JPH11104526A - 回転霧化静電塗装機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 回転軸の先端部からスパークが発生するのを
抑制することができる回転霧化静電塗装機を提供するこ
とにある。 【解決手段】 金属材からなる中空の回転軸２と、回転
軸２の先端部に取り付けられた半導電性を有するベルヘ
ッド１と、回転軸２に挿通され、少なくとも先端部が非
導電性材からなる塗料フィードチューブ３と、を有し、
回転軸２は先端部が非導電性材もしくは半導電性材で覆
われている、回転霧化静電塗装機。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、回転霧化静電塗装
機に関する。

【０００２】

【従来の技術】図４に示すように、樹脂材料からなるベ
ルヘッド本体２１ｃと、ベルヘッド本体２１ｃの外周面
に形成された半導電性膜２１ｄからなるベルヘッド２１
を有する回転霧化静電塗装機が特開平８−１５０３５２
号公報により知られている。ベルヘッド２１が金属材に
くらべて高い抵抗値を有する樹脂材あるいは半導電性材
からなるため、金属製のベルヘッドを有する回転霧化静
電塗装機に比べ、アース物体との間にスパークは生じに
くい。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の回転霧
化静電塗装機には、つぎの問題がある。ベルヘッド２１
が取り付けられる回転軸２２は、空気軸受けにより支持
されて高速で回転することから精密に製造されることが
要求され、金属材により形成されている。そのため、ベ
ルヘッド２１が樹脂材あるいは半導電性材で形成されて
いたとしても、アース物体が回転霧化静電塗装機に近づ
いたときに、図４中に点線で示すように、電荷が金属製
の回転軸２２の先端部からベルヘッドに設けられた塗料
噴出孔２１ａあるいはセルフクリーニング用孔２１ｂを
通り、スパークが生じる可能性がある。本発明の課題
は、回転軸の先端部からスパークが発生するのを抑制す
ることができる回転霧化静電塗装機を提供することにあ
る。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記課題を達成する本発
明はつぎの通りである。 （１） 金属材からなる中空の回転軸と、前記回転軸の
先端部に取り付けられた半導電性を有するベルヘッド
と、前記回転軸に挿通され、少なくとも先端部が非導電
性材からなる塗料フィードチューブと、を有し、前記回
転軸は先端部が非導電性材もしくは半導電性材で覆われ
ている、回転霧化静電塗装機。 （２） 金属材からなる中空の回転軸と、前記回転軸の
先端部に取り付けられ、回転軸との取り付け部とテーパ
部とを備えた半導電性を有するベルヘッドと、前記回転
軸に挿通された少なくとも先端部が非導電性材からなる
塗料フィードチューブと、を有し、前記ベルヘッドは前
記取り付け部と前記テーパ部との間に中空の長軸部を備
えている、回転霧化静電塗装機。

【０００５】上記（１）の回転霧化静電塗装機では、金
属材からなる回転軸の先端部が非導電性材もしくは半導
電性材で覆われているため、アース物体（被塗装物な
ど）が近づいたとしても、アース物体から回転軸の金属
部分までの距離が回転軸が非導電性材もしくは半導電性
材で覆われていない場合に比べて長くなる分、回転軸の
先端部からのスパークの発生を抑制できる。上記（２）
の回転霧化静電塗装機では、ベルヘッドの取り付け部と
テーパ部との間に中空の長軸部が備えられていることに
よりベルヘッドの軸方向長さが長くされるため、アース
物体が近づいたとしてもアース物体から金属製の回転軸
までの距離が長軸部のないベルヘッドに比べて長くなる
分、回転軸の先端部からのスパークの発生を抑制でき
る。

【０００６】

【発明の実施の形態】図１は本発明の第１実施例の回転
霧化静電塗装機に係わり、図２は本発明の第２実施例の
回転霧化静電塗装機に係わり、図３は本発明の第３実施
例の回転霧化静電塗装機に係わる。第１実施例と第２実
施例は請求項１に対応し、第３実施例は請求項２に対応
する。本発明の全実施例に共通する部分には、全実施例
にわたって同じ付号を付してある。

【０００７】まず、本発明の全実施例に共通する部分の
構成を、図１〜図３を参照して説明する。本発明実施例
の回転霧化静電塗装機は、塗料を霧化するベルヘッド１
と、ベルヘッド１を先端に取り付けベルヘッド１と一体
に回転する中空の回転軸２と、回転軸２を回転駆動する
エアモータ８（回転軸を回転自在に支持する空気軸受け
を含む）と、回転軸２の中空部を通ってベルヘッド１の
内側まで延びベルヘッド１に塗料を供給する非導電性材
からなる塗料フィードチューブ３と、ベルヘッド１に付
与する高電圧を発生する高電圧発生器４と、ケーシング
５と、を有する。また、ベルヘッド１の外周端から半径
方向外側に飛散する塗料に向けて、前方にシェーピング
エアを噴出するエアノズル６ａを有するエアキャップ６
を有する。エアキャップ６は非導電性材からなる。ベル
ヘッド１は回転軸２との取り付け部１１と、先端に向け
て拡径されたテーパ部１２とを有する。取り付け部１１
の前端部にはベルヘッド１の軸中心に向かって突出した
突出部１３が形成されている。突出部１３は中心に孔部
を有し、孔部には塗料フィードチューブ３が挿入され
る。ベルヘッド１は、塗料フィードチューブ３の前方に
塗料フィードチューブ３に対向するハブ１４を有してお
り、ハブ１４の後面中央は後方に向かって突出してい
る。ハブ１４は、外周部に塗料を通す塗料噴出孔１ａ、
中央部に洗浄剤を通すセルフクリーニング用孔１ｂを有
する。

【０００８】ベルヘッド１は全体が半導電性材から形成
さるれか、ベルヘッド１の本体は非導電性材で形成され
てベルヘッド本体の外周面に半導電性材からなる膜が設
けられることにより半導電性を有し、回転軸２から電荷
を受けてベルヘッド１外周端から飛散する塗料に伝え
る。ベルヘッド本体の外周面に半導電性材の膜が設けら
れる場合は、その膜は一端で回転軸に接触している。ベ
ルヘッド１を形成する半導電性材は、フェノール樹脂に
カーボンが添加されたもの、エポキシ系樹脂にカーボン
が添加されたもの、ポリ・エーテル・エーテル・ケトン
にカーボンが添加されたものなどである。また、ベルヘ
ッド１を形成する非導電性材は、ポリイミド、ポリ・エ
ーテル・エーテル・ケトン、などである。

【０００９】回転軸２の先端部の外周には雄ネジが切ら
れ、ベルヘッド１の取り付け部１の内面には雌ネジが切
られていることにより、回転軸２はベルヘッド１と結合
される。

【００１０】塗料フィードチューブ３を形成する非導電
性材は、たとえばポリイミド、ポリ・エーテル・エーテ
ル・ケトン、などである。

【００１１】塗料塗布時に、塗料は、塗料フィードチュ
ーブ３から噴出されハブ１４の後面に当たり、ハブ１４
に沿って外周部に流れ塗料噴出孔１ｂを通り、ベルヘッ
ド１のテーパ部１ｅの内壁面を伝わり外周端に達し、高
電圧発生器４から回転軸などを通してベルヘッド１に伝
わった静電荷が遠心力とともに付与される。静電荷を付
与された塗料は、半径方向外方に向かって飛散し、その
直後にシェーピングエアで前方に吹かれ、被塗装物に付
着して、被塗装物を塗装する。

【００１２】つぎに、本発明の各実施例に特有な構成、
作用を説明する。本発明の第１実施例では、図１に示す
ように、突出部１３は、その後面から後方に向かって延
びる被覆部１３ａを有する。被覆部１３ａは取り付け部
１１の内周面から回転軸２の肉厚分より半径方向内側に
隔てられた位置に環状に形成されている。そのため、金
属製の回転軸２の先端部は、外周面はベルヘッド１の取
り付け部１１と結合され、前端面はベルヘッド１の突出
部１３で被覆され、内周面は被覆部１３ａにより被覆さ
れる。ただし、回転軸２の前端面と突出部１３の後面、
回転軸２の内周面と被覆部１３ａは必ずしも密着してい
ない。

【００１３】第１実施例の作用については、非導電性材
もしくは半導電性材からなる取り付け部１１、突出部１
３そして被覆部１３ａによって、回転軸２の先端部の金
属部分が覆われ、被塗装物から回転軸の金属部分までの
距離が回転軸が非導電性材もしくは半導電性材で覆われ
ていない場合に比べて長くなるため、回転軸２の先端部
からのスパークの発生が抑制される。

【００１４】本発明の第２実施例では、図２に示すよう
に、回転軸２ａの先端部の前端面と内周面に非導電性材
もしくは半導電性材からなる塗膜７が設けられている。
また、回転軸２の先端部の外周面はベルヘッド１の取り
付け部１１と結合されている。

【００１５】本発明の第２実施例の作用については、非
導電性材もしくは半導電性材により、回転軸２の先端部
の金属部分が覆われ、被塗装物から回転軸の金属部分ま
での距離が回転軸が非導電性材もしくは半導電性材で覆
われていない場合に比べて長くなるため、回転軸２の先
端部からのスパークの発生が抑制される。

【００１６】本発明の第３実施例では、図３に示すよう
に、ベルヘッド１の取り付け部１１とテーパ部１２との
間に中空の長軸部１５を備えている。長軸部１５によ
り、塗料が塗料フィードチューブ３の先端から噴出して
ハブ１４の後面に衝突するまでの距離が従来に比べて長
くなる。また、エアキャップ６も軸方向長さが長くされ
る。

【００１７】本発明の第３実施例の作用については、被
塗装物とベルヘッドが近づいても、長軸部１５が設けら
れている分、従来のベルヘッドに比べて回転軸２の先端
からベルヘッド先端までの距離が長くされ、金属製の回
転軸２の先端から被塗装物までの距離が従来のベルヘッ
ドより長くなるため、回転軸２の先端部からのスパーク
の発生が抑制される。

【００１８】

【発明の効果】請求項１の回転霧化静電塗装機によれ
ば、金属製の回転軸の先端部が非導電性材もしくは半導
電性材で覆われるため、回転軸の先端部からのスパーク
の発生を抑制できる。請求項２の回転霧化静電塗装機に
よれば、ベルヘッドの取り付け部とテーパ部との間に中
空の長軸部を備えることにより、被塗装物から回転軸の
先端までの距離が従来より長くなるため、回転軸の先端
部からのスパークの発生を抑制できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施例の回転霧化静電塗装機のベ
ルヘッド部分の断面図である。

【図２】本発明の第２実施例の回転霧化静電塗装機の回
転軸の半分を断面にして示した側面図である。

【図３】本発明の第３実施例の回転霧化静電塗装機の断
面図である。

【図４】従来の回転霧化静電塗装機のベルヘッド部分の
断面図である。

【符号の説明】 １ ベルヘッド ２ 回転軸 ３ 塗料フィードチューブ １１ 取り付け部 １２ テーパ部 １５ 長軸部

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 金属材からなる中空の回転軸と、 前記回転軸の先端部に取り付けられた半導電性を有する
   ベルヘッドと、 前記回転軸に挿通され、少なくとも先端部が非導電性材
   からなる塗料フィードチューブと、を有し、 前記回転軸は先端部が非導電性材もしくは半導電性材で
   覆われている、回転霧化静電塗装機。
2. 【請求項２】 金属材からなる中空の回転軸と、 前記回転軸の先端部に取り付けられ、回転軸との取り付
   け部とテーパ部とを備えた半導電性を有するベルヘッド
   と、 前記回転軸に挿通された少なくとも先端部が非導電性材
   からなる塗料フィードチューブと、を有し、 前記ベルヘッドは前記取り付け部と前記テーパ部との間
   に中空の長軸部を備えている、回転霧化静電塗装機。