JPH1071188A - 手指および器具等の洗浄・消毒用装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】この発明は、医療用ならびに衛生用洗浄器およ
び装置に関し、吐出ノズルならびに吐出ポンプと給水タ
ンクならびに流量制御システムとを用いて洗浄・消毒液
・強酸性水等の液体により人畜に有害な細菌や微生物を
殺菌・消毒することを目的とし、移動車両内および屋外
でも利用できる新しい洗浄器・電子機器・医療機器シス
テムを提供する。 【構成】半球凸面状のノズル先端を有し、最小限の流体
で効率よく手指等を広くまんべんなく洗浄・消毒・殺菌
できるように設計し、給排水機構をタンク式および多電
源方式とし、吐出ポンプスイッチは手押し足踏みの両方
を可能とする方式を採用し、誰にでも簡単・衛生的に操
作できるようにした。併せて、洗浄液に電気分解生成水
などの強酸性水など物理的に処理した水を給水するシス
テムを採用した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、医療用ならびに衛生
用洗浄器および装置に関し、吐出ポンプと流量制御シス
テムとを用いて洗浄・消毒液・強酸性水等の液体により
人畜に有害な細菌や微生物を殺菌するための電子機器、
医療機器に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、医療・衛生用洗浄器具は洗面器
等の衛生設備に薬剤充填容器を付帯させたものあるい
は、調剤指針等に記載のある消毒・殺菌用の薬剤たとえ
ば、クレゾール石鹸混合液や希釈ヨードチンキ、界面活
性剤、７０％エタノール、イソプロパノール、クロルヘ
キシジンなどを含む液をアルマイトやステンレスなどの
洗面器にいれ、専用の架台にのせたり診察台のサイドテ
ーブルに置くなどしている。食品衛生法においても、手
指の洗浄器具は義務づけられており、大抵は薬剤塗布後
の流水は水道水直結型のものを使用している。

【０００３】

【発明が解決しようとする問題点】しかし、医療用に処
方されている洗浄・消毒用薬剤は小量とはいえ、危険物
・劇薬がほとんどであり、この薬剤を多用する医療従事
者の手指・腕などへのかぶれや皮膚炎を引き起こし、過
敏肌やアレルギーなどの原因ともなっている。また、使
用済み廃液は、細菌・微生物等は薬剤により死滅してい
るため問題無いとしても、危険物・劇物・特殊試薬に対
する特別な処理方法により対処する必要がある。さら
に、架台式洗浄器などの場合、移動時の床の段差や服な
ど引っかけにより、転倒し薬液を床や周囲にまき散らし
てしまう危険性もある。これら多くの、薬剤は、多用す
ると手指等を荒すだけでなく、希釈前や調製時にあやま
って吸入すると、急性中毒や肺浮腫、目や口などの粘膜
に炎症などを引き起こす場合もある。食品衛生用の簡易
手洗い器具は、学校給食、病院などあるいは飲食店など
の調理場に設置されるが、生ものを扱う場所だけに、薬
剤の洗い残しや水道水による再汚染などが問題となって
いる。これら調理場の薬剤を含む排水は下水へ直接流さ
れるが、下水処理場の負担を増やし、また環境汚染の原
因ともなっている。これらの問題点を解決するために、
長時間空気や熱、光にさらすともとの水に戻ってしまう
電気分解水等を水道直結型で用いているものも近年出て
いるが、吐出口は既存の水道栓の使用による落下方式あ
るいは改善しても噴霧方式のため、最低限の使用量とい
う省エネ的な考えが不足する、あるいは霧状のため十分
な液量が得られず、消毒効果が半減するという不具合が
あった。本発明は、以上の欠点を解決すべく、なるべく
少ない量の流体で、効率よく手指等を広くまんべんなく
洗浄できるように吐出口を設計し、かつ洗浄用流体によ
る環境汚染や薬剤過敏症などの被害を最低限とするため
の配慮をし、さらに使用者の使いやすい構成とした、新
しいスタイルの洗浄装置を提供する。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明の全体図を図１に
示す。 １）洗浄装置の吐出水口ノズル（２）の形状を、図２に
示すように、吐出方向に半球状の凸面（１３）として、
内蔵の吐出ポンプ（１０２）で吐出する際、流体を放射
シャワー状（１４）となす。 ２）洗浄装置内部に設置可能なタンクを設け、タンクは
給水タンク（５０）と使用済みの廃水タンク（５１）と
の組合せとする。扉（８）はあってもなくてもよいが、
移動時の使い良さおよび衛生面とから扉を設けた方が好
ましい。扉（８）は開き易いように、大きめのつまみ
（９）や取っ手あるいは、取っ手用の凹みを設ける。給
水（５０）・廃水（５１）の双方のタンクはタンク交換
や給水の際にすぐ区別できるよう、色違いの容器を用い
ることが好ましい。洗浄済みの廃水は洗浄槽（６）の底
部に設けられた排水口（５）を通り廃水用導管（１０
９）を経て、廃水タンク（５１）に送られる。図３に図
１の断面図を示し、これらタンクの配置状態と装置シー
ケンスの概要をあらわす。 ３）洗浄装置には吐出スイッチを設けるが、通常は洗浄
槽（６）前面の手の甲でも楽に押せる大きめの手押し式
スイッチ（３）で操作する。足踏み式スイッチ（４）を
設ける場合は、パネル前面（８）下方部に設け、消毒用
器具の入った容器を両手でもち手がふさがっている際、
足しか利用できない状況に備えて設置する。 ４）洗浄装置の電源（１００）は、直流電源および充電
可能電池方式の両方あるいはいずれか、さらに装置形状
によってはアルカリ電池など高負荷に耐える携帯電源と
あわせ３電源方式としてもよい。電池切れや給水タンク
の空表示ランプ（１１０）（１１１）を設け、水面レベ
ルセンサ（１０５）などで検知できるようにし、上記電
源（１００）と連動させる。 ５）洗浄装置（１）には、荷重が均等に配分されるよう
にストッパーのついたキャスター（１０）を登載する。 ６）洗浄装置（１）の材質は、使用する洗浄用流体が酸
性溶液あるいは、金属等に対する腐食性を有する物質を
用いる場合に備え、ステンレスやチタンなどの合金やテ
フロン複合樹脂など耐食性を有する材質を使用する、ま
たは耐食塗装等の表面処理を施す。 ７）洗浄装置（１）に使用する流体は、化学薬剤や添加
物を含む液体を極力避け、電気分解水生成器等で作られ
たｐＨ３以下の強酸性水を使用し、一定の酸化還元電位
ならびに溶存塩素濃度を保持させる。

【０００５】

【作用】

１）吐出方向に半球状凸面形状を有し、吐出穴が放射同
心円状に配置された吐出用ノズルによって洗浄対象物を
大面積かつ均等に洗浄できるようになった。 ２）色違いの給水・排水タンクを設けることにより、誤
認することなく、洗浄用流体を設置できる。 ３）吐出スイッチに、手押し式と足踏み式の両方を採用
することによって、手の甲の利用や両手がふさがってい
る際にも足で簡単操作でき、衛生的である。 ４）直流電源以外に、充電可能な電池方式を採用したこ
とにより、他の装置で電源が使用できない場合や、隔離
病棟ならびに通常設置場所以外の非常時持ち出しや、移
動する救急車用等にも洗浄・消毒装置として利用でき
る。 ５）ストッパー付きキャスターを四隅に設けたことによ
り、装置の荷重を均等化し、かつ移動の際は楽に移動で
きるようになった。また、前項多電源方式と移動可能の
機構としたため、救急車やキャンピングカーなど移動用
車両への搭載が可能になった。 ６）通常は洗浄液にさらされる配管部分やパネルに耐食
性の塗装を使用することにより、装置の保存性が向上す
る。 ７）洗浄液に、電気分解生成水の陽極側で生成する酸性
水を用いることによって、化学薬剤を使用せず、人畜や
環境に悪影響を及ぼさない洗浄・消毒が可能となる。 以上の作用効果の他に、以下実施例に示すような流路切
り替えバルブなどを用いる事によって、手指・器具以外
により大きな洗浄対象物や屋外での積極的な洗浄・殺菌
を実現できるようになった。本洗浄器へのタンク式の採
用は、電気分解生成水装置から遠い場所への給水や、移
動の多い場所での利用を主としたものであるが、設置箇
所を固定する場合は、廃水タンクを設けずにそのまま、
通常下水道などへの放流も可能である。ただし、特に医
療臨床ならびに研究用殺菌・消毒に使用する場合は、廃
水タンク内の使用後水は、しかるべき廃水処理施設へ廃
棄することを考慮すべきである。

【０００６】

【実施例】

【実施例１】図２−１：本発明の半球状凸面ノズルを使
用した場合の、流体の吐出状態を示す。図２−２には、
図２−１の矢印側からの開口穴の配置例を示す放射用球
面体（１３）は、ノズル（１１）とスリーブ（１２）部
分で接続され、ネジ式あるいははめ込み式とする。ノズ
ル（１１）への導管（１０７）の接続は、通常のナット
だけでなく、各種ジョイントアタッチメント（１８）、
例えば脱着コネクターや流路切り替えバルブ（２０）な
どを適用するとなおよい。

【実施例２】図２−３：延長ホース、リール方式を用い
た場合の例。この場合、単独ノズルで流量制御をする
と、放射量が不足するため、本体装置に若干の加圧機構
を設けるか、導管（１０７）径を太くするとよい。流体
に強酸性水などを用いる場合は、ホース材質にも耐食性
のテフロンや内面をテフロンコーティングするとなおよ
い。

【実施例３】図２−４：本洗浄装置を用いて、円筒状容
器や器具を洗浄するためのノズルアタッチメントの例。
円筒の外周に同心円状に流体放出用開口穴を設ける。

【実施例４】図２−５：半球状凸面ノズル（１３）で洗
浄するよりもさらに大面積を短時間で洗浄する場合の、
凸面円盤状ノズルアタッチメント。

【実施例５】図２−６：導管（１０７）とノズル首部
（１１）のジョイント（１８）に、流路切り替えバルブ
（２０）を用い、洗浄槽（６）内で洗浄する場合と、延
長ホース（１９）などを切り替えるまたは、同時に使用
できるようにした例。流路切り替えバルブには、テフロ
ン製３方コック、あるいはトグルバルブなどを用いると
よい。

【０００７】

【発明の効果】洗浄装置の構成を、吐出効率の良いノズ
ル方式にすることで最小限の液量で最大の消毒・殺菌効
果が得られ、タンク式および多電源方式とすることによ
って場所を選ばず使用でき、吐出ポンプスイッチは手押
し足踏みの両方が可能であることによって誰にでも簡単
・衛生的に操作でき、併せて、洗浄液に電気分解生成水
などの強酸性水など物理的に処理した水を給水すること
によって環境負荷の少ない人畜無害の洗浄液とすること
ができ、まったく新しい洗浄・消毒装置を得た。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の全体図。１−本体、２−吐出ノズル、
３−手押し式スイッチ（ハンドスイッチ）、４−足踏み
式スイッチ（フットスイッチ）、５−排水口、６−洗浄
槽、７−本体側面、８−扉、９−つまみ、１０−キャス
ター、５０−給水タンク、５１−廃水タンク、１０７−
導管

【図２−１】吐出ノズルの使用状態。１１−ノズル、１
２−スリーブ、１３−半球状凸面、１４−シャワー状吐
出された洗浄液、１８−接続部

【図２−２】図２−１の底面図（矢印１５方向より）。
１６−同心円状開口穴、１７−中央部開口穴

【図２−３】延長ホース等を取り付けた例。１８−接続
部、１９−延長ホース

【図２−４】円筒形同心円状ノズルの例。

【図２−５】大面積洗浄用円盤状アタッチメントの例。

【図２−６】切り替えバルブを用いて、流路を付与した
例。２０−流路切り替えバルブ、１３−半球状ノズル、
１９−延長ホース、５−排水口、６−洗浄槽

【図３】装置のシーケンスフローおよび各部品配置図。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 平田 泰郎 長崎県長崎市神ノ島３丁目526−９

Claims (9)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 吐出水口ノズルの形状が、洗浄用流体が
   吐出する際に放射シャワー状となるような半球状凸面を
   有し、吐出用ポンプによって洗浄対象物を大面積かつ均
   等に洗浄できるよう設計した医療用ならびに衛生用洗浄
   器。
2. 【請求項２】請求項１のノズル先端部における流体放出
   開口穴は、ノズル中心およびノズル中心から放射同心円
   状に配置される。
3. 【請求項３】 請求項１の洗浄器に使用する流体は、洗
   浄器内部に設置可能な取り外し自在のタンク式とし、タ
   ンクは給水タンクと使用済みの廃水タンクとの組合せか
   ら構成される。
4. 【請求項４】 請求項１の洗浄器の吐出スイッチは、手
   押し式および足踏み式の両方あるいはいずれかの方式か
   らなる。
5. 【請求項５】 請求項１の洗浄器の電源は、直流電源お
   よび充電可能電池方式の両方あるいはいずれかの方式か
   らなる。
6. 【請求項６】 請求項１の洗浄器は、キャスターを登載
   し、必要に応じて移動が可能であること。
7. 【請求項７】 請求項１の洗浄器の材質は、使用する洗
   浄用流体が酸性溶液あるいは、金属等に対する腐食性を
   有する物質が多いことから、耐食性を有する材質を利用
   または塗装等の表面処理を施す。
8. 【請求項８】 請求項１の洗浄器に使用する流体は、電
   気分解水生成器等で作られたｐＨ３以下の強酸性水を使
   用し、一定の酸化還元電位ならびに溶存塩素濃度を保持
   していること。
9. 【請求項９】 請求項１の吐出口ノズルに至る導管は、
   必要に応じてジョイントアタッチメントまたは、流路切
   り替えバルブなどを用いて延長ホースまたはホースリー
   ル方式を採用し、装置に固定の手洗い容器だけでなく遠
   方の洗浄対象物にも流体を放射できること。