JPH1088820A - コンクリート構造物の補強方法 - Google Patents

コンクリート構造物の補強方法

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JPH1088820A
JPH1088820A JP26539296A JP26539296A JPH1088820A JP H1088820 A JPH1088820 A JP H1088820A JP 26539296 A JP26539296 A JP 26539296A JP 26539296 A JP26539296 A JP 26539296A JP H1088820 A JPH1088820 A JP H1088820A
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JP
Japan
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resin
carbon fiber
fiber sheet
primer
reinforcing
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Application number
JP26539296A
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English (en)
Inventor
Hiroaki Katano
弘章 片野
Takeshi Watanabe
武志 渡辺
Hiroshi Someya
宏 染谷
Tsutomu Oide
努 大出
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Dainippon Shikizai Kogyo Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Dainippon Shikizai Kogyo Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】コンクリート構造物の表面に、炭素繊維シート
を被着して補強する場合、冬期、特に低温条件下または
湿潤条件下であっても、炭素繊維シートを補強面に強固
に被着することが可能なコンクリート構造物の補強方法
を提供する。 【解決手段】表面に炭素繊維シートを被着してコンクリ
ート構造物を補強する方法において、先ず、補強面上に
アクリル系樹脂を主成分とするプライマー樹脂を塗布
し、硬化させ、次いで、炭素繊維シートを補強面に貼り
付けする前および/または後に、含浸樹脂として常温硬
化型樹脂を塗布して炭素繊維シートの空隙に浸透させ、
炭素繊維シートとプライマー樹脂とを一体化させた状態
で硬化させる。なお、上記のアクリル系樹脂にはエポキ
シアクリレート樹脂を含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンクリート構造
物の補強方法に関し、詳しくは、炭素繊維シートを使用
したコンクリート構造物の補強方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、コンクリートは、橋脚、高速
道路の支柱、建物などのコンクリート構造物の主要構造
として広く利用されている。コンクリートは、それ自身
の持つ強いアルカリ性によって内部の鉄筋の腐食を抑制
しているが、長い年月の間に空気中の二酸化炭素ガスに
より、表面からアルカリ性を失って中性化する。中性化
が鉄筋にまで到達した場合、次のような欠陥が生じる。
即ち、鉄筋は、腐食を始め、体積が増大してコンクリー
ト構造物にひび割れを発生させ、構造物の劣化を加速す
る。
【0003】また、地震、地盤沈下、過荷重などにより
設計以上の力が加わった場合、コンクリート構造物に
は、ひび割れ、崩壊、一部欠落などが発生するという欠
陥が生じる。さらに、種々の理由によりコンクリート構
造物の強度が低下したり、または、設計段階から強度が
不足している場合もある。
【0004】上記の欠陥を除去し、または、強度不足を
回復もしくは補強するため、コンクリート表面に高強度
の炭素繊維と含浸樹脂を主成分とする炭素繊維プリプレ
グを被着して補強する方法が提案されている。例えば、
特開平7−34677号公報には、補強面上にエポキシ
樹脂、尿素樹脂、レゾルシン樹脂、フェノール樹脂など
の常温硬化型樹脂をプライマー層として塗布し、その上
に、目付けが200g/m2以上、且つ、樹脂含有量が
15%重量以下である炭素繊維を基材とした炭素繊維プ
リプレグを張り付け、当該プリプレグの上から更にエポ
キシ樹脂など上記の常温硬化型樹脂を塗布し、硬化させ
る構造物の補強方法が提案されている。
【0005】しかしながら、従来の補強方法によってプ
レポリマー樹脂の塗布を行なう場合、冬期、特に低温且
つ水濡れ条件下では、コンクリート表面とプリプレグと
の間の接着が不完全となり易い。その結果、補強工事完
了後の外力によりプリプレグ層が容易に剥離してしま
う。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記実情に
鑑み為されたものであり、その目的は、コンクリート構
造物の表面に、炭素繊維シートを被着して補強する場
合、冬期、特に低温条件下または湿潤条件下であって
も、炭素繊維シートを補強面に強固に被着することが可
能なコンクリート構造物の補強方法を提供することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の要旨
は、表面に炭素繊維シートを被着してコンクリート構造
物を補強する方法において、先ず、補強面上にアクリル
系樹脂を主成分とするプライマー樹脂を塗布し、硬化さ
せ、次いで、炭素繊維シートを補強面に貼り付けする前
および/または後に、含浸樹脂として常温硬化型樹脂を
塗布して炭素繊維シートの空隙に浸透させ、炭素繊維シ
ートとプライマー樹脂とを一体化させた状態で硬化させ
ることを特徴とするコンクリート構造物の補強方法に存
する。なお、本発明において、上記のアクリル系樹脂に
はエポキシアクリレート樹脂を含む。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の補強方法は、先ず、コンクリート構造物の補強
面上にプライマー樹脂を塗布し、硬化させ、次いで、炭
素繊維シートを補強面に被着する前および/または後
に、含浸樹脂を塗布して硬化させることから成る。
【0009】本発明の方法を適用することが出来るコン
クリート構造物としては、特に制限されず、例えば、コ
ンクリート製橋脚、鉄道・高速道路などの高架建造物の
コンクリート製支柱、コンクリート構造建築物中の柱お
よび壁面などのコンクリートを表面とする構造物が挙げ
られる。斯かるコンクリート構造物は、プライマー塗布
の前に、先ず、表面のレイタンスなどの付着物の除去、
あるいは、表面に凹凸、傷などがある場合はそれらの穴
埋め、さらに、局部的な崩壊、欠落個所があればこれら
の補修、等の前処理をするのが好ましい。穴埋め又は補
修をする場合は、エポキシ樹脂に砂、砂利、砕石を混合
したエポキシ樹脂モルタル又は樹脂コンクリートが好適
に使用される。
【0010】本発明におけるプライマー樹脂としてはア
クリル系樹脂が使用される。アクリル系樹脂は、通常、
アクリル酸、メタクリル酸、それらのエステル類および
それらの誘導体であるアクリル系モノマー類を主成分と
し、水酸基、酸基、N−メチロール基、不飽和基などの
反応性官能基を含有する熱硬化性樹脂であり、本発明に
おいては、上記のアクリル系樹脂にはエポキシアクリレ
ート樹脂および種々の変性物を含む。かかるアクリル系
樹脂の中でも、メチルメタクリレート架橋反応型アクリ
ル樹脂およびエポキシアクリレート樹脂が好ましい。斯
かるアクリル系樹脂は、低温環境下または湿潤環境下で
工事してもコンクリート表面とプライマー層との間の接
着性が優れている。
【0011】上記のアクリル系樹脂は、使用に際し、通
常、硬化のため架橋剤、硬化剤、必要により、更に、着
色剤、粘度調整剤、希釈剤およびその他の添加剤が併用
される。
【0012】前記の架橋剤としては、公知のものの中か
らアクリル樹脂中の反応性官能基により適したものが選
択される。例えば、官能基が水酸基である場合はアミノ
樹脂またはポリイソシアネート、官能基が酸基である場
合はエポキシ樹脂、官能基がエポキシ基である場合は多
塩基酸化合物、官能基がN−メチロール基である場合は
アミノ樹脂または多価水酸基を有する化合物などが主に
使用される。
【0013】上記エポキシアクリレート樹脂を使用する
場合に添加する硬化剤としては、特に制限されないが、
常温ないし低温で硬化させる場合は、例えば、メチルエ
チルケトンパーオキサイド、過酸化ベンゾイル、アセチ
ルアセトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキ
サイド、クメンハイドロパーオキサイド、ナフテン酸コ
バルト、ジメチルアニリン等が挙げられ、効率的に硬化
するため、通常、これらの数種類が組み合わされて使用
される。
【0014】上記の硬化剤成分を組み合わせて使用する
場合の配合および配合比は、特に制限されないが、その
一例としては、(1)メチルエチルケトンパーオキサイ
ド1重量部、6%ナフテン酸コバルト0.25〜0.5
重量部、ジメチルアニリン0.06〜0.2重量部、
(2)ベンゾイルパーオキサイドパウダー1重量部、ジ
メチルアニリン0.06〜0.2重量部が挙げられる。
【0015】前記のアクリル系樹脂から成るプライマー
樹脂は、必要な前処理が施されたコンクリート構造物の
補強面に塗布される。その塗布量は、特に制限されない
が、通常、50〜500g/m2、好ましくは、100
〜300g/m2である。また、その塗布方法は、公知
の方法が採用される。塗布された樹脂は、放置すること
により硬化可能である。硬化時間は、樹脂の種類、硬化
剤との組み合わせ及び環境温度により変化し、概ね数時
間〜数日である。
【0016】本発明において使用可能な炭素繊維シート
としては、織物またはシート状に配列した炭素繊維層で
あればよく、熱硬化性樹脂を含浸させてないものでも、
含浸させたものでもよい。実用性および強度発現の観点
から長い炭素繊維を一軸方向に配列したシート状物が特
に好ましい。
【0017】また、前記炭素繊維シートに含浸される熱
硬化性樹脂としては、硬化温度が70℃以上の高温熱硬
化性樹脂が使用され、その具体例としては、フェノール
樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリ
ルフタレート樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリアミドイ
ミド樹脂、メラミン樹脂およびポリウレタン樹脂などが
挙げられる。
【0018】上記の炭素繊維シートは、繊維目付けが大
きく、且つ、内部空隙が多く含浸樹脂の浸透が容易であ
る範囲が好ましい。即ち、炭素繊維シートの繊維目付け
としては、通常、100〜600g/m2であるが、具
体的には、炭素繊維の目付けが200g/m2以上が好
ましく、また、それを構成する含浸樹脂量は、通常15
重量%以下であり、好ましくは、4〜8重量%である。
【0019】本発明においては、プライマー層の上に炭
素繊維シートを被着するに際し、炭素繊維シートを補強
面に被着する前および/または後に、炭素繊維シート含
浸樹脂としてそれぞれ常温硬化型樹脂を塗布する。斯か
る炭素繊維シートの被着する前後に塗布する常温硬化樹
脂は、同一種類であってもよいし、異なった種類であっ
てもよいが、接着性の観点から、同一の種類であるのが
好ましい。
【0020】前記の含浸樹脂として使用される常温硬化
型樹脂とは、通常の外気温度条件下において硬化し得る
樹脂であり、例えば、40℃程度以下の温度範囲で硬化
し得るものを指すが、特に、5℃未満の低温で硬化し得
るものがより好ましい。斯かる常温硬化型樹脂として
は、例えば、アクリル系樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹
脂、レゾルシン樹脂、フェノール樹脂、ビニルエステル
樹脂(エポキシアクリレート樹脂)およびこれらの各種
変性を施した樹脂などが挙げられる。
【0021】上記の含浸樹脂として使用されるアクリル
系樹脂としては、前記プライマー樹脂として挙げたアク
リル系樹脂を使用することが出来る。また、上記のエポ
キシ樹脂としては、公知のエポキシ樹脂が採用され、グ
リシジルエーテル型、グリシジルエステル型、グリシジ
ルアミン型および脂環型のエポキシ樹脂が挙げられる
が、中でも、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂がより
好ましく、さらに、それに属するビスフェノールA型エ
ポキシ樹脂が特に好ましい。また、前記の変性された樹
脂としては、ウレタン変性エポキシアクリレート樹脂が
挙げられ、中でも、ウレタン変性ビスフェノールA型エ
ポキシアクリレート樹脂がより好ましい。
【0022】上記含浸樹脂の塗布量は、炭素繊維シート
の目付け、空隙含有量などにより変化するが、塗布した
樹脂によって炭素繊維シートとプライマーとが一体化で
きる範囲から選択され、通常、200〜800g/
2、好ましくは、500〜700g/m2である。な
お、含浸樹脂を炭素繊維シート被着の前および後の両方
に塗布する場合は、含浸樹脂の塗布量は、両者合わせて
炭素繊維シートとプライマーとが一体化できる範囲で減
量することが出来る。また、必要に応じ、シンナー、メ
チルエチルケトン、アセトン等の溶媒を公知の方法に従
って併用することが出来る。
【0023】また、含浸樹脂を炭素繊維シート被着の前
および後に塗布し、炭素繊維シートとプライマーとが一
体化した後、硬化させるが、この際、硬化前にローラー
等を使用して炭素繊維シートの表面側から押さえ、裏面
に残存する気泡を除去するのが好ましい。この結果、プ
ライマーと炭素繊維シートとが完全に連続してコンクリ
ート構造物表面に強固に被着される。
【0024】
【実施例】以下に、本発明を実施例および比較例により
具体的に説明する。本発明は、その要旨を超えない限
り、以下の各実施例に限定されるものではない。なお、
以下の各実施例および各比較例においては、コンクリー
ト構造物の模擬的補強試験を行うため、便宜上、コンク
リート構造物としてコンクリート板を使用し、補強効果
は接着強度および剥離強度試験により評価した。また、
実施例および比較例において使用した各材料および試験
方法は、以下のとおりである。
【0025】I.<コンクリート板> 補強試験用のコンクリート構造物として、表面寸法30
cm×30cm、厚さ5cmのコンクリート板を使用し
た。ディスクサンダーを使用してこのコンクリート板の
表面層のレイタンスを除去し、試験用コンクリート板1
6枚を調製し、そのうち8枚を−5℃の室内に24時間
以上放置し、他の8枚を5℃の水中に浸漬した状態で2
4時間以上放置した。
【0026】
【表1】II.<プライマー樹脂> 以下のように4種のプライマー樹脂を調合し、調合後、
各々の約半分を−5℃の室内に24時間以上放置し、残
り半分を5℃の室内に放置した。 (1)プライマー樹脂1: P−100樹脂(MMA架橋型アクリレート樹脂: 大日本インキ化学工業製商品) 100重量部 60%BPO 6.0重量部 RP−191(アミン系硬化促進剤) 0.5重量部 (2)プライマー樹脂2: PS−301NSR(2液常温乾燥型エポキシ樹脂の主剤: 大日本色材工業製商品) 100重量部 PS−301NSH(2液常温乾燥型エポキシ樹脂の硬化剤: 大日本色材工業製商品) 50重量部 (3)プライマー樹脂3: ポリライトプライマーPD(一液湿気硬化型ウレタン樹脂: 大日本インキ化学工業製商品) 100重量部 (4)プライマー樹脂4: ポリライトプライマーPC(一液湿気硬化型ウレタン樹脂: 大日本インキ化学工業製商品) 100重量部
【0027】
【表2】III.<含浸樹脂> 以下のように含浸樹脂を調製した後、これを2分し、一
方を−5℃の室内に24時間以上放置し、他方を5℃の
室内に放置した。 アトラック580J(ウレタン変性ビスフェノール型ビニルエステル樹脂: 大日本インキ化学工業製商品) 100重量部 メチルエチルケトンパーオキサイド 5.0重量部 6%ナフテン酸コバルト 1.0重量部 55%ジメチルアニリン 0.5重量部
【0028】IV.<炭素繊維シート> 市販の炭素繊維シートを使用した。(三菱化学工業株式
会社製製品「リペラーク30」)。炭素繊維目付け30
0g/m2、樹脂含有量6重量%。 V.<接着強度試験方法> 建設省建築研究所式接着力試験方法に準じて行なった。
7cm×7cmの試験体の中央部に引張試験用のアタッ
チメント(断面4cm×4cm)を接着剤を使用して接
着して固着した後、建研式接着力試験器(山本扛重機株
式会社製品)にセットし、23℃環境下、表面に対して
垂直方向へ引っ張り、破断する際の最大引張荷重(Kg
f)を読取り、同時に破断状況を観察した。当該読取り
値を面積16(cm2)で除した値を接着強度(Kgf
/cm2)とした。
【0029】VI.<剥離強度試験方法> 23℃測定環境下、剥離強度用試験体を島津オートグラ
フDSS−5000に水平にセットし、試験体からはみ
出した炭素繊維シート層を掴み、試験体面に対して鉛直
方向にヘッドスピード20mm/minで引っ張ったと
きの最大引張荷重(Kgf)を読取り、同時に剥離状況
を観察した。当該読取り値を繊維層の幅5cm当たりの
剥離強度(Kgf/5cm)とした。
【0030】実施例1 (A):−5℃の室内に放置した前記のコンクリート板
(寸法30cm×30cm)の表面に、前記のプライマ
ー樹脂1を150g/m2塗布し、−5℃の環境下で1
5時間硬化させた。硬化後、同様に−5℃の環境下で、
含浸樹脂を300g/m2塗布し、引き続き、炭素繊維
シートを全面に被着し、ローラーを用いて炭素繊維シー
トの下面の気泡を脱泡し、15分間放置後、含浸樹脂を
200g/m2塗布し、そのまま−5℃の環境下で2日
間硬化し、更にその後23℃の環境下で2日間硬化し
た。得られたコンクリート板を70mm×70mmの大
きさに裁断して低温接着強度試験用試験体を作製し、前
記の接着強度試験方法により接着強度試験を行なった。
【0031】(B):上記(A)において、炭素繊維シ
ートとして、剥離強度試験を測定を行うことを考慮して
寸法が繊維方向の長さ400mm、幅50mmの炭素繊
維シートを長さ方向の一端が剥離口用として100mm
はみ出させ、複数回の試験に供するため4枚を両側に各
20mmのスペースが生ずる様にコンクリート板上に配
列したこと以外は、上記(A)と全く同様にして低温剥
離試験用試験体を作製し、前記の剥離強度試験方法によ
り剥離強度試験を行なった。
【0032】比較例1 実施例1の(A)及び(B)において、プライマーとし
て前記プライマー樹脂2を250g/m2塗布した以外
は、実施例1と全く同様にして、低温接着強度試験用お
よび低温剥離強度試験用試験体を作製し、接着強度試験
および剥離強度試験を行なった。
【0033】比較例2 実施例1の(A)及び(B)において、プライマーを前
記プライマー樹脂3に代えた以外は、実施例1と全く同
様にして、低温接着強度試験用および低温剥離強度試験
用試験体を作製し、接着強度試験、剥離強度試験を行な
った。
【0034】比較例3 実施例1の(A)及び(B)において、プライマーを前
記プライマー樹脂4に代えた以外は、実施例1と全く同
様にして、低温接着強度試験用および低温剥離強度試験
用試験体を作製し、接着強度試験および剥離強度試験を
行なった。
【0035】実施例2 (A):前記の5℃の水中に24時間以上放置したコン
クリート板(寸法30cm×30cm)を、その処理面
を上にしてバットに入れ、コンクリート板の上面より5
mm下まで水を入れた状態で試験片の湿潤状態を維持し
つつ、上面の水滴をウエスで拭き取って、コンクリート
表面が乾燥する迄に前記のプライマー樹脂1を150g
/m2塗布し、5℃の環境下で上記湿潤状態を維持しつ
つ15時間硬化させた。硬化後、同様に5℃の環境下、
含浸樹脂を300g/m2塗布し、引き続き、炭素繊維
シートを全面に被着し、ローラーを用いて炭素繊維シー
トの下面の気泡を脱泡し、15分間放置後、含浸樹脂を
200g/m2塗布し、そのまま5℃の環境下で2日間
硬化し、更にその後23℃の環境下で2日間硬化した。
前記硬化する期間、前記と同様の湿潤状態を維持した。
得られたコンクリート板を70mm×70mmの大きさ
に裁断して湿潤接着強度試験用試験体を作製し、前記の
接着強度試験方法により接着強度試験を行なった。
【0036】(B):上記(A)において、炭素繊維シ
ートとして、剥離強度試験を測定を行うことを考慮して
寸法が繊維方向の長さ400mm、幅50mmの炭素繊
維シートを長さ方向の一端が剥離口用として100mm
はみ出させ、複数回の試験に供するため4枚を両側に各
20mmのスペースが生ずる様にコンクリート板上に配
列したこと以外は、上記(A)と全く同様にして湿潤剥
離試験用試験体を作製し、前記の剥離強度試験方法によ
り剥離強度試験を行なった。
【0037】比較例4 実施例2の(A)及び(B)において、プライマーとし
て前記プライマー樹脂2を250g/m2塗布した以外
は、実施例1と全く同様にして、湿潤接着強度試験用お
よび湿潤剥離強度試験用試験体を作製し、接着強度試験
および剥離強度試験を行なった。
【0038】比較例5 実施例2の(A)及び(B)において、プライマーを前
記プライマー樹脂3に代えた以外は、実施例2と全く同
様にして、湿潤接着強度試験用および湿潤剥離強度試験
用試験体を作製し、接着強度試験、剥離強度試験を行な
った。
【0039】比較例6 実施例2の(A)及び(B)において、プライマーを前
記プライマー樹脂4に代えた以外は、実施例2と全く同
様にして、湿潤接着強度試験用および湿潤剥離強度試験
用試験体を作製し、接着強度試験および剥離強度試験を
行なった。
【0040】得られた低温接着強度試験および低温剥離
強度試験の測定値および観察結果を表3に、湿潤接着強
度試験および湿潤剥離強度試験の測定値および観察結果
を表4に示した。なお、表3および4に示した測定値
は、それぞれ2〜3個の試験体の測定値の平均値であ
る。
【0041】
【表3】 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 実施例1 比較例1 比較例2 比較例3 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− プライマー主剤・塗布量(g/m2) P−100 150 PS−301NS 250 プライマーPD 150 プライマーPC 150 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 低温接着強度(Kgf/cm2) 34 0 34 40 破断面 C破壊 P/G C破壊 C破壊 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 低温剥離強度(Kgf/5cm) 5 3 3 3 剥離面 C破壊 P/G C破壊 C破壊 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− なお、表中、C破壊は、コンクリート層が破壊、C/P
は、コンクリート表面とプライマー層との間で剥離、P
/Gは、プライマー層と炭素繊維シート層との間で剥離
したことを示す。
【0042】
【表4】 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 実施例2 比較例4 比較例5 比較例6 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− プライマー主剤・塗布量(g/m2) P−100 150 PS−301NS 250 プライマーPD 150 プライマーPC 150 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 湿潤面接着強度(Kgf/cm2) 21 0.8 6.1 7.9 破断面 C破壊 P/G C/P C/P −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 湿潤面剥離強度(Kgf/5cm) 4 4 4 4 剥離面 C破壊 P/G C/P C/P −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− なお、表中、C破壊は、コンクリート層が破壊、C/P
は、コンクリート表面とプライマー層との間で剥離、P
/Gは、プライマー層と炭素繊維シート層との間で剥離
したことを示す。
【0043】表3および表4に示された結果からも判る
様に、比較例のプライマー樹脂を使用した補強方法で
は、特に湿潤環境下で補強処理されたものは、コンクリ
ート表面とプライマー層との間で剥離しているが、本発
明に使用したプライマー樹脂を使用した補強方法では、
補強作業を低温環境下および湿潤環境下で行ったものの
何れも、コンクリート表面と炭素繊維シートとの接着は
強固であり、試験結果ではコンクリート層の内部で破壊
が起こっている。
【0044】
【発明の効果】以上、説明した本発明の補強方法によれ
ば、低温条件下で施工しても、湿潤条件下で施工して
も、コンクリート表面と繊維シート間の接着強度および
剥離強度が大きく、補強効果が優れており、従って、本
発明の工業的価値は極めて大である。
フロントページの続き (72)発明者 渡辺 武志 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社横浜総合研究所内 (72)発明者 染谷 宏 茨城県猿島郡三和町大字大和田字瀬崎1778 番地 大日本色材工業株式会社三和工場内 (72)発明者 大出 努 茨城県猿島郡三和町大字大和田字瀬崎1778 番地 大日本色材工業株式会社三和工場内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面に炭素繊維シートを被着してコンク
    リート構造物を補強する方法において、先ず、補強面上
    にアクリル系樹脂を主成分とするプライマー樹脂を塗布
    し、硬化させ、次いで、炭素繊維シートを補強面に貼り
    付けする前および/または後に、含浸樹脂として常温硬
    化型樹脂を塗布して炭素繊維シートの空隙に浸透させ、
    炭素繊維シートとプライマー樹脂とを一体化させた状態
    で硬化させることを特徴とするコンクリート構造物の補
    強方法。
  2. 【請求項2】 プライマー樹脂として、メチルメタクリ
    レート架橋反応型アクリル樹脂を使用する請求項1に記
    載のコンクリート構造物の補強方法。
  3. 【請求項3】 含浸樹脂として、ウレタン変性ビニルエ
    ステル樹脂を使用する請求項1に記載のコンクリート構
    造物の補強方法。
  4. 【請求項4】 炭素繊維シートとして、炭素繊維の目付
    けが200g/m2以上、且つ、含浸樹脂量が15重量
    %以下の炭素繊維シートを使用する請求項1に記載のコ
    ンクリート構造物の補強方法。
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