JPH1090496A - 反射型光学素子及びこれを用いた反射型光学系 - Google Patents

反射型光学素子及びこれを用いた反射型光学系

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JPH1090496A
JPH1090496A JP8267703A JP26770396A JPH1090496A JP H1090496 A JPH1090496 A JP H1090496A JP 8267703 A JP8267703 A JP 8267703A JP 26770396 A JP26770396 A JP 26770396A JP H1090496 A JPH1090496 A JP H1090496A
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JP
Japan
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multilayer film
reflection
film
protective film
optical element
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Application number
JP8267703A
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English (en)
Inventor
Masayuki Otani
正之 大谷
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Nikon Corp
Original Assignee
Nikon Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光学素子の多層膜表面に不純物が付着した際
には、これを除去して再利用することができるようにし
た反射型光学素子及びこれを用いた反射型光学系を提供
する。 【解決手段】 多層膜ミラー4は、基板1上に、複素屈
折率が異なる2種類の物質を交互に積層形成した多層膜
2を有する。多層膜2の最表面上には、X線に対して透
明なポリエステル樹脂の保護膜3を形成する。長時間の
使用などによって、多層膜2上の保護膜3に不純物が付
着した場合には、保護膜3を除去することで不純物を取
り除くことができる。保護膜3の除去は、有機溶剤など
を用いて、保護膜3を溶解して取り除く。その後、新た
な保護膜を多層膜上に成膜すれば、多層膜ミラーを繰り
返し使用することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、X線等の波長の短
い電磁波を反射する多層膜を有する反射型光学素子及び
この反射型光学素子を用いた、X線露光装置,X線顕微
鏡,X線分析装置,放射光用反射鏡などにおける反射型
光学系に関するものである。
【0002】
【従来の技術】X線やγ線、極端紫外線など、波長の短
い電磁波は、どんな物質中もほとんど直進するために、
実用的なレンズを作ることができない。このため、これ
らの波長域では反射型の光学素子が使われている。反射
型の光学素子の一つとして、全反射を利用した斜入射ミ
ラーがある。斜入射ミラーは、どんな波長でも反射させ
ることができるが、反射面すれすれに入射させて全反射
させるので、反射による偏角(振れの角)が小さく、光
学系を設計する上で自由度が少なく、応用範囲は狭い。
【0003】そこで、大きな偏角を得るためには、反射
面に複素屈折率が異なる2種類の物質を交互に積層した
多層膜を有する多層膜ミラーなどの反射型光学素子が用
いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この種、多層膜を有す
る反射型光学素子は、縮小露光装置や顕微鏡などの光学
系に用いられているが、光学系を長時間使用している
と、徐々に光学素子の反射面である多層膜が汚れてく
る。これは、光学系が置かれている雰囲気中の不純物が
多層膜の表面に付着するためである。当然、不純物の付
着は、反射率の低下につながるので、光学装置の性能の
劣化となる。
【0005】従来は光学系が設置される雰囲気を、でき
る限り不純物が無いようにする努力が行われてきたが、
完全に不純物を取り除くことはできず、光学素子の多層
膜に不純物が付着して反射率が低下した場合、従来は光
学素子を新品と交換する方法が採られてきた。不純物だ
けを取り除く方法がなかったからである。
【0006】光学素子の多層膜の精度は反射させる波長
と同程度で無ければならないため、ナノメーター以下の
精度で製造されている。不純物は、光学素子の多層膜の
表面の分子と何らかの相互作用を起こしているので、不
純物を拭き取るのは困難であり、たとえ拭き取れても、
不純物と相互作用を起こしていた表面の原子も取れてし
まって多層膜面が損傷を受けることになり、結果として
ナノメータ以下の精度で狂いが生じ、不純物だけを拭き
取ることができなかった。このため、高価な多層膜を有
する光学素子を新しいものに交換しなくてはならなかっ
た。
【0007】本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑み
てなされたものであり、光学素子の多層膜表面に不純物
が付着した際には、これを除去して再利用することがで
きるようにした反射型光学素子及びこれを用いた反射型
光学系を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、X線、γ線、
あるいは極端紫外線を反射する多層膜を有する反射型光
学素子であって、前記多層膜の最表面上に、反射する前
記X線等の電磁波の波長に対して90%以上の透過率を
もつ保護膜が成膜されたものである。
【0009】また、本発明は、X線、γ線、あるいは極
端紫外線を反射する反射型光学系であって、その光学系
を成す光学素子のうち少なくとも一つに上記の反射型光
学素子が使用されているものである。
【0010】上記の反射型光学素子には、反射型多層膜
ミラーや反射型マスクなどがある。また、上記の保護膜
の材質としては、X線等の使用波長の電磁波に対して透
明とみなせる、高い透過率を有する材質ならばよく、例
えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂などが挙げられ
る。保護膜の成膜は、多層膜上にスピンコートなどによ
り形成すればよい。保護膜の膜厚は、あまり薄いと多層
膜をしっかりと覆う膜ができず、一方、厚すぎると透過
率が低下してしまうので、0.1〜10μmの範囲とす
るのがよい。
【0011】長時間の使用などの理由によって、多層膜
上の保護膜に不純物が付着した場合には、保護膜を除去
することで不純物を取り除くことが可能になる。保護膜
の除去は、有機溶剤やアルカリ性溶剤などを用いて、保
護膜を溶解して取り除けばよい。光学素子を再利用する
前には、新たな保護膜を多層膜上に成膜すれば、繰り返
し使用することができ、高価な光学素子を有効に使用で
きる。
【0012】
【発明の実施の形態】図1は、本発明に係る反射型光学
素子の一例として、多層膜ミラーの一実施形態を示す。
多層膜ミラー4は、図示のように、ガラス等からなる基
板1上に、複素屈折率が異なる2種類の物質を交互に積
層形成した多層膜2を有する。多層膜2は、モリブデン
とシリコンの薄膜からなる。多層膜2の最表面上には、
X線に対して透明なポリエステル樹脂の保護膜3が形成
されている。保護膜3はスピンコートにより成膜した。
【0013】多層膜ミラー4の多層膜2による反射は通
常のブラッグの式(2d・sinθ=λ)に従う。ここ
で、dは2種類の薄膜の一対(一周期)の厚さ、θは反
射面と入射光とのなす角、λは波長である。この式から
わかるとおり、反射する角度と波長には1対1の関係が
あるので、多層膜を用いた光学系は特定の波長に対して
のみ有効である。言い換えれば、ある波長に対して多層
膜を用いた光学系を設計すると、他の波長に対しては反
射角が異なるので光路が異なり、光学系として用をなさ
ないことになる。これは、特定の波長しか透過させない
フィルタ効果を持っているという事ができる。
【0014】図2には、本実施形態の多層膜ミラー4の
効果を実証するための実験に用いたX線光学装置の構成
を示す。X線光学装置は、図示のように、X線を発生す
るX線発生装置5と、X線を反射する反射鏡6と、X線
を検出する検出器7とを有し、これらはすべて真空槽8
内の真空中に設置される。このX線光学装置では、X線
発生装置5から発生したX線を、反射鏡6で反射させて
検出器7で検出するようになっており、長時間連続して
X線を発生させ続け、検出器7に検出されるX線の強度
をモニターする。反射鏡6の反射率が変化しなければ、
検出器7に検出されるX線の強度は変化しないはずであ
る。
【0015】まず、本実施形態の多層膜ミラー4と比較
するために、反射鏡6に、従来の保護膜のない多層膜ミ
ラーを用いた比較例について実験を行った。真空槽8の
真空度は1×10-3パスカルであり、反射鏡6の位置の
多層膜ミラーが検出器7に向けて反射するX線の波長は
13nmである。X線発生装置5からのX線を多層膜ミ
ラーで反射させ、反射強度を検出器7でモニターした。
72時間連続してX線の強度を測定したところ、強度が
8%低下した。これは多層膜ミラーの反射率が低下した
ことを示すものである。X線が照射された多層膜ミラー
を目視で観察したところ、X線が照射されていたところ
だけ黒ずんでおり、多層膜の表面に不純物が付着してい
ることが確認された。不純物の主な成分は炭素であり、
真空槽8の排気用ポンプの油が真空槽8内にわずかに入
り込んでいるのが原因であった。真空にするためには
(少なくとも真空引きの初期においては)、油を用いた
排気用ポンプは必須であり、ポンプと真空槽8がつなが
っている以上、排気用ポンプの油の混入を完全に防ぐこ
とはできない。
【0016】次に、反射鏡6に、本実施形態の多層膜ミ
ラー4を用いて同様の実験を行ったところ、72時間の
連続照射で同じように反射率が低下した。やはり多層膜
ミラー4の表面の保護膜3に炭素が付着していたため
に、反射率が低下したのが原因であった。その後、多層
膜ミラー4を溶媒に浸して、その保護膜3を除去した後
に、再び保護膜を成膜して、図2の配置で実験を行った
ところ、実験当初に測定したX線強度と同じ強度が観測
された。これは保護膜3とともに不純物が除去されたと
共に、保護膜3を除去しても多層膜2の表面が崩れてい
ないことを示すものである。
【0017】以上により、従来は困難であった不純物の
除去が、本発明を用いることで簡便に行えることが確認
できた。また、高精度に製作された光学素子が繰り返し
使用できることにより、X線やガンマ線などの波長域で
の光学系にかかる費用を飛躍的に下げることが可能にな
る。
【0018】
【発明の効果】以上の説明より明らかなように、本発明
によれば、多層膜の最表面上に保護膜を形成したので、
不純物が表面に付着しても保護膜と共に除去することが
でき、保護膜を除去した多層膜上に再び新たな保護膜を
成膜することで、高価な反射型光学素子を繰り返して使
用することができる。これにより、X線等の波長の短い
電磁波を反射する光学系のランニングコストを大幅に低
減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る反射型光学素子の一例である、多
層膜ミラーの一実施形態を示す概略縦断面図である。
【図2】図1の多層膜ミラーの効果を実証する実験に用
いたX線光学装置を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1 基板 2 多層膜 3 保護膜 4 多層膜ミラー 5 X線発生装置 6 反射鏡 7 検出器 8 真空槽

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 X線、γ線、あるいは極端紫外線を反射
    する多層膜を有する反射型光学素子において、前記多層
    膜の最表面上に、反射する前記X線等の電磁波の波長に
    対して90%以上の透過率をもつ保護膜が成膜されてい
    ることを特徴とする反射型光学素子。
  2. 【請求項2】 X線、γ線、あるいは極端紫外線を反射
    する反射型光学系において、その光学系を成す光学素子
    のうち少なくとも一つに請求項1記載の反射型光学素子
    が使用されていることを特徴とする反射型光学系。
JP8267703A 1996-09-19 1996-09-19 反射型光学素子及びこれを用いた反射型光学系 Pending JPH1090496A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006135307A (ja) * 2004-10-04 2006-05-25 Asml Netherlands Bv 光学素子における蒸着物の除去方法、光学素子の保護方法、デバイス製造方法、光学素子を含む装置、およびリソグラフィ装置
JP2008098651A (ja) * 2000-09-04 2008-04-24 Asml Netherlands Bv リソグラフィ投影装置、デバイス製造方法、およびそれらによって製造されたデバイス

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