JPH1083445A - 表色系変換方法 - Google Patents

表色系変換方法

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JPH1083445A
JPH1083445A JP8238195A JP23819596A JPH1083445A JP H1083445 A JPH1083445 A JP H1083445A JP 8238195 A JP8238195 A JP 8238195A JP 23819596 A JP23819596 A JP 23819596A JP H1083445 A JPH1083445 A JP H1083445A
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哲夫 広内
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BUNKIYOU UNIV GAKUEN
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Abstract

(57)【要約】 【課題】3原色の測色的混色比率による表色系を、被験
者への簡易な心理実験により個人の色知覚に適合した表
色系に変換する表色系変換方法を提供する。 【解決手段】ディスプレイ装置の3原色の測色的混色比
率による表色系を、赤、黄、緑、青、白、黒の6基本色
の測色的混色比率による原始表色系11に変換し、これ
をディスプレイの発光可能な色のうち被験者のユニーク
色と色相が等しく最も彩度の高い4種の準ユニーク色を
基本有彩色とする第一中間表色系13に変換し、その中
間色について被験者の色知覚に適合する心理的色構成比
率を測定し、該測定結果を準ユニーク色の彩度を補償す
るよう正規化し、これを基に第一中間表色系13を第二
中間表色系14に変換し、正規化による影響を補正する
純度変換を施すことで第二中間表色系14を、被験者の
色知覚に適合した色構成比率により任意の色を特定する
目的表色系17に変換する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数の基本色の測
色的な混色比率によって任意の色を特定する表色系を、
他の心理的な色構成比率による表色系に変換する表色系
変換方法に関する。
【0002】
【従来の技術】表色系とは、色を色相、明度、彩度の3
つを基本要素とし、代表例としては、それらを3次元空
間の座標軸としてその座標上に色を配置したものがあ
る。
【0003】表色系には、大きく分けて、混色系と顕色
系とがある。混色系は、色光の混色原理に基づくところ
の測色的な立場から構成されるものであり、その代表と
してオストワルドが提案した表色系がある。すなわち、
混色系は、色の基本要素の物理的な構成比率によって色
を同定するものであり、座標上で表す際には、各基本要
素の測色的な混色比率に従った座標位置に色配置され
る。
【0004】一方、顕色系は、色を視感的に評価し、そ
れを数値や記号を用いて等歩度で座標上に色配置するも
のである。顕色系の代表として、マンセル表色系やスウ
ェーデンで開発されたNCS(Natural Color System)
がある。
【0005】色は、人間の目に到達するまでの段階で
は、波長など各種の物理的要素で捕らえることができる
が、最終的には、人間の心理的な知覚により認識される
ものである。そこで、顕色系では、色を構成する基本要
素をこのような人間の知覚する構成比率に従って色配置
している。
【0006】顕色系のうち、NCSは、へーリング(Her
ing)によって提案された色覚の反対説に基づいている。
色覚説には大別して、3色説と反対色説が知られてい
る。3色説では、色覚は、光の長波長、中波長、短波長
にそれぞれ別々に反応する3種類の視細胞が網膜中に存
在するから生じるとされている。
【0007】それらをL視細胞、M視細胞、S視細胞と
呼ぶと、L視細胞が反応すると赤、M視細胞が反応する
と緑、またS視細胞が反応すると青が知覚され、3つの
視細胞の反応の強弱で、赤、緑、青の混じり合った色知
覚が生じると考えられている。
【0008】反対色説では、色知覚の基本は3色説の3
色に黄を加えた4色であるとする。この4色は、個々人
の心の中で経験的に感じ取る赤味、黄味、緑味、青味の
色で、それらをユニーク色という。したがって、ユニー
ク色の測色学的値は、各個人によって若干異なってい
る。
【0009】反対色説では、赤と緑に反応する視細胞と
黄と青に反応する視細胞が網膜中にあり、それらの2つ
視細胞は同化と異化という作用をして、一方に反応すれ
ば、他方には反応しないと考えられている(池田光男:
眼はなにを見ているか−視覚系の情報処理−、平凡社
(1988))。すなわち、赤に反応すれば緑には反応しな
い、緑に反応すれば赤には反応しないのである。黄と青
についても同様である。 このように互いに相反する色
を反対色と呼び、このような反応を反対色応答と呼ぶ。
また、2つの視細胞の同化と異化が拮抗する場合には、
白と黒に対して同化と異化の反応を示すもう1つの視細
胞が存在し、それが白、黒あるい灰色を知覚すると考え
られている。従って、白と黒も反対色である。このよう
な網膜の反対色応答から、ユニーク色などの色知覚が生
じるとするのが反対色説であるNCSの基本色は赤、
黄、緑、青の4つの有彩色と、白および黒の2つの無彩
色を合わせた6色である。そして、赤、黄、緑、青の基
本有彩色には、人間が心理的にそれらの色として知覚す
るユニーク色を割り当てる。
【0010】図6は、NCSの6基本色のうち有彩色に
ついての色配置を表す色相環を、図7は、色相を固定し
彩度と明度をパラメータとして表した色正三角形を、図
8は、6つの基本色をそれぞれ座標軸にとった際の色立
体をそれぞれ表したものである(池田光男、芦澤昌子:
どうして色は見えるのか−色彩の科学と色覚−、平凡社
(1992))。NCSの色相環は、図6に示すように円
(61)を4等分する位置にユニーク色の赤と緑、黄と
青を相対するように配置する。そして、4つの4分円周
上に赤/黄、黄/緑、緑/青、青/赤のユニーク色同士
が混ざり合った色を置く。その配置は、心理的に感じる
ユニーク色同士の構成比率に従って等間隔に行われる。
それらの色は、白味も黒味も含まれない純粋に色味だけ
の色である。
【0011】色相の区別はユニーク色間の構成比率で行
われる。ここでは便宜的に、ユニーク赤を開始点とし
て、反時計周りの方向に1.0(赤)、2.0(黄)、3.0
(緑)、4.0(青)と順序数を付け、それを色相(h)
とする。色相の小数点以下の数がユニーク色間の構成比
率を表す。色相hは1.0≦hく4.999…の範囲であり、h
=5.0は円環の開始点に戻ったことを示し、それはh=
1.0となる。
【0012】ちなみに赤味70%と黄味30%で混色さ
れる色の色相は1.3である。同一色相の色は、色相環の
中心と円周の一点を結ぶ直線(半径)上に存在する。
【0013】彩度と明度に関しては、図7に示す正三角
形(色三角形)62で表される。白(W)と黒(S)と
純粋に色味だけの色(C)が色三角形の頂点に配置され
る。他の中間色は、その色に含まれると感じられる白
味、黒味、色味の色構成比率からその色の位置が決定さ
れる。三角形内の一点をPとすれば、点Pから各底辺に
下ろした垂線の長さw、s、cをその合計値で割った値
を改めてw、s、cとすれば,次式の関係が成立する。
【0014】w+s+c=1 (1) すなわち、w、s、cの値は点Pが定める色の白味、黒
味、色味の構成比率を表している。従ってNCSでは、
色空間における色配置を色構成比率w、s、cと色相h
の4要素の中の3要素を用いて決定することが出来る。
その3要素の組をここでは、色座標と呼び、(h,w,
s)で表すことにする。なお、実際のNCSでは、w+
s+c=100%単位が用いられる。
【0015】色相環面(色円)を水平に、また彩度/明
度面(色三角形)を垂直に組み合わせた図8の算盤玉状
の立体がNCSの色立体63を形成する。従ってNCS
を構成する全ての色は、この算盤玉状の色空間63の内
部または表面の一点に存在する。
【0016】NCSでは、ユニーク色および色空間内に
おける各色の色配置を、多数の被験者に対して行った心
理実験の結果を統計処理して定めている。すなわち、色
相、白味、黒味の構成比率が異なる各種の色を被験者に
提示し、被験者が心理的に知覚する色構成比率の順に従
ってそれらの色を並べさせ、その結果の統計的平均値に
よりNCSの色空間おける色配置を決定している。
【0017】ところで、最近、超多彩色表示可能なパソ
コン、キャリブレーション付きの高精度カラーディスプ
レイ装置、高性能カラープリンターなどが登場し始め、
自然に近いムラのない色を画面やプリンターで一貫して
再現する技術基盤が整い始めた。近年のコンピュータ
は、1677万色もの多彩な色をディスプレイ画面に自
由に合成できるので、各種表色系をコンピュータのディ
スプレイ上に表示する電子色見本の作成が試みられてい
る。
【0018】NCSにおいては、各色の測色的な混色比
率は既に求められているので、それらの対応関係を示す
データテーブルをコンピュータに記憶させ、このデータ
テーブルを参照することによって、NSCで定義される
色をディスプレイ画面上に表示することが試みられてい
る。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】従来から使用されてい
るNCSでは、多くの人々に施した心理実験の結果を統
計的に処理した平均値により、ユニーク色や色空間にお
ける色配置を定めている。しかしながら、色の見えは本
質的に主観の伴うものであるので、色味を生じさせる基
になるユニーク色の測色的な値も各個人によって異な
る。さらには、中間色を構成するユニーク色の混合割合
も人々により異なって感じられる。
【0020】このため、NSCは、各個人の色知覚と必
ずしも適合しない。したがって、コンピュータのディス
プレイ画面上においてNCSに対応した色表示を行った
としても、利用者が知覚する色配置と必ずしも適合して
いないという問題があった。また、膨大なデータ量のデ
ータテーブルを基にしてディスプレイ画面上にNSCに
従う色表示を行なうことが試みられているが、利用者の
知覚する色配置に適合させるためには、その利用者の色
知覚に適応した膨大なデータテーブルを用意しなければ
ならない。
【0021】また必要なデータ量が多いので、心理実験
を行なうのに時間と労力が膨大にかかる。このため、利
用者個人の色知覚に適合した表色系でコンピュータのデ
ィスプレイ画面上に色表示を行なうことは困難であっ
た。
【0022】本発明は、このような従来の技術が有する
問題点に着目してなされたもので、電子色見本を作成す
る際の基礎となる表色系として、利用者の立場からはそ
の個人の色知覚を尊重した顕色系であり、ソフトウェア
の構成原理からすれば測色学に基づく混色系であるとい
う、両表色系の特徴を活かしたコンピュータ向きの表色
系を簡易な心理実験を基にして実現するための表色系変
換方法を提供することを目的としている。
【0023】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めの本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存
する。 [1]複数の基本色の測色的混色比率によって任意の色
を特定する表色系を、他の表色系に変換する表色系変換
方法において、ディスプレイ装置の発光する赤、緑、青
の3原色を用いて、赤、黄、緑、青の4つの基本有彩色
と白および黒の2つの無彩色からなる6つの基本色を基
準にそれらを混ぜ合せた測色的混色比率を用いて任意の
色を特定する原始表色系(11)を作成し、前記ディス
プレイ装置の表示可能な色のうち被験者が赤、黄、緑、
青として知覚するユニーク赤、ユニーク黄、ユニーク緑
およびユニーク青と色相が同一であって彩度の最も高い
4種の準ユニーク色についてそれらの色相の前記原始表
色系(11)における測色的な混色比率として測定し、
前記測定の結果を基にして前記原始表色系(11)を前
記4種の準ユニーク色と前記ディスプレイ装置の表示可
能な白および黒とからなる6基本色の測色的混色比率を
用いて任意の色を特定する第一中間表色系(13)に変
換し、前記第一中間表色系(13)において任意の測色
的な混色比率で特定される色について前記被験者の色知
覚に適合する4ユニーク色と白および黒を基準に該被験
者が知覚するそれら6色の心理的な色構成比率を測定
し、前記準ユニーク色とディスプレイ装置の表示可能な
白および黒の6基本色が前記被験者の色知覚に適合した
4ユニーク色と白および黒にそれぞれ対応するように前
記測定で求めた色構成比率を正規化し、前記正規化した
後の色構成比率を基にして、前記第一中間表色系(1
3)を前記準ユニーク色と前記ディスプレイ装置で表示
可能な白および黒とを6基本色とし、かつ前記正規化し
た後の色構成比率に対応した心理的な混合によって任意
の色を特定する第二中間表色系(15)に変換し、前記
4種の準ユニーク色のうちの2色を混色した色について
前記被験者が該色に含まれていると知覚する白味および
黒味の混合割合を測定し、前記測定の結果に基づいて、
前記第二中間表色系(15)における色構成比率に含ま
れる前記正規化の影響を補正し前記第二中間表色系(1
5)を前記被験者の色知覚に適合した4ユニーク色と白
および黒の心理的な色混合によって色を特定する目的表
色系(17)に変換することを特徴とする表色系変換方
法。
【0024】[2]複数の基本色の心理的色構成比率に
よって任意の色を特定する表色系を、他の表色系に変換
する表色系変換方法において、ディスプレイ装置の発光
する赤、緑、青の3原色を用いて、赤、黄、緑、青の4
つの基本有彩色と白および黒の2つの無彩色からなる6
つの基本色を基準にそれらを混ぜ合せた測色的混色比率
を用いて任意の色を特定する原始表色系(11)を作成
し、前記ディスプレイ装置の表示可能な色のうち被験者
が赤、黄、緑、青として知覚するユニーク赤、ユニーク
黄、ユニーク緑およびユニーク青と色相が同一であって
彩度の最も高い4種の準ユニーク色についてそれらの色
相の前記原始表色系(11)における測色的な混色比率
として測定し、前記測定の結果を基にして前記原始表色
系(11)を前記4種の準ユニーク色と前記ディスプレ
イ装置の表示可能な白および黒とからなる6基本色の測
色的混色比率を用いて任意の色を特定する第一中間表色
系(13)に変換し、前記第一中間表色系(13)にお
いて任意の測色的な混色比率で特定される色について前
記被験者の色知覚に適合する4ユニーク色と白および黒
を基準に該被験者が知覚するそれら6色の心理的な色構
成比率を測定し、前記準ユニーク色とディスプレイ装置
の表示可能な白および黒の6基本色が前記被験者の色知
覚に適合した4ユニーク色と白および黒にそれぞれ対応
するように前記測定で求めた色構成比率を正規化し、前
記正規化した後の色構成比率を基にして、前記第一中間
表色系(13)を前記準ユニーク色と前記ディスプレイ
装置で表示可能な白および黒とを6基本色とし、かつ前
記正規化した後の色構成比率に対応した心理的な混合に
よって任意の色を特定する第二中間表色系(15)に変
換し、前記4種の準ユニーク色のうちの2色を混色した
色について前記被験者が該色に含まれていると知覚する
白味および黒味の混合割合を測定し、前記測定の結果に
基づいて、前記第二中間表色系(15)における色構成
比率に含まれる前記正規化の影響を補正し前記第二中間
表色系(15)を前記被験者の色知覚に適合した4ユニ
ーク色と白および黒の心理的な色混合によって色を特定
する目的表色系(17)に変換するこれら一連の過程を
逆方向に行なうことにより、前記目的表色系(17)
を、前記ディスプレイ装置の発光する3原色を用いて形
成することを特徴とする表色系変換方法。
【0025】[3]複数の基本色の測色的混色比率によ
って任意の色を特定する表色系を、他の表色系に変換す
る表色系変換方法において、白味、黒味、色味の3要
素、あるいは赤、黄、緑、青の4つの基本有彩色のうち
反対色でない2色と白黒味からなる3要素のいずれかの
3要素のうち、任意の2要素を測色的な混色比率で混色
した複数の色について被験者の知覚する前記2要素の心
理的な色構成比率を測定し、該測定の結果を基にして、
前記2要素の測色的な混色比率、すなわち測色的指標を
独立変数とし、前記被験者の知覚する前記2要素の心理
的な色構成比率、すなわち心理的指標を従属変数とする
混色比率変換関数を前記3要素のうちの2要素で形成さ
れる3つの組み合せについてそれぞれ作成し、任意の色
について前記3要素の測色的指標を独立変数の値として
前記3つの混色比率変換関数に代入して得られた心理的
指標の値を用いて作られた3つの式のうちの2つと3要
素の和が1となる式を連立させた1次3元連立方程式を
作り、それらを解くことで色構成比率を求めることを前
記心理的指標を用いて作った3つの式うちの2つと3要
素の和が1となる式との各組みについて行い3組みの色
構成比率を求め、これら3組みの心理的な色構成比率に
おいて対応する要素同士の平均を求め、前記平均後の3
要素を、前記被験者の知覚する前記3要素の心理的な色
構成比率として近似することを特徴とする表色系変換方
法。
【0026】[4]複数の基本色の測色的混色比率によ
って任意の色を特定する表色系を、他の表色系に変換す
る表色系変換方法において、白味、黒味、色味の3要
素、あるいは赤、黄、緑、青の4つの基本有彩色のうち
反対色でない2色と白黒味からなる3要素のいずれかの
3要素のうち、任意の2要素を測色的な混色比率で混色
した複数の色について被験者の知覚する前記2要素の心
理的な色構成比率を測定し、該測定の結果を基にして、
前記2要素の測色的な混色比率、すなわち測色的指標を
独立変数とし、前記被験者の知覚する前記2要素の心理
的な色構成比率、すなわち心理的指標を従属変数とする
混色比率変換関数を前記3要素のうちの2要素で形成さ
れる3つの組み合せについてそれぞれ作成し、任意の色
について前記3要素の測色的指標を独立変数の値として
前記3つの混色比率変換関数に代入して心理的指標の値
を求め、任意の色について前記3要素のうちの1つの要
素を測色的な混色比率のまま固定し、残り2つの要素の
測色的な混色比率をこれら2要素の組みに対応する心理
的指標から得ることで前記3要素からなる心理的色構成
比率を求めることを、前記3要素の各要素をそれぞれ前
記測色的な混色比率のまま固定する要素として行って3
組みの色構成比率を求め、これら3組みの心理的な色構
成比率において対応する要素同士の平均を求め、前記平
均後の3要素を、前記被験者の知覚する前記3要素の心
理的な色構成比率として近似することを特徴とする表色
系変換方法。
【0027】[5]白味と色味の測色的な混色比率を心
理的な色構成比率に変換する変換関数は、前記色味を構
成する2つの基本有彩色のうちの一方と白色との測色的
な混色比率を心理的な色構成比率に変換する第1の純度
変換関数と、前記2つの基本有彩色のうちの他方と白色
との測色的な混色比率を心理的な色構成比率に変換する
第2の純度変換関数とを前記色味の色相を構成する2つ
の基本有彩色の混色比率に応じた重み付けを施して加え
ることによって求め、黒味と色味の測色的な混色比率を
心理的な色構成比率に変換する変換関数は、前記色味を
構成する2つの基本有彩色のうちの一方と黒色との測色
的な混色比率を心理的な色構成比率に変換する第3の純
度変換関数と、前記2つの基本有彩色のうちの他方と黒
色との測色的な混色比率を心理的な色構成比率に変換す
る第4の純度変換関数とを前記色味の色相を構成する2
つの基本有彩色の混色比率に応じた重み付けを施して加
えることによって求めることを特徴とする請求項3、ま
たは4記載の表色系変換方法。
【0028】[6]複数の基本色の測色的混色比率によ
って任意の色を特定する表色系を、他の表色系に変換す
る表色系変換方法において、ディスプレイ装置の表示可
能な色のうち被験者が赤、黄、緑、青として知覚するユ
ニーク赤、ユニーク黄、ユニーク緑およびユニーク青と
色相が同一であって彩度の最も高い4種の準ユニーク色
と前記ディスプレイ装置の表示可能な白および黒とから
なる6基本色の測色的混色比率を用いて任意の色を特定
する第一中間表色系(13)上で任意の測色的な混色比
率によって特定される色について前記被験者の色知覚に
適合する4ユニーク色と白および黒を基準に該被験者が
知覚するそれら6色の心理的な色構成比率を測定し、前
記準ユニーク色とディスプレイ装置の表示可能な白およ
び黒の6基本色が前記被験者の色知覚に適合した4ユニ
ーク色と白および黒にそれぞれ対応するように前記測定
で求めた色構成比率を正規化し、前記正規化した後の色
構成比率を基にして、前記第一中間表色系(13)を前
記準ユニーク色と前記ディスプレイ装置で表示可能な白
および黒とを6基本色とし、かつ前記正規化した後の色
構成比率に対応した心理的な混合によって任意の色を特
定する第二中間表色系(15)に変換し、前記4種の準
ユニーク色のうちの2色を混色した色について前記被験
者が該色に含まれていると知覚する白味および黒味の混
合割合を測定し、前記測定の結果に基づいて、前記第二
中間表色系(15)における色構成比率に含まれる前記
正規化の影響を補正し前記第二中間表色系(15)を前
記被験者の色知覚に適合した4ユニーク色と白および黒
の心理的な色混合によって色を特定する目的表色系(1
7)に変換することを特徴とする表色系変換方法。
【0029】[7]ディスプレイ装置の発光する赤、
緑、青の3原色を用いて、赤、黄、緑、青の4つの基本
有彩色と白および黒の2つの無彩色からなる6つの基本
色を基準にそれらを混ぜ合せた測色的混色比率を用いて
任意の色を特定する原始表色系(11)を作成するに際
し、ディスプレイ装置の発光する赤、緑、青が等しく合
成したものを白としかつ赤、緑、青のうちの最小の色強
度を白の色強度とし、黄は赤と緑の合成により構成され
かつ、赤の色強度から白の色強度を差し引いたものを仮
の赤の色強度とし緑の色強度から白の色強度を差し引い
たものを仮の緑の色強度としたときこれらのうちの小さ
い方を黄の色強度とし、前記仮の赤の色強度から黄の色
強度を差し引いたものを赤の色強度とし、前記仮の緑の
色強度から黄の色強度を差し引いたものを緑の色強度と
し、ディスプレイ装置の発光する青の色強度から前記白
の色強度を差し引いたものを青の色強度とし、青の色強
度が最小で赤の色強度が最大の場合には、ディスプレイ
装置の発光する最大色強度から赤の色強度を差し引いた
ものを黒の色強度とし、青の色強度が最小で緑の色強度
が最大の場合には、ディスプレイ装置の発光する最大色
強度から緑の色強度を差し引いたものを黒の色強度と
し、赤の色強度が最小の場合には、ディスプレイ装置の
発光する最大色強度に赤の色強度を加え、これから緑と
青の色強度を差し引いたものを黒の色強度とし、緑の色
強度が最小の場合には、ディスプレイ装置の発光する最
大色強度に緑の色強度を加え、これから赤と青の色強度
を差し引いたものを黒の色強度とし、ディスプレイ装置
における3原色の色強度を用いて原始表色系(11)を
作成することを特徴とする請求項1または2記載の表色
系変換方法。
【0030】[8]原始表色系(11)の4つの基本有
彩色のうち赤と黄、黄と緑、緑と青、青と赤の各組み合
せにおける2つの基本有彩色を混色した所定の色の測色
的な混色比率が、前記所定の色を前記第一中間表色系
(13)において対応する2つの準ユニーク色を混色し
た際の測色的な混色比率に等しくなる様にして、前記原
始表色系(11)を前記第一中間表色系(13)に変換
することを特徴とする請求項1または2記載の表色系変
換方法。
【0031】前記本発明は次のように作用する。まず、
ディスプレイ装置の発光する赤、緑、青の3原色を用い
て、赤、黄、緑、青の4つの基本有彩色と白および黒の
2つの無彩色からなる6つの基本色を基準にそれらを混
ぜ合せた測色的混色比率を用いて任意の色を特定する原
始表色系(11)を作成する。
【0032】次に、ディスプレイ装置の表示可能な色の
うち被験者が赤、黄、緑、青として知覚するユニーク
赤、ユニーク黄、ユニーク緑およびユニーク青と色相が
同一であって彩度の最も高い4種の準ユニーク色につい
てそれらの色相の原始表色系(11)における測色的な
混色比率として測定する。
【0033】たとえば、被験者が純粋に赤と感じる色相
は、ディスプレイ装置が発光する赤の色相と一致すると
は限らず、ディスプレイ装置の赤よりも若干黄あるいは
青側にずれていることがある。そこで、被験者が赤と感
じる色が、ディスプレイ装置の赤と黄、あるいは赤と青
を測色的にどのような比率で混色した色に相当するかを
測定する。
【0034】この測定の結果を基にして原始表色系(1
1)を4種の準ユニーク色とディスプレイ装置の表示可
能な白および黒とからなる6基本色の測色的混色比率を
用いて任意の色を特定する第一中間表色系(13)に変
換する。
【0035】次に、第一中間表色系(13)において任
意の測色的な混色比率で特定される色について被験者の
色知覚に適合する4ユニーク色と白および黒を基準に該
被験者が知覚するそれら6色の心理的な色構成比率を測
定する。
【0036】すなわち、第一中間表色系(13)におい
て隣り合う2つの準ユニーク色の間に存在する中間色の
色配置は、準ユニーク色等の測色的な混色比率によって
定められているので、これら中間色の色配置は、被験者
が知覚する心理的な色配置と一致していない。そこで、
中間表色系において任意の測色的な混色比率で特定され
る色について被験者が知覚する心理的な色構成比率を測
定する。
【0037】中間表色系での任意の色は、2つの準ユニ
ーク色と白および黒の4色混合によって形成される。し
たがって、被験者が知覚したこれら4つの色の混色比率
を調べる必要があるが、4つの色の混色比率を初心の被
験者が特定するのは容易ではない。
【0038】そこで、ここでは4つの準ユニーク色およ
び白、黒のうちの2色を混色した色について被験者が知
覚する心理的な色構成比率を、13種類の2色の組み合
せについて測定し、その測定結果を基にして、4色混合
における心理的な色構成比率を近似的に求めるようにし
ている。
【0039】また、準ユニーク色とディスプレイ装置の
表示可能な白および黒の6基本色が被験者の色知覚に適
合した4ユニーク色と白および黒にそれぞれ対応するよ
うに測定で求めた色構成比率を正規化する。
【0040】たとえば、準ユニーク黄と白を混色した色
について、準ユニーク黄の含まれる割合を被験者に言わ
せるような測定をした場合、ディスプレイ上で準ユニー
ク黄を100%とした色を表示しても、被験者が、黄の
割合を90%と回答する場合がある。これは、準ユニー
ク色が被験者の知覚するユニーク黄と色相は一致してい
るが、その彩度が落ちているので、被験者は、ある程度
白味を帯びて知覚するからである。そこで、準ユニーク
色を100%表示した際に被験者の答えた混色比率を1
00%に補正するように、測定で求めた色構成比率を正
規化している。これにより、準ユニーク色における白味
と黒味の量は全て色味の量とみなすように変換される。
【0041】正規化した後の色構成比率を基にして、第
一中間表色系(13)を準ユニーク色とディスプレイ装
置で表示可能な白および黒とを6基本色とし、かつ正規
化した後の色構成比率に対応した心理的な混合によって
任意の色を特定する第二中間表色系(15)に変換す
る。
【0042】第二中間表色系(15)は、正規化された
色構成比率を基にしているので、被験者の知覚する色味
の色構成比率は、第二中間表色系(15)の全体におい
て、本来知覚されるそれよりも大きな値になっている。
そこで、4種の準ユニーク色のうちの2色を混色した色
について被験者が該色に含まれていると知覚する白味お
よび黒味の混合割合を測定する。
【0043】この測定結果に基づいて、第二中間表色系
(15)における色構成比率に含まれる正規化の影響を
補正し、第二中間表色系(15)を被験者の色知覚に適
合した4ユニーク色と白および黒の心理的な色混合によ
って色を特定する目的表色系(17)に変換する。
【0044】また、これら一連の変換過程を逆向きに行
なうことにより、目的表色系(17)を、ディスプレイ
装置の発光する3原色を用いて形成する。
【0045】6基本色を持つ表色系では、任意の色は、
2つの基本有彩色と白および黒の4色混色によって定ま
るが、白味と黒味と色味の混色比率の合計が1(100
%)になることから3色混合と考えることができる。
【0046】しかし、3色の心理的色構成比率をカラー
ネーミング法によって測定し、ニューラルネットワーク
を用いて同定する方法も考えられるが、この方法では、
計算に時間がかかる。と言うのは、非常に数多くの代表
点に対する実験データを得なければならないからであ
る。このような心理実験を利用者に課すのは、実用的な
立場からすると不適当である。そこで、比較的少ない実
験データであっても、それに基づいて表色系を生成する
ことが出来る数理モデルが要求される。
【0047】すなわち、白味、黒味、色味の3要素、あ
るいは赤、黄、緑、青の4つの基本有彩色のうち反対色
でない2色と白黒味からなる3要素のいずれかの3要素
のうち、任意の2要素を測色的な混色比率で混色した色
について被験者の知覚する2要素の心理的な色構成比率
を測定する。
【0048】この測定の結果を基にして、2要素の測色
的な混色比率、すなわち測色的指標を独立変数とし、被
験者の知覚する2要素の心理的な色構成比率、すなわち
心理的指標を従属変数とする混色比率変換関数を3要素
のうちの2要素で形成される3つの組み合せについてそ
れぞれ作成する。
【0049】たとえば、白味、黒味、色味の3要素の場
合、白味と色味、黒味と色味、白味と黒味の3つの組み
合せについてそれぞれ混色比率変換関数を求める。
【0050】そして、任意の色について3要素の測色的
指標を独立変数の値として3つの混色比率変換関数に代
入し得られた心理的指標の値を用いて作られた3つの式
のうちの2つと3要素の和が1となる式を連立させた1
次3元連立方程式を作り、それらを解くことで色構成比
率を求めることを心理的指標を用いて作った3つの式う
ちの2つと3要素の和が1となる式との各組みについて
行い3組みの色構成比率を求め、これら3組みの心理的
な色構成比率において対応する要素同士の平均を求め、
平均後の3要素を、被験者の知覚する3要素の心理的な
色構成比率として近似する。
【0051】心理的指標を導入して求めた3組みの色構
成比率は、理想的には一致するはずであるが、被験者に
とってそのような色知覚を行なうことは難しく、ずれが
生じる。そこで、3組みの色構成比率の対応する要素同
士の平均を求めることにより、近似的に被験者が知覚す
ると考えられる色構成比率を求めている。平均は相加平
均、相乗平均、調和平均などを用いることができる。
【0052】また、任意の色について3要素の測色的指
標を独立変数の値として3つの混色比率変換関数に代入
して心理的指標の値を求め、任意の色について3要素の
うちの1つの要素を測色的な混色比率のまま固定し、残
り2つの要素の測色的な混色比率をこれら2要素の組み
に対応する心理的指標から得ることで3要素からなる心
理的色構成比率を求めるようにしてもよい。これを3要
素の各要素をそれぞれ測色的な混色比率のまま固定する
要素として行うことで3組みの色構成比率を求め、その
平均を被験者の知覚する3要素の心理的な色構成比率と
して近似することができる。
【0053】白味と色味の測色的な混色比率を心理的な
色構成比率に変換する変換関数は、色味を構成する2つ
の基本有彩色のうちの一方と白色との測色的な混色比率
を心理的な色構成比率に変換する第1の純度変換関数
と、前記2つの基本有彩色のうちの他方と白色との測色
的な混色比率を心理的な色構成比率に変換する第2の純
度変換関数とを前記色味の色相を構成する2つの基本有
彩色の混色比率に応じた重み付けを施して加えることに
よって求めることができる。
【0054】また、黒味と色味の測色的な混色比率を心
理的な色構成比率に変換する変換関数は、前記色味を構
成する2つの基本有彩色のうちの一方と黒色との測色的
な混色比率を心理的な色構成比率に変換する第3の純度
変換関数と、前記2つの基本有彩色のうちの他方と黒色
との測色的な混色比率を心理的な色構成比率に変換する
第4の純度変換関数とを前記色味の色相を構成する2つ
の基本有彩色の混色比率に応じた重み付けを施して加え
ることによって求める。
【0055】これにより、無数に存在する色相について
の変換関数を第1から第4の純度変換関数によって算定
することができる。
【0056】ディスプレイ装置の発光する赤、緑、青の
3原色を用いて、赤、黄、緑、青の4つの基本有彩色と
白および黒の2つの無彩色からなる6つの基本色を基準
にそれらを混ぜ合せた測色的混色比率を用いて任意の色
を特定する原始表色系(11)は、いかのようにして作
成することができる。
【0057】ディスプレイ装置の発光する赤、緑、青が
等しく合成したものを白としかつ赤、緑、青のうちの最
小の色強度を白の色強度とし、黄は赤と緑の合成により
構成されかつ、赤の色強度から白の色強度を差し引いた
ものを仮の赤の色強度とし緑の色強度から白の色強度を
差し引いたものを仮の緑の色強度としたときこれらのう
ちの小さい方を黄の色強度とする。
【0058】そして、仮の赤の色強度から黄の色強度を
差し引いたものを赤の色強度とし、仮の緑色強度から黄
の色強度を差し引いたものを緑の色強度とし、ディスプ
レイ装置の発光する青の色強度から前記白の色強度を差
し引いたものを青の色強度とする。
【0059】そして黒の色強度は、以下の4種に場合分
けして求める。まず、青の色強度が最小で赤の色強度が
最大の場合には、ディスプレイ装置の発光する最大色強
度から赤の色強度を差し引いたものを黒の色強度とし、
青の色強度が最小で緑の色強度が最大の場合には、ディ
スプレイ装置の発光する最大色強度から緑の色強度を差
し引いたものを黒の色強度とする。
【0060】また、赤の色強度が最小の場合には、ディ
スプレイ装置の発光する最大色強度に赤の色強度を加
え、これから緑と青の色強度を差し引いたものを黒の色
強度とし、緑の色強度が最小の場合には、ディスプレイ
装置の発光する最大色強度に緑の色強度を加え、これか
ら赤と青の色強度を差し引いたものを黒の色強度とす
る。これらにより、ディスプレイ装置における3原色の
色強度を用いて原始表色系(11)を作成することがで
きる。
【0061】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づき本発明の実施
の形態を説明する。本発明にかかる表色系変換方法によ
り、利用者の立場からは自己の色知覚を尊重した顕色系
であり、ディスプレイ装置に表示する色を決定するコン
ピュータのソフトウェア上では、測色学に基づく混色系
であるという、両表色系の特徴を活かした表色系が実現
される。そこで、多数の人の色知覚の平均値を基にして
定めたNCSに対して、本発明により得られる個人の色
知覚に適合した表色系を適応型表色系(ACS…Adapti
ve Color System)と呼ぶことにする。
【0062】ACSの色空間の設定法はNCSと同じで
あり、色立体の形状や色空間における色の配置方法は図
6から図8に示したNCSのものとほぼ同じで、色の配
置方法は式(1)に従って行われる。また、ACSの基本
色もNCSと同様に赤、黄、緑、青、白、黒の6色であ
る。
【0063】ただ、異なる点は、人々の間で、ユニーク
色や色構成比率が多少異なって感じられるのが普通であ
るので、それを表色系に反映しようとするところにあ
る。すなわち、ACSは、NCSが完全には尊重してい
ない個々人の色知覚を重視して、各人の内面の色知覚に
適合する表色系を簡易な心理実験を基にして、ディスプ
レイ画面上に実現するものである。
【0064】また、ACSは、6つの基本色にディスプ
レイ装置の3原色によって再現することのできる色を用
いる点でNCSと異なる。図2に示すように、ディスプ
レイ装置の表示する3原色の赤、緑、青の色度座標の示
す点をR、G、Bとすると、ディスプレイ装置が再現す
る色は、3三角形RGB(21)の内部の色である。こ
の色範囲をACSは対象とする。従って、その範囲はN
CSが対象とするスペクトル軌跡と赤紫線で囲まれた色
範囲(22)よりも狭い。
【0065】しかしながら、基本有彩色はNCSと同様
なユニーク色相を持つ色を当てたい。そこで、それらの
色が色度図のどの位置の色に該当するかを決定する必要
がある。
【0066】スペクトル軌跡と赤紫線の上に存在する4
つのユニーク色の赤、黄、緑、青と白の色度座標の示す
点をそれぞれu_R、u_Y、u_G、u_B、Wとし、各
ユニーク色の点と点Wとを結ぶ線分と三角形RGBの各
底辺との交点をd_R、d_Y、d_G、d_Bとする。こ
の4つの交点の色度座標の示す色は、ユニーク色と同じ
色相(ユニーク色相)を持つディスプレイ装置が再現す
る無数の色の中で、最も彩度(純度とも言う)の高い色
である。
【0067】この4つの色は、ディスプレイ装置の再現
色において、NCSにおける4つのユニーク色と同様な
働きをするために、その名になぞらえて準ユニーク色と
呼んで区別する。この準ユニーク色をACSを構成する
上での基本有彩色とする。
【0068】ところで、ユニーク色は各個人の色知覚に
よって異なるので、準ユニーク色も各個人に従って異な
る。そこで、ACSを構成するためには、各個人の準ユ
ニーク色の色相および白味と黒味の量すなわち主波長と
純度とを測定する必要がある。これによって、ACSの
基本有彩色の色度図上の座標が確定する。
【0069】また、三角形RGB(21)の各底辺上の
色は、ディスプレイ装置が再現する同一の色相を持つ無
数の色の中で最も純度の高い色であり、これがACSの
色相環の最外周を形成する。この色を高純度色と呼ぶこ
とにする。
【0070】図1は、本発明にかかる表色系変換方法に
おける一連の変換手順の概要を表したものである。AC
Sは、各個人の色知覚に適合する表色系を電子的に実現
しようとするものである。そのために、利用者に対して
ディスプレイ装置を用いた3回の心理実験を行う。これ
らの心理実験データに基づいて各個人向きの顕色系AC
Sが構成される。
【0071】まず、ディスプレイ装置の3原色(赤、
緑、黄)から、4有彩色(赤、黄、緑、青)と2色の無
彩色(白、黒)を基本色とする単純な混色系である原始
表色系11を形成する。これがACS構成の出発点とな
る。この作成に際しては、後に説明する混色式/脱混色
式を用いる。この式を用いることによって、以降で述べ
る表色系の数学的な変換で必要となる測色的な情報を得
ることが出来る。実際に原始表色系をディスプレイ画面
に出力する際には、ディスプレイ装置のガンマ補正や人
間の眼の光に対する生理反応(Stevensの法則)を考察
しなければならない。
【0072】原始表色系11が作成された後は、それを
出発点として、数学的な変換により、順次、次に示す3
つの表色系を創り出し、最終的な得られた表色系が顕色
系ACSである。
【0073】まず、原始表色系11を、ユニーク色相変
換12により混色系の第一中間表色系13に変換する。
原始表色系11の4つの基本有彩色は利用者のユニーク
色相に一般に該当しないので、利用者に対してユニーク
色相測定のための心理実験を行う。その実験から準ユニ
ーク色を測定し、原始表色系を準ユニーク色を基本有彩
色とする混色系の第一中間表色系13に数学的に変換す
る。この変換をユニーク色相変換12と呼ぶ。
【0074】次に、第一中間表色系13を混色比率変換
14によって顕色系の第二中間表色系15に変換する。
これは、利用者に対して色の見えに関する心理実験を行
い、この実験を通して、色の見えを定める混色比率変換
関数と呼ぶ関数を決定する。その実験データに基づき第
一中間表色系13を顕色系の第二中間表色系15に数学
的に変換する。この変換を混色比率変換14と呼ぶ。
【0075】さらに、第二中間表色系15を純度変換1
6を用いて顕色系の目的表色系17に変換する。図2に
示した三角形RGB(21)の底辺上に位置する色、す
なわち高純度色について、色の見えに関する心理実験を
利用者に対して行う。この実験を通して、高純度色の白
味と黒味の割合を定める純度変換関数と呼ぶ関数を決定
する。この実験データに基づき、第二中間表色系15に
数学的変換を施し、最終的に目的表色系17と呼ぶ顕色
系ACSを構成する。
【0076】これによって、利用者がディスプレイ装置
の再現色を知覚するときの色空間の範囲が決定する。こ
の空間がACSの色空間であり、それはNCSの色空間
の部分空間となっている。この変換を純度変換と呼ぶ。
【0077】このようにACSは3つの心理実験を介し
て、利用者の色知覚に適合する表色系へと進化する。す
なわち、ACSは、利用者の準ユニーク色を基本有彩色
とし、利用者の感ずる白味と黒味と色味に従った色配置
による表色系となるのである。
【0078】以下、図1に示した一連の変換過程で用い
る混色式/脱混色式、ユニーク色相変換、混色比率変
換、純度変換について順を追って説明する。
【0079】原始表色系はACSを作成するための出発
点になる表色系である。ディスプレイ装置の赤、緑、青
の3原色光がそれぞれ256階調を有するとすると、こ
れら3原色を混色することによって、理論的には最大1
677万色もの超多彩な色を画面に合成することが出来
る。
【0080】しかし、3原色光をそのまま用いるのであ
れぱ、原始表色系を実現するのは、かなり面倒である。
そこで、3原色光から原始表色系の6基本色光(有彩色
4色と無彩色2色の6色)を自助的にしかも体系的に合
成する混色アルゴリズムとして混色式を用いる。混色式
は、3色説と反対説を融合した段階説に基づいて導出し
た。
【0081】図3は、段階説に基づいた色知覚を模式的
に表したものである(J.J. Vos & P.L. Walraven : On
the Derivation of the Foveal Receptor Primarie
s. Vision Research 11, pp799-818 (1971))。その
働きを説明する(池田光男:眼はなにを見ているか−視
覚系の情報処理−、平凡社 (1988))。人間の網膜に
到達した光の長波長、中波長、短波長の成分は、それぞ
れL錐体31、M錐体32、S錐体33でその成分量に
応じて反応し、その信号を後方の視細胞に伝える。
【0082】図中の記号R/G部分の視細胞34はL錐
体31とM錐体32の信号を受け取り、その差が視細胞
34の出力になる。この信号が大脳に伝わり、それが正
であればユニーク赤を、負であればユニーク緑を、反対
色応答的に知覚する。
【0083】記号Y/B部分の視細胞35は、3つの錐
体31、32、33から信号を受け取るが、その中間に
記号Yの視細胞36が関与し、視細胞36はL錐体31
とM錐体32からの信号を基に作り出した信号を記号Y
/B部分の視細胞35に送る。
【0084】記号Y/B部分の視細胞35は、この信号
とS錐体33から直接受けた信号の差を大脳に伝え、そ
れが正ならばユニーク黄を、負ならばユニーク青を、反
対色応答的に知覚する。
【0085】また、明/暗部分の視細胞37は、3つの
錐体31、32、33からの入力信号の和を取って、そ
れを大脳に伝え、その和の大小に応じた光の強弱を感覚
する。物体からの反射光である場合には、その光が弱け
れば黒を、強ければ白を、中間であれば灰色を知覚す
る。
【0086】例えばM錐体32は反応せず、L錐体31
が大きく、S錐33体が小さく反応するような光を網膜
が感応したとすると、段階説ではこのとき、我々が赤味
の強い赤紫色を知覚することを予測するのである。そこ
で、以下、3原色光からどのような色が生成されるのか
を定量的に説明する数理モデルについて説明する。
【0087】V‐W段階説の数理モデルは、図3に示し
た段階説のモデルと等価な働きをする色光回路を設定す
ることにより構築することが出来る。V‐W段階説の
L、M、Sの各錐体を、赤光R、緑光G、青光Bを発す
る発光体と見なし、また神経網を光ケーブルのように色
光を封じ込めて伝える伝送路と考える。
【0088】また、3つの発光体から3色光R、G、B
が流入する部分を、白光Wを合成するW合成体と見な
し、R発光体とG発光体から2色光RとGだけが流入す
る部分を、黄光Yを合成するY合成体と見なす。
【0089】そして、2つの色光合成体がグラスマンの
第3法則を担うとすると、この色光回路は、V‐W段階
説の数理モデルを構築するための枠組みとして利用する
ことが出来る。
【0090】3色光の混色は、等色式を用いると次式で
表される。 c(C)≡r。(R)+g。(G)+b。(B) (2) これは、赤光R、緑光G、青光Bによって色光Cが合成
されることを意味する。等色式(2)の表記法は次の通
りである。≡は式の左右の色光が条件等色されることを
示す記号である。+(プラス)記号は色光を加えること
を示す。なお、等色式で現れる−(マイナス)記号は色
光を取り除くことを示す記号である。また、括弧付きの
大文字は色光(いわゆる等色実験における原刺激)の種
類を表し、小文字r。、g。、b。は3色光R、G、Bの
三刺激値である。
【0091】次に、色光回路における発光体の条件とシ
ミュレータとしてのカラーディスプレイ装置について説
明する。発光体はディスプレイ装置の発光原理と同じ条
件とする。発光体の3色光R、G、Bは、ディスプレイ
装置で定められた赤、緑、青の3原色光であり、それは
色光の加法混色に従う。3原色光の輝度は、ディスプレ
イ装置の電子銃の印加電圧を定めるコンピュータ・プロ
グラムのrgb値と呼ばれる数値(無単位)によってコン
トロールされる。
【0092】その値をr。、g。、b。とすれば、フルカ
ラー(1677万色)の出力機能を持つコンピュータの場
合、それらの数値は0≦r。,g。,b。≦255の範囲(ただ
し整数値)でプログラムの中から自由に設定することが
出来る。以後、rgb値の最大値をL(=255)で表すこと
にする。
【0093】ディスプレイ装置では、3原色光R、G、
Bがともに同一で最大のrgb値(r。=g。=b。=L)で発
光すると白光(光の場合は無色であるが、ディスプレイ
画面では白が知覚されることから、便宜的に白光と呼
ぶ)が生じ、また、色光Bが発光しない状態で、色光
R、Gの2色光がともに同一で値で最大のrgb値(b。=
0,r。=g。=L)で発光すると黄光が生ずる。
【0094】このような混色が可能なようにディスプレ
イ装置の3原色光R、G、Bの測色学的特性(発光体の
蛍光材料の色度座標と最大輝度)が定められている。
【0095】しかし、3原色光の輝度は、電子銃の印加
電圧の変化に対して非線形的な変化をするが、印加電圧
はrgb値の変化に対して比例して変化する。そこで、輝
度とrgb値を比例変化させるために、その両者の間では
ソフトウェア的な補正が行われていると想定する。この
補正を一般にガンマ補正と呼ぶ。
【0096】また、3原色光の輝度を明度係数で割った
値は三刺激値となり、それはrgb値と比例するので、数
学的にはrgb値は三刺激値を代替することが可能であ
る。このようなディスプレイ装置は色光回路のシミュレ
ータとして用いることが出来る。なお、実施の形態では
以後、等色式とrgb値を用いて説明するが、その際の言
い回しの都合上、rgb値を色強度と呼ぶことにする。
【0097】次に、色光回路の数理モデルについて説明
する。色光回路の3つの発光体が赤R、緑G、青Bの3
原色光を発すると、式(2)に従った色光Cが合成され
る。そして、W合成体は各発光体からそれぞれ等しい色
強度のR、G、Bの色光を取り出し、それを基に色強度
w。の白光Wを合成する(池田光男:色彩工学の基礎、
朝倉書店 (1980))。
【0098】この取り出しはグラスマンの第3法則に従
っている。取り出しの過程は等色式で以下のように示さ
れる。 c(C)-w。(R)-w。(G)-w。(B) ≡r。(R)+g。(G)+b。(B)-w。(R)-w。(G)-w。(B) ≡(r。-w。)(R)+(g。-w。)(G)+(b。-w。)(B) (3) 色光の取り出し量(色強度)w。と白光Wの合成は、以
下2つの式で表される。 w。=min(r。,g。,b。) (4) w。(W)≡w。(R)+w。(G)+w。(B) (5) 式(4)のmin関数は最小値を求める関数である。
【0099】等色式(5)を用いて、等色式(3)を整
理すると、色光Cに関して、次の等色式が成立する。 また、Y合成体もW合成体と同じ様な色光の取り出しを
行い、黄光Yを合成する。
【0100】すなわち、それはR発光体とG発光体に接
続していることから、3原色光の残りの成分からそれぞ
れ等しい色強度のR、Gの色光を取り出し、これをもと
に色強度y。の黄光Yを合成すると、色光Cに関して次
の等色式が成立する。 色光の取り出し量(色強度)y。と黄光Yの合成は、以
下の式(8)と等色式(9)で表される。
【0101】 y。=min(r。-w。,g。-w。) (8) y。(Y)≡y。(R)+y。(G) (9) 次に黒光Sという光を考えてみる。
【0102】我々が黒色を知覚するというのは、物理的
に光が視細胞に到達しない場合の色知覚であり、それは
光が存在しないことを意味する。従って、黒光Sという
仮想の色光を仮定し、その色強度をs。として、それを
等色式(7)の右辺に追加しても、色光Cに関する等色
式は成立する。すなわち以下の等色式が成り立つのであ
る。
【0103】 この色光回路を通過した色光Cは、その回路の出口から
白光、黄光および残りの赤光、青光、緑光、および知覚
できない黒光の6混色光として発光すると考えることが
出来る。
【0104】このような混色を保証することが出来るの
は、色光の混色がグラスマンの第3法則に沿っているか
らである。等色式を色光回路に適用することにより、
「色光回路によって発色する色光Cは、それを3原色光
R、G、Bから成る混色光と見なしても、6基本色光
R、Y、G、B、W、Sから成る混色光と解釈しても、
その心理物理学的な特性は全く同一である」という結論
を得ることができる。
【0105】次に、色光回路の数理モデルを基にして3
原色を6基本色に変換する混色式およびその逆変換を行
なう脱混色式の導出について説明する。
【0106】色光Cを構成する6基本色光の混色比率を
r、y、g、b、w、sで表し、その単位を%とする
と、等色式(10)は以下の様に表すことも出来る(等
色式(11)の係数kについては後で示す)。 等色式(10)と(11)の係数同士を比較すると、次
の関係式を得る。
【0107】 kr=r。-w。-y。 (13) ky=y。 (14) kg=g。-w。-y。 (15) kb=b。-w。 (16) kw=w。 (17) ks=s。 (18) kは式(13)〜式(18)の左辺の単位を右辺の単位
に変換する係数(単位変換係数)である。その値は、発
光体の色強度の最大値Lを100%で割った値 k=L/100 (19) である。
【0108】式(4)と式(8)のmin演算を実行す
る。r。≦g。,b。の場合には、式(4)からw。=r。、
式(7)からy。=r。-w。となるので、式(13)と式
(14)からr=y=0が得られる。するとg=(g。-r。)
/k、b=(b。-r。)/k、w=r。/kが得られるので、こ
れらの式と式(12)から g。-r。+b。+ks=100k (20) となる。これをsについて解くと s=(L+r。-g。-b。)/k (21) が得られる。
【0109】式(4)と式(8)のmin演算について、
同様な場合分けを行うと、図4の左部分(41)の式が
得られる。この式を、3原色光の混色によって6基本色
光を合成するという意味から混色式と呼ぶ。図4の右の
部分(42)の式は、上記の解き方の逆を行って得た式
であるので、脱混色式と呼ぶ。図4に示すように、混色
式も脱混色式も4つの色部分(色領域)から構成され
る。
【0110】なお、混色比率の関係が矛盾しないことを
示しておく。例えばr。≦g。,b。なる条件の領域(緑-
青領域:r=y=0)において、緑光が100%の場合、黒
光を含め、他の色光は0%でなければならないが、その
とき、脱混色式からr。=b。=0,g。=Lが得られ、式(2
1)からs=0が成立し、黒光は0%である。混色式か
らb=w=0も成立し、青光も白光も0%である。また、
黒光が100%の場合、他の色光は0%でなければならな
いが、式(21)からs=100になるのは、r。=g。=b。=
0のときである。このとき混色式からg=b=w=0が成
立し、緑光、青光、白光はすべて0%である。
【0111】等色式は線形代数を用いて数学的に表現す
ることが出来る。そこで、これまで述べた等色式におけ
る混色操作をベクトルと行列によって表現する。座標系
O-rgbにおける基底ベクトルをR。、G。、B。の3原色光
(赤、緑、青)とし、位置ベクトルとしての色光C。の
終点の座標を(r。,b。,g。)とすると、等色式(2)
は次の3次元空間のベクトルで表現される。 C。=r。R。+g。G。+b。B。 (22) ただし、ベクトルの係数r。、g。、b。の測色学的な意
味は、等色式(2)の係数の場合と同じである。
【0112】一方、座標系O-rygbwsにおける基底ベク
トルをR、Y、G、B、W、Sの6基本光(赤、黄、
緑、青、白、黒)とし、位置ベクトルとしての色光Cの
終点の座標を(kr,ky,kg,kb,kw,ks)とすると、等色式
(11)は、次の6次元空間のベクトルとして表現する
ことが出来る。 C=k(rR+yY+gG+bB+wW+sS) (23) ただし、ベクトルの係数r、y、g、b、w、sの意味
は、等色式(11)の係数の場合と同じで、kは単位変
換係数である。
【0113】先に得た「基本色光を3色光から6色光に
増やしても心理物理学的特性は同じである」という結論
は、数学的には、3次元空間の色光ベクトルC。を6次
元空間の色光ベクトルCにアフィン写像することを意味
する。そのアフィン写像における両ベクトル間の係数
は、図4の混色式で示される関係にある。その関係を行
列の形式で記述すると k(r,y,g,b,w,s,1)=(r。,g。,b。,1)A (24) である。
【0114】Aはコンピュータグラフィックスでよく使
われる同次座標を用いたアフィン写像による4行7列の
表現行列(1は同次座標値)であり、それは図5に示さ
れるように、式(24)のr。,g。,b。の大小関係によ
って、4つの行列(51)に分けられる。
【0115】同様に、基本色光を6色光から3原色光に
減らした場合には、6次元空間の色光ベクトルCから3
次元空間の色光ベクトルC。に線形写像することを意味
する。その場合の両ベクトル間の係数は、図4の脱混色
式で示される関係にあり、その関係を行列の形式で記述
すると (r。,g。,b。)=k(r,y,g,b,w,s)B (25) である。表現行列Bは6行3列であり、その4つの表現
を図5の下部の4つの行列(52)で示す。
【0116】ここで構築されたV-W段階説の数理モデル
は、3色説における色光を3次元ベクトルで、また、反
対色説における色光を6次元ベクトルで表現している。
そして、このモデルが反対色応答を発現する機構は、数
学的には色光ベクトルの3次元空間から6次元空間への
アフィン写像によってなされると解釈される。
【0117】数理モデルから導出された混色式は、反対
色応答を満足していなければならない。混色式の出力
r、y、g、b、w、sにおいて、これが成立している
ことを説明する。図4の混色式から分かるように、b。
≦g。≦r。なる条件の3原色光の入力のとき、その6基
本色光の出力は、0≦r,0≦y,g=0,b=0となる。これ
は赤味と黄味が感じられるときには、その反対色である
緑味と青味は感じられないというへーリングの反対色応
答を確かに満たしている。このとき生成される色相は赤
-黄の混合色相となり、その混色比率は混色式の出力値
から求めることが出来る。
【0118】同じ条件の3原色入力のときの具体的な例
を示す。3原色光の色強度がr。=L/2、g。=L/3、b。=L/
4のときには、図4の混色式(r=(r。-g。)/k,y=(g。-b。)/
k,w=b。/k,s=(L-r。)/k,k=L/100)を用いると、赤光、黄
光、白光、黒光がそれぞれr=16.66%,y=8.33%、w=2
5%、s=50%の混色光が生成されると計算される。緑
光、青光は0%である。
【0119】また逆に、赤光、黄光、白光、黒光がそれ
ぞれr=40%、y=20%、w=10%、s=30%の混色光は、
表1の脱混色式(r。=k(r+y+w),g。=k(y+w),b。=kw,k=L/10
0)を用いて、3原色光がr。=0.7L、g。=0.3L、b。=
0.1Lの色強度で混色していると計算される。
【0120】b。≦r。≦g。なる条件、r。≦b。,g。な
る条件、g。≦r。,b。なる条件の入力においても、混色
式は同様な反対色応答を満たしており、それらの条件で
生成される色相は、それぞれ黄-緑、緑-青、青-赤の混
合色相である。
【0121】次に、構築された数理モデルでは、アフィ
ン写像の前後において、心理物理学的な特性である色強
度の総和が保存されることを示す。写像前の色強度の総
和c1は、等色式(2)の係数の和c1=r。+g。+b。で表さ
れ、写像後のその総和c2は、等色式(11)の係数の
和c2=k(r+2y+g+b+3w+s)で表される。黄光と
白光の係数yとwに定数2と3が乗じられているのは、
式(8)と式(4)から分かるように、それら色光の色
強度への寄与が、それぞれ他の色光(赤光、緑光、青
光)の2倍および3倍となるためである。
【0122】そこで、b。≦g。≦r。なる条件(赤-黄領
域)の場合、写像後の色強度の総和c2を計算してみ
る。式(11)のkgとkbの値は0であり、また、ksは
黒光に関係することから、それは色強度には寄与せず、
値を0と見なせる。krの値は(r。-g。)であり、ky
の値は(g。-b。)であり、また、kwの値はb。である。
それらの値を用いてc2を計算すると、c2=r。+b。+g。
となり、c2はc1に一致する。それ故、写像前後で色強
度の総和は保存される。他の条件(他の領域)の場合も
同様にして示される。
【0123】次に図1に示す変換過程のうち原始表色系
を第一中間表色系に変換する際に用いるユニーク色相変
換について説明する。原始表色系は、ディスプレイ装置
の生成する赤、黄、緑、青、白、黒の6色光の混色によ
って作成されるので、一般にその基本有彩色が利用者の
ユニーク色相に適合している訳ではない。そこで、原始
表色系を、利用者のユニーク色相に適合する準ユニーク
色をその基本有彩色とする第一中間表色系に変換する必
要がある。その変換原理は次の通りである。
【0124】利用者の原始表色系におけるユニーク色相
を測定し、準ユニーク赤、準ユニーク黄、準ユニーク
緑、準ユニーク青の色相を、図9に示す上部の円環91
(色相環)の値(a1,a2,a3,a4)とする。また、図9の
下部の円環92を第一中間表色系の色相環とする。例え
ば、原始表色系の黄緑領域おける任意の色相をh、第一
中間表色系におけるその領域の色相をh0とすると、h
からh0への変換は、それぞれの円環の円弧の長さに関
する次の比例式から求められる。
【0125】 a3-h:h-a2=3.0-h0:h0-2.0 (102) h0について式を解くと h0=(1.0/(a3-a2))(h-a2)+2.0 (103) となる。
【0126】このような変換を一般化する。色相hは1.
0≦h≦4.999・・・の範囲であり、h=5.0でh=1.0に戻る
ことを考慮して、添字iとjおよび定数nを、まずユニ
ーク赤の色相a1の範囲によって、次にhの範囲によっ
て分けて、以下のように決定する。
【0127】1.0≦a1<2.0のとき、a5=a1+4.0とし、
もしそのとき、1.0≦h<a1ならば、h=hx+4.0とし、そ
うでなければ、h=hxとする。 a1≦hx≦a2 => i=1,j=2,n=1 a2≦hx≦a3 => i=2,j=3,n=2 a3≦hx≦a4 => i=3,j=4,n=3 a4≦hx<a5 => i=4,j=5,n=4 4.0<a1<5.0のとき、a0=a1-4.0とし、もしそのと
き、a1≦h<5.0ならば、hx=h-4.0とし、そうでなけれ
ば、h=hxとする。
【0128】 a0<hx≦a2 => i=0,j=2,n=1 a2≦hx≦a3 => i=2,j=3,n=2 a3≦hx≦a4 => i=3,j=4,n=3 a4≦hx≦a1 => i=4,j=1,n=4 添字iとjが定めるユニーク色相(a1,a2,a3,a4)を次
の式 h0=(1/(aj-ai))(hx-ai)+n (104) に代入すると、変換された色相h0が求められる。
【0129】原始表色系から準ユニーク色を基本色とす
る第一中間表色系への変換は、このような簡単な線形変
換によって行う。このユニーク色相変換により、第一中
間表色系の基本色を利用者の準ユニーク色に適合させる
ことが出来る。
【0130】なお、h0からhへの逆変換は次のように
して求める。まず、式(104)からhxをh0の関数と
して求める。そして、上記のとのようにh0の範囲
によって、添字iとjおよび定数nを決定する。求めた
関数に添字iとjが定める準ユニーク色の色相(a1,a2,
a3,a4)および定数nを代入して、関数の値hxを求め
る。そして、hx>5.0ならばh=hx-4.0、hx<1.0ならばh
=hx+4.0、1.0≦hx<5.0ならばh=hx、としてhの値を求
める。
【0131】次に、ユニーク色相を測定するための実験
方法を具体的に説明する。準ユニーク赤を測定する例を
取り上げる。図10に示すように、コンピュータ・プロ
グラムは、ディスプレイ画面101に原始表色系を用い
て作られた1つの色帯102を表示する。色帯には、左
端に原始表色系の青、右端に同様に黄を配置し、その間
に、青と黄の混色比率が連続的に変化する色スペクトル
102を配置する。それは高純度色から構成されるスペ
クトルであり、その中に被験者の同定すべき準ユニーク
赤が存在するのである。色帯102の右下方にはマウス
操作のためのアイコン103を表示している。
【0132】被験者は色スペクトルを眺め、その中で青
味もなく黄味もないように感じられる色、すなわちユニ
ーク赤と同じ色相である準ユニーク赤の位置をマウスカ
ーソル104を移動させて指定する。これにより、被験
者の知覚する準ユニーク赤の色相を測定する。そして、
この色帯について複数回実験を行い、その色相の平均値
1を求める。これにより、被験者の準ユニーク赤の原
始表色系における測色的な位置が求められる。
【0133】このような測定を他の色帯(赤-黄-緑、黄
-緑-青、緑-青-赤の色帯)についても行い、原始表色系
における準ユニーク黄、準ユニーク緑、準ユニーク青の
色相の平均値a2、a3、a4を求める。準ユニーク色の
色相(a1,a2,a3,a4)が求まると、式(104)を用い
てユニーク色相変換を行うことが出来る。
【0134】次に、混色比率変換について説明する。第
一中間表色系は、その基本有彩色が利用者のユニーク色
相に適合した表色系ではあるが、利用者の知覚する白
味、黒味、色味の割合に従って色配置された表色系には
なっていない。そこで、利用者の色知覚に見合った様式
で色の再配置を行う必要がある。
【0135】第一中間表色系を基にして利用者の色の見
えに適合する第二中間表色系を構成する方法として、ニ
ューラルネットワークを用いる方法が考えられる。混色
系の第一中間表色系から顕色系の第二中間表色系を構成
することは、前者の測色的な色座標を後者の心理的な色
座標に変換する問題と等価である。
【0136】第一中間表色系の測色的色座標(h,w,s)
から第二中間表色系の心理的色座標(h0,w0,s0)へ変換
を行う式をh0=Fh(h,w,s)、w0=Fw(h,w,s)、s0=Fs(h,w,s)
と記述する。Fh、Fw、Fsの関数を求めるには、第一
中間表色系の色空間において複数の代表点(h,w,s)を
選び、その点の心理的に感じられる色座標(h0,w0,s0
をカラーネーミング法によって測定し、ニューラルネッ
トワークを用いて同定する方法が考えられる。
【0137】しかし、この方法では、労力の要する心理
実験が必要とされる。と言うのは、非常に数多くの代表
点に対する実験データを得なければならないからであ
る。このような心理実験を利用者に課すのは、実用的な
立場からすると不適当である。そこで、比較的少ない実
験データであっても、それに基づいて表色系を生成する
ことが出来る数理モデルを構成する。
【0138】これを行うには色の見えに関する心理実験
を必要とする。この色の見えとは、第一中間表色系の6
基本色(4つの準ユニーク色と白と黒)の間で2色を取
り出した2色混合色の白味、黒味、色味の割合について
である。具体的に言えば、図11に示すように、例えば
準ユニーク赤と準ユニーク黄の測色的に2色混色を行っ
て構成した色スペクトル帯111をディスプレイ装置上
に表示し、色スペクトル111に対して、被験者にその
心理的な色の混合割合がいくらかを言わせる。この割合
を心理的色構成比率と呼ぶ。このとき、その比率の決め
方の基準として、心の中で経験的に感じ取ってきた赤、
黄、緑、青の色(ユニーク色)および黒(光の全く存在
しない暗黒)と白(色味と黒味が全く知覚されない色)
を基準色とする。そして例えばある色に対してその基準
色が半分の割合で混ざっていると知覚したならば、当該
色のその基準色に対する心理的色構成比率を0.5とする
のである。
【0139】色スペクトル帯111を構成する2色混色
の測色的な比率を測色的混色比率と呼ぶ。この比率に対
する心理的色構成比率を定める関数を決定するのが、利
用者に課す色の見えに関する心理実験であり、これによ
って心理的色構成比率を測定する。この関数を混色比率
変換関数と呼ぶ。例えば準ユニーク黄と準ユニーク赤に
対する2色間の測色的混色比率をpyr、その混色から再
現される色の色味に対してユニーク赤とユニーク黄の主
観的な混合比率、すなわち心理的色構成比率をp0yr
すれば、混色比率変換関数は p0yr=Fyr(pyr) (105) と定められる。Fyrが赤と黄に関する混色比率変換関数
である。
【0140】ACSを構成するために必要な混色比率変
換関数は、ACSの色空間の表面に存在する2色の組み
合わせ、およびその空間の頂点の白と黒の組み合わせに
基づいて作成される。図12に組み合わせの枠組み(1
21)を示す。その具体的な2色の組み合せは、赤-
黄、黄-緑、緑-青、青-赤、白-黒、赤-白、黄ー白、緑-
白、青-白、赤-黒、黄-黒、緑-黒、青-黒(有彩色は準
ユニーク色)の13組であり、利用者に心理実験を課す
ことにより、これらに対する混色比率変換関数を決定す
る。
【0141】従って、ACSの表色系を創り出す数理モ
デルは、ACSの色空間の表面に関係する色を基礎と
し、混色比率変換関数を介して、その内部の色空間に色
を再配置する働きをする。
【0142】白あるいは黒と準ユニーク色に関する混色
比率変換関数は、測色的混色比率に対してユニーク色を
基準にしたときの心理的色構成比率を定める関数である
ので、その値を実験的に求めた場合には、図13に示す
ように最大値(131)は一般に1.0未満の値である。
【0143】何となれば、測色的混色比率が1.0のとき
関数に最大値を与え、そのときは準ユニーク色のみの10
0%の混色である。しかし、その準ユニーク色は、ユニ
ーク色よりも純度が低く、若干の白味と黒味を含んでい
るからである。従って白味または黒味に対する準ユニー
ク色の純粋な色味の心理的色構成比率は一般には1.0で
はなく、1.0未満として知覚される。
【0144】なお、2色の準ユニーク色同士に関する混
色比率変換関数の最大値は1.0である。なぜならば、そ
の場合の関数は色味に関する2色のユニーク色同士の心
理的色構成比率であるから、1色の準ユニーク色が100
%の混色であれば、そこには準ユニーク色に対応するユ
ニーク色の色味しか含まれていないため、その関数の最
大値は数理モデルの構成原理からして理論的に1.0とな
る。
【0145】混色比率変換の数理モデルの構築において
は、関数は正規化(関数値の最大値が1.0になるよう
に、比例的に基準化すること)されていることが条件で
ある。そこで、心理実験で得られた関数132の最大値
が1.0未満の場合には、すべての関数に対して正規化を
施すものとする。図13の点線133が正規化された混
色比率変換関数である。
【0146】これにより数式の取り扱いの上では、利用
者は準ユニーク色に含まれていると感じる白味と黒味を
仮想的に色味として知覚することになる。なお、最終的
な結果を得るには脱正規化を行う必要があるが、それに
ついては後に、純度変換において説明する。また、基本
色の黒と白に関する混色比率変換関数においても実験条
件によっては、同様な正規化を行う必要があるが、これ
についても後に説明する。
【0147】次に、色三角形における心理的色構成比率
の導出について説明する。第一中間表色系の測色的色座
標(h,w,s)を持つ赤黄領域の混色光を例として取り上
げる。まず次の値(r,y,w,sは準ユニーク色の赤、黄と
白、黒の4色間の測色的混色比率)を定める。
【0148】 n=int(h) (106) uyr=dec(h)=y/(r+y) (107) vsw=s/(w+s) (108) c=r+y (109) d=w+s (110) c+d=1 (111) 式(106)のint関数と式(107)のdec関数はそれ
ぞれ、色相hの整数部分の数nと小数部分の数uを求め
る関数である。なお、2色間の混色比率uやvに付けら
れた2つの文字から構成される1組の添字は、混色され
た2色の種類を示し、後の添字の示す色に対する始めの
添字の示す色の混色比率であることを示す。
【0149】まず最初に第二中間表色系における白味、
黒味、赤黄の色味の心理的色構成比率(w0,s0,c0)を求
める。図7の色三角形WSCにおいて、第一中間表色系
の2色での混色比率を示す測色的指標(vsw,pcw,pcs
を導入し、pcw、pcsを次のように定義する(vswは式
(108)で定義済み)。
【0150】 pcw=c/(c+w) (112) pcs=c/(c+s) (113) vswは式(108)から白と黒における黒、pcwは式
(112)から赤黄混合色と白における赤黄混合色、p
csは式(113)から同じく赤黄混合色と黒における赤
黄混合色、の各測色的混色比率を表している。
【0151】この指標から心理的指標(v0sw,p0cw,
p0cs)を得るには、それぞれ2色混色(赤黄混合色を1
色と数える)における測色的混色比率から心理的色構成
比率へ変換する混色比率変換関数を用意する。この変換
関数をFsw、Fcw、Fcsとすれば、変換された心理的指
標は v0sw=Fsw(vsw) (114) p0cw=Fcw(pcw) (115) p0cs=Fcs(pcs) (116) で求められる。
【0152】ところで、赤から黄までの範囲の赤黄混合
色は無数に存在するので、それらに対する全てのFcw
よびFcs関数を実験に求めることは現実的でない。そこ
で、次のように、白赤混色に対する赤、白黄混色に対す
る黄、黒赤混色に対する赤、黒黄混色に対する黄、のそ
れぞれ2色混色の測色的混色比率を心理的色構成比率に
変換する混色比率変換関数Frw、Fyw、Frs、Fysを導
入して、心理実験から定めることにする。
【0153】そして、これらの関数を用いて、心理的指
標p0cw、p0csは次の近似式から求めることにする。 p0cw=Frw(pcw)(1-uyr)+Fyw(pcw)uyr (117) p0cs=Frs(pcs)(1-uyr)+Fys(pcs)uyr (118) 図14に混色比率変換関数の一覧を示す。この図から分
かるように、例えば(117)式では、色相が赤に近く
なれば、uyrの値は0に近くなるので、関数Frw(14
1)の寄与が大きくなり、色相が黄に近くなれば、uyr
の値は1に近くなるので、関数Frw(142)の寄与は
小さくなる。
【0154】次に、心理的指標(v0sw,p0cw,p0cs)から
心理的色構成比率(w0,s0,c0)を算定する2つの近似的
な方法を示す。
【0155】まず、3交点平均法について説明する。図
15の色三角形WSC(151)において、頂点Cから
以下の式を満たすように底辺WSに線を下ろし、その交
点をPとする。
【0156】 PW/(PS+PW)=v0sw (119) また、同様に頂点Sと頂点Wから、以下の式を満たすよ
うに底辺WC、底辺SCに線を下ろし、その交点をそれ
ぞれQ、Rとする。
【0157】 QW/(QW+QC)=p0cw (120) RS/(RS+RC)=p0cs (121) 線分PCと線分QSの交点における色構成比率を(w01,
s01,c01)とすると、それは、式(119)と式(12
0)から導いた s01/(w01+s01)=v0sw (122) c01/(c01+w01)=p0cw (123) と w01+s01+c01=1 (124) の3元連立方程式の解として求められる。
【0158】同様に、線分QSと線分RWの交点におけ
る色構成比率を(w02,s02,c02)とすると、それは c02/(c02+w02)=p0cw (125) c02/(c02+s02)=p0cs (126) w02+s02+c02=1 (127) の解として、また、線分RWと線分PCの交点における
色構成比率を(w03,s03,c03)とすると、それは c03/(c03+s03)=p0cs (128) s03/(w03+s03)=v0sw (129) w03+s03+c03=1 (130) の解として、それぞれ求められる。
【0159】このことは、利用者は1組の心理的指標を
通して、3つの色構成比率(交点の解)を個別に知覚し
ていることになる。そのとき理想的には、w01=w02=w
03、s01=s02=s03、c01=c02=c03と知覚すべきであ
り、またそれを期待したい。このような色知覚が成り立
つ条件は、当然、図15において点O1、点O2、点O3
が一点で重なることである。このとき、色三角形WSC
にチェバの定理を適用し、その三角形が正三角形である
ことを考慮すると、心理的指標(v0sw,p0cw,p0 cs)の間
では v0sw*p0cw*p0cs =(1-v0sw)(1-p0cw)(1-p0cs) (131) なる関係が成立する。
【0160】しかし、利用者にとってこのような関係を
成立させるような色知覚を行うことは至難の業であり、
実際にはw01≠w02≠w03、s01≠s02≠s03、c01
02≠c03となってしまう。
【0161】そこで、利用者の知覚する色は、図15に
示す色三角形WSCの中の三角形O123の領域内の
点O0に存在すると考える。その色の色構成比率は、w
01とw02とw03、s01とs02とs03、c01とc02とc03
の平均をもって定めるのが妥当である。結局、第二中間
表色系の心理的色構成比率(w0,s0,c0)は、式(12
2)〜式(124)の解、 式(125)〜式(12
7)の解、式(128))〜式(130)の解を用いて w0=(w01+w02+w03)/3 ={(1-v0sw)(1-p0cw)/(1-v0sw*p0cw) +p0cs(1-p0cw)/(p0cs-p0cs*p0cw+p0cw) +(1-v0sw)(1-p0cs)/(1+v0sw*p0cs-p0cs)}/3 (132) s0=(s01+s02+s03)/3 ={v0sw(1-p0cw)/(1-v0sw*p0cw) +p0cw(1-p0cs)/(p0cs-p0cs*p0cw+p0cw) +v0sw(1-p0cs)/(1+v0sw*p0cs-p0cs)}/3 (133) c0=(c01+c02+c03)/3 ={(1-w01-s01)+(1-w02-s02)+(1-w03-s03)}/3 =1-w0-s0 (134) と定めるものとする。この方法は3つの交点(解)の値
を平均する方法から、3交点平均法と呼ぶ。
【0162】次に、色量変化平均法について説明する。
利用者が第一中間表色系の測色的混色比率(w,s,c)の
混色光を、図7に示す色三角形62の底辺WSから眺め
ると、利用者は白味と黒味をそれぞれ w01=(w+s)(1-v0sw) (135) s01=(w+s)v0sw (136) と計算されるような色構成比率で知覚することになる。
【0163】また、式(135)と式(136)から w01+s01=w+s (137) の関係が導かれるので、そのとき色味の色構成比率は c01=1-w01-s01=1-w-s=c (138) と変化がないので、このとき、利用者は白味と黒味の量
だけが変化したと知覚する。
【0164】また、この関係から、式(122)と同じ s01/(w01+s01)=v0sw (139) が成立する。
【0165】このことを幾何学的に説明する。図16の
色三角形WSC(161)の内部に測色的混色比率(w,
s,c)の定める点Oを取り、点Oを通り底辺WSに平行
な線を引き、底辺WCと底辺SCの交点をそれぞれ
1、S1とする。式(137)と式(139)の関係を
満たすような点O1を線分W11上に取る。
【0166】この点は三角形W11Cが正三角形である
ことから必ず存在する。このような訳で、利用者が底辺
WSから知覚した色構成比率(w01,s01,c01)の色は、
線分W11のO1点に存在する色である。
【0167】同様に、色三角形WSCの底辺WCからは w02=(c+w)(1-p0cw) (140) s02=s (141) c02=(c+w)p0cw (142) と計算され、式(140)、式(142)から w02+c02=w+c (143) が得られる。このとき、利用者は白味と色味の量だけが
変化したように知覚する。
【0168】この関係から、式(125)と同じ c02/(c02+w02)=p0cw (144) が得られる。
【0169】図16において式(140)〜式(14
2)で表される色構成比率の色が存在する線分W2
1(これは点Oを通り底辺WCに平行な線分)上の点を
2とすると、その点O2は式(143)と式(144)
の関係を満たす。
【0170】また、底辺SCからは w03=w (145) s03=(c+s)(1-p0cs) (146) c03=(c+s)p0cs (147) と計算され、式(146)、式(147)から s03+c03=c+s (148) が得られる。
【0171】このとき、利用者は黒味と色味の量だけが
変化したように知覚する。この関係から、式(128)
と同じ c03/(c03+s03)=p0cs (149) が得られる。
【0172】図16において式(145)〜式(14
7)で表される色構成比率の色が存在する線分S2
2(これは点Oを通り底辺SCに平行な線)上の点をO3
とすると、その点O3は式(148)と式(149)の
関係を満たす。
【0173】ところで、利用者の3方向からの知覚され
た色構成比率は、一般にw01≠w02≠w03、s01≠s02
≠s03、c01≠c02≠c03となる。そこで、利用者は3
方向からの知覚を平均した色構成比率の色を知覚するも
のとし、そのような色は、図16に示す色三角形WSC
の中の三角形O123の領域内の点O0に存在すると仮
定する。その色の色構成比率(w0,s0,c0)は、w01とw
02とw03、s01とs02とs03、c01とc02とc03の平均
をもって定めるのが妥当である。
【0174】結局、それらの比率は、式(135)〜式
(138)、 式(140)〜式(142)、式(14
5)〜式(147)を用いて w0=(w01+w02+w03)/3 ={(w+s)(1-v0sw)+(w+c)(1-p0cw)+w}/3 (150) s0=(s01+s02+s03)/3 ={(w+s)v0sw+(c+s)(1-p0cs)+s}/3 (151) c0=(c01+c02+c03)/3 ={(w+c)p0cw+(c+s)p0cs+c}/3 (152) から定めるものとする。
【0175】導出された白味、黒味、色味の色構成比率
は w0+s0+c0=w+s+c=1 (153) の関係にあることから、それは第二中間表色系の心理的
色構成比率(w0,s0,c0)とすることが出来る。なお、各
式(150)〜式(152)におけるそれぞれの第3項
のw、s、cを無視して取り除いたものを2で割り、w
0、s0、c0を求めても良い。この方法を、色量の変化
を平均することから、色量変化平均法と呼ぶ。
【0176】3交点平均法と色量変化平均法は、ともに
心理的色構成比率を求める近似的な方法であり、どちら
を用いても本質的にはそれほど違いがない。しかし、数
値実験によると、3交点平均法の方が色量変化平均法よ
りも混色比率変換関数の非線形性の度合いに敏感に反応
して、大きく変化する心理的色構成比率を作り出す。次
に第二中間表色系の心理的色相h0を求める。これは心
理的色構成比率(w0,s0,c0)を得た場合と同様な方法に
よって得られる。というのは、図17(a)に示す赤黄領
域を構成する色相環の4分円(171)は、図17(b)
に示す赤、黄、白黒混合色(灰色)をその頂点に配した
色三角形(172)と等価な数学的性質を持つからであ
る。
【0177】赤、黄、白黒混合色を先に説明した白、
黒、赤黄混合色にそれぞれ対応させると u0yr=Fyr(uyr) (154) qdr=d/(r+d) (155) qdy=d/(y+d) (156) q0dr=Fwr(qdr)(1-vsw)+Fsr(qdr)vsw (157) q0dy=Fwy(qdy)(1-vsw)+Fsy(qdy)vsw (158) となる。
【0178】uyrは式(107)の色相から求められ、
混色比率変換関数Fyrは赤黄混色に対する黄の心理的色
構成比率を定めるものであり、式(157)のq0dr
式(158)のq0dyはそれぞれ、式(117)と式
(118)に対応するものである。
【0179】ここで qrd=1-qdr (159) qyd=1-qdy (160) なる測色的混色比率を導入すると、混色比率変換関数の
間で Fwr(qdr)+Frw(qrd)=1 (161) Fwy(qdy)+Fyw(qyd)=1 (162) Fsr(qdr)+Frs(qrd)=1 (163) Fsy(qdy)+Fys(qyd)=1 (164) なる関係式が成立する。
【0180】従って、式(157)と式(158)は、
色三角形における混色比率変換関数Frw,rs,yw,
ysを用いて、次のように書き換えられる。 q0dr=(1-Frw(qrd))(1-vsw) +(1-Frs(qrd))vsw (165) q0dy=(1-Fyw(qyd))(1-vsw) +(1-Fys(qyd))vsw (166) そこで、利用者が知覚する赤と黄の色構成比率r0、y0
は、先と同様な方法によって求める。
【0181】3交点平均法では r0=(r01+r02+r03)/3 ={(1-u0yr)(1-q0dr)/(1-u0yr*q0dr) +q0dy(1-q0dr)/(q0dy-q0dy*q0dr+q0dr) +(1-u0yr)(1-q0dy)/(1+u0yr*q0dy-q0dy)}/3 (167) y0=(y01+y02+y03)/3 ={u0yr(1-q0dr)/(1-u0yr*q0dr) +q0dr(1-q0dy)/(q0dy-q0dy*q0dr+q0dr) +u0yr(1-q0dy)/(1+u0yr*q0dy-q0dy)}/3 (168) d0=(d01+d02+d03)/3 ={(1-r01-y01)+(1-r02-y02)+(1-r03-y03)}/3 =1-r0-y0 (169) が得られる。また、色量変化平均法では r0={(r+d)(1-q0dr)+(r+y)(1-u0yr)+r}/3 (170) y0={(y+d)(1-q0dy)+(r+y)u0yr+y}/3 (171) d0={(r+d)q0dr+(y+d)q0dy+d}/3 (172) となる。なお、各式(170)〜式(172)における
それぞれの第3項のr、y、dを無視して取り除いたも
のを2で割り、r0、y0、d0を求めても良い。
【0182】第二中間表色系における心理的色相h
0は、いずれも h0=n+y0/(r0+y0) (173) と求められる。ただし、nは式(106)から定められ
る。
【0183】最終的には、式(132)、式(13
3)、式(173)の組、または式(150)、式(1
51)、式(173)の組から第二中間表色系の心理的
色座標(h0,w0,s0)が得られる。なお、式(134)と
式(169)あるいは式(152)と式(172)から
求められるc0とd0の和が1であることは、幾何学的に
容易に証明することが出来る。
【0184】こうして第一中間表色系の測色的色座標
(h,w,s)は、混色比率変換関数を介在して得られた心
理的指標(v0sw,p0cw,p0cs)と(u0yr,q0dr,q0dy)を用い
て、第二中間表色系の心理的色座標(h0,w0,s0)に変換
することが出来る。
【0185】なお、式(132)、式(133)、式
(173)の組、または式(150)、式(151)、
式(173)の組が非線形連立方程式であるために、そ
の数学的な逆変換式を解析的に求めるのは困難である。
しかし、第一中間表色系から第二中間表色系を作成する
手順の逆は、表色系構成のための方法論的な意味での逆
変換(ただし数学的な逆変換ではない)と見なすことが
出来るので、その場合には、前述の式の導出において心
理的色座標と測色的色座標を交換したものが逆変換の式
となる。ただし、混色比率逆変換関数を必要とする。
【0186】次に、混色比率変換関数の決定法について
説明する。第一中間表色系の測色的色座標(h,w,s)を
第二中間表色系の心理的色座標(h0,w0,s0)に変換する
には、混色比率変換関数を必要とする。この関数は、2
色の準ユニーク色(あるいは白または黒)を測色的なあ
る比率で混色した色スペクトルを利用者に提示し、その
色の心理的に感じられる2色間の色構成比率を推定して
もらうことによって決定する。
【0187】混色比率変換関数はy=F(x)で表され、
xが測色的混色比率、yが心理的色構成比率である。例
えば図11のようにx軸を色スペクトルに対応させ、利
用者がx軸上の混色比率aの色をa0の構成比率で色知
覚したとすると、a0が心理的色構成比率となり、関数
Fはa0=F(a)を満たす。x軸の代表点を複数選び、測
色的混色比率に対するy軸の心理的色構成比率を心理実
験から測定すると、数学的補間から混色比率変換関数を
決定することが出来る。
【0188】混色比率変換関数y=F(x)の形状は表色
系の色配置の特質から、滑らかにカーブを描いて変化す
るような単調性を要求する。このような関数として、次
のような多項式で構成されるn-1次関数を用いる。 y=c1+c2x+c3x2+・・・・+cnxn-1 (174) 測定点をn点とし、x、yをそれぞれ測色的混色比率、
心理的色構成比率に関するデータとすると、関数の係数
は、n元連立線形方程式を解くことによって求められ
る。
【0189】測定データの性質によっては、稀に変換関
数の単調性が得られないこともあるので、注意を要す
る。関数が非単調性となった場合には、各点を直線で結
ぶ線形補間法で対処する。xを入力信号、yを教師信号
としたニューラルネットワークを用いて、関数y=F
(x)を決定する方法も考えられるが、これには実行時間
と精度に難点がある。また、スプライン関数を用いる方
法も考えられるが、単調性が満たされないことも多い。
なお、式(174)の入力xと出力yの関係を逆にすれ
ば、混色比率逆変換関数x=F-1(y)を得ることが出来
る。
【0190】次に、混色比率変換関数を決定するための
実験方法を具体的に述べる。図18に示すように、コン
ピュータ・プログラムはディスプレイ画面181の左端
と右端に、第一中間表色系の6基本色(被験者の4つの
準ユニーク色と白と黒)中から2色を混色基準として選
んで提示する。そして、左端と右端の間に混色基準の2
つの色(第一中間表色系における2つの準ユニーク色、
白、黒の中の2色)の中間色から成る複数の色円182
を帯状に配置し、被験者にその中の一つの色円を指示す
る。色円182の下方には応答バー183が、応答バー
183の右下方にはマウス操作のためのアイコン184
が表示される。また応答バー183がマウスカーソル1
85によってポインティングされる。
【0191】中間色とは、第一中間表色系の色相環の最
外周に位置する高純度色、準ユニーク色と白または黒の
混色、あるいは白と黒の混色である。(本来なら色円で
はなく、色スペクトルを配置すべきであるが、被験者に
とっては、複数の色円を帯状に配置する方が色知覚し易
い)。一色帯当たり8個程度の色円を配置し、それにつ
いての心理的色構成比率を測定する。この場合、被験者
が測定する色は13色帯で104色程度となる。
【0192】例えば図18に示すように、被験者がプロ
グラムの指示する赤黄色帯に関して、心の中で感じられ
るユニーク赤とユニーク黄同士の心理的色構成比率につ
いて応答バー183上でマウス操作により応答すると、
プログラムは、測色的混色比率に対する心理的色構成比
率(a0=F(a))を決定する。
【0193】このような測定を1色帯当たり8個程度の
色円で行い、しかも、それを当該色帯について複数回繰
り返し行い、その平均を求める。そして測定が終了した
後、プログラムはその色スペクトルに関する混色比率変
換関数を先に述べた方法によって求める。
【0194】次に、純度変換について説明する。第二中
間表色系の作成に際しては、白と準ユニーク色および黒
と準ユニーク色に関する混色比率変換関数において、準
ユニーク色の中にユニーク色がどのくらい含まれている
かと言う比率(関数値)は一般に1.0未満になることか
ら、その混色比率変換関数には正規化を施した。
【0195】従ってこの操作により、準ユニーク色にお
ける白味と黒味の量はすべて色味(ユニーク色)の量と
見なされてしまうので、それに応じて第二中間表色系に
おける色味の心理的色構成比率は第二中間表色系の全体
において、本来的に知覚されるそれよりも大きな値とな
っている。先に求めた心理的色座標(h0,w0,s0)に対し
て、準ユニーク色で知覚される白味と黒味をもって補正
する必要がある。
【0196】すなわち正規化された混色比率変換関数の
脱正規化を行うのである。白と黒が色度図における純度
に関係するので、この補正を純度変換と呼ぶことにす
る。第二中間表色系にこの純度変換を施すことにより、
目的表色系ACSが作成される。以下にその方法を述べ
る。
【0197】準ユニーク色における純度に関する上記の
補正は、第二中間表色系におけるすべての高純度色に関
係することでもある。そこで、この補正をこれらすべて
に適用することにする。まず純度変換関数と呼ぶ関数を
導入する。これは心理的色相h0における高純度色にお
いて白味と黒味の心理的色構成比率を示す関数であり、
w(h0)とGs(h0)の2つがある。Gwが白味、Gsが黒味
に関する関数であり、前者を白純度変換関数、後者を黒
純度変換関数と呼ぶ。この2つの関数は利用者の心理実
験から決定される。参考のために図19に白純度変換関
数(191)と黒純度変換関数(192)の様子を示
す。
【0198】まず心理的色構成比率の補正について説明
する。心理的色相h0における高純度色の本来的な心理
的色構成比率(w00_p,s00_p,c00_p)は、2つの純度変
換関数を用いて w00_p=Gw(h0) (175) s00_p=Gs(h0) (176) c00_p=1-Gw(h0)-Gs(h0) (177) と補正される。
【0199】図20に示すように、実線(201)は利
用者が知覚した本来的な混色比率変換関数であり、点線
(202)が正規化された混色比率変換関数である。従
って、先に求めた心理的色構成比率(w0,s0,c0)におけ
る色味の比率c0と知覚される本来的な色味の比率c00
の間では、図から明らかなように c00:c0=c00_p:1 (178) の比例式が成立する。
【0200】従って、この式から高純度色の色味の本来
的な色構成比率c00は、補正の結果 c00=c0*c00_p (179) として得られる。
【0201】また、色味の比率c0の値の中には白味と
黒味の比率の合計がc0-c00の値だけ多く加算されて
(含まれて)いる。そこで、この値を白味と黒味のw0
とs0に案分すればよいが、それは同じ心理的色相h0
の高純度色において知覚された白味と黒味の色構成比率
00_pとs00_pの比に比例する。
【0202】すると、一般の色の白味と色味について知
覚されるべき本来的な心理的色構成比率w00とs00は、
補正の結果 w00=w0+(c0-c00)w00_p/(w00_h+s00_p) (180) s00=s0+(c0-c00)s00_p/(w00_h+s00_p) (181) として得られる。なお、式(180)と式(181)か
ら、当然のことながら w00+s00+c00=w0+s0+c0=1 (182) が成り立つ。
【0203】色相についての補正は、前述の心理的色構
成比率の場合と同様に考えればよい。例として赤黄領域
に関する色相について示す。赤と黄の準ユニーク色に含
まれると知覚される色味の本来的な心理的色構成比率
は、式(177)を用いた補正の結果 r00_p=1-Gw(1.0)-Gs(1.0) (183) y00_p=1-Gw(2.0)-Gs(2.0) (184) として得られる。
【0204】先に求めた準ユニーク赤の色相における色
味の比率r0とその色相のもとで本来的に知覚される色
味の比率r00の間では、式(178)と同様な比例式 r00:r0=r00_p:1 (185) が成立し、また、準ユニーク黄の色相におけるy0とy
00についても y00:y0=y00_p:1 (186) が成立する。
【0205】式(185)、式(186)をr00,y00
について解くと r00=r00_p*r0 (187) y00=y00_p*y0 (188) である。
【0206】また、心理的色相h0は式(106)、式
(107)から n=int(h0) (189) u0yr=dec(h0)=y0/(r0+y0) (190) であるので、y0は式(190)から y0=r0*u0yr/(1-u0yr) (191) である。
【0207】ところで、本来的に知覚される心理的色相
00は h00=n+y00/(r00+y00) (192) で求められるので、式(192)に式(187)、式
(188)、式(191)を代入すると h00=n+u0yr*y00_p/((1-u0yr)r00_p+u0yr*y00_p) (193) が得られる。
【0208】こうして第二中間表色系の心理的色座標
(h0,w0,s0)は、目的表色系ACSの本来的な心理的色
座標(h00,w00,s00)に変換することが出来る。なお、
純度変換の逆変換は、ここで述べた方法を逆の手順を行
う。
【0209】次に基本無彩色の補正について説明する。
心理実験の条件によっては、基準色の白と黒に関する混
色比率変換関数Fswの最大値が1.0よりも小さい値、最
小値が0.0よりも大きい値として得られることもある。
このようなことが生じるのは、基準色の黒に対して、デ
ィスプレイ画面に光が当たって、本来の黒が多少白味を
帯びて知覚される場合であり、また、基準色の白に対し
て、ディスプレイ装置の強度不足で、本来の白が若干灰
色がかって知覚される場合である。
【0210】この場合には、混色比率変換関数の値0.5
を基準として、黒が100%含まれていると知覚されるとき
の関数値を1.0とするように、また白が100%含まれてい
ると知覚されるときの関数値を0.0とするように、それ
ぞれあらかじめ正規化を行って、第二中間表色系を作成
しておく。
【0211】このような正規化が第二中間表色系作成の
時点に行われている場合には、補正のための変換を行う
必要があり、これを特に白黒純度変換と呼ぶことにす
る。正規化される前の混色比率変換関数の最大値を
w、最小値をksとする。この値は先の心理実験から得
られる。また、先の純度変換を施して得られた本来的な
心理的色構成比率が(w00,s00,c00)である色におい
て、黒味と白味の比率が同じ場合、その色の白味(また
は黒味)の比率をtwsとすると、それは tws=(1-c00)/2 (194) で表される。
【0212】w00≧s00のとき、最終的に補正され知覚さ
れる白味の心理的色構成比率をw000とすると、w00とw
000に関して比例式 kw-w000:1-w00=w000-tws:w00-tws (195) が成立する。
【0213】これをw000について解くと w000=((kw-tws)w00+(1-kw)tws)/(1-tws) (196) s000=1-w000-c00 (197) c000=c00 (198) である。
【0214】また、s00≧w00のとき、最終的に補正され
知覚される黒味の心理的色構成比率をs000とすると、s
00とs000に関して比例式 ks-s00:1-s0=s00-tws:s00-tws (199) が成立する。これをs000について解くと s000=((ks-tws)s00+(1-ks)tws)/(1-tws) (200) w000=1-s000-c00 (201) c000=c00 (202) である。
【0215】このように、基準色の黒と白に関する混色
比率変換関数を正規化した場合には、前項で述べた純度
変換の後に継続して白黒純度変換を行う。本来的な心理
的色構成比率(w00,s00,c00)は、黒白純度変換によっ
て目的表色系ACSの最終的に知覚される心理的色構成
比率(w000,s000,c000)に変換される。なお、白黒純度
変換の逆変換は、式(195)をw00について、また式
(199)をs00について解けばよい。
【0216】ここで述べた2つの純度変換が行われる
と、図21(a)、図21(b)に示すように、ディスプレイ
装置が再現する色(斜線を施した部分211、212)
は、利用者が知覚することが出来る色空間(213、2
14)よりも狭い範囲となる。この範囲は、心理実験に
よって定まる準ユニーク色、混色比率変換関数、純度変
換関数の影響を受けるので、ディスプレイ装置に基づく
顕色系ACSの色表現範囲は、個々人の色知覚に依存す
るのである。
【0217】次に、純度変換関数を決定する方法を具体
的に示す。図22に示すように、コンピュータ・プログ
ラムはディスプレイ画面221の左端と右端の色円22
2、223に、第二中間表色系の4基本有彩色(準ユニ
ーク色)の中の2色を選んでそれを提示する。測定する
色帯は赤-黄、黄-緑、緑-青、青-赤の4種である。そし
て、左端と右端の間に2色の中間色、すなわち色相環の
最外周に位置する高純度色から成る複数の色円224を
帯状に配置し、被験者にその中の一つの色円を指示す
る。
【0218】一色帯当たり8個程度の色円を配置し、そ
れについての白味と黒味を測定する。この場合、測定対
象の色帯は赤-黄、黄-緑、緑-青、青-赤の4色帯である
ので、被験者が測定する色は32色程度となる。
【0219】例えば図22に示すように、被験者はプロ
グラムの指示する赤-黄色帯の高純度色に関して、その
色に含まれていると感じられる白味と黒味の本来的な心
理的色構成比率について該当する応答バー225、22
6上でマウス操作によりマウスカーソル227を移動さ
せて応答する。応答バー226の右下方に表示されてい
るマウス操作用アイコン228によりマウスカーソル2
27で応答した状態を確認する。
【0220】このような測定を1色帯あたり8色円程度
行い、しかも、それを当該色帯について複数回繰り返し
て行い、その平均を求める。そして、測定が終了した
後、プログラムは、その色スペクトルに関する白純度変
換関数と黒純度変換関数を求める。なお、純度変換関数
については単調性は要求されない。
【0221】最後に、ACSの構成の具体例として、実
際に作成した心理実験用のプログラムの機能と、それを
用いて測定した結果を示す。そして、構成されたACS
に基づく電子色見本の一例を示す。
【0222】ユニーク色相測定プログラムの機能の詳細
は以下の通りである。被験者がユニーク色相を知覚し
易いように、色スペクトルの特定部分を拡大して比較す
る機能を持つ。色帯に白色の極細の格子を縦に数十本
設定する機能を持つ。白格子を入れると、色スペクトル
の種類によっては、被験者が色を感覚し判別し易くな
る。この理由は、白格子の存在が連続して変化する色帯
に縁辺対比の効果を起こし、格子の相隣り合う色の色差
を被験者に強く感覚させるものと思われる。
【0223】準ユニーク色となると思われる付近がい
つも画面の定位置に現れないように、乱数を用いて、ユ
ニーク色相付近の位置を測定毎に変える機能を持つ。
被験者はマウス操作で応答するだけであり、誤応答など
の訂正作業を含めて、すべての実験の進行はプログラム
が自動的に管理する。最終的な被験者固有の準ユニー
ク色に関する測色学的データを自動的に作成する。提
示する刺激光がより表面色モードとして感覚されるよう
に、背景色は明るい灰色とする。
【0224】混色比率変換関数決定プログラムの機能の
詳細は以下の通りである。被験者が混色比率を決定し
やすいように、色帯を構成する色円の数を自由に定める
機能を持つ。提示色数が増加し過ぎるとかえって色知覚
を混乱させて決定の妨げになる場合もあるからである。
通常は1色帯当たり8色円を提示する。個々の提示色
に応答した後、改めて全体の色円を眺めながら訂正のた
めの再応答を行うことが出来る。
【0225】被験者はマウス操作で応答するだけであ
り、誤応答などの訂正作業を含めて、すべての実験の進
行はプログラムが自動的に管理する。最終的な被験者
固有の混色比率変換関数を自動的に作成する。提示す
る刺激光がより表面色モードに感じられるように、背景
色は明るい灰色とする。
【0226】次に、電子色見本作成プログラムについて
説明する。
【0227】図1では、ディスプレイ装置の3原色光
を、目的表色系に変換する際の流れを示した。しかし、
電子色見本作成のための情報は、図23に示すような逆
方向の論理的な経路も考えられる。すなわち、目的表色
系17を、純度逆変換16aして第二中間表色系15に
変換し、これを混色比率逆変換14aにより第一中間表
色系13に変換し、さらにユニーク色相逆変換12aで
原始表色系11に変換する。そして脱混色式によりディ
スプレイ装置の3原色の測色的混色により色表示する。
【0228】ここでは、理論展開の容易さから、図1に
示した流れに沿って説明を行ってきたが、図1と図23
に示す流れは、それぞれ正/逆の変換関係にある。実際
にACSに基づく電子色見本を実現するプログラムを作
成するには、図23に示した流れに沿うことが望まし
く、電子色見本作成プログラムは、それに沿って作成し
た。
【0229】このプログラムは、ACSの色立体の任
意の断面(色相環や色三角形)を表示する機能、心理
学的色座標(h,w,s)によって、特定の色を色立体から
検索して表示する機能、検索された色を原始表色系の
基準色と比較して表示する機能、検索された色に対応
するCIE-xyY値を計算によって求め、それを表示
する機能などを持っている。の機能によって、利用者
同士の色の感じ方の違いを知ることが出来る。また、
の機能によって、利用者固有のACSを普遍的なCIE
表色系に対応させることが出来る。その結果、作成され
た電子色見本の客観性を保つことが出来る。
【0230】構成されたACSが表現する心理的色構成
比率の様子は、CIE-xy色度図を模式的に示すと、
図24のようになる。図はACS構成の過程で得られた
測色的データを用いて計算されたものでる。図中の三角
形の領域251がACSの包含する色範囲であり、4つ
の○印252、253、254、255は利用者の準ユ
ニーク色の位置を示している。
【0231】三角形の中心部から各底辺に対して引かれ
た曲線、および中心を巡る等高線のように引かれた曲線
が、利用者の心理的色構成比率の10%毎の変化を示して
いる。従ってこの曲線の形状から、利用者間の色知覚を
比較することが出来る。
【0232】なお、電子色見本は心理実験に基づき作成
されるので、結果が正しいとか誤っているというもので
はない。利用者の色知覚に適合しているかどうかが重要
である。
【0233】ACSの応用であるが、美術教育の現場で
役立つものと思われる。ACSは心理実験を通して、各
自の色知覚に合った電子色見本を作成することが出来る
ものであり、そこに表色系としての最大の特長がある。
それ故、中学生などの若い人たちがACSの考え方に触
れ、心理実験を通して各自の電子色見本の作成を直接体
験することは、本来抽象的な概念である色彩の構成原理
をより深く理解させる機会を与えることになると思われ
る。
【0234】
【発明の効果】以上説明したように本発明にかかる表色
系変換方法によれば、被験者に施した簡易な心理実験の
結果を基にして、ディスプレイ装置の発光する3原色の
混色系で表される色を被験者の色知覚に適合した顕色系
上で表された色に変換することができる。このように被
験者に、膨大かつ困難な心理実験を課す必要がないの
で、利用者個人の色知覚に適合した表色系に基づく色表
示をコンピュータのディスプレイ画面上において容易に
実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る表色系変換方法に
おける一連の変換過程を示す説明図である。
【図2】ディスプレイ装置上に表示できる色範囲および
目的表色系(ACS)における基本色を色度図として示
した説明図である。
【図3】段階説に基づいた色知覚を模式的に表した説明
図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係る表色系変換方法で
用いる脱混色式を示す説明図である。
【図5】本発明の一実施の形態に係る表色系変換方法で
用いる脱混色式を行列形式で表した説明図である。
【図6】NCSの6基本色のうち有彩色についての色配
置を表す色相環を示す説明図である。
【図7】色相を固定し彩度と明度をパラメータとして表
した色正三角形を示す説明図である。
【図8】6つの基本色をそれぞれ座標軸にとった際の色
立体を表した説明図である。
【図9】原始表色系から第一中間表色系への変換を模式
的に示した説明図である。
【図10】準ユニーク色の測定実験においてディスプレ
イ装置に表示される表示画面の一例を示す説明図であ
る。
【図11】混色比率変換関数の一例を表した説明図であ
る。
【図12】混色比率変換関数を形成するための色の組み
合せの枠組みを示す説明図である。
【図13】混色比率変換関数を正規化した様子の一例を
示す説明図である。
【図14】2つの混色比率関数に重み付を施し加えるこ
とにより任意の色相についての混色比率関数を求める様
子を模式的に示した説明図である。
【図15】3交点平均法を模式的に示した説明図であ
る。
【図16】色量変化平均法を模式的に示した説明図であ
る。
【図17】色相環の色三角形への変換を模式的に示した
説明図である。
【図18】混色比率変換関数を求めるための心理実験に
おいてディスプレイ装置に表示される表示画面の一例を
示す説明図である。
【図19】純度変換関数の一例を示す説明図である。
【図20】脱正規化の方法の一例を示す説明図である。
【図21】ACSの色表現範囲を示す説明図である。
【図22】純度変換関数を求めるための心理実験におい
てディスプレイ装置に表示される表示画面の一例を示す
説明図である。
【図23】目的表色系からディスプレイ装置の発光する
3原色の測色的混色比率で色を特定する表色系への一連
の変換過程を示す説明図である。
【図24】色度図における心理的色構成比率の様子を示
す説明図である。
【符号の説明】
11…原始表色系 12…ユニーク色相変換 12a…ユニーク色相逆変換 13…第一中間表色系 14…混色比率変換関数 14a…混色比率逆変換関数 15…第二中間表色系 16…純度変換 16a…純度逆変換 17…目的表色系(ACS) 21…ディスプレイ装置の色範囲 22…NCSが対象とするスペクトル軌跡と赤紫線で囲
まれた色範囲 31…L錐体 32…M錐体 33…S錐体 34…R/G部分の視細胞 35…Y/B部分の視細胞 36…Y部分の視細胞 37…明/暗部分の視細胞27 41…混色式 42…脱混色式 51…混色式に対応する行列 52…脱混色式に対応する行列 61、171…色相環 62、151、161、172…色三角形 63…色立体 91…原始表色系における色相環 92…第一中間表色系における色相環 101、181、221…ディスプレイ装置の表示画面 102、111…色スペクトル帯 103、184、228…アイコン 104、185、227…マウスカーソル 121…混色比率変換関数を形成するための色の組み合
せの枠組み 131…正規化前の混色比率変換関数 132…正規化後の混色比率変換関数 141…赤白2色の混色比率変換関数 142…黄白2色の混色比率変換関数 182、222、223、224…色円 183、225、226…応答バー 191…白純度変換関数 192…黒純度変換関数 201…利用者が知覚した本来的な混色比率変換関数 202…正規化された混色比率変換関数 211…色三角形内におけるACSの色表現範囲 212…色相環内におけるACSの色表現範囲 213…利用者が知覚することが出来る色三角形 214…利用者が知覚することが出来る色相環 231…黄黒色帯における混色比率変換関数 251…ACSの包含する色範囲 252、253、254、255…利用者の準ユニーク
色の位置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H04N 1/46 H04N 1/40 D 9/67 1/46 Z

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数の基本色の測色的混色比率によって任
    意の色を特定する表色系を、他の表色系に変換する表色
    系変換方法において、 ディスプレイ装置の発光する赤、緑、青の3原色を用い
    て、赤、黄、緑、青の4つの基本有彩色と白および黒の
    2つの無彩色からなる6つの基本色を基準にそれらを混
    ぜ合せた測色的混色比率を用いて任意の色を特定する原
    始表色系を作成し、 前記ディスプレイ装置の表示可能な色のうち被験者が
    赤、黄、緑、青として知覚するユニーク赤、ユニーク
    黄、ユニーク緑およびユニーク青と色相が同一であって
    彩度の最も高い4種の準ユニーク色についてそれらの色
    相の前記原始表色系における測色的な混色比率として測
    定し、 前記測定の結果を基にして前記原始表色系を前記4種の
    準ユニーク色と前記ディスプレイ装置の表示可能な白お
    よび黒とからなる6基本色の測色的混色比率を用いて任
    意の色を特定する第一中間表色系に変換し、 前記第一中間表色系において任意の測色的な混色比率で
    特定される色について前記被験者の色知覚に適合する4
    ユニーク色と白および黒を基準に該被験者が知覚するそ
    れら6色の心理的な色構成比率を測定し、 前記準ユニーク色とディスプレイ装置の表示可能な白お
    よび黒の6基本色が前記被験者の色知覚に適合した4ユ
    ニーク色と白および黒にそれぞれ対応するように前記測
    定で求めた色構成比率を正規化し、 前記正規化した後の色構成比率を基にして、前記第一中
    間表色系を前記準ユニーク色と前記ディスプレイ装置で
    表示可能な白および黒とを6基本色とし、かつ前記正規
    化した後の色構成比率に対応した心理的な混合によって
    任意の色を特定する第二中間表色系に変換し、 前記4種の準ユニーク色のうちの2色を混色した色につ
    いて前記被験者が該色に含まれていると知覚する白味お
    よび黒味の混合割合を測定し、 前記測定の結果に基づいて、前記第二中間表色系におけ
    る色構成比率に含まれる前記正規化の影響を補正し前記
    第二中間表色系を前記被験者の色知覚に適合した4ユニ
    ーク色と白および黒の心理的な色混合によって色を特定
    する目的表色系に変換することを特徴とする表色系変換
    方法。
  2. 【請求項2】複数の基本色の心理的色構成比率によって
    任意の色を特定する表色系を、他の表色系に変換する表
    色系変換方法において、 ディスプレイ装置の発光する赤、緑、青の3原色を用い
    て、赤、黄、緑、青の4つの基本有彩色と白および黒の
    2つの無彩色からなる6つの基本色を基準にそれらを混
    ぜ合せた測色的混色比率を用いて任意の色を特定する原
    始表色系を作成し、前記ディスプレイ装置の表示可能な
    色のうち被験者が赤、黄、緑、青として知覚するユニー
    ク赤、ユニーク黄、ユニーク緑およびユニーク青と色相
    が同一であって彩度の最も高い4種の準ユニーク色につ
    いてそれらの色相の前記原始表色系における測色的な混
    色比率として測定し、前記測定の結果を基にして前記原
    始表色系を前記4種の準ユニーク色と前記ディスプレイ
    装置の表示可能な白および黒とからなる6基本色の測色
    的混色比率を用いて任意の色を特定する第一中間表色系
    に変換し、前記第一中間表色系において任意の測色的な
    混色比率で特定される色について前記被験者の色知覚に
    適合する4ユニーク色と白および黒を基準に該被験者が
    知覚するそれら6色の心理的な色構成比率を測定し、前
    記準ユニーク色とディスプレイ装置の表示可能な白およ
    び黒の6基本色が前記被験者の色知覚に適合した4ユニ
    ーク色と白および黒にそれぞれ対応するように前記測定
    で求めた色構成比率を正規化し、前記正規化した後の色
    構成比率を基にして、前記第一中間表色系を前記準ユニ
    ーク色と前記ディスプレイ装置で表示可能な白および黒
    とを6基本色とし、かつ前記正規化した後の色構成比率
    に対応した心理的な混合によって任意の色を特定する第
    二中間表色系に変換し、前記4種の準ユニーク色のうち
    の2色を混色した色について前記被験者が該色に含まれ
    ていると知覚する白味および黒味の混合割合を測定し、
    前記測定の結果に基づいて、前記第二中間表色系におけ
    る色構成比率に含まれる前記正規化の影響を補正し前記
    第二中間表色系を前記被験者の色知覚に適合した4ユニ
    ーク色と白および黒の心理的な色混合によって色を特定
    する目的表色系に変換するこれら一連の過程を逆方向に
    行なうことにより、前記目的表色系を、前記ディスプレ
    イ装置の発光する3原色を用いて形成することを特徴と
    する表色系変換方法。
  3. 【請求項3】複数の基本色の測色的混色比率によって任
    意の色を特定する表色系を、他の表色系に変換する表色
    系変換方法において、 白味、黒味、色味の3要素、あるいは赤、黄、緑、青の
    4つの基本有彩色のうち反対色でない2色と白黒味から
    なる3要素のいずれかの3要素のうち、任意の2要素を
    測色的な混色比率で混色した複数の色について被験者の
    知覚する前記2要素の心理的な色構成比率を測定し、 該測定の結果を基にして、前記2要素の測色的な混色比
    率、すなわち測色的指標を独立変数とし、前記被験者の
    知覚する前記2要素の心理的な色構成比率、すなわち心
    理的指標を従属変数とする混色比率変換関数を前記3要
    素のうちの2要素で形成される3つの組み合せについて
    それぞれ作成し、 任意の色について前記3要素の測色的指標を独立変数の
    値として前記3つの混色比率変換関数に代入して得られ
    た心理的指標の値を用いて作られた3つの式のうちの2
    つと3要素の和が1となる式を連立させた1次3元連立
    方程式を作り、それらを解くことで色構成比率を求める
    ことを前記心理的指標を用いて作った3つの式うちの2
    つと3要素の和が1となる式との各組みについて行い3
    組みの色構成比率を求め、 これら3組みの心理的な色構成比率において対応する要
    素同士の平均を求め、 前記平均後の3要素を、前記被験者の知覚する前記3要
    素の心理的な色構成比率として近似することを特徴とす
    る表色系変換方法。
  4. 【請求項4】複数の基本色の測色的混色比率によって任
    意の色を特定する表色系を、他の表色系に変換する表色
    系変換方法において、 白味、黒味、色味の3要素、あるいは赤、黄、緑、青の
    4つの基本有彩色のうち反対色でない2色と白黒味から
    なる3要素のいずれかの3要素のうち、任意の2要素を
    測色的な混色比率で混色した複数の色について被験者の
    知覚する前記2要素の心理的な色構成比率を測定し、 該測定の結果を基にして、前記2要素の測色的な混色比
    率、すなわち測色的指標を独立変数とし、前記被験者の
    知覚する前記2要素の心理的な色構成比率、すなわち心
    理的指標を従属変数とする混色比率変換関数を前記3要
    素のうちの2要素で形成される3つの組み合せについて
    それぞれ作成し、 任意の色について前記3要素の測色的指標を独立変数の
    値として前記3つの混色比率変換関数に代入して心理的
    指標の値を求め、 任意の色について前記3要素のうちの1つの要素を測色
    的な混色比率のまま固定し、残り2つの要素の測色的な
    混色比率をこれら2要素の組みに対応する心理的指標か
    ら得ることで前記3要素からなる心理的色構成比率を求
    めることを、前記3要素の各要素をそれぞれ前記測色的
    な混色比率のまま固定する要素として行って3組みの色
    構成比率を求め、 これら3組みの心理的な色構成比率において対応する要
    素同士の平均を求め、前記平均後の3要素を、前記被験
    者の知覚する前記3要素の心理的な色構成比率として近
    似することを特徴とする表色系変換方法。
  5. 【請求項5】白味と色味の測色的な混色比率を心理的な
    色構成比率に変換する変換関数は、 前記色味を構成する2つの基本有彩色のうちの一方と白
    色との測色的な混色比率を心理的な色構成比率に変換す
    る第1の純度変換関数と、前記2つの基本有彩色のうち
    の他方と白色との測色的な混色比率を心理的な色構成比
    率に変換する第2の純度変換関数とを前記色味の色相を
    構成する2つの基本有彩色の混色比率に応じた重み付け
    を施して加えることによって求め、 黒味と色味の測色的な混色比率を心理的な色構成比率に
    変換する変換関数は、前記色味を構成する2つの基本有
    彩色のうちの一方と黒色との測色的な混色比率を心理的
    な色構成比率に変換する第3の純度変換関数と、前記2
    つの基本有彩色のうちの他方と黒色との測色的な混色比
    率を心理的な色構成比率に変換する第4の純度変換関数
    とを前記色味の色相を構成する2つの基本有彩色の混色
    比率に応じた重み付けを施して加えることによって求め
    ることを特徴とする請求項3、または4記載の表色系変
    換方法。
  6. 【請求項6】複数の基本色の測色的混色比率によって任
    意の色を特定する表色系を、他の表色系に変換する表色
    系変換方法において、 ディスプレイ装置の表示可能な色のうち被験者が赤、
    黄、緑、青として知覚するユニーク赤、ユニーク黄、ユ
    ニーク緑およびユニーク青と色相が同一であって彩度の
    最も高い4種の準ユニーク色と前記ディスプレイ装置の
    表示可能な白および黒とからなる6基本色の測色的混色
    比率を用いて任意の色を特定する第一中間表色系上で任
    意の測色的な混色比率によって特定される色について前
    記被験者の色知覚に適合する4ユニーク色と白および黒
    を基準に該被験者が知覚するそれら6色の心理的な色構
    成比率を測定し、 前記準ユニーク色とディスプレイ装置の表示可能な白お
    よび黒の6基本色が前記被験者の色知覚に適合した4ユ
    ニーク色と白および黒にそれぞれ対応するように前記測
    定で求めた色構成比率を正規化し、 前記正規化した後の色構成比率を基にして、前記第一中
    間表色系を前記準ユニーク色と前記ディスプレイ装置で
    表示可能な白および黒とを6基本色とし、かつ前記正規
    化した後の色構成比率に対応した心理的な混合によって
    任意の色を特定する第二中間表色系に変換し、 前記4種の準ユニーク色のうちの2色を混色した色につ
    いて前記被験者が該色に含まれていると知覚する白味お
    よび黒味の混合割合を測定し、 前記測定の結果に基づいて、前記第二中間表色系におけ
    る色構成比率に含まれる前記正規化の影響を補正し前記
    第二中間表色系を前記被験者の色知覚に適合した4ユニ
    ーク色と白および黒の心理的な色混合によって色を特定
    する目的表色系に変換することを特徴とする表色系変換
    方法。
  7. 【請求項7】ディスプレイ装置の発光する赤、緑、青の
    3原色を用いて、赤、黄、緑、青の4つの基本有彩色と
    白および黒の2つの無彩色からなる6つの基本色を基準
    にそれらを混ぜ合せた測色的混色比率を用いて任意の色
    を特定する原始表色系を作成するに際し、 ディスプレイ装置の発光する赤、緑、青が等しく合成し
    たものを白としかつ赤、緑、青のうちの最小の色強度を
    白の色強度とし、 黄は赤と緑の合成により構成されかつ、赤の色強度から
    白の色強度を差し引いたものを仮の赤の色強度とし緑の
    色強度から白の色強度を差し引いたものを仮の緑の色強
    度としたときこれらのうちの小さい方を黄の色強度と
    し、 前記仮の赤の色強度から黄の色強度を差し引いたものを
    赤の色強度とし、 前記仮の緑の色強度から黄の色強度を差し引いたものを
    緑の色強度とし、 ディスプレイ装置の発光する青の色強度から前記白の色
    強度を差し引いたものを青の色強度とし、 青の色強度が最小で赤の色強度が最大の場合には、ディ
    スプレイ装置の発光する最大色強度から赤の色強度を差
    し引いたものを黒の色強度とし、 青の色強度が最小で緑の色強度が最大の場合には、ディ
    スプレイ装置の発光する最大色強度から緑の色強度を差
    し引いたものを黒の色強度とし、 赤の色強度が最小の場合には、ディスプレイ装置の発光
    する最大色強度に赤の色強度を加え、これから緑と青の
    色強度を差し引いたものを黒の色強度とし、 緑の色強度が最小の場合には、ディスプレイ装置の発光
    する最大色強度に緑の色強度を加え、これから赤と青の
    色強度を差し引いたものを黒の色強度とし、ディスプレ
    イ装置における3原色の色強度を用いて原始表色系を作
    成することを特徴とする請求項1または2記載の表色系
    変換方法。
  8. 【請求項8】原始表色系の4つの基本有彩色のうち赤と
    黄、黄と緑、緑と青、青と赤の各組み合せにおける2つ
    の基本有彩色を混色した所定の色の測色的な混色比率
    が、前記所定の色を前記第一中間表色系において対応す
    る2つの準ユニーク色を混色した際の測色的な混色比率
    に等しくなる様にして、前記原始表色系を前記第一中間
    表色系に変換することを特徴とする請求項1または2記
    載の表色系変換方法。
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