JPH11126689A - 有機el素子の製造方法および有機el素子 - Google Patents

有機el素子の製造方法および有機el素子

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JPH11126689A
JPH11126689A JP9306639A JP30663997A JPH11126689A JP H11126689 A JPH11126689 A JP H11126689A JP 9306639 A JP9306639 A JP 9306639A JP 30663997 A JP30663997 A JP 30663997A JP H11126689 A JPH11126689 A JP H11126689A
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organic
substrate
sputtering
electrode
film
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JP9306639A
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Masami Mori
匡見 森
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Original Assignee
TDK Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 リーク電流やダークスポットの発生を抑制
し、長寿命で高信頼性の有機EL素子の製造方法および
有機EL素子を提供する。 【解決手段】 ターゲットと基板とを有し、前記基板上
に電極および有機層を有する有機EL素子を成膜する有
機EL素子の製造方法であって、前記有機EL素子を成
膜するに際し、予め基板表面をスパッタ法にて逆スパッ
タ処理する有機EL素子の製造方法とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機化合物を用い
た有機EL素子の製造方法に関し、さらに詳細には、有
機EL素子を成膜する基板に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、有機EL素子が盛んに研究されて
いる。これは、陽電極上にトリフェニルジアミン(TP
D)などのホール輸送材料を蒸着により薄膜とし、さら
にアルミキノリノール錯体(Alq3)などの蛍光物質
を発光層として積層し、さらにMgなどの仕事関数の小
さな金属電極(陰電極)を形成した基本構成を有する素
子で、10V前後の電圧で数100から数10,000
cd/m2ときわめて高い輝度が得られることで注目されて
いる。
【0003】このような有機EL素子は、通常、ガラス
等の基板上に陽電極(逆積層の場合には陰電極)を積層
し、その上にホール注入輸送層、発光層、電子注入輸送
層等の有機層を積層し、さらにその上に陰電極(逆積層
の場合には陽電極)を積層して製造される。なお、ホー
ル注入輸送層、電子注入輸送層等は必要に応じて設けら
れる。
【0004】前記陽電極は、透明電極として、ITO
(錫ドープ酸化インジウム)、IZO(亜鉛ドープ酸化
インジウム)、ZnO、SnO2 、In23 等が知ら
れている。中でもITO電極は、80%以上の可視光透
過率と、10Ω/□以下の抵抗率を併せ持つ透明電極と
して、液晶ディスプレイ(LCD)、調光ガラス、太陽
電池等の透明電極として幅広く使用されており、有機E
L素子の陽電極としても有望視されている。
【0005】陰電極として用いられる材料は、発光層へ
電子を多く注入するものが有効であると考えられてい
る。換言すれば、仕事関数の小さい材料ほど陰電極とし
て適していると言える。仕事関数の小さい材料としては
種々のものがあるが、EL素子の陰極として用いられる
ものとしては、例えば特開平4−233194号公報に
記載されているMgAg、AlLi等が一般的である。
【0006】有機EL素子を用いたディスプレイを製造
する場合、特に量産工程において、不良率をいかに少な
くするかが重要な課題である。なかでも電流リークの発
生は重要な問題であり、逆方向への電流(リーク電流)
があると、クロストークや、輝度ムラ等の表示品質の低
下を招き、さらには不要な素子の発熱などの発光に寄与
しないエネルギー消費が起こり、発光効率が低下してし
まう。また、重要な問題の一つとして、ダークスポット
と称する非発光領域を生じる現象も知られている。この
ダークスポットは、主に前記電極と有機層間での界面の
物性が劣化することにより生じ、電極界面の酸化や変
質、電極の剥離等が原因であると考えられている。
【0007】リーク電流、ダークスポットの発生を防止
するため、種々の検討がなされており、上記陽電極、陰
電極の材質や成膜方法、積層構造等において最適な条件
が検討されている。しかしながら、未だにリーク電流、
ダークスポットの発生を完全に防止することは困難であ
り、これらの不良を減少させるためのさらなる改善が必
要とされている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、リー
ク電流やダークスポットの発生を抑制し、長寿命で高信
頼性の有機EL素子の製造方法および有機EL素子を提
供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】リーク電流やダークスポ
ットの発生を抑制するため、種々の検討を行った。そし
て、基板上に成膜された電極表面の凹凸(ゴミや有機物
による汚れ等も含まれる。以下同)が、リーク電流やダ
ークスポットの発生と密接に関連していることを見出し
た。すなわち、電極上の凹凸が大きいと、その後に成膜
される有機層との間で剥離現象を生じたり、上部電極と
短絡され易くなる等の不具合を生じ、これがリーク電流
やダークスポットととして現れる。そして、このような
電極表面の凹凸は、下地となる基板にも原因の一部があ
ることを見出した。
【0010】すなわち、上記目的は、下記(1)〜
(5)の本発明により達成される。 (1) 基板上に電極および有機層を有する有機EL素
子を成膜する有機EL素子の製造方法であって、前記有
機EL素子を成膜するに際し、予め基板表面をスパッタ
法にて逆スパッタ処理する有機EL素子の製造方法。
(2) 前記スパッタ法はRFスパッタであって、5分
以上逆スパッタ処理する上記(1)の有機EL素子の製
造方法。 (3) 前記基板を逆スパッタした後透明陽電極を成膜
する請求項1または2の有機EL素子の製造方法。 (4) 上記(1)〜(3)のいずれかの方法で得られ
た基板上に成膜された有機EL素子。 (5) 前記基板は、逆スパッタ処理前には最大表面粗
さRmax が15nm以上となる凹凸を有し、 逆スパッタ処理後には最大表面粗さRmax が15nm未満
であって、その平均が10nm以下である上記(4)の有
機EL素子。 (6) 前記逆スパッタ処理後の基板上に成膜された電
極であって、最大表面粗さRmax が15nm未満であり、
その平均が10nm以下である上記(4)または(5)の
有機EL素子。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の具体的構成につい
て詳細に説明する。本発明の有機EL素子の製造方法
は、ターゲットと基板とを有し、前記基板上に電極およ
び有機層を有する有機EL素子を成膜する有機EL素子
の製造方法であって、前記有機EL素子を成膜するに際
し、予め基板表面をスパッタ法にて逆スパッタ処理する
ものである。
【0012】基板上に有機EL素子を成膜する前に、逆
スパッタにより基板表面を処理することにより、基板表
面が平滑化され、ひいては電極表面が平滑化されて凹凸
が少なくなる。
【0013】スパッタ法としては、逆スパッタの場合、
通常、RFスパッタ法が用いられるが、同様の効果が得
られるものとして、ガスエッチング、イオンエッチン
グ、プラズマエッチング等の方法が考えられる。この場
合、特に好ましいものとして反応性イオンエッチング等
の化学的ドライエッチング等を用いてもよい。
【0014】本発明に使用されるRFスパッタ装置とし
ては、RF帯域の高周波を供給しうる電源を有するもの
であれば特に限定されるものではないが、通常、周波
数:13.56MHz 、投入電力:100〜500W程
度である。使用されるスパッタガスとしては、通常のス
パッタ装置に使用される不活性ガスが使用可能である
が、好ましくはAr、Kr、Xeのいずれか、あるいは
これらの少なくとも1種以上のガスを含む混合ガスを用
いることが好ましい。スパッタガス圧力は、好ましくは
0.3〜3.0Pa、より好ましくは0.5〜1.0Pa程
度である。
【0015】ターゲットには、一般に電極構成材料を用
い、基板ターゲット間距離は4〜15cm程度である。
【0016】逆スパッタ処理の時間としては、好ましく
は5分以上、より好ましくは5〜30分、特に8〜15
分が好ましい。逆スパッタ処理の行われる基板の表面粗
さRmax は、特に限定されるものではないが、好ましく
は少なくとも15nm以上の凹凸を有し、より好ましくは
15〜30nmの凹凸を有する。この程度の表面粗さを有
する基板は比較的安価で、入手も容易であり、本発明に
より好ましく使用できる。また、逆スパッタ処理された
後の基板面の表面粗さRmax は、好ましくは15nm未
満、より好ましくは5〜<15nm、特に5〜13nmの範
囲が好ましい。また、その平均値は、好ましくは10nm
以下、より好ましくは8〜10nmである。
【0017】基板としては特に限定されるものではな
く、有機EL素子が積層可能なものであればよいが、発
光した光を取り出す側の場合、ガラスや石英、樹脂等の
透明ないし半透明材料を用いることが好ましく、特にガ
ラスが好ましい。また、基板に色フィルター膜や蛍光性
物質を含む色変換膜、あるいは誘電体反射膜を用いて発
光色をコントロールしてもよい。また、発光した光を取
り出す側ではない場合には、基板は透明でも不透明であ
ってもよく、不透明である場合にはセラミックス等を使
用してもよい。
【0018】基板の大きさも特に限定されるものではな
いが、好ましくは最大長、特に対角長が100〜200
mm、特に120〜180mmの範囲が好ましい。基板の大
きさが200mmを超えると成膜装置が大型化し、均一な
抵抗率が得難くなったり、成膜効率が低下し、膜厚制御
が困難になってくる。
【0019】基板は、上記逆スパッタを行う前に洗浄し
てもよい。洗浄は、通常、中性洗剤、アセトン、エタノ
ール等を用いて、順次超音波洗浄し、最後に乾燥して真
空容器内にセットされる。
【0020】このようにして表面処理の行われた基板上
に、好ましくは陽電極や、陰電極等の電極を成膜し、さ
らに有機層などを成膜して有機EL素子を形成して行
く。
【0021】本発明により得られる有機EL素子は、基
板上に陽電極(逆積層では陰電極)と、その上に陰電極
(逆積層では陽電極)を有する構成からなり、これらの
電極に挟まれて、それぞれ少なくとも1層の電荷輸送層
および発光層等の有機層を有し、さらに最上層として保
護層を有する。なお、電荷輸送層は省略可能である。
【0022】本発明により得られる有機EL素子は、上
記示例に限らず、種々の構成とすることができ、例えば
発光層を単独で設け、この発光層と金属電極との間に電
子注入輸送層を介在させた構造とすることもできる。ま
た、必要に応じ、正孔注入・輸送層と発光層とを混合し
ても良い。
【0023】陽電極、陰電極は蒸着法やスパッタ法によ
り、発光層等の有機物層は真空蒸着等により成膜するこ
とができるが、これらの膜のそれぞれは、必要に応じて
マスク蒸着または膜形成後にエッチングなどの方法によ
ってパターニングでき、これによって、所望の発光パタ
ーンを得ることができる。さらには、基板が薄膜トラン
ジスタ(TFT)であって、そのパターンに応じて各膜
を形成することでそのまま表示および駆動パターンとす
ることもできる。
【0024】陽電極としては、好ましくは発光した光の
透過率が80%以上となるような材料および厚さを決定
することが好ましい。具体的には、酸化物透明導電薄膜
が好ましく、例えば、錫ドープ酸化インジウム(IT
O)、亜鉛ドープ酸化インジウム(IZO)、酸化イン
ジウム(In23 )、酸化スズ(SnO2 )および酸
化亜鉛(ZnO)のいずれかを主組成としたものが好ま
しい。これらの酸化物はその化学量論組成から多少偏倚
していてもよい。ITOでは、通常In2 3 とSnO
2 とを化学量論組成で含有するが、酸素量は多少これか
ら偏倚していてもよい。In2 3 に対しSnO2 の混
合比は、1〜20wt%が好ましく、さらには5〜12wt
%が好ましい。In2 3 に対しZnO2 の混合比は、
1〜20wt%が好ましく、さらには5〜12wt%が好ま
しい。
【0025】陽電極を成膜するにはスパッタ法が好まし
い。スパッタ法としてはRF電源を用いた高周波スパッ
タ法等も可能であるが、成膜する陽電極の膜物性の制御
のし易さや、成膜面の平滑度等を考慮するとDCスパッ
タ法を用いることが好ましい。
【0026】DCスパッタ装置としては、好ましくはマ
グネトロンDCスパッタ装置であることが好ましく、磁
場強度としては、ターゲット上の磁束密度Bが、好まし
くはB=500〜2000Gauss 、特に800〜150
0Gauss 程度が好ましい。ターゲット上の磁束密度は大
きいほど好ましく、磁束密度を大きくして磁場強度を強
くすると、ターゲット付近に電子を閉じこめるような電
極構造をとることによって、プラズマ中のスパッタガス
の陰極ターゲットに衝突するイオン数が増加し、プラズ
マ密度が大きくなる。プラズマ密度が大きくなると、プ
ラズマ中で粒子同士の衝突頻度が増し、運動エネルギー
の一部が失われ、スパッタされた粒子が基板上に穏やか
に堆積することになる。ターゲット上に磁場を得る方法
としては、特に限定されるものではないが、ターゲット
の裏面側、特に冷却部内に磁石を配置することが好まし
い。このような磁場を与える磁石として、例えば、Fe
−Nd−B、Sm−Co、フェライト、アルニコ等が挙
げられ、中でもFe−Nd−B、Sm−Coが大きな磁
束密度が得られ好ましい。
【0027】バイアス電圧としては、ターゲット−基板
(バイアス電極)間の電圧が、好ましくは100〜30
0V 、特に150〜250V の範囲が好ましい。バイア
ス電圧が高すぎると粒子の加速度が大きくなり、電極層
にダメージを与えやすくなる。また、バイアス電圧が低
すぎるとプラズマ放電を維持できなくなったり、プラズ
マ密度が低くなり、上記効果が得難くなる。
【0028】なお、磁場強度、バイアス電圧とも上記範
囲の中で、使用環境、装置の規模等に合わせて最適な値
に調整することが好ましい。
【0029】DCスパッタ装置の電力としては、好まし
くは0.1〜4W/cm2、特に0.5〜1W/cm2の範囲
である。また、成膜レートはマグネットなどの装置の条
件にもよるが、好ましくは5〜100nm/分、特に10
〜50nm/分の範囲が好ましい。スパッタ時の成膜条件
としては、電極形成で通常使用されているガス圧、例え
ば、0.1〜0.5Pa、基板−ターゲット間距離4〜1
0cmの範囲とすればよい。
【0030】ただし、基板の平滑性が重要な場合、スパ
ッタ時における成膜条件としては、成膜ガス圧力と基板
ターゲット間距離の積が20〜65Pa・cm、好ましくは
20〜60Pa・cmの範囲である。スパッタされた原子は
基板に到達する途中に運動エネルギーを失うが、その割
合は成膜ガス圧力と基板ターゲット間距離の両方に依存
する。スパッタされた原子の運動エネルギーがスパッタ
ガスによる散乱で失われ、ちょうどゼロ付近になる上記
成膜条件が良い。成膜ガス圧力と基板ターゲット間距離
の積が20Pa・cm未満の場合、スパッタされた分子の運
動エネルギーが大きく、有機層に物理的ダメージを与え
てしまう。また、成膜ガス圧力と基板ターゲット間距離
の積が65Pa・cmを超えると、成膜ガス自身が散乱し、
基板上への逆スパッタが始まり、膜表面を荒らしてしま
う。
【0031】上記した基板ターゲット間距離とは、スパ
ッタされた原子が、基板に到達するまでに通過する距離
であり、スパッタガスに散乱される行程である。そのた
め、基板がターゲットの真上に配置されている場合は、
基板ターゲット間距離は、スパッタ装置の電極間距離と
ほぼ等しいが、基板がターゲットに対してオフセット配
置されている場合は、スパッタされた原子が散乱される
距離は、電極間距離よりも長くなるため、これを考慮す
る必要がある。つまり、本発明で示した基板ターゲット
間距離とは、スパッタされた原子が基板に到達するまで
に実際に進む距離のことである。
【0032】スパッタガスは、通常のスパッタ装置に使
用される不活性ガスや、反応性スパッタではこれに加え
てN2,H2,O2,C24,NH3等の反応性ガスが使用
可能であるが、好ましくはAr、Kr、Xeのいずれ
か、あるいはこれらの少なくとも1種以上のガスを含む
混合ガスを用いることが好ましい。これらのガスは不活
性ガスであり、かつ、比較的原子量が大きいため好まし
く、特にAr、Kr、Xe単体が好ましい。Ar、K
r、Xeガスを用いることにより、スパッタされた原子
が基板まで到達する途中、上記ガスと衝突を繰り返し、
運動エネルギーを減少させて、基板に到着する。この事
からスパッタされた原子の持つ運動エネルギーが有機E
L構造体に与える物理的ダメージが少なくなる。また、
Ar、Kr、Xeの少なくとも1種以上のガスを含む混
合ガスを用いても良く、この様な混合ガスを用いる場
合、Ar、Kr、Xeの分圧の合計は50%以上として
主スパッタガスとして用いる。このようにAr、Kr、
Xeの少なくとも1種と任意のガスを組み合わせた混合
ガスを用いることにより、本発明の効果を維持したま
ま、反応性スパッタを行うこともできる。
【0033】スパッタガスにAr、Kr、Xeのいずれ
かを主スパッタガスとして用いる場合、好ましくは上記
基板ターゲット間距離の積は、それぞれ、Arを用いた
場合:25〜55Pa・cm、特に30〜50Pa・cm、Kr
を用いた場合:20〜50Pa・cm、特に25〜45Pa・
cm、Xeを用いた場合:20〜50Pa・cm、特に20〜
40Pa・cmの範囲が好ましく、これらの条件であればい
ずれのスパッタガスを用いても好ましい結果を得ること
ができるが、特にArを用いることが好ましい。
【0034】陽電極を上記条件にて成膜することによ
り、スパッタされた原子が基板まで到達する途中、上記
ガスと衝突を繰り返し、運動エネルギーを減少させて、
基板に到着することで、よりアモルファス性の強い陽電
極を成膜することが可能となり、粒成長が抑制され、膜
表面がよりスムースになる。
【0035】上記のような成膜条件で成膜された陽電極
は、通常の基板−ターゲットの位置関係で成膜した場
合、抵抗率が増大する傾向にあるが、本発明により抵抗
率の増大を抑えることができる。なお、さらに抵抗率を
低く抑えるために下地となる透明電極と共に成膜しても
よい。このため、その膜厚は下地となる透明電極と共に
積層する場合には、10〜20nmの比較的薄いものとす
ることが好ましい。
【0036】電極表面の最大表面粗さ(Rmax )は、好
ましくは15nm未満、より好ましくは13nm以下、特に
6〜10nm、さらには6〜8nmが好ましい。その平均値
としては、好ましくは10nm以下、特に8〜10nm程度
が好ましい。またその平均表面粗さ(Ra )は、好まし
くは3.0nm以下、より好ましくは2.0nm以下、特に
1.0〜1.5nmが好ましい。陽電極の表面をスムース
にすると、リーク電流、ダークスポットの発生等をより
抑制することができ好ましい。陽電極全体の厚さは10
〜500nm程度とすることが好ましい。また、素子の信
頼性を向上させるために駆動電圧が低いことが必要であ
る。
【0037】前記下地透明導電膜は、その電気抵抗を低
く抑えるため、好ましくはスパッタ時の圧力を0.10
〜0.3Pa、特に0.15〜0.25Pa の範囲で成膜
されたものを用いる。このような透明導電膜、特にIT
O等は市販されており、これを購入して用いることもで
きる。下地透明導電膜と陽電極の2層構造とすることに
より、電極抵抗を低く抑えることができ好ましい。下地
透明導電膜の膜厚としては、通常100〜200nm程度
が好ましい。下地透明導電膜上に成膜される場合の陽電
極の膜厚は、好ましくは10nm以上、より好ましくは2
0nm以上が好ましく、その上限は特に規制されるもので
はないが、光の透過性を重視する場合、透過率を80%
以上とすることが好ましく、その場合の膜厚は100nm
以下が好ましい。
【0038】また、下地透明導電膜と陽電極とを積層構
造として成膜する場合、非連続的(段階的)に下地透明
導電膜上に陽電極を成膜する以外、スパッタ中のガス圧
力を連続的に変化させ、膜質の異なる膜を連続的に形成
してもよい。この場合の効果は、上記場合とほぼ同等で
あるが、成膜プロセスを簡単にすることができる。
【0039】また、下地透明導電膜上に陽電極を成膜す
る場合(逆積層の場合、陰電極となる)、あらかじめ下
地透明導電膜表面をプラズマ処理、より具体的には逆ス
パッタ等をすることが好ましい。下地透明導電膜表面を
プラズマ処理することにより、下地透明導電膜表面が平
坦化され、その後に成膜される陽電極も平坦化される。
逆スパッタの条件としては、好ましくは上記のスパッタ
ガスを用い、ガス圧0.5〜1.0Pa、投入電力0.5
〜3W/cm2 程度にて1〜10分程度行うことが好まし
い。
【0040】なお、ディスプレイのような大きなデバイ
スにおいては、ITO等の陽電極の抵抗が大きく、電圧
降下が起きるので、Alなどのメタル配線をしてもよ
い。
【0041】陰電極としては、電子注入を効果的に行う
低仕事関数の物質が好ましく、例えば、K、Li、N
a、Mg、La、Ce、Ca、Sr、Ba、Al、A
g、In、Sn、Zn、Zr、Cs、Er、Eu、G
a、Hf、Nd、Rb、Sc、Sm、Ta、Y、Yb等
の金属元素単体、あるいは、BaO、BaS、CaO、
HfC、LaB6、MgO、MoC、NbC、PbS、
SrO、TaC、ThC、ThO2、ThS、TiC、
TiN、UC、UN、UO2、W2C、Y23、ZrC、
ZrN、ZrO2等の化合物を用いると良い。または安
定性を向上させるためには、金属元素を含む2成分、3
成分の合金系を用いることが好ましい。合金系として
は、例えばAl・Ca(Ca:5〜20at%)、Al・
In(In:1〜10at%)、Al・Li(Li:0.
1〜20at%未満)、Al・R〔RはY,Scを含む希
土類元素を表す〕等のアルミニウム系合金やIn・Mg
(Mg:50〜80at%)等が好ましい。これらの中で
も、特にAl単体やAl・Li(Li:0.4〜6.5
(ただし6.5を含まず)at%)または(Li:6.5
〜14at%)、Al・R(R:0.1〜25、特に0.
5〜20at%)等のアルミニウム系合金が圧縮応力が発
生しにくく好ましい。したがって、スパッタターゲット
としては、通常このような陰電極構成金属、合金を用い
る。これらの仕事関数は4.0eV以下であり、特に仕事
関数が小さい金属、合金ほど電子を多く発光層に注入で
きるので好ましい。
【0042】また、上記陰電極を製膜した後に、さらに
電気伝導度の良好な金属薄膜を積層してもよい。特に本
発明により成膜される陰電極薄膜は、材料により形成さ
れた後の膜密度が粗になる場合がある。その場合、外部
から水などが進入し易くなり、素子寿命に影響を与える
こととなる。そこで電気伝導度の良好な金属薄膜を積層
すると、素子の電極で電圧を低下させることなく、さら
に安定な素子を形成することができる。成膜される金属
としては、Cu,Ag,Au,Ru,Fe,Ni,P
d,Pt,Ti,Ta,Cr,Mo,W,Co,Rh,
Ir,Zn,Al,GaおよびIn等が挙げられ、これ
らの金属を任意の組成で混合して用いてもよい。また、
電気伝導度が金属と同等であれば、安定な化合物を用い
てもよい。安定な化合物としては、例えば、IrO2
MoO2 ,NbO,OsO2 ,ReO2 ,ReO3 ,R
uO2 等が挙げられる。
【0043】また、陰電極薄膜の厚さは、電子注入を十
分行える一定以上の厚さとすれば良く、20nm以上、好
ましくは50nm以上とすればよい。さらに陰電極上に積
層される金属薄膜の厚さは、電気抵抗を小さくすること
の可能な厚さとすればよく、50nm以上、好ましくは1
00nm以上とすればよい。また、陰電極と積層される金
属薄膜層を合わせた膜厚の上限値には特に制限はない
が、通常膜厚は100〜500nm程度とすればよい。
【0044】電極材料の異常粒成長を引き起こす要因と
して、電極材料粒子自身のもつ運動エネルギーや熱エネ
ルギーが高いことが考えられるが、それ以外に電極形成
過程で薄膜中に導入される歪みエネルギー等も可能性が
ある。歪みエネルギーには引張応力と圧縮応力とがあ
り、引張応力を有する電極にはダークスポットやリーク
電流等の問題が生じ難く、異常粒成長が主に圧縮応力と
関係があることがわかっている。この場合、X線回折法
(XRD)で電極表面を評価すると、回折ピークがバル
クで観察される回折角度に対して、僅かに高角或いは低
角にシフトするので歪みエネルギー(残留応力)の有無
とその種類(引張応力、圧縮応力)を調べることができ
る。そして、上記条件により圧縮応力がほとんど存在し
ない状態で成膜を行うことができれば、有機層へのダメ
ージや、リークを防止することができる。
【0045】例えばアルミニウムやアルミニウム合金系
の場合、バルク(111)面の面間隔dに対し、これと
ほぼ等しいかあるいは0.0002nm程度まで大きい方
向にシフトしていることが好ましい。従って、アルミニ
ウムの場合バルク面の面間隔d=0.23380nmとほ
ぼ等しいか、これより0.0002nm程度まで大きい方
向にシフトしていることが好ましい。また、透明電極の
場合、例えばITOでは、Sn組成比により若干ピーク
が異なるが、母相であるIn23 のバルク(222)
面の面間隔d=0.29210nmに対し、これと等しい
かあるいは0.0002nm程度まで大きい方向にシフト
していることが好ましい。
【0046】また、スパッタ法においては、ターゲット
に入射する高エネルギーイオンが、ターゲット表面で弾
性的に反射する現象がある。反射される粒子は大半が原
子状態であるが、高い運動エネルギーを有することから
成膜の過程で膜中に混入することが知られている。この
ようなスパッタガスの膜中への混入は膜のミクロ的な構
造変化をもたらし、上記のような、圧縮応力を発生させ
る要因となるものと考えられる。また、その成膜条件に
より膜中でのスパッタガス元素濃度は変化し、上記のよ
うな成膜条件では少なくなることが確認されている。
【0047】このような、電極膜中におけるスパッタガ
スの元素濃度は、スパッタガス成分元素の種類により異
なるが、好ましくは0.5at%以下、より好ましくは
0.1〜0.45at%、特に0.2〜0.4at%程度が
好ましい。このような元素の含有量は、2次イオン質量
分析(SIMS)等で確認することができる。
【0048】電極成膜後に、前記保護膜および/または
Al等の金属材料、SiOX 等の無機材料、テフロン等
の有機材料等を用いた他の保護層を形成すればよい。こ
の保護膜は、透明でも不透明であってもよい。一般に、
保護層の厚さは50〜1200nm程度とする。保護層
は、前記した反応性スパッタ法の他に、一般的なスパッ
タ法、蒸着法等により成膜すればよい。
【0049】本発明により得られる有機EL素子は、前
述のような反応性スパッタを利用して、保護膜として陰
電極の構成材料の酸化物、窒化物あるいは炭化物の1種
以上を設けてもよい。この場合、保護膜の原材料は、通
常は陰電極材料と同一組成とするが、それと組成比の異
なるものであっても、あるいはその材料成分中の1種以
上を欠くものであっても良い。このように、陰電極と同
一材料等を用いることにより、陰電極との連続成膜が可
能となる。
【0050】このような酸化物のO量、窒化物のN量あ
るいは炭化物のC量は、この化学量論組成から偏倚して
いても良く、それらの組成の0.5〜2倍の範囲であれ
ばよい。
【0051】ターゲットとしては好ましくは陰電極と同
一材料の焼結体を用い、反応性ガスとしては、酸化物を
形成する場合、O2 、CO等が挙げられ、窒化物を形成
する場合、N2 、NH3 、NO、NO2 、N2 O等が挙
げられ、炭化物を形成する場合、CH4 、C2 2 、C
2 4 等が挙げられる。これらの反応性ガスは単独で用
いても、2種以上を混合して用いても良い。
【0052】保護膜の厚さは、水分や酸素あるいは有機
溶媒の進入を防止するため、一定以上の厚さとすればよ
く、好ましくは50nm以上、さらに100nm以上、特に
100〜1000nmの範囲が好ましい。
【0053】陰電極と保護膜とを併せた全体の厚さとし
ては、特に制限はないが、通常100〜1000nm程度
とすればよい。
【0054】このような保護膜を設けることにより、陰
電極の酸化等がさらに防止され、有機EL素子を長期間
安定に駆動することができる。
【0055】さらに、素子の有機層や電極の酸化を防ぐ
ために素子上に封止層を形成することが好ましい。封止
層は、湿気の侵入を防ぐために市販の低吸湿性の光硬化
性接着剤、エポキシ系接着剤、シリコーン系接着剤、架
橋エチレン−酢酸ビニル共重合体接着剤シート等の接着
性樹脂層を用いて、ガラス板等の封止板を接着し密封す
る。ガラス板以外にも金属板、プラスチック板等を用い
ることもできる。
【0056】次に、本発明により得られる有機EL素子
の有機物層について述べる。発光層は、正孔(ホール)
および電子の注入機能、それらの輸送機能、正孔と電子
の再結合により励起子を生成させる機能を有する。発光
層には比較的電子的にニュートラルな化合物を用いるこ
とが好ましい。
【0057】電荷輸送層は、陽電極からの正孔の注入を
容易にする機能、正孔を輸送する機能および電子を妨げ
る機能を有し、正孔注入輸送層とも称される。
【0058】このほか、必要に応じ、例えば発光層に用
いる化合物の電子注入輸送機能がさほど高くないときな
ど、前述のように、発光層と陰電極との間に、陰電極か
らの電子の注入を容易にする機能、電子を輸送する機能
および正孔を妨げる機能を有する電子注入輸送層を設け
てもよい。
【0059】正孔注入輸送層および電子注入輸送層は、
発光層へ注入される正孔や電子を増大・閉じ込めさせ、
再結合領域を最適化させ、発光効率を改善する。
【0060】なお、正孔注入輸送層および電子注入輸送
層は、それぞれにおいて、注入機能を持つ層と輸送機能
を持つ層とに別個に設けてもよい。
【0061】発光層の厚さ、正孔注入輸送層の厚さおよ
び電子注入輸送層の厚さは特に限定されず、形成方法に
よっても異なるが、通常、5〜1000nm程度、特に1
0〜200nmとすることが好ましい。
【0062】正孔注入輸送層の厚さおよび電子注入輸送
層の厚さは、再結合・発光領域の設計によるが、発光層
の厚さと同程度もしくは1/10〜10倍程度とすれば
よい。電子もしくは正孔の、各々の注入層と輸送層を分
ける場合は、注入層は1nm以上、輸送層は1nm以上とす
るのが好ましい。このときの注入層、輸送層の厚さの上
限は、通常、注入層で500nm程度、輸送層で500nm
程度である。このような膜厚については注入輸送層を2
層設けるときも同じである。
【0063】また、組み合わせる発光層や電子注入輸送
層や正孔注入輸送層のキャリア移動度やキャリア密度
(イオン化ポテンシャル・電子親和力により決まる)を
考慮しながら、膜厚をコントロールすることで、再結合
領域・発光領域を自由に設計することが可能であり、発
光色の設計や、両電極の干渉効果による発光輝度・発光
スペクトルの制御や、発光の空間分布の制御を可能にで
きる。
【0064】本発明の有機EL素子の発光層には発光機
能を有する化合物である蛍光性物質を含有させる。この
蛍光性物質としては、例えば、特開昭63−26469
2号公報等に開示されているようなトリス(8−キノリ
ノラト)アルミニウム〔Alq3〕等の金属錯体色素が
挙げられる。この他、これに加え、あるいは単体で、キ
ナクリドン、クマリン、ルブレン、スチリル系色素、そ
の他テトラフェニルブタジエン、アントラセン、ペリレ
ン、コロネン、12−フタロペリノン誘導体等を用いる
こともできる。発光層は電子注入輸送層を兼ねたもので
あってもよく、このような場合はトリス(8−キノリノ
ラト)アルミニウム等を使用することが好ましい。これ
らの蛍光性物質を蒸着すればよい。
【0065】また、必要に応じて設けられる電子注入輸
送層には、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム等
の有機金属錯体、オキサジアゾール誘導体、ペリレン誘
導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、キノリン誘
導体、キノキサリン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、
ニトロ置換フルオレン誘導体等を用いることができる。
上述のように、電子注入輸送層は発光層を兼ねたもので
あってもよく、このような場合はトリス(8−キノリノ
ラト)アルミニウム等を使用することが好ましい。電子
注入輸送層の形成も発光層と同様に蒸着等によればよ
い。
【0066】なお、電子注入輸送層を電子注入層と電子
輸送層とに分けて設層する場合は、電子注入輸送層用の
化合物のなかから好ましい組合せを選択して用いること
ができる。このとき、陰電極側から電子親和力の値の大
きい化合物の層の順に積層することが好ましい。このよ
うな積層順については電子注入輸送層を2層以上設ける
ときも同様である。
【0067】また、正孔注入輸送層には、例えば、特開
昭63−295695号公報、特開平2−191694
号公報、特開平3−792号公報、特開平5−2346
81号公報、特開平5−239455号公報、特開平5
−299174号公報、特開平7−126225号公
報、特開平7−126226号公報、特開平8−100
172号公報、EP0650955A1等に記載されて
いる各種有機化合物を用いることができる。例えば、テ
トラアリールベンジシン化合物(トリアリールジアミン
ないしトリフェニルジアミン:TPD)、芳香族三級ア
ミン、ヒドラゾン誘導体、カルバゾール誘導体、トリア
ゾール誘導体、イミダゾール誘導体、アミノ基を有する
オキサジアゾール誘導体、ポリチオフェン等である。こ
れらの化合物は2種以上を併用してもよく、併用すると
きは別層にして積層したり、混合したりすればよい。
【0068】正孔注入輸送層を正孔注入層と正孔輸送層
とに分けて設層する場合は、正孔注入輸送層用の化合物
のなかから好ましい組合せを選択して用いることができ
る。このとき、陽電極(ITO等)側からイオン化ポテ
ンシャルの小さい化合物の層の順に積層することが好ま
しい。また陽電極表面には薄膜性の良好な化合物を用い
ることが好ましい。このような積層順については、正孔
注入輸送層を2層以上設けるときも同様である。このよ
うな積層順とすることによって、駆動電圧が低下し、電
流リークの発生やダークスポットの発生・成長を防ぐこ
とができる。また、素子化する場合、蒸着を用いている
ので1〜10nm程度の薄い膜も、均一かつピンホールフ
リーとすることができるため、正孔注入層にイオン化ポ
テンシャルが小さく、可視部に吸収をもつような化合物
を用いても、発光色の色調変化や再吸収による効率の低
下を防ぐことができる。
【0069】正孔注入輸送層は、発光層等と同様に上記
の化合物を蒸着すればよい。
【0070】色フィルター膜には、液晶ディスプレイ等
で用いられているカラーフィルターを用いれば良いが、
有機ELの発光する光に合わせてカラーフィルターの特
性を調整し、取り出し効率・色純度を最適化すればよ
い。
【0071】また、EL素子材料や蛍光変換層が光吸収
するような短波長の外光をカットできるカラーフィルタ
ーを用いれば、素子の耐光性・表示のコントラストも向
上する。
【0072】また、誘電体多層膜のような光学薄膜を用
いてカラーフィルターの代わりにしても良い。
【0073】蛍光変換フィルター膜は、EL発光の光を
吸収し、蛍光変換膜中の蛍光体から光を放出させること
で、発光色の色変換を行うものであるが、組成として
は、バインダー、蛍光材料、光吸収材料の三つから形成
される。
【0074】蛍光材料は、基本的には蛍光量子収率が高
いものを用いれば良く、EL発光波長域に吸収が強いこ
とが望ましい。実際には、レーザー色素などが適してお
り、ローダミン系化合物・ペリレン系化合物・シアニン
系化合物・フタロシアニン系化合物(サブフタロ等も含
む)ナフタロイミド系化合物・縮合環炭化水素系化合物
・縮合複素環系化合物・スチリル系化合物・クマリン系
化合物等を用いればよい。
【0075】バインダーは基本的に蛍光を消光しないよ
うな材料を選べば良く、フォトリソグラフィー・印刷等
で微細なパターニングが出来るようなものが好ましい。
また、ITOの成膜時にダメージを受けないような材料
が好ましい。
【0076】光吸収材料は、蛍光材料の光吸収が足りな
い場合に用いるが、必要の無い場合は用いなくても良
い。また、光吸収材料は、蛍光性材料の蛍光を消光しな
いような材料を選べば良い。
【0077】正孔注入輸送層、発光層および電子注入輸
送層の形成には、均質な薄膜が形成できることから真空
蒸着法を用いることが好ましい。真空蒸着法を用いた場
合、アモルファス状態または結晶粒径が0.1μm 以下
の均質な薄膜が得られる。結晶粒径が0.1μm を超え
ていると、不均一な発光となり、素子の駆動電圧を高く
しなければならなくなり、電荷の注入効率も著しく低下
する。
【0078】真空蒸着の条件は特に限定されないが、1
-4Pa以下の真空度とし、蒸着速度は0.01〜1nm/
sec 程度とすることが好ましい。また、真空中で連続し
て各層を形成することが好ましい。真空中で連続して形
成すれば、各層の界面に不純物が吸着することを防げる
ため、高特性が得られる。また、素子の駆動電圧を低く
したり、ダークスポットの成長・発生を抑えたりするこ
とができる。
【0079】これら各層の形成に真空蒸着法を用いる場
合において、1層に複数の化合物を含有させる場合、化
合物を入れた各ボートを個別に温度制御して共蒸着する
ことが好ましい。
【0080】また、有機層を真空蒸着する直前に、前述
の逆スパッタ条件で1〜2分程度電極膜表面を逆スパッ
タ処理すると、表面に付着した有機物、水分等の汚れを
除去することができる。
【0081】本発明により得られる有機EL素子は、通
常、直流駆動型のEL素子として用いられるが、交流駆
動またはパルス駆動とすることもできる。印加電圧は、
通常、2〜20V 程度とされる。
【0082】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を比較例ととも
に示し、本発明をさらに詳細に説明する。 <実施例1>縦50mm×横50mm×厚さ1.1mmのガラ
ス基板(コーニング社製:7059)をRFスパッタ装
置内にセットし、セルフバイアスで基板表面を5分間逆
スパッタした。このときの条件として、RF電源に周波
数13.56MHz、電力250Wを用い、スパッタガス
にはArを用い、逆スパッタ時の圧力を1.0Pa とし
た。
【0083】逆スパッタ処理された基板面の最大表面粗
さRmax を10箇所で測定したところ、表1のようにな
り、その平均値は8.99nmであった。
【0084】さらに、この上に陽電極として厚さ200
nmのITOをスパッタ法にて形成した。このときの条件
として、ターゲットにITO(Sn:10wt%)を用
い、スパッタガス圧0.15Pa、ターゲットと基板間距
離(Ts)9.0cmとした。投入電力は1.2W/cm
2 、成膜レートは16.0nm/min であった。
【0085】基板上に形成された陽電極の最大表面粗さ
を、10箇所で測定したところ表1のようになり、その
平均値は9.80nmであった。
【0086】その後パターニングし、中性洗剤、アセト
ン、エタノールを用いて超音波洗浄し、次いで煮沸エタ
ノール中から引き上げ乾燥した。この透明電極表面をU
V/O3洗浄した後、真空蒸着装置の基板ホルダーにて
固定して、槽内を1×10-4Pa以下まで減圧した。
【0087】次いで減圧状態を保ったまま、N,N’−
ジフェニル−m−トリル−4,4’−ジアミン−1,
1’−ビフェニル(TPD)を蒸着速度0.2nm/secで
55nmの厚さに蒸着し、正孔注入輸送層とした。
【0088】さらに、減圧を保ったまま、Alq3:ト
リス(8−キノリノラト)アルミニウムを蒸着速度0.
2nm/secで50nmの厚さに蒸着して、電子注入輸送・発
光層とした。
【0089】次いで、真空蒸着装置からスパッタ装置に
移し、DCスパッタ法にてMg・Ag合金(Ag:5at
%)をターゲットとして陰電極を200nmの厚さに成膜
した。このときのスパッタガスにはArを用い、ガス圧
4.5Pa、ターゲットと基板間距離(Ts)9.0cmと
し、投入電力は1.2W/cm2 であった。
【0090】最後にSiO2を200nmの厚さにスパッ
タして保護層として、有機EL素子を得た。この有機E
L素子は、それぞれ2本ずつの平行ストライプ状陰電極
と、8本の平行ストライプ状陽電極を互いに直交させ、
2×2mm縦横の素子単体(画素)を互いに2mmの間隔で
配置し、8×2の16画素の素子としたものである。
【0091】得られた有機EL素子について、160画
素(10素子分)の電極間の電流リーク個数について調
べた。なお、電極間の抵抗値が200MΩ以下のものを
リークとした。その結果、リーク個数は1/160個で
あった。
【0092】この有機EL素子を乾燥アルゴン雰囲気中
で直流電圧を印加し、10mA/cm2の一定電流密度で30
0時間連続駆動させた。連続駆動後のダークスポットに
ついて目視により評価した。その結果、160画素中、
直径200μm 以下のダークスポットが5個確認され
た。
【0093】
【表1】
【0094】<実施例2>実施例1において、基板面を
逆スパッタする時間を10分とした他は実施例1と同様
にして逆スパッタ処理を行った。逆スパッタ処理された
基板面の最大表面粗さを10箇所で測定したところ、表
1のようになり、その平均値は9.02nmであった。
【0095】次いで、実施例1と同様にしてITO透明
電極を成膜した。基板上に形成された陽電極の最大表面
粗さを10箇所で測定したところ、表1のようになり、
その平均値は8.97nmであった。
【0096】さらに実施例1と同様にして有機EL素子
を作製した。得られた有機EL素子について、160画
素(10素子分)の電極間の電流リーク個数について調
べた。その結果、リーク個数は0/160個であった。
【0097】この有機薄膜発光素子に実施例1と同様に
して連続駆動させ、駆動後のダークスポットについて目
視により評価した。その結果、160画素中、直径20
0μm 以下のダークスポットが3個確認された。
【0098】<比較例1>実施例1において、基板面を
逆スパッタ処理しない他は実施例1と同様にしてITO
透明電極を成膜した。未処理の基板面の最大表面粗さを
10箇所で測定したところ、表1のようになり、その平
均値は12.0nmであった。また、基板上に形成された
陽電極の最大表面粗さを10箇所で測定したところ、そ
の平均値は16.6nmであった。逆スパッタ処理を行っ
た基板上に成膜されたITO膜と比較すると、表面粗さ
の平均値にあまり違いは認められないが、未処理の基板
上の膜は、部分的に30nm程度の凹凸が存在していた。
【0099】さらに実施例1と同様にして有機EL素子
を作製した。得られた有機EL素子について、160画
素(10素子分)の電極間の電流リーク個数について調
べた。その結果、リーク個数は158/160個であっ
た。
【0100】この有機薄膜発光素子に実施例1と同様に
して連続駆動させ、駆動後のダークスポットについて目
視により評価した。その結果、160画素中、直径20
0μm 以下のダークスポットが135個確認された。
【0101】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、リーク電
流やダークスポットの発生を抑制し、長寿命で高信頼性
の有機EL素子の製造方法および有機EL素子を提供で
きる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に電極および有機層を有する有
    機EL素子を成膜する有機EL素子の製造方法であっ
    て、 前記有機EL素子を成膜するに際し、予め基板表面をス
    パッタ法にて逆スパッタ処理する有機EL素子の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 前記スパッタ法はRFスパッタであっ
    て、5分以上逆スパッタ処理する請求項1の有機EL素
    子の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記基板を逆スパッタした後透明陽電極
    を成膜する請求項1または2の有機EL素子の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかの方法で得られ
    た基板上に成膜された有機EL素子。
  5. 【請求項5】 前記基板は、逆スパッタ処理前には最大
    表面粗さRmax が15nm以上となる凹凸を有し、 逆スパッタ処理後には最大表面粗さRmax が15nm未満
    であって、その平均が10nm以下である請求項4の有機
    EL素子。
  6. 【請求項6】 前記逆スパッタ処理後の基板上に成膜さ
    れた電極であって、最大表面粗さRmax が15nm未満で
    あり、その平均が10nm以下である請求項4または5の
    有機EL素子。
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