JPH1088139A - 液晶素子及びその製造方法 - Google Patents

液晶素子及びその製造方法

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JPH1088139A
JPH1088139A JP24651496A JP24651496A JPH1088139A JP H1088139 A JPH1088139 A JP H1088139A JP 24651496 A JP24651496 A JP 24651496A JP 24651496 A JP24651496 A JP 24651496A JP H1088139 A JPH1088139 A JP H1088139A
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phase
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smectic
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JP24651496A
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Inventor
Keizo Ito
恵造 伊藤
Mitsunori Takeda
充範 竹田
Masaaki Namekawa
正明 滑川
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Kashima Oil Co Ltd
Original Assignee
Kashima Oil Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 反強誘電性液晶あるいはセル厚より螺旋ピッ
チの短い強誘電性液晶を用いて、良好な配向性,高コン
トラストが得られる液晶素子を提供することである。 【解決手段】 それぞれが電圧印加手段と配向制御層と
を有する一対の基板間に液晶材料を挟持した液晶素子に
おいて、該液晶材料がカイラルネマチック相及びスメク
チックA相を有する、反強誘電性液晶又はセル厚より螺
旋ピッチの短い強誘電性液晶であり、両基板における配
向制御層の一軸配向処理の方向が略平行であり、配向制
御層に接する液晶分子が基板に対して2〜15度のプレ
チルト角を有していることを特徴とする液晶素子、及び
その製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は液晶素子及びその製
造方法に関し、さらに詳しくは、光学活性テトラヒドロ
ピラン誘導体を一定割合で含有し、表示素子あるいは電
気光学素子等に好適に用いられる配向性およびコントラ
ストに優れた液晶素子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、各種の表示素子,電子光学デバイ
ス,液晶センサなどの液晶の利用分野が著しく拡大しつ
つあり、それに伴って様々な構造の液晶化合物が提案さ
れてきた。特に、カイラルスメクチックC相(SmC*
相) を有する強誘電性液晶は、1980年にN.A.Clark
とS.T.Lagerwall によりμ秒オーダーの高速応答性とメ
モリー性が報告(Appl.Phys.Lett.,36,899(1980)) され
て以来、ネマチック液晶を用いた液晶表示素子に代わる
新たな表示素子の材料として注目を集め、これまで多く
の液晶化合物が合成されてきた。強誘電性液晶の応答速
度は、τ=η/(Ps・E)の式で知られている。ここ
で、ηは回転粘性を示し、Psは自発分極を示し、Eは
電界強度を示す。この関係から、高速応答性を得るため
には、粘性が小さく,自発分極の大きな液晶材料が開発
目標とされてきた。また、液晶材料としては、化学的安
定性,広動作温度範囲などの特性が要求されるが、単一
の化合物でこれらの諸特性を満たすことは困難であっ
た。
【0003】従って、従来、複数のカイラルスメクチッ
クC相(SmC*相) を有する化合物同士を混合した
り、粘性の低いスメクチックC相(SmC相) を有する
母体液晶に光学活性な化合物を添加して所望の性能を有
するSmC*相を示す強誘電性液晶組成物を得る方法が
用いられてきた。光学活性な化合物を添加する場合に
は、添加するカイラルドーパントは、それ自体SmC*
相を有していても、有していなくてもよく、母体液晶と
の相溶性が良好で、大きな自発分極を誘起し、粘性を増
大させないことが要求される。
【0004】また近年、新たなスメクチック相として見
出された反強誘電性カイラルスメクチックC相(SmC
A *相) を利用する液晶表示素子が注目を集めている(Ja
panese Journal of Applied Physics, Vol. 27, pp. L
729, 1988 )。このような反強誘電性液晶は、三安定
状態間のスイッチングが起こること、明確な閾値特性
を有すること、ダブルヒステリシスが存在すること、
良好なメモリー性を有すること、層構造が電界によ
りスイッチングすることなどの特徴を有することから、
新しい液晶表示素子への応用が試みられている(Japane
se Journalof Applied Physics, 29巻,pp. L 107 (199
0) および Japanese Journal ofApplied Physics, 30
巻,pp. L 735 (1991)参照)。このようなSmCA *
を有する液晶化合物は、特開平1−213390号公
報,特開平1−316367号公報,またはJapanese J
ournal of AppliedPhysics, 28 巻,pp. L 2248(1989)
などに開示されているが、その光学活性部位に注目する
と、少数の限られた構造を有する光学活性体のみでし
か、SmCA *相を示す化合物は報告されていなかった。
【0005】SmCA * 相を利用した液晶表示素子は、
SmC* 相を用いた通常のSSFLCD(表面安定化型
強誘電性液晶表示素子)とは異なったスイッチング挙動
を示すことが知られている(Japanese Journal of Appl
ied Physics, 29 巻,No 6,pp. 1122-1127(1990) 参
照)。すなわち、SmC* 相を有する液晶素子に三角波
電圧を印加し、偏光顕微鏡下で透過光強度と印加電圧の
関係を観察すると、シングルヒステリシスが現れるのに
対して、SmCA * 相を有する液晶表示素子を用いた場
合は、図1に示したようにダブルヒステリシスが現れ
る。
【0006】スメクチックC相(SmC相)を有する母
体液晶としては、これまでにも種々の研究が報告されて
おり、例えば特開平2−305889号公報,特開平3
−203987号公報には、非カイラル液晶成分として
フェニルピリミジン系化合物等を用いた強誘電性液晶組
成物が開示されている。また、特開昭62−5434号
公報,特開平4−25591号公報,特開平4−299
75号公報には、非カイラル液晶成分として3環系フェ
ニルピリミジン系化合物等を用いた強誘電性液晶組成物
が開示されている。
【0007】ところが、反強誘電性を示さない母体液晶
(SmC相又はSmC*相)に、反強誘電相を示さない
カイラル液晶成分を混合することにより、反強誘電性液
晶相を誘起した組成物については、これまで知られてい
なかった。即ち、母体液晶に反強誘電相を示さないカイ
ラル液晶成分を添加しても、通常、強誘電相が誘起され
るのみであり、反強誘電性液晶相を誘起した組成物とは
ならない。また、反強誘電性液晶に反強誘電相を示さな
い化合物を添加して組成物を作製する場合では、添加す
る化合物の割合が50%を越えると反強誘電相を示さな
くなるのが通常である。一方、従来の反強誘電性液晶
(以下「AFLC」と略することがある。)では、N相
を有するものがなく、しきい値電圧が高いという欠点が
あった。さらに、従来のAFLCでは、粘性が高く、応
答性も充分ではなかった。
【0008】さらに近年、アクティブマトリスク型の液
晶表示素子であるTFT(Thin Film Transistor)素子
に強誘電性液晶あるいは反強誘電性液晶を応用し、広視
野角,高速応答な表示素子を得ようとする試みがなされ
ている。上記に用いる強誘電性液晶は、カイラルスメク
チックC相(SmC*相) における螺旋ピッチがセル厚
に比べて短いものであり、電圧が印加されない状態で
は、図2に示したように、セル内で螺旋構造をとってお
り、その螺旋ピッチが可視光の波長より短い場合には、
層法線方向に消光位がある。これに電圧を印加すると、
螺旋構造が変形を受け光学軸が変化する。従って、クロ
スニコルに配置した一対の偏光板間に液晶セルを挟み、
一方の偏光板を層法線方向に合わせれば、電界を印加し
ないときに暗,電界を印加したときに明の表示を行うこ
とができる。このような表示方法は、DHF(deformed
helix ferroelectric)型と呼ばれる。DHF型はメモリ
ー性を有さないため、電圧制御によるアナログ階調表示
が可能である。しかしながら現状では、コントラストが
低いという問題があった(青木久:NIKKEI MICRODEVICE
S, 8, p.103(1994))。
【0009】また、上記TFT素子に反強誘電性液晶を
応用しようとする試みもなされている。この場合、従来
の明確な閾値電圧を示す反強誘電性液晶とは異なり、図
3に示したV字形の透過光強度−電圧特性を示すような
閾値のない反強誘電性液晶が好適に用いられる(福田
ら:第21回液晶討論会講演予稿集,p.222(1995))。し
かしながら、このような反強誘電性液晶を用いた液晶素
子においても、コントラストが低いという問題があった
(T.Saishuら:SID'96 Digest, 703(1996))。このよう
な低いコントラストの原因には種々の原因が考えられる
が、初期の配向が1つの重要な原因と考えられる。即
ち、初期に消光性の良い配向状態を作りださない限り、
光をほとんど透過させない良好な黒状態の調整は困難で
あり、高コントラストは得られない。
【0010】
【課題を解決するための手段】このような状況下、本発
明者らは、反強誘電性液晶あるいはセル厚より螺旋ピッ
チの短い強誘電性液晶を用いて、良好な配向性,高コン
トラストが得られる液晶素子を開発すべく、鋭意研究を
重ねた。その結果、本発明者らは、基板間に特定の液晶
材料を挟持し、両基板における配向処理の方向が略平行
であり、基板表面における液晶分子が特定のプレチルト
角を有している液晶素子が、上記課題を解決できること
を見い出した。本発明はかかる知見に基づいて完成した
ものである。
【0011】すなわち、本発明は、それぞれが電圧印加
手段と配向制御層とを有する一対の基板間に液晶材料を
挟持した液晶素子において、該液晶材料がカイラルネマ
チック相及びスメクチックA相を有する、反強誘電性液
晶又はセル厚より螺旋ピッチの短い強誘電性液晶であ
り、両基板における配向制御層の一軸配向処理の方向が
略平行であり、配向制御層に接する液晶分子が基板に対
して2〜15度のプレチルト角を有していることを特徴
とする液晶素子を提供するものである。
【0012】また、本発明では上記液晶材料が少なくと
も下記一般式(1)
【化3】 〔式中、R1 は炭素数3〜20の直鎖又は分岐鎖アルキ
ル基を示し、R2 は炭素数1〜15の直鎖又は分岐鎖ア
ルキル基を示し、X1 は単結合,−O−,−COO−又
は−OCO−を示し、X2 は−O−又は−OCO−を示
し、Yは−COO−,−O−又は−CH2O−を示し、
A及びBはそれぞれ独立にハロゲン,シアノ基,含フッ
素アルキル基で置換された含六員環基又は無置換の含六
員環基を示し、Zは単結合,−COO−,−OCO−,
−CH2O−又は−OCH2−を示し、*は不斉炭素を示
す。〕または、下記一般式(1')
【0013】
【化4】 〔式中、R1 ,R2 ,X1 ,X2 ,Y,A,B,Z及び
*は上記一般式(1)と同じ。〕で表される化合物を含
むことが好ましい。さらに、本発明は、上記いずれかに
記載の液晶素子の製造において、液晶組成物を等方性液
体相で基板間に注入し、その後徐冷してカイラルネマチ
ック相,スメクチックA相を経由して配向させることを
特徴とする液晶素子の製造方法をも提供するものであ
る。以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
【0014】
【発明の実施の形態】先ず、本発明の液晶素子の層構造
及び配向(配列)について説明する。従来の反強誘電性
液晶材料は、反強誘電性液晶相の高温側にスメクチック
A相を示し得るが、カイラルネマティック液晶相は示さ
なかった。また、セル厚より螺旋ピッチの短い強誘電性
液晶についても、カイラルネマティック液晶相を示す材
料は報告されていない。ネマティック液晶相は、分子長
軸の平均方向が同一であるが、重心の位置はランダムで
あり、液晶中では秩序度が低く、配向させやすい。これ
に対して、スメクチックA液晶相は層構造を有してお
り、ネマティック液晶相より秩序度が高いため、直接、
等方性液体から冷却しても、均一配向が得られにくい。
【0015】しかしながら、カイラルネマティック液晶
相を有していても、スメクチックA液晶相を有さなけれ
ば、良好な配向は得られない。従って、良好な配向を得
るためには、液晶材料が高温側から、カイラルネマティ
ック相−スメクチックA相−カイラルスメクチックC相
(又はカイラルスメクチックCA相)という相系列を有
することが好ましい。本発明においては、カイラルネマ
ティック液晶相及びスメクチックA液晶相をもてば、良
好な配向が得られるというものではなく、適切なデバイ
ス構成,配向処理を行わない限り、良好な配向性や高い
コントラストを得ることはできない。本発明では、両基
板における配向制御層の一軸配向処理の方向が略平行で
あり、基板表面における配向制御層に接する液晶分子が
基板に対して、2〜15度のプレチルト角を有している
ことによって、良好な配向性及び高いコントラストを得
ることができる。
【0016】次に、このような本発明に用いることがで
きる液晶材料について説明する。本発明で用いられる液
晶組成物を構成する液晶材料の内、カイラル液晶成分で
ある化合物は、下記一般式(1)又は(1')
【0017】
【化5】 で表される光学活性テトラヒドロピラン誘導体である。
上記式中、R1は炭素数3〜20の直鎖又は分岐鎖アル
キル基を示し、例えばn−プロピル基,イソプロピル
基,n−ブチル基,イソブチル基,sec−ブチル基,
tert−ブチル基,n−ペンチル基,n−ヘキシル
基,n−ヘプチル基,n−オクチル基,n−ノニル基,
n−デシル基,n−ウンデシル基,n−ドデシル基,n
−トリデシル基,n−テトラデシル基,n−ペンタデシ
ル基,n−ヘキサデシル基,n−ヘプタデシル基,n−
オクタデシル基,n−ノナデシル基,n−エイコシル基
などが挙げられる。
【0018】R2は炭素数1〜15の直鎖又は分岐鎖ア
ルキル基を示し、例えばメチル基,エチル基,n−プロ
ピル基,イソプロピル基,n−ブチル基,sec−ブチ
ル基,tert−ブチル基,n−ペンチル基,イソペン
チル基,1−メチルブチル基,n−ヘキシル基,n−ヘ
プチル基,1−メチルヘプチル基,n−オクチル基,1
−エチルヘプチル基,1−メチルオクチル基,n−ノニ
ル基,1−エチルオクチル基,1−メチルノニル基,n
−デシル基,n−ウンデシル基,n−ドデシル基,n−
トリデシル基,n−テトラデシル基,n−ペンタデシル
基などが挙げられる。
【0019】また、A及びBはそれぞれ独立にハロゲ
ン,シアノ基,含フッ素アルキル基で置換された含六員
環基又は無置換の含六員環基を示し、例えば、
【化6】
【0020】
【化7】 などが挙げられる。
【0021】本発明で用いられる一般式(1)又は
(1')で表される化合物の具体例としては、例えば以下
の第1表に示す化合物を挙げることができる。
【表1】 表中、R,Sは不斉点の絶対配置を示す。
【0022】次に、本発明で用いられる液晶組成物の混
合(配合)及び本発明で用いられる母体液晶(ベース液
晶)について説明する。本発明に用いられる液晶組成物
は、通常、母体液晶に光学活性テトラヒドロピラン誘導
体である上記化合物を混合した混合物からなる。上記一
般式(1)又は(1')で表される化合物の混合比、必要
に応じて含有される他の成分の混合比は、液晶組成物の
性能を決める上で重要であり、一慨に決定することは困
難である。したがって、最終的には液晶組成物としての
評価に拠らなければならないが、概ね次のような指針に
従い混合比を決定することができる。
【0023】即ち、スメクチックC相の温度範囲が広
く、且つ室温付近を中心とした温度範囲を有することが
基準となる。また、高速応答性を得るために、粘性が小
さく、良好なコントラストを得るために大きなチルト角
を有すること等が基準となる。さらに、最終的に得られ
る液晶組成物の分子配向が良好になるように、等方性液
体相(I)からネマチック相(N),スメクチックA相
(SmA)を経てスメクチックC相(SmC)に至る相
系列をとる化合物であることが良い。中でも、化合物が
N相を有することは、無秩序なI相からSmA相への転
移の際に、分子長軸方向の配向が揃ってから層の形成が
起こるため好ましい。
【0024】本発明に用いられる液晶組成物には、一般
式(2)
【化8】 〔式中、R5 及びR6 はそれぞれ独立に炭素数3〜15
のアルキル基を示し、X 5 は−O−,−COO−又は単
結合を示し、X6 は−O−又は単結合を示す。〕で表さ
れる二環フェニルピリミジン系化合物、あるいは、一般
式(3)
【0025】
【化9】 〔式中、R7 及びR8 はそれぞれ独立に炭素数3〜15
のアルキル基を示し、X 7 は−O−又は単結合を示し、
8 は−O−,−OCO−又は単結合を示し、C及びD
は互いに異なって
【0026】
【化10】 を示す。〕で表される三環フェニルピリミジン系化合物
などからなり、両者を共に含有してもよい。これらの化
合物は、液晶組成物全体の好ましくは51〜90重量
%、より好ましくは60〜85重量%の量で配合され
る。このような母体液晶となる化合物群としては、上記
(2)式及び上記(3)式で表される化合物から、それ
ぞれ1種類のフェニルピリミジン系化合物のみを選定し
て用いることも可能であるが、複数のフェニルピリミジ
ン系化合物を選定して用いることが好ましい。
【0027】このように本発明において、好ましく用い
られる上記一般式(2) で表される化合物としては、例
えばX5 が−O−であり、且つ、X6 が単結合である下
記一般式(2-1)
【化11】 で表される二環フェニルピリミジン系エーテル化合物が
挙げられる。(2-1) 式中、k及びmはそれぞれ好まし
くは3〜15の整数、より好ましくは3〜13の整数、
さらに好ましくは5〜11の整数を示す。上記一般式
(2-1) で表される化合物の具体例としては、例えば以
下の第2表に示す化合物を挙げることができる。
【0028】
【表2】 なお、表中において、Cは結晶相,Sc はスメクチック
C相,SA はスメクチックA相,Nはネマティック相,
Iは等方性液体相を示し、表中( )の付いた相は、モ
ノトロピック液晶相を示す。以下の表においても、同様
である。
【0029】上記(2-1)で表されるそれぞれ1種類の
二環フェニルピリミジン系エーテル化合物を用いること
も、あるいは2種以上の該二環フェニルピリミジン系エ
ーテル化合物の混合物を用いることも、更には上記一般
式(2)で表される他の二環フェニルピリミジン系エー
テル化合物との2種以上の混合物を用いることもでき
る。本発明で用いられる上記(2) で表される二環フェ
ニルピリミジン系化合物は母体液晶100重量部に対し
て、好ましくは95重量部〜50重量部、より好ましく
は90重量部〜60重量部含有される。
【0030】また、本発明において好ましく用いられる
上記一般式(3)で表される化合物としては、下記一般
式(3-1)
【化12】 で表される三環フェニルピリミジン系化合物が挙げられ
る。(3-1) 式中、p及びqはそれぞれ好ましくは3〜
15の整数、より好ましくは3〜13の整数、さらに好
ましくは4〜11の整数を示す。
【0031】上記(3-1)式で表される化合物の具体例
としては、例えば下記第3表に示す化合物が挙げられ
る。
【表3】
【0032】本発明で用いられる液晶組成物には、1種
類の三環フェニルピリミジン系化合物を用いることも、
あるいは2種以上の三環フェニルピリミジン系化合物の
混合物を用いることもできる。また、このような三環フ
ェニルピリミジン系化合物は母体液晶100重量部に対
して、好ましくは5重量部〜50重量部、より好ましく
は10重量部〜40重量部含有される。上記三環フェニ
ルピリミジン系化合物は、二環フェニルピリミジン系化
合物に比べSmC相を示す温度域がより高温側にあるた
め、二環フェニルピリミジン系化合物と混合することに
よりスメクチックC相の高温域を拡げることができ、実
用的な広い温度域でSmC相を示す液晶組成物を得るこ
とができる。
【0033】さらに、本発明の液晶組成物においては、
実用的な広い温度域でスメクチックC相を示す母体液晶
を得るために、必要に応じて、上記成分以外に他の成分
を含有することもできる。他の成分としては、例えば安
息香酸フェニルエステル誘導体などを挙げることができ
る。
【0034】以上のような組成からなる母体液晶に、前
記一般式(1)又は(1')で表される光学活性テトラヒ
ドロピラン誘導体である化合物を混合して液晶組成物を
作製する。液晶組成物中の前記一般式(1)又は(1')
の化合物は、誘起される反強誘電性液晶相又は螺旋ピッ
チの短い強誘電性液晶相の温度範囲が広く、且つ室温付
近を中心とした温度範囲を有し、さらに適度な自発分極
値を有する等の観点より、液晶組成物全体の好ましくは
15〜49重量%、より好ましくは20〜45重量%の
量で配合されていることがよい。本発明で用いられる液
晶組成物において、カイラル液晶成分は、前記一般式
(1)又は(1')で表される化合物の1種類からなるも
のであっても、該化合物の2種以上からなるものであっ
てもよい。
【0035】本発明の液晶組成物の製法は、特に限定さ
れず任意の方法を用いることができるが、上記の優れた
特性を有する液晶組成物を効率的に製造するには、以下
の方法によることが好ましい。上記二環フェニルピリミ
ジン系化合物及び上記三環フェニルピリミジン系化合物
よりベース液晶を調製し、さらに必要に応じて他の成分
をも配合することによって、非カイラル液晶成分である
母体液晶を作製する。この母体液晶に、光学活性テトラ
ヒドロピラン誘導体の割合が、好ましくは組成物全体の
15〜49重量%になるように混合し、さらに必要に応
じて他の成分を添加する。この混合物を、クロロホルム
等の溶媒に投入し溶解混合した後、真空脱気等によって
溶媒を除去して、液晶組成物を得ることができる。この
ようにして得られた液晶組成物は、使用温度範囲が広
く、しきい値電圧が低く、配向性,高速応答性等に優れ
る。
【0036】
【実施例】次に、実施例に基づいて本発明をさらに具体
的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではな
い。 実施例1 先ず、下記化合物(2-1-4),(2-1-7),(2-1-9)
及び(2-1-10)
【0037】
【化13】
【0038】をそれぞれ17.5重量部、および、下記化
合物(3-1-5)
【化14】 を30.0重量部、混合して母体液晶を調製した。
【0039】得られた母体液晶の相転移温度は、以下の
通りである。
【化15】 C :結晶相 SmC :スメクチックC相 SmA :スメクチックA相 N :ネマティック相 I :等方性液体相 次に、この母体液晶が80重量%、光学活性テトラヒド
ロピラン誘導体として前記第1表の化合物(1−1)が
10.8重量%、および化合物(1'-1)が9.2重量%に
なるように混合した。この混合物を、溶媒であるクロロ
ホルムに投入し溶解混合した後、真空脱気して溶媒であ
るクロロホルムを除去して、液晶組成物1を得た。
【0040】得られた液晶組成物1の相転移温度は、以
下の通りである。
【化16】 SmC* :カイラルスメクチックC相 SmA :スメクチックA相 N* :カイラルネマティック相 I :等方性液体相 この液晶組成物1について、三角波法で測定した自発分
極値は78nC/cm2であり、チルト角は23度であっ
た。また、N*螺旋ピッチは34μmであった。
【0041】次いで、ITO電極付きの2枚の透明ガラ
ス基板上に、配向膜SE−150〔日産化学(株)製〕
を塗布し、パラレルラビング処理を行った。このガラス
基板を2μmの間隔で貼り合わせ、液晶セルAを作製し
た。この配向膜のプレティルト角は、カタログ値によれ
ば4〜5度である。このセルAに上記液晶組成物1を等
方性液体相になる温度(90℃)で注入し、その後徐冷
して配向させ、液晶素子を作製した。この液晶素子を偏
光板をクロスニコルに配置した偏光顕微鏡で観察したと
ころ、配向は極めて良好で、層法線方向に消光位があ
り、暗状態は光もれのない均一な黒レベルが得られた。
この液晶素子に、±10V,0.1Hzの三角波電圧を印
加したときの透過光強度−電圧特性を調べたところ、図
4に示したV字形の特性が得られた。また、この液晶素
子に、±5Vで500μ秒幅のパルス電圧(60Hz)
を印加して、コントラストを測定した結果、79:1と
いう高いコントラストが得られた。
【0042】実施例2 先ず、実施例1で調製した母体液晶が77重量%、光学
活性テトラヒドロピラン誘導体として前記第1表の化合
物(1−1)が12.0重量%、および化合物(1'-1)
が11.0重量%になるように混合した。この混合物を、
溶媒であるクロロホルムに投入し溶解混合した後、真空
脱気して溶媒であるクロロホルムを除去して、液晶組成
物2を得た。
【0043】得られた液晶組成物2の相転移温度は、以
下の通りである。
【化17】 SmCA * :反強誘電性カイラルスメクチックC相 SmA :スメクチックA相 N* :カイラルネマティック相 I :等方性液体相 この液晶組成物2について、三角波法で測定した自発分
極値は94nC/cm2であり、チルト角は23度であっ
た。また、N*螺旋ピッチは80μm以上であった。
【0044】次いで、実施例1と同様にして作製した液
晶セルAに、上記液晶組成物2を等方性液体相になる温
度で注入し、その後徐冷して配向させ、液晶素子を作製
した。この液晶素子を偏光板をクロスニコルに配置した
偏光顕微鏡で観察したところ、配向状態は極めて良好
で、層法線方向に消光位があり、暗状態は光もれのない
均一な黒レベルが得られた。この液晶素子で、実施例1
と同様にして透過光強度−電圧特性を調べたところ、図
5に示したV字形の特性が得られた。また、この液晶素
子で、実施例1と同様にして測定したコントラストは、
67:1であった。
【0045】実施例3 先ず、実施例1で調製した母体液晶が75重量%、光学
活性テトラヒドロピラン誘導体として前記第1表の化合
物(1−1)が13.5重量%、および化合物(1'-1)
が11.5重量%になるように混合した。この混合物を、
溶媒であるクロロホルムに投入し溶解混合した後、真空
脱気して溶媒であるクロロホルムを除去して、液晶組成
物3を得た。
【0046】得られた液晶組成物3の相転移温度は、以
下の通りである。
【化18】 SmCA * :反強誘電性カイラルスメクチックC相 SmA :スメクチックA相 N* :カイラルネマティック相 I :等方性液体相 この液晶組成物3について、三角波法で測定した自発分
極値は102nC/cm 2であり、チルト角は22度であ
った。また、N*螺旋ピッチは36μmであった。
【0047】次いで、実施例1と同様にして作製した液
晶セルAに、上記液晶組成物3を等方性液体相になる温
度で注入し、その後徐冷して配向させ、液晶素子を作製
した。この液晶素子を偏光板をクロスニコルに配置した
偏光顕微鏡で観察したところ、配向状態は極めて良好
で、層法線方向に消光位があり、暗状態は極めて均一な
黒レベルが得られた。この液晶素子に、±10V,0.1
Hzの三角波電圧を印加したところ、図6に示した反強
誘電相に特有なダブルヒステリシス特性が得られた。ま
た、この液晶素子で、実施例1と同様にして測定したコ
ントラストは、71:1であった。
【0048】比較例1 ITO電極付きの2枚の透明ガラス基板上に、配向膜L
X−1400〔日産化学(株)製〕を塗布し、パラレル
ラビング処理を行った。このガラス基板を2μmの間隔
で貼り合わせ、液晶セルBを作製した。この配向膜のプ
レティルト角は、カタログ値によれば0.5〜1度であ
る。このセルBに、実施例1と同様に液晶組成物1を等
方性液体相になる温度で注入し、その後徐冷して配向さ
せ、液晶素子を作製した。この液晶素子を偏光顕微鏡で
観察したところ、ラビング方向に沿って細長い線状の欠
陥が多数観察され、黒レベルはこの欠陥による光洩れの
ため完全には消光しなかった。この液晶素子で、実施例
1と同様にして測定したコントラストは4:1であっ
た。
【0049】比較例2 実施例2において、セルAに代えて比較例1で作製した
セルBを用いた以外は、実施例2と同様にして液晶素子
を作製した。この液晶素子を偏光顕微鏡で観察したとこ
ろ、ラビング方向に沿って細長い線状の欠陥が多数観察
され、黒レベルはこの欠陥による光洩れのため完全には
消光しなかった。この液晶素子で、実施例1と同様にし
て測定したコントラストは7:1であった。
【0050】比較例3 実施例3において、セルAに代えて比較例1で作製した
セルBを用いた以外は、実施例3と同様にして液晶素子
を作製した。この液晶素子を偏光顕微鏡で観察したとこ
ろ、ラビング方向に沿って細長い線状の欠陥が多数観察
され、黒レベルはこの欠陥による光洩れのため完全には
消光しなかった。この液晶素子で、実施例1と同様にし
て測定したコントラストは8:1であった。
【0051】
【発明の効果】本発明の液晶素子は、反強誘電性液晶あ
るいはセル厚より螺旋ピッチの短い強誘電性液晶を用い
て、良好な配向性,高コントラストが得られる液晶素子
であり、低粘性を充分に生かした優れた応答性等をも有
する。従って、本発明の液晶素子は、表示素子あるいは
電気光学素子等として、各工業分野において好適に用い
られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 典型的な閾値を有する反強誘電性液晶の透過
光強度−印加電圧曲線の図である。
【図2】 セル内での液晶分子の螺旋構造を示した模式
図である。
【図3】 閾値のない反強誘電性液晶の透過光強度−印
加電圧曲線の図である。
【図4】 実施例1で作製した液晶素子の透過光強度−
印加電圧の関係を示した図である。
【図5】 実施例2で作製した液晶素子の透過光強度−
印加電圧の関係を示した図である。
【図6】 実施例3で作製した液晶素子の透過光強度−
印加電圧の関係を示した図である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 それぞれが電圧印加手段と配向制御層と
    を有する一対の基板間に液晶材料を挟持した液晶素子に
    おいて、該液晶材料がカイラルネマチック相及びスメク
    チックA相を有する、反強誘電性液晶又はセル厚より螺
    旋ピッチの短い強誘電性液晶であり、両基板における配
    向制御層の一軸配向処理の方向が略平行であり、配向制
    御層に接する液晶分子が基板に対して2〜15度のプレ
    チルト角を有していることを特徴とする液晶素子。
  2. 【請求項2】 反強誘電性液晶が閾値を持たない透過光
    強度−電圧特性を示すことを特徴とする請求項1記載の
    液晶素子。
  3. 【請求項3】 液晶材料が少なくとも下記一般式(1) 【化1】 〔式中、R1 は炭素数3〜20の直鎖又は分岐鎖アルキ
    ル基を示し、R2 は炭素数1〜15の直鎖又は分岐鎖ア
    ルキル基を示し、X1 は単結合,−O−,−COO−又
    は−OCO−を示し、X2 は−O−又は−OCO−を示
    し、Yは−COO−,−O−又は−CH2O−を示し、
    A及びBはそれぞれ独立にハロゲン,シアノ基,含フッ
    素アルキル基で置換された含六員環基又は無置換の含六
    員環基を示し、Zは単結合,−COO−,−OCO−,
    −CH2O−又は−OCH2−を示し、*は不斉炭素を示
    す。〕または、下記一般式(1') 【化2】 〔式中、R1 ,R2 ,X1 ,X2 ,Y,A,B,Z及び
    *は上記一般式(1)と同じ。〕で表される化合物を含
    むことを特徴とする請求項1又は2記載の液晶素子。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の液晶素
    子の製造において、液晶組成物を等方性液体相で基板間
    に注入し、その後徐冷してカイラルネマチック相,スメ
    クチックA相を経由して配向させることを特徴とする液
    晶素子の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20000039791A (ko) * 1998-12-16 2000-07-05 김영환 액정 표시 장치
US6245258B1 (en) 1997-04-11 2001-06-12 Nec Corporation Smectic liquid crystal material and liquid crystal optical element

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