JPH1079640A - 圧電デバイス、その製造方法及び移動体通信装置 - Google Patents

圧電デバイス、その製造方法及び移動体通信装置

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JPH1079640A
JPH1079640A JP18289597A JP18289597A JPH1079640A JP H1079640 A JPH1079640 A JP H1079640A JP 18289597 A JP18289597 A JP 18289597A JP 18289597 A JP18289597 A JP 18289597A JP H1079640 A JPH1079640 A JP H1079640A
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JP
Japan
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electrode
piezoelectric
reflection
piezoelectric substrate
load
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Application number
JP18289597A
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English (en)
Inventor
Yoshihiro Tomita
佳宏 冨田
Tetsuyoshi Ogura
哲義 小掠
Atsushi Komatsu
敦 小松
Shinji Itamochi
眞次 板持
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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  • Piezo-Electric Or Mechanical Vibrators, Or Delay Or Filter Circuits (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】電極の端部での振動の反射を抑え、実質的に圧
電基板に設けた突起により厚み振動の閉じ込めを行うこ
とで、より制約が少なく自由な電極設計や、より幅広い
電極材料の選択を可能とし、特性として、不要なスプリ
アスが抑制され、より低インピーダンスで、より高周波
に対応するエネルギー閉じ込め圧電デバイスとこれを容
易に製造する方法の提供。 【解決手段】圧電基板1に突起4a、4bおよび4c、
4dが設けられ、上面電極が励振電極2a、2bとダミ
ー電極2cに分割され、分割されたそれぞれの電極間は
極微少な間隔が設けられて、電極間は電気的には絶縁さ
れる。これにより厚み振動に対しては概ね反射を起こさ
ず、厚み振動の振動エネルギー閉じ込めが実質的に圧電
基板1に設けた突起によりなされる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、高周波ク
ロック発生に用いられる圧電共振子や、高周波の信号処
理に用いられる多重モード圧電フィルタなどの、エネル
ギー閉じ込め厚み共振圧電デバイスに利用出来る、圧電
デバイス、その製造方法及びそれを用いた移動体通信装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、コンピュータやその周辺機器など
の情報機器における処理速度やデータ転送速度の高速化
は目覚ましく、これに伴い高い周波数のクロック発生が
求められている。高周波のクロック発生には水晶振動子
に代表される、エネルギー閉じ込め型の振動子が用いら
れており、高い周波数のものが求められるようになって
いる。環境温度による変化や経時変化などに対して、高
い周波数安定度が必要な場合は専らATカット水晶が圧
電体として用いられている。ATカット水晶振動子は、
ppmオーダーの優れた対温度安定性を有する。周波数安
定度が必要ない場合は圧電セラミックによるエネルギー
閉じ込め型の振動子が用いられている。
【0003】エネルギー閉じ込め型の振動子について、
図10(A)〜図10(D)を参照しながら説明する。
図10(A)は上面図、図10(B)は断面図、図10
(C)は代用的な閉じ込められた厚み共振モードの振幅
分布図である。圧電基板51と、その表裏面に圧電基板
よりも狭い範囲に対向して形成された励振電極52と5
3により構成される。エネルギー閉じ込めの理論につい
ては、弾性波素子技術ハンドブック82〜89ページ
(日本学術振興会弾性波素子技術第150委員会編、1991
年11月30日オーム社より発行)に詳述されている。厚み
振動の板面に沿った厚み振動の伝搬が、励振電極部54
で伝搬、周囲の無電極部55で減衰、という条件を満た
す振動モードのエネルギーが励振電極部54に閉じ込め
られる。圧電基板51の端面まで振動が伝搬しないた
め、端面でパッケージへの保持を容易に行うことができ
る。振動エネルギーが保持部へ漏れないため、高いQ値
を実現することができ、保持による特性への影響が少な
いというメリットを有している。励振電極部54と無電
極部55の伝搬定数の差は、(1)電極など質量負荷に
よるカットオフ周波数の低下、(2)圧電効果による電
極部のカットオフ周波数の低下、の、双方の効果により
為される。ATカット水晶の厚みすべり振動子のように
電気機械結合係数の小さい圧電基板の場合、主に設けら
れた励振電極の質量負荷によりエネルギー閉じ込めが為
され、電気機械結合係数が大きい圧電セラミックでは、
圧電効果の方が圧倒的に大きな閉じ込め効果を発揮す
る。
【0004】図10(D)は、カットオフ周波数を境に
して、カットオフ以上で厚み振動が伝搬する場合の代表
的な共振モードの周波数チャートである。縦軸は周波数
で、fcは無電極部のカットオフ周波数、fc'は電極部
のカットオフ周波数である。横軸は、エネルギー閉じ込
めの度合いを表しており、圧電体の厚さHで規格化され
た励振電極長(L/H)と、規格化された周波数低下量
Δ=(fc−fc’)/fcで表される値である。チャ
ート中の曲線は、エネルギー閉じ込めの度合いに応じ
た、各共振モードの周波数の推移を表している。S0お
よびA0は対称および斜対称モードの基本共振、Snおよ
びAn(ここで、nは厚み共振の次数であり、n>1であ
る)は対称および斜対称のより高次のモードを表してい
る。斜対称モードの電気機械結合は、励振電極全面での
積分値がゼロになるので、対称的な構成である振動子で
は電気的に励振されない。換言すると、対称的な励振電
極パターンを有する振動子の場合、斜対称モードは励振
されない。これは、励振部全面での電気機械結合が完全
に打ち消されるためである。対称性の崩れた振動子や、
後述するフィルタの場合には、斜対称モードが励振され
る。
【0005】ここで、各振動モードが閉じ込められる条
件を考えてみる。電極部及び無電極部の双方のカットオ
フ周波数よりも低い周波数の厚み振動は、電極部でも無
電極部でも伝搬できないため、閉じ込められない。ま
た、電極部及び無電極部の双方のカットオフ周波数より
も高い周波数の厚み振動は、電極部及び無電極部の双方
を伝搬してしまうため、閉じ込められない。従って、厚
み振動の周波数が無電極部のカットオフ周波数よりも低
く、電極部のカットオフ周波数よりも高い場合のみ、電
極部に振動が閉じ込められ、共振が現れる。
【0006】例えば、閉じ込め量が図中のAの場合、S
0は閉じ込められ共振するが、S1は無電極部のカットオ
フ周波数以上で、無電極部へも伝搬するため閉じ込めら
れず、共振しない。閉じ込め量をBまで大きくすると、
S0だけでなく、S1、S2も閉じ込められ、共振するよ
うになる。つまり、閉じ込め量がAのように、適正値で
あれば、主共振は、S0のみとなり、不要共振であるス
プリアスのない優れた振動子が可能である。一方、周波
数低下量を大きくしたり、電極長を長くしたりして、よ
り閉じ込め量を大きくすると、不要な共振であるスプリ
アスが現れる。スプリアスは、クロック発振器において
周波数飛びや動作不安定の原因となるので、抑えるよう
に周波数低下量と電極長を選ばなくてはならない。
【0007】次に、エネルギー閉じ込め型の圧電フィル
タは、近年の携帯電話やページャなどの個人向け移動体
通信機器の普及に伴って需要が高まっている。周波数の
高いRF部には弾性表面波フィルタや誘電体フィルタ、
1st−IFには弾性表面波フィルタや水晶フィルタ、
2nd−IFにはセラミックフィルタというように多段
のフィルタが用いられている。このうち、エネルギー閉
じ込め型多重モード圧電フィルタは、水晶フィルタとセ
ラミックフィルタの一部であり、極力少ない段数でシス
テムを構成するために、各フィルタには高いチャンネル
選択度と特性の安定した製造工法が求められる。また、
携帯電話等の加入者の急激な増加によりチャンネル数が
不足し、より高いRF周波数が用いられることとなり、
これに伴ってIFフィルタもより高い周波数のものが求
められるようになっている。
【0008】ここで、従来のエネルギー閉じ込め型多重
モード圧電フィルタの一例として、水晶MCF(モノリ
シック・クリスタル・フィルタ)を図11を参照しなが
ら説明する。圧電基板91としてATカット水晶を用
い、表側に2分割された入力電極92aと出力電極92
bが形成され、入出力電極92a、92bに対応した裏
面には共通アース電極93が設けられている。水晶基板
91はキャンパッケージのベース94に設けられたピン
95a、95b、95cに導電性ペースト96で固定さ
れ、入出力およびアース電極が外部に引き出されてい
る。最後にベース94に金属キャップ97を溶接し封止
を行う。
【0009】フィルタも振動子と同様にエネルギー閉じ
込めの原理を用いており、電極を形成した部分には電極
の質量負荷により、厚み振動エネルギーが閉じ込められ
る。入力電極92aと出力電極92bの部分はそれぞれ
別々のエネルギー閉じ込め振動子を形成している。この
2個の振動子を適当な距離に配置し、漏れ出た振動を結
合させると、入力側と出力側が同位相で振動する対称モ
ードと逆位相で振動する斜対称モードの双方が励振され
るようになる。入力側から出力側に伝搬する、対称・斜
対称双方のモードを制御することで所望のフィルタ特性
を得る。
【0010】フィルタは振動子に比べて、より厳しい電
極設計が求められる。振動子の場合は、高次のモードの
スプリアスをある程度避ければ良いが、フィルタの場合
は、入出力電極における基本となる対称モードと斜対称
モードのみエネルギー閉じ込めされる条件に電極膜厚お
よびサイズを選ぶのが基本で、電極をより重くしたり電
極面積をより大きくすると、周波数の高い高次モードが
電極端部で反射され共振しスプリアスの原因となる。従
って、可能な電極厚さおよび電極サイズには上限があ
り、フィルタ設計の自由度が著しく制限される。
【0011】従来の振動子・フィルタとも、電極材料と
して高い周波数安定度が求められるものには金が用いら
れ、クロムなどの下地層が用いられる。そうでないもの
はコストを下げるために銀が用いられる。さらに高周波
の場合、比重の小さいアルミのような金属も用いられて
いる。
【0012】圧電基板に電極薄膜を形成する安価な方法
として、形成しようとする電極形状と同じ形状の穴を有
するメタルマスクが一般にマスク材として用いられてい
る。より高い周波数が要求され、より優れたフィルタ特
性とその安定した製造工法が求められる仕様において
は、高い電極の加工精度が要求され、メタルマスクに代
わってフォトリソグラフィを用いた加工も行われるよう
になっている。このような厳しい仕様においては表電極
と裏電極のパターンを正確に合わせる必要があり、製造
コストは上がってしまう。
【0013】実装形態としてキャンパッケージを示した
が、機器の小型化に伴い、小型の振動子・フィルタが求
められており、表面実装パッケージ内に圧電基板を寝か
せた状態で実装したものが多くなってきている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】以上述べたことからも
わかるように、エネルギー閉じ込め圧電デバイスでは、
いかにスプリアスのレベルを抑制するかが最大の課題で
ある。
【0015】スプリアスは、圧電デバイスが振動子の場
合、振動子の発振周波数の飛びや不安定な励振状態の原
因となる。又、スプリアスは、圧電デバイスがフィルタ
の場合では、通過帯域よりも高い周波数の厚み振動は入
力から出力へ伝搬しやすく、振動が電極端部などで反射
すると共振条件を満足する周波数で不要な通過帯域を形
成してしまう。前述の如く、スプリアスを発生させない
電極厚さと電極長の条件が求められるが、必ずしも実現
可能ではない。
【0016】例えば、振動子・フィルタとも低インピー
ダンスのものが求められる。振動子の場合は安定した発
振のため、フィルタの場合は回路とのインピーダンス整
合を容易にするためである。低インピーダンス化は、電
極面積を大きくして行けば可能であるが、高次のモード
まで共振するようになり、スプリアスの原因となる。電
極膜厚を薄くすれば電極サイズを大きくすることも可能
であるが、電極膜厚を薄くして行くと、微細な電極粒子
が局所的つながった不安定な状態となるため、薄くする
のにも限度があった。電極膜厚の下限は、電極材料にも
依存するが、実用上安定した電極膜を得るには少なくと
も50nmの膜厚が必要である。また、金や銀のような
比重の大きな電極をより比重の小さいアルミなどの金属
にすることで質量負荷を軽減することが可能であるが、
金や銀に比べて電極が変化しやすく長期信頼性に問題が
あった。さらに、圧電セラミックやタンタル酸リチウ
ム、ニオブ酸リチウムといった電気機械結合係数の大き
い圧電基板を用いた場合、電極の質量負荷がゼロでも圧
電効果による一定のエネルギー閉じ込めが為されてしま
うため、スプリアスの出ない電極サイズの上限がかなり
小さくなる。従って、スプリアスなく、安定した動作を
保証できる範囲での低インピーダンス化には限界がある
と言う課題を有していた。
【0017】さらに周波数が高くなると、厚み振動の波
長が短くなるため、相対的に電極による質量負荷を軽減
する必要があった。従って、より電極膜厚を薄くする
か、あるいは、そのように薄くできない場合は電極面積
を小さくしてスプリアスを抑える必要があった。
【0018】また、従来のエネルギー閉じ込め圧電デバ
イスでは電極の引き出し部も質量負荷となるため、電極
の引き出し部を厚み振動が伝搬して思わぬ部分で反射
し、スプリアスの原因となると言った課題があった。
又、従来の場合、引き出し部分の挙動は解析的に設計す
ることが困難であることから、設計試作を繰り返し、経
験的に決定する必要が有った。
【0019】本発明は、上記従来の課題を考慮し、不要
なスプリアスの抑制が出来、より低インピーダンスで、
より高周波に対応した圧電デバイスの閉じ込め設計にお
いて、従来に比べてより一層自由度の高い電極設計がで
きる圧電デバイス、とその製造がより容易に行える圧電
デバイスの製造方法及びそれを用いた移動体通信装置を
提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の本発明
は、厚み振動に用いる圧電基板と、前記圧電基板の両面
に設けられた、前記厚み振動を行わせる一組又は複数組
の励振電極と、前記厚み振動により発生する振動エネル
ギーを実質上閉じ込めるエネルギー閉じ込め用負荷とを
備え、前記エネルギー閉じ込め用負荷が、前記励振電極
の内側又は外側に設けられている圧電デバイスである。
【0021】請求項12記載の本発明は、厚み振動が生
じる圧電基板上の部位に、前記厚み振動により発生する
振動エネルギーを実質上閉じ込めるエネルギー閉じ込め
用負荷を設ける工程と、前記エネルギー閉じ込め用負荷
が設けられた圧電基板の両面に、前記厚み振動を行わせ
る励振電極を一組又は複数組設ける工程とを備えた圧電
デバイスの製造方法である。
【0022】請求項13記載の本発明は、圧電基板の両
面に、厚み振動を行わせる励振電極を一組又は複数組設
ける工程と、前記設けられた励振電極の上に、前記厚み
振動により発生する振動エネルギーを実質上閉じ込める
エネルギー閉じ込め用負荷を設ける工程とを備えた圧電
デバイス製造方法である。
【0023】請求項25記載の本発明は、厚み振動が生
じる圧電基板上の少なくとも片側に、前記厚み振動によ
り発生する振動エネルギーを実質上閉じ込めるエネルギ
ー閉じ込め用負荷のパターンを設ける工程と、前記圧電
基板の両側に、前記厚み振動を行わせる励振電極のパタ
ーンを設ける工程とを備えた圧電デバイスの製造方法で
ある。
【0024】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)以下、本発明の圧電デバイスの一実施
の形態のエネルギー閉じ込め圧電デバイスについて、図
1(A)〜図1(C)を参照しながら説明する。
【0025】図1(A)〜図1(C)は本発明の実施の
形態1として、多重モード圧電フィルタの構造例を示す
もので、図1(A)は本多重モード圧電フィルタの上面
図であり、図1(B)は図1(A)のA−A’における
断面図であり、図1(C)は下面から見た図である。
【0026】同図に示すように、1が圧電基板、2aが
入力電極、2bが出力電極、2cが上面アース電極、3
が下面アース電極、4a、4bおよび4c、4dが圧電
基板1の上下面に形成された突起である。これら突起
は、本発明のエネルギー閉じ込め用突起に対応する。
又、これら突起は、本発明のエネルギー閉じ込めよう負
荷に対応する。入力電極2a、出力電極2bおよび上面
アース電極2cは、それぞれ数μmという極めて微少な
電極間隙を隔てて、圧電基板1の上面をほとんど全面覆
っており、下面電極3は圧電基板1の下面をほぼ全面覆
っており、電極2cは圧電基板1の側面を介して下面ア
ース電極3に導通している。
【0027】尚、入力電極2a、出力電極2b、上面ア
ース電極2cをまとめて、上面電極2とも呼ぶ。又、上
面アース電極2cは、本発明の反射抑制用ダミー電極に
対応する。又、入力電極2aと下面アース電極3により
構成された一組の励振電極と、出力電極2bと下面アー
ス電極3により構成された他の一組の励振電極とが、本
発明の圧電基板に形成された複数組の励振電極に対応す
る。
【0028】この様に、突起4a,4cが、入力電極2
aと下面アース電極3の内側の面に、又、突起4b,4
dが、出力電極2bと下面アース電極3の内側の面にそ
れぞれ接していることから、本実施の形態の圧電デバイ
スは、エネルギー閉じ込め用突起が、圧電基板1の厚み
方向を基準として、励振電極の内側に設けられているタ
イプの圧電デバイスに相当する。
【0029】従来の様に単独に存在する電極の端面では
厚み振動が反射されるが、本実施の形態1のように電極
端面の直近に電極を配し、電極間距離を小さくすること
で、電極端面での反射を抑えて行くことができ、電極に
よる振動の閉じ込めが行われない。
【0030】一方、圧電基板1に設けた突起4a、4
b、4c、4dは、入出力電極2a、2bと下面アース
電極3とによって厚み振動が励振される部分に、上下面
で一致した位置に設けられており、突起部の質量負荷効
果により実質的に基本となる対称モードと斜対称モード
の振動を閉じ込めている。
【0031】従来の圧電フィルタでは、図11を参照し
ながら説明した通り、入力電極92aと共通アース電極
93とにより、又、出力電極92bと共通アース電極9
3とによりそれぞれ振動を閉じ込める構成であった。
【0032】これに対し、本実施の形態の圧電フィルタ
では、圧電基板1に設けた突起4a〜4dにより、実質
的に振動を閉じ込める構成である。そのため、基本の対
称モードと斜対称モードが閉じ込められ、且つ、より高
次のモードが閉じ込められないようにする閉じ込め設計
を、突起の形状や厚さを調整することにより行えるよう
になり、電極への依存性が少なくなる。従って、電極の
サイズや膜厚、電極材料などの電極設計の自由度が広が
る。
【0033】本実施の形態では、図1(A)〜図1
(C)に示すように、突起4a、4bのそれぞれの面積
に比べて、入力電極2a、出力電極2bのそれぞれの面
積の方を大きく設定している。そのため、突起による振
動閉じ込めから周囲に漏れ出る振動成分も有効に励振す
ることができ、入出力インピーダンスがより低く、効率
の良いフィルタを構成することができる。
【0034】また、仮に、従来の圧電デバイスの構成、
即ち電極の質量負荷による振動の閉じ込めを利用する構
成では、電極薄膜として実際には実現不可能な程度に極
めて軽い質量負荷が必要となるため、結果的には実現出
来ない場合でも、本実施の形態の構成によれば実現可能
となる。即ち、本実施の形態の構成によれば、エネルギ
ー閉じ込め用突起4a〜4dの質量負荷を軽くした分、
振動面積(エネルギー閉じ込め用突起4a〜4dの各面
積に対応)を広くし、入出力インピーダンスを下げるこ
とが可能である。
【0035】さらに、従来の構成では、電極材料とし
て、アルミを用いなければならない場合でも、本実施の
形態によれば、金や銀のように安定な電極膜を用いるこ
とができ、電極厚さも特性の安定する膜厚まで厚くする
ことが可能になる。
【0036】本実施の形態1では、引き出し電極部分も
含めてほぼ全面に電極を配設しているため、従来課題で
あった、引き出し電極などによる厚み振動の反射も起こ
りにくく、電極に起因するスプリアスの発生を抑えるこ
とができ、電極の引き回しを自由に行うことができる。
なお、電極端部による反射は、電極間隔を微少にするほ
ど小さくなるが、目安として、フィルタ特性として要求
される通過帯域に対するスプリアス抑止量よりも電極端
部での反射抑止量が大きくなる電極間隔とするのが望ま
しい。なお、電極端部による反射抑止は、抑止すべき周
波数帯の全てのスプリアスについて考慮する必要があ
る。
【0037】従来のエネルギー閉じ込め圧電デバイス
で、結合係数の大きい圧電基板を用いると、電極質量が
ゼロであったとしても、圧電効果による電極部の周波数
低下が大きく、スプリアスを抑制するためにはどうして
も電極を小さくする必要があり、低インピーダンス化に
限界があった。本発明の如く、分割された電極間を極微
少にすることで、分割された電極間の周波数低下量は同
一で、カットオフ周波数の高い無電極部を極微少区間と
することができ、圧電効果による電極端部での反射をも
抑えることができる。つまり、結合係数の大きい基板で
あっても、閉じ込め設計を突起の質量負荷のみで行うこ
とが可能となる。
【0038】又、本実施の形態で述べたように、入力電
極と出力電極の周囲に設けられている反射抑制用ダミー
電極をアースに落とすことで、入力電極と出力電極の間
の浮遊容量による電気的な信号伝達を軽減することがで
きる。
【0039】尚、上面の突起4a、4bだけで、下面の
突起4c、4dがなくても質量負荷による振動の閉じ込
めができ、上記本発明の効果が得られるが、本実施の形
態1のように両面に同じ位置に突起を形成することで、
厚み振動の閉じ込めのバランスが良くなり、より不要な
スプリアス振動の発生を抑えやすくなる。
【0040】次に、図2(A)〜図2(F)を参照しな
がら、本発明の圧電デバイスの製造方法の一例について
説明する。
【0041】ここで、図2(A)〜図2(F)は、本実
施の形態1の多重モード圧電フィルタを製造するための
工程の流れを示す流れ図である。又、図2(A)〜図2
(F)は、図1(A)のA−A’断面に対応している。
【0042】即ち、以下の各図を参照しながら、各製造
工程を順次説明する。
【0043】図2(A)に示すように、圧電基板1とし
てゼロ周波数温度係数を持つATカット水晶を用い、そ
の両面にフォトレジスト5を塗布し乾燥した。
【0044】図2(B)に示すように、フォトマスクを
圧電基板1の上面に密着させ、上面側から概ね平行な紫
外線光を照射し、水晶の両面のフォトレジスト5を一括
露光・現像して、水晶1の両面に同一のフォトレジスト
パターンを形成した。
【0045】図2(C)に示すように、フォトレジスト
パターン5をマスク材として、水晶1を重フッ化アンモ
ニウム水溶液で両面エッチングし、両面に突起4a、4
bおよび4c、4dを形成した。
【0046】図2(D)に示すように、フォトレジスト
5を剥離した後、水晶1の両面に上面電極2と下面電極
3としてクロムを下地とした金薄膜を100nm成膜し
た。
【0047】図2(E)に示すように、上部電極2上
に、フォトリソグラフィ工程によりフォトレジストパタ
ーン6を形成した。
【0048】図2(F)に示すように、フォトレジスト
6をマスクとして、上部電極2の電極間間隙をエッチン
グ除去することで、電極パターン2a、2b、2cを形
成した。
【0049】尚、図1(A)、図2(A)等には、1個
の矩形の圧電基板を示しているが、これに限らず、例え
ば、複数個の圧電基板を一括して製造する構成でも勿論
良い。即ち、その場合、図1(A)、図2(A)で示し
た圧電基板より更に大きなサイズの矩形圧電基板を用い
て、図1(A)で示す構造と同様の構造を繰り返しパタ
ーンとして一括製造した後、図1(A)で示す圧電デバ
イスのサイズに切り出し、表面実装用セラミックパッケ
ージ内に導電性ペーストにより実装する様にしても良
い。
【0050】本実施の形態1の製造方法によれば、フォ
トレジスト6を露光する光源に対して透明な圧電基板で
あれば、圧電基板の両面の同じ位置に突起4a、4bお
よび4c、4dを形成することができる。さらに、電極
パターン形成にフォトリソグラフィを用いることで、電
極間の間隙を極微少にすることができ、電極による厚み
振動の反射を抑えることができる。
【0051】従来例ではメタルマスクを用いて電極パタ
ーンを形成しているが、精度は高々数十μmであり、本
実施の形態1のようにフォトリソグラフィではサブμm
の精度も可能である。そのため、本実施の形態によれ
ば、近年要求される高いフィルタ精度を満足し、且つ高
い生産安定性を実現できる。
【0052】また、メタルマスクでは上下面の電極の位
置合わせが容易ではなく、製造ばらつきの原因となる
が、フォトリソグラフィを用いることで精度良く位置合
わせができる。
【0053】一般にフォトリソグラフィを用いるパター
ン形成は、メタルマスクよりも製造コスト高になるが、
本実施の形態1のように、大判の圧電基板に多数のフィ
ルタを一括製造すれば、作業性の良いフォトリソグラフ
ィの方が有利になってくる。
【0054】また、本実施の形態1では下面電極3は全
面アース電極としてパターン形成工程を簡略化してい
る。従来例の構成でも、下面を全面アースにすることが
可能であるが、下面の電極による閉じ込め効果がなくな
る。一方、本発明の構成では両面とも突起4a、4b、
4c、4dにおいて振動閉じ込めを行うことが可能であ
り、閉じ込め条件を変えずに全面アース電極にすること
ができる。
【0055】尚、上記のエネルギー閉じ込め用負荷の形
成方法は、圧電基板1をエッチングして形成する場合に
限らず、例えば、エネルギー閉じ込め用の薄膜パターン
を、圧電基板1に直接形成する方法でも良い。このよう
に、エネルギー閉じ込め用負荷を、電極とは異なる薄膜
パターンで形成することにより、エッチングが困難な圧
電基板にも本発明を適用することが可能となる。 (実施の形態2)以下、本発明の圧電デバイスの一実施
の形態のエネルギー閉じ込め圧電デバイスについて、図
3(A)〜図3(C)および図4(A)〜図4(C)を
参照しながら説明する。
【0056】図3(A)〜図3(C)は、本発明の実施
の形態2として、多重モード圧電フィルタの構造例を示
すもので、図3(A)は上面、図3(B)は図3(A)
のA−A’における断面、図3(C)は下面から見た図
である。又、図4(A)〜図4(C)は本実施の形態2
の製造方法を示す流れ図であり、図3(A)で示すA−
A’断面に対応している。次に図面を参照しながら各製
造工程を順次述べる。
【0057】図4(A)に示すように、圧電基板1とし
てタンタル酸リチウム単結晶を用い、その両面に上面電
極2と下面電極3としてクロムを下地とした金薄膜を1
00nm成膜した。
【0058】図4(B)に示すように、フォトリソグラ
フ工程により、電極2を微少な間隔を隔てて分割する電
極パターン2a、2b、2cを形成した。
【0059】図4(C)に示すように、突起4a、4b
および4c、4dとして、振動を閉じ込める部分の両面
に位置を合わせて、酸化珪素薄膜パターンを形成した。
これら突起4a、4bおよび4c、4dは、本発明のエ
ネルギー閉じ込め用薄膜に対応する。又、これら突起4
a、4bおよび4c、4dは、本発明のエネルギー閉じ
込め用負荷に対応する。
【0060】本実施の形態2と実施の形態1との構成上
の主な相違点は、両面の突起4a、4bおよび4c、4
dを、薄膜パターンで形成している点と、上面電極のパ
ターンにおいて入力電極2aと出力電極2bの間にアー
ス電極2cの一部2dを配設している点である。
【0061】この様に、薄膜により形成された突起4
a,4cが、入力電極2aと下面アース電極3の外側の
面に、又、薄膜により形成された突起4b,4dが、出
力電極2bと下面アース電極3の外側の面にそれぞれ設
けられていることから、本実施の形態の圧電デバイス
は、エネルギー閉じ込め用突起が、圧電基板1の厚み方
向を基準として、励振電極の外側に設けられているタイ
プの圧電デバイスに相当する。
【0062】この様に、突起4a、4bおよび4c、4
dを、薄膜パターンで形成することにより、タンタル酸
リチウムのようにエッチング加工し難い材料の圧電基板
においても、厚み振動の閉じ込めが可能となり、本発明
を適用できる基板材料の選択の幅を広げることができ
る。
【0063】又、本実施の形態2では電極上に突起を形
成しているが、このようにすることで、厚み振動する部
分の電極を保護する効果がある。例えば、アルミのよう
な経時変化しやすい電極材料を用いた場合、励振電極上
に酸化珪素のような安定な突起が存在すれば、アルミの
酸化を抑えられ、フィルタ特性の経時変化を抑えること
ができる。
【0064】なお、実施の形態1の最後に述べた、エネ
ルギー閉じ込め用の薄膜パターンを、圧電基板1に直接
形成する方法と同様の方法により、本実施の形態の突起
4a、4bおよび4c、4dを形成しても勿論良い。そ
の場合でも、上記と同様の効果が得られる。
【0065】この構成の場合、圧電基板と突起の材質が
ともに透明であれば、実施の形態1と同様の工程によっ
て、両面の突起を同一の位置に精度良く形成することが
可能である。
【0066】次に、入出力電極2a、2bの間にアース
パターン2dを設けることにより、従来の電極構成で問
題であった、入出力電極間の浮遊容量で電気的に信号が
伝搬し、入出力間のアイソレーションが取れなくなる問
題を解決することができる。つまり、入力電極2aは2
a−2d間の浮遊容量によりアースに落とされ、出力電
極2bは2b−2d間の浮遊容量によりアースに落とさ
れるため、直接的な電気的な結合を軽減することができ
るのである。従来のフィルタでこのようなアース電極を
設けることも可能であるが、アース電極を設けることで
入出力の振動子の間に新たな質量負荷がなされたことに
なり、振動の閉じ込め条件が変わってしまう。恐らく新
たなスプリアスの原因になると推察される。一方、本発
明においては、電極間距離を極微少にして、実質的な振
動閉じ込めを突起4a、4b、4c、4dで行っている
ため、本実施の形態2の電極構成にしても振動閉じ込め
条件は変わらず、より高性能のフィルタを実現できる。 (実施の形態3)以下、本発明の圧電デバイスの一実施
の形態であるエネルギー閉じ込め圧電デバイスについ
て、図5(A)〜図5(C)を参照しながら説明する。
【0067】図5(A)〜図5(C)は本発明の実施の
形態3として、多重モード圧電フィルタの構造例を示す
もので、図5(A)はその上面図、図5(B)は図5
(A)のA−A’における断面図、図5(C)は下面か
ら見た図である。同図に示すように、1が圧電基板、2
aが入力電極、2bが出力電極、2cが上面アース電
極、3が下面アース電極、4a、4b、4c、4d、4
e、4fが圧電基板1の上下面に形成された突起で、7
が上面および下面の電極間に形成された電極間突起であ
る。実施の形態1および2に対して特徴的なのは、上面
電極2a、2b、2cの間隙が、概ね後述する式で与え
られる厚さの電極間突起7で埋められている点である。
ここで、本発明の第2の反射抑制用突起又第2の反射抑
制用薄膜は、電極間突起7に対応する。尚、図5(B)
は、電極間突起7が本発明の第2の反射抑制用突起に対
応する場合の図である。電極間突起7が本発明の第2の
反射抑制用薄膜に対応する場合の構成は、図7(A)〜
図7(D)及び図8(A)〜図8(D)に示す。
【0068】上述した通り、電極間突起7の厚さは、次
式を満たす様に調整されている。
【0069】電極間突起の質量負荷による周波数低下量
=電極の質量負荷による周波数低下量+電極部の圧電効
果による周波数低下量 つまり、電極間突起7は電極による周波数低下量に相当
する質量負荷量を有する突起であり、電極部と無電極部
の境界において、それぞれのカットオフ周波数をほぼ同
一にすることができる。図10(D)を用いて上述した
通り、閉じ込められる厚み振動は、fcとfc’の間の
周波数を有するものであり、電極部と無電極部の境界で
それぞれのカットオフ周波数の差が無いということは、
電極の端部において反射されて閉じ込められる振動モー
ドが実質上存在しないことを意味する。従って、電極端
部に起因するスプリアスを抑えることができるのであ
る。
【0070】ここで、カットオフ周波数とは、対象とす
る部位が無限に広がっていると仮定した場合の、無限平
板の厚み振動の共振周波数のことである。
【0071】本実施の形態3の構成によれば、電極部と
無電極部の界面での厚み振動の反射を極めて小さく抑え
ることができる。即ち、厚み振動の閉じ込めは、突起4
a、4b、4c、4d、4e、4fのみでなされ、励振
電極の設計がより一層自由に行える。
【0072】例えば、実施の形態1および2で述べた電
極端部での厚み振動の反射を限りなく小さくしようとす
れば、電極間間隙(例えば、図3(A)の入力電極2a
とアース電極2c、出力電極2bとアース電極2cの間
隔)を限りなく小さくする必要がある。
【0073】これに対して、本実施の形態3では、上述
した通り、電極と電極の間に第2の反射抑制用突起又は
第2の反射抑制用薄膜を隙間無く配置する構成としたこ
とにより、電極端部での厚み振動の反射自体を抑えるこ
とができる。そのため、電極と電極の間は、必ずしも微
細な間隔にする必要がない。
【0074】即ち、これら電極同士の間に、第2の反射
抑制用突起又は第2の反射抑制用薄膜を配置しておきさ
えすれば、電極端部における厚み振動の反射によるスプ
リアスの発生を気にせず設計を行うことができる。例え
ば、図5(A)〜図5(C)に示すように、各電極間隔
を極限まで近づけなくても、又、入出力電極2a、2b
の各引き出し電極部の直近にアース電極2cを配設しな
くても、これらいずれの場合でも、電極端部や引き出し
電極部での厚み振動の反射を十分抑えることが出来る。
従って、電極を極微細に加工する必要が無く、ファイン
ピッチのフォトリソグラフィ装置を用いることなく、よ
り簡便な製造を実現出来る。
【0075】実施の形態1の構成のように、励振電極2
a、2bの引き出し電極の裏面にも下面電極3が存在す
ると、引き出し電極と下面電極の間に余分な浮遊容量が
付加され、振動子としての容量比が増大し、設計できる
フィルタの範囲が制限されるという問題や、引き出し電
極と下面電極の交差した部分にも不要な厚み振動が励振
される可能性があるといった問題がある。本実施の形態
3によれば、図5(A)〜図5(C)のように、入出力
電極2a、2bの各引き出し電極部と下面電極3との交
差部分をなくしても、引き出し電極での厚み振動の反射
を十分抑えることが出来るので、実施の形態1よりもさ
らに設計自由度があり、不要な共振を抑えることが可能
である。
【0076】なお、図5の構成は、突起4a、4b、4
c、4d、4e、4fからなる3個のエネルギー閉じ込
め振動子を結合させた、いわゆる3ポール構造のフィル
タであり、基本となる対称モードと斜対称モード、さら
に中心の振動子のみ位相の反転した対称モードの3個の
振動モードを用いてフィルタを構成している。このよう
に、本発明の効果はフィルタに用いる振動子の数、モー
ドの数に限定されるものではなく、より大きなポール数
の圧電フィルタにも適用できる。
【0077】尚、本実施の形態の圧電フィルタにおける
上面アース電極2cは、実施の形態1,2で述べたダミ
ー電極2cとしての役割は有していない。即ち、本実施
の形態の上面アース電極2cは、あくまで励振電極の一
つとしてのアース電極の役割を有するものである。
【0078】次に、本発明の圧電デバイスの製造方法の
一実施の形態として、上述した実施の形態3の圧電フィ
ルタを製造する方法について、図6(A)〜図6
(D)、図7(A)〜図7(D)、図8(A)〜図8
(D)を用いて、3例説明する。
【0079】ここで、図6(A)〜図6(D)は、図5
(A)〜図5(C)で述べた実施の形態3である多重モ
ード圧電フィルタを製造するための工程の流れを示す流
れ図である。同図は、図5(A)のA−A’断面図に対
応している。
【0080】先ず、同図を参照しながら、製造方法の第
1の例を順次説明する。
【0081】図6(A)に示すように、圧電基板1とし
てATカット水晶を用い、フォトリソグラフィ法により
水晶をエッチングし、突起4a、4b、4c、4d、4
e、4fを形成した。
【0082】図6(B)に示すように、水晶1の上下面
それぞれに電極間隙に対応したフォトレジストパターン
8を形成し、水晶をエッチングすることで電極間突起7
を形成した。
【0083】図6(C)に示すように、両面にクロムを
下地とした金薄膜を100nm成膜した。
【0084】図6(D)に示すように、フォトレジスト
8を剥離洗浄することで電極をリフトオフし、両面の電
極膜パターン2a、2b、2cおよび3を形成した。
【0085】次に、図7(A)〜図7(D)を参照しな
がら、第2の例を説明する。
【0086】ここで、図7(A)〜図7(D)は、実施
の形態3で述べた多重モード圧電フィルタを製造するた
めの工程の流れ図を示す断面図である。
【0087】図7(A)に示すように、圧電基板1とし
てタンタル酸リチウムを用い、両面に酸化珪素薄膜9を
成膜し、フォトリソグラフィ法を用いて酸化珪素膜をエ
ッチングし、突起4a、4b、4c、4d、4e、4f
を形成した。
【0088】図7(B)に示すように、圧電基板1の上
下面それぞれに電極間隙に対応したフォトレジストパタ
ーン8を形成し、酸化珪素薄膜をエッチングすることで
電極間突起7を形成した。
【0089】図7(C)に示すように、両面にクロムを
下地とした金薄膜を100nm成膜した。
【0090】図7(D)に示すように、フォトレジスト
53、54を剥離洗浄することで電極をリフトオフし、
両面の電極膜パターン2a、2b、2cおよび3を形成
した。
【0091】次に、図8(A)〜図8(D)を参照しな
がら、第3の例を説明する。
【0092】ここで、図8(A)〜図8(D)は、実施
の形態3の構成の多重モード圧電フィルタを製造するた
めの工程の流れ図を示す断面図である。
【0093】図8(A)に示すように、圧電基板1とし
てATカット水晶を用い、フォトリソグラフィ法により
水晶をエッチングし、突起4a、4b、4c、4d、4
e、4fを形成した。
【0094】図8(B)に示すように、水晶1の両面に
クロムを下地とした金薄膜を100nm成膜し、電極パ
ターンに対応したフォトレジストパターン10を形成し
た。
【0095】図8(C)に示すように、フォトレジスト
10をマスクとして電極をエッチングし、両面に酸化珪
素薄膜11を成膜した。
【0096】図8(D)に示すように、フォトレジスト
10を剥離洗浄することで酸化珪素膜11をリフトオフ
し、両面の電極間突起7を形成した。
【0097】上記3通りの製造方法によれば、電極パタ
ーンの間を電極間突起により完全に埋めているので、素
子の両面の全面において電極端部での振動反射を抑える
ことができ、スプリアスの極めて少ない多重モード圧電
フィルタを実現できる。 (実施の形態4)上記実施の形態1ないし3では、本発
明のエネルギー閉じ込め圧電デバイスとして、複数の振
動子の振動を結合させた、多重モード圧電フィルタの例
を示したが、単独の振動子に本発明を適用しても同様の
効果が得られる。
【0098】以下、本発明の圧電デバイスの一実施の形
態である、エネルギー閉じ込め圧電振動子について、図
9(A)〜図9(C)を参照しながら説明し、同時に製
造工程についても述べる。
【0099】図9(A)は、本実施の形態のエネルギー
閉じ込め圧電振動子の上面図、図9(B)は図9(A)
のA−A’における断面図である。
【0100】又、図9(C)は、図9(A)のエネルギ
ー閉じ込め圧電振動子とは、別の例であり、ダミー電極
と電極間突起との両方を設けた場合の、図9(A)のA
−A’に相当する断面図である。
【0101】図9(A)に示すように、圧電基板1とし
てタンタル酸リチウム単結晶を用い、その両面に上面電
極2と下面電極3としてクロムを下地とした金薄膜を1
00nm成膜した。
【0102】図9(B)に示すように、フォトリソグラ
フ工程により、電極2を微少な間隔を隔てて分割する電
極パターン2a、2cを形成した。ここで、電極パター
ン2cは、励振電極と電気的に絶縁された、且つ前記励
振電極と所定の隙間を隔てて圧電基板上に形成された本
発明の反射抑制用ダミー電極に対応する。
【0103】図9(C)に示すように、突起4a、4c
として、振動を閉じ込める部分の両面に位置を合わせ
て、酸化珪素薄膜パターンを形成した。尚、図9(C)
に示す構成の圧電振動子は、本発明の反射抑制用ダミー
電極と、第1の反射抑制用薄膜とを備えたタイプの圧電
デバイスに対応する。又、図9(C)では、本発明のエ
ネルギー閉じ込め用負荷に対応する突起4a、4cが、
圧電基板上に薄膜として形成される点でも、図9(B)
の構成と異なる。
【0104】尚、図9(A)〜図9(C)において、電
極2aと下面電極3は、本発明の一組の励振電極に対応
する。
【0105】図9(A)、図9(B)の構成は、実施の
形態2の構成および製造方法を圧電振動子に適用した例
である。上面電極2は、励振電極と引き出し電極2aと
ダミー電極2cに微少な間隔を隔てて分割されていて、
電極2aの端面での振動の反射を抑えることができる。
従って、突起4a、4cによって実質的なエネルギー閉
じ込めが為される。突起4a、4cは圧電基板1上に直
接設けても良く、実施の形態1と同様に、圧電基板をエ
ッチングして突起4a、4cを設けても良く、その機能
に変わりはなく、同様の効果が得られる。
【0106】一方、図9(C)の構成は、実施の形態3
と同様の手法(主に、図7(A)〜図7(D))を圧電
振動子に適用し、電極間隙に電極間突起7を設けたもの
である。
【0107】即ち、図9(C)の構成では、図9(B)
で述べた励振電極とダミー電極との間の微細な隙間に代
えて、その間に電極間突起を設けることにより、実施の
形態3と同様、電極端での振動の反射をより抑えること
ができる。
【0108】尚、図9(C)の構成では、突起4a、4
cが、圧電基板上に薄膜として形成される場合につてい
説明したが、これに限らず例えば、図9(B)で示した
様に、励振電極上にエネルギー閉じ込め用負荷としての
薄膜を形成する構成でも勿論良い。この場合、実施の形
態2の図4(C)で示した内容とほぼ同様に、両面の電
極パターンを形成した後に、エネルギー閉じ込め用負荷
を設けることにより製造出来る。
【0109】上記の何れの構成に於いても、圧電振動子
のエネルギー閉じ込めが実質的に突起4a、4cで為さ
れるため、スプリアスを抑止する閉じ込め設計を突起の
形状や厚さで行えるようになり、電極への依存性が少な
くなる。
【0110】従って、電極サイズや膜厚、電極材料など
の電極設計の自由度が広がる。励振電極2aを突起4a
よりも大きくすることができ、突起による振動閉じ込め
から周囲に漏れ出る振動成分も有効に励振することがで
き、よりインピーダンスを下げることができる。
【0111】また、従来の電極の質量負荷による振動の
閉じ込めでは電極薄膜として成立し得ないほど極軽い質
量負荷も本発明によれば可能であり、質量負荷を軽くし
た分振動面積を広くし、インピーダンスを下げることが
可能である。
【0112】さらに、従来アルミを用いなければならな
い場合でも金や銀のように安定な電極膜を用いることが
でき、電極厚さも特性の安定する膜厚まで厚くすること
が可能になる。
【0113】また、引き出し電極部分も含めてほぼ全面
に電極を配設しているため、従来の構成において課題で
あった、引き出し電極などによる厚み振動の反射も起こ
りにくく、電極に起因するスプリアスの発生を抑えるこ
とができ、電極の引き回しを自由に行うことができる。
【0114】なお、電極端部による反射は、電極間隔を
微少にするほど小さくなるが、目安として、要求される
スプリアス抑止量よりも電極端部での反射抑止量が大き
くなる電極間隔とするのが望ましい。なお、電極端部に
よる反射抑止は、抑止すべき周波数帯の全てのスプリア
スについて考慮する必要がある。
【0115】従来、結合係数の大きい圧電基板では圧電
効果による閉じ込めが大きく、どうしても電極を小さく
する必要があり、低インピーダンス化に限界があった。
本発明では、励振電極部とダミー電極部の周波数低下量
が同一であるため、閉じ込め設計を突起の質量負荷のみ
で行うことが可能となる。
【0116】以上、実施の形態4に示したように、実施
の形態1ないし3の効果は、多重モード圧電フィルタに
限定されるものではなく、振動子などのエネルギー閉じ
込め圧電デバイスに広く適用でき、同様の効果が得られ
る。
【0117】又、上記構成による圧電フィルタを携帯電
話などの無線通信装置に用いることにより、不要なスプ
リアスが抑えられ、且つ、設計自由度が大きく、特性の
優れたフィルタで高周波部を構成することができること
から、隣接チャンネルの選択度が大きく、妨害波の影響
を受けにくい無線通信機器を実現することが出来る。上
記構成による圧電振動子を情報機器や通信機器に用いる
ことで、スプリアスが少なく安定した特性の振動子によ
るクロック発生ができることから、基準周波数や動作の
安定した情報機器や通信機器を実現できる。
【0118】又、上述した実施の形態によれば、エネル
ギー閉じ込め圧電デバイスの閉じ込め設計を従来に比べ
てより容易に行える構成とすることで、自由度のより高
い電極設計や、より幅広い電極材料の選択が出来る。
又、不要なスプリアスが抑制しやすく、より低インピー
ダンスで、より高周波に対応した圧電デバイスを実現出
来る。又、フィルタにおいては優れたチャンネル選択度
を有するエネルギー閉じ込め圧電デバイスが実現出来
る。又、その製造方法は、従来に比べてより一層容易な
ものである。
【0119】尚、上記実施の形態1ないし4では、圧電
材料として水晶およびタンタル酸リチウム、ニオブ酸リ
チウムを用いたが、本発明は圧電材料により制限される
ものではなく、エネルギー閉じ込め多重モード圧電フィ
ルタを構成する圧電材料において同様の効果を奏するも
のである。
【0120】又、上記実施の形態では、エネルギー閉じ
込め用負荷とともに、ダミー電極、反射抑制用突起、あ
るいは反射抑制用薄膜などの反射抑制用負荷をも備えた
場合の構成について説明したが、これに限らず例えば、
上記反射抑制用負荷はなくてもかまわない。即ち、従来
の様に励振電極によりエネルギーを閉じ込める構成に比
べて、上記のエネルギー閉じ込め用負荷を備えた構成の
圧電デバイスの方が、不要なスプリアス振動の発生が少
なくなる。従って、上記反射抑制用負荷は必ずしも必要
としない。
【0121】又、上記実施の形態では、圧電基板の両面
の電極が分割されている場合の構成について説明した
が、これに限らず例えば、何れか一方の面の電極のみが
分割されていても勿論良い。
【0122】又、上記実施の形態では、電極が分割され
た方の圧電基板の面には、必ずエネルギー閉じ込め用負
荷が形成されている場合の構成について説明したが、こ
れに限らず例えば、分割されていない電極が形成された
面にのみエネルギー閉じ込め用負荷が形成されている構
成でも良い。
【0123】又、本発明の反射抑制用ダミー電極は、上
記実施の形態では、励振電極と同一の電極材料を用いて
形成したが、これに限らず例えば、他の電極材料、ある
いは絶縁性材料など全く別の材料で形成しても勿論良
い。
【0124】又、本発明のエネルギー閉じ込め用負荷
は、上記実施の形態では、励振電極の面積よりも大きく
設定していたが、これに限らず例えば、励振電極の面積
と同じ大きさでもかまわない。
【0125】
【発明の効果】以上述べたところから明らかなように本
発明は、従来に比べてより一層自由度の高い設計ができ
ると言う長所を有する。又、その製造がより容易に行え
ると言う長所を有する。又、優れたチャンネル選択度を
有すると言う長所を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A):本発明の実施の形態1のエネルギー閉
じ込め圧電デバイスを示す上面図 (B):同圧電デバイスを示す断面図 (C):同圧電デバイスを示す裏面図
【図2】(A)〜(F):本発明の実施の形態1のエネ
ルギー閉じ込め圧電デバイスの製造方法を示す流れ図
【図3】(A):本発明の実施の形態2のエネルギー閉
じ込め圧電デバイスを示す上面図 (B):同圧電デバイスを示す断面図 (C):同圧電デバイスを示す裏面図
【図4】(A)〜(C):本発明の実施の形態2のエネ
ルギー閉じ込め圧電デバイスの製造方法を示す流れ図
【図5】(A):本発明の実施の形態3のエネルギー閉
じ込め圧電デバイスを示す上面図 (B):同圧電デバイスを示す断面図 (C):同圧電デバイスを示す裏面図
【図6】(A)〜(D):本発明の実施の形態3のエネ
ルギー閉じ込め圧電デバイスの製造方法を示す流れ図
【図7】(A)〜(D):本発明の実施の形態3のエネ
ルギー閉じ込め圧電デバイスの製造方法を示す流れ図
【図8】(A)〜(D):本発明の実施の形態3のエネ
ルギー閉じ込め圧電デバイスの製造方法を示す流れ図
【図9】(A):本発明の実施の形態4のエネルギー閉
じ込め圧電デバイスを示す上面図 (B):同圧電デバイスを示す断面図 (C):同圧電デバイスの別の構成を示す断面図
【図10】(A):従来例のエネルギー閉じ込め圧電振
動子を示す上面図 (B):同圧電振動子を示す断面図 (C):同圧電振動子の各振動モードの振幅分布図 (D):同圧電振動子の各振動モードの周波数チャート
【図11】従来例のエネルギー閉じ込め圧電フィルタを
示す斜視図
【符号の説明】
1 圧電基板 2 上面電極 2a 入力電極 2b 出力電極 3 下面電極 4a〜4d 突起 7 電極間突起
フロントページの続き (72)発明者 板持 眞次 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (27)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】厚み振動に用いる圧電基板と、 前記圧電基板の両面に設けられた、前記厚み振動を行わ
    せる一組又は複数組の励振電極と、 前記厚み振動により発生する振動エネルギーを実質上閉
    じ込めるエネルギー閉じ込め用負荷とを備え、 前記エネルギー閉じ込め用負荷が、前記励振電極の内側
    又は外側に設けられていることを特徴とする圧電デバイ
    ス。
  2. 【請求項2】前記エネルギー閉じ込め用負荷は、(1)
    前記励振電極の内側であって、且つ前記圧電基板の少な
    くとも一方の面に設けられたエネルギー閉じ込め用突起
    若しくは薄膜であるか、又は、(2)前記励振電極の外
    側であって、且つ前記圧電基板の少なくとも一方の面に
    形成された励振電極に設けられたエネルギー閉じ込め用
    薄膜であることを特徴とする請求項1記載の圧電デバイ
    ス。
  3. 【請求項3】前記励振電極の外周端部における厚み振動
    の反射の発生を抑制する反射抑制用負荷を、前記励振電
    極が設けられた領域以外の前記圧電基板上の領域の全部
    又は一部の領域に備えたことを特徴とする請求項2記載
    の圧電デバイス。
  4. 【請求項4】前記反射抑制用負荷は、前記励振電極と電
    気的に絶縁された、且つ前記励振電極と所定の隙間を隔
    てて前記圧電基板上に設けられた反射抑制用ダミー電極
    であることを特徴とする請求項3記載の圧電デバイス。
  5. 【請求項5】前記反射抑制用負荷は、(1)前記励振電
    極と電気的に絶縁された、且つ前記励振電極と所定の間
    隔を隔てて前記圧電基板上に設けられた反射抑制用ダミ
    ー電極と、(2)前記間隔を隔てた前記励振電極と前記
    反射抑制用ダミー電極との間に設けられた第1の反射抑
    制用突起又は第1の反射抑制用薄膜とを備え、 前記第1の反射抑制用突起又は第1の反射抑制用薄膜の
    部位における厚み振動のカットオフ周波数が、前記励振
    電極の部位及び前記反射抑制用ダミー電極の部位におけ
    る厚み振動のそれぞれのカットオフ周波数と実施上同一
    であることを特徴とする請求項3記載の圧電デバイス。
  6. 【請求項6】前記反射抑制用負荷は、前記励振電極に実
    質上隣接して設けられた第2の反射抑制用突起又は第2
    の反射抑制用薄膜を備え、 前記第2の反射抑制用突起又は第2の反射抑制用薄膜の
    部位における厚み振動のカットオフ周波数が、前記励振
    電極の部位における厚み振動のカットオフ周波数と実施
    上同一であることを特徴とする請求項3記載の圧電デバ
    イス。
  7. 【請求項7】前記励振電極及び前記反射抑制用ダミー電
    極の双方の、前記所定の間隔を隔てて対向する端部で
    は、前記エネルギー閉じ込め用負荷における閉じ込めの
    対象とならない振動モードの反射が抑制されることを特
    徴とする請求項4記載の圧電デバイス。
  8. 【請求項8】前記反射抑制用突起の質量負荷によるカッ
    トオフ周波数の周波数低下量をF1とし、前記励振電極
    の質量負荷によるカットオフ周波数の周波数低下量をF
    2とし、前記励振電極の圧電効果によるカットオフ周波
    数の周波数低下量をF3とした場合、前記反射抑制用突
    起の、基準面からの高さHは、F1=F2+F3を満た
    す値に設定されることを特徴とする請求項5又は6記載
    の圧電デバイス。
  9. 【請求項9】前記エネルギー閉じ込め用負荷は、前記圧
    電基板の両側の実質上同じ位置に形成されていることを
    特徴とする請求項2記載の圧電デバイス。
  10. 【請求項10】前記励振電極は、前記圧電基板上に複数
    組設けられており、前記複数組の励振電極は、フィルタ
    ー機能を備えたことを特徴とする請求項1記載の圧電デ
    バイス。
  11. 【請求項11】前記複数組の励振電極の電極間には、そ
    れらの励振電極と所定の間隔を隔てて設けられたアース
    電極を備え、 近接する前記励振電極及び前記アース電極の双方の、前
    記所定の間隔を隔てて対向する端部では、前記エネルギ
    ー閉じ込め用負荷における閉じ込めの対象とならない振
    動モードの反射が抑制されることを特徴とする請求項1
    0記載の圧電デバイス。
  12. 【請求項12】厚み振動が生じる圧電基板上の部位に、
    前記厚み振動により発生する振動エネルギーを実質上閉
    じ込めるエネルギー閉じ込め用負荷を設ける工程と、 前記エネルギー閉じ込め用負荷が設けられた圧電基板の
    両面に、前記厚み振動を行わせる励振電極を一組又は複
    数組設ける工程と、を備えたことを特徴とする圧電デバ
    イスの製造方法。
  13. 【請求項13】圧電基板の両面に、厚み振動を行わせる
    励振電極を一組又は複数組設ける工程と、 前記設けられた励振電極の上に、前記厚み振動により発
    生する振動エネルギーを実質上閉じ込めるエネルギー閉
    じ込め用負荷を設ける工程と、を備えたことを特徴とす
    る圧電デバイス製造方法。
  14. 【請求項14】前記エネルギー閉じ込め用負荷はエネル
    ギー閉じ込め用突起であり、 前記圧電基板上の前記突起を形成する予定の部位に耐エ
    ッチング性のマスキングを施した後、前記予定の部位以
    外の部位をエッチングで薄くすることにより、前記突起
    を形成することを特徴とする請求項12記載の圧電デバ
    イス製造方法。
  15. 【請求項15】前記エネルギー閉じ込め用負荷はエネル
    ギー閉じ込め用薄膜であり、 前記圧電基板上に、又は前記励振電極上に前記薄膜を形
    成することを特徴とする請求項12又は13記載の圧電
    デバイス製造方法。
  16. 【請求項16】前記励振電極を設ける工程は、 前記エネルギー閉じ込め用負荷が形成された圧電基板の
    両面に電極膜を形成する電極膜形成工程と、 前記圧電基板の両面に形成された電極膜の内、少なくと
    も一方の面に形成された電極膜を、前記励振電極の領域
    とダミー電極の領域とに分割する分割工程と、を備える
    ことを特徴とする請求項12記載の圧電デバイス製造方
    法。
  17. 【請求項17】前記励振電極を設ける工程は、 前記圧電基板の両面に電極膜を形成する電極膜形成工程
    と、 前記圧電基板の両面に形成された電極膜の内、少なくと
    も一方の面に形成された電極膜を、前記励振電極の領域
    とダミー電極の領域とに分割する分割工程と、を備える
    ことを特徴とする請求項13記載の圧電デバイス製造方
    法。
  18. 【請求項18】前記分割工程では、前記励振電極と前記
    ダミー電極との間に所定の隙間を形成し、 前記所定の隙間は、前記エネルギー閉じ込め用負荷にお
    ける閉じ込めの対象とならない振動モードの反射が実質
    上抑制され、且つ、前記励振電極と前記ダミー電極とが
    電気的に絶縁される様に調整されていることを特徴とす
    る請求項16又は17記載の圧電デバイス製造方法。
  19. 【請求項19】前記励振電極は、前記圧電基板の両面に
    複数組形成するものであり、 前記圧電基板の少なくとも片面上の、所定の間隔を隔て
    て形成された励振電極同士の間の位置に、又は、前記圧
    電基板の少なくとも片面上の、所定の間隔を隔てて形成
    される予定の励振電極同士の間の位置に、厚み振動の反
    射を抑制するための反射抑制用負荷を形成する反射抑制
    用負荷形成工程を備えることを特徴とする請求項12又
    は13記載の圧電デバイス製造方法。
  20. 【請求項20】前記反射抑制用負荷は、反射抑制用突起
    であり、 前記励振電極同士の間のパターン形状に対応したフォト
    レジストパターンを形成し、 前記フォトレジストパターンをマスクとして圧電基板の
    エッチングを行って前記反射抑制用突起を形成し、 前記反射抑制用突起が形成された圧電基板上に電極膜を
    成膜して前記フォトレジストを剥離洗浄し、前記フォト
    レジスト上の電極膜をリフトオフすることを特徴とする
    請求項19記載の圧電デバイス製造方法。
  21. 【請求項21】前記反射抑制用負荷は、反射抑制用絶縁
    性薄膜であり、 前記圧電基板上に絶縁性薄膜を成膜し、 前記励振電極同士の間のパターン形状に対応したフォト
    レジストパターンを形成し、 前記フォトレジストパターンをマスクとして絶縁性薄膜
    のエッチングを行って前記反射抑制用絶縁性薄膜を形成
    し、 前記反射抑制用絶縁性薄膜の形成された圧電基板上に電
    極膜を成膜してフォトレジストを剥離洗浄し、前記フォ
    トレジスト上の電極膜をリフトオフすることをする請求
    項19記載の圧電デバイス製造方法。
  22. 【請求項22】前記反射抑制用負荷は、反射抑制用絶縁
    性薄膜であり、 電極膜を成膜し、 前記電極膜上に前記励振電極のパターン形状に対応した
    フォトレジストパターンを形成し、 前記フォトレジストパターンをマスクとして前記電極膜
    をエッチングし、 前記エッチングの後、更に絶縁性薄膜を成膜して前記フ
    ォトレジストを剥離洗浄し、前記フォトレジスト上の絶
    縁性薄膜をリフトオフすることで、前記反射抑制用絶縁
    性薄膜を形成することをする請求項19記載の圧電デバ
    イス製造方法。
  23. 【請求項23】前記圧電基板は実質上透明な基板であ
    り、前記圧電基板の両面に前記エネルギー閉じ込め用突
    起又は前記反射抑制用突起を形成する際に、前記両面に
    フォトレジストを塗布し、平行光線により前記両面の前
    記フォトレジストを一括露光し、前記両面に同一のフォ
    トレジストパターンを形成した後、エッチングを行うこ
    とで、前記両面に同一形状の前記突起を形成することを
    特徴とする請求項12、13又は19記載の圧電デバイ
    ス製造方法。
  24. 【請求項24】前記圧電基板上であって前記励振電極の
    領域以外の領域に、前記励振電極と所定の間隔を隔てて
    ダミー電極を形成するダミー電極形成工程と、 前記形成された励振電極とダミー電極との間の位置に、
    厚み振動の反射を抑制するための反射抑制用負荷を形成
    する反射抑制用負荷形成工程と、を備えることを特徴と
    する請求項12又は13記載の圧電デバイス製造方法。
  25. 【請求項25】厚み振動が生じる圧電基板上の少なくと
    も片側に、前記厚み振動により発生する振動エネルギー
    を実質上閉じ込めるエネルギー閉じ込め用負荷のパター
    ンを設ける工程と、 前記圧電基板の両側に、前記厚み振動を行わせる励振電
    極のパターンを設ける工程と、を備えたことを特徴とす
    る圧電デバイスの製造方法。
  26. 【請求項26】請求項1〜11の何れか一つに記載の圧
    電デバイスを用いたことを特徴とする移動体通信装置。
  27. 【請求項27】請求項12〜25の何れか一つに記載の
    圧電デバイス製造方法により製造した圧電デバイスを用
    いたことを特徴とする移動体通信装置。
JP18289597A 1996-07-10 1997-07-08 圧電デバイス、その製造方法及び移動体通信装置 Withdrawn JPH1079640A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010183568A (ja) * 2009-01-07 2010-08-19 Nippon Dempa Kogyo Co Ltd 弾性波デバイス及び電子部品
JP2010252143A (ja) * 2009-04-17 2010-11-04 Seiko Epson Corp 圧電振動子
US9450166B2 (en) 2012-06-06 2016-09-20 Seiko Epson Corporation Resonator element, resonator, electronic device, electronic apparatus, mobile body and method of manufacturing resonator element

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