JPH11124621A - 密閉式雰囲気熱処理炉とその運転方法 - Google Patents

密閉式雰囲気熱処理炉とその運転方法

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JPH11124621A
JPH11124621A JP29012797A JP29012797A JPH11124621A JP H11124621 A JPH11124621 A JP H11124621A JP 29012797 A JP29012797 A JP 29012797A JP 29012797 A JP29012797 A JP 29012797A JP H11124621 A JPH11124621 A JP H11124621A
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JP
Japan
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furnace
front chamber
gas
heat treatment
atmosphere
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JP29012797A
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English (en)
Inventor
Hiroyuki Ogata
裕之 緒方
Hidetoshi Ota
英俊 太田
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Japan Oxygen Co Ltd
Nippon Sanso Corp
Original Assignee
Japan Oxygen Co Ltd
Nippon Sanso Corp
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Publication date
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  • Solid-Phase Diffusion Into Metallic Material Surfaces (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 炉内への空気の侵入を防止して安全を確保
し、高価な雰囲気ガスの使用量を節減し操業価格を低減
した密閉式雰囲気熱処理炉とその運転方法の提供。 【解決手段】 密閉式浸炭焼き入れ炉10の前室2に、
不活性ガス容器21より異なる流量で不活性ガスGを流
すよう流量を調整した流量調整弁25aおよび25bを
それぞれ流路Aおよび流路Bの流路よりなるスーパーパ
ージライン20を接続し、出入扉1の解放時に電磁弁2
6aを開き、流路Aで20m3/時以上の設定流量で供
給し、前室2内が負圧になった時に電磁弁26bが開
き、流路Bで40m3/時以上の設定流量で供給するよ
うに運転して、前室2を常に正圧に保って外気の侵入を
防ぎ、酸素濃度を爆発限界値以下に保つとともに、高価
な雰囲気ガス量を従来の30%に減量しても、従来と同
様な熱処理効果を奏する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種金属を雰囲気
ガス中で高温にて加熱処理する密閉式雰囲気熱処理炉と
その運転方法に係わり、詳しくは、安全な運転と雰囲気
ガスの供給量を低減する密閉式雰囲気熱処理炉とその運
転方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】各種金属品の金属表面やその近傍に、強
度や硬度または光輝性等の品質特性を付与する場合、被
処理金属を密閉式雰囲気熱処理炉を用いて空気以外の特
殊な雰囲気ガス中で加熱処理するのが一般的である。密
閉式雰囲気熱処理炉内の圧力はほぼ大気圧に近く、炉内
の雰囲気は大気と遮断するための扉等の密閉手段が備え
られている。この密閉式雰囲気熱処理炉としては、密閉
式バッチ炉や連続式トレープッシャー炉等が挙げられ
る。
【0003】特殊な雰囲気ガスとしては、吸熱性変成ガ
ス(RXガス)、発熱性変成ガス(DXガス)、アンモ
ニア分解ガス(AXガス)等が広く使用されており、こ
れら雰囲気ガスは、水素成分や一酸化炭素成分等の爆発
可燃性ガス成分を含有している。そして、これらの雰囲
気ガスは密閉式雰囲気熱処理炉とは別に設置された変成
炉や分解炉を用いて発生せしめて供給される。例えば、
RXガスはRX変成炉でメタン、プロパン、ブタン等の
炭化水素と空気とを一定比率にして高温触媒を通して発
生せしめている。また、雰囲気ガスとして、窒素ガス中
にメタノールを混合したガスを用い、これを直接炉内に
供給して、炉内でメタノールを一酸化炭素(CO)と水
素(H2)とに分解せしめて、雰囲気ガスを形成する方
法も行われている。この方法では、メタノールの価格が
高価であるが、変成炉や分解炉等を用いる必要がなく、
装置が簡略化され、設備費の節減と運転の省力化が図ら
れる利点がある。
【0004】図5に、従来の二室式の密閉式雰囲気熱処
理炉の一例として、密閉式浸炭焼き入れ炉の概略図を図
示し、説明する。この密閉式浸炭焼き入れ炉10は、出
入扉1を備えた前室2が仕切扉3を介して加熱処理室4
に連設されてなるとともに、前記前室2の下部に焼き入
れ用の油槽5を連設して構成されている。仕切扉3に
は、加熱処理室4と前室2とを連通する雰囲気ガス通気
用の開口穴3aが設けられており、そして加熱処理室4
内にはヒーターや燃焼ラジアントチューブ等が備えられ
ていて、該室4内はこれにより加熱される。また、油槽
5内の焼き入れ用の油は通常50〜150℃の温度に加
熱されている。雰囲気ガスは、雰囲気ガス供給源(図示
せず)から、雰囲気ガス用配管6を通って加熱処理室4
に供給される。加熱処理室4内はファン7により攪拌さ
れ、雰囲気ガスが加熱処理室4内の温度と均一となり、
被処理品8の熱処理雰囲気としての役割を果たす。この
雰囲気ガスは仕切扉3の開口穴3aを通って前室2に連
続して流通し、排気管9より炉外に排出される。該排出
されたガスは、パイロットバーナー14によって燃焼処
理され、排気ダクト11を介して屋外に放出される。
【0005】一方、被処理品8は搬出入テーブル12か
ら出入扉1を経て前室2に搬入され、ついで出入扉1を
閉止し、仕切扉3を開いて加熱処理室4に搬入され、仕
切扉3を閉止した後所定のガス雰囲気下で加熱処理され
る。処理された被処理品8は、前室2を経て油槽5に搬
送されて油に浸漬して焼き入れされる。焼き入れされた
被処理品8は、前室2に返送され、該前室2で油切りし
た後出入扉1を経て搬出入テーブル12に搬出されて加
熱処理を終了する。なお、被処理品8の搬出入テーブル
12と前室2との出し入れの際に出入扉1を開いた時に
は、フレームカーテン用ノズル13に燃焼ガスが流れて
燃焼し、前室2の出入開口部を塞ぐようにフレームカー
テンを形成し、該開口部より前室2内への空気の侵入を
防ぐようになっている。
【0006】しかしながら、このような密閉式浸炭焼き
入れ炉にあっては、被処理品が処理工程に応じて炉内を
移動するに伴い、炉内の圧力、特に前室2内の圧力に変
動を惹起することがしばしば生じる。そして特に前室2
内が負圧になると、排気管9や出入扉1から空気が炉内
に侵入してくることが避けられず、火災を誘発する等危
険な状態となる。そこで、この図5に図示した密閉式浸
炭焼き入れ炉での被処理品8の一連の処理工程、[搬
入前]ー[前室2への搬入]ー[加熱処理室4への
搬入(加熱処理)]ー[前室2への搬出]−[前室
2→油槽5(焼き入れ)]ー[油槽5→前室2(油切
り)]−[炉外へ搬出後]における各工程の炉内の圧
力変動の状態を図6により説明する。
【0007】工程の[搬入前]は、被処理品8がバス
ケット等に入れられ、搬出入テーブル12におかれる。
炉内は雰囲気ガスの連続的な供給によって水柱5〜30
mmの微小の正圧を保持している。その後、出入扉1を
開くとともに、フレームカーテンを形成して、被処理品
8を搬入プッシャー等により搬出入テーブル12から工
程の[前室2への搬入]をし、出入扉1を閉じ炉内を
密閉状態とする。しかるにこの工程では、搬入時のフ
レームカーテンの燃焼熱により加熱膨張された前室2内
の雰囲気ガスは、搬入された室温状態の被処理品8によ
り冷却収縮して弱負圧となる。そして、前室2内が負圧
になると排気管9や出入扉1の隙間から、周囲の空気が
前室2内に侵入してくる。
【0008】次ぎに仕切扉3を開くとともに、出入扉1
を小さく開いて、搬入プッシャー等により被処理品8を
工程の[加熱処理室4への搬入(加熱処理)]をす
る。この時フレームカーテンは形成しない。その後仕切
扉3と出入扉1とを閉じて密閉状態にする。この時も低
温状態の被処理品8により加熱処理室の雰囲気ガスが冷
却されて収縮し、これに伴い前室2内は負圧となる。た
だし、前記した如くフレームカーテンを形成せしめなか
ったので、これを形成する加熱がないため負圧の程度は
小さく、弱い負圧にとどまり、若干の空気の侵入があ
る。続いて加熱処理室4内で被処理品8は高温に加熱処
理して、昇温→浸炭→拡散→降温→灼熱の処理が施され
る。この処理が終了したら、仕切扉3を開いて搬出プッ
シャー等により被処理品8は工程の[前室2への搬
出]がなされて、前室2に戻される。この時前室2の雰
囲気ガスは高温状態の被処理品8により加熱されて膨張
し、炉内圧力は水柱50mm以上の正圧となるので、空
気の侵入はない。またこの時前室2内の温度も勿論上昇
する。そして仕切扉3が閉じられる。
【0009】次ぎに、前室2内の被処理品8はエレベー
ター等により工程の[前室2→油槽5(焼き入れ)]
への搬送がなされ、油槽5の油に浸漬される。これによ
り、被処理品8が有していた熱は油槽5の油に急激に奪
われて冷却される。そしてこの結果前室2の雰囲気ガス
の温度は降下し、急速に収縮して水柱マイナス500m
m以下の強い負圧を生じることとなり、前室2に周囲の
空気が侵入してくる。続いて被処理品8は、エレベータ
等により工程の[油槽5→前室2(油切り)]で油槽
5から引き上げられて前室2内に保持されて、油切りが
行われるが、この間は炉内圧力は正圧を保持している。
なお、前記工程〜の間は出入扉1は閉止状態を保持
したままである。
【0010】ついで、油切りが終わると、出入扉1を開
きフレームカーテンを燃焼形成して、被処理品8を搬出
プッシャー等により搬出入テーブル12上に搬出し、出
入扉1を閉じる。そして被処理品8を工程での[炉外
へ搬出後]は、搬出時のフレームカーテンの形成で加熱
膨張された前室2内のガスが冷却して収縮し負圧とな
り、空気の侵入がある。なお、以上は二室式の密閉式雰
囲気熱処理炉として密閉式浸炭焼き入れ炉10を例示し
て説明したが、トレープッシャー式連続炉の如き連続炉
では更に後室が設けられていて、前室ー加熱処理室ー後
室ー搬出と被処理品は連続して工程を流れる。従って、
トレープッシャー式連続炉の場合の工程は、前記図6の
密閉式浸炭焼き入れ炉の工程図の工程の[前室2への
搬出]を含めたそれ以降の工程の「前室」を「後室」と
読み代えればよく、炉内圧力変化は上記密閉式浸炭焼き
入れバッチ炉の変化と実質的に同じこととなる。
【0011】このように、密閉式浸炭焼き入れ炉で例示
した如く密閉式雰囲気熱処理炉で、炉の前室2内に空気
が侵入する機会が生じるのは出入扉1の開閉時と炉内圧
力が負圧となった時である。しかるに、これらの熱処理
炉に用いる雰囲気ガスは、水素、一酸化炭素等のガスで
あり、酸素を含有する空気との混合によって爆発の危険
がある。それ故、これを防止するため前室2内への、空
気の侵入を極力避ける必要がある。なお、一般的に炉内
酸素濃度が1容量%以下であれば、可燃性ガスの爆発に
安全とされている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】上記した密閉式浸炭焼
き入れ炉10への空気の侵入を防止する方法として、出
入扉1の開放信号に合わせて前室2に窒素ガス等の不活
性ガスを流すスーパーパージ法と称する方法がある。ま
た、特公平6ー47714号公報に開示されているよう
に、炉内の負圧時に排気管9からパイロットバーナでの
燃焼ガスを炉内に逆流させたり、別途に設置されたバー
ナの燃焼ガスを炉内に逆流させる方法がある。しかしな
がら、特公平6ー47714号公報の開示された前記方
法では、炉内が負圧時のみバーナを着火させて、その燃
焼ガスを炉内に供給するものであって、バーナの未着火
や消炎が生じる不安があり、実用性に欠けている。
【0013】一方、近年窒素ガスをベースにして、これ
にメタノール、水素ガス、炭化水素ガス等を混合して雰
囲気ガスとし、これを直接炉内に送入して熱処理する窒
素ベース熱処理法が普及してきている。この方法は、変
成炉や分解炉を必要としないので、雰囲気ガスの流量変
更が容易である利点がある。また、窒素ガスを使用して
いるので、不活性ガスを必要とする前記スーパーパージ
法を採用するには有利となる利点もある。
【0014】スーパーパージ法を採用している例として
は、特開昭61ー147867号公報、特開平2ー15
6064号公報に開示されている例が挙げられる。この
スーパーパージ法によると、出入扉1の開放時に前室2
への空気の侵入はかなり低減し得る。また、炉内が負圧
になった時の空気侵入防止法としては、例えば実公平2
ー32682号公報に開示されている如く、炉内の負圧
を検知して負圧時にパージガスとして窒素ガスを油槽上
部に吹き込む方法が用いられている。しかしこの方法で
は、雰囲気ガス量を削減した場合、炉内の酸素濃度を1
容量%以下に確実に低下せしめるには至っていない。
【0015】また、特開平3ー180459号公報に開
示されている方法では、炉内が負圧になった時に炉内へ
の窒素ガス送入に加え、出入扉の開放時と前室の酸素濃
度増加時に、窒素ガスの送入とメタノールを増量して送
入することを提案している。この方法は3重の窒素送入
システムであり、安全性はかなり高くなるが、設備コス
トが嵩む不都合がある。
【0016】このようなことより、密閉式浸炭焼き入れ
炉10の運転にあたっては、雰囲気ガスを加熱処理室4
に常に過剰量供給し、加熱処理室4から前室2内へ流通
する雰囲気ガス量を増量して、前室2内が負圧になるの
を防ぐよう運転している。何故なら、雰囲気ガスの流量
は短時間で直ちに必要とする所定の量に変更することが
出来ないため、出入扉の開放時や負圧になったからと
て、これに対応して直ちに雰囲気ガスを必要量に増量し
て供給することが出来ないからである。この結果高価な
雰囲気ガスを常時過剰に流しているのが実情である。
【0017】本発明は上記した各種従来の不都合に鑑み
なされたもので、密閉式雰囲気熱処理炉における、炉内
への空気侵入による爆発の危険を避けるため、高価な雰
囲気ガスを過剰に炉内に供給することなく、炉内の酸素
濃度を常に燃焼(爆発)限界値以下の値に保つととも
に、安全かつ適切な熱処理を行うための適切な雰囲気ガ
スの供給量とそれに伴う安全な炉内酸素濃度の限界値を
明確にして、安全を確保し、雰囲気ガスの節減を図って
ランニングコストを低減した密閉式雰囲気熱処理炉とそ
の運転方法を提供することを課題とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記従来の技術の不都合
を解消し、課題を解決するため本発明の請求項1は、被
処理品を所定のガス雰囲気下で高温で加熱処理するため
の雰囲気ガス供給用配管が配設された加熱処理室に、開
閉手段を備えた仕切扉を介して、被処理品の出し入れと
外気を遮断するための開閉手段を備えた出入扉を有する
前室を連設してなる密閉式雰囲気熱処理炉において、前
記出入扉の開放時に不活性ガスを所定流量で流通せしめ
る流路と前記前室内の圧力が負圧の時に不活性ガスを所
定流量で流通せしめる流路とを併設してなる不活性ガス
供給用配管を、前記前室に連結して設けてなることを特
徴とする密閉式雰囲気熱処理炉としたものである。
【0019】そして、その運転方法として請求項2は、
被処理品を所定のガス雰囲気下で高温で加熱処理するた
めの雰囲気ガス供給用配管が配設された加熱処理室に、
開閉手段を備えた仕切扉を介して、被処理品の出し入れ
と外気を遮断するするための開閉手段を備えた出入扉を
有する前室を連設してなる密閉式雰囲気熱処理炉におい
て、前記前室に不活性ガス供給用配管を設けて、前記出
入扉の開放時および前記前室内の圧力が負圧の時に不活
性ガスを前室内に供給して、前室内の酸素濃度を0.9
5容量%以下に保持することを特徴とする密閉式雰囲気
熱処理炉の運転方法とし、請求項3では雰囲気ガスが窒
素ガスにメタノールを50容量%以上100容量%未満
混合してなることを特徴とする請求項2に記載の密閉式
雰囲気熱処理炉の運転方法とし、また請求項4として出
入扉の開放時の前室内への不活性ガス供給量を20Nm
3/時以上とすることを特徴とする請求項2または請求
項3のいずれかに記載の密閉式雰囲気熱処理炉の運転方
法とし、そして更に請求項5として前室内の圧力が負圧
の時の前室内への不活性ガス供給量を40Nm3/時以
上とすることを特徴とする請求項2乃至請求項4のうち
のいずれか1項に記載の密閉式雰囲気熱処理炉の運転方
法としたものである。
【0020】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施の形態を説
明するための密閉式雰囲気熱処理炉の一例を示す概略図
である。この密閉式雰囲気熱処理炉30は、スーパーパ
ージライン20を前記図5に図示した従来例の密閉式浸
炭焼き入れ炉10の前室2に付設したものである。この
密閉式浸炭焼き入れ炉10の構成部については、図5の
構成と同一の構成部には同一符号を付し、詳細な説明は
省略する。図1の本発明の密閉式雰囲気熱処理炉30に
おけるスーパーパージライン20は、窒素、二酸化炭
素、アルゴン等の不活性ガスGを貯蔵した不活性ガス容
器21にフィルター22、一次減圧弁23、圧力スイッ
チ24を順次上流側から下流側に向けて連設し、ついで
流路を流路Aと流路Bとに分岐して設けたものである。
そして、分岐された流路Aには流量調節弁25aと電磁
弁26a、また流路Bには流量調節弁25bと電磁弁2
6bと、それぞれの流路A、Bの流れに沿って上流側か
ら下流側に向けて流量調節弁25と電磁弁26とを順次
連設し、ついでこれらの流路A、Bは合流してフロース
イッチ27を介して配管28により密閉式浸炭焼き入れ
炉10の前室2に接続されている。
【0021】そして、前記流路Aは、密閉式浸炭焼き入
れ炉10の前室2に設けた出入扉1の開放時に、開放信
号により電磁弁26aを開状態にして該流路Aに不活性
ガスを流通せしめて、配管28により前記前室2に送給
するものである。また流路Bは、前記密閉式浸炭焼き入
れ炉10の前室2が負圧になったときに、その負圧信号
により電磁弁26bを開状態にして、該流路Bに不活性
ガスを流通せしめて、配管28により前記前室2に送給
するものである。要するに、密閉式浸炭焼き入れ炉10
の前室2の出入扉1の開放時と前室2の負圧時との異な
る状況により、適切かつ効率的な対応が可能なように、
それぞれの状況に応じて不活性ガスGの送給状態を特定
した適切なる流量の状態で区分して送給するよう、流路
A、Bの2系統の不活性ガス供給ラインを設けたもので
ある。
【0022】このようなスーパーパージライン20は次
のように運転される。不活性ガス容器21に貯蔵されて
いる不活性ガスGは、フィルター22(またはストレナ
ー)を流通し、一次減圧弁23により二次圧力を流量調
節弁25aおよび25bの適切な作動状態に適合する圧
力(通常2kgf/cm2以下)に減圧調整される。そ
して圧力スイッチ24により適切な二次圧力を確認した
後、分岐されている流路Aおよび流路Bに流入してい
る。なお、前記圧力スイッチ24は、減圧弁23の二次
側に不活性ガスGが所定圧力で流通していることを検知
するとともに、その流通圧力が設定した所定圧力以上で
ある時は警報等を発してその旨を認識せしめ注意を喚起
せしめるものである。
【0023】分岐流路AおよびBに流入した不活性ガス
Gは、開度をそれぞれ適切に調整した流量調整弁25
a、25bを流通する。しかし、通常、密閉式浸炭焼き
入れ炉10の運転で正圧であったり、出入扉1が閉止状
態にある時は電磁弁26a、26bは閉止されていて、
不活性ガスGはこれらの流路Aおよび流路Bを流通せず
に、停止されている。そして、前室2の出入扉1の解放
操作時に該扉1よりの開信号により電磁弁26aが開き
不活性ガスGは流路Aを流通し、流量調整弁25aで所
定流量とされてフロースイッチ27を介して配管28に
より前室2に供給され、前室2を正圧にして出入扉1よ
り炉内への空気の流入を防止する。
【0024】また、密閉式浸炭焼き入れ炉10が該炉1
0の前室2の出入扉1を閉止し、熱処理を実施している
間、前室2の圧力が負圧になると該負圧になった信号に
より電磁弁26bが開き、不活性ガスGは流路Bを流通
し、流量調整弁25bで所定流量とされてフロースイッ
チ27を介して配管28により前室2に供給され、前室
2を正圧にして出入扉1より炉内への空気の流入を防止
する。なお、フロースイッチ27は不活性ガスGが流通
してくると作動し、不活性ガスGが流通した信号を発信
するものである。このようなことより、この信号によ
り、不活性ガスGが流れないときは、密閉式浸炭焼き入
れ炉10の出入扉1が開かないようにインターロックを
かけて制御運転を行うことも可能である。
【0025】このようにして本発明では、2系統の不活
性ガスGの流通流路A、Bを設けて、異なる状況下で生
じる炉10内への空気の侵入に対して、それぞれの状況
に応じて、それぞれ別個の適切な特定流量状態で不活性
ガスGを供給するようにしたので、炉10内への空気の
侵入を効果的に防止し得て、安全に一連の熱処理操作を
実施することができる。また、上記2系統の不活性ガス
流通流路を設けたことにより、不活性ガスを適切に有効
活用し得て、不活性ガスGの使用量を節減し得るばかり
でなく、高価な雰囲気ガスをも節減し得る。
【0026】なお、図1においては、スーパーパージラ
イン20として流通流路A、Bに分岐し、各流路A、B
を運転状態に応じて区分して作動せしめて、各流路で特
定流量に調整した後再び合流して炉10の前室2に接続
していたが、これらの2系統の流路は合流せずに、それ
ぞれ別個に前室2に接続してもよく、また全く別の装置
を設備してもよい。要は出入扉1の解放時と、熱処理中
の負圧発生時とをそれぞれ異なる特定の状態で不活性ガ
スGを供給するようにすればよい。また、不活性ガスG
の炉内への供給先も、前室2に限定されるものでなく、
加熱処理室4と前室2との炉内圧力はほぼ同様に変動す
るので、特に負圧発生時の不活性ガスGの供給を加熱処
理室4にすることもできる。また、後室が設けられてい
るトレープッシャー炉では、配管28より分岐した管路
(図示せず)を後室にも接続して設けておくことが好ま
しい。
【0027】次ぎに、上記スーパージライン20の2系
統のうち(1)電磁弁26aが開となり、流路Aが作動
する工程と、(2)電磁弁26bが開となり、流路Bが
作動する工程、とを前記図6に図示した密閉式焼き入れ
炉の処理工程と圧力の状態を参照して、区分すると次の
通りとなる。 (1)電磁弁26aが開となり、流路Aが作動する工程
(出入扉1の解放時)。 ●工程[前室2への搬入] ●工程[加熱処理室4への搬入(加熱処理)]の搬入
操作時 ●工程[油槽5→前室2(油切り)]→工程[搬出
後]の前室2より炉外に搬出操作時 (2)電磁弁26bが開となり、流路Bが作動する工程
(前室2の負圧時)。 ●工程[前室2への搬入] ●工程[加熱処理室4への搬入(加熱処理)] ●工程[前室2→油槽5(焼き入れ)] ●工程[炉外へ搬出後] なお、スーパーパージライン20が作動しない工程は、
工程[搬入前]、工程[前室2への搬出]および工
程[油槽5→前室2(油切り)]の工程である。この
ようにして、密閉式浸炭焼き入れ炉10の運転における
負圧の発生を常時抑止し、炉10内への外気の侵入は防
止され、常に安全に運転されて被処理体の加熱処理がな
される。
【0028】
【実施例】上記したスーパーパージライン20を備えた
密閉式雰囲気熱処理炉30をより一層効果的に運転する
ため、(実験1)として使用する雰囲気ガスの燃焼範囲
(爆発範囲)の安全酸素濃度を考察検討して求め、実験
により確認した。 (実験1)先ず雰囲気ガスとして、メタノール(CH3
OH)の分解ガス(33.3容量%CO+66.6容量%
2)の燃焼範囲(爆発範囲)について考察検討した。 ●メタノールの分解反応は、CH3OH→CO+2H2
である。 ●この混合ガスの燃焼反応は、2(CO+2H2)+3
2→2CO2+4H2Oとなる。 ●200℃におけるCOとHの燃焼範囲は、COは1
3.5〜73容量%であり、H2は7.5〜73.5容量%
である。 ここで、燃焼混合ガスの空気中の爆発限界組成の[ルシ
ャトリエの式]により前記混合ガスの燃焼範囲を求め
る。 [ルシャトリエの式] L=100/(n1/L1+n2/L2) 式中、L:燃焼混合ガスの燃焼範囲 n1、n2:燃焼混合ガスCO、H2の組成 L1、L2:燃焼混合ガスCO、H2それぞれの単独の燃
焼範囲 である。 この結果、燃焼混合ガスCO+2H
2の燃焼範囲として8.8(下限)〜73(上限)容量%
の値を得た。
【0029】次ぎに、上記した組成の燃焼混合ガスCO
+2H2の燃焼範囲に基づいて、該燃焼混合ガスCO+
2H2の安全酸素濃度を求めた。不活性ガス(N)ー酸
素(O)、酸素(O)ー燃焼混合ガス(F)、燃焼混合
ガス(F)ー不活性ガス(N)の各組成割合を座標軸と
した三角座標(N−OーFーN)のグラフを図2に図示
し、これを用いて以下の方法により考察した。 イ.OーF軸上に上記作業で得られた燃焼混合ガスの燃
焼下限値(L:8.8容量%)と燃焼上限値(U:73
容量%)との値取りをする。そしてこの下限値Lは、不
活性ガス(N)の増減によって酸素(O)と燃焼混合ガ
ス(F)との比率が変化しないから、下限値線(イ)を
OーN軸と平行にして線引きし、これを点線で表示し
た。 ロ.ついでOーF軸上に、燃焼混合ガス(F)CO+2
2が酸素(O)によって完全燃焼する場合のこれらの
比率RとしてF/O=2/3を値取りし、これに不活性
ガス(N)を増加して行っても、これらの比率Rは一定
であるので、OーF軸上のR値とグラフ上のN点とを結
び1点鎖線(ロ)で線引き表示した。そして、該1点鎖
線ロが前記点線で表示した下限値線(イ)との交点をS
とし、この点Sはこれ以上に不活性ガスが増加すると燃
焼しない点であることを示すものである。 ハ.また、前記交点Sと前記燃焼混合ガス(F)の燃焼
上限値Uとを結ぶ2点鎖線(ハ)で形成される三角形L
SUで包囲された領域が燃焼範囲となる。 ニ.次ぎに、NーF軸上に実際に炉に供給する雰囲気ガ
スの不活性ガス(N)と燃焼混合ガス(F)との組成比
の値Zを50%の値に値取りをする(50≦F<100
容量%であり、その最小濃度値50%とした)。雰囲気
ガス中に酸素を増加しても、雰囲気ガスの不活性ガス
(N)と燃焼混合ガス(F)の比率は変化しないので、
値Zと酸素座標Oの点とを結んで、直線(ニ)を線引き
する。そして該直線(ニ)が前記2点鎖線(ハ)と交叉
する交点Pが不活性ガス(N)と燃焼混合ガス(F)よ
りなる雰囲気ガスの燃焼限界点を示すものである。
【0030】このようにして、雰囲気ガスの燃焼限界点
Pが得られ、このP点より矢印線ホによりNーO軸上の
目盛りで酸素濃度値Xを読み、この酸素濃度値Xに基づ
いて計算により補正し酸素濃度を求めた結果、3.8容
量%O2の値を得た。そして、当該分野で一般的に用い
られている安全係数として1/4を乗じて、酸素の安全
濃度として0.95容量%を得た。以上の実験1から、
本発明の密閉式雰囲気熱処理炉における、前室2内の燃
焼混合ガス(メタノールの分解ガス)中に侵入する監視
すべき酸素濃度に関しての注意度を、 の如く区分することとした。そして、上記結果に基づ
き、メタノール分解ガスCO+2H2中に酸素ガスを0.
95容量%添加し、この雰囲気に火炎を挿入して実験し
たところ、火炎は直ちに消炎したのを確認した。従っ
て、炉内の酸素濃度を0.95容量%以下の安全領域に
維持することにより、密閉式雰囲気熱処理炉を安全に運
転することが出来ることを確認した。
【0031】(実験2)次ぎに、加熱処理するための雰
囲気ガスを効率よく供給するよう、雰囲気ガスの供給量
を減量した場合の被処理品の熱処理後の品質に及ぼす影
響を図1に図示した密閉式雰囲気熱処理炉30を用いて
確認した。 ●使用した密閉式浸炭焼き入れ炉10の仕様の概略 前室2:幅900mm、奥行き1200mm、高さ13
50mm 加熱処理室4:直径960mm、長さ940mm 油槽5の油量:1600リットル ●雰囲気ガスの仕様 組成:40容量%N2+60容量%CH3OH 流量:3.0Nm3/時(Nm3/時:標準状態0℃、1
気圧換算の1時間当たりの流量、以下同様)を標準量と
して、順次減量調整 ●スーパーパージライン20の仕様 前室2の出入扉1の解放時と炉内負圧時に作動せしめ安
全を確保した。 流量:窒素ガス15Nm3/時に固定
【0032】上記した仕様、条件のもとにSCM420
H鋼(直径25mm、長さ50mm)を、雰囲気ガスの
使用量3.0、2.1、1.5、0.9Nm3/時に変化せ
しめて浸炭焼き入れ処理をした。そしてその結果を、図
3に各雰囲気ガス量での熱処理での処理品の表面よりの
深さ(mm)を横軸にし、ビッカース硬度(HV)縦軸
に表示して、深さに対する浸炭効果を確認した。また、
図4に前記変化せしめた各雰囲気ガス量における各処理
工程[前室搬入]、[加熱処理室搬入]、[油槽へ]、
[炉外へ搬出]での前室2内の酸素濃度(容量%)の状
態を図示し、安全性について確認した。
【0033】図3から明らかなように、雰囲気ガス量を
0.9Nm3/時(標準量3.0Nm3/時の30%)まで
減量しても、浸炭効果には何等影響はなく、十分浸炭効
果が得られていることが確認された。しかし、図4に図
示されている如く、雰囲気ガス量を減量して行くと、ス
ーパーパージラインによって窒素ガスを供給しても、上
記流量の供給では各処理工程で前室2内の酸素濃度が上
昇する。特に加熱処理室への搬入時の酸素濃度増加は著
しく、危険性が増し、雰囲気ガス量1.5Nm3/時では
酸素濃度は1.25容量%となり、雰囲気ガス量0.9N
3/時にいたっては酸素濃度は約2容量%となり、い
ずれも警戒領域に入り安全性に問題があることが確認さ
れた。
【0034】以上の実験に基づいて、加熱熱処理におい
て雰囲気ガスの使用量は標準とされている量の30%に
減少せしめても、被処理金属の熱処理効果は十分に達成
し得ることが判明したが、しかしながら雰囲気ガス量を
減少せしめると前室の酸素濃度が増加上昇し安全性に問
題が生じてくることも判明した。そこで、この酸素濃度
の増加上昇を抑制するため、スーパーパージライン20
よりの窒素等の不活性ガスの供給量を流路Aで20Nm
3/時以上とし、流路Bで40Nm3/時以上として前室
2に供給するようにした。これを以下の実施例1および
実施例2に示す。
【0035】(実施例1)上記した実験2の結果に基づ
き、本発明の密閉式雰囲気熱処理炉30により被処理金
属を熱処理した。 ●使用した密閉式浸炭焼き入れ炉10の仕様の概略 実験2で使用した炉と同一仕様 ●雰囲気ガスの仕様 組成:40容量%N2+60容量%CH3OH 流量:1.5Nm3/時(標準量3.0Nm3/時の50
%) ●スーパーパージライン20の仕様 ガス:窒素ガス 流量:流路A…20Nm3/時、流路B…40Nm3/時 作動:・前室2の出入扉1の解放時に流路A開作動 ・前室2内負圧時に流路B開作動 このような条件下でSCM420H鋼(直径25mm、
長さ50mm)を浸炭処理した。処理時間は5時間を要
した。その結果として表1に、処理工程におけるスーパ
ーパージライン20の流路Aと流路Bの作動による窒素
ガス供給時間(秒)と前室2の酸素濃度(容量%)、お
よび窒素ガス総供給量(Nm3:標準状態0℃、1気圧
換算の容量、以下同様)並びに雰囲気ガス総供給量(N
3)を表示した。
【0036】
【表1】
【0037】表1で明らかなように、前室2の酸素濃度
はいずれの工程においても0.95容量%以下の安全領
域を保持していた。これは、スーパーパージラインの流
路Aおよび流路Bが有効に作動して窒素ガスを前室2に
供給していることを示している。なお出入扉1の解放時
作動する流路Aでの窒素ガス供給時間の合計は125秒
でその供給量は0.69Nm3、前室2の負圧時に作動す
る流路Bでの窒素ガスの供給時間は合計で87秒であ
り、窒素ガスの量は0.97Nm3となり両方の流路で使
用した窒素ガス総供給量は1.66Nm3となった。一
方、雰囲気ガスは標準量の3.0Nm3/時の50%の
1.5Nm3/時の流量で5時間の使用量7.5Nm3で十
分満足し得る熱処理が出来ることが確認し得た。即ち、
スーパーパージライン20の2つの流路A、Bで1.6
6Nm3の窒素ガスを前記所定の処理工程の適切な時に
前室2に流すことにより、高価な雰囲気ガス量を7.5
Nm3となし得て、標準の使用量15Nm3の50%に減
量することが出来た。
【0038】(実施例2)更に、雰囲気ガス量を減量
し、標準の流量3.0Nm3/時の30%の0.9Nm3
時を供給し、スーパーパージライン20の作動による窒
素ガスの前室2への供給量を、出入扉1の解放時に作動
する流路Aでは40Nm3/時の流量とし、前室2の負
圧時に作動する流路Bでは50Nm3/時の流量とし
た。その他は実施例1と同様な条件で、SCM420H
鋼(直径25mm、長さ50mm)を5時間に亙って浸
炭処理した。その結果を実施例1の表1に表示したのと
同様な事項について表2に表示する。
【0039】
【表2】
【0040】表2で明らかなように、各処理工程におい
ても前室2の酸素濃度は0.95容量%以下の安全領域
が保持されており、スーパーパージラインの流路Aおよ
び流路Bが所望通りに有効に作動して窒素ガスを前室2
に供給していることを示している。そして、出入扉1の
解放時作動する流路Aでの窒素ガス供給時間の合計は1
25秒でその供給量は1.39Nm3、前室2の負圧時に
作動する流路Bでの窒素ガスの供給時間は合計で54秒
であり、窒素ガスの量は0.75Nm3となり両方の流路
で使用した窒素ガス総供給量は2.14Nm3となった。
一方、雰囲気ガスは標準量の3.0Nm3/時の30%の
0.9Nm3/時の流量で、5時間の使用量4.5Nm3
で十分満足し得る熱処理が出来ることが確認し得た。即
ち、スーパーパージライン20の流路A、およびBで
2.14Nm3の窒素ガスを、所定の工程での適切な時に
前室2に流すことにより、高価な雰囲気ガス量を4.5
Nm3の供給量となし得て、標準の供給量15Nm3(標
準の流量3.0Nm3/時で5時間)の70%減量するこ
とが出来た。
【0041】
【発明の効果】本発明は以上説明したような形態で実施
され、以下のような効果を奏する。密閉式雰囲気熱処理
炉を形成する熱処理炉内に空気が侵入しないように、炉
内圧力を正圧に保持するため、不活性ガスを供給するス
ーパーパージラインを設けるとともに、該スーパーパー
ジラインを熱処理炉の前室への出入扉の開放時と、前室
の負圧時との、外気の侵入し易い状態を区分し、これら
の区分した状態に対応して作動し、各々特定した流量で
不活性ガスを供給する2つの流路を区分して設けたの
で、極めて効率的に熱処理炉内圧力を正圧に保持し、前
室への外気の流入を防止し、前室の酸素濃度を燃焼(爆
発)範囲濃度以下に常に保持して安全に運転することが
出来る。
【0042】その上、熱処理雰囲気ガスの燃焼(爆発)
限界値の酸素濃度を0.95容量%以下の値と理論的に
明確にして、熱処理炉内の負圧の発生を防止を確実に
し、かつ炉内の酸素濃度を前記酸素濃度以下に保持可能
として、より一層安全度を高めるとともに、雰囲気がガ
スの使用量を減じても安全を保持しかつ熱処理効果をも
保持可能とするよう、前記スーパーパージライン(流路
Aおよび流路B)より炉内に供給する不活性ガスの流量
を適正かつ効率的な値に特定し得たものである。そし
て、従来高価な雰囲気ガスを炉内に過剰に送給していた
のを、本発明はこれにより、従来の雰囲気ガス供給量の
30%の量で、同様な熱処理効果を保持した熱処理を可
能とし、かつ安全に運転することが可能となり、操業価
格の低減と保安上の安全性の確保が一挙に達成し得る効
果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の密閉式雰囲気熱処理炉の一例を示す
概略図である。
【図2】 雰囲気ガスの燃焼(爆発)限界の酸素濃度を
求めるための窒素(N)ー燃焼混合ガス(F)ー酸素
(O)の3成分組成の三角座標グラフである。
【図3】 雰囲気ガス量の差による熱処理した処理品の
表面よりの深さとビッカース硬度との関係を示すグラフ
である。
【図4】 雰囲気ガス量の差による各処理工程における
前室内の酸素濃度を示すグラフである。
【図5】 従来の密閉式浸炭焼き入れ炉の概略図であ
る。
【図6】 密閉式浸炭焼き入れ炉の処理工程における炉
内の圧力変動を示す状態図である。
【符号の説明】
1…出入扉、 2…前室、 3…仕切扉、 4…加熱処
理室、 5…油槽、6…雰囲気ガス用配管、 7…ファ
ン、 8…被処理品、 9…排気管、10…密閉式浸炭
焼き入れ炉、 11…排気ダクト、12…搬出入テーブ
ル、 13…フレームカーテン、20…スーパーパージ
ライン、 21…不活性ガス容器、 G…不活性ガス、
22…フィルター、 23…一次減圧弁、 24…圧力
スイッチ、25a、25b…流量調節弁、 26a、2
6b…電磁弁、 28…配管、30…密閉式雰囲気熱処
理炉

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被処理品を所定のガス雰囲気下で高温で
    加熱処理するための雰囲気ガス供給用配管が配設された
    加熱処理室に、開閉手段を備えた仕切扉を介して、被処
    理品の出し入れと外気を遮断するするための開閉手段を
    備えた出入扉を有する前室を連設してなる密閉式雰囲気
    熱処理炉において、前記出入扉の開放時に不活性ガスを
    所定流量で流通せしめる流路と前記前室内の圧力が負圧
    の時に不活性ガスを所定流量で流通せしめる流路とを併
    設してなる不活性ガス供給用配管を、前記前室に連結し
    て設けてなることを特徴とする密閉式雰囲気熱処理炉。
  2. 【請求項2】 被処理品を所定のガス雰囲気下で高温で
    加熱処理するための雰囲気ガス供給用配管が配設された
    加熱処理室に、開閉手段を備えた仕切扉を介して、被処
    理品の出し入れと外気を遮断するための開閉手段を備え
    た出入扉を有する前室を連設してなる密閉式雰囲気熱処
    理炉において、前記前室に不活性ガス供給用配管を設け
    て、前記出入扉の開放時および前記前室内の圧力が負圧
    の時に不活性ガスを前室内に供給して、前室内の酸素濃
    度を0.95容量%以下に保持することを特徴とする密
    閉式雰囲気熱処理炉の運転方法。
  3. 【請求項3】 雰囲気ガスが窒素ガスにメタノールを5
    0容量%以上100容量%未満混合してなることを特徴
    とする請求項2に記載の密閉式雰囲気熱処理炉の運転方
    法。
  4. 【請求項4】 出入扉の開放時の前室内への不活性ガス
    供給量を20Nm3/時以上とすることを特徴とする請
    求項2または請求項3のいずれかに記載の密閉式雰囲気
    熱処理炉の運転方法。
  5. 【請求項5】 前室内の圧力が負圧の時の前室内への不
    活性ガス供給量を40Nm3/時以上とすることを特徴
    とする請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載の密
    閉式雰囲気熱処理炉の運転方法。
JP29012797A 1997-10-22 1997-10-22 密閉式雰囲気熱処理炉とその運転方法 Withdrawn JPH11124621A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008208420A (ja) * 2007-02-26 2008-09-11 Dowa Thermotech Kk 熱処理方法及び熱処理設備

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