質効
果を確認するために、上記と同じ高圧噴流水で洗浄した
塗膜付きポリプロピレンバンパーを上記と同じ寸法の直
径約2mmに粉砕し、上記と同じくこの粉砕ポリプロピ
レンを槽内温度(80±3)℃の乾燥機内で1時間乾燥
させた。
【0041】この塗膜付き粉砕ポリプロピレンと塗膜の
付いていないポリプロピレンバンパー材とを、上記と同
じ1:1の重量比で混合し、その混合物をペレタイザー
装置に導入し、180℃で溶融混練して再生材と塗膜の
付いていない材料の混合ポリプロピレン材のペレットを
作製した。この未処理の塗膜付き再生材と塗膜の付いて
いない材料の混合ペレットを用いて、再生ポリプロピレ
ンバンパーの射出成形を行った。上記のポリオールを被
覆した塗膜付きポリプロピレン粉砕品を用いて成形した
再生バンパーと、未処理の塗膜付きポリプロピレン粉砕
品を用いて成形した再生バンパーとの耐衝撃性(相対
値)を比較した結果を下記表4に示す。
【0042】
【表4】
【0043】ポリオールを被覆したポリプロピレン粉砕
品を用いたバンパーは、未処理のポリプロピレン粉砕品
を用いたものと比較して常温での耐衝撃値は1.4倍に
も向上した。これは、塗膜の外観側の塗膜表面にポリオ
ールを塗布したことにより、再生ポリプロピレン材料中
の塗膜とポリプロピレンとの間は密着性が高まり、従来
の方法における機械的強度低下の原因となる塗膜とポリ
プロピレンとの間のボイド,クラックの発生が無くなっ
たためである。
【0044】
【発明の効果】本発明の樹脂成形品の再生方法は、表面
改質剤を必要最小限添加することで再生品(リサイクル
材)の耐衝撃性等を著しく改善することができる。すな
わち、本発明によれば、塗膜表面とポリプロピレンとの
密着性が一段と向上し、両者間の界面にクラックやボイ
ドの発生がなくなり、バンパー材質としての機械的強度
低下を大幅に低減させることができる。したがって、本
発明の方法により再生された再生品の耐衝撃性等の機械
的物性は、従来の再生方法による再生品と比べて格段に
優れる。また、本発明の方法によれば、プライマー,カ
ップリング剤等の表面改質剤の量が少なくてすみ、環境
面,コスト面でも優れている。更に、再生品に不要なプ
ライマー,カップリング剤等の皮膜が混入しないため、
バンパーなどに使用する際の機械的物性にも優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態における塗膜付きバ
ンパーの再生工程を示す工程図である。
【図2】第1の実施の形態で用いられる塗膜付きポリプ
ロピレンバンパーの構造を示す概念図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態における塗膜付きバ
ンパーの再生工程を示す工程図である。
【図4】第2の実施の形態で用いられる被覆型塗膜付き
粉砕ポリプロピレンの構造を示す概念図である。
【図5】第3の実施の形態で用いられる塗膜付きポリプ
ロピレンバンパーの構造を示す概念図である。
【図6】従来の塗膜付きバンパーの再生工程を示す工程
図である。
【図7】各実施例及び従来法において、基材樹脂である
ポリプロピレン上に積層された塗膜の構成を示す概念図
である。
【符号の説明】
1 PP(ポリプロピレン) 2 塗装プライマー 3 ウレタン塗膜 4 プライマー又はカップリング剤 5 ポリオール 6 ボイド
フロントページの続き (72)発明者 小泉 信裕 静岡県浜松市高塚町300番地 スズキ株式 会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材樹脂と塗膜とを有する樹脂成形品の
    塗膜表面に表面改質剤を塗布する前処理を施した後、粉
    砕工程,溶融混練工程,成形工程を含む各工程を経て再
    生させることを特徴とする樹脂成形品の再生方法。
  2. 【請求項2】 上記樹脂成形品が塗膜付き廃棄バンパー
    又は製造工程内不良バンパーであり、かつ、塗膜表面に
    上記表面改質剤として塩素化ポリオレフィン・プライマ
    ーを塗布することを特徴とする請求項1記載の樹脂成形
    品の再生方法。
  3. 【請求項3】 塗膜表面に上記表面改質剤としてシラン
    系カップリング剤を塗布することを特徴とする請求項1
    記載の樹脂成形品の再生方法。
  4. 【請求項4】 上記樹脂成形品がウレタン塗膜付き製造
    工程内不良バンパーであり、かつ、上記粉砕工程の前処
    理として、塗膜の未反応部のイソシアネート基及び塗膜
    表面の水酸基を利用した処理を塗膜に施すことを特徴と
    する請求項1記載の樹脂成形品の再生方法。
  5. 【請求項5】 上記樹脂成形品が製造工程内不良バンパ
    ーであり、かつ、塗膜表面に上記表面改質剤としてウレ
    タン原料である炭化水素系の低級ポリオールを塗布する
    ことを特徴とする請求項1記載の樹脂成形品の再生方
    法。
JP31785297A 1997-11-19 1997-11-19 樹脂成形品の再生方法 Pending JPH11147223A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006225571A (ja) * 2005-02-21 2006-08-31 Nitto Denko Corp 再生樹脂含有ポリオレフィン系樹脂発泡体用組成物及びその発泡体並びにその製造方法。

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006225571A (ja) * 2005-02-21 2006-08-31 Nitto Denko Corp 再生樹脂含有ポリオレフィン系樹脂発泡体用組成物及びその発泡体並びにその製造方法。
JP4688519B2 (ja) * 2005-02-21 2011-05-25 日東電工株式会社 ポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法

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