JPH11126686A - 有機エレクトロルミネセンス素子の製造装置 - Google Patents

有機エレクトロルミネセンス素子の製造装置

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JPH11126686A
JPH11126686A JP9290645A JP29064597A JPH11126686A JP H11126686 A JPH11126686 A JP H11126686A JP 9290645 A JP9290645 A JP 9290645A JP 29064597 A JP29064597 A JP 29064597A JP H11126686 A JPH11126686 A JP H11126686A
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JP
Japan
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chamber
gas
cell
vapor deposition
internal pressure
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Application number
JP9290645A
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English (en)
Inventor
Akira Gyotoku
明 行徳
Hideaki Iwanaga
秀明 岩永
Shintaro Hara
慎太郎 原
Takahiro Komatsu
隆宏 小松
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 蒸着材料の無駄な消費や不純物の混入を確実
に防止できると共に各蒸着材についての無用な温度操作
を省くことによって高品質の蒸着膜を得ることを目的と
する。 【解決手段】 ガラス基板等の処理材Mを真空排気可能
なチャンバ2の中に装入し、セル4等の加熱蒸発手段に
よって有機系の蒸着材料を蒸発させて処理材Mに付着さ
せて有機膜を形成した後処理材Mを搬出して新たに処理
材Mをチャンバ2に装入するに際して、セル4の加熱を
継続したままチャンバ2の内圧を蒸着材料の蒸発圧力よ
りも高くなるように希ガスまたはN2ガスなどをチャン
バ2の中に供給し、処理材Mの搬入及び装入の期間では
セル4からの蒸着材料の蒸発を阻止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機エレクトロル
ミネセンス素子(以下、「有機EL素子」と記す)の製
造に係り、特にガラス基板にITO膜などの透明導電膜
を形成したものに有機材料を抵抗加熱真空蒸着法によっ
て薄膜形成する過程を量産用として最適化した有機EL
素子の製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】たとえば、液晶ディスプレイのバックラ
イトや各種のディスプレイの表示・光通信の光源などと
して用いられる有機EL素子は、発光材料や層構造を変
化させることによって、従来の無機EL素子では困難で
あった青色発光を含む種々の発光波長が得られることか
ら、各種の発光デバイスやカラーディスプレイの分野に
広く利用されるようになった。
【0003】有機EL素子は、ガラス基板の表面に発光
に必要な各種の薄膜層を積層するというものが基本的な
構成であり、その製造過程の概略を図5に示す。
【0004】図5において、ガラス基板51の表面に透
明導電膜としてたとえばITO膜52を陽極として成膜
したもの(同図(a))を抵抗加熱真空蒸着装置に供給
し、たとえばTPDを材料とするホール輸送層53(同
図(b))及びたとえばAlq3を材料とする発光層5
4(同図(c))がそれぞれ順に蒸着される。そして、
電極55を蒸着した後(同図(d))には、これらの蒸
着層が水に弱いことから保護膜56を形成し(同図
(e))、これを装置から取り出すことによって製品が
得られる。
【0005】以上のような、ホール輸送層53から保護
膜56の各蒸着過程は、ガラス基板51を装入して材料
を蒸着するための空間を形成したチャンバを材料毎に設
けておき、これらのチャンバの内を真空状態の減圧雰囲
気とし、加熱した材料を蒸発させて積層する抵抗加熱真
空蒸着装置によって行なわれる。この抵抗加熱真空蒸着
装置は、材料のガラス基板51を1枚毎に各チャンバに
装入していく方式のものと、複数のガラス基板51を装
入してバッチ式として操作するものがあり、前者の例に
おけるチャンバ構造の概略を図6に示す。
【0006】抵抗加熱真空蒸着装置は内部をチャンバ2
として形成した耐圧性の容器1を一つの材料についての
蒸着ユニットとして構成され、このチャンバ2の中に処
理材Mが搬入されて蒸着処理された後に搬出される。た
とえば、図5の(b)で示したホール輸送層53の蒸着
であれば、材料としてTPDを蒸着材とし図5の(a)
のITO膜52を成膜したガラス基板51が処理材Mと
してチャンバ2に供給される。そして、処理材Mは、図
示のように、チャンバ2内の上端側に配置したホルダ2
aによってチャッキングされ、その蒸着面が下方を向く
水平面となるように保持される。また、チャンバ2には
真空ポンプ3を接続し、この真空ポンプ3によって10
-8〜10-6torr程度までチャンバ2の内圧を減圧操
作できるようにする。
【0007】チャンバ2内の底部側には、蒸着材料を加
熱し蒸発させてその蒸気を飛ばすことにょって処理材M
に付着させるための複数のセル4を配列する。これらの
セル4はたとえば石英を素材として上端を開放したまま
の有底の円筒体であり、その周りにはセル4を高温加熱
するためのヒータ4aを配置している。
【0008】セル4からの蒸着材料の蒸気の処理材Mへ
の付着を制御する部材として、セル4の直ぐ上方に配置
したセル側シャッター5及びホルダ2aの直ぐ下に設け
たホルダ側シャッター6をそれぞれ備える。これらのシ
ャッター5,6は、それぞれ駆動機構(図示せず)に連
接され、蒸着過程での必要なタイミングに合わせてセル
4の上方及びホルダ2aに保持された処理材Mの下方を
閉じたり開いたりする動作を可能としたものである。
【0009】更に、チャンバ2内には、各セル4からの
蒸着材の蒸発量及び処理材Mへの蒸着厚さを検出するた
めの水晶振動子7を設ける。この水晶振動子7は、蒸発
材料の付着による振動数の変化を蒸発量に換算してこれ
を検出し、その検出信号をコントローラに入力する。
【0010】このような抵抗加熱真空蒸着装置では、先
ず真空ポンプ3によってチャンバ2が10-8〜10-6
orrまで減圧された後に処理材Mが装入されてホルダ
2aにチャッキングされ、この後セル4がヒータ4aに
よって加熱される。ただし、この工程はチャンバ2を真
空排気した後に処理材Mを装入する例を示したが、処理
材Mを装入後にチャンバ2内を真空排気してもよい。そ
して、蒸着材の加熱温度が材料毎に設定された温度まで
上昇すると、セル側シャッター5だけが開いてセル4か
ら蒸着材の蒸気が飛散し始め、水晶振動子7はこの飛散
蒸気による振動数の変化の信号をコントローラに入力
し、この信号に基づいて蒸着速度が検知される。
【0011】蒸着速度が処理材Mへの蒸着に十分なもの
であるとコントローラの演算系で判断されると、ホルダ
側シャッター6が開いて処理材Mに対して蒸着材が付着
していき蒸着処理される。そして、処理材Mに対する蒸
着膜厚を同様に水晶振動子7の振動数の変化によって検
出し、所定値となったときにセル側及びホルダ側のシャ
ッター5,6を両方とも閉じる。この後、蒸着済みの処
理材Mが搬出されて次の工程に送り出され、新たな処理
材Mがチャンバ2に供給されて同じ作動によって処理材
Mの1枚ずつを順次蒸着処理していく。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】ところが、従来の装置
では、1枚の処理材Mに対して蒸着し終えた後に新たな
処理材Mを装入してホルダ2aに保持させる間の期間を
通じて、ヒータ4aへの通電が継続されてセル4は常に
加熱されている。このように加熱したままにしておくの
は、たとえば通電を切って温度を下げようとすると、新
たに装入した処理材Mへの蒸着のために再加熱するため
の時間が長くなるほか、この再加熱の温度制御も煩わし
いことや、しかも同一の成膜レートで膜を形成し同一の
膜質を得ることが一つの理由である。
【0013】このように処理材Mの搬出と装入の期間も
継続してセル4を加熱するのでは、その中の蒸着材料が
蒸発を続けてセル側シャッター5の下面に付着してしま
い、高価な蒸着材料を無駄に消費することになる。
【0014】また、処理材Mの搬出と装入が済むまでの
間、処理材Mの出し入れのためにチャンバ2を外に開放
することになり、蒸発蒸気が外に流れ出しやすい。この
ため、たとえば量産タイプとして使用されている設備の
ように、複数の蒸着材料毎の容器を真空ライン上に配列
して各容器での処理材の搬入と装入とを同期して繰り返
すものでは、或る容器の蒸着材料の蒸気が別の容器の中
に紛れ混む可能性が高い。したがって、いずれの容器に
おいても、蒸着材料に対して不純物が混入してしまう恐
れがあり、蒸着薄膜の品質低下等の原因ともなる。
【0015】一方、処理材Mの搬出及び装入の期間のサ
イクルに合わせて、これらの期間においてのみヒータ4
aによるセル4への加熱量を低減するように操作し、こ
の期間だけ蒸着材料の蒸発がないようにすることもでき
る。すなわち、セル4の加熱温度を蒸着材料の蒸発温度
よりも低くすることで、蒸着材料の不要な蒸発がないよ
うにし、これによって蒸着材料の消費を抑えるとともに
不純物の混入も抑えられる。
【0016】しかしながら、ホール輸送層及び発光層と
してよく用いられるTPDとAlq 3を例として説明す
ると、ホール輸送層53の材料としてのTPDの蒸発温
度はチャンバ2内の真空度が10-6torrの場合では
約240℃であり、発光層54用のAlq3のそれは約
320℃であり、常温からこの温度域までに昇温するの
に必要な加熱時間はオーバーシュートを考慮すれば徐徐
に昇温することが好ましく、通常30分以上が必要とな
る。そして、処理材Mの搬出及び装入の期間においての
TPD及びAlq3を蒸発させないようにするには、1
-6torrの真空度において温度を約100℃程度下
げなければならず、この温度の低下が済むまでには約3
0分間程度の時間が必要である。更に、処理材Mの搬出
及び装入が完了して再加熱すなわち100℃だけ温度上
昇させるのに必要な時間は約20分程度である。
【0017】このように、セル4の加熱量を一時的に低
下させる操作では、蒸着が完了したときの温度降下時間
及び次の処理のための再加熱のための温度上昇時間に約
50分もの時間を費やすことになり、生産性に与える影
響は無視できない。
【0018】また、再加熱して温度上昇させるときに
は、蒸発温度に対してオーバーシュートを伴うことが避
けられず、処理材Mロット毎に適合した温度の微調整が
十分にできないことになり、蒸着速度が不安定に陥りや
すい。このため、処理材Mへの蒸着膜質にばらつきを生
じることになり、発光特性も不安定となり歩留りにも影
響を及ぼす。
【0019】更に、有機EL素子の発光層54の蒸着
は、発光輝度の向上あるいは発光スペクトルの制御のた
めドーピング法すなわちホスト材料とゲスト材料とを共
蒸着して混合層を形成する方法がよく用いられる。この
ドーピング法では、ホスト材料とゲスト材料の混合比は
材料によって異なるが、ホスト材料にAlq3を用い、
ゲスト材料にクマリン−540を用いた場合のゲスト材
料の添加量は、1重量%以下が発光特性が優れていると
の報告があり(C.W.Tang:J.Appl.Ph
ys.,Vol.65,No.9 3610 198
9)、ホスト材料に対するゲスト材料の混合比は微小量
であることが一般的である。
【0020】この場合、処理材Mの搬出及び装入の間に
セルの温度を降温し、再度装入後にセルを昇温する従来
方法では、蒸発温度のオーバーシュートにより特にゲス
ト材料の蒸発量の制御が困難となり、混合比がロット間
でばらつきを生じ、ひいては発光特性のばらつきの原因
となる。
【0021】このように、従来の装置構成では、蒸着材
料が無駄に消費されたり不純物の混入による蒸着膜の不
良を生じたりして、処理材の入替えの期間に蒸着材の蒸
発温度より下げる操作をした場合でも処理時間が長くな
るほか、温度制御の不良によって製品精度の劣化を招く
という問題がある。
【0022】本発明において解決すべき課題は、蒸着材
料の無駄な消費や不純物の混入を確実に防止できると共
に各蒸着材についての無用な温度操作を省くことによっ
て高品質の蒸着膜が得られるようにすることを目的とす
る。
【0023】
【課題を解決するための手段】本発明は、基板の表面に
有機材料を抵抗加熱真空蒸着法によって順次蒸着してい
く製造装置であって、基板を装入及び搬出可能なチャン
バを内部に形成しこのチャンバを真空排気可能とした容
器と、チャンバの内部に収納されその上方に装入した基
板に向け蒸着材料を加熱して蒸発させる加熱蒸発手段
と、チャンバの内部に操作ガスを供給してチャンバ内圧
を上昇させる内圧操作手段とからなることを特徴とす
る。
【0024】このような構成では、内圧操作手段によっ
て操作ガスをチャンバ内に供給してその内圧を蒸着材料
の蒸発圧力をも高く設定すると、蒸着材料の不要な蒸発
を阻止することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】請求項1に記載の発明は、基板の
表面に有機材料を抵抗加熱真空蒸着法によって順次蒸着
していく製造装置であって、基板を装入及び搬出可能な
チャンバを内部に形成しこのチャンバを真空排気可能と
した容器と、チャンバの内部に収納されその上方に装入
した基板に向け蒸着材料を加熱して蒸発させる加熱蒸発
手段と、チャンバの内部に操作ガスを供給してチャンバ
内圧を上昇させる内圧操作手段とからなるものであり、
加熱蒸発手段が蒸着材料を加熱保持したままで内圧操作
手段の操作ガス供給による内圧上昇の操作を行なうと
き、内圧が蒸着材料の蒸発圧力よりも高くなるようにす
れば、蒸着材料の蒸発を阻止するという作用を有する。
【0026】請求項2に記載の発明は、請求項1記載の
製造装置において、操作ガスを希ガスまたはN2ガスと
したものであり、その不活性によってチャンバ内の圧力
操作のみに関与させることができるという作用を有す
る。
【0027】請求項3に記載の発明は、請求項1または
2移載の製造装置において、操作ガスを、その露点が−
50℃以下のガスとしたものであり、製造しようとする
有機EL素子の成膜層を劣化させることがないという作
用を有する。
【0028】請求項4に記載の発明は、請求項1から3
のいずれかに記載の製造装置において、内圧操作手段
が、一端をガス供給手段に接続し他端をチャンバ内に連
通させた内圧操作管と、流路開閉及び流量調整用のバル
ブとからなるものであり、バルブを開く操作によって操
作ガスをチャンバに供給してその内圧を上昇させるとと
もに、流量調整によって蒸着材料の蒸発圧力に対応した
最低限の操作ガスの消費量での操業を可能とするという
作用を有する。
【0029】以下に、本発明の実施の形態の具体例を図
面を参照しながら説明する。図1は本発明の一実施の形
態による有機EL素子の製造装置におけるチャンバの構
造を示す要部の概略縦断面図、図2は図1のチャンバ内
の要部の横断面図である。なお、従来例で示したものと
同じ部材については共通の符号で指示し、その詳細な説
明は省略する。
【0030】図1及び図2において、容器1のチャンバ
2に接続する真空ポンプ3やホルダ2a、セル4、セル
側とホルダ側のシャッター5,6及び水晶振動子7の配
置等は、従来構造のものと同様であり、これらのそれぞ
れの機能も全く同じである。
【0031】そして、チャンバ2内の蒸着材料の蒸発量
や処理材Mに付着した蒸着膜の厚さを水晶振動子7の振
動数の変化に基づいてセル側及びホルダ側のシャッター
5,6の開閉動作やヒータ4aの通電等の制御をコント
ローラで実行させることについても同様である。
【0032】容器1は図5に示した各処理の工程でそれ
ぞれ異なる蒸着材料についての蒸着を行なうものとして
独立して装置に組み込まれるものであり、量産システム
に好適な例を図3及び図4に示す。
【0033】図3の例はサテライト型のものであり、図
5において説明したようにITO膜52を予め成膜した
ガラス基板51を処理材Mとしてハンドリングするロボ
ットRの周りに、操作単位としてのブースA〜Gを環状
に配列している。これらのブースは、外部から処理材M
を搬入して待機させるためのロードブースA、蒸着前に
処理材Mを洗浄したりする前処理ブースB、ホール層輸
送蒸着ブースC、発光層蒸着ブースD、電極蒸着ブース
E、保護膜蒸着ブースF及び蒸着完了後の処理材をライ
ン外に排出するアンロードブースGである。そして、各
ブースA〜Gの順に処理材Mが1個ずつ同時に装入され
てそれぞれが処理され、ブースC〜Fでの蒸着処理時間
が経過したときには、処理材Mをそれぞれ次のブースに
搬出及び装入する操作をロボットRによって行なわせ
る。
【0034】このように、複数の処理材Mを同時に異な
る蒸着用のブースC〜Fによって処理するので、量産に
適した設備として使うことができる。なお、このサテラ
イト式のものに代えて、図4に示すように1方向の連続
ラインとして各ブースA〜Gのレイアウトとしてもよい
ことは無論である。そして、図1及び図2に示した容器
1は、蒸着用のブースC〜Fのいずれにも共通のものと
して設備され、セル4に充填される蒸着材料の種類だけ
が異なる。
【0035】図1及び図2に戻って、容器1にはチャン
バ2内にArやXe等の不活性ガスやN2やO2などのガ
ス(図示の例ではN2ガスとしている)を送り込む内圧
操作管8を接続する。この内圧操作管8はコントローラ
によって制御され、流路の開閉及び開度を調整可能な電
動式のバルブ8aを組み込んだもので、処理材Mを搬出
及び装入する期間に必要な量のガスをチャンバ2内に供
給する。
【0036】内圧操作管8のチャンバ2に対する接続位
置は特に制約を受けるものではないが、図2に示すよう
な複数のセル4の平面配置に対して近い位置が好まし
い。なお、チャンバ2内は真空ポンプ3によって真空排
気されて減圧されているので、内圧操作管8からのN2
ガスはチャンバ2内の全体に直ぐに拡散していく。した
がって、内圧操作管8をセル4の近くに接続できなくて
も、チャンバ2内の全体の昇圧には実質的に何ら支障は
生じない。
【0037】なお、有機EL素子が形成される各過程で
の成膜に対しては、水分によって品質が劣化することが
知られている。このためN2ガスも含めて他の種類のガ
スを使用する場合では、これらのガスから水分を除いて
脱水したものとすることが好ましく、たとえば露点が−
50℃以下とすることが最適である。
【0038】以上の構成において、図1に示した容器1
が図3の蒸着設備におけるホール輸送層蒸着ブースCに
備えたものであってホール輸送材としてTPDを使用す
る場合を例とすると、その作動は次のとおりである。
【0039】従来装置と同様に、真空ポンプ3によって
チャンバ2が1×10-6〜1×10 -7torrまで減圧
した後に、処理材MをロボットRによって装入するとと
もに処理材Mをホルダ2aによってチャッキングする。
この後、セル4をヒータ4aによって加熱し、蒸着材と
してこのセル4に充填しているTPDの蒸発温度240
℃となるまで加熱を継続する。なお、このときの昇温に
必要な時間は、常温からの加熱であれば約1時間程度で
ある。
【0040】TPDの蒸発温度までセル4が加熱される
と、セル側シャッター5が開いてセル4からTPDの蒸
気が飛散し始め、水晶振動子7によって飛散蒸気流量が
所定値に達したことが検出されると、コントローラによ
ってホルダ側シャッター6が開いて処理材MにTPD蒸
気が付着する。そして、その付着膜厚が所定厚さになっ
たことが水晶振動子7によって検出されると、セル側及
びホルダ側のシャッター5,6が同時に閉じる。
【0041】ここまでの動作は従来装置と同様である
が、シャッター5,6を閉じた後であって蒸着済みの処
理材Mの搬出及び前処理ブースBからの新たな処理材の
装入の前に、ヒータ4aへの通電はそのまま継続し、内
圧操作管8のバルブ8aを開いてN2ガスをチャンバ2
に供給する。
【0042】内圧操作管8からのN2ガスの圧力は、T
PDの蒸発圧力よりも高くなる50〜100mmtor
r程度であればよく、蒸着の期間でのチャンバ2の内圧
に対してこれを一時的に高くし、加熱が継続されている
セル4からのTPDの蒸発圧力よりもチャンバ2の内圧
が上回るようにする。このようなチャンバ2の内圧操作
によって、セル4に対する加熱が継続されているにも拘
わらず、TPDの蒸発は抑え込まれることになる。
【0043】以上のチャンバ2の内圧上昇の期間に、蒸
着済みの処理材MをロボットRによって搬出して発光層
蒸着ブースDに移送し、前処理ブースBから新たな処理
材をチャンバ2内に装入する。この搬出及び装入の操作
のときには、容器1の一部を開いてチャンバ2を開放す
ることになるが、チャンバ2内ではTPDの蒸発は阻止
されているので、その外部への流れ出しはない。したが
って、TPDの蒸気がロボットRの収納室やこのロボッ
ト収納室を通って他の蒸着用のブースD,E,Fのチャ
ンバに入り込んで各チャンバを汚染することが防止され
る。
【0044】なお、N2ガス自身の圧力及び供給してい
る間のチャンバ2の内圧の大きさは、蒸着材の種類すな
わちその蒸発圧力の値によって変えればよいことは当然
であり、5〜100mmtorr程度の範囲に設定でき
るようにしておけば、殆どの蒸着材に対応できる。そし
て、このような圧力の設定はバルブ8aによる流量制御
によっても可能である。
【0045】また、このようなN2ガスの供給期間で
は、真空ポンプ3はそのまま作動を継続させても停止さ
せてもよい。たとえば、蒸着材の蒸発圧力が高い場合で
は、真空ポンプ3の作動を停止させたほうがN2ガスに
よる昇圧時間が短縮されることになり、蒸着材の蒸発圧
力が低いときには真空ポンプ3を作動させたままでもチ
ャンバ2内の昇圧に時間を取られることはない。
【0046】処理材の入替えが完了して新たな処理材M
がチャンバ2内に装入された後には、バルブ8aを閉じ
てN2ガスの供給を停止する。この停止の後には、真空
ポンプ3が作動を継続していた場合では、そのままチャ
ンバ2内が速やかに減圧され、真空ポンプ3の作動を停
止していた場合ではN2ガスの供給停止と同時に作動を
開始させることにより、同様にチャンバ2内を減圧す
る。このようなチャンバ2内の減圧操作では、N2ガス
の供給による昇圧期間も通じて真空ポンプ3の作動を継
続させておくほうが、所定値までの減圧速度を速めるこ
とができ、その分に相当して操作時間が短縮される。
【0047】そして、減圧操作の後には、セル4は加熱
を継続されていたままなので、あらためての昇温の操作
は全く不要であり、真空ポンプ3の真空排気によるチャ
ンバ2内の減圧雰囲気が安定するまでの時間だけ待機す
ればよい。そして、この待機の後にセル側シャッター5
を開き、蒸発量の検出後にホルダ側シャッター6を開く
ことで新たに装入した処理材Mに対する蒸着が行なわれ
る。
【0048】このように、1枚の処理材Mに対する蒸着
過程が終わった後には、セル4の温度を下げないでチャ
ンバ2の内圧を上げることで蒸着材料の蒸発を抑えるの
で、従来のようにセル4の加熱を停止して温度を下げる
場合に比べると、再加熱までに必要であった長い時間が
不要となり、操作時間が大幅に短縮される。また、再加
熱のための温度制御も不要となるので、蒸着膜の形成精
度も一様に保つことができ、高品質の蒸着膜が得られ
る。
【0049】以上に述べた実施の形態においては、有機
EL素子の製造工程において、有機EL素子を構成する
各層ごとについてチャンバを設けた例としたが、これに
限らず同じ共通のチャンバ内で全層を形成したり、また
は有機層だけを同一チャンバ内で形成したりする等のよ
うな種々の組合せにおいても適用し得ることは無論であ
る。
【0050】また、有機EL素子の素子構成は、陽極/
ホール輸送層/発光層/陰極として説明したが、本発明
の装置はこのような素子構成だけではなく、陽極/発光
層/陰極や陽極/ホール輸送層/発光層/電磁輸送層/
陰極などのように一般に知られている全ての有機EL素
子構成においても適用され得る。
【0051】
【実施例】
(表1)は本発明の装置による蒸着プロセスにおける操
作時間を示すものであり、その素子構成はITO/TP
D(500)/Alq3(750)/AlLi(200
0)/GeO(4000)である。そして、ホール輸送
層,発光層及び電極のそれぞれの蒸着において、搬出及
び装入後の入替え操作のときに行なう真空ポンプによる
真空排気時間はいずれも2分間で十分である。したがっ
て、基板の装入と搬出の操作にそれぞれ1分間程度が必
要であるとすれば、成膜時間及び基板(処理材)加熱時
間を含む1工程の時間は10分間で済むことになる。
【0052】よって、セルの温度を一度下げた後に再加
熱するような操作では温度降下及び再加熱に80分間を
必要としていたのに比べて、本発明の装置であれば操作
時間を大幅に削減し得る。
【0053】
【表1】
【0054】
【発明の効果】請求項1の発明では、加熱蒸発手段が蒸
着材料を加熱保持したままで内圧操作手段の操作ガス供
給による内圧上昇の操作を行なうとき、内圧が蒸着材料
の蒸発圧力よりも高くなるようにすれば、蒸着材料の蒸
発を阻止できる。したがって、基板の搬出及び装入の期
間に内圧操作を行なうようにすれば、蒸着材料の蒸発を
抑えることができ、その無駄な消費がなくなるほか、蒸
着材料の蒸気が他の種類の蒸着材料を含んだチャンバに
入り込んで混入することがなく、蒸着材料の安定性も保
持される。また、たとえば基板の搬出及び装入の期間に
加熱蒸発手段の発熱量を一時的に低くして蒸発を抑える
従来装置では、温度操作の時間が長くてその制御も複雑
であるのに対し、加熱蒸発手段については操業の間継続
して一定温度に維持することができるので、温度操作時
間が大幅に短縮できるとともに、蒸着膜の形成精度も高
く保つことができる。
【0055】請求項2の発明では、操作ガスは不活性な
のでチャンバ内の圧力操作のみに関与させることがで
き、成膜用の有機成分との化学反応を抑えることがで
き、製品品質の向上が図られる。
【0056】請求項3の発明では、操作ガスは露点が−
50℃以下であって乾燥したものを使用するので、有機
EL素子の成膜層を劣化させることがなく、製品品質を
更に一層向上させることができる。
【0057】請求項4の発明では、バルブを開く操作に
よって操作ガスをチャンバに供給してその内圧を上昇さ
せるとともに、流量調整によって蒸着材料の蒸発圧力に
対応した最低限の不活性ガスの消費量での操業が可能で
ある。したがって、バルブ操作だけで簡単に内圧調整の
操作ができるので、チャンバ内での操作に連動する制御
も簡単になり、操作ガスの消費量も蒸着材料に対して最
適化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態による有機EL素子の製
造装置におけるチャンバの構造を示す要部の概略縦断面
【図2】図1のチャンバ内の要部の横断面図
【図3】サテライト型の蒸着設備のブースの配列を示す
概略平面図
【図4】一方向ライン型の蒸着設備のブースの配置例を
示す概略平面図
【図5】ガラス基板を利用した有機EL素子の製造工程
を順に示す概略縦断面図
【図6】従来のチャンバ構造を示す概略縦断面図
【符号の説明】
1 容器 2 チャンバ 2a ホルダ 3 真空ポンプ 4 セル 4a ヒータ 5 セル側シャッター 6 ホルダ側シャッター 7 水晶振動子 8 内圧操作管 8a バルブ M 処理材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小松 隆宏 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板の表面に有機材料を抵抗加熱真空蒸着
    法によって順次蒸着していく製造装置であって、基板を
    装入及び搬出可能なチャンバを内部に形成しこのチャン
    バを真空排気可能とした容器と、チャンバの内部に収納
    されその上方に装入した基板に向け蒸着材料を加熱して
    蒸発させる加熱蒸発手段と、チャンバの内部に操作ガス
    を供給してチャンバ内圧を上昇させる内圧操作手段とか
    らなることを特徴とする有機エレクトロルミネセンス素
    子の製造装置。
  2. 【請求項2】操作ガスは、希ガスまたはN2ガスである
    ことを特徴とする請求項1記載の有機エレクトロルミネ
    センス素子の製造装置。
  3. 【請求項3】操作ガスは、露点が−50℃以下であるこ
    とを特徴とする請求項1または2記載のエレクトロルミ
    ネセンス素子の製造装置。
  4. 【請求項4】内圧操作手段は、一端を操作ガスの供給手
    段に接続し他端をチャンバ内に連通させた内圧操作管
    と、流路開閉及び流量調整用のバルブとからなることを
    特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の有機エレ
    クトロルミネセンス素子の製造装置。
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