JPH1090112A - 干渉計による2次元位相データのアンラップ方法および装置 - Google Patents

干渉計による2次元位相データのアンラップ方法および装置

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JPH1090112A
JPH1090112A JP26254096A JP26254096A JPH1090112A JP H1090112 A JPH1090112 A JP H1090112A JP 26254096 A JP26254096 A JP 26254096A JP 26254096 A JP26254096 A JP 26254096A JP H1090112 A JPH1090112 A JP H1090112A
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solution
equation
unwrapping
phase
adjacent
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JP26254096A
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Takatoshi Yamada
隆俊 山田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アンラップ時におけるノイズ等によるエラー
を起こりにくくにする。 【解決手段】 コンピュータ12は、干渉計1によって
得られた2次元位相データにおける有効な領域を、隣り
合う点同士の位相差がπよりも十分小さい点の集まりで
ある小領域に分割し、各小領域に、それぞれ、アンラッ
プを行うために位相を2πの何倍だけずらせば良いかを
表す変数を割り当て、隣り合う小領域の境界に沿って、
隣り合う点の位相差を2πで割った値を整数に丸めた値
を、隣り合う点の変数の値の差とする第1の方程式を作
成し、隣り合う小領域の境界毎に、同じ境界上について
の第1の方程式を辺々足して第2の方程式を作成し、第
2の方程式を変数について解く。整数解がない場合は解
を整数に丸め、解がない場合は隣り合う小領域の境界を
挟んで隣り合う点の組の個数で重みを付けた最小2乗解
を求める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、干渉計によって得
られる2次元位相データのアンラップを行う干渉計によ
る2次元位相データのアンラップ方法および装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、レンズ等の光学部品の光学特
性を評価するための装置として干渉計がある。干渉計
は、レンズ等の被検体からの被検波面と、基準となる参
照波面とを干渉させて干渉縞を形成させ、この干渉縞の
強度のデータから、被検体の収差を2次元の位相データ
(位相の2次元的分布情報)として求める装置である。
【0003】収差の数値解析が可能な干渉計は、一般
に、図11に示すような手順によって、収差の値(2次
元の位相データ)を計算している。この手順では、ま
ず、被検波面と参照波面との干渉による干渉縞の強度分
布を得る(ステップS201)。次に、干渉縞の強度を
位相情報に変換する(ステップS202)。次に、測定
領域内で有効な点と無効な点を分類し、有効な領域(以
下、有効領域と言う。)を決定する(ステップS20
3)。次に、有効領域内部で、位相のアンラップを行い
(ステップS204)、2次元の位相データを得る。な
お、アンラップについては、後で詳しく説明する。次
に、干渉計における光学的調整による収差を取り除くた
めに、ステップS204で求められた位相データに対し
て、ティルト(傾き)およびデフォーカス成分の引き算
を行って(ステップS205)、被検体の収差の情報を
得る。
【0004】干渉縞の強度を位相情報に変換する方法と
しては、ZAPP(ZYGO社の解析装置の名称)を使
用する方法、フーリエ法、縞走査法(フリンジスキャン
法)、ヘテロダイン法等が用いられる。ところが、いず
れの方法を用いても、強度から位相を求めるので、2π
の整数倍の不定性が存在する。すなわち、強度から位相
を求めるための普通の計算では、その過程においてアー
クタンジェント(tan-1)の計算が含まれ、そのため
tan-1の値域により、求められる2次元の位相データ
は−πから+πの範囲に折り畳まれる(ラップされる)
ことになる。その結果、求められる位相データのデータ
領域の所々に、2πに近い大きな位相のジャンプが現れ
る。このジャンプを無くし、連続的に変化する本来の位
相のデータを求めることをアンラップ(アンラッピン
グ、2πジャンプ補正等とも呼ばれる。)と言う。
【0005】従来より、アンラップの方法は種々考案さ
れているが、いずれも、基本的には、本来の位相の変化
は滑らかであるという仮定に基づいている。一般的なア
ンラップの方法は、まず、アンラップを始める点を決
め、以下の手順で行われる。
【0006】(i)アンラップを始める点を基準の点と
して、その点と隣り合う点との位相を比較する。 (ii)位相のジャンプがある場合は、ジャンプが無くな
るように、隣の点における位相に2πの整数倍のオフセ
ットを加える。 (iii)(ii)の手順が終了したら隣の点を新たに基準と
する点として、(i)の手順に戻る。 (iv)全ての点について(i)〜(ii)の手順を終了し
たら、アンラップを終了する。
【0007】ここで、図12を参照して、アンラップに
ついて、更に詳しく説明する。一般的な干渉測定におい
て位相φを求めるのは、次の式(1)の演算を行うとい
うことに集約することができる。
【0008】
【数1】 φ(i,j)=tan-1(f{I(i,j)}) …(1)
【0009】ここで、f{I(i,j)}は、座標
(i,j)上での干渉縞強度のなんらかの関数であり、
縞走査法の場合には、参照波面の位相をπ/2ずつ送っ
て得られる4つの強度データの有理関数となる。元の位
相(収差)はどんな値でもとれるが、式(1)に従って
干渉縞強度から位相データを求めた場合、前述のよう
に、tan-1の値域により、求められる位相データは−
πから+πの範囲に折り畳まれることになる。その結
果、図12において符号301で示したように、求めら
れる位相データには、所々に、2πに近い大きな位相の
ジャンプが現れる。アンラップは、このジャンプを無く
し、図12において符号302で示すような連続的に変
化する本来の位相のデータを求めることである。
【0010】アンラップは、隣り合う2点の位相を比較
してジャンプの有無を判断し、ジャンプがある場合は、
ジャンプが無くなるように、すなわち位相の変化が滑ら
かになるように、一方の点における位相に2πの整数倍
のオフセットを加えれば良い。つまり、例えばjの方向
に関しては、以下の演算を行えば良い。なお、φ
new(i,j)は、アンラップ後の位相を表している。
【0011】
【数2】 −3π<φ(i,j)−φ(i,j−1)≦−πのとき φnew (i,j)=φ(i,j)+2π −π<φ(i,j)−φ(i,j−1)≦πのとき φnew (i,j)=φ(i,j) π<φ(i,j)−φ(i,j−1)≦3πのとき φnew (i,j)=φ(i,j)−2π (以下、同様) …(2)
【0012】そして、i方向についても、式(2)と同
様の演算を行えば良う。これらの演算は、隣り合う点の
位相がπ以上離れないように、位相データを繋ぐという
作業と言える。
【0013】また、図13に示すように、測定領域31
1が2次元の場合、有効領域312内に、干渉計の光学
系内に付着したごみ等のためにデータの欠落による穴3
13があって、有効領域312が単連結ではない場合も
あり得るが、この場合には、穴313を避けて、隣り合
う2点の位相を比較して、上記作業を行う必要がある。
一般には、このために、いわゆる塗りつぶしのアルゴリ
ズムを使用する。すなわち、式(2)では、比較する隣
の点の位置が予め決まっているが、塗りつぶしのアルゴ
リズムでは、上下左右のそれぞれの隣の点のうち、比較
可能な(データが欠落していない)点を探しながら比較
していき、自動的に穴の周りをたどってデータを繋いで
いく。これは、自分自身と交わらない閉曲線で囲まれた
内部を塗りつぶす方法と同じで、プログラム上では関数
の再帰呼び出しで比較的簡単に実現できるので、計算機
(コンピュータ)との相性が良い。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、干渉測
定によって得られる位相データには、以下のような悪い
特徴がある。 (i)微少変位の測定データなので外乱等によりノイズ
が重畳しやすい。 (ii)ごみ等のためにデータの欠落による穴がある場
合、フレネル回折の影響で、その穴の近傍の位相が急激
に変化する。
【0015】ここで、図14を参照して、上記(i)の
特徴に起因する問題点について説明する。図14(a)
は、1点だけにノイズ321が乗っている位相データの
例を示したものである。図14(b)は、図14(a)
に示した位相データを、式(2)を用いてアンラップし
た後のデータを符号322で示し、本来の位相のデータ
を符号323で示したものである。式(2)のような局
所的な判断では、図14(a)に示したように、たった
1点だけにノイズ321が乗っている場合でも、そのノ
イズ321がちょうどπに近い大きさのときには、図1
4(b)に示したように大きなエラーを引き起こしてし
まうという問題点がある。図14(a)に示したような
ジャンプがπに近いノイズのことを疑点(Ambigu
ousPoint)と呼ぶことにする。
【0016】次に、上記(ii)の特徴に起因する問題点
について説明する。塗りつぶしのアルゴリズムでは、穴
の周囲に沿って比較する点を選んでしまうので、フレネ
ル回折の影響で穴の近傍の位相が急激に変化している場
合、大域的なエラーにつながりやすいという問題点があ
る。
【0017】ここで、図15(a)に、正常なアンラッ
プが行われた場合の位相データの一例を示し、図15
(b)に、アンラップにおいてエラーが起こった場合の
位相データの一例を示す。これらの図において、X,Y
はそれぞれ位置の座標軸を表し、Pは位相の座標軸を表
している。図15(b)に示したように、アンラップに
おいてエラーが起こった場合、演算の結果により得られ
た位相のデータは、正しい位相とは全くかけ離れてしま
うことになる。
【0018】以上の問題点は、演算の結果の確認が難し
い量産現場における自動測定等では大きな問題となる。
この問題を解決するために、文献「Stephnson,Burton&
Lalor,Data validation techniques in a tiled phase
unwrapping algorithm,Optical Engineering,Vol.33 N
o.11,3703〜3708,Nov.1994 」等で、アルゴリズミック
な種々の方法が考えられているが、本質的な解決はなさ
れていない。
【0019】更に、式(2)による従来のアンラップの
方法では、ごみ等の影響で有効領域がいくつかの領域に
分割されている場合、一回の走査(有効領域についての
一連の演算処理)では、分割された領域のうちの一つし
かアンラップすることができないので、全ての領域につ
いてアンラップするには、全領域を分割数の回数だけ走
査する必要があるという問題点がある。
【0020】本発明はかかる問題点を解決するためにな
されたもので、その目的は、ノイズ等によるエラーが起
こりにくく、また、有効領域がいくつかの領域に分割さ
れた場合でも一回の走査で全領域についてのアンラップ
を行うことができるようにした干渉計による2次元位相
データのアンラップ方法および装置を提供することにあ
る。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明の干渉計による2
次元位相データのアンラップ方法および装置は、2次元
位相データにおける有効な領域を、隣り合う点同士の位
相差がπよりも十分小さい点の集まりである小領域に分
割し、各小領域に、それぞれ、アンラップを行うために
位相を2πの何倍だけずらせば良いかを表す変数を割り
当て、隣り合う小領域の境界に沿って、隣り合う点の位
相差を2πで割った値を整数に丸めた値を、隣り合う点
の変数の値の差とする第1の方程式を作成し、隣り合う
小領域の境界毎に、同じ境界上についての第1の方程式
を辺々足して第2の方程式を作成し、第2の方程式を変
数について解き、整数解がある場合はその整数解をその
まま各小領域毎の変数の値とし、解はあるが整数解では
ない場合はその解を整数に丸めた値を各小領域毎の変数
の値とし、解がない場合は隣り合う小領域の境界を挟ん
で隣り合う点の組の個数で重みを付けた最小2乗解を求
めてその解を整数に丸めた値を各小領域毎の変数の値と
し、得られた各小領域毎の変数の値を2π倍した位相だ
け、各小領域内の各点の位相をずらすようにしたもので
ある。
【0022】本発明の干渉計による2次元位相データの
アンラップ方法および装置では、第2の方程式を解くこ
とで、各小領域に、アンラップを行うために位相を2π
の何倍だけずらせば良いかを表す変数の値が求まり、得
られた各小領域毎の変数の値を2π倍した位相だけ、各
小領域内の各点の位相をずらすことでアンラップが行わ
れる。ここで、第2の方程式に解はあるが整数解ではな
い場合は、その解を整数に丸めた値を各小領域毎の変数
の値とすることで、多数決決定的に各小領域毎の変数の
値が決定され、その結果、ノイズ等によって位相が大き
く乱れている部分についてはその数があまり多くなけれ
ば無視されることになる。また、第2の方程式に解がな
い場合は、隣り合う小領域の境界を挟んで隣り合う点の
組の個数で重みを付けた最小2乗解を求めてその解を整
数に丸めた値を各小領域毎の変数の値とすることで、ノ
イズ等によって位相が大きく乱れている部分については
それがあまり大きくなければ無視されることになる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の一実
施の形態に係るアンラップ装置を含む光学部品評価シス
テムの構成を示す説明図である。この評価システムは、
干渉計1と、この干渉計1に接続された信号処理回路1
1と、この信号処理回路11に接続されたコンピュータ
12と、このコンピュータ12に接続されたモニタ13
とを備えている。コンピュータ12が、本実施の形態に
係るアンラップ装置(演算手段)に対応する。
【0024】図1には、干渉計1としてトワイマン・グ
リーン干渉計の例を示している。また、干渉計1は、縞
走査法によって、光学部品の収差を測定できるように構
成されている。干渉計1は、平行光束のレーザ光を出射
する光源装置2と、この光源装置2からのレーザ光が入
射され、入射光の一部を反射し、残りの一部を透過する
ビームスプリッタ3と、光源装置2から出射されビーム
スプリッタ3を透過した光を反射して参照波面を生成す
る基準反射鏡4と、例えばピエゾ素子を用いて基準反射
鏡4を光軸方向に移動するための駆動部5と、基準反射
鏡4で反射され、更にビームスプリッタ3で反射された
光の光路上に配設された結像レンズ6と、この結像レン
ズ6によって結像される像を撮像するためのカメラ7と
を備えている。カメラ7には、例えばCCD(電荷結合
素子)が用いらる。光源装置2から出射されビームスプ
リッタ3で反射した光の光路上には、被検体における被
測定面8が配置され、この被測定面8からの戻り光がビ
ームスプリッタ3に入射するようになっている。なお、
図1では、ビームスプリッタ3からの光が被測定面8で
反射して、ビームスプリッタ3に戻るように描いている
が、被検体が例えばレンズの場合には、ビームスプリッ
タ3からの光を、レンズを通過させて球面波とし、この
球面波を、凹面鏡等によって波面形状を保ったまま反射
して、再度レンズを通過させてビームスプリッタ3に戻
るようにしても良い。
【0025】図1に示した干渉計1では、光源装置2か
ら出射された平行光束のレーザ光は、ビームスプリッタ
3に入射して一部が反射し、残りの一部が透過する。ビ
ームスプリッタ3で反射した光は、被測定面8に入射
し、被測定面8からの戻り光が再度ビームスプリッタ3
に入射して一部が透過して結像レンズ6を介してカメラ
7に入射する。一方、光源装置2から出射され、ビーム
スプリッタ3を透過した光は、基準反射鏡4で反射し、
再度ビームスプリッタ3に入射して一部が反射して結像
レンズ6を介してカメラ7に入射する。その結果、カメ
ラ7上では、被測定面8からの光による被検波面と基準
反射鏡4からの光による参照波面との干渉による干渉縞
が形成され、この干渉縞がカメラ7によって撮像され
る。
【0026】カメラ7の出力は、信号処理回路11に入
力され、ここで、増幅、アナログ−ディジタル変換等の
信号処理が行われ、2次元の各位置(画素)毎の干渉縞
強度データが生成され、この干渉縞強度データがコンピ
ュータ12に入力されるようになっている。縞走査動作
時、コンピュータ12は、駆動部5を制御して、基準反
射鏡4をλ/4(ただし、λは光の波長)ずつ光軸方向
に4段階に移動させ、各位置毎に、信号処理回路11か
らの干渉縞強度データを取り込み、縞走査法に基づい
て、干渉縞強度データから位相データを生成するように
なっている。コンピュータ12は、更に、後で詳しく説
明するように、位相のアンラップ等の演算処理を行うと
共に、必要に応じて、モニタ13にデータや特性図等を
表示するようになっている。
【0027】ここで、縞走査法について簡単に説明す
る。今、被検波面の形状をh(x,y)とし、基準反射
鏡4を移動させることによって変化させる光路長をlと
すると、カメラ7によって撮像される干渉縞の強度分布
I(x,y,l)は次の式(3)で表される。
【0028】
【数3】 I(x,y,l)=a(x,y)+b(x,y)cos{2π/λ[h(x, y)−l]} …(3)
【0029】ここで、a(x,y)は干渉縞の強度分布
のバイアス成分、b(x,y)は干渉縞のコントラスト
変化を表す項である。この式(3)は変数lに関して周
期関数になっているので、lに対してフーリエ変換を行
い、その結果から、フーリエ級数の1次の項に対応した
実部と虚部とを取り出し、これを変形すると、次の式
(4)が得られる。
【0030】
【数4】 h(x,y)=(λ/2π)・tan-1{ΣI(x,y,ln )sin(2π n/N0 )/ΣI(x,y,ln )cos(2πn/N0 )} ……(4)
【0031】ここで、ln =n/N0 (n=0,1,
2,……,N0 −1)であり、Σはn=0からn=N0
−1までの総和を表す。
【0032】ここで、N0 =4とすると、式(4)から
次の式(5)が得られる。
【0033】
【数5】 h(x,y)=(λ/2π)・tan-1{(I1 −I3 )/(I0 −I2 )} ……(5)
【0034】ここで、I0 〜I3 はそれぞれI(x,
y,l0 )〜I(x,y,l3 )を意味し、基準反射鏡
4をそれぞれ0,λ/4,λ/2,3λ/4だけ移動さ
せたときの各段階において得られる干渉縞強度分布を表
す。この式(5)から、被検波面の形状h(x,y)が
得られ、このh(x,y)に基づいて、被検体における
収差が求められる。
【0035】次に、図2の流れ図を参照して、図1にお
けるコンピュータ12が被検体における収差の情報を求
める際の処理内容について説明する。コンピュータ12
は、まず、基準反射鏡4の位置を表す変数nを0とし
(ステップS101)、次に、駆動部5を制御して基準
反射鏡4を所定の位置に配置し、そのときにカメラ7お
よび信号処理回路11によって得られる干渉縞強度In
を取り込む(ステップS102)。次に、コンピュータ
12は、n=3か否かを判断し(ステップS103)、
n=3ではない場合(N)は、nを1インクリメントし
て(ステップS104)、基準反射鏡4をλ/4だけ移
動させ(ステップS105)、ステップS102に戻
る。ステップS102〜S105が縞走査動作である。
n=3となったとき(ステップS103;Y)には、式
(5)におけるI0 〜I3 が得られており、コンピュー
タ12は、干渉縞の各点(各位置)毎に、式(5)にお
けるtan-1{(I1 −I3 )/(I0 −I2 )}等を
計算して、2次元の位相データを生成する(ステップS
106)。次に、コンピュータ12は、得られた2次元
の位相データの変調度等から、測定領域内における有効
領域を同定し(ステップS107)、更に、有効領域の
形状、中心位置等を同定する(ステップS108)。次
に、コンピュータ12は、有効領域内部で、位相のアン
ラップを行う(ステップS109)。次にコンピュータ
12は、干渉計1における光学的調整による収差を取り
除くために、ステップS109で求められた位相データ
に対して、ティルトおよびデフォーカス成分の引き算を
行って(ステップS110)、被検体における収差の情
報を得て、処理を終了する。
【0036】次に、本実施の形態に係る位相のアンラッ
プの方法について詳しく説明する。従来のアンラップの
方法で用いられる式(2)は、漸化式風の逐次処理に向
いた表現になっているが、これは計算機(コンピュー
タ)を使うことを暗黙の前提としていることによる。式
(2)を代数的表現(並列表現)に書き換えた場合、ア
ンラップは、次の式(6)においてμを求める問題と言
える。
【0037】
【数6】 φnew (i,j)=φ(i,j)−2πμ(i,j) …(6)
【0038】なお、μ(i,j)は、点(m,n)を点
(i,j)に隣り合う点、つまり、|i−m|=1また
は|j−n|=1として、次の式(7)が成り立つよう
な整数である。すなわち、μは、アンラップを行うため
に位相を2πの何倍ずらせば良いかを表す変数である。
【0039】
【数7】 −π<φnew (i,j)−φnew (m,n)<π …(7)
【0040】本実施の形態では、μをクラスと呼ぶこと
にする。このμは、次の式(8)によって求めることが
できる。
【0041】
【数8】 μ(i,j)−μ(m,n)=round[{φ(i,j)−φ(m,n)} /2π] …(8)
【0042】なお、“round”は、丸めを意味し、
具体的には“round”の後に続く数値を四捨五入し
て近い整数にする処理である。
【0043】また、以下、式(8)における右辺をρ
(i,j:m,n)と書くことにする。μを求めるに
は、式(8)を、有効な点(i,j)と、この有効な点
それぞれについて可能な隣り合う点(m,n)について
の方程式と見て、この方程式を解けば良い。ここで、有
効な点がN個あり、式(2)と同様に、隣り合う点とし
て左右方向と上下方向とを考慮するとすれば、有効な各
点についてのμを求めることは、N変数のM(ただし、
Mは隣り合う点の組の数であり、M<2N)個の方程式
からなる線型連立方程式の整数解を求める問題とみなす
ことができる。この線型連立方程式を行列表現で表す
と、次の式(9)となる。
【0044】
【数9】AΦ=b …(9)
【0045】ここで、Φは次の(10)で表される変数
のベクトルである。
【0046】
【数10】
【0047】また、Aは、隣り合う点の組毎に式(8)
における左辺を作るための係数の行列、bは、式(8)
における右辺の値のベクトルである。
【0048】ここで、Aは、要素に0以外の値としては
1か−1を取るだけのスパースなN×M行列で、次の式
(11)が成り立つ。
【0049】
【数11】rank(A)≦N−1 …(11)
【0050】なお、rank(A)は、行列Aの階数で
あり、変数のうち求めることの可能な解の数を表すとみ
ることができる。従って、式(11)は、変数のうち未
知数が最小でも1つは残るということを表している。な
ぜならば、問題の性質から、全ての点について定数(オ
フセット)を加えても式(9)を満たすはず、すなわ
ち、少なくとも次の式(12)が成り立つはずだからで
ある。
【0051】
【数12】
【0052】従って、次の式(13)で表されるrの値
を求めると、このrは、有効領域が、領域間では隣り合
う点を持たないいくつの領域に分割されているかを表す
分割数を示すことになる。
【0053】
【数13】 r=N−rank(A)=Dim(Null(A)) …(13)
【0054】ここで、Null(A)は、行列Aの右零
空間(Null Space)を表す。また、Dimは
空間の次元を表す。
【0055】また、前述の疑点を含む行同士では式
(9)が矛盾する(解がない)場合があり得る。つま
り、連立方程式(9)は、不定で且つ不能の方程式系で
ある。従って、式(9)のままでは、あまり意味のある
表現にはならない。また、行列のサイズも大きすぎて実
用的ではない。
【0056】そこで、本実施の形態では、有効領域を、
明らかにμが同じ値を持つ小領域、言い換えると、明ら
かに位相のジャンプのない小領域に分割し、一つの小領
域に一つの変数μk を割り当てる。以下、この小領域を
リージョンと呼ぶことにする。「明らかにμが同じ値を
持つ」とは、隣り合う点同士の位相差がπよりも十分小
さい(疑点を含まない)点の集まりであるとする。リー
ジョン間には、位相のジャンプがあってもなくても良
く、ジャンプがあるか否か怪しい部分では分割してお
く。疑点は、孤立し、単独でリージョンを形成すること
になりやすいはずである。ここで、Rk をあるリージョ
ンとしたとき、ν(Rk )をRk に隣り合うリージョン
の集合を表すものとする。
【0057】図3は、複数のリージョンに分割された有
効領域の一部の例を示したものである。この例では、隣
り合うリージョンRk およびリージョンRl と、疑点2
1とが示されている。なお、この例では、2次元のリー
ジョンを設定しているが、1次元のリージョンを設定す
るようにしても良い。
【0058】上述のように、有効領域を複数のリージョ
ンに分割すると、式(8)は、リージョンの境界をまた
いで隣り合う点同士についての式、すなわち次の式(1
4)とすることができる。
【0059】
【数14】 μk −μl =ρ(i,j:m,n) …(14) ただし、(i,j)∈Rk (m,n)∈Rl (Rl ∈ν(Rk ))
【0060】ここで、Rk はクラスμk を持つリージョ
ン、Rl はクラスμl を持つリージョンである。なお、
式(14)は、隣り合うリージョン間では、隣り合う点
の組の数だけ存在する。
【0061】隣り合う2つのリージョンRk ,Rl 間の
単一の境界上において隣り合う点が複数組ある場合、各
組についての式(14)は、左辺は全て同じになるが、
右辺は、疑点を含んでいれば異なる可能性がある。そこ
で、本実施の形態では、同じ式(14)の左辺を持つ、
すなわち、同じ境界上についての式(14)を辺々足し
て、次の式(15)を作成する。
【0062】
【数15】 w(μk −μl )=Σρ(i,j:m,n) …(15)
【0063】なお、式(15)において、Σは、隣り合
うリージョンRk ,Rl 間の境界を挟んで隣り合う点
(i,j),(m,n)の組の全てについての総和を意
味する。また、式(15)において、wは、隣り合うリ
ージョンRk ,Rl 間の境界を挟んで隣り合う点の組の
個数である。もし、疑点がなければ、式(15)は、w
で割り切れるはずである。なお、有効領域全体では、式
(15)は、隣り合うリージョンの境界の数だけ存在す
る。
【0064】ここで、式(8)を行列表現で表して式
(9)としたのと同様に、式(15)を行列表現で表し
て、次の式(16)とする。
【0065】
【数16】A′Φ′=b′ …(16)
【0066】ここで、Φ′は、変数であるリージョン毎
のクラス(μk ,μl 等)のベクトル、b′は、式(1
5)における右辺の値のベクトルである。A′は、隣り
合うリージョンの組毎に式(15)における左辺を作る
ための係数のK×L行列である。なお、Kはリージョン
の個数であり、K<<Nである。また、Lはあるリージョ
ンに隣り合うリージョンの組み合わせの数の総数であ
り、次の(17)式で表される。
【0067】
【数17】 L={Σσ(ν(Rk ))}/2 …(17)
【0068】なお、式(17)において、σ(N)は集
合Nの要素を数を表している。また、Σは、全てのk、
すなわち全てのリージョンについての総和を意味する。
【0069】式(16)は、明らかに、式(9)と同様
に、式(11),式(12)および式(13)で表され
る性質は変わらないが、行列の大きさは式(9)に比べ
て小さい。ここで、式(13)におけるNの代わりにK
(係数行列A′の列の次元)、式(13)におけるAの
代わりにA′として、次の式(18)によってrを求め
れば、このrにより領域の分割数が分かる。
【0070】
【数18】 r=K−rank(A′)=Dim(Null(A′)) …(18)
【0071】各リージョンについてのμを求めるには、
式(16)の特解を求めれば良いことになる。有効領域
が連結(単連結でなくても良い。)であり、且つ疑点を
含まなければ、式(16)は整数解を持つはずである。
【0072】しかしながら、有効領域が連結であるが、
疑点を含む場合には、以下の2つの場合があり得る。 式(15)の右辺がwで割り切れない。すなわち、式
(16)に整数解がない。 式(16)に解がない。
【0073】本実施の形態では、の場合には、式(1
5)の代わりに、次の式(19)を用いて、その解を求
める。
【0074】
【数19】 μk −μl =round[{Σρ(i,j:m,n)}/w] …(19)
【0075】式(19)の右辺の和(Σ)の中におい
て、隣り合う点の少なくとも一方が疑点である組が、隣
り合う点が共に疑点ではない組よりも十分少なければ、
隣り合う点の少なくとも一方が疑点である組におけるρ
の値は、式(19)における丸めの過程で無視されるこ
とになる。これは、多数決決定的に解を求めていると言
える。そして、式(19)を解くことによって求められ
た各リージョンについてのμの値は、式(15)を解く
ことによって求められた有理解を丸めたものと一致す
る。
【0076】ここで、図4を参照して、式(19)の意
味について具体的に説明する。図4には、リージョンR
k ,Rl が隣り合い、このリージョンRk ,Rl 間の境
界を挟んで隣り合う点の組が4組ある例を示している。
また、この例では、4組ある隣り合う点の組のそれぞれ
におけるρ(i,j:m,n)の値が、1,1,1およ
び0であるものとしている。ρ(i,j:m,n)の値
が0である点の組における少なくとも一方の点が疑点で
ある。この場合、式(19)におけるΣρ(i,j:
m,n)の値は3、wの値は4となる。従って、式(1
9)における右辺の値は、round(3/4)=1と
なり、少なくとも一方が疑点である組におけるρの値0
は、丸めの過程で無視されることとなる。
【0077】一方、の場合には、式(16)の方程式
の最小2乗解を求める問題と見なして、解を求める。こ
の場合は、まず、式(16)におけるA′を、次の式
(20)のように変形する。
【0078】
【数20】
【0079】ここで、Wは、式(15)に現れた隣り合
うリージョンの境界を挟んで隣り合う点の組の個数w
(式(20)では、w1 ,w2 ,w3 ,…と記す。)を
対角要素に持つ行列である。従って、式(20)におけ
るA''は、0,1あるいは−1の3通りの要素を持つ行
列になる。式(20)を用いると、式(16)は、次の
式(21)のように書ける。
【0080】
【数21】WA''Φ′=Wb'' …(21)
【0081】ただし、b''は、式(15)における右辺
の値を、それぞれw(w1 ,w2 ,w3 ,…)で割った
値のベクトルであり、次の式(22)で表される。
【0082】
【数22】
【0083】式(21)の形で最小2乗解を求める問題
は、次の式(23)の方程式に、Wなる重みを付けて最
小2乗解を求めることに等しい。
【0084】
【数23】A''Φ′=b'' …(23)
【0085】式(23)は、式(19)において丸め
(round)を取る前と同じである。式(21)を解
く問題は、式(16)において厳密解が存在しない場合
に、隣り合うリージョンの境界を挟んで隣り合う点の組
の個数w(w1 ,w2 ,w3 ,…)で重みを付けた最小
2乗解を求める問題とみなすことができる。この場合、
重みwが大きい方程式ほど矛盾が少なくなるように解が
求められる。ノイズ等による疑点は、たいてい孤立する
(すなわち、隣り合うリージョンの境界を挟んで隣り合
う点の組の個数wが少なく)ので、式(21)におい
て、疑点を含む方程式を表す行にはあまり重みは付か
ず、境界の長い正常なリージョン同士を含む行には、境
界を挟んで隣り合う点の個数の分だけ重みが付くことに
なる。
【0086】式(21)の最小2乗解を求めたら、その
解を丸めて整数値としてのμを求める。以上の演算によ
り、疑点が正常な点に比べてある程度少なく、またあま
り大きくない場合には、上述のように最小2乗解を求
め、それを丸めることで、疑点は無視されることにな
る。従って、式(21)の最小2乗解を求めることも、
多数決決定的に解を求めていると言える。
【0087】なお、式(16)や式(21)を解く際に
は、QR分解等、一般的な線型代数の数値計算テクニッ
クを使うことができる。
【0088】以上の各手順により、各リージョン毎に、
整数値としてのμが求められたら、式(6)に従って、
各リージョン毎のμを2π倍した位相だけ、各リージョ
ン内の各点の位相をずれせば、アンラップ後の位相が得
られる。
【0089】また、本実施の形態に係る位相のアンラッ
プの方法では、有効領域が、領域間では隣り合う点を持
たないいくつかの領域に分割されている場合でも、一回
の走査で全領域についてのアンラップを行うことができ
る。また、式(18)によってrを求めることにより、
分割数を知ることができる。
【0090】図1におけるコンピュータ12は、上述し
た本実施の形態に係る位相のアンラップの方法を用い
て、位相のアンラップ(図2におけるステップS10
9)を行う。
【0091】ここで、図5および図6の流れ図を参照し
て、位相のアンラップを行う際のコンピュータ12にお
ける処理の手順について説明する。この手順では、ま
ず、有効領域をリージョンに分割し(ステップS12
1)、各リージョンにそれぞれ、変数となるクラスμを
割り当てる(ステップS122)。なお、疑点も、独立
したリージョンとする。隣り合う点同士の位相差がどの
程度の場合に一つのリージョンとするかや、どの程度の
位相差がある場合に疑点とするか等の基準は、例えば外
部からパラメータとしてコンピュータ12に与える。次
に、隣り合うリージョンの境界に沿って、隣り合う点の
位相φを比較し、隣り合う点間におけるクラスμと位相
φの関係を表す式(14)を作成する(ステップS12
3)。次に、同じ境界上についての式(14)を辺々足
して式(15)を作成する(ステップS124)。次
に、式(15)を行列表現で表す式(16)を作成する
(ステップS125)。次に、式(16)における係数
行列A′の列の次元から係数行列A′の階数(ran
k)を引いて、すなわち式(18)により、有効領域の
分割数rを求める(ステップS126)。
【0092】次に、式(16)を解く(ステップS12
7)。次に、式(16)の解があるか否かを判断する
(ステップS128)。解がある場合(Y)は、整数解
であるか否かを判断する(ステップS129)。整数解
である場合(Y)は、その整数解をそのまま各リージョ
ン毎のクラスμの値とし、式(6)に基づいて、リージ
ョン毎のクラスμを2π倍した位相だけ、各リージョン
内の各点の位相をずらして(ステップS133)、アン
ラップの処理を終了する。整数解ではない場合(ステッ
プS129;N)は、解を整数に丸め(ステップS13
0)、その値を各リージョン毎のクラスμの値としてス
テップS133に進む。
【0093】式(16)の解がない場合(ステップS1
28;N)は、式(21)を作成し、隣り合うリージョ
ンの境界を挟んで隣り合う点の組の個数で重みを付けた
最小2乗解を求める(ステップS131)。次に、得ら
れた解を整数に丸め(ステップS132)、その値を各
リージョン毎のクラスμの値としてステップS133に
進む。
【0094】以上説明したように、本実施の形態に係る
アンラップ方法および装置によれば、多数決決定的に各
リージョン毎のクラスμが決定されるので、孤立したノ
イズ(疑点)による影響を受けにくく、ノイズ等による
アンラップエラーが起こりにくくなる。また、本実施の
形態によれば、有効領域がいくつかの領域に分割された
場合でも一回の走査で全領域についてのアンラップを行
うことができる。更に、本実施の形態によれば、有効領
域がいくつの領域に分割されているかを、全領域を走査
し直さなくも知ることができる。
【0095】また、本実施の形態では、行列を用いて各
リージョン毎のクラスμを決定するので、行列を作成し
た後は、一般的な線型代数の数値計算テクニックを使う
ことができ、そこで使うQR分解等は、干渉測定を行う
上で収差展開等でも使用されており、その場合には、新
しくコーディング(プログラミング)する必要がない。
また、本実施の形態における演算処理は、並列処理に向
いている。
【0096】以下、本実施の形態に係るアンラップ方法
と従来の塗りつぶし法を用いたアンラップ方法とを、計
算機上で比較した結果について、図7ないし図10を用
いて説明する。ここでは、簡単のために、25×25ポ
イントの測定領域の中に円形の有効領域を持つデータを
数値的に作成している。また、リージョンは、簡単のた
めに、2次元ではなく、横方向にのみ連続する1次元と
した。また、図7ないし図10において、水平方向の2
軸が領域の位置を表し、垂直方向の軸が位相を表し、単
位はラジアンである。
【0097】まず、図7を用いて、有効領域がティルト
のみで、ノイズがない場合の非常に理想的な場合につい
て比較した結果について説明する。図7において、
(a)は元のデータ、(b)はラップされた(折り畳ま
れた)データ、(c)は本実施の形態に係る方法によっ
てアンラップした後のデータ、(d)は従来の方法によ
ってアンラップした後のデータを表している。これらか
ら、非常に理想的な場合においては、本実施の形態に係
る方法でも従来の方法でも、正確にアンラップされてい
るのが分かる。なお、本実施の形態に係る方法におい
て、リージョンの数は、有効領域の行の数(23)に一
致した。
【0098】次に、図8を用いて、図7の場合と同じテ
ィルトの上に3%の確率でちょうどπの大きさのノイズ
を与えた場合について比較した結果について説明する。
これは、最もアンラップエラーの起きやすいパターンで
ある。図8において、(a)は元のデータ、(b)はラ
ップされた(折り畳まれた)データ、(c)は本実施の
形態に係る方法によってアンラップした後のデータ、
(d)は従来の方法によってアンラップした後のデータ
を表している。(d)に示したように、従来の方法によ
ってアンラップした場合には、アンラップエラーが発生
し、位相の変化が段々畑状になっているが、(c)に示
したように、本実施の形態に係る方法によってアンラッ
プした場合には、きれいにアンラップされていることが
分かる。本実施の形態に係る方法において、リージョン
の数は46となった。なお、リージョンの数は、ノイズ
の数と分布による。
【0099】次に、図9を用いて、ノイズはないが、有
効領域の真ん中を十文字状に割って4つの領域に分けた
場合について比較した結果について説明する。図9にお
いて、(a)は元のデータ、(b)は本実施の形態に係
る方法によってアンラップした後のデータ、(c)は従
来の方法によってアンラップした後のデータを表してい
る。(b)に示したように、本実施の形態に係る方法に
よってアンラップした場合には、4つの領域内でそれぞ
れきれいにアンラップされていることが分かる。なお、
リージョンの数は40となった。また、式(18)によ
る分割数rの値は4となり、実際の分割数と一致した。
ただし、4つの領域間では、位相にずれが生じている
が、元々これをつなぐ方法はない。一方、(c)に示し
たように、従来の方法では、4つの領域のうちの一つだ
けが正しくアンラップされた。従来の方法では、アンラ
ップを始める点をどこにするかで、どの領域が正しくア
ンラップされるかが違ってくる。全ての領域を正しくア
ンラップするためには、全領域を一度走査し、残されて
いる領域を見つける必要がある。この走査は、分割数だ
け行わなければならない。
【0100】次に、図10を用いて、より現実的な例と
して、ランダムなノイズが乗り、穴(データの欠落)と
その周りでの位相のジャンプとがある場合について比較
した結果について説明する。元のデータは、ティルトと
球面収差の上にランダムに穴を開け、その周りの4ポイ
ントにランダムなノイズを乗せて作成した。図10にお
いて、(a)は元のデータがラップされた状態のデー
タ、(b)は本実施の形態に係る方法によってアンラッ
プした後のデータ、(c)は従来の方法によってアンラ
ップした後のデータを表している。(a)から分かるよ
うに、ラップされた状態のデータは、かなり状態が悪
く、(c)に示したように、従来の方法では、大きなジ
ャンプが残っているが、(b)に示したように、本実施
の形態に係る方法では、きれいにアンラップされてい
る。
【0101】以上、図7ないし図10に示した例から
も、本実施の形態に係る方法が、従来の方法に比べて優
れていることが分かる。
【0102】なお、本発明は上記実施の形態に限定され
ず、例えば、実施の形態で挙げた各式は、等価な限り種
々変形可能である。また、本発明における2次元位相デ
ータは、トワイマン・グリーン干渉計によって得られる
ものに限らず、フィゾー干渉計等の他の種類の干渉計に
よって得られるものでも良い。
【0103】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1または2
記載の干渉計による2次元位相データのアンラップ方
法、または請求項3または4記載の干渉計による2次元
位相データのアンラップ装置によれば、2次元位相デー
タにおける有効な領域を、隣り合う点同士の位相差がπ
よりも十分小さい点の集まりである小領域に分割し、各
小領域に、それぞれ、アンラップを行うために位相を2
πの何倍だけずらせば良いかを表す変数を割り当て、隣
り合う小領域の境界に沿って、隣り合う点の位相差を2
πで割った値を整数に丸めた値を、隣り合う点の変数の
値の差とする第1の方程式を作成し、隣り合う小領域の
境界毎に、同じ境界上についての第1の方程式を辺々足
して第2の方程式を作成し、第2の方程式を変数につい
て解き、整数解がある場合はその整数解をそのまま各小
領域毎の変数の値とし、解はあるが整数解ではない場合
はその解を整数に丸めた値を各小領域毎の変数の値と
し、解がない場合は隣り合う小領域の境界を挟んで隣り
合う点の組の個数で重みを付けた最小2乗解を求めてそ
の解を整数に丸めた値を各小領域毎の変数の値とし、得
られた各小領域毎の変数の値を2π倍した位相だけ、各
小領域内の各点の位相をずらして位相をアンラップを行
うようにしたので、ノイズ等によって位相が大きく乱れ
ている部分についてはその数があまり多くなく、また、
あまり大きくなければ無視されることとなり、ノイズ等
によるエラーが起こりにくく、また、有効領域がいくつ
かの領域に分割された場合でも一回の走査で全領域につ
いてのアンラップを行うことができるという効果を奏す
る。
【0104】また、請求項3記載の干渉計による2次元
位相データのアンラップ方法、または請求項4記載の干
渉計による2次元位相データのアンラップ装置によれ
ば、第2の方程式を行列表現で表した式を作成し、その
式における係数行列の列の次元から係数行列の階数を引
いて、有効な領域の分割数を求めるようにしたので、上
記効果に加え、一回の走査で有効な領域の分割数を知る
ことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係るアンラップ装置を
含む光学部品評価システムの構成を示す説明図である。
【図2】図1におけるコンピュータが被検体における収
差の情報を求める際の処理内容を示す流れ図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係るアンラップ方法に
よって複数のリージョンに分割された有効領域の一部の
例を示す説明図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係るアンラップ方法に
ついて説明するための説明図である。
【図5】図1におけるコンピュータが位相のアンラップ
を行う際の処理の手順を示す流れ図である。
【図6】図1におけるコンピュータが位相のアンラップ
を行う際の処理の手順を示す流れ図である。
【図7】本発明の一実施の形態に係るアンラップ方法と
従来のアンラップ方法とを比較した結果を示す説明図で
ある。
【図8】本発明の一実施の形態に係るアンラップ方法と
従来のアンラップ方法とを比較した結果を示す説明図で
ある。
【図9】本発明の一実施の形態に係るアンラップ方法と
従来のアンラップ方法とを比較した結果を示す説明図で
ある。
【図10】本発明の一実施の形態に係るアンラップ方法
と従来のアンラップ方法とを比較した結果を示す説明図
である。
【図11】一般的な干渉計において収差の値を計算する
際の手順を示す流れ図である。
【図12】位相のアンラップについて説明するための説
明図である。
【図13】位相データの有効領域内にデータの欠落によ
る穴がある例を示す説明図である。
【図14】アンラップにおけるエラーについて説明する
ための説明図である。
【図15】正常なアンラップが行われた場合の位相デー
タとアンラップにおいてエラーが起こった場合の位相デ
ータの一例を示す説明図である。
【符号の説明】
1…干渉計、2…光源装置、3…ビームスプリッタ、4
…基準反射鏡、5…駆動部、6…結像レンズ、7…カメ
ラ、11…信号処理回路、12…コンピュータ

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 干渉計によって得られる2次元位相デー
    タのアンラップを行う干渉計による2次元位相データの
    アンラップ方法であって、 2次元位相データにおける有効な領域を、隣り合う点同
    士の位相差がπよりも十分小さい点の集まりである小領
    域に分割する手順と、 各小領域に、それぞれ、アンラップを行うために位相を
    2πの何倍だけずらせば良いかを表す変数を割り当てる
    手順と、 隣り合う小領域の境界に沿って、隣り合う点の位相差を
    2πで割った値を整数に丸めた値を、隣り合う点の変数
    の値の差とする第1の方程式を作成する手順と、 隣り合う小領域の境界毎に、同じ境界上についての第1
    の方程式を辺々足して第2の方程式を作成する手順と、 第2の方程式を変数について解き、整数解がある場合は
    その整数解をそのまま各小領域毎の変数の値とし、解は
    あるが整数解ではない場合はその解を整数に丸めた値を
    各小領域毎の変数の値とし、解がない場合は隣り合う小
    領域の境界を挟んで隣り合う点の組の個数で重みを付け
    た最小2乗解を求めてその解を整数に丸めた値を各小領
    域毎の変数の値とする手順と、 得られた各小領域毎の変数の値を2π倍した位相だけ、
    各小領域内の各点の位相をずらす手順とを備えたことを
    特徴とする干渉計による2次元位相データのアンラップ
    方法。
  2. 【請求項2】 前記第2の方程式を行列表現で表した式
    を作成し、その式における係数行列の列の次元から係数
    行列の階数を引いて、有効な領域の分割数を求める手順
    を備えたことを特徴とする請求項1記載の干渉計による
    2次元位相データのアンラップ方法。
  3. 【請求項3】 干渉計によって得られる2次元位相デー
    タのアンラップを行う干渉計による2次元位相データの
    アンラップ装置であって、 2次元位相データにおける有効な領域を、隣り合う点同
    士の位相差がπよりも十分小さい点の集まりである小領
    域に分割し、各小領域に、それぞれ、アンラップを行う
    ために位相を2πの何倍だけずらせば良いかを表す変数
    を割り当て、隣り合う小領域の境界に沿って、隣り合う
    点の位相差を2πで割った値を整数に丸めた値を、隣り
    合う点の変数の値の差とする第1の方程式を作成し、隣
    り合う小領域の境界毎に、同じ境界上についての第1の
    方程式を辺々足して第2の方程式を作成し、第2の方程
    式を変数について解き、整数解がある場合はその整数解
    をそのまま各小領域毎の変数の値とし、解はあるが整数
    解ではない場合はその解を整数に丸めた値を各小領域毎
    の変数の値とし、解がない場合は隣り合う小領域の境界
    を挟んで隣り合う点の組の個数で重みを付けた最小2乗
    解を求めてその解を整数に丸めた値を各小領域毎の変数
    の値とし、得られた各小領域毎の変数の値を2π倍した
    位相だけ、各小領域内の各点の位相をずらす演算手段を
    備えたことを特徴とする干渉計による2次元位相データ
    のアンラップ装置。
  4. 【請求項4】 前記演算手段は、第2の方程式を行列表
    現で表した式を作成し、その式における係数行列の列の
    次元から係数行列の階数を引いて、有効な領域の分割数
    を求めることを特徴とする請求項3記載の干渉計による
    2次元位相データのアンラップ装置。
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