JP2001192732A - 磁気特性が優れた一方向性電磁鋼板を得る冷間圧延方法 - Google Patents

磁気特性が優れた一方向性電磁鋼板を得る冷間圧延方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 AlN をインヒビターとする一方向性電磁鋼板
において、磁気特性が優れた一方向性電磁鋼板を得る冷
間圧延方法を提案する。 【解決手段】 質量%で、C:0.025〜0.100
%,Si:2.5〜4.5%,Mn:0.03〜0.4
5%,Al:0.007〜0.040%を含有する電磁
鋼スラブに熱間圧延を施した後、熱延板焼鈍を施し、そ
の後に、一回または中間焼鈍を介挿する二回以上の冷間
圧延を施し、その後、一次再結晶焼鈍、次いで、二次再
結晶焼鈍を施す一方向性電磁鋼板の製造方法において、
最終の冷間圧延を、ワークロール直径が95〜170m
mφのクラスター型レバース圧延機で行い、圧延途中の
板厚段階で、100〜350℃の温度範囲で1分以上の
時間保持する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、変圧器・発電機な
どの電気機器の鉄心材料に用いられる、一方向性電磁鋼
板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一方向性電磁鋼板は、圧延方向の磁化特
性および鉄損特性が良好でなければならない。磁化特性
の良否は、かけられた一定の磁場中で鉄心内に誘起され
る磁束密度の高低で決まり、磁束密度の高い製品は鉄心
を小型化できる。鉄損は、鉄心に所定の交流磁場を与え
た場合に熱エネルギーとして消費される電力損失であ
り、その良否に対しては、磁束密度、板厚、被膜張力、
不純物量、比抵抗、結晶粒の大きさ等が影響する。その
中でも、磁束密度が高く板厚が薄いことが鉄損を小さく
するうえで重要である。
【0003】近年、製造技術の進歩により、例えば、0.
23mmの板厚の鋼板で、磁束密度B8(磁化力800A/mにおけ
る値)が1.92T 、鉄損W17/50 (50Hzで1.7Tの最大磁化
の時の値)が0.85W/kgの如き優れた製品が工業的規模で
生産可能となっている。このような優れた磁気特性を有
する一方向性電磁鋼板は、鉄の磁化容易軸である<001>
方位が鋼板の圧延方向に高度に揃った結晶組織で構成さ
れるものであり、製造工程の最終仕上焼鈍の際に、いわ
ゆるゴス方位と称される{110 }<001>方位を有する結
晶粒を優先的に巨大成長させる2次再結晶と呼ばれる現
象を通じて形成される。
【0004】このゴス方位の二次再結晶粒を十分に成長
させるための基本的な要件として、二次再結晶過程にお
いて、ゴス方位以外の好ましくない方位を有する結晶粒
の成長を抑制するインヒビターの存在と、ゴス方位の二
次再結晶粒が優先的に発達しやすい一次再結晶組織の形
成が不可欠であることは周知の事実である。ここに、イ
ンヒビターとしては、一般にAlN 、 Mn(S,Se) 、Cu2(S,
Se) 等の析出物が利用され、さらに、補助的にSn、Sbな
どの粒界偏析型の成分が利用される。また、1 次再結晶
組織においては、結晶粒径とその均一性、ゴス方位粒と
ゴス方位と対応関係にある方位粒が圧延方向に揃った集
合組織の形成が重要である。
【0005】磁束密度の高い一方向性電磁鋼板を得る方
法は古くから知られており、例えば、特公昭46−23820
号公報に開示されているように、インヒビターとしてAl
N を用いる方法が広く知られている。この方法は、高温
スラブ加熱により、AlN のインヒビター成分を一旦固溶
させ、最終の冷間圧延前の焼鈍中にAlN を微細析出させ
ることにより一方向性電磁鋼板を製造するものである。
【0006】一方、特開昭62-40315号公報には、AlN イ
ンヒビターを後工程の窒化処理で作り込み、低温スラブ
加熱とする方法が開示されている。この方法は、高温ス
ラブ加熱の設備・操業的デメリットを回避するために開
発されたものである。これらのAlN インヒビターを用い
た製造方法においては、適正な一次再結晶組織が伴なわ
なければ高い磁束密度が得られないことは周知である。
一次再結晶組織の形成は、冷延条件に大きく影響され、
一般に、最終の冷間圧延の圧下率が81% 以上と高いこと
が好ましい。
【0007】その他の冷間圧延に関しては、(1)特公
昭54-13846号公報に、強冷延のパス間に50〜350 ℃で1
分以上の時効処理を施す技術が、また(2)特公昭54-2
9182号公報に、300 〜600 ℃で1 〜30秒の保持を行う技
術が開示されている。前記(1)の技術はレバース圧延
を、前記(2)の技術はタンデム圧延を意図した技術で
ある。
【0008】タンデムミルを用いた高温圧延は、設備的
かつ操業技術的に困難であり、現在のところは、レバー
ス圧延の加工発熱を利用して高温圧延を行い、圧延途中
のリール巻き取り後の時効効果を利用している。レバー
スミルは、4 重、6 重などのロールを直列に配置したも
のが一般的であるが、ワークロール直径を小さくすると
ロール変形が生じやすく、一般に、250mm φ以上の大径
ロールを用いることになる。
【0009】一方、6 重、12重、20重などのロールをク
ラスター状に配置したゼンジミアミルやNMSミルは、
ワークロールを多角的にバックアップするため、小径ワ
ークロールの使用を可能とする。多量のSiを含有し製品
板厚が薄い一方向性電磁鋼板は圧延反力が高いので、小
径ワークロールを使用する方が有利である。したがっ
て、一方向性電磁鋼板の高温圧延には、クラスター型レ
バース圧延機を用いることが多い。
【0010】一方、冷延機のワークロール径に関して
は、(3)特公昭50-37130号公報に、圧延の全パスまた
は後段パスにて300mm φ以下の小径ロールで行う技術、
(4)特開平02-282422 号公報に、後段パスにて30〜10
0mm φの小径ロールで150 〜230 ℃の温間圧延する技
術、(5)特開平05-33056号公報に、前段パスにて50〜
150mm φの小径ロールで150 〜350 ℃の温間圧延する技
術、また、(6)特開平09-287025 号公報に、ワークロ
ール(40 〜500mm φ) の径大化にともない圧延温度(100
〜350 ℃) を上げる技術、が開示されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】従来の電磁鋼板に用い
られるクラスターミルは、21、22型に代表されるゼンジ
マーミルが主流であり、薄手の圧延性確保の観点から、
主に、95mmφ以下の小径ワークロールが用いられてい
た。例えば、前記(5)の技術では、ロール径を50〜15
0mm φとしているが、実施例では80と90mmφの例のみが
記載されている。
【0012】また、Al含有の一方向性電磁鋼板の製造に
おいては、前記(3)の公報で開示されるように、冷延
ワークロールは小径が良いとされ、薄手化に有利なクラ
スターミルはこの要請に合致していた。また、前記
(4)〜(6)の公報で開示されるように、パス間の時
効処理温度を前提とする圧延においても、小径ロールが
磁気特性の観点から有利であると考えられていた。
【0013】21と22型に代表されるゼンジマーミルは一
体型のハウジングを基本構成をするので、ワークロール
径は固定値である。ところが、最近、分割型のハウジン
グで構成されたクラスターミルにおける設備的、操業的
な技術進歩やNMSミルの開発により、95mmφ以上の直
径のワークロールが使用可能となってきた。そこで、本
発明者らは、Al含有の一方向性電磁鋼板をレバース圧延
機を用い、パス間で時効処理を施して製造するにあた
り、磁気特性に及ぼすワークロール直径の影響を詳細に
検討した。その結果、90mmφ以下の小径ワークロールを
使用すると、磁気特性は、むしろ劣化することを見い出
し、ワークロール直径は95〜170mm φの範囲で径大化す
るほうが、磁気特性が向上するという新知見を発見し
た。本発明は、この知見に基づいて、磁気特性が良好な
一方向性電磁鋼板を得る冷間圧延方法を提供するもので
ある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、質量%
で、C:0.025〜0.100%、Si:2.5〜
4.5%、Mn:0.03〜0.45%、および、A
l:0.007〜0.040%を含有する電磁鋼スラブ
に熱間圧延を施した後、熱延板焼鈍を施し、その後に、
一回または中間焼鈍を介挿する二回以上の冷間圧延を施
し、その後、一次再結晶焼鈍、次いで、二次再結晶焼鈍
を施す一方向性電磁鋼板の製造方法において、最終の冷
間圧延を、ワークロール直径が95〜170mm φのクラスタ
ー型レバース圧延機で行い、圧延途中の板厚段階で、10
0 〜350 ℃の温度範囲で1分以上の時間保持することを
特徴とする磁気特性が優れた一方向性電磁鋼板を得る冷
間圧延方法である。
【0015】
【発明の実施の形態】まず、本発明の基礎となった試験
結果について述べる。質量%で、C:0.055%、S
i:3.3%、Mn:0.1%、S:0.0070%、
Al:0.0282%、N:0.0084%、および、
Sn:0.07%を含有する電磁鋼スラブを、1150℃で
低温スラブ加熱した後、熱間圧延し、2.0mm 厚の熱延コ
イルとした。
【0016】この熱延コイルを1100℃で焼鈍した後、20
重式のゼンジミアミルを用いて圧下率89.0%で冷間圧延
し、0.22mmの板厚に仕上げた。そのとき、圧延機のワー
クロール直径を50〜185mm φの範囲で変更し、パススケ
ジュールとパス回数(6 回)は同一条件で圧延した。ま
た、2 パス目、3 パス目、4 パス目および5 パス目の途
中の板厚段階で、200 ℃で5 分間の時効処理を行った。
【0017】それから、冷延板に、一次再結晶粒径が23
μmになるように温度を調整して脱炭焼鈍を施した後、
[N] が215ppmになるように窒化焼鈍を行い、次いで、マ
グネシアを塗布してコイル状にした。このコイルに、通
常の方法で仕上焼鈍を施した後、「リン酸+コロイダル
シリカの絶縁コーティング」を塗布して、コーティング
焼付・形状矯正焼鈍を行って製品とした。そして、この
製品の磁束密度B8を測定した。
【0018】ワークロール直径と磁束密度B8の関係を図
1に示す。図1から、ワークロール直径が95〜185mm φ
の範囲で、磁束密度B8が向上することが判る。一方向性
電磁鋼板の磁束密度はインヒビターと一次再結晶組織に
影響される。本試験では、インヒビターを変えていない
から、ワークロール直径が一次再結晶組織の変化を介し
て磁束密度に影響したものと推定される。
【0019】そこで、50mm、110mm および165mm のワー
クロール直径に対応する一次再結晶サンプルを採取し、
一次再結晶集合組織を調査した。板厚1/5tを中心にサン
プリングしてX線分析し、SGH法( 原勢ら: 日本金属
学会会報 第29巻 第7 号P552、参照) による解析を行
った。図2に、ゴス方位のND軸まわりの強度(IN )と
Σ9対応方位の強度(IcΣ9)を示す。図2から、ワ
ークロール直径が大きいと、25°近傍で、IN が減少
し、IcΣ9がより先鋭化することが判る。磁束密度が
高い一方向性電磁鋼板を得るうえにおいて、一次再結晶
集合組織が具備すべき条件は、ゴス方位とゴスを優先成
長させる方位がシャープなことである。本発明に従って
ワークロール直径を制御したものにおいては、特に、板
厚表層部において二次再結晶のゴス集積度が高く、好適
な集合組織が得られている。
【0020】以上は、AlN インヒビターを用いた低温ス
ラブ加熱法における結果であるが、本発明者らは、実施
例1で示すように、MnS 、AlN+MnS(MnSe)インヒビタ
ー、および、Sn、Sb、Cu等を補助的に添加した高温スラ
ブ加熱法についても同様に調査した。その結果、AlN を
インヒビターとして含む成分系の材料全般について、ワ
ークロール直径が大きいと、磁気特性改善効果が顕著で
あることを確認した。
【0021】AlN はMnS(MnSe) などに比較してインヒビ
ター強度が強く、かつ、熱的安定であることが知られて
いる。このようなAlN インヒビターを用いた場合、本発
明で得られる一次再結晶集合組織が、効果的に、磁束密
度改善効果を発揮するものと推定される。ワークロール
直径と一次再結晶集合組織との関係に係るメカニズムは
現在のところ明らかでないが、次のように推定される。
ワークロール直径が小さい場合は、冷間圧延中に鋼板表
面部の剪断変形成分が大きくなり、一次再結晶後に、(1
10) 面が増加し、(111) 面が減少することが知られてい
る(河野ら:鉄と鋼,68(1982),P.58、参照)。このと
き、(110) 面については、ゴス方位からND軸周りに回転
した方位群が増加して、一方向性電磁鋼板には好ましく
ないブロードな集合組織になると推定される。
【0022】次に、本発明における一方向性電磁鋼板の
成分組成に係る限定理由及び好適な組成範囲について説
明する。なお添加量の単位は質量%である。Cは、オー
ステナイト形成のために重要な元素であり、0.025%以上
は必要である。多過ぎると、脱炭が困難となるので、上
限を0.100%とする。Siは、あまり少ないと電気抵抗が
小さくなって良好な鉄損特性が得られず、一方、多過ぎ
ると冷間圧延が困難になるので、その含有量は、2.5%以
上4.5%以下とする。
【0023】Mnは、不可避成分としての下限は0.03%
であり、一方、多過ぎると、高温スラブ加熱を前提とし
た場合、MnS、MnSeの溶体化が困難となるので、上限を
0.45% とする。S、Seは、使用するインヒビターの種類
に応じて適宜添加される。これらは、前記Mnと結合し
て、インヒビターとして作用するMnS 、MnSeを形成す
る。S、Seの組成範囲は、単独および併用いずれの場合
も、0.01% 以上0.04% 以下が好適である。ただし、MnS
、MnSeを微細に析出させるためには、高温スラブ加熱
が必要である。一方、後工程窒化法によりインヒビター
を形成する低温スラブ加熱法においては、微細なMnS 、
MnSeはかえって障害となるので、S、Seは0.01% 以下が
望ましい。
【0024】本発明では、インヒビター成分として、特
に、Alを含有させることが、高磁束密度を得るうえにお
いて不可欠であり、一定量以上の添加を必要とするが、
多過ぎると、溶体化のための高温スラブ加熱時間が長く
なり、生産性が悪化するので、Al含有量は、0.007%以上
0.040%以下とする。Nは、高温スラブ加熱を前提とする
場合は、最終の冷間圧延前の焼鈍にAlN を形成する必要
があるので、0.003%以上0.020%以下の範囲で含有され
る。一方、低温スラブ加熱法においては、一次再結晶焼
鈍後に窒化処理によりAlN を形成するので、製鋼段階で
Nを含有させておくことは必須ではない。
【0025】以上の他、磁性の向上のため、さらに、S
n、Sb、Cu、Ni、Cr、P、V、B、Bi、Mo、NbおよびGe
等の成分も、公知の範囲で適宜添加することができる。
次ぎに、製造工程に係る条件について説明する。本発明
において、鋼素材の製造には公知の製法を適用する。製
造されたインゴットまたはスラブを、必要に応じて加工
してサイズを合わせた後加熱し、熱間圧延する。スラブ
加熱温度は、必要に応じ1100℃〜1450℃の範囲とし、加
熱には、通常のガス加熱炉や誘導・通電加熱炉を用い
る。熱間圧延後の鋼帯は、1回冷間圧延法、または、複
数回冷間圧延法によって最終板厚とする。
【0026】なお、冷間圧延の前に、公知の条件で焼鈍
を実施する必要がある。高温スラブ加熱を前提とする場
合は、熱間圧延で不十分なAlN の微細析出を確保するう
えで、冷間圧延前の焼鈍は重要である。一方、低温スラ
ブ加熱を前提とする場合は、AlN 析出制御のための熱延
板焼鈍は必須でないが、炭化物や固溶Cの制御のため、
焼鈍後の急冷、冷却過程の加工歪付加、炭化物析出のた
めの保定等の方法を併用しても、本発明の効果を損なう
ものでない。
【0027】その後、鋼板は、レバース圧延により最終
の冷間圧延に供されるが、この時、高磁束密度を得るた
めには、従来より公知のように81% 以上の圧下率とする
ことが好ましい。本発明においては、冷間圧延途中の時
効処理や、温間圧延を行うことが磁気特性を向上させる
うえで重要である。特に、高温スラブ加熱の場合、固溶
C、Nの固着効果以外に、線状細粒発生防止の観点から
有効であることが知られている。そして、本発明におい
ては、実施例2に示すように、圧延途中の板厚段階で、
100 〜350 ℃の温度範囲で1分以上の時間保持する必要
がある。
【0028】本発明のもう一つの特徴は、ワークロール
直径を大きくするこにより、磁気特性が優れた一方向性
電磁鋼板を製造することである。図1に示すように、磁
束密度はワークロール直径90mmφ以下では著しく劣り、
95mmφ以上で改善され、120mm φ以上ではほぼ飽和する
傾向にある。したがって、本発明では、ワークロール直
径を95mmφ以上、好ましくは120mmφ以上とする。上限
は通常の一方向電磁鋼板の板厚である0.35mm以下を安定
に圧延できる170mm φとする。圧延機は、高温圧延や薄
手圧延の安定性の観点から、6 段、12段および20段ロー
ルなどのクラスター型レバース圧延機に限定する。ま
た、このような大径ワークロールを有する圧延機は、分
割型ハウジングから構成されるゼンジミアミルやNMS
ミルなどが適している。
【0029】最終圧延後の鋼板には、脱脂処理が施さ
れ、その後、脱炭と一次再結晶を兼ねた焼鈍が施され
る。スラブ加熱温度が1250℃以下の低温スラブ加熱法の
場合は、一次再結晶から二次再結晶の間に窒化処理を行
い、AlN インヒビターを形成することが有効である。窒
化処理の方法としては、特開昭60-179885 号公報開示の
仕上げ焼鈍の途中で行う方法や、特開平1-82393 号公報
等開示のストリップを走行させながら「水素+窒素+ア
ンモニア」の混合ガス中で焼鈍する方法がある。良好な
二次再結晶粒を安定して発達させるには、窒素量は120p
pm以上、好ましくは150ppm以上必要である。また、特開
昭1-82939 号公報等に開示される一次再結晶粒径の制御
を併用すると、更に磁気特性が向上する。
【0030】次いで、鋼板に、MgO を主成分とする焼鈍
分離剤を塗布してから、コイル状に巻き最終仕上げ焼鈍
に供する。その後、必要に応じて絶縁コーティングを施
すが、レーザー、プラズマ、機械的方法、エッチング、
その他の手法によって磁区細分化処理を施すことも有効
である。
【0031】
【実施例】(実施例1)表1に示す成分を含有する電磁
鋼スラブを、1350〜1400℃の高温スラブ加熱a)、b)およ
びc)と、1150〜1290℃の低温スラブ加熱d)、e)およびf)
の方法で熱間圧延し、熱延鋼帯とした。
【0032】a)、c)およびf)は、中間焼鈍を挟む2回冷
延法、b)およびe)は、熱延板焼鈍後の1回冷延法、d)
は、熱延板焼鈍なしの1回冷延法とした。最終の冷間圧
延はすべてレバース圧延機を用い、圧下率は63〜90% と
した。中間板厚と最終板厚は表1に示したとおりであ
る。冷間圧延は、表1に示すようにワークロール直径を
変更し、3〜7パスで行った。また、全ての条件におい
て、圧延途中の最低2パスの中間板厚を選び、200 ℃で
5分の時効処理を行った。冷延鋼帯には通常の方法で脱
炭焼鈍を施し、このうち、d)およびe)については、脱炭
焼鈍の後に窒化焼鈍を追加し、表に示す窒化量(窒化後
−窒化前)になるようインヒビターを補強した。その
後、通常の方法でマグネシア塗布、仕上焼鈍、絶縁コー
ティング、形状矯正・焼付焼鈍を施した。得られた製品
鋼帯の磁気特性(B8、W17/50)を測定した。表に示すよ
うに、Alを含有する成分系で、本発明の条件範囲に内に
制御すると、磁気特性が優れた製品が得られることが判
る。
【0033】
【表1】
【0034】(実施例2)表1のa)に示す1.8mm の中間
板厚の焼鈍材を、ワークロール直径を120mm φとしたレ
バース圧延機を用いて、表2に示す12通りのパス間保持
温度・時間の条件で、最終板厚0.22mmまで冷間圧延し
た。冷延鋼帯には通常の方法で脱炭焼鈍、マグネシア塗
布、仕上焼鈍、絶縁コーティング、形状矯正・焼付焼鈍
を施した。得られた製品鋼帯の磁気特性(B8、W17/50)
を測定した。
【0035】表2に示すように、圧延途中の板厚段階で
100 〜350 ℃の温度範囲で1分以上の時間保持すること
により、磁気特性が優れた製品が得られることが判る。
【0036】
【表2】
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、AlN をインヒビターと
して用いる一方向性電磁鋼板において、磁気特性が優れ
た一方向性電磁鋼板を得ることができる。それ故、本発
明は、変圧器等の低鉄損化や小型化に貢献するものであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】ワークロール直径と磁束密度の関係を示す図で
ある。
【図2】ワークロール直径を変更したときの鋼板の一次
再結晶集合組織に係る解析結果を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 向井 聖夫 福岡県北九州市戸畑区飛幡町1−1 新日 本製鐵株式会社八幡製鐵所内 (72)発明者 林 申也 福岡県北九州市戸畑区飛幡町1−1 新日 本製鐵株式会社八幡製鐵所内 (72)発明者 白石 利幸 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内 Fターム(参考) 4K033 FA12 HA01 HA03 HA05 JA01 5E041 AA02 AA19 CA02 HB05 HB07 HB11 HB19 NN01 NN17 NN18

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 質量%で、C:0.025〜0.100
    %,Si:2.5〜4.5%,Mn:0.03〜0.4
    5%、および、Al:0.007〜0.040%を含有
    する電磁鋼スラブに熱間圧延を施した後、熱延板焼鈍を
    施し、その後に、一回または中間焼鈍を介挿する二回以
    上の冷間圧延を施し、その後、一次再結晶焼鈍、次い
    で、二次再結晶焼鈍を施す一方向性電磁鋼板の製造方法
    において、最終の冷間圧延を、ワークロール直径が95
    〜170mmφのクラスター型レバース圧延機で行い、
    圧延途中の板厚段階で、100〜350℃の温度範囲で
    1分以上の時間保持することを特徴とする磁気特性が優
    れた一方向性電磁鋼板を得る冷間圧延方法。
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