JPH1112505A - 複合塗膜およびそれを有する物品 - Google Patents

複合塗膜およびそれを有する物品

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JPH1112505A
JPH1112505A JP9172189A JP17218997A JPH1112505A JP H1112505 A JPH1112505 A JP H1112505A JP 9172189 A JP9172189 A JP 9172189A JP 17218997 A JP17218997 A JP 17218997A JP H1112505 A JPH1112505 A JP H1112505A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 上塗り下塗りともに水性エマルジョン組成物
を使用し、かつ上塗層を透明として、長期の耐久性、耐
水性が発現可能な複合塗膜およびそれを有する物品を提
供する。 【解決手段】 特定のアクリル系エマルジョンと、骨
材、顔料を含有する組成物から得られる下塗り層と、水
性エマルジョンと紫外線吸収剤、光安定剤を含有する組
成物から得られる透明上塗層を有する複合塗膜。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建材、建築物、家
具または置物など物品の素地表面に塗材を塗布、乾燥す
ることにより形成され、大理石や御影石などのような透
明感のある天然石模様あるいは多色模様を与える複合塗
膜およびそれを表面に有する物品に関する。このような
塗膜を与える塗材には、石材調仕上塗材、リンジング塗
材、スキン系塗材および多彩模様塗材と呼ばれるものも
ある。
【0002】具体的には、特定のアクリル系エマルジョ
ンと骨材および/または顔料を含有する下塗り用組成物
を用いた下塗り層と、特定の水性エマルジョンと紫外線
吸収剤および/または光安定剤を有する上塗り用組成物
を用いた透明上塗り層を有する複合塗膜およびそれを表
面に有する物品に関する。
【0003】
【従来の技術】水性仕上塗材用として、乳化重合より得
られる合成樹脂エマルジョンは常温あるいは加熱乾燥下
で成膜し、比較的耐久性の良好な塗膜を形成することか
ら多く用いられている。これらの合成樹脂エマルジョン
と骨材とからなる石材仕上用塗材が、特公平2−407
02号公報、特開昭57−27177号公報において開
示されている。これらの下塗り層には骨材、顔料と、合
成樹脂エマルジョンからなる水性塗材が多く使用され、
一方、上塗り層には有機溶剤系アクリル−ウレタン樹
脂、あるいは有機溶剤系アクリル樹脂などの有機溶剤系
透明樹脂が使用されている。上塗り層だけを有機溶剤系
透明塗膜とした場合は、その耐久性、耐候性は比較的良
好である。これは上塗り層の塗装時にその有機溶剤が、
下塗り層の表面の一部溶解し、上下層の良好な密着力を
発現することにより水の浸入が防止できるためと考えら
れる。
【0004】しかし有機溶剤の持つ臭気、火災の危険性
から敬遠され、上塗り層、下塗り層とも水性化塗材を用
いたものとすることが望まれていた。特開平8−218
028号公報では、上塗り用塗材として水性フッソの酸
化チタン配合塗料、下塗り用塗材として1液常温架橋水
性分散液に酸化チタン配合塗料を使用する上塗り下塗り
とも水性塗料である発明が開示されている。また、特開
平6−190332号公報でも、上塗り層、下塗り層と
も合成樹脂エマルジョンからなる水性塗材とした場合が
開示されている。しかし、両者とも、使用する塗材は、
上塗り用塗材には酸化チタンを配合し、下塗り用塗材に
は顔料として微細な炭酸カルシウムを配合して、下塗り
層への光の透過を防いでいる。従って、いずれの場合も
上塗り層を不透明にすることにより下塗り層の耐候性を
高めているものである。
【0005】一方で、透明感、光沢感のある塗膜を得る
ために、上塗り層を透明にすることが要求されている。
従ってこれらの先行文献または特開昭64−40574
号公報に開示されたような上塗り用塗材を透明塗料へ変
更した場合には、上塗り層を透過した光が下塗り層を劣
化させることになる。また、下塗り層の耐水性が充分で
なかったこともあり、塗膜の耐久性、耐候性は充分なも
のではなかった。
【0006】このように上塗り層、下塗り層とも合成樹
脂エマルジョンからなる水性塗材において上塗り層を透
明塗膜とした場合は、従来、その耐久性、耐候性は充分
なものではなかった。とくに屋外で暴露された場合、
光、熱、雨等によって塗膜が白化あるいは脆弱となるこ
とによって、塗装直後の美観を維持できないという欠点
があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上塗り用塗
材および下塗り用塗材ともに合成樹脂エマルジョンから
なる水性組成物を使用して、かつ上塗り層を透明塗膜と
する場合に、上塗り層へ溶剤系樹脂を使用する場合と同
等あるいはそれ以上の長期の耐久性、耐水性が発現可能
な複合塗膜およびそれを表面に有する物品を提供するこ
とを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記のよ
うな問題点を解決するために鋭意検討をかさねた結果、
特定の上塗り用組成物より得られる透明塗膜を上塗り層
とし、特定の下塗り用組成物より得られる塗膜を下塗り
層とする複合塗膜が、優れた効果を発現することを見出
し、本発明を完成するに至った。
【0009】すなわち本発明の第1は、(A)塗膜吸水
率が20%以下であるアクリル系エマルジョンと(B)
骨材および/または顔料を含有する下塗り用組成物を塗
布、乾燥して得られる下塗り層と、(C)水性エマルジ
ョンと(D)紫外線吸収剤および/または光安定剤を含
有する上塗り用組成物を塗布、乾燥して得られる透明上
塗り層とを有する複合塗膜である。
【0010】発明の第2は、(A)塗膜吸水率が20%
以下であるアクリル系エマルジョンが、(E)加水分解
性シランの存在下、(F)エチレン性不飽和単量体を乳
化重合して得られるアクリル系エマルジョンである発明
の第1に記載の複合塗膜である。発明の第3は、(A)
塗膜吸水率が20%以下であるアクリル系エマルジョン
が、(G)アルド基またはケト基を有するアクリル系エ
マルジョンおよび(H)ヒドラジン誘導体組成物を含有
するアクリル系エマルジョンである発明の第1に記載の
複合塗膜ある。
【0011】発明の第4は、(C)水性エマルジョン
が、(E)加水分解性シランの存在下、(F)エチレン
性不飽和単量体を乳化重合して得られるアクリル系エマ
ルジョンである発明の第1に記載の複合塗膜である。発
明の第5は、表面の少なくとも一部に発明の第1〜4の
いずれかに記載の複合塗膜を有する物品である。
【0012】以下、本発明について詳細に説明する。本
発明の複合塗膜は、下塗り層と上塗り層を有する。下塗
り層は天然石模様などの意匠性を与える機能を有する。
この層は耐水性に優れているため、雨などによる白化に
起因する劣化が生じにくい。上塗り層は透明であり、か
つ下塗り層の光劣化を防止する機能を有する。また、い
ずれの層も水性エマルジョンを使用した水性塗材を用い
て形成されるため、有機溶剤による上記の問題点が発生
しない。
【0013】本発明の複合塗膜のうち、下塗り層を形成
するための下塗り用組成物においては、(A)塗膜吸水
率が20%以下であるアクリル系エマルジョンを使用す
ることが必要である。塗膜吸水率を20%以下とするこ
とにより、複合塗膜の耐久性が著しく改善される。この
ようなアクリル系エマルジョンを得る方法としては、例
えば以下の二つの方法があるが、これらに限定されるわ
けではない。
【0014】第1の方法としては、(E)加水分解性シ
ランの存在下、(F)エチレン性不飽和単量体を乳化重
合して得る方法がある。第2の方法は、(G)アルド基
またはケト基を含有するアクリル系エマルジョンと
(H)ヒドラジン誘導体組成物を用いる方法である。ま
た、第1の方法と第2の方法を併用することも可能であ
る。これらの方法の詳細については後述する。
【0015】本発明の下塗り層を形成するための下塗り
用組成物には、(B)骨材および/または顔料を含むこ
とを要する。骨材としては、透明骨材、着色骨材のいず
れであっても良い。透明骨材としては、長石、硅砂、硅
石、寒水石、ガラスビーズ、合成樹脂ビーズがあげら
れ、着色骨材としては大理石粉、御影石粉、蛇紋岩、蛍
石、着色硅砂粉、有色陶磁器粉などがあげられ、また特
開昭64−16879号公報または特開平8−1515
41号公報で開示されている液状着色粒子、さらに鱗片
状顔料を含ませた着色分散粒子をあげることができる。
【0016】骨材が透明骨材と着色骨材の混合物である
ことは好ましい。この場合、透明骨材と着色骨材の重量
比率は、1/99〜99/1が好ましく、さらに好まし
くは5/95〜95/5である。骨材は、0.05〜
8.0mmの粒径、好ましくは0.1〜5.0mmの粒
径を有するものが5重量%以上、好ましくは20重量%
以上含まれる骨材であることが望ましい。骨材の粒径が
上記の下限以上である骨材が、上記の量の範囲内で含ま
れれば、下塗り用組成物から得られる下塗り層にも透明
性が得られ、粒径が上記の上限以下の骨材が上記の量の
範囲内で含まれれば、骨材が塗膜から脱落しにくく施工
が容易である。
【0017】本発明で使用できる(B)顔料としては、
カーボンブラック、ベンガラ、酸化チタン等の無機系着
色顔料、キナクリドン系、フタロシアニン系、β−ナフ
トール系、溶性アゾ,不溶性アゾ顔料等の有機系着色顔
料、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、マイカ、
クレー、ケイ藻土、パライト、水酸化アルミニウム等の
体質顔料、ポルトランドセメント、酸化亜鉛等があげら
れる。
【0018】顔料は、顔料のみで用いることもできる
が、骨材と併用することがより好ましい。また、上記の
液状着色粒子または着色分散粒子である骨材として用い
ることもできる。下塗り用組成物中の(B)骨材および
/または顔料の量は、5〜80重量%であることが好ま
しい。(B)骨材および/または顔料の量が5重量%以
上でその塗膜において天然石模様が得られ、80重量%
以下でその塗膜の耐久性が優れている。
【0019】本発明では、まず何らかの物品表面に、上
記の下塗り用組成物を塗布、乾燥して下塗り層を形成さ
せる。次に上塗り用組成物を塗布、乾燥して上塗り層を
形成させ、複合塗膜とする。ここで、上塗りを行う段階
での下塗り層の乾燥は完全である必要はなく、下塗り層
の表面だけがある程度乾けば十分で、内部まで乾燥して
いる必要はない。
【0020】下塗り用組成物は、コテ、リシンガン、万
能ガン、三頭ガンなどの塗料吹付けガンなどの公知の塗
装器具を用いて塗布することができる。下塗り用組成物
の塗布膜厚は、塗布量に基づいて0.1〜10.0Kg
/m2、好ましくは0.3〜5.0Kg/m2 程度が適
当である。下塗り用組成物は、下塗り層表面の全面にわ
たって、平滑面もしくは滑らかな凹凸模様となるように
行われるのが好ましく、必要により該組成物を乾燥後ま
たは、乾燥前にサンダー等を使用して平坦に仕上げるこ
とができる。
【0021】また、上塗り用組成物の塗布量は、0.0
5〜0.5Kg/m2 であることが意匠性の点で好まし
い。本発明の下塗り用組成物、上塗り用組成物の各々の
乾燥は、室温でもそれ以上の加温下でも所望により、設
定することができる。本発明において、上塗り用組成物
に用いる(C)水性エマルジョンとしては、ウレタン系
エマルジョン、フッソ系エマルジョン、アクリル系エマ
ルジョン等があげられる。
【0022】本発明において、上塗り用組成物には
(D)紫外線吸収剤および/または光安定剤を含有する
ことが必要である。これらを含ませることにより、下塗
り層の光劣化を防止することができる。紫外線吸収剤を
例示すると、分子内にラジカル重合性の二重結合を有す
るラジカル重合性のもの、光安定剤として、分子内にラ
ジカル重合性の二重結合を有するラジカル重合性のもの
を用いることができる。
【0023】紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン
系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系から選ばれる
少なくとも1種が好ましい。ベンゾフェノン系の紫外線
吸収剤としては、具体的には、2,4−ジヒドロキシベ
ンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフ
ェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン
−5−スルホン酸、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキ
シベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシル
オキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジル
オキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒ
ドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、2,2’−
ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’
−ジヒドロキシ−4,4’ジメトキシベンゾフェノン、
2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノ
ン、4−ドデシルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノ
ン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシ
ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ステアリルオキ
シベンゾフェノンなどがある。
【0024】ラジカル重合性ベンゾフェノン系の紫外線
吸収剤として具体的には、2−ヒドロキシ−4−アクリ
ロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メタクリ
ロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−5−アクリロ
キシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−5−メタクリロ
キシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(アクリロ
キシ−エトキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4
−(メタクリロキシ−エトキシ)ベンゾフェノン、2−
ヒドロキシ−4−(メタクリロキシ−ジエトキシ)ベン
ゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(アクリロキシ−ト
リエトキシ)ベンゾフェノンなどがある。
【0025】ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤とし
て具体的には、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチル
フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキ
シ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾ
ール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−te
rt−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2
−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベン
ゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−
tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2
−〔2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α’−
ジメチルベンジル)フェニル〕ベンゾトリアゾール)、
メチル−3−〔3−tert−ブチル−5−(2H−ベ
ンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニ
ル〕プロピオネートとポリエチレングリコール(分子量
300)との縮合物(日本チバガイギー(株)製、製品
名:TINUVIN1130)、イソオクチル−3−
〔3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−
tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオ
ネート(日本チバガイギー(株)製、製品名:TINU
VIN384)、2−(3−ドデシル−5−メチル−2
−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール(日本チバ
ガイギー(株)製、製品名:TINUVIN571)、
2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−
5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾー
ル、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−ter
t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’
−ヒドロキシ−4’−オクトキシフェニル)ベンゾトリ
アゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−(3’’,
4’’,5’’,6’’−テトラヒドロフタルイミドメ
チル)−5’−メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、
2,2−メチレンビス〔4−(1,1,3,3−テトラ
メチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2
−イル)フェノール〕、2−(2H−ベンゾトリアゾー
ル−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェ
ニルエチル)フェノール(日本チバガイギー(株)製、
製品名:TINUVIN900)などがある。
【0026】ラジカル重合性ベンゾトリアゾール系の紫
外線吸収剤として具体的には、2−(2’−ヒドロキシ
−5’−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベン
ゾトリアゾール(大塚化学(株)製、製品名:RUVA
−93)、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロ
キシエチル−3−tert−ブチルフェニル)−2H−
ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−
メタクリリルオキシプロピル−3−tert−ブチルフ
ェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、3
−メタクリロイル−2−ヒドロキシプロピル−3−
〔3’−(2’’−ベンゾトリアゾリル)−4−ヒドロ
キシ−5−tert−ブチル〕フェニルプロピオネート
(日本チバガイギー(株)製、製品名:CGL−10
4)などがある。
【0027】トリアジン系紫外線吸収剤として具体的に
は、TINUVIN400(製品名、日本チバガイギー
(株)製)などがある。さらに、無機系の紫外線吸収剤
として、酸化セリウム結晶微粒子または該酸化セリウム
結晶微粒子を他無機粒子へコーティングした材料が挙げ
られる。具体的な商品名を例示すると、ニードラール
W−15、U−15、W−100、U−100(多木化
学(株)製)、セリガード S−3018−02、T−
3018−02、M−3018−03(日本無機化学工
業(株)製)等がある。
【0028】また、(D)光安定剤としては、ヒンダー
ドアミン系から選ばれる少なくとも1種を用いることが
好ましい。ヒンダードアミン系光安定剤としては、塩基
性が低いものが好ましく、具体的には塩基定数(pK
b)が8以上のものが好ましい。具体的には、ビス
(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)サ
クシネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペ
リジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペン
タメチル−4−ピペリジル)2−(3,5−ジ−ter
t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−ブチルマ
ロネート、1−〔2−〔3−(3,5−ジ−tert−
ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピニルオキシ〕
エチル〕−4−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル
−4−ヒドロキシフェニル)プロピニルオキシ〕−2,
2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(1,2,
2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケー
トとメチル−1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−
ピペリジル−セバケートの混合物(日本チバガイギー
(株)製、製品名:TINUVIN292)、ビス(1
−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピ
ペリジル)セバケート、TINUVIN123(製品
名、日本チバガイギー(株)製)などがある。
【0029】ラジカル重合性ヒンダードアミン系光安定
剤として具体的には、1,2,2,6,6−ペンタメチ
ル−4−ピペリジルメタクリレート、1,2,2,6,
6−ペンタメチル−4−ピペリジルアクリレート、2,
2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレ
ート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル
アクリレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4
−イミノピペリジルメタクリレート、2,2,6,6,
−テトラメチル−4−イミノピペリジルメタクリレー
ト、4−シアノ−2,2,6,6−テトラメチル−4−
ピペリジルメタクリレート、4−シアノ−1,2,2,
6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート
などがある。
【0030】(D)紫外線吸収剤および/または光安定
剤は、(C)水性エマルジョンの固形分重量に対して
0.1重量%〜5重量%用いることが好ましい。(D)
紫外線吸収剤および/または光安定剤を上塗り用組成物
に含有させる方法としては、特開平3−37288号公
報または特開平4−298573号公報に記載の水性エ
マルジョンに紫外線吸収剤および/または光安定剤を後
添加する方法、特開昭64−20201号公報、特開平
7−292009号公報に記載の紫外線吸収剤を乳化重
合中に添加する方法、特開平3−128978号公報に
記載のラジカル重合性の二重結合を有する光安定剤を乳
化重合中に用いる方法、特開平5−39327号公報に
記載のラジカル重合性の二重結合を有する紫外線吸収剤
を乳化重合中に用いる方法、さらに特開平7−1734
04号公報に記載の、重合中のシリル基を安定化させる
ために重合を中性付近のpHで実施するシリコーン変性
アクリル系エマルジョンに紫外線吸収剤および/または
光安定剤を共重合もしくは後添加する方法等が例示さ
れ、いずれの方法でもよい。
【0031】しかし、紫外線吸収剤や光安定剤は、成膜
助剤などと混合して後添加した場合、水性媒体中での分
散性が不充分になりやすく、得られた塗膜の粒子界面に
集中して存在しやすいため、降雨などにより溶出しやす
い場合がある。そこで長期の耐久性を向上させるために
は、(C)水性エマルジョンと(D)紫外線吸収剤及び
/または光安定剤とを複合化させることが好ましい。
【0032】具体的には、水性エマルジョンの乳化重合
時に(F)エチレン性不飽和単量体と(D)紫外線吸収
剤及び/または光安定剤を共存させ、水性媒体中におい
て乳化重合することが好ましい。特にシリコーン変性さ
れてなる(C)水性エマルジョンと、紫外線吸収能が高
いベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジ
ン系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤と組み
合わせると、これらによる相乗効果で、複合塗膜は卓越
した耐久性を示す。
【0033】また本発明の下塗り用組成物においても、
(D)紫外線吸収剤および/または光安定剤を上塗り用
組成物におけるいずれかの方法で複合化することは望ま
しい。本発明における上塗り層は、透明塗膜であること
が必要である。これにより光沢感、高級感のある複合塗
膜が得られる。
【0034】本発明における透明の意味は次のように規
定される。すなわち上塗り用組成物の塗膜膜厚が100
μmであるとき、JIS−K7105に定める濁度計に
より測定した濁度が20%以下、好ましくは10%以
下、さらに好ましくは3%以下であることである。この
上限値より低い濁度で下塗り層の模様が表面から見えや
すく、意匠性に優れる。
【0035】なお、意匠性の観点から上塗り層の濁度を
高めにする必要があるときは、シリカ粉、カーボンブラ
ック、酸化チタン等を添加することは任意である。次
に、(A)塗膜吸水率が20%以下であるアクリル系エ
マルジョンを得るための、前述の第1の方法について詳
述する。この方法においては、(E)加水分解性シラン
の存在下、(F)エチレン性不飽和単量体を乳化重合し
て、目的の(A)塗膜吸水率が20%以下であるアクリ
ル系エマルジョンを得る。(E)加水分解性シランを存
在させることにより、塗膜の高耐久性化を可能としてい
る。
【0036】この方法で使用する(E)加水分解性シラ
ンとしては、下記式(a)で表される、シリコーン構造
を有するシランから選ばれる少なくとも1種を含むこと
が好ましい。 (R1 n −Si−(R2 4-n (a) (式中nは0〜3の整数であり、R1 は水素原子、炭素
数1〜16の脂肪族炭化水素基、炭素数5〜10のアリ
ール基、炭素数5〜6のシクロアルキル基、ビニル基、
炭素数1〜10のアクリル酸アルキル基、または炭素数
1〜10のメタクリル酸アルキル基から選ばれる。n個
のR1 は同一であっても、異なっても良い。R2 は炭素
数1〜8のアルコキシ基、アセトキシ基または水酸基か
ら選ばれる。4−n個のR2 は同一であっても、異なっ
ても良い。) 特に、(E)加水分解性シランには、式(a)において
n=1とおいたシラン(II)の少なくとも1種を含ん
でいることが好ましい。シラン(II)のR1としては
メチル基、フェニル基、ビニル基、γ−(メタ)アクリ
ロキシプロピル基が好ましく、R2 はそれぞれ独立し
て、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ
基、メトキシエトキシ基、水酸基が好ましい。
【0037】シラン(II)の好ましい具体例として
は、メチルトリメトシキシシラン、フェニルトリメトキ
シシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリエ
トキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ビニル
エトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキ
シシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラ
ン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、
γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランなどが
あり、またこれらの二種以上を含んでいてもよい。
【0038】また、(E)加水分解性シランが、シラン
(II)に加え、環状シラン及び式(a)においてn=
2とおいて得られるシラン(III)からなる群より選
ばれる少なくとも1種を含むことは好ましい。これは、
シラン(II)と、環状シラン及びシラン(III)か
らなる群より選ばれる少なくとも1種の併用により、
(E)加水分解性シランが形成するシリコーン重合体の
架橋密度を低くし、重合体の構造が複雑になるのを防ぐ
ことができ、これによって、水性エマルジョンまたはア
クリル系エマルジョンから提供される塗膜に柔軟性を付
与することができるためである。
【0039】環状シランの具体例としては、オクタメチ
ルシクロテトラシロキサン、オクタフェニルシクロシロ
キサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、デカメチ
ルシクロペンタシロキサン、テトラメチルテトラビニル
シクロテトラシロキサンなどが上げられる。シラン(I
II)の具体例として、ジメチルジメトキシシラン、ジ
フェニルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラ
ン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルシラ
ン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラ
ンが挙げられる。
【0040】(E)加水分解性シランに、シラン(I
I)と、環状シラン及びシラン(III)からなる群よ
り選ばれる少なくとも1種の、両者を含む場合は、シラ
ン(II)の、上記の環状シラン及びシラン(III)
からなる群より選ばれる少なくとも1種に対するモル比
が、少なくとも10/100、さらには35/100以
上であることが好ましい。
【0041】さらに、(E)加水分解性シランには、シ
ラン(II)に加え、加水分解基を有する線状シロキサ
ン、及び式(a)においてn=0または3とおいて得ら
れるシラン(IV)からなる群より選ばれる少なくとも
1種を含んでも良い。シラン(IV)の具体例として、
トリフェニルエトキシシラン、トリメチルメトキシシラ
ン、テトラエトキシシランなどが挙げられる。
【0042】加水分解基を有する線状シロキサンの例と
しては、下記の一般式(1)、(2)、(3)で表され
る化合物が挙げられる。
【0043】
【化1】
【0044】
【化2】
【0045】
【化3】
【0046】(式中、R1 は水素、炭素数1〜16の脂
肪族炭化水素基、炭素数5〜10のアリール基、炭素数
5〜6のシクロアルキル基、ビニル基、炭素数1〜10
のアクリル酸アルキル基又は炭素数1〜10のメタクリ
ル酸アルキル基から選ばれ、各R2 はそれぞれ、独立し
て炭素数1〜8のアルコキシ基、アセトキシ基、水酸
基、エポキシ基又はエチレンオキサイド基から選ばれ、
mは1〜999の正の整数を表す。) (E)加水分解性シランが、シラン(II)と、加水分
解基を有する線状シロキサン及びシラン(IV)からな
る群より選ばれる少なくとも1種の、両者を含む場合
は、シラン(II)の、加水分解基を有する線状シロキ
サン及びシラン(IV)からなる群より選ばれる少なく
とも1種に対するモル比が、少なくとも10/100、
好ましくは35/100以上であることが好ましい。
【0047】シラン(III)またはシラン(IV)に
おいて、R1 としてはメチル基、フェニル基が特に好ま
しく、R2 としてはメトキシ基、エトキシ基、プロポキ
シ基、ブトキシ基、メトキシエトキシ基、水酸基が特に
好ましい。(E)加水分解性シランは、シラン(II)
および、環状シラン、シラン(III)、線状シロキサ
ン、シラン(IV)からなる群から選ばれる少なくとも
1種に加え、クロロシラン、例えばメチルクロロシラ
ン、メチルジクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、
トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、
ジフェニルクロロシラン、ビニルクロルシラン、γ−
(メタ)アクリロキシプロピルトリクロロシラン、γ−
(メタ)アクリロキシプロピルジクロロメチルシランを
含むことができる。
【0048】上記したシラン縮合物の存在は、29SiN
MR(29Si核磁気共鳴スペクトル)または1HNMR
(プロトン核磁気共鳴スペクトル)によって知ることが
できる。例えば、シラン(II)の縮合物は、29SiN
MRのケミカルシフトが−40〜−80PPMにピーク
を示すことで同定することができる。また、シラン(I
V)あるいは環状シランの縮合物は29SiNMRのケミ
カルシフトが−16〜−26PPMにピークを示すこと
で同定することができる。
【0049】(E)加水分解性シランは、(F)エチレ
ン性不飽和単量体の重量に対して0.01重量%〜20
0重量%用いることができ、0.01〜67重量%用い
ることが好ましく、0.05〜67重量%用いることが
さらに好ましい。(E)加水分解性シランの存在下、乳
化重合させる(F)エチレン性不飽和単量体を具体的に
示せば、カルボン酸基を持つ単量体としてはアクリル
酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマール酸、マレイン
酸、無水マレイン酸、マレイン酸の半エステル、クロト
ン酸などがあり、アクリル酸エステル、メタクリル酸エ
ステル、アクリルアミド系単量体、メタクリルアミド系
単量体、シアン化ビニル類等が挙げられ、(メタ)アク
リル酸エステルの例としては、アルキル部の炭素数が1
〜18の(メタ) アクリル酸アルキルエステル、アルキ
ル部の炭素数が1〜18の(メタ) アクリル酸ヒドロキ
シアルキルエステル、エチレンオキサイド基の数が1〜
100個の(ポリ)オキシエチレン(メタ)アクリレー
ト、プロピレンオキサイド基の数が1〜100個の(ポ
リ)オキシプロピレン(メタ)アクリレート、エチレン
オキサイド基の数が1〜100個の(ポリ)オキシエチ
レンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。(メタ)
アクリル酸エステルの具体例としては、(メタ) アクリ
ル酸メチル、(メタ) アクリル酸エチル、(メタ)アク
リル酸n−ブチル、(メタ) アクリル酸2−エチルヘキ
シル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)ア
クリル酸メチルシクロヘキシル、(メタ) アクリル酸ド
デシル等が挙げられる。(メタ) アクリル酸ヒドロキシ
アルキルエステルの具体例としては、(メタ)アクリル
酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒド
ロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシシ
クロヘキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル等が挙げら
れる。(ポリ)オキシエチレン(メタ)アクリレートの
具体例としては、(メタ) アクリル酸エチレングリコー
ル、メトキシ(メタ) アクリル酸エチレングリコール、
(メタ) アクリル酸ジエチレングリコール、メトキシ
(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、(メタ) ア
クリル酸テトラエチレングリコール、メトキシ(メタ)
アクリル酸テトラエチレングリコール等が挙げられる。
(ポリ)オキシプロピレン(メタ)アクリレートの具体
例としては、(メタ) アクリル酸プロピレングリコー
ル、メトキシ(メタ) アクリル酸プロピレングリコー
ル、(メタ) アクリル酸ジプロピレングリコール、メト
キシ(メタ) アクリル酸ジプロピレングリコール、(メ
タ) アクリル酸テトラプロピレングリコール、メトキシ
(メタ) アクリル酸テトラプロピレングリコール等が挙
げられる。(ポリ)オキシエチレンジ(メタ)アクリレ
ートの具体例としては、ジ(メタ)アクリル酸エチレン
グリコール、ジ(メタ) アクリル酸ジエチレングリコー
ル、メトキシ(メタ) アクリル酸ジエチレングリコー
ル、ジ(メタ) アクリル酸テトラエチレングリコール等
が挙げられる。(メタ)アクリルアミド系単量体類とし
ては、例えば(メタ)アクリルアミド 、N−メチロー
ル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メ
タ)アクリルアミドなどがあり、シアン化ビニル類とし
ては、例えば(メタ)アクリロニトリルなどがある。ま
た上記以外の具体例としては、例えばエチレン、プロピ
レン、イソブチレン等のオレフィン類、ブタジエン等の
ジエン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロオレフ
ィン類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、n−酪酸ビ
ニル、安息香酸ビニル、p−t−ブチル安息香酸ビニ
ル、ピバリン酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル、
バーサチック酸ビニル、ラウリン酸ビニル等のカルボン
酸ビニルエステル類、酢酸イソプロペニル、プロピオン
酸イソプロペニル等のカルボン酸イソプロペニルエステ
ル類、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテ
ル、シクロヘキシルビニルエーテル等のビニルエーテル
類、スチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合
物、酢酸アリル、安息香酸アリル等のアリルエステル
類、アリルエチルエーテル、アリルグリシジルエーテ
ル、アリルフェニルエーテル等のアリルエーテル類、さ
らに、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,
6,−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロ
イルオキシ−1,2,2,6,6,−ペンタメチルピペ
リジン、パーフルオロメチル(メタ)アクリレート、パ
ーフルオロプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオ
ロプロピロメチル(メタ)アクリレート、ビニルピロリ
ドン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレー
ト、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル
酸2,3−シクロヘキセンオキサイド、(メタ) アクリ
ル酸アリル等やそれらの併用が挙げられる。
【0050】(E)加水分解性シランの存在下、(F)
エチレン性不飽和単量体を乳化重合するには、乳化重合
中の乳化重合系の水素イオン濃度(pH)は、pH4.
0以下で実施することを要し、さらにpH1.5以上
3.0以下が好ましい。上限以下で乳化重合を実施する
ことにより、加水分解性シランの縮合反応が促進し、乳
化重合後は縮合反応が進まないため、製品としての貯蔵
安定性が良くなる。
【0051】乳化重合においては、ラジカル重合触媒と
して、熱または還元性物質などによってラジカル分解し
てエチレン性不飽和単量体の付加重合を起こさせること
ができ、水溶性または油溶性の過硫酸塩、過酸化物、ア
ゾビス化合物などを有利に使用することができる。その
例としては、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫
酸アンモニウム、過酸化水素、t−ブチルハイドロパー
オキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,
2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス
(2−ジアミノプロパン)ハイドロクロライド、2,2
−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)など挙
げることができるが、加水分解性シランの加水分解反応
および縮合反応を促進させるための触媒としても効果の
ある過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモ
ニウムを用いることが好ましい。ラジカル重合触媒の量
としては、(F)エチレン性不飽和単量体の重量に対し
て通常0.05重量%〜1重量%を用いることができ
る。
【0052】通常、重合反応は常圧下、65〜90℃の
重合温度で行うことが好ましいが、モノマーの重合温度
における蒸気圧などの特性に合わせ、高圧下でも実施す
ることができる。重合時間としては、導入時間と、導入
後の熟成(cooking)時間がある。導入時間は、
各種原料を反応系へ同時に導入する場合は通常数分であ
り、各種原料を反応系へ逐次導入する場合は重合による
発熱が除熱可能な範囲で反応系へ逐次導入するため、最
終的に得られるエマルジョン中の重合体濃度によっても
異なるが、通常10分以上である。導入後の熟成(co
oking)時間としては、少なくとも10分以上であ
ることが好ましい。この重合時間以下では、各原料がそ
のまま残留したり、加水分解性シランが縮合せずに加水
分解物のまま残留してしまう恐れがある。
【0053】なお、重合速度の促進、および70℃以下
での低温での重合が望まれるときには、例えば重亜硫酸
ナトリウム、塩化第一鉄、アスコルビン酸塩、ロンガリ
ットなどの還元剤をラジカル重合触媒と組み合わせて用
いると有利である。さらに、分子量を調整するために、
ドデシルメルカプタンなどの連鎖移動剤を任意に添加す
ることも可能である。
【0054】なお、加水分解性シランを用いた乳化重合
において、乳化重合終了後、成膜時の硬化触媒として、
例えばジブチルすずジラウレート、ジオクチルすずジラ
ウレート、ジブチルすずジアセテート、オクチル酸す
ず、ラウリン酸すず、オクチル酸鉄、オクチル酸鉛、テ
トラブチルチタネートなどの有機酸の金属塩、n−ヘキ
シルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−
7−ウンデセンなどのアミン化合物を、本発明の高耐久
性エマルジョンへ添加することができる。なおこれらの
硬化用触媒が水溶性でない場合には、その使用に際し
て、界面活性剤と水を用いてエマルジョン化しておくこ
とが望ましい。
【0055】次に、(A)塗膜吸水率が20%以下であ
るアクリル系エマルジョンを得るための、前述の第2の
方法について詳述する。第2の方法で使用する(G)ア
ルド基またはケト基を含有するエマルジョンは、例え
ば、アルド基またはケト基を有するエチレン性不飽和カ
ルボニル基含有単量体と、前記の(F)エチレン性不飽
和単量体を水性媒体中において乳化重合することによっ
て得られる。
【0056】アルド基またはケト基を有するエチレン性
不飽和カルボニル基含有単量体としては、アクロレイ
ン、ジアセトンアクリルアミド、ジアセトンメタクリル
アミド、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ア
セトアセトキシエチルメタクリレート、アセトアセトキ
シエチルアクリレート、ホルミルスチロール等や、その
併用が挙げられる。
【0057】アルド基またはケト基を有するエチレン性
不飽和カルボニル基含有単量体と、(F)エチレン性不
飽和単量体を水性媒体中において乳化重合する方法につ
いても公知の方法が使用でき、特に制限されない。
(A)塗膜吸水率が20%以下であるアクリル系エマル
ジョンとしてアルド基またはケト基を有するアクリル系
エマルジョンを使用する場合、硬化剤として(H)ヒド
ラジン誘導体組成物を含有していることが必要である。
【0058】ここにいう(H)ヒドラジン誘導体組成物
は、少なくともヒドラジン残基を1分子中に2個以上有
するヒドラジン誘導体またはそれらの組成物である。そ
の具体例としては、例えば蓚酸ジヒドラジド、マロン酸
ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒ
ドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、ピメリン酸ジヒド
ラジド、スベリン酸ジヒドラジド、アゼライン酸ジヒド
ラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカンジオヒドラ
ジド、ヘキサデカンジオヒドラジド、1,4−シクロヘ
キサンジヒドラジド、酒石酸ジヒドラジド、リンゴ酸ジ
ヒドラジド、イミノジ酢酸ジヒドラジド、マレイン酸ジ
ヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒド
ラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒ
ドラジド、2,6−ナフトエ酸ジヒドラジド、1,4−
ナフトエ酸ジヒドラジド、4,4’−ビスベンゼンジヒ
ドラジド、2,6−ピリジンジヒドラジド等のジカルボ
ン酸ジヒドラジド類;1,3,5−シクロヘキサントリ
カルボン酸トリヒドラジド、トリメリト酸トリヒドラジ
ド、クエン酸トリヒドラジド、ニトリロ酢酸トリヒドラ
ジド等のトリカルボン酸トリヒドラジド類;ピロメリッ
ト酸テトラヒドラジド、1,4,5,8−ナフトエ酸テ
トラヒドラジド、エチレンジアミン四酢酸テトラヒドラ
ジド等のテトラカルボン酸テトラヒドラジド類、下記一
般式(4)で表される炭酸ポリヒドラジド類、または下
記一般式(5)で表されるビスセミカルバジド類等、及
び式(6)で表されるがごとき数平均分子量が500〜
500000の酸ヒドラジド系ポリマー等やそれらの併
用が挙げられる。
【0059】
【化4】
【0060】(式中xは0〜20の整数を意味する。)
【0061】
【化5】
【0062】(式中、R6'は直鎖状又は分岐状の炭素数
2〜20の2価の脂肪族残基、炭素数6〜25の2価の
脂環族残基、置換基を有しても有さなくても良い炭素数
6〜25の2価の芳香族残基、及び置換基を有しても有
さなくても良い炭素数6〜25の2価の芳香脂環族残基
を表す。R7'は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素
数1〜20のアルキル基を表す。)
【0063】
【化6】
【0064】(式中、Xは水素原子またはカルボキシル
基であり、Yは水素原子またはメチル基であり、Aはア
クリルアミド、メタアクリルアミド、アクリル酸エステ
ル、メタクリル酸エステル、無水マレイン酸から選ばれ
る単量体の重合した単位であり、Bはアクリルアミド、
メタクリルアミド、アクリル酸エステル、メタクリル酸
エステル、無水マレイン酸と共重合可能な単量体の重合
した単位である。また、l、m及びnは下記の各式を満
足する数を示す。
【0065】 2モル%≦l≦100モル% 0モル%≦m+n≦98モル% l+m+n=100モル% また、上記ヒドラジド系ポリマーは、ランダム共重合体
でも、ブロック共重合体でもよい。) 本発明において、(H)ヒドラジン誘導体組成物が、
(H’)平均セミカルバジド残基数が2.5個以上であ
るセミカルバジド組成物であることは好ましい。
【0066】この場合、下塗り用組成物を塗布、乾燥す
ると、平均セミカルバジド残基数が2.5個以上である
セミカルバジド組成物が硬化剤として機能し、下塗り用
組成物中の水性媒体が揮散して塗膜を形成する際に、
(H’)成分中のセミカルバジド基が、(G)成分中の
アルド基またはケト基とセミカルバゾン結合を行い、複
雑に架橋したポリマーを形成すると考えられる。このこ
とにより、下塗り用組成物から得られる塗膜の吸水率が
20%以下となり、本願発明の優れた効果が発現するも
のと推測される。
【0067】したがって、該セミカルバジド組成物の平
均セミカルバジド残基数は2.5個以上であることが望
ましい。好ましくは2.5以上20以下、より好ましく
は3以上20以下である。本発明において、1分子あた
りのセミカルバジド基数とは、ゲルパーミエーションク
ロマトグラフィー(GPC)で測定されるスチレン換算
のセミカルバジド組成物数平均分子量をM、セミカルバ
ジド組成物1グラム中に含まれるセミカルバジド基の当
量数をSとしたとき、M×Sで表される数で定義され
る。
【0068】このセミカルバジド組成物は、ポリイソシ
アネート化合物とヒドラジン化合物とを反応させる事に
よって得られ、たとえば1分子中に−NCO基を平均2
個以上、好ましくは平均3個以上有するポリイソシアネ
ート化合物とヒドラジン化合物とを反応させる事によっ
て得ることができる。下塗り用組成物より得られる塗膜
の耐水性を改善する目的で、セミカルバジド組成物とし
て、水に対し不溶または難溶性となるセミカルバジド組
成物を用いることも可能である。
【0069】さらに、(H’)セミカルバジド組成物
が、下記式(7)で表されるセミカルバジド誘導体また
はその組成物であることが好ましい。
【0070】
【化7】
【0071】(式中、R1 は、直鎖状又は分岐状の炭素
数2〜20のアルキレンジイソシアネート、置換されて
いないか或いは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1
〜8のアルコキシ基又は炭素数1〜6のアルキレン基で
置換されている炭素数5〜20のシクロアルキレンジイ
ソシアネート、置換されていないか或いは炭素数1〜1
8のアルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基で置換
されている炭素数6〜20のアリーレンジイソシアネー
ト、及び置換されていないか或いは炭素数1〜18のア
ルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基で置換されて
いる炭素数8〜20のアラルキレンジイソシアネートか
らなる群から選ばれる少なくとも一種のジイソシアネー
トの3量体〜20量体オリゴマーに由来する、末端イソ
シアネート基を有さないポリイソシアネート残基、もし
くはR1 は炭素数1〜8のイソシアナトアルキル基で置
換されている炭素数2〜20のアルキレンジイソシアネ
ートに由来する、末端イソシアネート基を有さないトリ
イソシアネート残基を表し;R2 は、直鎖状又は分岐状
の炭素数2〜20のアルキレン基、炭素数5〜20のシ
クロアルキルレン基、もしくは置換されていないか或い
は炭素数1〜18のアルキル基又は炭素数1〜8のアル
コキシ基で置換されている炭素数6〜10のアリーレン
基を表し;各R3 は、それぞれ独立して、水素原子又は
炭素数1〜20のアルキル基を表し;nは0又は1であ
り;l及びmは各々0または正の整数であり、ただし2
≦(l+m)≦20であり、好ましくは3≦(l+m)
≦20である。) 上記式(7)で表されるセミカルバジド誘導体の製造方
法の一例について説明する。
【0072】式(7)中、l+m=2であるセミカルバ
ジド誘導体は、1分子中に−NCO基を2個有するジイ
ソシアネート化合物とヒドラジン化合物とを反応させる
事によって得られる。また、より架橋効率が高く強靱で
かつ耐水性に優れた皮膜を得るためには、前記式(7)
で表されるセミカルバジド誘導体が、1分子中に−NC
O基を3個以上持つポリイソシアネート化合物とヒドラ
ジン化合物とを反応させる事によって得られるものであ
ることが望ましい。
【0073】1分子中に−NCO基を3〜20個有する
ポリイソシアネート化合物、およびそれから誘導される
セミカルバジド誘導体は、例えばWO96/01252
号パンフレットに記載の方法で得ることができる。ここ
で、ポリイソシアネート1分子中の−NCO基数が20
を超えない範囲がセミカルバジド基の数が比較的適当
で、(H)セミカルバジド組成物の粘度が高くなりすぎ
にくく、取り扱える範囲である。また、相溶性の観点か
らも好ましい。
【0074】1分子中に−NCO基を3〜20個有する
ポリイソシアネート化合物は、ジイソシアネート化合物
をオリゴマー化して得られる。例えば、ジイソシアネー
ト類をビュレット結合、尿素結合、イソシアヌレート結
合、ウレタン結合、アロファネート結合、ウレトジオン
結合等によりオリゴマー化したポリイソシアネート化合
物、更には1,8−ジイソシアナト−4−イソシアナト
メチルオクタン及びこれらの併用が挙げられる。
【0075】具体的には、塗膜の硬度、耐薬品性、耐熱
性等の点から、基本骨格としてイソシアヌレート構造ま
たはビュレット構造を有するポリイソシアネート化合物
が好ましい。また、(G)アルド基またはケト基を有す
るアクリル系エマルジョンとの被覆組成物から得られる
皮膜の柔軟性に優れるものとしては、基本骨格としてウ
レタン構造を有するものが例示できる。
【0076】本発明においては、セミカルバジド誘導体
又はその原料であるポリイソシアネート化合物が、ヒド
ラジン化合物の鎖延長により高分子化することを防ぐ目
的から、ヒドラジン化合物を下式(8)で表されるモノ
アルデヒドまたはモノケトン等と反応させ、ヒドラゾン
基として封鎖して用いることもできる。 R4 5 C=O (8) (式中、R4 、R5 は各々独立して水素原子、直鎖状も
しくは分岐状の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数5
〜20のシクロアルキル基、もしくは置換されていない
か或いは炭素数1〜18のアルキル基又は炭素数1〜8
のアルコキシル基で置換されている炭素数6〜10のア
リール基を表し、R4 、R5 は場合によっては共同して
環状構造を形成してもよい。) この場合、生成するセミカルバジド誘導体はセミカルバ
ジド基がセミカルバゾン基として封鎖された物となり、
上記式(7)のセミカルバジド誘導体の末端封鎖体であ
る。
【0077】このようなセミカルバジド誘導体の末端封
鎖体から封鎖剤として用いたモノアルデヒド又はモノケ
トンを脱離するには、(G)アルド基またはケト基を有
するアクリル系エマルジョンと混合する前に加水分解し
て留去しても良いし、そのまま硬化剤として用いて水性
塗料とし、基材表面に塗布した後、硬化過程において自
然脱離させても良い。従って、上記封鎖剤としては30
〜200℃の沸点を有するモノケトン、例えばアセト
ン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シ
クロヘキサノン等が好ましい。
【0078】また、式(7)で表されるセミカルバジド
誘導体またはその末端封鎖体、もしくはそれらの組成物
の水性媒体中への分散安定性や溶解性を補助する目的
で、下記式(9)で表される親水性基含有化合物及びそ
の末端封鎖体からなる群から選ばれる少なくとも1つと
を混合して使用することができる。
【0079】
【化8】
【0080】(式中、R11は、直鎖状又は分岐状の炭素
数2〜20のアルキレンジイソシアネート、置換されて
いないか或いは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1
〜8のアルコキシ基又は炭素数1〜6のアルキレン基で
置換されている炭素数5〜20のシクロアルキレンジイ
ソシアネート、置換されていないか或いは炭素数1〜1
8のアルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基で置換
されている炭素数6〜20のアリーレンジイソシアネー
ト、及び置換されていないか或いは炭素数1〜18のア
ルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基で置換されて
いる炭素数8〜20のアラルキレンジイソシアネートか
らなる群から選ばれる少なくとも一種のジイソシアネー
トの3量体〜20量体オリゴマーに由来する、末端イソ
シアネート基を有さないポリイソシアネート残基、もし
くはR11は炭素数1〜8のイソシアナトアルキル基で置
換されている炭素数2〜20のアルキレンジイソシアネ
ートに由来する、末端イソシアネート基を有すさないト
リイソシアネート残基を表し;R12は、直鎖状又は分岐
状の炭素数2〜20のアルキレン基、炭素数5〜20の
シクロアルキルレン基、もしくは置換されていないか或
いは炭素数1〜18のアルキル基又は炭素数1〜8のア
ルコキシ基で置換されている炭素数6〜10のアリーレ
ン基を表し;各R13は、それぞれ独立して、水素原子又
は炭素数1〜20のアルキル基を表し;nは0又は1で
あり;そしてp及びqは、各々0または正の整数であ
り、rは正の整数であり、3≦(p+q+r)≦20で
ある) 上記式(9)で表される親水性基含有化合物のセミカル
バジド基がセミカルバゾン基として封鎖された化合物
が、式(9)における末端基H2 NR13N−の少なくと
も1つが式R5 4 C=NR13N−で表される封鎖末端
基を有している(式中、R4、R5 は各々独立して水素
原子、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜20のアルキル
基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、もしくは置換
されていないか或いは炭素数1〜18のアルキル基又は
炭素数1〜8のアルコキシ基で置換されている炭素数6
〜10のアリール基をあらわし、R4 とR5 は場合によ
っては共同して環状構造を形成していてもよい。)親水
性基含有化合物の末端封鎖体として用いることもでき
る。
【0081】即ち、上記式(7)で表されるセミカルバ
ジド誘導体及びその末端封鎖体から選ばれる少なくとも
1つと、上記式(9)で表される親水性基含有化合物及
び末端封鎖体から選ばれる少なくとも1つとを含有する
(H’)セミカルバジド組成物を、(G)アルド基また
はケト基を有するアクリル系エマルジョンの硬化剤とし
て有利に用いることができる。
【0082】そして、式(7)で表されるセミカルバジ
ド誘導体及びその末端封鎖体から選ばれる少なくとも1
つと、式(9)で表される親水性基含有化合物及びその
末端封鎖体から選ばれる少なくとも1つとを含有する組
成物において、それらの重量比が99/1〜10/90
の範囲内であることが望ましい。これにより塗膜が安定
で硬化性能に優れる水性塗料が得られる。
【0083】本発明の式(7)で表されるセミカルバジ
ド誘導体から選ばれる少なくとも1つと、式(9)で表
される親水性基含有化合物から選ばれる少なくとも1つ
とを含有する組成物は、例えば、前記のWO96/01
252号パンフレットに記載の方法で得ることができ
る。(H’)セミカルバジド組成物が難水溶性のセミカ
ルバジド誘導体であれば、さらに好ましい。ここで難水
溶性とは、25℃における水100gに対する溶解度が
5g以下であることをいう。
【0084】(H’)セミカルバジド組成物は、(G)
アルド基またはケト基を有するアクリル系エマルジョン
と混合しやすいように、水性媒体中への分散及び水性媒
体中への溶解からなる群から選ばれる少なくとも一つの
状態であることが好ましい。(H’)セミカルバジド組
成物を水に分散あるいは溶解させる際には、場合によっ
ては上記した式(19)で表される親水性基含有化合物
以外の、他の界面活性剤を加えてもよい。このような界
面活性剤の例としては、高級脂肪酸、酸性脂肪アルコー
ル、アルキルスルホン酸塩、アルキルこはく酸塩、ポリ
オキシエチレンアルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンア
ルキルアリール硫酸塩、スルホこはく酸アルキルエステ
ルの塩、アルケニルこはく酸塩等のアニオン性界面活性
剤や、エチレンオキサイドと長鎖脂肪アルコールまたは
フェノール類、リン酸類との公知の反応生成物に代表さ
れるノニオン性界面活性剤として、ポリオキシエチレン
アルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンソルビ
タン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレン
ブロックコポリマー、エチレンオキサイドとリン酸類と
の公知の反応生成物等のノニオン性界面活性剤、4級ア
ンモニウム塩等を含有するカチオン性界面活性剤、(部
分鹸化)ポリビニルアルコール等の高分子分散安定剤等
やそれらの併用が挙げられる。
【0085】特に、式(9)で表される親水性基含有化
合物またはアルケニルこはく酸塩が、式(7)のセミカ
ルバジド誘導体との親和性が高いので好ましい。本発明
において、(G)アルド基またはケト基を有するアクリ
ル系エマルジョンの硬化剤として、(H)ヒドラジン誘
導体組成物と、ケトン酸及び/またはその塩との混合物
を使用することは好ましい。架橋効率が高く強靱でかつ
耐水性に優れた皮膜を得ることができるからである。
【0086】この場合、(H)ヒドラジン誘導体組成物
が、(H’)セミカルバジド組成物であることは好まし
く、さらには前記式(7)で表されるセミカルバジド誘
導体であればより好ましい。本発明に使用できるケトン
酸及び/またはその塩としては、式(10)で表される
モノケトンモノカルボン酸類、式(12)で表されるモ
ノケトンジカルボン酸類、またはそれらの併用等が挙げ
られる。
【0087】
【化9】
【0088】{R1'は、水素原子、又は置換されていな
いか或いはヒドロキシル基又は炭素数1〜8のアルコキ
シ基で置換されている直鎖状または分岐状の炭素数1〜
30のアルキル基を表す。R2'は、置換されていないか
或いはヒドロキシル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基
で置換されている直鎖状または分岐状の炭素数1〜30
のアルキレン基を表す。pは、0又は1を表す。Xは、
各々独立して、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム
または式(11)で表される置換アンモニウムを表す。
【0089】 HNR3'4'5' (11) (R3'、R4'、R5'は、それぞれ独立して、水素原子、
又は置換されていないか或いはヒドロキシル基で置換さ
れている直鎖状または分岐状の炭素数1〜20のアルキ
ル基を表す。また、R3'とR4'あるいは、R3'とR4'
5'は、共同して環状構造を形成しても良い。)}
【0090】
【化10】
【0091】{R1'、R2'は、各々独立して、置換され
ていないか或いはヒドロキシル基又は炭素数1〜8のア
ルコキシ基で置換されている直鎖状または分岐状の炭素
数1〜30のアルキレン基を表す。q、rは、各々0又
は1を表す。Y、Zは、各々独立して、水素原子、アル
カリ金属、アンモニウム又は式(11)で表される置換
アンモニウムを表す。
【0092】 HNR3'4'5' (11) (R3'、R4'、R5'は、それぞれ独立して、水素原子、
又は置換されていないか或いはヒドロキシル基で置換さ
れている直鎖状または分岐状の炭素数1〜20のアルキ
ル基を表す。また、R3'とR4'あるいは、R3'とR4'
5'は、共同して環状構造を形成しても良い。)}モノ
ケトンカルボン酸類の具体例としては、例えばピルビン
酸、レブリン酸、アセト酢酸、ケトカプリン酸、ケトウ
ンデカン酸、ケトステアリン酸、ケトヘンエイコセン
酸、ケトグリコン酸等が挙げられる。モノケトンジカル
ボン酸の具体例としては、例えばケトマロン酸、アセト
ンジカルボン酸、2−ケトグルタル酸、アセトンジ酢
酸、アセトンジプロピオン酸等が挙げられる。
【0093】ケトン酸の塩は、上記ケトン酸を塩基で中
和することにより得ることができる。中和に用いる塩基
としては、例えばKOH、NaOH、LiOH等のアル
カリ金属の水酸化物、式(11)で表されるアミン類等
や、これらの併用が挙げられる。上記アミン類の具体例
としては、例えばアンモニア、ジエチルアミン、ジプロ
ピルアミン、ジブチルアミン、N−メチルエタノールア
ミン、ジエタノールアミン、ジメチルシクロヘキシルア
ミン、メチルジエタノールアミン、ジメチルエタノール
アミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、ピ
ロリジン、ピペリジン、モルホリン等が挙げられる。
【0094】一般に、(H)ヒドラジン誘導体とケトン
酸を混合することにより、例えばケトン酸としてモノケ
トンモノカルボン酸類を用いた場合、下記の平衡反応が
生じ、得られるヒドラジン誘導体の親水性がコントロー
ルできるものと推定される。
【0095】
【化11】
【0096】上記平衡式から判るように、本発明のヒド
ラジン誘導体組成物の親水性のコントロールには、
(H)ヒドラジン誘導体組成物とケトン酸を混合比と共
に、H2O濃度が大きく影響する。すなわち、H2 O濃
度が小さいと上記平衡式は生成系にずれ、ヒドラジン誘
導体組成物へのケトン酸あるいはその塩の導入量が増加
し、結果としてヒドラジン誘導体の親水性は増大する。
逆に、H2 O濃度が大きいと(H)ヒドラジン誘導体組
成物の親水性は減少することになる。本発明において、
2 O濃度は、親水性のコントロールを目的に任意に設
定することができる。
【0097】本発明において、(H)ヒドラジン誘導体
組成物とケトン酸及び/又はその塩との混合は任意の割
合で行うことができるが、(H)ヒドラジン誘導体組成
物中のヒドラジドン残基に対するケトン酸中のケト基の
比が、(ケト基)/(ヒドラジド基)モル比で0.00
1〜10の範囲であることが好ましい。また(H)ヒド
ラジン誘導体組成物とケトン酸との混合は、任意の温度
範囲において、無溶媒または溶媒中で行うことができ
る。上記溶媒の具体例としては、水、t−ブタノール、
イソプロパノール、2−ブトキシエタノール等のアルコ
ール類、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチレン
グリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒、ジメ
チルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系
溶媒、N−メチル−2−ピロリドン等のラクタム系溶
媒、ジメチルスルホオキシド等のスルホオキシド系溶
媒、酢酸エチル、セロソルブアセテート等のエステル系
溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、
n−ヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒等やその併用が
挙げられる。
【0098】本発明においては、上塗り用組成物に使用
する(C)水性エマルジョンが、下塗り用組成物に使用
する(A)塗膜吸水率が20%以下であるアクリル系エ
マルジョンと同様な、前記の(E)加水分解性シランの
存在下、前記の(F)エチレン性不飽和単量体を乳化重
合して得られるアクリル系エマルジョンであることは望
ましい。
【0099】この場合、(C)水性エマルジョンと
(A)塗膜吸水率が20%以下であるアクリル系エマル
ジョンとで、(E)加水分解性シランは同一でも異なっ
ていてもよい。(C)水性エマルジョンでは(E)加水
分解性シランは、(F)エチレン性不飽和単量体の重量
に対して0.1〜200重量%用いることができ、0.
3〜200重量%用いることが好ましく、1〜67重量
%用いることがさらに好しい。
【0100】また、(C)水性エマルジョンが、下塗り
用組成物に使用する(A)塗膜吸水率が20%以下であ
るアクリル系エマルジョンと同様な、(G)アルド基ま
たはケト基を含有するアクリル系エマルジョンおよび
(H)ヒドラジン誘導体組成物を含有するアクリル系エ
マルジョンであることは望ましい。(A)塗膜吸水率が
20%以下であるアクリル系エマルジョンと(C)水性
エマルジョンは、同じ物であっても良いし、異なる物で
あっても良い。
【0101】本発明の複合塗膜を有する対象物品として
は、例えばコンクリート板・柱、セメントモルタル板、
スレート板、フレキシルボード、PC板、ALC板、ケ
イカル板、石膏ボード、押し出し成形板、コンクリート
ブロックなどの無機基材、織布あるいは不織布を機材と
した建材類、金属板、金属部品類、木材、プラスチック
品、石材等が挙げられ、またさらにこれら物品がすでに
塗装されて経年劣化した旧塗膜面等を有している場合が
挙げられる。これらの物品表面へは、下塗り用組成物を
塗装する前にプライマー、シーラー塗装、セメントフィ
ラー、またはその他下塗りの塗装を行っておくことが好
ましい。
【0102】複合塗膜はこれらの物品の表面の少なくと
も一部に有していればよい。本発明における、三種類の
エマルジョン、すなわち(E)加水分解性シランの存在
下(F)エチレン性不飽和単量体を乳化重合して得られ
るアクリル系エマルジョン、(G)アルド基またはケト
基を有するアクリル系エマルジョン、(C)水性エマル
ジョンのいずれの乳化重合においても、乳化重合時に使
用する乳化剤が、硫酸エステル基を有するエチレン性不
飽和単量体、スルホン酸基又はスルホネート基を有する
エチレン性不飽和単量体、およびそれらの混合物のいず
れかから選ばれた乳化剤であることは好ましい。
【0103】なお、三種類のエマルジョンで乳化剤は同
じであっても良いし、異なっていても良い。このような
乳化剤を使用することにより、複合塗膜の耐水性が優れ
たものとなる。硫酸エステル基を有するエチレン性不飽
和単量体とは、分子中にラジカル重合性の二重結合と硫
酸エステル基とを持つ化合物を意味し、下記の一般式
(13)、(14)、(15)、(22)で表されるも
のであり、二種以上の併用も可能である。具体的には一
般式(13)で表されるものとして例えば旭電化工業
(株)製アデカリアソープ(商標)SE1025N等が
あり、一般式(14)で表されるものとして例えば第一
工業製薬(株)製アクアロン(商標)HS−10等があ
り、一般式(15)で表されるものとして例えば日本乳
化剤(株)製Antox(商標)−MS−60等があ
り、一般式(22)で表されるものとして例えば三洋化
成(株)製エレミノール(商標)RS−30等がある。
【0104】スルホン酸基またはスルホネート基を有す
るエチレン性不飽和単量体とは、分子中にラジカル重合
性の二重結合とスルホン酸基またはスルホネート基とを
持つ化合物を意味し、下記の一般式(16)、(1
7)、(18)、(19)、(20)、(21)で表さ
れるものであり、二種以上の併用も可能である。具体的
には一般式(16)、(17)で表されるものとして例
えば三洋化成(株)製エレミノール(商標)JS−2,
JS−5があり、一般式(18)、(19)で表される
ものとして例えば花王(株)製ラテムル(商標)S−1
20,S−180,S−180A等がある。一般式(2
0)で表されるものとして例えばp−スチレンスルホン
酸ナトリウム、p−スチレンスルホン酸カリウム等があ
り、一般式(21)で表されるものとして例えばアクリ
ル酸−(2−スルホエチル)エステルナトリウム、アク
リル酸−(2−スルホエチル)エステルカリウム、メタ
クリル酸−(2−スルホエチル)エステルナトリウム、
アクリル酸−(3−スルホプロピル)エステルナトリウ
ム、アクリル酸−(3−スルホプロピル)エステルカリ
ウム、メタクリル酸−(3−スルホプロピル)エステル
ナトリウム等がある。
【0105】
【化12】
【0106】(式中、R1 は水素またはメチル基、R2
は炭素数8〜24のアルキル基またはアシル基、Aは炭
素数2〜4のアルキレン基、nは0〜50の整数、mは
0〜20の整数、Mはアルカリ金属、アンモニウムを示
す。)
【0107】
【化13】
【0108】(式中、R1 は炭素数6〜18のアルキル
基、アルケニル基またはアラルキル基、R2 は水素また
は炭素数6〜18のアルキル基、アルケニル基またはア
ラルキル基、R3 は水素またはプロペニル基、Aは炭素
数2〜4のアルキレン基、nは1〜200の整数、Mは
アルカリ金属、アンモニウムを示す。)
【0109】
【化14】
【0110】(式中、R1 は水素またはメチル基、R2
は1〜25のアルキル基、R3 は1〜25のアルキル
基、R4 は炭素数1〜25のアルキル基またはベンジル
基、R5は炭素数1〜25のアルキル基またはベンジル
基、Aは炭素数2〜4のアルキレン基、pは0〜2の整
数、qは0〜2の整数、nは1以上の整数、mは1以上
の整数、Mはアルカリ金属、アンモニウムを示す。)
【0111】
【化15】
【0112】
【化16】
【0113】
【化17】
【0114】
【化18】
【0115】{式(16)、(17)、(18)、(1
9)のそれぞれにおいて、R1 は水素またはメチル基、
2 は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20の
アルケニル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、炭
素数5〜10のアリール基、炭素数6〜19アラルキル
基等の炭化水素基、またはその一部が水酸基、カルボン
酸基等で置換されたもの、もしくはポリオキシアルキレ
ンアルキルエーテル基(アルキル部分の炭素数が2〜
4、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル基
(アルキル部分の炭素数が0〜20、およびアルキレン
部分の炭素数が2〜4)等のアルキレンオキサイド化合
物を含む有機基であり、Aは炭素数2〜4個のアルキレ
ン基または置換されたアルキレン基であり、nは0〜2
00の整数であり、Mはアルカリ金属、アンモニウム、
有機アミン塩基または有機第四級アンモニウム塩基を示
す。}
【0116】
【化19】
【0117】(式中、Mはアルカリ金属、アンモニウ
ム、有機アミン塩基または有機第四級アンモニウム塩基
を示す。)
【0118】
【化20】
【0119】(式中、R1 は水素またはメチル基、nは
1〜20の整数、Mはアルカリ金属、アンモニウム、有
機アミン塩基または有機第四級アンモニウム塩基を示
す。)
【0120】
【化21】
【0121】(式中、R1 は水素またはメチル基、nは
2以上の整数、Aは炭素数2〜4のアルキレン基、Mは
アルカリ金属、アンモニウム、有機アミン塩基または有
機第四級アンモニウム塩基を示す。) これらの反応性界面活性剤は、エマルジョン中におい
て、 エマルジョン粒子にラジカル重合した共重合物とし
て存在しているか、 未反応物としてエマルジョン粒子へ吸着、あるいは
エマルジョン水相中に存在しているか、又は 水溶性単量体との共重合物あるいは単量体同士の共
重合物としてエマルジョン粒子へ吸着、あるいはエマル
ジョン水相中に存在している。
【0122】とくにの状態の比率を高めることによっ
て、得られる塗膜の耐水性を良好なものとすることがで
きる。また反応性界面活性剤は、エマルジョンより得ら
れるフィルムの熱分解ガスクロマトグラム質量分析(P
y−GC−MS)、又は熱分解質量分析(Py−MS)
により同定することができる。他の方法として、エマル
ジョンの水相成分を分離した後、高速原子衝撃質量分析
(FABマススペクトル)によって同定することも可能
である。
【0123】本発明では、前記の三種類のエマルジョン
の乳化剤として、通常の界面活性剤を併用することがで
きる。例えば、脂肪酸石鹸、アルキルスルホン酸塩、ア
ルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキル
硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリール硫酸塩等
のアニオン性界面活性剤やポリオキシエチレンアルキル
アリールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪
酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンプロック
コポリマー等のノニオン性界面活性剤、さらにα−〔1
−〔(アリルオキシ)メチル〕−2−(ノニルフェノキ
シ)エチル 〕−ω−ヒドロキシポリオキシエチレン
(商品名:アデカリアソープNE−20、NE−30、
NE−40等、旭電化工業(株)製)、ポリオキシエチ
レンアルキルプロペニルフェニルエーテル(商品名:ア
クアロンRN−10、RN−20、RN−30、RN−
50等、第一製薬工業(株)製)等の反応性ノニオン型
界面活性剤といわれるエチレン性不飽和単量体と共重合
なノニオン型界面活性剤等が用いられ、これらの使用を
排除するものではないが、その使用量は全単量体100
重量部当たり1重量部以下に留めるべきで、それ以上の
量の使用は、塗膜の耐水性、密着性を損なうことにな
る。
【0124】上記の要件がみたされる場合には、乳化重
合中において凝集物の発生が少なく、また耐水性に優れ
る結果となる。その他、本発明の上塗り用組成物、下塗
り用組成物のそれぞれには、通常水系塗料に添加配合さ
れる成分、例えば、界面活性剤、増粘剤、成膜助剤、可
塑剤、消泡剤、染料、防腐剤等を任意に配合することが
できる。具体的に使用できる界面活性剤としては、例え
ばヘキサメタリン酸のナトリウム塩、カリウム塩、また
はアンモニウム塩、トリポリリン酸のナトリウム塩、カ
リウム塩、またはアンモニウム塩、ポリアクリル酸等の
カルボン酸基を持つポリマーのナトリウム塩、カリウム
塩、またはアンモニウム塩。その他、例えば、高級脂肪
酸、樹脂酸、酸性脂肪アルコール、硫酸エステル、高級
アルキルスルホン酸、スルホン酸アルキルアリル、スル
ホン化ひまし油、スルホこはく酸エステル、アルケニル
コハク酸等の塩に代表されるアニオン性界面活性剤、あ
るいはエチレンオキサイドと長鎖脂肪アルコールまたは
フェノール類、リン酸類との公知の反応生成物に代表さ
れるノニオン性界面活性剤、4級アンモニウム塩等を含
有するカチオン性界面活性剤、増粘剤として(部分鹸
化)ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロ
キシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン等の高分
子分散安定剤等、その他ポリエーテル系増粘剤等、フタ
ル酸ジブチル等の可塑剤、ジエチレングリコールモノブ
チルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテ
ル、2,2,4−トリメチル−1、3−ブタンジオール
イソブチレート、グルタル酸ジイソプロピル等の成膜助
剤やそれらの併用が挙げられる。
【0125】本発明に係わるエマルジョンは、分散質の
平均粒子径として、10〜1000nmであることが好
ましい。本発明に係わるエマルジョンの各々の不揮発分
としては、20〜70%であることが好ましく、30〜
65%であることがさらに好ましい。本発明の上塗り用
組成物、または下塗り用組成物は、エマルジョンの長期
の分散安定性を保つため、アンモニア、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、ジメチルアミノエタノールなどの
アミン類を用いてpH5〜10の範囲に調整することが
好ましい。
【0126】
【発明の実施の形態】以下に、参考例、実施例及び比較
例により本発明を詳細に説明する。なお例中の部および
%は重量表示である。実施例中、参考例中に用いられる
各種測定の測定方法、配合は、下記の通りである。 分子量分布の測定方法 ゲルパーミィテーションクロマトグラフィーを用いて、
ポリスチレン標品検量線より求めた。
【0127】(使用機器) ・装置:東ソー(株)HLC−8020 ・カラム:東ソー(株) TSKgel G−5000 HXL TSKgel G−4000 HXL TSKgel G−2000 HXL ・データ処理:東ソー SC8010 ・キャリヤー:テトラヒドロフラン セミカルバジド基含有量の測定方法 サンプル約0.2g(Wグラム)をジメチルアセトアミ
ド10ccに溶解する。これに、シクロヘキシルイソシ
アネート2.5gを50ccのジメチルアセトアミドに
溶解した液を5cc加え、室温で1時間放置する。その
後、ジノルマルブチルアミン3.2gをトルエン100
ccに溶解した液10cc加え、さらに30分放置す
る。その後、イソプロパノール70ccを加え、指示薬
としてブロモクレゾールグリーンを少量加え、0.1規
定の塩酸(ファクターをF)で滴定する(滴定量A)。
同様の操作をサンプルを加えないで行う(滴定値B)。
以下の式によりセミカルバジド基含有量(単位はmeq
/g)が求められる。
【0128】(B−A)×0.1×F/W 耐候性試験 フレキシブル板上に、シーラー(商品名;VPシーラ
ー、関西ペイント(株)製、)を50g/m2 となるよ
うにハケを用いて塗布し、室温にて2時間乾燥させた
後、各参考例のアクリル系エマルジョンについて、下記
の下塗り用組成物配合に従い調整された石材調仕上水性
塗料を2mmの厚みに塗布し、室温にて24時間乾燥さ
せた。この塗膜の上へ、各参考例の上塗り用水性エマル
ジョンについて下記に示す透明な上塗り用組成物を20
0g/m2 となるようにハケで塗布し、室温にて4週間
乾燥させて、試験体を得た。引き続きサンシャイン型ウ
エザオメーター(スガ試験機(株)製、WEL−SUN
−DC)を使用して暴露試験(降雨サイクル;12分/
時間、ブラックパネル温度60〜66℃)を行なった。
暴露3000時間後の状態を下記の基準に従い目視にて
判定した。また上塗り塗料を塗布しない以外は同様の試
験体を作り、同様の試験を実施した。
【0129】判定基準 ◎:ふくれ、つやびけ、割れが全く見られない。 〇:ややつやびけが見られ、ふくれ、割れは見られな
い。 △:ふくれ、つやびけ、割れが見られる。 ×:ふくれ、つやびけ、割れが著しく見られる。 (下塗り用組成物の調整) 各参考例の(A)アクリル系エマルジョン 100.0部 エマルゲン950(25%水溶液)注1 0.5部 CS−12 注2 7.5部 水 2.0部 ハイメトローズ90SH30000の 3%水溶液 注3 20.0部 SN−デフォーマー113 注4 0.3部 硅砂4号 10.0部 大理石粉#100 100.0部 炭酸カルシウムSS−30注5 210.0部 (注) 注1 ノニオン型界面活性剤:花王(株)製 注2 成膜助剤:チッソ(株)製 注3 増粘剤:信越化学工業(株)製 注4 消泡剤:サンノプコ(株)製 注5 炭酸カルシウム:日東粉化工(株)製 (上塗り用組成物の調整) 各参考例の(C)水性エマルジョン 100.0部 エチレングリコールモノブチルエーテル 4.5部 エチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル 9.0部 水 3.0部 消泡剤:ノプコ1497D(製品名:サンノプコ(株)製) 0.1部 透明塗膜の濁度測定法 清浄なガラス板へ上記の上塗り用組成物の塗膜膜厚が1
00μmとなるように塗膜を形成させ、濁度計(COH
−300A:日本電色工業(株)製)により濁度を測定
する。
【0130】 塗膜吸水率の測定 アクリル系エマルジョンの最低成膜温度が0℃以上であ
る場合には、成膜助剤としてエチレングリコールモノブ
チルエーテルと2,2,4−トリメチル−1、3−ブタ
ンジオールイソブチレート(チッソ(株)製CS−1
2)の1/1の比率からなる混合溶剤を該アクリル系エ
マルジョンと配合して最低成膜温度を0℃以下に調整
し、およびアクリル系エマルジョンの最低成膜温度が0
℃以下の場合には成膜助剤を添加せずに、乾燥後膜厚が
70〜100μmとなるように、ガラス板上にアプリケ
ーターで塗布し、20℃で3時間乾燥させ平滑な塗膜を
形成させた後、該塗膜を5cm×5cmの四角形状にガ
ラス板から剥がし、さらに20℃で21時間乾燥させた
後、塗膜の重量Aを測定した。次に、20℃の水へ7日
間浸漬し、取り出してすぐに表面の水を紙で拭き取り、
重量Bを測定する。塗膜吸水率は以下の式で求める。
【0131】塗膜吸水率(%)=(重量B−重量A)/
重量A
【0132】
【参考例1】 (A)塗膜吸水率が20%以下であるアクリル系エマル
ジョン(1)の合成例を示す。かくはん機、還流冷却
器、滴下槽および温度計を取りつけた反応容器に、メタ
クリル酸8部、メタクリル酸メチル52部、アクリル酸
ブチル40部、水300部、スルホコハク酸ジエステル
アンモニウム塩(商品名;ラテムルS−180A、花王
(株)製)の20%水溶液20部を投入し、反応容器中
の温度を78℃に上げてから、過硫酸アンモニウム0.
5部を添加して1時間保つ。これによって第一段階のシ
ードラテックスが調製され、水素イオン濃度を測定した
ところpH1.8であった。次に、メタクリル酸3部、
メタクリル酸メチル207部、アクリル酸ブチル190
部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
1.0部の混合液と、水300部、ラテムルS−180
Aの20%水溶液20部、過硫酸アンモニウム1.0部
の混合液とを反応容器中へ別々の滴下槽より3時間かけ
て流入させる。流入中は反応容器中の温度を80℃に保
つ。流入が終了してから反応容器中の温度を85℃にし
て6時間保つ。室温まで冷却後、水素イオン濃度を測定
したところ2.8であった。25%アンモニア水溶液を
添加してpH8に調整してから100メッシュの金網で
ろ過した。ろ過された凝集物の乾燥重量は全単量体に対
して0.02%と非常にわずかであった。得られたエマ
ルジョンの固形分は44.0%、平均粒子径95nmで
あった。塗膜吸水率は15%であった。このアクリル系
エマルジョンについて前記した配合により、下塗り用組
成物を調整し、耐候性試験に供した。
【0133】
【参考例2】 (A)塗膜吸水率が20%以下であるアクリル系エマル
ジョン(2)の合成例を示す。かくはん機、還流冷却
器、滴下槽および温度計を取りつけた反応容器に、メタ
クリル酸8部、メタクリル酸メチル42部、メタクリル
酸シクロヘキシル10部、アクリル酸ブチル40部、水
300部、ラテムルS−180Aの20%水溶液20部
を投入し、反応容器中の温度を78℃に上げてから、過
硫酸アンモニウム0.5部を添加して1時間保つ。これ
によって第一段階のシードラテックスが調製され、水素
イオン濃度を測定したところpH1.8であった。次
に、メタクリル酸3部、メタクリル酸メチル167部、
メタクリル酸シクロヘキシル40部、アクリル酸ブチル
190部、水300部、ラテムルS−180Aの20%
水溶液20部、過硫酸アンモニウム1.0部の乳化混合
液と、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
1.0部、ジメチルジメトキシシラン20部、メチルト
リメトキシシラン20部からなる混合液とを別々の滴下
槽より3時間かけて反応容器中へ流入させる。流入中は
反応容器中の温度を80℃に保つ。流入が終了してから
反応容器中の温度を85℃にして6時間保つ。室温まで
冷却後、水素イオン濃度を測定したところ2.8であっ
た。25%アンモニア水溶液を添加してpH8に調整し
てから100メッシュの金網でろ過した。ろ過された凝
集物の乾燥重量は全単量体に対して0.02%と非常に
わずかであった。得られたエマルジョンの固形分は4
4.0%、平均粒子径95nmであった。塗膜吸水率は
12%であった。このアクリル系エマルジョンについて
前記した配合により、下塗り用組成物を調整し、耐候性
試験に供した。
【0134】
【参考例3】 (A)塗膜吸水率が20%以下であるアクリル系エマル
ジョン(3)の合成例を示す。かくはん機、還流冷却
器、滴下槽および温度計を取りつけた反応容器に、メタ
クリル酸8部、スチレン25部、メタクリル酸メチル2
4部、アクリル酸2−エチルヘキシル43部、γ−メタ
クリロキシプロピルトリメトキシシラン0.2部、水3
00部、ラテムルS−180Aの20%水溶液20部を
投入し、反応容器中の温度を78℃に上げてから、過硫
酸アンモニウム0.5部を添加して1時間保つ。これに
よって第一段階のシードラテックスが調製され、水素イ
オン濃度を測定したところpH1.8であった。次に、
スチレン100部、メタクリル酸メチル100部、アク
リル酸2−エチルヘキシル200部、γ−メタクリロキ
シプロピルトリメトキシシラン3.0部の混合液と、水
300部、p−スチレンスルホン酸ナトリウム(商品
名;スピノマーNaSS、東ソー(株)製)の20%水
溶液20部、過硫酸アンモニウム1.0部の混合液とを
反応容器中へ別々の滴下槽より3時間かけて流入させ
る。流入中は反応容器中の温度を80℃に保つ。流入が
終了してから反応容器中の温度を85℃にして6時間保
つ。室温まで冷却後、水素イオン濃度を測定したところ
2.5であった。25%アンモニア水溶液を添加してp
H8に調整してから100メッシュの金網でろ過した。
ろ過された凝集物の乾燥重量は全単量体に対して0.0
3%と非常にわずかであった。得られたエマルジョンの
固形分は44.5%、平均粒子径110nm、塗膜吸水
率は7%であった。このアクリル系エマルジョンについ
て前記した配合により、下塗り用組成物を調整し、耐候
性試験に供した。
【0135】
【参考例4】 (A)塗膜吸水率が20%以下であるアクリル系エマル
ジョン(4)の合成例を示す。かくはん機、還流冷却
器、滴下槽および温度計を取りつけた反応容器に、メタ
クリル酸8部、ジアセトンアクリルアミド3部、メタク
リル酸メチル49部、アクリル酸ブチル40部、水30
0部、ラテムルS−180Aの20%水溶液20部を投
入し、反応容器中の温度を78℃に上げてから、過硫酸
アンモニウム0.5部を添加して1時間保つ。これによ
って第一段階のシードラテックスが調製され、水素イオ
ン濃度を測定したところpH1.8であった。次に、メ
タクリル酸4部、ジアセトンアクリルアミド12部、メ
タクリル酸メチル169部、アクリル酸ブチル215部
の混合液と、水300部、ラテムルS−180Aの20
%水溶液20部、過硫酸アンモニウム1.0部の混合液
とを反応容器中へ別々の滴下槽より3時間かけて流入さ
せる。流入中は反応容器中の温度を80℃に保つ。流入
が終了してから反応容器中の温度を85℃にして6時間
保つ。室温まで冷却後、水素イオン濃度を測定したとこ
ろ2.8であった。25%アンモニア水溶液を添加して
pH8に調整してから100メッシュの金網でろ過し
た。ろ過された凝集物の乾燥重量は全単量体に対して
0.01%と非常にわずかであった。得られたエマルジ
ョンの固形分は44.4%、平均粒子径110nmの
(G)アルド基またはケト基を含有するエマルジョンを
得た。
【0136】次に、ヒドラジン誘導体として、ヘキサメ
チレンジイソシアネート168部、ビュレット化剤とし
ての水1.5部を、エチレングリコールメチルエーテル
アセテートとリン酸トリメチルの1:1(重量比)の混
合溶媒130部に溶解し、反応温度160℃にて1時間
反応させた。得られた反応液を薄膜蒸留缶を用いて、1
回目は1.0mmHg/160℃の条件下、2回目は
0.1mmHg/200℃の条件下にて2段階の処理に
より余剰のヘキサメチレンジイソシアネート、および溶
媒を留去回収し、残留物を得た。得られた残留物は、9
9.9重量%のポリイソシアネート(ヘキサメチレンジ
イソシアネートのビュウレット型ポリイソシアネート)
および0.1重量%の残存ヘキサメチレンジイソシアネ
ートを含んでいた。得られた残留物の粘度は1900
(±200)mPa.s/25℃、数平均分子量は約6
00(±100)であり、平均−NCO官能基数は約
3.3、−NCO基含有量は23.3重量%であった。
引き続き、還流冷却器、温度計および撹拌装置を有する
反応器にイソプロピルアルコール1000部にヒドラジ
ン1水和物80部を撹拌しながら約30分かけて室温で
添加した後、ポリイソシアネート(NCO基含量23.
3重量%)144部をテトラヒドロフラン576部に溶
解した溶液を10℃にて約1時間かけて添加し、さらに
40℃にて3時間撹拌を続け、1000部の水を添加し
た。続いて得られた反応液中のイソプロピルアルコー
ル、ヒドラジン、テトラヒドロフラン、水等を加熱減圧
下に留去することにより168部のビウレット構造を有
するヒドラジン誘導体を得た。セミカルバジド基含有量
を測定したところ、4.6meq/gであった。
【0137】合成した上記(G)アルド基またはケト基
を有するアクリル系エマルジョン100部と、上記のヒ
ドラジン誘導体の固形分濃度30%の水溶液5.0部を
添加し、室温で30分混合後し、アクリル系エマルジョ
ン(4)を得た。塗膜吸水率は6%であった。このアク
リル系エマルジョンについて前記した配合により、下塗
り組成物を調整し、耐候性試験に供した。
【0138】
【参考例5】 (A)塗膜吸水率が20%以下であるアクリル系エマル
ジョン(5)の合成例を示す。かくはん機、還流冷却
器、滴下槽および温度計を取りつけた反応容器に、メタ
クリル酸8部、ジアセトンアクリルアミド3部、メタク
リル酸メチル49部、アクリル酸ブチル40部、水30
0部、ラテムルS−180Aの20%水溶液20部を投
入し、反応容器中の温度を78℃に上げてから、過硫酸
アンモニウム0.5部を添加して1時間保つ。これによ
って第一段階のシードラテックスが調製され、水素イオ
ン濃度を測定したところpH1.8であった。次に、メ
タクリル酸4部、ジアセトンアクリルアミド12部、メ
タクリル酸メチル169部、アクリル酸ブチル215部
と、水300部、ラテムルS−180Aの20%水溶液
20部、過硫酸アンモニウム1.0部の乳化混合液と、
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1.0
部、ジメチルジメトキシシラン20部、メチルトリメト
キシシラン20部混合液とを反応容器中へ別々の滴下槽
より3時間かけて流入させる。流入中は反応容器中の温
度を80℃に保つ。流入が終了してから反応容器中の温
度を85℃にして6時間保つ。室温まで冷却後、水素イ
オン濃度を測定したところ2.8であった。25%アン
モニア水溶液を添加してpH8に調整してから100メ
ッシュの金網でろ過した。ろ過された凝集物の乾燥重量
は全単量体に対して0.01%と非常にわずかであっ
た。固形分が44.2%、平均粒子径120nmの
(G)アルド基またはケト基を含有するアクリル系エマ
ルジョンを得た。この(G)アルド基またはケト基を有
するアクリル系エマルジョン100部と、参考例4のヒ
ドラジン誘導体の固形分濃度30%の水溶液5.0部を
添加し、室温で30分混合後し、アクリル系エマルジョ
ン(5)を得た。塗膜吸水率は6%であった。このアク
リル系エマルジョンについて前記した配合により、下塗
り組成物を調整し、耐候性試験に供した。
【0139】
【参考例6】上塗用の(C)水性エマルジョン(1)の
合成例を示す。撹拌機、還流冷却器、滴下槽および温度
計を取り付けた反応容器に水290部、エチレン性不飽
和単量体と共重合可能な二重結合を分子中に持つスルホ
コハク酸ジエステルアンモニウム塩(製品名:ラテムル
S−180A、花王(株)製)の20%水溶液10部を
投入し、反応容器中の温度を80℃に上げてから、過硫
酸アンモニウムの2%水溶液を10部添加した5分後
に、メタクリル酸メチル25部、メタクリル酸シクロヘ
キシル50部、アクリル酸ブチル15部、メタクリル酸
10部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(製品名:
TINUVIN384、日本チバガイギー(株)製)1
部の混合液とラテムルS−180Aの20%の水溶液5
部、過硫酸アンモニウムの2%の水溶液15部、水48
部からなる乳化混合液を滴下槽より40分かけて流入さ
せる。流入中は反応容器の温度を80℃に保つ。流入が
終了してから反応容器の温度を80℃にして30分保
つ。
【0140】次に、メタクリル酸メチル109部、メタ
クリル酸シクロヘキシル160部、アクリル酸ブチル1
23部、メタクリル酸8部、TINUVIN384を4
部の混合液とラテムルS−180Aの20%の水溶液2
0部、過硫酸アンモニウムの2%の水溶液60部、水1
92部からなる乳化混合液、およびγ−メタクリロキシ
プロピルトリメトキシシラン1部、ジメチルジメトキシ
シラン20部、メチルトリメトキシシラン20部からな
る混合液とを別々の滴下槽より160分かけて流入させ
る。反応中のpHは4以下に維持した。流入中は反応容
器の温度を80℃に保つ。流入が終了してから反応容器
の温度を80℃にして120分保つ。
【0141】室温まで冷却後、水素イオン濃度を測定し
たところpH2.0であった。25%アンモニア水溶液
を添加してpHを8に調整してから100メッシュの金
網でろ過した。ろ過された凝集物の乾燥重量は全単量体
に対して0.06%とわずかであった。得られたエマル
ジョンの固形分は44.7%、粒子径98nmで単一分
布であった。この上塗り用水性エマルジョンについて前
記した配合により、上塗り用組成物として調整し、耐候
性試験に供した。
【0142】
【参考例7】上塗用(C)水性エマルジョン(2)の合
成例を示す。撹拌機、還流冷却器、滴下槽および温度計
を取り付けた反応容器に水290部、エチレン性不飽和
単量体と共重合可能な二重結合を分子中に持つスルホコ
ハク酸ジエステルアンモニウム塩(製品名:ラテムルS
−180A、花王(株)製)の20%水溶液10部を投
入し、反応容器中の温度を80℃に上げてから、過硫酸
アンモニウムの2%水溶液を10部添加した5分後に、
メタクリル酸メチル25部、メタクリル酸シクロヘキシ
ル50部、アクリル酸ブチル15部、メタクリル酸10
部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(製品名:TI
NUVIN384、日本チバガイギー(株)製)1部の
混合液とラテムルS−180Aの20%の水溶液5部、
過硫酸アンモニウムの2%の水溶液15部、水48部か
らなる乳化混合液を滴下槽より40分かけて流入させ
る。流入中は反応容器の温度を80℃に保つ。流入が終
了してから反応容器の温度を80℃にして30分保つ。
【0143】次に、メタクリル酸メチル109部、メタ
クリル酸シクロヘキシル160部、アクリル酸ブチル1
23部、メタクリル酸8部、TINUVIN384を4
部の混合液とラテムルS−180Aの20%の水溶液2
0部、過硫酸アンモニウムの2%の水溶液60部、水1
92部からなる乳化混合液を滴下槽より160分かけて
流入させる。反応中のpHは4以下に維持した。流入中
は反応容器の温度を80℃に保つ。流入が終了してから
反応容器の温度を80℃にして120分保つ。
【0144】室温まで冷却後、水素イオン濃度を測定し
たところpH2.0であった。25%アンモニア水溶液
を添加してpHを8に調整してから100メッシュの金
網でろ過した。ろ過された凝集物の乾燥重量は全単量体
に対して0.06%とわずかであった。得られたエマル
ジョンの固形分は44.7%、粒子径88nmで単一分
布であった。この上塗り用水性エマルジョンについて前
記した配合により、上塗り用組成物として調整し、耐候
性試験に供した。
【0145】
【参考例8】紫外線吸収剤及び光安定剤が複合化されて
いない上塗用(C)水性エマルジョン(4)の合成例を
示す。撹拌機、還流冷却器、滴下槽および温度計を取り
付けた反応容器に水290部、エチレン性不飽和単量体
と共重合可能な二重結合を分子中に持つスルホコハク酸
ジエステルアンモニウム塩(製品名:ラテムルS−18
0A、花王(株)製)の20%水溶液10部を投入し、
反応容器中の温度を80℃に上げてから、過硫酸アンモ
ニウムの2%水溶液を10部添加した5分後に、メタク
リル酸メチル25部、メタクリル酸シクロヘキシル50
部、アクリル酸ブチル15部、メタクリル酸10部をラ
テムルS−180Aの20%の水溶液5部、過硫酸アン
モニウムの2%の水溶液15部、水48部からなる乳化
混合液を滴下槽より40分かけて流入させる。流入中は
反応容器の温度を80℃に保つ。流入が終了してから反
応容器の温度を80℃にして30分保つ。
【0146】次に、メタクリル酸メチル109部、メタ
クリル酸シクロヘキシル160部、アクリル酸ブチル1
23部、メタクリル酸8部の混合液とラテムルS−18
0Aの20%の水溶液20部、過硫酸アンモニウムの2
%の水溶液60部、水192部からなる乳化混合液を滴
下槽より160分かけて流入させる。反応中のpHは4
以下に維持した。流入中は反応容器の温度を80℃に保
つ。流入が終了してから反応容器の温度を80℃にして
120分保つ。
【0147】室温まで冷却後、水素イオン濃度を測定し
たところpH2.0であった。25%アンモニア水溶液
を添加してpHを8に調整してから100メッシュの金
網でろ過した。ろ過された凝集物の乾燥重量は全単量体
に対して0.06%とわずかであった。得られたエマル
ジョンの固形分は44.4%、粒子径88nmで単一分
布であった。このエマルジョンについて前記した配合に
より、上塗り用組成物として調整し、耐候性試験に供し
た。
【0148】
【参考例9】塗膜の吸水率が20%以上となるアクリル
系エマルジョン(6)の合成例を示す。かくはん機、還
流冷却器、滴下槽および温度計を取りつけた反応容器
に、メタクリル酸8部、メタクリル酸メチル52部、ア
クリル酸ブチル40部、水300部、ペレックスOT−
P(スルホコハク酸ジオクチルエステルナトリウム塩:
花王(株)製)の20%水溶液20部を投入し、反応容
器中の温度を78℃に上げてから、過硫酸アンモニウム
0.5部を添加して1時間保つ。これによって第一段階
のシードラテックスが調製され、水素イオン濃度を測定
したところpH1.8であった。次に、メタクリル酸3
部、メタクリル酸メチル207部、アクリル酸ブチル1
90部の混合液と、水300部、ペレックスOT−Pの
20%水溶液20部、過硫酸アンモニウム1.0部の混
合液とを反応容器中へ別々の滴下槽より3時間かけて流
入させる。流入中は反応容器中の温度を80℃に保つ。
流入が終了してから反応容器中の温度を85℃にして6
時間保つ。室温まで冷却後、水素イオン濃度を測定した
ところ2.8であった。25%アンモニア水溶液を添加
してpH8に調整してから100メッシュの金網でろ過
した。ろ過された凝集物の乾燥重量は全単量体に対して
0.02%と非常にわずかであった。得られたエマルジ
ョンの固形分は44.1%、平均粒子径105nmであ
った。塗膜吸水率は25%であった。このアクリル系エ
マルジョンについて前記した配合により、下塗り用組成
物を調整し、耐候性試験に供した。
【0149】
【実施例1】参考例1のアクリル系エマルジョン(1)
による下塗り用組成物と、参考例6の上塗り用水性エマ
ルジョン(1)による上塗り用組成物とを、前記の耐候
性試験の方法に従って試験体を作製し、耐候性の測定を
行った。その結果を表1に示した。
【0150】
【実施例2】参考例1のアクリル系エマルジョン(1)
による下塗り用組成物と、参考例7の上塗り用水性エマ
ルジョン(2)による上塗り用組成物とを、前記の耐候
性試験の方法に従って試験体を作製し、耐候性の測定を
行い、その結果を表1に示した。
【0151】
【実施例3】参考例2のアクリル系エマルジョン(2)
による下塗り用組成物と、参考例7の上塗り用水性エマ
ルジョン(2)による上塗り用組成物とを、前記の耐候
性試験の方法に従って試験体を作製し、耐候性の測定を
行い、その結果を表1に示した。
【0152】
【実施例4】参考例3のアクリル系エマルジョン(3)
による下塗り用組成物と、参考例7の上塗り用水性エマ
ルジョン(2)による上塗り用組成物とを、前記の耐候
性試験の方法に従って試験体を作製し、耐候性の測定を
行い、その結果を表1に示した。
【0153】
【実施例5】参考例4のアクリル系エマルジョン(4)
による下塗り用組成物と、参考例7の上塗り用水性エマ
ルジョン(2)による上塗り用組成物とを、前記の耐候
性試験の方法に従って試験体を作製し、耐候性の測定を
行い、その結果を表1に示した。
【0154】
【実施例6】参考例5のアクリル系エマルジョン(5)
による下塗り用組成物と、参考例7の上塗り用水性エマ
ルジョン(2)による上塗り用組成物とを、前記の耐候
性試験の方法に従って試験体を作製し、耐候性の測定を
行い、その結果を表1に示した。
【0155】
【比較例1】参考例1のアクリル系エマルジョン(1)
による下塗り用組成物と、参考例8の上塗り用水性エマ
ルジョン(3)による上塗り用組成物とを、前記の耐候
性試験の方法に従って試験体を作製し、耐候性の測定を
行い、その結果を表1に示した。
【0156】
【比較例2】参考例9のアクリル系エマルジョン(6)
による下塗り用組成物と、参考例7の上塗り用水性エマ
ルジョン(2)による上塗り用組成物とを、前記の耐候
性試験の方法に従って試験体を作製し、耐候性の測定を
行い、その結果を表1に示した。
【0157】
【比較例3】参考例4のアクリル系エマルジョン(4)
による下塗り用組成物と、参考例8の上塗り用水性エマ
ルジョン(3)による上塗り用組成物とを、前記の耐候
性試験の方法に従って試験体を作製し、耐候性の測定を
行い、その結果を表1に示した。
【0158】
【表1】
【0159】
【発明の効果】本発明の複合塗膜またはそれを表面に有
する物品は、上塗り層、下塗り層ともに合成樹脂エマル
ジョンからなる水性組成物を使用して得られるものであ
り、かつ長期の耐久性、耐候性、耐水性が発現でき、塗
装直後の光沢性、高級感のある塗膜外観を長期にわたり
維持することができる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C09D 133/06 C09D 133/06 // C09D 5/00 5/00 D

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)塗膜吸水率が20%以下であるア
    クリル系エマルジョンと(B)骨材および/または顔料
    を含有する下塗り用組成物を塗布、乾燥して得られる下
    塗り層と、(C)水性エマルジョンと(D)紫外線吸収
    剤および/または光安定剤を含有する上塗り用組成物を
    塗布、乾燥して得られる透明上塗り層とを有する複合塗
    膜。
  2. 【請求項2】 (A)塗膜吸水率が20%以下であるア
    クリル系エマルジョンが、(E)加水分解性シランの存
    在下、(F)エチレン性不飽和単量体を乳化重合して得
    られるアクリル系エマルジョンである請求項1に記載の
    複合塗膜。
  3. 【請求項3】 (A)塗膜吸水率が20%以下であるア
    クリル系エマルジョンが、(G)アルド基またはケト基
    を有するアクリル系エマルジョンおよび(H)ヒドラジ
    ン誘導体組成物を含有するアクリル系エマルジョンであ
    る請求項1に記載の複合塗膜。
  4. 【請求項4】 (C)水性エマルジョンが、(E)加水
    分解性シランの存在下、(F)エチレン性不飽和単量体
    を乳化重合して得られるアクリル系エマルジョンである
    請求項1に記載の複合塗膜。
  5. 【請求項5】 表面の少なくとも一部に請求項1〜4の
    いずれかに記載の複合塗膜を有する物品。
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