JP2009046700A - 熱処理方法及び熱処理設備 - Google Patents

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Abstract

【課題】被処理体の熱処理を簡単な制御で効率的に行えるようにする。
【解決手段】被処理体を浸炭室において浸炭処理し、その後、浸炭処理が行われた被処理体を、降温室に移動させ、降温室において拡散処理と降温処理を行うようにした。また、降温室の雰囲気温度を第一の処理温度にした状態で、拡散処理を行い、降温室の雰囲気温度を第一の処理温度よりも低い第二の処理温度に低下させて、降温処理を行うようにした。拡散処理が行われる際の降温室のカーボンポテンシャルは、浸炭室のカーボンポテンシャルよりも低くした。
【選択図】図3

Description

本発明は、例えば鋼材等の被処理体を熱処理する熱処理方法及び熱処理設備に関する。
従来、鋼材等の被処理体を熱処理する熱処理設備の一種として、連続ガス浸炭設備が知られている。かかる連続ガス浸炭設備としては、例えば、予熱処理を行う予熱室、浸炭処理を行う浸炭室、拡散処理を行う拡散室、降温処理を行う降温室(冷却室)、焼入処理を行う焼入室等の処理室を、被処理体の搬送方向においてこの順に並べて設けたものが知られている(特許文献1参照)。また、このような設備においては、各処理室の雰囲気制御(カーボンポテンシャル(CP)、組成、温度等の調節)を行いやすくするため、例えば拡散室と降温室の間、及び、降温室と焼入室の間などに、開閉扉が設けられており、各処理室を開閉扉によって仕切ることができるように構成されている(特許文献1参照)。
このような連続ガス浸炭設備においては、例えば図5に示すように、浸炭室のCPを所定の値(例えば約1.1%程度)にして、浸炭処理を所定時間(例えば約6時間程度)行った後、拡散室のCPを所定の値(例えば約0.8%程度)に低下させ、拡散室において拡散処理を所定時間(例えば約1.5時間程度)行い、その後、降温室において降温処理を行うようにしている。
上記のような複数の処理室を有する設備は、多数の被処理体を効率的に処理することが可能で、生産性が高い利点があるが、設備の規模が比較的大きいため、設備の設置スペースを広く取れない場合には、適用が難しいことがある。そのため、上記の設備よりも小型の連続ガス浸炭設備も開発されている。そのような小型の設備としては、拡散室を省略した4つの処理室、即ち、予熱室、浸炭室(浸炭拡散室)、降温室、焼入室をこの順に並べて設け、予熱室と浸炭室の間、浸炭室と降温室、降温室と焼入室の間に、それぞれ開閉扉を設けたものが提案されている(特許文献2参照)。
このような小型の連続ガス浸炭設備を用いた処理方法としては、例えば図6に示すように、浸炭処理を比較的低いCPで長時間(例えば約9時間程度)行うことにより、浸炭処理の後に拡散処理を行わず、浸炭処理のみで表面炭素濃度を調節する方法(第一の従来方法)がある。なお、この方法では、浸炭処理時の浸炭室のCPを高くしすぎると、浸炭が過剰に進み、表面炭素濃度を調節することが難しくなるため、浸炭処理における浸炭室のCPは、標準的な連続ガス浸炭設備における浸炭処理のCPよりも低い値、例えば約0.9%程度に調節される。また、特許文献2には、浸炭室のCPを浸炭反応域(約1.2%程度)と拡散反応域(約0.4%程度)との間で、正弦波状に時間変化させながら処理する方法(第二の従来方法)も提案されている。
特開平11−1759号公報 特開平11−181516号公報
しかしながら、従来の熱処理方法にあっては、小型の連続ガス浸炭設備などにおいて、被処理体の熱処理を簡単な制御で効率的に行うことが難しい問題があった。例えば上記の第一の従来方法を用いた場合では、浸炭処理に長時間を要し、生産性を向上させることができない問題があった。また、第二の従来方法を用いた場合では、CPの制御が複雑になり、CPを所望の値に正確に調節すること、ひいては、処理効果の信頼性を確保することが難しい懸念があった。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、被処理体の熱処理を簡単な制御で効率的に行うことができる熱処理方法及び熱処理設備を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明によれば、被処理体を熱処理する熱処理方法であって、被処理体を浸炭室において浸炭処理し、前記浸炭処理が行われた被処理体を降温室において拡散処理し、前記拡散処理が行われた被処理体を前記降温室において降温処理することを特徴とする、熱処理方法が提供される。
この熱処理方法にあっては、前記降温室の雰囲気温度を第一の処理温度にした状態で、前記拡散処理を行い、前記降温室の雰囲気温度を前記第一の処理温度よりも低い第二の処理温度に低下させ、前記降温処理を行うようにしても良い。
また、前記拡散処理が行われる際の前記降温室のカーボンポテンシャル、及び、前記降温処理が行われる際の前記降温室のカーボンポテンシャルは、前記浸炭処理が行われる際の前記浸炭室のカーボンポテンシャルよりも低くしても良い。
また、前記被処理体を前記降温処理した後、焼入れ処理しても良い。さらに、前記被処理体を前記浸炭処理する前に、予熱室において予熱処理しても良い。その予熱室において、前記被処理体を前記予熱処理した後、一次浸炭処理を行っても良い。
さらに、本発明によれば、被処理体を熱処理する熱処理設備であって、被処理体の浸炭処理を行う浸炭室と、前記浸炭処理が行われた被処理体の拡散処理、及び、前記拡散処理が行われた被処理体の降温処理を行う降温室とを備えることを特徴とする、熱処理設備が提供される。
この熱処理設備にあっては、前記降温室の雰囲気温度を調節する温度調節機構を備えても良い。前記温度調節機構は、前記降温室の雰囲気温度を、被処理体の拡散処理を行うことが可能な第一の処理温度と、前記第一の処理温度よりも低い第二の処理温度とに調節することが可能な構成としても良い。前記降温室の雰囲気温度は、前記拡散処理の間は前記第一の処理温度に調節され、前記降温処理を行う際は前記第二の処理温度に低下させられる構成としても良い。
さらに、前記降温室のカーボンポテンシャルを前記浸炭室のカーボンポテンシャルよりも低い値に調節するカーボンポテンシャル調節機構を備えても良い。前記浸炭室と前記降温室の間を開閉する開閉扉を備えても良い。また、前記降温処理が行われた被処理体の焼入処理を行う油槽室を備えても良い。
本発明によれば、被処理体を降温室において拡散処理することで、被処理体を効率的に処理することができる。即ち、浸炭室における浸炭処理を、高いCPによって行った後、拡散処理を行うことで、被処理体の表面炭素濃度を好適に調節することができ、また、浸炭処理開始から降温処理開始までの処理時間を短縮することができる。また、降温室の雰囲気温度を制御するだけで、被処理体の拡散処理と降温処理を簡単に切り換えて行うことができる。即ち、CPを調節するといった面倒な制御を行うことなく、雰囲気温度に関する簡単な制御を利用して、処理効率の向上を図ることができる。小型の熱処理設備であっても、被処理体の熱処理を簡単な制御で効率的に行えるようになる。
以下、本発明にかかる実施形態を、熱処理設備としての連続ガス浸炭設備1に基づいて、図面を参照しながら説明する。図1に示すように、連続ガス浸炭設備1は、鋼材品である被処理体2をX方向(略水平方向)に沿った搬送方向Dに搬送しながら被処理体2を高温の状態で処理する(予熱処理、浸炭処理、拡散処理、降温処理からなるガス浸炭を行う)熱処理炉3と、被処理体2の油冷(油焼入れ処理)を行う油冷部4と、連続ガス浸炭設備1の各部を制御する制御部5(制御コンピュータ)を備えている。
熱処理炉3の炉体10内には、複数の処理室として、被処理体2の予熱処理(昇温)を行う予熱室11、浸炭処理を行う浸炭室12、浸炭処理後の拡散処理及び降温処理を行う降温室14(拡散降温室)が、入口側から出口側に向かう搬送方向Dにおいてこの順に並べて設けられている。炉体10の入口側には、被処理体2を連続ガス浸炭設備1の外部から炉体10内(予熱室11)に搬入するための搬入口21、及び、搬入口21を開閉する搬入口扉22が設けられている。炉体10の出口側には、被処理体2を炉体10内(降温室14)から搬出して油冷部4(後述する油槽室102)に搬入するための搬入出口25、及び、搬入出口25を開閉する搬入出口扉26が設けられている。
炉体10の内部において、予熱室11と浸炭室12の間、浸炭室12と降温室14の間には、壁体31、32(仕切壁)がそれぞれ備えられている。即ち、炉体10の内部は2つの壁体31、32によって3つの処理室に仕切られている。各壁体31、32には、被処理体2をX方向に通過させる通過口41、42がそれぞれ開口されている。各通過口41、42は、開閉扉51、52によってそれぞれ開閉される。即ち、予熱室11と浸炭室12の間は開閉扉51によって開閉され、浸炭室12と降温室14の間は開閉扉52によって開閉されるようになっている。このような開閉扉51、52を設け、開閉扉51、52によって各処理室の雰囲気を仕切ることが可能な構成にすると、開閉扉51、52を設けない場合と比較して、各処理室の雰囲気制御を行い易くなる。
搬入出口25は、降温室14と油冷部4(後述する油槽室102)との間に設けられている。搬入出口扉26には、降温室14側と油冷部4側(後述する油槽室102)とを連通させる連通孔26aが設けられている。
因みに、本実施形態においては、予熱室11は、被処理体2を収納する1区画分の大きさに形成されている。浸炭室12は被処理体2を収納する3区画分をX方向において一列に並べることができる大きさに形成されている。即ち、搬送方向Dにおいて浸炭室12の上流側、浸炭室12の中央部、浸炭室12の下流側に、被処理体2を収納する区画をそれぞれ1区画ずつ配置できるように構成されている。降温室14は被処理体2を収納する1区画を配置できる大きさに形成されている。
また、熱処理炉3には、被処理体2を搬送する搬送機構としてのローラコンベア55、炉体10内の雰囲気を攪拌する攪拌機構56(ファン)、炉体10内の雰囲気を加熱するヒータ57(図2参照)、炉体10内のCP(カーボンポテンシャル)を検出するためのCP検出用センサ61(図2参照)が設けられている。
図1に示すように、ローラコンベア55は、複数のローラ55aを備えている。ローラ55aは、炉体10の下部においてX方向に並べて設けられており、各ローラ55aの上面に被処理体2を載せて搬送するように構成されている。攪拌機構56は、予熱室11、浸炭室12、降温室14の天井部にそれぞれ設けられている。
ヒータ57(図2参照)は、予熱室11、浸炭室12、降温室14にそれぞれ設けられている。各ヒータ57は、例えばラジアントチューブヒータ等であっても良い。また、各ヒータ57(発熱体部分)は、炉体10の内側面(即ち、ローラコンベア55による被処理体2の搬送経路の両側)に沿って、X方向において複数本並べて設けられている。さらに、各ヒータ57は、制御部5の制御命令に従って出力(発熱量)が調節されるように構成されている。また、各ヒータ57の出力、即ち、予熱室11の温度、浸炭室12の温度、降温室14の温度は、それぞれ個別に調節できるようになっている。
CP検出用センサ61は、例えば酸素センサであり、予熱室11、浸炭室12、降温室14にそれぞれ設けられている。各CP検出用センサ61の検出信号は、制御部5に送信され、これにより、制御部5が予熱室11の処理雰囲気のCP、浸炭室12の処理雰囲気のCP、降温室14の処理雰囲気のCPをそれぞれ検知できるように構成されている。なお、CPとは、処理雰囲気の平衡炭素濃度を示す値である。
さらに、図1に示すように、熱処理炉3には、炉体5内に各種ガスを供給するガス供給路として、例えば都市ガスなどの炭化水素系のガス(C)をエンリッチガスとして供給するエンリッチガス供給路71、変成ガスとしてのRXガス(例えばCO、CO、H、N等を含有するガス)を供給するRXガス供給路72、空気を供給する空気供給路73、窒素ガス(N)を供給する窒素ガス供給路74が接続されている。また、炉体10内の排気を行うエキセス81(入口側排気機構)が設けられている。
エンリッチガス供給路71は、例えば浸炭室12、降温室14にエンリッチガスを供給するように配設されている。RXガス供給路72は、例えば予熱室11、浸炭室12、降温室14にRXガスを供給するように配設されている。空気供給路73は、例えば予熱室11、浸炭室12、降温室14に空気を供給するように配設されている。窒素ガス供給路74は、例えば予熱室11、浸炭室12、降温室14に窒素ガスを供給するように配設されている。また、これらのガス供給路には、各処理室に供給される各ガスの供給流量を調節するための流量調節弁75がそれぞれ介設されている。各流量調節弁75の開度(即ち、各処理室にそれぞれ供給されるエンリッチガス、RXガス、空気、窒素ガス等の流量)は、制御部5の制御信号によって調節されるようになっている。
エキセス81は、例えば予熱室11の天井部に設けられており、予熱室11内のガスを連続ガス浸炭設備1の外部に排出するようになっている。なお、このエキセス81は、例えば予熱室11が外部の圧力に対して陰圧になった場合等には、予熱室11に対する外気(連続ガス浸炭設備1の外部の雰囲気)の取り入れを行う外気取り入れ路として機能することも可能である。エキセス81の開度、即ち、予熱室11の排ガスの排気量又は外気の流入量は、調節可能にしても良い。
油冷部4は、油冷部筐体101の内部に油槽室102が形成された構成になっており、油槽室102の下部には、オイル(冷却液)を貯留する油槽103が設けられている。また、油冷部4には、被処理体2を油槽室102内で搬送方向Dに搬送、及び、油槽103の上方と油槽103との間でZ方向に昇降移動させる搬送昇降機105(エレベータ)が設けられている。油冷部筐体101の出口側には、被処理体2を油槽室102から連続ガス浸炭設備1の外部に搬出させる油槽室搬出口111と、油槽室搬出口111を開閉する油槽室搬出口扉112が設けられている。
また、油冷部4には、前述したRXガス供給路72と、窒素ガス供給路74が接続されており、RXガス供給路72、窒素ガス供給路74からRXガス、窒素ガスがそれぞれ供給されるようになっている。RXガス供給路72、窒素ガス供給路74には、油槽室102に供給される各ガスの供給流量を調節するための油槽室用流量調節弁115がそれぞれ介設されている。各油槽室用流量調節弁115の開度(即ち、油槽室102に供給されるRXガス、窒素ガス等の流量)は、制御部5の制御信号によって調節されるようになっている。
さらに、油冷部4には、油槽室102の排気を行う排気機構としてのエキセス120(出口側排気機構)が設けられている。エキセス120は、例えば油槽室102の天井部に設けられており、油槽室102内のガスを連続ガス浸炭設備1の外部に排出するようになっている。なお、このエキセス120は、例えば油槽室102が外部の圧力に対して陰圧になった場合等には、油槽室102に対する外気の取り入れを行う外気取り入れ路として機能することも可能である。エキセス120の開度、即ち、油槽室102の排ガスの排気量又は外気の流入量は、調節可能にしても良い。
上述した連続ガス浸炭設備1の各部の機能要素(例えば開閉扉51、52の移動機構、ローラコンベア55、ヒータ57、流量調節弁75、油槽室用流量調節弁115等)は、制御部5の命令によって制御される。制御部5は、例えば汎用コンピュータ、シーケンサ等を備えており、所定の処理レシピに従って被処理体2を自動的に処理する制御を行うように構成されている。即ち、制御部5の制御により、後に詳細に説明する予熱処理工程、浸炭処理工程、拡散処理工程、降温処理工程、油焼入処理工程からなる一連の被処理体処理工程(図3参照)、及び、降温室14の雰囲気温度(処理雰囲気の温度)を降温(低下)させる降温室降温工程、降温室14の雰囲気温度を昇温させる降温室昇温工程(図4参照)を実施できるようになっている。
なお、拡散処理工程は、図4に示すように、降温室降温工程が開始されることにより終了させられ、降温処理工程は、降温室降温工程が開始されることにより開始されるようになっている。降温室昇温工程は、降温室降温工程や降温処理工程の後に行なわれ、次の拡散処理工程が行われる前に終了するように設定されている。
また、制御部5は、図3に示すように、予熱処理工程を1サイクル(単位所要時間)の間に行い、浸炭処理工程を3サイクルの間に行うように設定されている。さらに、図4に示すように、拡散処理工程開始から降温室昇温工程終了までの工程(拡散処理工程、降温処理工程、降温室昇温工程)を、1サイクルの間に行うように設定されている。
1サイクルに要する単位所要時間は、本実施形態においては約2時間20分程度に設定されている。従って、予熱処理工程に要する予熱処理時間(被処理体2が予熱室11に搬入されてから予熱室11から搬出されるまでの間の所要時間)は約2時間20分となっている。浸炭処理工程に要する浸炭処理時間(被処理体2が浸炭室12に搬入されてから浸炭室12から搬出されるまでの間の所要時間)は約7時間(2時間20分×3サイクル)となっている。また、拡散処理工程に要する拡散処理時間は約1時間、降温処理工程に要する降温処理時間は約1時間となっている。即ち、被処理体2が降温室14に搬入されてから降温室14から搬出されるまでの間の所要時間は、約2時間となっている。
さらに、本実施形態においては、予熱室11の雰囲気温度、浸炭室12の雰囲気温度、及び、降温室14の雰囲気温度を調節する温度調節機構131が構成されている。温度調節機構131は、制御部5、予熱室11に備えられたヒータ57、浸炭室12に備えられたヒータ57、降温室14に備えられたヒータ57を有している(図2参照)。
温度調節機構131は、例えば予熱室11の雰囲気温度を、所定の目標値、即ち、予熱処理温度に昇温させる機能を有している。また、予熱室11の雰囲気温度を昇温させることで、予熱室11に収納されている被処理体2の温度を予熱処理温度に昇温させることができる。予熱処理温度は、後述する浸炭処理温度と同程度(例えば約900℃〜950℃程度)であっても良く、本実施形態においては約930℃に設定されている(図3参照)。
また、温度調節機構131は、浸炭室12の雰囲気温度を、被処理体2の浸炭処理を行うことが可能な所定の目標値、即ち、浸炭処理温度に調節する機能を有する。さらに、浸炭室12の雰囲気温度を調節することで、浸炭室12に収納されている被処理体2の温度を浸炭処理温度にすることができる。浸炭処理温度は、例えば約900℃〜950℃程度であっても良く、好ましくは920〜940℃程度であり、本実施形態においては約930℃に設定されている(図3参照)。
さらに、温度調節機構131は、降温室14の雰囲気温度を、2段階の目標値、即ち、被処理体2の拡散処理を行うことが可能な第一の処理温度と、第一の処理温度よりも低く被処理体2の降温処理を行うことが可能な第二の処理温度とに調節することが可能である(図4参照)。即ち、降温室14の雰囲気温度を変化させることで、降温室14に収納されている被処理体2の温度を、第一の処理温度と第二の処理温度に変化させることができる。
第一の処理温度は、標準的な連続ガス浸炭設備において拡散処理を行う際の雰囲気温度(拡散室の温度(拡散処理温度))とほぼ同程度(約900℃〜950℃程度、好ましくは920〜940℃程度)であれば良い。本実施形態においては、第一の処理温度は約930℃、即ち、浸炭処理温度とほぼ同じ値に設定されている(図3、図4参照)。換言すれば、予熱処理工程における予熱室11の雰囲気温度の目標値と、浸炭処理工程における浸炭室12の雰囲気温度の目標値と、拡散処理工程における降温室14の雰囲気温度の目標値は、互いにほぼ同じ値に設定されている。
第二の処理温度は、標準的な連続ガス浸炭設備において降温処理(焼入処理)を行う際の雰囲気温度(降温室の温度(降温処理温度)、焼入室の温度(焼入処理温度))とほぼ同程度(被処理体2のオーステナイト化温度以上)であれば良く、本実施形態においては約850℃に設定されている(図3、図4参照)。
また、温度調節機構131は、図4に示すように、降温室14の雰囲気温度を、第一の処理温度と第二の処理温度に、所定の周期で交互に昇降させるようになっている。より具体的には、降温室14に被処理体2が搬入される際は、降温室14の雰囲気温度を第一の処理温度に調節し、拡散処理工程の間(拡散処理時間、約1時間の間)は、降温室14の雰囲気温度を第一の処理温度に維持するようになっている。そして、拡散処理工程の後、降温室降温工程において、降温室14の雰囲気温度を第一の処理温度から第二の処理温度に低下させる。さらに、降温室降温工程の後も、降温処理工程が終了するまで、降温室14の雰囲気温度を第二の処理温度に維持するように設定されている。そして、降温処理工程の後、降温室昇温工程において、降温室14の雰囲気温度を第二の処理温度から第一の処理温度に上昇させるように設定されている。
また、本実施形態においては、予熱室11のCP、浸炭室12のCP、及び、降温室14のCPを調節するCP調節機構132(カーボンポテンシャル調節機構、図1、図2参照)が構成されている。CP調節機構132は、例えば制御部5、予熱室11に設けられているCP検出用センサ61、浸炭室12に設けられているCP検出用センサ61、降温室14に設けられているCP検出用センサ61、エンリッチガス供給路71に設けられている流量調節弁75、RXガス供給路72に設けられている流量調節弁75、空気供給路73に設けられている流量調節弁75、窒素ガス供給路74に設けられている流量調節弁75を備える構成になっている。
CP調節機構132において、制御部5は、予熱室11、浸炭室12、降温室14にそれぞれ設けられているCP検出用センサ61の検出信号に基づいて、流量調節弁75を操作し、予熱室11、浸炭室12、降温室14に供給される各ガスの流量を調節し、これにより、予熱室11のCP、浸炭室12のCP、降温室14のCPをそれぞれ所定の値に制御(フィードバック制御)するように構成されている。
また、CP調節機構132は、予熱室11のCPを、浸炭室12のCP(第一のCP値)と同程度、あるいはそれ以上のCP値に調節するようになっている(図3参照)。予熱室11のCPは、例えば0.9%以上であることが好ましく、本実施形態においては約1.0%に調節されるように設定されている。
また、CP調節機構132は、浸炭室12のCPを、被処理体2の浸炭処理を行うことが可能なCP値、即ち、第一のCP値(第一のカーボンポテンシャル値)に調節するようになっている(図3参照)。第一のCP値は、例えば0.9%以上であることが好ましく、本実施形態においては約0.95%に調節されるように設定されている。
さらに、CP調節機構132は、降温室14のCPを、浸炭室12のCP(第一のCP値)よりも低い値、即ち、第二のCP値(第二のカーボンポテンシャル値)に調節するようになっている(図3参照)。第二のCP値は、例えば0.9%以下であることが好ましく、本実施形態においては約0.8%に調節されるように設定されている。
次に、以上のように構成された連続ガス浸炭設備1を用いた被処理体2の熱処理方法について説明する。
先ず、被処理体2が搬入される前の連続ガス浸炭設備1においては、予熱室11、浸炭室12、降温室14、油槽室102内の雰囲気(雰囲気温度、圧力、組成、CP等)が、制御部5の制御により、それぞれ所定の処理条件に調節される。例えば、予熱室11の温度は約930℃程度(予熱処理温度)、浸炭室12の温度は約930℃程度(浸炭処理温度)、降温室14の温度は約930℃程度(拡散処理温度)に調節される。また、予熱室11のCP値は約1.0%程度、浸炭室12のCP値は約0.95%程度(第一のCP値)、降温室14のCP値は約0.8%程度(第二のCP値)に調節される。即ち、炉体10内の温度は、X方向においてほぼ均一な温度に調節され、炉体10内のCPは、搬入出口25側に向かうに従い次第に低くなるように調節される。
予熱室11、浸炭室12、降温室14、油槽室102の雰囲気の調節は、制御部5の制御により、ヒータ57の発熱量、エンリッチガス供給路71によるエンリッチガスの供給流量、RXガス供給路72によるRXガスの供給流量、空気供給路73による空気の供給流量、窒素ガス供給路74による窒素ガスの供給流量、熱処理炉3のエキセス81による排気量、油冷部4のエキセス120による排気量等がそれぞれ調整されることにより行われる。具体的には、例えば予熱室11、浸炭室12、降温室14の雰囲気温度は、温度調節機構131の機能によって調節される。また、予熱室11、浸炭室12、降温室14のCPは、CP調節機構132の機能によって調節される。
また、熱処理炉3の搬入口21、通過口41、42、搬入出口25、油冷部4の油槽室搬出口111は、搬入口扉22、開閉扉51、52、搬入出口扉26、油槽室搬出口扉112によってそれぞれ閉じられている。このように予熱室11と浸炭室12の間に開閉扉51を備えることで、予熱室11と浸炭室12の間においてガスが過剰に移動することを抑制でき、予熱室11のCPと浸炭室12のCPを互いに異なる値に調節し易くなる。浸炭室12と降温室14の間に開閉扉52を備えることで、浸炭室12と降温室14の間においてガスが過剰に移動することを抑制でき、浸炭室12のCPと降温室14のCPを互いに異なる値に調節し易くなる。
なお、通過口41、42は、完全には密閉されておらず、例えば開閉扉51、52の上方等には、炉体5内のガスが通過可能な隙間が形成される。また、降温室14と油槽室102は、連通孔26aを通じて互いに連通している。従って、浸炭室12や降温室14内のガスは、予熱室11、エキセス81を通じて外部に排気することができ、また、連通孔26a、油槽室102、エキセス120を通じて外部に排気することができる。このように適度に排気を行うことが可能な状態にしながら、各ガスを供給することで、予熱室11の処理雰囲気、浸炭室12の処理雰囲気、降温室14の処理雰囲気を、それぞれ適切に調節できる。
以上のように、連続ガス浸炭設備1内の雰囲気が所定の処理条件に調節された状態において、熱処理炉3の搬入口21が開かれ、被処理体2が搬入口21を通じて予熱室11に搬入され、搬入口21が閉じられる。
こうして被処理体2が熱処理炉3に搬入されると、先ず、予熱処理工程が開始される。即ち、浸炭室12から開閉扉51によって遮断された状態の予熱室11において、被処理体2が予熱処理される。かかる予熱処理により、被処理体2の温度は、予熱室11に搬入される前の常温から、予熱室11の雰囲気温度、即ち、約930℃程度まで昇温される。この予熱処理に要する時間は、約1時間程度であり、昇温後、予熱室内においても一次浸炭処理が行われる。なお、予熱室11のCPは、昇温完了後約1.0%程度に維持される。ただし、予熱室内での浸炭処理は必須ではなく、1サイクルの時間を長くすれば、予熱室内で浸炭処理する必要はない。本例のように予熱室内で一次浸炭処理を行うことにより、1サイクルの時間を短くでき、より効率的に処理できる。
予熱室11内の被処理体2の予熱処理が終了すると、通過口41が開かれ、予熱処理が終了した被処理体2は、通過口41を通じて予熱室11から搬出され、浸炭室12に搬入される。被処理体2が浸炭室12に搬入されると、通過口41が閉じられ、予熱室11と浸炭室12が開閉扉51によって遮断された状態になる。そして、浸炭処理工程が開始される。即ち、被処理体2が浸炭室12において浸炭処理される。
なお、被処理体2が予熱室11から浸炭室12に移動させられた後は、次の未処理の被処理体2を搬入口21から予熱室11に搬入し、続けて予熱処理することができる。即ち、熱処理炉3では、複数の被処理体2を並行して連続的に処理することができる。
浸炭処理工程においては、浸炭室12に搬入された被処理体2は、浸炭室12において周期的に移動させられながら浸炭処理される。この浸炭処理に要する時間は、約7時間程度である。
浸炭室12内の被処理体2は、1サイクルごとに1区画分だけ、搬送方向Dに移動させられる。従って、浸炭室12に被処理体2が搬入されてから単位所要時間(約2時間20分)が経過すると、先に搬入された被処理体2(浸炭室12の上流側に配置されていた被処理体2)は、搬送方向Dに1区画分だけ移動させられ、浸炭室12の中央部に配置される。そして、次の被処理体2(予熱処理が行われた被処理体2)を、予熱室11から浸炭室12に搬入し、先に浸炭室12に搬入されている被処理体2に対して並ぶ位置(浸炭室12上流側)に配置することができる。その後、さらに単位所要時間(約2時間20分)が経過すると、先に搬入された被処理体2(浸炭室12の中央部に配置されていた被処理体2)は、搬送方向Dに1区画分だけ移動させられ、浸炭室12の下流側に配置され、次に搬入された被処理体2(浸炭室12の上流側に配置されていた被処理体2)は、搬送方向Dに1区画分だけ移動させられ、浸炭室12の中央部に配置される。そして、その次の被処理体2(予熱処理が行われた被処理体2)を、予熱室11から浸炭室12に搬入し、先に浸炭室12に搬入されている被処理体2に対して並ぶ位置(浸炭室12の上流側)に配置することができる。こうして、2区画分以上(3区画分以下)の被処理体2を浸炭室12内に並べ、並行して浸炭処理することができる。
なお、浸炭処理工程においては、浸炭室12の雰囲気温度は、約930℃程度に維持され、浸炭室12のCPは、約0.95%程度に維持される。このような高温、高CPの処理雰囲気により、浸炭を好適に進行させることができる。即ち、被処理体2の浸炭処理を効率的に行うことができる。
浸炭室12内の被処理体2(浸炭室12の下流側に配置されている被処理体2)の浸炭処理が終了すると、通過口42が開かれ、浸炭処理が終了した被処理体2は、通過口42を通じて浸炭室12の下流側から搬出され、降温室14に搬入される。被処理体2が降温室14に搬入されると、通過口42が閉じられ、浸炭室12と降温室14が開閉扉52によって遮断された状態になる。そして、拡散処理工程が開始される。即ち、浸炭室12から開閉扉52によって遮断され、かつ、油槽室102から搬入出口扉26によって遮断された状態の降温室14において、被処理体2が拡散処理される。この拡散処理に要する時間は、約1時間程度である。
なお、拡散処理工程においては、降温室14の雰囲気温度は、約930℃程度に維持され、降温室14のCPは、約0.8%程度に維持される。かかる処理雰囲気により、被処理体2は効率的に拡散処理される。
拡散処理工程が終了すると、続いて、降温室降温工程(図4参照)が行われる。即ち、例えば降温室14に設けられているヒータ57の発熱量が低減されること等により、降温室14の雰囲気温度が、約930℃(第一の処理温度)から時間が経過するに従い次第に低下させられ、約850℃(第二の処理温度)程度まで降温される。また、降温室降温工程が開始されることにより、被処理体2の拡散処理工程が終了させられ、降温処理工程が開始される。即ち、被処理体2の温度が、降温室14の雰囲気温度の降温に伴って、約930℃から約850℃に、時間が経過するに従い次第に低下させられる。そして、降温室降温工程が終了した後は、降温室14の雰囲気温度と被処理体2の温度は、暫くの間、約850℃程度に保持される。即ち、被処理体2の降温処理工程が継続され、被処理体2の均熱処理が行われる。この降温処理工程に要する時間は、約1時間程度である。
なお、降温室降温工程により、降温室14の雰囲気温度が約850℃に低下させられる間、及び、降温処理工程が行われる間も、浸炭室12と降温室14の間は、開閉扉52によって仕切られた状態になっている。このようにすると、浸炭室12と降温室14を開閉扉52によって熱的に良好に遮断できる。従って、開閉扉52を設けない場合と比較して、浸炭室12の雰囲気温度と降温室14の雰囲気温度を、それぞれ個別に制御し易くなる。即ち、降温室降温工程によって浸炭室12の雰囲気温度と降温室14の雰囲気温度に温度差が生じても、浸炭室12の熱が降温室14に逃げること等を防止できる。そのため、浸炭室12の雰囲気温度を好適に維持でき、また、浸炭室12の加熱効率が低下することを防止できる。さらに、降温室14の降温効率を向上させることができる。即ち、降温室降温工程を効率的に行い、被処理体2の温度を効率的に低下させることができる。降温室降温工程後は、降温室14の雰囲気温度を好適に維持できる。
拡散処理工程、降温処理工程が行われる間、被処理体2は降温室14において停止させられたまま保持される。即ち、被処理体2を互いに異なる処理室の間で移動させることなく、同一の処理室で連続的に処理することができる。従って、被処理体2の移動に要する時間を削減でき、効率的に処理することができる。
降温処理工程においても、降温室14のCPは、約0.8%程度に維持される。即ち、降温室14においては、降温室14のCPを増減させることなく、降温室14の雰囲気温度を変化させることだけで、被処理体2の拡散処理工程が行われる状態と降温処理工程が行われる状態とが切り換えられる。このように、CPの面倒な制御を行うことなく、雰囲気温度の調節のみによって処理工程を切り換えるようにすると、処理雰囲気の制御が簡単になり、処理工程を好適に切り換えることができる。
降温処理工程が終了すると、搬入出口25が開口され、油槽室102が降温室14に対して連通させられる。そして、降温処理された被処理体2が、搬入出口25を通じて降温室14から油槽室102に移動させられ、搬送昇降機105上に受け渡される。以上のようにして、熱処理炉3に搬入された被処理体2は、ローラコンベア55によって、予熱室11、浸炭室12、降温室14に順次搬送され、予熱室11における予熱処理、浸炭室12における浸炭処理、降温室14における拡散処理および降温処理がこの順に施される。
被処理体2が降温室14から油槽室102に搬入されると、搬入出口扉26によって搬入出口25が閉じられ、油焼入処理工程が開始される。即ち、被処理体2が油冷部4において油焼き入れされる。
一方、降温処理工程の後(被処理体2が降温室14から油槽室102に搬出させられた後、次の被処理体2が浸炭室12から降温室14に搬入される前までの間)、降温室14においては、降温室昇温工程が行われる(図4参照)。即ち、降温室14に被処理体2が存在しない状態において、例えば降温室14に設けられているヒータ57の発熱量が増加されること等により、降温室14の雰囲気温度が約850℃程度から次第に上昇させられ、再び約930℃程度まで昇温される。
降温室昇温工程が終了すると、次の被処理体2を浸炭室12から降温室14に搬入し、続けて拡散処理することができる。なお、被処理体2が降温室14に搬入されてから(拡散処理工程が開始されてから)降温室昇温工程が終了するまでに要する時間は、約2時間20分程度である。即ち、拡散処理工程、降温処理工程、降温室昇温工程は、1サイクルの間に行われる。つまり、降温室14の雰囲気温度は、次の被処理体2の浸炭処理工程が行われている間(次の被処理体2の浸炭処理工程が終了する前)に、拡散処理可能な温度に戻される。従って、次の被処理体2の浸炭処理が終了した後、当該被処理体2を直ちに降温室14に搬入して、続けて拡散処理することができる。このように、被処理体2の浸炭処理、拡散処理を連続的に行うことで、各被処理体2を適切な処理時間で効率的に処理することができる。
一方、油冷部4における油焼入処理工程においては、被処理体2は搬送昇降機105の作動によって下降させられ、油槽103に貯留されているオイルに浸漬させられ、油冷される。即ち、降温室14において約850℃程度(オーステナイト化温度以上)の高温の状態で均熱処理された被処理体2が、オイルによってマルテンサイト化温度以下(例えば約130℃〜160℃程度)に冷却されることにより、被処理体2に焼入れが施される。
その後、搬送昇降機105の作動により、被処理体2が引き上げられ、油槽103から取り出される。そして、油槽室搬出口111が開口され、油槽室搬出口111を通じて油槽室102から搬出される。こうして、油焼入処理工程が終了し、連続ガス浸炭設備1における被処理体2に対する一連の熱処理が終了する。
なお、油焼き入れ処理工程は、1サイクルの間に行うようにしても良い。即ち、降温室14において次の被処理体2に対する降温処理工程が終了する前に(次の被処理体2に対する拡散処理工程、降温室降温工程、降温処理工程が行われる間に)、並行して実施されるようにすると良い。そうすれば、被処理体2が油槽室102から搬出された後、次の被処理体2(降温処理が終了した被処理体2)を降温室14から油槽室102に搬入し、続けて油焼入れ処理することができ、効率的である。被処理体2の降温処理、油焼入処理を連続的に行うことで、各被処理体2を適切な処理時間で効率的に処理することができる。
以上説明したように、かかる連続ガス浸炭設備1にあっては、被処理体2を降温室14において拡散処理することで、被処理体2を効率的に処理することができる。即ち、浸炭室12における浸炭処理を、高いCPを有する処理雰囲気によって効率的に行うことができるため、浸炭処理時間を短くすることができる。さらに、浸炭処理の後、拡散処理を行うことで、被処理体2の表面炭素濃度を確実に調節できる。即ち、被処理体2の表面炭素濃度が過剰になること、処理品質が低下することを防止できる。小型の連続ガス浸炭設備1においても、被処理体2の熱処理を効率的に行うことができる。
また、浸炭処理と拡散処理を組み合わせることで、予熱処理終了(浸炭処理開始)から降温処理開始までの処理時間(図3においては、浸炭処理時間(約7時間)+拡散処理時間(約1時間)=約8時間)を、拡散処理を行わない場合(浸炭処理を低いCPで長時間行うことにより拡散処理を行わずに被処理体2の表面炭素濃度を調節する場合、図6参照)における予熱処理終了から降温処理開始までの処理時間(図6においては、浸炭処理時間=約9時間)よりも短縮することができる。また、1サイクルの時間(図3においては約2時間20分)を、拡散処理を行わない場合における1サイクルの時間(図6においては約3時間)よりも短縮することができる。ひいては、連続ガス浸炭設備1に被処理体2を搬入してから搬出するまで(予熱処理開始から油焼き入れ処理終了まで)の、連続ガス浸炭設備1における全体の処理時間を短縮できる。従って、連続ガス浸炭設備1の処理効率、生産性を高めることができる。
なお、上記の実施形態では、1サイクルの時間を、拡散処理を行わない場合における1サイクルの時間に対して、約22%((3時間−2時間20分)/3時間×100)短縮させることができる。換言すれば、予熱処理終了から降温処理開始までの工程の生産性を、約22%向上させることができる。即ち、被処理品は、熱処理設備から2時間20分ごとに搬出され、その分生産性が向上する。
さらに、予熱処理終了から降温処理開始までの処理効率を向上させることで、RXガス、エンリッチガス等のガスの供給量を抑制できる。即ち、少ない消費量で効率的に処理できるようになる。従って、RXガス、エンリッチガス等のガスに要するコストの削減を図ることができる。
また、拡散処理と降温処理を同一の処理室(降温室14)で行うため、被処理体2を拡散室から降温室に搬送したり、拡散室と降温室の間に設けた開閉扉を開閉させたりといった動作を行うことなく、降温処理を迅速に開始させることができる。さらに、開閉扉の開閉が少ないことにより、各処理室の雰囲気や温度の乱れを抑制することができる。そのため、フィードバック制御の負担が低減し、フィードバック制御に使用されるガスや電気などの費用を削減することができる。
さらに、開閉扉51、52を設けることで、各処理室の雰囲気制御を確実かつ効率的に行うことができる。即ち、RXガス、エンリッチガス等のガスの供給量をより効果的に抑制できるとともに、例えばヒータ57の発熱量を有効に利用して、各処理室の雰囲気温度を効率的に制御できる。従って、例えばヒータ57の稼動コスト(電気代等)等の削減も図ることができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到しうることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば以上の実施形態では、熱処理設備は被処理体2の連続浸炭処理を行う連続ガス浸炭設備であるとし、被処理体は鋼材であるとしたが、これらはかかるものに限定されず、本実施形態は、様々な熱処理を行う熱処理設備において適用できる。例えば、被処理体は鉄系合金以外の他の合金、金属材料からなるものであっても良い。
また、予熱室11に収容可能な被処理体2の個数、浸炭室12に収容可能な被処理体2の個数、降温室14に収容可能な被処理体2の個数も、以上の実施形態に示したものには限定されない。例えば予熱室11や降温室14に、2以上の被処理体2を並べて収容できる構成にしても良い。浸炭室12には2以下あるいは4以上の被処理体2を収容するように構成しても良い。
温度調節機構131やCP調節機構132の構成も、以上の実施形態に示したものに限定されない。例えばヒータ57の種類やCP検出用センサ61の種類は、以上の実施形態に示したものに限定されない。また、温度調節機構131は、予熱室11、浸炭室12、降温室14にそれぞれ設けられているヒータ57の発熱量を調節することで、予熱室11、浸炭室12、降温室14の雰囲気温度を調節する構成としたが、かかる構成には限定されず、例えば、予熱室11の雰囲気を冷却する冷却路、浸炭室12の雰囲気を冷却する冷却路、あるいは、降温室14の雰囲気を冷却する冷却路を備える構成にしても良い。即ち、冷却路を炉体10の壁部(予熱室11を構成する部分、浸炭室12を構成する部分、降温室14を構成する部分)またはヒーターチューブ内にそれぞれ内蔵し、各冷却路に冷媒(エアまたは冷却水)をそれぞれ通過させることで、予熱室11、浸炭室12、降温室14をそれぞれ個別に冷却できるようにしても良い。例えば降温室降温工程においては、降温室14を冷却させる冷却路における冷媒の流量を増加させることにより、降温室14の雰囲気温度を低下させるようにしても良い。
また、各処理室に対するガス供給路の配設の態様、各処理室に供給されるガスの種類等も、以上の実施形態には限定されない。例えば窒素ガスに代えて、他の不活性ガス、例えばアルゴンガス(Ar)等を含むガスを使用しても良い。
さらに、1サイクルの単位所要時間、予熱処理時間、浸炭処理時間、拡散処理時間、降温処理時間、油焼入処理時間、予熱処理温度、浸炭処理温度、第一の処理温度(拡散処理温度)、第二の処理温度(降温処理温度)、予熱室11のCP、浸炭室12のCP(第一のCP値)、降温室14のCP(第二のCP値)等の値も、以上の実施形態に例示したものには限定されない。
本発明は、例えば鋼材等の浸炭処理等を行う熱処理方法及び熱処理設備に適用できる。
本実施形態にかかる連続ガス浸炭設備の概略縦断面図である。 本実施形態にかかる連続ガス浸炭設備の概略縦断面図である。 連続ガス浸炭設備において被処理体に対して行われる処理工程、被処理体の温度変化、被処理体を処理する処理雰囲気のCPの関係を示すグラフである。 降温室において行われる工程と、降温室の雰囲気温度の変化の関係を示すグラフである。 従来の標準的な構成の連続ガス浸炭設備において被処理体に対して行われる処理工程、被処理体の温度変化、被処理体を処理する処理雰囲気のCPの関係を示すグラフである。 従来の小型の連続ガス浸炭設備において被処理体に対して行われる処理工程、被処理体の温度変化、被処理体を処理する処理雰囲気のCPの関係を示すグラフである。
符号の説明
1 連続ガス浸炭処理設備
2 被処理体
3 熱処理炉
5 制御部
11 予熱室
12 浸炭室
14 降温室
57 ヒータ
131 温度調節機構
132 CP調節機構(カーボンポテンシャル調節機構)

Claims (11)

  1. 被処理体を熱処理する熱処理方法であって、
    被処理体を浸炭室において浸炭処理し、
    前記浸炭処理が行われた被処理体を降温室において拡散処理し、
    前記拡散処理が行われた被処理体を前記降温室において降温処理することを特徴とする、熱処理方法。
  2. 前記降温室の雰囲気温度を第一の処理温度にした状態で、前記拡散処理を行い、
    前記降温室の雰囲気温度を前記第一の処理温度よりも低い第二の処理温度に低下させ、前記降温処理を行うことを特徴とする、請求項1に記載の熱処理方法。
  3. 前記拡散処理が行われる際の前記降温室のカーボンポテンシャル、及び、前記降温処理が行われる際の前記降温室のカーボンポテンシャルは、前記浸炭処理が行われる際の前記浸炭室のカーボンポテンシャルよりも低くすることを特徴とする、請求項1又は2に記載の熱処理方法。
  4. 前記被処理体を前記降温処理した後、焼入れ処理することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の熱処理方法。
  5. 前記被処理体を前記浸炭処理する前に、予熱室において予熱処理することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の熱処理方法。
  6. 前記予熱室において、前記被処理体を前記予熱処理した後、一次浸炭処理を行うことを特徴とする、請求項5に記載の熱処理方法。
  7. 被処理体を熱処理する熱処理設備であって、
    被処理体の浸炭処理を行う浸炭室と、
    前記浸炭処理が行われた被処理体の拡散処理、及び、前記拡散処理が行われた被処理体の降温処理を行う降温室とを備えることを特徴とする、熱処理設備。
  8. 前記降温室の雰囲気温度を調節する温度調節機構を備え、
    前記温度調節機構は、前記降温室の雰囲気温度を、被処理体の拡散処理を行うことが可能な第一の処理温度と、前記第一の処理温度よりも低い第二の処理温度とに調節することが可能な構成とし、
    前記降温室の雰囲気温度は、前記拡散処理の間は前記第一の処理温度に調節され、前記降温処理を行う際は前記第二の処理温度に低下させられる構成としたことを特徴とする、請求項7に記載の熱処理設備。
  9. 前記降温室のカーボンポテンシャルを前記浸炭室のカーボンポテンシャルよりも低い値に調節するカーボンポテンシャル調節機構を備えることを特徴とする、請求項7又は8に記載の熱処理設備。
  10. 前記浸炭室と前記降温室の間を開閉する開閉扉を備えることを特徴とする、請求項7〜9のいずれかに記載の熱処理設備。
  11. 前記降温処理が行われた被処理体の焼入処理を行う油槽室を備えることを特徴とする、請求項7〜10のいずれかに記載の熱処理設備。
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