JPH1110334A - スタッド溶接の押し込み期間入熱管理方法 - Google Patents

スタッド溶接の押し込み期間入熱管理方法

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JPH1110334A
JPH1110334A JP18740397A JP18740397A JPH1110334A JP H1110334 A JPH1110334 A JP H1110334A JP 18740397 A JP18740397 A JP 18740397A JP 18740397 A JP18740397 A JP 18740397A JP H1110334 A JPH1110334 A JP H1110334A
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welding
stud
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voltage
value
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JP18740397A
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Hiroyuki Ishii
博幸 石井
Shinya Okamoto
真也 岡本
Shoji Harada
章二 原田
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Daihen Corp
Original Assignee
Daihen Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スタッド溶接において、アーク発生中に短
絡が発生しなくて、アーク発生中の入熱が適切な場合で
あっても、基準にするスタッドを被溶接材に押し込む指
令をしてから予め定めた時刻t21よりも遅れて短絡した
ときは、入熱が過大となる。 【解決手段】 本発明は、スタッドを被溶接材に押し
込む指令をしてから予め定めた時刻t21までに短絡した
ときの短絡電流通電中に溶接電圧平均値V2aと溶接電流
平均値I2aとを検出した後、短絡電流通電中に検出した
溶接電圧平均値V2aを溶接電流平均値I2aで除算して抵
抗値Rav=V2a/I2aを算出する基準抵抗値算出過程
と、判定したいスタッドを被溶接材に押し込んで短絡電
流通電中に溶接電圧平均値V2cと溶接電流平均値I2cと
を検出した後、短絡電流通電中に検出した溶接電圧平均
値V2cを溶接電流平均値I2cで除算して抵抗値Rav2=
V2c/I2cを算出する判定したい抵抗値算出過程と、判
定したい抵抗値Rav2と基準にする抵抗値Ravとを比較
して、品質を管理する抵抗値比較過程とから成るスタッ
ド溶接の押し込み期間の入熱を管理する方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スタッド溶接のス
タッドを引き上げてアークを発生させ、所定時間後にス
タッドを被溶接材に押しつけて短絡させ、短絡電流通電
中に溶接電圧平均値を検出してスタッドの押し込み期間
の入熱を管理する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】スタッド溶接の仕上がり外観、溶込量等
の品質を判定する方法として、ずっと以前から、作業員
が溶接したスタッドを目視によって外観検査をし、ハン
マーで打撃する曲げ試験等によって、溶接継手の品質を
判定してきたが、外観検査だけでは溶接継手の品質を正
確に判定することができないし、またハンマーで溶接し
たスタッドを打撃する曲げ試験は、過大な労力を要する
だけでなく破壊試験であるために、これらを改良する従
来技術として、次のような品質判定方法が提案されてい
る。
【0004】溶接品質を確保するためには、所要の入熱
を得ることが重要であり、もし溶接条件が適正でなく所
要の入熱を得ることができない場合、例えば、溶接電流
が適正値よりも大きい場合、引き上げ距離が短い場合又
は溶接姿勢が不良の場合は、ア−ク発生中にスタッドの
溶融面が被溶接材の溶融プールに接触して短絡が発生す
る。この短絡が頻繁に発生すると、ア−ク電圧が十分に
継続しないために入熱不足となって、押し込み中に所要
の押し込み量だけ押し込むことができなくなり溶接不良
となる。そこで、所要の入熱が得られているかどうかを
確認するために、スタッド保持期間中の溶接電流と溶接
電圧とを常時監視しなければならない。
【0008】特開昭61−242766の技術は、電磁
オシログラフを使用して溶接電流及び溶接電圧、特に溶
接終了時の押込み中の短絡電流を測定記録して、品質判
定を行っている。
【0010】溶接電圧を監視する方法として、検出され
た溶接電圧波形及び溶接電流波形をモニタ−装置等によ
って常時監視する方法があるが、作業者が常時監視しな
ければならない。このモニタ−装置自体は大型であるの
で、建設現場等の溶接位置が頻繁に移動するときは、溶
接位置に応じて移動しなければならないために作業性を
低下させる。またモニタ−装置は高価であり、頻繁に移
動すると故障の原因ともなる。
【0012】スタッド溶接の用途として、建築工事、建
設工事等において、H型鋼、I型鋼等の鉄骨を組み立て
た構築物に鋼板を配設し、鉄骨上に鋼板(デッキプレー
ト)をスタッド溶接で固定する薄板貫通溶接がある。図
1は、鉄骨上に鋼板を配設したときに、鋼板が波打ち、
鉄骨と鋼板との間に隙間(クリアランス)が生じている
状態を示す鉄骨・鋼板位置関係図である。同図におい
て、鉄骨21上に鋼板22を配設したときに、鋼板の板
厚Dpが例えば、1. 2[mm]のような薄板のときは、
鋼板22が波打ち、鉄骨21と鋼板22との間に隙間
(クリアランス)Dcが生じる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】図2は、鉄骨と鋼板と
の間に隙間があるときの鋼板とスタッド先端との位置関
係を示す鋼板・スタッド位置関係図である。同図(A)
は、スタッド溶接開始直後のスタッド18の先端が鋼板
22に接触した状態を示す溶接開始位置関係図であっ
て、スタッド18の先端が鋼板22に接触した位置を基
準点Pとする。同図(B)は、スタッド先端を引き上げ
てアークを発生させている状態を示すアーク発生位置関
係図であって、スタッド先端は同図(A)の基準点Pか
ら引き上げ距離Duだけ引き上げられた位置にある。
【0015】同図(C)は、溶接開始時から予め設定し
た時間が経過した後に、スタッドを押し込む指令を出し
て、スタッド先端を押し込んで短絡させた状態を示す短
絡位置関係図であって、スタッド先端は同図(A)の基
準点Pから押し込み距離Ddだけ押し込まれた位置にあ
る。同図(D)は、溶接開始時から溶接終了時までのス
タッド18の先端位置の時間的経過を示す図であって、
縦軸がスタッド先端の移動量Mを示し、符号Pは同図
(A)の基準点の位置を示し、符号〓は同図(A)のス
タッド先端の〓の位置を示し、符号〓は同図(B)のス
タッド先端の〓の位置を示し、符号〓は同図(C)のス
タッド先端の〓の位置を示す。
【0016】同図(E)は、溶接開始時から溶接終了時
までの負荷電圧V0の時間的経過を示す図である。同図
(E)において、時刻ts0は、このような貫通溶接でな
い通常の溶接のときの短絡時点であり、時刻ts1はこの
ような貫通溶接のときの短絡時点であり、スタッド先端
が鋼板の板厚Dp及び隙間Dcだけ移動する時間であっ
て、時刻ts0よりも遅れて大となる。さらに、時刻ts2
は、このような貫通溶接のときにスタッド先端が鉄骨に
押し込まれる短絡時点であり、鉄骨21と鋼板22との
間に隙間(クリアランス)Dcが不定であるために時刻
ts0から時刻ts2までの遅れ時間がばらつく。
【0018】上記の隙間Dcが不定であるために、アー
ク長Daは、Du+(Dp+Dc)となり、このような
貫通溶接でない通常の溶接のときよりも、(Dp+D
c)だけ増加するとともにばらつきが生じる。さらに、
このような貫通溶接のときは、スタッド先端が鉄骨に押
し込まれる実際の突っ込み量Deは、Dd−(Dp+D
c)となり、このような貫通溶接でない通常の溶接のと
きよりも、(Dp+Dc)だけ減少し、またばらつきも
大になる。
【0020】溶接品質を確保するためには、所要の入熱
を得ることが重要である。スタッド溶接の入熱は、スタ
ッドを被溶接材から引き上げてアーク発生中の溶接電圧
値と溶接電流値との時間積分値と、スタッドを被溶接材
に押し込んで短絡電流通電中の溶接電圧値と溶接電流値
との時間積分値との和である。
【0022】もし溶接条件が適正でなく所要の入熱を得
ることができない場合、例えば、溶接電流が適正値より
も大きい場合、引き上げ距離が短い場合又は溶接姿勢が
不良の場合は、ア−ク中にスタッドの溶融面が被溶接材
の溶融プールに接触して短絡が発生する。この短絡が頻
繁に発生すると、ア−クが十分に継続しないために入熱
不足となって、押し込み中に所要の押し込み量だけ押し
込むことができなくなり溶接不良となる。このア−クが
十分に継続しないために入熱不足となった場合を検出し
て管理する方法は、本出願人が同時に別途出願してい
る。
【0024】アーク発生中に短絡が発生しなくて、アー
ク発生中の入熱が適切な場合であっても、スタッドを被
溶接材に押し込む指令をしてから予め定めた時刻t21よ
りも遅れて短絡したときは、入熱が過大となる。本発明
は、この問題点を解決するものである。
【0051】
【課題を解決するための手段】請求項1の方法は、スタ
ッド溶接の入熱管理方法において、判定したいスタッド
を被溶接材から引き上げてアークを発生させた後、スタ
ッドを被溶接材に押し込んで短絡したときの短絡電流通
電中に溶接電圧平均値V2cを検出し、溶接電圧平均値V
2cに対応した値と予め定めた値とを比較して、比較結果
を表示、警報、品質判定、入熱制御等に使用するスタッ
ド溶接の押し込み期間入熱管理方法。
【0052】請求項2の方法は、スタッド溶接の入熱管
理方法において、基準にするスタッドを被溶接材から引
き上げてアークを発生させた後、スタッドを被溶接材に
押し込む指令をしてから予め定めた時刻t21までに短絡
したときの短絡電流通電中に溶接電圧平均値V2aと溶接
電流平均値I2aとを検出してこの溶接電圧平均値V2aを
基準にする押し込み電圧値とし、次に、判定したいスタ
ッドを被溶接材から引き上げてアークを発生させた後、
スタッドを被溶接材に押し込んで短絡電流通電中に上記
と同一の溶接電流平均値I2aの電流を通電したときの溶
接電圧平均値V2cを検出してこの溶接電圧平均値V2cを
判定したい押し込み電圧値として、判定したい押し込み
電圧値V2cと基準にする押し込み電圧値V2aとを比較し
て、表示、警報、品質判定、入熱制御等に使用するスタ
ッド溶接の押し込み期間入熱管理方法。
【0053】請求項3の方法は、スタッド溶接の入熱管
理方法において、基準にするスタッドを被溶接材から引
き上げてアークを発生させた後、スタッドを被溶接材に
押し込む指令をしてから予め定めた時刻t21までに短絡
したときの短絡電流通電中に溶接電圧平均値V2aと溶接
電流平均値I2aとを検出した後、短絡電流通電中に検出
した溶接電圧平均値V2aを溶接電流平均値I2aで除算し
て抵抗値Rav=V2a/I2aを算出する基準にする抵抗値
算出過程と、判定したいスタッドを被溶接材から引き上
げてアークを発生させた後、スタッドを被溶接材に押し
込んで短絡電流通電中に溶接電圧平均値V2cと溶接電流
平均値I2cとを検出した後、短絡電流通電中に検出した
溶接電圧平均値V2cを溶接電流平均値I2cで除算して抵
抗値Rav2=V2c/I2cを算出する判定したい抵抗値算
出過程と、判定したい抵抗値Rav2と基準にする抵抗値
Ravとを比較する抵抗値比較過程とから成り、この比較
結果を表示、警報、品質判定、入熱制御等に使用するス
タッド溶接の押し込み期間入熱管理方法である。
【0054】請求項4の方法は、スタッド溶接の入熱管
理方法において、基準にするスタッドを被溶接材から引
き上げてアークを発生しアーク発生中に短絡が発生しな
い溶接電圧平均値V1aと溶接電流平均値I1aとを検出
し、次にスタッドを被溶接材に押し込む指令をしてから
予め定めた時刻t21までに短絡したときの短絡電流通電
中に溶接電圧平均値V2aと溶接電流平均値I2aとを検出
した後、短絡電流通電中に検出した溶接電圧平均値V2a
を溶接電流平均値I2aで除算して抵抗値Rav=V2a/I
2aを算出し、アーク発生中に短絡が発生しない溶接電圧
平均値V1aと溶接電流平均値I1aと抵抗値Ravとの積の
電圧降下Vr=Rav×I1aを算出する基準電圧降下算出
過程と、判定したいスタッドを被溶接材から引き上げて
アークを発生し、次にスタッドを被溶接材に押し込んで
短絡電流通電中に溶接電圧平均値V2cと溶接電流平均値
I2cとを検出した後、短絡電流通電中に検出した溶接電
圧平均値V2cを溶接電流平均値I2cで除算して抵抗値R
av2=V2c/I2cを算出し、アーク発生中に検出した溶
接電流平均値I1aと抵抗値Rav2との積の電圧降下Vr2
=Rav2×I1aを算出する判定電圧降下算出過程と、判
定したい電圧降下Vr2と基準にする電圧降下Vrとを比
較する電圧降下比較過程とから成り、この比較結果を表
示、警報、品質判定、入熱制御等に使用するスタッド溶
接の押し込み期間入熱管理方法である。
【0060】
【発明の実施の形態】アーク発生中に短絡が発生しなく
て、アーク発生中の入熱が適切な場合であっても、スタ
ッドを被溶接材に押し込む指令をしてから予め定めた時
刻t21よりも遅れて短絡したときは、入熱が過大となる
ので、本発明の方法は、この入熱の過大を表示、警報、
品質判定、入熱制御等に使用するスタッド溶接の押し込
み期間入熱管理方法である。本発明のこの入熱の過大を
判別して入熱管理する方法は、スタッドを被溶接材から
引き上げてアークを発生してスタッド先端と被溶接材と
を溶融し、次に、スタッドを被溶接材に押し込んでスタ
ッドを被溶接材にスタッド溶接する方法において、例え
ば、図1に示すように、鉄骨21上に配設した鋼板22
が波打つために、鉄骨21と鋼板22との間に隙間(ク
リアランス)Dcが生じ、この隙間が予め想定した値よ
りも大きくなって押し込み期間が長くなったような場合
に、基準にするスタッドを被溶接材に押し込む指令をし
てから予め定めた時刻t21までに短絡したときの短絡電
流通電中に溶接電圧平均値V2aと溶接電流平均値I2aと
を検出した後、短絡電流通電中に検出した溶接電圧平均
値V2aを溶接電流平均値I2aで除算して基準にする抵抗
値Rav=V2a/I2aを算出する基準抵抗値算出過程と、
判定したいスタッドを被溶接材に押し込んで短絡電流通
電中に溶接電圧平均値V2cと溶接電流平均値I2cとを検
出した後、短絡電流通電中に検出した溶接電圧平均値V
2cを溶接電流平均値I2cで除算して判定したい抵抗値R
av2=V2c/I2cを算出する判定抵抗値算出過程と、判
定したい抵抗値Rav2と基準にする抵抗値Ravとを比較
する抵抗値比較過程とから成り、この比較結果を表示、
警報、品質判定、入熱制御等に使用するスタッド溶接の
押し込み期間入熱管理方法である。
【0061】ここで、本出願に使用する用語の一部につ
いて説明する。「短絡電流通電中」とは、前述した「短
絡電流期間Ts」又は後述する「押し込み中の検出期間
T2」のうちの定常の短絡電流が流れる期間をいう。判
定したいスタッドとは、今溶接しようとしているスタッ
ドの検出又は算出データを入熱管理に使用するスタッド
をいう。基準にするスタッドとは、判定したいスタッド
を溶接する前に、正常な溶接が行われたときの検出又は
算出データを収集するスタッドであって、収集したデー
タを後の判定したいスタッドの入熱管理に使用するスタ
ッドをいう。この基準にするスタッドは、正常な溶接が
行われたときのスタッドであればよいので、必ずしも、
データを収集する目的だけのスタッドでなくても、現
在、判定しようとしているスタッドよりも前に溶接され
た判定したいスタッドであればよい。
【0070】
【実施例】以下、図面を参照して動作を説明する。図3
(A)は、スタッドを被溶接材に押し込む指令をしてか
ら予め定めた時刻t21までに短絡したときの出力電流I
oの波形を示す出力電流波形図であり、同図(B)はス
タッドを被溶接材に押し込む指令をしてから予め定めた
時刻t21までに短絡したときの出力端子電圧Vdの波形
を示す出力端子電圧波形図である。
【0072】同図において、 次の順序で溶接を開始す
る。出力電流Ioを通電してスタッド18を引き上げる
と、被溶接材14に接触したスタッド先端の電極子から
アークを発生し、時刻t0においてパイロット電流Ip
が流れる。次に、この時刻t0から予め設定した時刻t
1になると、パイロット電流Ipを主アーク電流Iaに
切り換える。続いて、主アーク電流Iaが安定するまで
に十分な時間が経過した時刻t11から予め設定した引き
上げ中の検出期間T1の間、出力端子電圧Vdを検出す
る。時刻tの引き上げ中の溶接電圧V1(t) 及び溶接電
流I1(t)を検出して演算処理回路CPUによって積算す
る。
【0074】次に、抵抗値Ravの第1の算出方法につい
て説明する。引き上げ中の検出期間T1の間、時刻tの
引き上げ中の溶接電圧V1(t) を積算して検出期間T1
で除算して算出し溶接電圧平均値V1a及び溶接電流I1
(t)を積算して検出期間T1で除算して算出し溶接電流
平均値I1aを、それぞれ数1及び数2によって算出す
る。
【数1】
【数2】 なお、溶接電源装置が定電流特性であるときは、溶接電
流I1(t)を積算する必要がなく、検出した溶接電流I1
(t)が溶接電流平均値I1aとしてもよい。
【0076】次に、時刻t12にスタッド18を被溶接材
14に押し込む指令をして、スタッド18を溶融プール
に押し込んで短絡させる。短絡後、ピーク電流が低下し
た十分な時刻t21になってから検出を開始し、時刻t21
から時刻t22までの押し込み中の検出期間T2の間、時
刻tの押し込み中の溶接電圧V2(t) 及び溶接電流I2
(t)を検出して、時刻tの抵抗値R(t) を数3によって
算出する。 R(t) =V2(t)/I2(t) …(数3)
【0078】この時刻tの抵抗値R(t) を、押し込み中
の検出期間T2の間、演算処理回路CPUによって積算
して、押し込み中の検出期間T2の抵抗の平均値(以
下、抵抗値という)Ravを数4によって算出する。
【数4】 この押し込み中の検出期間T2の抵抗値Ravは、2次ケ
ーブル17及び被溶接材14の抵抗値である。
【0080】この抵抗値Ravに、前述した数2の引き上
げ中の検出期間T1の溶接電流平均値I1aを乗算して、
抵抗値による電圧降下Rav・I1aを算出する。
【0082】次に、抵抗値Ravの第2の算出方法につい
て説明する。短絡時の溶接電流の変動がない場合、演算
処理回路CPUによって、時刻tの押し込み中の溶接電
圧V2(t)及び溶接電流I2(t) を積算して、この押し込
み中の検出期間T2の溶接電圧平均値V2a及び溶接電流
平均値I2aを、それぞれ、数5及び数6によって算出す
る。
【数5】
【数6】
【0084】抵抗値Ravを数7によって算出する。 Rav=V2a/I2a…(数7)
【0090】図4(A)は、判定したいスタッドを被溶
接材に押し込む指令をしてから予め定めた時刻t21より
も遅れて短絡したときの出力電流Ioの波形を示す負荷
電流波形図であり、同図(B)は、判定したいスタッド
を被溶接材に押し込む指令をしてから予め定めた短絡中
の溶接電圧検出開始時点t21よりも遅れて短絡したとき
の溶接電源装置の出力端子電圧Vdの波形を示す出力端
子電圧波形図である。
【0092】図4(B)に示す引き上げ中の検出期間T
1において検出した溶接電圧平均値V1a及び図4(A)
に示す溶接電流平均値I1aは、図3(B)に示した引き
上げ中の検出期間T1において検出した溶接電圧平均値
V1a及び溶接電流平均値I1aと同一である。前述した図
3(B)に示す引き上げ中の検出期間T1の終了時のア
−ク中の溶接電圧検出終了時点t12において、スタッド
を被溶接材に押し込む指令をしてから予め定めた時間が
経過した短絡中の溶接電圧検出開始時点t21までに短絡
が生じて、短絡電流通電中に溶接電流平均値I2a及び溶
接電圧平均値V2aが検出される。
【0094】しかし、図4(B)に示す引き上げ中の検
出期間T1の終了時のア−ク中の溶接電圧検出終了時点
t12において、スタッドを被溶接材に押し込む指令をし
てから予め定めた時間が経過した短絡中の溶接電圧検出
開始時点t21までに短絡が生じないで、アークがまだ持
続しているにもかかわらず、押し込み中の検出期間T2
が開始してしまっている。押し込み中の検出期間T2の
開始時の短絡中の溶接電圧検出開始時点t21よりも遅れ
て短絡した時点t2cになって初めて短絡が生じて短絡電
流通電中に上記と同一の溶接電流平均値I2aの電流を通
電したときの溶接電圧平均値V2cが検出される。
【0096】図3(B)に示した押し込み中の検出期間
T2で検出した溶接電圧平均値V2aと図4(B)に示す
押し込み中の検出期間T2で検出した溶接電圧平均値V
2cとを比較検討する。図3(B)に示した押し込み中の
検出期間T2において、基準にするスタッドを被溶接材
に押し込む指令をしてから予め定めた時刻t21までに短
絡したときの短絡電流通電中に溶接電圧平均値V2aと溶
接電流平均値I2aとを検出して、この溶接電圧平均値V
2aを基準にする押し込み電圧値とする。以下、請求項ご
とに比較する。
【0097】請求項1の方法は、図4(B)に示す引き
上げ中の検出期間T1において、判定したいスタッドを
被溶接材から引き上げてアークを発生させた後、スタッ
ドを被溶接材に押し込んで短絡したときの溶接電圧平均
値V2cを検出し、溶接電圧平均値に対応した値と予め定
めた値とを比較して、比較結果を表示、警報、品質判
定、入熱制御に使用する。溶接電圧平均値に対応した値
と予め定めた値としては、請求項2の方法の判定したい
押し込み電圧値V2cと基準にする押し込み電圧値V2a、
請求項3の方法の判定したい抵抗値Rav2と基準にする
抵抗値Rav又は請求項4の方法の判定したい電圧降下V
r2と基準にする電圧降下Vrの他に、これらの値と溶接
電源装置の出力特性、スタッドの物理的又は化学的要
因、被溶接材の物理的又は化学的要因、溶接姿勢、供給
電源の状態、2次ケーブル等の作業環境その他の要因と
を組み合わせた値である。
【0098】請求項2の方法は、次のとおりである。図
4(B)に示す引き上げ中の検出期間T1において、判
定したいスタッドを被溶接材に押し込んで短絡電流通電
中に上記と同一の溶接電流平均値I2aの電流を通電した
ときの溶接電圧平均値V2cを検出して、この溶接電圧平
均値V2cを判定したい押し込み電圧値とする。上記の判
定したい押し込み電圧値V2cと基準にする押し込み電圧
値V2aとを比較すると、図4(B)に示す押し込み電圧
値V2cは、図3(B)に示した基準にする押し込み電圧
値V2aよりも大である。したがって、図4(B)に示す
押し込み中の検出期間T2の入熱が、図3(B)に示し
た基準にする押し込み電圧値V2aよりも大となるので、
表示、警報、品質判定、入熱制御等に使用して、スタッ
ド溶接の押し込み期間の入熱を管理する。
【0100】上記の請求項2の方法は、短絡電流通電中
に判定したい押し込み電圧値V2cと基準にする押し込み
電圧値V2aとを検出するとき、同一の溶接電流平均値I
2aの電流を通電しなければならない制限がある。それに
対して、請求項3の方法は、短絡電流通電中に判定した
い押し込み電圧値V2cと基準にする押し込み電圧値V2a
とを検出するとき、異なる溶接電流平均値の電流を通電
しなければならない制限がない。
【0102】請求項3の方法は、次のとおりである。 (1)基準にする抵抗値算出過程 図3(B)に示した押し込み中の検出期間T2におい
て、基準にするスタッドを被溶接材に押し込む指令をし
てから予め定めた時刻t21までに短絡したときの短絡中
に溶接電圧平均値V2aと溶接電流平均値I2aとを検出す
る。短絡電流通電中に検出した溶接電圧平均値V2aを溶
接電流平均値I2aで除算して抵抗値Rav=V2a/I2aを
算出する。 (2)判定したい抵抗値算出過程 判定したいタッドを被溶接材に押し込んで短絡電流通電
中に溶接電圧平均値V2cと溶接電流平均値I2cとを検出
する。短絡電流通電中に検出した溶接電圧平均値V2cを
溶接電流平均値I2cで除算して抵抗値Rav2=V2c/I
2cを算出する。
【0104】(3)抵抗値比較過程 上記の判定したい抵抗値Rav2と基準にする抵抗値Rav
とを比較すると、図4(B)に示す判定したい押し込み
電圧値V2cが、図3(B)に示した基準にする押し込み
電圧値V2aよりも大であるので、図3(B)に示した基
準にする押し込み電圧値V2aよりも大となるとともに、
図4(B)に示す押し込み中の検出期間T2の入熱が大
となる。 このとき、判定したい抵抗値Rav2が基準に
する抵抗値Ravよりも大となるので、表示、警報、品質
判定、入熱制御等に使用して、スタッド溶接の押し込み
期間の入熱を管理する。
【0110】請求項4の方法は、請求項3の方法の効果
に加えて、比較結果を入熱制御に使用容易なように、電
圧値に換算する。 (1)基準電圧降下算出過程 図3(B)に示した引き上げ中の検出期間T1におい
て、基準にするスタッドを被溶接材から引き上げてアー
クを発生し、アーク発生中に短絡が発生しない溶接電圧
平均値V1aと溶接電流平均値I1aとを検出する。このア
ーク発生中に短絡が発生しない溶接電圧平均値V1aを基
準にする溶接電流平均値I1aという。基準にするスタッ
ドを被溶接材に押し込む指令をしてから予め定めた時刻
t21までに短絡したときの短絡電流通電中に溶接電圧平
均値V2aと溶接電流平均値I2aとを検出する。短絡電流
通電中に検出した溶接電圧平均値V2aを溶接電流平均値
I2aで除算して抵抗値Rav=V2a/I2aを算出する。基
準にする溶接電流平均値I1aと抵抗値Ravとの積の電圧
降下Vr=Rav×I1aを算出する。
【0112】(2)判定電圧降下算出過程 判定したいスタッドを被溶接材から引き上げてアークを
発生した後、スタッドを被溶接材に押し込んで短絡電流
通電中に溶接電圧平均値V2cと溶接電流平均値I2cとを
検出する。短絡電流通電中に検出した溶接電圧平均値V
2cを溶接電流平均値I2cで除算して抵抗値Rav2=V2c
/I2cを算出する。基準にする溶接電流平均値I1aと抵
抗値Rav2との積の電圧降下Vr2=Rav2×I1aを算出
する。
【0116】(3)電圧降下比較過程 判定したい電圧降下Vr2と基準にする電圧降下Vrとを
比較すると、図4(B)に示す判定したい押し込み電圧
値V2cが、図3(B)に示した基準にする押し込み電圧
値V2aよりも大であるので、図4(B)に示す押し込み
中の検出期間T2の入熱が、図3(B)のときの入熱よ
りも大となる。このとき、判定したい電圧降下Vr2が基
準にする電圧降下Vrよりも大となるので、表示、警
報、品質判定、入熱制御等に使用して、スタッド溶接の
押し込み期間の入熱を管理する。
【0120】図5は、請求項3のスタッド溶接方法で、
判定したい抵抗値Rav2と基準にする抵抗値Ravとを比
較するスタッド溶接の押し込み期間入熱管理方法のフロ
ーチャートである。同図において、ステップST1は、
基準にするスタッドを被溶接材に押し込む指令をしてか
ら予め定めた時刻t21までに短絡したときの短絡電流通
電中に溶接電圧平均値V2aと溶接電流平均値I2aとを検
出する短絡電流通電中の検出ステップである。ステップ
ST2は、短絡電流通電中に検出した溶接電圧平均値V
2aを溶接電流平均値I2aで除算して抵抗値Rav=V2a/
I2aを算出するステップであって、ステップ1及びステ
ップ2が基準にする抵抗値算出ステップである。
【0122】ステップST11は、判定したいスタッド
を被溶接材に押し込んで短絡電流通電中に溶接電圧平均
値V2cと溶接電流平均値I2cとを検出する短絡電流通電
中の検出ステップである。ステップST12は、短絡電
流通電中に検出した溶接電圧平均値V2cを溶接電流平均
値I2cで除算して抵抗値Rav2=V2c/I2cを算出する
ステップであってステップST11及びステップST1
2が判定したい抵抗値算出過程である。
【0124】ステップST20は、判定したい抵抗値R
av2と基準にする抵抗値Ravとを比較する抵抗値比較ス
テップである。
【0130】図6は、請求項4のスタッド溶接方法で、
判定したい電圧降下Vr2と基準にする電圧降下Vrとを
比較するスタッド溶接の押し込み期間入熱管理方法のフ
ローチャートである。同図において、ステップST1
は、基準にするスタッドを被溶接材から引き上げてアー
クを発生し、アーク発生中に短絡が発生しない溶接電圧
平均値V1aと溶接電流平均値I1aとを検出するアーク電
流通電中の検出ステップである。この溶接電流平均値I
1aは、前述した基準にする溶接電流平均値I1aとなる。
【0132】ステップST2は、スタッドを被溶接材に
押し込む指令をしてから予め定めた時刻t21までに短絡
したときの短絡電流通電中に溶接電圧平均値V2aと溶接
電流平均値I2aとを検出する短絡電流通電中の検出ステ
ップである。ステップST3は、短絡電流通電中に検出
した溶接電圧平均値V2aを溶接電流平均値I2aで除算し
て抵抗値Rav=V2a/I2aを算出する抵抗値算出ステッ
プである。ステップST4は、基準にする溶接電流平均
値I1aと抵抗値Ravとの積の電圧降下Vr=Rav×I1a
を算出する基準電圧降下算出ステップである。
【0134】ステップST11は、判定したいスタッド
を被溶接材から引き上げてアークを発生した後、スタッ
ドを被溶接材に押し込んで短絡電流通電中に溶接電圧平
均値V2cと溶接電流平均値I2cとを検出する短絡電流通
電中の検出ステップである。
【0136】ステップST12は、短絡電流通電中に検
出した溶接電圧平均値V2cを溶接電流平均値I2cで除算
して抵抗値Rav2=V2c/I2cを算出するステップであ
る。ステップST13は、基準にする溶接電流平均値I
1aと抵抗値Rav2との積の電圧降下Vr2=Rav2×I1a
を算出する判定電圧降下算出ステップである。
【0138】ステップST20は、判定したい電圧降下
Vr2と基準にする電圧降下Vrとを比較する抵抗値比較
ステップである。
【0140】図7は、本発明の方法を実施するスタッド
溶接装置の実施例を示す図である。同図のスタッド溶接
装置は、溶接電源装置1と溶接ガン2と溶接制御装置3
とから形成される。この溶接電源装置1は、溶接ガン2
にパイロット電流Ipと主アーク電流Iaとから成る出
力電流Ioを出力し、後述する溶接制御装置3から出力
されるアナログ信号に応じて、出力電流Ioを制御する
電流指令出力回路5と、その電流指令に基づいて出力電
流Ioを制御するサイリスタ等の半導体スイッチング素
子からなる溶接電流出力回路15と、2次ケーブル17
を通って溶接ガン2に装着されたスタッド18に出力さ
れる出力電流Ioを検出して溶接電流検出信号Icを出
力する溶接電流検出回路ICと、出力端子電圧Vdを検
出して溶接電圧検出信号Vcを出力する溶接電圧検出回
路VCとから形成される。
【0142】溶接制御装置3は、溶接電流検出信号Ic
をディジタル溶接電流検出信号Iddに変換して演算処理
回路CPUに出力するA/D変換器7と、溶接電圧検出
信号Vcをディジタル溶接電圧検出信号Vddに変換して
演算処理回路CPUに出力するA/D変換器8と、ディ
ジタル溶接電流検出信号Iddとディジタル溶接電圧検出
信号Vddとを入力して後述するディジタル出力信号を出
力する演算処理回路CPUと、演算処理回路CPUのデ
ィジタル出力信号Iodをアナログ出力信号Ioaに変換し
て電流指令出力回路5に出力するD/A変換器6と、溶
接結果のデータを記憶する記憶回路11と、溶接結果を
表示するディジタルパネル等の表示回路12とからな
る。このD/A変換器6、A/D変換器7及びA/D変
換器8は演算処理回路CPUに内蔵してもよい。
【0146】以下、図7の実施例のスタッド溶接装置の
動作について説明する。スタッド先端を被溶接材14に
当接した位置まで押し当て、溶接ガン2に配設されてい
る起動スイッチ13を押すと、当接位置にあったスタッ
ド18は予め設定された位置まで引き上げられ、続いて
予め設定されたパイロット電流Ipを通電する。スタッ
ドが引き上げられてアークが発生すると、予め設定した
時間後にパイロット電流Ipを主アーク電流Iaに切り
換える。パイロット電流Ip又は主アーク電流Iaの通
電開始から所要の溶接電流値に達した後に、予め設定さ
れた時間が経過すると、スタッド18を被溶接材14に
向かって押し込む。その途中で、スタッド18が被溶接
材14に対して短絡し、短絡時間だけ短絡電流Isが流
れる。この一連の溶接動作のうちで後述するサンプリン
グ時間T1及びT2の間、演算処理回路CPUによっ
て、溶接電流及び溶接電圧を検出する。
【0148】溶接電源装置1の出力端子に接続された溶
接電圧検出回路VCによって検出した出力電圧は、アー
ク発生中と短絡中との溶接状態及び2次ケーブル17と
被溶接材14との間の抵抗値によって大きく変化するた
めに、その平均値として算出された電圧は一定値でな
い。また、溶接電源装置1の出力回路に接続された溶接
電流検出回路ICによって検出した出力電流は、溶接電
源装置1が垂下特性であるとき、アーク発生中と短絡発
生中とが変化するために、その平均値として算出された
電流値は一定値でない。そこで、溶接ガン2を引き上げ
てアーク発生中の一定期間T1(以下、引き上げ中の検
出期間という)に検出した溶接電圧の平均値V1a(以
下、引き上げ中の溶接電圧平均値という)及び溶接電流
の平均値I1a(以下、引き上げ中の溶接電流平均値とい
う)と、押し込み中の短絡期間T2(以下、押し込み中
の検出期間という)の間の溶接電圧の平均値V2a(以
下、押し込み中の溶接電圧平均値という)及び溶接電流
の平均値I2a (以下、押し込み中の溶接電流平均値と
いう)とを検出する。
【0150】演算処理回路CPUは、前述した図5又は
図6の機能をディジタル信号によって実行する演算処理
回路であって、基準にするスタッドを被溶接材から引き
上げてアーク発生中に検出したディジタル溶接電圧検出
信号Vddとディジタル溶接電流検出信号Iddとを入力し
て後述するサンプリング時間T1の溶接電圧平均値V1a
と基準にする溶接電流平均値I1aとを演算し、次にスタ
ッドを被溶接材に押し込んで短絡電流通電中に検出した
ディジタル溶接電圧検出信号Vddとディジタル溶接電流
検出信号Iddとを入力して後述するサンプリング時間T
2の溶接電圧平均値V2aと溶接電流平均値I2aとを検出
した後で、短絡電流通電中に検出した溶接電圧平均値V
2aを溶接電流平均値I2aで除算して抵抗値Ravを算出
し、続いて基準にする溶接電流平均値I1aと抵抗値Rav
との積の電圧降下Vr=Rav・I1aを算出して、抵抗値
Ravのディジタル出力信号、電圧降下Vrのディジタル
出力信号等を記憶回路11に記憶する。
【0152】同様に、判定したいスタッドも、上記の基
準にするスタッドの溶接電流平均値I1a抵抗値Rav2と
の積の電圧降下Rav2・I1aを算出して、抵抗値Rav2
のディジタル出力信号、電圧降下Vr2のディジタル出力
信号等を記憶回路11に記憶する。
【1000】
【発明の効果】本発明の効果は次のとおりである。
【1001】(1)本発明においては、溶接電源の出力
端子間の電圧を検出する溶接電圧検出回路VC及び溶接
電流を検出する溶接電流検出回路ICを設け、出力端子
から検出した出力電圧よって、2次ケーブルを延長した
ときでも、判定したい押し込み電圧値V2cと基準にする
押し込み電圧値V2aとを比較して品質を管理することが
できる。
【1002】(2)本発明においては、アーク発生中に
短絡が発生することがなく、かつスタッドを被溶接材に
押し込む指令をしてから速やかに短絡したときの基準に
する押し込み電圧値V2a又は基準にする抵抗値Rav又は
基準にする電圧降下Vrを演算処理回路CPUに予め入
力しておくと、各スタッドの溶接毎に得られる判定した
い押し込み電圧値V2cと基準にする押し込み電圧値V2a
とを比較又は判定したい抵抗値Rav2と基準にする抵抗
値Ravとを比較又は判定したい電圧降下Vr2と基準にす
る電圧降下Vrとを比較することができる。この比較に
よって、溶接品質に影響する合格範囲をはずれた場合、
警報器等で作業者に知らせて、作業者が不良個所を再
度、溶接し直して部材の強度を確保することができるの
で、アークスタッド溶接の押し込み期間の入熱を適切に
かつ容易に管理することができる。
【1003】(3)本発明においては、各スタッドの溶
接毎に得られるデータは、各スタッドの溶接毎に記憶さ
せ、演算処理回路CPU又はこのデータを外部記憶回
路、例えばメモリカード又はパソコンに入力して、パソ
コンで処理してヒストグラム等を作成して評価すること
ができるので各スタッド溶接の押し込み期間入熱管理を
容易に確認することができる。
【1004】(4)本発明においては、現場でのスタッ
ド溶接においては、運搬、引き回し等の作業性を良くす
るため、規定のケーブル径よりも小径のケーブルを使用
する場合が多いために、大電流を頻繁に通電すると、接
触部、劣化部等の発熱が大きく加速度的に劣化して焼損
する。本発明においては、短絡時の電圧降下Vrが予め
定められた許容値を越えると異常信号を出力するので、
正常なケーブル又はコネクタであるかどうかを確認する
ことができ、早期の交換等の対策が可能になる。また使
用可能なケーブル長を越えたときでも確認することがで
きる。
【1005】(5)本発明においては、波形モニタを特
に必要としないために、現場作業において、管理装置の
設置、移動等がないので作業性が損なわれない。
【1006】(6)本発明においては、判定したい押し
込み電圧値V2c又は押し込み抵抗値Rav2又は押し込み
電圧降下Vr2を使用することによって、従来技術のモニ
ターによって波形データを管理する方法よりも、データ
量を少なくして大量の溶接結果のデータを管理すること
ができる。
【1007】(7)本発明においては、判定したい抵抗
値Rav2と基準にする抵抗値Rav又は判定したい電圧降
下Vr2と基準にする電圧降下Vrを使用することによっ
て、スタッドを被溶接材から引き上げたときのアーク発
生中の溶接電流平均値とこのスタッドを被溶接材に押し
込んだときの溶接電流平均値とが変化する場合であって
も、誤差が生じない。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、鉄骨上に鋼板を配設したときに、鋼板
が波打ち、鉄骨と鋼板との間に隙間(クリアランス)が
生じている状態を示す鉄骨・鋼板位置関係図である。
【図2】図2は、鉄骨と鋼板との間に隙間があるときの
鋼板とスタッド先端との位置関係を示す鋼板・スタッド
位置関係図である。
【図3】図3(A)は、基準にするスタッドを被溶接材
に押し込む指令をしてから予め定めた時刻t21までに短
絡したときの出力電流Ioの波形を示す出力電流波形図
であり、同図(B)は、基準にするスタッドを被溶接材
に押し込む指令をしてから予め定めた時刻t21までに短
絡したときの出力端子電圧Vdの波形を示す出力端子電
圧波形図である。
【図4】図4(A)は、判定したいスタッドを被溶接材
に押し込む指令をしてから予め定めた時刻t21よりも遅
れて短絡したときの出力電流Ioの波形を示す負荷電流
波形図であり、同図(B)は、判定したいスタッドを被
溶接材に押し込む指令をしてから予め定めた短絡中の溶
接電圧検出開始時点t21よりも遅れて短絡したときの出
力端子電圧Vdの波形を示す出力端子電圧波形図であ
る。
【図5】図5は、スタッド溶接の判定したい抵抗値Rav
2と基準にする抵抗値Ravとを比較するスタッド溶接の
押し込み期間入熱管理方法のフローチャートである。
【図6】図6は、スタッド溶接の判定したい電圧降下V
r2と基準にする電圧降下Vrとを比較するスタッド溶接
の押し込み期間入熱管理方法のフローチャートである。
【図7】図7は、本発明の方法を実施するスタッド溶接
装置の実施例を示す図である。
【符号の説明】
1 溶接電源装置 2 溶接ガン 3 溶接制御装置 5 電流指令出力回路 6 D/A変換器 7、8 A/D変換器 11 記憶回路 12 表示回路 13 起動スイッチ 14 被溶接材 15 溶接電流出力回路 16 制御ケーブル 17 2次ケーブル 18 スタッド 21 鉄骨 22 鋼板 CPU 演算処理回路 Da アーク長 Dc 鉄骨21と鋼板22との間の隙間(クリアラン
ス) Dd 押し込み距離 De 貫通溶接のときのスタッド先端が鉄骨に押し込ま
れる実際の突っ込み量 Dp 鋼板の板厚 Du 引き上げ距離 Ia 主ア−ク電流 I1a 短絡が発生しないときの引き上げ中の検出期間T
1の溶接電流平均値/基準にする溶接電流平均値 I2a (基準にするスタッドの)押し込み中の検出期
間T2の検出した溶接電流平均値 I2c (判定したいスタッドの)押し込み中の検出期
間T2の検出した溶接電流平均値 I1(t) 時刻tの引き上げ中の溶接電流 I2(t) 時刻tの押し込み中の溶接電流 IC 溶接電流検出回路 Ic 溶接電流検出信号 Io 出力電流/溶接電流 Ip パイロット電流 Is 短絡電流 M スタッド先端の移動量 P 基準点 R(t) 時刻tの抵抗値R(t) Rav 溶接電圧平均値V2aを溶接電流平均値I2aで除
算した抵抗値/基準にする抵抗値 Rav2 溶接電圧平均値V2bを溶接電流平均値I2bで除
算した抵抗値/判定の抵抗値 T1 引き上げ中の検出期間 T2 押し込み中の検出期間 t0 パイロット電流通電開始時点 t1 主ア−ク電流通電開始時点 t2c 短絡中の溶接電圧検出開始時点t21よりも遅れ
て短絡した時点 t11 ア−ク中の溶接電圧検出開始時点 t12 ア−ク中の溶接電圧検出終了時点 t21 短絡中の溶接電圧検出開始時点/スタッドを被
溶接材に押し込む指令をしてから予め定めた時刻 t22 短絡中の溶接電圧検出終了時点 ts0 貫通溶接でない通常の溶接のときの短絡時点 ts1 貫通溶接のときの短絡時点であり、スタッド先
端が鋼板の板厚Dp及び隙間Dcだけ移動する時間 ts2 貫通溶接のときにスタッド先端が鉄骨に押し込
まれる短絡時点 V1(t) 時刻tの引き上げ中の溶接電圧 V2(t) 時刻tの押し込み中の溶接電圧 V1a 引き上げ中の溶接電圧平均値(短絡が発生しな
いとき(正常動作時)のの検出期間T1の溶接電圧平均
値) V2a 押し込み中の溶接電圧平均値(正常動作時の検
出期間T2の溶接電圧平均値)/基準にする押し込み電
圧値 V2c 短絡中の溶接電圧検出開始時点t21よりも遅れ
て短絡したときの検出期間T2の溶接電圧平均値/判定
したい押し込み電圧値 VC 溶接電圧検出回路 Vc 溶接電圧検出信号 Vd 出力端子電圧 Vo 溶接ガンと溶接箇所付近の被溶接材との負荷電
圧 Vr アーク発生中に検出した溶接電流平均値I1aと
抵抗値Ravとの積の電圧降下/基準にする電圧降下 Vr2 アーク発生中に検出した溶接電流平均値I1aと
抵抗値Rav2との積の電圧降下/判定したい電圧降下
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 原田 章二 大阪市北区南森町1丁目1番29号 ダイヘ ンスタッド株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スタッド溶接の入熱管理方法において、
    判定したいスタッドを被溶接材から引き上げてアークを
    発生させた後、スタッドを被溶接材に押し込んで短絡し
    たときの短絡電流通電中に溶接電圧平均値を検出し、前
    記溶接電圧平均値に対応した値と予め定めた値とを比較
    するスタッド溶接の押し込み期間入熱管理方法。
  2. 【請求項2】 スタッド溶接の入熱管理方法において、
    基準にするスタッドを被溶接材から引き上げてアークを
    発生させた後、スタッドを被溶接材に押し込む指令をし
    てから予め定めた時刻までに短絡したときの短絡電流通
    電中に第1の溶接電圧平均値と溶接電流平均値とを検出
    して前記第1の溶接電圧平均値を基準の押し込み電圧値
    とし、次に、判定したいスタッドを被溶接材に押し込ん
    で短絡電流通電中に前記第1の溶接電流平均値と同一平
    均値の電流を通電したときの第2の溶接電圧平均値を検
    出して前記第2の溶接電圧平均値を判定したい押し込み
    電圧値として、前記判定したい押し込み電圧値と前記基
    準にする押し込み電圧値とを比較するスタッド溶接の押
    し込み期間入熱管理方法。
  3. 【請求項3】 スタッド溶接の入熱管理方法において、
    基準にするスタッドを被溶接材から引き上げてアークを
    発生させた後、スタッドを被溶接材に押し込む指令をし
    てから予め定めた時刻までに短絡したときの短絡電流通
    電中に第1の溶接電圧平均値と溶接電流平均値とを検出
    した後、短絡電流通電中に検出した前記第1の溶接電圧
    平均値を溶接電流平均値で除算して基準にする抵抗値を
    算出する基準抵抗値算出過程と、判定したいスタッドを
    被溶接材から引き上げてアークを発生させた後、スタッ
    ドを被溶接材に押し込んで短絡電流通電中に第2の溶接
    電圧平均値と溶接電流平均値とを検出した後、短絡電流
    通電中に検出した前記第2の溶接電圧平均値を溶接電流
    平均値で除算して判定したい抵抗値を算出する判定抵抗
    値算出過程と、前記判定したい抵抗値と前記基準にする
    抵抗値とを比較する抵抗値比較過程とから成るスタッド
    溶接の押し込み期間入熱管理方法。
  4. 【請求項4】 スタッド溶接の入熱管理方法において、
    基準にするスタッドを被溶接材から引き上げてアークを
    発生しアーク発生中に短絡が発生しない第1の溶接電圧
    平均値と溶接電流平均値とを検出し、次にスタッドを被
    溶接材に押し込む指令をしてから予め定めた時刻までに
    短絡したときの短絡電流通電中に第2の溶接電圧平均値
    と溶接電流平均値とを検出した後、短絡電流通電中に検
    出した前記第2の溶接電圧平均値を溶接電流平均値で除
    算して基準にする抵抗値を算出し、前記基準にする抵抗
    値と前記第1の溶接電流平均値との積の基準にする電圧
    降下を算出する基準電圧降下算出過程と、判定したいス
    タッドを被溶接材から引き上げてアークを発生し、次に
    スタッドを被溶接材に押し込んで短絡電流通電中に第3
    の溶接電圧平均値と溶接電流平均値とを検出した後、短
    絡電流通電中に検出した前記第3の溶接電圧平均値を溶
    接電流平均値で除算して判定したい抵抗値を算出し、ア
    ーク発生中に検出した前記第1の溶接電流平均値と前記
    判定したい抵抗値との積の判定したい電圧降下を算出す
    る判定電圧降下算出過程と、前記判定したい電圧降下と
    前記基準にする電圧降下とを比較する電圧降下比較過程
    とから成るスタッド溶接の押し込み期間入熱管理方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010033585A3 (en) * 2008-09-16 2010-07-01 Nelson Stud Welding, Inc. Waveform control in drawn arc fastener welding
CN105171187A (zh) * 2015-09-08 2015-12-23 刘文斌 一种空载电压可调的电焊机

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