JPH11124628A - 製品板厚の厚い一方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

製品板厚の厚い一方向性電磁鋼板の製造方法

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JPH11124628A
JPH11124628A JP9285631A JP28563197A JPH11124628A JP H11124628 A JPH11124628 A JP H11124628A JP 9285631 A JP9285631 A JP 9285631A JP 28563197 A JP28563197 A JP 28563197A JP H11124628 A JPH11124628 A JP H11124628A
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annealing
steel sheet
hot rolling
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JP9285631A
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English (en)
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Tomoji Kumano
知二 熊野
Nobunori Fujii
宣憲 藤井
Katsuro Kuroki
克郎 黒木
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Nippon Steel Corp
Nippon Steel Plant Designing Corp
Original Assignee
Nittetsu Plant Designing Corp
Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 C含有率が少ない製品コストが安い製品板厚
が厚い磁気特性が優れた一方向性電磁鋼板(GO)の製
造方法。 【解決手段】 C:0.01〜0.04%、Si:2.
5〜4.0%、酸可溶性Al:0.020〜0.040
%、N:0.005〜0.010%を主成分とする一方
向性電磁鋼板の製造において、製品厚み(t)を0.3
0≦t≦0.65mmとし、熱延時の温度、最終冷延率
(RC )を熱延最終スタンドの圧下率との関係で規定す
る製品板厚が厚い一方向性電磁鋼板の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、トランス等の鉄心
として使用される製品厚の厚い一方向性電磁鋼板の製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一方向性電磁鋼板は、主にトランスその
他の電気機器の鉄心材料として使用されており、励磁特
性、鉄損特性等の磁気特性に優れていることが、機器の
小型化、エネルギー損失の減少のために要求される。励
磁特性を表す特性値として、磁場の強さ800A/mに
おける磁束密度B8 がJISで規格化されて通常使用さ
れる。又、エネルギー損失を示す特性値としては、周波
数50Hzで1.7テスラ−(T)まで磁化したときの鋼
板1kg当たりのエネルギー損失(鉄損)W17/50もJI
Sで規格化されている。
【0003】磁束密度は鉄損の最大支配因子であり、一
般的に磁束密度が高い(大きい)ほど鉄損特性が良好に
なる。又、一般的に磁束密度が高くなると二次再結晶粒
が大きくなり、鉄損が悪化する場合がある。この場合
は、既に広く知られているように、磁区を制御すること
により、二次再結晶の粒径に拘らず鉄損を改善すること
ができる。
【0004】この一方向性電磁鋼板は、最終仕上焼鈍工
程で二次再結晶を起こさせ、鋼板表面に{110}、圧
延方向に〈001〉軸をもったいわゆるゴス組織を有し
ている。良好な磁気特性を得るためには、磁化容易軸で
ある〈001〉を圧延方向に高度に揃えることが必要で
ある。このような高磁束密度一方向性電磁鋼板の製造技
術は古くから開発され、わが国ではいわゆるインヒビタ
ーとしてMnS,AlNを用いる方法(特開昭40−1
5644号公報)、MnS,MnSe,Sb等を用いる
方法(特開昭51−13469号公報)等がある。これ
らの場合は、熱延板段階でのインヒビターの完全固溶が
求められ、実際の熱間圧延時は鋼塊(スラブ)の加熱温
度を1350℃以上にすることが必要である。
【0005】この高温度の加熱には数々の不利、不便な
点がある。このため、この熱延時の鋼塊(スラブ)の加
熱温度を下げる試みが行われている。その一つを開示し
たものとして特開昭59−56522号公報がある。こ
の技術の発展として多くの発明がなされ、インヒビター
形成のために脱炭焼鈍から最終仕上焼鈍の昇温過程で窒
化を行う方法(特開昭62−45285号公報、特開昭
60−179855号公報)、更にはストリップを走行
せしめる状態下での水素、窒素、アンモニアの混合ガス
を用いた窒化処理を行う方法(特開平2−77525号
公報、特開平1−82400号公報、特開平3−180
460号公報、特開平1−317592号公報)が提案
された。
【0006】又、脱炭焼鈍時の一次再結晶完了後から最
終仕上焼鈍時の二次再結晶完了前までの途中段階での一
次再結晶粒径を制御する方法(特開平3−294425
号公報、特開平2−96275号公報、特開平2−59
020号公報、特開平1−82393号公報)も提案さ
れた。ところで、一方向性電磁鋼板は、主に変圧器の鉄
心として積層して使用される。特に大型のパワートラン
スは、その鉄心の積層作業は、手作業となるので、一方
向性電磁鋼板の板厚が厚い程、作業性(生産性)が向上
する。このため厚手(例えば0.40mm超)で、磁気特
性が優れた一方向性電磁鋼板の製造が強く求められてい
た。しかし、一方向性電磁鋼板の製造においては、製鋼
段階で炭素をある程度含有させることが従来の技術では
必須であった。炭素を含有させる目的は高温度(135
0℃以上)のスラブ加熱の場合にはスラブ加熱時の異
常粒成長の防止、一次再結晶の集合組織調整のための
変態相の確保、インヒビターの固溶量確保等がある。
この場合、連続鋳造のままでスラブを製造する条件下で
は、C量は0.060%以上必要であった。また、本発
明のごとく1280℃未満でのスラブ加熱でストリップ
を走行せしめる状態での窒化処理をする場合でも上記
,の目的のため炭素をある程度含有することが求め
られている。この場合は、Cは、0.040%を越えて
必要である。
【0007】一方、一方向性電磁鋼板の最終製品に炭素
が30ppm 以上存在すると磁気時効が生じ商品価値が無
くなる。このため脱炭焼鈍工程で強制的に炭素含有量を
30ppm 以下とする。この場合、板厚が厚いと脱炭に時
間を要し、生産性が著しく低下し、引いては、コスト高
となる。このため現在、一方向性電磁鋼板の製品厚は
0.35mmを最大としてJIS等で規格されている。
又、炭素含有量を減ずる方法として上記の代替とし
て、熱延加熱前に一度プレローリーング(ブレイクダウ
ン)という結晶粒を細かくする方法が採用されている。
しかしこの場合もコストアップが必然的に生じる。従っ
て、低C化には限界があった。
【0008】また、特開平4−323号および特開平4
−324号公報においては厚手方向性電磁鋼板の熱延板
焼鈍をしない場合の熱間圧延時の条件を規定している。
もちろんこの方法によっても厚い方向性電磁鋼板は製造
可能である。この場合は、方向性電磁鋼板の製造におけ
る一次再結晶集合組織の改質のみを行なっているのであ
るが、インヒビターの調整は熱間圧延工程のみで行って
おり磁気特性の安定性及び鉄損の向上に限界があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上述したように一方向
性電磁鋼板の製造において必然的に脱炭工程が存在する
ため、厚手材(0.30mm以上)の場合は、脱炭焼鈍前
の炭素含有量を極力減ずることがその生産性向上に重要
となる。本発明は磁気特性を確保してこの様な脱炭焼鈍
での負荷を軽減するために炭素含有量を減ずる方法を提
供するものである。
【0010】よく知られている様に、一方向性電磁鋼板
の脱炭焼鈍工程は連続的に行なわれ次の3つの機能を有
している。すなわち、(1)一次再結晶、(2)脱炭、
(3)表面酸化層の形成の3つの機能である。これら3
つの機能をうまく働かせるためには、注意深い操業が必
要となる。本発明の様に製品厚が厚い場合は、従来
(2)と(3)を経済的に両立させることが困難であっ
た。
【0011】即ち、板厚が厚い場合は、脱炭に要する時
間が長くなる(近似的に脱炭時間は、厚みの2乗に比例
して長くなる)。一方、脱炭雰囲気(酸化性雰囲気)に
長く鋼板を滞留させると表面の酸化層が厚くなり脱炭性
が減じて残存炭素を30ppm以下とすることは非常に困
難となる。また表面の酸化層が著しく厚くなると、2次
再結晶焼鈍後の一次皮膜(フォルステライトを主成分と
する皮膜)に欠陥が生じ商品価値が著しく減じる。この
ため脱炭焼鈍前の炭素含有量を減ずることが必要とな
る。
【0012】更に、求められることは、磁気特性のうち
磁束密度のみでなく鉄損も良好な厚手方向性電磁鋼板を
得ることを低炭素含有量素材で製造することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
について鋭意検討したところ、スラブ加熱温度が128
0℃未満で、脱炭焼鈍後にストリップを走行せしめる状
態下で窒化処理を行なうことを主要技術とする一方向性
電磁鋼板の製造方法において、熱間圧延の最終スタンド
の圧下率、最終冷間圧延率、熱延時の温度及び製品板厚
を適切にすることにより炭素含有量が従来より低くても
良好な磁性を有する一方向性電磁鋼板が製造可能となる
ことを見い出した。
【0014】その要旨は以下のとおりである。(1)重
量比で、C:0.010〜0.040%、Si:2.5
〜4.0%、酸可溶性Al:0.020〜0.040
%、N:0.005〜0.010%、S,Seの少なく
とも1種を0.005〜0.015%、Mn:0.05
〜0.8%、残部がFe及び不可避的不純物からなるス
ラブを1280℃未満の温度で加熱し、熱延を行ない、
熱延板焼鈍を行ない、その後のデスケリーング後、1回
の冷延を行ない、脱炭焼鈍後ストリップを走行せしめる
状態下で水素、窒素、アンモニアの混合ガス中で窒化処
理を行ない、次いでMgOを主成分とする焼鈍分離剤を
塗布して最終仕上焼鈍を施す一方向性電磁鋼板の製造方
法において、製品厚(t:mm)を0.30mm≦t≦0.
65mmとし最終冷間圧延率:RC (%)の範囲について
上下限を次の式で規定するものである。
【0015】 上限:RC ≦(300−50t)/3(%) 下限:熱間圧延の最終スタンドの圧下率RH (%)の関
係で 5≦RH ≦15%のとき RC ≧−75t/3+92.5(%) 15<RH ≦30%のとき RC ≧−100t/3+92.5(%) 30<RH ≦45%のとき RC ≧−125t/3+92.5(%) 45<RH ≦60%のとき RC ≧−150t/3+92.5(%) とすることを特徴とする製品板厚の厚い一方向性電磁鋼
板の製造方法であり、更に、(2)熱間圧延時の温度に
ついては、仕上げ入口温度を950〜1150℃、仕上
げ出口温度を800〜1050℃、巻き取り温度を50
0〜650℃とすることを特徴とする製品板厚が厚い一
方向性電磁鋼板の製造方法、である。
【0016】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
先ず、本発明において炭素(C)の含有量の範囲を制限
する理由を述べる。前述のように、一方向性電磁鋼板の
製造においては、Cのある程度の含有が必須である。本
発明においては、この目的は、1)一次再結晶の集合組
織調整のための変態相の存在、2)γ相中でのインヒビ
ターの固溶量確保である。本発明においては、この目的
を従来のC含有量より少ない範囲で良好な磁気特性を得
るために熱延での最終スタンドの圧下率及び冷間圧延率
を規定している。しかし1),2)の変態相の存在のた
めには0.01%以上のCが必要となる。更に上限値は
磁気特性の立場からは0.10%の炭素まで含有しても
何ら問題は生じない。しかし本発明のように、製品板厚
が比較的厚い場合は、脱炭焼鈍での脱炭時間が著しく長
くなり工業生産に適していない。このため上限は0.0
4%とする。またこの関係を図1、図2に示している。
図1は、熱間圧延の最終スタンドの圧下率を40%、製
品厚0.50mm、Si%=3.0%の場合のC含有量及
び冷間圧延率並びに磁束密度の関係を示している。図2
は、冷間圧延率87%、製品厚0.50mm、Si%=
3.0%の場合のC含有量及び熱間圧延の最終スタンド
の圧下率並びに磁束密度の関係を示している。
【0017】次に、板厚を制限する理由を述べる。製品
板厚が0.30mm未満の場合C含有量を0.040%以
上としても0.070%以下であれば、脱炭焼鈍におい
て30ppm 以下の炭素までの脱炭は律速的でなく表面酸
化層形成が律速的であり、低炭素とするメリットは少な
い。このため板厚は、0.30mm以上とする。また板厚
が0.30mm未満であれば、炭素量が少ないと一次再結
晶集合組織を充分に適正にしないと、2次再結晶焼鈍時
のインヒビター(主にAlN)の劣化度が速くなり良好
なGoss方位粒が得られなくなる。もちろん、2次再
結晶時の雰囲気を制御してインヒビターの分解を抑制
し、良好なGoss方位粒を得ることは可能であるが、
この場合フォルステライトを主成分とする一次皮膜に欠
陥が多発して歩留が著しく低下する。
【0018】一方、板厚の上限の0.65mmは、これ以
上の板厚では、生産性を確保するためにはC含有量を
0.010%未満としなければならないためである。C
含有量を0.010%未満とすると、フォルステライト
を主成分とする一次皮膜の形成を良好に行なわしめてか
つ良好なGoss方位の2次再結晶を安定化することは
困難である。
【0019】次に、冷間圧延における最終圧延率につい
て述べる。そもそも、一方向性電磁鋼板の製造において
良好な磁気特性(方向性の良好なGoss方位を有する
2次再結晶集合組織)を得るためには、脱炭焼鈍後の一
次再結晶集合の適正化及びインヒビター強度の確保が必
要である。従来から一方向性電磁鋼板の製造において一
次再結晶集合組織を適正化するためには、熱間圧延後最
終冷間圧延の間にある程度の変態相が必要とされてい
た。このために炭素を含有させている。ところが、12
80℃未満のスラブ加熱法においては一次再結晶集合組
織の適正化の程度が少なくても良いことを見い出した。
この適正化程度は定量的には原勢らの対応粒界理論(例
えば特公平7−26155、日本金属学会誌第59号、
第9号(1995)917−924)によって評価でき
る。即ちGoss方位粒({110}〈011〉)とΣ
9対応方位粒がある少量でも存在しその値が全Σ9方位
関係の分布の中で一番大きい(強い)と良好なGoss
方位が2次再結晶する。しかし、このGoss方位発現
の安定性及びシャープさはインヒビターの強度に依存す
る。
【0020】本発明による方法では、このインヒビター
強度を任意にストリップ窒化として制御できるため良好
なGoss方位粒のみを選択的に発現できることを見い
出した。このGoss方位粒に対するΣ9値を全分布で
最大とする方法としては、主に冷間圧延前集合組織、粒
サイズ、及び冷間圧延率がある。このうち、冷間圧延率
は重要な因子であるが、冷間圧延前集合組織も重要であ
る。本発明者らは冷間圧延前集合組織を適正化すること
により、冷間圧延率も低減できることを見い出した。冷
間圧延前集合組織は、成分、熱延条件に大きく影響され
ることは周知である。本発明の重要な要素は上記原理に
基づいて、熱間圧延での最終圧下での圧下率を規定する
ことにより冷間圧延率を低減できることを見い出したこ
とである。
【0021】上記知見について、実験結果に基き詳細に
述べる。重量%で、C:0.025〜0.038%、S
i:2.80〜3.25%、Al:0.026〜0.0
29%、N:0.0070〜0.0085%をベースと
する成分のスラブを1100℃〜1200℃で加熱後、
通常の方法で熱延したが、その時の仕上げ最終スタンド
の圧下率(RH )を、8〜15%、18〜30%、33
〜45%、48〜60%とし、板厚:1.0〜12.0
mmに仕上げた。この場合、仕上入口温度は975〜10
75℃、仕上げ出口温度は850〜975℃、巻き取り
温度は540〜580℃であった。その後1120℃で
2分間の熱延板焼鈍を行ない、酸洗後180〜220℃
で最低2パスの温間圧延を行なって、板厚:0.20〜
0.70mmに圧延した。その後820〜860℃で
2 :25%、H2 :75%の雰囲気ガス中で、露点6
2℃で70秒〜150秒の脱炭一次再結晶を行なった。
その後全窒素含有量を195〜210ppm とするストリ
ップ窒化処理を行ない、MgOを主成分とする焼鈍分離
材を塗布し、仕上げ焼鈍を行なった。この仕上焼鈍は9
00〜1200℃間を10〜20℃/hrで昇温し、雰囲
気はN2 :25%、H2 :75%であった。その後、1
200℃で20時間、H2 :100%の純化焼鈍を行な
った。その後、通常用いられる張力コーティングの塗布
と平滑化処理を行なった。これらの工程を経て製造した
一方向性電磁鋼板の磁気特性の結果を図3〜図6に示し
た。
【0022】◎印は、B8≧1.91T、○印は1.8
6≦B8<1.91T、△印は、B8<1.86Tを示
す。本発明の範囲外でも◎印はあるが、この場合は、本
発明の範囲(製品厚の範囲)を満たさず従来の技術で製
造されたものである。即ち、薄い場合は脱炭焼鈍時間は
短かく、脱炭反応律速でなく、また、本発明の範囲より
更に厚い場合は、脱炭時間が異常に長くなり工業的生産
ベースに適していない。
【0023】本発明においては、最終冷間圧延率:RC
(%)を、板厚および熱間圧延の最終スタンドの圧下率
H (%)との関係で、以下のような式で上限および下
限を規定している。 上限:RC ≦(300−50t)/3(%) 下限:熱間圧延の最終スタンドの圧下率RH (%)の関
係で 5≦RH ≦15%のとき RC ≧−75t/3+92.5(%) 15<RH ≦30%のとき RC ≧−100t/3+92.5(%) 30<RH ≦45%のとき RC ≧−125t/3+92.5(%) 45<RH ≦60%のとき RC ≧−150t/3+92.5(%) 上述の各条件の上、下限を外れる最終冷間圧延率で製造
すると2次再結晶は良好なるも磁性、特にB8、が劣
る。
【0024】最終冷間圧延率の上限も原理的には熱延の
最終スタンドの圧下率に依存するものであるが、本発明
のように熱延板焼鈍等最終冷間圧延前に焼鈍を行なうと
その依存性は著しく減じる。次に、熱延での最終スタン
ドの圧下率を規定している理由を述べる。特願平2−2
74811等では最終3スタンドの累積圧下率を規定し
ているが、実際の熱間圧延では、最終スタンド以前での
スタンド間時間は、最終スタンドと巻き取りの間の時間
と比べると短かく、その効果は小さく、最終スタンドの
圧下率が最も大きな影響を再結晶に及ぼす。
【0025】また、最終スタンドの圧下率を60%以下
としている理由は、実際の熱間圧延では、これ以上の圧
下は、熱延機の能力(ミルパワー)を考慮すると現実的
でないからである。また、下限を5%としている理由も
これより低い圧下率は実際的でないからである。製品板
厚が厚い方が冷延圧下率の下限が低くなっている。すな
わち、下限が広がっている理由は、2次再結晶域のイン
ヒビターの劣化程度が少なく、すなわち、劣化程度が劣
化時間に対して遅く、Goss方位の優先成長が起こり
やすくなるためである。
【0026】次に熱間圧延時の温度について述べる。本
発明では、スラブの加熱温度が1280℃未満と低く、
このためAlN等いわゆるインヒビターの大部分は析出
している。この析出を更に行なわしめるためには、仕上
入口温度を950〜1150℃、仕上げ出口温度を80
0〜1050℃、巻き取り温度を500〜650℃とす
る必要がある。望ましくは、AlNの析出挙動より仕上
入口温度は975〜1075℃、仕上げ出口温度は85
0〜975℃、巻き取り温度は525〜600℃であ
る。
【0027】次に、本発明において出発材とする電磁鋼
スラブの成分組成の限定理由は、以下のとおりである。
Cは、0.010〜0.040%とした。0.010%
未満の場合は前述した。また0.040%を越えると脱
炭工程での生産性が著しく阻害され本発明の目的から外
れる。
【0028】Siはその含有量が2.5%未満になる
と、良好な鉄損が得られない。また40%を超えると、
脆性のために冷間圧延等室温での鋼板処理が困難にな
る。S及びSeは、0.015%以下、望ましくは0.
013%以下である。1280℃以下のスラブ加熱温度
で熱延板を製造し、その後熱延板焼鈍、冷間圧延の後で
の、ストリップ窒化等による脱炭焼鈍工程以降のインヒ
ビターの作り込みで製造する一方向性電磁鋼板では、多
量のS,Seは一次再結晶粒の粒成長を妨げ有害である
ためである。0.005%未満では、熱延での操業上の
不可避的変動要素(スキッド上及び間の温度履歴差、圧
延速度の加速による熱延温度の変動等)により、一次再
結晶粒の粒成長に場所的変動が生じ易くなり工業的に安
定的に製品が製造できない。
【0029】AlはNと結合してAlNを形成するが、
本発明においては、後工程即ち一次再結晶完了後に鋼を
窒化することにより(Al,Si)Nを形成せしめるこ
とを必須としているから、フリーのAlが一定量以上必
要である。そのため、sol.Alとして0.020〜
0.040%添加する。Mnは、その含有量が少な過ぎ
ると二次再結晶が不安定となり、一方、多過ぎると高い
磁束密度をもつ製品を得難くなる。適正な含有量は0.
05〜0.8%である。好ましくは、0.070〜0.
3%である。
【0030】Nは0.005%未満では二次再結晶粒の
発達が悪くなる。一方0.010%を超えるとブリスタ
ーと呼ばれる鋼板のふくれが発生する。Pは、一次再結
晶集合組織を改善する効果が報告されている。低Pで
は、この効果が少なく、また製鋼コスト的にコストアッ
プになるので下限は0.02%とする。上限について
は、0.30%を超えるとPは粒界偏析して脆性破壊を
起しやすくなり、工業的な生産が困難になる。好ましく
は0.30%以下である。
【0031】Sn,Sbは従来からいわれている如く、
一次再結晶集合組織において{110}〈001〉方位
粒を増加させる効果があるとともに、硫化物を均一に析
出する効果がある。従って、本発明では、Cu−S,M
n−Sの如き硫化物の析出を制御する効果が増長され
る。更に、Sn,Sbを多く添加すると、脱炭焼鈍時の
酸化がされ難く、また一次再結晶粒成長し難くなる傾向
がある。このため、脱炭焼鈍温度を従来の820〜84
0℃より20℃程度上げざるを得ない。このことは、一
方向性電磁鋼板の一次被膜形成を容易ならしめる方向で
ある。また、Sb,Sn添加により二次再結晶粒径が小
さくなるため、添加なしと比べて鉄損(特に低磁場鉄
損)が良好となる。一方、Sb又はSnが0.02%未
満であると、二次再結晶粒があまり小さくならない。ま
た、Sb又はSnが0.30%を超えると、脱炭焼鈍後
の窒化処理が困難となり、工業生産に適していない。
【0032】Crは、フォルステライト皮膜形成に必要
な脱炭焼鈍後の酸素量を確保するために添加される。
0.02%より少ないと酸素量が極端に少なくなる。ま
た0.30%を超えると酸素量が極端に増加し、良好な
フォルステライトが形成されなくなる。また磁束密度も
低下する。Cuが0.03%未満であると効果が少な
い。また0.5%を超えると、Cu−Sの析出物が粗大
化して、効果が減じる。更に、熱間圧延時に、いわゆる
“Cuヘゲ”という疵の発生頻度が急激に増大する。好
ましくは、0.05〜0.10%である。
【0033】Niは0.03%未満だと効果が少なく
0.3%を超えても特開平5−306410号公報に示
されているように効果はあるが、高価となる。CrとN
iの添加は、本発明の効果を更に向上させるものであ
り、コスト的に見合う量だけの添加で良い。次に熱延板
焼鈍の必要性について述べる。既に述べた如く、特開平
4−323号公報および特開平4−324号公報におい
ては、熱延板焼鈍を施こさない場合の熱延条件を規定し
ている。この場合、熱延で、熱延板焼鈍を代替させてい
る。しかしこの場合、一次再結晶集合組織的にはGos
s方位が少なく、対応粒界理論によると最終製品の粒径
が大きくなり鉄損が劣る傾向がある。一次再結晶集合組
織でのGoss方位粒の量を確保し、最終製品の粒径を
小さくし、鉄損を向上させるのに有効な手段は、熱延板
焼鈍を行なうことである。事実、上述の両特許公報にお
いては磁束密度は向上するとの記載が有るが、鉄損向上
に関する記載はない。
【0034】
【実施例】次に本発明の実施例を示す。表1に示す成分
の鋼塊を通常の方法で製造し1100〜1150℃でス
ラブを加熱後、仕上げ入口温度を975〜1125℃、
最終スタンドの圧下率を10〜55%とし、仕上げ出口
温度を825〜1025℃、巻き取り温度を525〜6
25℃とした熱間圧延で厚み1.4〜6.5mmに仕上げ
た。
【0035】その後1120℃×2分の熱延板焼鈍を行
ない、酸洗後180〜220℃で最低2パスの温間圧延
を行なって0.22〜0.60mmに冷間圧延した。その
後820〜840℃で、N2 :25%、H2 :75%の
雰囲気ガス中で、露点62℃で70秒〜150秒の脱炭
一次再結晶焼鈍を行なった。その後、全窒素含有量を1
95〜210ppm とするストリップ窒化処理を行ないM
gOを主成分とする焼鈍分離材を塗布し、仕上焼鈍を行
なった。この仕上焼鈍は10〜20℃/時間で昇温し、
雰囲気は、N2 :25%、H2 :75%であった。
【0036】その後1200℃で20時間、H2 :10
0%の純化焼鈍を行なった。その後、通常用いられる張
力コーティングの塗布と平滑化処理を行なった。本発明
実施例で得た磁気特性を、熱延条件、板厚、冷延条件と
ともに表1に示した。
【0037】
【表1】
【0038】
【発明の効果】以上説明したように、従来の一方向性電
磁鋼板の製造方法においては変態相確保のため、Cを幾
分多量に含有する必要があり、そのために製品板厚が厚
いものを製造しようとする場合には脱炭に時間がかか
り、コスト高になっていた。これに対し、本発明におい
ては、製品板厚が0.30mm〜0.65mmと厚手の場合
においても板厚と熱間圧延の最終スタンドの圧下率との
関係で決まる冷間圧延率を特定の範囲に収めることによ
り磁気特性の優れた厚手の一方向性電磁鋼板の製造が可
能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】熱間圧延の最終スタンドの圧下率を40%、製
品板厚0.50mm、Si%=3.0%の場合のC含有量
および冷間圧延率(RC )並びに磁束密度の関係を示す
図。
【図2】冷間圧延率87%、製品板厚0.50mm、Si
%=3.0%の場合のC含有量および熱間圧延の最終ス
タンドの圧延率(RH )並びに磁束密度の関係を示す
図。
【図3】熱間圧延の最終スタンドの圧下率(RH )が8
〜15%の場合における製品厚(t:mm)と最終冷間圧
延率(RC :%)との関係を示す図。
【図4】熱間圧延の最終スタンドの圧下率(RH )が1
8〜30%の場合における製品厚(t:mm)と最終冷間
圧延率(RC :%)との関係を示す図。
【図5】熱間圧延の最終スタンドの圧下率(RH )が3
3〜45%の場合における製品厚(t:mm)と最終冷間
圧延率(RC :%)との関係を示す図。
【図6】熱間圧延の最終スタンドの圧下率(RH )が4
8〜60%の場合における製品厚(t:mm)と最終冷間
圧延率(RC :%)との関係を示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 黒木 克郎 福岡県北九州市戸畑区大字中原46番地の59 日鐵プラント設計株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量比で、 C:0.010〜0.040%、 Si:2.5〜4.0%、 酸可溶性Al:0.020〜0.040%、 N:0.005〜0.010%、 S,Seの少なくとも1種を0.005〜0.015
    %、 Mn:0.05〜0.8%、 残部がFe及び不可避的不純物からなるスラブを128
    0℃未満の温度で加熱し、熱間圧延を行ない、熱延板焼
    鈍を行ない、その後のデスケリーング後、1回の冷間圧
    延を行ない、脱炭焼鈍後ストリップを走行せしめる状態
    下で水素、窒素、アンモニアの混合ガス中で窒化処理を
    行ない、次いでMgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布
    して最終仕上焼鈍を施す一方向性電磁鋼板の製造方法に
    おいて、製品厚(t:mm)を0.30mm≦t≦0.65
    mmとし最終冷間圧延率:RC (%)の範囲が、 上限:RC ≦(300−50t)/3(%) 下限:熱間圧延の最終スタンドの圧下率RH (%)の関
    係で 5≦RH ≦15%のとき RC ≧−75t/3+92.5(%) 15<RH ≦30%のとき RC ≧−100t/3+92.5(%) 30<RH ≦45%のとき RC ≧−125t/3+92.5(%) 45<RH ≦60%のとき RC ≧−150t/3+92.5(%) とすることを特徴とする製品板厚の厚い一方向性電磁鋼
    板の製造方法。
  2. 【請求項2】 熱間圧延の仕上げ入口温度を950〜1
    150℃、仕上げ出口温度を800〜1050℃、巻き
    取り温度を500〜650℃とすることを特徴とする請
    求項1記載の製品板厚の厚い一方向性電磁鋼板の製造方
    法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6407506B1 (en) 1999-04-02 2002-06-18 Hitachi, Ltd. Display apparatus, display method and control-drive circuit for display apparatus
JP2017101292A (ja) * 2015-12-02 2017-06-08 Jfeスチール株式会社 方向性電磁鋼板の製造方法

Cited By (3)

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US6504310B2 (en) 1999-04-02 2003-01-07 Hitachi, Ltd. Display apparatus
JP2017101292A (ja) * 2015-12-02 2017-06-08 Jfeスチール株式会社 方向性電磁鋼板の製造方法

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