JPH11107162A - 抗菌防黴剤組成物 - Google Patents

抗菌防黴剤組成物

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JPH11107162A
JPH11107162A JP26387397A JP26387397A JPH11107162A JP H11107162 A JPH11107162 A JP H11107162A JP 26387397 A JP26387397 A JP 26387397A JP 26387397 A JP26387397 A JP 26387397A JP H11107162 A JPH11107162 A JP H11107162A
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antifungal
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salt
copper
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JP26387397A
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Haruyoshi Funae
晴芳 船江
Mitsuo Yoshida
光男 吉田
Yasuo Tsubakii
靖雄 椿井
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Mitsubishi Paper Mills Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】抗菌、防黴の双方に効果的な特定の有機化合物
の金属塩よりなる抗菌防黴剤と水溶性高分子化合物より
なる抗菌防黴剤組成物を提供することにある。 【解決手段】特定の有機化合物の金属塩と水溶性高分子
化合物よりなる、良好な抗菌防黴機能を有する組成物が
得られる。特に、有機化合物が含窒素複素環、硫黄原子
の少なくともいずれかを含有し、金属塩が銀塩、銅塩、
亜鉛塩の2種以上を複合されたものであり、水溶性高分
子化合物がポリビニルアルコール系、セルロース系、澱
粉系であればより好ましい。この抗菌防黴剤組成物を塗
布等で含有した濾材、水切り袋、靴中敷き材も良好な抗
菌防黴機能を有するものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、抗菌防黴剤および
水溶性高分子化合物からなる抗菌防黴剤組成物に関し、
さらに詳しくは、抗菌、防黴の双方に極めて効果的であ
って、しかも高濃度菌汚染にも良好に機能し、耐久性に
優れ、水洗による効果の低下や脱落汚染が少なく、安全
性の高い抗菌防黴剤組成物およびそれを含有する濾材、
靴中敷き材および水切り袋に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ユーザーの清潔志向の高まりを背
景に、抗菌や防黴の機能を備えた各種物品が市場に提供
されている。
【0003】従来から、銀、銅、亜鉛などの無機化合物
金属塩が、抗菌性を有することは良く知られていた。ま
た、ピロール系、ピリジン系、ピリミジン系、イミダゾ
ール系、チアゾール系などの有機化合物が、防黴性を有
することも、また良く知られていたことである。
【0004】しかしながら、一般に無機金属塩は、抗菌
効果はあるものの、防黴効果において劣り、一方、有機
化合物は、防黴効果はあるが、抗菌効果が劣る傾向が大
きく、抗菌・防黴の双方の機能を十分兼備したものは未
だない。
【0005】最近は、抗菌・防黴の双方の機能を持った
物品の要望が一段と高まり、メーカーは、その対応に注
力しているのが実状である。
【0006】これまで、抗菌や防黴の機能を付与する目
的で、抗菌防黴剤、特に無機化合物金属塩を含有する各
種の製品に適用する試みは、数多くなされている。
【0007】特開平7−126432号公報には、チオ
ール基含有化合物が銀イオンに配位してなる錯体を、樹
脂中に分散した抗菌抗かび性樹脂組成物が開示されてい
る。
【0008】特開平7−133444号公報には、抗菌
剤とビヒクルを含有する抗菌性塗料組成物において、前
記抗菌剤が分子内に金属イオンに配位可能な配位基とア
ルコキシシリル基とを有する配位化合物を銀イオン、銅
イオン、亜鉛イオン、錫イオンまたはクロムイオンに配
位させてなる金属錯体である抗菌性塗料組成物が開示さ
れている。
【0009】特開平5−7617号公報には、酸性基を
有するポリマーからなる脱臭素材であって、亜鉛イオ
ン、銅イオン、ニッケルイオン、マンガンイオン、銀イ
オン、鉄イオンからなる群より選ばれた少なくとも一種
の金属イオンで置換された酸性基をグラムポリマー当た
り特定のグラム当量含有させた脱臭素材が開示されてい
る。
【0010】特開平5−214671号公報には、少な
くとも一部が抗菌作用を有する金属イオンと消臭作用を
有するイオンで置換されているイオン交換繊維で構成さ
れている消臭抗菌繊維が開示されている。
【0011】しかしながら、これらいずれの方法におい
ても、抗菌・防黴の双方の機能を十分兼備したものはな
く、特に耐久性などには問題がある。
【0012】有機化合物の重金属塩の抗菌剤は、以前か
ら知られており、例えば米国特許第2809971号明
細書には、1−ヒドロキシ−2−ピリジンチオンの重金
属塩が開示されている。そして、その重金属塩として、
亜鉛塩、マンガン塩、鉄塩、コバルト塩および銅塩がク
レームされている。
【0013】これら有機化合物の重金属塩は、レザー、
紙、塗料に用いられ、特にプラスチックスや織物に対し
て、含浸加工やスプレー加工などによって応用される旨
記載されている。
【0014】また、明細書には、その織物に対して、ピ
リジンチオールで処理し、次いで水溶性の有機化合物の
重金属塩で処理することが記載されている。
【0015】しかしながら、この方法では、初期的効果
は得られても、脱落汚染があったり、洗浄や摩擦などに
より劣化が生じるなど、永続的固化に欠ける嫌いがあ
る。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は有機化
合物の金属塩および水溶性高分子化合物よりなり、抗菌
・防黴双方に極めて効果的で、しかも種々の優れた特性
を具備した抗菌防黴剤組成物(以下、「本発明における
抗菌防黴剤組成物」と呼称することがある)を提供する
ことであり、抗菌・防黴の双方の機能を十分兼備し、長
期にわたって極めて優れた抗菌防黴機能を有する塗料組
成物を提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明は、それ自体防黴
性を有する有機化合物の金属塩である抗菌防黴剤および
水溶性高分子物質からなる抗菌防黴剤組成物である。
【0018】好ましくは、有機化合物が含窒素複素環、
硫黄原子の少なくともいずれかを含有する化合物であ
り、更に好ましくは、含窒素複素環、硫黄原子の少なく
ともいずれかを含有する有機化合物が、ベンズイミダゾ
ール化合物、メルカプトピリジン−N−オキシド化合
物、イソチアゾロン化合物、ベンゾチアゾール化合物も
しくはベンゾチアゾロン化合物から選ばれる少なくとも
1種の化合物である。
【0019】そして、金属塩が銀塩、銅塩、亜鉛塩のい
ずれか1種である。
【0020】好ましくは、 金属塩が銀塩、銅塩、亜鉛
塩の2種以上が複合されたものであり、さらに好ましく
は、金属塩が銀塩、銅塩および亜鉛塩の3種が複合され
たものである。
【0021】さらに、銀塩、銅塩および亜鉛塩3種につ
いて、銀、銅および亜鉛の組成比が、モル比で合計10
0としたときに、それぞれ銀10〜40、亜鉛20〜6
0、残りが銅(ただし、銅が0になることはない)であ
る銀塩、銅塩および亜鉛塩の3種が複合されたものが最
も好ましい。
【0022】また、水溶性高分子化合物が、ポリビニル
アルコール系化合物、セルロース系化合物、澱粉系化合
物から選ばれる少なくとも1種の化合物である。
【0023】また、抗菌防黴剤が粒径0.3μm以上の
粒子を50重量%以上含有しているものである。
【0024】また、有機化合物の金属塩である抗菌防黴
剤および水溶性高分子化合物からなる抗菌防黴剤組成物
を含有した濾材である。
【0025】また、有機化合物の金属塩である抗菌防黴
剤および水溶性高分子化合物からなる抗菌防黴剤組成物
を含有した靴中敷き材である。
【0026】また、有機化合物の金属塩である抗菌防黴
剤および水溶性高分子化合物からなる抗菌防黴剤組成物
を含有した水切り袋である。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。本発明の抗菌防黴剤の有機化合物は
基本的に防黴性を有し、特に以下で例示する含窒素複素
環、硫黄原子の少なくともいずれかを含む化合物から選
択される。
【0028】例えば、ピロール系、ピリジン系、ピリミ
ジン系、ピラゾール系、イミダゾール系、ベンズイミダ
ゾール系、1.3.5−トリアジン系、ヘキサヒドロ−
1.3.5−トリアジン系、トリアゾール系、イソオキ
サゾール系、チアゾール系、ベンゾチアゾール系、チア
ゾロン系、ベンゾチアゾロン系、イソチアゾロン系、ベ
ンゾイソチアゾロン系、テトラヒドロチアジアジンチオ
ン系などを基本骨格とするものが挙げられ、さらに、そ
れらのアルキルアリル誘導体、メルカプト誘導体などが
挙げられるが、なかでも、ベンズイミダゾール化合物、
メルカルトピリジン−N−オキシド化合物、イソチアゾ
ロン化合物、ベンゾチアゾール化合物、ベンゾチアゾロ
ン化合物から選ばれる少なくとも一種の化合物が特に好
ましい。これらの具体例としては、例えば、2−(4−
チアゾリル)−ベンズイミダゾール、2−(カルボメト
キシアミノ)−ベンズイミダゾール、2−メルカルトピ
リジン−N−オキシド、1.2−ベンゾイソチアゾリン
−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾ
リン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3
−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−
オン、1.2−ベンゾチアゾロン、2−(4−チオシア
ノメチルチオ)ベンゾチアゾールなどを挙げることがで
きる。
【0029】また、本発明の抗菌防黴剤の金属塩は銀、
銅、亜鉛、錫、マンガン、コバルト、鉄塩等から選択さ
れる。好ましくは銀、銅、亜鉛塩から選択され、更に2
種以上の複合塩で形成され、特に銀、銅、亜鉛塩の3種
が複合されたものがより好ましい。
【0030】また、本発明の水溶性高分子化合物として
は、ポリビニルアルコール系化合物、天然セルロース系
化合物、再生セルロース系化合物、澱粉系化合物、適度
にイオン変性された合成物質、アルギン酸であっても良
い。
【0031】水溶性高分子化合物が好ましい理由は、そ
れが有する親水基と有機化合物の金属塩とが何らかの弱
い構造を形成して金属塩の分散が安定化し、凝集が起こ
りにくくなると予想される。
【0032】更に本発明の抗菌防黴剤組成物が塗布さ
れ、乾燥された後では水分により金属塩の成分が適度に
表面に移動、徐放することにより継続した良好な抗菌
性、防黴性の効果が得られると予想される。
【0033】耐水性を向上させる為には100℃以上の
温度で乾燥させるのが好ましいが、架橋剤を添加するこ
とで水溶性高分子化合物を適度に架橋させることも可能
である。架橋しすぎると本発明の金属塩の移動が妨げら
れる為に好ましくない。
【0034】水溶性高分子化合物の使用量は有機化合物
の金属塩に対して10重量%以上が好ましい。より好ま
しいのは50重量%以上であるが、600重量%以上で
は有機化合物の金属塩が表面にマイグレートしにくい為
か抗菌防黴の効果が得にくくなる。
【0035】好ましくは水溶性高分子化合物としてポリ
ビニルアルコール系化合物が用いられる。ポリビニルア
ルコールは鹸化度が低いと水可溶性であるが、100%
に近づくと常温の水には不溶性となる為、80℃以上に
加熱して溶解させて使用する。
【0036】好ましくは天然のセルロースを化学変性し
たものが利用出来る。化学変性処理の例としては、硫酸
化、リン酸化、硝酸化、カルボキシメチル化、カルボキ
シエチル化、カルボキシプロピル化、ヒドロキシエチル
化処理が挙げられる。
【0037】中でも、カルボキシメチル化処理はプロセ
スが容易で、経済性、安全性も良く、かつ膨潤性、イオ
ン浸透性等に優れており本発明の実施に極めて好適であ
る。一般的には置換度が0.5以上で水溶性となる。
【0038】本発明で好ましく使用されるカルボキシメ
チル変性物質の素材となるパルプとしては、適度にカル
ボキシメチル化された木材パルプ(針葉樹パルプ、広葉
樹パルプなど)は、本発明の実施に好適であるが、この
他、レーヨンなどの再生セルロースも同様に使用可能で
ある。
【0039】一般的に、カルボキシメチル基置換度は、
グルコース単位当たりのカルボキシメチル基の置換度
(DS)で定義され、その置換率は、一旦、酸型カルボ
キシメチルセルロースに変換後、過剰量のアルカリを加
えて中和した後、酸で逆滴定することによって求められ
る。
【0040】本発明に用いられる各種のカルボキシメチ
ル基置換度を持つ高分子化合物は、置換度が大きくなる
につれて、有機化合物の金属塩である抗菌防黴剤の分散
安定化能は高まる為、好ましい。
【0041】好ましくは水溶性高分子化合物として澱粉
系化合物が用いられる。具体例としてはリん酸エステル
化澱粉、エーテル化澱粉、カルボキシメチル化澱粉、ヒ
ドロキシエチル化澱粉等が挙げられる。
【0042】本発明における抗菌防黴剤組成物の抗菌防
黴能は、固形分で1%程度、あるいはそれ以下でも十分
な作用を発揮する。本発明の抗菌防黴剤組成物と各種接
着剤を混合した塗料を用いる実施態様は、種々の物品へ
の応用が可能となり、また、管理も容易で実用性が高
い。
【0043】シート状物品等に抗菌防黴剤を高密度に含
有した水溶性高分子化合物を一部用いることの利点につ
いて述べる。抗菌防黴剤を低密度に含有した水溶性高分
子化合物をシート状物品等に均一に分布させたものと、
高密度に含有した水溶性高分子化合物を島状に分布させ
たものとを比較すると、少なくとも高濃度菌汚染耐性、
耐久性において、後者の方が明らかに優位性を示した。
【0044】自然界においては、雑多な菌が共存してお
り、また、各種の耐性菌の存在も良く知られている事実
である。それらを含めて、全体的な有効性を発揮させる
には、極度に高濃度化された抗菌防黴剤分布を有する島
状構造は、経済的にも非常に有効な手段である。
【0045】このようにして作られた極度に高濃度化さ
れた抗菌防黴剤を含有した本発明における水溶性高分子
物質を用いた抗菌防黴剤組成物で加工された物品は優れ
た抗菌防黴機能を有している。
【0046】本発明における抗菌防黴剤と水溶性高分子
化合物の抗菌防黴剤組成物を含む物品は、従来技術の問
題点を解決し、下記のような種々の優れた効果を発揮す
るものである。 (1)高濃度菌汚染にも良好に機能する。 (2)耐久性に優れている。 (3)水洗による効果の低下が少ない。 (4)安定性が高い。 (5)揮散性が非常に低く、抗菌、防黴の双方に極めて
有効である。
【0047】次に、本発明の抗菌防黴剤組成物の作成例
として抗菌防黴剤およびポリビニルアルコールからなる
ものについて述べる。一例として、鹸化度が95%のポ
リビニルアルコールを使った例を用いて説明する。 1)水100gを用意する。 2)硝酸銀0.1mol相当量を添加する。 3)硫酸銅0.1mol相当量を添加する。 4)室温下で十分に攪拌する。 5)2−メルカプトピリジン−N−オキシドナトリウム
塩の0.2mol/l液1000gを攪拌しながら少し
ずつ添加する。銀電極もしくは白金電極を用いて、電位
計測すると、反応終了点を検知することができる。 6)添加終了後、30分間攪拌し、十分に反応させる。 7)ポリビニルアルコールの5重量%水溶液を500g
添加する。
【0048】上記の手順により、本発明の抗菌防黴剤組
成物であるメルカプトピリジン−N−オキシドの銀塩及
び銅塩を含有した水溶性高分子化合物が得られる。その
ままの液状でも抗菌防黴組成物の塗料として利用出来
る。
【0049】尚、最初にポリビニルアルコール水溶液中
に硝酸銀及び硫酸銅を添加し、2−メルカプトピリジン
−N−オキシドナトリウム塩を添加してもメルカプトピ
リジン−N−オキシド銀塩を合成することが可能で同様
な抗菌防黴剤組成物が得られるが、粒径の調整が難し
く、微粒になりやすい為にゲル化しやすい。
【0050】抗菌防黴剤の粒径は電子顕微鏡や光散乱法
により測定が可能であるが、好ましくは0.3μm以上
の粒子を50重量%以上含有するものである。微粒の粒
子が多いと塗料中で凝集する為に不織布等へ塗布、含浸
した場合に均一に分布しにくい他、水洗処理等により脱
落しやすい。より好ましくは0.3μm以上の粒子が6
0重量%である。
【0051】本発明において、最も効果的に抗菌防黴機
能を発揮する有機化合物の銀、銅、亜鉛の複合塩の作製
方法について述べる。
【0052】基本的には、前記の二金属塩の場合と同様
に、添加する金属塩組成を、計算量配合することによっ
て達成できるし、また、銀電極もしくは白金電極を用い
た電位計測により、各イオンとの反応をモニターでき
る。
【0053】一例として、銀、銅、亜鉛の複合系に2−
メルカプトピリジン−N−オキシドを添加することによ
り得られる。
【0054】銀25モル%、銅25モル%、亜鉛50モ
ル%と2−メルカプトピリジン−N−オキシドの複合塩
を形成させるための具体例を挙げれば、 水 500g 硝酸銀 25mmol 硫酸銅 25mmol 硝酸亜鉛 50mmol 水 100g 2−メルカプトピリジン−N−オキシドナトリウム0.1mol/l溶液 1000g となる。これに水溶性高分子化合物水溶液、例えばポリ
ビニルアルコール水溶液を添加することにより本発明の
抗菌防黴剤組成物が得られる。
【0055】含窒素有機複素環化合物およびチオール化
合物、チオン化合物などの含硫黄化合物の多くは、同様
の思想で形成できる。
【0056】イソチアゾリン−3−オン系化合物も同様
に可能であり、また、イミダゾール誘導体にも、それ自
身(抗菌)防黴作用があるものが多いが、中でも、2−
(4−チアゾリル)ベンツイミダゾール(TBZ)は良
く知られている。この場合、水への溶解度は低く、水溶
液の形で添加することはできないが、水混和性の有機溶
剤、例えば、アルコール類、グリコール類、DMSOな
どの溶剤には可溶であり、それらの溶液として添加する
ことにより、金属塩を高分子化合物内に形成できる。
【0057】本発明における抗菌防黴剤組成物は、各種
の高分子フィルム、織布、不織布、紙等の抗菌防黴性付
与の処理に適用することができる。
【0058】本出願人の特許出願である特願平7−20
315号、発明の名称「濾材、及びその製造方法」に記
載されているような各種合成繊維および合成バインダー
からなる濾材の処理に本発明における抗菌防黴剤組成物
を使用することにより、濾材としての機能を低下させる
ことなく、抗菌・防黴の双方に優れた効果を発揮する濾
材を提供することができる。
【0059】また、特開平5−123513号公報に記
載されているような特定のガラス繊維を抄き合わせたエ
アーフィルター用ガラス繊維シートの処理に、本発明に
おける抗菌防黴剤を使用することにより、濾材としての
機能を低下させることなく、抗菌・防黴の双方に優れた
効果を発揮する濾材を提供することができる。
【0060】特開平7−163818号公報に開示され
ているような、少なくとも一方が熱可塑性繊維を含む繊
維シート間に、部分的な超音波融着により、粒状脱臭剤
(ヤシ殻活性炭)が挟持されている脱臭フィルターの処
理に、本発明における抗菌防黴剤組成物を使用すること
により、濾材としての機能を低下させることなく、抗菌
・防黴の双方に優れた効果を発揮する濾材を提供するこ
とができる。
【0061】特開平6−343809号公報に開示され
ているような、疎水性繊維を主体とし、低密度の繊維構
造体からなる外層と、親水性繊維を主体とし、高密度の
繊維構造体からなる中間層と、高密度の不織布からなる
内層とを含み、前記の各層がポリエステル系樹脂と本発
明の抗菌防黴剤組成物により含浸された3層構造からな
るエアークリーナー用濾材とすることにより、濾材とし
ての機能を低下させることなく、抗菌・防黴の双方に優
れた効果を発揮する濾材を提供することができる。この
ような態様によって製造された濾材は、抗菌防黴機能を
有する自動車用エアーフィルターとして好適に使用され
る。
【0062】例えば、靴の中敷用として、不織布に本発
明の抗菌防黴組成物を塗布するか、含浸すれば、抗菌と
防黴の機能を有する靴中敷が得られる。
【0063】例えば、厨房用等の水切り袋として使用さ
れる不織布原反に本発明の抗菌防黴剤組成物を塗布する
か含浸させれば、抗菌、防黴の機能を有する、抗菌防黴
剤の流出の少ない水切り袋が得られる。
【0064】本発明の抗菌防黴組成物は作成したものを
そのまま不織布等に塗布しても良い場合も有るが、用途
によりさらに接着性を向上させるために、塗布する前に
各種接着剤を付与することが可能である。
【0065】接着剤としては、例えば、アクリル系ラテ
ックス、酢ビ系ラテックス、ウレタン系ラテックス、エ
ポキシ系ラテックス、ポリエステル系ラテックス、SB
R系ラテックス、NBR系ラテックス、エポキシ系バイ
ンダー、フェノール系バインダーなどが挙げられ、これ
らを単独、もしくは架橋剤と併用しても使用できる。
【0066】抗菌防黴組成物に付与する接着剤量は、本
発明における抗菌防黴剤組成物固形分に対して50重量
%未満である。50重量%を超えると、接着性は強くな
るものの抗菌防黴性が低下する。
【0067】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、本発明は実施例に限定されるものではない。な
お、実施例中の「部」および「%」は、それぞれ「重量
部」および「重量%」を示す。
【0068】製造例A 前記の発明の実施の形態の記載に準じて、銀/2−メル
カプトピリジン−N−オキシドを含有させた、有機化合
物の金属塩よりなる抗菌防黴剤とポリビヌルアルコール
とを含む抗菌防黴剤組成物を作製した(以下、AgMP
−PVAと略記する)。即ち、水に硝酸銀0.1mol
を加え、撹拌する。0.1mol/lの2−メルカプト
ピリジン−N−オキシドナトリウム液を、加えられた硝
酸銀と等モル相当量を添加した。30分間攪拌する。こ
れにポリビニルアルコール(日本合成化学工業社製、N
M−11)の5%水溶液を1000g加え、銀/2−メ
ルカプトピリジン−N−オキシドの抗菌防黴剤を含有し
たポリビニルアルコールの水溶液とした。尚、抗菌防黴
剤の粒径は電子顕微鏡により測定し、0.3μm以上が
80%であった。
【0069】比較例1 2m3の分散タンクにアクリル酸ソーダ系アニオン性界
面活性剤(日本アクリル化学社製、プライマル850)
を全繊維に対して1%になるように添加し、ポリプロピ
レン繊維(PZ0.5デニール、5mm:大和紡績
製)、複合繊維のNBF−E(芯:ポリプロピレン、
鞘:エチレンビニルアルコール:大和紡績製)、水中溶
解温度が70℃のビニロンバインダー繊維(VPB10
7×1、3mm:クラレ製)を各々50:44:6の比
率で配合し、分散濃度0.2%で30分間分散した後、
乾燥重量で70g/m2になるように円網抄紙機で抄紙
後、表面温度130℃のシリンダードライヤーで乾燥
し、濾材を得た。
【0070】実施例1〜5 比較例1の濾材の表面に、上記製造例Aで得られた本発
明における抗菌防黴剤組成物であるAgMP−PVAの
水溶液を抗菌防黴剤組成物の塗料として表1に記載の塗
布量で塗布し、130℃で乾燥して実施例1〜5の濾材
を得た。
【0071】製造例B 製造例Aと同様であるが、前記の発明の実施の形態の記
載に準じて、AgMP−PVAの代わりに、(銀、銅)
/1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンの抗菌防黴
剤を含有したポリビニルアルコール(日本合成化学工業
社製、NM11)5%水溶液を作製した(以下、Ag5
0Cu50BIT−PVAと略記する)。即ち、硝酸銀
0.50mol、硫酸銅0.50mol及びそれらの総
モル相当量である1molの1,2−ベンズイソチアゾ
リン−3−オンのアルコール液を添加し、5%ポリビニ
ルアルコール水溶液を4000g添加した。尚、括弧内
金属原子の次の数字は、モル%比を表わす。抗菌防黴剤
の粒径は0.3μm以上が64%であった。
【0072】比較例2 2m3の分散タンクにアクリル酸ソーダ系アニオン性界
面活性剤(日本アクリル化学社製、プライマル850)
を全繊維に対して1%になるように添加し、繊維径0.
1デニール×3mmのアクリル繊維、フィブリル化有機
繊維(KY−400S:ダイセル化学工業社製)、繊維
径0.5デニール×5mmポリエステル繊維(帝人社
製)、繊維径2デニール×5mmポリエステル繊維状バ
インダー(メルテイ4080、ユニチカ社製)、を各々
50:5:20:25の比率で配合し、分散濃度0.2
%で30分間分散した後、乾燥重量で80g/m2になるよ
うに円網抄紙機で抄紙後、表面温度130℃のシリンダ
ードライヤーで乾燥した後、撥水剤とアクリルラテック
スをサイズプレス装置で付与し乾燥させて、濾材を得
た。
【0073】実施例6〜10 比較例2の濾材の表面に,上記製造例Bで得られた本発
明の抗菌防黴剤組成物であるAg50Cu50BIT−
PVAの水溶液を抗菌防黴剤組成物の塗料として表1に
記載の塗布量で塗布し、130℃で乾燥して、実施例6
〜10の濾材を得た。
【0074】製造例C 製造例Aと同様であるが、前記の発明の実施の形態の記
載に準じて、AgMP−PVAの代わりに、(銀、銅、
亜鉛)/2−メルカプトピリジン−N−オキシドの抗菌
防黴剤を含有したポリビニルアルコール(日本合成化学
工業社製、NM11)水溶液を作製した(以下、Ag2
5Cu25Zn50MP−PVAと略記する)。即ち、
硝酸銀0.25mol、硫酸銅0.25mol、硝酸亜
鉛0.5mol及びそれらの総モル相当量である1mo
lの2−メルカプトピリジン−N−オキシドナトリウム
水溶液を添加し、5%ポリビニルアルコール水溶液を4
000g添加した。尚、括弧内金属原子の次の数字は、
モル%比を表わす。抗菌防黴剤の粒径は0.3μm以上
が64%であった。
【0075】比較例3 2m3の分散タンクにアクリル酸ソーダ系アニオン性界
面活性剤(日本アクリル化学社製、プライマル850)
を全繊維に対して1%になるように添加し、ポリエステ
ル繊維(0.5デニール、5mm:帝人社製)、繊維径
2デニール×5mmポリエステル繊維状バインダー(メ
ルテイ4080、ユニチカ社製)、平均繊維径約0.6
5μmのマイクロガラス繊維(シュラー社製、#10
6)を各々50:35:15の比率で配合し、分散濃度
0.2%で30分間分散した後、乾燥重量で100g/m
2になるように円網抄紙機で抄紙後、表面温度130℃
のシリンダードライヤーで乾燥し、濾材を得た。
【0076】実施例11〜15 比較例3の濾材の表面に、上記製造例Cで得られた本発
明における抗菌防黴剤組成物であるAg25Cu25Z
n50MP−PVAを抗菌防黴剤組成物の塗料として表
1に記載の塗布量で塗布し、130℃で乾燥して、実施
例11〜15の濾材を得た。
【0077】実施例16 実施例13と同様であるが、繊維径0.5デニールのポ
リエステル繊維の代わりに、活性炭素繊維(平均繊維径
15μm、繊維長8mm、比表面積1000m2/g)
20重量部置き換えたものを使用して、実施例16の濾
材を得た。
【0078】比較例4 実施例13と同様であるが、本発明における3金属塩併
用系のAg25Cu25Zn50MP−PVAの代わり
に、塩化ベンザルコニウム含有ポリビニルアルコール
(鹸化度85%)を使用して、比較例5の濾材を得た。
なお、塩化ベンザルコニウム含有高分子化合物は、実施
例13で用いたポリビニルアルコール10gに対して、
0.1mol/lの塩化ベンザルコニウム液100mlを
加え、pH5.5に調整後、攪拌して作製した。
【0079】実施例17 実施例17は、実施例14の濾材をひだ折り加工して、
ユニットに組み込み、自動車室内循環系にセットした。
【0080】比較例5 比較例5は、比較例3の濾材をひだ折り加工して、ユニ
ットに組み込み、自動車室内循環系にセットした。
【0081】このようにして得られた実施例および比較
例の各濾材について、圧力損失、捕集効率および抗菌性
能、防黴性能につき、測定した。得られた結果を表1に
示す。
【0082】<圧力損失>圧力損失(Pa)は、濾材に
空気を風速5.3cm/秒で通気させた時の通気抵抗を
水中マノメーターで測定した。
【0083】<捕集効率>捕集効率(%)は、DOPエ
アロゾル(フタル酸ジオクチル、粒径0.3μm)粒子
を発生させ、この粒子を含有する空気を風速5.3cm
/秒で通気させ、濾材の前後で空気をサンプリングし、
それぞれの粒子濃度をマルチダストカウンターで測定し
下記数式1より算出した。
【0084】
【数1】 捕集効率={(濾過前の粒子数−濾過後の粒子数)/濾過前の粒子数}×100 (数式1)
【0085】<試験法−(抗菌(殺菌)性)>大腸菌
(E−coli IFO3301)を液体培地(ペプト
ン・イースト)で24時間前培養し、希釈して2×10
8セル/mlの試験液を調整した。試験片を2cm×2
cmにカットして、ペトリ皿上に配置し、パスツールピ
ペットで上記菌液を5滴(約0.1ml)滴下し、乾燥
しないようにカバーして38℃で24時間経時した。経
時後、試験片のそれぞれをNutrient Brot
h寒天培地上に押し当て、試験片上の菌を転写させて剥
離し、再度38℃で24時間培養し、観察した。評価
は、次のとおりとした。 評価グレード −− 殆ど完全に殺菌し、菌の成育がない。 − 2cm×2cm転写面に5コロニー以下の成育はあるが、殆ど完全 に殺菌。 + 2cm×2cm転写面に100コロニー以下で良好な抗・殺菌作用。 ++ 2cm×2cm転写面に効果は認められるが、弱いか、少ない。 +++ 2cm×2cm転写面に実質的効果なし。
【0086】<試験法−(防黴性)>試験菌株とし
て、黒カビ(Aspergillus niger)を
用いた。斜面培地から胞子を5白金耳採り、少量の湿潤
剤(スルホコハク酸ジオクチルナトリウム液)を加え、
激しく振って胞子を分散させ、ガーゼで濾過し、全量を
50mlに調整した。1.5%の寒天を加えたGP培地
(日本製薬社製)を作り、上記菌液を均一に噴霧し、一
旦、表面を乾燥させ、2cm×2cmにカットした試料
片を乗せ、十分に圧着させ、再度試験菌を全面に噴霧し
て、28℃で経時培養し、最高4週間まで経時観察し
た。なお、表1には、4週間経時の観察結果を記載し
た。評価は、次のとおりとした。 評価グレード −− 黴の生育を完全に阻害。 − 黴の生育か否か判断がつきかねる。 + かなり良好な制御力を示すが表面積1/5以下にカビの生育を認める 。 ++ 表面積1/3位にカビの生育が認められる。 +++ 全面に黴が生育する。
【0087】
【表1】 註1) 比較4の1.0は、本発明における3金属塩併
用系のAg25Cu25Zn50MP−PVAの代わり
に、塩化ベンザルコニウム含有ポリビニルアルコールを
使用したものを示す。 註2) 塗布量は平方メートル当たりの100℃乾燥後
の重量gで表す。
【0088】表1の結果から、次のことが解る。
【0089】製造例Aに記載したAgMP−PVAを含
む本発明における抗菌防黴剤組成物を、濾材の表面に塗
布した実施例1〜5の場合、抗菌防黴剤を含まない比較
例1に比べて、抗菌性能および防黴性能とも優れている
ことが解った。その塗布量は、0.1g/m2から効果
が認められ、また0.5g/m2から相当良好な抗菌・
防黴効果が認められ、さらに1.0g/m2以上では極
めて良好な抗菌・防黴効果が認められた。濾材特性であ
る捕集効率は、比較例1に比べて同等以上であるが、圧
力損失は塗布量3g/m2から、若干高くなる傾向がみ
られたが、実用上は支障ない程度のものが得られた。
【0090】製造例Bに記載したAg50Cu50BI
T−PVAを含む本発明における抗菌防黴剤組成物を、
濾材の表面に塗布した場合の実施例6〜10も、2金属
塩併用系の効果により、実施例1〜5と同等以上に、抗
菌性能および防黴性能とも良好な特性が認められた。濾
材特性も実施例1〜5と同傾向で良好であった。
【0091】製造例Cに記載したAg25Cu25Zn
50MP−PVAを含む本発明における抗菌防黴剤組成
物を、濾材の表面に塗布した場合の実施例11〜15
は、ガラス繊維を配合した系であるが、実施例1〜5と
同様に、濾材特性は良好であり、また、3金属塩併用系
の効果により、極めて良好な抗菌性能および防黴性能が
得られることが解った。
【0092】実施例16は、実施例13の0.5デニー
ルのポリエステル繊維の一部を、活性炭素繊維に代え、
抗菌防黴剤は3金属塩併用系を使用した場合であるが、
濾材特性は良好であり、抗菌性能および防黴性能とも極
めて良好であることが解った。また、脱臭効果も認めら
れた。
【0093】比較例4は、実施例13と同様であるが、
本発明における3金属塩併用系のAg25Cu25Zn
50MP−PVA含有の抗菌防黴剤組成物の代わりに、
塩化ベンザルコニウム含有組成物を塗布したものである
が、初期的な抗菌・防黴効果は認められたが、長期的
(4週間経時)な効果では、実施例13と比較して、非
常に劣るものであった。
【0094】実施例17は、実施例14の濾材をひだ折
り加工して、ユニットに組み込み、自動車室内循環系に
セットしたものであるが、乗車時、吹き出し口からの空
気に黴臭はなかった。
【0095】比較例5は、比較例3の濾材をひだ折り加
工して、ユニットに組み込み、自動車室内循環系にセッ
トしたものであるが、実施例17と同様のテストをした
結果、黴臭があった。
【0096】比較例6 2m3の分散タンクにアクリル酸ソーダ系アニオン性界
面活性剤(日本アクリル化学社製、プライマル850)
を全繊維に対して1%になるように添加し、NBKP
(カナダ標準濾水度480ml)、ポリプロピレン繊維
(繊維径約7μm)(PZ0.5デニール、5mm:大
和紡績社製)、繊維径2デニール×5mmポリエステル
繊維状バインダー(メルテイ4080、ユニチカ社
製)、水中溶解温度が70℃のビニロンバインダー繊維
(VPB107×1、3mm:クラレ社製)を各々3
5:15:44:6の比率で配合し、分散濃度0.2%
で30分間分散した後、乾燥重量で15g/m2になるよ
うに、ワイヤーに直径3mmの円状の水不透過部分を3
mmの間隔で均一に設けた円網抄紙機で抄紙後、表面温
度130℃のシリンダードライヤーで乾燥し、不織布を
得た。その不織布を用いて水切り袋を作製した。
【0097】実施例18〜22 比較例6で得られた不織布の表面に、上記製造例Cで得
られた本発明における抗菌防黴剤組成物であるAg25
Cu25Zn50−PVAを表2に記載の塗布量を塗布
した以外は、比較例6と同様にして、実施例18〜23
の水切り袋を作製した。
【0098】実施例23〜27 市販のスパンボンド不織布(出光石油社製ストラテック
RN−2020)に上記製造例Cで得られた本発明の抗
菌防黴剤組成物であるAg25Cu25Zn50−PV
Aを表2に記載の乾燥塗布量になるように含浸した以外
は、比較例6と同様にして、実施例23〜27の水切り
袋を作製した。
【0099】実施例28 製造例Cの途中で得られる抗菌防黴剤をサンドグライン
ダーにより粒径を0.3μm以上が35%になるまで処
理した後は製造例Cと同様にして本発明の抗菌防黴剤組
成物を得た。実施例25と同様にして水切り袋を作成し
た。
【0100】比較例7 市販のスパンボンド不織布(出光石油製ストラテックR
N−2020)をそのまま用いて比較例6と同様にして
水切り袋を作成した。
【0101】比較例8 実施例25と同様であるが、本発明における3金属塩併
用系のAg25Cu25Zn50MP−PVAの代わり
に、塩化ベンザルコニウム含有ポリビニルアルコール
(鹸化度85%)を使用して乾燥塗布量が1g/m2
なるように含浸、乾燥して比較例8の水切り袋を得た。
なお、塩化ベンザルコニウム含有ポリビニルアルコール
は、実施例25で用いたポリビニルアルコール10gに
対して、0.1mol/lの塩化ベンザルコニウム液10
0mlを加え、pH5.5に調整後、攪拌して作製し
た。
【0102】このようにして得られた実施例18〜27
および比較例6〜8の各水切り袋について、抗ぬめり菌
性、経時水はけ性および抗菌性能、防黴性能について測
定した。得られた結果を表2に示す。
【0103】<抗ぬめり菌性>上記実施例および比較例
により得られた各水切り袋から試験片2cm×2cmを
2種用意し、一方の試験片はそのまま、他の一方の試験
片は5時間水道水中に浸漬した後取り出し、水道水で流
水水洗後、それぞれをペトリ皿上に配置し、台所から採
取したぬめり状スライム0.5gを水100ml中に加
え、攪拌棒で攪拌した後、パスツールピペットで上記菌
液5滴(約0.1ml)を試験片上に滴下し、乾燥しな
いようにカバーして、25℃で24時間経時した。経時
後、試験片のそれぞれをNutrient Broth
寒天培地上に押し当て、試験片上の菌を転写させて剥離
し、38℃で24時間培養し、観察した。評価は、下記
の<試験法−(抗菌(殺菌)性)>と同様にして行っ
た。
【0104】<経時水はけ性>メスシリンダー上に直径
9cmの漏斗を備え付け、漏斗上に100メッシュの金
網を漏斗内壁に沿ってセットし、その上に上記実施例お
よび比較例により得られた各水切り袋からの試験片を濾
紙としてセットする。 ごはんつぶ 30g 茶がら 10g パン粉 5g 豚挽き肉 5g 水 100g(25℃) を200ml容ビーカーに入れ、攪拌棒を用いてフリー
ハンドで約1分攪拌してから、上記の漏斗上に注ぎ、初
期の濾過速度を求める。次に24時間経時後、100m
lの水を漏斗上に加え、同様にして濾過速度を求める。
下記数式2により求めた濾過率(%)を経時水はけ性と
した。
【0105】
【数2】 濾過率(%)={24時間経時後の濾過速度/初期濾過速度}×100 (数式2) なお、濾過速度は50ml濾過した時間を測定して求め
た。
【0106】<試験法−(抗菌(殺菌)性)>大腸菌
(E−coli IFO3301)を液体培地(ペプト
ン・イースト)で24時間前培養し、希釈して2×10
8セル/mlの試験液を調整した。試験片を2cm×2
cmにカットして、ペトリ皿上に配置し、パスツールピ
ペットで上記菌液を5滴(約0.1ml)滴下し、乾燥
しないようにカバーして38℃で24時間経時した。経
時後、試験片のそれぞれをNutrient Brot
h寒天培地上に押し当て、試験片上の菌を転写させて剥
離し、再度38℃で24時間培養し、観察した。評価
は、次のとおりとした。 評価グレード −− 殆ど完全に殺菌し、菌の成育がない。 − 2cm×2cm転写面に5コロニー以下の成育はあるが、殆ど完全 に殺菌。 + 2cm×2cm転写面に100コロニー以下で良好な抗・殺菌作用。 ++ 2cm×2cm転写面に効果は認められるが、弱いか、少ない。 +++ 2cm×2cm転写面に実質的効果なし。
【0107】<試験法−(防黴性)>試験菌株とし
て、黒カビ(Aspergillus niger)を
用いた。斜面培地から胞子を5白金耳採り、少量の湿潤
剤(スルホコハク酸ジオクチルナトリウム液)を加え、
激しく振って胞子を分散させ、ガーゼで濾過し、全量を
50mlに調整した。1.5%の寒天を加えたGP培地
(日本製薬社製)を作り、上記菌液を均一に噴霧し、一
旦、表面を乾燥させ、2cm×2cmにカットした試料
片を乗せ、十分に圧着させ、再度試験菌を全面に噴霧し
て、28℃で経時培養し、最高1週間まで経時観察し
た。なお、表1および表2には、1週間経時の観察結果
を記載した。評価は、次のとおりとした。 評価グレード −− 黴の生育を完全に阻害。 − 黴の生育か否か判断がつきかねる。 + かなり良好な制御力を示すが表面積1/5以下にカビの生育を認める 。 ++ 表面積1/3位にカビの生育が認められる。 +++ 全面に黴が生育する。
【0108】
【表2】
【0109】表2の結果から、次のことが解る。
【0110】製造例Cに記載したAg25Cu25Zn
50MP−PVAを含む本発明における抗菌防黴剤組成
物を、比較例6の不織布の表面に塗布した実施例18〜
22の場合、抗菌防黴剤を含まない比較例6に比べて、
水切り袋の抗ぬめり菌性、経時水はけ性は共に優れてい
ることが解った。その塗布量は、0.1g/m2から効
果が認められ、また0.5g/m2から相当良好な抗ぬ
めり菌性、経時水はけ性に効果が認められ、さらに1.
0g/m2以上では極めて良好な抗ぬめり菌性、経時水
はけ性の効果が認められた。水洗前と後でその効果はほ
とんど低下せず、水切り袋の抗菌性、防黴性は、比較例
6に比べて、大幅に改良された。
【0111】市販のスパンボンド不織布に本発明の抗菌
防黴剤組成物の塗料をに含浸した場合の実施例23〜2
7も実施例18〜22と同様に、抗ぬめり菌性、経時水
はけ性も抗菌性能および防黴性能とともに比較例7より
も大幅に良好な効果が認められた。
【0112】抗菌防黴剤の粒径が0.3μm以上の粒子
を35%含有する実施例28は水洗後の抗ぬめり菌性が
水洗前と比較して劣る他、抗菌性、防黴性も抗菌防黴剤
の粒径が0.3μm以上の粒子を64%含有する実施例
25より劣った。原因としては実施例28の場合には、
塗料中で抗菌防黴剤が凝集しており、不織布に塗料を含
浸した場合に均一に分布しない為と予想される。
【0113】実施例25のAg25Cu25Zn50M
P−PVAに替えて塩化ベンザルコニウム含有ポリビニ
ルアルコールを用いた比較例8は水洗後の抗ぬめり菌
性、経時水はけ性が大幅に劣った。
【0114】実施例29 製造例Cに記載したAg25Cu25Zn50MP−P
VAを含む本発明における抗菌防黴剤組成物を、比較例
1の不織布の表面に1g/m2塗布して実施例29の靴
中敷き材を作成した。比較例1の不織布を靴用中敷き材
に使用した場合と比較して黴の発生と臭気を評価した結
果、3日間の昼間使用した場合に顕著な差が得られた。
実施例28の中敷き材使用では黴の発生も無く臭気も無
かった。
【0115】
【発明の効果】本発明に使用される抗菌防黴剤と水溶性
高分子物質よりなる抗菌防黴剤組成物は、以上述べたよ
うに水溶性高分子物質の中に安定的に分散された抗菌防
黴剤を巧妙に利用して、塗布等の加工により抗菌・防黴
性を付与したものであって、それ故、菌補足性が良く、
また、各種のイオン拡散性も良好である。さらに、本発
明で使用される抗菌防黴剤は、適度な解離性を有してい
るために、徐放性である。それ故、抗菌防黴効果が持続
されて、ポットライフが長く、耐久性に優れている。
【0116】また、本発明において、抗菌防黴剤を担持
して最も効果的に機能を発揮する高分子化合物は、ポリ
ビニルアルコール系化合物、セルロース系化合物、澱粉
系化合物である。このような高分子化合物を用いると、
抗菌防黴剤が良好に分散され、極めて抗菌防黴性の良好
な組成物が得られる。
【0117】しかも、本発明に使用される抗菌防黴剤が
含有された水溶性高分子化合物は、シート状物に塗布、
含浸等で加工した場合でも、生産性は良好である。上記
の水溶性高分子物質と抗菌防黴剤組成物をシート状物、
例えば紙、各種織物などの素材の一部として適用した場
合でも、抗菌防黴剤が高密度充填されているために、シ
ート状物中に島状に分布させても、十分に効果が発揮さ
れ、結果的に少量の使用で目的が達成される。それ故、
抗菌防黴効果が高く、比較的安全性の高いシート状物が
得られる。したがって、本発明に使用される抗菌防黴剤
と水溶性高分子化合物よりなる組成物を塗布や含浸した
ものは各種の製品、例えば種々の濾材、特に各種のエア
ーフィルター、自動車用エアーフィルターや水切り袋、
靴中敷き材等に好適に用いられる。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機化合物の金属塩である抗菌防黴剤お
    よび水溶性高分子化合物からなる抗菌防黴剤組成物。
  2. 【請求項2】 有機化合物が含窒素複素環、硫黄原子の
    少なくともいずれかを含有する化合物である請求項1記
    載の抗菌防黴剤組成物。
  3. 【請求項3】 含窒素複素環、硫黄原子の少なくともい
    ずれかを含有する有機化合物が、ベンズイミダゾール化
    合物、メルカプトピリジン−N−オキシド化合物、イソ
    チアゾロン化合物、ベンゾチアゾール化合物もしくはベ
    ンゾチアゾロン化合物から選ばれる少なくとも1種の化
    合物である請求項2記載の抗菌防黴剤組成物。
  4. 【請求項4】 金属塩が銀塩、銅塩、亜鉛塩のいずれか
    1種である請求項1〜3のいずれか1項に記載の抗菌防
    黴剤組成物。
  5. 【請求項5】 金属塩が銀塩、銅塩、亜鉛塩の2種以上
    が複合されたものである請求項1〜4記載の抗菌防黴組
    成物。
  6. 【請求項6】 金属塩が銀塩、銅塩および亜鉛塩の3種
    が複合されたものである請求項1〜5記載の抗菌防黴剤
    組成物。
  7. 【請求項7】 銀塩、銅塩および亜鉛塩の3種につい
    て、銀、銅および亜鉛の組成比が、モル比で合計100
    としたときに、それぞれ、銀10〜40、亜鉛20〜6
    0、残りが銅である(ただし、銅が0になることはな
    い)請求項6記載の抗菌防黴剤組成物。
  8. 【請求項8】 水溶性高分子化合物がポリビニルアルコ
    ール系化合物、セルロース系化合物、澱粉系化合物から
    選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項1〜7の
    いずれか1項に記載の抗菌防黴剤組成物。
  9. 【請求項9】 抗菌防黴剤が粒径0.3μm以上の粒子
    を50重量%以上含有する請求項1〜8のいずれか1項
    に記載の抗菌防黴剤組成物。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9のいずれか1項に記載の
    抗菌防黴剤組成物を含有する濾材。
  11. 【請求項11】 請求項1〜9のいずれか1項に記載の
    抗菌防黴剤組成物を含有する靴中敷き材。
  12. 【請求項12】 請求項1〜9のいずれか1項に記載の
    抗菌防黴剤組成物を含有する水切り袋。
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