JPH11131153A - 焼結機の操業方法 - Google Patents

焼結機の操業方法

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JPH11131153A
JPH11131153A JP23919998A JP23919998A JPH11131153A JP H11131153 A JPH11131153 A JP H11131153A JP 23919998 A JP23919998 A JP 23919998A JP 23919998 A JP23919998 A JP 23919998A JP H11131153 A JPH11131153 A JP H11131153A
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JP
Japan
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sintering
region
raw material
oxygen
exhaust gas
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Application number
JP23919998A
Other languages
English (en)
Inventor
Shoichi Mutsukawa
庄一 六川
Hidetoshi Noda
英俊 野田
Koichi Ichikawa
孝一 市川
Noboru Sakamoto
登 坂本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 焼結鉱の品質を保持しつつ、生産性を上げる
焼結機の操業方法。 【解決手段】 焼成領域を前部領域15の0%から10
%までの範囲から、0%から50%までの範囲まで、そ
して後部領域16の残りに区分し、前部領域15には、
酸素濃度が21〜36vol.% の範囲内に富化された空気
を供給し、後部領域には、前部領域で発生した排ガスの
全部又は一部を含み、酸素濃度が15vol.% 以上且つ温
度が300℃以下の条件を満たす燃焼用ガスを供給し、
焼結原料層中の炭素量比率を、上層部に50〜60wt.
%、下層部に50〜40wt.%に調整する。更に、焼結原
料の擬似粒子の内装コークス量と外装コークス量との比
率を、重量%比で、50%:50%から0%:100%
までの範囲内に調整する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、粉状原料を下方
吸引式無端移動床型の焼結機を用いて塊成化し、製錬工
程に適した原料を製造する焼結機の操業方法に関するも
のであり、特に、粉鉄鉱石を焼結する際、焼結用空気に
酸素を富化し、且つ焼結機からの排ガスを循環使用し
て、焼結鉱の品質を維持しつつ生産性の向上を図る焼結
機の操業方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】焼結機で塊成鉱(以下、「焼結鉱」とい
う)を製造する場合の焼結技術の基本は、主原料として
の粉鉄鉱石及びミルスケール等工場内発生の含鉄原料
と、副原料としての粉石灰石や珪石等の造滓材とに、微
粉コークスを主とした固体燃料(以下「粉コークス」と
いう)を配合し、粉コークスを燃焼させ、この燃焼熱に
より粉鉄鉱石を焼き固める操作にある。そして、下方吸
引式無端移動床型の焼結機(以下、焼結機という)によ
る焼結鉱の製造においては、先ず、パレットに装入され
た焼結原料の表層部に点火炉内で点火し、次いで、下向
きに燃焼用ガスを吸引して粉コークスを燃焼させ、原料
層内の燃焼帯を上層部から中層部、そして下層部へと移
行させていく。焼結原料の層厚が600mm前後の場合
には25〜30分程度で焼結が完了する。このような焼
結鉱の製造においては、焼結鉱の品質を維持しつつ生産
率を最大限に上げ、且つ燃料原単位の低減等によるコス
ト低減を図ることが要請される。
【0003】従来、焼成領域へ供給する燃焼用ガスとし
て空気を使用していたが、焼結鉱の生産率を上げる方法
として、空気の代わりに空気に酸素を富化した酸素富化
空気を使用する方法が試験された。この方法によれば、
燃焼用ガスの酸素濃度が高くなるので、焼結原料中の粉
コークスの燃焼速度が速くなり、それに伴って焼結反応
時間が短縮される。従って、焼結機のパレット速度を速
くすることが可能となった。その結果、焼結鉱生産率
(t/m2 /h)は向上した。
【0004】しかし、焼結時原料層内の所謂ヒートフロ
ントスピードが速くなり、上層部においては焼結に必要
な高温域(通常、1100℃以上1400℃以下)での
保持所要時間(通常4〜5分以上)の確保が困難とな
り、また、下層部においては一般に温度が高目になる傾
向がある上に、一層その傾向が強まり、過溶融が発生し
て吸引ガスの通風悪化による操業状況の悪化や、焼結鉱
の被還元性の劣化の原因となる。
【0005】そこで、例えば、酸素富化空気中の酸素濃
度及びその供給領域の適正化が研究された。特開平2−
73924号公報は、焼結鉱の生産性向上を図ると共
に、その際焼結に必要な所定の温度及び時間が不足する
結果成品歩留が低下するという問題を解決することを目
的として、下記操業方法を開示している。即ち、下方吸
引式焼結機の操業において、パレット上の焼結原料の上
層部が焼結する時間帯に焼結層に吸引される燃焼用空気
中の酸素濃度を、35vol.% 以上に富化して焼結する方
法を開示している(以下、「先行技術1」という)。
【0006】一方、特開平8−260062号公報は、
排ガス量削減等の環境改善に重点を置きつつも生産性の
向上と品質向上をも目指した発明として、下記操業方法
を開示している。即ち、下方吸引式焼結機の操業におい
て、焼結原料の中層部の通気網構造を改善して粉コーク
スの燃焼性を向上させ、且つ下層部の冷却速度を増すた
めに、焼成領域全長の内、点火炉側30%から70%ま
での領域には、酸素濃度が12〜18vol.% の燃焼用ガ
スを0%から30%までの領域から排出されるガスを利
用して供給し、そして、同じく70%から100%まで
の領域には、水蒸気濃度が10vol.% 以上の燃焼ガスを
30%から70%までの領域から排出されるガスを利用
して供給するという方法を開示している(以下、「先行
技術2」という)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】この発明において、本
発明者等が開発しようとする技術は、焼結鉱の製造に当
たり、その生産性の向上が優先的に達成され、これに伴
って発生する焼結鉱品質の劣化問題については、少なく
ともその劣化が防止され、また、その他の重要項目であ
る成品歩留、排ガス発生量及び燃料原単位についても望
ましい水準が確保され得るというものである。
【0008】先行技術1及び2によればいずれも生産性
の向上効果はある。しかし、先行技術1では、焼結原料
の上層部を焼結する時間帯の燃焼用ガスとして、酸素濃
度を35vol.% 以上という極めて高濃度に酸素富化され
た空気を供給し、上層部を除く部分を焼結する時間帯に
は空気を供給するので、上層部でのフレームフロントス
ピードが速くなり過ぎて、1100℃以上の高温域を十
分確保することが困難となり、焼結鉱の冷間強度が劣化
し、また、下層部においては依然として過溶融が発生し
易いので、焼結鉱の被還元性が劣化し、また、原料層の
通気性悪化により操業が不安定となり易い。
【0009】また、先行技術2では、焼成の後部領域
(点火炉位置を0規準として70%〜100%)へ供給
する燃焼用ガスは、中央部領域(同じく、30%〜70
%)からの排ガスを充当する。ところが、この中央部領
域へ供給する燃焼用ガスの酸素濃度は12〜18vol.%
と比較的低酸素濃度であるから、中央部領域からの排ガ
ス中酸素濃度は、それよりもさらに数%低くなる。従っ
て、後部領域へ供給される燃焼用ガスである排ガス中酸
素濃度は低くなり過ぎるので、下層部においては、高温
保持時間が長くなり過ぎて所謂2次ヘマタイトの生成量
が増える恐れがある。これにより、焼結鉱成品の耐還元
粉化特性が劣化する恐れが残る。
【0010】従って、この発明の課題は、焼結鉱の生産
性を上げることを前提とし、原料の上層部におけるフレ
ームフロントスピードを適正化し、また、下層部におけ
る原料の過溶融の抑止及び高温保持時間の超過を防止し
得る方法を確立することにある。そして、この発明の目
的は、焼結鉱の品質を保持しつつ、その生産性を上げる
ことができる焼結機の操業方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決するために鋭意研究を重ねた。先ず、従来最も一
般的に行なわれている焼結機の操業方法の内、燃焼用ガ
スとして常温空気を全焼成領域で吸引して焼結鉱を製造
する場合の、焼結原料層内の温度分布を、数学モデルに
よるシミュレーションで求めた。
【0012】図4は、その温度分布の一例であり、点火
炉を除く焼成領域の機長方向幅中心における、焼結原料
層の縦断面温度分布を示すグラフである。この時の設定
操業条件は、層の厚さ:600mmの焼結原料に、常温
空気を負圧:1000mmAqの割合で吸引し、生産
率:1.9t/m2 hとした場合である。但し、焼結原
料中の粉コークス含有率は3.6wt.%である。
【0013】同図からわかるように、上層部では110
0℃以上の温度での保持時間が短く、一方、下層部では
1400℃以上の超高温の過溶融領域が形成されてい
る。このように、酸素濃度が21vol.%というそれほど
高濃度でもない常温空気を燃焼用ガスに使用した場合で
も、焼結鉱の品質上、上層部では冷間強度の劣化が予測
され、また、下層部では被還元性及び耐還元粉化性の劣
化が予測される。また、下層部での通風悪化による操業
上の不安定要因が見られる。
【0014】これに対して、図5は、焼成領域の前半部
への吹込み空気の酸素濃度を31vol.% に増やし、後半
部への吹込みガスの酸素濃度を16.5vol.% に減らし
た場合の焼結原料層の縦断面温度分布を示す。図4と図
5とを比較すると、図4では下層部に1400℃以上の
高温領域が見られたが、図5では1400℃以上の超高
温領域が消滅していることがわかる。
【0015】本発明者等は、上記状況を解析し、下記着
想に基づき本発明の課題を解決することにした。即ち、 上層部に対しては、生産性を上げるために単に、燃焼
用ガス中の酸素濃度を上げるだけだと、先行技術1にお
けるように、フレームフロントスピードが速くなり過ぎ
るだけで1100℃に所要時間確保することができな
い。よって、焼結鉱の冷間強度の劣化が避けられない。
そこで、燃焼用ガス中の酸素濃度を適正範囲内まで高め
ると共に、原料中粉コークスの燃焼開始を早め、且つそ
の燃焼を適度に持続させる方法を検討した。粉コークス
の燃焼開始を早め、且つ燃焼を持続させる方法として、
原料中粉コークスの含有率を上層部の方が下層部よりも
多くなるように配分する。そして更に望ましくは、原料
擬似粒子の外装コークスの比率は、上層部では保持時間
が不足する傾向があるので、全量外装にするよりも適度
に内装コークスを添加することとした。ここで、内外装
コークス比率をこのように調整するのは、粉コークスの
酸素ガスとの反応性を適度に高めるためだけではなく、
上層部において1100℃以上の温度に適正時間保持す
ることのためでもある。こうして、上層部における11
00℃以上の温度に保持する時間を確保することができ
る。
【0016】下層部に対しては、常温空気を後部領域
へ供給する方法での問題点でもあり、また先行技術1の
問題点でもある原料の過溶融を抑止するための方法とし
て、先ず、後部領域への燃焼用ガス中の酸素濃度を減ら
すことと、下層部の原料中粉コークス含有率を減らすこ
ととの両面作戦により、最高到達温度を下げることに着
眼した。
【0017】さて、後部領域への燃焼用ガスの酸素濃度
を高くすると、下層部での過溶融や高温保持時間の長過
ぎにつながる恐れがある。従って、焼結鉱の品質保持の
観点からは、酸素濃度が低目の燃焼用ガスを供給する方
がよい。一方、生産性向上の観点からは、焼結完了後の
シンターケーキは冷却速度を上げて焼成領域から排鉱す
ることが望ましい。そこで、生産性向上対策として、後
部領域への燃焼用ガスとしては、酸素濃度が空気程度以
下であって適度な濃度が確保され、しかも顕熱の比較的
小さいガスが適しているとの考えのもとに、前部領域か
らの排ガスであって所要温度以下のものを供給すること
に着眼した。
【0018】本発明者等は、上記着想に基づき、下方吸
引式無端移動床型の焼結機の実験設備である容量50k
g試験鍋を用い、前部領域部へ供給すべきガス中の酸素
濃度、後部領域へ供給すべきガス中の酸素濃度及び温
度、前部領域と後部領域との比率、原料層中粉コークス
含有量の上層部と下層部への配合比率、及び、原料の擬
似粒子中に含まれる内装コークスの量と外装コークスの
量との比率についての適正範囲を決定した。
【0019】この発明は上記知見に基づきなされたもの
である。請求項1記載の発明は、下方吸引式無端移動床
型の焼結機に焼結原料を層状に装入し、上面から点火し
て下方に吸引し、焼結機から発生する排ガスを循環さ
せ、これを焼結原料層の焼成領域に供給して焼結鉱を製
造する焼結機の操業方法において、上記焼成領域を焼結
機の機長方向に原料装入側の前部領域と排鉱側の後部領
域とに区分し、前部領域は焼成領域全長の前半側の0%
から10%までの範囲から、0%から50%までの範囲
までとし、そして後部領域は焼成領域全長から前部領域
を差し引いた後半側の残部とし、焼成領域の前部領域に
は、酸素濃度が21〜36vol.% の範囲内に富化された
酸素富化空気を供給し、焼成領域の後部領域には、前部
領域で発生した排ガスの全部又は一部を含むガスであっ
て、酸素濃度が15vol.% 以上の燃焼用ガスを供給し、
そして、焼結原料層を上層部と下層部とに区分し、焼結
原料層中の炭素含有量の層厚さ方向の分布比率を、上層
部が50〜60wt.%の範囲内、そして下層部が50〜4
0wt.%の範囲内になるよう調整することに特徴を有する
ものである。
【0020】請求項2記載の発明は、上記請求項1記載
の発明において、焼結原料中の擬似粒子中に含まれる内
装コークスの量と外装コークスの量との比率が、50w
t.%:50wt.%から0wt.%:100wt.%までの範囲内に
調整されたものを用いることに特徴を有するものであ
る。
【0021】
【発明の実施の形態】次に、この発明を、図面を参照し
ながら説明する。図1は、この発明を実施するための装
置の例を説明するための概略縦断面図である。同図にお
いて、10は下方吸引式無端移動床型の焼結機であり、
無端移動床型火格子(以下、「火格子」という)11と
ウィンドボックス12とからなっている。焼結原料供給
槽1から火格子11へ装入された粉状の焼結原料は、点
火炉2で着火された後、上方の酸素富化空気供給フード
8及び排ガス吹込みフード9から供給されるガス、並び
に漏引された空気の作用を受けると共に、焼結原料層か
ら出てくる排ガスが下部のウィンドボックス12により
下方に吸引・排風され、そして焼結が完了して排鉱され
る。なお、ここでは火格子11を図1に示すように、原
料装入側から排鉱側に向かって順に原料装入領域13、
点火領域14、前部領域15及び後部領域16に区分す
る。
【0022】先ず、焼結鉱の生産性を上げるために空気
に酸素を富化した酸素富化空気は、酸素富化空気ライン
3を経て酸素富化空気供給フード8から原料層に吹き込
む。この焼成の前部領域15と後部領域16との比率
は、点火炉直後から排鉱部までの長さを100%とした
とき、10:90から、50:50までの範囲内とす
る。このように焼結機10の前部領域15に吹き込まれ
る酸素富化空気の酸素富化分に応じて焼結速度が向上
し、パレット(図示せず)移動速度を速めることができ
る。また、酸素富化率は15vol.%以下(酸素富化しな
い場合を含む)とし、従って、酸素富化空気の酸素濃度
は21〜36vol.%の範囲内に調整する。
【0023】一方、後部領域16には、前部領域15か
らウィンドボックス12で吸引された排ガス4’を吹き
込む。後部領域16に吹き込む排ガス4’の酸素濃度は
15vol.%以上に、そして温度は300℃以下に限定す
る。排ガス4’の使用量は、目標生産率、排ガス中の酸
素濃度及び温度に応じて決める。後部領域へ供給する燃
焼用ガスの流量が、前部領域15から吸引される排ガス
だけでは不足する場合には、空気あるいは後部領域から
発生する排ガスが本発明方法の条件を満たすことができ
る範囲内で加えて補充する。
【0024】焼結原料供給槽1から火格子11へ、擬似
粒子からなる焼結原料を装入する。装入される原料層の
厚さは約600mm程度である。これを上層部と下層部
に区分する。その境界線は厚さの2分の1の高さとす
る。そして、原料層中の粉コークスの層厚さ方向の分布
比率は、上層部に50〜60wt.%の範囲内、下層部に5
0〜40wt.%の範囲内になるように調整して装入する。
このような粉コークスの含有比率の調整・装入方法とし
ては、粉コークスの含有率が異なる複数種の擬似粒子の
造粒工程で粒径のことなるものをつくり、パレットへの
装入時に粒径分布装入装置を用いて装入する。粒径分布
に応じた粉コークス量装入分布が得られるのを利用す
る。
【0025】擬似粒子中の粉コークスの存在形態につい
て、内装コークスと外装コークスとに分けられる。原料
層中の粉コークスの層厚さ方向の分布比率を、上層部に
多くし、しかも擬似粒子の外装コークス量の比率を内装
コークス量の比率よりも多くする。こうすることによ
り、上層部における焼結に必要な高温保持時間の確保が
容易になり、上層部における1100℃以上での保持時
間の確保、及び下層部における1100℃以上の温度に
おける保持時間の長過ぎの防止が可能となる。
【0026】次に、この発明における各種の数値限定
は、実機における操業結果、容量50kg鍋による実験
結果、及び数学モデルによる焼結ベッド内温度分布のシ
ミュレーション解析結果を検討して決定した。以下、上
記限定理由を説明する。なお、容量50kg鍋の実験方
法は、鍋にコークスを内外装した擬似粒子を層厚600
mmに装入した後、表層に点火し、負圧1000mmA
qで燃焼用ガスを吸引して焼結させた。燃焼用ガスとし
て、酸素富化空気及び焼結排ガス組成に調製したガスで
酸素濃度を種々水準に変化させたものを吸引した。焼結
ベッド内部の測温用熱電対を上面から12、24、36
mmの位置に挿入した。また、数学モデルによる温度分
布の解析方法は、気−固間の熱伝達、未反応核モデルを
考慮したものである。
【0027】(1)焼成の前部領域へ供給する酸素富化
空気中の酸素濃度:21〜36vol.% 50kg鍋による実験により、下記結果を得た。
【0028】図2に、酸素富化空気を焼成領域の前半2
分の1の領域に吹き込んだ場合の、酸素富化空気中の酸
素濃度と生産率増加率との関係を示す。同図は粒径5m
m以上の成品についての結果である。
【0029】焼結鉱の生産率を上げるためには、焼成の
前部領域へ供給するガスの酸素濃度は、常法での燃焼用
ガスとしての空気(酸素濃度:21vol.%)に酸素を富
化することが必要であることを確認した。一方、酸素濃
度が36vol.%を超えても、生産率増加率は飽和傾向を
示す。また、酸素濃度をこれ以上増やすと、焼結ベッド
上層部のフレームフロントスピードが大きくなり過ぎ、
1100℃以上の温度での保持時間が不十分となる。従
って、酸素富化空気の酸素濃度は、21〜36vol.%の
範囲内とする。
【0030】(2)焼成の後部領域へ供給するガス中の
酸素濃度:15vol.%以上、且つ、そのガスの温度:3
00℃以下 後部領域へ供給するガス中の酸素濃度が15vol.%未満
では、コークスの燃焼が起きないことがわかった。図3
は、後部領域へ前部領域からの排ガスを供給した場合の
排ガス温度と生産率との関係を示すグラフである。同図
は粒径5mm以上の成品についての結果である。これよ
り、後部領域へ吹き込む排ガス温度は、生産性を上げる
ためには300℃以下にするのが一層望ましい。これよ
りも高温であると、特に下層部の冷却速度が遅くなり、
高温のため排鉱できなくなるからである。
【0031】なお、上記(2)において、焼成の後部領
域へ供給する燃焼用の排ガスは、その排ガス中の酸素濃
度が上記条件を満たし、しかも所要量が確保される場合
は、その排ガスだけを燃焼用ガスとして供給してもよい
し、その他のガス、例えば、空気や後部領域からの排ガ
スを加えてもよい。そして、いずれにしても、後部領域
へ供給する燃焼用ガスが、上記(2)及び(3)の条件
を満たしていることが必要である。
【0032】(3)焼成の前部領域と後部領域との比
率:0〜10%/10〜100%から、0〜50%/5
0〜100%までの範囲内 点火炉の直後から排鉱部までの焼成領域を、前部領域と
後部領域との2つに区分して、前部領域から発生した排
ガスを後部領域へ吹き込む。その際、前部領域へは酸素
濃度が21〜36vol.%の酸素富化空気を吹き込む。こ
のような条件下における前部領域と後部領域との適正な
比率は、原料中粉コークスの燃焼条件や生産率を考慮し
て決める。但し、前部領域が少な過ぎると上層部の焼結
速度が遅くなるので、前部領域は10%以上確保するの
が望ましい。一方、それが多過ぎると、即ち、後部領域
が少な過ぎると、下層部の過溶融の改善に十分な効果が
発揮されず、また、下層部の焼結完了後の部分の冷却速
度を上げる効果が十分でなくなり、生産性向上効果が少
なくなる。従って、前部領域の比率は、0〜10%から
0〜50%の範囲内で、後部領域の比率は前部領域の残
部であり、10〜100%から50〜100%までの範
囲内であることが望ましい。
【0033】(4)原料層中粉コークス含有量の上層部
と下層部への配合比率:上層部が50〜60wt.%の範囲
内、下層部が50〜40wt.%の範囲内 焼結ベッド下層部は上層部からの顕熱が持ち込まれるの
で、温度が上がり過ぎる傾向がある。その結果、下層部
での過溶融と熱量過剰とが問題となる。
【0034】下層部の過溶融問題の熱量過剰の解決につ
いては、下層部の炭素含有量を上層部よりも減らすのが
効果的である。しかしながら、下層部炭素含有量の下限
値を、全層内炭素含有量の40wt.%未満にまで減らす
と、上記(1)〜(3)項で述べた条件を満たすことを
前提にした場合には、下層部への投入熱量不足になる。
【0035】(5)擬似粒子の内装コークスの量と外装
コークスの量との比率:50wt.%:50wt.%から0wt.
%:100wt.%までの範囲内 擬似粒子表面に被覆する外装コークスと、擬似粒子内に
均一に分散させる内装コークスについて、外装コークス
は吸引燃焼用ガス中の酸素と直接反応するので燃焼速度
が速い。これに対して内装コークスの燃焼は擬似粒子内
への酸素の拡散が律速となるので燃焼速度が相対的に遅
い。酸素富化空気のように酸素濃度が高いガスを吹き込
むときは、とくにこの傾向が顕著である。
【0036】そこで、この発明の前部領域における酸素
富化空気の吹込みにおいては、擬似粒子の上記燃焼特性
を利用し、しかも焼結ベッド上層部の炭素量配分を多く
することにより、外装コークスにより焼結ベッド上層部
の昇温を早期に行なわせ、且つ内装コークスをゆっくり
燃焼させて高温保持時間を確保し、1100℃以上での
保持時間を確保するように改善する。かくして、生産率
を上げるとともに、冷間強度を確保する。
【0037】上述したような作用・効果を発揮させるた
めには、原料層中粉コークス含有量の上層部と下層部へ
の配合比率と、擬似粒子の内装コークスの量と外装コー
クスの量との比率との組合せを適正に行なうことが必要
である。本発明者等は、この課題につき、数学モデルに
よる熱分布シミュレーション実験及び50kg鍋による
実験を重ね、詳細に検討した。その結果、特に上層部で
は、上記(4)の条件下において、擬似粒子の外装コー
クスの量的比率を50wt.%以上にし、内装コークスの量
的比率を50wt.%以下にするのが適しているとの結論を
得た。上層部の擬似粒子の外装コークスを50wt.%未満
にすると燃焼遅れにより生産性が低下するからである。
【0038】(6)次に、前部領域の排ガスを後部領域
へ吹き込むべきである理由を説明する。数学モデルによ
る熱分布のシミュレーション計算結果により50kg鍋
による実験条件を決め、酸素富化空気を原料層に吹き込
んだ場合に発生する排ガス中の酸素濃度を分析した。5
0kg鍋による実験では、酸素富化空気の酸素濃度:2
1〜36vol.%、原料中炭素含有率:3.0wt.%、生産
率:1.9〜2.2t/m2 hとした。
【0039】その結果、排ガスの酸素濃度は、16〜2
4vol.%となることがわかった。このように、酸素濃度
が21〜36vol.%の範囲内の酸素富化空気を前部領域
へ吹き込むと、前部領域から発生する排ガス中の酸素濃
度は16〜24vol.%になるから、後部領域に吹き込む
ガスの酸素濃度として必要な15vol.%以上という条件
を満たしている。従って、前部領域の排ガスを回収・循
環して後部領域へ吹き込めば極めて合理的である。
【0040】
【実施例】この発明を、容量50kg鍋による実験によ
り更に説明する。表1〜3に示す焼結機の操業条件の実
験を行ない、焼結ベッド内の温度測定を行なった。
【0041】本発明の範囲内の条件による実施例1〜1
1、及び、本発明の範囲外の条件による比較例1及び2
の実験を行なった。得られた結果に基づき焼結ベッド内
の最高温度、1100℃以上の保持時間、及び焼結完了
までに要した時間を求め、そして操業成績値を算定し
た。一方、得られた焼結鉱の品質試験を行なった。これ
らの結果も表1〜3に併記する。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】表1〜3からわかるように、本発明法を実
施した場合は、本発明の範囲外の方法(比較例1、2)
を実施した場合に対して、生産率が向上し、成品歩留り
は保持された。また、コークス比が低減し、排ガス廃棄
量も減った。そして、焼結鉱の品質は十分に保持され
た。品質試験項目は、シャッター強度(SI+5mm, %)、
還元率(RI,%)、及び還元粉化率(RDI,%)であ
る。
【0046】
【発明の効果】以上述べたように、この発明によれば、
焼結鉱の生産性を大幅に向上させるこたができ、しか
も、通常は生産性の向上に伴って品質の劣化が大きな問
題となっていたが、そのような劣化を確実に抑止して品
質水準を保持することができる。更に、コークス比の低
下によるコストの低減及び排ガス回収による環境改善効
果も発揮される。このような焼結機の操業方法を提供す
ることができ、工業上有用な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一つの実施態様を説明する焼結機の
概略構成図である。
【図2】酸素富化空気を焼成領域の前半2分の1の領域
に吹き込んだ場合の、酸素富化空気中の酸素濃度と生産
率増加率との関係を示すグラフである。
【図3】後部領域へ前部領域からの排ガスを供給した場
合の排ガス温度と生産率との関係を示すグラフである。
【図4】焼結機の従来操業方法による焼結ベッドの幅中
心での縦断面における等温線図の一例を示すものある。
【図5】焼成領域の前半部への吹込み空気の酸素濃度を
増やし、後半部への吹込みガスの酸素濃度を減らした場
合における、焼結ベッドの幅中心での縦断面における等
温線図の一例を示すものある。
【符号の説明】
1 焼結原料供給槽 2 点火炉 3 酸素富化空気ライン 3’ 酸素富化空気 4 排ガス循環ライン 4’排ガス 5 排ガス供給送風機 6 集塵機 7 切替弁 8 酸素富化空気供給フード 9 排ガス吹込フード 10 焼結機本体 11 無端移動床型火格子 12 ウィンドボックス 13 原料装入領域 14 点火領域 15 前部領域 16 後部領域 17 煙突 18 主排風機
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坂本 登 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下方吸引式無端移動床型の焼結機に焼結
    原料を層状に装入し、上面から点火して下方に吸引し、
    前記焼結機から発生する排ガスを循環させ、これを焼結
    原料層の焼成領域に供給して焼結鉱を製造する焼結機の
    操業方法において、 前記焼成領域を前記焼結機の機長方向に原料装入側の前
    部領域と排鉱側の後部領域とに区分し、前記前部領域は
    前記焼成領域全長の前半側の0%から10%までの範囲
    から、0%から50%までの範囲までとし、そして前記
    後部領域は前記焼成領域全長から前記前部領域を差し引
    いた後半側の残部とし、 前記焼成領域の前部領域には、酸素濃度が21〜36vo
    l.% の範囲内に富化された酸素富化空気を供給し、前記
    焼成領域の後部領域には、前記前部領域で発生した前記
    排ガスの全部又は一部を含むガスであって、酸素濃度が
    15vol.% 以上の燃焼用ガスを供給し、そして、 前記焼結原料層を上層部と下層部とに区分し、前記焼結
    原料層中の炭素含有量の層厚さ方向の分布比率を、前記
    上層部が50〜60wt.%の範囲内、そして前記下層部が
    50〜40wt.%の範囲内になるよう調整することを特徴
    とする、焼結機の操業方法。
  2. 【請求項2】 前記焼結原料中の擬似粒子中に含まれる
    内装コークスの量と外装コークスの量との比率が、50
    wt.%:50wt.%から0wt.%:100wt.%までの範囲内に
    調整されたものを用いることを特徴とする、請求項1記
    載の焼結機の操業方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017508941A (ja) * 2013-12-23 2017-03-30 ポスコPosco 燒結鉱の製造設備及びこれを用いた燒結鉱の製造方法
JP2018003153A (ja) * 2016-06-22 2018-01-11 Jfeスチール株式会社 焼結鉱の製造方法

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JP2017508941A (ja) * 2013-12-23 2017-03-30 ポスコPosco 燒結鉱の製造設備及びこれを用いた燒結鉱の製造方法
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