JPH11124743A - 炭素繊維および炭素繊維強化複合材料 - Google Patents

炭素繊維および炭素繊維強化複合材料

Info

Publication number
JPH11124743A
JPH11124743A JP28722897A JP28722897A JPH11124743A JP H11124743 A JPH11124743 A JP H11124743A JP 28722897 A JP28722897 A JP 28722897A JP 28722897 A JP28722897 A JP 28722897A JP H11124743 A JPH11124743 A JP H11124743A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
carbon fiber
fiber
cross
composite material
section
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP28722897A
Other languages
English (en)
Inventor
Katsumi Yamazaki
勝巳 山▲ざき▼
Yoji Matsuhisa
要治 松久
Takuji Sato
卓治 佐藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP28722897A priority Critical patent/JPH11124743A/ja
Publication of JPH11124743A publication Critical patent/JPH11124743A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】太繊度でも機械的特性が高く、それによって複
合材料曲げ強度の高い炭素繊維、およびその炭素繊維を
用いた複合材料を提供する。 【解決手段】繊維断面形状を真円と仮定した単繊維断面
半径r(μm)と引張弾性率YM(GPa)が下記式1
を満足することを特徴とする炭素繊維。 YM>480−46.2r −−−−−−
式1

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、繊維強化複合材料
成型用の炭素繊維、およびその繊維を用いた複合材料に
関する。さらに詳しくは、圧縮系の機械特性に優れた、
構造材料として好適な複合材料を与える炭素繊維、およ
びその炭素繊維を用いた複合材料に関する。
【0002】
【従来の技術】炭素繊維は他の繊維に比べて優れた比強
度および比弾性率を有するため、その優れた機械的特性
を利用して樹脂との複合材料用の補強繊維として工業的
に広く利用されている。近年、炭素繊維複合材料の優位
性はますます高まり、特にスポーツ、航空宇宙用途にお
いてはこの炭素繊維複合材料に対する高性能化要求が強
い。複合材料としての特性は炭素繊維そのものの特性に
起因するところが大きく、この要求はとりもなおさず炭
素繊維自身への高性能化要求である。この炭素繊維に対
する高性能化の要求に対して、これまで引張強度や引張
弾性率といった引張特性に関して長足の進歩がなされ
た。しかし、それに対して圧縮特性値の向上は追随して
おらず、複合材料の特性、特に最も実用的な特性である
曲げ強度は圧縮側の強度が律速となり満足のいく向上が
見られていない。
【0003】従来、この複合材料の曲げ強度を向上させ
る対策として、炭素繊維の表面特性を電解表面処理によ
って改善する方法、適用するマトリックス樹脂の特性を
改善する方法、複合材科を構成する炭素繊維の配列を工
夫する方法など、数多くの提案がなされてきたが.必ず
しも満足のいく結果が得られていないのが実情である。
【0004】このような従来の技術的背景のもとに、炭
素繊維と樹脂との複合材の曲げ強度を向上する対策につ
いて種々検討がおこなわれた結果、特開平3−9791
8号公報、特開平3−185121公報、あるいは特開
平4−202815号公報に示されるように、炭素繊維
自体の内部構造の改良に加えて、繊維横断面を非円形し
断面二次モーメントを上げることが有効であることが提
案されている。
【0005】しかしながら、上記非円形断面糸だけでは
曲げ強度の向上が不十分であり、かつ製糸性、特に延伸
性が低下するために製糸生産能力が低下し、コストが上
昇するという問題があった。これらの問題を解決するた
めには、単糸繊度を太繊度化しさらに断面二次モーメン
トを上げ、同時に製糸生産能力を上げることが曲げ強度
およびコスト低減に重要であるが、従来の技術では太繊
度化すると炭素繊維の強度、弾性率が急激に低下してし
まい、機械的特性の低い炭素繊維しか得ることができな
かった。
【0006】すなわち、単糸繊度を大きくすると耐炎化
処理時に繊維内部への酸素拡散が不足して不十分な耐炎
化構造となって、炭化工程で毛羽が多発したり、極端な
場合は工程を通過しなくなるし、焼成できたとしても強
度および弾性率の低下が著しい。円形断面繊維に比べて
非円形断面繊維は繊維中心までの距離が短くなるために
比較的単糸繊度を大きくしても焼成が可能で高物性が得
られ易いが、単糸繊度が大きくなるにつれて焼成時の毛
羽の発生や強度、弾性率の低下は避けられないという問
題があった。
【0007】本発明者らは、特殊な断面形状を有する非
円形異形断面前駆体繊維の繊維表層部の耐炎化を遅延さ
せることによって、さらに太繊度化したときの焼成時の
トラブルや強度、弾性率の低下を抑制でき、得られた太
径の炭素繊維が高い圧縮強度を有することを見出し、本
発明に到達した。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上記
従来技術では達成し得なかった太繊度でも機械的特性が
高く、それによって複合材料曲げ強度の高い炭素繊維、
およびその炭素繊維を用いた複合材料を提供することに
ある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記した課題を解決する
ために、本発明の炭素繊維は次のいずれかの構成を有す
る。すなわち、繊維断面形状を真円と仮定した単繊維断
面半径r(μm)と引張弾性率YM(GPa)が下記式
1を満足することを特徴とする炭素繊維、 YM>480−46.2r −−−−−− 式1 また、繊維断面形状を真円と仮定した単繊維断面半径r
(μm)と引張強度TS(GPa)が下記式2を満足す
ることを特徴とする炭素繊維である。
【0010】 TS>9.18−1.02r −−−−−− 式2 また上記した課題を解決するために、本発明の複合材料
は次の構成を有する。すなわち、上記炭素繊維からなる
炭素繊維強化複合材料である。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の炭素繊維および炭
素繊維強化複合材料について詳細に説明する。
【0012】本発明の炭素繊維は、繊維断面形状を真円
と仮定した単繊維断面半径r(μm)と炭素繊維の引張
弾性率YM(GPa)が下記式1を満足することを特徴
とする炭素繊維である。
【0013】 YM>480−46.2r −−−−−− 式1 一般的に、前駆体繊維の繊度を大きくして炭素繊維の単
繊維断面径を大きくしていくと弾性率が大幅に低下し
て、複合材料の設計において軽量化が困難となる。本発
明の炭素繊維は単繊維の太さと弾性率の関係において、
これまでになく弾性率が高い炭素繊維であり、それによ
って十分な複合材料の特性が発揮できるものである。
【0014】また、本発明の炭素繊維は繊維断面形状を
真円と仮定した単繊維断面半径r(μm)と炭素繊維の
引張強度TS(GPa)が下記式2を満足することを特
徴とする炭素繊維である。
【0015】 TS>9.18−1.02r −−−−−− 式2 引張強度においても、前駆体繊維の繊度を大きくして炭
素繊維の単繊維断面径を大きくしていくと大幅に強度が
低下し、高次加工性の低下と共に複合材料としての強度
特性を発揮できない。本発明の炭素繊維は単繊維の太さ
と強度の関係において、これまでになく強度が高い炭素
繊維であり、製編織やプリプレグ化などの高次加工性に
優れ、かつ複合材料としての高い強度特性を有する炭素
繊維である。
【0016】本発明の炭素繊維はこのように太繊度でも
機械的特性が高いことにより、機械的特性および断面二
次モーメントのいずれもが高い炭素繊維であるので、一
方向炭素繊維複合材料の0°曲げ強度が0°引張強度の
85%以上と曲げ強度の高い炭素繊維が可能となる。す
なわち、従来の炭素繊維では一方向炭素繊維複合材料の
0°曲げ強度は0°引張強度の30〜80%程度であ
り、85%以上と高い炭素繊維はなかった。上限につい
ては100%以下である。
【0017】一方向炭素繊維複合材料の0°曲げ強度の
絶対値としては2GPa以上の高い強度が可能になる。
従来の炭素繊維は高々1.8GPa前後までであり、2
GPa以上の高い炭素繊維はなかった。上限については
6GPa程度まで向上する可能性がある。
【0018】本発明の炭素繊維は太繊度でも引張弾性率
の低下が小さく、かつ太繊度のために曲げ強度が高いた
め、炭素繊維の引張弾性率YM(MPa)と一方向炭素
繊維複合材料の0゜曲げ強度BS(GPa)が下記式3
を満足することが可能となる。
【0019】 BS≧2270−1.87YM −−−−−− 式3 一方向炭素繊維の0゜曲げ強度は炭素繊維の引張強度、
圧縮強度、および炭素繊維と樹脂との接着力の総合特性
を現す最も実用的で重要な複合材料特性である。しかし
ながら、曲げ強度は引張強度に対して圧縮強度が大幅に
低いため、圧縮強度律速となっているのが現状であり、
グラファイト構造が発達した高引張弾性率炭素繊維ほど
曲げ強度が低下する。本発明の炭素繊維は引張弾性率に
対して従来になく高い曲げ強度特性を有する炭素繊維で
ある。
【0020】本発明の炭素繊維の繊維断面形状を真円と
仮定した単繊維断面半径rとしては4〜10μmである
ことが好ましい。すなわち、rを4μm以上と大きくす
ることによって単繊維の屈曲が少なくアライメントが向
上するため、複合材としたときの圧縮特性がさらに向上
する。rが10μmを超える炭素繊維では前駆体繊維の
繊度が大きいので耐炎化時に繊維内層部への酸素透過が
困難となり、耐炎化に長時間を要し、コストアップが大
きくなると共に、炭化時に毛羽が発生し易く工業的生産
が難しくなる。
【0021】ここで本発明に言う単繊維半径rとは、フ
ィラメント数がたとえば100〜1000000本の炭
素繊維束1mの質量を測定し、アルキメデス法によって
繊維比重を測定して炭素繊維束の断面積を計算後にフィ
ラメント数で除し単繊維の断面積を算出する。その単繊
維の断面を真円と仮定して半径rを算出したものであ
る。
【0022】本発明の炭素繊維の繊維断面形状は、一定
の対称性を持った非円形であることが好ましい。すなわ
ち、繊維横断面形状がその図心を通る対称面を少なくと
も一つ有すると共に、θ=360°/n(nは1から1
0までの整数)で規定される回転対称角度θを有する非
円形状であることが好ましい。
【0023】炭素繊維がこのような非円形断面であるこ
とによって、円形断面の炭素繊維に比べて断面二次モー
メントが大きいため、複合材の曲げ剛性も向上させるこ
とができる。しかも、この非円形断面形状が対称性であ
ることにより、複合材の縦方向(繊維長手方向)の歪み
に対する断面方向の応力分布を均一にすることができ
る。さらに、非円形断面であることによって、繊維表面
から単糸中心までの距離が小さくなるため、耐炎化での
内外構造差が生成しにくいため太繊度化しやすい上に、
複合材に使用されたときマトリックス樹脂との接触面積
が増大して接着力を増大させ、かつ円形断面に比べてマ
トリックス樹脂に対する均一な分散性を高めるため、複
合材の基本特性を大幅に向上させることができる。
【0024】本発明において、繊維横断面が回転対称で
あるとは、図心のまわりに角度θ回転させたとき同じ図
形が繰り返されることをいい、その時の回転角度を回転
対称角という。また、対称面とは、繊維横断面で鏡映操
作をするとき、図形が左右で自己同一になるようなとき
の境界面をいうが、図形や回転角度の若干のずれは許容
されるものである。
【0025】正多角形や正多葉形の繊維横断面では、い
ずれも回転対称角θを定義するnはその対称面の数と同
じになる。本発明において、回転対称角θを定義するn
の上限は10としているが、上限を5とすればより好ま
しい。nが10を超えるときには、繊維横断面は円形に
近くなり、本発明による非円形断面の効果は低減するか
らである。
【0026】また、炭素繊維の非円形断面は、上述した
対称性に加えて、繊維横断面の中心に向かって凹の部分
を有する非円形であって、その変形度も一定の範囲にあ
ることが好ましい。例えば、細長い扁平断面のように円
形から極端に離れた形状になれば、複合材にしたときの
炭素繊維の均一な分散性を阻害し、複合材の基本特性を
低減することになる。
【0027】また、本発明の炭素繊維の横断面形状とし
ては、単繊維の横断面形状が3〜5葉の多葉形であり、
それぞれの葉がその付け根から先端に向かって一旦膨ら
みを有し、実質的に複数個の円が接合した形からなり、
かつ、該横断面における外接円半径R1と内接円半径R
2との比(R1/R2)で定義される変形度Dが1.5
〜3であることが好ましい。
【0028】このように、炭素繊維の横断面が多葉形か
らなり、各葉が付け根から先端に向かって一端膨らみを
有する構造となっていると、通常の異形断面糸に比べて
断面二次モーメントが大きい上に、単繊維の表面から中
心までの距離が短いため、中心までの酸素透過が容易で
あり、より均一な焼成が可能となって、炭素繊維の強
度、弾性率が向上することによって曲げ変形に対しての
抵抗力が増加して、圧縮強度および曲げ強度が向上する
ものと考えられる。さらに、このような形状では大きな
単繊維繊度の炭素繊維が得やすく、断面二次モーメント
の一層の向上とともに、繊維のアライメントも向上する
ためこれらの特性がさらに向上する。なお異形度Dが
1.5未満ではそれぞれの葉がその付け根から先端にむ
かって一旦膨らみを有する形状を形成することが困難で
あり、またDが3を超える形状では焼成工程中に葉が破
損して毛羽立ちが多くなる。
【0029】また、このような断面形状では表面積が大
きく、また葉と葉の間が一種の錨のように働くいわゆる
アンカー効果を発揮するので、曲げ強度が上がるばかり
でなく、マトリックス樹脂との接着力および衝撃後圧縮
強度が向上するものと考えられる。
【0030】本発明の炭素繊維はホウ素を50〜500
0ppmを含有することが好ましく、より好ましくは1
00〜1000ppm含有するものであるが、ホウ素を
含有する前駆体繊維を焼成することによって得ることが
できる。前駆体繊維中のホウ素は前駆体繊維の耐炎化反
応を遅延させる効果を有し、より高温で耐炎化可能とな
り、繊維内層部への酸素拡散を促進して単繊維の断面半
径方向の耐炎化構造をより均一化することができる。従
って、前駆体繊維の繊度を従来になく大きくしても焼成
が可能となり、引張強度・弾性率が優れた炭素繊維が得
られる。炭素繊維のホウ素含有量が50ppm未満とな
る前駆体繊維のホウ素含有量では耐炎化反応の遅延効果
が不足して均一耐炎化効果が不十分である。また、炭素
繊維のホウ素含有量が5000ppmを超える前駆体繊
維のホウ素含有量では耐炎化反応が遅くなりすぎて工業
的生産性が悪くなる。したがって炭素繊維のホウ素含有
量はより好ましくは100〜1000ppmである。
【0031】また、ホウ素の単糸内分布については繊維
の表層部に多く存在することが好ましく、下記式4に定
義する繊維の表層部と内層部のホウ素濃度比Cが5〜1
000となる分布が好ましい。
【0032】 C=C0 /Ci −−−−−− 式4 ただし、C0 :SIMSで測定した繊維表面から25n
m深さのホウ素原子カウント数 Ci :SIMSで測定した繊維表面から600nm深さ
のホウ素原子カウント数 本発明の炭素繊維は、アクリル系、ピッチ系、レーヨン
系などいずれでも可能であるが、圧縮強度の高いアクリ
ル系が好ましい。以下、上記本発明炭素繊維の製法例を
アクリル系の場合について説明する。
【0033】アクリル系炭素繊維の前駆体繊維を構成す
るポリアクリロニトリルとしては、アクリロニトリル8
5%以上、アクリロニトリルと共重合可能な重合性不飽
和単量体を15%以下含む重合体であることが好まし
い。重合性不飽和単量体としては、アクリル酸、メタク
リル酸、イタコン酸およびそれらのアルカリ金属塩、ア
ンモニウム塩およびアルキルエステル類、アクリルアミ
ド、メタクリルアミドおよびそれらの誘導体、アリルス
ルホン酸、メタリルスルホン酸およびそれらの塩類また
はアルキルエステル類等をあげることができる。また、
不飽和カルボン酸等、耐炎化反応を促進する重合性不飽
和単量体を共重合することが好ましい。その共重合量は
0.1〜10重量%であることが好ましく、0.3〜5
重量%であることがより好ましく、0.5〜3重量%で
あることがさらに好ましい。
【0034】不飽和カルボン酸の具体例としては、アク
リル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、シト
ラコン酸、エタクリル酸、マレイン酸、メサコン酸等を
あげることができる。また、単糸内部への酸素透過性を
改善して大きな繊度の前駆体繊維を焼成するためには、
不飽和カルボン酸のアルキルエステル、酢酸ビニルから
選ばれた1種以上を共重合することが好ましい。その共
重合量は0.1〜10重量%であることが好ましく、
0.3〜5重量%であることがより好ましく、0.5〜
3重量%であることがさらに好ましい。
【0035】不飽和カルボン酸のアルキルエステルの具
体例としては、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチ
ル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタ
クリル酸イソブチル、メタクリル酸セカンダリーブチル
等を挙げることができるが、その中でもアクリル酸、メ
タクリル酸のプロピル、ブチル、イソブチル、セカンダ
リーブチルエステルが好ましい。
【0036】重合方法としては、懸濁重合、溶液重合、
乳化重合など従来公知の方法を採用することができる。
重合度としては、極限粘度([η])で好ましくは1.
0以上、より好ましくは1.35以上、さらに好ましく
は1.7以上である。なお、[η]は5.0以下にする
のが紡糸安定性の点から一般的である。
【0037】溶液紡糸の場合の溶媒は、有機、無機の公
知の溶媒を使用することができ、具体的にはジメチルス
ルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトア
ミド、硝酸、ロダンソーダ水溶液および塩化亜鉛水溶液
などを溶媒とするポリマー溶液を紡糸原液とする。
【0038】重合体は公知の方法によって前駆体繊維と
することができる。紡糸は、直接凝固浴中へ紡出する湿
式紡糸法や、一旦空気中へ紡出した後に凝固へ導く乾湿
式紡糸法、あるいは乾式紡糸法、溶融紡糸によってもよ
いが、より好ましい断面形状と高い繊維物性が得られる
乾湿式紡糸が好ましい。紡糸に使用される口金の吐出孔
としては、得られる炭素繊維の横断面と同様な対称性を
持つ非円形であることが重要である。その非円形はθ=
360°/n(nは1から10までの整数)で規定され
る回転対称角度θを有するとともに、図心を通る対称面
を少なくとも一つ有するような非円形形状のものであ
る。より好ましい口金の実施態様としては1個の中心孔
とその外側の円周上の回転対称となる位置に複数個穿孔
してなる小孔群を1単位としてなる口金である。
【0039】溶媒、可塑剤を使用する紡糸方法による時
には、紡出糸を直接浴中延伸してもよいし、また、水洗
して溶媒、可塑剤を除去した後に浴中延伸してもよい。
浴中延伸の条件は、通常、50〜98℃の延伸浴中で約
2〜6倍に延伸される。浴中延伸後の水膨潤糸条を乾燥
緻密化するに先だって単繊維間の接着を防止するための
油剤を付与する。油剤としては特に限定されないが、耐
熱性と離型性に優れたシリコーン系油剤が好ましい。油
剤と同時にホウ素化合物を付与することによってホウ素
を繊維内部に含浸することが好ましい。ホウ素化合物と
しては水溶性の化合物が好ましく、ホウ酸が取り扱いの
点で好ましく適用される。処理液のホウ酸濃度は炭素繊
維に転換後にホウ素を50〜5000ppm、より好ま
しくは100〜1000ppm含有するように調整す
る。前駆体繊維内のホウ素の存在分布は繊維表層部の濃
度が高く内層にかけて濃度が低下するような濃度勾配を
有することによって耐炎化時に単繊維の内外層の耐炎化
構造差減少して、より太繊度の前駆体繊維の焼成が可能
となるので好ましい。
【0040】油剤、ホウ素化合物を付与した膨潤糸条は
ホットドラムなどで乾燥することによって乾燥緻密化が
達成される。乾燥温度、時間などは適宜選択することが
できる。また、必要に応じて乾燥緻密化後の糸条をより
高温(たとえば加圧スチーム中)で延伸することもおこ
なわれ、これらによって、所定の繊度、配向度を有する
前駆体繊維とすることができる。
【0041】本発明の大きな単糸繊度の炭素繊維を得る
には単糸繊度の大きな前駆体繊維を用いることが好まし
い。しかし、繊度が大きすぎると単糸の内外層の均一な
焼成が困難となるため、本発明においては、1.2〜
6.0デニールが好ましく、1.5〜4.0デニールが
より好ましい。
【0042】かかる前駆体繊維を焼成することにより高
性能な炭素繊維とすることができる。耐炎化条件として
は、従来公知の方法を採用することができ、酸化性雰囲
気中200〜300℃の範囲で耐炎化糸の密度が1.2
5〜1.40g/cm3 に達するまで加熱処理するのが
好ましい。太径の前駆体繊維を耐炎化して炭化する場
合、耐炎化しすぎると炭化工程で毛羽が多発するので好
ましくない。
【0043】耐炎化の雰囲気については、公知の空気、
酸素、二酸化窒素、塩化水素などの酸化性雰囲気を使用
できるが、経済性の面から空気が好ましい。
【0044】耐炎化を完了した糸条は、従来公知の方法
で不活性雰囲気中炭化処理をおこなう。炭化温度として
は、得られる炭素繊維の物性から1000℃以上が好ま
しく、さらに必要に応じて2000℃以上の温度で黒鉛
化することができる。
【0045】そして、このようにして得られた炭素繊維
は、硫酸水溶液や硝酸水溶液からなる電解槽中で電解酸
化処理を施したり、気相または液相での酸化処理を施す
ことにより、後述する複合材料における炭素繊維とマト
リックス樹脂との親和性や接着性を向上させることがで
き好ましい。
【0046】表面処理は、気相酸化および電解酸化など
種々の表面処理方法が検討されているが、短時間で酸化
処理でき、酸化程度のコントロールが容易な電解酸化が
好ましい。電解処理の電解液としては酸性、アルカリ性
いずれも採用でき、酸性電解質としては水溶液中で酸性
を示すものであればよく、具体的には硫酸、硝酸、塩
酸、リン酸、ホウ酸、炭酸等の無機酸、酢酸、酪酸、シ
ュウ酸、アクリル酸、マレイン酸などの有機酸、硫酸ア
ンモニウム、硫酸水素アンモニウム等の塩が挙げられ
る。好ましくは強酸性を示す硫酸、硝酸がよい。アルカ
リ性電解液としては水溶液中でアルカリ性を示すもので
あればよく、具体的には水酸化ナトリウム、水酸化カリ
ウム、水酸化バリウムなどの水酸化物、アンモニア、炭
酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどの無機塩類、酢
酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム等の有機塩類、さら
にこれらのカリウム塩、バリウム塩あるいは他の金属
塩、およびアンモニウム塩、水酸化テトラエチルアンモ
ニウムまたはヒドラジン等の有機化合物が挙げられる
が、好ましくは樹脂の硬化障害をおこすアルカリ金属を
含まない炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、水
酸化テトラアルキルアンモニウム類などが好ましい。
【0047】電解液の濃度としては、0.01〜5モル
/l、好ましくは0.1〜1モル/lがよい。すなわ
ち、濃度が濃いほど電解処理電圧は下がるが、取り扱い
性および臭気が強くなり、環境が悪化するので、それら
から最適化することが好ましい。
【0048】電解液温度としては0〜100℃、好まし
くは10〜40℃がよい。すなわち、温度が高いと臭気
が強くなり環境が悪化するため低温が好ましいので、運
転コストとの兼ね合いで最適化することが好ましい。
【0049】電気量は被処理炭素繊維の炭化度に合わせ
て最適化することが好ましく、高弾性率糸はより大きな
電気量が必要である。表層の結晶性の低下を進ませ、生
産性を向上する一方、炭素繊維基質の強度低下を防ぐ観
点から、電解処理は小さい電気量で複数回処理を繰り返
すのが好ましい。具体的には、電解槽1槽あたりの通電
電気量は5クーロン/g・槽(炭素繊維1g、1槽あた
りの電気量)以上、100クーロン/g・槽以下が好ま
しく、より好ましくは10クーロン/g・槽以上、80
クーロン/g・槽以下、さらに好ましくは20クーロン
/g・槽以上、60クーロン/g・槽以下がよい。ま
た、表層の結晶性の低下を適度な範囲とする観点からは
通電処理の総電気量は5〜1000クーロン/g、さら
には10〜500クーロン/gの範囲とするのが好まし
い。
【0050】槽数としては2以上が好ましく、4以上が
より好ましい。設備コストの面から10槽以下が好まし
く、電気量、電圧、電流密度等から最適化することが好
ましい。
【0051】電解電圧は安全性の観点から25V以下、
さらには0.5〜20Vが好ましい。電解処理方式とし
てはバッチ式、連続式いずれでもよいが、生産性がよく
バラツキが小さくできる連続式が好ましい。通電方法と
しては、炭素繊維を電極ローラーに直接接触させて通電
する直接通電、あるいは炭素繊維と電極との間に電解液
等を介して通電する間接通電のいずれも採用することが
できるが、電解処理時の毛羽立ち、電気スパーク等が抑
えられる間接通電が好ましい。
【0052】また、電解処理方法は、電解槽を必要数並
べて1度通糸しても、1槽の電解槽に必要回数通糸して
もよい。電解槽の陽極長は5〜100mmが好ましく、
陰極長は300〜1000mm、さらには350〜90
0mmが好ましい。
【0053】電解処理または洗浄処理をおこなった後、
水洗および乾燥することが好ましい。この場合、乾燥温
度が高すぎると炭素繊維の再表面に存在する官能基が熱
分解によって消失しやすいため、できる限り低い温度で
乾燥することが望ましく、具体的には乾燥温度が250
℃以下、より好ましくは210℃以下で乾燥することが
好ましい。
【0054】さらに、必要に応じて従来公知の技術によ
りサイジング付与などをおこなうことができる。
【0055】次に、上記炭素繊維を用いた炭素繊維複合
材料について説明する。
【0056】上記本発明の製造方法例によってによって
得られた炭素繊維は、単繊維断面を真円を仮定した単繊
維断面半径rに対する炭素繊維の引張強度、引張弾性率
が従来になく高く、さらに一方向炭素繊維複合材料の0
゜曲げ強度が従来になく高い非常に優れたものになる。
【0057】本発明の炭素繊維複合材料に用いるマトリ
ックス樹脂としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂のい
ずれであってもよく、たとえばエポキシ樹脂、フェノー
ル樹脂、ポリイミド樹脂ポリエステル樹脂、ポリアミド
樹脂等が挙げられる。
【0058】本発明の炭素繊維複合材料は、プリプレグ
やシートモールディングコンパウンド(SMC)、ある
いはチョップトファイバー等に一旦加工した後にハンド
レイアップ法、プレス成型法、オートクレーブ法により
製造することができる。また、プルトルージョン法、フ
ィラメントワインディング法等により成型することもで
きる。
【0059】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明する。
【0060】なお、本発明における炭素繊維の引張強
度、弾性率は次に示す樹脂含浸ストランド法により求め
た。
【0061】“ベークライト”ERL−4221(登録
商標、ユニオン・カーバイド(株)製)/三フッ化ホウ
素モノエチルアミン(BF3 ・MEA)/アセトン=1
00/3/4部を炭素繊維に含浸し、得られた樹脂含浸
ストランドを130℃で30分間加熱して硬化させ、J
IS−R−7601に規定する樹脂含浸ストランド試験
法に従って測定した。
【0062】単繊維断面の変形度Dは破断端面をSEM
で1000〜5000倍の写真を撮影して形状の観察と
内接円半径R1と内接円半径R2をn=10本測定した
平均値のR1/R2の比から求めた。測定例を図2に示
した。
【0063】また、一方向炭素繊維複合材料の0°引張
強度は次に示す方法により測定した。
【0064】炭素繊維を一方向に引き揃え、東レ(株)
製#2500樹脂をコーティングした樹脂フィルムで両
側からはさんでから加圧ローラーで樹脂を炭素繊維に含
浸し、プリプレグシートを作成する。このシートを繊維
軸を揃えて積層し、オートクレーブを用いて温度130
℃、圧力6kgf/cm2 で2時間処理して樹脂を硬化
させ、厚さ約1mmの平板を作成する。この平板をダイ
ヤモンドカッターを用いて切断し、繊維軸方向に長さ2
90mm、繊維軸と直角方向に幅12.7mmからなる
試験片を作成する。試験片の中央部180mmを残して
両端の両側に炭素繊維とエポキシ樹脂からなる厚さ約1
mmのコンポジット製タブを接着して、引張強度測定用
の試験片とする。後はASTM−D3039に規定する
試験方法に従って測定した。
【0065】また、一方向炭素繊維複合材料の0°曲げ
強度は次に示す方法により測定した。
【0066】炭素繊維を一方向に引き揃え、東レ(株)
製#2500樹脂をコーティングした樹脂フィルムで両
側からはさんでから加圧ローラーで樹脂を炭素繊維に含
浸し、プリプレグシートを作成する。このシートを繊維
軸を揃えて積層し、オートクレーブを用いて温度130
℃、圧力6kgf/cm2 で2時間処理して樹脂を硬化
させ、厚さ約2mmの平板を作成する。この平板をダイ
ヤモンドカッターを用いて切断し、繊維軸方向に長さ1
00mm、繊維軸と直角方向に幅12.7mmからなる
試験片を作成して、曲げ強度測定用の試験片とする。後
はASTM−D790に規定する試験方法に従って測定
した。
【0067】ホウ素含有量は次の方法で求めた。
【0068】試料をテフロン製密閉容器にとり、硫酸次
いで硝酸で加熱酸分解した後、定容として、ICP発光
分析装置として、セイコー電子工業製シーケンシャル型
ICP SPS1200−VRを用いて測定した。
【0069】単繊維断面半径方向のホウ素の濃度分布は
二次イオン質量分析計(SIMS)によって測定し、繊
維表層部/内層部の濃度比Cを求めた。
【0070】C=C0 /Ci ただし、C0 :SIMSで測定した繊維表面から25n
m深さのホウ素原子カウント数 Ci :SIMSで測定した繊維表面から600nm深さ
のホウ素原子カウント数 装置:ドイツATOMIKA社製 A−DIDA3000 一次イオン :O2 + 一次イオンエネルギ− :12keV 一次イオン電流 :100nA ラスター領域 :250×250μm ゲート率 :30% 分析領域 :75×75μm 検出二次イオン :正イオン 電子スプレー条件 :0.6kV−3.0A(F7.5) 測定時真空度 :1×10-8Toor H−Q−H :#14 [実施例1]ジメチルスルホキシドを溶媒とする溶液重
合法により、アクリロニトリル96重量%、イタコン酸
1重量%とメタクリル酸イソブチル3重量%とからなる
[η]が1.70、重合体濃度20%の紡糸原液を得
た。これを直径0.12mmの円形孔を3000個有す
る口金を通じて一旦空気中に吐出して約3mmの空間部
分を走行させた後、10℃のジメチルスルホキシド30
%水溶液中で凝固させ、凝固糸条を水洗後、4倍まで浴
延伸し、アミノ変性シリコン油剤(アミノ変性量0.8
%)とホウ酸を3:1の割合で調整した工程油剤を付与
した後、表面温度が150℃のホットドラムで乾燥緻密
化した。さらに、加圧スチーム中で3.0倍まで延伸し
て単糸繊度1.5d、総繊度6000Dの前駆体繊維を
得た。
【0071】得られた前駆体繊維を240〜260℃の
空気中で、延伸比0.87で加熱して密度1.31g/
cm3 の耐炎化糸を得た。該耐炎化糸を窒素雰囲気中で
最高温度800℃の前炭化炉、次いで最高温度1500
℃の炭化炉で炭化処理した。炭化処理時の延伸比は0.
96とした。
【0072】続いて濃度0.1モル/lの硫酸水溶液を
電解液として、10クーロン/gで電解表面処理、水洗
し、150℃の加熱空気中で乾燥した。このようにして
得られた円形断面の炭素繊維の物性を表1に示す。
【0073】[実施例2]直径0.05mmの中心孔と
その外側の円周上の回転対称角度を120゜とする位置
に穿孔された直径0.065mmの外周孔3個からなる
小孔群を3000個有する口金を用いて、工程油剤とし
てアミノ変性シリコンを用いた以外は実施例1と同様に
して三葉形断面の炭素繊維を得た。物性を表1に示す。
【0074】[実施例3]工程油剤としてアミノ変性シ
リコンとホウ酸の混合割合を3:2とし、前駆体繊維の
繊度を2.0dとした以外は実施例1と同様にして円形
断面の炭素繊維を得た。物性を表1に示す。
【0075】[実施例4]工程油剤としてアミノ変性シ
リコンとホウ酸の混合割合を3:1とした以外は実施例
3と同様にして円形断面の炭素繊維を得た。物性を表1
に示す。
【0076】[比較例1]工程油剤としてアミノ変性シ
リコン(ホウ酸混合なし)を用い、前駆体繊維の繊度を
0.5dとした以外は実施例1と同様にして円形断面の
炭素繊維を得た。物性を表1に示す。
【0077】[比較例2]前駆体繊維の繊度を1.0d
とした以外は比較例2と同様にして円形断面の炭素繊維
を得た。物性を表1に示す。
【0078】[比較例3]直径0.05mmの中心孔と
その外側の円周上の回転対称角度を120゜とする位置
に穿孔された直径0.065mmの外周孔3個からなる
小孔群を3000個有する口金を用いた以外は実施例2
と同様にして三葉形断面の炭素繊維を得た。物性を表1
に示す。
【0079】[比較例4]前駆体繊維の繊度を1.5d
とした以外は実施例2と同様にして円形断面の炭素繊維
を得た。物性を表1に示す。
【0080】[実施例5]直径0.05mmの中心孔と
その外側の円周上の回転対称角度を120゜とする位置
に穿孔された直径0.065mmの外周孔3個からなる
小孔群を3000個有する口金を用いた以外は実施例3
と同様にして三葉形断面の炭素繊維を得た。物性を表1
に示す。
【0081】[実施例6]工程油剤としてアミノ変性シ
リコンとホウ酸の混合割合を3:1とした以外は実施例
5と同様にして三葉形断面の炭素繊維を得た。物性を表
1に示す。
【0082】[実施例7]工程油剤としてアミノ変性シ
リコンとホウ酸の混合割合を4:1とした以外は実施例
5と同様にして三葉形断面の炭素繊維を得た。物性を表
1に示す。
【0083】[実施例8]炭化温度を1700℃とし、
電解表面処理を15ク−ロン/gとした以外は実施例6
と同様にして三葉形断面の炭素繊維を得た。物性を表1
に示す。
【0084】[実施例9]実施例8で得た電解表面処理
前の炭素繊維を最高温度が2000℃の黒鉛化炉で延伸
比1.02で焼成し、20ク−ロン/gの電解表面処理
を施して三葉形断面の炭素繊維を得た。物性を表1に示
す。
【0085】[実施例10]実施例8で得た電解表面処
理前の炭素繊維を最高温度が2400℃の黒鉛化炉で延
伸比1.05で焼成し、40ク−ロン/gの電解表面処
理を施して三葉形断面の炭素繊維を得た。物性を表1に
示す。
【0086】[実施例11]直径0.07mmの中心孔
とその外側の円周上の回転対称角度を120゜とする位
置に穿孔された直径0.10mmの外周孔3個からなる
小孔群を3000個有する口金を用いて前駆体繊維の繊
度を3.0dとした以外は実施例6と同様にして三葉形
断面の炭素繊維を得た。物性を表1に示す。
【0087】[実施例12]工程油剤としてアミノ変性
シリコンとホウ酸の混合割合を3:2とし、前駆体繊維
の繊度を4.0dとした以外は実施例11と同様にして
三葉形断面の炭素繊維を得た。物性を表1に示す。
【0088】[実施例13]前駆体繊維の繊度を6.0
dとした以外は実施例12と同様にして三葉形断面の炭
素繊維を得た。物性を表1に示す。
【0089】[比較例5]前駆体繊維の繊度を7.0d
とした以外は実施例12と同様にして三葉形断面の炭素
繊維を得た。物性を表1に示す。
【0090】
【表1】
【0091】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の炭素繊維
および炭素繊維強化複合材料においては、特定の太径の
横断面を有する炭素繊維としたため、圧縮系の基本特性
を向上することができ、構造材料として好適な複合材料
を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)ないし(C)、および(a)ないし
(c)は、実施例および比較例で用いた口金の紡出孔形
状と得られる炭素繊維の横断面の形状例を示す横断面図
である。
【図2】炭素繊維横断面の変形度Dの定義を説明するた
めの説明図である。
【符号の説明】
R1:外接円半径 R2:内接円半径
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B29K 105:06

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】繊維断面形状を真円と仮定した単繊維断面
    半径r(μm)と引張弾性率YM(GPa)が下記式1
    を満足することを特徴とする炭素繊維。 YM>480−46.2r −−−−−− 式1
  2. 【請求項2】繊維断面形状を真円と仮定した単繊維断面
    半径r(μm)と引張強度TS(GPa)が下記式2を
    満足することを特徴とする炭素繊維。 TS>9.18−1.02r −−−−−− 式2
  3. 【請求項3】一方向炭素繊維複合材料の0°曲げ強度
    が、0°引張強度の75%以上であることを特徴とする
    請求項1または請求項2記載の炭素繊維。
  4. 【請求項4】一方向炭素繊維複合材料の0°曲げ強度が
    2GPa以上であることを特徴とする請求項1ないし請
    求項3のいずれかに記載の炭素繊維。
  5. 【請求項5】炭素繊維の引張弾性率YM(GPa)と一
    方向炭素繊維複合材料の0゜曲げ強度BS(MPa)が
    下記式3を満足することを特徴とする請求項1ないし請
    求項4のいずれかに記載の炭素繊維。 BS≧2270−1.87YM −−−−−− 式3
  6. 【請求項6】繊維断面形状を真円と仮定した単繊維断面
    半径が4〜10μmであることを特徴とする請求項1な
    いし請求項5のいずれかに記載の炭素繊維。
  7. 【請求項7】繊維横断面形状がその図心を通る対称面を
    少なくとも一つ有すると共に、θ=360°/n(nは
    1から10までの整数)で規定される回転対称角度θを
    有する非円形状であることを特徴とする請求項1ないし
    請求項6のいずれかに記載の炭素繊維。
  8. 【請求項8】単繊維の横断面形状が3〜5葉の多葉形で
    あり、それぞれの葉がその付け根から先端に向かって一
    旦膨らみを有し、実質的に複数個の円が接合した形から
    なり、かつ、該横断面における外接円半径R1と内接円
    半径R2との比(R1/R2)で定義される変形度Dが
    1.5〜3であることを特徴とする請求項1ないし請求
    項7のいずれかに記載の炭素繊維。
  9. 【請求項9】ホウ素を50〜5000ppm含有するこ
    とを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれかに記
    載の炭素繊維。
  10. 【請求項10】単繊維の表層部にホウ素の最大濃度部を
    有し、下記式4で定義する表層と内層の濃度比Cが5〜
    1000であることを特徴とする請求項1ないし請求項
    9のいずれかに記載の炭素繊維。 C=C0 /Ci −−−−−− 式4 ただし、C0 :SIMSで測定した繊維表面から25n
    m深さのホウ素原子カウント数 Ci :SIMSで測定した繊維表面から600nm深さ
    のホウ素原子カウント数
  11. 【請求項11】請求項1ないし請求項10のいずれかに
    記載の炭素繊維からなることを特徴とする炭素繊維強化
    複合材料。
JP28722897A 1997-10-20 1997-10-20 炭素繊維および炭素繊維強化複合材料 Pending JPH11124743A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28722897A JPH11124743A (ja) 1997-10-20 1997-10-20 炭素繊維および炭素繊維強化複合材料

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28722897A JPH11124743A (ja) 1997-10-20 1997-10-20 炭素繊維および炭素繊維強化複合材料

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11124743A true JPH11124743A (ja) 1999-05-11

Family

ID=17714705

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP28722897A Pending JPH11124743A (ja) 1997-10-20 1997-10-20 炭素繊維および炭素繊維強化複合材料

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11124743A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2012050171A1 (ja) 2010-10-13 2012-04-19 三菱レイヨン株式会社 炭素繊維前駆体繊維束、炭素繊維束、及びそれらの利用
EP2840172A1 (en) 2012-04-18 2015-02-25 Mitsubishi Rayon Co., Ltd. Carbon fiber bundle and method of producing carbon fibers
JP2016125172A (ja) * 2015-01-07 2016-07-11 東レ株式会社 炭素繊維束およびその製造方法
US10017881B2 (en) 2011-07-22 2018-07-10 Mitsubishi Chemical Corporation Polyacrylonitrile-based copolymer, polyacrylonitrile-based precursor fiber for carbon fiber, carbon fiber bundles, process for producing stabilized fiber bundles, and process for producing carbon fiber bundles

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2012050171A1 (ja) 2010-10-13 2012-04-19 三菱レイヨン株式会社 炭素繊維前駆体繊維束、炭素繊維束、及びそれらの利用
US10017881B2 (en) 2011-07-22 2018-07-10 Mitsubishi Chemical Corporation Polyacrylonitrile-based copolymer, polyacrylonitrile-based precursor fiber for carbon fiber, carbon fiber bundles, process for producing stabilized fiber bundles, and process for producing carbon fiber bundles
EP2840172A1 (en) 2012-04-18 2015-02-25 Mitsubishi Rayon Co., Ltd. Carbon fiber bundle and method of producing carbon fibers
US9873777B2 (en) 2012-04-18 2018-01-23 Mitsubishi Chemical Corporation Carbon fiber bundle and method of producing carbon fibers
EP3572564A1 (en) * 2012-04-18 2019-11-27 Mitsubishi Chemical Corporation Carbon fiber bundle and method of producing carbon fibers
JP2016125172A (ja) * 2015-01-07 2016-07-11 東レ株式会社 炭素繊維束およびその製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101335140B1 (ko) 탄소 섬유, 탄소 섬유 제조용 폴리아크릴로니트릴계 전구체섬유의 제조 방법, 및 탄소 섬유의 제조 방법
JP4617940B2 (ja) 炭素繊維前駆体繊維用ポリアクリロニトリル系重合体および炭素繊維前駆体繊維、炭素繊維の製造方法
JP5434187B2 (ja) ポリアクリロニトリル系連続炭素繊維束およびその製造方法
CN111793857A (zh) 一种碳纤维表面处理的方法
JP2530767B2 (ja) 炭素繊維及びその製造方法
KR0156870B1 (ko) 비원형단면 탄소섬유의 제조방법 및 이를 이용한 복합재료
JP2005133274A (ja) 炭素繊維と同炭素繊維を含む複合材料
JPH11124743A (ja) 炭素繊維および炭素繊維強化複合材料
JP2892127B2 (ja) 非円形断面炭素繊維、その製造方法および炭素繊維複合材料
JP2000160436A (ja) 炭素繊維、及び炭素繊維用プリカーサーの製造方法
JP2002266173A (ja) 炭素繊維および炭素繊維強化複合材料
JP2004238761A (ja) 炭素繊維束および繊維強化複合材料
WO2015133514A1 (ja) 炭素繊維およびその製造方法
JPH086210B2 (ja) 高強度高弾性率炭素繊維およびその製造方法
JP4875238B2 (ja) 炭素繊維およびその前駆体の製造方法並びに油剤付着方法
JPH11152626A (ja) 炭素繊維およびその製造方法
JPH08296124A (ja) 非円形断面炭素繊維および炭素繊維強化複合材料
JP5226238B2 (ja) 炭素繊維及びそれを用いた複合材料
JP2002266172A (ja) 炭素繊維および炭素繊維用前駆体繊維とその製造方法並びにプリプレグ
JPS60239521A (ja) 優れたコンポジツト物性を示すアクリル系炭素繊維束およびその製造法
WO2019146487A1 (ja) 耐炎化繊維束および炭素繊維束の製造方法
JP2005314830A (ja) ポリアクリロニトリル系炭素繊維及びその製造方法
JP2010047865A (ja) 複合材料用炭素繊維とそれを用いた複合材料
JP2004156161A (ja) ポリアクリロニトリル系炭素繊維及びその製造方法
JPH0397918A (ja) 異形断面炭素繊維の製造法