JPH1072620A - 材質ばらつきが少なくかつ溶接性に優れるh形鋼の製造方法 - Google Patents

材質ばらつきが少なくかつ溶接性に優れるh形鋼の製造方法

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JPH1072620A
JPH1072620A JP16613297A JP16613297A JPH1072620A JP H1072620 A JPH1072620 A JP H1072620A JP 16613297 A JP16613297 A JP 16613297A JP 16613297 A JP16613297 A JP 16613297A JP H1072620 A JPH1072620 A JP H1072620A
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steel
weldability
rolling
flange
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JP16613297A
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Tatsuki Kimura
達己 木村
Kiyoshi Uchida
清 内田
Toru Hayashi
透 林
Kenji Oi
健次 大井
Fumimaru Kawabata
文丸 川端
Kenichi Amano
虔一 天野
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JFE Steel Corp
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Kawasaki Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 圧延後の冷却速度における制約のない、フラ
ンジ厚み方向およびロット間などでの材質ばらつきが少
なく、しかも溶接性に優れた、高強度高靱性のH形鋼の
製造方法について提案する。 【解決手段】 C:0.001 〜0.040 wt%、Si:0.60wt%
以下、Mn:0.20〜3.00wt%、B:0.0001〜0.0050wt%お
よびAl:0.050 wt%以下を含有する鋼素材に熱間圧延を
施してH形鋼を製造するに当たり、該鋼素材を1050〜13
50℃の温度に加熱後、1100〜950 ℃の温度範囲におい
て、H形鋼のフランジに、1パスの圧下率が5〜10%で
かつ累積圧下率が20%以上となる圧下を施す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、建築、海洋構造
物、造船、貯槽、土木、建設機械等の分野で使用される
H形鋼、中でもフランジ部の厚みが30mm以上とりわけ50
mm以上の材質ばらつきが少なくかつ溶接性に優れるH形
鋼の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】H形鋼は、上記のように、様々な分野で
使用され、高強度化や高靱性化などの特性の改善がはか
られているが、近年では、これらの特性が厚み方向にお
いて均一でありかつ鋼材間でのばらつきも小さいこと
が、要求されている。
【0003】例えば、「鉄と鋼 第74年(1988)第6
号」の第11〜21頁には、建築物の高層化が進むにつれ、
巨大地震に対して建築物の変形により振動エネルギーを
吸収し倒壊を防ぐ設計がとられるようになってきたこと
が報告されている。具体的には、地震発生時に建築物の
骨組みを所定形状で崩壊させ、この骨組み材の塑性化に
よって建物の倒壊を防ぐものである。すなわち、地震発
生時に建築物の骨組みが、設計者の意図した挙動を示す
ことが前提になり、建築物の柱や梁などの鋼材の耐力比
を設計者が完全に把握していることが必要である。従っ
て、柱や梁などに用いるH形鋼などの鋼材は均質である
ことが不可欠であり、鋼材の強度ばらつきは大きな問題
となる。
【0004】ここで、建築や造船などに供する鋼材には
高張力かつ高靱性が要求されるところから、この種の鋼
材は、制御圧延制御冷却法、いわゆるTMCP法に従って製
造されるのが通例である。しかし、このTMCP法によって
肉厚の鋼材を製造すると、圧延後の冷却処理における冷
却速度が厚み方向あるいは各鋼材間で異なって組織が変
化するため、得られた鋼材の厚み方向あるいは各鋼材間
で材質のばらつきが発生するのである。材質のばらつき
としては、H形鋼におけるウェブおよびフランジ間での
冷却が不均一になってウェブおよびフランジ間に現れる
もの、または各ロット間に現れるもの等がある。
【0005】上記使途のH形鋼では、フランジ厚みが30
mm以上、中には50mm以上に達するものがある。従って、
フランジ内においても上記冷却むらが生じることがあ
り、極厚H形鋼ではフランジでの材質ばらつきを解消す
ることが、特に求められる。
【0006】ここで、特開昭63−179020号公報では、成
分、圧下量、冷却速度および冷却終了温度を制御するこ
とにより、板厚方向断面における硬度差を小さくするこ
とが提案されている。しかしながら、厚鋼板、とりわけ
50mmをこえるような部位では、厚み方向の冷却速度分布
が必然的に生じるために、上記の提案によって、厚み方
向断面における硬度差を抑制することは難しい。
【0007】また、上記した用途のH形鋼では、高強度
化、そして高靱性化をはかることも重要であり、従来
は、再加熱焼き入れ焼き戻し処理によって、微細な焼き
戻しマルテンサイト組織を得る手法が、主に用いられて
いる。しかし、焼き戻しマルテンサイト組織を得る手法
は、再加熱焼き入れ焼き戻し処理に要するコストが高
く、また焼き入れ性を増大させるために溶接性の指標で
ある、溶接割れ感受性指数(Pcm)が高くなり、また溶
接熱影響部(以下、HAZ という)の靱性が劣化すること
も問題となる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、上記の問
題を解消した、すなわち圧延後の冷却速度における制約
のない、フランジ厚み方向およびロット間などでの材質
ばらつきが少なく、しかも溶接性に優れた、高強度高靱
性のH形鋼の製造方法について提案することを目的とす
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】H形鋼の特にフランジで
の材質ばらつきは、冷却工程における、フランジ表面か
ら中心部までの厚み方向冷却速度の大幅な変化あるいは
製造条件のばらつきによる冷却速度の変化から、組織変
動が発生することに起因している。この組織変動を回避
するには、広い冷却速度範囲で均質の組織を得ることが
肝要である。
【0010】そこで、発明者らは、製造条件が変化して
も均質の組織を得る手法に関して、原点に立ち戻って検
討を重ねたところ、成分組成を新たに設計し直すことに
よって、冷却速度の変化にかかわらず厚み方向の組織を
一定とした、材質ばらつきの少ないH形鋼が得られるこ
とを知見するに至った。すなわち、極低炭素および高Mn
の下にBを適量添加することによって、組織を冷却速度
に依存することなくベイナイト主体の組織、具体的には
体積率で50%以上をベイナイト組織とした。さらに、C
量を極端に少なくしてPcmを小さくしたために、良好な
溶接性が得られることも見出し、これらを総合して上記
課題を解決した。
【0011】すなわちこの発明は、(1) C:0.001 〜0.
040 wt%、Si:0.60wt%以下、Mn:0.20〜3.00wt%、
B:0.0001〜0.0050wt%およびAl:0.050 wt%以下を含
有する鋼素材に熱間圧延を施してH形鋼を製造するに当
たり、該鋼素材を1050〜1350℃の温度に加熱後、1100〜
950 ℃の温度範囲において、H形鋼のフランジに、1パ
スの圧下率が3〜10%でかつ累積圧下率が20%以上とな
る圧下を施すことを特徴とする材質ばらつきが少なくか
つ溶接性に優れるH形鋼の製造方法(第1発明)、(2)
C:0.001 〜0.040 wt%、Si:0.60wt%以下、Mn:0.20
〜3.00wt%、B:0.0001〜0.0050wt%およびAl:0.050
wt%以下を含有する鋼素材に熱間圧延を施してH形鋼を
製造するに当たり、該鋼素材を1050〜1350℃の温度に加
熱後、1100〜950 ℃の温度範囲において、H形鋼のフラ
ンジに、1パスの圧下率が3〜10%でかつ累積圧下率が
20%以上となる圧下を施したのち、400 〜800 ℃の温度
域において、等温保持または1℃/s以下の冷却を少な
くとも30sは行うことを特徴とする材質ばらつきが少な
くかつ溶接性に優れるH形鋼の製造方法(第2発明)、
(3) 第1発明または第2発明において、鋼素材が、さら
にCr:0.5 wt%以下、Ni:1.50wt%以下、Mo:0.50wt%
以下、V:0.20wt%以下、Ti:0.050 wt%以下、Nb:0.
100 wt%以下およびCu:2.00wt%以下のうちから選んだ
1種または2種以上を含有する組成になる材質ばらつき
が少なくかつ溶接性に優れるH形鋼の製造方法(第3発
明)および(4) 第1発明、第2発明または第3発明にお
いて、鋼素材が、さらに REM:0.0200wt%以下およびC
a:0.0100wt%以下の1種または2種を含有する組成に
なる材質ばらつきが少なくかつ溶接性に優れるH形鋼の
製造方法(第4発明)である。
【0012】
【作用】次に、この発明の鋼材の各化学成分の限定理由
について説明する。 C:0.001 〜0.040 wt% Cは、冷却速度に依存することなしにベイナイト主体の
組織を得るために0.001 wt%以上の含有量が必要であ
る。一方、0.040 wt%をこえると、硬質のマルテンサイ
トが生成し易くなって組織および硬さが不均一になる
上、焼入れ硬化能が大きくなって溶接割れ感受性および
HAZ 靱性が劣化するため、上限を0.040 wt%とする。
【0013】Si:0.60wt%以下 Siは、強度を確保するために、好ましくは0.03wt%以上
で含有するが、その含有量が0.60wt%をこえるとHAZ 靱
性を阻害するために、0.60wt%以下、好ましくは0.30wt
%以下の範囲に限定する。
【0014】Mn:0.20〜3.00wt% Mnは、低C鋼においてベイナイト組織を安定して得るの
に有効な成分であり、0.20wt%以上、好ましくは1.0 wt
%以上は必要である。一方、3.00wt%をこえる含有は、
HAZ 靱性を劣化するため、3.00wt%以下、好ましくは0.
5 wt%以上および2.5 wt%以下の範囲とする。
【0015】B:0.0001〜0.0050wt% Bは、低C鋼においてベイナイト組織を安定して得るの
に有効な成分であり、0.0001wt%以上は必要である。一
方、0.0050wt%をこえると焼入れ性向上効果は飽和する
上、母材およびHAZ の靱性を低下する傾向が現れるた
め、0.0050wt%以下、好ましくは0.0025wt%以下に限定
する。
【0016】Al:0.050 wt%以下 Alは、脱酸材として好ましくは0.005 wt%以上は含有す
るが、0.050 wt%をこえると、脱酸効果は飽和する上、
母材およびHAZ の靱性を低下する傾向が現れるため、0.
050 wt%以下とする。
【0017】この発明は、上記の基本組成に成分調整す
ることによって、特に圧延後の冷却速度にほとんど依存
しないで、均質な組織、具体的には体積率で50%以上が
ベイナイトの組織が得られるところに特徴がある。この
特徴は、図1に結果を示す実験から、明らかである。
【0018】すなわち、この発明に従う成分に調整した
鋼(発明例)と、建築材料に用いられる在来の鋼(従来
例)とに関して、製造工程における冷却速度を、0.1 〜
50℃/sの間で種々に変化させて得た鋼板の引張り強さ
を調査した結果について、図1に示す。同図から、この
発明に従う成分に調整することによって、冷却速度に依
存しないで一定した強度が得られることがわかる。特
に、従来は予測できないほど広範囲の冷却速度におい
て、Y.S およびT.S 値のばらつきが少なくなる。これ
は、上述のとおり、MnおよびBを適量添加が寄与すると
ころである。従って、厚鋼板の厚み方向で冷却速度が変
化しても、冷却速度に依存して強度が変化することがな
く、厚み方向に材質ばらつきの少ない厚鋼板が得られる
のである。
【0019】なお、発明例は、C:0.028 wt%、Si:0.
32wt%、Mn:1.96wt%、B:0.0012wt%、Al:0.016 wt
%、Cu:1.26wt%およびNi:0.68wt%を含み、残部鉄お
よび不可避的不純物になる成分組成になり、一方、従来
例は、C:0.14wt%、Si:0.4 wt%、Mn:1.31wt%、A
l:0.024 wt%、Nb:0.015 wt%、Ti:0.013 wt%であ
った。この結果は、フランジ厚が30mm以上、中には50mm
以上にも達する極厚H形鋼へ適用した際に前述した材質
ばらつきを大幅に低減できることを示すものである。
【0020】また、この発明においては、上記基本成分
に、所定の化学成分を添加することによって、強度や靱
性のレベルを自在に制御することができる。このとき、
既に獲得した組織は、新たな成分の添加に影響されるこ
とが少ないため、材質ばらつきの少ない高強度および/
または高靱性の厚鋼板が容易に得られるのである。
【0021】まず、強度向上をはかるために、Cr:0.5
wt%以下、Ni:1.50wt%以下、Mo:0.50wt%以下、V:
0.20wt%以下、Ti:0.050 wt%以下、Nb:0.100 wt%以
下およびCu:2.00wt%以下の1種または2種以上を、添
加することができる。
【0022】Cr:0.5 wt%以下 Crは、母材および溶接部の強度を高めるのに有効である
が、0.5 wt%をこえて添加すると溶接性やHAZ の靱性が
劣化するため、0.5 wt%以下の範囲で添加する。なお、
十分な強度上昇効果を得るために0.05wt%以上で含有す
ることが好ましい。
【0023】Ni:1.50wt%以下 Niは、強度および靭性を向上し、またCuを添加した場合
には圧延時のCu割れを防止するのに有効であるが、高価
である上、過剰に添加してもその効果が飽和するため、
1.50wt%以下の範囲で添加する。なお、十分なじん性上
昇効果を得るために0.05wt%以上で含有することが好ま
しい。
【0024】Mo:0.50wt%以下 Moは、常温および高温での強度を上昇するのに有効であ
るが、0.50wt%をこえると、溶接性やHAZ の靱性が劣化
するため、0.50wt%以下の範囲で添加する。なお、十分
な強度上昇効果を得るために0.05wt%以上で含有するこ
とが好ましい。
【0025】V:0.20wt%以下 Vは、析出強化による強度上昇の効果を有するが、0.20
wt%をこえて添加すると溶接性が阻害されるため、0.20
wt%以下、好ましくは0.10wt%以下とする。なお、十分
な強度上昇効果を得るために0.04wt%以上で含有するこ
とが好ましい。
【0026】Ti:0.050 wt%以下 Tiは、強度の向上に加えて、HAZ の結晶粒粗大化を抑制
してHAZ 靱性を向上するのに有効であるが、0.050 wt%
をこえると靱性が劣化するから、0.050 wt%を上限とす
る。なお、十分なHAZ じん性上昇効果を得るために0.00
5 wt%以上で含有することが好ましい。
【0027】Nb:0.100 wt%以下 Nbは、析出強化および変態強化を発揮させるために有効
であるが、0.100 wt%をこえると、母材およびHAZ の靱
性を低下するため、0.100 wt%以下、好ましくは0.070
wt%以下とする。なお、十分な強度上昇効果を得るため
に0.010 wt%以上で含有することが好ましい。
【0028】Cu:2.00wt%以下 Cuは、析出強化を発揮させるために有効であるが、2.00
wt%をこえると熱間加工性を劣化するから、2.00wt%以
下とする。なお、十分な強度上昇効果を得るために0.50
wt%以上で含有することが好ましい。
【0029】また、HAZ の靱性向上をはかるために、Ca
およびREM の1種または2種を添加することができる。 REM :0.0200wt%以下 Ca:0.0100wt%以下 REM およびCaは、オキシサルファイドとなってオーステ
ナイト粒の粒成長を抑制してHAZ の靱性を向上するが、
過剰に添加すると鋼の清浄を損なうため、それぞれ上記
の範囲に従って添加する。なお、十分に靱性を向上する
ためには、REMおよびCaはいずれも0.0010wt%以上で含
有することが好ましい。
【0030】上記成分組成の鋼は、上述した基本組成に
成分調整をすることによって、均質なベイナイト組織が
得られ、さらに高靱性化に併せて、高強度および溶接性
を確保するには、次に示す製造工程が有利に適合する。
【0031】すなわち、上述した基本組成に成分調整し
た鋼素材を、1050〜1350℃の温度に加熱後、1100〜950
℃の温度範囲において、H形鋼のフランジに、1パスの
圧下率が5〜10%でかつ累積圧下率が20%以上となる圧
下を施す工程、あるいは上記と同様に圧下を施したの
ち、400 〜800 ℃の温度域において、等温保持または1
℃/s以下の冷却を少なくとも30sは行う工程が、それ
ぞれ高強度化および溶接性の向上に有効である。
【0032】ここで、加熱温度を1050℃以上とするの
は、組織を一旦オーステナイトとして均質化をはかるた
めであり、一方、加熱温度が1350℃をこえると、鋼材の
表面酸化が激しくなるため、1350℃以下とする。
【0033】次いで、熱間圧延では、1100〜950 ℃の温
度範囲において、H形鋼のフランジに、1パスの圧下率
が5〜10%でかつ累積圧下率が20%以上となる圧下を施
すことによって、再結晶細粒化をはかる。すなわち、部
分再結晶に必要である、1パスの圧下率が5〜10%の圧
下を繰り返し行って、その累積圧下率を20%以上とする
ことによって、再結晶細粒化を達成して靱性を確保する
のである。
【0034】その後の冷却は、放冷または加速冷却のい
ずれでもよいが、高強度化を図る場合は加速冷却が望ま
しい。加速冷却を行う場合は、800 ℃から500 ℃まで0.
1 〜20℃/sの冷却速度で行うことが好ましい。
【0035】また、Cu,VおよびNb等による析出強化を
活用するために、熱間圧延後に、400 〜800 ℃の温度域
において、等温保持または1℃/s以下の冷却を少なく
とも30sは行う、析出処理を施すことによって、高強度
化がはかられるとともに組織の均一化がはかられ、厚み
方向の材質ばらつきは、さらに軽減される。この析出処
理は、熱間圧延後の冷却過程の400 〜800 ℃の温度域に
おいて、あるいは該冷却後に400 〜800 ℃の温度域に再
加熱して、行うことができる。
【0036】ここで、析出温度が400 ℃未満では析出お
よび組織の均一化がともに不十分になり、一方800 ℃を
こえると、析出成分の微細析出が発生し難いため、400
〜800 ℃の温度域に限定した。また、等温保持または1
℃/s以下の冷却を行う時間を30s以上としたのは、こ
れ未満では十分な析出強化が図れないためである。同様
の理由により、冷却速度は等温の場合の0℃/sを含め
て1℃/s以下とする必要がある。
【0037】
【実施例】表1に示す種々の成分組成に調整した鋼スラ
ブを用いて、表2に示す条件に従って、フランジ厚が60
〜80mmの極厚H形鋼を製造した。
【0038】かくして得られた各H形鋼について、フラ
ンジ先端からフランジ長さの1/4 の部位の全厚の1/4 深
さ部分から圧延方向に採取した、JIS 4号引張試験片お
よびJIS 4号衝撃試験片によって、機械的性質を調査し
た。また、HAZ の靱性を評価するため、H形鋼を1400℃
に加熱後800 ℃から500 ℃まで300 sで冷却する熱サイ
クル(500 kJ/cmの入熱量で溶接したときのHAZ の熱履
歴に相当)を施してから、シャルピー試験片を採取し、
0℃でのシャルピー吸収エネルギーを測定し、最高硬さ
試験は、室温で溶接してから、JIS Z3101に準拠して測
定した。さらに、厚み方向の強度のばらつきを評価する
ため、フランジ先端からフランジ長さの1/4 の部位の断
面の硬さを表面より2mmピッチにて測定してフランジ厚
み方向の硬さ分布を調査した。
【0039】これらの各調査結果を、表2に示すよう
に、この発明に従って得られたH形鋼は、400 Pa以上の
引張強さを有しかつ靱性も良好であり、また組織が均一
になるため、厚み方向の硬さのばらつきが極めて小さい
ことがわかる。また、比較例に対して、発明例はHAZ 靱
性にも優れていることがわかる。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】次に、溶接割れ感受性を評価するために、
JIS Z3158に規定された、斜めy型溶接割れ試験を実施
した。すなわち、発明例1〜15および比較例2につい
て、フランジから50mm厚×200 mm長×150 mm幅の試験片
を採取し、高張力鋼用被覆アーク溶接棒を用いて、溶接
予熱温度を−25℃で170 A、24Vおよび150 mm/min の
条件に従って試験を行ったところ、比較例2では割れが
発生したが、発明例1〜15には割れは認められなかっ
た。
【0043】
【発明の効果】この発明によって得られるH形鋼は、工
業的規模での生産における冷却工程で用いられる、いず
れの冷却速度によっても、材質がばらつくことはない。
従って、今後需要増が予想される、フランジ厚み方向の
材質ばらつきが極めて少なくかつ溶接性に優れる高強度
高靱性のH形鋼を、工業的に安定して供給できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】厚鋼材における冷却速度と強度との関係を示す
図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 林 透 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内 (72)発明者 大井 健次 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内 (72)発明者 川端 文丸 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内 (72)発明者 天野 虔一 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】C:0.001 〜0.040 wt%、 Si:0.60wt%以下、 Mn:0.20〜3.00wt%、 B:0.0001〜0.0050wt%および Al:0.050 wt%以下 を含有する鋼素材に熱間圧延を施してH形鋼を製造する
    に当たり、該鋼素材を1050〜1350℃の温度に加熱後、11
    00〜950 ℃の温度範囲において、H形鋼のフランジに、
    1パスの圧下率が3〜10%でかつ累積圧下率が20%以上
    となる圧下を施すことを特徴とする材質ばらつきが少な
    くかつ溶接性に優れるH形鋼の製造方法。
  2. 【請求項2】C:0.001 〜0.040 wt%、 Si:0.60wt%以下、 Mn:0.20〜3.00wt%、 B:0.0001〜0.0050wt%および Al:0.050 wt%以下 を含有する鋼素材に熱間圧延を施してH形鋼を製造する
    に当たり、該鋼素材を1050〜1350℃の温度に加熱後、11
    00〜950 ℃の温度範囲において、H形鋼のフランジに、
    1パスの圧下率が3〜10%でかつ累積圧下率が20%以上
    となる圧下を施したのち、400 〜800 ℃の温度域におい
    て、等温保持または1℃/s以下の冷却を少なくとも30
    sは行うことを特徴とする材質ばらつきが少なくかつ溶
    接性に優れるH形鋼の製造方法。
  3. 【請求項3】請求項1または2において、鋼素材が、さ
    らに Cr:0.5 wt%以下、 Ni:1.50wt%以下、 Mo:0.50wt%以下、 V:0.20wt%以下、 Ti:0.050 wt%以下、 Nb:0.100 wt%以下および Cu:2.00wt%以下 のうちから選んだ1種または2種以上を含有する組成に
    なる材質ばらつきが少なくかつ溶接性に優れるH形鋼の
    製造方法。
  4. 【請求項4】請求項1、2または3において、鋼素材
    が、さらにREM:0.0200wt%以下およびCa:0.0100wt%
    以下の1種または2種を含有する組成になる材質ばらつ
    きが少なくかつ溶接性に優れるH形鋼の製造方法。
JP16613297A 1996-06-28 1997-06-23 材質ばらつきが少なくかつ溶接性に優れるh形鋼の製造方法 Pending JPH1072620A (ja)

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